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特開2020-91606コンピュータプログラム、情報処理装置及び商標判定方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2020-91606(P2020-91606A)
(43)【公開日】2020年6月11日
(54)【発明の名称】コンピュータプログラム、情報処理装置及び商標判定方法
(51)【国際特許分類】
   G06F 16/00 20190101AFI20200515BHJP
【FI】
   G06F17/30 210A
   G06F17/30 350C
   G06F17/30 170Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2018-227614(P2018-227614)
(22)【出願日】2018年12月4日
(71)【出願人】
【識別番号】518322643
【氏名又は名称】株式会社ひらめき
(71)【出願人】
【識別番号】518154033
【氏名又は名称】株式会社ビジネスインテリジェンス
(74)【代理人】
【識別番号】100114557
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 英仁
(74)【代理人】
【識別番号】100078868
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 登夫
(72)【発明者】
【氏名】三浦 一大
(72)【発明者】
【氏名】内山 靖隆
(57)【要約】
【課題】コンテンツに含まれる商標の候補を判定するコンピュータプログラム、情報処理装置及び商標判定方法を提供する。
【解決手段】本実施の形態に係る情報処理装置は、入力されたコンテンツに含まれる商標候補を抽出する抽出部と、商標が記憶されたデータベースを参照し、前記抽出部が抽出した前記商標候補が前記データベースに記憶された商標に一致又は類似するか否かを判定する判定部と、前記商標候補が前記データベースに記憶された商標に一致又は類似すると前記判定部が判定した場合に通知を行う通知部とを備える。情報処理装置は、登録商標に一致又は類似すると判定した商標候補と、出願段階商標に一致又は類似すると判定した商標候補とを区別して通知してもよい。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンピュータに、
入力されたコンテンツに含まれる商標候補を抽出し、
商標が記憶されたデータベースを参照し、抽出した前記商標候補が前記データベースに記憶された商標に一致又は類似するか否かを判定し、
前記商標候補が前記データベースに記憶された商標に一致又は類似すると判定した場合に通知する
処理を実行させる、コンピュータプログラム。
【請求項2】
前記データベースは、登録商標を記憶しており、
コンピュータに、
前記商標候補が前記データベースに記憶された登録商標に一致又は類似すると判定した場合に通知する
処理を実行させる、請求項1に記載のコンピュータプログラム。
【請求項3】
前記データベースは、出願段階商標を記憶しており、
コンピュータに、
前記商標候補が前記データベースに記憶された出願段階商標に一致又は類似すると判定した場合に通知する
処理を実行させる、請求項2に記載のコンピュータプログラム。
【請求項4】
コンピュータに、
前記登録商標に一致又は類似すると判定した前記商標候補と、前記出願段階商標に一致又は類似すると判定した前記商標候補とを区別して通知する
処理を実行させる、請求項3に記載のコンピュータプログラム。
【請求項5】
コンピュータに、
前記商標候補が前記データベースに記憶されている商標に一致又は類似すると判定した場合に、代替商標候補を通知する
処理を実行させる、請求項1乃至請求項4のいずれか1つに記載のコンピュータプログラム。
【請求項6】
コンピュータに、
前記代替商標候補を通知する際に、商標の出願手続きを代理する代理人に関する広告を表示する
処理を実行させる、請求項5に記載のコンピュータプログラム。
【請求項7】
前記商標候補には、文字又はロゴの商標を含む、請求項1乃至請求項6のいずれか1つに記載のコンピュータプログラム。
【請求項8】
コンピュータに、
抽出した商標候補の区分を判定する
処理を実行させる、請求項1乃至請求項7のいずれか1つに記載のコンピュータプログラム。
【請求項9】
コンテンツを入力として受け付けて商標の区分を出力する学習済モデルを用い、前記商標候補の区分を判定する、請求項8に記載のコンピュータプログラム。
【請求項10】
入力されたコンテンツに含まれる商標候補を抽出する抽出部と、
商標が記憶されたデータベースを参照し、前記抽出部が抽出した前記商標候補が前記データベースに記憶された商標に一致又は類似するか否かを判定する判定部と、
前記商標候補が前記データベースに記憶された商標に一致又は類似すると前記判定部が判定した場合に通知を行う通知部と
を備える、情報処理装置。
【請求項11】
入力されたコンテンツに含まれる商標候補を抽出し、
商標が記憶されたデータベースを参照し、抽出した前記商標候補が前記データベースに記憶された商標に一致又は類似するか否かを判定し、
前記商標候補が前記データベースに記憶された商標に一致又は類似すると判定した場合に通知を行う、
商標判定方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンテンツに含まれる商標の候補についての判定を行うコンピュータプログラム、情報処理装置及び商標判定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、会社内で作成された企画書、プレスリリース又は会議資料等のコンテンツには、商標の候補となる文字又はロゴ等が含まれ得る。このようなコンテンツに基づいて商品又はサービス等の提供が開始され、商品又はサービス等に付した商標が既に登録された他者の商標である場合、他者の権利を侵害することとなるため、事前に商標の調査を行うことが重要である。
【0003】
