特開2020-90825(P2020-90825A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特開2020090825-軒樋支持具 図000003
  • 特開2020090825-軒樋支持具 図000004
  • 特開2020090825-軒樋支持具 図000005
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2020-90825(P2020-90825A)
(43)【公開日】2020年6月11日
(54)【発明の名称】軒樋支持具
(51)【国際特許分類】
   E04D 13/072 20060101AFI20200515BHJP
【FI】
   E04D13/072 501F
   E04D13/072 501S
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2018-227974(P2018-227974)
(22)【出願日】2018年12月5日
(71)【出願人】
【識別番号】593178409
【氏名又は名称】株式会社オーティス
(74)【代理人】
【識別番号】110002686
【氏名又は名称】協明国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】北村 昌司
(57)【要約】      (修正有)
【課題】軒樋支持具が保持している軒樋を容易に取り外すことが可能な軒樋支持具を提供する。
【解決手段】樋支持具本体10の前部と後部に耳保持部13,14を有し、軒樋5の前後に形成された耳部5a,5bを耳保持部で保持して軒樋を吊り支持する軒樋支持具1において、耳保持部の少なくとも一つには、軒樋の内周面5cに近接又は当接する弾性を有する押さえ部15と、レバー部16と、耳部が収容される凹所17とを備えており、レバー部を操作することで、押さえ部を変形させて、耳保持部による耳部の保持が解除される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
樋支持具本体の前部と後部に耳保持部を有し、軒樋の前後に形成された耳部を前記耳保持部で保持して前記軒樋を吊り支持する軒樋支持具において、
前記耳保持部の少なくとも一つには、前記軒樋の内周面に近接又は当接する弾性を有する押さえ部と、レバー部と、前記耳部が収容される凹所とを備えており、
前記レバー部を操作することで、前記押さえ部を変形させて、前記耳保持部による前記耳部の保持が解除されることを特徴とする軒樋支持具。
【請求項2】
請求項1において、
前記レバー部は、前記押さえ部の先端から上方に起立して形成されていることを特徴とする軒樋支持具。
【請求項3】
請求項1において、
前記レバー部は、把持部を備えることを特徴とする軒樋支持具。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、樋支持具本体の前部と後部に耳保持部を有し、軒樋の前後に形成された耳部を前記耳保持部で保持して軒樋を吊り支持する軒樋支持具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、軒樋を吊り支持する軒樋支持具は、耳保持部に軒樋の耳部が保持されることで、軒樋を吊り下げ支持していた(たとえば、特許文献1)。これにより、軒樋の耳部が耳保持部から脱落することが防止され、軒樋は安定して吊り支持されていた。具体的には、耳保持部は、弾性を有する押さえ部の先端で軒樋の内周面に近接又は当接させることで脱落を防止している。また、軒樋を耳部に取付ける際には、耳部で押さえ部を変形させながら軒樋を持ち上げることで、所定の位置に装着できるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2017−133273号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1のような軒樋支持具では、保持した軒樋を取り外すことについては考慮されていなかった。このような軒樋支持具では、軒樋を取り外すのに例えば、耳保持部から軒樋が抜けるまで左右方向に軒樋をスライドさせる、軒樋を破壊して軒樋支持具から取り外すなど、時間や労力がかかるものであった。
【0005】
本発明は、このような事情を考慮して提案されたもので、その目的は、軒樋支持具が保持している軒樋を容易に取り外すことが可能な軒樋支持具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、請求項1に記載の軒樋支持具は、樋支持具本体の前部と後部に耳保持部を有し、軒樋の前後に形成された耳部を前記耳保持部で保持して前記軒樋を吊り支持する軒樋支持具において、前記耳保持部の少なくとも一つには、前記軒樋の内周面に近接又は当接する弾性を有する押さえ部と、レバー部と、前記耳部が収容される凹所とを備えており、前記レバー部を操作することで、前記押さえ部を変形させて、前記耳保持部による前記耳部の保持が解除されることを特徴とする。
【0007】
請求項2に記載の軒樋支持具は、前記レバー部が、前記押さえ部の先端から上方に起立して形成されていることを特徴とする。
