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特開2020-90536フィロウイルス科ウイルス感染症を処置するための方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2020-90536(P2020-90536A)
(43)【公開日】2020年6月11日
(54)【発明の名称】フィロウイルス科ウイルス感染症を処置するための方法
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/53 20060101AFI20200515BHJP
   A61K 31/675 20060101ALI20200515BHJP
   A61P 31/14 20060101ALI20200515BHJP
   A61K 45/00 20060101ALI20200515BHJP
   C07F 9/6561 20060101ALI20200515BHJP
   C07B 61/00 20060101ALN20200515BHJP
【FI】
   A61K31/53
   A61K31/675
   A61P31/14
   A61K45/00
   C07F9/6561 ZCSP
   C07B61/00 300
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
【外国語出願】
【全頁数】131
(21)【出願番号】特願2020-23613(P2020-23613)
(22)【出願日】2020年2月14日
(62)【分割の表示】特願2017-111470(P2017-111470)の分割
【原出願日】2015年10月29日
(31)【優先権主張番号】62/072,331
(32)【優先日】2014年10月29日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】62/105,619
(32)【優先日】2015年1月20日
(33)【優先権主張国】US
(71)【出願人】
【識別番号】500029420
【氏名又は名称】ギリアード サイエンシーズ, インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(72)【発明者】
【氏名】チョン ビョン クウォン
(72)【発明者】
【氏名】マイケル オニール ハンラハン クラーク
(72)【発明者】
【氏名】エドワード ドーフラー
(72)【発明者】
【氏名】ホン チャン フイ
(72)【発明者】
【氏名】ロバート ジョーダン
(72)【発明者】
【氏名】リチャード エル. マックマン
(72)【発明者】
【氏名】ジェイ ピー. パリッシュ
(72)【発明者】
【氏名】エードリアン エス. レイ
(72)【発明者】
【氏名】ダスティン シーゲル
【テーマコード(参考)】
4C084
4C086
4H039
4H050
【Fターム(参考)】
4C084AA19
4C084NA05
4C084ZB331
4C084ZB332
4C086AA01
4C086AA02
4C086CB05
4C086MA01
4C086MA02
4C086MA04
4C086NA05
4C086NA14
4C086ZB33
4H039CA90
4H050AA01
4H050AA03
4H050AB20
4H050AB29
4H050AC40
4H050BA06
4H050BA37
4H050BE54
4H050WA13
4H050WA15
4H050WA23
(57)【要約】      (修正有)
【課題】フィロウイルス科ウイルス感染症を処置するための方法を提供する。
【解決手段】式(IV)のリボシド、リボシドホスフェートおよびそのプロドラッグを投与することによる、フィロウイルス科ウイルス感染症の処置方法。

【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
明細書に記載の発明。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、一般的に、フィロウイルス科(Filoviridae)ウイルス感染症を
処置するための方法および化合物、特にエボラウイルス、マールブルグウイルスおよびク
エバウイルスを処置するための方法およびヌクレオシドに関する。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
フィロウイルス(例えば、エボラウイルス(EBOV)およびマールブルグウイルス(
MARV))は、中でも、最も致命的で、破壊性のあるウイルスである。これらのウイル
スは、ヒトおよび非ヒト霊長類(例えば、サル、ゴリラ、およびチンパンジー)において
、重症の、多くの場合、致死性のウイルス性出血熱を引き起こす。フィロウイルスは、こ
れらがエアゾール剤の散布および武器化のための能力を有することから、可能な生物兵器
として特に懸念されている。
【0003】
フィロウイルス感染症の潜伏期間は2〜21日の範囲である。疾患の発症は急激であり
、高熱、頭痛、関節痛および筋肉痛、のどの痛み、疲労、下痢、嘔吐、ならびに胃痛によ
り特徴付けられる。発疹、目の充血、しゃっくりならびに内出血および外出血が一部の患
者において観察されることもある。ウイルスに感染して1週間以内に、大部分の患者は、
胸痛および多臓器不全を経験し、ショック状態に陥り、死亡する。また一部の患者は、死
亡前に失明および大量出血も経験する。
【0004】
フィロウイルス科はRNAウイルスのファミリーである。フィロウイルス科ファミリー
の2つのメンバーが同定されている:EBOVおよびMARVである。フィロウイルス科
ファミリーの2種の主要な病原体のタイプ:エボラウイルスおよびMARVが同定されて
いる。MARVの1種の同定された変異形およびエボラウイルスの5種の同定された種:
Zaire(すなわちエボラウイルス、EBOV)、Sudan、Tai Forest
、Bundibugyo、およびRestonが存在する。フィロウイルス科の正確な起
源、場所、および天然生息地は不明である。しかし、入手可能な証拠および類似のウイル
スの性質に基づき、フィロウイルス科は、人獣共通伝染病(すなわち、動物媒介性)であ
り、通常、アフリカ大陸原産の動物宿主において維持されると仮定されている。
【0005】
30年超の間、エボラウイルスは、中央アフリカで、感染患者において重症の疾患を生
じる出血熱の症状の周期的な発現を伴ってきた。集団発生における死亡率は、エボラウイ
ルス(SEBOV)のSudan種の50%から、エボラウイルスのZaire種(EB
OV、ZEBOV)の90%までの範囲に及ぶ(Sanchezら、Filovirid
ae:Marburg and Ebola Viruses, in Fields
Virology(Knipe, D.M.およびHowley, P.M.編)140
9〜1448頁(Lippincott Williams & Wilkins、Ph
iladelphia))。ウガンダにおいて、明らかに新種のエボラウイルスにより引
き起こされた2007年後半の集団発生は、約25%の死亡率をもたらした(Towne
rら、PLoS Pathog.、4巻:e1000212(2008年))。ZEBO
Vはまた、アフリカのこの同じ領域において、野生類人猿の集団を滅ぼした(Walsh
ら、Nature、422巻:611〜614頁(2003年))。
エボラウイルス(すなわちEBOV)を含むフィロウイルス感染症の予防および処置は
多くの難題を提示する。実際には、EBOV感染症を阻止または対処するために使用可能
なワクチンまたは曝露後の処置法は存在しない。代わりに、患者は、補助的治療、すなわ
ち、電解質および液体バランシング、酸素、血圧維持、および何らかの二次感染に対する
処置を受ける。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】Sanchezら、Filoviridae:Marburg and Ebola Viruses, in Fields Virology(Knipe, D.M.およびHowley, P.M.編)1409〜1448頁(Lippincott Williams & Wilkins、Philadelphia)
【非特許文献2】Townerら、PLoS Pathog.、4巻:e1000212(2008年)
【非特許文献3】Walshら、Nature、422巻:611〜614頁(2003年)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
したがって、EBOV感染症を処置するための組成物および方法に対する必要性が存在
する。本発明は、これらおよび他の必要性に対処する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
発明の要旨
フィロウイルス科(フィロウイルス科)感染症の処置を必要とするヒトにおいてフィロ
ウイルス科感染症を処置するための方法であって、治療有効量の式IVの化合物:
【化1】


(式中、
は、
a)H、−C(=O)R11、−C(=O)OR11、−C(=O)NR1112
−C(=O)SR11、−S(O)R11、−S(O)11、−S(O)(OR11
)、−S(O)(OR11)、または−SONR1112
b)
【化2】


c)
【化3】


から選択される基
(式中、
は、フェニル、1−ナフチル、2−ナフチル、
【化4】


の群から選択され、
は、HまたはCHの群から選択され、
e1およびRe2は、それぞれ独立して、H、(C〜C)アルキルまたはベンジ
ルの群から選択され、
は、H、(C〜C)アルキル、ベンジル、(C〜C)シクロアルキル、お
よび−CH−(C〜C)シクロアルキルの群から選択され、
は、(C〜C)アルキル、−O−(C〜C)アルキル、ベンジル、−O−
ベンジル、−CH−(C〜C)シクロアルキル、−O−CH−(C〜C)シ
クロアルキル、およびCFの群から選択され、
n’は、1、2、3、および4の群から選択される整数である);ならびに
d)式:
【化5】


の基
(式中、
Qは、O、S、NR、N(O)(R)、N(OR)、N(O)(OR)、またはN
−NRの群から選択され、
およびZは、一緒になった場合、−Q(C(R−であり、
式中、
各Qは、独立して、O、S、またはNRの群から選択され、
各Rは、独立して、H、F、Cl、Br、I、OH、R、−C(=Q)R、−C
(=Q)OR、−C(=Q)N(R)、−N(R)、−N(R)、−SR、
−S(O)R、−S(O)R、−S(O)(OR)、−S(O)(OR)、−OC(
=Q)R、−OC(=Q)OR、−OC(=Q)(N(R))、−SC(=Q
)R、−SC(=Q)OR、−SC(=Q)(N(R))、−N(R)C(=Q
)R、−N(R)C(=Q)OR、−N(R)C(=Q)N(R)、−SONR
、−CN、−N、−NO、−OR、またはZの群から選択されるか、または一緒
になった場合、同じ炭素原子上の2つのRは、3〜7個の炭素原子の炭素環を形成し、
各Qは、独立して、O、S、NR、N(O)(R)、N(OR)、N(O)(
OR)、もしくはN−NRであるか、または
およびZは、それぞれ独立して、式Iaの基:
【化6】


であり、
式中、
各Qは、独立して、結合、O、CR、NR、N(O)(R)、N(OR)、
N(O)(OR)、N−NR、S、S−S、S(O)、またはS(O)の群から選択
され、
M2は、0、1または2の群から選択される整数であり、
各Rは、独立して、Rまたは式:
【化7】


であり、
各M1a、M1c、およびM1dは、0または1の群から独立して選択される整数
であり、
M12cは、0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11または12の
群から選択される整数であり、
は、ZまたはZであり、
は、R、−C(Q)R、−C(Q)Z、−SO、または−SO
であり、
は、炭素環または複素環であり、Zは、独立して、0〜3つのR基で置換
されている)
からなる群から選択され、
各R11もしくはR12は、独立して、H、(C〜C)アルキル、(C〜C
アルケニル、(C〜C)アルキニル、(C〜C)カルボシクリルアルキル、(C
〜C20)任意選択で置換されているアリール、任意選択で置換されているヘテロアリ
ール、−C(=O)(C〜C)アルキル、−S(O)(C〜C)アルキルもし
くは(C〜C20)アリール(C〜C)アルキルであるか、またはR11およびR
12は、これら両方が結合している窒素と一緒になって、3〜7員の複素環を形成し、前
記複素環の任意の1個の炭素原子は、−O−、−S−または−NR−で任意選択で置き
換えられていることができ、
各Rは、独立して、H、(C〜C)アルキル、(C〜C)アルケニル、(C
〜C)アルキニル、(C〜C20)アリール(C〜C)アルキル、(C〜C
)カルボシクリルアルキル、−C(=O)R、−C(=O)OR、−C(=O)NR
、−C(=O)SR、−S(O)R、−S(O)R、−S(O)(OR)、−S(O)
(OR)、または−SONRの群から選択され、
各Rは、独立して、H、(C〜C)アルキル、(C〜C)置換アルキル、(C
〜C)アルケニル、(C〜C)置換アルケニル、(C〜C)アルキニル、(C
〜C)置換アルキニル、(C〜C20)アリール、(C〜C20)置換アリール
、(C〜C20)ヘテロシクリル、(C〜C20)置換ヘテロシクリル、(C〜C
20)アリール(C〜C)アルキルまたは置換(C〜C20)アリール(C〜C
)アルキルの群から選択され、
各nは、0、1、または2の群から独立して選択される整数であり、
各R11またはR12の各(C〜C)アルキル、(C〜C)アルケニル、(C
〜C)アルキニルまたは(C〜C20)アリール(C〜C)アルキルは、独立
して、ハロ、ヒドロキシ、CN、N、N(RまたはORの群から選択される1
つまたは複数の置換基で任意選択で置換されており、前記各(C〜C)アルキルの非
末端炭素原子の1個または複数は、−O−、−S−または−NR−で任意選択で置き換
えられていてもよい)
またはその薬学的に許容される塩、水和物もしくはエステルを投与することを含む、方法
が提供される。
【0009】
別の実施形態では、本発明は、
【化8】

【化9】

【化10】


である化合物またはその薬学的に許容される塩、水和物、もしくはエステルを提供する。
【発明を実施するための形態】
【0010】
発明の詳細な説明
I.定義
別途述べられていない限り、以下の用語および句は、本明細書で使用する場合、以下の
意味を有することを意図する:
【0011】
商標名が本明細書で使用される場合、出願人は、商標名の製品および商標名の製品の活
性医薬成分(複数可)を独立して含むことを意図する。
【0012】
本明細書で使用する場合、「本発明の化合物」または「式IVの化合物」とは、式IV
の化合物またはその薬学的に許容される塩を意味する。同様に、単離可能な中間体に関し
て、「式(番号)の化合物」という句は、その式の化合物およびその薬学的に許容される
塩を意味する。
【0013】
「アルキル」とは、ノルマル、第2級、第3級または環状の炭素原子を含有する炭化水
素である。例えば、アルキル基は、1〜20個の炭素原子(すなわち、C〜C20アル
キル)、1〜8個の炭素原子(すなわち、C〜Cアルキル)、または1〜6個の炭素
原子(すなわち、C〜Cアルキル)を有することができる。適切なアルキル基の例と
して、これらに限定されないが、メチル(Me、−CH)、エチル(Et、−CH
)、1−プロピル(−Pr、−プロピル、−CHCHCH)、2−プロピ
ル(−Pr、−プロピル、−CH(CH)、1−ブチル(−Bu、−ブチ
ル、−CHCHCHCH)、2−メチル−1−プロピル(−Bu、−ブチル
、−CHCH(CH)、2−ブチル(−Bu、−ブチル、−CH(CH
CHCH)、2−メチル−2−プロピル(−Bu、−ブチル、−C(CH
)、1−ペンチル(−ペンチル、−CHCHCHCHCH)、2−ペンチル
(−CH(CH)CHCHCH)、3−ペンチル(−CH(CHCH
、2−メチル−2−ブチル(−C(CHCHCH)、3−メチル−2−ブチル
(−CH(CH)CH(CH)、3−メチル−1−ブチル(−CHCHCH
(CH)、2−メチル−1−ブチル(−CHCH(CH)CHCH)、1
−ヘキシル(−CHCHCHCHCHCH)、2−ヘキシル(−CH(CH
)CHCHCHCH)、3−ヘキシル(−CH(CHCH)(CHCH
CH))、2−メチル−2−ペンチル(−C(CHCHCHCH)、3
−メチル−2−ペンチル(−CH(CH)CH(CH)CHCH)、4−メチル
−2−ペンチル(−CH(CH)CHCH(CH)、3−メチル−3−ペンチ
ル(−C(CH)(CHCH)、2−メチル−3−ペンチル(−CH(CH
CH)CH(CH)、2,3−ジメチル−2−ブチル(−C(CHCH(
CH)、3,3−ジメチル−2−ブチル(−CH(CH)C(CH、およ
びオクチル(−(CHCH)が挙げられる。
【0014】
「アルコキシ」とは、上で定義されたようなアルキル基が、酸素原子を介して親分子に
結合している式−O−アルキルを有する基を意味する。アルコキシ基のアルキル部分は、
1〜20個の炭素原子(すなわち、C〜C20アルコキシ)、1〜12個の炭素原子(
すなわち、C〜C12アルコキシ)、または1〜6個の炭素原子(すなわち、C〜C
アルコキシ)を有することができる。適切なアルコキシ基の例として、これらに限定さ
れないが、メトキシ(−O−CHまたは−OMe)、エトキシ(−OCHCHまた
は−OEt)、t−ブトキシ(−O−C(CHまたは−OtBu)などが挙げられ
る。
【0015】
「ハロアルキル」とは、アルキル基の1個または複数の水素原子がハロゲン原子で置き
換えられている、上で定義されたようなアルキル基である。ハロアルキル基のアルキル部
分は1〜20個の炭素原子(すなわち、C〜C20ハロアルキル)、1〜12個の炭素
原子(すなわち、C〜C12ハロアルキル)、または1〜6個の炭素原子(すなわち、
〜Cアルキル)を有することができる。適切なハロアルキル基の例として、これら
に限定されないが、−CF、−CHF、−CFH、−CHCFなどが挙げられ
る。
【0016】
「アルケニル」とは、少なくとも1つの不飽和部位、すなわち炭素−炭素のsp二重
結合を有する、ノルマル、第2級、第3級または環状の炭素原子を含有する炭化水素であ
る。例えば、アルケニル基は、2〜20個の炭素原子(すなわち、C〜C20アルケニ
ル)、2〜8個の炭素原子(すなわち、C〜Cアルケニル)、または2〜6個の炭素
原子(すなわち、C〜Cアルケニル)を有することができる。適切なアルケニル基の
例として、これらに限定されないが、エチレンまたはビニル(−CH=CH)、アリル
(−CHCH=CH)、シクロペンテニル(−C)、および5−ヘキセニル(
−CHCHCHCHCH=CH)が挙げられる。
【0017】
「アルキニル」とは、少なくとも1つの不飽和部位、すなわち炭素−炭素のsp三重結
合を有するノルマル、第2級、第3級または環状の炭素原子を含有する炭化水素である。
例えば、アルキニル基は、2〜20個の炭素原子(すなわち、C〜C20アルキニル)
、2〜8個の炭素原子(すなわち、C〜Cアルキン)、または2〜6個の炭素原子(
すなわち、C〜Cアルキニル)を有することができる。適切なアルキニル基の例とし
て、これらに限定されないが、アセチレン性(−C≡CH)、プロパルギル(−CH
≡CH)などが挙げられる。
【0018】
「アルキレン」は、親アルカンの同じまたは2個の異なる炭素原子から2個の水素原子
を除去することによって得られる2つの一価基中心を有する、飽和した、分枝鎖もしくは
直鎖または環状の炭化水素基を指す。例えば、アルキレン基は、1〜20個の炭素原子、
1〜10個の炭素原子、または1〜6個の炭素原子を有することができる。典型的なアル
キレン基として、これらに限定されないが、メチレン(−CH−)、1,1−エチル(
−CH(CH)−)、1,2−エチル(−CHCH−)、1,1−プロピル(−C
H(CHCH)−)、1,2−プロピル(−CHCH(CH)−)、1,3−プ
ロピル(−CHCHCH−)、1,4−ブチル(−CHCHCHCH−)
などが挙げられる。
【0019】
「アルケニレン」は、親アルケンの同じまたは2個の異なる炭素原子から2個の水素原
子を除去することによって得られる2つの一価基中心を有する、不飽和の、分枝鎖もしく
は直鎖または環状の炭化水素基を指す。例えば、アルケニレン基は、1〜20個の炭素原
子、1〜10個の炭素原子、または1〜6個の炭素原子を有することができる。典型的な
アルケニレン基として、これらに限定されないが、1,2−エチレン(−CH=CH−)
が挙げられる。
【0020】
「アルキニレン」は、親アルキンの同じまたは2個の異なる炭素原子から2個の水素原
子を除去することによって得られる2つの一価基中心を有する、不飽和の、分枝鎖もしく
は直鎖または環状の炭化水素基を指す。例えば、アルキニレン基は、1〜20個の炭素原
子、1〜10個の炭素原子、または1〜6個の炭素原子を有することができる。典型的な
アルキニレン基として、これらに限定されないが、アセチレン(−C≡C−)、プロパル
ギル(−CHC≡C−)、および4−ペンチニル(−CHCHCHC≡C−)が
挙げられる。
【0021】
「アミノ」は、一般的に、式−N(X)(式中、各「X」は、独立して、H、置換ま
たは非置換のアルキル、置換または非置換のカルボシクリル、置換または非置換のヘテロ
シクリルなどである)を有するアンモニアの誘導体であると考えることができる窒素基を
指す。窒素のハイブリダイゼーションは、およそspである。非限定のタイプのアミノ
として、−NH、−N(アルキル)、−NH(アルキル)、−N(カルボシクリル)
、−NH(カルボシクリル)、−N(ヘテロシクリル)、−NH(ヘテロシクリル)
、−N(アリール)、−NH(アリール)、−N(アルキル)(アリール)、−N(ア
ルキル)(ヘテロシクリル)、−N(カルボシクリル)(ヘテロシクリル)、−N(アリ
ール)(ヘテロアリール)、−N(アルキル)(ヘテロアリール)などが挙げられる。「
アルキルアミノ」という用語は、少なくとも1つのアルキル基で置換されているアミノ基
を指す。アミノ基の非限定的例として、−NH、−NH(CH)、−N(CH
、−NH(CHCH)、−N(CHCH、−NH(フェニル)、−N(フェ
ニル)、−NH(ベンジル)、−N(ベンジル)などが挙げられる。置換アルキルア
ミノは、一般的に、本明細書で定義されたような少なくとも1つの置換アルキルがアミノ
窒素原子に結合している、上で定義されたようなアルキルアミノ基を指す。置換アルキル
アミノの非限定的例として、−NH(アルキレン−C(O)−OH)、−NH(アルキレ
ン−C(O)−O−アルキル)、−N(アルキレン−C(O)−OH)、−N(アルキ
レン−C(O)−O−アルキル)などが挙げられる。
【0022】
「アリール」とは、親芳香族環系の単一の炭素原子から1個の水素原子を除去すること
によって得られる芳香族炭化水素基を意味する。例えば、アリール基は、6〜20個の炭
素原子、6〜14個の炭素原子、または6〜10個の炭素原子を有することができる。典
型的なアリール基として、これらに限定されないが、ベンゼン(例えば、フェニル)、置
換ベンゼン、ナフタレン、アントラセン、ビフェニル由来の基などが挙げられる。
【0023】
「アリールアルキル」は、炭素原子(通常は末端またはsp炭素原子)に結合してい
る水素原子の1個がアリール基で置き換えられている非環式アルキル基を指す。典型的な
アリールアルキル基として、これらに限定されないが、ベンジル、2−フェニルエタン−
1−イル、ナフチルメチル、2−ナフチルエタン−1−イル、ナフトベンジル、2−ナフ
トフェニルエタン−1−イルなどが挙げられる。アリールアルキル基は、7〜20個の炭
素原子を含むことができ、例えば、アルキル部分は1〜6個の炭素原子であり、アリール
部分は6〜14個の炭素原子である。
【0024】
「アリールアルケニル」は、炭素原子(通常は末端またはsp炭素原子であるが、s
炭素原子でもよい)に結合している水素原子の1個が、アリール基で置き換えられて
いる非環式アルケニル基を指す。アリールアルケニルのアリール部分は、例えば、本明細
書で開示されているアリール基のいずれかを含むことができ、アリールアルケニルのアル
ケニル部分は、例えば、本明細書で開示されているアルケニル基のいずれかを含むことが
できる。アリールアルケニル基は、8〜20個の炭素原子を含むことができ、例えば、ア
ルケニル部分は2〜6個の炭素原子であり、アリール部分は6〜14個の炭素原子である
【0025】
「アリールアルキニル」は、炭素原子(通常は末端またはsp炭素原子であるが、s
p炭素原子でもよい)に結合している水素原子の1個が、アリール基で置き換えられてい
る非環式アルキニル基を指す。アリールアルキニルのアリール部分は、例えば、本明細書
で開示されているアリール基のいずれかを含むことができ、アリールアルキニルのアルキ
ニル部分は、例えば、本明細書で開示されているアルキニル基のいずれかを含むことがで
きる。アリールアルキニル基は、8〜20個の炭素原子を含むことができ、例えば、アル
キニル部分は2〜6個の炭素原子であり、アリール部分は6〜14個の炭素原子である。
【0026】
アルキル、アルキレン、アリール、アリールアルキル、アルコキシ、ヘテロシクリル、
ヘテロアリール、カルボシクリルなどへの言及の中での「置換(されている)」という用
語、例えば、「置換アルキル」、「置換アルキレン」、「置換アリール」、「置換アリー
ルアルキル」、「置換ヘテロシクリル」および「置換カルボシクリル」は、1個または複
数の水素原子が、それぞれ独立して、非水素置換基で置き換えられている、アルキル、ア
ルキレン、アリール、アリールアルキル、ヘテロシクリル、カルボシクリルをそれぞれ意
味する。典型的な置換基として、これらに限定されないが、−X、−R、−O、=O
、−OR、−SR、−S、−NR、−N、=NR、−CX、−C
N、−OCN、−SCN、−N=C=O、−NCS、−NO、−NO、=N、−N
、−NHC(=O)R、−OC(=O)R、−NHC(=O)NR、−S(=O
−、−S(=O)OH、−S(=O)、−OS(=O)OR、−S(=
O)NR、−S(=O)R、−OP(=O)(OR、−P(=O)(OR
、−P(=O)(O、−P(=O)(OH)、−P(O)(OR)(O
)、−C(=O)R、−C(=O)X、−C(S)R、−C(O)OR、−C(
O)O、−C(S)OR、−C(O)SR、−C(S)SR、−C(O)NR
、−C(S)NR、−C(=NR)NR、(式中、各Xは、独立して、ハロ
ゲン:F、Cl、Br、またはIであり、各Rは、独立して、H、アルキル、アリール
、アリールアルキル、複素環、または保護基もしくはプロドラッグ部分である)が挙げら
れる。アルキレン、アルケニレン、およびアルキニレン基もまた同様に置換されていても
よい。他に指摘されていない限り、「置換(されている)」という用語が、置換可能な2
つまたはそれ超の部分を有するアリールアルキルなどの基と併せて使用される場合、これ
らの置換基は、アリール部分、アルキル部分、またはこれらの両方に結合していることが
できる。
【0027】
「プロドラッグ」という用語は、本明細書で使用される場合、生体系に投与された際に
、自発的な化学反応(複数可)、酵素触媒された化学反応(複数可)、光分解、および/
または代謝性化学反応(複数可)の結果、薬物物質、すなわち、活性成分を生成する任意
の化合物を指す。したがって、プロドラッグは、治療的活性のある化合物の、共有結合に
より修飾された類似体または潜在形態である。
【0028】
当業者であれば、式IVの化合物の置換基および他の部分は、許容されるだけの安定し
た医薬組成物へと製剤化することができる薬学的に有用な化合物を得るのに十分に安定し
た化合物を得るよう選択されるべきであることを認識している。このような安定性を有す
る式IVの化合物は、本発明の範囲に入ることが想定される。
【0029】
「ヘテロアルキル」は、1個または複数の炭素原子が、O、N、またはSなどのヘテロ
原子で置き換えられているアルキル基を指す。例えば、親分子に結合しているアルキル基
の炭素原子がヘテロ原子(例えば、O、N、またはS)で置き換えられる場合、得られる
ヘテロアルキル基は、それぞれ、アルコキシ基(例えば、−OCHなど)、アミン(例
えば、−NHCH、−N(CHなど)、またはチオアルキル基(例えば、−SC
)である。親分子に結合していないアルキル基の非末端炭素原子がヘテロ原子(例え
ば、O、N、またはS)で置き換えられる場合、得られるヘテロアルキル基は、それぞれ
、アルキルエーテル(例えば、−CHCH−O−CHなど)、アルキルアミン(例
えば、−CHNHCH、−CHN(CHなど)、またはチオアルキルエーテ
ル(例えば、−CH−S−CH)である。アルキル基の末端炭素原子がヘテロ原子(
例えば、O、N、またはS)で置き換えられる場合、得られるヘテロアルキル基は、それ
ぞれ、ヒドロキシアルキル基(例えば、−CHCH−OH)、アミノアルキル基(例
えば、−CHNH)、またはアルキルチオール基(例えば、−CHCH−SH)
である。ヘテロアルキル基は、例えば、1〜20個の炭素原子、1〜10個の炭素原子、
または1〜6個の炭素原子を有することができる。C〜Cヘテロアルキル基は、1〜
6個の炭素原子を有するヘテロアルキル基を意味する。
【0030】
「複素環」または「ヘテロシクリル」は、本明細書で使用される場合、例として、ただ
しこれらに限定することなく、Paquette, Leo A.;Principle
s of Modern Heterocyclic Chemistry(W.A.
Benjamin、New York、1968年)、特に第1、3、4、6、7、およ
び9章;The Chemistry of Heterocyclic Compou
nds, A Series of Monographs(John Wiley &
Sons、New York、1950年から現在まで)、特に第13、14、16、
19、および28巻;ならびにJ. Am. Chem. Soc.(1960年)82
巻:5566頁に記載されているような複素環が挙げられる。本発明の1つの特定の実施
形態では、「複素環」は、1個または複数の(例えば1、2、3、または4個)炭素原子
がヘテロ原子(例えばO、N、またはS)で置き換えられている、本明細書で定義されて
いるような「炭素環」を含む。「複素環」または「ヘテロシクリル」という用語は、飽和
した環、部分的に不飽和の環、および芳香族環(すなわち、芳香族複素環)を含む。置換
ヘテロシクリルは、例えば、カルボニル基を含めた、本明細書で開示されている置換基の
いずれかで置換されている複素環を含む。カルボニル置換されているヘテロシクリルの非
限定的例は、
【化11】


である。
【0031】
複素環の例は、これらに限定することなく例として、ピリジル、ジヒドロピリジル(d
ihydroypyridyl)、テトラヒドロピリジル(ピペリジル)、チアゾリル、
テトラヒドロチオフェニル、硫黄酸化テトラヒドロチオフェニル、ピリミジニル、フラニ
ル、チエニル、ピロリル、ピラゾリル、イミダゾリル、テトラゾリル、ベンゾフラニル、
チアナフタレニル、インドリル、インドレニル、キノリニル、イソキノリニル、ベンゾイ
ミダゾリル、ピペリジニル、4−ピペリドニル、ピロリジニル、2−ピロリドニル、ピロ
リニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロキノリニル、テトラヒドロイソキノリニル
、デカヒドロキノリニル、オクタヒドロイソキノリニル、アゾシニル、トリアジニル、6
H−1,2,5−チアジアジニル、2H,6H−1,5,2−ジチアジニル、チエニル、
チアントレニル、ピラニル、イソベンゾフラニル、クロメニル、キサンテニル、フェノキ
サチニル、2H−ピロリル、イソチアゾリル、イソオキサゾリル、ピラジニル、ピリダジ
ニル、インドリジニル、イソインドリル、3H−インドリル、1H−インダゾリル(in
dazoly)、プリニル、4H−キノリジニル、フタラジニル、ナフチリジニル、キノ
キサリニル、キナゾリニル、シンノリニル、プテリジニル、4aH−カルバゾリル、カル
バゾリル、β−カルボリニル、フェナントリジニル、アクリジニル、ピリミジニル、フェ
ナントロリニル、フェナジニル、フェノチアジニル、フラザニル、フェノキサジニル、イ
ソクロマニル、クロマニル、イミダゾリジニル、イミダゾリニル、ピラゾリジニル、ピラ
ゾリニル、ピペラジニル、インドリニル、イソインドリニル、キヌクリジニル、モルホリ
ニル、オキサゾリジニル、ベンゾトリアゾリル、ベンゾイソオキサゾリル、オキシンドリ
ル、ベンゾオキサゾリニル、イサチノイル、およびビス−テトラヒドロフラニル:
【化12】


が挙げられる。
【0032】
例として、ただしこれらに限定することなく、炭素結合した複素環は、ピリジンの2、
3、4、5、もしくは6位、ピリダジンの3、4、5、もしくは6位、ピリミジンの2、
4、5、もしくは6位、ピラジンの2、3、5、もしくは6位、フラン、テトラヒドロフ
ラン、チオフラン、チオフェン、ピロールもしくはテトラヒドロピロールの2、3、4、
もしくは5位、オキサゾール、イミダゾールもしくはチアゾールの2、4、もしくは5位
、イソオキサゾール、ピラゾール、もしくはイソチアゾールの3、4、もしくは5位、ア
ジリジンの2もしくは3位、アゼチジンの2、3、もしくは4位、キノリンの2、3、4
、5、6、7、もしくは8位、またはイソキノリンの1、3、4、5、6、7、もしくは
8位で結合している。さらにより典型的には、炭素結合した複素環として、2−ピリジル
、3−ピリジル、4−ピリジル、5−ピリジル、6−ピリジル、3−ピリダジニル、4−
ピリダジニル、5−ピリダジニル、6−ピリダジニル、2−ピリミジニル、4−ピリミジ
ニル、5−ピリミジニル、6−ピリミジニル、2−ピラジニル、3−ピラジニル、5−ピ
ラジニル、6−ピラジニル、2−チアゾリル、4−チアゾリル、または5−チアゾリルが
挙げられる。
【0033】
例として、ただしこれらに限定することなく、窒素結合した複素環は、アジリジン、ア
ゼチジン、ピロール、ピロリジン、2−ピロリン、3−ピロリン、イミダゾール、イミダ
ゾリジン、2−イミダゾリン、3−イミダゾリン、ピラゾール、ピラゾリン、2−ピラゾ
リン、3−ピラゾリン、ピペリジン、ピペラジン、インドール、インドリン、1H−イン
ダゾールの1位、イソインドール、またはイソインドリンの2位、モルホリンの4位、お
よびカルバゾール、またはβ−カルボリンの9位で結合している。さらにより典型的には
、窒素結合した複素環として、1−アジリジル、1−アゼチジル(azetedyl)、
1−ピロリル、1−イミダゾリル、1−ピラゾリル、および1−ピペリジニルが挙げられ
る。
【0034】
「ヘテロシクリルアルキル」は、炭素原子(通常は末端またはsp炭素原子である)
に結合している水素原子の1個が、ヘテロシクリル基で置き換えられている非環式アルキ
ル基(すなわち、ヘテロシクリル−アルキレン−部分)を指す。典型的なヘテロシクリル
アルキル基として、これらに限定されないがヘテロシクリル−CH−、2−(ヘテロシ
クリル)エタン−1−イルなどが挙げられ、この「ヘテロシクリル」部分は、Princ
iples of Modern Heterocyclic Chemistryに記
載されているものを含めた、上に記載されているヘテロシクリル基のいずれかを含む。当
業者であればまた、ヘテロシクリル基は、得られる基が化学的に安定しているという条件
で、炭素−炭素結合または炭素−ヘテロ原子結合によりヘテロシクリルアルキルのアルキ
ル部分に結合することができることを理解している。ヘテロシクリルアルキル基は、3〜
20個の炭素原子を含み、例えば、アリールアルキル基のアルキル部分は1〜6個の炭素
原子であり、ヘテロシクリル部分は2〜14個の炭素原子である。ヘテロシクリルアルキ
ルの例は、これらに限定されないが、例として、5員の硫黄、酸素、および/または窒素
を含有する複素環、例えば、チアゾリルメチル、2−チアゾリルエタン−1−イル、イミ
ダゾリルメチル、オキサゾリルメチル、チアジアゾリルメチルなど、6員の硫黄、酸素、
および/または窒素を含有する複素環、例えば、ピペリジニルメチル、ピペラジニルメチ
ル、モルホリニルメチル、ピリジニルメチル、ピリジルメチル(pyridizylme
thyl)、ピリミジルメチル、ピラジニルメチルなどが挙げられる。
【0035】
「ヘテロシクリルアルケニル」は、炭素原子(通常は末端またはsp炭素原子である
が、sp炭素原子でもよい)に結合している水素原子の1個がヘテロシクリル基で置き
換えられている非環式アルケニル基(すなわち、ヘテロシクリル−アルケニレン−部分)
を指す。ヘテロシクリルアルケニル基のヘテロシクリル部分は、Principles
of Modern Heterocyclic Chemistryにおいて記載され
ているものを含む、本明細書に記載のヘテロシクリル基のいずれかを含み、ヘテロシクリ
ルアルケニル基のアルケニル部分は、本明細書で開示されているアルケニル基のいずれか
を含む。当業者であればまた、ヘテロシクリル基は、得られる基が化学的に安定している
という条件で、炭素−炭素結合または炭素−ヘテロ原子結合により、ヘテロシクリルアル
ケニルのアルケニル部分に結合することができることも理解している。ヘテロシクリルア
ルケニル基は、4〜20個の炭素原子を含み、例えば、ヘテロシクリルアルケニル基のア
ルケニル部分は2〜6個の炭素原子であり、ヘテロシクリル部分は2〜14個の炭素原子
である。
【0036】
「ヘテロシクリルアルキニル」は、炭素原子(通常は末端またはsp炭素原子である
が、sp炭素原子でもよい)に結合している水素原子の1個がヘテロシクリル基で置き換
えられている非環式アルキニル基(すなわち、ヘテロシクリル−アルキニレン−部分)を
指す。ヘテロシクリルアルキニル基のヘテロシクリル部分は、Principles o
f Modern Heterocyclic Chemistryに記載されているも
のを含む、本明細書に記載のヘテロシクリル基のいずれかを含み、ヘテロシクリルアルキ
ニル基のアルキニル部分は、本明細書で開示されているアルキニル基のいずれかを含む。
当業者であればまた、ヘテロシクリル基は、得られる基が化学的に安定しているという条
件で、炭素−炭素結合または炭素−ヘテロ原子結合により、ヘテロシクリルアルキニルの
アルキニル部分に結合することができることを理解している。ヘテロシクリルアルキニル
基は、4〜20個の炭素原子を含み、例えば、ヘテロシクリルアルキニル基のアルキニル
部分は2〜6個の炭素原子であり、ヘテロシクリル部分は2〜14個の炭素原子である。
【0037】
「ヘテロアリール」は、環内に少なくとも1個のヘテロ原子を有する芳香族ヘテロシク
リルを指す。芳香族環内に含まれ得る適切なヘテロ原子の非限定的例として、酸素、硫黄
、および窒素が挙げられる。ヘテロアリール環の非限定的例として、「ヘテロシクリル」
の定義において列挙された芳香族環のすべてが挙げられ、これは、ピリジニル、ピロリル
、オキサゾリル、インドリル、イソインドリル、プリニル、フラニル、チエニル、ベンゾ
フラニル、ベンゾチオフェニル、カルバゾリル、イミダゾリル、チアゾリル、イソオキサ
ゾリル、ピラゾリル、イソチアゾリル、キノリル、イソキノリル、ピリダジル、ピリミジ
ル、ピラジルなどを含む。
【0038】
「炭素環」または「カルボシクリル」は、単環として3〜7個の炭素原子、二環として
7〜12個の炭素原子、および多環として約20個までの炭素原子を有する飽和した(す
なわち、シクロアルキル)、部分的に不飽和の(例えば、シクロアルケニル、シクロアル
カジエニルなど)、または芳香族の環を指す。単環式炭素環は、3〜7個の環原子、さら
により典型的には、5または6個の環原子を有する。二環式炭素環は、例えば、ビシクロ
[4,5]、[5,5]、[5,6]または[6,6]系として配置された7〜12個の
環原子、あるいはビシクロ[5,6]もしくは[6,6]系またはスピロ縮合環として配
置された9または10個の環原子を有する。単環式炭素環の非限定的例として、シクロプ
ロピル、シクロブチル、シクロペンチル、1−シクロペンタ−1−エニル、1−シクロペ
ンタ−2−エニル、1−シクロペンタ−3−エニル、シクロヘキシル、1−シクロヘキサ
−1−エニル、1−シクロヘキサ−2−エニル、1−シクロヘキサ−3−エニル、および
フェニルが挙げられる。ビシクロ炭素環の非限定的例として、ナフチル、テトラヒドロナ
フタレン、およびデカリンが挙げられる。
【0039】
「カルボシクリルアルキル」は、炭素原子に結合している水素原子の1個が本明細書に
記載されているようなカルボシクリル基で置き換えられている非環式アルキル基を指す。
カルボシクリルアルキル基の典型的ではあるが、非限定的な例として、シクロプロピルメ
チル、シクロプロピルエチル、シクロブチルメチル、シクロペンチルメチルおよびシクロ
ヘキシルメチルが挙げられる。
【0040】
「アリールヘテロアルキル」は、水素原子(炭素原子またはヘテロ原子のいずれに結合
していてもよい)が本明細書で定義されたようなアリール基で置き換えられている、本明
細書で定義されたようなヘテロアルキルを指す。アリール基は、ヘテロアルキル基の炭素
原子に結合していても、ヘテロアルキル基のヘテロ原子に結合していてもよいが、ただし
、得られるアリールヘテロアルキル基は化学的に安定した部分を提供するものとする。例
えば、アリールヘテロアルキル基は、一般式−アルキレン−O−アリール、−アルキレン
−O−アルキレン−アリール、−アルキレン−NH−アリール、−アルキレン−NH−ア
ルキレン−アリール、−アルキレン−S−アリール、−アルキレン−S−アルキレン−ア
リールなどを有することができる。加えて、上記一般式のアルキレン部分のいずれかは、
本明細書で定義または例示された置換基のいずれかでさらに置換されていることができる
【0041】
「ヘテロアリールアルキル」は、水素原子が本明細書で定義されたようなヘテロアリー
ル基で置き換えられている、本明細書で定義されたようなアルキル基を指す。ヘテロアリ
ールアルキルの非限定的例として、−CH−ピリジニル、−CH−ピロリル、−CH
−オキサゾリル、−CH−インドリル、−CH−イソインドリル、−CH−プリ
ニル、−CH−フラニル、−CH−チエニル、−CH−ベンゾフラニル、−CH
−ベンゾチオフェニル、−CH−カルバゾリル、−CH−イミダゾリル、−CH
チアゾリル、−CH−イソオキサゾリル、−CH−ピラゾリル、−CH−イソチア
ゾリル、−CH−キノリル、−CH−イソキノリル、−CH−ピリダジル、−CH
−ピリミジル、−CH−ピラジル、−CH(CH)−ピリジニル、−CH(CH
)−ピロリル、−CH(CH)−オキサゾリル、−CH(CH)−インドリル、−C
H(CH)−イソインドリル、−CH(CH)−プリニル、−CH(CH)−フラ
ニル、−CH(CH)−チエニル、−CH(CH)−ベンゾフラニル、−CH(CH
)−ベンゾチオフェニル、−CH(CH)−カルバゾリル、−CH(CH)−イミ
ダゾリル、−CH(CH)−チアゾリル、−CH(CH)−イソオキサゾリル、−C
H(CH)−ピラゾリル、−CH(CH)−イソチアゾリル、−CH(CH)−キ
ノリル、−CH(CH)−イソキノリル、−CH(CH)−ピリダジル、−CH(C
)−ピリミジル、−CH(CH)−ピラジルなどが挙げられる。
【0042】
「任意選択で置換されている」という用語は、式IVの化合物の特定の部分への言及(
例えば、任意選択で置換されているアリール基)の中で、すべての置換基が水素であるか
、またはその部分の水素の1個もしくは複数が、置換基、例えば、「置換(されている)
」という定義の下に列挙されたものなどにより置き換えられていてもよい部分を指す。
【0043】
「任意選択で置き換えられている」という用語は、式IVの化合物の特定の部分への言
及(例えば、前記(C〜C)アルキルの炭素原子は、−O−、−S−、または−NR
−で、任意選択で置き換えられていてもよい)の中で、(C〜C)アルキルのメチ
レン基の1つまたは複数は、0、1つ、2つ、またはそれ超の特定された基(例えば、−
O−、−S−、または−NR−)で置き換えられていてもよいことを意味する。
【0044】
アルキル、アルケニル、アルキニル、アルキレン、アルケニレン、またはアルキニレン
部分への言及の中の「非末端炭素原子(複数可)」という用語は、その部分の最初の炭素
原子と、その部分の最後の炭素原子との間に介入する部分の炭素原子を指す。したがって
、例として、ただしこれらに限定することなく、アルキル部分、−CH(C)H
)HCHまたはアルキレン部分、−CH(C)H(C)HCH−に
おいて、C原子は非末端炭素原子と考えられる。
【0045】
ある特定のQおよびQの代替は、窒素酸化物、例えば、N(O)(R)または
(O)(OR)などである。炭素原子に結合している、ここに示されているような窒素酸
化物はまた、電荷分離基、例えば、
【化13】


