【解決手段】ガス置換装置10は、袋Bの側部を保持するサイド保持部30、袋Bの口部を保持する口保持部19、置換ガスを噴出させる噴出口を有するガスノズル17、及び口部をシールするシール部を備える。サイド保持駆動部26及び口保持駆動部27は、サイド保持部30が袋Bの側部を保持し且つ口保持部19が袋Bの口部を保持している状態を維持しつつ、サイド保持部30及び口保持部19を第1処理位置S6、S7から第2処理位置S7、S8に向けて移動させる。ガスノズル駆動部28は、噴出口を袋Bの内側に配置している状態を維持しつつ、ガスノズル17を第1処理位置S6、S7から第2処理位置S7、S8に向けて移動させる。
前記口保持駆動部及び前記ガスノズル駆動部は、前記サイド保持部が前記第2処理位置から前記第3処理位置に向かって移動している時間の少なくとも一部の間において、前記口保持部及び前記ガスノズルを前記第1処理位置に向けて移動させている請求項8に記載のガス置換装置。
連続的に隣り合って設けられる複数のステーションであって、第1処理ステーション、第2処理ステーション、第3処理ステーション及び第4処理ステーションを含む複数のステーションが設けられ、
前記複数のサイド保持部は、第1サイド保持部及び第2サイド保持部を含み、
前記複数の口保持部は、第1口保持部及び第2口保持部を含み、
前記複数のガスノズルは、第1ガスノズル及び第2ガスノズルを含み、
前記第1サイド保持部、前記第1口保持部及び前記第1ガスノズルにとって、前記第1処理ステーションが前記第1処理位置に該当し、前記第2処理ステーションが前記第2処理位置に該当し、前記第3処理ステーションが前記第3処理位置に該当し、
前記第2サイド保持部、前記第2口保持部及び前記第2ガスノズルにとって、前記第2処理ステーションが前記第1処理位置に該当し、前記第3処理ステーションが前記第2処理位置に該当し、前記第4処理ステーションが前記第3処理位置に該当する請求項8又は9に記載のガス置換装置。
【発明を実施するための形態】
【0021】
図面を参照して本発明の一実施形態について説明する。以下では、一例として、ガス置換装置及びガス置換方法が応用された包装システムについて説明する。以下に説明するガス置換装置及びガス置換方法によれば、内容物が収容された袋の内側に置換ガス(例えば不活性ガス、スチーム、酸素、二酸化炭素、或いはその他の気体)が吹き込まれて、袋の内側の気体が置換ガスに置換される。
【0022】
以下の説明において「上流」及び「下流」の用語は、袋の搬送方向を基準としている。また「高さ方向」、「水平方向」、「上方向」及び「下方向」の用語は重力が作用する鉛直方向を基準としている。「高さ方向」は鉛直方向と平行な方向を意味し、「水平方向」は鉛直方向と90度を成す方向を意味し、「上方向」は高さ方向のうち鉛直方向とは逆側の方向を意味し、「下方向」は鉛直方向と同じ方向を意味する。
【0023】
[包装システム]
図1は、包装システム5の一例を示す平面図である。
【0024】
包装システム5は、架台32上に据え付けられている回転テーブル31と、回転テーブル31の外周部に等間隔に取り付けられる複数のサイド保持部30とを有する。各サイド保持部30は、袋Bの側部を保持しつつ、回転軸線Axを中心とした回転テーブル31の間欠的な回転に応じて円軌道に沿って移動され、複数のステーション(図示の包装システム5では第1ステーションS1〜第10ステーションS10)を巡回する。各サイド保持部30によって保持されている袋Bは、各ステーションにおいて対応の処理を受ける。
【0025】
サイド保持部30の数や具体的な構成は限定されず、図示の包装システム5ではステーションの数と同じ数のグリッパーユニット(すなわち10個のグリッパーユニット)によって複数のサイド保持部30が構成されている。各グリッパーユニットは2つのグリッパーを含み、これらの2つのグリッパーによって対応の袋Bの両側部が把持されることで、各サイド保持部30は対応の袋Bを保持する。各サイド保持部30に含まれる各グリッパーの開閉及びグリッパー間の距離は、制御部11の制御下で、保持調整機構(図示省略)によって適宜変えられる。
