【解決手段】耕耘装置は、フレーム2と、耕耘体3と、この耕耘体3の上方に位置して設けられた上部カバー体4と、上下回動自在に設けられた整地体5と、この整地体5を回動方向に付勢する1つ又は1つ以上の付勢機構6を備えている。付勢機構6のうち、少なくとも1つの付勢機構6には、フレーム2又は上部カバー体4に設置された取付部に一端側を設け、且つ、他端側を整地体5に設置された保持部62に挿入されて摺動可能に設けたロッド61を備える。このロッド61には、整地体5を付勢する第1の弾性体63と、第2の弾性体64と、第2の弾性体64の付勢力を整地体5に伝動又は非伝動のいずれかに切換を行う規制体65と、を備えた。
  走行機体に装着する装着部を設けたフレームと、該フレームに回転自在に設けられて土壌を耕耘可能な耕耘体と、該耕耘体の上方に位置して設けられた上部カバー体と、前記耕耘体の後方で前記上部カバー体に上下回動自在に設けられた整地体と、該整地体を回動方向に付勢する1つ又は1つ以上の付勢機構を備えた耕耘装置において、
  前記付勢機構のうち、少なくとも1つの付勢機構には、
  前記フレーム又は前記上部カバー体に設置された取付部に一端側を回動自在に設け、且つ、他端側を整地体に設置された挿通孔を有する保持部に挿入されて前記挿通孔と同軸方向に摺動可能に設けたロッドと、
  前記挿通孔と前記ロッドの他端の間に位置するように前記ロッドに取付けられ、前記整地体を前記耕耘体側から離反する方向に付勢する第1の弾性体と、
  前記第1の弾性体と前記ロッドの他端の間に位置するように前記ロッドに取付けられ、前記整地体を前記耕耘体側から離反する方向に付勢する第2の弾性体と、
  前記第2の弾性体の付勢力を前記整地体に伝動又は非伝動のいずれかに切換を行う規制体と、
  を備えていることを特徴とした耕耘装置。
  前記整地体は作業状態及び整備状態に姿勢の変更が可能で、前記保持部には前記作業状態における前記整地体は回動自在とし、前記整備状態における前記整地体は前記整地体の姿勢を固定するための姿勢固定手段と、
  をさらに備えたことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の耕耘装置。
【発明を実施するための形態】
【0009】
  図面を参照して、本発明の一実施形態を説明する。説明においては、
図1に示す左側を進行方向前方側、右側を進行方向の後方側、上側を機体上方側、下側を機体下側として、また、
図2に示す下側を進行方向左側、上側を進行方向右側として説明する。図面の記載において、同一又は類似の部分には同一又は類似の符号を付すことがある。説明に用いる図面は模式的なものであり、各部の寸法との関係等は現実のものとは異なることがある。
  また、本発明の技術的思想は、特許請求の範囲に記載された請求項が規定する技術的範囲内において、種々の変更を加えることができる。
 
【0010】
  耕耘装置1は、走行機体であるトラクタ(図示せず)の後部に設けられた昇降リンクである3点リンク機構に装着されて使用される。耕耘装置1は、フレーム2を備えていて、このフレーム2前方部に位置する装着部20と3点リンク機構とを連結させることによって耕耘装置1は昇降自在である。また、耕耘装置1は、トラクタ側から出力される動力を獲得することによって、フレーム2下方に位置する耕耘体3を回転駆動させる。この耕耘体3は耕耘爪32を有していて、耕耘爪32は回転することによってトラクタの進行と共に土壌を耕耘することができる。耕耘体3には、耕耘体3の上部を覆うように上部カバー体4が設けられていて、耕耘時の土壌の周囲への飛散を防止する。上部カバー体4の後方側の端部には上下に回動自在に設けた整地体5が設けられていて、上下回動しながら整地体の後部を接地させることで耕耘後の土壌を均平に整地する。整地体5上には付勢機構6が取付けられている。付勢機構6はフレーム2又は上部カバー体4を架け渡すように取付けられ、整地体5の上下方向への回動を付勢し、整地体5を下方へ回動する方向に押し付けたり、作業者による整地体5の上方への回動動作を補助したりすることができる。
 
