(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2020-90280(P2020-90280A)
(43)【公開日】2020年6月11日
(54)【発明の名称】ドアコントロール装置{DOOR CONTROLLING APPARATUS}
(51)【国際特許分類】
B60R 21/00 20060101AFI20200515BHJP
B60J 5/00 20060101ALI20200515BHJP
E05B 81/54 20140101ALI20200515BHJP
【FI】
B60R21/00 310N
B60J5/00 H
B60R21/00 330
E05B81/54
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2019-214892(P2019-214892)
(22)【出願日】2019年11月28日
(31)【優先権主張番号】10-2018-0155487
(32)【優先日】2018年12月5日
(33)【優先権主張国】KR
(71)【出願人】
【識別番号】508097870
【氏名又は名称】コンチネンタル オートモーティヴ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】Continental Automotive GmbH
(74)【代理人】
【識別番号】100069556
【弁理士】
【氏名又は名称】江崎 光史
(74)【代理人】
【識別番号】100111486
【弁理士】
【氏名又は名称】鍛冶澤 實
(74)【代理人】
【識別番号】100173521
【弁理士】
【氏名又は名称】篠原 淳司
(74)【代理人】
【識別番号】100191835
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 真介
(74)【代理人】
【識別番号】100208258
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 友子
(72)【発明者】
【氏名】イ・ウォンヨン
【テーマコード(参考)】
2E250
【Fターム(参考)】
2E250AA21
2E250HH01
2E250JJ35
2E250KK02
2E250LL01
(57)【要約】
【課題】ドアコントロール装置に関する発明が開示される。
【解決手段】本発明のドアコントロール装置は、内部空間部が形成されるハウジング、ドアロック装置を制御し、前記内部空間部に配置されるコントロールユニット、および前記内部空間部に配置され、車両の浸水時に前記ハウジングの内部圧力を増加させるようにガスを発生させるガス発生部を含むことを特徴とする。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部空間部が形成されるハウジング、
ドアロック装置を制御し、前記内部空間部に配置されるコントロールユニット、および
前記内部空間部に配置され、車両の浸水時に前記ハウジングの内部圧力が増加するようにガスを発生させるガス発生部を含むことを特徴とするドアコントロール装置。
【請求項2】
前記ガス発生部は、前記内部空間部に浸透する水と化学反応することによってガスを発生させることを特徴とする、請求項1に記載のドアコントロール装置。
【請求項3】
前記コントロールユニットは、前記ハウジングの底面から離隔して配置されることを特徴とする、請求項1に記載のドアコントロール装置。
【請求項4】
前記ガス発生部は、前記ハウジングの底面に配置されることを特徴とする、請求項3に記載のドアコントロール装置。
【請求項5】
前記ガス発生部は、
前記ハウジングの底面に配置され、複数の通孔部が形成されるケーシング、および
前記ケーシングの内部に収容され、前記通孔部を通じて流入する水と化学反応を起こしてガスを発生させるガス発生物質を含むことを特徴とする、請求項4に記載のドアコントロール装置。
【請求項6】
前記ガス発生部は、
前記ハウジングの底面に配置される多孔パック、および
前記多孔パックの内部に収容され、前記多孔パックの内部に流入する水と化学反応を起こしてガスを発生させるガス発生物質を含むことを特徴とする、請求項4に記載のドアコントロール装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ドアコントロール装置に関し、より詳しくは、車両の浸水時に一定時間の間コントロールユニットに水が浸透するのを防止することができるドアコントロール装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、車両には、搭乗者が乗り降りできるようにドアが設けられる。ドアのロック装置は、手動で開放されるか、またはコントロールユニットによって自動で開放される。コントロールユニットは、電気的な信号によってロック装置を制御する。
