特開2020-91214(P2020-91214A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2020-91214(P2020-91214A)
(43)【公開日】2020年6月11日
(54)【発明の名称】被処理水中の放射性物質除去方法
(51)【国際特許分類】
   G21F 9/10 20060101AFI20200515BHJP
   G21F 9/06 20060101ALI20200515BHJP
   G21F 9/36 20060101ALI20200515BHJP
   G21F 1/04 20060101ALI20200515BHJP
   G21F 5/06 20060101ALI20200515BHJP
【FI】
   G21F9/10 A
   G21F9/06 501A
   G21F9/36 501H
   G21F9/36 501A
   G21F1/04
   G21F5/06 G
【審査請求】有
【請求項の数】2
【出願形態】OL
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2018-228854(P2018-228854)
(22)【出願日】2018年12月6日
(11)【特許番号】特許第6587301号(P6587301)
(45)【特許公報発行日】2019年10月9日
(71)【出願人】
【識別番号】593179783
【氏名又は名称】株式会社フジモト
(74)【代理人】
【識別番号】100119220
【弁理士】
【氏名又は名称】片寄 武彦
(74)【代理人】
【識別番号】100139103
【弁理士】
【氏名又は名称】小山 卓志
(74)【代理人】
【識別番号】100139114
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 貞嗣
(72)【発明者】
【氏名】藤本 隆司
(57)【要約】
【課題】目詰まり等の問題が発生せず、効率良く放射性物質を除去可能で、放射性物質の濃度が低下した被処理水を公共の河川、海に放流することが可能な被処理水中の放射性物質除去方法を提供することを目的とする。
【解決手段】放射性物質を含む被処理水を下部に沈殿物取出手段と撹拌手段を備えた撹拌槽に投入する工程と、撹拌槽に木炭の微粉末を津入し撹拌する工程と、撹拌槽にブライオゾーア(北海道阿寒産、苔虫類の化石)の1mm以下の微粉末である無機系凝集剤を投入し、撹拌する工程と、撹拌槽の下部に沈殿した沈殿物を沈殿物取出手段を介して取出す工程と、取出した沈殿物を遠心分離機に投入し脱水する工程と、脱水された沈殿物を放射線遮蔽手段を備えた貯蔵施設に保管する工程と、放射性物質濃度が低下した被処理水を公共の河川、海に排水する工程と、を備えることを特徴とする。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
放射性物質を含む被処理水を下部に沈殿物取出手段撹拌手段を備えた撹拌槽に投入する工程と、
撹拌槽に木炭の微粉末を津入し撹拌する工程と、
撹拌槽にブライオゾーア(北海道阿寒産、苔虫類の化石)の1mm以下の微粉末である無機系凝集剤を投入し、撹拌する工程と、
撹拌槽の下部に沈殿した沈殿物を沈殿物取出手段を介して取出す工程と、
取出した沈殿物を遠心分離機に投入し脱水する工程と、
脱水された沈殿物を放射線遮蔽手段を備えた貯蔵施設に保管する工程と、
放射性物質濃度が低下した被処理水を公共の河川、海に排水する工程と、
を備えることを特徴とする被処理水中の放射性物質除去方法。
【請求項2】
無機系凝集剤であるブライオゾーナの成分が、pH8.21、N(窒素)0.004%、P26(燐酸)0.118%、K2O(加里)0.308%、CaO(石灰)14.42%、CaO(可溶性石灰)13.06%、Mg0(苦土)11.47%,アルカリ分14.09%、Zn(亜鉛)475ppm、Cu(銅)167ppm、Fe(鉄)2.383%、T−Si02(ケイ酸)44.4%であることを特徴とする請求項1に記載の被処理水中の放射性物質除去方法。
【請求項3】