【0011】
  耕耘装置1の詳細を説明する。前記フレーム2は耕耘装置1の骨格をなす部位であり、装着部20、入力ケース21、パイプフレーム22、伝動ケース23、サポートフレーム24、フロントフレーム25を備える。
 
【0012】
  装着部20は、耕耘装置1の前方中央部に設けてあり、上部中央のトップリンクピン201とその下方左右に位置する一対のロアリンクピン202により構成されていて、トラクタ側の3点リンク機構(図示せず)のトップリンクとロアリンクにそれぞれ連結されトラクタに装着される。装着部20の中央には、入力ケース21が設けられ、前方に向け入力軸211が突設されている。入力軸211は、トラクタの出力軸(図示せず)とユニバーサルジョイント等で連結されてトラクタ側の回転動力が入力される。入力ケース21上面には、トップマスト212が前方及び上方に向け突設され、上端部にはトップリンクピン201が備えられる。
 
【0013】
  入力ケース21には、一端を入力ケース21に接続して左右側方にそれぞれに突出させたパイプフレーム22が設けられている。左右側方にそれぞれに配置したパイプフレーム22は丸パイプで構成されていて、同軸に配置させている。パイプフレーム22の左右いずれかの他端側(
図5においては左側)には、下方に向かって延設された上下方向の伝動ケース23と、左右他方側のパイプフレーム22の他端部から下方に向かって延設された上下方向のサポートフレーム24が位置している。パイプフレーム22前方部には、このパイプフレーム22と平行に位置させたフロントフレーム25が伝動ケース23及びサポートフレーム24に固着されていて、全体の骨格であるフレーム2を構成している。
 
【0014】
  パイプフレーム22の下方には、伝動ケース23下端部とサポートフレーム24の下端部との間に架設支持させ、ロータ軸31と耕耘爪32を有した耕耘体3が位置している。ロータ軸31は、伝動ケース23とサポートフレーム24に架設すると共に回転自在な軸体である。ロータ軸31には、放射状に一定間隔を設けて耕耘爪32が多数取り付けられていて、ロータ軸31と耕耘爪32が一体になって回転することで下方に位置する土壌を耕耘する。
 
【0015】
  耕耘体3は、入力軸211から入力された動力を伝動させることによって回転駆動ができる。入力軸211から入力された動力は、入力ケース211に内装されるギヤによって減速され、左右一方側の側方に突設したパイプフレーム22(
図5においては進行方向左側)内を通る出力軸(図示せず)により伝動ケース23内に伝達される。伝動ケース23内にはチェーン及びスプロケット等の伝動部材(図示せず)を配置することで、トラクタの動力はロータ軸31に伝達され、耕耘体3は回転駆動される。
図4に示す実施形態においては、耕耘体3は未耕地である前方側がダウンカットされるように左回転として図示しているが、アップカットである右回転となるように構成しても良い。
 
【0016】
  耕耘体3の上方部には、耕耘爪32の回転外周端に沿うように離間して上部カバー体4が設けられている。上部カバー体4は、フレーム2に固定した薄い鋼板もしくは可堯性部材を含んだ部材等で構成された部材で、左右側方の端部を伝動ケース23とサポートフレーム24にそれぞれを取り付けている。上部カバー体4は、
図1及び
図3に示す側面視で耕耘爪32の回転径の上方側15〜30%を覆うように配置している。このようにして耕耘体3の上方部を上部カバー体4で覆うことで、耕耘体3側から飛散される耕耘土の上方側への飛散を防止している。
 