【0003】
車両の走行中に車両が湖や海などに落ちる場合がある。車両が水に浸かると、水がコントロールユニットに浸透することによってコントロールユニットの制御動作が不可能になりうる。よって、車両の浸水時、コントロールユニットに水が浸透するのを防止するように、様々なシーリング装置が設けられる。また、コントロールユニットの回路基板を防水コーティングするか、またはコントロールユニットのハウジングをシーリング部材のような防水構造物によりシーリングする。
【0004】
しかし、従来ではコントロールユニットの回路基板を防水コーティングするかまたはハウジングを防水構造物によりシーリングするため、車両のドアコントロール装置の製造費用およびサイズが増加しうる。
【0005】
また、コントロールユニットの回路基板が防水コーティングされる場合、回路基板の動作時、回路基板から発生する熱が外部に放出され難いことがある。よって、回路基板が劣化することによって回路基板にエラーが発生するか、または防水コーティングが損傷することによって防水性能が低下しうる。
【0006】
したがって、それを改善する必要性が要求される。
【0007】
本発明の背景技術は、大韓民国登録特許公報第1395521号(2014年05月14日公告、発明の名称:防水型ハウジングシーリングを用いた車両の電子制御装置およびその製造方法)に開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、前記のような問題点を改善するために導き出されたものであり、本発明の目的は、車両の浸水時に一定時間の間コントロールユニットに水が浸透するのを防止することができるドアコントロール装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係るドアコントロール装置は、内部空間部が形成されるハウジング、ドアロック装置を制御し、前記内部空間部に配置されるコントロールユニット、および前記内部空間部に配置され、車両の浸水時に前記ハウジングの内部圧力が増加するようにガスを発生させるガス発生部を含むことを特徴とする。
【0010】
前記ガス発生部は、前記内部空間部に浸透する水と化学反応することによってガスを発生させることができる。
【0011】
前記コントロールユニットは、前記ハウジングの底面から離隔して配置することができる。
【0012】
前記ガス発生部は、前記ハウジングの底面に配置することができる。
【0013】
前記ガス発生部は、前記ハウジングの底面に配置され、複数の通孔部が形成されるケーシング、および前記ケーシングの内部に収容され、前記通孔部を通じて流入する水と化学反応を起こしてガスを発生させるガス発生物質を含むことができる。
【0014】
前記ガス発生部は、前記ハウジングの底面に配置される多孔パック、および前記多孔パックの内部に収容され、前記多孔パックの内部に流入する水と化学反応を起こしてガスを発生させるガス発生物質を含むことができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、車両の浸水時にハウジングの内部空間部にガスが充填されることによってハウジングの内部圧力が増加するため、コントロールユニットが一定時間の間水に接触するのを防止することができる。
【0016】
また、本発明によれば、コントロールユニットを防水コーティングしなくてもよく、ハウジングをシーリング部材のような防水構造物によりシーリングしなくてもよいため、車両のドアコントロール装置の製造費用およびサイズを低減できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明の一実施形態によるドアコントロール装置を示す斜視図である。
【
図2】本発明の一実施形態によるドアコントロール装置を示す断面図である。
【
図3】本発明の一実施形態によるドアコントロール装置におけるガス発生部を示す断面図である。
【
図4】本発明の一実施形態によるドアコントロール装置のガス発生部からガスが発生する状態を示す断面図である。
【
図5】本発明の他の実施形態によるドアコントロール装置におけるガス発生部を示す断面図である。
【
