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特開2020-90597ポリプロピレン組成物の射出延伸ブロー成形体およびその製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2020-90597(P2020-90597A)
(43)【公開日】2020年6月11日
(54)【発明の名称】ポリプロピレン組成物の射出延伸ブロー成形体およびその製造方法
(51)【国際特許分類】
   C08L 23/16 20060101AFI20200515BHJP
   C08L 23/08 20060101ALI20200515BHJP
   C08L 23/10 20060101ALI20200515BHJP
   B29C 49/06 20060101ALI20200515BHJP
【FI】
   C08L23/16
   C08L23/08
   C08L23/10
   B29C49/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2018-228059(P2018-228059)
(22)【出願日】2018年12月5日
(71)【出願人】
【識別番号】597021842
【氏名又は名称】サンアロマー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100140109
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 新次郎
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100120112
【弁理士】
【氏名又は名称】中西 基晴
(74)【代理人】
【識別番号】100112634
【弁理士】
【氏名又は名称】松山 美奈子
(74)【代理人】
【識別番号】100129311
【弁理士】
【氏名又は名称】新井 規之
(72)【発明者】
【氏名】田平 貴哉
【テーマコード(参考)】
4F208
4J002
【Fターム(参考)】
4F208AA09
4F208AA11
4F208AA12
4F208AB08
4F208AG07
4F208AH55
4F208LA04
4F208LA09
4F208LB01
4F208LG03
4F208LG28
4F208LN23
4J002BB05X
4J002BB12Y
4J002BB15W
4J002EC056
4J002EG026
4J002EG046
4J002EG076
4J002EN046
4J002EW126
4J002FD206
4J002GG00
(57)【要約】
【課題】透明性と剛性と耐寒衝撃性のバランスに優れたポリプロピレン組成物の射出延伸ブロー成形体を提供する。
【解決手段】(I)成分(1)として、1.5〜2.5重量%のエチレン由来単位を含むプロピレン−エチレン共重合体、
成分(2)として、14〜18重量%の1−ブテン由来単位を含むエチレン−1−ブテン共重合体、および
核剤を含むポリプロピレン組成物Aであって、
以下の要件:
1)成分(1)と成分(2)の重量比が75〜83:25〜17である
2)当該組成物のキシレン可溶分の極限粘度が0.8〜1.2dl/gである
3)当該組成物のMFR(230℃、荷重2.16kg)が15〜40g/10分である、を満たすポリプロピレン組成物Aを準備する工程、
(II)ポリプロピレン組成物Aを射出延伸ブロー成形する工程を備える、
射出延伸ブロー成形体の製造方法。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(I)成分(1)として、1.5〜2.5重量%のエチレン由来単位を含むプロピレン−エチレン共重合体、
成分(2)として、14〜18重量%の1−ブテン由来単位を含むエチレン−1−ブテン共重合体、および
核剤を含むポリプロピレン組成物Aであって、
以下の要件:
1)成分(1)と成分(2)の重量比が75〜83:25〜17である
2)当該組成物のキシレン可溶分の極限粘度が0.8〜1.2dl/gである
3)当該組成物のMFR(230℃、荷重2.16kg)が15〜40g/10分である、を満たすポリプロピレン組成物Aを準備する工程、
(II)ポリプロピレン組成物Aを射出延伸ブロー成形する工程を備える、
射出延伸ブロー成形体の製造方法。
【請求項2】
工程(II)の前に、プロピレン単独重合体、プロピレンランダム共重合体、およびこれらの組合せからなる群より選択されるポリマーを含むポリプロピレン組成物Bを準備し、ポリプロピレン組成物Aと混合して混合物を調製する工程(I’)をさらに備え、
工程(II)において、前記混合物を射出延伸ブロー成形する、
請求項1に記載の製造方法。
【請求項3】