などでそれぞれ表すことができ、本発明を記載する目的のために、上述の表示と同等であ
ることを意図する。
【0046】
「リンカー」または「連結する」とは、共有結合または原子の鎖を含む化学部分を意味
する。リンカーとして、アルキルオキシの繰返し単位(例えばポリエチレンオキシ、PE
G、ポリメチレンオキシ)およびアルキルアミノの繰返し単位(例えばポリエチレンアミ
ノ、Jeffamine(商標));ならびにスクシネート、スクシンアミド、ジグリコ
レート、マロネート、およびカプロアミドを含む二酸のエステルおよびアミドが挙げられ
る。
【0047】
「酸素連結している」「窒素連結している」「炭素連結している」「硫黄連結している
」または「リン連結している」などの用語は、部分内の1種超の原子を使用することによ
って2つの部分間で結合が形成できる場合、その部分間に形成された結合が特定された原
子を介することを意味する。例えば、窒素連結しているアミノ酸は、アミノ酸の酸素原子
または炭素原子を介するよりもむしろ、アミノ酸の窒素原子を介して結合している。
【0048】
式IVの化合物の一部の実施形態では、ZまたはZの1つまたは複数は、独立して
、窒素連結している天然に存在するα−アミノ酸エステルの基である。天然に存在するア
ミノ酸の例として、イソロイシン、ロイシン、リシン、メチオニン、フェニルアラニン、
トレオニン、トリプトファン、バリン、アラニン、アスパラギン、アスパラギン酸、シス
テイン、グルタミン酸、グルタミン、グリシン、プロリン、セレノシステイン、セリン、
チロシン、アルギニン、ヒスチジン、オルニチンおよびタウリンが挙げられる。これらの
アミノ酸のエステルは、置換基Rに対して記載されているもののいずれか、特にRが任意
選択で置換されている(C〜C)アルキルであるものを含む。
【0049】
「プリン」または「ピリミジン」塩基という用語は、これらに限定されないが、アデニ
ン、N−アルキルプリン、N−アシルプリン(ここでアシルは、C(O)(アルキル
、アリール、アルキルアリール、またはアリールアルキル)である)、N−ベンジルプ
リン、N−ハロプリン、N−ビニルプリン、N−アセチレン性プリン、N−アシ
ルプリン、N−ヒドロキシアルキルプリン、N−アリルアミノプリン、N−チオア
リルプリン、N−アルキルプリン、N−アルキル−6−チオプリン、チミン、シトシ
ン、5−フルオロシトシン、5−メチルシトシン、6−アザピリミジン(6−アザシトシ
ンを含む)、2−および/または4−メルカプトピリミジン(mercaptopyrm
idine)、ウラシル、5−ハロウラシル(5−フルオロウラシルを含む)、C−ア
ルキルピリミジン、C−ベンジルピリミジン、C−ハロピリミジン、C−ビニルピ
リミジン、C−アセチレン性ピリミジン、C−アシルピリミジン、C−ヒドロキシ
アルキルプリン、C−アミドピリミジン、C−シアノピリミジン、C−5−ヨード
ピリミジン、C−ヨード−ピリミジン、C−Br−ビニルピリミジン、C−Br−
ビニルピリミジン、C−ニトロピリミジン、C−アミノ−ピリミジン、N−アルキ
ルプリン、N−アルキル−6−チオプリン、5−アザシチジニル、5−アザウラシリル
、トリアゾロピリジニル、イミダゾロピリジニル、ピロロピリミジニル、およびピラゾロ
ピリミジニルを含む。プリン塩基として、これらに限定されないが、グアニン、アデニン
、ヒポキサンチン、2,6−ジアミノプリン、および6−クロロプリンが挙げられる。プ
リンおよびピリミジン塩基は、塩基の窒素原子を介して、リボース糖、またはその類似体
に連結している。塩基上の官能基の酸素および窒素基は、必要に応じてまたは所望する場
合、保護することができる。適切な保護基は当業者には周知であり、トリメチルシリル、
ジメチルヘキシルシリル、t−ブチルジメチルシリル、およびt−ブチルジフェニルシリ
ル、トリチル、アルキル基、およびアシル基、例えば、アセチルおよびプロピオニル、メ
タンスルホニル、ならびにp−トルエンスルホニルなどが挙げられる。
【0050】
特に明記しない限り、式IVの化合物の炭素原子は、4の原子価を有することを意図す
る。炭素原子が、4の原子価を生成するのに十分な数の変数に結合していない一部の化学
構造表示において、4の原子価を得るために必要とされる残りの炭素置換基は水素である
と想定されるべきである。例えば、
【化14】


は、
【化15】


と同じ意味を有する。
【0051】
「保護基」は、官能基の特性または全体としての化合物の特性を遮蔽するまたは変化さ
せる化合物の部分を指す。保護基の化学的下位構造は、広く異なる。保護基の1つの機能
は、親薬物物質の合成において中間体としての役目を果たすことである。化学的保護基お
よび保護/脱保護のための戦略は当技術分野で周知である。「Protective G
roups in Organic Chemistry」、Theodora W.
Greene(John Wiley & Sons, Inc.、New York、
1991年を参照されたい。またProtective Groups in Orga
nic Chemistry、Peter G. M. WutsおよびTheodor
a W. Greene、第4版、2006年も参照されたい。保護基は、多くの場合、
ある特定の官能基の反応性を遮蔽して、所望の化学反応の効率を補助するため、例えば、
秩序化したおよび計画された形式で化学結合を作り、破壊するために利用される。化合物
の官能基の保護は、保護された官能基の反応性に加えて、他の物理的特性、例えば、極性
、親油性(疎水性)、および一般的分析用ツールで測定できる他の特性を変化させる。化
学的に保護された中間体は、それ自体、生物活性があっても、または不活性であってもよ
い。「ヒドロキシ保護基」は、ヒドロキシ基(−OH)を保護するのに有用であるような
保護基を指す。
【0052】
保護された化合物はまた、in vitroおよびin vivoで変化した特性、あ
る場合には、最適化された特性、例えば、細胞膜を介した通過および酵素的分解または隔
離に対する耐性なども示すことができる。この役割において、意図する治療効果を有する
、保護された化合物は、プロドラッグと呼ぶことができる。保護基の別の機能は、親薬物
をプロドラッグへと変換することであり、これによって、in vivoでのプロドラッ
グの変換の際に、親薬物が放出される。活性のあるプロドラッグは、親薬物よりさらに有
効に吸収され得るので、プロドラッグは、in vivoで、親薬物より大きな効力を保
有し得る。保護基は、化学的中間体の場合、in vitroで、またはプロドラッグの
場合、in vivoで除去される。化学的な中間体では、脱保護後に生成する生成物、
例えば、アルコールが生理学的に許容されるものであることはそれほど重要ではないが、
ただし、一般的には、この生成物が薬理学的に無害であれば、それはさらに望ましい。
【0053】
「キラル」という用語は、鏡像パートナーの重ね合せできない特性という性質を有する
分子を指すのに対して、「アキラル」という用語は、これらの鏡像パートナー上で重ね合
せできる分子を指す。
【0054】
「立体異性体」という用語は、同一の化学構造を有するが、空間における原子または基
の配置に関して異なる化合物を指す。
【0055】
「ジアステレオマー」は、2つまたはそれ超のキラル中心を有し、その分子が互いに鏡
像ではない立体異性体を指す。ジアステレオマーは、異なる物理的特性、例えば、融点、
沸点、スペクトル特性、反応性および生物学的特性を有する。例えば、式IVの化合物は
、Rが、
【化16】


であり、ZおよびZが異なる場合、キラルなリン原子を有し得る。ZまたはZ
いずれかの少なくとも1つもまたキラル中心を有する場合、例えば、ZまたはZが窒
素連結している、キラルな、天然に存在するαアミノ酸エステルである場合、分子内に2
つのキラル中心が存在するので、式IVの化合物はジアステレオマーとして存在すること
になる。本明細書に記載のすべてのこのようなジアステレオマーおよびこれらの使用は、
本発明に包含される。ジアステレオマー混合物は、高分解能分析用手順により、例えば、
電気泳動、結晶化および/またはクロマトグラフィーなどで分離することができる。ジア
ステレオマーは、異なる物理的特質、例えば、これらに限定されないが、溶解度、化学的
安定性および結晶化度などを有することができ、また異なる生物学的特性、例えば、これ
らに限定されないが、酵素的安定性、吸収および代謝安定性なども有することもできる。
【0056】
「エナンチオマー」は、互いに重ね合せることができない鏡像である、化合物の2つの
立体異性体を指す。
【0057】
量に関連して使用される修飾語「約」は、述べられている値を含み、状況により決定づ
けられる意味を有する(例えば、特定の量の測定に関連する誤差の程度を含む)。
【0058】
「処置する」という用語は、本明細書で使用する場合、他に指摘されていない限り、こ
のような用語が適用される障害もしくは状態、またはこのような障害もしくは状態の1つ
もしくは複数の症状を逆転させる、軽減する、進行を阻害する、または予防することを意
味する。「処置」という用語は、本明細書で使用する場合、「処置する」がすぐ上に定義
されているように、処置するという行為を指す。
【0059】
「治療有効量」という用語とは、明細書で使用する場合、このような組成物が選択され
た投与経路により投与される際に、処置される対象の気道および肺の分泌物および組織、
または代わりに、血流中に、所望のレベルの薬物を提供することによって、予測される生
理学的応答または所望の生物学的効果を得るのに必要とされる本明細書に記載の組成物中
に存在する式IVの化合物の量である。正確な量は、多くの因子、例えば、式IVの特定
の化合物、組成物の比活性度、利用するデリバリーデバイス、組成物の物理的特徴、その
意図される用途、ならびに患者の考慮事項、例えば、病態の重症度、患者の協力などに依
存し、本明細書に提供されている情報に基づき、当業者により容易に判定することができ
る。
【0060】
「生理食塩水」という用語は、0.9%(w/v)NaClを含有する水溶液を意味す
る。
【0061】
「高張生理食塩水」という用語は、0.9%(w/v)超のNaClを含有する水溶液
を意味する。例えば、3%高張生理食塩水は3%(w/v)NaClを含有する。
【0062】
「反応混合物を形成する」は、少なくとも2つの異なる種を、これらが一緒に混合し、
反応できるように接触させるプロセスを指す。しかし、得られる反応生成物は、加えられ
た試薬間の反応から直接、または加えられた試薬のうちの1つまたは複数の中間体(反応
混合物中で生成することができる)から、生成することができることを理解されたい。
【0063】
「カップリング剤」は、2つの異なる化合物をカップリングすることが可能な剤を指す
。カップリング剤は、触媒量または化学量論的であることができる。例えば、カップリン
グ剤は、リチウムベースのカップリング剤またはマグネシウムベースのカップリング剤、
例えば、グリニャール試薬などであることができる。例示的カップリング剤として、これ
らに限定されないが、n−BuLi、MgCl、iPrMgCl、tBuMgCl、P
hMgClまたはこれらの組合せが挙げられる。
【0064】
「シラン」は、式SiR(式中、各R基は、アルキル、アルケニル、シクロアルキル
、フェニル、または他のケイ素を含有する基であることができる)を有する、ケイ素を含
有する基を指す。シランが別の化合物に連結している場合、シランは、「シリル」と呼ば
れ、式−SiRを有する。
【0065】
「ハロシラン」は、ケイ素原子に連結している少なくとも1つのハロゲン基を有するシ
ランを指す。代表的なハロシランは、式ハロSiR(式中、各R基は、アルキル、アル
ケニル、シクロアルキル、フェニル、または他のケイ素を含有する基であることができる
)を有する。特定のハロシランとして、Cl−Si(CH、およびCl−Si(C
CHCHSi(CH−Clが挙げられる。
【0066】
「非求核性塩基」は、電子供与体、ルイス塩基、例えば、トリエチルアミン、ジイソプ
ロピルエチルアミン、N,N−ジエチルアニリン、ピリジン、2,6−ルチジン、2,4
,6−コリジン、4−ジメチルアミノピリジン、およびキヌクリジンを含む窒素塩基など
を指す。
【0067】
「脱離基」は、不均一結合の切断の間、結合電子対を維持する基を指す。例えば、脱離
基は、求核置換反応中に容易に置き換えられる。適切な脱離基として、これらに限定され
ないが、塩化物、臭化物、メシレート、トシレート、トリフレート、4−ニトロベンゼン
スルホネート、4−クロロベンゼンスルホネート、4−ニトロフェノキシ、ペンタフルオ
ロフェノキシなどが挙げられる。当業者であれば、本発明に有用な他の脱離基を認識して
いる。
【0068】
「脱保護剤」は、保護基を除去することが可能な任意の剤を指す。脱保護剤は、使用す
る保護基のタイプに依存することになる。代表的な脱保護剤は当技術分野で公知であり、
Protective Groups in Organic Chemistry、P
eter G. M. WutsおよびTheodora W. Greene、第4版
、2006年に見出すことができる。
II.本発明の化合物
【0069】
本発明のある特定の実施形態がここで詳細に言及され、その例は、付随する明細書、構
造および式において例示されている。本発明は、列挙された実施形態と併せて説明され、
これらは、本発明をこれらの実施形態に限定させることを意図しているわけではないこと
が理解されよう。それどころか、本発明は、本発明の範囲内に含まれ得るすべての代替形
態、修正、および同等物を網羅することを意図する。
【0070】
フィロウイルス科感染症の処置を必要とするヒトにおいてフィロウイルス科感染症を処
置するための方法であって、治療有効量の式Iの化合物:
【化17】


(式中、
各Rは、Hまたはハロゲンであり、
各R、R、RまたはRは、独立して、H、OR、N(R、N、CN、
NO、S(O)、ハロゲン、(C〜C)アルキル、(C〜C)カルボシ
クリルアルキル、(C〜C)置換アルキル、(C〜C)アルケニル、(C〜C
)置換アルケニル、(C〜C)アルキニルまたは(C〜C)置換アルキニルで
あり、
各Rは、独立して、H、(C〜C)アルキル、(C〜C)アルケニル、(C
〜C)アルキニル、アリール(C〜C)アルキル、(C〜C)カルボシクリル
アルキル、−C(=O)R、−C(=O)OR、−C(=O)NR、−C(=O)SR
、−S(O)R、−S(O)R、−S(O)(OR)、−S(O)(OR)、または
−SONRであり
各Rは、独立して、H、(C〜C)アルキル、(C〜C)置換アルキル、(C
〜C)アルケニル、(C〜C)置換アルケニル、(C〜C)アルキニル、(C
〜C)置換アルキニル、C〜C20アリール、C〜C20置換アリール、C
20ヘテロシクリル、C〜C20置換ヘテロシクリル、アリールアルキルもしくは置
換アリールアルキルであるか、
または隣接する炭素原子上のいずれか2つのR、R、RまたはRは、一緒になっ
た場合、−O(CO)O−であるか、またはこれらが結合している環炭素原子と一緒にな
った場合、二重結合を形成し、
は、OR、N(R、N、CN、NO、S(O)、−C(=O)R
11、−C(=O)OR11、−C(=O)NR1112、−C(=O)SR11、−
S(O)R11、−S(O)11、−S(O)(OR11)、−S(O)(OR
)、−SONR1112、ハロゲン、(C〜C)アルキル、(C〜C)カ
ルボシクリルアルキル、(C〜C)置換アルキル、(C〜C)アルケニル、(C
〜C)置換アルケニル、(C〜C)アルキニル、(C〜C)置換アルキニル
、またはアリール(C〜C)アルキルであり、
各R11もしくはR12は、独立して、H、(C〜C)アルキル、(C〜C)ア
ルケニル、(C〜C)アルキニル、(C〜C)カルボシクリルアルキル、任意選
択で置換されているアリール、任意選択で置換されているヘテロアリール、−C(=O)
(C〜C)アルキル、−S(O)(C〜C)アルキルもしくはアリール(C
〜C)アルキルであるか、またはR11およびR12は、これら両方が結合している窒
素と一緒になって、3〜7員の複素環を形成し、前記複素環のいずれか1個の炭素原子は
、−O−、−S−または−NR−で任意選択で置き換えられていることができ、
各nは、独立して、0、1、または2であり、
は、
a)H、−C(=O)R11、−C(=O)OR11、−C(=O)NR1112、−
C(=O)SR11、−S(O)R11、−S(O)11、−S(O)(OR11
、−S(O)(OR11)、または−SONR1112
(式中、各R11またはR12の各(C〜C)アルキル、(C〜C)アルケニル
、(C〜C)アルキニルまたはアリール(C〜C)アルキルは、独立して、1つ
または複数のハロ、ヒドロキシ、CN、N、N(RまたはORで任意選択で置
換されており、前記各(C〜C)アルキルの非末端炭素原子の1個または複数は、−
O−、−S−または−NR−で任意選択で置き換えられていてもよい)および
b)
【化18】

c)
【化19】


から選択される基
(式中、
は、フェニル、1−ナフチル、2−ナフチル、
【化20】


から選択され、
は、HまたはCHであり、
e1およびRe2は、それぞれ独立して、H、C〜Cアルキルまたはベンジルであ
り、
は、H、C〜Cアルキル、ベンジル、C〜Cシクロアルキル、および−CH
−C〜Cシクロアルキルから選択され、
は、C〜Cアルキル、−O−C〜Cアルキル、ベンジル、−O−ベンジル、
−CH−C〜Cシクロアルキル、−O−CH−C〜Cシクロアルキル、およ
びCFから選択され、
n’は、1、2、3、および4から選択される)、ならびに
d)式:
【化21】


の基
(式中、
Qは、O、S、NR、N(O)(R)、N(OR)、N(O)(OR)、またはN−
NRであり、
およびZは、一緒になった場合、−Q(C(R−であり、
各Qは、独立してO、S、またはNRであり、
各Rは、独立して、H、F、Cl、Br、I、OH、R、−C(=Q)R、−C(=
)OR、−C(=Q)N(R)、−N(R)、−N(R)、−SR、−S
(O)R、−S(O)R、−S(O)(OR)、−S(O)(OR)、−OC(=Q
)R、−OC(=Q)OR、−OC(=Q)(N(R))、−SC(=Q)R
、−SC(=Q)OR、−SC(=Q)(N(R))、−N(R)C(=Q)R
、−N(R)C(=Q)OR、−N(R)C(=Q)N(R)、−SONR
−CN、−N、−NO、−OR、またはZであるか、または一緒になった場合、同
じ炭素原子上の2つのRは、3〜7個の炭素原子の炭素環を形成し、
各Qは、独立して、O、S、NR、N(O)(R)、N(OR)、N(O)(OR
)、もしくはN−NRであるか、または
およびZは、それぞれ独立して、式Iaの基:
【化22】


であり、
各Qは、独立して、結合、O、CR、NR、N(O)(R)、N(OR)、N(
O)(OR)、N−NR、S、S−S、S(O)、またはS(O)であり、
M2は、0、1または2であり、
各Rは、独立して、Rまたは式:
【化23】


であり、
各M1a、M1c、およびM1dは、独立して、0または1であり、
M12cは、0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11または12であり、
は、ZまたはZであり、
は、R、−C(Q)R、−C(Q)Z、−SO、または−SO
であり、
は、炭素環または複素環であり、Zは、独立して、0〜3つのR基で置換されて
いる)
からなる群から選択され、
各Rは、ハロゲン、NR1112、N(R11)OR11、NR11NR1112
、N、NO、NO、CHO、CN、−CH(=NR11)、−CH=NNHR11
−CH=N(OR11)、−CH(OR11、−C(=O)NR1112、−C(
=S)NR1112、−C(=O)OR11、(C〜C)アルキル、(C〜C
)アルケニル、(C〜C)アルキニル、(C〜C)カルボシクリルアルキル、任
意選択で置換されているアリール、任意選択で置換されているヘテロアリール、−C(=
O)(C〜C)アルキル、−S(O)(C〜C)アルキル、アリール(C
)アルキル、OR11またはSR11であり、
各RまたはR10は、独立して、H、ハロゲン、NR1112、N(R11)OR
、NR11NR1112、N、NO、NO、CHO、CN、−CH(=NR11
)、−CH=NHNR11、−CH=N(OR11)、−CH(OR11、−C(=
O)NR1112、−C(=S)NR1112、−C(=O)OR11、R11、O
11またはSR11であり、
各R、R、R、またはRの各(C〜C)アルキル、(C〜C)アルケニ
ル、(C〜C)アルキニルまたはアリール(C〜C)アルキルは、独立して、1
つまたは複数のハロ、ヒドロキシ、CN、N、N(RまたはORで任意選択で
置換されており、前記各(C〜C)アルキルの非末端炭素原子の1個または複数は、
−O−、−S−または−NR−で任意選択で置き換えられていてもよい)
またはその薬学的に許容される塩、水和物もしくはエステルを投与することを含む方法が
提供される。
【0071】
別の実施形態では、式IVの化合物:
【化24】


(式中、Rは、式Iに対して上で定義された通りである)
またはその薬学的に許容される塩、水和物もしくはエステルが提供される。
【0072】
フィロウイルス科感染症の処置を必要とするヒトにおいてフィロウイルス科感染症を処
置するための方法であって、治療有効量の式IVの化合物:
【化25】


(式中、
は、
a)H、−C(=O)R11、−C(=O)OR11、−C(=O)NR1112、−
C(=O)SR11、−S(O)R11、−S(O)11、−S(O)(OR11
、−S(O)(OR11)、または−SONR1112
(式中、
各R11もしくはR12は、独立して、H、(C〜C)アルキル、(C〜C)ア
ルケニル、(C〜C)アルキニル、(C〜C)カルボシクリルアルキル、任意選
択で置換されているアリール、任意選択で置換されているヘテロアリール、−C(=O)
(C〜C)アルキル、−S(O)(C〜C)アルキルもしくはアリール(C
〜C)アルキルであるか、またはR11およびR12は、これらの両方が結合している
窒素と一緒になって、3〜7員の複素環を形成し、前記複素環のいずれか1個の炭素原子
は、−O−、−S−または−NR−で任意選択で置き換えられていることができ、
各Rは、独立して、H、(C〜C)アルキル、(C〜C)アルケニル、(C
〜C)アルキニル、アリール(C〜C)アルキル、(C〜C)カルボシクリル
アルキル、−C(=O)R、−C(=O)OR、−C(=O)NR、−C(=O)SR
、−S(O)R、−S(O)R、−S(O)(OR)、−S(O)(OR)、または
−SONRであり、
各Rは、独立して、H、(C〜C)アルキル、(C〜C)置換アルキル、(C
〜C)アルケニル、(C〜C)置換アルケニル、(C〜C)アルキニル、(C
〜C)置換アルキニル、C〜C20アリール、C〜C20置換アリール、C
20ヘテロシクリル、C〜C20置換ヘテロシクリル、アリールアルキルまたは置換
アリールアルキルであり、
各R11またはR12の各(C〜C)アルキル、(C〜C)アルケニル、(C
〜C)アルキニルまたはアリール(C〜C)アルキルは、独立して、1個または複
数のハロ、ヒドロキシ、CN、N、N(RまたはORで任意選択で置換されて
おり、前記各(C〜C)アルキルの非末端炭素原子の1個または複数は、−O−、−
S−または−NR−で任意選択で置き換えられていてもよい)、および
b)
【化26】


c)
【化27】


から選択される基
(式中、
は、フェニル、1−ナフチル、2−ナフチル、
【化28】


から選択され、
は、HまたはCHであり、
は、HまたはC〜Cアルキルであり、
は、H、C〜Cアルキル、ベンジル、C〜Cシクロアルキル、および−CH
−C〜Cシクロアルキルから選択され、
は、C〜Cアルキル、−O−C〜Cアルキル、ベンジル、−O−ベンジル、
−CH−C〜Cシクロアルキル、−O−CH−C〜Cシクロアルキル、およ
びCFから選択され、
n’は、1、2、3、および4から選択される)ならびに
d)式:
【化29】


の基
(式中、
Qは、O、S、NR、N(O)(R)、N(OR)、N(O)(OR)、またはN−
NRであり、
およびZは、一緒になった場合、−Q(C(R−であり、
各Qは、独立してO、S、またはNRであり、
各Rは、独立してH、F、Cl、Br、I、OH、R、−C(=Q)R、−C(=Q
)OR、−C(=Q)N(R)、−N(R)、−N(R)、−SR、−S(
O)R、−S(O)R、−S(O)(OR)、−S(O)(OR)、−OC(=Q
)R、−OC(=Q)OR、−OC(=Q)(N(R))、−SC(=Q)R、
−SC(=Q)OR、−SC(=Q)(N(R))、−N(R)C(=Q)R、
−N(R)C(=Q)OR、−N(R)C(=Q)N(R)、−SONR、−
CN、−N、−NO、−OR、またはZであるか、または一緒になった場合、同じ
炭素原子上の2つのRは、3〜7個の炭素原子の炭素環を形成し、
各Qは、独立して、O、S、NR、N(O)(R)、N(OR)、N(O)(OR
)、もしくはN−NRであるか、または
およびZは、それぞれ、独立して、式Iaの基:
【化30】


であり、
各Qは、独立して、結合、O、CR、NR、N(O)(R)、N(OR)、N(
O)(OR)、N−NR、S、S−S、S(O)、またはS(O)であり、
M2は、0、1または2であり、
各Rは、独立して、Rまたは式:
【化31】


であり、
各M1a、M1c、およびM1dは、独立して、0または1であり、
M12cは、0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11または12であり、
は、ZまたはZであり、
は、R、−C(Q)R、−C(Q)Z、−SO、または−SO
であり、
は、炭素環または複素環であり、Zは、独立して、0〜3つのR基で置換されて
いる)
の群から選択される)
またはその薬学的に許容される塩もしくはエステルを投与することを含む方法が提供され
る。
【0073】
フィロウイルス科感染症の処置を必要とするヒトにおいてフィロウイルス科感染症を処
置するための方法であって、治療有効量の式IVの化合物:
【化32】


(式中、
は、
a)H、−C(=O)R11、−C(=O)OR11、−C(=O)NR1112、−
C(=O)SR11、−S(O)R11、−S(O)11、−S(O)(OR11
、−S(O)(OR11)、または−SONR1112
b)
【化33】


c)
【化34】


から選択される基
(式中、
は、フェニル、1−ナフチル、2−ナフチル、
【化35】


の群から選択され、
は、HまたはCHの群から選択され、
e1およびRe2は、それぞれ独立して、H、(C〜C)アルキルまたはベンジル
の群から選択され、
は、H、(C〜C)アルキル、ベンジル、(C〜C)シクロアルキル、およ
び−CH−(C〜C)シクロアルキルの群から選択され、
は、(C〜C)アルキル、−O−(C〜C)アルキル、ベンジル、−O−ベ
ンジル、−CH−(C〜C)シクロアルキル、−O−CH−(C〜C)シク
ロアルキル、およびCFの群から選択され、
n’は、1、2、3、および4の群から選択される整数である);ならびに
d)式:
【化36】


の基
(式中、
Qは、O、S、NR、N(O)(R)、N(OR)、N(O)(OR)、またはN−
NRの群から選択され、
およびZは、一緒になった場合、−Q(C(R−であり、
各Qは、独立して、O、S、またはNRの群から選択され、
各Rは、独立して、H、F、Cl、Br、I、OH、R、−C(=Q)R、−C(=
)OR、−C(=Q)N(R)、−N(R)、−N(R)、−SR、−S
(O)R、−S(O)R、−S(O)(OR)、−S(O)(OR)、−OC(=Q
)R、−OC(=Q)OR、−OC(=Q)(N(R))、−SC(=Q)R
、−SC(=Q)OR、−SC(=Q)(N(R))、−N(R)C(=Q)R
、−N(R)C(=Q)OR、−N(R)C(=Q)N(R)、−SONR
−CN、−N、−NO、−OR、またはZの群から選択されるか、または一緒にな
った場合、同じ炭素原子上の2つのRは、3〜7個の炭素原子の炭素環を形成し、
各Qは、独立して、O、S、NR、N(O)(R)、N(OR)、N(O)(OR
)、もしくはN−NRであるか、または
およびZは、それぞれ独立して、式Iaの基:
【化37】


であり、
各Qは、独立して、結合、O、CR、NR、N(O)(R)、N(OR)、N(
O)(OR)、N−NR、S、S−S、S(O)、またはS(O)の群から選択され

M2は、0、1または2の群から選択される整数であり、
各Rは、独立して、Rまたは式:
【化38】


であり、
各M1a、M1c、およびM1dは、0または1の群から独立して選択される整数であり

M12cは、0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11または12の群から
選択される整数であり、
は、ZまたはZであり、
は、R、−C(Q)R、−C(Q)Z、−SO、または−SO
であり、
は、炭素環または複素環であり、Zは、独立して、0〜3つのR基で置換されて
いる)
からなる群から選択され、
各R11もしくはR12は、独立して、H、(C〜C)アルキル、(C〜C)ア
ルケニル、(C〜C)アルキニル、(C〜C)カルボシクリルアルキル、(C
〜C20)任意選択で置換されているアリール、任意選択で置換されているヘテロアリー
ル、−C(=O)(C〜C)アルキル、−S(O)(C〜C)アルキルもしく
は(C〜C20)アリール(C〜C)アルキルであるか、またはR11およびR
は、これら両方が結合している窒素と一緒になって、3〜7員の複素環を形成し、前記
複素環の任意の1個の炭素原子は、−O−、−S−または−NR−で任意選択で置き換
えられていることができ、
各Rは、独立して、H、(C〜C)アルキル、(C〜C)アルケニル、(C
〜C)アルキニル、(C〜C20)アリール(C〜C)アルキル、(C〜C
)カルボシクリルアルキル、−C(=O)R、−C(=O)OR、−C(=O)NR
−C(=O)SR、−S(O)R、−S(O)R、−S(O)(OR)、−S(O)
(OR)、または−SONRの群から選択され、
各Rは、独立して、H、(C〜C)アルキル、(C〜C)置換アルキル、(C
〜C)アルケニル、(C〜C)置換アルケニル、(C〜C)アルキニル、(C
〜C)置換アルキニル、(C〜C20)アリール、(C〜C20)置換アリール
、(C〜C20)ヘテロシクリル、(C〜C20)置換ヘテロシクリル、(C〜C
20)アリール(C〜C)アルキルまたは置換(C〜C20)アリール(C〜C
)アルキルの群から選択され、
各nは、0、1、または2の群から独立して選択される整数であり、
各R11またはR12の各(C〜C)アルキル、(C〜C)アルケニル、(C
〜C)アルキニルまたは(C〜C20)アリール(C〜C)アルキルは、独立し
て、ハロ、ヒドロキシ、CN、N、N(RまたはORの群から選択される1つ
または複数の置換基で任意選択で置換されており、前記各(C〜C)アルキルの非末
端炭素原子の1個または複数は、−O−、−S−または−NR−で任意選択で置き換え
られていてもよい)
またはその薬学的に許容される塩、水和物もしくはエステルを投与することを含む、方法
が提供される。
【0074】
式IVの化合物の別の実施形態では、RはHであることができる。式IVの化合物の
別の実施形態では、Rは、式IVに対して定義されたようなa)、b)、またはc)の
群から選択される。
【0075】
一部の実施形態では、Re1およびRe2は、それぞれ独立して、H、C〜Cアル
キルまたはベンジルの群から選択することができる。一部の実施形態では、Re1は、H
、C〜Cアルキルまたはベンジルであることができ、Re2は、HまたはC〜C
アルキルであることができる。一部の実施形態では、Re1およびRe2は、それぞれ独
立して、HまたはC〜Cアルキルであることができる。一部の実施形態では、Re1
およびRe2は、それぞれ独立して、Hまたはベンジルであることができる。一部の実施
形態では、Re1は、H、メチルまたはベンジルであることができ、Re2は、Hまたは
メチルであることができる。一部の実施形態では、Re1は、Hまたはメチルであること
ができ、Re2は、Hまたはメチルであることができる。一部の実施形態では、Re1
メチルであることができ、Re2は、Hまたはメチルであることができる。一部の実施形
態では、Re1は、Hまたはベンジルであることができ、Re2は、Hまたはメチルであ
ることができる。
【0076】
式IVの化合物の別の実施形態では、Rは、
【化39】


