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特開2020-93323ボルト及びナットの締付け方法及び締付け装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2020-93323(P2020-93323A)
(43)【公開日】2020年6月18日
(54)【発明の名称】ボルト及びナットの締付け方法及び締付け装置
(51)【国際特許分類】
   B25B 23/14 20060101AFI20200522BHJP
   F16B 31/04 20060101ALI20200522BHJP
   G01L 5/00 20060101ALI20200522BHJP
【FI】
   B25B23/14 610T
   F16B31/04 Z
   G01L5/00 103B
   B25B23/14 610K
   B25B23/14 620Z
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2018-231380(P2018-231380)
(22)【出願日】2018年12月11日
(11)【特許番号】特許第6501965号(P6501965)
(45)【特許公報発行日】2019年4月17日
(71)【出願人】
【識別番号】000151690
【氏名又は名称】株式会社東日製作所
(71)【出願人】
【識別番号】599016431
【氏名又は名称】学校法人 芝浦工業大学
(74)【代理人】
【識別番号】100087398
【弁理士】
【氏名又は名称】水野 勝文
(74)【代理人】
【識別番号】100128783
【弁理士】
【氏名又は名称】井出 真
(74)【代理人】
【識別番号】100128473
【弁理士】
【氏名又は名称】須澤 洋
(74)【代理人】
【識別番号】100160886
【弁理士】
【氏名又は名称】久松 洋輔
(72)【発明者】
【氏名】緒方 智博
(72)【発明者】
【氏名】小松 恭一
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 聖司
(72)【発明者】
【氏名】橋村 真治
【テーマコード(参考)】
2F051
3C038
【Fターム(参考)】
2F051AB09
2F051BA07
2F051DA01
3C038AA01
3C038AA04
3C038BC04
3C038CA02
3C038CA07
3C038CB02
3C038CB06
3C038CC02
3C038EA02
(57)【要約】
【課題】 ボルト及びナットによる締付け力を目標の締付け力とする。
【解決手段】 被締結物を締結するボルト及びナットの締付け方法であって、ボルトの軸方向における所定の引張り力をボルトに与えた状態において、ナット又はボルトを回転させて被締結物に締付け力を与える。締付け力の増加に伴ってボルトの引張り力が低下したときであって、ナット又はボルトの回転角の変化量に対するボルトの引張り力の変化量の比率について、この比率の経時変化における変曲点が発生したタイミング以降において、ナット又はボルトの回転に伴う締付けを終了するとともに、ボルトに与えた引張り力を解除する。
【選択図】 図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被締結物を締結するボルト及びナットの締付け方法であって、
前記ボルトの軸方向における所定の引張り力を前記ボルトに与えた状態において、前記ナット又は前記ボルトを回転させて前記被締結物に締付け力を与え、
前記締付け力の増加に伴って前記ボルトの引張り力が低下したときであって、前記ナット又は前記ボルトの回転角の変化量に対する前記ボルトの引張り力の変化量の比率について、この比率の経時変化における変曲点が発生したタイミング以降において、前記ナット又は前記ボルトの回転に伴う締付けを終了するとともに、前記ボルトに与えた引張り力を解除する、
ことを特徴とする締付け方法。
【請求項2】
前記比率の経時変化において、前記比率が略一定であるとき、前記ナット又は前記ボルトの回転に伴う締付けを終了するとともに、前記ボルトに与えた引張り力を解除することを特徴とする請求項1に記載の締付け方法。
【請求項3】
前記所定の引張り力は、前記被締結物を締結するときの目標となる締付け力と等しいことを特徴とする請求項1又は2に記載の締付け方法。
【請求項4】
ボルト及びナットを被締結物に締付ける締付け装置であって、
前記ボルトに与えられた軸方向の引張り力を検出する第1センサと、
前記ナット又は前記ボルトの回転角を検出する第2センサと、
前記ボルト及び前記ナットによる締付けを制御するコントローラと、を有し、
前記コントローラは、
所定の引張り力を前記ボルトに与えた状態で、前記ナット又は前記ボルトを回転させて前記被締結物に締付け力を与えたときにおいて、
前記締付け力の増加に伴って前記ボルトの引張り力が低下し、前記ナット又は前記ボルトの回転角の変化量に対する前記ボルトの引張り力の変化量の比率について、この比率の経時変化における変曲点が発生したタイミング以降において、前記ナット又は前記ボルトの回転に伴う締付けを終了する、