ポリプロピレン組成物Aとポリプロピレン組成物Bの重量比が「40以上100未満」:「0超〜60以下」である、請求項2に記載の製造方法。
【請求項4】
成分(1)および成分(2)の合計100重量部に対して、0.01〜0.5重量部の核剤を含む、請求項1〜3のいずれかに記載の製造方法。
【請求項5】
ポリプロピレン組成物Bが、請求項2記載のポリマーの合計100重量部に対して、0.01〜0.5重量部の核剤を含む、請求項2〜4のいずれかに記載の製造方法。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれかに記載の製造方法で得た射出延伸ブロー成形体。
【請求項7】
請求項6に記載の成形体を含む、容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリプロピレン組成物の射出延伸ブロー成形体およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ポリプロピレンは、優れた物理的特性を有しかつ衛生面にも優れているため食品容器として有用である。しかしポリプロピレン容器は低温で使用する場合に耐衝撃性が低下するという問題がある。さらにポリプロピレン容器には、高い剛性、および内容物を確認できるように透明性が求められており、すなわち透明性、剛性、低温での耐衝撃性(耐寒衝撃性)のバランスが求められている。透明性と耐寒衝撃性の改善を目的として、特許文献1にはエチレン単位が2.0〜4.0重量%のエチレン−プロピレン共重合体の存在下、エチレン単位が74〜86重量%のエチレン−1−ブテン共重合体を重合させた組成物であって、エチレン−1−ブテン共重合体の含有量が10〜20重量%である組成物が提案されている。また特許文献2には、エチレン単位が1.2重量%以下のエチレン−プロピレン共重合体またはホモポリプロピレンの存在下、エチレン単位が74〜86重量%のエチレン−1−ブテン共重合体を重合させた組成物であって、エチレン−1−ブテン共重合体の含有量が22〜32重量%である組成物が提案されている。さらに、特許文献3には耐寒衝撃性を改善することを目的とした、エチレン単位が2.0〜4.0重量%のエチレン−プロピレン共重合体の存在下、エチレン単位が74〜86重量%のエチレン−1−ブテン共重合体を重合させた組成物であって、エチレン−1−ブテン共重合体の含有量が25〜35重量%である組成物が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2012−126829号公報
【特許文献2】特開2012−107136号公報
【特許文献3】特開2012−126828号公報
【特許文献4】特開平10−168254号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前記特許文献に記載の組成物は、透明性と剛性と耐寒衝撃性のバランスが未だ十分ではなかった。また、容器等においては射出延伸ブロー成形体が用いられるが、前記特許文献は射出延伸ブロー成形体へは言及していない。射出延伸ブロー成形体に関しては特許文献4に直鎖状低密度ポリエチレンやエチレン・1−ブテン共重合体を含むポリプロピレン組成物が提案されているが、剛性と耐寒衝撃性のバランスが十分なレベルではない。さらに当該組成物の製造には、複数のポリマー成分をブレンドし溶融混練する中間工程を設ける必要性があり、工業的スケールでの実施には必ずしも適していない。かかる事情を鑑み、本発明は透明性と剛性と耐寒衝撃性のバランスに優れたポリプロピレン組成物の射出延伸ブロー成形体を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
発明者らは、特定のポリプロピレン組成物を用いることで前記課題が解決できることを見出した。すなわち、前記課題は以下の本発明によって解決される。
[1](I)成分(1)として、1.5〜2.5重量%のエチレン由来単位を含むプロピレン−エチレン共重合体、
成分(2)として、14〜18重量%の1−ブテン由来単位を含むエチレン−1−ブテン共重合体、および
核剤を含むポリプロピレン組成物Aであって、
以下の要件:
1)成分(1)と成分(2)の重量比が75〜83:25〜17である
2)当該組成物のキシレン可溶分の極限粘度が0.8〜1.2dl/gである
3)当該組成物のMFR(230℃、荷重2.16kg)が15〜40g/10分である、を満たすポリプロピレン組成物Aを準備する工程、
(II)ポリプロピレン組成物Aを射出延伸ブロー成形する工程を備える、
射出延伸ブロー成形体の製造方法。
[2]工程(II)の前に、プロピレン単独重合体、プロピレンランダム共重合体、およびこれらの組合せからなる群より選択されるポリマーを含むポリプロピレン組成物Bを準備し、ポリプロピレン組成物Aと混合して混合物を調製する工程(I’)をさらに備え、
