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特開2020-92585ハイブリッド界磁方式アキシャルエアギャップ型同期発電機ならび同期電動機に
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2020-92585(P2020-92585A)
(43)【公開日】2020年6月11日
(54)【発明の名称】ハイブリッド界磁方式アキシャルエアギャップ型同期発電機ならび同期電動機に
(51)【国際特許分類】
   H02K 21/04 20060101AFI20200515BHJP
   H02K 19/22 20060101ALI20200515BHJP
   H02K 21/24 20060101ALI20200515BHJP
   H02K 19/10 20060101ALI20200515BHJP
【FI】
   H02K21/04
   H02K19/22
   H02K21/24 G
   H02K21/24 M
   H02K19/10 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】書面
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2018-237750(P2018-237750)
(22)【出願日】2018年12月4日
(71)【出願人】
【識別番号】303050285
【氏名又は名称】株式会社ソシオリカ
(72)【発明者】
【氏名】成田 憲治
(72)【発明者】
【氏名】小池 純一
(72)【発明者】
【氏名】山本 東満
(72)【発明者】
【氏名】原口 孝則
【テーマコード(参考)】
5H619
5H621
【Fターム(参考)】
5H619BB01
5H619BB02
5H619BB06
5H619BB15
5H619PP08
5H619PP12
5H621BB02
5H621BB10
5H621GB03
5H621JK07
5H621JK11
(57)【要約】
【課題】小型風力発電において風速の変動に応じて風車の出力を最大限に利用するためには、風速すなわち回転速度の変化に伴い速度の2乗に比例して変化する風車の最大出力点のトルクに発電機のトルクを合わせる必要があるが永久磁石型発電機では不可能である。
【解決手段】永久磁石と電磁石の複合型界磁を利用し、中央に電機子、両側に界磁を配し、電機子の内径側に直流励磁巻線を取りつけ、外径側をアルミブラケットに固定すると共に巻線の発熱を外部に逃げやすくするため熱伝導を改良し、界磁は強磁性体の回転軸に接合して、風速に応じて直流励磁電流を制御し、風車の出力を最大限に利用できるようにした、アキシャルエアギャップ型インナーロータ式界磁磁束可変型同期発電機ならびに同期電動機
【選択図】図5(2)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転軸方向の中央に電機子があり、その両側に二つの界磁があり、電機子には電機子バックヨークの両側に突極状の磁極(歯)があり、個々の磁極(歯)には電機子巻線が施され、電機子バックヨークはアルミブラケットに固定されており、両側の電機子鉄心はエアギャップを介して、永久磁石および電磁石と対向し、それらの反対側において界磁バックヨークに固定され、永久磁石はすべて同極でSPM状に取り付けられ、電磁石を形成する鉄心磁極は永久磁石と異極の極性となるよう界磁バックヨークに固定され、界磁バックヨークは強磁性体からなる回転軸に固定され、電磁石用の直流励磁コイルは回転軸を巻回するように巻き電機子鉄心の内径側に絶縁物を介して固定され、直流励磁コイルには電磁石の極性が永久磁石と逆になるように直流励磁電流を流し、回