特許文献1においては、非類似であると審査官によって判断された1音違いの登録商標をデータベースから抽出する商標サーバ装置が提案されている。この商標サーバ装置は、称呼データのうちの1音をダミーに置き換えた抽出用称呼データを生成して登録商標に関連付けて記録し、同一の抽出用称呼データを有する商標組を抽出すると共に、両商標について相違する1音の組を抽出してデータベースに記録する。商標サーバ装置は、ユーザからの抽出条件中の相違する1音の組と同一のものを有する商標組をデータベースから抽出してユーザ端末装置へ送信する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−339374号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、商標の調査は専門家以外には敷居の高いものであった。
【0006】
本発明は、斯かる事情に鑑みてなされたものであって、その目的とするところは、コンテンツに含まれる商標の候補を判定するコンピュータプログラム、情報処理装置及び商標判定方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係るコンピュータプログラムは、コンピュータに、入力されたコンテンツに含まれる商標候補を抽出し、商標が記憶されたデータベースを参照し、抽出した前記商標候補が前記データベースに記憶された商標に一致又は類似するか否かを判定し、前記商標候補が前記データベースに記憶された商標に一致又は類似すると判定した場合に通知する処理を実行させる。
【0008】
また、本発明に係るコンピュータプログラムは、前記データベースが、登録商標を記憶しており、コンピュータに、前記商標候補が前記データベースに記憶された登録商標に一致又は類似すると判定した場合に通知する処理を実行させる。
【0009】
また、本発明に係るコンピュータプログラムは、前記データベースが、出願段階商標を記憶しており、コンピュータに、前記商標候補が前記データベースに記憶された出願段階商標に一致又は類似すると判定した場合に通知する処理を実行させる。
【0010】
また、本発明に係るコンピュータプログラムは、コンピュータに、前記登録商標に一致又は類似すると判定した前記商標候補と、前記出願段階商標に一致又は類似すると判定した前記商標候補とを区別して通知する処理を実行させる。
【0011】
また、本発明に係るコンピュータプログラムは、コンピュータに、前記商標候補が前記データベースに記憶されている商標に一致又は類似すると判定した場合に、代替商標候補を通知する処理を実行させる。
【0012】
また、本発明に係るコンピュータプログラムは、コンピュータに、前記代替商標候補を通知する際に、商標の出願手続きを代理する代理人に関する広告を表示する処理を実行させる。
【0013】
また、本発明に係るコンピュータプログラムは、前記商標候補には、文字又はロゴの商標を含む。
【0014】
また、本発明に係るコンピュータプログラムは、コンピュータに、抽出した商標候補の区分を判定する処理を実行させる。
【0015】
また、本発明に係るコンピュータプログラムは、コンテンツを入力として受け付けて商標の区分を出力する学習済モデルを用い、前記商標候補の区分を判定する。
【0016】
また、本発明に係る情報処理装置は、入力されたコンテンツに含まれる商標候補を抽出する抽出部と、商標が記憶されたデータベースを参照し、前記抽出部が抽出した前記商標候補が前記データベースに記憶された商標に一致又は類似するか否かを判定する判定部と、前記商標候補が前記データベースに記憶された商標に一致又は類似すると前記判定部が判定した場合に通知を行う通知部とを備える。
【0017】
また、本発明に係る商標判定方法は、入力されたコンテンツに含まれる商標候補を抽出し、商標が記憶されたデータベースを参照し、抽出した前記商標候補が前記データベースに記憶された商標に一致又は類似するか否かを判定し、前記商標候補が前記データベースに記憶された商標に一致又は類似すると判定した場合に通知を行う。
【0018】
本発明においては、入力されたコンテンツに含まれる商標候補をコンピュータが抽出し、商標が記憶されたデータベースを参照して、商標候補がデータベースに記憶された商標に一致又は類似するか否かを判定する。コンテンツから抽出した商標候補がデータベースの商標に一致又は類似すると判定した場合、コンピュータは、その旨を通知する。これによりユーザは、作成したコンテンツに含まれる商標候補と、この商標候補が既に存在する商標と一致又は類似するか否かの判定結果とを把握することができる。
【0019】
また本発明においては、データベースが登録商標を記憶しており、コンピュータが抽出した商標候補が登録商標と一致又は類似すると判定した場合に、通知を行う。これによりユーザは、他人の登録商標を侵害する虞のある商標候補がコンテンツに含まれていることを把握することができる。
【0020】
また本発明においては、データベースが出願段階の商標を記憶しており、コンピュータが抽出した商標候補が出願段階商標と一致又は類似すると判定した場合に、通知を行う。これによりユーザは、今後に登録され得る商標に一致又は類似する商標候補がコンテンツに含まれていることを把握することができる。
【0021】
また本発明においては、登録商標に一致又は類似すると判定した商標候補と、出願段階商標に一致又は類似すると判定した商標候補とを区別して通知する。これによりユーザは、コンテンツに含まれている商標候補が、登録商標又は出願段階商標のいずれに一致又は類似するかを容易に判断することができる。
【0022】
また本発明においては、商標候補がデータベースに記憶された商標に一致又は類似すると判定した場合、コンピュータは代替の商標候補を通知する。代替の商標候補は、データベースに記憶された商標に一致又は類似しない商標候補である。これによりコンピュータは、既に存在する商標に一致又は類似する商標候補を含むコンテンツを作成したユーザに対し、別の商標候補を提案することができる。
【0023】
なおコンピュータは、インターネットの検索エンジンが有する検索用語の予測機能、テキスト解析及び予測の学習モデル等を利用することによって、代替の商標候補を生成することができる。これによりコンピュータは、容易に代替の商標候補を生成することができる。
【0024】
また本発明においては、代替の商標候補を通知する場合に、コンピュータは、商標の出願手続きを代理する代理人に関する広告の表示を行う。これによりユーザは、代替の商標候補についての出願手続き又は調査等を代理人に依頼することが容易にできる。
【0025】
また本発明においては、コンテンツから抽出する商標候補に、文字又はロゴの商標を含む。これによりユーザは、商標として登録され得る文字又はロゴの商標に一致又は類似する商標候補がコンテンツに含まれているか否かを判断することができる。
【0026】
また本発明においては、コンテンツから抽出した商標候補の区分をコンピュータが判定する。これにより、不慣れなユーザには難しい商標の区分の判断をコンピュータに任せることができる。