【0026】
第1ステーション(給袋ステーション)S1に配置されているサイド保持部30は、複数の袋(空袋)Bを貯留するコンベアマガジン12から袋送出装置(図示省略)を介して袋Bを受け取り、当該袋Bの両側部を把持して、当該袋Bを吊り下げ状態で保持する。図示のサイド保持部30(グリッパーユニット)は、袋Bの口部に近い位置の両側部を、或いは、袋Bの口部の一部及び両側部を把持する。各サイド保持部30は、対応の袋Bを保持している状態でグリッパー間の距離を変えることによって当該袋Bに加える張力を調整し、例えば口部が緩んだ弛緩状態或いは口部が閉じられる緊張状態に袋Bを置くことが可能である。
【0027】
袋Bの口部は、袋Bの縁部(すなわちサイド保持部30によって吊り下げられている状態の袋Bの上方縁部)を含む範囲である。ただし後述の口部に対する各種処理は、必ずしも袋Bの縁部を含む範囲に対して行われる必要はなく、袋Bのうち縁部を含まないが開口を形成しうる範囲に対して行われてもよい。袋Bのうち口部と反対側(すなわち口部と対向する側)の部分は底部であり、口部と底部との間において袋Bの両側部、表面部及び裏面部が延在する。したがって袋Bがサイド保持部30により吊り下げられている状態において、袋Bのうちの下方縁部を含む範囲によって底部が構成され、高さ方向に延びる縁部を含む範囲によって両側部が構成される。
【0028】
第2ステーション(印字ステーション)S2には印字部13が設けられている。印字部13は、各種情報(例えば包装処理が行われた日付)を袋Bに印字する。第3ステーション(印字検査ステーション)S3には、袋Bの印字状態を検査する印字検査部14が設けられている。印字検査部14の構成は限定されない。例えば印字検査部14は、袋Bの印字部分の画像データを取得する撮像素子と、印字部分の画像データを解析して印字の良否を判定可能なプロセッサーとを具備していてもよい。なお、印字検査部14の一部機能は制御部11によって実現されてもよい。例えば、印字検査部14により取得された袋Bの印字部分の画像データが制御部11に送られ、制御部11が当該画像データの解析を行って印字の良否を判定してもよい。
【0029】
第4ステーション(開口ステーション)S4には、袋Bの口部を開く開口部15が設けられている。図示の開口部15は水平方向に往復移動可能な2つの吸盤を含み、これらの吸盤を、袋Bの表面部及び裏面部のそれぞれに吸着させた状態でお互いに遠ざかる方向へ移動させることによって、袋Bの口部を開くことができる。この際、必要に応じて、袋Bの両側部を保持する2つのグリッパー(サイド保持部30)はお互いに近づくように水平方向へ移動し、袋Bの表面部及び裏面部が撓ませられる。
【0030】
第5ステーション(内容物投入ステーション)S5には、投入部16が設けられている。投入部16は、第5ステーションS5に配置されている袋Bの開かれた口部を介し、当該袋Bの内側に内容物(図示省略)を投入する。図示の投入部16はホッパー(ファンネル)を有し、当該ホッパーから袋B内に内容物が投入される。袋B内に収容される内容物の状態は限定されない。例えば、内容物は、固体、液体、ペースト状体(流動体)又はゲル体であってもよいし、これらのうちの2以上を含む混合体であってもよい。
【0031】
第6ステーションS6、第7ステーションS7及び第8ステーションS8は、ガス置換ステーションである。各袋Bは、第6ステーションS6〜第8ステーションS8を移動する間にガス置換処理を受け、内側の気体が置換ガスに置換される。第6ステーションS6、第7ステーションS7及び第8ステーションS8には、複数のガスノズル17(すなわち第1ガスノズル17a及び第2ガスノズル17b)、複数の口保持部19(すなわち第1口保持部19a及び第2口保持部19b)、及びガスノズル17及び口保持部19を移動させる追従部24(すなわち後述の口保持駆動部27及びガスノズル駆動部28)が設けられている。第6ステーションS6、第7ステーションS7及び第8ステーションS8に配置されるこれらの装置及びガス置換処理の詳細は後述する。