転軸はブラケットの両側中央部近傍において軸受を介して支持され、永久磁石の磁束の流れは、N極永久磁石⇒アキシャルエアギャップ⇒電機子鉄心⇒アキシャルエアギャップ⇒S極永久磁石⇒界磁バックヨーク⇒回転軸⇒界磁バックヨーク⇒N極永久磁石となり、一方の電磁石の磁束の流れは永久磁石による磁束の流れと反対方向に流れ、回転軸のN極⇒界磁バックヨーク⇒S極界磁鉄心⇒アキシャルエアギャップ⇒電機子鉄心⇒アキシャルエアギャップ⇒N極界磁鉄心⇒界磁バックヨーク⇒回転軸のS極となるように流し、毎極の磁束量は永久磁石による毎極の磁束の量と電磁石による毎極の磁束の量の平均磁束となるようにしたアキシャルエアギャップ型インナーロータ式界磁磁束可変型同期発電機
【請求項2】
回転軸方向の中央に電機子があり、その両側に二つの界磁があり、電機子には鉄心のないコアレス巻線が施され電気絶縁物で保持されており、その電気絶縁物はアルミブラケットに固定されており、そのコアレス巻線はエアギャップを介して、永久磁石および電磁石と対向し、それらの反対側において界磁バックヨークに固定され、永久磁石はすべて同極でSPM状に取り付けられ、電磁石を形成する鉄心磁極は永久磁石と異極の極性となるよう界磁バックヨークに固定されて、界磁バックヨークは強磁性体からなる回転軸に固定され、電磁石用の直流励磁コイルは回転軸を巻回するように巻まかれて、電機子の内径側に絶縁物を介して固定され、直流励磁コイルには電磁石の極性が永久磁石と逆になるように直流励磁電流を流し、回転軸はブラケットの両側中央部近傍において軸受を介して支持され、永久磁石の磁束の流れは、N極永久磁石⇒アキシャルエアギャップ⇒電機子巻線⇒アキシャルエアギャップ⇒S極永久磁石⇒界磁バックヨーク⇒回転軸⇒界磁バックヨーク⇒N極永久磁石となり、一方の電磁石の磁束の流れは永久磁石による磁束の流れと反対方向に流れ、回転軸のN極⇒界磁バックヨーク⇒S極界磁鉄心⇒アキシャルエアギャップ⇒電機子巻線⇒アキシャルエアギャップ⇒N極界磁鉄心⇒界磁バックヨーク⇒回転軸のS極となるように流し、毎極の磁束量は永久磁石による毎極の磁束の量と電磁磁石による毎極の磁束の量の平均磁束となるようにしたアキシャルエアギャップ型インナーロータ式コアレス巻線界磁磁束可変型同期発電機
【請求項3】
請求項1において、電機子の歯の数を界磁の極数より1多いか1少ない3の倍数の数とし、三相巻線を施した電機子を有するアキシャルエアギャップ型インナーロータ式界磁磁束可変型同期発電機
【請求項4】
請求項2において、コアレス電機子巻線の外周部および各巻線間に、電気絶縁物を介してアルミニウムの保持部材を取り付け、その外径部を外被のアルミブラケットに接合固定し、巻線の発熱を外部に逃がしやすくしたアキシャルエアギャップ型インナーロータ式コアレス巻線界磁磁束可変型同期発電機
【請求項5】
請求項1、2,3および4において、界磁、電機子および全体構造が、これらの発電機と同一構造のアキシャルエアギャップ型インナーロータ式界磁磁束可変型同期電動機
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は風力発電用等のハイブリッド界磁方式アキシャルエアギャップ型同期発電機ならびに同期電動機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
風車が作り出す機械的出力は、回転角速度の3乗に比例するのに対し、その機械的エネルギーを電気的エネルギーに変換する同期発電機の機械的入力は回転角速度の2乗に比例するので、風車を最大出力点で運転させようとする場合、発電機の機械的入力を制御し、風車の機械的出力に合わせる必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特願2018−142944