ことを特徴とする締付け装置。
【請求項5】
前記コントローラは、前記比率の経時変化において、前記比率が略一定であるとき、前記ナット又は前記ボルトの回転に伴う締付けを終了することを特徴とする請求項4に記載の締付け装置。
【請求項6】
前記所定の引張り力は、前記被締結物を締結するときの目標となる締付け力と等しいことを特徴とする請求項4又は5に記載の締付け装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ボルト及びナットを目標の締付け力で締め付けることができる締付け方法及び締付け装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に記載の締付け管理方法では、3つの締付け工程を経て、ボルト及びナットを被締結物に締め付けることにより、この締付け力を目標の締付け力としている。
【0003】
第1締付け工程では、ナットの上面を押さえながら、ナットから突出したボルトの先端部を所定の引張り力で引っ張る。所定の引張り力とは、上述した目標の締付け力と同じ力である。このとき、ボルトのねじ面は、ナットのねじ面のうち、ボルト及びナットが被締結物を実際に締付けたときの接触位置とは反対側の接触位置で接触する。
【0004】
第2締付け工程では、ボルトの先端部を所定の引張り力で引っ張った状態において、ナットを回転させて締め付ける。ここでは、締付け力が所定の引張り力と等しくなるまで、ナットを締め付ける。このとき、ボルトのねじ面及びナットのねじ面は、ボルト及びナットのバックラッシュにより、互いに接触していない状態となる。
【0005】
第3締付け工程では、ナットを更に回転させて締め付ける。このナットの締付けにより、締付け力及び引張り力が互いに等しい状態から、締付け力及び引張り力が互いに異なる状態に変化するが、この変化が発生したときにナットの回転を停止させる。締付け力及び引張り力が互いに異なる状態では、締付け力が上昇し、引張り力が低下する。ナットの回転を停止させた後、ボルトに与えられた引張り力を解除する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第4363661号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本願発明者らによれば、ボルト及びナットを被締結物に締め付けるときにおいて、この締付けを終了させるタイミングに着目したところ、ボルト及びナットの締付け力を目標の締付け力にすることができることが分かった。締付けを終了させるタイミングについては、特許文献1にも記載されているが、本願発明者らによれば、特許文献1とは異なるタイミングにおいて締付けを終了しても、ボルト及びナットの締付け力を目標の締付け力にすることができることが分かった。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本願第1の発明は、被締結物を締結するボルト及びナットの締付け方法である。まず、ボルトの軸方向における所定の引張り力をボルトに与えた状態において、ナット又はボルトを回転させて被締結物に締付け力を与える。ここで、締付け力の増加に伴ってボルトの引張り力が低下したときであって、ナット又はボルトの回転角の変化量に対するボルトの引張り力の変化量の比率について、この比率の経時変化における変曲点が発生したタイミング以降において、ナット又はボルトの回転に伴う締付けを終了するとともに、ボルトに与えた引張り力を解除する。
【0009】
比率の経時変化において、比率が略一定であるとき、ナット又はボルトの回転に伴う締付けを終了するとともに、ボルトに与えた引張り力を解除することができる。所定の引張り力を、被締結物を締結するときの目標となる締付け力と等しくすることができる。
【0010】
本願第2の発明は、ボルト及びナットを被締結物に締付ける締付け装置であって、ボルトに与えられた軸方向の引張り力を検出する第1センサと、ナット又はボルトの回転角を検出する第2センサと、ボルト及びナットによる締付けを制御するコントローラと、を有する。コントローラは、所定の引張り力をボルトに与えた状態で、ナット又はボルトを回転させて被締結物に締付け力を与えたときにおいて、締付け力の増加に伴ってボルトの引張り力が低下し、ナット又はボルトの回転角の変化量に対するボルトの引張り力の変化量の比率について、この比率の経時変化における変曲点が発生したタイミング以降において、ナット又はボルトの回転に伴う締付けを終了する。なお、ナット又はボルトの回転に伴う締付けを終了した後では、ボルトに与えた引張り力が解除される。
【0011】
コントローラは、比率の経時変化において、比率が略一定であるとき、ナット又はボルトの回転に伴う締付けを終了することができる。また、所定の引張り力を、被締結物を締結するときの目標となる締付け力と等しくすることができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、ボルト及びナットによる締付け力を目標の締付け力とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】ねじ締結体の構造と、ボルト及びナットを締め付ける締付け装置の構成を示す図である。