工程(II)において、前記混合物を射出延伸ブロー成形する、[1]に記載の製造方法。
[3]ポリプロピレン組成物Aとポリプロピレン組成物Bの重量比が「40以上100未満」:「0超〜60以下」である、[2]に記載の製造方法。
[4]成分(1)および成分(2)の合計100重量部に対して、0.01〜0.5重量部の核剤を含む、[1]〜[3]のいずれかに記載の製造方法。
[5]ポリプロピレン組成物Bが、前記[2]に記載のポリマーの合計100重量部に対して、0.01〜0.5重量部の核剤を含む、[2]〜[4]のいずれかに記載の製造方法。
[6]前記[1]〜[5]のいずれかに記載の製造方法で得た射出延伸ブロー成形体。
[7]前記[6]に記載の成形体を含む、容器。
【発明の効果】
【0006】
本発明により、透明性と剛性と耐寒衝撃性のバランスに優れたポリプロピレン組成物の射出延伸ブロー成形体を提供できる。
【発明の実施するための形態】
【0007】
以下、本発明を詳細に説明する。「X〜Y」はその端値であるXおよびYを含む。
1.工程I
(1)ポリプロピレン組成物A
本工程ではポリプロピレン組成物Aを準備する。ポリプロピレン組成物Aは、以下の成分(1)および(2)を含む。
成分(1):1.5〜2.5重量%のエチレン由来単位を含むプロピレン−エチレン共重合体
成分(2):14〜18重量%の1−ブテン由来単位を含むエチレン−1−ブテン共重合体
【0008】
1)成分(1)
成分(1)はプロピレン−エチレン共重合体であり、1.5〜2.5重量%のエチレン由来単位を含む。1.5重量%のエチレン由来単位を含むプロピレン−エチレン共重合体とは、エチレン由来単位とプロピレン由来単位との重量比が1.5:98.5である共重合体である。他の共重合体についても同様である。エチレン由来単位の含有量の上限値は2.5重量%以下であるが、2.3重量%以下が好ましい。当該量が上限値を超えると剛性と透明性が低下する。エチレン由来単位の下限値は1.5重量%以上であるが、1.7重量%以上が好ましい。当該量が下限値未満であると透明性が低下する。成分(1)には、成分(2)を含む重合体の製造時に発生するリサイクルガス等により、1重量%未満の1−ブテン単位が含まれていてもよい。成分(1)はランダム共重合体であることが好ましい。
【0009】
2)成分(2)
成分(2)はエチレン−1−ブテン共重合体であり、14〜18重量%の1−ブテン由来単位を含む。1−ブテン由来単位の含有量の上限値は18重量%以下であるが、17重量%以下が好ましい。当該量が上限値を超えると透明性が低下する。1−ブテン由来単位の下限値は14重量%以上であるが、15重量%以上が好ましい。当該量が下限値未満であると耐寒衝撃性が低下する。成分(2)には、成分(1)を含む重合体の製造時に発生するリサイクルガス等により、1重量%未満のプロピレン由来単位が含まれていてもよい。
【0010】
3)組成比
成分(1)と成分(2)の組成比(重量比)は75〜83:25〜17であるが、76〜80:24〜20が好ましい。成分(1)の量が上限値を超えると耐寒衝撃性が低下する。成分(1)の量が下限値未満であると、剛性が低下し、かつ重合パウダーが互着し易くなって貯蔵または輸送経路内での閉塞リスクが増してポリプロピレン組成物Aの製造が困難になる傾向がある。
【0011】
4)核剤
ポリプロピレン組成物Aは核剤を含む。核剤とは樹脂中の結晶成分のサイズを小さく制御して特に透明性を高めるために用いられる添加剤(透明核剤)である。核剤の量は、成分(1)と(2)の合計量(以下「樹脂成分」ともいう)100重量部に対して0.01〜0.5重量部が好ましく、より好ましくは0.01〜0.4重量部、さらに好ましくは0.015〜0.4重量部である。核剤を含まないと満足する透明性と耐寒衝撃性が得られない。前記上限値を超えて核剤を含有させても、結晶核形成の促進効果は頭打ちとなり、単純に製造コスト増となるため、産業上大量安価に製造する場合においては現実的でない。
【0012】
核剤は特に限定されず、当該分野で通常使用されるものを使用してよいが、ノニトール系核剤、ソルビトール系核剤、リン酸エステル系核剤、トリアミノベンゼン誘導体系核剤、カルボン酸金属塩核剤、およびキシリトール系核剤等の有機系核剤から選択されることが好ましい。ノニトール系核剤として、例えば、1,2,3―トリデオキシ−4,6:5,7−ビス−[(4−プロピルフェニル)メチレン]−ノニトールが挙げられる。ソルビトール系核剤として、例えば、1,3:2,4−ビス−o−(3,4−ジメチルベンジリデン)−D−ソルビトールが挙げられる。