【特許文献2】特開平6−351206号公報
【特許文献3】特開2002−320364号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
永久磁石界磁型同期発電機を駆動するための入力トルクは回転角速度に比例する。一方風車のつくり出す動力の最大出力点のトルクは回転角速度の二乗に比例する。そのため、発電機のトルクと風車の最大出力時のトルクは一点でしか交わらず、それ以外の回転角速度においては風車の最大出力点で動作させることが出来ない。そのため、風力発電システム全体の効率を低減させる原因となっている。そこで、界磁に永久磁石の他に電磁石を併用し、界磁の磁束を永久磁石による磁束と電磁石による磁束が加算され合成磁束を形成するようにし、電磁石の直流励磁電流を制御することによって、合成磁束の大きさを制御し、発電機の機械的入力または発電機の電気的出力を制御できる発電機を得ることが課題となる。
【0005】
特許文献1におけるアキシャルギャップタイプの同期発電機は、界磁に電磁石を有するため、発電機の機械的入力を制御し、風車の機械的出力に合わせる機能を持っているが、磁石の配列がIPM方式であるため全体の構造が複雑となりコスト高となる欠点がある。
【0006】
特許文献2におけるアキシャルギャップタイプの同期電動機は、中央に界磁が配置されその外側に励磁用コイルが巻かれているので、コイルの周長が長くなり巻線抵抗が大きくなり励磁損失が増えるという欠点がある。また、ブラケットやフレームなどの外被は鋼鉄などの強磁性体の材料を使う必要があり、放熱に有利なアルミニウム合金を使えないため、電機子巻線の温度上昇が高くなるという欠点がる。
【0007】
特許文献3は、小型風力発電用発電機として用いられている永久磁石界磁型同期発電機であり、低速回転に適した多極化が容易で、比較的少ない設備投資で製造可能な発電機であるが、永久磁石界磁であるので磁束が固定であり発電機の機械的入力を任意に制御できないため、風車の最大出力点で運転させることができない。また電機子は固定軸に接合されるためアウターロータ型となり、インナーロータ型にするのは複雑な構造となり、さらに電機子巻線で発生する抵抗損による発熱が外部へ逃げにくく、電機子巻線の温度上昇が高くなるという欠点もある。
【0008】
以上の欠点を改善するためには、界磁には永久磁石をSPM方式に配列すると共に磁束を自由に変えられるようにするために電磁石を併用し、その界磁は中央の回転軸に取り付けられてインナーロータ型とし、電磁石の励磁コイルは回転軸の近傍を巻回させて周長を短くして巻線抵抗が小さくなるようにするとともに、その巻線に発生する抵抗損による熱が外郭のアルミ製ブラケットに伝導しやすくし、巻線の温度上昇を低くする構造とすることが基本的な課題となる。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述した課題を解決するため、本願の第1の発明は、界磁に直流電磁石と永久磁石を有し、回転軸方向の中央に電機子があり、その両側に二つの界磁と二つのアキシャルエアギャップを有するアキシャルエアギャップ型同期発電機において、電機子はバックヨークの両側に突極状の歯があり、いづれもSMC(軟磁性複合材料)などの強磁性体でできており、個々の歯には電機子巻線が施され、中央の電機子バックヨークはアルミブラケットに固定されて、電機子巻線において発生した抵抗損による熱を放散しやすくし、これらの電機子の歯はアキシャルエアギャップを介して、界磁の永久磁石および電磁石と対向し、その永久磁石と電磁石は円周方向に交互に取り付けられ、永久磁石はすべて同極とし、それらの間にはさまれる電磁石は永久磁石と異極の極性とし、電磁石群と永久磁石群はそれぞれコンセクエントポール(Consequent Pole)を形成し、界磁の毎極の磁束は電磁石と永久磁石のそれぞれの毎極の磁束の平均値をとることになり、電磁石の磁束を変えると界磁の毎極の平均磁束の値を変えることができるようになる。なお、界磁のバックヨークと電磁石は電磁鋼板やSMCなどの強磁性体でつくられている。