【0008】
請求項3に記載の軒樋支持具は、前記レバー部が、把持部を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
請求項1に記載の軒樋支持具は、上述した構成とされているため、レバー部を操作することで、軒樋支持具が保持している軒樋を容易に取り外すことができる。
【0010】
請求項2に記載の軒樋支持具は、上述した構成とされているため、レバー部で押さえ部を持ち上げる操作をすることで、押さえ部が変形し、軒樋支持具が保持している軒樋を容易に取り外すことができる。
【0011】
請求項3に記載の軒樋支持具は、上述した構成とされているため、把持部によってレバー部を操作しやすくなっている。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の一実施形態に係る軒樋支持具の斜視図である。
図2】(a)は軒樋支持具の側面図、(b)〜(e)は、(a)のX部を拡大した概略部分側面図であり、(b)、(c)は、軒樋を軒樋支持具に吊り支持させる手順を示した図、(d)、(e)は、軒樋を軒樋支持具から取り外す手順を示した図である。
図3】(a)は、本発明の他の実施形態に係る軒樋支持具の側面図、(b)〜(d)は、変形例に係る軒樋支持具の要部拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に、本発明の実施の形態について図面に基づいて説明する。まず、図1図3に示した軒樋支持具1の基本構成について説明する。なお、建築構造物に軒樋支持具を取り付けた状態を基準にして、前後方向(長手方向)、幅方向(建築構造物に対する見付の方向と一致する方向)、上下方向等を規定する。また、一部の図では、他図に付している詳細な符号の一部を省略している。
【0014】
図1図3の軒樋支持具1は、樋支持具本体10の前部と後部に耳保持部13,14を有し、軒樋5の前後に形成された耳部5a,5bを耳保持部13,14で保持して軒樋5を吊り支持する。耳保持部13,14の少なくとも一つには、軒樋5の内周面5cに近接又は当接する弾性を有する押さえ部15と、レバー部16と、耳部が収容される凹所17とを備えている。レバー部16を操作することで、押さえ部15を変形させて、耳保持部13,14による耳部5a,5bの保持が解除される。以下、図1について詳しく説明する。
【0015】
軒樋支持具1は、建築構造物6に固定される吊具であり、建築構造物6の軒先等に固定部材30を介して固定される。固定部材30はステンレス等の板状の金属材料からなり、建築構造物6に固定させるための固着具7が挿通される挿通孔31が複数開設されている。固定部材30の上端30aから別体で形成された長板状の取付足部20が前方に延びて形成され、取付足部20に樋支持具本体10が前後方向にスライド自在に連結されている。
【0016】
樋支持具本体10は、金属材を長尺状に加工して形成された本体部11を備え、その幅方向の中央には長手方向に延びる長孔12が開設されている。本体部11の前後両端には、図1に示したような軒樋5を吊り下げ支持するための耳保持部13,14を有している。このうち、軒樋5の後耳となる耳部5bを保持する耳保持部14について詳しく説明する。
【0017】
図2(a)に示すように、耳保持部14は、樋支持具本体10の後ろ側に形成されており、押さえ部15とレバー部16と凹所17とを備えている。押さえ部15は、本体部11とは別体で形成されており、薄板状の金属板を折り曲げ加工して上板部15aと下板部15bを有する略C字状に形成され、その厚みは本体部11を形成する金属材よりも薄い。押さえ部15の上板部15aがリベット止めや溶接等で本体部11に固着され、下板部15bには、軒樋5に近接又は当接する先端15baを有する。
【0018】
レバー部16は、押さえ部15の先端15baから上方に起立して形成されている。具体的には、押さえ部15の先端15baの幅方向の両端面からそれぞれ上方に起立して形成されている。つまり本実施形態では、耳保持部14は、レバー部16を2つ備えている。レバー部16は、棒状に形成され、その上端部16aは取付足部20よりも上方に位置する。これにより、レバー部16の操作を行いやすくなっている。レバー部16は押さえ部15と一体に形成されてもよく、押さえ部15と別体に形成し溶接等で固着させてもよい。また、本実施形態では、レバー部16は押さえ部15の幅方向の両端面からそれぞれ形成されているが、どちらか一方のみに形成されてもよく、また、形成される箇所も幅方向の端面に限定されることはない。
【0019】
凹所17は、本体部11の端部を折り曲げ加工して形成されている。本体部11の後端部11bから下方に延びて折曲部17aが形成され、折曲部17aの下端部17aaから前方に延びて耳載置部17bが形成される。折曲部17aと耳載置部17bとにより凹所17が構成されている。そして、耳載置部17bの前端部17baから下方に延びて垂下片18が形成されており、垂下片18は、耳部5bを耳保持部14に保持させる際のガイドとなる。
【0020】
上述した押さえ部15を本体部11にリベット止めや溶接等で固着させることで、耳保持部14は押さえ部15、レバー部16、凹所17を備えた耳保持部14が構成される。なお、押さえ部15、レバー部16、凹所17の形状や構成は、上述したものに限定されることはない。