リン酸エステル系核剤として、例えば、リン酸2,2’−メチレンビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)ナトリウム塩、リン酸−2,2’−メチレンビス(4,6−ジ−tert−ブチルフェニル)アルミニウム塩、リン酸−2,2’−メチレンビス(4,6−ジ−tert−ブチルフェニル)リチウム塩等の芳香族リン酸エステル系核剤が挙げられる。トリアミノベンゼン誘導体系核剤として、例えば、1,3,5−トリス(2,2−ジメチルプロパンアミド)ベンゼン等が挙げられる。カルボン酸金属塩核剤としては、例えば、アジピン酸ナトリウム、アジピン酸カリウム、アジピン酸アルミニウム、セバシン酸ナトリウム、セバシン酸カリウム、セバシン酸アルミニウム、安息香酸ナトリウム、安息香酸アルミニウム、ジ−パラ−t−ブチル安息香酸アルミニウム、ジ−パラ−t−ブチル安息香酸チタン、ジ−パラ−t−ブチル安息香酸クロム、ヒドロキシ−ジ−t−ブチル安息香酸アルミニウムなどが挙げられる。キシリトール系核剤として、例えば、ビス−1,3:2,4−(5’,6’,7’,8’−テトラヒドロ−2−ナフトアルデヒドベンジリデン)1−アリルキシリトール、ビス−1,3:2,4−(3’,4’−ジメチルベンジリデン)1−プロピルキシリトールが挙げられる。上記核剤は1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0013】
前記樹脂成分と前記核剤とを混合し、溶融混練することによって核剤を含有するポリプロピレン組成物Aを調製できる。この際、必要に応じて、前記樹脂成分以外の樹脂(但しポリプロピレン組成物Bを除く)またはゴム、あるいは後述する添加剤をさらに混合してもよい。各成分を添加する順序は限定されない。混合方法も限定されず、例えば、ヘンシェルミキサー、タンブラーミキサー等のミキサーを用いる方法が挙げられる。混合した後、得られた混合物を溶融混練し、さらにペレット化してもよい。溶融混練装置としては、単軸押出機、二軸押出機、バンバリーミキサー、ニーダー、ロールミル等を用いることができる。
【0014】
5)特性
XSIV
ポリプロピレン組成物Aのキシレン可溶分の極限粘度(XSIV)は、当該組成物における結晶性を持たない成分の分子量の指標である。XSIVは25℃のキシレンに可溶な成分を得て、当該成分の極限粘度を定法にて測定することで求められる。本発明においてXSIVは0.8〜1.2dl/gである。XSIVが上限値を超えると透明性が低下し、下限値未満であるとポリプロピレン組成物の製造が困難となる。この観点から、前記極限粘度は好ましくは0.9〜1.1dl/gである。
【0015】
MFR
ポリプロピレン組成物Aの230℃、荷重2.16kgにおけるMFRは15〜40g/10分である。MFRが上限値を超えると耐寒衝撃性および透明性が低下し、下限値未満であると成形が困難となる。この観点から、MFRは好ましくは20〜40g/10分、より好ましくは20〜35g/10分である。
【0016】
6)他の成分
ポリプロピレン組成物Aには、酸化防止剤、塩素吸収剤、耐熱安定剤、光安定剤、紫外線吸収剤、内部滑剤、外部滑剤、アンチブロッキング剤、帯電防止剤、防曇剤、難燃剤、分散剤、銅害防止剤、中和剤、可塑剤、気泡防止剤、架橋剤、過酸化物、油展および他の有機および無機顔料などの当該分野で通常用いられる慣用の添加剤を添加してもよい。各添加剤の添加量は公知の量としてよい。ポリプロピレン組成物Aには、本発明の効果を損なわない範囲で、前記樹脂成分以外の樹脂(但しポリプロピレン組成物Bを除く)またはゴムを1種以上含有してもよい。
【0017】
(2)ポリプロピレン組成物Aの製造方法
ポリプロピレン組成物Aは公知の方法に従って製造できるが、成分(1)の原料モノマーおよび成分(2)の原料モノマーを、2つ以上の反応器を用いて重合することが好ましい。特に成分(1)の原料モノマーを重合して成分(1)の共重合体を製造し、当該共重合体の存在下において成分(2)の原料モノマーを重合する方法が好ましい。重合は液相中、気相中または液−気相中で実施できる。重合温度は常温〜150℃が好ましく、40℃〜100℃がより好ましい。重合圧力は、液相中で行われる場合には好ましくは3.3〜6.0MPaの範囲であり、気相中で行われる場合には0.5〜3.0MPaの範囲である。連鎖移動剤(例えば水素またはZnEt)などの当該分野で公知の慣用の分子量調整剤を用いてもよい。
【0018】
また、モノマー濃度や重合条件の勾配を有する重合器を用いてもよい。このような重合器では、例えば、少なくとも2つの重合領域が接続されたものを使用し、気相重合でモノマーを重合することができる。具体的には、触媒の存在下、上昇管からなる重合領域にてモノマーを供給して重合し、上昇管に接続された下降管にてモノマーを供給して重合し、上昇管と下降管とを循環しながら、ポリマー生成物を回収する。この方法は、上昇管中に存在する気体混合物が下降管に入るのを全面的または部分的に防止する手段を備える。また、上昇管中に存在する気体混合物とは異なる組成を有する気体または液体混合物を下降管中に導入する。上記の重合方法として、例えば、特表2002−520426号公報に記載された方法を適用することができる。