両側の二つの界磁バックヨークは強磁性体の回転軸に固定され、電機子の内径と回転軸の間の空間には電磁石を励磁するためのコイルが軸を巻回するように巻かれて電機子の内径側に電気絶縁物を介して固定される。このような構造にすることによって、磁束の流れが逆向きの永久磁石と電磁石の二つの直流磁気回路が形成される。すなわち永久磁石の磁束の流れは、N極永久磁石⇒アキシャルエアギャップ⇒電機子鉄心⇒アキシャルエアギャップ⇒S極永久磁石⇒界磁バックヨーク⇒回転軸⇒界磁バックヨーク⇒N極永久磁石、となるのに対し、一方の電磁石の磁束の流れは、回転軸のN極⇒界磁バックヨーク⇒S極界磁鉄心⇒アキシャルエアギャップ⇒電機子鉄心⇒アキシャルエアギャップ⇒N極界磁鉄心⇒界磁バックヨーク⇒回転軸のS極へと流れる。軸受はこれらの磁気回路の外側のブラケットと回転軸の間に設けられるので、電食などの弊害は発生しない。
【0010】
また、本願の第2の発明は、回転軸方向の中央に電機子があり、その両側に二つの界磁があり、電機子は鉄心のないコアレス巻線が施され電気絶縁物で保持されており、その電気絶縁物はアルミブラケットに固定されており、そのコアレス巻線はエアギャップを介して、永久磁石および電磁石と対向し、それらの反対側において界磁バックヨークに固定され、永久磁石はすべて同極でSPM状に取り付けられ、電磁石を形成する鉄心磁極は永久磁石と異極の磁極となるよう構成され、界磁バックヨークに固定され、二つの界磁バックヨークは鋼鉄からなる回転軸に固定され、電磁石用の励磁コイルは、回転軸を巻回するように巻まかれて、電機子の内径側に絶縁物を介して固定され、励磁コイルには電磁石の極性が永久磁石と逆になるように直流電流を流し、回転軸はブラケットの両側中央部近傍において軸受を介して支持され、永久磁石の磁束の流れは、N極永久磁石⇒アキシャルエアギャップ⇒電機子巻線⇒アキシャルエアギャップ⇒S極永久磁石⇒界磁バックヨーク⇒回転軸⇒界磁バックヨーク⇒N極永久磁石、となり、一方の電磁石の磁束の流れは永久磁石による磁束の流れと反対方向に流れ、回転軸のN極⇒界磁バックヨーク⇒S極界磁鉄心⇒アキシャルエアギャップ⇒電機子巻線⇒アキシャルエアギャップ⇒N極界磁鉄心⇒界磁バックヨーク⇒回転軸のS極、と流れ、毎極磁束量は永久磁石による毎極の磁束の量と電磁石による毎極の磁束の量の平均磁束となるようにしてなるアキシャルエアギャップ型インナーロータ式コアレス巻線界磁磁束可変型同期発電機
【0011】
本願の第3の発明は、請求項1におけるように、電機子に鉄心がある場合、界磁の磁極との間にコギングトルクが発生し始動を妨げることがあるので、電機子の歯の数(n)と界磁の極数(2p)の最大公約数を極力大きく取るため、2p±1=3(2n+1)とし、最大公約数(n×2p)をn(6n+3±1)とする。
【0012】
本願の第4の発明は、請求項2において、コアレス電機子巻線の外周部および各コイル間に、その内周部を除き、アルミニウムや銅などの保持部材を取り付け、電機子巻線およびそれを保持する電気絶縁物を保持し、その外周外径部を外被のアルミブラケットに接合固定することによって、電機子巻線に発生した熱を近傍の電気絶縁物を通る距離を短くし熱伝導のよいアルミニウムなどの保持部材そしてアルミブラケットに逃がしやすくし、巻線内部に発生した熱を外気に伝達し易くして、電機子巻線の温度上昇を低くしたことを特徴とするアキシャルエアギャップ型インナーロータ式コアレス巻線界磁磁束可変型同期発電機
【発明の効果】
【0013】