図2】第1工程におけるねじ締結体の状態を示す図である。
図3】第2工程におけるねじ締結体の状態を示す図である。
図4】第3工程におけるねじ締結体の状態を示す図である。
図5】第4工程におけるねじ締結体の状態を示す図である。
図6】本実施形態において、締付け力及び引張り力の経時変化と、変化率dP/dθの経時変化とを示す図である。
図7】スタッドボルトを用いたねじ締結体の構造を示す図である。
図8】スタッドボルトを用いたねじ締結体の構造を示す図である。
図9】変形例において、ねじ締結体の構造と、ボルト及びナットを締め付ける締付け装置の構成を示す図である。
図10】変形例において、締付け力及び引張り力の経時変化と、変化率dP/dθの経時変化とを示す図である。
図11】従来技術において、締付け力及び引張り力の経時変化を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本実施形態の締付け方法では、ボルト及びナットを用いて被締結物を締結するねじ締結体において、ボルトの軸方向における所定の引張り力をボルトに与えながらナットを締め付ける。そして、後述する所定のタイミングにおいて、ナットの締付けを終了して、ボルトに与えた引張り力を解除することにより、ボルト及びナットの締付け力を目標の締付け力とする。
【0015】
(ねじ締結体及び締付け装置)
まず、ねじ締結体の構造と、ボルト及びナットを締め付ける締付け装置の構成について、図1を用いて説明する。図1において、実線(直線)で示す矢印は、機械的な接続を意味し、点線(直線)で示す矢印は、電気的な接続を意味する。
【0016】
ねじ締結体1は、ボルト2、ナット3及び被締結物4を有する。被締結物4は、第1被締結物41及び第2被締結物42を重ねたものである。第1被締結物41及び第2被締結物42には、ボルト2の軸部21が貫通する貫通孔41a,42aがそれぞれ形成されている。第1被締結物41及び第2被締結物42のそれぞれの形状や材質は、任意であり適宜決められる。なお、本実施形態では、被締結物4が第1被締結物41及び第2被締結物42によって構成されているが、これに限るものではない。すなわち、3つ以上の被締結物を重ねることにより、被締結物4が構成されていてもよい。
【0017】
ボルト2は、軸部21及び頭部22を有しており、軸部21は、ねじ(雄ねじ)が形成されたねじ部21aと、ねじが形成されていない円筒部21bとを有する。なお、円筒部21bを省略し、軸部21がねじ部21aだけで構成されていてもよい。ボルト2の頭部22は、第1被締結物41の下面に接触している。ボルト2のねじ部21aの先端は、第2被締結物42の上面から上方に突出しており、この突出したねじ部21aにナット3のねじ部(雌ネジ)が噛み合っている。ナット3をねじ部21aに噛み合わせることにより、ナット3及びボルト2の頭部22によって、被締結物4に締付け力が与えられる。
【0018】
ボルト2のねじ部21aの先端は、ナット3の上面3aから上方に突出しており、この突出したねじ部21aには、テンションロッド5が接続されている。テンションロッド5は、ねじ部21aが挿入される凹部5aを有しており、凹部5aの内周面には、ねじ部21aと噛み合うねじ部が形成されている。テンションロッド5を一方向に回転させることにより、ねじ部21a及び凹部5aのねじ部の噛み合いによって、ねじ部21a(すなわち、ボルト2)を上方に引っ張ることができる。
【0019】
テンションロッド5を回転させるための動力源としては、モータM1が用いられる。例えば、減速機構を介してテンションロッド5及びモータM1を接続し、モータM1の動力をテンションロッド5に伝達することができる。コントローラCは、モータM1の駆動を制御する。なお、モータM1の代わりに、作業者の手動操作によってテンションロッド5を回転させることもできる。
【0020】
テンションロッド5の外周面の外側にはホルダ6が配置されており、ホルダ6の下端面6aはナット3の上面3aに接触する。テンションロッド5がボルト2を上方に引っ張るとき、ホルダ6はナット3を押さえる。ボルト2の軸方向において、テンションロッド5及びホルダ6の間にはロードセル7(本発明の第1センサに相当する)が配置されており、ロードセル7は、ナット3を押さえてボルト2を上方に引っ張るときの力(引張り力)P[kN]を検出するために用いられる。ロードセル7によって検出された引張り力Pの情報は、コントローラCに送信される。
【0021】
ホルダ6の外周面の外側にはドライブソケット8が配置されており、ドライブソケット8の下端部は、ナット3の外側面と係合する。ドライブソケット8を一方向に回転させることにより、ナット3を回転させて被締結物4を締め付ける方向(下方向)にナット3を移動させることができる。また、ドライブソケット8を他方向に回転させることにより、ナット3を回転させて被締結物4を締め付けない方向(上方向)にナット3を移動させることができる。
【0022】