【0019】
重合には、(A)マグネシウム、チタン、ハロゲン、および電子供与体化合物を含有する固体触媒、(B)有機アルミニウム化合物、ならびに(C)外部電子供与体化合物を含むチーグラーナッタ触媒や、メタロセン触媒を使用できる。成分(A)中の電子供与体化合物(「内部電子供与体化合物」ともいう)としては、フタレート系化合物、スクシネート系化合物、ジエーテル系化合物が挙げられ、本発明ではいずれの内部電子供与体化合物も使用でき、また必要に応じて、それらの化合物を併用してよい。
【0020】
2.工程(I’)
本発明の製造方法は、プロピレン単独重合体、プロピレンランダム共重合体、およびこれらの組合せからなる群より選択されるポリマーを含むポリプロピレン組成物Bを準備し、ポリプロピレン組成物Aと混合する工程を備えてもよい。
(1)ポリプロピレン組成物B
ポリプロピレン組成物Bに用いるポリマーとしては公知のものが挙げられるが、ポリプロピレン組成物BのMFRがポリプロピレン組成物Aと同範囲となるように選択されることが好ましい。
【0021】
上記プロピレンランダム共重合体におけるコモノマー単位量は好ましくは5.0重量%以下、より好ましくは4.0重量%以下である。コモノマーの量が上限値を超えるとポリプロピレン組成物Bを製造する際の安定性が低下しうる。コモノマーは、産業上安価かつ安定的に流通され、かつ入手が比較的容易であることの観点からエチレンが好ましい。
【0022】
ポリプロピレン組成物Bは核剤を含んでいてもよく、その場合に用いられる核剤の種類および量は、ポリプロピレン組成物Aで述べたとおりである。
【0023】
(2)混合物
ポリプロピレン組成物Aとポリプロピレン組成物Bの重量比は「40以上100未満」:「0超〜60以下」であることが好ましい。ポリプロピレン組成物Bの下限値は好ましくは0.2以上、より好ましくは1以上、さらに好ましくは10以上である。したがって、一態様において前記重量比は45〜90:55〜10である。混合の方法は限定されず、例えば両者を溶融混練する、ドライブレンドする等の方法を用いることができる。
【0024】
3.工程(II)
本工程では、ポリプロピレン組成物A、またはポリプロピレン組成物Aとポリプロピレン組成物Bの混合物(以下、これらをまとめて「本発明で用いるポリプロピレン組成物」または単に「ポリプロピレン組成物」ともいう)を射出延伸ブロー成形する。射出延伸ブロー成形とは、樹脂組成物を射出成形してプリフォームを成形し、当該プリフォームを延伸ブロー成形する成形方法である。延伸ブロー成形(2軸延伸)時の縦延伸倍率(軸方向延伸倍率)は、通常は1.5倍以上、好ましくは1.6〜5倍、横延伸倍率(円周方向延伸倍率)は、通常は1.5倍以上、好ましくは1.6〜10倍である。成形体の延伸倍率が1.5倍未満であると、透明性、座屈強度に問題が生じるおそれがある。また、縦/横の延伸比は好ましくは0.2〜5倍、より好ましくは0.3〜3倍である。シリンダ温度、金型温度、および2軸延伸時の温度はポリプロピレン組成物の特性に合わせて適宜調整できるが、通常はそれぞれ190〜250℃、10〜40℃、80〜160℃程度である。
【0025】
3.射出延伸ブロー成形体
本発明により射出延伸ブロー成形体を製造できる。当該成形体は、飲料ボトル容器や、菓子用ボトル容器、果汁容器、ミネラルウオーター容器などの食品容器;シャンプー、リンス、液体石鹸などのトイレタリー溶液用ボトル容器;酸性、中性、アルカリ性の家庭用洗剤などの洗剤ボトル容器;液体化粧品ボトル容器;アルコール、工業薬品などの薬品容器;輸液ボトル、血液ボトルなどの医療容器など;レジャー用ボトル容器;文具用ボトル容器;玩具用ボトル容器;その他の一般雑貨用途等に有用である。特に本発明の射出延伸ブロー成形体は、食品容器として有用であり、特に−20℃等の低温状態で用いられる容器として有用である。容器は、当該ポリプロピレン組成物以外の部材を有していてもよい。容器の形状は公知のとおりとしてよいが、0.1〜0.7mmの厚さを有することが好ましい。
【0026】
本発明で用いるポリプロピレン組成物は、以下の特性を備えることが好ましい。
1)剛性
曲げ弾性率(JIS K6921−2):900〜1400MPa
2)耐寒衝撃性
0℃でのシャルピー衝撃強さ:2kJ/m以上
【実施例】
【0027】
[製造例1:ポリプロピレン組成物A−1]