【0027】
また本発明においては、コンテンツを入力として受け付けて商標の区分を出力する学習済モデルを用いて、商標候補の区分を判定する。これにより、コンテンツに含まれる商標候補の区分を精度よく判定することができる。
【発明の効果】
【0028】
本発明による場合は、データベースに記憶された商標に一致又は類似する商標候補がコンテンツに含まれているか否かをユーザが容易に判断することができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1】本実施の形態に係る商標判定システムの一構成例を説明するための模式図である。
図2】本実施の形態に係る商標判定装置の構成を示すブロック図である。
図3】本実施の形態に係る学習サーバの構成を示すブロック図である。
図4】本実施の形態に係る商標判定装置が行う商標判定処理の一例を説明するための模式図である。
図5】本実施の形態に係る商標判定装置が行う商標判定処理の一例を説明するための模式図である。
図6】本実施の形態に係る商標判定装置が行う商標判定処理の手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0030】
本発明の実施形態に係る商標判定方法の具体例を、以下に図面を参照しつつ説明する。なお、本発明はこれらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0031】
<システム概要>
図1は、本実施の形態に係る商標判定システムの一構成例を説明するための模式図である。本実施の形態に係る商標判定システムは、商標判定装置1、学習サーバ3及び商標管理サーバ5等を含んで構成されている。商標判定装置1は、例えばパーソナルコンピュータ又はサーバコンピュータ等の情報処理装置に、商標判定を行うためのコンピュータプログラムをインストールすることによって実現される装置である。なお本実施の形態においては、ユーザが操作するパーソナルコンピュータを用いて商標判定装置1が実現されるものとして、以下の説明を行う。商標判定装置1は、インターネット等のネットワークを介して、学習サーバ3及び商標管理サーバ5等との通信を行うことができる。
【0032】
学習サーバ3は、本実施の形態に係る商標判定システムにて用いられる商標区分判定モデル100の学習を行うサーバコンピュータである。学習サーバ3は、定期的に商標区分判定モデル100の学習を行い、学習済の商標区分判定モデル100を商標判定装置1へ送信する。商標判定装置1は、学習サーバ3から送信された商標区分判定モデル100を受信して自身の記憶部等に記憶し、記憶した商標区分判定モデル100を用いて商標判定に関する処理を行う。なお、商標判定装置1が商標区分判定モデル100の学習を行う構成であってもよく、この場合には学習サーバ3を別に設ける必要はない。
【0033】
商標管理サーバ5は、登録商標及び出願段階の商標等の商標が記憶された商標DB(データベース)5aを備え、商標の管理を行うサーバコンピュータである。商標管理サーバ5は、例えば特許庁の特許情報プラットフォームを運営管理するサーバコンピュータとすることができる。ただし、例えば商標判定装置1が商標DB5aを備える構成であってもよく、また例えば特許庁のものとは別に、本商標判定システムのために商標DB5aを備える独自の商標管理サーバ5を設けてもよい。商標管理サーバ5は、例えば称呼検索のサービスを提供しており、商標判定装置1から商標(商標候補)の称呼に対応する文字列の入力を受け付け、この文字列に一致又は類似する登録商標又は出願段階商標に関する情報を検索結果として出力する。
【0034】
本実施の形態に係る商標判定システムを利用するユーザは、例えば商標判定装置1を構成するパーソナルコンピュータ又は商標判定装置1とは別のパーソナルコンピュータを利用して、企画書又は会議資料等のドキュメントファイルを作成する。ドキュメントファイルには、文字列及び画像等の情報が含まれ得る。ユーザは、作成したドキュメントファイルを商標判定装置1の商標判定プログラムに入力することによって、このドキュメントファイルに含まれる商標の候補が、登録商標又は出願段階商標に一致又は類似するか否かの判定を行うことができる。
【0035】
ドキュメントファイルの入力を受け付けた商標判定装置1は、入力されたドキュメントファイルに含まれる商標の候補を抽出する。また商標判定装置1は、予め学習された商標区分判定モデル100にこのドキュメントファイルを入力する。商標区分判定モデル100は、入力されたドキュメントファイルに基づいて、このドキュメントファイルに含まれる商標候補の区分を判定し、判定結果として商標候補の区分を出力する。商標判定装置1は、ドキュメントファイルから抽出した商標候補が、商標管理サーバ5の商標DB5aに記憶された商標と一致又は類似するかを判定する。商標判定装置1は、商標候補の文字列を商標管理サーバ5へ送信し、商標管理サーバ5による商標の検索結果を受信する。このときに商標判定装置1は、商標区分判定モデル100が判定した区分の情報を商標管理サーバ5へ送信し、この区分における商標の検索結果を受信してもよい。商標判定装置1は、商標管理サーバ5から取得した検索結果に基づいて、商標候補が商標DB5aに記憶された登録商標又は出願段階商標と一致又は類似するかを判定することができる。ドキュメントファイルに含まれる商標候補が登録商標又は出願段階商標と一致又は類似すると判定した場合、商標判定装置1は、その旨を通知するアラート出力を行い、ユーザに対して注意を喚起する。
【0036】
また商標判定装置1は、商標候補が登録商標又は出願段階商標に一致又は類似すると判定した場合、この商標候補に代わる代替の商標候補を生成する。インターネットの検索エンジンには、検索用語の入力に対し、入力された検索用語に続く用語を予測する機能が備えられているが、商標判定装置1は、この検索エンジンと同様の予測機能を備えている。商標判定装置1は、商標候補を構成する文字列の一部又は全部を検索用語とし、この検索用語に続く用語を予測する。商標判定装置1は、ドキュメントファイルから抽出した商標候補の文字列と、この文字列に続く用語の予測結果として得られる文字列とを適宜に組み合わせることによって、代替の商標候補を生成し、アラート出力と共に代替商標候補を出力する。
【0037】
また本実施の形態に係る商標判定装置1は、アラート出力と共に代替商標候補を出力する場合、商標の出願を代理する代理人に関する広告を併せて出力する。このときに商標判定装置1は、図示しない広告配信サーバから代理人に関する広告を適宜に取得して、アラートの表示画面等の片隅に広告を表示する。