【0021】
取付足部20は、図1に示すように、板状の金属材料を折曲加工して形成されており、前方に段落ち形成されている。取付足部20は、樋支持具本体10の長孔12を介して、ロック部材4と連結されている。これにより、軒樋支持具1は、樋支持具本体10を前後方向の所望の位置にスライドさせて固定させるスライド手段を有する。なお、軒樋支持具1はスライド手段を有していなくてもよい。
【0022】
上述のようにして軒樋支持具1は構成される。
次に、この軒樋支持具1に軒樋5を吊り支持させる方法について、図2(b)、(c)を参照して説明する。
【0023】
軒樋支持具1は、固定部材30の挿通孔31を介して固着具7により建築構造物6に固定される。この軒樋支持具1の耳保持部13に軒樋5の前側の耳部5aを係止させ、耳保持部13を軸にして軒樋5を後方に回動させる。このとき、軒樋5の後ろ側の耳部5bは、その先端5baが下方より垂下片18に沿って押さえ部15に到達する。そして、図2(b)に示すように、軒樋5を持ち上げるようにして、耳部5bにより押さえ部15を弾性変形させる。これにより、耳部5bは、耳保持部14内に到達する。そして、押さえ部15が初期状態に弾性復帰し、耳部5bは出口を塞いだ状態で凹所17に収容される。軒樋5を押し込む力が解除されると、軒樋5は自然落下し、耳載置部17bに耳部5bが載置され、押さえ部15が軒樋5の内周面5cに近接又は当接した状態となる(図2(c)参照)。これにより軒樋5は所定の位置に装着され、軒樋支持具1に吊り支持された状態となる。
【0024】
次に、軒樋5を軒樋支持具1から取り外す方法について図2(d)、(e)を参照して説明する。
【0025】
図2(d)に示すように、レバー部16を前方に倒すか、斜め前方に引っ張ることで、押さえ部15がそれに伴い弾性変形し、押さえ部15が軒樋5の内周面5cに近接又は当接した状態が解除される。これにより、耳保持部14による耳部5bの保持が解除され、耳部5bが通り抜けるための挿通路sが形成される。そして、耳部5bを挿通路sを介して取り外し、軒樋5を軒樋支持具1から取り外すことができる(図2(e)参照)。
【0026】
次に軒樋支持具1の他の実施形態について、図3(a)を参照して説明する。なお、図1の軒樋支持具1と共通する部分には、可能な限り同一の符号を付し、その構成及び機能等についての説明は省略する。
【0027】
図3(a)は、樋支持具本体10の前側の耳保持部13が、後ろ側の耳保持部14と同様に、押さえ部15、レバー部16、凹所17とにより構成されている。前側の耳保持部13の凹所17は、本体部11の端部を折り曲げ加工して形成されている。本体部11の前端部11aから下方に延びて折曲部17aが形成され、折曲部17aの下端部17aaから後方に延びて耳載置部17bが形成される。折曲部17aと耳載置部17bとにより凹所17が形成されている。なお、耳保持部13には、後ろ側の耳保持部14とは異なり、垂下片18が形成されていないが、形成されていてもよい。前側の耳保持部13の押さえ部15、レバー部16は、後ろ側の耳保持部14の押さえ部15、レバー部16と同様に構成されている。また、図3(a)と同様の耳保持構造である折板屋根に取付ける吊りボルト式の軒樋支持具にも同様のレバー部が適用可能である。
【0028】
次に軒樋支持具1の変形例について図3(b)〜(d)を参照して説明する。
図3(b)〜(d)に示した各変形例では、レバー部16が、把持部19を備えている。把持部19は、レバー部16を操作する際の取っ手となるので、レバー部16の操作が行いやすくなる。その他の構成については、図1の軒樋支持具1と同様である。
【0029】
図3(b)の変形例では、図で示されているように、把持部19はレバー部16と一体形成されており、レバー部16の上端部16aから前方に延びて、把持部19が形成されている。
図3(c)の変形例では、図で示されているように、レバー部16の上端部16aに球状又は楕円体の把持部19が形成されている。
図3(d)の変形例では、図で示されているように、レバー部16,16の上端部16a,16a間をつなぐように把持部19が形成されている。
図3(b)〜(d)では、把持部19によって、レバー部16を前方に引っ張るだけでなく、上方に持ち上げるようにした操作ができる。
【0030】
上述した軒樋支持具1の形状や構成は、図例や説明したものに限定されることはない。たとえば、レバー部は棒状に限定されることはなく板状であってもよい。また、把持部も上述した形状に限定されることはない。また、軒樋支持具の各部材の材質も上述したものに限定されることはなく、金属材料以外の樹脂材料であってもよい。さらにレバー部や把持部がゴム等の樹脂材で覆われる態様であってもよい。
【0031】
押さえ部も上述したものに限定されることはなく、例えば硬質なゴム等の金属製以外の板材で形成されてもよく、針金等の弾性を有する線状材を折曲して形成されてもよい。
【符号の説明】
【0032】
1 軒樋支持具
5 軒樋
5a,5b 耳部
5c 内周面
10 樋支持具本体
13,14 耳保持部
15 押さえ部
16 レバー部
17 凹所
19 把持部
図1
図2
図3