MgCl上にTiと内部ドナーとしてのジイソブチルフタレートを担持させた固体触媒を、欧州特許第728769号公報の実施例5に記載された方法により調製した。次いで、上記固体触媒と、有機アルミニウム化合物としてトリエチルアルミニウム(TEAL)と、外部電子供与体化合物としてジシクロペンチルジメトキシシラン(DCPMS)を用い、固体触媒に対するTEALの重量比が20、TEAL/DCPMSの重量比が10となるような量で、12℃において24分間接触させた。得られた触媒系を、液体プロピレン中において懸濁状態で20℃にて5分間保持することによって予重合を行った。得られた予重合物を、二段の重合反応器を直列に備える重合装置の一段目の重合反応器に導入し、液相状態のプロピレンにエチレンをフィードして成分(1)であるプロピレン−エチレンランダム共重合体を製造し、二段目の気相重合反応器で成分(2)であるエチレン−1−ブテン共重合体を製造した。重合中は、温度と圧力を調整し、水素を分子量調整剤として用いた。
【0028】
重合温度と反応物の比率は、一段目の反応器では、重合温度、水素濃度、エチレン濃度が、それぞれ70℃、0.80モル%、0.53モル%、二段目の反応器では、重合温度、H2/C2、C4/(C2+C4)が、それぞれ80℃、0.30モル比、0.35モル比であった。また、成分(2)の量が22重量%となるように一段目と二段目の滞留時間分布を調整した。得られた樹脂成分100重量部に対し、核剤としてBASF社製のIRGACLEAR XT386(トリアミノベンゼン誘導体系核剤)を0.02重量部、酸化防止剤として、BASF社製B225を0.2重量部、中和剤として、淡南化学工業株式会社製カルシウムステアレートを0.05重量部配合し、ヘンシェルミキサーで1分間撹拌、混合した。ナカタニ機械株式会社製NVCφ50mm単軸押出機を用いてシリンダ温度230℃で当該混合物を押出し、ストランドを水中で冷却した後、ペレタイザーでカットし、ペレット状のポリプロピレン組成物A−1を得た。当該組成物について、後述する方法により評価した。結果を表1に示す。
【0029】
[製造例2:ポリプロピレン組成物A−2]
核剤として、BASF社製のIRGACLEAR XT386(トリアミノベンゼン誘導体系核剤)を0.02重量部とミリケン社製のMillad NX8000J(ノニトール系核剤)0.2重量部を用いた以外は、製造例1と同様にしてポリプロピレン組成物A−2を製造した。
【0030】
[製造例3:比較用ポリプロピレン組成物A−3]
一段目の反応器において、エチレンをフィードせず、水素濃度を0.95モル%に変更して、プロピレン単独重合体を重合し、二段目の反応器では、H2/C2とC4/(C2+C4)を、それぞれ0.27モル比と0.41モル比に変更すると共に、エチレン−1−ブテン共重合体の量が23重量%となるように一段目と二段目の滞留時間分布を調整した以外は、製造例1と同様にして比較用ポリプロピレン組成物A−3を製造した。
【0031】
[製造例4:比較用ポリプロピレン組成物A−4]
一段目の反応器の水素濃度とエチレン濃度と、それぞれ0.84モル%と0.84モル%に変更し、二段目の反応器のC4/(C2+C4)を0.41モル比に変更すると共に、エチレン−1−ブテン共重合体の量が31重量%となるように一段目と二段目の滞留時間分布を調整して得られた樹脂成分に、BASF社製のIRGACLEAR XT386(トリアミノベンゼン誘導体系核剤)を添加しなかった以外は、製造例2と同様にして比較用ポリプロピレン組成物A−4を製造した。
【0032】
[製造例5:比較用ポリプロピレン組成物A−5]
MgCl上にTiと内部ドナーとしてのジイソブチルフタレートを担持した固体触媒を、特開2004−27218公報の段落0032の21〜36行に記載された方法により調製した。次いで、上記固体触媒と、有機アルミニウム化合物としてトリエチルアルミニウム(TEAL)と、外部電子供与体化合物としてジシクロペンチルジメトキシシラン(DCPMS)を用い、固体触媒に対するTEALの重量比が20、DCPMSに対するTEALの重量比が10となる量で、12℃において24分間これらを接触させて触媒を得た。 得られた触媒を、液体プロピレン中において懸濁状態で20℃にて5分間保持することによって予重合を行い、予重合物を得た。得られた予重合物を、二段の重合反応器を直列に備える重合装置の一段目の重合反応器に導入し、液相状態のプロピレンをフィードして成分(1)であるプロピレン単独重合体を製造し、二段目の気相重合反応器で成分(2)であるエチレン−プロピレン共重合体を製造した。重合中は、温度と圧力を調整し、水素を分子量調整剤として用いた。重合温度と反応物の比率は、一段目の重合反応器では、重合温度、水素濃度がそれぞれ70℃、1.11モル%、二段目の重合反応器では、重合温度、水素濃度、C2/(C2+C3)が、それぞれ80℃、2.45モル%、0.49モル比であった。また、成分(2)の量が19重量%となるように一段目と二段目の滞留時間分布を調整した。得られた樹脂成分を用い、製造例4と同様にして比較用ポリプロピレン組成物A−5を製造した。