放射線遮蔽手段を備えた貯蔵施設を、一対の箱形型枠部材を向き合わせに配置し、一対の箱形型枠部材を斜めに交差するブレース部材で連結して型枠ユニットを形成し、複数の型枠ユニットを縦方向、横方向に連設して矩形容器とし、一対の箱形型枠部材間の空間に放射線遮蔽部材であるバリウムと生コンクリート改質剤を加えたコンクリートモルタルを充填して固化させ一体化し、内壁又は外壁を防水加工をして構築することを特徴とする請求項1又は2に記載の被処理水中の放射性物質除去方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、放射性物質を含有する被処理水から放射性物質を除去する方法に関する。
【0002】
東日本大震災での福島第一原子力発電所の原子力事故により環境中に大量の放射性物質が放出され水や土壌等が広範囲にわたって汚染された。そのため、放射性物質で汚染された水や土壌等から放射性物質を除去することが求められている。なお、放射性物質で汚染された土壌や瓦礫等の除染は通常は水洗浄により行われ、この水洗浄の際にも放射性物質を含む水が発生する。放射性物質を含有する被処理水を除染する従来技術としては、ゼオライト系材料等の放射性物質を吸着する放射性物質吸着材が充填された吸着塔(ベッセル)や、前記放射性物質吸着材を含んで構成されるフィルタに被処理水を通すことにより、被処理水中の放射性物質を除去する方法が知られている
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2015−105884号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の放射性物質除去方法によれば、被処理水中には汚泥や懸濁物質)等が含まれるため、汚泥や懸濁物質が放射性物質吸着材に付着して目詰まりを起こす恐れがあった。目詰まりが生じた場合は放射性物質吸着材を交換する必要があるため、作業効率の低下及びコストの増加という問題が発生する。
【0005】
本発明は、従来技術のもつ課題を解決する、目詰まり等の問題が発生せず、効率良く放射性物質を除去可能で、放射性物質の濃度が低下した被処理水を公共の河川、海に放流することが可能な被処理水中の放射性物質除去方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の被処理水中の放射性物質除去方法は、前記課題を解決するために、放射性物質を含む被処理水を下部に沈殿物取出手段と撹拌手段を備えた撹拌槽に投入する工程と、撹拌槽に木炭の微粉末を津入し撹拌する工程と、撹拌槽にブライオゾーア(北海道阿寒産、苔虫類の化石)の1mm以下の微粉末である無機系凝集剤を投入し、撹拌する工程と、撹拌槽の下部に沈殿した沈殿物を沈殿物取出手段を介して取出す工程と、取出した沈殿物を遠心分離機に投入し脱水する工程と、脱水された沈殿物を放射線遮蔽手段を備えた貯蔵施設に保管する工程と、放射性物質濃度が低下した被処理水を公共の河川、海に排水する工程と、を備えることを特徴とする。
【0007】
また、本発明の被処理水中の放射性物質除去方法は、無機系凝集剤であるブライオゾーナの成分が、pH8.21、N(窒素)0.004%、P26(燐酸)0.118%、K2O(加里)0.308%、CaO(石灰)14.42%、CaO(可溶性石灰)13.06%、Mg0(苦土)11.47%,アルカリ分14.09%、Zn(亜鉛)475ppm、Cu(銅)167ppm、Fe(鉄)2.383%、T−Si02(ケイ酸)44.4%であることを特徴とする。
【0008】
また、本発明の被処理水中の放射性物質除去方法は、放射線遮蔽手段を備えた貯蔵施設を、一対の箱形型枠部材を向き合わせに配置し、一対の箱形型枠部材を斜めに交差するブレース部材で連結して型枠ユニットを形成し、複数の型枠ユニットを縦方向、横方向に連設して矩形容器とし、一対の箱形型枠部材間の空間に放射線遮蔽部材であるバリウムと生コンクリート改質剤を加えたコンクリートモルタルを充填して固化させ一体化し、内壁又は外壁を防水加工して構築することを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