【0017】
  上部カバー体4の後端部から後方及び下方に向けて垂れ下げるように整地体5を設けている。整地体5は左右の幅を上部カバー体4と同じかそれよりやや短く設定し、
図1及び
図3に示す側面視で、S字状に湾曲させた部材である。整地体5は、前方端部又は上方端部に配置した複数のヒンジ51によって、上下回動自在である。ヒンジ51の回動支点軸は進行方向左右に向けていて、ロータ軸31の軸と平行である。このため、整地体5の下方側は耕耘爪32の回転径から遠ざかる、又は、近づくように、回動動作をすることができる。
 
【0018】
  整地体5は耕耘体3の上方部から後方にかけて覆うように配置しているため、耕耘体3によって耕耘された土壌の上方への飛散を防ぐ。また、耕耘時の整地体5は上方に回動して、整地体5の耕耘体3側の下面を接地させることによって、耕耘中の土壌を効率よく耕耘体3に導き砕土を補助すると共に、耕耘後の土を均平整地する。
 
【0019】
  整地体5の耕耘体3と反対側の上面には、進行方向を軸として対向させた対の板を上方に向けて突出させて固定した調圧保持板52が固着されている。調圧保持板52の前方側はさらに上方に向けて突出していて、この突出部には左右方向に向けて貫通した孔53を設けている。実施形態において、調圧保持板52は、整地体5上に左右2箇所に設けているが、少なくとも1箇所もしくはそれ以上に設けていればよい。調圧保持板52には付勢機構6が取付けられる。
 
【0020】
  付勢機構6は、整地体5を下方側すなわち耕耘体3側への回動を付勢する、又は、上方側すなわち耕耘体3から離れる側への回動を付勢する、又は、整地体5の回動を規制及び固定することを可能にする機構である。付勢機構6は、ロッド61、該ロッド61を軸方向に摺動可能にすると共に整地体5に取り付けるための保持部62、ロッド61の保持部62に対する移動を固定及び固定解除する姿勢固定手段67、整地体5の回動を付勢する第1乃至第3の弾性体63、64、66、第2の弾性体64の伸縮を規制する規制体65、第3の弾性体66の伸縮を規制し整地体5の付勢力を調整する付勢力調整手段68を備えている。また、実施形態として説明する付勢機構6は、整地体5の左右両側に備えている。さらに、付勢機構6に備えられている規制体65、第3の弾性体66は、整地体5の進行方向左側の付勢機構6のみ備えているものとして説明する。
 
【0021】
  保持部62は、円柱状の部材で調圧保持板52の孔53に挿入し、回転自在に設ける。さらに、保持部62の円柱の左右方向に向かう軸の中間部には、円柱の軸と直交する方向に挿通孔621を貫通して設けている。保持部62は回転自在であるため、挿通孔621の向きも自由に変えることができる。
 
【0022】
  挿通孔621にはロッド61が挿入される。ロッド61は棒状の部材で、挿通孔621に対して挿通孔621と同軸方向に摺動可能に設ける。ロッド61の一端側である前方側を、パイプフレーム22上に設けられた取付部26に、左右方向を軸にしたピン261によって上下方向に回動自在に取付ける。するとロッド61は、整地体5の回動に伴って、ピン261を支点にして上下回動すると共に、保持部62の挿通孔621と同軸方向に摺動する。また、説明した実施形態では、取付部26はパイプフレーム22上に設けたが、パイプフレーム2と上部カバー体4の間または上部カバー体4上に設けても、整地体5の回動に伴うロッド61の動作は変わらない。
 
【0023】
  保持部62はさらに、円柱の軸方向の中心に貫通して設けた段付き孔622と、この段付き孔622に挿入するピン623を備えている。段付き孔622には、大小異なる径の孔が設けられていて、大きい径の孔部から、小さい径の側に向かってT字状に形成された頭部を有したピン623を挿入する。ピン623は断面が円形で、段付き孔622を摺動及び回転可能に設けている。
 