【0038】
これらにより本実施の形態に係る商標判定装置1は、ユーザが作成した企画書又は会議資料等のドキュメントファイルに含まれる商標候補を抽出し、抽出した商標候補が商標DB5aに記憶された登録商標又は出願段階商標に一致又は類似すると判定した場合に、ユーザに対して通知を行うことができる。これによりユーザは、他者の商標を侵害する虞がある商標候補がドキュメントファイルに含まれていることを把握することができる。
【0039】
<装置構成>
図2は、本実施の形態に係る商標判定装置1の構成を示すブロック図である。本実施の形態に係る商標判定装置1は、処理部(プロセッサ)11、記憶部(ストレージ)12、通信部(トランシーバ)13、操作部14及び表示部(ディスプレイ)15等を備えて構成されている。処理部11は、CPU(Central Processing Unit)又はMPU(Micro-Processing Unit)等の演算処理装置を用いて構成されており、記憶部12に記憶された商標判定プログラム12aを読み出して実行することにより、種々の演算処理及び制御処理等を行う。本実施の形態において処理部11は、ドキュメントファイルから商標候補を抽出する処理、商標候補が登録商標又は出願段階商標と一致又は類似するか否かを判定する処理、及び、判定結果を通知する処理等を行う。
【0040】
記憶部12は、例えばハードディスクドライブなどの大容量の記憶装置を用いて構成されている。記憶部12は、処理部11が実行する商標判定プログラム12a、及び、このプログラムの実行に必要なデータ等が記憶される。例えば記憶部12には、検索用語の予測に用いられる多数の用語が蓄積された用語DB(データベース)12bが設けられている。また本実施の形態において記憶部12は、商標区分判定モデル100の学習済モデルを記憶している。商標区分判定モデル100は、学習サーバ3において予め学習が行われた学習済モデルである。学習済モデルは、入力値に対して所定の演算を行い、演算結果を出力するものであり、記憶部12にはこの演算を規定する関数の係数及び閾値等のデータが商標区分判定モデル100として記憶される。商標判定プログラム12aを実行する処理部11が、商標区分判定モデル100として記憶されたデータを読み込むことによって、ドキュメントファイルから商標候補の区分を判定するための演算を処理部11が実行することが可能となる。
【0041】
商標判定プログラム12a、用語DB12b及び商標区分判定モデル100は、例えば商標判定装置1の製造段階において記憶部12に書き込まれてもよく、また例えばネットワークを介して他の装置が配信するものを商標判定装置1が取得してもよく、また例えばメモリカード又は光ディスク等の記録媒体99に記録されたものを商標判定装置1が読み出して記憶部12に記憶してもよい。商標判定プログラム12a、用語DB12b及び商標区分判定モデル100は、ネットワークを介した配信の態様で提供されてもよく、記録媒体99に記録された態様で提供されてもよい。また商標判定プログラム12a、用語DB12b及び商標区分判定モデル100は、定期的に交信されてよい。
【0042】
通信部13は、LAN(Local Area Network)、インターネット及び携帯電話通信網等を含むネットワークNWを介して、学習サーバ3及び商標管理サーバ5等の他の装置との通信を行う。通信部13は、ネットワークNWを介して他の装置から受信した情報を処理部11へ与えると共に、処理部11から与えられた送信用の情報を他の装置へ送信する。
【0043】
操作部14は、例えばキーボード及びマウス等の入力デバイスを用いて構成されている。操作部14は、ユーザによりなされた操作に応じた信号又は情報を処理部11へ与える。表示部15は、例えば液晶パネル等を用いて構成されている。表示部15は、処理部11から与えられた画像を表示する。本実施の形態においては、ドキュメントファイルに含まれる商標候補に関する判定結果の表示に表示部15が用いられる。
【0044】
また処理部11には、記憶部12に記憶された商標判定プログラム12aが実行されることによって、商標候補抽出部11a、区分判定部11b、商標判定部11c、代替商標候補生成部11d、通知処理部11e及び広告表示処理部11f等がソフトウェア的な機能ブロックとして実現される。商標候補抽出部11aは、ユーザからのドキュメントファイルの入力を受け付けて、入力されたコンテンツに含まれる商標候補、即ち商標となり得る文字列等を抽出する処理を行う。例えば商標候補抽出部11aは、ドキュメントファイルに含まれる文章に対して字句解析及び構文解析等の処理を行うことによって、文章に含まれる名詞等を抽出し、抽出した名詞等の中から一般的な名詞等を除いたものを商標候補とすることができる。抽出した名詞等が一般的なものであるか否かは、一般的な名詞等を登録したデータベース等を商標判定装置1が商標判定プログラム12aと共に記憶しておくことで判定することができる。また例えば商標候補抽出部11aは、ドキュメントファイルに含まれる文章中で括弧、カギ括弧又は引用符等で囲まれた名詞を商標候補として抽出することができる。
【0045】
区分判定部11bは、記憶部12に記憶された商標区分判定モデル100を用いて、ドキュメントファイルに含まれる商標候補の区分を判定する処理を行う。商標区分判定モデル100は、ドキュメントファイルに含まれる文章を入力とし、このドキュメントファイルに含まれる商標候補に適した一又は複数の区分を出力する学習済モデルである。商標区分判定モデル100は、例えばRNN(Recurrent Neural Network)、LSTM(Long Short Term Memory)ネットワーク又はSeq2Seq(Sequence to Sequence)等の深層学習モデルが採用され得る。商標区分判定モデル100は、例えば洋服又はファッションに関する文章が入力された場合に、被服及び履物の区分である第25類を出力する。区分判定部11bは、入力されたドキュメントファイルに含まれる文章を商標区分判定モデル100へ入力し、この文章に含まれる商標候補の区分の判定結果を商標区分判定モデル100の出力として取得する。なお商標区分判定モデル100へ入力する文章は、ドキュメントファイルの全文章でなくてよく、例えば商標候補抽出部11aが抽出した商標候補を含み、この商標候補の前後の所定の長さの文章をドキュメントファイルから抽出したものとすることができる。
【0046】