ドライブソケット8を回転させるための動力源としては、モータM2が用いられる。例えば、減速機構を介してドライブソケット8及びモータM2を接続し、モータM2の動力をドライブソケット8に伝達することができる。モータM2には回転角センサRS(本発明の第2センサに相当する)が設けられており、回転角センサRSは、ナット3の回転角θ[deg]を所定の周期で検出するために用いられ、回転角センサRSによって検出された回転角θの情報はコントローラCに送信される。コントローラCは、モータM2の駆動を制御する。
【0023】
(締付け方法)
次に、ボルト2及びナット3を被締結物4に締め付ける方法について説明する。この締付け方法は、第1工程、第2工程、第3工程及び第4工程を有し、この締付け方法によって、ボルト2及びナット3の締付け力Fを目標となる締付け力(以下、目標締付け力という)Ftagとすることができる。
【0024】
第1工程では、ナット3が第2被締結物42の上面から離れた状態において、ホルダ6の下端面6aがナット3の上面3aを押さえながらテンションロッド5を回転させることにより、ボルト2を上方に引っ張る。ここで、図2には、ボルト2及びナット3に作用する力を矢印(直線)で示す。図2に示す矢印の方向は、力が作用する方向を示す。
【0025】
引張り力Psは、ボルト2及びナット3によって被締結物4を締結するときの目標締付け力Ftagと同じ力とすることができる。コントローラCは、ロードセル7の出力に基づいて引張り力Pを把握することができ、引張り力Pが引張り力Ps(目標締付け力Ftag)となるように、テンションロッド5の回転を制御する。
【0026】
引張り力Pが引張り力Ps(目標締付け力Ftag)に到達したとき、ねじ部21aのねじ山とナット3のねじ山との接触状態は、図2の拡大図に示す状態となる。この状態では、ねじ部21aのねじ山の上面がナット3のねじ山の下面に接触しており、ボルト2及びナット3によって被締結物4を実際に締め付けたときの状態(後述する図4の拡大図に示す状態)とは逆の状態となる。ねじ部21aのねじ山及びナット3のねじ山が接触していない部分では、ボルト2の軸方向における距離Dの分だけ、バックラッシュが発生している。
【0027】
第2工程では、ボルト2に与える引張り力Pを引張り力Psに維持しながら、ドライブソケット8によってナット3を回転させて締付けを行う。ここで、図3には、ボルト2、ナット3及び被締結物4に作用する力を矢印(直線)で示す。図3に示す矢印の方向は、力が作用する方向を示す。
【0028】
図1に示す構成において、ドライブソケット8だけを回転させると、ナット3がホルダ6の下端面6aから離れる方向(下方向)に移動して、引張り力Pが引張り力Psよりも低下してしまう。このため、ナット3の締付けに伴うナット3の下方向の移動に対して、ホルダ6が追従するように、テンションロッド5を回転させることにより、引張り力Pを引張り力Psに維持しながら、ナット3を回転させて締付けを行うことができる。具体的には、テンションロッド5及びドライブソケット8の回転を同期させればよい。
【0029】
ナット3が第2被締結物42の上面に接触した後、ナット3の回転による締付けによって、ボルト2及びナット3による締付け力Fが上昇する。そして、ねじ部21aのねじ山とナット3のねじ山との接触状態が、図3の拡大図に示す状態になると、引張り力Pが急激に上昇する。図3の拡大図に示す状態では、ボルト2及びナット3のバックラッシュ(図2に示す距離D)により、ねじ部21aのねじ山とナット3のねじ山とが離れる。
【0030】
引張り力Pが急激に上昇したことを判別することにより、第2工程を完了させることができる。具体的には、以下に説明する変化率dP/dθに基づいて、引張り力Pが急激に上昇したことを判別することができる。
【0031】
変化率dP/dθ[kN/deg]とは、ナット3の回転角θの変化量dθ[deg]に対する引張り力Pの変化量dP[kN]の比率である。言い換えれば、変化率dP/dθは、回転角θ及び引張り力Pのそれぞれを座標軸とした座標系において、回転角θに対する引張り力Pの挙動の微分値である。以下に説明するように、変化量dθ及び変化量dPを算出すれば、変化率dP/dθを算出することができる。
【0032】
回転角センサRSは、所定の周期で回転角θを検出するため、変化量dθは、前回の検出タイミングで検出された回転角θpと、今回の検出タイミングで検出された回転角θcとに基づいて算出される。すなわち、変化量dθは、回転角θcから回転角θpを減算した値である。ロードセル7は、所定の周期で引張り力Pを検出するため、変化量dPは、前回の検出タイミングで検出された引張り力Ppと、今回の検出タイミングで検出された引張り力Pcとに基づいて算出される。すなわち、変化量dPは、引張り力Pcから引張り力Ppを減算した値である。
【0033】
引張り力Pが急激に上昇したことを判別するためには、変化率dP/dθが所定の変化率dP/dθ_thよりも高いことを判別すればよい。所定の変化率dP/dθ_thは、ねじ締結体1の具体的な構造や材質を考慮して予め決めることができ、例えば、0.15[kN/deg]とすることができる。
【0034】