【0024】
  ロッド61の中央部付近には、左右方向に向けて複数の孔611が設けられている。この孔611は、整地体5の回動を固定するために用いる孔であり、段付き孔622と位置を合わせて前記ピン623を差し込むことによって、整地体5の回動を規制することができる。すなわち、ピン623は整地体5の姿勢を固定する姿勢固定手段である。整地体5の回動を規制解除するためには、ピン623を引き抜く。ピン623はT字状であるため、T字の頭部を把持しやすく、回動規制の解除のためのピン623の引き抜きや、回動を規制するためのピン623の押し込みが容易である。
 
【0025】
  また、ピン623は、段付き孔622の大きい径の側孔部にはコイルばね624が内蔵されていて、常時ロッド61側に付勢されている。ピン623を引き抜いたままその位置を維持するには、T字状の頭部を段付き孔622の大きい径の側の端部に設けられたU字状溝からなる係止部625に引っ掛ける。こうすることで、ピン623は孔611に差し込まれることが無く、整地体5の回動規制の解除状態を維持できる。
図1乃至
図5の保持部62は、整地体5の回動規制が解除された状態を示している。また、
図4に示す二点鎖線部は、ピン623をロッド61の孔611に押し込み、整地体5の回動を規制して、整地体5の姿勢を固定した状態を示している。
 
【0026】
  ロッド61の保持部62より他端側には、第1の弾性体63を取付ける。この実施形態において、第1の弾性体63は圧縮ばねであり、ロッド61と同軸且つロッド61の外周にコイル部を巻付けるように配置させ、ロッド61に対し伸縮自在に設けている。第1の弾性体63は、保持部62に隣接させると共に、保持部62よりロッド61の他端側に配置させる。
 
【0027】
  第1の弾性体63に隣接して、第1の弾性体63よりロッド61の他端側に、規制体65を設ける。規制体65は、円柱状の部材で、左右方向の軸の中間部には、円柱の軸と直交する方向に挿通孔651を貫通して設けている。規制体65はさらに、円柱の中心に貫通して設けた段付き孔652を設けている。段付き孔651には、大小異なる径の孔が設けられていて、大きい径の孔部から、小さい径の側に向かってT字状の頭部を有した規制ピン653を挿入する。規制ピン653は断面が円形で、段付き孔652を摺動及び回転可能に設けている。この実施形態においては、規制体65及び規制ピン653と、保持部62及びピン623はそれぞれ同形状であり、部品を共通化することで製造原価の高騰を抑制している。規制ピン653はT字状で、T字の頭部を把持しやすくしているので操作が容易である。
 
【0028】
  また、規制ピン653は、段付き孔652の大きい径の側孔部にはコイルばね654が内蔵されていて、常時ロッド61側に付勢されている。規制ピン653を引き抜いたまま、その位置を維持するには、T字状の頭部を段付き孔652の大きい径の側の端部に設けられたU字状溝からなる係止部655に引っ掛ける。こうすることで、規制ピン653は後述する規制孔612に差し込まれることが無く、規制体65の規制解除状態すなわちロッド61に対し摺動可能状態を維持できる。
図1乃至
図5の規制体65は、規制体65の規制解除状態を示している。また、
図4に示す二点鎖線部は、規制ピン653をロッド61の規制孔612に押し込み、規制体65の摺動を規制した状態を示している。
 
【0029】
  規制ピン653が位置するロッド61には、規制孔612を設けている。規制孔612
は、規制ピン653を挿入するための孔で、規制孔612に規制ピン653を挿入することによって、規制ピン653が規制孔612に係止し、規制体65をロッド61に固定することができる。規制孔612は、前記孔611よりもロッド61の他端側に設ける。規制ピン65は規制体65を介して規制孔612に挿入することで、規制体65をロッド61に位置を固定した規制状態とすることができる。また、規制ピン653を規制孔612から引き抜くと、規制体65はロッド61に対してロッド61の軸方向に固定されず移動可能となり、非規制状態となる。すなわち、規制体65はロッド61に対しての相対位置を固定し移動不可能にする規制状態と、相対位置を固定せずに移動可能な非規制状態と、をそれぞれ選択可能に設けている。非規制状態での規制体65の規制ピン653は係止部655によって位置を維持された状態であるので、手を離しても非規制状態を維持し続けることができる。
 
