【実施例】
【0043】
以下、本発明を実施例に基づいて具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0044】
(実施例1)
ガラス製の単蒸留装置を用い、この単蒸留装置にスチレンと、4H−TEMPO 5000ppm、4−ベンゾイルオキシTEMPO 5000ppmを加え、スチレンの蒸留を行った。なお、スチレンは、あらかじめ10%NaOH水溶液で洗浄し、安定剤を除去したものを使用した。
【0045】
窒素気流下、常圧、オイルバスの温度150℃で10時間かけて蒸留を行った後、単蒸留装置の気層部をメタノールで洗浄した。その際、洗液の状態を確認した。洗液は、透明であり、スチレンの重合物の生成は無かった(スチレンの重合が抑制された)と判断した。
【0046】
(比較例1)
ガラス製の単蒸留装置を用い、この単蒸留装置にスチレンと、4−ベンゾイルオキシTEMPO 10000ppmを加え、スチレンの蒸留を行った。なお、スチレンは、あらかじめ10%NaOH水溶液で洗浄し、安定剤を除去したものを使用した。
【0047】
窒素気流下、常圧、オイルバスの温度150℃で10時間かけて蒸留を行った後、単蒸留装置の気層部をメタノールで洗浄した。その際、洗液の状態を確認した。洗液には白濁が見られた。この結果から、気層部にスチレンの重合物が生成しているもの(スチレンの重合が十分に抑制されなかった)と判断した。
【0048】
(実施例4)
ガラス製の単蒸留装置を用い、この単蒸留装置にスチレンと、4H−TEMPO 1000ppm、4−ベンゾイルオキシTEMPO 1000ppmを加え、スチレンの蒸留を行った。なお、スチレンは、あらかじめ10%NaOH水溶液で洗浄し、安定剤を除去したものを使用した。
【0049】
窒素気流下、常圧、オイルバスの温度150℃で4時間かけて蒸留を行った後、単蒸留装置の気層部をメタノールで洗浄した。その際、洗液の状態を確認した。洗液は、透明であり、スチレンの重合物の生成は無かった(スチレンの重合が抑制された)と判断した。
【0050】
(比較例4)
ガラス製の単蒸留装置を用い、この単蒸留装置にスチレンと、4−ベンゾイルオキシTEMPO 2000ppmを加え、スチレンの蒸留を行った。なお、スチレンは、あらかじめ10%NaOH水溶液で洗浄し、安定剤を除去したものを使用した。
【0051】
窒素気流下、常圧、オイルバスの温度150℃で4時間かけて蒸留を行った後、単蒸留装置の気層部をメタノールで洗浄した。その際、洗液の状態を確認した。洗液には白濁が見られた。この結果から、気層部にスチレンの重合物が生成しているもの(スチレンの重合が十分に抑制されなかった)と判断した。
【0052】
(実施例2)
ガラス製の単蒸留装置を用い、この単蒸留装置に2−エチルヘキサン酸ビニル(ビニルエステル化合物)と、4H−TEMPO 5000ppm、セバシン酸BisTEMPO(ビス(2,2,6,6−テトラメチル−1−ピペラジニルオキシ−4−イル)セバケート)5000ppmを加え、2−エチルヘキサン酸ビニルの蒸留を行った。なお、(2−エチルヘキサン酸ビニルは、あらかじめ10%NaOH水溶液で洗浄し、安定剤を除去したものを使用した。
【0053】
窒素気流下、常圧、オイルバスの温度190℃で10時間かけて蒸留を行った後、単蒸留装置の気層部をメタノールで洗浄した。その際、洗液の状態を確認した。洗液は透明であり、2−エチルヘキサン酸ビニルの重合物の生成は無かった(2−エチルヘキサン酸ビニルの重合が抑制された)と判断した。
【0054】
(比較例2)
ガラス製の単蒸留装置を用い、この単蒸留装置に2−エチルヘキサン酸ビニルと、セバシン酸BisTEMPO(ビス(2,2,6,6−テトラメチル−1−ピペラジニルオキシ−4−イル)セバケート)10000ppmを加え、2−エチルヘキサン酸ビニルの蒸留を行った。なお、2−エチルヘキサン酸ビニルは、あらかじめ10%NaOH水溶液で洗浄し、安定剤を除去したものを使用した。
【0055】
(実施例5)
ガラス製の単蒸留装置を用い、この単蒸留装置に2−エチルヘキサン酸ビニル(ビニルエステル化合物)と、4H−TEMPO 1000ppm、セバシン酸BisTEMPO(ビス(2,2,6,6−テトラメチル−1−ピペラジニルオキシ−4−イル)セバケート)1000ppmを加え、2−エチルヘキサン酸ビニルの蒸留を行った。なお、(2−エチルヘキサン酸ビニルは、あらかじめ10%NaOH水溶液で洗浄し、安定剤を除去したものを使用した。
【0056】
窒素気流下、常圧、オイルバスの温度190℃で4時間かけて蒸留を行った後、単蒸留装置の気層部をメタノールで洗浄した。その際、洗液の状態を確認した。洗液は透明であり、2−エチルヘキサン酸ビニルの重合物の生成は無かった(2−エチルヘキサン酸ビニルの重合が抑制された)と判断した。
【0057】
(比較例5)
ガラス製の単蒸留装置を用い、この単蒸留装置に2−エチルヘキサン酸ビニルと、セバシン酸BisTEMPO(ビス(2,2,6,6−テトラメチル−1−ピペラジニルオキシ−4−イル)セバケート)2000ppmを加え、2−エチルヘキサン酸ビニルの蒸留を行った。なお、2−エチルヘキサン酸ビニルは、あらかじめ10%NaOH水溶液で洗浄し、安定剤を除去したものを使用した。