【0032】
第9ステーション(シール処理ステーション)S9にはシール部21が設けられている。シール部21は、袋Bの口部(特にシール予定部)を挟んで加熱シールする2つのシールプレート21aを有する。
【0033】
第10ステーション(冷却排出ステーション)S10には、冷却ユニット22及び放出ユニット23が設けられている。冷却ユニット22は、第10ステーションS10に配置されている袋Bの口部(特にシール部21により加熱シールされた箇所(すなわちシール予定部))を挟んで冷却する2つの冷却プレート22aを有する。冷却ユニット22によって口部が冷却された後、袋(製品袋)Bは、第10ステーションS10においてサイド保持部30から解放されて落下し、放出ユニット23により案内されて後段に送られる。
【0034】
上述の包装システム5及び後述のガス置換装置10を構成する各種機器は、必要に応じて制御部11により制御されつつ、駆動される。例えば、制御部11はシール部21を制御して、回転テーブル31の回転(すなわちサイド保持部30の移動)に応じて2つのシールプレート21aを開閉する。具体的には、第8ステーションS8から第9ステーションS9にサイド保持部30が移動する際、及び、第9ステーションS9から第10ステーションS10にサイド保持部30が移動する際、2つのシールプレート21aは開状態に置かれる。これにより袋Bは、2つのシールプレート21aに阻害されることなく、サイド保持部30とともに移動することができる。一方、サイド保持部30が第9ステーションS9に配置されている状態で2つのシールプレート21aが閉状態に置かれることによって、当該サイド保持部30により保持されている袋Bの口部が2つのシールプレート21aにより圧迫されてシールされる。
【0035】
[ガス置換装置]
上述のように図示の包装システム5の第6ステーションS6〜第9ステーションS9には、袋B内の気体を置換ガスに置換し、その後に袋Bの口部をシールするガス置換装置10が設けられている。
【0036】
図2は、包装システム5の断面を側方から見た図であり、主としてガス置換装置10のうち第6ステーションS6に配置される要素が示されている。
図3は、ガス置換装置10の一部の構成を示す平面図である。
【0037】
本実施形態のガス置換装置10は、サイド保持部30、口保持部19、ガスノズル17、サイド保持駆動部26、口保持駆動部27、ガスノズル駆動部28及びシール部21(
図1参照)を含む。
【0038】
[サイド保持部及びサイド保持駆動部]
サイド保持駆動部26が各サイド保持部30を移動させることによって、各袋Bは、上述のように第6ステーションS6〜第9ステーションS9を含む複数のステーションS1〜S10を巡回する。図示のサイド保持駆動部26は、所謂ロータリータイプの搬送ユニットであり、回転テーブル31を含み、回転テーブル31の外周部に取り付けられる複数のサイド保持部30を間欠的に移動させる。
【0039】
回転テーブル31は、
図2に示すようにテーブル支持部33を介して架台32に据え付けられており、回転軸線Axを中心に回転可能に設けられ、回転シャフト(図示省略)が接続されている。図示の回転テーブル31は円形の平面形状を有し、回転軸線Axは回転テーブル31の中心を通過する。回転シャフトは、テーブル支持部33の内側において回転軸線Ax上に延在し、図示しない駆動源(例えばモーター等)によって回転軸線Axを中心に間欠的に回転させられる。回転テーブル31及び各サイド保持部30は、回転シャフトとともに回転軸線Axを中心に間欠的に回転する。
【0040】