商標判定部11cは、商標候補抽出部11aがドキュメントファイルから抽出した商標候補が、登録商標又は出願段階商標に一致又は類似するか否かの判定を行う。商標判定部11cは、商標候補抽出部11aが抽出した商標候補と、区分判定部11bが判定した区分とを通信部13にて商標管理サーバ5へ送信することにより、商標候補の検索を行う。本実施の形態において商標判定部11cは、商標候補の称呼を商標管理サーバ5へ送信し、商標管理サーバ5に対して称呼検索の実施を要求する。商標管理サーバ5は、商標判定装置1から送信された商標候補及び区分に基づいて、商標DB5aに記憶された登録商標又は出願段階商標の検索を行う。商標管理サーバ5は、商標候補と一致又は類似する登録商標又は出願段階商標が存在する場合、これらの登録商標又は出願段階商標の一覧を検索結果として商標判定装置1へ送信する。商標管理サーバ5から商標判定装置1へ検索結果として送信される情報には、例えば検索により見い出された商標、称呼、区分、登録商標又は出願段階商標の区別、及び、一致又は類似の判定結果等を含み、更にはこの商標の出願人、出願日、登録日、出願番号又は登録番号等の情報を含んでもよい。商標管理サーバ5は、商標候補に一致又は類似する登録商標又は出願段階商標が存在しない場合、検索結果として登録商標又は出願段階商標が存在しない旨を商標判定装置1通知する。商標判定部11cは、商標管理サーバ5からの検索結果を受信し、受信した検索結果に基づいて商標候補に一致又は類似する登録商標又は出願段階商標の有無を判定する。なお商標管理サーバ5から受信する検索結果に、例えば拒絶査定が確定した商標又は存続していない商標等が含まれる場合、これらを除外する処理を商標判定部11cが行ってもよい。
【0047】
代替商標候補生成部11dは、商標判定部11cが商標候補に一致又は類似する登録商標又は出願段階商標が存在すると判定した場合に、商標候補の代わりとなり得る代替商標候補を生成する処理を行う。本実施の形態において商標判定装置1が記憶部12に備える用語DB12bには、インターネットの検索エンジンに対して不特定多数のユーザが入力した検索用語に関する情報が記憶されている。代替商標候補生成部11dは、記憶部12の用語DB12を利用し、検索エンジンによる検索用語の予測機能と同様の処理を行うことによって、ある用語に続く別の用語を予測する。例えば用語DB12bには用語とこの用語に続く別の用語との組み合わせが記憶されており、代替商標候補生成部11dは、与えられた用語に続く別の用語を用語DB12bから取得することによって、用語の予測を行う。代替商標候補生成部11dは、ドキュメントファイルから抽出され、一致又は類似する登録商標又は出願段階商標が存在すると判定された商標候補を構成する文字列の一部又は全部について、この文字列に続く別の文字列を予測する。代替商標候補生成部11dは、予測の結果として得られた文字列と、商標候補を構成する文字列とを組み合わせることによって、一又は複数の代替商標候補を生成する。なお用語DB12bに記憶される情報は、定期的に更新される。商標判定装置1は、例えば検索エンジンを備えるサーバ装置等から定期的に送信される情報を取得して、用語DB12bの情報を更新する。
【0048】
通知処理部11eは、商標判定部11cによる判定結果を表示部15に表示することによって、ドキュメントファイルに含まれる商標候補に一致又は類似する登録商標又は出願段階商標の存在をユーザに対して通知する処理を行う。また通知処理部11eは、区分判定部11bが判定した商標候補の区分、又は、代替商標候補生成部11dが生成した代替商標候補を、必要に応じて通知する。
【0049】
広告表示処理部11fは、通知処理部11eが代替商標候補の通知を行う場合に、商標の出願手続きを代理する代理人に関する広告を表示部15に表示する処理を行う。広告表示処理部11fは、広告に関する情報を広告配信サーバ装置(図示は省略する)から取得して、表示部15に表示する。どのような広告を表示するかは、広告配信サーバ装置による広告配信の処理に委ねられる。
【0050】
図3は、本実施の形態に係る学習サーバ3の構成を示すブロック図である。本実施の形態に係る学習サーバ3は、処理部(プロセッサ)31、記憶部(ストレージ)32及び通信部(トランシーバ)33等を備えて構成されている。処理部31は、CPU、MPU又は(Graphics Processing Unit)等の演算処理装置を用いて構成されており、記憶部32に記憶されたサーバプログラム32aを読み出して実行することにより、種々の演算処理及び制御処理等を行う。本実施の形態において処理部31は、商標区分判定モデル100を学習する処理、及び、学習済の商標区分判定モデル100を商標判定装置1へ配信する処理等を行う。
【0051】
記憶部32は、例えばハードディスクドライブなどの大容量の記憶装置を用いて構成されている。記憶部32は、処理部31が実行するサーバプログラム32a、及び、このプログラムの実行に必要なデータ等が記憶される。サーバプログラム32aは、例えば学習サーバ3の製造段階において記憶部32に書き込まれてもよく、また例えばネットワークを介して他の装置が配信するものを学習サーバ3が取得してもよく、また例えばメモリカード又は光ディスク等の記録媒体98に記録されたものを学習サーバ3が読み出して記憶部32に記憶してもよい。サーバプログラム32aは、ネットワークを介した配信の態様で提供されてもよく、記録媒体98に記録された態様で提供されてもよい。
【0052】
また本実施の形態において記憶部32は、商標区分判定モデル100及び学習用データ101を記憶している。商標区分判定モデル100は、学習サーバ3が学習を行わせる深層学習の学習モデルであるである。学習モデルは、入力値に対して所定の演算を行い、演算結果を出力するものであり、記憶部32にはこの演算を規定する関数の係数及び閾値等のデータが商標区分判定モデル100として記憶される。本実施の形態において商標区分判定モデル100は、例えばRNN、LSTMネットワーク又はSeq2Seq等の深層学習モデルが採用される。学習用データ101は、商標区分判定モデル100の学習に用いられるデータであり、例えば商標区分判定モデル100への入力及び出力の組のデータ、即ち商標候補を含む文章とこの商標候補の区分との組のデータの集まりである。
【0053】
通信部33は、LAN、インターネット及び携帯電話通信網等を含むネットワークNWを介して、他の装置との通信を行う。通信部33は、例えばインターネットなどのネットワークNWを介して商標判定装置1との通信を行う。通信部33は、ネットワークNWを介して他の装置から受信した情報を処理部31へ与えると共に、処理部31から与えられた送信用の情報を他の装置へ送信する。