図6】本発明の他の実施形態によるドアコントロール装置のガス発生部からガスが発生する状態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、添付図面を参照して本発明に係るドアコントロール装置の一実施形態を説明する。ドアコントロール装置を説明する過程において、図面に示された線の太さや構成要素の大きさなどは、説明の明瞭性と便宜上のために誇張して示されていることがある。また、後述する用語は本発明での機能を考慮して定義された用語であって、これは使用者、運用者の意図または慣例に応じて異なりうる。よって、このような用語に対する定義は、本明細書の全般にわたる内容に基づいてなされなければならない。
【0019】
先ず、本発明の一実施形態によるドアコントロール装置について説明する。
【0020】
図1は、本発明の一実施形態によるドアコントロール装置を示す斜視図であり、
図2は、本発明の一実施形態によるドアコントロール装置を示す断面図であり、
図3は、本発明の一実施形態によるドアコントロール装置におけるガス発生部を示す断面図であり、
図4は、本発明の一実施形態によるドアコントロール装置のガス発生部からガスが発生する状態を示す断面図である。
【0021】
図1〜
図4を参照すると、本発明の一実施形態によるドアコントロール装置は、ハウジング10、コントロールユニット20、およびガス発生部30を含む。
【0022】
ハウジング10には内部空間部12が形成される。ハウジング10は、四角ボックス、円筒形などの様々な形態に形成できる。ハウジング10の下側には、電線連結部(図示せず)が接続されるコネクタ部12が設けられる。車両の浸水時、外部の水がコネクタ部12を通じてハウジング10の内部に浸透しうる。
【0023】
コントロールユニット20は、ドアロック装置22を制御し、ハウジング10の内部空間部12に配置される。コントロールユニット20は、電気電子的にドアロック装置22を制御する回路基板(図示せず)を含む。
【0024】
コントロールユニット20は、ハウジング10の底面から離隔して配置される。このとき、コントロールユニット20は、サポート部材14によってハウジング10の底面から離隔している。よって、車両の浸水初期にコネクタ部12を通じてハウジング10の底面に水が浸透してもコントロールユニット20が水に接触するのを防止することができる。
【0025】
ガス発生部30は、内部空間部12に配置され、車両の浸水時にハウジング10の内部圧力が増加するようにガスを発生させる。ガス発生部30は、ハウジング10の内部空間部12に浸透する水と化学反応することによってガスを発生させる。車両の浸水時、ハウジング10の内部空間部12にガスが充填されることによってハウジング10の内部圧力が増加するため、コネクタ部12を通じてハウジング10の内部に水が浸透するのを防止することができる。よって、コントロールユニット20が一定時間の間(脱出に十分な時間の間)水に接触するのを防止することができる。
【0026】
したがって、コントロールユニット20の回路基板(図示せず)を防水コーティングしなくてもよく、ハウジング10にシーリング部材のような防水構造物によりシーリングしなくてもよいため、車両のドアコントロール装置の製造費用およびサイズを低減できる。
【0027】
また、コントロールユニット20の回路基板が防水コーティングされないため、回路基板の動作時、回路基板から発生する熱が外部へ容易に放出されることができる。よって、回路基板が劣化するのを防止することができる。
【0028】
ガス発生部30は、ハウジング10の底面に配置される。よって、ハウジング10の内部に水が若干浸透すると、ガス発生部30が水との化学反応を直ちに開始するため、ガス発生部30の化学反応時間を短縮させることができる。ガス発生部30の化学反応の開始時間が速くなるため、ハウジング10の内部圧力が速かに増加することができる。よって、コントロールユニット20に水が接触する前にハウジング10の内部圧力が大気圧より高くなるため、ハウジング10の内部空間部12に水が浸透するのを防止することができる。
【0029】
ガス発生部30は、ケーシング31およびガス発生物質35を含む。ケーシング31は、ハウジング10の底面に配置され、複数の通孔部32が形成される。ガス発生物質35は、ケーシング31の内部に収容され、通孔部32を通じて流入する水と化学反応を起こしてガスを発生させる。ガス発生物質35は、パウダー(powder)形態、または固形化した状態でケーシング31の内部に収容されることができる。
【0030】
ケーシング31に複数の通孔部32が形成されるため、ハウジング10外部の水が通孔部32を通じてガス発生物質35に接触することができる。よって、ガス発生物質35が水と化学反応することによってガスが発生することができる。また、ケーシング31内部のガスが通孔部32を通過してハウジング10の内部空間部12に供給されるため、ハウジング10の内部圧力が増加することができる。