各サイド保持部30は、円形の軌道を描きつつ、テーブル支持部33の回転に応じて間欠的に第1ステーションS1〜第10ステーションS10を巡る。このように各サイド保持部30の軌道は円形の無端軌道であり、各袋Bは対応のサイド保持部30によって吊り下げ状態で保持されつつ、上流から下流に向かって搬送される。なお図示の複数のサイド保持部30においてお互いに隣り合って設けられる2つのサイド保持部30のうち、上流側に配置されるサイド保持部30を第1サイド保持部30aと呼び、下流側に配置されるサイド保持部30を第2サイド保持部30bと呼ぶ(後述の
図4〜
図7参照)。
【0041】
[ガスノズル、ガスノズル駆動部、口保持部及び口保持駆動部]
架台32上には、高さ方向に延在する支柱34が据え付けられている。支柱34には、水平方向に延在する主フレーム35が固定されている。主フレーム35にはモーター支持フレーム36が取り付けられている。モーター支持フレーム36は主フレーム35よりも下方に位置しており、モーター支持フレーム36にはモーター(例えばサーボモーター)37が取り付けられている。モーター37はモーター回転シャフト38を有する。モーター回転シャフト38は、モーター支持フレーム36を貫通するように下方に向かって延在する。モーター回転シャフト38の中心軸線と回転軸線Axとは一致しており、モーター回転シャフト38は回転軸線Axを中心に回転する。モーター回転シャフト38の下方先端部には、水平方向に延在する移動ベース39が取り付けられている。移動ベース39の下面には、2つの支持ブロック40及び2つの昇降駆動部(例えばエアーシリンダ)43が取り付けられている。
【0042】
各昇降駆動部43は、上方向への突出量が可変である昇降駆動ロッド44を有する。それぞれの昇降駆動ロッド44には、ノズル保持部45及びガス案内部46を介してガスノズル17(すなわち第1ガスノズル17a及び第2ガスノズル17b)が連結されている。
【0043】
各支持ブロック40は水平方向に延在する。各支持ブロック40には、支持ブロック40の延在方向とは直角を成す水平方向に延在する第1回転軸部49及び第2回転軸部50がベアリングを介して回転自在に取り付けられている。第1回転軸部49の先端部には第1回転ギア51が固定されており、第1回転軸部49の中間部には第1押さえレバー53が固定されている。第1回転軸部49、第1回転ギア51及び第1押さえレバー53は、共通の軸線(すなわち第1回転軸部49の中心軸線)を中心に、一体的に回転する。第2回転軸部50の先端部には第2回転ギア52が固定されており、第2回転軸部50の中間部には第2押さえレバー54が固定されている。第2回転軸部50、第2回転ギア52及び第2押さえレバー54は、共通の軸線(すなわち第2回転軸部50の中心軸線)を中心に、一体的に回転する。
【0044】
第1回転ギア51及び第2回転ギア52は、外周部においてお互いに係合しており、対称的な回転挙動を示す。第1押さえレバー53及び第2押さえレバー54は、それぞれ第1回転軸部49及び第2回転軸部50から下方に向かって延在し、第1回転軸部49及び第2回転軸部50の回転に応じて揺動する。第1押さえレバー53及び第2押さえレバー54のそれぞれの下方端部には、第1押さえ支持部57及び第2押さえ支持部58が固定されている。第1押さえ支持部57及び第2押さえ支持部58は水平方向に延在し、それぞれ第1押さえ部55及び第2押さえ部56を保持する。第1押さえ部55及び第2押さえ部56はお互いに対向するように水平方向に延在しており、柔軟性及び密着性を兼ね備える部材(例えばスポンジなど)により構成されている。
【0045】
また各支持ブロック40には、開閉駆動部(例えばエアーシリンダ)41が回転自在に取り付けられている。開閉駆動部41は、対応の支持ブロック40と平行に延在する開閉駆動ロッド42を有する。開閉駆動部41の本体部からの開閉駆動ロッド42の突出量(特に対応の支持ブロック40の延在方向と平行な方向への開閉駆動ロッド42の突出量)は可変であり、開閉駆動ロッド42の先端部には連結部48が回転自在に取り付けられている。連結部48は、第1回転軸部49に固定されている。開閉駆動ロッド42の突出量に応じて、連結部48は第1回転軸部49を中心に揺動し、第1回転軸部49は自らの中心軸線を中心に回転する。