【0030】
  規制状態での規制体65と、保持部62に挟まれるように位置した第1の弾性体63は、整地体5が下方に回動すると、第1の弾性体63の両端に形成されたコイル座面が規制体65及び保持部62に当接する。すると、第1の弾性体63によって整地体5を上方に回動させる方向に付勢する。その後、整地体5は自重によりさらに下方側へ回動すると共に第1の弾性体63のコイルが密着する、又は、整地体5の下方への回動力と第1の弾性体63の付勢力が釣り合う位置で、整地体5の回動が阻止される。これにより、整地体5が耕耘体3への接触を避けると共に、整地体5の下方への回動が終了した時の衝撃が、フレーム2へ伝播することを緩和する。また、第1の弾性体63は、整地体5を上方に回動させる方向に付勢しているので、整地体5が回動した下方位置から上方に回動する際の回動を補助する。非規制状態での規制体65の効果は後述する。
 
【0031】
  規制体65に隣接したロッド61の他端側には第2の弾性体64が位置している。この実施形態において、第2の弾性体64は圧縮ばねであり、ロッド61と同軸且つロッド61の外周にコイル部を巻付けるように配置させ、ロッド61に対し伸縮自在に設けている。すなわち、規制体65は、第1の弾性体63と第2の弾性体64に挟まれるように配置されると共に、ロッド61及び規制体65の挿通孔651及び第1の弾性体63及び第2の弾性体64は同軸である。第2の弾性体64は、第1の弾性体63よりも自由長を大きく設定している。
 
【0032】
  ロッド61の他端側端部にはストッパ614が固着させて設けられている。ストッパ614は、第2の弾性体64の座面を当接させることにより、反発力を受けることができる。すなわち、第2の弾性体64はストッパ614を基準にして、ロッド61の一端側に向かって伸長することができる。
 
【0033】
  規制状態の規制体65とストッパ614に挟まれるように位置した第2の弾性体63は、座面の両側にある部材である規制体65とストッパ614がそれぞれ固定された状態である。すなわち、第2の弾性体63は、ばねが伸長して自由長に戻ろうとする動作を規制されていて、付勢力を蓄えた状態を維持している。そのため、規制体65が規制状態では、第2の弾性体63は圧縮された状態であるものの、整地体5に対して付勢力を伝えることが無く、整地体5の回動に何ら影響を及ぼさない。
 
【0034】
  保持部62及び規制体65を非規制状態に切り換えると、規制体65はロッド61に対して摺動自在となる。すると、一端側をストッパ614に係止された第2の弾性体64は、他端側が自由に伸長することができる。第2の弾性体63は、ばねが伸長して自由長に戻ろうとする動作の規制が解除されるため、蓄えた付勢力を規制体65及び第1の弾性体63を介して保持部62に伝える。すなわち、整地体5は、第2の弾性体63によって、上方への回動を補助する付勢力を獲得することができる。
 
【0035】
  自重で垂れ下がった整地体5は、第2の弾性体63の付勢による補助付勢力が無い状態すなわち規制体65による規制状態である場合に比べて、第2の弾性体63の付勢による補助付勢力がある状態すなわち規制体65が非規制状態である場合の方が、上方に持ち上げる際に必要な力を軽減される。よって、作業者が規制体65を非規制状態にして整地体5の下端部を把持して上方に持ち上げると、第2の弾性体63の付勢力による補助を得ているため、整地体5を楽に上方へ回動させることができる。
 