(式中、Rは、H、C〜Cアルキル、ベンジル、C〜Cシクロアルキル、およ
び−CH−C〜Cシクロアルキルの群から選択される)
である。式IVの化合物の別の実施形態では、RはC〜Cアルキルである。
【0077】
式IVの化合物の別の実施形態では、Rは、
【化40】


(式中、
は、H、C〜Cアルキル、ベンジル、C〜Cシクロアルキル、および−CH
−C〜Cシクロアルキルの群から選択され、
は、C〜Cアルキル、−O−C〜Cアルキル、ベンジル、−O−ベンジル、
−CH−C〜Cシクロアルキル、−O−CH−C〜Cシクロアルキル、およ
びCFの群から選択される)
である。
【0078】
式IVの化合物の別の実施形態では、Rは、
【化41】


(式中、Rは、H、C〜Cアルキル、ベンジル、C〜Cシクロアルキル、およ
び−CH−C〜Cシクロアルキルの群から選択される)
である。式IVの化合物の別の実施形態では、RはC〜Cアルキルである。式IV
の化合物の別の実施形態では、RはC〜Cアルキルである。
【0079】
式IVの化合物の別の実施形態では、Rは、
【化42】


(式中、Rは、C〜Cアルキル、−O−C〜Cアルキル、ベンジル、−O−ベ
ンジル、−CH−C〜Cシクロアルキル、−O−CH−C〜Cシクロアルキ
ル、およびCFの群から選択される)
である。式IVの化合物の別の実施形態では、RはC〜Cアルキルである。式IV
の化合物の別の実施形態では、RはC〜Cアルキルである。
【0080】
式IVの化合物の別の実施形態では、Rは、
【化43】


の群から選択される。
【0081】
式IVの化合物の別の実施形態では、Rは、
【化44】


である。
【0082】
別の実施形態では、
【化45】


である式IVの化合物またはその薬学的に許容される塩もしくはエステルが提供される。
【0083】
別の実施形態では、
【化46】


である式IVの化合物またはその薬学的に許容される塩もしくはエステルが提供される。
【0084】
別の実施形態では、
【化47】


である式IVの化合物またはその薬学的に許容される塩、水和物、もしくはエステルが提
供される。
【0085】
別の実施形態では、
【化48】

【化49】


である式IVの化合物またはその薬学的に許容される塩もしくはエステルが提供される。
【0086】
別の実施形態では、本発明は、
【化50】

【化51】


である化合物またはその薬学的に許容される塩もしくはエステルを提供する。
【0087】
別の実施形態では、本発明は、
【化52】

【化53】

【化54】


である化合物またはその薬学的に許容される塩、水和物、もしくはエステルを提供する。
【0088】
別の実施形態では、本発明は、
【化55】


である化合物またはその薬学的に許容される塩もしくはエステルを提供する。
【0089】
別の実施形態では、本発明は、
【化56】


である化合物またはその薬学的に許容される塩もしくはエステルを提供する。
【0090】
別の実施形態では、本発明は、
【化57】


である化合物またはその薬学的に許容される塩もしくはエステルを提供する。
【0091】
本発明の開示の化合物の名称は、化学化合物を命名するためのACD/命名ソフトウエ
ア(Advanced Chemistry Development,Inc.、To
ronto、Canada)を使用して提供される。他の化合物または基は、一般的名称
または系統的もしくは非系統的名称で命名されてもよい。本開示の化合物の命名および付
番は、(2S)−2−エチルブチル2−((((2R,3S,4R,5R)−5−(4−
アミノピロロ[1,2−f][1,2,4]トリアジン−7−イル)−5−シアノ−3,
4−ジヒドロキシテトラヒドロフラン−2−イル)メトキシ)(フェノキシ)ホスホリル
アミノ)プロパノエートと命名されている、式IVの代表的化合物:
【化58】


で例示される。他の本発明の化合物は、(S)−2−エチルブチル2−(((S)−((
(2R,3S,4R,5R)−5−(4−アミノピロロ[2,1−f][1,2,4]ト
リアジン−7−イル)−5−シアノ−3,4−ジヒドロキシテトラヒドロフラン−2−イ
ル)メトキシ)(フェノキシ)ホスホリル)アミノ)プロパノエートと命名されている:
【化59】


および(S)−2−エチルブチル2−(((R)−(((2R,3S,4R,5R)−5
−(4−アミノピロロ[2,1−f][1,2,4]トリアジン−7−イル)−5−シア
ノ−3,4−ジヒドロキシテトラヒドロフラン−2−イル)メトキシ)(フェノキシ)ホ
スホリル)アミノ)プロパノエートと命名されている
【化60】


を含む。
(S)−2−エチルブチル2−(((R)−(((2R,3S,4R,5R)−5−(
4−アミノピロロ[2,1−f][1,2,4]トリアジン−7−イル)−5−シアノ−
3,4−ジヒドロキシテトラヒドロフラン−2−イル)メトキシ)(フェノキシ)ホスホ
リル)アミノ)プロパノエートはまた、
【化61】


と例示することもできる。
【0092】
本明細書に記載されている本発明の化合物についてのあらゆる言及は、生理学的に許容
されるその塩についての言及も含む。本発明の化合物の生理学的に許容される塩の例とし
て、アルカリ金属またはアルカリ土類(例えば、Na、Li、K,Ca+2および
Mg+2)、アンモニウムおよびNR(式中、Rは本明細書で定義されている)など
の適当な塩基由来の塩が挙げられる。窒素原子またはアミノ基の生理学的に許容される塩
として、(a)無機酸、例えば、塩酸、臭化水素酸、硫酸、スルファミン酸、リン酸、硝
酸などと形成された酸付加塩;(b)有機酸、例えば、酢酸、シュウ酸、酒石酸、コハク
酸、マレイン酸、フマル酸、グルコン酸、クエン酸、リンゴ酸、アスコルビン酸、安息香
酸、イセチオン酸、ラクトビオン酸、タンニン酸、パルミチン酸、アルギン酸、ポリグル
タミン酸、ナフタレンスルホン酸、メタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、ベンゼ
ンスルホン酸、ナフタレンジスルホン酸、ポリガラクツロン酸、マロン酸、スルホサリチ
ル酸、グリコール酸、2−ヒドロキシ−3−ナフトエート、パモエート、サリチル酸、ス
テアリン酸、フタル酸、マンデル酸、乳酸、エタンスルホン酸、リシン、アルギニン、グ
ルタミン酸、グリシン、セリン、トレオニン、アラニン、イソロイシン、ロイシンなどと
形成された塩;および(c)元素のアニオン、例えば、塩素、臭素、およびヨウ素から形
成される塩が挙げられる。ヒドロキシ基の化合物の生理学的に許容される塩として、適切
なカチオン、例えば、NaおよびNRなどと組み合わせた前記化合物のアニオンが
挙げられる。
【0093】
式IVの化合物およびその薬学的に許容される塩は、異なる多形または擬似多形体とし
て存在し得る。本明細書で使用される場合、結晶多形とは、異なる結晶構造で存在する結
晶性化合物の能力を意味する。結晶多形は、結晶充填(充填多形)における差異または同
じ分子の異なる配座異性体(立体配座多形)間での充填における差異から生じ得る。本明
細書で使用される場合、結晶性の擬似多形とは、異なる結晶構造で存在する化合物の水和
物または溶媒和物の能力を意味する。本発明の擬似多形体は、結晶充填(充填擬似多形)
における差異または同じ分子の異なる配座異性体(立体配座擬似多形)間での充填におけ
る差異により存在し得る。本発明は、式IVの化合物およびこれらの薬学的に許容される
塩のすべての多形および擬似多形体を含む。
【0094】
式IVの化合物およびその薬学的に許容される塩はまた、アモルファス固体として存在
し得る。本明細書で使用される場合、アモルファス固体は、固体内の原子の位置の長距離
秩序が存在しない固体である。結晶の大きさが2ナノメートルまたはそれ未満である場合
もこの定義が適用される。溶媒を含めた添加物を使用して、本発明の非晶質形態を作り出
すことができる。本発明は、式IVの化合物およびこれらの薬学的に許容される塩のすべ
ての非晶質形態を含む。
【0095】
治療的使用のため、本発明の化合物の活性成分の塩は、生理学的に許容される、すなわ
ちこれらは、生理学的に許容される酸または塩基由来の塩であることになる。しかし、生
理学的に許容されない酸または塩基の塩もまた、例えば、生理学的に許容される化合物の
調製または精製においての使用を見出すことができる。生理学的に許容される酸または塩
基に由来するかしないかに関わらず、すべての塩は本発明の範囲内である。
【0096】
最終的に、本明細書の組成物は、それらの双性イオン形態だけでなく非イオン化形態で
の本発明の化合物、および水和物の場合のような化学量論的量の水との組合せを含むこと
が理解されている。
【0097】
式IVおよびその薬学的に許容される塩の範囲内の化合物のすべてのエナンチオマー、
ジアステレオマー、およびラセミ混合物、互変異性体、多形、擬似多形体が本発明により
包含されることに注目されたい。このようなエナンチオマーおよびジアステレオマーのす
べての混合物は本発明の範囲内にある。
【0098】
式IVで例示される本発明の化合物は、キラル中心、例えば、キラル炭素原子またはキ
ラルリン原子を有することができる。したがって、本発明の化合物は、エナンチオマー、
ジアステレオマー、およびアトロプ異性体を含むすべての立体異性体のラセミ混合物を含
む。加えて、本発明の化合物は、任意のまたはすべての非対称的キラル原子において、富
化されたまたは分離された光学異性体を含む。言い換えると、描写から明らかなキラル中
心は、キラル異性体またはラセミ混合物として提供される。ラセミ混合物とジアステレオ
マー混合物の両方、ならびにこれらのエナンチオマーのまたはジアステレオマーのパート
ナーを実質的に含まない、単離したまたは合成した個々の光学異性体はすべて本発明の範
囲内にある。ラセミ混合物は、周知の技術、例えば、光学活性な付加物(例えば、酸また
は塩基)を用いて形成されたジアステレオマー塩の分離これに続く、光学活性な物質へと
戻す変換を介してそれらの個々の、実質的に光学的に純粋な異性体へと分離される。ほと
んどの場合、所望の光学異性体は、所望の出発物質の適当な立体異性体から出発して、立
体特異的反応の手段により合成される。
【0099】
本明細書で使用される立体化学的定義および慣例は、S. P. Parker編、M
cGraw−Hill Dictionary of Chemical Terms(
1984年)McGraw−Hill Book Company、New Yorkお
よびEliel, E.およびWilen, S.、Stereochemistry
of Organic Compounds(1994年)John Wiley &
Sons, Inc.、New Yorkに一般的に従う。多くの有機化合物は光学活性
な形態で存在する、すなわち、これらは平面偏光の平面を回転する能力を有する。光学活
性化合物の記載において、接頭文字DとLまたはRとSを使用して、そのキラル中心(複
数可)の周囲の分子の絶対配置を表す。接頭文字dとl、DとL、または(+)と(−)
を利用して、化合物による平面偏光の回転の記号を明示し、S、(−)、またはlは化合
物が左旋性であることを意味し、R、(+)、またはdの接頭語を有する化合物は右旋性
であることを意味する。所与の化学構造に対して、これらの立体異性体は、これらが互い
に鏡像であることを除いて同一である。特定の立体異性体はまたエナンチオマーと呼ぶこ
ともでき、このような異性体の混合物は、多くの場合エナンチオマー混合物と呼ばれる。
エナンチオマーの50:50混合物は、ラセミ混合物またはラセミ体と呼ばれ、これらは
、化学反応またはプロセスにおいて立体選択性または立体特異性がない場合に生じ得る。
「ラセミ混合物」および「ラセミ体」という用語は、光学的活性を含まない、2つのエナ
ンチオマーの種の等モル混合物を指す。
【0100】
本発明の化合物はまた、ある特定の場合において、互変異性の異性体として存在するこ
とができる。1つの非局在化した共鳴構造しか図示されていないことがあるが、すべての
このような形態が本発明の範囲内に想定される。例えば、エン−アミン互変異性体は、プ
リン、ピリミジン、イミダゾール、グアニジン、アミジン、およびテトラゾール系に対し
て存在することができ、これらのすべての可能な互変異性形態は本発明の範囲内にある。
【0101】
式IV化合物を含めた、本明細書で与えられた任意の式または構造はまた、化合物の非
標識形態ならびに同位体標識形態を表すことを意図する。同位体標識した化合物は、1個
または複数の原子が選択された原子量または質量数を有する原子で置き換えられているこ
とを除いて、本明細書で与えられた式で示されている構造を有する。本開示の化合物に組
み込むことができる同位体の例として、水素、炭素、窒素、酸素、リン、フッ素および塩
素の同位体、例えば、これらに限定されないが、H(重水素、D)、H(トリチウム
)、11C、13C、14C、15N、18F、31P、32P、35S、36Clおよ
125Iが挙げられる。本発明の開示の様々な同位体標識した化合物は、例えば、放射
性同位元素、例えば、H、13Cおよび14Cなどが組み込まれたものである。このよ
うな同位体標識した化合物は、代謝性実験、反応物動力学的実験、検出または画像化技術
、例えば、ポジトロン放出断層撮影(PET)または単一光子放射断層撮影(SPECT
)(薬物または基質組織分布アッセイを含む)などにおいて、または患者の放射線処置に
おいて有用となり得る。
【0102】
本開示は炭素原子に結合している1〜n個の水素が重水素で置き換えられており、nが
分子中の水素の数である、式IVの化合物も含んだ。このような化合物は、代謝に対して
増加した耐性を示し、したがって、哺乳動物、特にヒトに投与された場合、式IVの任意
の化合物の半減期を増加させるのに有用である。例えば、Foster、「Deuter
ium Isotope Effects in Studies of Drug M
etabolism」、Trends Pharmacol. Sci.、5巻(12号
):524〜527頁(1984年)を参照されたい。このような化合物は、当技術分野
で周知の手段により、例えば、1個または複数の水素が重水素で置き換えられている出発
物質を利用することにより合成される。
【0103】
重水素標識したまたは置換されている本開示の治療用化合物は、分布、代謝および排出
(ADME)に関して、改善されたDMPK(薬物代謝および薬物動態)特性を有するこ
とができる。より重い同位体、例えば、重水素などで置換することにより、より大きな代
謝安定性から生じるある特定の治療的利点、例えばin vivoでの半減期の増加、必
要用量の減少および/または治療指数の改善をもたらすことができる。18F標識化合物
は、PETまたはSPECT実験に対して有用となり得る。本開示の同位体標識した化合
物およびそのプロドラッグは、非同位体的標識した試薬の代わりに容易に入手できる同位
体標識した試薬を使用することによって、以下に記載されているスキームまたは実施例お
よび調製において開示された手順を実行することによって一般的に調製することができる
。この文脈において重水素は、式IVの化合物の置換基とみなされることが理解されてい
る。
【0104】
このようなより重い同位体、具体的には重水素の濃度は、同位体の富化係数により定義
することができる。本開示の化合物において、特定の同位体として具体的に示されない任
意の原子は、その原子の任意の安定した同位体を表すことが意図されている。特に述べら
れていない限り、位置が具体的に「H」または「水素」と命名されていない場合、その位
置は、その天然存在度での同位体組成で水素を有すると考えられる。したがって、本開示
の化合物において、重水素(D)と具体的に命名された任意の原子は重水素を表すことが
意図されている。
【0105】
本明細書に記載の化合物が、同じ命名された基、例えば、「R」または「R」の1つ
より多くで置換されている場合はいつでも、この基は同じでも異なっていてもよく、すな
わち、各基は独立して選択されることを理解されたい。波線、
【数1】