【0046】
上述の構成を有する本実施形態のガス置換装置10は、複数のガスノズル17(具体的には2つのガスノズル17)を備える。これらのガスノズル17のうち、上流側に配置されるガスノズル17を第1ガスノズル17aと呼び、下流側に配置されるガスノズルを第2ガスノズル17bと呼ぶ。
【0047】
各ガスノズル17は高さ方向に延在し、ガス案内部46を介してガス供給源(図示省略)に接続されている。各ガスノズル17の下方先端部は噴出口20を有する。ガス供給源からガス案内部46を介して各ガスノズル17に送られてくる置換ガスは、噴出口20から噴出される。噴出口20が袋B内に配置されている状態で噴出口20から置換ガスを噴出させることによって、袋B内には置換ガスが吹き込まれる。噴出口20からの置換ガスの噴出は任意の手法で制御可能である。例えば、制御部11がガス供給源のオン−オフを切り替えたり、ガス供給源とガス案内部46とをつなぐガス供給管に設けられた弁(図示省略)を制御部11の制御下で開閉したりすることによって、噴出口20から置換ガスを噴出させたり、そのような置換ガスの噴出を止めたり、噴出口20からの置換ガスの噴出量を調整したりすることが可能である。
【0048】
各ガスノズル17はガスノズル駆動部28によって移動させられる。具体的には、ガスノズル駆動部28は、各ガスノズル17を高さ方向に昇降させるノズル昇降駆動部と、各ガスノズル17を水平方向に移動させるノズル水平駆動部とを含む。
【0049】
ノズル昇降駆動部は、各ガスノズル17を高さ方向へ移動させる。各ガスノズル17は、ノズル昇降駆動部に昇降させられて、外側位置及び内側位置に配置される。ガスノズル17が外側位置に配置される場合、当該ガスノズル17の先端部(特に噴出口20)は、サイド保持部30により保持されている袋Bよりも、上方に位置する。ガスノズル17が内側位置に配置される場合、当該ガスノズル17の先端部(特に噴出口20)は、サイド保持部30により保持されている袋Bの口部よりも低く且つ底部よりも高い位置に配置される。そのため口部が開かれている袋Bをガスノズル17の下方に配置した状態で、ガスノズル17を上方位置に配置することによって噴出口20は袋Bの外側に位置し、ガスノズル17を下方位置に配置することによって噴出口20は袋Bの内側に位置する。
【0050】
ノズル水平駆動部は、各ガスノズル17を、複数のステーション(特に第6ステーションS6〜第8ステーションS8)を巡回させるように移動させる。特に本実施形態のノズル水平駆動部は、各ガスノズル17を往復移動させる。
【0051】
図示のガスノズル駆動部28は移動ベース39を含む。移動ベース39には、昇降駆動部43(昇降駆動ロッド44を含む)、ノズル保持部45及びガス案内部46を介してガスノズル17が連結されている。図示のノズル水平駆動部は、モーター37(モーター回転シャフト38を含む)、移動ベース39、昇降駆動部43(昇降駆動ロッド44を含む)、ノズル保持部45及びガス案内部46を含む。特に本実施形態では後述のように、第1ステーションS1〜第10ステーションS10のうちの一部区間のみ(すなわち第6ステーションS6〜第8ステーションS8の区間のみ)、ガスノズル17及び口保持部19が対応のサイド保持部30及び袋Bに追従するように、移動ベース39はガスノズル17及び口保持部19を水平方向へ移動させる。一方、図示のノズル昇降駆動部は、昇降駆動部43(昇降駆動ロッド44を含む)、ノズル保持部45及びガス案内部46を含む。
【0052】
本実施形態では、複数の口保持部19(具体的には2つの口保持部19)が設けられている。これらの口保持部19のうち、上流側に配置される口保持部19を第1口保持部19aと呼び、下流側に配置される口保持部19を第2口保持部19bと呼ぶ。図示の口保持部19は、第1押さえ部55及び第2押さえ部56を含む。各袋Bの口部は、第1押さえ部55及び第2押さえ部56によって挟まれながら圧迫されることにより、口保持部19により保持される。