【0031】
ケーシング31の側面部と上面部に複数の通孔部32が形成されることができる。ケーシング31の側面部に通孔部32が形成されるため、ハウジング10の底面に浸透した水がケーシング31の側面部の通孔部32を通じてガス発生物質35に到達することができる。また、ガス発生物質35から発生するガスは、側面部と上面部に形成される通孔部32を通じてハウジング10の内部空間部12に流動することができる。
【0032】
上記のように構成された本発明の一実施形態によるドアコントロール装置の作動について説明する。
【0033】
車両が水に浸かると、車両の隙間を通じて水が浸透しうる。車両の内部に浸透した水は、ハウジング10の下側から上側に水位が高くなる。この時、水は、ハウジング10のコネクタ部12を通じて浸透し、ハウジング10の底面から充填される。
【0034】
ハウジング10の底面に浸透する水がケーシング31の側面部の通孔部32を通じてケーシング31の底面に浸透する。ケーシング31の底面にはガス発生物質35が配置されるため、ガス発生物質35が水と化学反応を起こすことによってガスが発生する。ケーシング31内部のガスはケーシング31の通孔部32を通じてハウジング10の内部空間部12に流動するため、ハウジング10の内部圧力が順次増加する。
【0035】
ハウジング10の内部圧力が大気圧より高くなれば、ハウジング10の内部に水がこれ以上浸透することができない。よって、ハウジング10にシーリング構造を形成していないかまたはコントロールユニット20を防水コーティングしていなくてもコントロールユニット20に水が接触するのを防止することができる。また、コントロールユニット20に防水コーティングをしないため、コントロールユニット20が劣化するのを防止することができる。
【0036】
ガス発生部30からガスが発生する間、ハウジング10の内部圧力が一定に維持されつつ、ハウジング10の内部に水が浸透するのを防止する。よって、車両が浸水した後、一定の非常動作時間の間にドアロック装置22が駆動できるため、搭乗者が車両から脱出できる非常動作時間を確保することができる。
【0037】
前記ガス発生部30は、気体漏れが小さいハウジング10に電子機器が設けられる様々な装置に適用できる。
【0038】
次に、本発明の他の実施形態によるドアコントロール装置について説明する。他の実施形態はガス発生部を除いて前述した一実施形態と実質的に同様であるため、以下では他の実施形態のガス発生部について説明する。
【0039】
図5は、本発明の他の実施形態によるドアコントロール装置におけるガス発生部を示す断面図であり、
図6は、本発明の他の実施形態によるドアコントロール装置のガス発生部からガスが発生する状態を示す断面図である。
【0040】
図5および
図6を参照すると、本発明の他の実施形態によるドアコントロール装置のガス発生部40は、多孔パック41およびガス発生物質45を含む。
【0041】
多孔パック41は、ハウジング10の底面に配置される。多孔パック41は、様々な形態に形成できる。多孔パック41を通じて気体と流体が通過できる限り、様々な多孔パック41が適用できる。また、多孔パック41は、様々な素材で製作できる。
【0042】
ガス発生物質45は、多孔パック41の内部に収容され、多孔パック41の内部に流入する水と化学反応を起こしてガスを発生させる。ガス発生物質45が水と化学反応することによって発生するガスは、多孔パック41を通じてハウジング10の内部空間部12へ排出される。
【0043】
ガス発生物質45が多孔パック41の内部に収容されるため、ガス発生物質45が多孔パック41の外部に流れ出るのを防止することができる。また、多孔パック41の下部全体を通じて水が通過できるため、ガス発生物質45と水の化学反応速度がより速くなる。
【0044】
本発明は図面に示された実施形態を参照して説明されたが、これは例示的なものに過ぎず、当該技術が属する分野における通常の知識を有する者であれば、これより様々な変形および均等な他の実施形態が可能であることを理解することができるであろう。
【0045】
したがって、本発明の真の技術的な保護範囲は請求範囲によって定められなければならない。
【符号の説明】
【0046】
10 ・・・ハウジング
12 ・・・内部空間部
14 ・・・サポート部材
20 ・・・コントロールユニット
22 ・・・ドアロック装置
30 ・・・ガス発生部
31 ・・・ケーシング
32 ・・・通孔部
35 ・・・ガス発生物質
40 ・・・ガス発生部
41 ・・・多孔パック
45 ・・・ガス発生物質