は、隣接する下位構造、基、部分、または原子への共有結合の部位を示す。
【0106】
式IVの化合物を含む選択された置換基は、繰り返しの程度まで存在する。この文脈に
おいて、「繰り返しの置換基」とは、置換基がそれ自体の他の例を繰り返すことを意味す
る。このような置換基の繰り返しの性質により、理論的には、多くの化合物が任意の所与
の実施形態において存在し得る。例えば、RはR置換基を含む。RはRであること
ができる。RはZであることができる。ZはZであることができ、Zは、Rであ
ることができるか、またはRを含む置換基を含むことができる。あるいは、Zは、R
を含む置換基を含むことができるZであることができる。医薬品化学の当業者は、こ
のような置換基の総数は、意図する化合物の所望の特性により当然限定されることを理解
している。このような特性は、例として、ただしこれらに限定することなく、物理的特性
、例えば、分子量、溶解性またはlogPなど、適用特性、例えば、意図するターゲット
に対する活性など、および現実的な特性、例えば、合成の容易さなどが挙げられる。
【0107】
特定の実施形態では、例として、ただしこれらに限定することなく、ZおよびR
、繰り返しの置換基である。通常、各繰り返しの置換基は、所与の実施形態において、独
立して20、19、18、17、16、15、14、13、12、11、10、9、8、
7、6、5、4、3、2、1、または0回発生する可能性がある。さらに典型的には、所
与の実施形態では、各繰り返しの置換基は、独立して12回またはそれ未満発生する可能
性がある。さらに典型的には、所与の実施形態では、各繰り返しの置換基は独立して、3
回またはそれ未満発生する可能性がある。所与の実施形態では、例えば、Zは0〜8回
発生し、Rは0〜6回発生すると予想される。さらに典型的には、所与の実施形態では
、Zは0〜6回発生し、Rは0〜4回発生すると予想される。
【0108】
繰り返しの置換基は本発明の意図された態様である。医薬品化学分野の当業者は、この
ような置換基の融通性を理解している。総数は、繰り返しの置換基が本発明の一実施形態
に存在する程度まで、上に記載されたように決定されることになる。
【0109】
本発明の化合物は、当業者に公知の方法により調製することができる。例えば、本発明
の化合物は、米国特許第8,008,264号および米国出願公報US2012/002
7752に記載されている方法に従い調製することができる。
A.本発明の化合物の代謝物
【0110】
本明細書に記載されている化合物のin vivoでの代謝産物は、このような産物が
従来の技術よりも新規であり、かつ自明ではない程度で、本発明の範囲内に入る。このよ
うな産物は、例えば、主に酵素的プロセスに起因する、投与された化合物の酸化、還元、
加水分解、アミド化、エステル化などから生成することができる。したがって、本発明は
、本発明の化合物を、哺乳動物に、その代謝産物を生成するのに十分な期間接触させるこ
とを含むプロセスにより生成される、新規かつ自明でない化合物を含む。このような産物
は典型的に、本発明の放射標識された(例えば、14CまたはH)化合物を調製し、こ
れを検出可能な用量(例えば、約0.5mg/kg超)で、動物(例えば、ラット、マウ
ス、モルモット、サル、またはヒト)に非経口的に投与し、代謝が生じるのに十分な時間
を与え(典型的に約30秒から30時間)、尿、血液または他の生物学的試料からのその
変換産物を単離することによって同定される。これらの産物は、標識されているので容易
に単離される(その他は、代謝物中に残存するエピトープに結合可能な抗体を使用するこ
とによって単離される)。代謝物構造は、従来の形式、例えば、MSまたはNMR分析に
より決定される。一般的に、代謝物の分析は、当業者に周知の従来の薬物代謝実験と同じ
ように行われる。変換産物は、それらがたとえそれら自体の抗フィロウイルス科活性を保
有しないとしても、in vivoで別用に見出されない限り、本発明の化合物の治療的
投薬に対する診断用アッセイにおいて有用である。
【0111】
代用消化管分泌における化合物の安定性を決定するための処方および方法は公知である
。37℃で1時間インキュベートした際に、保護基の約50モルパーセント未満が代用腸
液または胃液中で脱保護される場合、化合物は消化管内で安定していると本明細書で定義
される。単に化合物が消化管まで安定しているからというだけで、それらがin viv
oで加水分解され得ないことを意味するわけではない。本発明のプロドラッグは、典型的
には、消化系で安定しているが、消化管内腔、肝臓もしくは他の代謝器官、または細胞内
全般で親薬物へと実質的に加水分解され得る。
III.医薬製剤
【0112】
本発明の化合物は、通常の慣例に従って選択される従来の担体および賦形剤を用いて製
剤化される。錠剤は、賦形剤、流動促進剤、充填剤、結合剤などを含有する。水性製剤は
、無菌形態で調製され、経口投与以外による送達を目的とする場合、一般的に等張性であ
る。すべての製剤は、賦形剤、例えば、「Handbook of Pharmaceu
tical Excipients」(1986年)に記載されているものなどを任意選
択で含有することになる。賦形剤として、アスコルビン酸および他の抗酸化剤、キレート
剤、例えば、EDTAなど、炭水化物、例えば、デキストランなど、ヒドロキシアルキル
セルロース、ヒドロキシアルキルメチルセルロース、ステアリン酸などが挙げられる。製
剤のpHは、約3〜約11の範囲であるが、通常は約7〜10の範囲である。一部の実施
形態では、製剤のpHは約2〜約5の範囲であるが、通常は約3〜約4の範囲である。一
部の実施形態では、製剤のpHは約2〜約10の範囲であるが、通常は約3.5〜約8.
5の範囲である。
【0113】
活性成分は単独で投与することが可能であるが、これらが医薬製剤として存在すること
が好ましいこともある。本発明の製剤は、獣医学用とヒト用の両方が、上に定義されたよ
うな少なくとも1種の活性成分を、それに対する1種または複数種の許容される担体、お
よび任意選択で他の治療用成分、特に本明細書中で論じたような追加の治療用成分と一緒
に含む。担体(複数可)は、製剤の他の成分と適合性があり、そのレシピエントに対して
生理学的に無害であるという意味で「許容される」ものでなければならない。
【0114】
製剤として、前述の投与経路に対して適切なものが挙げられる。製剤は、単位剤形で好
都合に提供することができ、薬学の技術分野で周知の方法のいずれかにより調製すること
ができる。技術および製剤は一般的にRemington’s Pharmaceuti
cal Sciences(Mack Publishing Co.、Easton、
PA)に見出される。このような方法は、活性成分を、1種または複数種の副成分を構成
する担体と一緒にするステップを含む。一般的には、製剤は、活性成分を液体担体もしく
は微粉砕された固体担体または両方と均一におよび密に一緒にすること、次いで、必要に
応じて、生成物を成形することにより調製される。
【0115】
経口投与に対して適切な本発明の製剤は、それぞれ既定の量の活性成分を含有するカプ
セル剤、カシェ剤もしくは錠剤などの別個の単位として、散剤もしくは粒剤として、水性
もしくは非水性液体中の溶液もしくは懸濁液として、または水中油型液体エマルジョンも
しくは油中水型液体エマルジョンとして提供され得る。活性成分はまた、ボーラス、舐剤
またはペースト剤として投与され得る。
【0116】
錠剤は、任意選択で1種または複数種の副成分と共に圧縮または成形により作製する。
圧縮錠は、任意選択で、結合剤、滑沢剤、不活性希釈剤、防腐剤、界面活性剤または分散
剤と混合した散剤または粒剤などの自由流体の形態で、適切な機器内で活性成分を圧縮す
ることにより調製し得る。成形錠剤は、適切な機器内で、不活性な液体希釈剤で湿潤した
粉末状活性成分の混合物を成形することによって作製され得る。錠剤は、任意選択で、コ
ーティングしたり、または割線をいれたりすることができ、任意選択で、その錠剤からの
活性成分の遅速放出または制御放出が得られるように製剤化され得る。
【0117】
眼または他の外部組織、例えば、口および皮膚の感染に対して、製剤は、例えば、0.
075〜20%w/w(0.1%〜20%の範囲の活性成分(複数可)を、0.1%w/
wの増加量で含む、例えば、0.6%w/w、0.7%w/wなど)、好ましくは0.2
〜15%w/wおよび最も好ましくは0.5〜10%w/wの量の活性成分(複数可)を
含有する局所的軟膏剤またはクリーム剤として塗布されるのが好ましい。軟膏剤に製剤化
する場合、活性成分は、パラフィン系または水混和性の軟膏基剤のいずれかと共に利用す
ることができる。あるいは、活性成分は、水中油型クリーム剤基剤と共にクリーム剤とし
て製剤化することができる。
【0118】
所望する場合、クリーム剤基剤の水相は、例えば、少なくとも30%w/wの多価アル
コール、すなわち、2つまたはそれ超のヒドロキシル基を有するアルコール、例えば、プ
ロピレングリコール、ブタン1,3−ジオール、マンニトール、ソルビトール、グリセロ
ールおよびポリエチレングリコール(PEG400を含む)ならびにこれらの混合物など
を含むことができる。局所的製剤は、望ましくは、皮膚または他の患部を介した活性成分
の吸収または浸透を増強させる化合物を含んでもよい。このような皮膚の経皮吸収促進剤
の例として、ジメチルスルホキシドおよび関係する類似体が挙げられる。
【0119】
本発明のエマルジョンの油相は、公知の方式で公知の成分から構成されてもよい。この
相は、乳化剤(他にエマルジェントとしても公知)のみを含んでいてもよいが、少なくと
も1種の乳化剤と、脂肪、または油、または脂肪と油の両方の混合物を含むことが望まし
い。好ましくは、親水性乳化剤は、安定剤として作用する親油性乳化剤と一緒に含まれる
。油と脂肪の両方を含むこともまた好ましい。全体として、安定剤(複数可)を含むまた
は含まない乳化剤(複数可)は、いわゆる乳化ワックスを作り出し、このワックスは、油
および脂肪と一緒になって、クリーム製剤の油性分散相を形成する、いわゆる乳化軟膏基
剤を作り出す。
【0120】
本発明の製剤における使用に対して適切なエマルジェントおよび乳化安定剤として、T
ween(登録商標)60、Span(登録商標)80、セトステアリルアルコール、ベ
ンジルアルコール、ミリスチルアルコール、モノステアリン酸グリセリルおよびラウリル
硫酸ナトリウムが挙げられる。本発明の製剤における使用に対して適切なさらなるエマル
ジェントおよび乳化安定剤として、Tween(登録商標)80が挙げられる。
【0121】
製剤に対して適切な油または脂肪の選択は、所望の美容特性を達成することに基づく。
クリーム剤は、好ましくは、チューブまたは他の容器からの漏出を回避するのに適切な粘
稠度を有する非グリース状、非染色性および洗浄可能な生成物であるべきである。直鎖ま
たは分枝鎖、一塩基性または二塩基性のアルキルエステル、例えば、ジイソアジペート、
ステアリン酸イソセチル、ココナッツ脂肪酸のプロピレングリコールジエステル、ミリス
チン酸イソプロピル、オレイン酸デシル、パルミチン酸イソプロピル、ステアリン酸ブチ
ル、パルミチン酸2−エチルヘキシルまたはCrodamol CAPとして公知の分枝
鎖エステルのブレンドなどを使用することができ、最後の3つが好ましいエステルである
。これらは、必要とされる特性に応じて単独でまたは組み合わせて使用することができる
。あるいは、高融点脂質、例えば、白色軟質パラフィンおよび/もしくは流動パラフィン
または他の鉱油などが使用される。
【0122】
本発明による医薬製剤は、1種または複数種の薬学的に許容される担体または賦形剤お
よび任意選択で他の治療剤と一緒に本発明による組合せを含む。活性成分を含有する医薬
製剤は、意図する投与方法に対して適切な任意の形態であってよい。経口使用に対して使
用される場合、例えば、錠剤、トローチ剤、ロゼンジ剤、水性または油性懸濁剤、分散性
散剤または粒剤、エマルジョン、硬質または軟質カプセル剤、シロップ剤またはエリキシ
ル剤を調製することができる。経口使用を目的とする組成物は、医薬組成物の製造のため
の、当該分野で公知の任意の方法に従い調製することができ、このような組成物は、口当
たりの良い調製物を提供するために、甘味剤、香味剤、着色剤および保存剤を含む1種ま
たは複数種の作用剤を含有し得る。錠剤の製造に対して適切な無毒性の薬学的に許容され
る賦形剤と一緒に活性成分を含有する錠剤が許容されている。これらの賦形剤は、例えば
、不活性希釈剤(例えば、炭酸カルシウムもしくは炭酸ナトリウム、ラクトース、リン酸
カルシウムもしくはリン酸ナトリウム)、造粒剤および崩壊剤(例えば、トウモロコシデ
ンプン、またはアルギン酸)、結合剤(例えば、デンプン、ゼラチンまたはアカシア)、
および滑沢剤(例えば、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸またはタルク)であっ
てよい。錠剤はコーティングされてなくてもよいし、または消化管での崩壊および吸着を
遅延させる微小被包を含む公知の技術でコーティングされていてもよく、これによって、
長時間にわたり持続する作用をもたらすことができる。例えば、時間遅延物質、例えば、
モノステアリン酸グリセリルまたはジステアリン酸グリセリルなどが、単独でまたはワッ
クスと共に利用されてもよい。
【0123】
経口使用のための製剤はまた、活性成分が、不活性固体希釈剤、例えばリン酸カルシウ
ムもしくはカオリンなどと混合されている硬質ゼラチンカプセルとして提供されてもよい
し、または活性成分が、水もしくは油媒体、例えば、ピーナッツ油、流動パラフィンもし
くはオリーブ油などと混合されている軟質ゼラチンカプセルとして提供されてもよい。
【0124】
本発明の水性懸濁剤は、活性物質を、水性懸濁剤の製造に対して適切な賦形剤と混合し
て含有する。このような賦形剤として、懸濁化剤、例えば、カルボキシメチルセルロース
ナトリウム、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(methylc
elluose)、アルギン酸ナトリウム、ポリビニルピロリドン、トラガカントガムお
よびアラビアゴムなど、ならびに分散剤または湿潤剤、例えば、天然由来のホスファチド
(例えば、レシチン)、酸化アルキレンと脂肪酸の縮合物(例えば、ステアリン酸ポリオ
キシエチレン)、酸化エチレンと長鎖脂肪族アルコールの縮合物(例えば、ヘプタデカエ
チレンオキシセタノール)、酸化エチレンと脂肪酸およびヘキシトール無水物由来の部分
エステルとの縮合物(例えば、モノオレイン酸ポリオキシエチレンソルビタン)などが挙
げられる。懸濁化剤のさらなる非限定的例として、Captisol(登録商標)(スル
ホブチルエーテルベータ−シクロデキストリン、SBE−β−CD)が挙げられる。水性
懸濁剤はまた、1種または複数種の防腐剤、例えば、エチルp−ヒドロキシ−ベンゾエー
トまたはn−プロピルp−ヒドロキシ−ベンゾエートなど、1種または複数種の着色剤、
1種または複数種の香味剤および1種または複数種の甘味剤、例えば、スクロースまたは
サッカリンなどを含有し得る。
【0125】
油性懸濁剤は、活性成分を、植物油(例えば、落花生油、オリーブ油、ゴマ油もしくは
ヤシ油)、または鉱油(例えば、流動パラフィン)中で懸濁させることによって製剤化す
ることができる。経口懸濁剤は、増粘剤、例えば、蜜ろう、固形パラフィンまたはセチル
アルコールなどを含有することができる。甘味剤、例えば、上に記載されたものなど、お
よび香味剤を加えることによって、口当たりの良い経口調製物を得ることができる。これ
らの組成物は、抗酸化剤、例えば、アスコルビン酸などの添加により保存することができ
る。
【0126】
水の添加による水性懸濁剤の調製に対して適切な本発明の分散性散剤および粒剤は、活
性成分を、分散剤または湿潤剤、懸濁化剤、および1種または複数種の防腐剤と組み合わ
せて提供する。適切な分散剤または湿潤剤および懸濁化剤は、上記に開示されたものによ
り例示される。追加の賦形剤、例えば甘味剤、香味剤および着色剤もまた存在することが
できる。
【0127】
本発明の医薬組成物はまた、水中油型エマルジョンの形態であってよい。油相は、植物
油(例えば、オリーブ油もしくは落花生油)、鉱油(例えば、流動パラフィン)、または
これらの混合物であってよい。適切な乳化剤として、天然由来のガム、例えば、アラビア
ゴムおよびトラガカントガムなど、天然由来のホスファチド、例えば、ダイズレシチンな
ど、脂肪酸およびヘキシトール無水物由来のエステルまたは部分エステル、例えば、モノ
オレイン酸ソルビタンなど、ならびにこれら部分エステルと酸化エチレンとの縮合物、例
えば、モノオレイン酸ポリオキシエチレンソルビタンなどが挙げられる。エマルジョンは
また、甘味剤および香味剤を含有してもよい。シロップ剤およびエリキシル剤は、甘味剤
、例えば、グリセロール、ソルビトールまたはスクロースなどを用いて製剤化することが
できる。このような製剤はまた、粘滑剤、防腐剤、香味剤または着色剤を含有し得る。
【0128】
本発明の医薬組成物は、無菌の注射用調製物、例えば、無菌の注射可能な水性または油
性の懸濁剤などの形態であってもよい。この懸濁剤は、上述された適切な分散剤または湿
潤剤ならびに懸濁化剤を使用して、公知の技術に従い製剤化し得る。無菌の注射用調製物
はまた、無毒性の非経口的に許容される希釈剤または溶媒、例えば、1,3−ブタン−ジ
オール中溶液などの中の注射可能な無菌溶液もしくは懸濁剤であってもよいし、または凍
結乾燥粉末として調製されてもよい。無菌の注射用調製物はまた、非経口的に許容される
希釈剤または溶媒中の注射可能な無菌溶液または懸濁剤であってもよい。利用することが
できる許容されるビヒクルおよび溶媒の中には、水、リンガー液および等張性塩化ナトリ
ウム溶液がある。加えて、無菌の不揮発性油は、溶媒または懸濁媒体として慣例的に利用
され得る。この目的のために合成モノグリセリドまたはジグリセリドを含む任意の無菌性
の不揮発性油を利用することができる。加えて、オレイン酸などの脂肪酸も同様に、注射
剤の調製において使用することができる。利用することができる許容されるビヒクルおよ
び溶媒の中には、水、リンガー液、等張性塩化ナトリウム溶液、高浸透圧性塩化ナトリウ
ム溶液、および低浸透圧性塩化ナトリウム溶液がある。
【0129】
単一剤形を生成するために担体物質と組み合わせることができる活性成分の量は、処置
される宿主および特定の投与モードに応じて変動することになる。例えば、ヒトへの経口
投与を目的とする徐放性製剤は、全組成物の約5〜約95%(重量:重量)で変動し得る
担体物質の適当および好都合な量と混合した約1〜1000mgの活性物質を含有し得る
。医薬組成物は、投与のために容易に測定可能な量を得るように調製することができる。
例えば、静脈内注入を目的とする水溶液は、約30mL/時間の速度で適切な容量の注入
をもたらすことができるように、溶液1ミリリットル当たり約3〜500μgの活性成分
を含有することができる。
【0130】
また眼への局所投与に対して適切な製剤として、活性成分が適切な担体、特に活性成分
のための水性溶媒中に溶解または懸濁されている点眼剤が挙げられる。活性成分は、好ま
しくは、このような製剤中に、0.5〜20%、有利には0.5〜10%、および特に約
1.5%w/wの濃度で存在する。
【0131】
口内での局所投与に対して適切な製剤として、通常、スクロースおよびアカシアまたは
トラガカントなどの香味づけた基剤中に活性成分を含むロゼンジ剤;ゼラチンおよびグリ
セリン、またはスクロースおよびアカシアなどの不活性基剤中に活性成分を含むトローチ
剤;ならびに適切な液体担体中に活性成分を含む口内洗浄剤が挙げられる。
【0132】
直腸投与のための製剤は、例えば、ココアバターまたはサリチレートを含む適切な基剤
を有する坐剤として提供することができる。
【0133】
肺内投与または経鼻投与に対して適切な製剤は、例えば、0.1〜500ミクロン、例
えば、0.5、1、30、35ミクロンなどの範囲の粒径を有し、この製剤は鼻腔の通路
を介した急速な吸入により、または肺胞嚢に到達するように口を介した吸入により投与さ
れる。適切な製剤として、活性成分の水性または油性溶液が挙げられる。エアゾール剤ま
たは乾燥散剤の投与に対して適切な製剤は、従来の方法に従い調製することができ、他の
治療剤、例えば、以下に記載されているようなフィロウイルス科感染症の処置または予防
法において今までに使用されている化合物などと共に送達することができる。
【0134】
経膣投与に対して適切な製剤は、適切であることが当技術分野で公知であるような担体
を、活性成分に加えて含有するペッサリー、タンポン、クリーム剤、ゲル剤、ペースト剤
、発泡体またはスプレー製剤として提供することができる。
【0135】
非経口投与に対して適切な製剤として、抗酸化剤、緩衝液、静菌剤、および対象とする
レシピエントの血液との等張性を製剤に付与する溶質を含有することができる水性および
非水性の無菌注射液、ならびに懸濁化剤および増粘剤を含み得る水性および非水性無菌懸
濁剤が挙げられる。
【0136】
製剤は、単回用量容器または複数回用量容器、例えば密封アンプルおよびバイアルなど
で提供され、使用の直前に注射用水などの無菌液体担体の添加のみを必要とする冷凍乾燥
(凍結乾燥された)状態で保存することができる。即時調製注射液および懸濁剤は、以前
に記述された種類の無菌散剤、粒剤および錠剤から調製する。好ましい単位用量製剤は、
活性成分の、本明細書で上記に列挙した1日用量もしくは単位、毎日の分割用量、または
適当なその画分を含有する製剤である。
【0137】
特に上述された成分に加えて、本発明の製剤は、問題となっている製剤のタイプを考慮
して、当技術分野で慣習的な他の作用剤を含んでもよく、例えば、経口投与に対して適切
な製剤は香味剤を含んでもよいことが理解されるべきである。
【0138】
本発明は、獣医学的組成物であって、この組成物のための獣医学的担体と一緒に、上に
定義されたような少なくとも1種の活性成分を含む獣医学的組成物をさらに提供する。
【0139】
獣医学的担体は、組成物を投与する目的のために有用な物質であり、その他の点で、獣
医学的技術分野では不活性であるかまたは許容され、活性成分と適合性のある固体、液体
または気体物質であってもよい。これらの獣医学的組成物は、経口、非経口的にまたは任
意の他の所望の経路によって投与され得る。
【0140】
本発明の化合物は、1つまたは複数の本発明の化合物を活性成分として含有する放出制
御型医薬製剤を提供するために使用され(「放出制御型製剤」)、この放出制御型製剤に
おいて、活性成分の放出が制御および調節されて、所与の活性成分のより少ない投薬頻度
をもたらすか、またはその薬物動態学的もしくは毒性プロファイルを改善させる。
IV.投与の経路
【0141】
1つまたは複数の本発明の化合物(本明細書で活性成分と呼ぶ)は、処置される状態に
適当な任意の経路で投与される。適切な経路として、経口、直腸、鼻腔、肺、局所的(口
腔内頬側および舌下を含む)、経膣および非経口(皮下、筋肉内、静脈内、皮内、髄腔お
よび硬膜外を含む)などが挙げられる。好ましい経路は、例えば、レシピエントの状態と
共に変動し得ることを理解されたい。本発明の化合物の利点は、これらが経口的にバイオ
アベイラブルであり、経口的に投薬できることである。
【0142】
フィロウイルス科感染症の処置のための本発明の方法において、本発明の化合物は、フ
ィロウイルス科感染症に罹患したヒトと接触する可能性のあるヒトまたはフィロウイルス
科感染症にすでに罹患したヒトにいかなる時でも投与することができる。一部の実施形態
では、本発明の化合物は、フィロウイルス科感染症に罹患したヒトと接触するヒトに予防
的に投与することができる。一部の実施形態では、本発明の化合物の投与は、フィロウイ
ルス科感染症に対して試験で陽性と判定されたが、フィロウイルス科感染症の症状がまだ
出ていないヒトに対して行うことができる。一部の実施形態では、本発明の化合物の投与
は、フィロウイルス科感染症の症状が開始した時点でヒトに対して行うことができる。
【0143】
活性成分の有効用量は、少なくとも、処置される状態の性質、毒性、化合物が予防的に
使用されている(より低い用量)か、または活性のあるウイルス感染症に対して使用され
ているか、送達の方法、および医薬製剤に依存し、慣習的な用量漸増試験を使用して臨床
医により判定される。有効用量は、1日当たり約0.0001〜約100mg/kg(体
重);典型的には、1日当たり約0.01〜約10mg/kg(体重);さらに典型的に
は、1日当たり約0.01〜約5mg/kg(体重);最も典型的には、1日当たり約0
.05〜約0.5mg/kg(体重)であると予想することができる。例えば、体重約7
0kgの成人のヒトに対する1日の候補用量は、1mg〜1000mg、好ましくは5m
g〜500mgの範囲であり、単回用量または複数回用量の形態を取ることができる。
【0144】
フィロウイルス科感染症を処置するための本発明の化合物の有効用量は、用量が予防的
に使用されているか、またはフィロウイルス科感染症にすでに罹患したヒトを処置するた
めのものかどうかに依存し得る。さらに、用量は、フィロウイルス科感染症に罹患したヒ
トがまだ症状を示していないか、またはフィロウイルス科感染症の症状をすでに示してい
るかに依存し得る。予防的処置を受けているヒトと比較した場合、フィロウイルス科感染
症に対して試験で陽性と判定されたヒトを処置するために、およびフィロウイルス科感染
症の症状を示すヒトに対してより高い用量が必要となり得る。
【0145】
本発明の化合物の投与に対して任意の適切な期間が想定される。例えば、投与は、2、
3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25、30、40、50、60、70
、80、または90日を含めて、1日〜100日の間であることができる。投与はまた、
2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、または14週を含めて、1
週〜15週の間であることができる。より長い投与期間もまた想定される。投与のための
時間は、化合物が予防的に投与されているか、またはフィロウイルス科感染症に罹患した
ヒトを処置するためのものかどうかに依存し得る。例えば、予防的投与は、ヒトが、フィ
ロウイルス科感染症に罹患した他のヒトと定期的に接触する間のある期間、およびフィロ
ウイルス科感染症に罹患したヒトとの最後の接触後の適切な期間とすることができる。フ
ィロウイルス科感染症にすでに罹患したヒトに対して、投与期間は、患者を処置するのに
必要な任意の長さの時間であることができ、フィロウイルス科感染症を確実に再発しない
ようにするため、フィロウイルス科感染症に対して試験で陰性と判定された後の適切な期
間であることができる。
V.併用療法
【0146】
本発明の組成物はまた、他の活性成分と組み合わせて使用される。フィロウイルス科ウ
イルス感染症の処置のために、好ましくは、他の活性のある治療剤は、フィロウイルス科
ウイルス感染症、特にマールブルグウイルス、エボラウイルスおよびクエバウイルス感染
症に対して活性がある。これらの他の活性のある治療剤の非限定的例は、リバビリン、パ
リビズマブ、モタビズマブ、RSV−IGIV(RespiGam(登録商標))、ME
DI−557、A−60444、MDT−637、BMS−433771、アミオダロン
、ドロネダロン、ベラパミル、エボラ回復期血漿(Ebola Convalescen
t Plasma)(ECP)、TKM−100201、BCX4430((2S,3S
,4R,5R)−2−(4−アミノ−5H−ピロロ[3,2−d]ピリミジン−7−イル
)−5−(ヒドロキシメチル)ピロリジン−3,4−ジオール)、ファビピラビル(また
T−705またはAviganとしても公知)、T−705モノホスフェート、T−70
5ジホスフェート、T−705トリホスフェート、FGI−106(1−N,7−N−ビ
ス[3−(ジメチルアミノ)プロピル]−3,9−ジメチルキノリノ[8,7−h]キノ
ロン−1,7−ジアミン)、JK−05、TKM−エボラ、ZMapp、rNAPc2、
VRC−EBOADC076−00−VP、OS−2966、MVA−BN filo、
ブリンシドフォビル、Vaxartアデノウイルスベクター5ベースのエボラワクチン、
Ad26−ZEBOV、FiloVaxワクチン、GOVX−E301、GOVX−E3
02、エボラウイルス侵入阻害剤(NPC1阻害剤)、およびrVSV−EBOV、なら
びにこれらの混合物である。本発明の化合物および組成物はまた、特定のRNA配列と共
に塩基対二本鎖を形成することによって、翻訳プロセスを妨げるように設計されている合
成アンチセンスオリゴヌクレオチド類似体であるホスホルアミデートモルホリノオリゴマ
ー(PMO)と組み合わせて使用することもできる。PMOの例として、AVI−728
7、AVI−7288、AVI−7537、AVI−7539、AVI−6002、およ
びAVI−6003が挙げられる。本発明の化合物および組成物はまた、非経口の流体(
デキストロース食塩水およびリンガーラクテートを含む)および栄養物、抗生剤(メトロ
ニダゾールおよびセファロスポリン抗生剤、例えば、セフトリアキソンおよびセフロキシ
ムなどを含む)ならびに/または抗真菌薬予防、抗発熱剤および鎮痛剤、抗嘔吐剤(例え
ば、メトクロプラミドなど)ならびに/または止瀉薬、ビタミンおよびミネラルサプリメ
ント(ビタミンKおよび硫酸亜鉛を含む)、抗炎症剤(例えば、イブプロフェンなど)、
鎮痛剤、ならびに患者集団における他の一般的な病気に対する薬物(例えば、抗マラリア
剤(アルテムエーテルおよびアーテスネート−ルメファントリン併用療法を含む)、腸チ
フス(キノロン抗生剤(例えば、シプロフロキサシン)、マクロライド系抗生物質(例え
ば、アジスロマイシン)、セファロスポリン抗生剤(例えば、セフトリアキソン)、また
はアミノペニシリン(例えば、アンピシリン)を含む)、または赤痢菌感染症)を含めて
、フィロウイルス科ウイルス感染症の患者に提供される一般的なケアと共に使用すること
を目的とする。
【0147】
患者への同時または逐次的な投与のために、本発明の任意の化合物を、1種または複数
種の追加の活性のある治療剤と単一剤形中に組み合わせることもまた可能である。併用療
法は、同時または逐次的なレジメンとして投与することができる。順次投与される場合、
組合せは、2回またはそれ超の投与で投与することができる。
【0148】
本発明の化合物と、1種または複数種の他の活性のある治療剤との共投与とは、一般的
に、治療有効量の本発明の化合物および1種または複数種の他の活性のある治療剤が両方
とも患者体内で存在するように、本発明の化合物および1種または複数種の他の活性のあ
る治療剤を同時または逐次的に投与することを指す。
【0149】
共投与は、1種または複数種の他の活性のある治療剤の単位用量の投与前または投与後
の本発明の化合物の単位用量の投与を含み、例えば、1種または複数種の他の活性のある
治療剤の投与の数秒以内、数分以内、または数時間以内の本発明の化合物の投与を含む。
例えば、本発明の化合物の単位用量が最初に投与され、続いて、数秒または数分以内に1
種または複数種の他の活性のある治療剤の単位用量が投与され得る。あるいは、1種また
は複数種の他の治療剤の単位用量が最初に投与され、これに続いて、数秒または数分以内
に本発明の化合物の単位用量が投与され得る。ある場合には、本発明の化合物の単位用量
を最初に投与し、続いて、数時間(例えば、1〜12時間)後に、1種または複数種の他
の活性のある治療剤の単位用量が投与されるのが望ましいこともある。他の場合には、1
種または複数種の他の活性のある治療剤の単位用量が最初に投与され、続いて、数時間(
例えば、1〜12時間)後、本発明の化合物の単位用量が投与されるのが望ましいことも
ある。
【0150】
併用療法は、「相乗効果」および「相乗的効果」すなわち、活性成分が一緒に使用され
た場合に達成される効果が化合物を別々に使用することから生じる効果の合計を超える効
果をもたらすことができる。活性成分が、(1)共製剤化され、組み合わせた製剤で同時
に投与もしくは送達される;(2)別個の製剤として交互にもしくは並行して送達される
;または(3)いくつかの他のレジメンによるものである場合、相乗効果を達成すること
ができる。交互療法で送達される場合、化合物が、例えば、別個の錠剤、丸剤もしくはカ
プセル剤、または別個のシリンジでの異なる注射により投与される際に、相乗効果を達成
することができる。一般的に、交互療法中、各活性成分の有効用量は、順次、すなわち逐
次的に投与されるのに対して、併用療法では、2種またはそれ超の活性成分の有効用量が
一緒に投与される。相乗的抗ウイルス効果とは、組合せの個々の化合物の予測される純粋
な相加効果を超える抗ウイルス剤効果を表す。
【0151】
また別の実施形態では、本出願は、細胞内でフィロウイルス科ポリメラーゼを阻害する
方法であって、フィロウイルス(Filovirus)に感染した細胞を、式IVの化合
物、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、および/もしくはエステルの有効量と
接触させて、これによってフィロウイルス科ポリメラーゼを阻害することを含む方法を提
供する。
【0152】
またさらに別の実施形態では、本出願は、細胞内でフィロウイルス科ポリメラーゼを阻
害する方法であって、フィロウイルスに感染した細胞を、式IVの化合物、またはその薬
学的に許容される塩、溶媒和物、および/もしくはエステルの有効量、ならびに少なくと
も1種の追加の活性のある治療剤と接触させて、これによってフィロウイルス科ポリメラ
ーゼを阻害することを含む方法を提供する。
【0153】
また別の実施形態では、本出願は、細胞内でフィロウイルス科ポリメラーゼを阻害する
方法であって、フィロウイルス科ウイルスに感染した細胞を、式IVの化合物、またはそ
の薬学的に許容される塩、溶媒和物、および/もしくはエステルの有効量、ならびに選択
された少なくとも1種の追加の活性のある治療剤と接触させることを含む方法を提供する
【0154】
また別の実施形態では、本出願は、ヒトにおいてフィロウイルス科ウイルス感染症を処
置する方法であって、患者に、治療有効量の式IVの化合物、またはその薬学的に許容さ
れる塩、溶媒和物、および/もしくはエステルを投与することを含む方法を提供する。
【0155】
また別の実施形態では、本出願は、ヒトにおいてフィロウイルス科ウイルス感染症を処
置する方法であって、患者に、治療有効量の式IVの化合物、またはその薬学的に許容さ
れる塩、溶媒和物、および/もしくはエステル、ならびに少なくとも1種の追加の活性の
ある治療剤を投与し、これによってフィロウイルス科ポリメラーゼを阻害することを含む
方法を提供する。
【0156】
また別の実施形態では、本出願は、ヒトにおいてフィロウイルス科ウイルス感染症を処
置する方法であって、患者に、治療有効量の式IVの化合物、またはその薬学的に許容さ
れる塩、溶媒和物、および/もしくはエステル、ならびに少なくとも1種の追加の活性の
ある治療剤を投与することを含む方法を提供する。
【0157】
式IVの化合物、またはその薬学的に許容される塩、薬学的に許容されるエステル、立
体異性体、立体異性体もしくは互変異性体の混合物を含むキットもまた提供される。別の
実施形態では、本明細書の式IVから選択される化合物、ならびにその各サブグループお
よび実施形態(個々の化合物1、8、9、10、12、15、17、21、22、23、
24、25、26、27、28、29、30、31、および32(化合物1〜32)また
はその薬学的に許容される塩、薬学的に許容されるエステル、立体異性体、立体異性体も
しくは互変異性体の混合物を含む)、を含めた、を含む、個々のキットが提供される。一
態様では、キットは、式IVの化合物、またはその薬学的に許容される塩を含む。本明細
書に記載されている個々のキットのそれぞれは、疾患または状態の処置を必要とする対象
(例えば、ヒト)における疾患または状態の処置において化合物を使用するための標識お
よび/または指示を含み得る。一部の実施形態では、疾患または状態は、エボラウイルス
感染症またはマールブルグウイルス感染症を含む、ヒトフィロウイルス科ウイルス感染症
である。他の実施形態では、それぞれ別のキットは、疾患または状態の処置を必要とする
対象(例えば、ヒト)における疾患または状態の処置において、式IVの化合物と組み合
わせて追加の薬剤を使用するための指示もまた含有することができる。これらの実施形態
のある特定の実施形態では、疾患または状態は、エボラウイルス感染症またはマールブル
グウイルス感染症を含む、ヒトフィロウイルス科ウイルス感染症である。本明細書のキッ
トのそれぞれにおいて、キットが、本明細書に記載されている化合物、またはその薬学的
に許容される塩、ラセミ体、エナンチオマー、ジアステレオマー、互変異性体、多形、擬
似多形体、非晶質形態、水和物もしくは溶媒和物の個々の用量単位を含むさらなる実施形
態が存在する。個々の投与量単位の例として、それぞれが、治療有効量の対象の化合物、
またはその薬学的に許容される塩、ラセミ体、エナンチオマー、ジアステレオマー、互変
異性体、多形、擬似多形体、非晶質形態、水和物または溶媒和物を含む、丸剤、錠剤、カ
プセル剤、充填済みシリンジまたはシリンジカートリッジ、IVバッグなどを挙げること
ができる。一部の実施形態では、キットは、単回投与量単位を含有してもよく、その他で
は、複数回投与量単位、例えば、特定されたレジメンまたは期間に対して必要とされる投
与量単位の数などが存在する。
【0158】
式IVの化合物、またはその薬学的に許容される塩、薬学的に許容されるエステル、立
体異性体、立体異性体もしくは互変異性体の混合物と、容器とを含む製造物品もまた提供
される。一態様では、製造物品は、式IVの化合物および個々の化合物1、8、9、10
、12、15、17、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、
31、および32(化合物1〜32)、またはその薬学的に許容される塩と、容器とを含
む。別の実施形態では、製造物品の容器は、バイアル、瓶、アンプル、予め充填されたシ
リンジ、ブリスターパッケージ、缶(tin)、缶(can)、ビン、ボックス、または
静注用バッグであってよい。
VI.フィロウイルス科ポリメラーゼを阻害する方法
【0159】
本発明の別の態様は、本発明の化合物または組成物を用いて、フィロウイルス科を含有
する疑いのある試料を処置するステップを含む、フィロウイルス科ポリメラーゼの活性を
阻害する方法に関する。
【0160】
本発明の方法を使用して処置することができるフィロウイルス科は、霊長類に典型的に
感染する一本鎖のマイナスセンスRNAウイルスである。フィロウイルスは、実質的には
すべての細胞型の中で繁殖することができる。フィロウイルス抗原およびビリオンは、感
染した個体の線維芽細胞および間質に主に見出される。フィロウイルスの3つの同定され
た属が存在する:エボラウイルス(EBOV;5つの種);マールブルグウイルス(MA
RV);およびCuevavirus(Lloviuウイルス(LLOV)としても公知
)。ビリオン(ウイルス粒子)は、直線的、湾曲形、コイル状であってもよいし、または
「6」もしくは「U」形状の構成で見出されてもよい、長い、円柱状の、線維状粒子とし
ての特徴的な形をしている。これらは時には枝分かれし、粒子は、長さが大きく異なるが
、直径(約80nm)は一貫している。フィロウイルスゲノムは、4つのビリオン構造タ
ンパク質(VP30、VP35、核タンパク(NP)、およびポリメラーゼタンパク質(
L−pol))ならびに3つの膜結合タンパク質(VP40、糖タンパク質(GP)、お
よびVP24)をコードする7つの遺伝子を含む。
【0161】
エボラウイルス属は、5つの公知の種を含む:(1)Bundibugyo ebol
avirus、Bundibugyoウイルス(BDBV、以前はBEBOV)としても
公知;(2)Reston ebolavirus、RestonウイルスまたはEbo
la−Reston(RESTV、以前はREBOV)としても公知;(3)Sudan
ebolavirus、SudanウイルスまたはEbola−Sudan(SUDV
、以前はSEBOV)としても公知;(4)Tai Forest ebolaviru
s、Tai ForestウイルスまたはEbola−Tai(TAFV、以前はCIE
BOV)としても公知;および(5)Zaire ebolavirus、エボラウイル
スまたはEbola−Zaire(EBOV、以前はZEBOV)としても公知。
【0162】
マールブルグウイルス属は、Marburg marburgvirus種を含み、こ
れは、マールブルグウイルス(MARV)またはRavnウイルス(RAVV)としても
公知である。Cuevavirus属は、Lloviu cuevavirus種を含み
、これはLloviuウイルス(LLOV)としても公知である。
【0163】
本発明の組成物は、このような阻害剤に対する中間体として、フィロウイルス科ポリメ
ラーゼの阻害剤として作用してもよいし、または以下に記載されているような他の有用性
を有していてもよい。阻害剤は、フィロウイルス科ポリメラーゼ特有の形状を有するフィ
ロウイルス科ポリメラーゼの表面上の位置または空洞内に結合する。フィロウイルス科ポ
リメラーゼに結合する組成物は、異なる度合の可逆性で結合することができる。実質的に
不可逆的に結合するこれらの化合物が、本発明の方法における使用に対する理想の候補で
ある。一度標識したら、実質的に不可逆的に結合する組成物は、フィロウイルス科ポリメ
ラーゼの検出用プローブとして有用である。したがって、本発明は、フィロウイルス科ポ
リメラーゼを含有する疑いのある試料においてフィロウイルス科ポリメラーゼを検出する
方法であって、フィロウイルス科ポリメラーゼを含有する疑いのある試料を、標識に結合
した本発明の化合物を含む組成物で処理するステップと、試料の標識の活性への効果を観
察するステップとを含む方法に関する。適切な標識は診断法の分野で周知しており、安定
したフリーラジカル、フルオロフォア、ラジオアイソトープ、酵素、化学発光性基および
クロモゲンを含む。本明細書に記載の化合物は、ヒドロキシル、カルボキシル、スルフヒ
ドリルまたはアミノなどの官能基を使用する慣習的な形式で標識する。
【0164】
本発明の文脈の中で、フィロウイルス科ポリメラーゼを含有する疑いのある試料として
、天然または人工の物質、例えば、生命体;組織または細胞培養物;生物学的試料、例え
ば、生物学的物質の試料(血液、血清、尿、脳脊髄液、涙、痰、唾液、組織試料など);
実験試料;食物、水、または空気の試料;バイオ製品試料、例えば、細胞、特に所望の糖
タンパク質を合成する組換え型細胞の抽出物などが挙げられる。典型的に、試料は、フィ
ロウイルス科ポリメラーゼ、多くの場合、病原生物、例えば、フィロウイルス科ウイルス
などを産生する生物を含有する疑いがある。試料は水および有機溶媒\水の混合物を含め
た任意の媒体中に含有され得る。試料は、ヒトなどの生命体、および細胞培養物などの人
工物質を含む。
【0165】
本発明の処置ステップは、本発明の組成物を試料に加えることを含むか、または処置ス
テップは、組成物の前駆体を試料に加えることを含む。添加ステップは、前述のような投
与方法のいずれかを含む。
【0166】
所望する場合、組成物の適用後のフィロウイルス科ポリメラーゼの活性を、フィロウイ
ルス科ポリメラーゼ活性を検出する直接的および間接的方法を含む任意の方法で観察する
ことができる。フィロウイルス科ポリメラーゼ活性を決定する定量的、定性的、および半
定量的方法がすべて想定される。典型的には、上に記載されたスクリーニング法の1つが
適用されるが、他のいずれの方法、例えば、生命体の生理学的特性の観察などもまた適切
である。
【0167】
フィロウイルス科ポリメラーゼを含有する生物として、フィロウイルス科ウイルスが挙
げられる。本発明の化合物は、動物または人間におけるフィロウイルス科感染症の処置ま
たは予防法に有用である。
【0168】
しかし、ヒトフィロウイルス科ウイルスを阻害することが可能な化合物のスクリーニン
グにおいて、酵素アッセイの結果は細胞培養物アッセイと相関し得ないことを覚えておく
べきである。したがって、細胞ベースのアッセイは、1次スクリーニングツールであるべ
きである。
【0169】
別の実施形態では、本出願は、ヒトにおいてフィロウイルス科ウイルス感染症を処置す
る方法であって、治療有効量の式IVの化合物、またはその薬学的に許容される塩、溶媒
和物、および/もしくはエステルを患者に投与することを含む方法を提供する。一部の実
施形態では、フィロウイルス科感染症はフィロウイルス科ウイルスにより引き起こされる
。一部の実施形態では、フィロウイルス科感染症はエボラウイルスにより引き起こされる
。一部の実施形態では、フィロウイルス科感染症はBundibugyo ebolav
irus、Reston ebolavirus、Sudan ebolavirus、
Tai Forest ebolavirus、またはZaire ebolaviru
sにより引き起こされる。一部の実施形態では、フィロウイルス科感染症はマールブルグ
ウイルスにより引き起こされる。一部の実施形態では、フィロウイルス科感染症はLlo
viuウイルスにより引き起こされる。一部の実施形態では、フィロウイルス科ポリメラ
ーゼは阻害される。
【0170】
本発明の化合物は、フィロウイルス科感染症にすでに罹患したヒトの処置において使用
することができるか、またはフィロウイルス科感染の危険性を予防的に減少させるもしく
は阻止するために投与することができる。フィロウイルス科感染症は、出血性発熱、吐血
、下痢、胸骨後腹痛(retrosternal abdominal pain)およ
び虚脱により特徴付けることができる。潜伏期間は、フィロウイルス科感染症に罹患した
ヒトと接触した後、約21日である。フィロウイルス科感染症の結果は典型的には死亡で
ある。
【0171】
ヒトにおいてフィロウイルス科感染症を処置する方法における使用のための、式IVの
群から選択される化合物を含めた、本明細書の式のそれぞれから選択される化合物、なら
びにその各サブグループおよび実施形態、あるいは化合物1〜32を含めた、本明細書の
実施例の特定の化合物の1つ、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、および/も
しくはエステルもまた別の実施形態として提供される。ヒトにおいてエボラウイルス感染
症を処置する方法における使用のための、式IVの群から選択される化合物を含めた、本
明細書の式のそれぞれから選択される化合物、ならびにその各サブグループおよび実施形
態、あるいは化合物1〜32を含めた、本明細書の実施例の特定の化合物の1つ、または
その薬学的に許容される塩、溶媒和物、および/もしくはエステルもまた別の実施形態と
して提供される。ヒトにおいてマールブルグウイルス感染症を処置する方法における使用
のための、式IVの群から選択される化合物を含めた、本明細書の式のそれぞれから選択
される化合物、ならびにその各サブグループおよび実施形態、あるいは化合物1〜32を
含めた、本明細書の実施例の特定の化合物の1つ、またはその薬学的に許容される塩、溶
媒和物、および/もしくはエステルもまた別の実施形態として提供される。フィロウイル
ス科感染症がエボラウイルスである本明細書の実施形態のそれぞれの中で、フィロウイル
ス科感染症がそれぞれBundibugyo ebolavirus、Reston e
bolavirus、Sudan ebolavirus、Tai Forest eb
olavirus、またはZaire ebolavirusにより引き起こされるさら
に別の実施形態が存在する。一部の実施形態では、フィロウイルス科感染症はマールブル
グウイルスにより引き起こされる。一部の実施形態では、フィロウイルス科感染症はLl
oviuウイルスにより引き起こされる。
【0172】
本発明はまた、本明細書で定義されたような本発明の方法のいずれかにおける使用のた
めの、式(IV)の群から選択される化合物を含めた、本明細書の式のそれぞれの化合物
、ならびにその各サブグループおよび実施形態、あるいは化合物1〜32を含めた、本明
細書の実施例の特定の化合物の1つ、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、およ
び/もしくはエステルを提供する。
【0173】
ヒトにおいてフィロウイルス科感染症を処置するための医薬の調製における、式IVの
群から選択される化合物を含めた、本明細書の式のそれぞれから選択される化合物、なら
びにその各サブグループおよび実施形態、あるいは化合物1〜32を含めた、本明細書の
実施例の特定の化合物の1つ、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、および/も
しくはエステルの使用もまた別の実施形態として提供される。ヒトにおいてエボラウイル
ス感染症を処置するための医薬の調製における、式IVの群から選択される化合物を含め
た、本明細書の式のそれぞれから選択される化合物、ならびにその各サブグループおよび
実施形態、あるいは化合物1〜32を含めた、本明細書の実施例の特定の化合物の1つ、
またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、および/もしくはエステルの使用もまた別
の実施形態として提供される。ヒトにおいてマールブルグウイルス感染症を処置するため
の医薬の調製における、式IVの群から選択される化合物を含めた、本明細書の式のそれ
ぞれから選択される化合物、ならびにその各サブグループおよび実施形態、あるいは化合
物1〜32を含めた、本明細書の実施例の特定の化合物の1つ、またはその薬学的に許容
される塩、溶媒和物、および/もしくはエステルの使用もまた別の実施形態として提供さ
れる。
VII.フィロウイルス科ポリメラーゼ阻害剤に対するスクリーニング
【0174】
本発明の組成物は、酵素活性を評価するための従来技術のいずれかによりフィロウイル
ス科ポリメラーゼに対する阻害活性についてスクリーニングされる。本発明の関連の中で
、典型的には組成物は最初にin vitroでのフィロウイルス科ポリメラーゼの阻害
についてスクリーニングされ、次いで、阻害活性を示す組成物はin vivoでの活性
についてスクリーニングされる。in vitroで約5×10−6M未満および好まし
くは約1×10−7M未満のKi(阻害定数)を有する組成物がin vivoでの使用
に好ましい。
【0175】
in vitroでのスクリーニングに有用なものを詳細に記載したが、ここでは詳し
く述べない。しかし、in vitroアッセイに適切な実施例を記載する。
VIII.化合物の調製
【実施例】
【0176】
ある特定の略語および頭字語が実験の詳細を記載するのに使用される。これらの大部分
は当業者により理解されているが、表1にこれらの略語および頭字語のうちの多くの一覧
を示す。
【表1-1】

【表1-2】


A.化合物の調製
(実施例1)
(2S)−エチル2−(クロロ(フェノキシ)ホスホリルアミノ)プロパノエート(クロ
リデートA)
【化62】
【0177】
エチルアラニンエステル塩酸塩(1.69g、11mmol)を無水CHCl(1
0mL)に溶解させ、N(g)下で0℃に冷却しながら混合物を撹拌した。ジクロロリ
ン酸フェニル(1.49mL、10mmol)を加え、続いて約10分にわたりEt
を滴下添加した。次いで、反応混合物をゆっくりと室温に温め、約12時間撹拌した。無
水EtO(50mL)を加え、混合物を約30分撹拌した。形成された固体を濾過で除
去し、濾液を減圧下で濃縮した。残留物を、ヘキサン中0〜50%EtOAcで溶出する
シリカゲルクロマトグラフィーに供することによって、中間体Aを得た。H NMR
(300 MHz, CDCl) δ 7.39−7.27 (m, 5H), 4.
27 (m, 3H), 1.52 (m, 3H), 1.32 (m, 3H).
31P NMR (121.4 MHz, CDCl) δ 8.2, 7.8.
(実施例2)
(2S)−2−エチルブチル2−(クロロ(フェノキシ)ホスホリルアミノ)プロパノエ
ート(クロリデートB)
【化63】
【0178】
エチルアラニンエステルの代わりに2−エチルブチルアラニンエステルを使用すること
を除き、クロリデートAと同じ手順を使用して、2−エチルブチルアラニンクロロホスホ
ルアミデートエステルBを調製した。次の反応では材料を粗製のまま使用する。メタノー
ルまたはエタノールでの処理により、必要なLCMS信号を有する置き換えられた生成物
を形成する。
(実施例3)
(2S)−イソプロピル2−(クロロ(フェノキシ)ホスホリルアミノ)プロパノエート
(クロリデートC)
【化64】
【0179】
エチルアラニンエステルの代わりにイソプロピルアラニンエステルを使用することを除
き、クロリデートAと同じ手順を使用して、イソプロピルアラニンクロロホスホルアミデ
ートエステルCを調製した。次の反応では材料を粗製のまま使用する。メタノールまたは
エタノールでの処理により、必要なLCMS信号を有する置き換えられた生成物を形成す
る。
(実施例4)
(2R,3R,4S,5R)−2−(4−アミノピロロ[1,2−f][1,2,4]ト
リアジン−7−イル)−3,4−ジヒドロキシ−5−(ヒドロキシメチル)テトラヒドロ
フラン−2−カルボニトリル(化合物1)
【化65】
【0180】
(2R,3R,4S,5R)−2−(4−アミノピロロ[1,2−f][1,2,4]
トリアジン−7−イル)−3,4−ジヒドロキシ−5−(ヒドロキシメチル)テトラヒド
ロフラン−2−カルボニトリルの調製は以下に記載されている。
【化66】
【0181】
市販のラクトール(10g、23.8mmol)をN(g)下で無水DMSO(30
mL)に溶解させた。AcO(20mL)を加え、生成した反応混合物を室温で約48
時間撹拌した。反応混合物を氷HO(500mL)上に注入し、混合物を20分撹拌し
た。混合物をEtOAc(3×200mL)で抽出し、次いで、合わせた有機抽出物をH
O(3×200mL)で洗浄した。有機抽出物を無水MgSOで乾燥させ、濾過し、
減圧下で濃縮した。残留物をCHClに溶解させ、ヘキサン中25%EtOAcで溶
出するシリカゲルクロマトグラフィーに供することによって、ラクトンを得た。H N
MR (400 MHz, DMSO) δ 7.30−7.34 (m, 13H),
7.19−7.21 (m, 2H), 4.55−4.72 (m, 6H), 4
.47 (s, 2H), 4.28 (d, J = 3.9 Hz,1H), 3
.66 (m, 2H).LCMS m/z 436.1[M+HO]、435.2[
M+OH]− Tr=2.82分。HPLC Tr=4.59[H2中2〜98%ACN
)流速2mL/分で5分。
【化67】
【0182】
(g)下、ブロモピラゾール(WO2009/132135に従い調製)(0.5
g、2.4mmol)を無水THF(10mL)中に懸濁させた。懸濁液を撹拌し、TM
SCl(0.67mL、5.28mmol)を加えた。混合物を室温で20分撹拌し、次
いで約−78℃に冷却し、その後、n−BuLiの溶液(6mL、ヘキサン中1.6N、
9.6mmol)をゆっくりと加えた。反応混合物を約−78℃で10分撹拌し、次いで
、シリンジを介してラクトン(1g、2.4mmol)を加えた。LCMSで測定したと
きに反応が完了となった時点で、AcOHを加えて反応をクエンチした。混合物を減圧下
で濃縮し、残留物をCHClとHOの混合物(100mL、1:1)に溶解させた
。有機層を分離し、HO(50mL)で洗浄した。次いで、有機層を無水MgSO
乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮した。残留物を、ヘキサン中0〜50%EtOAcで溶
出するシリカゲルクロマトグラフィーに供することによって、アノマーの1:1混合物と
して生成物を得た。LCMS m/z 553[M+H]。
【化68】
【0183】
ヒドロキシヌクレオシド(1.1g、2.0mmol)を無水CHCl(40mL
)に溶解させ、N(g)下、約−78℃で撹拌しながら溶液を冷却した。TMSCN(
0.931mL、7mmol)を加え、混合物をさらに10分撹拌した。TMSOTf(
1.63mL、9.0mmol)をゆっくりと反応物に加え、混合物を1時間撹拌した。
次いで、反応混合物をCHCl(120mL)で希釈し、NaHCO水溶液(12
0mL)を加えて反応をクエンチした。反応混合物をさらに10分撹拌し、有機層を分離
した。水層をCHCl(150mL)で抽出し、合わせた有機抽出物を無水MgSO
で乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮した。残留物を最小量のCHClに溶解させ、
0〜75%のEtOAcおよびヘキサンの勾配で溶出するシリカゲルクロマトグラフィー
に供することによって、アノマーの混合物として、トリベンジルシアノヌクレオシドを得
た。H NMR (300 MHz, CDCN) δ 7.94 (s, 0.5
H), 7.88 (s, 0.5H), 7.29−7.43 (m, 13H),
7.11−7.19 (m, 1H), 6.82−6.88 (m,1H), 6.7
0−6.76 (m, 1H), 6.41 (bs, 2H), 5.10 (d,
J = 3.9 Hz, 0.5H), 4.96 (d, J = 5.1 Hz,
0.5H), 4.31−4.85 (m, 7H), 4.09−4.18 (m,
2H), 3.61−3.90 (m, 2H).LCMS m/z 562[M+H]