【0053】
口保持駆動部27は、各口保持部19を移動させる。具体的には、口保持駆動部27は、各口保持部19の第1押さえ部55及び第2押さえ部56をお互いに近づけたり遠ざけたりする保持開閉駆動部と、各口保持部19を水平方向に移動させる保持水平駆動部とを含む。
【0054】
保持開閉駆動部は、第1押さえ部55及び第2押さえ部56が袋Bの口部を挟み込む位置(閉位置;
図2において実線で示された箇所参照)と、第1押さえ部55及び第2押さえ部56が袋Bに接触しない位置(開位置;
図2において点線で示された箇所参照)との間で、第1押さえ部55及び第2押さえ部56を移動させる。開位置に配置された第1押さえ部55と第2押さえ部56との間のスペースに袋Bの口部が配置され、その後、第1押さえ部55及び第2押さえ部56が閉位置に配置される。これにより袋Bは、第1押さえ部55及び第2押さえ部56によって、口部が閉じられるように圧迫されつつ摩擦保持される。
【0055】
図示の例において保持開閉駆動部は、開閉駆動部41(開閉駆動ロッド42を含む)、連結部48、第1回転軸部49、第1回転ギア51、第1押さえレバー53、第1押さえ支持部57、第2回転軸部50、第2回転ギア52、第2押さえレバー54及び第2押さえ支持部58を含む。開閉駆動ロッド42の突出量に応じた動力が連結部48を介して第1回転軸部49に伝えられ、第1回転軸部49は中心軸線を中心に回転する。この第1回転軸部49の回転に応じて、第1押さえレバー53、第1押さえ支持部57及び第1押さえ部55が第1回転軸部49(特に中心軸線)を中心に揺動する。その一方で、第1回転ギア51及び第2回転ギア52を介して第1回転軸部49から第2回転軸部50に動力が伝えられ、第2回転軸部50は自らの中心軸線を中心に回転する。この第2回転軸部50の回転に応じて、第2押さえレバー54、第2押さえ支持部58及び第2押さえ部56が第2回転軸部50(特に中心軸線)を中心に揺動する。このように第1押さえ部55及び第2押さえ部56は、開閉駆動ロッド42の突出量に応じて、それぞれ第1回転軸部49及び第2回転軸部50を中心に対称的に移動する。
【0056】
一方、図示の例において保持水平駆動部は、モーター37(モーター回転シャフト38を含む)、移動ベース39、支持ブロック40、開閉駆動部41(開閉駆動ロッド42を含む)、連結部48、第1回転軸部49、第1押さえレバー53、第1押さえ支持部57、第1回転ギア51、第2回転軸部50、第2押さえレバー54第2押さえ支持部58及び第2回転ギア52を含む。
【0057】
上述のように移動ベース39は、ガスノズル17及び口保持部19に取り付けられており、口保持駆動部27及びガスノズル駆動部28の各々の一部を構成する。このように口保持駆動部27及びガスノズル駆動部28は共通の移動ベース39を含む。移動ベース39が移動されることによって、口保持部19及びガスノズル17は一体的に水平方向へ移動させられる。特に本実施形態では
図3に示すように、1つの移動ベース39に2以上の口保持部19(本実施形態では第1口保持部19a及び第2口保持部19b)及び2以上のガスノズル17(本実施形態では第1ガスノズル17a及び第2ガスノズル17b)が取り付けられており、複数のガスノズル17及び複数の口保持部19が一体的に移動させられる。
【0058】
なお図示の例において、第1口保持部19aと移動ベース39との間の連結構造と、第2口保持部19bと移動ベース39との間の連結構造とは、回転軸線Axから放射方向に延びる対称軸線Ar(
図3参照)に関して線対称に構成されている。これにより、ガス置換装置10を構成する要素をスペース効率良く配置することができる。
【0059】
[サイド保持部、ガスノズル及び口保持部の挙動]
上述の構成を有するガス置換装置10において、サイド保持部30、ガスノズル17及び口保持部19は以下の挙動を示す。