第3工程では、第2工程が完了した状態(図3の拡大図に示す状態)からナット3を締付け方向に更に回転させることにより、ボルト2及びナット3を本来の締結状態とする。ここでは、テンションロッド5を回転させずに、ドライブソケット8だけを回転させる。図4には、ボルト2、ナット3及び被締結物4に作用する力を矢印(直線)で示す。図4に示す矢印の方向は、力が作用する方向を示す。
【0035】
図4に示す状態では、ねじ部21aのねじ山の下面がナット3のねじ山の上面に接触しており、ボルト2及びナット3によって被締結物4を実際に締め付けたときの状態となる。後述するタイミングにおいて、ナット3の回転を停止させることにより、第3工程が完了する。
【0036】
第3工程において、ナット3の回転を停止させるタイミングは、上述した変化率dP/dθに基づいて決定している。第3工程において、ナット3の回転に伴う締付けを行うと、締付け力Fが上昇するとともに、締付け力Fが上昇した分だけ引張り力Pが低下する。このとき、上述した引張り力Pcは引張り力Ppよりも小さくなるため、変化量dP(dP=Pc−Pp)は負の値になる。また、変化量dθは正の値となるため、変化率dP/dθは負の値となる。
【0037】
上述した変化率dP/dθの挙動(経時変化)としては、変化率dP/dθが低下し続けた後、変化率dP/dθが変動しにくくなる。具体的には、ボルト2のねじ山及びナット3のねじ山の弾性変形によって変化率dP/dθが急激に低下し、弾性限界に近づくにつれて、変化率dP/dθが変動しにくくなる。このため、変化率dP/dθの挙動には変曲点が存在する。この変曲点は、変化率dP/dθ及び時間のそれぞれを座標軸とした座標系において、変化率dP/dθが低下し続ける時間帯と、変化率dP/dθが変動しにくくなる時間帯との境界に位置する。
【0038】
本実施形態では、変化率dP/dθの挙動において、変曲点が発生したタイミング以降において、ナット3の回転を停止させる。具体的には、コントローラCは、上述したように変化率dP/dθを算出しながら、変化率dP/dθの挙動において、変曲点が発生したタイミングを特定する。そして、コントローラCは、変曲点が発生したタイミング以降において、モータM2の駆動を停止させることにより、ナット3の回転を停止させる。
【0039】
ナット3の回転を停止させるタイミングは、変曲点が発生したタイミングであってもよい、変曲点が発生したタイミングよりも後のタイミングであってもよい。変曲点が発生したタイミングよりも後のタイミングとしては、適宜決めることができるが、例えば、変曲点が発生したタイミングから、予め決めた所定時間が経過したタイミングとすることができる。ただし、変曲点が発生した後にナット3を回転させすぎると、ボルト2のねじ山及びナット3のねじ山が塑性変形してしまうため、この点を考慮して上記所定時間の上限を決めることができる。
【0040】
変化率dP/dθの挙動において、変曲点の発生を特定する方法としては、例えば、変化率dP/dθが低下した後、変化率dP/dθが所定時間の間、略一定であることを判別したとき、変化率dP/dθの挙動において変曲点が発生したことを特定することができる。ここで、回転角センサRSやロードセル7の出力にはノイズが含まれることがあり、このノイズによって、変化率dP/dθが僅かに変動(増減)することがある。この点を考慮すると、変化率dP/dθに対して公知の平滑化処理(いわゆる、なまし処理)を行うことにより、上述したノイズの影響を除去した上で、変化率dP/dθが一定であるか否かを判別することができる。一方、上述したノイズによる変化率dP/dθの変動(増減)を許容する範囲(許容範囲)を予め決めておき、この許容範囲内において、変化率dP/dθが変動(増減)し続ける場合には、変化率dP/dθが一定であると判別することができる。
【0041】
第4工程では、ボルト2の引張り力Psを解除する。そして、テンションロッド6をボルト2の軸部21から取り外すとともに、ドライブソケット8をナット3から取り外す。図5には、ボルト2、ナット3及び被締結物4に作用する力を矢印(直線)で示す。図5に示す矢印の方向は、力が作用する方向を示す。図5に示す状態では、ねじ部21aのねじ山の下面がナット3のねじ山の上面に接触しており、ボルト2及びナット3によって被締結物4を実際に締め付けたときの状態となる。
【0042】
第4工程においては、引張り力Pが低下して0[kN]となるとともに、締付け力Fが目標締付け力Ftagとなる。これにより、第4工程、すなわち、ボルト2及びナット3の締付け方法が完了する。
【0043】
図6には、締付け力F及び引張り力Pの経時変化と、変化率dP/dθの経時変化とを示す。図6において、横軸は、上述した第1工程、第2工程、第3工程及び第4工程を行う時間[ms]である。ここで、第1工程、第2工程、第3工程及び第4工程に含まれない時間帯は、動作を停止している時間帯である。図5の左側の縦軸は力(締付け力F又は引張り力P)[kN]であり、図5の右側の縦軸は変化率dP/dθ[kN/deg]である。変化率dP/dθの演算の都合上、第2工程及び第3工程においてのみ、変化率dP/dθの挙動を示している。
【0044】