【0054】
また処理部31には、記憶部32に記憶されたサーバプログラム32aが実行されることによって、学習処理部31a及びモデル配信部31b等がソフトウェア的な機能ブロックとして実現される。学習処理部31aは、記憶部32に記憶された学習用データ101を用いて商標区分判定モデル100を深層学習させる処理を行う。商標区分判定モデル100は、例えばRNN等のニューラルネットワークの構成をなす深層学習モデルである。学習用データ101は、例えば商標を含む文章と、この商標の区分とが対応付けられた教師データの集合である。学習処理部31aは、学習用データ101の文章を商標区分判定モデル100の入力情報とし、対応する商標の区分を商標区分判定モデル100が出力すべき出力情報として、商標区分判定モデル100のニューラルネットワークを構成する複数のニューロンの係数及び閾値等の値を調整することによって、商標区分判定モデル100の学習を行う。
【0055】
モデル配信部31bは、学習処理部31aによって深層学習がなされた学習済の商標区分判定モデル100を、通信部33にて商標判定装置1へ送信する処理を行う。モデル配信部31bによる商標区分判定モデル100の送信は、例えば商標判定装置1からの要求に応じて行われてもよく、また例えば学習処理部31aによる学習の完了に応じて自発的に行われてもよい。
【0056】
<商標判定処理>
図4及び図5は、本実施の形態に係る商標判定装置1が行う商標判定処理の一例を説明するための模式図である。図4の上段には、ユーザが作成したドキュメントファイルの一例が示されている。本例のドキュメントファイルは文章等の文字列の情報を含んで構成されており、図中において文章を横線で示している。商標判定装置1に対してユーザは、商標判定処理の対象となるドキュメントファイルを入力する。ドキュメントファイルの入力を受け付けた商標判定装置1は、このドキュメントファイルに含まれる商標候補の抽出を行う。例えば商標判定装置1は、ドキュメントファイルに含まれる文章に対して字句解析及び構文解析等の言語処理を行うことにより、この文章に含まれる名詞等を抽出する。商標判定装置1は、抽出した名詞等の中から、予め登録された一般名詞を排除し、残った名詞等を商標候補とする。また例えば商標判定装置1は、ドキュメントファイルに含まれる文章中で括弧、カギ括弧又は引用符等で囲まれた文字列、他の部分とは異なる色又はフォント等で強調された文字列等を、商標候補として抽出してもよい。
【0057】
また商標判定装置1は、記憶部12に記憶した商標区分判定モデル100を用いて、商標候補の区分を判定する処理を行う。商標判定装置1は、入力されたドキュメントファイルの文章全体、又は、この文章全体のうち商標候補を含む一部の文章を商標区分判定モデル100へ入力し、商標区分判定モデル100が出力する一又は複数の商標の区分を取得することで、商標の区分を判定する。
【0058】
次いで商標判定装置1は、ドキュメントファイルから抽出した商標候補が、商標管理サーバ5の商標DB5aに記憶された登録商標又は出願段階商標と一致又は類似するか否かの判定を行う。商標判定装置1は、ドキュメントファイルから抽出した商標候補と、商標区分判定モデル100が判定した区分との情報を商標管理サーバ5へ送信して商標の検索を要求する。これにより商標管理サーバ5は、商標判定装置1から受信した商標候補及び区分を検索条件として、商標DB5aから一致又は類似する登録商標又は出願段階商標を検索し、検索結果を商標判定装置1へ送信する。商標管理サーバ5からの検索結果を受信した商標判定装置1は、受信した検索結果に基づいて、商標候補と一致又は類似する登録商標又は出願段階商標の有無を判定する。また商標判定装置1は、受信した検索結果に含まれる情報に基づいて、検索された商標が登録商標又は出願段階商標のいずれであるか、及び、検索された商標が商標候補に一致又は類似のいずれであるか等を判断する事ができる。
【0059】
商標判定装置1は、検索結果に基づく判定結果に応じて、商標候補と一致又は類似する登録商標又は出願段階商標が存在するか否かの判定結果を示すアラートの表示を行う。図4の下段には、アラート表示の一例が示されている。本例では、ドキュメントファイルから抽出された3つの商標候補について、登録商標又は出願段階商標と一致又は類似することが通知されている。図中においては、登録商標又は出願段階商標と一致又は類似すると判定された商標候補が、破線の長円で囲まれることで強調表示されている。更に本実施の形態では、登録商標に一致又は類似すると判定された商標候補と、出願段階商標に一致又は類似すると判定された商標候補とが区別可能なように強調表示がなされる。図中においては、登録商標に一致又は類似すると判定された商標候補に対してハッチングを付すことによって、更なる強調表示がなされている。
【0060】
なお商標判定装置1は、一般的に誰もが登録商標であると判断できる著名な登録商標がドキュメントファイルに含まれる場合、この登録商標についてはアラートの対象外としてもよい。商標判定装置1は、例えば著名な登録商標のリスト等を予め備えることによって、著名な登録商標をアラートの対象外とすることができる。
【0061】
表示部15に表示されたアラート表示に対して、ユーザは商標候補に関する詳細表示を商標判定装置1に対して指示することができる。この指示に応じて商標判定装置1は、ドキュメントファイルから選択された1つの商標候補について、図5に示すような詳細な情報表示を行う。なお図5においては、商標を構成する文字を丸形、四角形、三角形及びひし形等のハッチングを付した図形で表現している。
【0062】
商標判定装置1による商標候補の詳細情報表示画面では、例えば最上部にドキュメントファイルから抽出された商標候補が表示される。商標判定装置1は、例えば商標候補の下方に、検索によって見出された一致又は類似する登録商標又は出願段階商標を表示する。図示の例では、「一致又は類似する商標が存在します。」のメッセージと、検索によって見出された登録商標及び出願段階商標の文字列とが表示されている。
【0063】
また商標判定装置1は、一致又は類似する商標の表示の下方に、商標候補に代わる代替商標候補を表示する。図示の例では、代替商標候補として2つの商標が表示されている。商標判定装置1は、商標候補が登録商標又は出願段階商標に一致又は類似すると判定した場合、代替商標候補を生成する。このときに商標判定装置1は、記憶部12の用語DB12bに記憶された情報に基づいて、商標候補の文字列に続く別の文字列を予測する。商標判定装置1は、商標候補の文字列を適宜に分割した文字列と、予測結果として得られる文字列とを適宜に組み合わせることによって、代替商標候補を生成する。なお、予測結果には複数の文字列が含まれていてよく、商標判定装置1が生成する代替商標候補は複数であってよい。また商標判定装置1は、生成した代替商標候補について、上述の商標候補の判定と同様の手順により、一致又は類似する登録商標又は出願段階商標が存在しないことを確認してもよい。