【化69】
【0184】
トリベンジルシアノヌクレオシド(70mg、0.124mmol)を無水CHCl
(2mL)に溶解させ、N(g)下約−20℃に冷却した。BCl溶液(CH
中1N、0.506mL、0.506mmol)を加え、反応混合物を−78℃で1
時間撹拌した。LC/MSにより反応が完了したとされた時点で、MeOHを加えて反応
をクエンチした。反応混合物を室温まで温め、溶媒を減圧下で除去した。残留物を、H
O(0.1%TFA)を用いて5分、これに続いて、HO中0〜70%MeCN(0.
1%TFA)の勾配で35分にわたり溶出するC18逆相HPLCに供することによって
、αアノマー、およびβアノマー1を溶出した。(αアノマー)H NMR (300
MHz, DO) δ 7.96 (s, 1H), 7.20 (d, J =
4.8 Hz, 1H), 6.91 (d, J = 4.8 Hz, 1H), 4
.97 (d, J = 4.4 Hz, 1H), 4.56−4.62 (m, 1
H), 4.08−4.14 (m, 1H), 3.90 (dd, J = 12.
9, 2.4 Hz, 1H), 3.70 (dd, J = 13.2, 4.5
Hz, 1H).(βアノマー)H NMR (400 MHz, DMSO) δ
7.91 (s, 1H), 7.80−8.00 (br s, 2H), 6.85
−6.89 (m, 2H), 6.07 (d, J = 6.0 Hz, 1H),
5.17 (br s, 1H), 4.90 (br s, 1H), 4.63
(t, J = 3.9 Hz, 1H), 4.02−4.06 (m, 1H),
3.94 (br s, 1H), 3.48−3.64 (m, 2H).LCMS
m/z 292.2[M+H]、290.0[M−H]。Tr=0.35分。13C N
MR (400 MHZ, DMSO), 156.0, 148.3, 124.3,
117.8, 117.0, 111.2, 101.3, 85.8, 79.0,
74.7, 70.5, 61.4. HPLC Tr=1.32分
LaCl−2LiClを使用した(3R,4R,5R)−2−(4−アミノピロロ[
2,1−f][1,2,4]トリアジン−7−イル)−3,4−ビス(ベンジルオキシ)
−5−((ベンジルオキシ)メチル)テトラヒドロフラン−2−オールの調製
【化70】
【0185】
7−ヨードピロロ[2,1−f][1,2,4]トリアジン−4−アミン(7.5g、
28.8mmol、1.0当量)溶液をTHF(67mL)中に調製した。溶液を約0℃
に冷却し、TMSCl(3.3mL、30.3mmol、1.05当量)を加えた。反応
混合物を約30分撹拌し、次いで、内部温度を5℃より低く維持しながらPhMgCl(
THF中2M;28mL、56.8mmol、1.97当量)を加えた。反応混合物を約
0℃で約35分撹拌し、次いで約−15℃に冷却した。次いで、内部温度を約−10℃よ
り低く維持しながらiPrMgCl(THF中2M、14mL、30.2mmol、1.
05当量)を加えた。約−15℃で約15分後、内部温度を約−15℃より低く維持しな
がらLaCl−2LiCl(THF中0.6M、50mL、14.4mmol、0.5
当量)を加えた。反応混合物を約−20℃で約25分撹拌した。
【0186】
別のフラスコ内で、(3R,4R,5R)−3,4−ビス(ベンジルオキシ)−5−(
(ベンジルオキシ)メチル)ジヒドロフラン−2(3H)−オン(10.0g、23.9
mmol、0.83当量)溶液をTHF(45mL)中に調製した。溶液を約−20℃に
冷却し、次いで、内部温度を約−15℃より低く維持しながらグリニャール溶液に移した
。生成した反応混合物を約−20℃で約30分撹拌した。
反応を2M HCl(53mL)でクエンチし、混合物を約15℃に温めた。iPrO
Ac(38mL)を加え、有機相および水相を分離した。下側の水層を放出し、上側の有
機層を、2.5重量%のNaHCO(53mL)、2.5重量%のNaHCO(53
mL)、および10重量%のNaCl(53mL)で順次洗浄した。
【0187】
有機相を約45mLに濃縮し、次いでiPrOAc(75mL)で希釈した。溶液を約
45mLに再び濃縮し、次いでiPrOAc(23mL)で希釈した。溶液を約45mL
に濃縮し、次いでセライトのパッド上で濾過した。濾過した溶液を約26mLに濃縮し、
次いでMTBE(75mL)で希釈した。2時間後、ヘプタン(23mL)をゆっくりと
加え、スラリーを約25℃で約2時間撹拌し、次いで、約8時間にわたり約−5℃に冷却
した。固体を濾過で単離し、フィルターケーキをMTBE/ヘプタン(4:1、23mL
)で洗浄した。真空オーブン内で、約35℃以下で固体を乾燥させることによって、(3
R,4R,5R)−2−(4−アミノピロロ[2,1−f][1,2,4]トリアジン−
7−イル)−3,4−ビス(ベンジルオキシ)−5−((ベンジルオキシ)メチル)テト
ラヒドロフラン−2−オールを生成した。
CeClを使用した(3R,4R,5R)−2−(4−アミノピロロ[2,1−f][
1,2,4]トリアジン−7−イル)−3,4−ビス(ベンジルオキシ)−5−((ベン
ジルオキシ)メチル)テトラヒドロフラン−2−オールの調製
【化71】
【0188】
ヨードピラゾール(5.02g、19.3mmol)をTHF(45g)に溶解させ、
撹拌しながら溶液を約0℃に冷却した。TMSCl(2.04g、18.7mmol)を
加え、約1時間後、フェニルマグネシウムクロリド(THF中2.0M、19.9g、3
8.2mmol)を加えた。反応混合物を約−20℃に冷却し、イソプロピルマグネシウ
ムクロリド(THF中2.0M、9.99g、20.5mmol)をゆっくりと加えた。
約30分後、約−20℃で、反応混合物をTHF(22g)中の無水塩化セリウム(4.
75g、19.3mmol)の混合物に移した。約1.5時間後、ラクトン(6.73g
、16.1mmol)のTHF(22g)溶液をゆっくりと加え、生成した反応混合物を
約1時間撹拌した。2M HCl(41g)を加え、混合物を約15℃に温め、酢酸イソ
プロピル(35g)を加えた。層を分離し、有機層を2.5%NaHCO(2×40g
)、10%NaCl(1×35g)で洗浄し、約30mLの容量に濃縮した。酢酸イソプ
ロピル(44g)を入れ、溶液を約30mLの容量に濃縮した。酢酸イソプロピル(43
g)を入れ、溶液を約30mLの容量に濃縮した。溶液を濾過し、濾液を約18mLの容
量に濃縮した。tert−ブチルメチルエーテル(37g)を加え、これに続いて生成物
の種結晶(10.7mg)を加えた。約14時間後、n−ヘプタン(10.5g)を加え
、混合物を約−5℃に冷却し、濾過した。固体をtert−ブチルメチルエーテル(9g
)で約−5℃で洗浄し、真空下、約34℃で約15時間乾燥させることによって、生成物
を得た。
CeClおよびiPrMgCl−LiClを使用した(3R,4R,5R)−2−(4
−アミノピロロ[2,1−f][1,2,4]トリアジン−7−イル)−3,4−ビス(
ベンジルオキシ)−5−((ベンジルオキシ)メチル)テトラヒドロフラン−2−オール
の調製
【化72】
【0189】
ヨードピラゾール(5.03g、19.3mmol)をTHF(45g)に溶解させ、
(g)下で撹拌しながら溶液を約0℃に冷却した。TMSCl(2.06g、19.
0mmol)を加え、約1時間後、フェニルマグネシウムクロリド(THF中2.0M、
20.23g、38.8mmol)を加えた。反応混合物を約−20℃に冷却し、イソプ
ロピルマグネシウムクロリド−塩化リチウム複合体(THF中2.0M、15.37g、
21.0mmol)をゆっくりと加えた。約1時間後、約−20℃で、反応混合物を、T
HF(22g)中の塩化セリウム(4.77g、19.4mmol)の混合物に移した。
約1時間後、ラクトン(6.75g、16.1mmol)のTHF(23g)溶液をゆっ
くりと加え、生成した反応混合物を約1.5時間撹拌した。2M HCl(40g)を加
え、混合物を約15℃に温め、酢酸イソプロピル(35g)を加えた。層を分離し、有機
層を2.5% NaHCO(2×40g)、10%NaCl(1×36g)で洗浄し、
約30mLの容量に濃縮した。酢酸イソプロピル(44g)を加え、溶液を約30mLの
容量に濃縮した。溶液を濾過し、濾液を約18mLの容量に濃縮した。tert−ブチル
メチルエーテル(37g)を加え、これに続いて生成物の種結晶(10.5mg)を加え
た。約14時間後、n−ヘプタン(11g)を加え、混合物を約−5℃に冷却し、濾過し
た。約−5℃で、固体をtert−ブチルメチルエーテル(9g)で洗浄し、真空下で、
約34℃で約15時間乾燥させることによって、生成物を得た。
YClを使用した(3R,4R,5R)−2−(4−アミノピロロ[2,1−f][1
,2,4]トリアジン−7−イル)−3,4−ビス(ベンジルオキシ)−5−((ベンジ
ルオキシ)メチル)テトラヒドロフラン−2−オールの調製
【化73】
【0190】
ヨードピラゾール(4.99g、19.2mmol)をTHF(44g)に溶解させ、
撹拌しながら溶液を約0℃に冷却した。TMSCl(2.45mL、19.4mmol)
を加え、約30分後、フェニルマグネシウムクロリド(THF中2.0M、20.29g
、39.0mmol)を加えた。反応混合物を約−20℃に冷却し、イソプロピルマグネ
シウムクロリド(THF中2.0M、9.85g、20.1mmol)をゆっくりと加え
た。約30分後、約−20℃で、反応混合物を、THF(24g)中の無水塩化イットリ
ウム(3.76g、19.3mmol)とラクトン(6.68g、16.0mml)の混
合物に移した。約2.5時間後、2M HCl(30g)を加え、混合物を約15℃に温
め、酢酸イソプロピル(22g)を加えた。層を分離し、有機層を2.5%NaHCO
(2×40g)、10%NaCl(1×35g)で洗浄し、約30mLの容量に濃縮した
。酢酸イソプロピル(44g)を入れ、溶液を約30mLの容量に濃縮した。酢酸イソプ
ロピル(45g)を入れ、溶液を約30mLの容量に濃縮した。溶液を濾過し、濾液を約
18mLの容量に濃縮した。tert−ブチルメチルエーテル(37g)を加え、これに
続いて、生成物の種結晶(11.5mg)を加えた。約1時間後、n−ヘプタン(15m
L)を加え、混合物を約−5℃に冷却し、約17時間撹拌した。スラリーを濾過し、約−
5℃に予冷したtert−ブチルメチルエーテル(8g)/n−ヘプタン(2g)混合物
で固体を洗浄した。生成した固体を、真空下、約34℃で約22時間乾燥させることによ
って、生成物を生成した。
NdClを使用した(3R,4R,5R)−2−(4−アミノピロロ[2,1−f][
1,2,4]トリアジン−7−イル)−3,4−ビス(ベンジルオキシ)−5−((ベン
ジルオキシ)メチル)テトラヒドロフラン−2−オールの調製
【化74】
【0191】
ヨードピラゾール(5.02g、19.3mmol)をTHF(38g)に溶解させ、
(g)下で撹拌しながら、溶液を約0℃に冷却した。TMSCl(2.45mL、1
9.4mmol)を加え、約1時間後、フェニルマグネシウムクロリド(THF中2.0
M、19.75g、38.0mmol)を加えた。反応混合物を約−20℃に冷却し、イ
ソプロピルマグネシウムクロリド(THF中2.0M、9.40g、19.2mmol)
をゆっくりと加えた。約1.5時間後、約−20℃で、反応混合物を、THF(22g)
中の無水塩化ネオジム(III)(4.03g、16.1mmol)とラクトン(6.7
0g、16.0mml)の混合物に移し入れた。約1.5時間後、反応混合物を−10℃
に温め、さらに2時間後、2M HCl(36g)を加えた。混合物を約15℃に温め、
酢酸イソプロピル(23g)を加えた。層を分離し、有機層を2.5%NaHCO(2
×44g)、10%NaCl(1×41g)で洗浄し、約30mLの容量に濃縮した。酢
酸イソプロピル(44g)を入れ、溶液を約30mLの容量に濃縮した。酢酸イソプロピ
ル(45g)を入れ、溶液を約30mLの容量に濃縮した。溶液を濾過し、濾液を約18
mLの容量に濃縮した。tert−ブチルメチルエーテル(37g)を加え、これに続い
て生成物の種結晶(11.9mg)を加えた。約1時間後、n−ヘプタン(15mL)を
加え、混合物を約−5℃に冷却し、約15時間撹拌した。スラリーを濾過し、約−5℃に
予冷したtert−ブチルメチルエーテル(8g)/n−ヘプタン(11g)混合物で固
体を洗浄した。真空下で、約34℃で約25時間、生成した固体を乾燥させることによっ
て、生成物を生成した。
(2R,3R,4R,5R)−2−(4−アミノピロロ[2,1−f][1,2,4]ト
リアジン−7−イル)−3,4−ビス(ベンジルオキシ)−5−((ベンジルオキシ)メ
チル)テトラヒドロフラン−2−カルボニトリルの調製
【化75】
【0192】
DCM(100mL)中の(3R,4R,5R)−2−(4−アミノピロロ[2,1−
f][1,2,4]トリアジン−7−イル)−3,4−ビス(ベンジルオキシ)−5−(
(ベンジルオキシ)メチル)テトラヒドロフラン−2−オール(10.0グラム、18.
1mmol、1.0当量)の予冷(−40℃)溶液に、トリフルオロ酢酸(6.19グラ
ム、54.3mmol、3.0当量)を入れ、これに続いて、内部温度を約−25℃より
低く維持しながら、DCM(50mL)中のTMSOTf(24.1グラム、108.6
mmol、6.0当量)およびTMSCN(10.8グラム、108.6mmol、6.
0当量)の予冷(−30℃)溶液を入れた。約−30℃より低く10分間以上、反応混合
物を撹拌し、20重量%の水性KOH(120mL)の予冷(約−10℃)溶液でクエン
チした。二位相の混合物を周辺温度に温めた。有機層を分離し、10重量%のNaCl(
3×50mL)水溶液で洗浄した。有機相を濾過し、真空下で約50mLに濃縮し、トル
エン(200mL)で再希釈し、真空下、約50℃で140mLに濃縮した。約55℃で
溶液に、(2R,3R,4R,5R)−2−(4−アミノピロロ[2,1−f][1,2
,4]トリアジン−7−イル)−3,4−ビス(ベンジルオキシ)−5−((ベンジルオ
キシ)メチル)テトラヒドロフラン−2−カルボニトリルの種結晶をまいた。約55℃で
約1時間撹拌し、約6時間にわたり約0℃に冷却した。固体を濾過で単離し、フィルター
ケーキをトルエン(30mL)で洗浄した。固体を真空下、約50℃で乾燥させた。
フローケミストリーを介した、(2R,3R,4R,5R)−2−(4−アミノピロロ[
2,1−f][1,2,4]トリアジン−7−イル)−3,4−ビス(ベンジルオキシ)
−5−((ベンジルオキシ)メチル)テトラヒドロフラン−2−カルボニトリルの調製
【化76】
【0193】
(3R,4R,5R)−2−(4−アミノピロロ[2,1−f][1,2,4]トリア
ジン−7−イル)−3,4−ビス(ベンジルオキシ)−5−((ベンジルオキシ)メチル
)テトラヒドロフラン−2−オールの溶液(460.07gのDCM中23.0g)、T
MSOTfの溶液(138.07gのDCM中55.81g)およびTMSCNの溶液(
138.10gのDCM中25.03g)を約−40℃で管型反応器に順次ポンプで送り
込んだ。20%KOH水溶液(46.91gのKOHおよび210gの水)が入っている
フラスコを氷浴内で保持し、そのフラスコの中に反応混合物を収集した。層を分離し、有
機相を10%KOH水溶液(10gのKOHおよび90mLの水)および10%ブライン
(2×100g)で順次洗浄した。有機相を真空下で約4容量に濃縮し、イソプロピルア
ルコールを入れ(162.89g)、混合物を真空下で約10容量に濃縮した。内容物を
約60℃に温め、次いで、約6.5時間にわたり約0℃に調整し、約0℃で約15.5時
間撹拌した。生成したスラリーを濾過し、固体をイソプロピルアルコール(61.79g
)ですすぎ、次いで約50℃で、減圧下で一晩乾燥させることによって、生成物を生成し
た。
(2R,3R,4S,5R)−2−(4−アミノピロロ[1,2−f][1,2,4]ト
リアジン−7−イル)−3,4−ジヒドロキシ−5−(ヒドロキシメチル)テトラヒドロ
フラン−2−カルボニトリルの調製
【化77】
【0194】
トリベンジルシアノヌクレオシド(48.8g、86.9mmol、1.0当量)を無
水CHCl(244mL)に溶解させ、約−20℃に冷却した。内部温度を約−15
℃より低く維持しながら、BCl溶液(CHCl中1M、295mL、295mm
ol、3.4当量)を滴下添加した。添加に続いて、反応混合物を約−20℃で1時間撹
拌した。内部温度を−15℃より低く維持しながら、MeOH(340ml)を滴下添加
した。生成した溶液を約250mlまで蒸留し、次いで約250mlのMeOHを再度入
れた。生成した溶液を約250mlまで再び蒸留し、次いで約250mlのMeOHで再
度入れ、最終的に約125mlまで蒸留した。水(125ml)を加え、これに続いてK
CO溶液(水中20重量%、125ml)を加えた。pHをチェックし、約3である
ことが判明した。KCO溶液を加え(水中20重量%、50ml)、pHは約8であ
ることが判明した。生成したスラリーを一晩撹拌し、次いで濾過し、水(50ml)およ
びMeOH(50ml)で洗浄した。湿性ケーキ生成物を約40℃で一晩乾燥させた。
H NMR (300 MHz, DO) δ 7.96 (s, 1H), 7.2
0 (d, J = 4.8 Hz, 1H), 6.91 (d, J = 4.8
Hz, 1H), 4.97 (d, J = 4.4 Hz, 1H), 4.56−
4.62 (m, 1H), 4.08−4.14 (m, 1H), 3.90 (d
d, J = 12.9, 2.4 Hz, 1H), 3.70 (dd, J =
13.2, 4.5 Hz, 1H).
(実施例11)
(2S)−イソプロピル2−((((2R,3S,4R,5R)−5−(4−アミノピロ
ロ[1,2−f][1,2,4]トリアジン−7−イル)−5−シアノ−3,4−ジヒド
ロキシテトラヒドロフラン−2−イル)メトキシ)(フェノキシ)−ホスホリルアミノ)
プロパノエート(化合物8)
【化78】
【0195】
ヌクレオシド1(45mg、0.15mmol)を無水トリメチルホスフェート(0.
5mL)に溶解させ、溶液をN(g)下、約0℃で撹拌した。メチルイミダゾール(3
6μL、0.45mmol)を溶液に加えた。クロロホスホルアミデートC(69mg、
0.225mmol)を無水THF(0.25mL)に溶解させ、ヌクレオシド混合物に
滴下添加した。LCMSにより反応が完了したとされた時点で、反応混合物をEtOAc
で希釈し、NaHCO飽和水溶液、飽和NaClで洗浄し、無水NaSOで乾燥さ
せ、濾過し、減圧下で濃縮した。残留物を、CHCl中0〜5%MeOHで溶出する
シリカゲルクロマトグラフィー、これに続いて分取HPLCに供することによって、生成
物を得た。H NMR (300 MHz, CDOD) δ 7.95 (m,
1H), 7.31−6.97 (m, 7H), 4.94 (m, 1H), 4.
78 (m, 1H), 4.43 (m, 3H), 4.20 (m, 1H),
3.80 (d, 1H), 1.30−1.18 (m, 9H). 31P NM
R (121.4 MHz, CDOD) δ 3.8.LCMS m/z 561.
0[M+H]、559.0[M−H]。
(実施例12)
(2S)−2−エチルブチル2−((((2R,3S,4R,5R)−5−(4−アミノ
ピロロ[1,2−f][1,2,4]トリアジン−7−イル)−5−シアノ−3,4−ジ
ヒドロキシテトラヒドロフラン−2−イル)メトキシ)(フェノキシ)ホスホリルアミノ
)プロパノエート(化合物9)
【0196】
化合物9は、以下に記載されているいくつかの方法で調製することができる。
手順1
【化79】
【0197】
化合物8の調製方法と同じ方法により、化合物1およびクロリデートBから調製した。
H NMR (300 MHz, CDOD) δ 7.87 (m, 1H),
7.31−7.16 (m, 5H), 6.92−6.89 (m, 2H), 4.
78 (m, 1H), 4.50−3.80 (m, 7H), 1.45−1.24
(m, 8H), 0.95−0.84 (m, 6H). 31P NMR (1
21.4 MHz, CDOD) δ 3.7.LCMS m/z 603.1[M+
H]、601.0[M−H]。
手順2
【化80】
【0198】
(2S)−2−エチルブチル2−(((((2R,3S,4R,5R)−5−(4−ア
ミノピロロ[2,1−f][1,2,4]トリアジン−7−イル)−5−シアノ−3,4
−ジヒドロキシテトラヒドロフラン−2−イル)メトキシ)(フェノキシ)ホスホリル)
アミノ)プロパノエート。(2S)−2−エチルブチル2−(((4−ニトロフェノキシ
)(フェノキシ)ホスホリル)アミノ)プロパノエート(1.08g、2.4mmol)
を無水DMF(9mL)に溶解させ、窒素雰囲気下、室温で撹拌した。(2R,3R,4
S,5R)−2−(4−アミノピロロ[2,1−f][1,2,4]トリアジン−7−イ
ル)−3,4−ジヒドロキシ−5−(ヒドロキシメチル)テトラヒドロフラン−2−カル
ボニトリル(350mg、1.2mmol)を反応混合物に一度に加えた。次いで、t−
ブチルマグネシウムクロリドのTHF溶液(1M、1.8mL、1.8mmol)を、反
応物に約10分間にわたり滴下添加した。反応物を約2時間撹拌し、それを終えた時点で
反応混合物を酢酸エチル(50mL)で希釈し、重炭酸ナトリウム飽和水溶液(3×15
mL)、これに続いて飽和塩化ナトリウム水溶液(15mL)で洗浄した。有機層を無水
硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下で濃縮した。生成した油状物をシリカゲルカラムクロ
マトグラフィー(DCM中0〜10%MeOH)で精製することによって、白色の固体と
して(2S)−2−エチルブチル2−(((((2R,3S,4R,5R)−5−(4−
アミノピロロ[2,1−f][1,2,4]トリアジン−7−イル)−5−シアノ−3,
4−ジヒドロキシテトラヒドロフラン−2−イル)メトキシ)(フェノキシ)ホスホリル
)アミノ)プロパノエートを生成した(311mg、43%、リンでのジアステレオマー
の1:0.4混合物)。H NMR (400 MHz, CDOD) δ 7.8
5 (m, 1H), 7.34 − 7.23 (m, 2H), 7.21 − 7
.09 (m, 3H), 6.94 − 6.84 (m, 2H), 4.78 (
d, J = 5.4 Hz, 1H), 4.46 − 4.33 (m, 2H),
4.33 − 4.24 (m, 1H), 4.18 (m, 1H), 4.05
− 3.80 (m, 3H), 1.52 − 1.39 (m, 1H), 1.
38 − 1.20 (m, 7H), 0.85 (m, 6H). 31P NM
R (162 MHz, CDOD) δ 3.71, 3.65.LCMS m/z
603.1[M+H]、600.9[M−H]。HPLC(0.1%TFA改質剤と共
に、2〜98%MeCN−HO勾配で、8.5分にわたり、1.5mL/分、カラム:
Phenomenex Kinetex C18、2.6um 100Å、4.6×10
0mm)t=5.544分、5.601分
(S)と(R)ジアステレオマーの分離
【0199】
(2S)−2−エチルブチル2−(((((2R,3S,4R,5R)−5−(4−ア
ミノピロロ[2,1−f][1,2,4]トリアジン−7−イル)−5−シアノ−3,4
−ジヒドロキシテトラヒドロフラン−2−イル)メトキシ)(フェノキシ)ホスホリル)
アミノ)プロパノエートをアセトニトリルに溶解させた。生成した溶液をLux Cel
lulose−2キラルカラムにロードし、アセトニトリル中で平衡化し、均一濃度のア
セトニトリル/メタノール(95:5vol/vol)で溶出した。溶出する第1のジア
ステレオマーは保持時間17.4分を有し、溶出する第2のジアステレオマーは保持時間
25.0分を有した。
【0200】
溶出する第1のジアステレオマーは、(S)−2−エチルブチル2−(((R)−((
(2R,3S,4R,5R)−5−(4−アミノピロロ[2,1−f][1,2,4]ト
リアジン−7−イル)−5−シアノ−3,4−ジヒドロキシテトラヒドロフラン−2−イ
ル)メトキシ)(フェノキシ)ホスホリル)アミノ)プロパノエートである:
【化81】


HNMR (400 MHz, CDOD) δ 8.05 (s, 1H), 7
.36 (d, J = 4.8 Hz, 1H), 7.29 (br t, J =
7.8 Hz, 2H), 7.19 − 7.13 (m, 3H), 7.11
(d, J = 4.8 Hz, 1H), 4.73 (d, J = 5.2 Hz
, 1H), 4.48 − 4.38 (m, 2H), 4.37 − 4.28
(m, 1H), 4.17 (t, J = 5.6 Hz, 1H), 4.08
− 3.94 (m, 2H), 3.94 − 3.80 (m, 1H), 1.4
8 (七重線, J = 12.0, 6.1 Hz, 1H), 1.34 (p,
J = 7.3 Hz, 4H), 1.29 (d, J = 7.2 Hz, 3H
), 0.87 (t, J = 7.4 Hz, 6H). 31PNMR (16
2 MHz, CDOD) δ 3.71 (s).HPLC(0.1%TFA改質剤
と共に、2〜98%MeCN−HO勾配で、8.5分にわたり、1.5mL/分、カラ
ム:Phenomenex Kinetex C18、2.6um 100Å、4.6×
100mm)t=5.585分。
【0201】
第2の溶出するジアステレオマーは、(S)−2−エチルブチル2−(((S)−((
(2R,3S,4R,5R)−5−(4−アミノピロロ[2,1−f][1,2,4]ト
リアジン−7−イル)−5−シアノ−3,4−ジヒドロキシテトラヒドロフラン−2−イ
ル)メトキシ)(フェノキシ)ホスホリル)アミノ)プロパノエートである:
【化82】