【0058】
窒素気流下、常圧、オイルバスの温度190℃で4時間かけて蒸留を行った後、単蒸留装置の気層部をメタノールで洗浄した。その際、洗液の状態を確認した。洗液には白濁が見られた。この結果から、気層部に2−エチルヘキサン酸ビニルの重合物が生成しているもの(2−エチルヘキサン酸ビニルの重合が十分に抑制されなかった)と判断した。
【0059】
(実施例3)
ガラス製の単蒸留装置を用い、この単蒸留装置にミルセンと、4H−TEMPO 5000ppm、4−ベンゾイルオキシTEMPO 5000ppmを加え、ミルセンの蒸留を行った。窒素気流下、常圧、オイルバスの温度180℃で10時間かけて蒸留を行った後、単蒸留装置の気層部をメタノールで洗浄した。その際、洗液の状態を確認した。洗液は透明であり、ミルセンの重合物の生成は無かった(ミルセンの重合が抑制された)と判断した。
【0060】
(比較例3)
ガラス製の単蒸留装置を用い、この単蒸留装置にミルセンと、4−ベンゾイルオキシTEMPO 10000ppmを加え、ミルセンの蒸留を行った。窒素気流下、常圧、オイルバスの温度190℃で10時間かけて蒸留を行った後、単蒸留装置の気層部をメタノールで洗浄した。その際、洗液の状態を確認した。洗液には白濁が見られた。この結果から、気層部にミルセンの重合物が生成しているもの(ミルセンの重合が十分に抑制されなかった)と判断した。
【0061】
(実施例6)
ガラス製の単蒸留装置を用い、この単蒸留装置にミルセンと、4H−TEMPO 1000ppm、4−ベンゾイルオキシTEMPO 1000ppmを加え、ミルセンの蒸留を行った。窒素気流下、常圧、オイルバスの温度180℃で4時間かけて蒸留を行った後、単蒸留装置の気層部をメタノールで洗浄した。その際、洗液の状態を確認した。洗液は透明であり、ミルセンの重合物の生成は無かった(ミルセンの重合が抑制された)と判断した。
【0062】
(比較例6)
ガラス製の単蒸留装置を用い、この単蒸留装置にミルセンと、4−ベンゾイルオキシTEMPO 2000ppmを加え、ミルセンの蒸留を行った。窒素気流下、常圧、オイルバスの温度190℃で4時間かけて蒸留を行った後、単蒸留装置の気層部をメタノールで洗浄した。その際、洗液の状態を確認した。洗液には白濁が見られた。この結果から、気層部にミルセンの重合物が生成しているもの(ミルセンの重合が十分に抑制されなかった)と判断した。
【0063】
(比較例7)
ガラス製の単蒸留装置を用い、この単蒸留装置にメタクリル酸2−エトキシエチルと、4H−TEMPO 5000ppm、セバシン酸BisTEMPO(ビス(2,2,6,6−テトラメチル−1−ピペラジニルオキシ−4−イル)セバケート)5000ppmを加え、蒸留を行った。なお、メタクリル酸2−エトキシエチルルは、あらかじめ10%NaOH水溶液で洗浄し、安定剤を除去したものを使用した。
【0064】
窒素気流下、常圧、オイルバスの温度190℃で蒸留を行ったところ、蒸留用原液の増粘が起こり、蒸留不能となった。
【0065】
(実施例7)
ガラス製の単蒸留装置を用い、この単蒸留装置にミルセンと、4H−TEMPO 5000ppm、セバシン酸BisTEMPO(ビス(2,2,6,6−テトラメチル−1−ピペラジニルオキシ−4−イル)セバケート)5000ppmを加え、ミルセンの蒸留を行った。窒素気流下、常圧、オイルバスの温度180℃で10時間かけて蒸留を行った後、単蒸留装置の気層部をメタノールで洗浄した。その際、洗液の状態を確認した。洗液は透明であり、ミルセンの重合物の生成は無かった(ミルセンの重合が抑制された)と判断した。
【0066】
(比較例8)
ガラス製の単蒸留装置を用い、この単蒸留装置にミルセンと、セバシン酸BisTEMPO(ビス(2,2,6,6−テトラメチル−1−ピペラジニルオキシ−4−イル)セバケート)10000ppmを加え、ミルセンの蒸留を行った。窒素気流下、常圧、オイルバスの温度190℃で10時間かけて蒸留を行った後、単蒸留装置の気層部をメタノールで洗浄した。その際、洗液の状態を確認した。洗液には白濁が見られた。この結果から、気層部にミルセンの重合物が生成しているもの(ミルセンの重合が十分に抑制されなかった)と判断した。
【0067】
実施例1〜7、比較例1〜8の結果を表1に示す。なお、比較例7の「洗液の状態」の欄における斜線は、洗液の状態が確認できなかったことを意味する。具体的には、単蒸留装置の試験液中でメタクリル酸2−エトキシエチルの重合が生じてしまい(即ち、メタクリル酸2−エトキシエチルの重合が抑制されず)、評価試験が行えなかったことを示す。
【0068】
【表1】
【0069】
以上のように、実施例1〜7の重合性ビニル化合物の製造方法によれば、重合性ビニル化合物の蒸留に際してその重合を十分に抑制することができ、一方、比較例1〜8の重合性ビニル化合物の製造方法では、重合性ビニル化合物の蒸留に際してその重合を十分に抑制することができなかった。