【0064】
また商標判定装置1は、商標候補の代替商標候補を生成して表示する場合に、商標の出願手続きを代理する代理人に関する広告を表示する。図示の例では、最下段に2つの広告が表示されている。商標判定装置1は、広告配信サーバから代理人に関する一又は複数の広告を適宜に取得して表示を行う。
【0065】
図6は、本実施の形態に係る商標判定装置1が行う商標判定処理の手順を示すフローチャートである。本実施の形態に係る商標判定装置1の処理部11は、例えば操作部14に対するユーザの操作に基づいて、ドキュメントファイルの入力を受け付ける(ステップS1)。処理部11の商標候補抽出部11aは、入力を受け付けたドキュメントファイルに含まれる商標候補を抽出する(ステップS2)。処理部11の区分判定部11bは、記憶部12に記憶された商標区分判定モデル100に対して、ステップS1で受け付けたドキュメントファイルに含まれる文章の一部又は全部を入力し、商標区分判定モデル100が出力する区分の情報を取得することによって、商標候補の区分を判定する(ステップS3)。
【0066】
次いで処理部11の商標判定部11cは、ステップS2にて抽出した商標候補と、ステップS3にて判定した区分との情報を商標管理サーバ5へ送信することによって、商標DB5aに記憶された商標の中から商標候補に一致又は類似する商標の検索を要求する(ステップS4)。この要求に応じて商標管理サーバ5では商標の検索が行われ、検索結果が商標管理サーバ5から商標判定装置1へ送信される。商標判定装置1の商標判定部11cは、商標管理サーバ5から検索結果を受信したか否かを判定する(ステップS5)。検索結果を受信していない場合(S5:NO)、商標判定部11cは、商標管理サーバ5から検索結果を受信するまで待機する。
【0067】
商標管理サーバ5からの検索結果を受信した場合(S5:YES)、商標判定部11cは、検索結果に一致又は類似する商標が含まれていたか否かに応じて、商標候補に一致又は類似する登録商標又は出願段階商標が存在するか否かを判定する(ステップS6)。商標候補に一致又は類似する登録商標又は出願段階商標が存在しない場合(S6:NO)、処理部11の通知処理部11eは、商標候補に一致又は類似する登録商標又は出願段階商標が存在しない旨を通知する判定結果を表示部15に表示し(ステップS8)、処理を終了する。
【0068】
商標候補に一致又は類似する登録商標又は出願段階商標が存在する場合(S6:YES)、処理部11の代替商標候補生成部11dは、商標候補の文字列を検索用語とみなして、この検索用語に続く文字列を記憶部12の用語DB12bに記憶された情報に基づいて予測する。代替商標候補生成部11dは、商標候補の文字列と、予測により得られた文字列とを適宜に組み合わせることによって、代替商標候補を生成する(ステップS7)。その後、処理部11の通知処理部11eは、商標候補に一致又は類似する登録商標又は出願段階商標が存在する旨を通知する判定結果を表示部15に表示し(ステップS8)、処理を終了する。このときに通知処理部11eは、代替商標候補と共に、商標の出願手続きを代理する代理人に関する広告を表示してもよい。
【0069】
<まとめ>
以上の構成の本実施の形態に係る商標判定装置1は、入力されたドキュメントファイル(コンテンツ)に含まれる商標候補を抽出し、商標が記憶された商標DB5aを参照して、商標候補が商標DB5aに記憶された商標に一致又は類似するか否かを判定する。ドキュメントファイルから抽出した商標候補が商標DB5aに記憶された商標に一致又は類似すると判定した場合、商標判定装置1は、その旨をユーザに通知する。これによりユーザは、作成したドキュメントファイルに含まれる商標候補と、この商標候補が既に存在する商標に一致又は類似するか否かの判定結果とを把握することができる。
【0070】
また本実施の形態においては、商標管理サーバ5が商標DB5aに登録商標を記憶している。商標判定装置1は、抽出した商標候補が登録商標に一致又は類似すると判定した場合に通知を行う。これによりユーザは、他人の登録商標を侵害する虞のある商標候補がドキュメントファイルに含まれていることを把握することができる。
【0071】
また本実施の形態においては、商標管理サーバ5が商標DB5aに出願段階商標を記憶している。商標判定装置1は、抽出した商標候補が出願段階商標に一致又は類似すると判定した場合に通知を行う。これによりユーザは、今後に登録され得る商標に一致又は類似する商標候補がドキュメントファイルに含まれていることを把握することができる。
【0072】
また本実施の形態に係る商標判定装置1は、登録商標に一致又は類似すると判定した商標候補と、出願段階商標に一致又は類似すると判定した商標候補とを区別して通知する。これによりユーザは、ドキュメントファイルに含まれる商標候補が、登録商標又は出願段階商標のいずれに一致又は類似するかを容易に判断することができる。
【0073】
また本実施の形態に係る商標判定装置1は、商標候補が商標DB5aに記憶された商標に一致又は類似すると判定した場合、代替商標候補を生成して通知する。代替商標候補は、商標DB5aに記憶された商標に一致又は類似しない商標候補とする。これにより商標判定装置1は、既に存在する商標に一致又は類似する商標候補を含むドキュメントファイルを作成したユーザに対し、別の商標候補を提案することができる。
【0074】
また本実施の形態に係る商標判定装置1は、代替商標候補を通知する場合に、商標の出願手続きを代理する代理人に関する広告の表示を行う。これによりユーザは、代替商標候補についての出願手続き又は調査等を代理人に依頼することが容易にできる。
【0075】
また本実施の形態に係る商標判定装置1は、ドキュメントファイルから抽出した商標候補の区分を判定する。これにより、商標に不慣れなユーザには難しい商標の区分の判断を、商標判定装置1に任せることができる。
【0076】
また本実施の形態に係る商標判定装置1は、商標区分判定モデル100を用いて商標候補の区分を判定する。商標区分判定モデル100は、ドキュメントファイルの文章を入力として受け付け、この文章に含まれる商標候補の区分を出力する。これにより商標判定装置1は、ドキュメントファイルに含まれる商標候補の区分を精度よく判定することができる。