HNMR (400 MHz, CDOD) δ 8.08 (s, 1H), 7
.36 − 7.28 (m, 3H), 7.23 − 7.14 (m, 3H),
7.08 (d, J = 4.8 Hz, 1H), 4.71 (d, J =
5.3 Hz, 1H), 4.45 − 4.34 (m, 2H), 4.32 −
4.24 (m, 1H), 4.14 (t, J = 5.8 Hz, 1H),
4.08 − 3.94 (m, 2H), 3.93 − 3.85 (m, 1H
), 1.47 (七重線, J = 6.2 Hz, 1H), 1.38 − 1.
26 (m, 7H), 0.87 (t, J = 7.5 Hz, 6H).
PNMR (162 MHz, CDOD) δ 3.73 (s).HPLC(0
.1%TFA改質剤と共に、2〜98%MeCN−HO勾配で、8.5分にわたり、1
.5mL/分、カラム:Phenomenex Kinetex C18、2.6um
100Å、4.6×100mm)t=5.629分。
(実施例13)
(2S)−エチル2−((((2R,3S,4R,5R)−5−(4−アミノピロロ[1
,2−f][1,2,4]トリアジン−7−イル)−5−シアノ−3,4−ジヒドロキシ
テトラヒドロフラン−2−イル)メトキシ)(フェノキシ)ホスホリルアミノ)プロパノ
エート(化合物10)
【化83】
【0202】
(2S)−エチル2−(((((2R,3S,4R,5R)−5−(4−アミノピロロ
[2,1−f][1,2,4]トリアジン−7−イル)−5−シアノ−3,4−ジヒドロ
キシテトラヒドロフラン−2−イル)メトキシ)(フェノキシ)ホスホリル)アミノ)プ
ロパノエートの調製は以下に記載されている。
手順1。クロリデートAを介した調製
【化84】
【0203】
化合物8の調製方法と同じ方法を使用して、化合物1およびクロリデートAから調製し
た。H NMR (300 MHz, CDOD) δ 7.95 (m, 1H)
, 7.32−6.97 (m, 7H), 4.78 (m, 1H), 4.43−
4.08 (m, 6H), 3.83 (m, 1H), 1.31−1.18 (m
, 6H). 31P NMR (121.4 MHz, CDOD) δ 3.7.
LCMS m/z 547.0[M+H]、545.0[M−H]。
手順2。ニトロ−ベンゼン化合物Lを介した調製
【化85】
【0204】
化合物1(50mg、0.17mmol)をNMP−THF(1:1mL))に溶解さ
せ、氷浴で冷却した。次いで、tBuMgCl(0.257mL、0.257mmol)
を約5分にわたり加えた。生成した混合物を室温に温め、約30分撹拌した。次いで化合
物L(US20120009147により調製、74.6mg、0.189mmol)の
THF(2mL)溶液を加えた。約30分後、反応混合物をHPLC(水中アセトニトリ
ル10〜80%)で精製することによって、黄色の固体として、化合物29を得た。この
固体を、シリカゲルクロマトグラフィー(MeOH 0〜20%DCM)でさらに精製す
ることによって、化合物29を生成した。H NMR (400 MHz, CD
D) δ 7.76 (d, J = 6.0 Hz, 1H), 7.25 − 7.
14 (m, 2H), 7.11 − 6.99 (m, 3H), 6.87 −
6.72 (m, 2H), 4.70 (d, J = 5.4 Hz, 1H),
4.39 − 4.24 (m, 2H), 4.20 (dddd, J = 9.7
, 7.9, 5.1, 2.8 Hz, 1H), 4.10 (dt, J = 1
2.8, 5.5 Hz, 1H), 4.06 − 3.91 (m, 2H), 3
.72 (ddq, J = 14.3, 9.3, 7.1 Hz, 1H), 1.
17 (dd, J = 7.1, 1.0 Hz, 1H), 1.14 − 1.0
6 (m, 5H). 31P NMR (162 MHz, CDOD) δ 3
.73, 3.68.MS m/z=547(M+1)
(実施例15)
(2S,2’S)−ジエチル2,2’−((((2R,3S,4R,5R)−5−(4−
アミノピロロ[1,2−f][1,2,4]トリアジン−7−イル)−5−シアノ−3,
4−ジヒドロキシテトラヒドロフラン−2−イル)メトキシ)ホスホリル)ビス(アザン
ジイル)ジプロパノエート(化合物12)
【化86】
【0205】
ヌクレオシド1(14.6mg、0.05mmol)を無水トリメチルホスフェート(
0.5mL)に溶解し、N(g)下、RTで撹拌した。POCl(9.2μL、0.
1mmol)を加え、混合物を約60分撹拌した。アラニンエチルエステル塩酸塩(61
mg、0.4mmol)、次いでEtN(70μL、0.5mmol)を加えた。生成
した混合物を約15分撹拌し、次いで追加のEtN(70μl、0.5mmol)を加
えて、pH9〜10の溶液を得た。混合物を約2時間撹拌し、次いでEtOAcで希釈し
、NaHCO飽和水溶液、これに続いてNaCl飽和水溶液で洗浄した。有機層を無水
NaSOで乾燥させ、減圧下で濃縮した。残渣を分取HPLC(C18カラム)に供
して、生成物12を生成した。H NMR (400 MHz, CDOD) δ
8.13 (s, 1H), 7.41 (d, J = 4.8 Hz, 1H),
7.18 (d, J = 4.8 Hz, 1H), 4.78 (d, J = 5
.6 Hz, 1H), 4.36 (m, 1H), 4.25−4.08 (m,
7H), 3.83 (m, 2H), 1.33−1.23 (m, 12H).
31P NMR (121.4 MHz, CDOD) δ 13.8.LCMS m
/z570.0[M+H]、568.0[M−H]。
(実施例18)
S,S’−2,2’−((((2R,3S,4R,5R)−5−(4−アミノピロロ[1
,2−f][1,2,4]トリアジン−7−イル)−5−シアノ−3,4−ジヒドロキシ
テトラヒドロフラン−2−イル)メトキシ)ホスホリル)ビス(オキシ)ビス(エタン−
2,1−ジイル)ビス(2,2−ジメチルプロパンチオエート)(化合物15)
【化87】
【0206】
ヌクレオシド1(0.028g、0.096mmol)をトリメチルホスフェート(1
mL)に溶解した。反応物をN(g)下で撹拌し、次いで1H−テトラゾール(0.0
21g、0.29mmol)で処理した。反応混合物を0℃に冷却し、ホスファン(Nu
cleoside Nucleotides, Nucleic acids;14巻;
3〜5号;1995年;763〜766頁、Lefebvre, Isabelle;
Pompon, Alain;Perigaud, Christian;Girard
et, Jean−Luc;Gosselin, Gillesら)(87mg、0.1
92mmol)を加えた。反応物を2時間撹拌し、次いで30%過酸化水素(0.120
mL)でクエンチした。混合物をRTで30分撹拌し、次いで飽和チオ硫酸ナトリウム水
溶液(1mL)で処理した。混合物を10分撹拌し、次いで減圧下で濃縮した。残渣を分
取HPLCに供して、表題生成物15を単離した。H NMR (300 MHz,
CDCN) δ 7.98 (s, 1H), 6.92 (d, 1H), 6.8
1 (d, 1H), 6.44 (bs, 2H), 4.82 (m, 2H),
4.47 (m, 1H), 4.24 (m, 2H), 4.00 (m, 4H)
, 3.80 (bs, 1H), 3.11 (m, 4H), 1.24 (s,
9H). 31P NMR (121.4 MHz, CDCN) δ −1.8
5 (s).LCMS m/z661[M+H]。
(実施例20)
((2R,3S,4R,5R)−5−(4−アミノピロロ[1,2−f][1,2,4]
トリアジン−7−イル)−5−シアノ−3,4−ジヒドロキシテトラヒドロフラン−2−
イル)メチル四水素トリホスフェート(化合物17)
【化88】
【0207】
以前に記載されているもの(WO2012012776)と同様の手順を使用して、化
合物17を化合物1から調製した。生成物をナトリウム塩として単離した。H NMR
(400 MHz, DO) δ 7.76 (s, 1H), 6.88 (d,
J = 4.8 Hz, 1H), 6.73 (d, J = 4.4 Hz, 1
H), 4.86 (d, J = 5.2 Hz, 1H), 4.43 (m, 1
H), 4.39 (m, 1H), 4.05 (m, 1H), 3.94 (m,
1H). 31P NMR (121.4 MHz, DO) δ −5.4
(d, 1P), −10.8 (d, 1P), −21.1 (t, 1P).LC
MS m/z530[M−H]、531.9[M+H]Tr=0.22分。HPLCイオ
ン交換Tr=9.95分。
(実施例20−a)
((2R,3S,4R,5R)−5−(4−アミノピロロ[2,1−f][1,2,4]
トリアジン−7−イル)−5−シアノ−3,4−ジヒドロキシテトラヒドロフラン−2−
イル)メチルホスフェート(化合物33)
【化89】
【0208】
約0.05mmolの化合物1と約0.5mLのトリメチルホスフェートの混合物を約
1〜約48時間の間容器の中に密閉した。混合物を約−10〜約10℃に冷却し、約0.
075mmolのオキシ塩化リンを加える。約1〜約24時間後、反応物を約0.5mL
の1M重炭酸テトラエチルアンモニウムでクエンチし、所望の画分を陰イオン交換クロマ
トグラフィーで単離して、表題化合物を生成した。
【0209】
以前に記載されている通り、化合物1からビス−トリエチルアンモニウム塩として化合
物33を調製した(WO2011150288)。H NMR (400 MHz,
O) δ 7.82 (s, 1H), 6.91 − 6.88 (m, 1H)
, 6.81 − 6.78 (m, 1H), 4.87 − 4.84 (m, 1
H), 4.40 − 4.30 (m, 2H), 3.95 − 3.77 (m,
2H), 3.10 − 3.00 (m, 6H), 1.20 − 1.10 (
m, 9H). 31P NMR (162 MHz, DO) δ 2.33.M
S m/z371。
(実施例20−b)
((2R,3S,4R,5R)−5−(4−アミノピロロ[2,1−f][1,2,4]
トリアジン−7−イル)−5−シアノ−3,4−ジヒドロキシテトラヒドロフラン−2−
イル)メチル三水素ジホスフェート(化合物34)
【化90】
【0210】
以前に記載されている通り(WO2002057425)、化合物1からトリリチウム
塩として化合物34を調製した。31P NMR (162 MHz, DO) δ
−5.34 (d), −9.75 (d).MS m/z451。
(実施例24)
(2S)−エチル2−(((((2R,3S,4R,5R)−5−(4−アミノピロロ[
2,1−f][1,2,4]トリアジン−7−イル)−5−シアノ−3,4−ジヒドロキ
シテトラヒドロフラン−2−イル)メトキシ)(フェノキシ)ホスホリル)アミノ)−3
−フェニルプロパノエート(21)
【化91】
【0211】
(2S)−エチル2−(((((2R,3S,4R,5R)−5−(4−アミノピロロ
[2,1−f][1,2,4]トリアジン−7−イル)−5−シアノ−3,4−ジヒドロ
キシテトラヒドロフラン−2−イル)メトキシ)(フェノキシ)ホスホリル)アミノ)−
3−フェニルプロパノエートの調製は以下に記載されている。
(S)−エチル2−アミノ−3−フェニルプロパノエート塩酸塩の調製。
【化92】
【0212】
L−フェニルアラニン(5g、30mmol)をEtOH(30mL)中に溶解させた
。TMSCl(6.915mL、54mmol)を室温で反応物に加えた。反応容器に還
流冷却器を装着し、反応物を80℃浴槽内に配置した。反応物を一晩撹拌した。翌日、反
応物を室温に冷却し、減圧下で濃縮し、生成した残留物をEtO中に溶解させた。生成
したスラリーを濾過し、単離した固体をEtOでさらに洗浄した。洗浄した固体を高真
空下に配置することによって、例示の(S)−エチル2−アミノ−3−フェニルプロパノ
エート塩酸塩を生成した。H NMR (400 MHz, DMSO−d) δ
8.52 (s, 3H), 7.30 (m, 5H), 4.24 (AB, J
AX = 7.8 Hz, JBX = 6.2 Hz, 1H), 4.11 (m,
2H), 3.17, 3.05 (ABX, JAB = −14 Hz, JBX
= 5.8 Hz, JAX = 7.6 Hz, 2H), 1.09 (t, J
=6.8 Hz, 3H).
(2S)−エチル2−(((4−ニトロフェノキシ)(フェノキシ)ホスホリル)アミノ
)−3−フェニルプロパノエート(化合物D)の調製
【化93】
【0213】
(S)−エチル2−アミノ−3−フェニルプロパノエート塩酸塩(1.01g、4.4
1mmol)をDCM(50mL)に溶解させた。この溶液を約0℃に冷却し、PhOP
(O)Cl(0.656mL、4.41mmol)を加え、これに続いて、5分にわた
りEtN(1.62mL、11.5mmol)をゆっくりと加えた。冷浴を除去し、反
応物を室温に温め、80分間にわたり撹拌した。p−NOPhOH(0.583g、4
.19mmol)、これに続いてさらなるEtN(0.3mL、2.1mmol)を加
えた。反応進行をLC/MSでモニターした。反応完了時に、これをEtOで希釈し、
生成した固体を濾過で除去した。濾液を濃縮し、化合物Dをシリカゲルカラムクロマトグ
ラフィーで単離した(25gの乾式ロードカートリッジ、120gカラム;溶出液:10
0%ヘキサンから、ヘキサン中55%EtOAcへの勾配)。H NMR (400
MHz, CDOD) δ 8.17 (m, 2H), 7.33 (m, 2H)
, 7.09−7.25 (m, 10H), 4.17 (m, 1H), 4.07
(m, 2H), 3.08 (m, 1H), 2.84 (m, 1H), 1.
14 (m, 3H). 31P NMR (162 MHz, DMSO−d
δ −1.479 (s), −1.719 (s).MS m/z=471.01[M
+1]。
(2S)−エチル2−(((((2R,3S,4R,5R)−5−(4−アミノピロロ[
2,1−f][1,2,4]トリアジン−7−イル)−5−シアノ−3,4−ジヒドロキ
シテトラヒドロフラン−2−イル)メトキシ)(フェノキシ)ホスホリル)アミノ)−3
−フェニルプロパノエート(化合物21)の調製
【化94】
【0214】
化合物1(0.030g、0.103mmol)をDMF(1mL)に溶解させ、次い
でTHF(0.5mL)を加えた。t−BuMgCl(1M/THF、154.5μL、
0.154μmol)を、激しく撹拌しながら滴下方式で反応物に加えた。生成した白色
スラリーを室温で約30分撹拌した。化合物D(0.058g、0.124mmol)の
THF(1mL)溶液を滴下方式で、室温で、反応物に加えた。反応進行をLC/MSで
モニターした。反応が50%変換まで進行したら、反応物を氷浴内で冷却し、氷酢酸(7
0μL)でクエンチした。反応物を濃縮し、化合物21を逆相HPLCで残留物から単離
した。H NMR (400 MHz, DMSO−d) δ 7.91 (d,
J = 4 Hz, 1H), 7.90 (brs, 2H), 7.09−7.30
(m, 8H), 7.01, (t, J = 8.2 Hz, 2H), 6.8
9 (d, J = 4.4 Hz, 1H), 6.82 (t, J = 4.4
Hz, 1H), 6.27 (m, 1H), 6.14 (m, 1H), 5.3
4 (m, 1H), 4.62 (t, J = 5.6 Hz, 1H), 4.1
5 (m, 1H), 3.78−4.01 (m, 6H), 2.92 (m, 1
H), 2.78 (m, 1H), 1.04 (m, 3H). 31P NMR
(162 MHz, DMSO−d) δ 3.69 (s), 3.34 (s)
.MS m/z=623.0[M+H]。
(実施例25)
(2S)−エチル2−(((((2R,3S,4R,5R)−5−(4−アミノピロロ[
2,1−f][1,2,4]トリアジン−7−イル)−5−シアノ−3,4−ジヒドロキ
シテトラヒドロフラン−2−イル)メトキシ)(フェノキシ)ホスホリル)アミノ)−3
−メチルブタノエート(22)
【化95】
【0215】
(2S)−エチル2−(((((2R,3S,4R,5R)−5−(4−アミノピロロ
[2,1−f][1,2,4]トリアジン−7−イル)−5−シアノ−3,4−ジヒドロ
キシテトラヒドロフラン−2−イル)メトキシ)(フェノキシ)ホスホリル)アミノ)−
3−メチルブタノエートの調製は以下に記載されている。
(2S)−エチル3−メチル−2−(((4−ニトロフェノキシ)(フェノキシ)ホスホ
リル)アミノ)ブタノエート(化合物E)の調製
【化96】
【0216】
(S)−エチル2−アミノ−3−メチルブタノエート(0.351g、1.932mm
ol)をDCM(17mL)に溶解させた。この溶液を氷浴内で冷却し、PhOP(O)
Cl(0.287mL、1.932mmol)を加え、これに続いて、約5分にわたり
EtN(1.62mL、11.4mmol)をゆっくりと加えた。冷浴を除去し、反応
物を室温に温め、1時間にわたり撹拌した。p−NOPhOH(0.255g、1.8
36mmol)を加え、反応進行をLC/MSでモニターした。反応完了時に、混合物を
EtOで希釈し、生成した固体を濾過で除去した。濾液を濃縮し、化合物Eをシリカゲ
ルカラムクロマトグラフィーで単離した(12g乾式ロードカートリッジ、80gカラム
;溶出液:100%ヘキサンから、ヘキサン中55%EtOAcへの勾配)。H NM
R (400 MHz, DMSO−d) δ 8.30 (d, J = 9.2
Hz, 2H), 7.48 (t, J = 9.6 Hz, 2H), 7.40
(t, J = 7.8 Hz, 2H), 7.20−7.27 (m, 3H),
6.60 (四重線, J = 11.6 Hz, 1H), 4.01 (m, 2H
), 3.61 (m, 1H), 1.93 (m , 1H), 1.11 (m,
3H), 0.79 (m, 6H). 31P NMR (162 MHz, D
MSO−d) δ −0.342 (s), −0.578 (s).MS m/z=
422.9[M+H]。
(2S)−エチル2−(((((2R,3S,4R,5R)−5−(4−アミノピロロ[
2,1−f][1,2,4]トリアジン−7−イル)−5−シアノ−3,4−ジヒドロキ
シテトラヒドロフラン−2−イル)メトキシ)(フェノキシ)ホスホリル)アミノ)−3
−メチルブタノエート(化合物22)の調製
【化97】
【0217】
化合物1(0.040g、0.137mmol)をNMP(1.5mL)に溶解させ、
次いでTHF(0.25mL)を加えた。この溶液を氷浴内で冷却し、t−BuMgCl
(1M/THF、425.7μL、0.426μmol)を、激しく撹拌しながら滴下方
式で加えた。氷浴を除去し、生成した白色のスラリーを室温で約15分撹拌した。化合物
E(0.081g、0.192mmol)のTHF(0.5mL)溶液を、滴下方式で、
室温で反応物に加えた。反応進行をLC/MSでモニターした。反応が50%変換まで進
行した時点で、反応物を氷浴内で冷却し、氷酢酸(70μL)でクエンチした。反応物を
濃縮し、残留物から逆相HPLCにより化合物22を半精製した。半純粋物質をシリカゲ
ルカラムクロマトグラフィー(12gの乾式ロードカートリッジ、40gカラム;溶出液
:100%EtOAcから、EtOAc中10%MeOHへの勾配)でさらに精製するこ
とによって、化合物22を生成した。H NMR (400 MHz, DMSO−d
) δ 7.91 (d, J = 1.6 Hz, 1H), 7.88 (brs
, 2H), 7.32 (m, 2H), 7.15 (m, 3H), 6.90
(t, J = 4.2 Hz, 1H), 6.84 (d, J = 4.8 Hz
, 1H), 6.26 (dd, J = 13.4, 6.2 Hz, 1H),
5.87 (四重線 J = 11.2 Hz, 1H), 5.35 (m, 1H)
, 4.64 (m, 1H), 4.25 (m, 2H), 3.93−4.15
(m, 4H), 3.45 (m, 1H), 1.87 (m, 1H), 1.0
9−1.16 (m, 3H), 0.70−0.83 (m ,6H). 31
NMR (162 MHz, DMSO−d) δ 4.59 (s), 4.47
(s).MS m/z=575.02[M+H]。
(実施例26)
(S)−イソプロピル2−(((R)−(((2R,3S,4R,5R)−5−(4−ア
ミノピロロ[2,1−f][1,2,4]トリアジン−7−イル)−5−シアノ−3,4
−ジヒドロキシテトラヒドロフラン−2−イル)メトキシ)(フェノキシ)ホスホリル)
アミノ)プロパノエート(23)
【化98】
【0218】
(S)−イソプロピル2−(((R)−(((2R,3S,4R,5R)−5−(4−
アミノピロロ[2,1−f][1,2,4]トリアジン−7−イル)−5−シアノ−3,
4−ジヒドロキシテトラヒドロフラン−2−イル)メトキシ)(フェノキシ)ホスホリル
)アミノ)プロパノエートの調製は以下に記載されている。
【化99】
【0219】
化合物1(60.0mg、206μmol)をNMP(0.28mL)に溶解させた。
THF(0.2mL)を加え、これに続いてtert−ブチルマグネシウムクロリド(テ
トラヒドロフラン中1.0M溶液、0.309mL)をアルゴン雰囲気下、室温で加えた
。20分後、化合物F(Cho, A.ら、J. Med. Chem、2014年、5
7巻、1812〜1825頁に従い調製、81mg、206μmol)のTHF(0.2
mL)溶液を加え、生成した混合物を約50℃に温めた。3時間後、反応混合物を室温に
冷却し、分取HPLC(Phenominex Synergi 4u Hydro−R
R80Å 150×30mmカラム、5〜100%アセトニトリル/水勾配)でそのまま
精製することによって、化合物23を生成した。H NMR (400 MHz, C
OD) δ 7.86 (s, 1H), 7.34 − 7.26 (m, 2H
), 7.21 − 7.12 (m, 3H), 6.91 (d, J = 4.6
Hz, 1H), 6.87 (d, J = 4.6 Hz, 1H), 4.92
(七重線, J = 6.3 Hz, 1H), 4.80 (d, J = 5.4
Hz, 1H), 4.43 − 4.34 (m, 1H), 4.33 − 4.
24 (m, 1H), 4.18 (t, J = 5.6 Hz, 1H), 3.
82 (dq, J = 9.7, 7.1 Hz, 2H), 1.27 (dd,
J = 7.1, 1.0 Hz, 3H), 1.18 (dd, J = 6.3,
4.8 Hz, 6H). 31P NMR (162 MHz, CDOD)
δ 3.72 (s).LC/MS:t=1.39分、MS m/z=561.11[
M+H];LC装置:Thermo Accela 1250 UHPLC;MS装置:
Thermo LCQ Fleet;カラム:Kinetex2.6μ XB−C181
00A、50×4.6mm;溶媒:0.1%酢酸を含むACN、0.1%酢酸を含む水;
勾配:2μl/分での、0分〜2.0分、2〜100%ACN、2.0分〜3.05分、
100%ACN、3.05分〜3.2分、100%〜2%ACN、3.2分〜3.5分、
2%ACN。HPLC:t=2.523分;HPLC装置:Agilent 1100
シリーズ;カラム:Gemini 5μ C18 110A、50×4.6mm;溶媒:
0.1%TFAを含むACN、0.1%TFAを含む水;勾配:2mL/分で、0分〜5
.0分、2〜98%ACN、5.0分〜6.0分、98%ACN。
(実施例27)
(2S)−シクロブチル2−(((((2R,3S,4R,5R)−5−(4−アミノピ
ロロ[2,1−f][1,2,4]トリアジン−7−イル)−5−シアノ−3,4−ジヒ
ドロキシテトラヒドロフラン−2−イル)メトキシ)(フェノキシ)ホスホリル)アミノ
)プロパノエート(24)
【化100】
【0220】
(2S)−シクロブチル2−(((((2R,3S,4R,5R)−5−(4−アミノ
ピロロ[2,1−f][1,2,4]トリアジン−7−イル)−5−シアノ−3,4−ジ
ヒドロキシテトラヒドロフラン−2−イル)メトキシ)(フェノキシ)ホスホリル)アミ
ノ)プロパノエートの調製は以下に記載されている。
(2S)−シクロブチル2−(((4−ニトロフェノキシ)(フェノキシ)ホスホリル)
アミノ)プロパノエート(化合物G)の調製
【化101】
【0221】
ジクロロリン酸フェニル(1.49mL、10mmol)を10mLの無水DCMに溶
解させ、窒素雰囲気下、氷浴内で撹拌した。L−アラニンイソブチルエステル塩酸塩(0
.9g、5mmol)を一度に加えた。次いで、トリエチルアミン(765μL、5.5
mmol)を滴下添加した。反応物を約1時間撹拌した。さらなるトリエチルアミン(7
65μL、5.5mmol)を滴下添加し、反応物を約45分撹拌した。p−ニトロフェ
ノール(1.25g、9mmol)を一度に加え、約30分撹拌した。トリエチルアミン
(765μL、5.5mmol)を加え、反応混合物を約2時間撹拌した。次いで、さら
なるp−ニトロフェノール(1.25g、9mmol)およびトリエチルアミン(765
μL、5.5mmol)を加え、反応物をさらに約2時間撹拌した。反応混合物を減圧下
で濃縮した。生成した粗生成物をEtOAcで希釈し、5%クエン酸水溶液で2回、続い
て塩化ナトリウム飽和水溶液で洗浄した。次いで、有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥さ
せ、減圧下で濃縮した。粗残留物をシリカゲルカラム(ヘキサン中0〜20〜50%Et
OAc)で精製することによって、化合物Gを得た。H NMR (400 MHz,
CDOD) δ 8.33 − 8.23 (m, 2H), 7.52 − 7.
33 (m, 4H), 7.33 − 7.17 (m, 3H), 4.96 −
4.85 (m, 1H), 4.07 − 3.96 (m, 1H), 2.27
(m, 2H), 2.07 − 1.91 (m, 2H), 1.83 − 1.7
0 (m, 1H), 1.70 − 1.55 (m, 1H), 1.32 (m,
3H). 31P NMR (162 MHz, CDOD) δ −1.36,
−1.59.MS m/z=420.9[M+H]。
(2S)−シクロブチル2−(((((2R,3S,4R,5R)−5−(4−アミノピ
ロロ[2,1−f][1,2,4]トリアジン−7−イル)−5−シアノ−3,4−ジヒ
ドロキシテトラヒドロフラン−2−イル)メトキシ)(フェノキシ)ホスホリル)アミノ
)プロパノエート(化合物24)の調製
【化102】
【0222】
化合物1(58mg、0.2mmol)を、2mLの無水DMF中で化合物G(101
mg、0.24mmol)と混合した。塩化マグネシウム(42mg、0.44mmol
)を一度に加えた。反応混合物を約50℃に加熱した。DIPEA(87μL、0.5m
mol)を加え、反応物を約50℃で約2時間撹拌した。反応混合物を室温に冷却し、E
tOAcで希釈し、5%クエン酸水溶液、これに続いて塩化ナトリウム飽和水溶液で洗浄
した。次いで、有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下で濃縮した。粗残留物を
シリカゲルカラム(DCM中0〜2〜5%MeOH)で精製することによって、化合物2
4を生成した。H NMR (400 MHz, メタノール−d4) δ 7.85
(m, 1H), 7.34 − 7.22 (m, 2H), 7.22 − 7.
08 (m, 3H), 6.94 − 6.84 (m, 2H), 4.95 −
4.85 (m, 1H), 4.79 (m, 1H), 4.46 − 4.34
(m, 2H), 4.34 − 4.24 (m, 1H), 4.19 (m, 1
H), 3.81 (m, 1H), 2.27 (m, 2H), 2.01 (m,
2H), 1.84 − 1.68 (m, 1H), 1.62 (m, 1H),
1.30 − 1.16 (m, 3H). 31P NMR (162 MHz,
cdod) δ 3.70, 3.65.MS m/z=573.0[M+H]。
(実施例28)
(2S)−イソプロピル2−(((((2R,3S,4R,5R)−5−(4−アミノピ
ロロ[2,1−f][1,2,4]トリアジン−7−イル)−5−シアノ−3,4−ジヒ
ドロキシテトラヒドロフラン−2−イル)メトキシ)(フェノキシ)ホスホリル)アミノ
)−3−フェニルプロパノエート(25)
【化103】
【0223】
(2S)−イソプロピル2−(((((2R,3S,4R,5R)−5−(4−アミノ
ピロロ[2,1−f][1,2,4]トリアジン−7−イル)−5−シアノ−3,4−ジ
ヒドロキシテトラヒドロフラン−2−イル)メトキシ)(フェノキシ)ホスホリル)アミ
ノ)−3−フェニルプロパノエートの調製が以下に記載されている。
(2S)−イソプロピル2−(((4−ニトロフェノキシ)(フェノキシ)ホスホリル)
アミノ)−3−フェニルプロパノエート(化合物H)の調製
【化104】
【0224】
ジクロロリン酸フェニル(718μL、4.8mmol)を10mLの無水DCMに溶
解させ、氷浴内、窒素雰囲気下で撹拌した。L−フェニルアラニンイソプロピルエステル
塩酸塩(1g、4.1mmol)を一度に加えた。さらに10mLの無水DCMを加えた
。トリエチルアミン(736μL、5.3mmol)を滴下添加し、反応混合物を約30
分撹拌した。次いで、さらなるトリエチルアミン(736μL、5.3mmol)を滴下
添加し、反応混合物を30分撹拌した。次いで、さらなるトリエチルアミン(736μL
、5.3mmol)を滴下添加し、反応混合物を約15分撹拌した。次いで、p−ニトロ
フェノール(600mg、4.32mmol)を加えた。次いで、氷浴を除去し、反応混
合物を室温に温め、約2時間撹拌した。さらなるp−ニトロフェノール(50mg)およ
びトリエチルアミン(736μL、5.3mmol)を加え、反応混合物を約1時間撹拌
した。
【0225】
次いで、反応混合物を減圧下で濃縮し、EtOAcで希釈し、5%クエン酸水溶液で2
回、続いて、塩化ナトリウム飽和水溶液で洗浄した。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥
させ、減圧下で濃縮した。粗生成物をシリカゲルカラム(ヘキサン中0〜15%EtOA
c)で精製することによって、化合物Hを得た。H NMR (400 MHz, C
DCl) δ 8.17 (m, 2H), 7.38 − 7.13 (m, 10
H), 7.13 − 7.02 (m, 2H), 4.95 (m, 1H), 4
.31 (m, 1H), 3.69 (m, 1H), 3.02 (dd, J =
6.1, 1.8 Hz, 2H), 1.21 − 1.08 (m, 6H).
31P NMR (162 MHz, cdcl3) δ −2.96, −2.98
.MS m/z=485.0[M+H]。
(2S)−イソプロピル2−(((((2R,3S,4R,5R)−5−(4−アミノピ
ロロ[2,1−f][1,2,4]トリアジン−7−イル)−5−シアノ−3,4−ジヒ
ドロキシテトラヒドロフラン−2−イル)メトキシ)(フェノキシ)ホスホリル)アミノ
)−3−フェニルプロパノエート(化合物25)の調製
【化105】
【0226】
化合物1(58mg、0.2mmol)および化合物H(116mg、0.24mmo
l)を混合し、2mLの無水DMFを加えた。反応混合物を窒素雰囲気下、室温で撹拌し
た。THF中1MのtBuMgCl(300μL、0.3mmol)を3分間にわたり滴
下添加し、次いで、反応混合物を約16時間撹拌した。反応混合物をEtOAcで希釈し
、5%クエン酸水溶液、重炭酸ナトリウム飽和水溶液および次いで飽和塩化ナトリウム水
溶液で洗浄した。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下で濃縮した。粗残留物
をシリカゲルカラム(DCM中0〜5%MeOH)で精製することによって、化合物25
を得た。H NMR (400 MHz, CDOD) δ 7.84 (m, 1
H), 7.27 − 7.08 (m, 8H), 7.08 − 6.97 (m,
2H), 6.88 (m, 2H), 4.91 − 4.84 (m, 1H),
4.74 (m, 1H), 4.26 (m, 1H), 4.19 − 4.04
(m, 2H), 4.04 − 3.91 (m, 2H), 2.97 (m,
1H), 2.82 (m, 1H), 1.14 (m, 3H), 1.06 (m
, 3H). 31P NMR (162 MHz, CDOD) δ 3.63,
3.25.MS m/z=637.0[M+H]。
(実施例29)
(S)−メチル2−(((S)−(((2R,3S,4R,5R)−5−(4−アミノピ
ロロ[2,1−f][1,2,4]トリアジン−7−イル)−5−シアノ−3,4−ジヒ
ドロキシテトラヒドロフラン−2−イル)メトキシ)(フェノキシ)ホスホリル)アミノ
)プロパノエート(26)
【化106】
【0227】
(S)−メチル2−(((S)−(((2R,3S,4R,5R)−5−(4−アミノピ
ロロ[2,1−f][1,2,4]トリアジン−7−イル)−5−シアノ−3,4−ジヒ
ドロキシテトラヒドロフラン−2−イル)メトキシ)(フェノキシ)ホスホリル)アミノ
)プロパノエートの調製は以下に記載されている。
【化107】
【0228】
化合物1(100mg、0.34mmol)をTHF(2mL)に溶解させ、氷水浴で
冷却した。次いで、1Mのt−BuMgCl(0.52mL、0.77mmol)をゆっ
くりと滴下添加した。生成した混合物を室温で約30分撹拌した。次いで、THF(2m
L)中の化合物I(WO2012142085に従い調製、219mg、0.52mmo
l)を5分にわたり加え、生成した混合物を室温で約24時間撹拌した。次いで、反応混
合物をEtOAcで希釈し、氷水浴で冷却し、NaHCO水溶液(2mL)で洗浄し、
ブラインで洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下で濃縮した。生成した混合物をシ
リカゲルカラムクロマトグラフィー(DCM中MeOH0〜20%)および分取HPLC
(水中アセトニトリル10〜80%)で精製することによって、化合物26を得た。
NMR (400 MHz, CDOD) δ 7.86 (s, 1H), 7.
29 (dd, J = 8.6, 7.2 Hz, 2H), 7.21 − 7.0
9 (m, 3H), 6.94 − 6.81 (m, 2H), 4.79 (d,
J = 5.4 Hz, 1H), 4.38 (ddq, J = 10.8, 5
.3, 2.7 Hz, 2H), 4.33 − 4.23 (m, 1H), 4.
18 (t, J = 5.5 Hz, 1H), 3.86 (dq, J = 9.
9, 7.1 Hz, 1H), 3.62 (s, 3H), 1.27 (dd,
J = 7.2, 1.1 Hz, 3H).MS m/z=533(M+1)
(実施例30)
(S)−ネオペンチル2−(((S)−(((2R,3S,4R,5R)−5−(4−ア
ミノピロロ[2,1−f][1,2,4]トリアジン−7−イル)−5−シアノ−3,4
−ジヒドロキシテトラヒドロフラン−2−イル)メトキシ)(フェノキシ)ホスホリル)
アミノ)プロパノエート(27)
【化108】
【0229】
(S)−ネオペンチル2−(((S)−(((2R,3S,4R,5R)−5−(4−
アミノピロロ[2,1−f][1,2,4]トリアジン−7−イル)−5−シアノ−3,
4−ジヒドロキシテトラヒドロフラン−2−イル)メトキシ)(フェノキシ)ホスホリル
)アミノ)プロパノエートの調製は以下に記載されている。
【化109】
【0230】
化合物1(100mg、0.34mmol)をTHF(2mL)に溶解させ、氷水浴で
冷却した。次いで、1Mのt−BuMgCl(0.52mL、0.77mmol)をゆっ
くりと滴下添加した。生成した混合物を室温で約30分撹拌した。次いで、化合物J(W
O2012075140に従い調製、248mg、0.52mmol)を約5分にわたり
加え、生成した混合物を室温で約24時間撹拌し、EtOAcで希釈し、氷水浴で冷却し
、NaHCO水溶液(2mL)で処理し、ブラインで洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥さ
せ、減圧下で濃縮した。生成した混合物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(DCM
中MeOH0〜20%)およびprep−HPLC(水中アセトニトリル10〜80%)
で精製することによって、化合物27を得た。H NMR (400 MHz, CD
OD) δ 7.86 (s, 1H), 7.36 − 7.24 (m, 2H)
, 7.23 − 7.10 (m, 3H), 6.96 − 6.85 (m, 2
H), 4.78 (d, J = 5.4 Hz, 1H), 4.38 (tdd,
J = 10.0, 4.9, 2.5 Hz, 2H), 4.32 − 4.24
(m, 1H), 4.17 (t, J = 5.6 Hz, 1H), 3.91
(dq, J = 9.8, 7.1 Hz, 1H), 3.81 (d, J =
10.5 Hz, 1H), 3.69 (d, J = 10.5 Hz, 1H)
, 1.31 (dd, J = 7.2, 1.1 Hz, 3H), 0.89 (
s, 9H).MS m/z=589(M+1)
(実施例31)
(2S)−シクロペンチル2−(((((2R,3S,4R,5R)−5−(4−アミノ
ピロロ[2,1−f][1,2,4]トリアジン−7−イル)−5−シアノ−3,4−ジ
ヒドロキシテトラヒドロフラン−2−イル)メトキシ)(フェノキシ)ホスホリル)アミ
ノ)プロパノエート(28)
【化110】
【0231】
(2S)−シクロペンチル2−(((((2R,3S,4R,5R)−5−(4−アミ
ノピロロ[2,1−f][1,2,4]トリアジン−7−イル)−5−シアノ−3,4−
ジヒドロキシテトラヒドロフラン−2−イル)メトキシ)(フェノキシ)ホスホリル)ア
ミノ)プロパノエートの調製は以下に記載されている。
【化111】
【0232】
化合物1(100mg、0.34mmol)をTHF(2mL)に溶解させ、氷水浴で
冷却した。次いで1Mのt−BuMgCl(0.52mL、0.77mmol)をゆっく
りと滴下添加した。生成した混合物を室温で約30分撹拌した。次いで、THF(2mL
)中の化合物K(WO2012075140に従い調製、247mg、0.52mmol
)を約5分にわたり加え、生成した混合物を室温で約24時間撹拌し、EtOAcで希釈
し、氷水浴で冷却し、NaHCO水溶液(2mL)で処理し、ブラインで洗浄し、硫酸
ナトリウムで乾燥させ、減圧下で濃縮した。生成した混合物をシリカゲルカラムクロマト
グラフィー(DCM中MeOH0〜20%)およびprep−HPLC(水中アセトニト
リル10〜80%)で精製することによって、実施例28を得た。H NMR (40
0 MHz, CDOD) δ 7.85 (s, 1H), 7.33 − 7.2
2 (m, 2H), 7.14 (tdd, J = 7.6, 2.1, 1.1
Hz, 3H), 6.95 − 6.87 (m, 2H), 5.13 − 5.0
0 (m, 1H), 4.78 (d, J = 5.4 Hz, 1H), 4.4
8 − 4.35 (m, 2H), 4.30 (ddd, J = 10.6, 5
.7, 3.6 Hz, 1H), 4.19 (t, J = 5.4 Hz, 1H
), 3.78 (dq, J = 9.2, 7.1 Hz, 1H), 1.81
(dtd, J = 12.5, 5.9, 2.4 Hz, 2H), 1.74 −
1.49 (m, 6H), 1.21 (dd, J = 7.1, 1.2 Hz
, 3H).MS m/z=587(M+1)
(実施例32)
(2S)−シクロヘキシル2−(((((2R,3S,4R,5R)−5−(4−アミノ
ピロロ[2,1−f][1,2,4]トリアジン−7−イル)−5−シアノ−3,4−ジ
ヒドロキシテトラヒドロフラン−2−イル)メトキシ)(フェノキシ)ホスホリル)アミ
ノ)プロパノエート(29)
【化112】
【0233】
DMF(1mL)中の化合物1(50mg、0.343mmol)、化合物M(US2
0130143835に従い調製、93mg、0.209mmol)、およびMgCl
(24.5mg、0.257mmol)の混合物に、ジイソプロピルエチルアミン(0.
075mL、0.43mmol)を約0℃で約5分にわたり滴下添加した。生成した混合
物を約50℃で約1時間撹拌した。次いで、反応混合物を氷水浴で冷却し、1Mクエン酸
(0.5mL)で処理し、prep−HPLC(水中ACN 0〜70%)でそのまま精
製することによって、化合物29を生成した。H NMR (400 MHz, CD
OD) δ 7.84 (s, 1H), 7.32 − 7.23 (m, 2H)
, 7.18 − 7.10 (m, 3H), 6.93 − 6.87 (m, 2
H), 4.78 (d, J = 5.4 Hz, 1H), 4.67 (td,
J = 8.7, 4.2 Hz, 1H), 4.48 − 4.35 (m, 2H
), 4.30 (ddd, J = 10.8, 5.7, 3.7 Hz, 1H)
, 4.20 (t, J = 5.4 Hz, 1H), 3.88 − 3.71
(m, 1H), 1.83 − 1.63 (m, 4H), 1.58 − 1.4
6 (m, 1H), 1.46 − 1.24 (m, 5H), 1.24 (s,
3H). 31P NMR (162 MHz, CDOD) δ 3.75.M
S m/z=601(M+1)
(実施例33)
エチル2−(((((2R,3S,4R,5R)−5−(4−アミノピロロ[2,1−f
][1,2,4]トリアジン−7−イル)−5−シアノ−3,4−ジヒドロキシテトラヒ
ドロフラン−2−イル)メトキシ)(フェノキシ)ホスホリル)アミノ)−2−メチルプ
ロパノエート(30)
【化113】
【0234】
エチル2−(((((2R,3S,4R,5R)−5−(4−アミノピロロ[2,1−
f][1,2,4]トリアジン−7−イル)−5−シアノ−3,4−ジヒドロキシテトラ
ヒドロフラン−2−イル)メトキシ)(フェノキシ)ホスホリル)アミノ)−2−メチル
プロパノエートの調製は以下に記載されている。
エチル2−((tert−ブトキシカルボニル)アミノ)−2−メチルプロパノエートの
調製
【化114】
【0235】
トリフェニルホスフィン(6.18g、25.00mmol)をTHF(30mL)中
に溶解させた。次に、DIAD(4.92mL、25.00mmol)を入れ、室温で1
0分撹拌する。2−((tert−ブトキシカルボニル)アミノ)−2−メチルプロパン
酸(5.08g、25.00mmol)をTHF(20mL)に溶解させ、反応混合物に
加え、これに続いて、エタノール(2.19mL、37.49mmol)を加える。反応
物を室温で約1時間撹拌させる。溶媒を減圧下で除去し、粗生成物を1:1EtO:ヘ
キサン(120mL)中に溶解させた。固体のトリフェニルホスフィンオキシドを濾別し
、溶媒を減圧下で除去した。粗生成物を最小量のCHCl中に溶解させ、シリカゲル
クロマトグラフィー0〜50%EtOAc/Hexで精製することによって、エチル2−
((tert−ブトキシカルボニル)アミノ)−2−メチルプロパノエートを生成した。
H NMR (400 MHz, クロロホルム−d) δ 4.18 (q, J
= 7.1 Hz, 2H), 1.49 (s, 6H), 1.43 (s, 9H
), 1.27 (t, J = 7.1 Hz, 3H).
エチル2−アミノ−2−メチルプロパノエート塩酸塩の調製
【化115】
【0236】
エチル2−((tert−ブトキシカルボニル)アミノ)−2−メチルプロパノエート
(2.71g、11.72mmol)をCHCl(25mL)中に溶解させ、ジオキ
サン(25mmol)中4NのHClにゆっくりと加え、室温で撹拌する。1時間の時点
で、TLCにより反応が完了したと判定された。溶媒を減圧下で除去し、粗生成物をEt
Oで2回共蒸発させ、次いで高真空下に置くことによって、エチル2−アミノ−2−メ
チルプロパノエート塩酸塩を生成した。H NMR (400 MHz, DMSO−
) δ 8.70 (s, 3H), 4.18 (q, J = 7.1 Hz,
2H), 1.46 (s, 6H), 1.21 (t, J = 7.1 Hz,
3H).
エチル2−メチル−2−(((4−ニトロフェノキシ)(フェノキシ)ホスホリル)アミ
ノ)プロパノエート(化合物N)の調製
【化116】
【0237】
ジクロロリン酸フェニル(0.97mL、6.50mmol)およびエチル2−アミノ
−2−メチルプロパノエート塩酸塩(1.09g、6.50mmol)をCHCl
50mL)中に溶解させる。反応混合物を約0℃に冷却し、ゆっくりとTEA(1.75
mL、12.45mmol)を加える。冷浴を除去し、反応混合物を室温で撹拌させる。
約2時間後、アミノ酸の添加は、31P NMRにより完了したと判定された。p−ニト
ロフェノール(0.860g、6.17mmol)を入れ、これに続いて、TEA(0.
87g、7.69mmol)を加える。反応物を室温で撹拌させる。約2時間後、反応が
完了したとLCMSにより判定された。反応物をEtOで希釈し、TEA・HCl塩を
濾別した。粗生成物を濃縮し、シリカゲルクロマトグラフィー(0〜50%EtOAc/
Hex)で精製することによって、化合物Nを生成した。H NMR (400 MH
z, DMSO−d) δ 8.37 − 8.21 (m, 2H), 7.55
− 7.44 (m, 2H), 7.43 − 7.33 (m, 2H), 7.3
0 − 7.09 (m, 3H), 6.57 (d, J = 10.1 Hz,
1H), 3.99 (q, J = 7.1 Hz, 2H), 1.39 (s,
6H), 1.08 (t, J = 7.1 Hz, 3H). 31P NMR
(162 MHz, DMSO−d) δ −2.87.LC/MS:t=1.65
分、MS m/z=408.97[M+1].;LC装置:Thermo Accela
1250 UHPLC;MS装置:Thermo LCQ Fleet;カラム:Ki
netex 2.6μ XB−C18 100A、50×3.00mm;溶媒:0.1%
ギ酸を含むアセトニトリル、0.1%ギ酸を含む水;勾配:1.8mL/分で、0分〜2
.4分 2〜100%ACN、2.4分〜2.80分 100%ACN、2.8分〜2.
85分 100%〜2%ACN、2.85分〜3.0分 2%ACN。
エチル2−(((((2R,3S,4R,5R)−5−(4−アミノピロロ[2,1−f
][1,2,4]トリアジン−7−イル)−5−シアノ−3,4−ジヒドロキシテトラヒ
ドロフラン−2−イル)メトキシ)(フェノキシ)ホスホリル)アミノ)−2−メチルプ
ロパノエート(化合物30)の調製
【化117】
【0238】
化合物1(66mg、0.23mmol)をNMP(2.0mL)中に溶解させる。混
合物を約0℃に冷却し、tBuMgCl(THF中1.0M、0.34mL、0.34m
mol)をゆっくりと加える。反応物を約0℃で約30分撹拌させ、次いで、THF(1
.0mL)中に溶解させた化合物N(139mg、0.34mmol)の溶液を加える。
冷浴を除去し、反応物を約50℃に予熱した油浴内に配置する。約2時間後、反応物を室
温に冷却し、酢酸およびメタノールでクエンチした。粗生成物を濃縮し、改質剤なしで、
逆相HPLCで精製することによって、化合物30を生成した。H NMR (400
MHz, DMSO−d) δ 7.89 (m, 3H), 7.31 (q,
J = 8.1 Hz, 2H), 7.22 − 7.05 (m, 3H), 6.
87 (d, J = 4.5, 1H), 6.80 (d, J = 4.5 Hz
, 1H), 6.27 (d, J = 11.7, 1H), 5.81 (d,
J = 9.7, 1H), 5.35 (d, J = 5.6 Hz, 1H),
4.64 (dt, J = 9.0, 5.6 Hz, 1H), 4.24 (m,
2H), 4.11 (m, 1H), 4.04 − 3.90 (m, 3H),
1.39 − 1.23 (m, 6H), 1.10 (t, J = 7.1,
3H). 31P NMR (162 MHz, DMSO−d) δ 2.45,
2.41.LC/MS:t=1.03分、MS m/z=561.03[M+1];
LC装置:Thermo Accela 1250 UHPLC;MS装置:Therm
o LCQ Fleet;カラム:Kinetex 2.6μ XB−C18 100A
、50×3.00mm;溶媒:0.1%ギ酸を含むアセトニトリル、0.1%ギ酸を含む
水;勾配:1.8mL/分で、0分〜2.4分 2〜100% ACN、2.4分〜2.
80分 100% ACN、2.8分〜2.85分 100%〜2% ACN、2.85
分〜3.0分 2%ACN。
(実施例34)
イソプロピル2−(((((2R,3S,4R,5R)−5−(4−アミノピロロ[2,
1−f][1,2,4]トリアジン−7−イル)−5−シアノ−3,4−ジヒドロキシテ
トラヒドロフラン−2−イル)メトキシ)(フェノキシ)ホスホリル)アミノ)−2−メ
チルプロパノエート(31)
【化118】
【0239】
イソプロピル2−(((((2R,3S,4R,5R)−5−(4−アミノピロロ[2
,1−f][1,2,4]トリアジン−7−イル)−5−シアノ−3,4−ジヒドロキシ
テトラヒドロフラン−2−イル)メトキシ)(フェノキシ)ホスホリル)アミノ)−2−
メチルプロパノエートの調製は以下に記載されている。
イソプロピル2−((tert−ブトキシカルボニル)アミノ)−2−メチルプロパノエ
ートの調製
【化119】
【0240】
トリフェニルホスフィン(6.17g、25.00mmol)をTHF(30mL)中
に溶解させる。次に、DIAD(4.92mL、25.00mmol)を入れ、室温で約
10分撹拌する。THF(20mL)に溶解させた2−((tert−ブトキシカルボニ
ル)アミノ)−2−メチルプロパン酸(5.07g、25.00mmol)を溶解させ、
反応混合物を加え、これに続いて、イソプロパノール(1.91mL、25.00mmo
l)を加える。反応物を室温で約1時間撹拌させる。溶媒を減圧下で除去し、粗生成物を
1:1EtO:ヘキサン(120mL)中に溶解させた。固体のトリフェニルホスフィ
ンオキシドを濾別し、溶媒を減圧下で除去した。粗生成物を最小量のCHCl中に溶
解させ、シリカゲルクロマトグラフィー(0〜50%EtOAc/Hex)で精製するこ
とによって、イソプロピル2−((tert−ブトキシカルボニル)アミノ)−2−メチ
ルプロパノエートを生成した。H NMR (400 MHz, クロロホルム−d)
δ 5.03 (p, J = 6.2 Hz, 1H), 1.48 (s, 6H
), 1.40 (d, J = 6.2 Hz, 9H), 1.24 (d, J
= 6.3 Hz, 6H).
イソプロピル2−アミノ−2−メチルプロパノエート塩酸塩の調製
【化120】
【0241】
イソプロピル2−((tert−ブトキシカルボニル)アミノ)−2−メチルプロパノ
エート(4.09g、16.67mmol)をCHCl(50mL)中に溶解させ、
ジオキサン(50mmol)中4NのHClをゆっくりと加え、室温で撹拌する。約1時
間の時点で、反応が完了したとTLCにより判定された。溶媒を減圧下で除去し、粗生成
物をEtOで2回共蒸発させ、次いで高真空下に配置することによって、イソプロピル
2−アミノ−2−メチルプロパノエート塩酸塩を生成した。H NMR (400 M
Hz, DMSO−d) δ 8.61 (s, 3H), 4.96 (p, J
= 6.2 Hz, 1H), 1.44 (s, 6H), 1.22 (d, J
= 6.2 Hz, 6H).
イソプロピル2−メチル−2−(((4−ニトロフェノキシ)(フェノキシ)ホスホリル
)アミノ)プロパノエート(化合物O)の調製
【化121】
【0242】
ジクロロリン酸フェニル(0.83mL、5.58mmol)およびイソプロピル2−
アミノ−2−メチルプロパノエート塩酸塩(1.01g、5.58mmol)をCH
(50mL)中に溶解させる。反応混合物を0℃に冷却し、TEA(1.61mL、
11.45mmol)をゆっくりと加える。冷浴を除去し、反応混合物を室温で撹拌する
。約2時間後、アミノ酸の付加は、31P NMRにより完了したと判定された。p−ニ
トロフェノール(0.74g、5.30mmol)を入れ、これに続いて、TEA(0.
81、5.84mmol)を加える。反応物を室温で撹拌させる。約2時間後、反応が完
了したとLCMSにより判定された。反応物をEtOで希釈し、TEA・HCl塩を濾
別した。粗生成物を濃縮し、シリカゲルクロマトグラフィー(0〜50%EtOAc/H
ex)で精製することによって、化合物Oを生成した。H NMR (400 MHz
, DMSO−d) δ 8.42 − 8.19 (m, 2H), 7.55 −
7.43 (m, 2H), 7.39 (dd, J = 8.6, 7.2 Hz
, 2H), 7.30 − 7.12 (m, 3H), 6.53 (d, J =
10.1 Hz, 1H), 4.82 (七重線, J = 6.3 Hz, 1H
), 1.38 (s, 6H), 1.09 (d, J = 6.3, 6H).
31P NMR (162 MHz, DMSO−d) δ −2.84.LC/M
S:t=1.73分、MS m/z=422.92[M+1];LC装置:Therm
o Accela 1250 UHPLC;MS装置:Thermo LCQ Flee
t;カラム:Kinetex 2.6μ XB−C18 100A、50×3.00mm
;溶媒:0.1%ギ酸を含むアセトニトリル、0.1%ギ酸を含む水;勾配:1.8mL
/分で、0分〜2.4分 2〜100%ACN、2.4分〜2.80分 100%ACN
、2.8分〜2.85分 100%〜2%ACN、2.85分〜3.0分 2%ACN。
イソプロピル2−(((((2R,3S,4R,5R)−5−(4−アミノピロロ[2,
1−f][1,2,4]トリアジン−7−イル)−5−シアノ−3,4−ジヒドロキシテ
トラヒドロフラン−2−イル)メトキシ)(フェノキシ)ホスホリル)アミノ)−2−メ
チルプロパノエート(化合物31)の調製
【化122】
【0243】
化合物1(66mg、0.23mmol)をNMP(2.0mL)中に溶解させる。混
合物を約0℃に冷却し、tBuMgCl(THF中1.0M、0.57mL、0.57m
mol)をゆっくりと加える。反応物を約0℃で約30分撹拌させ、次いで、THF(1
.0mL)に溶解させた化合物O(143mg、0.34mmol)の溶液を加える。冷
浴を除去し、反応物を約50℃に予熱した油浴内に配置する。約2時間後、反応物を室温
に冷却し、酢酸およびメタノールでクエンチした。粗生成物を濃縮し、改質剤なしで、逆
相HPLCで精製することによって、化合物31を生成した。H NMR (400
MHz, DMSO−d) δ 7.88 (m, 3H), 7.30 (td,
J = 8.5, 7.0 Hz, 2H), 7.20 − 7.04 (m, 3H
), 6.87 (d, J = 4.5, 1H), 6.80 (d, J = 4
.5 Hz, 1H), 6.27 (d, 6.1 Hz, 1H), 5.75 (
t, J = 9.1 Hz, 1H), 5.34 (d, J = 5.7 Hz,
1H), 4.81 (p, J = 6.3 Hz, 1H), 4.71 − 4
.50 (m, 1H), 4.23 (m, 2H), 4.11 (m, 1H),
4.03 − 3.83 (m, 1H), 1.37 − 1.23 (m, 6H
), 1.18 − 1.04 (m, 6H). 31P NMR (162 MH
z, DMSO) δ 2.47, 2.43.LC/MS:t=1.08分、MS
m/z=575.06[M+1];LC装置:Thermo Accela 1250
UHPLC;MS装置:Thermo LCQ Fleet;カラム:Kinetex
2.6μ XB−C18 100A、50×3.00mm;溶媒:0.1%ギ酸を含むア
セトニトリル、0.1%ギ酸を含む水;勾配:1.8mL/分で、0分〜2.4分 2〜
100%ACN、2.4分〜2.80分 100%ACN、2.8分〜2.85分 10
0%〜2%ACN、2.85分〜3.0分 2%ACN。
(実施例35)
(S)−2−エチルブチル2−(((S)−(((2R,3S,4R,5R)−5−(4
−アミノピロロ[2,1−f][1,2,4]トリアジン−7−イル)−5−シアノ−3
,4−ジヒドロキシテトラヒドロフラン−2−イル)メトキシ)(フェノキシ)ホスホリ
ル)アミノ)プロパノエート(32)
【化123】
【0244】
(S)−2−エチルブチル2−(((S)−(((2R,3S,4R,5R)−5−(
4−アミノピロロ[2,1−f][1,2,4]トリアジン−7−イル)−5−シアノ−
3,4−ジヒドロキシテトラヒドロフラン−2−イル)メトキシ)(フェノキシ)ホスホ
リル)アミノ)プロパノエートの調製は以下に記載されている。
(3R,4R,5R)−3,4−ビス(ベンジルオキシ)−5−((ベンジルオキシ)メ
チル)ジヒドロフラン−2(3H)−オンの調製。
【化124】
【0245】
(3R,4R,5R)−3,4−ビス(ベンジルオキシ)−5−((ベンジルオキシ)
メチル)テトラヒドロフラン−2−オール(15.0g)をMTBE(60.0mL)、
KBr(424.5mg)、KHPO水溶液(2.5M、14.3mL)、およびT
EMPO(56mg)と合わせた。この混合物を約1℃に冷却した。デンプン/ヨウ化物
試験によって示しながら、出発物質の消費が完了するまで、ブリーチ水溶液(7.9重量
%)をゆっくりと少しずつ入れた。層を分離し、水層をMTBEで抽出した。合わせた有
機相をMgSOで乾燥させ、減圧下で濃縮することによって、生成物を固体として生成
した。
(4−アミノ−7−ヨードピロロ[2,1−f][1,2,4]トリアジン)の調製
【化125】
【0246】
N,N−ジメチルホルムアミド(70.27g)中の4−アミノピロロ[2,1−f]
[1,2,4]−トリアジン(10.03g;74.8mmol)の冷溶液に、内容物を
約0℃で保ちながら、N−ヨードスクシンイミド(17.01g;75.6mmol)を
少しずつ入れた。反応が完了(約0℃で約3時間)した時点で、内容物を約20〜30℃
で保ちながら、反応混合物を1Mの水酸化ナトリウム水溶液(11gのNaOHおよび2
76mLの水)に移し入れた。生成したスラリーを約22℃で1.5時間撹拌し、次いで
濾過した。固体を水(50mL)ですすぎ、真空下、約50℃で乾燥させることによって
、固体として、4−アミノ−7−ヨードピロロ[2,1−f][1,2,4]トリアジン
を生成した。H NMR (400 MHz, DMSO−d6) δ 7.90 (
s, 1H), 7.78 (br s, 2H), 6.98 (d, J = 4.
4 Hz, 1H), 6.82 (d, J = 4.4 Hz, 1H). 13
C NMR (101 MHz, DMSO−d6) δ 155.7, 149.1,
118.8, 118.1, 104.4, 71.9.MS m/z=260.97
[M+H]。
(4−アミノ−7−ヨードピロロ[2,1−f][1,2,4]トリアジン)を介した(
3R,4R,5R)−2−(4−アミノピロロ[2,1−f][1,2,4]トリアジン
−7−イル)−3,4−ビス(ベンジルオキシ)−5−((ベンジルオキシ)メチル)テ
トラヒドロフラン−2−オールの調製
【化126】
【0247】
窒素雰囲気下、反応器にヨードベース2(81g)およびTHF(1.6L)を入れた
。生成した溶液を約5℃に冷却し、TMSCl(68g)を入れた。次いで、内部温度を
約≦5℃に維持しながら、PhMgCl(345mL、THF中1.8M)をゆっくりと
入れた。反応混合物を約0℃で30分撹拌し、次いで約−15℃に冷却した。内部温度を
約−12℃より低く維持しながら、iPrMgCl−LiCl(311mL、THF中1
.1M)をゆっくりと入れた。約−15℃で約10分間撹拌後、反応混合物を約−20℃
に冷却し、ラクトン1(130g)のTHF(400mL)溶液を入れた。次いで、反応
混合物を約−20℃で約1時間撹拌し、AcOH(57mL)でクエンチした。反応混合
物を約0℃に温め、NaHCO水溶液(5重量%、1300mL)でpH7〜8に調節
した。次いで、反応混合物をEtOAc(1300mL)で希釈し、有機層および水層を
分離した。有機層を1N HCl(1300mL)、NaHCO水溶液(5重量%、1
300mL)、およびブライン(1300mL)で洗浄し、次いで無水NaSOで乾
燥させ、濃縮乾固させた。MeOHとEtOAcの混合物からなる勾配を使用するシリカ
ゲルカラムクロマトグラフィーによる精製により、生成物を生成した。
((2S)−2−エチルブチル2−(((ペルフルオロフェノキシ)(フェノキシ)ホス
ホリル)アミノ)プロパノエート)(SpとRpの混合物)の調製:
【化127】
【0248】
L−アラニン2−エチルブチルエステル塩酸塩(5.0g、23.84mmol)を塩
化メチレン(40mL)と合わせ、約−78℃に冷却し、ジクロロリン酸フェニル(3.
65mL、23.84mmol)を加えた。トリエチルアミン(6.6mL、47.68
mmol)を約−78℃で約60分にわたり加え、生成した混合物を周辺温度で3時間撹
拌した。反応混合物を約0℃に冷却し、ペンタフルオロフェノール(4.4g、23.8
4mmol)を加えた。トリエチルアミン(3.3mL、23.84mmol)を約60
分にわたり加えた。混合物を周辺温度で約3時間撹拌し、減圧下で濃縮した。残留物をE
tOAcに溶解させ、炭酸ナトリウム水溶液で数回洗浄し、減圧下で濃縮した。残留物を
、EtOAcおよびヘキサン(0〜30%)の勾配を使用するシリカゲルカラムクロマト
グラフィーで精製した。生成物含有画分を減圧下で濃縮することによって、固体として、
(2S)−2−エチルブチル2−(((ペルフルオロフェノキシ)(フェノキシ)ホスホ
リル)アミノ)プロパノエートを得た。H NMR (400 MHz, クロロホル
ム−d) δ 7.41 − 7.32 (m, 4H), 7.30 − 7.17
(m, 6H), 4.24 − 4.16 (m, 1H), 4.13 − 4.0
3 (m, 4H), 4.01 − 3.89 (m, 1H), 1.59 − 1
.42 (m, 8H), 1.40 − 1.31 (m, 8H), 0.88 (
t, J = 7.5 Hz, 12H). 31P NMR (162 MHz, ク
ロロホルム−d) δ−1.52. 19F NMR (377 MHz, クロロホ
ルム−d) δ−153.63, −153.93 (m), −160.05 (td
, J = 21.9, 3.6 Hz), −162.65 (qd, J = 22
.4, 20.5, 4.5 Hz).MS m/z=496[M+H]。
((2S)−2−エチルブチル2−(((ペルフルオロフェノキシ)(フェノキシ)ホス
ホリル)アミノ)プロパノエート)の調製:
【化128】