放射性物質を含む被処理水を下部に沈殿物取出手段撹拌手段を備えた撹拌槽に投入する工程と、撹拌槽に木炭の微粉末を津入し撹拌する工程と、撹拌槽にブライオゾーア(北海道阿寒産、苔虫類の化石)の1mm以下の微粉末である無機系凝集剤を投入し、撹拌する工程と、撹拌槽の下部に沈殿した沈殿物を沈殿物取出手段を介して取出す工程と、取出した沈殿物を遠心分離機に投入し脱水する工程と、脱水された沈殿物を放射線遮蔽手段を備えた貯蔵施設に保管する工程と、放射性物質濃度が低下した被処理水を公共の河川、海に排水する工程と、を備えることで、木炭の微分末を投入することで被処理水の放射性物質が付着した塵埃を吸着し、さらに天然鉱物資源であるブライオゾーアからなる無機系凝集剤を使用するので環境負荷が低く、安全性が高く、被処理水中存在する放射性物質が付着した塵埃とイオン状の放射性物質を吸着凝固させて撹拌槽の下部に沈降させるので、効率良く被処理水中の放射性物質濃度が低下することが可能となる。また、撹拌槽下部に沈殿した沈殿物を遠心分離機により脱水した固形分を放射線遮蔽手段を備えた貯蔵施設に保管するので極めて安全で高効率の被処理水中の放射性物質除去方法を提供することが可能となる。
無機系凝集剤であるブライオゾーナの成分が、pH8.21、N(窒素)0.004%、P26(燐酸)0.118%、K2O(加里)0.308%、CaO(石灰)14.42%、CaO(可溶性石灰)13.06%、Mg0(苦土)11.47%,アルカリ分14.09%、Zn(亜鉛)475ppm、Cu(銅)167ppm、Fe(鉄)2.383%、T−Si02(ケイ酸)44.4%であることで、被処理水中に投入されると酸素を発生し、好気性菌及び光合成菌を活性化し放射性物質が付着した塵埃を分解し、さらに、ブライオゾーアからなる無機系凝集剤は多孔質であるため、放射性物質が付着した塵埃とイオン状の放射性物質を吸着凝固させて撹拌槽の下部に沈降させる被処理水中の放射性物質濃度を低下摺ることが可能となる。
射線遮蔽手段を備えた貯蔵施設を、一対の箱形型枠部材を向き合わせに配置し、一対の箱形型枠部材を斜めに交差するブレース部材で連結して型枠ユニットを形成し、複数の型枠ユニットを縦方向、横方向に連設して矩形容器とし、一対の箱形型枠部材間の空間に放射線遮蔽部材であるバリウムと生コンクリート改質剤を加えたコンクリートモルタルを充填して固化させ一体化し、内壁又は外壁を防水加工をして構築することで、組立て作業が容易で、コンクリートと一体化して放射線遮蔽性能の高い貯蔵施設を構築することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の実施形態を示す図である。
図2】(a)(b)(c)本発明の実施形態を示す図である。
図3】本発明の実施形態を示す図である。
図4】本発明の実施形態を示す図である。
図5】本発明の実施形態を示す図である。
図6】本発明の実施形態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の実施の形態を図により説明する。図1本発明の被処理水中の放射性物質除去方法の概略図である。
【0012】
放射性物質を含む被処理水1を被処理水供給ポンプ2により撹拌槽3に投入する。撹拌槽3内には、駆動手段4により回転駆動する撹拌翼5が配置される。被処理水1内には、放射性セシウム等の放射性物質が付着した塵埃とイオン状の放射性物質を含んでいる。
【0013】
被処理水1が投入された撹拌槽3に、木炭微粉末貯蔵タンク13から木炭の微粉末を投入し、撹拌翼5を駆動し撹拌する。木炭の微粉末は多孔質で被処理水中の放射性物質が付着した塵埃を吸着する機能を有している。
【0014】
次の工程は、無機系凝集剤貯蔵タンク6から無機系凝集剤が投入される。本発明で使用される無機系凝集剤は、北海道阿寒産の苔虫類の化石であるブライオゾーアの1mm以下の微粒子(商品名:モスナイト、環境技研アース・クラスター株式会社製)である。
【0015】
無機系凝集剤であるブライオゾーアの成分は、pH8.21、N(窒素)0.004%、P26(燐酸)0.118%、K2O(加里)0.308%、CaO(石灰)14.42%、CaO(可溶性石灰)13.06%、Mg0(苦土)11.47%,アルカリ分14.09%、Zn(亜鉛)475ppm、Cu(銅)167ppm、Fe(鉄)2.383%、T−Si02(ケイ酸)44.4%である。
【0016】
ブライオゾーアからなる無機系凝集剤は、被処理水中に投入されると酸素を発生し、好気性菌及び光合成菌を活性化し放射性物質が付着した塵埃を分解する機能を有している。さらに、ブライオゾーアからなる無機系凝集剤は多孔質であるため、前の工程で放射性物質が付着した木炭の微粉末、放射性物質が付着した塵埃、イオン状の放射性物質を吸着凝固させて撹拌槽3の下部に沈降させる機能を有している。