第1の発明を実施することにより、界磁には、直流電磁石による磁極と永久磁石による磁極がそれぞれ独立してコンセクエントポール(Consequent Pole)を形成し、双方の磁束は二つのエアギャップにおいてお互いに反対の方向に流れ所定の極数を形成し、合成磁束はそれぞれの磁束の平均値となるので、直流励磁電流を制御することによって直流電磁石の磁束を制御し、合成磁束を制御することができるので、発電機の機械的入力あるいは電気的出力を制御することができる。また、電機子鉄心に発生した鉄損や電機子巻線に発生した抵抗損による発熱は電機子鉄心を通って外殻のアルミブラケットに伝達され外気に放出され、電機子巻線の温度上昇は低く抑えることができる。
電磁石の直流励磁巻線は、電機子の内径と回転軸の間の広い空間に納められ、回転軸を巻回するように巻かれているので、巻数が多くても、周長が短く、かつ断面積を大きくとれるので、巻線抵抗を小さくでき、電磁石の磁束を大きくとっても励磁損失を小さくすることができる。
また、直流電磁石の磁束は軸受の内輪を通らないので、リップル電流などによる軸受の電食は発生しない。
【0014】
第2の発明を実施することにより、電機子に鉄心(コア)のないコアレス巻線を施したアキシャルエアギャップ型インナーロータ式コアレス巻線界磁磁束可変型同期発電機においても同様の効果が得られる。
【0015】
第3の発明を実施することにより、電機子に鉄心(コア、歯)のあるアキシャルエアギャップ型インナーロータ式界磁磁束可変型同期発電機においても、コギングトルクが小さく低風速においても始動回転可能となる。
【0016】
第4の発明を実施することにより、アキシャルエアギャップ型インナーロータ式コアレス巻線界磁磁束可変型同期発電機における電機子巻線の温度上昇を低減することができる。
【0017】
可変磁束界磁型同期発電機を用いて、風速の広い変動巾において、風車の機械的最大出力点で発電機を動作させることが出来るので、同じ風車を使用しても、従来の永久磁石同期発電機を使用するよりも、年間の発電電力量を増やすことができる効果がある。そのことは、設備投資資金の回収期間を短縮する効果を生み出すことにもなる。
また、界磁に永久磁石と電磁石を利用出来るため永久磁石にコストの安いフェライト磁石を利用しても電磁石で磁束を補うことが出来るとともに、永久磁石を全く使用せず電磁石だけで界磁を形成することも出来るので、コスト低減の効果も期待できる。
多極化に適しているので、低速風車にあっては増速機が不要となるので、コストの低減が出来るとともに、高信頼性となり故障が少なくなって、保守サービス費用も軽減されるという経済的効果がある。
このアキシャルエアギャップ式可変磁束界磁型発電機を電動機として使用する場合、始動時には励磁電流を増やして始動トルクを大きくすることができ、高速運転時には、永久磁石電動機の場合弱め界磁のための電流を流す必要があるが、界磁磁束可変型の場合は励磁電流を減らすことによって高速化が可能となるので、効率の高い同期電動機として機能させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】アキシャルエアギャップ式可変磁束界磁型同期発電機の断面図を示す。
図2(1)】アキシャルエアギャップ式可変磁束界磁型同期発電機のA矢視図を示す。A矢視は図1による。
図2(2)】アキシャルエアギャップ式可変磁束界磁型同期発電機のB矢視図を示す。B矢視は図1による。
図3】アキシャルエアギャップ式可変磁束界磁型同期発電機のC―O断面図を示す。
図4】アキシャルエアギャップ式可変磁束界磁型同期発電機の磁気回路の模式図を示す。
図5(1)】アキシャルエアギャップ式コアレス巻線型可変磁束界磁型同期発電機の断面図を示す。
図5(2)】アキシャルエアギャップ式コアレス巻線型可変磁束界磁型同期発電機の熱伝導改良型の断面図を示す。