図6に示す締付け力Fは、被締結物4にロードセル(不図示)を組み込み、このロードセルによって検出した値である。ボルト2及びナット3を被締結物4に実際に締め付けるときには、ロードセルは設けられず、締付け力Fは測定されない。引張り力Pは、ロードセル7によって検出された値であり、変化率dP/dθは、引張り力P及び、回転角センサRSによって検出された回転角θに基づいて算出した値である。
【0045】
図6に示すように、第1工程では、引張り力Pが引張り力Ps(目標締付け力Ftag)まで上昇する。このとき、ナット3は第2被締結物42の上面から離れているため、締付け力Fは0[kN]のままである。第2工程では、引張り力Pを引張り力Ps(目標締付け力Ftag)に維持しながら、ナット3を回転させて締付けを行う。これに伴い、締付け力Fが上昇する。そして、引張り力Pが急激に上昇したとき、すなわち、ボルト2のねじ山及びナット3のねじ山が弾性変形したとき、ナット3の回転による締付けを終了する。
【0046】
第3工程では、締付け力Fが上昇するとともに、引張り力Pが低下する。また、変化率dP/dθの挙動においては、変化率dP/dθが負の値となり、変曲点が発生する。この変曲点が発生したことを判別したとき、ナット3の回転を停止させる。第4工程では、ボルト2の引張り力Pを解除することにより、引張り力Pが低下して0[kN]となる。また、ボルト2の引張り力Pを解除すると、締付け力Fが低下した後、目標締付け力Ftagとなる。ここで、ボルト2の引張り力Pを解除した後では、弾性変形したボルト2のねじ山及びナット3のねじ山が復元することによって、締付け力Fが低下する。
【0047】
上述したように、本実施形態では、変化率dP/dθに着目し、変化率dP/dθの挙動において、変曲点が発生したタイミング以降において、ナット3の回転を停止させて引張り力Pを解除することにより、締付け力Fを目標締付け力Ftagとすることができる。
【0048】
なお、本実施形態では、ホルダ6の下端面6aをナット3の上面3aに接触させているが、これに限るものではなく、ナット3を押さえることができれば、いかなる構成であってもよい。例えば、ホルダ6及びナット3の間に他の部材を介在させて、ナット3を押さえるようにしてもよい。
【0049】
本実施形態では、頭部22を有するボルト2を用いているが、このボルト2の代わりに、例えば、図7図8に示すスタッドボルト2Aを用いることができる。図7図8に示すスタッドボルト2Aは、2つのねじ部21a1,21a2と、2つのねじ部21a1,21a2の間に形成された円筒部21bとを有する。なお、スタッドボルト2Aにおいて、円筒部21bを省略することもできる。図7及び図8において、図1を用いて説明した部材と同一の部材について、同一の符号を付している。
【0050】
図7に示す構成では、スタッドボルト2Aの両端に形成されたねじ部21a1,21a2にナット3A,3Bをそれぞれ噛み合わせ、2つのナット3A,3Bによって被締結物4を挟むことができる。図8に示す構成では、スタッドボルト2Aの一端に形成されたねじ部21a1にナット3Aを噛み合わせるとともに、スタッドボルトの他端に形成されたねじ部21a2を被締結物4の貫通孔(貫通孔41aに相当する)に形成されたねじ部4aに噛み合わせることができる。
【0051】
図7又は図8に示す構成では、図1に示すホルダ6を用いてナット3Aを押さえるとともに、図1に示すテンションロッド5を用いて、ナット3Aから突出したねじ部21a1を引っ張ることにより、引張り力Pを発生させることができる。また、図1に示すドライブソケット8を用いることにより、ナット3Aを回転させて締め付けることができる。
【0052】
なお、図7及び図8では、ねじ部21a1,21a2の外径(呼び)が同一であるが、ねじ部21a1,21a2の外径が異なっていてもよい。具体的には、ねじ部21a1の外径をねじ部21a2の外径よりも大きくしたり、ねじ部21a1の外径をねじ部21a2の外径よりも小さくしたりすることができる。
【0053】
一方、ボルト2に引張り力Pを与えることができれば、本発明を適用することができ、ボルト2に引張り力Pを与える構成は、図1に示す構成に限定されるものではない。
【0054】
(変形例)
本変形例の締付け方法では、ボルト2及びナット3を用いて被締結物4を締結するねじ締結体1において、ボルト2の軸方向における所定の引張り力をボルト2に与えながらボルト2を締め付ける。そして、後述する所定のタイミングにおいて、ボルト2の締付けを終了して、ボルト2に与えた引張り力を解除することにより、ボルト2及びナット3の締付け力Fを目標締付け力Ftagとする。
【0055】
以下、ボルト2に引張り力Pを与える他の構成(変形例)について、図9を用いて説明する。図9において、実線(直線)で示す矢印は、機械的な接続を意味し、点線(直線)で示す矢印は、電気的な接続を意味する。図9において、図1で説明した部材と同一の部材については、同一の符号を用いている。以下、図1に示す構成と異なる点について主に説明する。
【0056】
ボルト2の頭部22の上面にはビット穴22aが形成されており、ビット穴22aにはビット11の先端部が係合する。ビット11を一方向に回転させることにより、被締結物4を締め付ける方向にボルト2を回転させることができる。また、ビット11を他方向に回転させることにより、被締結物4を締め付けない方向にボルト2を回転させることができる。