L−アラニン−2−エチルブチルエステル塩酸塩(40.10g、0.191mmol
)をジクロロメタン(533g)に溶解させ、N(g)下、約−15℃で撹拌しながら
溶液を冷却した。ジクロロリン酸フェニル(40.32g、0.191mol)を加え、
これに続いて、トリエチルアミン(41.58g、0.411mmol)をゆっくりと加
え、反応混合物を約−15℃で約1.5時間撹拌した。ペンタフルオロフェノール(35
.14g、0.191mol)を加え、これに続いて、トリエチルアミン(19.23g
、0.190mol)を加え、反応混合物を約2時間撹拌した。反応混合物を約0℃に温
め、0.5M HCl(279.19g)を加えた。混合物を約22℃に温め、有機層を
分離し、5%KHCO水溶液(281g)、次いで水(281g)で洗浄した。有機層
のアリコート(604.30gの溶液の453.10g)を約120mLの容量に濃縮し
、酢酸イソプロピル(157g)を加え、溶液を濃縮乾固した。残留物を酢酸イソプロピ
ル(158g)に溶解させた。生成した溶液を約120mLの体積に濃縮し、温度を約4
5℃に調節した。n−ヘプタン(165g)を加え、混合物を22℃に、約1時間にわた
り冷却した。n−ヘプタン(167g)を加え、混合物を約0℃に冷却した。トリエチル
アミン(2.90g、0.0287mol)を加え、混合物を0℃で約17時間撹拌した
。混合物を濾過し、固体をn−ヘプタン(145g)ですすぎ、固体を真空下、約40℃
で約15時間乾燥させることによって、2−エチルブチル((S)−(ペンタフルオロフ
ェノキシ(penthafluorophenoxy))(フェノキシ)ホスホリル)−
L−アラニネートを得た。
2−エチルブチル((S)−(4−ニトロフェノキシ)(フェノキシ)ホスホリル)−L
−アラニネートの調製:
【化129】


L−アラニン−2−エチルブチルエステル塩酸塩(20.08g、95.8mmol)
および酢酸イソプロピル(174g)のスラリーを撹拌しながら約−20℃に冷却した。
ジクロロリン酸フェニル(20.37g、96.5mmol)を加え、これに続いてトリ
エチルアミン(20.97g、207.2mmol)をゆっくりと加え、混合物を約−2
0℃で約1時間撹拌した。4−ニトロフェノール(13.23g、95.1mmol)を
加え、これに続いてトリエチルアミン(10.01g、98.8mmol)をゆっくりと
加え、反応混合物を約1.5時間撹拌した。反応混合物を約0℃に温め、0.5M HC
l(140g)を加えた。有機層を分離し、5%NaCO(2×100g)および1
0%NaCl(2×100g)で洗浄した。次いで、有機層を約80mLの容量に濃縮し
、酢酸イソプロピル(4g)、これに続いてn−ヘプタン(110g)を加えた。生成物
の種結晶(0.100g)を加え、これに続いて、第2のn−ヘプタン(110g)を加
え、混合物を約0℃に冷却した。1,8−ジアザビシクロウンデカ−7−エン(1.49
g、9.79mmol)を加え、混合物を約0℃で約21時間撹拌した。生成した固体を
濾過し、最初にn−ヘプタン(61g)で、次いでHO(2×100g)で洗浄した。
固体をHO(200g)で約1.5時間撹拌し、濾過し、HO(3×100g)、次
いでn−ヘプタン(61g)ですすいだ。得た固体を真空下、約40℃で約19時間乾燥
させることによって、2−エチルブチル((S)−(4−ニトロフェノキシ)(フェノキ
シ)ホスホリル)−L−アラニネートを得た。
表題化合物(SpとRpの混合物)の調製:
【化130】
【0249】
ヌクレオシド(29mg、0.1mmol)およびホスホンアミド(60mg、0.1
2mmol)およびN,N−ジメチルホルムアミド(2mL)を周辺温度で合わせた。t
ert−ブチルマグネシウムクロリド(THF中1M、0.15mL)をゆっくりと加え
た。約1時間後、反応物を酢酸エチルで希釈し、クエン酸水溶液(5重量%)、NaHC
飽和水溶液およびブライン飽和溶液で洗浄した。有機相をNaSOで乾燥させ、
減圧下で濃縮した。メタノールおよびCHCl(0〜5%)の勾配を使用して、残留
物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製した。生成物含有画分を減圧下で濃縮す
ることによって、生成物を得た。
(3aR,4R,6R,6aR)−4−(4−アミノピロロ[2,1−f][1,2,4
]トリアジン−7−イル)−6−(ヒドロキシメチル)−2,2−ジメチルテトラヒドロ
フロ[3,4−d][1,3]ジオキソール−4−カルボニトリルの調製:
【化131】
【0250】
(2R,3R,4S,5R)−2−(4−アミノピロロ[2,1−f][1,2,4]
トリアジン−7−イル)−3,4−ジヒドロキシ−5−(ヒドロキシメチル)テトラヒド
ロフラン−2−カルボニトリル(5.8g、0.02mol)、2,2−ジメトキシプロ
パン(11.59mL、0.09mol)およびアセトン(145mL)の混合物に、周
辺温度で硫酸(18M、1.44mL)を加えた。混合物を約45℃に温めた。約30分
後、混合物を周辺温度に冷却し、炭酸水素ナトリウム(5.8g)および水(5.8mL
)を加えた。15分後、混合物を減圧下で濃縮した。残留物を酢酸エチル(150mL)
および水(50mL)中に溶解させた。水層を酢酸エチル(2×50mL)で抽出した。
合わせた有機相を硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下で濃縮することによって、粗製(2
R,3R,4S,5R)−2−(4−アミノピロロ[2,1−f][1,2,4]トリア
ジン−7−イル)−3,4−ジヒドロキシ−5−(ヒドロキシメチル)テトラヒドロフラ
ン−2−カルボニトリルを得た。H NMR (400 MHz, CDOD) δ
7.84 (s, 1H), 6.93 (d, J = 4.6 Hz, 1H),
6.89 (d, J = 4.6 Hz, 1H), 5.40 (d, J =
6.7 Hz, 1H), 5.00 (dd, J = 6.7, 3.3 Hz,
1H), 4.48 − 4.40 (m, 1H), 3.81 − 3.72 (m
, 2H), 1.71 (s, 3H), 1.40 (s, 3H).MS m/z
=332.23[M+1]。
(3aR,4R,6R,6aR)−4−(4−アミノピロロ[2,1−f][1,2,4
]トリアジン−7−イル)−6−(ヒドロキシメチル)−2,2−ジメチルテトラヒドロ
フロ[3,4−d][1,3]ジオキソール−4−カルボニトリルTsOH塩の調製:
【化132】
【0251】
(2R,3R,4S,5R)−2−(4−アミノピロロ[2,1−f][1,2,4]
トリアジン−7−イル)−3,4−ジヒドロキシ−5−(ヒドロキシメチル)テトラヒド
ロフラン−2−カルボニトリル(5.0g、17.2mmol、1.0当量)、2,2−
ジメトキシプロパン(10.5mL、86mmol、5.0当量)およびアセトン(25
mL)の混合物に、周辺温度でp−トリルスルホン酸(3.59g、1.1当量)を加え
た。混合物を周辺温度で撹拌した。約30分後、酢酸イソプロピル(25mL)を約1時
間にわたり加えた。生成したスラリーを濾過し、2:1ヘプタン:酢酸イソプロピル(2
5ml)ですすいだ。生成物を真空下、約40℃で乾燥させた。
(3aR,4R,6R,6aR)−4−(4−アミノピロロ[2,1−f][1,2,4
]トリアジン−7−イル)−6−(ヒドロキシメチル)−2,2−ジメチルテトラヒドロ
フロ[3,4−d][1,3]ジオキソール−4−カルボニトリルの調製:
【化133】
【0252】
(2R,3R,4S,5R)−2−(4−アミノピロロ[2,1−f][1,2,4]
トリアジン−7−イル)−3,4−ジヒドロキシ−5−(ヒドロキシメチル)テトラヒド
ロフラン−2−カルボニトリル(5g、17.2mmol、1.0当量)、2,2−ジメ
トキシプロパン(10.5mL、86mmol、5.0当量)およびアセトン(25mL
)の混合物に、周辺温度で、p−トリルスルホン酸(3.59g、1.1当量)を加えた
。混合物を周辺温度で撹拌した。30分後、酢酸イソプロピル(25mL)を1時間にわ
たり加えた。生成したスラリーを濾過し、2:1ヘプタン:酢酸イソプロピル(25ml
)ですすいだ。生成物を真空下、40℃で乾燥させた。単離した固体を反応器に加え、5
%KCO溶液(50ml)および酢酸エチル(50mL)を加えた。層を分離し、水
層を酢酸エチル(25ml)で洗浄した。合わせた有機層を水で洗浄し(25ml)、次
いで約25mlに濃縮した。反応器に酢酸イソプロピル(25ml)を再度入れ、約25
mlに濃縮した。反応器に酢酸イソプロピル(25ml)を再度入れ、25mlに濃縮し
た。生成した溶液に種結晶をまき、高粘度スラリーを生成した。これに、1時間にわたり
ヘプタン(25ml)を加えた。生成したスラリーを濾過し、2:1ヘプタン:酢酸イソ
プロピル(25ml)ですすいだ。生成物を真空下、40℃で乾燥させた。(2R,3R
,4S,5R)−2−(4−アミノピロロ[2,1−f][1,2,4]トリアジン−7
−イル)−3,4−ジヒドロキシ−5−(ヒドロキシメチル)テトラヒドロフラン−2−
カルボニトリル。H NMR (400 MHz, CDOD) δ 7.84 (
s, 1H), 6.93 (d, J = 4.6 Hz, 1H), 6.89 (
d, J = 4.6 Hz, 1H), 5.40 (d, J = 6.7 Hz,
1H), 5.00 (dd, J = 6.7, 3.3 Hz, 1H), 4.
48 − 4.40 (m, 1H), 3.81 − 3.72 (m, 2H),
1.71 (s, 3H), 1.40 (s, 3H).MS m/z=332.23
[M+1]。
(2S)−2−エチルブチル2−(((((2R,3S,4R,5R)−5−(4−アミ
ノピロロ[2,1−f][1,2,4]トリアジン−7−イル)−5−シアノ−3,4−
ジヒドロキシテトラヒドロフラン−2−イル)メトキシ)(フェノキシ)ホスホリル)ア
ミノ)プロパノエートの調製:
【化134】
【0253】
周辺温度で、アセトニトリル(100mL)を(2S)−2−エチルブチル2−(((
4−ニトロフェノキシ)(フェノキシ)ホスホリル)−アミノ)プロパノエート(9.6
g、21.31mmol)、基質アルコール(6.6g、0.02mol)、塩化マグネ
シウム((1.9g、19.91mmol)と合わせた。混合物を約15分撹拌し、N,
N−ジイソプロピルエチルアミン(8.67mL、49.78mmol)を加えた。約4
時間後、反応物を酢酸エチル(100mL)で希釈し、約0℃に冷却し、クエン酸水溶液
(5重量%、100mL)と合わせた。有機相をクエン酸水溶液(5重量%、100mL
)および塩化アンモニウム飽和水溶液(40mL)、炭酸カリウム水溶液(10重量%、
2×100mL)、およびブライン飽和水溶液(100mL)で洗浄した。有機相を硫酸
ナトリウムで乾燥させ、減圧下で濃縮することによって、粗生成物を得た。H NMR
(400 MHz, CDOD) δ 7.86 (s, 1H), 7.31 −
7.22 (m, 2H), 7.17 − 7.09 (m, 3H), 6.93
− 6.84 (m, 2H), 5.34 (d, J = 6.7 Hz, 1H
), 4.98 (dd, J = 6.6, 3.5 Hz, 1H), 4.59
− 4.50 (m, 1H), 4.36 − 4.22 (m, 2H), 4.0
2 (dd, J = 10.9, 5.7 Hz, 1H), 3.91 (dd,
J = 10.9, 5.7 Hz, 1H), 3.83 (dq, J = 9.7
, 7.1 Hz, 1H), 1.70 (s, 3H), 1.50 − 1.41
(m, 1H), 1.39 (s, 3H), 1.36 − 1.21 (m,
7H), 0.86 (t, J = 7.4 Hz, 6H).MS m/z=643
.21[M+1]。
(S)−2−エチルブチル2−(((S)−(((2R,3S,4R,5R)−5−(4
−アミノピロロ[2,1−f][1,2,4]トリアジン−7−イル)−5−シアノ−3
,4−ジヒドロキシテトラヒドロフラン−2−イル)メトキシ)(フェノキシ)ホスホリ
ル)アミノ)プロパノエート(化合物32)の調製
【化135】
【0254】
粗製のアセトニド(12.85g)をテトラヒドロフラン(50mL)と合わせ、減圧
下で濃縮した。残留物をテトラヒドロフラン(100mL)中に溶解させ、約0℃に冷却
し、濃HCl(20mL)をゆっくりと加えた。混合物を周辺温度に温めた。HPLC分
析により示されたように開始アセトニドが消費された後、水(100mL)を加え、これ
に続いて、重炭酸ナトリウム飽和水溶液(200mL)を加えた。混合物を酢酸エチルで
抽出し(100mL)、有機相をブライン飽和水溶液(50mL)で洗浄し、硫酸ナトリ
ウムで乾燥させ、減圧下で濃縮した。メタノールおよび酢酸エチルの勾配(0〜20%)
を使用するシリカゲルカラムクロマトグラフィーで残留物を精製した。生成物含有画分を
減圧下で濃縮することによって、生成物を得た。
(S)−2−エチルブチル2−(((S)−(((2R,3S,4R,5R)−5−(4
−アミノピロロ[2,1−f][1,2,4]トリアジン−7−イル)−5−シアノ−3
,4−ジヒドロキシテトラヒドロフラン−2−イル)メトキシ)(フェノキシ)ホスホリ
ル)アミノ)プロパノエート(化合物32)の調製
【化136】


(S)−2−エチルブチル2−(((S)−(((3aR,4R,6R,6aR)−6
−(4−アミノピロロ[2,1−f][1,2,4]トリアジン−7−イル)−6−シア
ノ−2,2−ジメチルテトラヒドロフロ[3,4−d][1,3]ジオキソール−4−イ
ル)メトキシ)(フェノキシ)ホスホリル)アミノ)プロパノエート(30mg、0.0
5mmol)を含有するバイアルに、80%ギ酸水溶液(1.5mL)を加えた。約20
℃で18時間後、完全な変換がHPLCおよびLC−MSにより確認された。MS(m/
z)=603(M+1)
直接カップリングを介した(S)−2−エチルブチル2−(((S)−(((2R,3S
,4R,5R)−5−(4−アミノピロロ[2,1−f][1,2,4]トリアジン−7
−イル)−5−シアノ−3,4−ジヒドロキシテトラヒドロフラン−2−イル)メトキシ
)(フェノキシ)ホスホリル)アミノ)プロパノエート(化合物32)の調製
【化137】
【0255】
(2R,3R,4S,5R)−2−(4−アミノピロロ[2,1−f][1,2,4]
トリアジン−7−イル)−3,4−ジヒドロキシ−5−(ヒドロキシメチル)テトラヒド
ロフラン−2−カルボニトリル(0.5g、2mmol)、(S)−2−エチルブチル2
−(((S)−(4−ニトロフェノキシ)(フェノキシ)ホスホリル)アミノ)プロパノ
エート(0.9g、2mmol)、およびMgCl(0.2g、2mmol)の混合物
に、N,N−ジメチルアセトアミド(10mL)を入れた。生成した混合物を、絶え間な
く撹拌しながら約30℃に温めた。次いで、N,N−ジイソプロピルエチルアミン(0.
7mL、4mmol)をゆっくりと加え、反応混合物を約6時間撹拌した。水(10mL
)を入れ、HOを入れ、これに続いて2−MeTHF(10mL)を入れ、有機相と水
相を分離した。次いで、水層から2−MeTHF(10mL)で抽出し戻した。有機層を
合わせ、10重量%のクエン酸溶液(10mL)、これに続いて10重量%のKCO
溶液(10mL)、およびHO(10mL)で洗浄した。少量のブラインを加えて、水
洗浄液中の乳濁液を分解してから、層を分離した。有機層を蒸発乾固させることによって
、0.65gの泡状物質を生成した。次いで、iPrOAc(2.6mL)を加え、混合
物を約40℃に温めることによって、溶解を達成した。溶液を約20℃に冷却し、混合物
を約3日間撹拌した。固体を濾過で単離し、フィルターケーキを少量のiPrOAcで洗
浄した。固体を乾燥させることによって、(S)−2−エチルブチル2−(((S)−(
((2R,3S,4R,5R)−5−(4−アミノピロロ[2,1−f][1,2,4]
トリアジン−7−イル)−5−シアノ−3,4−ジヒドロキシテトラヒドロフラン−2−
イル)メトキシ)(フェノキシ)ホスホリル)アミノ)プロパノエートを生成した。
【化138】
【0256】
(2R,3R,4S,5R)−2−(4−アミノピロロ[2,1−f][1,2,4]
トリアジン−7−イル)−3,4−ジヒドロキシ−5−(ヒドロキシメチル)テトラヒド
ロフラン−2−カルボニトリル(0.2g、0.7mmol)、(S)−2−エチルブチ
ル2−(((S)−(ペルフルオロフェノキシ)(フェノキシ)ホスホリル)アミノ)プ
ロパノエート(0.3g、0.7mmol)、およびMgCl(0.1g、1mmol
)の混合物に、N,N−ジメチルアセトアミド(4mL)を入れた。生成した混合物を、
絶え間なく撹拌しながら約30℃に温めた。次いで、N,N−ジイソプロピルエチルアミ
ン(0.3mL、2mmol)をゆっくりと加え、反応混合物を5時間撹拌した。生成物
への変換を、UPLC分析によって確認した。
(3R,4R,5R)−2−(4−アミノピロロ[2,1−f][1,2,4]トリアジ
ン−7−イル)−3,4−ビス((tert−ブチルジメチルシリル)オキシ)−5−(
((tert−ブチルジメチルシリル)オキシ)メチル)テトラヒドロフラン−2−オー
ルの調製
【化139】
【0257】
7−ヨードピロロ[2,1−f][1,2,4]トリアジン−4−アミン(13.9g
、53.5mmol)の溶液を、THF(280mL)で調製した。溶液を約0℃に冷却
し、TMSCl(13.6mL、107mmol)を加えた。反応混合物を約20分撹拌
し、次いで、内部温度を約5℃より低く維持しながらPhMgCl(THF中2M;53
.5mL、56.8mmol)を加えた。反応混合物を約0℃で約30分撹拌し、次いで
約−20℃に冷却した。次いで、内部温度を約−15℃より低く維持しながら、iPrM
gCl−LiCl(THF中1.3M、43.1mL、56mmol)を加えた。反応混
合物を約−20℃で約30分撹拌した。
【0258】
別のフラスコ内で、(3R,4R,5R)−3,4−ビス((tert−ブチルジメチ
ルシリル)オキシ)−5−(((tert−ブチルジメチルシリル)オキシ)メチル)ジ
ヒドロフラン−2(3H)−オン(25.0g、50.9mmol、0.83当量)の溶
液をLaCl−2LiCl(THF中0.6M、85mL、50.9mmol)で調製
した。次いで、内部温度を−20℃より低く維持しながら、溶液をグリニャール溶液に移
した。生成した反応混合物を約−20℃で約4時間撹拌した。
【0259】
反応物を1M HCl(140mL)でクエンチし、混合物を周辺温度に温めた。Et
OAc(140mL)を加え、有機相と水相を分離した。水層をEtOAc(200mL
)で抽出した。合わせたEtOAc層を飽和NaHCO水溶液(2×200mL)、水
(200mL)、およびブライン(200mL)で順次抽出した。有機層を濃縮し、次い
でシリカゲルクロマトグラフィー(30%EtOAc/ヘキサン)で精製することによっ
て、(3R,4R,5R)−2−(4−アミノピロロ[2,1−f][1,2,4]トリ
アジン−7−イル)−3,4−ビス((tert−ブチルジメチルシリル)オキシ)−5
−(((tert−ブチルジメチルシリル)オキシ)メチル)テトラヒドロフラン−2−
オールを生成した。H NMR (300 MHz, CDCl) δ 8.15
− 7.88 (m, 1H), 7.51 (d, J = 4.8 Hz, 0.5
H), 7.02 − 6.92 (m, 0.5H), 6.65 − 6.57 (
m, 1H), 5.66 − 5.24 (m, 3H), 4.49 − 3.50
(m, 4H), 0.97 − 0.78 (26H), 0.65 (s, 1.
5H), 0.19 − 0.00 (m, 15.5H), −0.22 (s, 1
H), −0.55 (s, 1H).MS m/z=626(M+H)。
(2R,3R,4R,5R)−2−(4−アミノピロロ[2,1−f][1,2,4]ト
リアジン−7−イル)−3,4−ビス((tert−ブチルジメチルシリル)オキシ)−
5−(ヒドロキシメチル)テトラヒドロフラン−2−カルボニトリルの調製
【化140】
【0260】
(3R,4R,5R)−2−(4−アミノピロロ[2,1−f][1,2,4]トリア
ジン−7−イル)−3,4−ビス((tert−ブチルジメチルシリル)オキシ)−5−
(((tert−ブチルジメチルシリル)オキシ)メチル)テトラヒドロフラン−2−オ
ール(1.50g、2.40mmol)のCHCl(15mL)溶液を約−40℃に
冷却した。温度を−20℃より低く保ちながら、トリフルオロ酢酸(0.555mL、7
.20mmol)を加えた。別のフラスコ内で、トリメチルシリルトリフルオロメタンス
ルホネート(2.60mL、14.4mmol)を、5mlのCHCl(5mL)に
約15℃で加え、これに続いてトリメチルシリルシアニド(1.92mL、14.4mm
ol)を加え、溶液を約−30℃に冷却した。温度を−25℃より低く保ちながら、冷却
した溶液を(3R,4R,5R)−2−(4−アミノピロロ[2,1−f][1,2,4
]トリアジン−7−イル)−3,4−ビス((tert−ブチルジメチルシリル)オキシ
)−5−(((tert−ブチルジメチルシリル)オキシ)メチル)テトラヒドロフラン
−2−オール溶液に加えた。反応混合物を約−30℃で15分撹拌した。反応物をトリエ
チルアミン(3.34mL、24.0mmol)でクエンチし、混合物を約0℃に温めた
。温度を約20℃より低く保ちながら、水(50mL)を加えた。添加が完了したら、混
合物を室温で15分撹拌した。層を分離し、有機層をKOH(20mL)、水(20mL
)、およびブライン(20mL)で順次洗浄した。有機層をNaSOで乾燥させ、濃
縮し、次いでシリカゲルクロマトグラフィー(30%EtOAc/ヘキサン)で精製する
ことによって、ジアステレオマーの3.8:1混合物として生成物を生成した。混合物を
prep−HPLC(水中ACN 0〜95%)でさらに精製することによって、単一ジ
アステレオマーとして生成物を生成した)。H NMR (400 MHz, DMS
O−d6) δ 8.14−7.92 (m, 2H), 7.89 (s, 1H),
6.95 (d, J = 4.8 Hz, 1H), 6.88 (d, J =
4.4 Hz, 1H),5.27 (d, J = 4.6 Hz, 1H), 5.
10 (dd, J = 7.7, 4.6 Hz, 1H), 4.31 (dd,
J = 4.7, 1.4 Hz, 1H), 4.12 (ddd, J = 5.9
, 4.1, 1.4 Hz, 1H), 3.80 − 3.69 (m, 1H),
3.56 (td, J = 7.8, 3.9 Hz, 1H), 0.93 (s
, 9H), 0.75 (s, 9H), 0.11 (s, 3H), 0.09
(s, 3H), −0.15 (s, 3H), −0.62 (s, 3H).MS
m/z=520(M+H)。
(S)−2−エチルブチル2−(((S)−(((2R,3R,4R,5R)−5−(4
−アミノピロロ[2,1−f][1,2,4]トリアジン−7−イル)−3,4−ビス(
(tert−ブチルジメチルシリル)オキシ)−5−シアノテトラヒドロフラン−2−イ
ル)メトキシ)(フェノキシ)ホスホリル)アミノ)プロパノエートの調製
【化141】


(2R,3R,4R,5R)−2−(4−アミノピロロ[2,1−f][1,2,4]
トリアジン−7−イル)−3,4−ビス((tert−ブチルジメチルシリル)オキシ)
−5−(ヒドロキシメチル)テトラヒドロフラン−2−カルボニトリル(16mg、0.
03mmol)、(S)−2−エチルブチル2−(((S)−(4−ニトロフェノキシ)
(フェノキシ)ホスホリル)アミノ)プロパノエート(17mg、0.04mmol)、
およびMgCl(4mg、0.05mmol)の混合物に、THF(0.3mL)を入
れた。生成した混合物を、絶え間なく撹拌しながら約50℃に温めた。次いで、N,N−
ジイソプロピルエチルアミン(0.013mL、0.08mmol)を加え、反応混合物
を21時間撹拌した。UPLCおよびLC−MS分析によって、生成物への変換を確認し
た。MS m/z=831(M+H)。
【化142】


(2R,3R,4R,5R)−2−(4−アミノピロロ[2,1−f][1,2,4]
トリアジン−7−イル)−3,4−ビス((tert−ブチルジメチルシリル)オキシ)
−5−(ヒドロキシメチル)テトラヒドロフラン−2−カルボニトリル(16mg、0.
03mmol)のTHF(0.3mL)溶液を−10℃に冷却した。tBuMgClを滴
下添加し(0.07mL、0.07mmol)、これに続いて、(S)−2−エチルブチ
ル2−(((S)−(ペルフルオロフェノキシ)(フェノキシ)ホスホリル)アミノ)プ
ロパノエート(22mg、0.04mmol)のTHF(0.15mL)溶液を滴下添加
した。反応混合物を5℃に温め、16時間撹拌した。反応物をMeOHでクエンチし、濃
縮し、次いでシリカゲルクロマトグラフィー(EtOAc/ヘキサン)で精製することに
よって、生成物を生成した。1H NMR (400 MHz, CDCl) δ 7
.97 (s, 1H), 7.38 − 7.29 (m, 2H), 7.25 −
7.21 (m, 2H), 7.21 − 7.13 (m, 1H), 7.11
(d, J = 4.6 Hz, 1H), 6.65 (d, J = 4.6 H
z, 1H), 5.88 (br s, 2H), 5.35 (d, J = 4.
4 Hz, 1H), 4.49 − 4.41 (m, 1H), 4.41 −
4.35 (m, 1H), 4.32 − 4.26 (m, 1H), 4.24
(dd, J = 4.5, 1.7 Hz, 1H), 4.10 − 3.99 (
m, 2H), 3.96 (dd, J = 10.9, 5.7 Hz, 1H),
3.80 − 3.72 (m, 1H), 1.48 (h, J = 6.2 H
z, 1H), 1.39 − 1.28 (m, 7H), 0.96 (s, 9H
), 0.85 (t, J = 7.5 Hz, 6H), 0.80 (s, 9H
), 0.08 (s, 3H), 0.07 (s, 3H), −0.13 (s,
3H), −0.56 (s, 3H). 31P NMR (162 MHz, C
DCl3) δ 2.74 (s).MS m/z=831(M+H)。
(S)−2−エチルブチル2−(((S)−(((2R,3S,4R,5R)−5−(4
−アミノピロロ[2,1−f][1,2,4]トリアジン−7−イル)−5−シアノ−3
,4−ジヒドロキシテトラヒドロフラン−2−イル)メトキシ)(フェノキシ)ホスホリ
ル)アミノ)プロパノエートの調製
【化143】