図6(1)】アキシャルエアギャップ式コアレス巻線型可変磁束界磁型同期発電機のA―O断面図を示す。A―O断面は図5(1)による。
図6(2)】アキシャルエアギャップ式コアレス巻線型可変磁束界磁型同期発電機の熱伝導改良型のB―O断面図を示す。B―O断面は図5(2)による。
図7】コアレス型アキシャルエアギャップ式可変磁束界磁型同期発電機の磁気回路の模式図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0019】
次に図1〜7を参照して,本発明のいくつかの実施形態について説明するが,本発明はこれに限定されるものではない。
【0020】
図1にもとづいて、第1の発明のアキシャルエアギャップ式可変磁束界磁型同期発電機について説明する。
軸方向に2分割された非磁性体からなるブラケット12の両端中心部には軸受14を介して強磁性体からなる回転軸13を通し、ブラケットの中央部には固定子となる電機子2を取り付け、その両側の二つのアキシャルエアギャップ11を介してそれぞれ回転子となる界磁を対向させ、界磁は回転軸に接合されて、風力など外部の回転力によって、回転軸と一体となって回転し電機子の巻線23に電圧を誘起し発電機として機能する。電機子の内径側には直流励磁巻線34が施され、界磁の磁極はN極又はS極が永久磁石33のよって形成され、異極のS極又はN極は電磁石32によって形成されている。
【0021】
図2(1)は一方の左側の界磁を表し、図2(2)は他方の右側の界磁を表していて、強磁性体からなるバックヨークの片側にはそれぞれ永久磁石と電磁石の磁極がSPM状に交互に貼り付けられており、その永久磁石と電磁石がアキシャルエアギャップを介してそれぞれ電機子と対向させ、永久磁石については一方の界磁の極性はすべてN極とし、他方の界磁の極性はすべてS極となるように配列し、電磁石についてはすべて永久磁石の間に位置し、一方の磁極はすべて永久磁石と逆のS極となるようにし他方の磁極はすべて永久磁石と逆のN極となるように配置させて、永久磁石と電磁石が逆極性のコンセクエントポール(Consequent Pole)を形成し、一つのエアギャップにおける極数は永久磁石の数と電磁石の磁極の数の和すなわち永久磁石の数又は電磁石の磁極の数の2倍となり、毎極の磁束の量は永久磁束による磁束の量と電磁石による磁束の量の平均値の量に相当する。
【0022】
図3は電機子を表しあり、強磁性体からなるバックヨークの両側には左右対称の位置に強磁性体からなる磁極すなわち歯があり、それらの歯には電気絶縁物を介して電機子巻線が巻かれており、その巻線の巻き方向は左右両側で同一である。さらにこの電機子の内径側には、回転軸を巻回するように巻かれた直流励磁巻線が電気絶縁物を介して固定されている。
【0023】
図4は発電機全体の磁気回路の模式図である。ブラケットは非磁性体たとえばアルミニウムなどからなり、電機子のバックヨークを支持し、電機子巻線に発生する抵抗損や歯に発生する鉄損による発熱を外部に逃がす機能を有するが、磁気回路には直接関与しない。
左の界磁には永久磁石のS又はN極の隣に電磁石のn又はs極、その隣は永久磁石のS又はN極の隣に電磁石のn又はs極、以下同様に配置され、右の界磁に電機子を挟んで、円周方向の同じ位置に、永久磁石のN又はS極の隣に電磁石のs又はn極、その隣は永久磁石のN又はS極の隣に電磁石のs又はn極、以下同様に配置されている。永久磁石による磁束の流れは
右の永久磁石N極→右のアキシャルエアギャップ→右の歯→電機子バックヨーク→左の歯→左のアキシャルエアギャップ→左の永久磁石S極→左の界磁バックヨーク→回転軸→右の界磁バックヨーク→右の永久磁石N極となる。