【0033】
[製造例6:ポリプロピレン組成物B−1]
重合に用いる固体触媒を、欧州特許第674991号公報の実施例1に記載された方法により調製した。当該固体触媒は、MgCl上にTiと内部ドナーとしてのジイソブチルフタレートを上記の特許公報に記載された方法で担持させたものである。当該固体触媒と、トリエチルアルミニウム(TEAL)およびジシクロペンチルジメトキシシラン(DCPMS)を、固体触媒に対するTEALの重量比が11、TEAL/DCPMSの重量比が10となるような量で、−5℃で5分間接触させた。得られた触媒系を、液体プロピレン中において懸濁状態で20℃において5分間保持することによって予重合を行った。得られた予重合物を重合反応器に導入した後、水素とプロピレン、エチレンをフィードし、重合温度、水素濃度、エチレン濃度を、それぞれ75℃、0.97モル%、0.80モル%とし、圧力を調整することよって、3.0重量%のエチレン由来単位を含み、MFRが25g/10分のプロピレンーエチレンランダム共重合体を製造した。得られた樹脂成分100重量部に対し、核剤としてミリケン社製のMillad 3988(ソルビトール系核剤)0.2重量部を用いた以外は、製造例1と同様にしてポリプロピレン組成物B−1を製造した。
【0034】
[製造例7:ポリプロピレン組成物B−2]
製造例6の重合反応器において、エチレンをフィードせず、水素濃度を0.71モル%に変更して、MFRが30g/10分のプロピレン単独重合体を重合し、得られた樹脂成分100重量部に対し、核剤としてミリケン社製のMillad 3988(ソルビトール系核剤)の代わりにMillad NX8000J(ノニトール系核剤)0.2重量部を用いた以外は、製造例6と同様にしてポリプロピレン組成物B−2を製造した。
【0035】
[実施例1]
ポリプロピレン組成物A−1を用い、以下の条件で射出成形してプリフォームを製造した。プリフォームの重量は30g、壁面部の肉厚は3.0mmであった。
射出成形機:LTD社製ECOJET 180B52
成形温度(℃):250
金型温度(℃):25
射出時間(秒):8.5
射出圧力(kg/cm):60
保圧圧力(kg/cm):50
保圧時間(秒):5
全サイクル時間(秒):56
【0036】
前記プリフォームを以下の条件で延伸ブロー成形して平均肉厚0.5mmの500mL円筒形ボトル(容器)を成形した。
延伸ブロー成形機:嘉明機械股フン有限公司製
コールドパリソン法
プリフォーム温度(℃):94
ブロー圧力(kg/cm):7
ブロー時間(秒):3.5
縦延伸倍率:1.9
横延伸倍率:2.0
【0037】
ポリプロピレン組成物およびこれらの成形体について、後述する方法によって評価した。結果を表2に示す。実施例1のポリプロピレン組成物は射出延伸ブロー成形における成形性に優れるとともに、得られた成形体の透明性と剛性と耐寒衝撃性のバランスは良好であった。
【0038】
[実施例2]
ポリプロピレン組成物A−2を用いた以外は、実施例1と同様にして成形体を製造し、評価した。射出延伸ブロー成形における成形性に優れるとともに、得られた成形体の透明性と剛性と耐寒衝撃性のバランスは良好であった。
【0039】
[実施例3]
ポリプロピレン組成物A−1とポリプロピレン組成物B−1を1:1(重量比)でドライブレンドして、本発明で用いるポリプロピレン組成物を調製した。当該組成物を前記条件で射出成形してプリフォームを製造した。得られたプリフォームから実施例1と同様にして延伸ブロー成形してボトルを製造し、評価した。射出延伸ブロー成形における成形性に優れるとともに、得られた成形体の透明性と剛性と耐寒衝撃性のバランスは良好であった。
【0040】
[実施例4]
ポリプロピレン組成物B−1の代わりにポリプロピレン組成物B−2を用いた以外は、実施例3と同様にして成形体を製造し、評価した。射出延伸ブロー成形における成形性に優れるとともに、得られた成形体の透明性と剛性と耐寒衝撃性のバランスは良好であった。
【0041】
[比較例1]
ポリプロピレン組成物A−1の代わりに、比較用ポリプロピレン組成物A−3を用いた以外は、実施例1と同様にして成形体を製造し、評価した。射出延伸ブロー成形は可能であったが、延伸ブロー成形後の成形体の透明性(目視)評価においては半透明となった。
【0042】
[比較例2]
ポリプロピレン組成物A−1の代わりに、表2に示すように比較用ポリプロピレン組成物A−4を用いた以外は、実施例4と同様にして成形体を製造し、評価した。射出延伸ブロー成形は可能であるが、射出成形で得たプリフォームにボイドが僅かに発生しており、延伸ブロー成形後の成形体の透明性(目視)評価においては半透明となった。
【0043】
[比較例3]
ポリプロピレン組成物A−1の代わりに、比較用ポリプロピレン組成物A−5を用いた以外は、実施例1と同様にして成形体を製造し、評価した。射出延伸ブロー成形は可能であるが、成形体は不透明であった。