【0017】
このような機能を有する無機系凝集剤であるブライオゾーアを被処理水に投入して撹拌することにより、効率良く被処理水中に存在する放射性物質が付着した塵埃とイオン状の放射性物質を吸着凝固させて撹拌槽3の下部に沈降させるので、被処理水中の放射性物質濃度が低下する。
【0018】
撹拌槽3の下部に沈殿した沈殿物7は、撹拌槽3内での無機性凝集剤であるブライオゾーアと被処理水1との撹拌後に沈殿物取出手段8により取り出され、遠心分離機9に送られる。
【0019】
遠心分離機9により脱水された固形分は放射線遮蔽袋に入れられ、放射線遮蔽手段を備えた貯蔵施設10に保管される。
【0020】
撹拌槽3内の放射性物質濃度が国の規定する濃度以下に低下した被処理水は、放射性物質濃度低下被処理水排出ポンプ11により汲みだされ公共の河川、海等に排水される。
【0021】
遠心分離機9により脱水後に発生する液体は、次の処理工程の被処理水1と一緒に遠心分離機液体排水ポンプ12により撹拌槽3に投入される。
【0022】
図2(a)(b)(c)は、放射線遮蔽手段を備えた貯蔵施設10の構築するための箱形型枠部材14の正面図、上面図、側面図である。
【0023】
箱形型枠部材14は、矩形の平板部14a、平板部14aから直角方向に水平に伸びる上フランジ部14b、中フランジ部14c、下フランジ部14d、左フランジ部14e、右フランジ部14fを備えている。
【0024】
上フランジ部14bと下フランジ部14dの先端に縦位置決め爪部材18を固定し、左フランジ部14e、右フランジ部14fの先端に横位置決め爪部材19を固定する。
【0025】
上フランジ部14b、中フランジ部14c、下フランジ部14dには、縦鉄筋挿通孔14gと斜めブレース連結孔14hが複数形成される。左フランジ部14eと右フランジ部14fには、横鉄筋挿通孔14iが形成される。
【0026】
図3は、一対の箱形型枠部材14を向き合わせて配置し、一対の箱形型枠部材14の上フランジ部14b、中フランジ部14c、下フランジ部14d同士を複数の斜めブレース部材15で連結して型枠ユニット16を形成した正面図であり、図4は、図3のA−A線切断面図である。
【0027】
一対の箱形型枠部材14の一方の箱形型枠部材14の上フランジ部14b、中フランジ部14c、下フランジ部14dに形成した斜めブレース連結孔14hに斜めブレース部材15の一端をピン15aで連結し、斜めブレース部材15の他端を他方の箱形型枠部材14の上フランジ部14b、中フランジ部14c、下フランジ部14dに形成した斜めブレース連結孔14hにピン15aで連結する。複数の斜めブレース部材15が交差するように配置する。斜めブレース部材の交差部をピン15aで連結する。
【0028】
斜めブレース部材15の連結が緩い状態の状態で、斜めブレース部材15を回動させ、一対の箱形型枠部材14間の距離を設計された貯蔵施設10の壁厚、床厚になるように調節し、その後、斜めブレース部材15の連結を確実にするようにピン15aを締付け型枠ユニット16を形成する。斜めブレース部材15は交差するように配置されるので固化材と一体化してトラス構造を形成するので補強効果が増大する。
【0029】
斜めブレース部材15で連結して形成される型枠ユニット16は工場で組み立て、放射線遮蔽手段を備えた貯蔵施設10の構築現場に運搬し、構築現場で組み立てる。
【0030】
図5は、複数の型枠ユニット16を縦方向、横方向に連設して構築される放射線遮蔽手段を備えた貯蔵施設10の上面図であり、図6は、図5のB−B線切断面図である。
【0031】
複数の型枠ユニット16を縦方向、横方向に連設して矩形容器状の貯蔵施設を形成する。複数の型枠ユニット16の縦方向、横方向の連設は縦位置決め爪部材18、横位置決め爪部材19により正確に実施することが可能となる。
【0032】
複数の型枠ユニット16の縦方向の連設は、上フランジ部14b、中フランジ部14c、下フランジ部14dに形成した縦鉄筋挿通孔14gに縦鉄筋(図示せず)を挿通しナットを螺着して固定する。複数の型枠ユニット16の横方向の連設は、左フランジ部14eと右フランジ部14fに形成した横鉄筋挿通孔14iに横鉄筋(図示せず)を挿通しナットを螺着して固定する。