一方、電磁石による磁束の流れは直流励磁巻線に直流励磁電流を流すことにより発生し、左の電磁石n極→左のアキシャルエアギャップ→左の歯→電機子バックヨーク→右の歯→右のアキシャルエアギャップ→右の電磁石s極→右の界磁バックヨーク→回転軸→左の界磁バックヨーク→左の電磁石n極となる。
【0024】
このように永久磁石と電磁石はそれぞれコンセクエントポール(Consequent Pole)を形成し、毎極の合成磁束Φtは、永久磁石の毎極の磁束Φp、電磁石の毎極の磁束Φeとすると、Φt=(Φp+Φe)/2となる。
それぞれのアキシャルエアギャップにおける極数は永久磁石の数と電磁石の数の和すなわち永久磁石の数又は電磁石の数の2倍となり、毎極の磁束の量は永久磁束による磁束の量と電磁石による磁束の量の平均値の量に相当する。
また、電磁石の磁束の量は、アキシャルエアギャップにおける磁気抵抗によりほぼ決まるので、次のように求められる。
Φe≒N×I/(2g/μ・S)
ここで、Φe:電磁石の磁束の総量
N:直流励磁巻線の巻数
I:直流励磁電流
g:アキシャルエアギャップの長さ
μ:空気の透磁率
S:一つのアキシャルエアギャップに面した電磁石と電機子鉄心(歯)が対 向する総面積
【0025】
次に、図5(1)にもとづいて、アキシャルエアギャップ型インナーロータ式コアレス巻線界磁磁束可変型同期発電機について説明する。
軸方向に2分割された非磁性体からなるブラケット12の両端中心部には軸受14を介して強磁性体からなる回転軸13を通し、ブラケットの中央部には固定子となる電機子2を取り付け、その両側の二つのアキシャルエアギャップ11を介してそれぞれ界磁を対向させ、界磁は回転軸に接合されて、風力など外部の回転力によって、回転軸と一体となって回転し電機子の巻線に電圧を誘起し発電機として機能する。電機子の内径側には直流励磁巻線34が施され、界磁の磁極はN極又はS極が永久磁石33のよって形成され、異極のS極又はN極は電磁石32によって形成されている。電機子巻線23は電気絶縁物の支持部材25で支持されているが、図5(2)のように非鉄金属の支持部材26で支持してもよい。
【0026】
アキシャルエアギャップ型インナーロータ式コアレス巻線界磁磁束可変型同期発電機は図1に示すアキシャルエアギャップ式可変磁束界磁型同期発電機と界磁の構造は同じであるので、図2にもとづいて説明する。
図2(1)は一方の左側の界磁を表し、図2(2)は他方の右側の界磁を表していて、強磁性体からなるバックヨークの片側にはそれぞれ永久磁石と電磁石の磁極がSPM状に交互に貼り付けられており、その永久磁石と電磁石がアキシャルエアギャップを介してそれぞれ電機子と対向させ、永久磁石については一方の界磁の極性はすべてN極とし、他方の界磁の極性はすべてS極となるように配列し、電磁石についてはすべて永久磁石の間に位置し、一方の磁極はすべて永久磁石と逆のS極となるようにし他方の磁極はすべて永久磁石と逆のN極となるように配置させて、永久磁石と電磁石が逆極性のコンセクエントポール(Consequent Pole)を形成し、一つのエアギャップにおける極数は永久磁石の数と電磁石の磁極の数の和すなわち永久磁石の数又は電磁石の磁極の数の2倍となり、毎極の磁束の量は永久磁束による磁束の量と電磁石による磁束の量の平均値の量に相当する。
【0027】
図6(1)は電機子を表し、電気絶縁物からなる電機子巻線支持部材25に電機子巻線23を固定し、その巻線の巻き方向は左右両側で同一である。また、図6(2)に示すように電機子巻線23の周囲を非鉄金属の支持部材26とし、絶縁物を介して電機子巻線を支持することによって、電機子巻線に発生する抵抗損による発熱を外部に放出しやすくしてもよい。
さらにこの電機子の内径側には、回転軸13を巻回するように巻かれた直流励磁巻線34が電気絶縁物24を介して固定されている。
【0028】