【0077】
なお本実施の形態において商標判定装置1は、商標区分判定モデル100を用いて商標候補の区分を判定するが、これに限るものではない。商標判定装置1は、例えばドキュメントファイルに含まれるキーワードを抽出し、抽出したキーワードに基づいて区分を判定してもよい。この場合に商標判定装置1は、例えばキーワードと区分とを対応付けたテーブル又はデータベース等を予め備えており、ドキュメントファイルに該当するキーワードが含まれているか否かに基づいて区分を判定することができる。また更には、商標判定装置1は、区分の判定を行わない構成であってもよい。この場合に商標判定装置1は抽出した商標候補を商標管理サーバ5に送信して検索を要求し、区分を指定しない商標の検索を商標管理サーバ5に行わせる。あるいは、商標候補の検索を行う際の区分を、予めユーザが設定しておく構成とすることもできる。これらの場合、商標判定システムには、商標区分判定モデル100及び学習サーバ3等が含まれていなくてよい。
【0078】
また本実施の形態においては、商標判定装置1をユーザのパーソナルコンピュータとしたが、これに限るものではなく、商標判定装置1をサーバコンピュータとしてもよい。この場合にユーザは、パーソナルコンピュータにて作成したドキュメントファイルを、パーソナルコンピュータからサーバコンピュータへ送信して商標の判定を要求する。サーバコンピュータは、受信したドキュメントファイルに対して判定を行い、判定結果をユーザのパーソナルコンピュータへ送信して通知し。パーソナルコンピュータは、サーバコンピュータからの判定結果に基づいて、アラート出力を行う。
【0079】
また本実施の形態において商標判定装置1は、ユーザが作成したドキュメントファイルを入力とし、このドキュメントファイルに含まれる商標候補について判定を行っている。しかし、商標判定装置1へ入力するコンテンツは、ドキュメントファイル以外のコンテンツであってよい。
【0080】
また本実施の形態において商標判定装置1は、記憶部12の用語DB12bに基づいて、商標候補の文字列を検索用語とみなした場合にこの検索用語に続く文字列を予測し、予測した文字列に基づいて代替商標候補を生成したが、これに限るものではない。例えば検索用語に続く文字列の予測を、商標判定装置1とは別のサーバ装置等が行う構成であってもよい。この構成の場合、商標判定装置1は、サーバ装置に対して商標候補の文字列を送信し、サーバ装置から予測結果の文字列を取得して代替商標候補を生成する。また例えば、検索用語の文字列の入力に対して、この用語に続く文字列を予測する人工知能の学習済モデルを商標判定装置1が備え、商標判定装置1がこの学習済モデルに商標候補を入力して予測結果の文字列を取得する構成としてもよい。
【0081】
(変形例)
上述の商標判定装置1は、ドキュメントファイルに含まれる商標候補として、文字の商標を処理対象としている。しかしながら商標判定装置1は、例えばロゴ等の図形による商標を扱う構成であってよい。変形例に係る商標判定装置1は、例えばドキュメントファイルに含まれる画像データを抽出し、この画像データを図形の商標候補とする。商標判定装置1は、抽出した商標候補の画像データと、ドキュメントファイルに含まれる文章に基づいて商標区分判定モデル100が判定した区分とを商標管理サーバ5へ送信する。
【0082】
変形例に係る商標管理サーバ5は、図形の登録商標又は出願段階商標を商標DB5aに記憶しており、与えられた画像データ及び区分に基づいて、一致又は類似する図形の登録商標又は出願段階商標を検索することができる。商標管理サーバ5は、与えられた画像データと、登録商標又は出願段階商標の画像データとを、例えば画像の特徴量等を抽出して比較することにより、類似するものであるか否かを判定する。商標管理サーバ5は、検索結果を商標判定装置1へ送信する。商標判定装置1は、商標管理サーバ5からの検索結果を受信し、ドキュメントファイルに含まれる図形の商標候補に一致又は類似する登録商標又は出願段階商標の有無を判定する。商標判定装置1は、登録商標又は出願段階商標に一致又は類似する図形の商標候補について、アラート出力を行う。
【0083】
なお、商標管理サーバ5として特許庁の特許情報プラットフォームを管理運営するサーバ装置を利用する場合、図形の商標を検索する場合には、図形等分類を入力する必要がある。この場合、例えば商標判定装置1は、画像データを入力とし、図形等分類を出力する人工知能を利用して、図形の商標候補の図形等分類を取得してもよい。この人工知能は、例えば深層学習モデルとして提供される。深層学習モデルは、例えば画像と図形等分類とが対応付けられた教師データを用いて予め学習がなされ、学習済のモデルが商標管理サーバ5に備えられる。
【0084】
なお商標判定装置1は、図形の商標候補についての代替商標候補の生成は行わなくてよく、アラート出力の際に代理人に関する広告の表示を行ってもよい。又は、商標判定装置1は、商標候補の図形に基づいて、代替商標候補となる図形を生成する処理を行ってもよい。この場合、例えば商標判定装置1は、画像データを入力とし、入力された画像に対して種々の加工を施して出力する人工知能を利用して、商標候補の画像データから代替商標候補となる画像データを生成することができる。この人工知能は、例えば深層学習モデルとして提供される。深層学習モデルは、例えば加工前の画像と加工後の画像とが対応付けられた教師データを用いて予め学習がなされ、学習済のモデルが商標判定装置1に備えられる。
【0085】
今回開示された実施形態はすべての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した意味ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0086】
1 商標判定装置(コンピュータ、情報処理装置)
3 学習サーバ
5 商標管理サーバ
5a 商標DB
11 処理部
11a 商標候補抽出部(抽出部)
11b 区分判定部
11c 商標判定部(判定部)
11d 代替商標候補生成部
11e 通知処理部(通知部)
11f 広告表示処理部
12 記憶部
12a 商標判定プログラム(コンピュータプログラム)
13 通信部
14 操作部
15 表示部
31 処理部
31a 学習処理部
31b モデル配信部
32 記憶部
32a サーバプログラム
33 通信部
98、99 記録媒体
100 商標区分判定モデル
101 学習用データ
図1
図2
図3
図4
図5
図6