【0060】
すなわちサイド保持駆動部26及び口保持駆動部27は、サイド保持部30が袋Bの側部を保持し且つ口保持部19が袋Bの口部を保持している状態を維持しつつ、サイド保持部30及び口保持部19を第1処理位置から第2処理位置に向けて移動させる。この際、ガスノズル駆動部28は、ガスノズル17の噴出口20を袋Bの内側に配置している状態を維持しつつ、ガスノズル17を第1処理位置から第2処理位置に向けて移動させる。
【0061】
またサイド保持駆動部26は、サイド保持部30が袋Bの側部を保持している状態を維持しつつ、サイド保持部30を第2処理位置から第3処理位置に向けて移動させる。一方、口保持駆動部27及びガスノズル駆動部28は、口保持部19及びガスノズル17を、第2処理位置から第3処理位置に向けて移動させずに、第2処理位置から第1処理位置に向けて移動させる。この場合、口保持駆動部27及びガスノズル駆動部28は、サイド保持部30が第2処理位置に配置された後に、口保持部19及びガスノズル17を第2処理位置から第1処理位置に向けて移動させることが好ましい。また口保持駆動部27及びガスノズル駆動部28は、サイド保持部30が第2処理位置から第3処理位置に向かって移動している時間の少なくとも一部の間において、口保持部19及びガスノズル17を第1処理位置に向けて移動させていることが好ましい。
【0062】
なお、複数のガスノズル17及び口保持部19を備える本実施形態のガス置換装置10において、上述の第1処理位置〜第3処理位置は、ガスノズル17毎及び口保持部19毎に定められる。図示の包装システム5では、連続的に隣り合う複数のステーションS1〜S10が設けられており、これらの複数のステーションには、ガス置換装置10が設置される4つの処理ステーション(第6ステーションS6〜第9ステーションS9)が含まれる。第1サイド保持部30a、第1口保持部19a及び第1ガスノズル17aにとっては、第6ステーションS6(第1処理ステーション)が上述の第1処理位置に該当し、第7ステーションS7(第2処理ステーション)が上述の第2処理位置に該当し、第8ステーションS8(第3処理ステーション)が上述の第3処理位置に該当する。一方、第2サイド保持部30b、第2口保持部19b及び第2ガスノズル17bにとっては、第7ステーションS7(第2処理ステーション)が上述の第1処理位置に該当し、第8ステーションS8(第3処理ステーション)が上述の第2処理位置に該当し、第9ステーションS9(第4処理ステーション)が上述の第3処理位置に該当する。
【0063】
[ガス置換方法]
次に、上述のガス置換装置10によって行われるガス置換方法の一例の流れについて説明する。
【0064】
図4〜
図8は、ガス置換装置10の作動を説明するための概略平面図である。
図4〜
図8において、ガス置換装置10を構成する要素の一部(例えばノズル保持部45等)の図示が省略されている。
【0065】
図示のガス置換装置10によれば、3つのステーション(すなわち第6ステーションS6〜第8ステーションS8)において2つの袋Bに対し同時的に置換ガス注入処理が行われる。その一方で、各袋Bのシール処理(特に加熱シール処理)は1つのステーション(すなわち第9ステーションS9)で行われる。本実施形態では、上述のように複数の口保持駆動部27及びガスノズル駆動部28(すなわち2組の口保持駆動部27及びガスノズル駆動部28)が設けられており、口保持駆動部27同士及びガスノズル駆動部28同士は実質的に同じタイミングで実質的に同じ挙動を示す。ただし、口保持駆動部27同士及びガスノズル駆動部28同士は、異なるタイミングで実質的に同じ挙動を示してもよい。
【0066】
まず
図4に示すように、サイド保持駆動部26によってサイド保持部30が移動され、内容物が収容されている2つの袋Bがそれぞれ第6ステーションS6及び第7ステーションS7に配置される。第6ステーションS6及び第7ステーションS7に移動した直後の2つの袋Bは、置換ガスが注入されておらず、且つ、口部が開いている。