図7は発電機全体の磁気回路の模式図である。ブラケットは非磁性体たとえばアルミニウムなどからなり、電機子の支持部材を支持し、電機子巻線に発生する抵抗損による発熱を外部に逃がす機能を有するが、磁気回路には直接関与しない。
左の界磁には永久磁石のS又はN極の隣に電磁石のn又はs極、その隣は永久磁石のS又はN極の隣に電磁石のn又はs極、以下同様に配置され、右の界磁に電機子を挟んで、円周方向の同じ位置に、永久磁石のN又はS極の隣に電磁石のs又はn極、その隣は永久磁石のN又はS極の隣に電磁石のs又はn極、以下同様に配置されている。永久磁石による磁束の流れは
右の永久磁石N極→右のアキシャルエアギャップ→電機子→左のアキシャルエアギャップ→左の永久磁石S極→左の界磁バックヨーク→回転軸→右の界磁バックヨーク→右の永久磁石N極となる。
一方、電磁石による磁束の流れは直流励磁巻線に直流励磁電流を流すことにより発生し、左の電磁石n極→左のアキシャルエアギャップ→電機子→右のアキシャルエアギャップ→右の電磁石s極→右の界磁バックヨーク→回転軸→左の界磁バックヨーク→左の電磁石n極となる。
【0029】
このように永久磁石と電磁石はそれぞれコンセクエントポール(Consequent Pole)を形成し、毎極の合成磁束Φtは、永久磁石の毎極の磁束Φp、電磁石の毎極の磁束Φeとすると、Φt=(Φp+Φe)/2となる。
それぞれのアキシャルエアギャップにおける極数は永久磁石の数と電磁石の数の和すなわち永久磁石の数又は電磁石の数の2倍となり、毎極の磁束の量は永久磁束による磁束の量と電磁石による磁束の量の平均値の量に相当する。
また、電磁石の磁束の量は、アキシャルエアギャップにおける磁気抵抗によりほぼ決まるので、次のように求められる。
ここで、Φe:電磁石の磁束の総量
N:直流励磁巻線の巻数
I:直流励磁電流
μ:空気の透磁率
Sc:一つのアキシャルエアギャップに面した電磁石の総面積
【0030】
以上、説明したように、この発電機には、次のような特長がある。
界磁に電磁石を有するため、トルクと角速度の勾配を変えることができるので、簡単な制御方法で、風車の最大出力点を風速の広い範囲において追跡でき、風車の効率を高めることができる。
この同期発電機は、永久磁石に安価なフェライト磁石を利用し、磁力低下分を電磁石で補うことも出来る。また、永久磁石を全く使用せず、電磁石だけで運転させることも出来、それらの場合でも風車の最大出力点において幅広く運転させることが出来るので、大幅な原価低減が可能となる。
また、アキシャルエアギャップ式発電機は多極化に適しているので、低速風車において増速機が不要となるので、コスト低減が可能となるとともに、高信頼性となり故障が少なく保守サービス費用も軽減されるという経済的効果がある。
このアキシャルエアギャップ式可変磁束界磁型発電機を電動機として使用する場合、始動時には励磁電流を増やして始動トルクを大きくすることができ、高速運転時には弱め界磁の電流が不要の上、励磁電流を減らすので効率の高い同期電動機として機能させることができる。
【符号の説明】
1 発電機
11 アキシャルエアギャップ
12 ブラケット(非鉄金属)
13 回転軸(強磁性体)
14 軸受
2 電機子
21 電機子バックヨーク
22 電機子歯(磁極)
23 電機子巻線
24 電気絶縁部材
25 電機子支持部材(電気絶縁部材)
26 電機子支持部材(非鉄金属部材)
3 界磁
31 界磁バックヨーク
32 界磁磁極
321 界磁磁極(N極)
322 界磁磁極(S極)
33 永久磁石
331 永久磁石(N極)
332 永久磁石(S極)
34 直流励磁巻線
N 永久磁石(N極)
S 永久磁石(S極)
n 界磁磁極(N極)
s 界磁磁極(S極)
図1
図2(1)】
図2(2)】
図3
図4
図5(1)】
図5(2)】
図6(1)】
図6(2)】
図7