【0057】
ビット11を回転させるための動力源としては、モータM2が用いられる。例えば、減速機構を介してビット11及びモータM2を接続し、モータM2の動力をビット11に伝達することができる。モータM2には回転角センサRSが設けられており、回転角センサRSは、ボルト2の回転角θを所定の周期で検出するために用いられ、回転角センサRSによって検出された回転角θの情報はコントローラCに送信される。コントローラCは、モータM2の駆動を制御する。
【0058】
ビット11の外周面の外側には、テンションロッド12が配置されており、テンションロッド12の下端部は、ボルト2の頭部22と係合可能である。具体的には、頭部22の外側面にはねじ部が形成されており、テンションロッド12の下端部には、頭部22のねじ部と噛み合うねじ部が形成されている。テンションロッド12を一方向に回転させることにより、被締結物4を締め付ける方向にボルト2を回転させることができる。また、テンションロッド12を他方向に回転させることにより、被締結物4を締め付けない方向にボルト2を回転させることができる。
【0059】
テンションロッド12を回転させるための動力源としては、モータM1が用いられる。例えば、減速機構を介してテンションロッド12及びモータM1を接続し、モータM1の動力をテンションロッド12に伝達することができる。コントローラCは、モータM1の駆動を制御する。なお、モータM1の代わりに、作業者の手動操作によってテンションロッド12を回転させることもできる。
【0060】
テンションロッド12の外周面の外側には、ストッパ13が配置されており、ストッパ13の下端部は、テンションロッド12の下端部よりも下方に位置している。ストッパ13の上端部には、ロードセル7が設けられている。ロードセル7は、ボルト2に作用する引張り力Pを検出するために用いられ、ロードセル7によって検出された引張り力Pの情報は、コントローラCに送信される。
【0061】
ボルト2の軸方向において、ロードセル7及びテンションロッド12の間には、ベアリング14が配置されている。上述したようにテンションロッド12を回転させるときに、ロードセル7及びストッパ13を回転させないために、ベアリング14が配置されている。このため、ロードセル7及びストッパ13は、ボルト2の軸方向にのみ移動可能である。
【0062】
図9に示す構成において、ストッパ13の下端部を被締結物4(第1被締結物41)の上面に接触させた状態において、テンションロッド12を回転させると、ボルト2に引張り力Pを与えることができる。すなわち、テンションロッド12は、ボルト2の頭部22の外側面に形成されたねじ部と噛み合っているため、テンションロッド12を回転させることにより、ボルト2の頭部22を上方に引っ張ることができる。ここで、ストッパ13の下端部を被締結物4の上面に接触させることにより、ボルト2の頭部22を上方に引っ張るときの反力を確保することができる。ボルト2に与えられた引張り力Pは、ロードセル7によって検出される。
【0063】
本変形例の締付け方法は、第1工程、第2工程及び第3工程を有し、この締付け方法によって、ボルト2及びナット3の締付け力Fを目標となる締付け力(以下、目標締付け力という)Ftagとすることができる。
【0064】
第1工程では、上述したように、引張り力Pを引張り力Ps(目標締付け力Ftag)まで上昇させる。ここで、ストッパ13の下端部は被締結物4(第1被締結物41)の上面に接触しているため、ストッパ13を介して引張り力Pの反力が被締結物4に作用する。引張り力Pが引張り力Psに到達したとき、ねじ部21aのねじ山とナット3のねじ山との接触状態は、図9の拡大図(A)に示す状態となる。この状態では、ねじ部21aのねじ山の上面がナット3のねじ山の下面に接触しており、ボルト2及びナット3によって被締結物4を実際に締め付けたときの状態(後述する図9の拡大図(C)に示す状態)とは逆の状態となる。ねじ部21aのねじ山及びナット3のねじ山が接触していない部分では、ボルト2の軸方向における距離Dの分だけ、バックラッシュが発生している。
【0065】
第2工程では、引張り力Pを引張り力Ps(目標締付け力Ftag)に維持したまま、ビット11を回転させることにより、被締結物4を締め付ける方向にボルト2を回転させる。ビット11によってボルト2を回転させたとき、ボルト2の頭部22とテンションロッド12の噛み合いにより、被締結物4を締め付ける方向にボルト2を移動させることができる。
【0066】
ボルト2の頭部22が被締結物4(第1被締結物41)の上面に接触した後では、締付け力Fが上昇するとともに、締付け力Fが上昇した分だけ引張り力Pが低下する。これにより、ねじ部21aのねじ山とナット3のねじ山との接触状態が、図9の拡大図(B)に示す状態を経て、図9の拡大図(C)に示す状態になる。図9の拡大図(B)に示す状態では、ボルト2及びナット3のバックラッシュ(図9の拡大図(A)に示す距離D)により、ねじ部21aのねじ山とナット3のねじ山とが離れる。図9の拡大図(C)に示す状態では、ねじ部21aのねじ山の下面がナット3のねじ山の上面に接触しており、ボルト2及びナット3によって被締結物4を実際に締め付けたときの状態となる。