(S)−2−エチルブチル2−(((S)−(((2R,3R,4R,5R)−5−(
4−アミノピロロ[2,1−f][1,2,4]トリアジン−7−イル)−3,4−ビス
((tert−ブチルジメチルシリル)オキシ)−5−シアノテトラヒドロフラン−2−
イル)メトキシ)(フェノキシ)ホスホリル)アミノ)プロパノエートの粗製の溶液を約
0℃に冷却し、濃HCl(0.05mL、0.62mmol)をゆっくりと加えた。反応
混合物を約20℃で約72時間撹拌した。UPLCおよびLC−MS分析によって、生成
物への変換を確認した。MS m/z=603(M+H)。
【化144】


フッ化物または酸中の(S)−2−エチルブチル2−(((S)−(((2R,3R,
4R,5R)−5−(4−アミノピロロ[2,1−f][1,2,4]トリアジン−7−
イル)−3,4−ビス((tert−ブチルジメチルシリル)オキシ)−5−シアノテト
ラヒドロフラン−2−イル)メトキシ)(フェノキシ)ホスホリル)アミノ)プロパノエ
ートの溶液は、(S)−2−エチルブチル2−(((S)−(((2R,3S,4R,5
R)−5−(4−アミノピロロ[2,1−f][1,2,4]トリアジン−7−イル)−
5−シアノ−3,4−ジヒドロキシテトラヒドロフラン−2−イル)メトキシ)(フェノ
キシ)ホスホリル)アミノ)プロパノエートの溶液へと脱保護することができる。代表的
フッ化物として、これらに限定されないが、TBAF、KF、ピリジニウムフッ化水素酸
塩、トリエチルアンモニウムフッ化水素酸塩、フッ化水素、塩酸、トルエンスルホン酸、
または任意の他の適切なフッ化物供給源が挙げられる。代表的酸として、これらに限定さ
れないが、Greene, T. W.;Wuts, P. G. M. Protec
tive Groups In Organic Synthesis、第4版、Joh
n Wiley & Sons:New York、2006年に見出されるものが挙げ
られる。
(実施例35−a)
((((2R,3S,4R,5R)−5−(4−アミノピロロ[2,1−f][1,2,
4]トリアジン−7−イル)−5−シアノ−3,4−ジヒドロキシテトラヒドロフラン−
2−イル)メトキシ)オキシドホスホリル)アラニネート(化合物35)
【化145】
【0261】
2−エチルブチル((S)−(((2R,3S,4R,5R)−5−(4−アミノピロ
ロ[2,1−f][1,2,4]トリアジン−7−イル)−5−シアノ−3,4−ジヒド
ロキシテトラヒドロフラン−2−イル)メトキシ)(フェノキシ)ホスホリル)−L−ア
ラニネート(130mg、0.216mmol)をアセトニトリル(6mL)および水(
2mL)の混合物に溶解した。水酸化ナトリウム水溶液(2N、0.5mL)をrtで5
分にわたり滴下添加し、反応混合物を撹拌した。2時間後、生成した混合物を減圧下で濃
縮し、水で溶出するC18カラムでのHPLCで残渣を精製することによって、ビス−ナ
トリウム塩として所望の生成物を生成した。H NMR (400 MHz, D
) δ 7.79 (s, 1H), 6.86 (d, J = 4.7 Hz, 1
H), 6.80 (d, J = 4.7 Hz, 1H), 4.86 (d, J
= 5.4 Hz, 1H), 4.40 − 4.34 (m, 1H), 4.3
0 (dd, J = 5.3, 3.0 Hz, 1H), 3.75 (qdd,
J = 11.6, 4.5, 3.1 Hz, 2H), 3.20 (dq, J
= 8.6, 7.1 Hz, 1H), 0.86 (d, J = 7.0 Hz,
3H). 31P NMR (162 MHz, DO) δ 7.30.LCM
S m/z442.95[M+H]。HPLC(0.1%TFA改質剤を有する2〜98
%MeCN−HO勾配を、8.5分、1.5mL/min、カラム:Phenomen
ex Kinetex C18、2.6um100Å、4.6×100mm)t=2.
694分。
B.抗ウイルス活性
【0262】
本発明の別の態様は、ウイルス感染症を阻害する方法であって、このような阻害を必要
とする疑いのある試料または対象を本発明の組成物で処置するステップを含む方法に関す
る。
【0263】
本発明の関連の中で、ウイルスを含有する疑いのある試料は、天然または人工の物質、
例えば、生命体;組織または細胞培養物など;生物学的試料、例えば、生物学的物質の試
料(血液、血清、尿、脳脊髄液、涙、痰、唾液、組織試料など)など;実験試料;食物、
水、または空気の試料;バイオ製品の試料、例えば、細胞抽出物、特に所望の糖タンパク
質を合成する組換え型細胞などを含む。典型的には、試料は、ウイルス感染症を誘発する
生物、多くの場合腫瘍ウイルスなどの病原生物を含有する疑いがある。試料は、水および
有機溶媒\水の混合物を含めた任意の媒体中に含有されていてもよい。試料は、ヒトなど
の生命体、および細胞培養物などの人工物質を含む。
【0264】
所望する場合、組成物適用後の本発明の化合物の抗ウイルス活性は、このような活性を
検出する直接的および間接的方法を含む、任意の方法により観察することができる。この
ような活性を決定する定量的、定性的、および半定量的方法がすべて想定される。典型的
には、上に記載されているスクリーニング法の1つが適用されるが、任意の他の方法、例
えば、生命体の生理学的特性の観察などもまた適切である。
【0265】
本発明の化合物の抗ウイルス活性は、公知である標準的スクリーニングプロトコールを
使用して測定することができる。例えば、化合物の抗ウイルス活性は、以下の一般的プロ
トコールを使用して測定することができる。
【表1-3】


EBOV: エボラウイルス株Zaire
EBOV−GFP: 緑色蛍光タンパク質を発現するエボラリポーターウイルス
EBOV−LUC: ルシフェラーゼを発現するエボラリポーターウイルス
MARV−GFP: 緑色蛍光タンパク質を発現するマールブルグウイルス
NiV: ニパウイルス
NiV−GFP: 緑色蛍光タンパク質を発現するニパリポーターウイルス
NiV−LUC: ルシフェラーゼを発現するニパリポーターウイルス
HCS: ハイコンテントイメージング(エボラウイルスGP−タンパク質
の免疫染色)
GFP: 緑色蛍光タンパク質
LUC: ルシフェラーゼ
CPE セルタイターglo(CTG)試薬で測定した細胞変性効果
Hela: Hela上皮細胞(子宮頸癌)
HFF−1: ヒト包皮線維芽細胞
Huh−7: 肝細胞
HVMEC−TERT:テロメラーゼ触媒タンパク質で不死化したヒト微小血管の内皮細

(実施例36)
エボラウイルスの抗ウイルス活性および細胞毒性アッセイ
【0266】
エボラウイルス(EBOV)、マールブルグウイルス(MARV)(表2)、およびニ
パウイルス(NiV)(表3)に対する化合物1および化合物9の抗ウイルス活性を、ル
シフェラーゼまたは緑色蛍光タンパク質(GFP)を発現する完全に複製するリポーター
ウイルスを使用して測定した(Uebelhoer, L.S.、2014年. AVR
;Hoenen, T.、2013年. AVR)。エボラウイルス(EBOV)、マー
ルブルグウイルス(MARV)(表2−a)に対する化合物1および化合物9のさらなる
抗ウイルス活性を、ルシフェラーゼまたは緑色蛍光タンパク質(GFP)を発現する完全
に複製するリポーターウイルスを使用して測定した(Uebelhoer, L.S.、
2014年. AVR;Hoenen, T.、2013年. AVR)。すべての実験
は、米国疾病予防管理センター(Centers for Disease Contr
ol and Prevention)(CDC)において、バイオセーフティーレベル
4格納容器(BSL−4)内で行った。エボラウイルス抗ウイルスアッセイは、テロメラ
ーゼ触媒タンパク質(HMVEC−TERT)で不死化した原発性ヒト微小血管内皮細胞
において、およびHuh−7細胞において行った(Shao, R.、2004年、BB
RC)。ニパウイルス抗ウイルス活性をHMVEC−TERTおよびHela細胞におい
て測定した。
【0267】
抗ウイルスアッセイを96ウェルプレート内で行った。8〜10の濃度の化合物を培地
中3倍段階希釈の増分で希釈し、100uL/ウェルの各希釈物を、前もって播種した細
胞単層を含有するプレートに3つ組みで移した。プレートをBSL−4格納容器に移し、
滴定により事前に決定し、細胞培養物培地内で調製したウイルスストックの適当な希釈物
を、細胞および連続希釈した化合物を含有する試験プレートに加えた。各プレートは、0
%および100%ウイルス阻害対照としてそれぞれ機能する、感染した未処置の細胞の3
つのウェルおよび未感染細胞の3つのウェルを含んだ。感染後、試験プレートを組織培養
物インキュベーター内で3〜4日間インキュベートした。インキュベーション後、リポー
ターウイルスに対しては直接蛍光GFPにより、またはルシフェラーゼリポーターウイル
スに対してはこれに続くルシフェラーゼ基質の添加後、Envisionプレートリーダ
ーにおいてウイルス複製を測定した。ウイルス収率アッセイのため、感染細胞から培地を
除去し、一部分を使用して、逆転写定量的ポリメラーゼ連鎖反応法(RT−qPCR)に
よりウイルスRNAを定量化した。残りの培地を連続希釈し、新鮮な細胞単層を感染させ
るための希釈培地を使用することによって伝染性ウイルスの量を測定して、セルタイター
Glo試薬(Promega、Madison、WI)を使用して50%細胞変性効果(
TCID50)を引き起こす組織培養物の感染用量を決定した。ウイルス細胞変性効果(
CPE)アッセイのために、セルタイターGlo試薬を使用して、感染細胞の生存率を測
定した。
【0268】
0%および100%阻害対照と比較して、パーセンテージ阻害を各試験濃度に対して計
算し、各化合物に対するEC50値を、ウイルス複製を50%阻害した化合物の有効濃度
として非直線回帰により決定した。
(実施例37)
EBOV−GFP HMVEC−TERT細胞
【0269】
HMVEC−TERT細胞を96ウェルプレート内で播種した。8〜10の濃度の化合
物を培地中3倍段階希釈の増分で希釈し、100uL/ウェルの各希釈物を、前もって播
種したHMVEC−TERT単層を含有する96ウェルプレートに3つ組みで移した。プ
レートをBSL−4格納容器に移し、滴定により事前に決定し、細胞培養物培地内で調製
したEBOV−GFPウイルスストックの適当な希釈物を、細胞および連続希釈した化合
物を含有する試験プレートに加えた。各プレートは、0%および100%ウイルス阻害対
照としてそれぞれ機能する、感染した未処置の細胞の3つのウェルおよび未感染細胞の3
つのウェルを含んだ。感染後、試験プレートを組織培養物インキュベーター内で3〜4日
間インキュベートした。インキュベーション後、リポーターウイルスからのGFP発現を
測定する直接蛍光により、Envisionプレートリーダーにおいてウイルス複製を測
定した。0%および100%阻害対照と比較して、パーセンテージ阻害を各試験濃度に対
して計算し、各化合物に対するEC50値を、ウイルス複製を50%阻害した化合物の有
効濃度として非直線回帰により決定した。
(実施例38)
EBOV−GFP Huh−7細胞
【0270】
Huh−7細胞を96ウェルプレート内で播種した。8〜10の濃度の化合物を培地中
3倍段階希釈の増分で希釈し、100uL/ウェルの各希釈物を、前もって播種したHu
h−7単層を含有する96ウェルプレートに3つ組みで移した。プレートをBSL−4格
納容器に移し、滴定により事前に決定し、細胞培養物培地内で調製したEBOV−GFP
ウイルスストックの適当な希釈物を、細胞および連続希釈した化合物を含有する試験プレ
ートに加えた。各プレートは、0%および100%ウイルス阻害対照としてそれぞれ機能
する、感染した未処置の細胞の3つのウェルおよび未感染細胞の3つのウェルを含んだ。
感染後、試験プレートを組織培養物インキュベーター内で3〜4日間インキュベートした
。インキュベーション後、リポーターウイルスからのGFP発現を測定する直接蛍光によ
り、Envisionプレートリーダーにおいてウイルス複製を測定した。0%および1
00%阻害対照と比較して、パーセンテージ阻害を各試験濃度に対して計算し、各化合物
に対するEC50値を、ウイルス複製を50%阻害した化合物の有効濃度として非直線回
帰により決定した。
(実施例39)
EBOV−Luc Huh−7細胞
【0271】
Huh−7細胞を96ウェルプレート内に播種した。8〜10の濃度の化合物を、培地
中3倍段階希釈の増分で希釈し、100uL/ウェルの各希釈物を、前もって播種した細
胞単層を含有するプレートに3つ組みで移した。プレートをBSL−4格納容器に移し、
滴定により事前に決定し、細胞培養物培地内で調製したEBOV−Lucウイルスストッ
クの適当な希釈物を、細胞および連続希釈した化合物を含有する試験プレートに加えた。
各プレートは、0%および100%ウイルス阻害対照としてそれぞれ機能する、感染した
未処置の細胞の3つのウェルおよび未感染細胞の3つのウェルを含んだ。感染後、試験プ
レートを組織培養物インキュベーター内で3〜4日間インキュベートした。インキュベー
ション後、これに続くルシフェラーゼ基質の添加後、Envisionプレートリーダー
においてウイルス複製を測定した。0%および100%阻害対照と比較して、パーセンテ
ージ阻害を各試験濃度に対して計算し、各化合物に対するEC50値を、ウイルス複製を
50%阻害した化合物の有効濃度として非直線回帰により決定した。
(実施例40)
MARV−GFP Huh−7細胞
【0272】
Huh−7細胞を96ウェルプレート内で播種した。8〜10の濃度の化合物を培地中
3倍段階希釈の増分で希釈し、100uL/ウェルの各希釈物を、前もって播種したHu
h−7単層を含有する96ウェルプレートに3つ組みで移した。プレートをBSL−4格
納容器に移し、滴定により事前に決定し、細胞培養物培地内で調製したMARV−GFP
ウイルスストックの適当な希釈物を、細胞および連続希釈した化合物を含有する試験プレ
ートに加えた。各プレートは、0%および100%ウイルス阻害対照としてそれぞれ機能
する、感染した未処置の細胞の3つのウェルおよび未感染細胞の3つのウェルを含んだ。
感染後、試験プレートを組織培養物インキュベーター内で3〜4日間インキュベートした
。インキュベーション後、リポーターウイルスからのGFP発現を測定する直接蛍光によ
り、Envisionプレートリーダーにおいてウイルス複製を測定した。0%および1
00%阻害対照と比較して、パーセンテージ阻害を各試験濃度に対して計算し、各化合物
に対するEC50値を、ウイルス複製を50%阻害した化合物の有効濃度として非直線回
帰により決定した。
(実施例41)
エボラHuh−7(RNA)
【0273】
Huh−7細胞を96ウェルプレートに播種した。8〜10の濃度の化合物を培地中3
倍段階希釈の増分で希釈し、100uL/ウェルの各希釈物を、前もって播種したHuh
−7細胞単層を含有するプレートに3つ組みで移した。プレートをBSL−4格納容器に
移し、滴定により事前に決定し、細胞培養物培地内で調製したEBOVウイルスストック
の適当な希釈物を、細胞および連続希釈した化合物を含有する試験プレートに加えた。各
プレートは、0%および100%ウイルス阻害対照としてそれぞれ機能する、感染した未
処置の細胞の3つのウェルおよび未感染細胞の3つのウェルを含んだ。感染後、試験プレ
ートを組織培養物インキュベーター内で3〜4日間インキュベートした。インキュベーシ
ョン後、感染細胞から培地を除去し、一部分を使用して、逆転写定量的ポリメラーゼ連鎖
反応法(RT−qPCR)によりウイルスRNAを定量化した。0%および100%阻害
対照と比較して、パーセンテージ阻害を各試験濃度に対して計算し、各化合物に対するE
50値を、ウイルス複製を50%阻害した化合物の有効濃度として非直線回帰で決定し
た。
(実施例42)
エボラHuh−7(収率)
【0274】
Huh−7細胞を96ウェルプレートに播種した。8〜10の濃度の化合物を培地中3
倍段階希釈の増分で希釈し、100uL/ウェルの各希釈物を、前もって播種したHuh
−7細胞単層を含有するプレートに3つ組みで移した。プレートをBSL−4格納容器に
移し、滴定により事前に決定し、細胞培養物培地内で調製したEBOVウイルスストック
の適当な希釈物を、細胞および連続希釈した化合物を含有する試験プレートに加えた。各
プレートは、0%および100%ウイルス阻害対照としてそれぞれ機能する、感染した未
処置の細胞の3つのウェルおよび未感染細胞の3つのウェルを含んだ。感染後、試験プレ
ートを組織培養物インキュベーター内で3〜4日間インキュベートした。インキュベーシ
ョン後、感染細胞から培地を除去し、10倍段階希釈で希釈した。新鮮な細胞単層を感染
させるための希釈培地を使用することによって伝染性ウイルスの量を測定して、セルタイ
ターGlo試薬(Promega、Madison、WI)を使用して50%細胞変性効
果(TCID50)を引き起こす組織培養物感染用量を決定した。0%および100%阻
害対照と比較して、パーセンテージ阻害を各試験濃度に対して計算し、各化合物に対する
EC50値を、ウイルス複製を50%阻害した化合物の有効濃度として非直線回帰により
決定した。
(実施例43)
エボラHeLa細胞
【0275】
選択された化合物の、エボラウイルス(EBOV)株Zaireに対する抗ウイルス活
性を測定した(この測定は、米国陸軍感染症研究所(US Army Medical
Research Institute for Infections Diseas
e)(USAMRIID)においてバイオセーフティーレベル−4格納容器(BSL−4
)内で行った)。Hela細胞を、5000細胞/ウェルで384ウェルプレートに播種
した。各化合物の抗ウイルス活性を4連で測定した。感染の2時間前、8〜10の濃度の
化合物を、3倍段階希釈の増分で、HP300デジタルディスペンサーを使用して細胞培
養物に直接加えた。プレートをBSL−4格納容器に移し、滴定により事前に決定し、細
胞培養物培地内で調製したウイルスストックの適当な希釈物を、細胞および連続希釈した
化合物を含有する試験プレートに加えた。各プレートは、0%および100%ウイルス阻
害対照としてそれぞれ機能する、感染した未処置の細胞の3つのウェルおよび未感染細胞
の3つのウェルを含んだ。感染後、試験プレートを組織培養物インキュベーター内で2日
間インキュベートした。インキュベーション後、細胞をホルマリン溶液中に固定し、Pe
rkin Elmer Opera共焦点顕微鏡装置を使用した免疫染色およびハイコン
テントイメージングの後にエボラ糖タンパク質レベルを定量化することによってウイルス
複製を測定した。0%および100%阻害対照と比較して、パーセンテージ阻害を各試験
濃度に対して計算し、各化合物に対するEC50値を、ウイルス複製を50%阻害した化
合物の有効濃度として非直線回帰により決定した。
(実施例44)
エボラマクロファージ培養物
【0276】
選択された化合物の、エボラウイルス(EBOV)株Zaireに対する抗ウイルス活
性を測定した(この測定は、米国陸軍感染症研究所(USAMRIID)においてバイオ
セーフティーレベル−4格納容器(BSL−4)内で行った)。マクロファージ培養物を
新鮮なヒトPBMCから単離し、5ng/mlのGM−CSFおよび50uMのB−メル
カプトエタノールの存在下で分化した。培地を2日ごとに交換し、組織培養物プレートに
接着した細胞を、7日後に1×PBS中0.5M EDTAを用いて除去し、200×g
で10分間遠心分離により濃縮し、40,000個の細胞/ウェルで384ウェルアッセ
イプレート内にプレーティングした。各化合物の抗ウイルス活性を4連で測定した。感染
の2時間前、8〜10の濃度の化合物を、3倍段階希釈の増分で、HP300デジタルデ
ィスペンサーを使用して細胞培養物に直接加えた。プレートをBSL−4格納容器に移し
、滴定により事前に決定し、細胞培養物培地内で調製したウイルスストックの適当な希釈
物を、細胞および連続希釈した化合物を含有する試験プレートに加えた。各プレートは、
0%および100%ウイルス阻害対照としてそれぞれ機能する、感染した未処置の細胞の
3つのウェルおよび未感染細胞の3つのウェルを含んだ。感染後、試験プレートを組織培
養物インキュベーター内で2日間インキュベートした。インキュベーション後、細胞をホ
ルマリン溶液中に固定し、Perkin Elmer Opera共焦点顕微鏡装置を使
用した免疫染色およびハイコンテントイメージングの後にエボラ糖タンパク質レベルを定
量化することによってウイルス複製を測定した。0%および100%阻害対照と比較して
、パーセンテージ阻害を各試験濃度に対して計算し、各化合物に対するEC50値を、ウ
イルス複製を50%阻害した化合物の有効濃度として非直線回帰により決定した。
(実施例45)
ニパ−GFP HMVEC−TERT細胞
【0277】
HMVEC−TERT細胞を96ウェルプレート内で播種した。8〜10の濃度の化合
物を培地中3倍段階希釈の増分で希釈し、100uL/ウェルの各希釈物を、前もって播
種したHMVEC−TERT単層を含有する96ウェルプレートに3つ組みで移した。プ
レートをBSL−4格納容器に移し、滴定により事前に決定し、細胞培養物培地内で調製
したNiV−GFPウイルスストックの適当な希釈物を、細胞および連続希釈した化合物
を含有する試験プレートに加えた。各プレートは、0%および100%ウイルス阻害対照
としてそれぞれ機能する、感染した未処置の細胞の3つのウェルおよび未感染細胞の3つ
のウェルを含んだ。感染後、試験プレートを組織培養物インキュベーター内で3〜4日間
インキュベートした。インキュベーション後、リポーターウイルスからのGFP発現を測
定する直接蛍光により、Envisionプレートリーダーにおいてウイルス複製を測定
した。0%および100%阻害対照と比較して、パーセンテージ阻害を各試験濃度に対し
て計算し、各化合物に対するEC50値を、ウイルス複製を50%阻害した化合物の有効
濃度として非直線回帰により決定した。
(実施例46)
NiV−Luc HMVEC−TERT
【0278】
HMVEC−TERT細胞を96ウェルプレート内に播種した。8〜10の濃度の化合
物を、培地中3倍段階希釈の増分で希釈し、100uL/ウェルの各希釈物を、前もって
播種した細胞単層を含有するプレートに3つ組みで移した。プレートをBSL−4格納容
器に移し、滴定により事前に決定し、細胞培養物培地内で調製したNiv−Lucウイル
スストックの適当な希釈物を、細胞および連続希釈した化合物を含有する試験プレートに
加えた。各プレートは、0%および100%ウイルス阻害対照としてそれぞれ機能する、
感染した未処置の細胞の3つのウェルおよび未感染細胞の3つのウェルを含んだ。感染後
、試験プレートを組織培養物インキュベーター内で3〜4日間インキュベートした。イン
キュベーション後、これに続くルシフェラーゼ基質の添加後、Envisionプレート
リーダーにおいてウイルス複製を測定した。0%および100%阻害対照と比較して、パ
ーセンテージ阻害を各試験濃度に対して計算し、各化合物に対するEC50値を、ウイル
ス複製を50%阻害した化合物の有効濃度として非直線回帰により決定した。
(実施例47)
NiV Hela(収率)
【0279】
Hela細胞を96ウェルプレートに播種した。8〜10の濃度の化合物を培地中3倍
段階希釈の増分で希釈し、100uL/ウェルの各希釈物を、前もって播種したHela
細胞単層を含有するプレートに3つ組みで移した。プレートをBSL−4格納容器に移し
、滴定により事前に決定し、細胞培養物培地内で調製したNivウイルスストックの適当
な希釈物を、細胞および連続希釈した化合物を含有する試験プレートに加えた。各プレー
トは、0%および100%ウイルス阻害対照としてそれぞれ機能する、感染した未処置の
細胞の3つのウェルおよび未感染細胞の3つのウェルを含んだ。感染後、試験プレートを
組織培養物インキュベーター内で4日間インキュベートした。インキュベーション後、感
染細胞から培地を除去し、10倍段階希釈で希釈した。新鮮な細胞単層を感染させるため
の希釈培地を使用して、伝染性ウイルスの量を測定することによって、セルタイターGl
o試薬(Promega、Madison、WI)を使用して、50%細胞変性効果(T
CID50)を引き起こす組織培養物感染用量を決定した。0%および100%阻害対照
と比較して、パーセンテージ阻害を各試験濃度に対して計算し、各化合物に対するEC
値を、ウイルス複製を50%阻害した化合物の有効濃度として非直線回帰により決定し
た。
(実施例48)
Niv Hela(RNA)
【0280】
Huh−7細胞を96ウェルプレートに播種した。8〜10の濃度の化合物を培地中3
倍段階希釈の増分で希釈し、100uL/ウェルの各希釈物を、前もって播種したHel
a細胞単層を含有するプレートに3つ組みで移した。プレートをBSL−4格納容器に移
し、滴定により事前に決定し、細胞培養物培地内で調製したNivウイルスストックの適
当な希釈物を、細胞および連続希釈した化合物を含有する試験プレートに加えた。各プレ
ートは、0%および100%ウイルス阻害対照としてそれぞれ機能する、感染した未処置
の細胞の3つのウェルおよび未感染細胞の3つのウェルを含んだ。感染後、試験プレート
を組織培養物インキュベーター内で3〜4日間インキュベートした。インキュベーション
後、感染細胞から培地を除去し、一部分を使用して、逆転写定量的ポリメラーゼ連鎖反応
法(RT−qPCR)によりウイルスRNAを定量化した。0%および100%阻害対照
と比較して、パーセンテージ阻害を各試験濃度に対して計算し、各化合物に対するEC
値を、ウイルス複製を50%阻害した化合物の有効濃度として非直線回帰により決定し
た。
表2:エボラおよびマールブルグウイルスの抗ウイルスアッセイ
【表2】


EBOV−GFP: GFPレポーター遺伝子を発現するエボラウイルス
EBOV−Luc: ルシフェラーゼレポーター遺伝子を発現するエボラウイルス
MARV−GFP: GFPレポーター遺伝子を発現するマールブルグウイルス
エボラ: エボラウイルス株2014
表2−a:エボラおよびマールブルグウイルスの抗ウイルスアッセイ
【表2a】


EBOV−GFP: GFPレポーター遺伝子を発現するエボラウイルス
EBOV−Luc: ルシフェラーゼレポーター遺伝子を発現するエボラウイルス
MARV−GFP: GFPレポーター遺伝子を発現するマールブルグウイルス
エボラ: エボラウイルス株2014
表3:ニパおよびヘンドラウイルスの抗ウイルスアッセイ
【表3】


NiV GFP: GFPレポーター遺伝子を発現するニパウイルス
NiV−Luc: ルシフェラーゼレポーター遺伝子を発現するニパウイルス
NiV: ニパウイルス
【0281】
本明細書で上記に引用されたすべての公報、特許、および特許文献は、個々に参照によ
り援用されているかのように、本明細書で参照により援用されている。
【0282】
本発明は、様々な特定のおよび好ましい実施形態および技術を参照して記載されている
。しかし、当業者であれば、趣旨および本発明の範囲内にとどまりながら、多くの変形形
態および修正がなされることを理解している。
本発明の一つの実施形態において、以下の項目が提供される。
(項目1)
フィロウイルス科(Filoviridae)感染症の処置を必要とするヒトにおいて
フィロウイルス科感染症を処置する方法であって、治療有効量の式IVの化合物:
【化146】


(式中、
は、
a)H、−C(=O)R11、−C(=O)OR11、−C(=O)NR1112
−C(=O)SR11、−S(O)R11、−S(O)11、−S(O)(OR11
)、−S(O)(OR11)、または−SONR1112
b)
【化147】


c)
【化148】


から選択される基
(式中、
は、フェニル、1−ナフチル、2−ナフチル、
【化149】


の群から選択され、
は、HまたはCHの群から選択され、
e1およびRe2は、それぞれ独立して、H、(C〜C)アルキルまたはベン
ジルの群から選択され、
は、H、(C〜C)アルキル、ベンジル、(C〜C)シクロアルキル、
および−CH−(C〜C)シクロアルキルの群から選択され、
は、(C〜C)アルキル、−O−(C〜C)アルキル、ベンジル、−O
−ベンジル、−CH−(C〜C)シクロアルキル、−O−CH−(C〜C
シクロアルキル、およびCFの群から選択され、
n’は、1、2、3、および4の群から選択される整数である);ならびに
d)式:
【化150】


の基
(式中、
Qは、O、S、NR、N(O)(R)、N(OR)、N(O)(OR)、または
N−NRの群から選択され、
およびZは、一緒になった場合、−Q(C(R−であり、
各Qは、独立して、O、S、またはNRの群から選択され、
各Rは、独立して、H、F、Cl、Br、I、OH、R、−C(=Q)R、−
C(=Q)OR、−C(=Q)N(R)、−N(R)、−N(R)、−SR
、−S(O)R、−S(O)R、−S(O)(OR)、−S(O)(OR)、−OC
(=Q)R、−OC(=Q)OR、−OC(=Q)(N(R))、−SC(=Q
)R、−SC(=Q)OR、−SC(=Q)(N(R))、−N(R)C(=Q
)R、−N(R)C(=Q)OR、−N(R)C(=Q)N(R)、−SO
、−CN、−N、−NO、−OR、またはZの群から選択されるか、または一
緒になった場合、同じ炭素原子上の2つのRは、3〜7個の炭素原子の炭素環を形成し

各Qは、独立して、O、S、NR、N(O)(R)、N(OR)、N(O
)(OR)、もしくはN−NRであるか、または
およびZは、それぞれ独立して、式Iaの基:
【化151】


であり、
各Qは、独立して、結合、O、CR、NR、N(O)(R)、N(OR)、
N(O)(OR)、N−NR、S、S−S、S(O)、またはS(O)の群から選
択され、
M2は、0、1または2の群から選択される整数であり、
各Rは、独立して、Rまたは式:
【化152】


であり、
各M1a、M1c、およびM1dは、0または1の群から独立して選択される整
数であり、
M12cは、0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11または12
の群から選択される整数であり、
は、ZまたはZであり、
は、R、−C(Q)R、−C(Q)Z、−SO、または−S
であり、
は、炭素環または複素環であり、Zは、独立して、0〜3つのR基で置
換されている)
からなる群から選択され、
各R11もしくはR12は、独立して、H、(C〜C)アルキル、(C〜C
アルケニル、(C〜C)アルキニル、(C〜C)カルボシクリルアルキル、(C
〜C20)任意選択で置換されているアリール、任意選択で置換されているヘテロアリ
ール、−C(=O)(C〜C)アルキル、−S(O)(C〜C)アルキルもし
くは(C〜C20)アリール(C〜C)アルキルであるか、またはR11およびR
12は、これら両方が結合している窒素と一緒になって、3〜7員の複素環を形成し、前
記複素環の任意の1個の炭素原子は、−O−、−S−または−NR−で任意選択で置き
換えられていることができ、
各Rは、独立して、H、(C〜C)アルキル、(C〜C)アルケニル、(C
〜C)アルキニル、(C〜C20)アリール(C〜C)アルキル、(C〜C
)カルボシクリルアルキル、−C(=O)R、−C(=O)OR、−C(=O)NR
、−C(=O)SR、−S(O)R、−S(O)R、−S(O)(OR)、−S(O)
(OR)、または−SONRの群から選択され、
各Rは、独立して、H、(C〜C)アルキル、(C〜C)置換アルキル、(C
〜C)アルケニル、(C〜C)置換アルケニル、(C〜C)アルキニル、(
〜C)置換アルキニル、(C〜C20)アリール、(C〜C20)置換アリー
ル、(C〜C20)ヘテロシクリル、(C〜C20)置換ヘテロシクリル、(C
20)アリール(C〜C)アルキルまたは置換(C〜C20)アリール(C
)アルキルの群から選択され、
各nは、0、1、または2の群から独立して選択される整数であり、
各R11またはR12の各(C〜C)アルキル、(C〜C)アルケニル、(C
〜C)アルキニルまたは(C〜C20)アリール(C〜C)アルキルは、独立
して、ハロ、ヒドロキシ、CN、N、N(RまたはORの群から選択される1
つまたは複数の置換基で任意選択で置換されており、前記各(C〜C)アルキルの非
末端炭素原子の1個または複数は、−O−、−S−または−NR−で任意選択で置き換
えられていてもよい)
またはその薬学的に許容される塩、水和物もしくはエステルを投与することを含む、方法

(項目2)
がHである、項目1に記載の方法。
(項目3)
が、
【化153】


(式中、
は、H、C〜Cアルキル、ベンジル、C〜Cシクロアルキル、および−CH
−C〜Cシクロアルキルの群から選択され、
は、C〜Cアルキル、−O−C〜Cアルキル、ベンジル、−O−ベンジル、
−CH−C〜Cシクロアルキル、−O−CH−C〜Cシクロアルキル、およ
びCFの群から選択される)
である、項目1に記載の方法。
(項目4)
が、
【化154】


である、項目1または3のいずれかに記載の方法。
(項目5)
前記式IVの化合物が、
【化155】


の群から選択されるかまたはその薬学的に許容される塩もしくはエステルである、項目1
に記載の方法。
(項目6)
前記式IVの化合物が、
【化156】


またはその薬学的に許容される塩もしくはエステルである、項目1に記載の方法。
(項目7)
前記式IVの化合物が、
【化157】


またはその薬学的に許容される塩もしくはエステルである、項目1に記載の方法。
(項目8)
薬学的に許容される担体または賦形剤をさらに含む、項目1から7のいずれかに記載の
方法。
(項目9)
コルチコステロイド、抗炎症性シグナル伝達モジュレーター、β2−アドレナリン受容
体アゴニスト気管支拡張剤、抗コリン薬、粘液溶解剤、高張食塩水およびフィロウイルス
科ウイルス感染症を処置するための他の薬物またはこれらの混合物からなる群から選択さ
れる治療有効量の少なくとも1種の他の治療剤もしくはその組成物を投与することをさら
に含む、項目1から7のいずれかに記載の方法。
(項目10)
前記少なくとも1種の他の治療剤が、リバビリン、パリビズマブ、モタビズマブ、RS
V−IGIV(RespiGam(登録商標))、MEDI−557、A−60444、
MDT−637、BMS−433771、アミオダロン、ドロネダロン、ベラパミル、エ
ボラ回復期血漿(ECP)、TKM−100201、BCX4430((2S,3S,4
R,5R)−2−(4−アミノ−5H−ピロロ[3,2−d]ピリミジン−7−イル)−
5−(ヒドロキシメチル)ピロリジン−3,4−ジオール)、ファビピラビル(T−70
5またはAviganとしても公知)、T−705モノホスフェート、T−705ジホス
フェート、T−705トリホスフェート、FGI−106(1−N,7−N−ビス[3−
(ジメチルアミノ)プロピル]−3,9−ジメチルキノリノ[8,7−h]キノロン−1
,7−ジアミン)、JK−05、TKM−エボラ、ZMapp、rNAPc2、VRC−
EBOADC076−00−VP、OS−2966、MVA−BN filo、ブリンシ
ドフォビル、Vaxartアデノウイルスベクター5ベースのエボラワクチン、Ad26
−ZEBOV、FiloVaxワクチン、GOVX−E301、GOVX−E302、エ
ボラウイルス侵入阻害剤(NPC1阻害剤)、もしくはrVSV−EBOVまたはこれら
の混合物である、項目9に記載の方法。
(項目11)
前記フィロウイルス科感染症が、フィロウイルス科ウイルスにより引き起こされる、項
目1から7のいずれかに記載の方法。
(項目12)
前記フィロウイルス科感染症が、エボラウイルスにより引き起こされる、項目1から7
のいずれかに記載の方法。
(項目13)
前記フィロウイルス科感染症が、Bundibugyo ebolavirus、Re
ston ebolavirus、Sudan ebolavirus、Tai For
est ebolavirus、またはZaire ebolavirusにより引き起
こされる、項目1から7のいずれかに記載の方法。
(項目14)
前記フィロウイルス科感染症が、マールブルグウイルスにより引き起こされる、項目1
から7のいずれかに記載の方法。
(項目15)
フィロウイルス科ポリメラーゼが阻害される、項目1から7のいずれかに記載の方法。
(項目16)
【化158】

【化159】


の群から選択される化合物またはその薬学的に許容される塩もしくは水和物。
(項目17)
構造:
【化160】


を有する項目16に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩もしくは水和物。
(項目18)
治療有効量の式:
【化161】

の化合物またはその薬学的に許容される塩もしくは水和物を含む、医薬組成物。
(項目19)
ヒトにおいてフィロウイルス科ウイルス感染症の処置に使用するための、項目1から7
および16または17のいずれか一項に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩

(項目20)
ヒトにおいてエボラウイルス感染症の処置に使用するための、項目1から7および16
または17のいずれか一項に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩。
(項目21)
ヒトにおいてマールブルグウイルス感染症の処置に使用するための、項目1から7およ
び16または17のいずれかに記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩もしくは
エステル。
(項目22)
ヒトにおいてフィロウイルス科ウイルス感染症を処置するための医薬の調製のための、
項目1から7および16または17のいずれかに記載の化合物、またはその薬学的に許容
される塩もしくはエステルの使用。
(項目23)
ヒトにおいてエボラウイルス感染症を処置するための医薬の調製のための、項目1から
7および16または17のいずれかに記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩、
水和物、もしくはエステルの使用。
(項目24)
ヒトにおいてマールブルグウイルス感染症を処置するための医薬の調製のための、項目
1から7および16または17のいずれかに記載の化合物、またはその薬学的に許容され
る塩、水和物、もしくはエステルの使用。


【外国語明細書】
2020090536000001.pdf