【0036】
  保持部62及び規制体65が非規制状態の整地体5は、ヒンジ51を回動支点にして回動することができる。整地体5が回動中の第2の弾性体63の他端側は、常時に規制体65に当接すると共に、規制体65及び第1の弾性体63を介し保持部62に付勢している。つまり、第2の弾性体63の付勢力を、整地体5が上方に回動する方向へ付勢する。さらに、整地体5の回動が進むと共に規制体65は摺動し、さらに、第2の弾性体63の付勢力は規制体65及び第1の弾性体63及び保持部62を介して、整地体5を上方に回動する方向へ補助する付勢力を与え続ける。第2の弾性体63は、整地体5が完全に上方への回動が完了するまで補助付勢力を与え続け、作業者による整地体5の持ち上げを補助し続けることができる。
 
【0037】
  保持部62は、整地体5の回動に伴って、フレーム2を構成するパイプフレーム22上の取付部26に一端部を支持されたロッド61の軸に沿って摺動する。さらに保持部62は、調圧保持板52に設けられた孔53内で回動することで、整地体5の回動を阻害しない。
 
【0038】
  保持部62と取付部26の間には第3の弾性体66が、ロッド61と同軸に設けられている。実施形態において、第3の弾性体66は圧縮ばねを使用している。第3の弾性体66は、整地体5を下方に回動する方向に付勢するための弾性体で、第1の弾性体63よりも自由長を長く設定している。実際の使用において、整地体5を下方に回動する方向に付勢するためには、付勢力調整手段68を使用する。また、保持部62による規制を解除して、整地体5を回動可能な状態にする必要がある。
 
【0039】
  付勢力調整手段68は、ロッド61に取り付けられていて、第3の弾性体66と取付部26の間に位置させている。付勢力調整手段68は、ノックピン681が備えられていて、
ロッド61の一端側の円周上で、ロッド61の軸方向と直交する向きに設けられた複数の調整溝部613に係止させることによって、ロッド61に対して位置を固定可能である。
 
【0040】
  第3の弾性体66は、調整溝部613に係止された付勢力調整手段68と保持部62の間に位置している。第3の弾性体66は、整地体5が上方への回動を伴って付勢力調整手段68と保持部62の相対的な距離が接近すると共に、第3の弾性体66の両端が付勢力調整手段68及び保持部62に当接する。その後、さらに整地体5が上方へ回動を継続すると、第3の弾性体66が圧縮されて整地体5を下方に回動させる方向に付勢する。
 
【0041】
  付勢力調整手段68は、複数設けられた調整溝部613のうち1つを選択して使用することで、整地体5の回動によって整地体5への下方側への付勢力が加わるタイミングの変更と、付勢力を変更可能にしている。整地体5への下方側への付勢力が不要である場合は、付勢力調整手段68を最上側もしくは最前側の調整溝部613を選択して係止させる。こうすることで、第3の弾性体66は、整地体5が回動しても自由長を維持することができ、整地体5を下方に向け回動させる方向へ付勢しない。
 
【0042】
  このように、耕耘装置1を構成することで、整地体5を付勢するための付勢機構6に係る部材点数を抑えることができる。これは、製造に係るコストの上昇も抑えることができ、需要者に安価に耕耘装置1を提供できる。また、部材点数を抑えつつも、整地体5を作業者が持ち上げる際に必要な力を低減できる。
 
【0043】
  実施形態として説明した付勢機構6に備えられている規制体65及び第3の弾性体66は、整地体5の進行方向左側の付勢機構6のみ備えているとしているが、右側の付勢機構6にも同様に規制体65、第3の弾性体66を備えても良い。この場合、整地体5の上方への付勢力がより増すので、作業者がより軽い力で整地体5を持ち上げることができる。
  また、規制体65、第3の弾性体66を備えた付勢機構6は、整地体5に1つ又は3つ以上備えていても良い。この付勢機構6が1つの場合は、より安価に耕耘装置1を製造でき、需要者に提供することが可能となる。また、付勢機構6を3つ以上整地体5に取り付ける場合は、整地体5の上方への付勢力がより増すので、作業者がより軽い力で整地体5を持ち上げることができる。さらに、使用する部品点数を抑制した付勢機構6を複数個用いるので、大幅なコスト上昇を抑制することができる。
 