【0033】
複数の型枠ユニット16を縦方向、横方向に連設して矩形容器状とした後、一対の箱形型枠部材14間の空間に放射線遮蔽物質であるバリウムと生コンクリート改良剤を加えたコンクリートモルタルを充填し固化させ一体化する。
【0034】
放射線遮蔽物質であるバリウムは、入手が容易で軽量であり取り扱いの容易な物質であり放射線遮蔽効果が高い物質である。本発明に用いる生コンクリート改質剤は、人工ゼオライトに特殊界面活性剤を均一に練り込んだ商品名エコ・パワーファイブ(ワーク・ファイン株式会社製)であり、陽イオン、陰イオンによる電離作用の働きがイオン結合により一層促進し、水分子を緻密化してセメント粒子の結合が増大する。これにより、セメントの分散性が高まり、且つブリーチングの減少、コンクリートの緻密化を図ることが可能となる。
【0035】
型枠ユニット16に充填された生コンクリートが固化した後、矩形容器状の貯蔵施設10の内壁又は外壁に耐久性のある防水手段16を配置する遠心分離機9により脱水された固形分は、貯蔵施設10の水18中に投入する。放射線遮蔽手段を備えた貯蔵施設10の貯蔵可能容量に達する貯蔵施設10の上部開口を複数の型枠ユニット16を連接した蓋部材で蓋をし、セシウムの半減期まで貯蔵する。
【0036】
以上のように、本発明の被処理水中の放射性物質除去方法によれば、天然鉱物資源であるブライオゾーアからなる無機系凝集剤を使用するので環境負荷が低く、安全性が高く、被処理水中存在する放射性物質が付着した塵埃とイオン状の放射性物質を吸着凝固させて撹拌槽の下部に沈降させるので、効率良く被処理水中の放射性物質濃度が低下することが可能となる。また、撹拌槽下部に沈殿した沈殿物を遠心分離機により脱水した固形分を放射線遮蔽手段を備えた貯蔵施設に保管するので極めて安全で高効率の被処理水中の放射性物質除去方法を提供することが可能となる。
【符号の説明】
【0037】
1:被処理水、2:被処理水供給ポンプ、3:撹拌槽、4:駆動手段、5:撹拌翼、6:無機系凝集剤貯蔵タンク、7:沈殿物、8:沈殿物取出手段、9:遠心分離機、10:貯蔵施設、11:放射性物質濃度低下被処理水排出ポンプ、12:遠心分離機液体排水ポンプ、13:木炭微粉末貯蔵タンク、14:箱形型枠部材、14a:平板部、14b:上フランジ部、14c:中フランジ部、14d:下フランジ部、14e:左フランジ部、14f:右フランジ部、14g:縦鉄筋挿通孔、14h:斜めブレース連結孔、14i:横鉄筋挿通孔、15:斜めブレース部材、15a:ピン、16:型枠ユニット、17:防水手段、、18:縦位置決め爪部材、19:横位置決め爪部材
図1
図2
図3
図4
図5
図6
【手続補正書】
【提出日】2019年7月29日
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
放射性物質を含む被処理水を下部に沈殿物取出手段と撹拌手段を備えた撹拌槽に投入する工程と、
撹拌槽に木炭の微粉末を投入し撹拌する工程と、
撹拌槽に成分が、pH8.21、N(窒素)0.004%、P26(燐酸)0.118%、K2O(加里)0.308%、CaO(石灰)14.42%、CaO(可溶性石灰)13.06%、Mg0(苦土)11.47%,アルカリ分14.09%、Zn(亜鉛)475ppm、Cu(銅)167ppm、Fe(鉄)2.383%、T−Si02(ケイ酸)44.4%であるブライオゾーア(苔虫類の化石)の1mm以下の微粉末である無機系凝集剤を投入し、撹拌する工程と、
撹拌槽の下部に沈殿した沈殿物を沈殿物取出手段を介して取出す工程と、
取出した沈殿物を遠心分離機に投入し脱水する工程と、
脱水された沈殿物を、放射線遮蔽手段を備えた貯蔵施設に保管する工程と、
放射性物質濃度が低下した被処理水を公共の河川、海に排水する工程と、
を備えることを特徴とする被処理水中の放射性物質除去方法。
【請求項2】
放射線遮蔽手段を備えた貯蔵施設を、一対の箱形型枠部材を向き合わせに配置し、一対の箱形型枠部材されるを斜めに交差するブレース部材で連結して型枠ユニットを形成し、複数の型枠ユニットを縦方向、横方向に連設して矩形容器とし、一対の箱形型枠部材間の空間に放射線遮蔽部材であるバリウムと生コンクリート改質剤を加えたコンクリートモルタルを充填して固化させ一体化し、内壁又は外壁を防水加工をして構築することを特徴