【0044】
[比較例4]
ポリプロピレン組成物A−1およびポリプロピレン組成物B−1の比率を、表2に示すように変更した以外は、実施例3と同様にして成形体を製造し、評価した。射出延伸ブロー成形は可能であるが、耐寒衝撃性として特にボトル落下耐性が劣っていた。
【0045】
[比較例5]
ポリプロピレン組成物A−1の代わりに、ポリプロピレン組成物B−2を用いた以外は、実施例1と同様にして成形体を製造し、評価した。これらの結果を表2に示す。射出成形で得たプリフォームにボイドが多数発生し、延伸ブロー成形で破裂が発生し、ボトル物性評価はできなかった。
【0046】
【表1】
【0047】
【表2】
【0048】
[測定条件]
1)MFR
MFRは、JIS K7210−1に準拠し、温度230℃、荷重2.16kgの条件で測定した。
【0049】
2)成分(1)中のエチレン由来単位量および成分(2)中のエチレン由来単位量(1−ブテン由来単位量)
1,2,4−トリクロロベンゼン/重水素化ベンゼンの混合溶媒に溶解した試料について、日本電子株式会社製JNM LA−400(13C共鳴周波数100MHz)を用い、13C−NMR法で測定した。
【0050】
3)ポリプロピレン組成物のキシレン可溶分の極限粘度(XSIV)
以下の方法によってポリプロピレン組成物のキシレン可溶分を得て、キシレン可溶分の極限粘度(XSIV)を測定した。
ポリプロピレンのサンプル2.5gを、o−キシレン(溶媒)を250mL入れたフラスコに入れ、ホットプレートおよび還流装置を用いて、135℃で、窒素パージを行いながら、30分間撹拌し、組成物を完全溶解させた後、25℃で1時間、冷却した。これにより得られた溶液を、濾紙を用いて濾過した。濾過後の濾液を100mL採取し、アルミニウムカップ等に移し、窒素パージを行いながら、140℃で蒸発乾固を行い、室温で30分間静置して、キシレン可溶分を得た。
極限粘度は、テトラヒドロナフタレン中、135℃において毛細管自動粘度測定装置(SS−780−H1、株式会社柴山科学器械製作所製)を用いて測定した。
【0051】
4)曲げ弾性率
JIS K6921−2に従い、射出成形機(ファナック株式会社製FANUC ROBOSHOT S2000i)を用い、溶融樹脂温度を200℃、金型温度40℃、平均射出速度200mm/秒、保圧時間40秒、全サイクル時間60秒の条件にて、ポリプロピレン組成物からJIS K7139に規定する多目的試験片(タイプA1)を射出成形し、幅10mm、厚さ4mm、長さ80mmに加工して測定用試験片(タイプB2)を得た。株式会社島津製作所製精密万能試験機(オートグラフAG−X 10kN)を用い、温度23℃、相対湿度50%、支点間距離64mm、試験速度2mm/分の条件で、タイプB2測定用試験片の曲げ弾性率を測定することでポリプロピレン組成物から得られる成形体の剛性の指標とした。
【0052】
5)シャルピー衝撃強さ
JIS K6921−2に従い、曲げ弾性率測定で用いた試験片と同一の操作で得たタイプA1試験片を用いて測定した。すなわち、JIS K7111−1に従い、株式会社東洋精機製作所製ノッチングツールA−4を用いて幅10mm、厚み4mm、長さ80mmに加工してから幅方向に2mmのノッチを入れ、形状Aの測定用試験片を得た。その測定用試験片について、株式会社安田精機製作所製低温槽付き全自動衝撃試験機(No.258−ZA)を用い、温度0℃、相対湿度50%の条件でシャルピー衝撃強さ(エッジワイズ打撃、1eA法)を測定することでポリプロピレン組成物から得られる成形体の耐寒衝撃性の指標とした。
【0053】
6)成形性
以下の基準に従い、目視で評価した。
射出(プリフォーム)
a:問題なく成形できる
b:僅かにボイドが発生
c:ボイドが発生しNG
ブロー(ボトル)
a:問題なく成形できる
c:延伸不可(破裂する)
【0054】
7)透明性(目視)
以下の基準に従い、ボトルの透明性を目視で評価した。
a:透明
b:半透明
c:不透明
【0055】
8)透明性(ボトルヘーズ)
ボトル側面円周方向4箇所について、JIS K7136に従いヘーズ(%)を測定して平均値を求めた。本発明においては30%以下が好ましく、24%以下がさらに好ましい。
【0056】
9)ボトル落下耐性(5℃/1.5m)
500ml円筒型ボトルに5℃に調整した水を満注充てんした。1.5mの高さから、コンクリート床面に当該ボトルの底面から落下させた。1本のボトルを繰返し落下させ、割れが発生するまでに要した落下の回数(割れ発生落下回数)を求めた。各例において5本のボトルに対し同様の試験を行い、得られた割れ発生落下回数の平均値を求めることで射出延伸ブロー成形体としての耐寒衝撃性の指標とした。本発明においては10回以上が好ましい。