【0067】
第2工程において、締付け力Fが上昇するとともに、締付け力Fの上昇によって引張り力Pが低下するとき、変化率dP/dθの挙動(経時変化)には変曲点が発生する。このため、この変曲点が発生したタイミング以降において、ボルト2の回転を停止させる。
【0068】
第3工程では、テンションロッド12及びストッパ13によってボルト2に与えられた引張り力Pを解除する。また、ビット11及びテンションロッド12をボルト2の頭部22から取り外す。これにより、締付け力Fを目標締付け力Ftagとすることができる。
【0069】
図10には、変形例において、締付け力F及び引張り力Pの経時変化と、変化率dP/dθの経時変化とを示す。図10において、横軸は、上述した第1工程、第2工程及び第3工程を行う時間[ms]である。ここで、第1工程、第2工程及び第3工程に含まれない時間帯は、動作を停止している時間帯である。図10の左側の縦軸は力(締付け力F又は引張り力P)[kN]であり、図10の右側の縦軸は変化率dP/dθ[kN/deg]である。変化率dP/dθの演算の都合上、第2工程においてのみ、変化率dP/dθの挙動を示している。
【0070】
図10に示す締付け力Fは、被締結物4にロードセル(不図示)を組み込み、このロードセルによって検出した値である。ボルト2及びナット3を被締結物4に実際に締め付けるときには、ロードセルは設けられず、締付け力Fは測定されない。引張り力Pは、ロードセル7によって検出された値であり、変化率dP/dθは、引張り力P及び、回転角センサRSによって検出された回転角θに基づいて算出した値である。
【0071】
図10に示すように、第1工程では、引張り力Pが引張り力Ps(目標締付け力Ftag)まで上昇するとともに、締付け力Fが目標締付け力Ftagまで上昇する。ここでの締付け力Fは、ストッパ13から被締結物4に作用する力となる。
【0072】
第2工程では、引張り力Pを引張り力Ps(目標締付け力Ftag)に維持しながら、ビット11によってナット3を回転させて締付けを行う。ナット3の回転に伴う締付けが進むにつれて、締付け力Fが上昇するとともに、締付け力Fが上昇した分だけ引張り力Pが低下する。ここでの締付け力Fは、ボルト2の頭部22から被締結物4に作用する力となる。また、ボルト2のねじ山及びナット3のねじ山が弾性変形することにより、引張り力Pが低下する。変化率dP/dθの挙動においては、変化率dP/dθが負の値となり、変曲点が発生する。上述したように変曲点が発生したことを判別したとき、ボルト2の回転を停止させて、第2工程を終了する。
【0073】
第3工程では、ボルト2の引張り力Pを解除する。これにより、引張り力Pが低下して0[kN]となる。また、ボルト2の引張り力Pを解除すると、弾性変形したボルト2のねじ山及びナット3のねじ山が復元することによって締付け力Fが低下した後、目標締付け力Ftagとなる。
【0074】
一方、図11には、図9に示すねじ締結体1に対して、本発明とは異なる締付け方法を行ったときにおいて、締付け力F及び引張り力Pの経時変化を示す。図11において、横軸は、上述した第1工程、第2工程及び第3工程を行う時間[ms]である。ここで、第1工程、第2工程及び第3工程に含まれない時間帯は、動作を停止している時間帯である。図11の縦軸は力(締付け力F又は引張り力P)[kN]である。図11に示す締付け力Fは、被締結物4にロードセル(不図示)を組み込み、このロードセルによって検出した値である。引張り力Pは、ロードセル7によって検出された値である。
【0075】
図11に示す締付け方法によれば、締付け力F及び引張り力Pが互いに等しい状態から、締付け力F及び引張り力Pが互いに異なる状態に変化したタイミングにおいて、言い換えれば、ボルト2の頭部22が被締結物4の上面に接触した後に引張り力Pが低下したタイミングにおいて、ボルト2の回転を停止させている。このようにボルト2の回転を停止させると、第3工程において、ボルト2の引張り力Pを解除した後の締付け力Fendが目標締付け力Ftagよりも低下してしまう。すなわち、弾性変形したボルト2のねじ山及びナット3のねじ山が復元することによって、図11に示す差ΔFの分だけ、締付け力Fendが目標締付け力Ftagよりも低くなる。
【0076】
このように、図9に示す構成であっても、本実施形態で説明したように、変化率dP/dθの挙動において、変曲点が発生したタイミング以降において、ボルト2の回転を停止させて引張り力Pを解除することにより、締付け力Fを目標締付け力Ftagとすることができる。
【符号の説明】
【0077】
1:ねじ締結体、2:ボルト、21:軸部、21a:ねじ部、21b:円筒部、
22:頭部、3:ナット、4:被締結物、41:第1被締結物、42:第2被締結物、
41a,42a:貫通孔、5:テンションロッド、6:ホルダ、7:ロードセル、
8:ドライブソケット、11:ビット、12:テンションロッド、13:ストッパ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11