とする請求項1に記載の被処理水中の放射性物質除去方法。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0006
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0006】
本発明の被処理水中の放射性物質除去方法は、前記課題を解決するために、放射性物質を含む被処理水を下部に沈殿物取出手段と撹拌手段を備えた撹拌槽に投入する工程と、撹拌槽に木炭の微粉末を投入し撹拌する工程と、撹拌槽に成分が、pH8.21、N(窒素)0.004%、P26(燐酸)0.118%、K2O(加里)0.308%、CaO(石灰)14.42%、CaO(可溶性石灰)13.06%、Mg0(苦土)11.47%,アルカリ分14.09%、Zn(亜鉛)475ppm、Cu(銅)167ppm、Fe(鉄)2.383%、T−Si02(ケイ酸)44.4%であるブライオゾーア(苔虫類の化石)の1mm以下の微粉末である無機系凝集剤を投入し、撹拌する工程と、撹拌槽の下部に沈殿した沈殿物を沈殿物取出手段を介して取出す工程と、取出した沈殿物を遠心分離機に投入し脱水する工程と、脱水された沈殿物を、放射線遮蔽手段を備えた貯蔵施設に保管する工程と、放射性物質濃度が低下した被処理水を公共の河川、海に排水する工程と、を備えることを特徴とする。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0007
【補正方法】削除
【補正の内容】
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0009
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0009】
放射性物質を含む被処理水を下部に沈殿物取出手段と撹拌手段を備えた撹拌槽に投入する工程と、撹拌槽に木炭の微粉末を投入し撹拌する工程と、撹拌槽に成分が、pH8.21、N(窒素)0.004%、P26(燐酸)0.118%、K2O(加里)0.308%、CaO(石灰)14.42%、CaO(可溶性石灰)13.06%、Mg0(苦土)11.47%,アルカリ分14.09%、Zn(亜鉛)475ppm、Cu(銅)167ppm、Fe(鉄)2.383%、T−Si02(ケイ酸)44.4%であるブライオゾーア(苔虫類の化石)の1mm以下の微粉末である無機系凝集剤を投入し、撹拌する工程と、撹拌槽の下部に沈殿した沈殿物を沈殿物取出手段を介して取出す工程と、取出した沈殿物を遠心分離機に投入し脱水する工程と、脱水された沈殿物を、放射線遮蔽手段を備えた貯蔵施設に保管する工程と、放射性物質濃度が低下した被処理水を公共の河川、海に排水する工程と、を備えることで、木炭の微分末を投入することで被処理水の放射性物質が付着した塵埃を吸着し、さらに天然鉱物資源であるブライオゾーアからなる無機系凝集剤を使用するので環境負荷が低く、安全性が高く、被処理水中存在する放射性物質が付着した塵埃とイオン状の放射性物質を吸着凝固させて撹拌槽の下部に沈降させるので、効率良く被処理水中の放射性物質濃度が低下することが可能となる。また、撹拌槽下部に沈殿した沈殿物を遠心分離機により脱水した固形分を放射線遮蔽手段を備えた貯蔵施設に保管するので極めて安全で高効率の被処理水中の放射性物質除去方法を提供することが可能となり、被処理水中に投入されると酸素を発生し、好気性菌及び光合成菌を活性化し放射性物質が付着した塵埃を分解し、さらに、ブライオゾーアからなる無機系凝集剤は多孔質であるため、放射性物質が付着した塵埃とイオン状の放射性物質を吸着凝固させて撹拌槽の下部に沈降させる被処理水中の放射性物質濃度を低下摺ることが可能となる。
放射線遮蔽手段を備えた貯蔵施設を、一対の箱形型枠部材を向き合わせに配置し、一対の箱形型枠部材を斜めに交差するブレース部材で連結して型枠ユニットを形成し、複数の型枠ユニットを縦方向、横方向に連設して矩形容器とし、一対の箱形型枠部材間の空間に放射線遮蔽部材であるバリウムと生コンクリート改質剤を加えたコンクリートモルタルを充填して固化させ一体化し、内壁又は外壁を防水加工をして構築することで、組立て作業が容易で、コンクリートと一体化して放射線遮蔽性能の高い貯蔵施設を構築することが可能となる。