【0044】
  実際の耕耘作業に基いて説明する。
  走行機体に装着された耕耘装置1は、回転駆動する耕耘体3によって下方に位置する土壌を耕耘する。このとき、規制体65は規制状態にして第2の弾性体の付勢を整地体5に伝動しないようにしておく。また、保持部62は非規制状態にして、ロッド61が挿通孔621内を摺動可能にしておく。すると、走行機体によって耕耘装置1が下方に移動し、耕耘体3が土壌に入り込んだ際、整地体5は上方側に回動しながら接地して耕耘後の土壌を均平整地する。土壌は場所、土質、使用者の好みによって、整地体5による均平整地後の土壌に求められる硬さ均平度合いが多様である。均平整地の状態を変更するには、調整溝部613に係止する付勢力調製手段68の位置を変更して調整する。
 
【0045】
  整地体5の下方側への回動付勢力を大きくするには、付勢力調製手段68をロッド61の他端側すなわち保持部62に近い調整溝部613に係止する。すると、整地体5の下方への付勢力が増加するため、整地体5が耕耘土を上方から押圧する力が増加する。結果、均平整地後の土壌は、硬く整地される。付勢力調製手段68をロッド61の一端側すなわち取付部26に近い調整溝部613に位置させるごとに整地体5への付勢力が減少する。つまり、均平整地後の土壌は、柔らかくなる。このようにして、耕耘土を均平にしていく。
 
【0046】
  作業中もしくは作業後、走行機体に設けられた3点リンク機構で耕耘装置1を上昇させると、整地体5は下方に回動する。その後、付勢機構6に設けた第1の弾性体63によって、整地体5は回動のエネルギーを吸収させる。そうすることで、整地体5が回動によって最下限に位置した瞬間の衝撃を和らげると共に、整地体5が耕耘体3に緩衝することを防ぐ。
 
【0047】
  耕耘作業後、作業者が整地体5を持ち上げて点検等を行う場合を想定して説明する。
  規制体65は非規制状態にして、第2の弾性体の付勢力を整地体5に伝動可能なように切換える。また、保持部62は非規制状態にして、ロッド61が挿通孔621内を摺動可能にしておく。この状態で、下方に垂れ下がった状態の整地体5の下端部を、作業者が把持して持ち上げる。このとき、整地体5は、第2の弾性体によって、回動の上方側に向けた付勢力を得た状態である。結果、作業者は整地体5を、付勢力を得ない状態より軽い力で持ち上げることができる。
 
【0048】
  持ち上げたら任意の位置で整地体5の回動を停止させる。その後、保持部62のピン623をロッド61に設けた固定用孔611に差し込むことで、整地体5を規制状態にする。つまり、保持部62はロッド61を摺動できない状態である。こうすることで、整地体5は上方に回動した状態を固定でき、作業者は容易に耕耘体3や整地体5の耕耘体3側の面に到達できる。固定用孔611はロッド61に複数設けられているので、ピン623を差し込む位置を変更することで、整地体5の持ち上げた際の固定角度を変更でき、整地体5の姿勢を規制及び固定できる。
 
【0049】
  以上のように構成した耕耘装置1は、付勢機構6に備えた弾性体を効果的に配置させたことで製造原価の上昇を抑制できる共に、作業者による整地体5の持ち上げを補助し、容易な取扱いができる耕耘装置を提供できる。
 
【0050】
  本発明は、上記の実施形態によって記載したが、この開示の一部をなす論述及び図面は、本発明を限定するものであると理解すべきではない。この開示に基づく実施形態、実施例及び運用技術の改変は、特許請求の範囲に記載された範囲内で可能であることは言うまでもない。