【0067】
これらの袋Bが第5ステーションS5及び第6ステーションS6から第6ステーションS6及び第7ステーションS7に移動している間、各ガスノズル17は外側位置に配置されており、袋Bと衝突しない。また各口保持部19は開位置に配置されており、第1押さえ部55と第2押さえ部56との間には、内容物が収容され且つ口部が開かれた状態の袋Bを配置可能なスペースが形成されている。本実施形態では、開位置に配置されている各口保持部19(すなわち第1押さえ部55及び第2押さえ部56)と、口部が開かれた状態の袋Bとは接触しない。ただし、開位置に配置されている各口保持部19と口部が開かれた状態の袋Bとは接触してもよい。この場合、後述のように外側位置から内側位置に移動するガスノズル17が対応の袋Bの内側に適切に進入可能な程度の開口状態が口部において確保されるように、口保持部19は袋Bに接触する。
【0068】
なお
図4に示す第8ステーションS8に配置されている袋Bは、既に置換ガスが注入されており、且つ、サイド保持部30から袋Bに加えられる張力によって口部が閉じられている状態で配置されている。
【0069】
そして各ガスノズル17は、対応のガスノズル駆動部28によって駆動され、外側位置から内側位置に移動させられる。これにより第1ガスノズル17aは第6ステーションS6に位置している袋Bの内側に挿入され、第2ガスノズル17bは第7ステーションS7に位置している袋Bの内側に挿入される。したがって第1ガスノズル17a及び第2ガスノズル17bの噴出口20は、それぞれ第6ステーションS6及び第7ステーションS7に配置されている袋Bの内側に配置される。これらのガスノズル17が外側位置から内側位置へ移動する間、各袋Bの口部は開かれた状態が維持され、各袋Bは、外側位置から内側位置に移動する対応のガスノズル17と接触しない。
【0070】
本実施形態において、これらのガスノズル17の外側位置から内側位置への移動は、これらの袋Bが第6ステーションS6及び第7ステーションS7に停止した後に行われる。ただし、これらの袋Bが第6ステーションS6及び第7ステーションS7において完全に停止する前に、各ガスノズル17の外側位置から内側位置への移動を開始してもよい。また本実施形態においてこれらのガスノズル17の外側位置から内側位置への移動は、お互いに同時的に行われるが、お互いに異なるタイミングで行われてもよい。
【0071】
そして
図5に示すように、各ガスノズル17の噴出口20が対応の袋Bの内側に配置されている状態で、口保持駆動部27によって各口保持部19の第1押さえ部55及び第2押さえ部56が閉位置に配置される。これにより各口保持部19は、ガスノズル17が袋Bに挿入されている状態で、袋Bの口部を挟み込んで閉じる。この際、各ガスノズル17は袋Bの表面部及び裏面部を介して対応の口保持部19により押圧されるが、各ガスノズル17と対応の口保持部19との間には隙間が形成される。このようにして形成される隙間を介し、袋Bの内側と外側との間で気体を流通させることが可能である。
【0072】
そして、内側位置に配置されている各ガスノズル17の噴出口20から対応の袋B内に置換ガスが噴出され、各袋B内の気体が置換ガスに徐々に置き換えられる。すなわち噴出口20から袋B内への置換ガスの供給に伴って、袋B内に存在していた気体は、ガスノズル17と口保持部19との間の隙間を通って袋Bの外側に流出し、袋B内の気体における置換ガスの比率が徐々に高まる。この際、噴出口20からの置換ガスの噴出を開始するタイミングは限定されず、噴出口20が対応の袋Bの内側に配置された後でもよいし、噴出口20が対応の袋Bの内側に配置される前でもよい。なお各ガスノズル17は排気路(図示省略)を有していてもよい。噴出口20が袋Bの内側に配置されている状態で、排気路の一端を袋B内に配置しつつ他端を袋B外に配置することで、袋B内の気体を袋B外へ効率良く排出することができる。
【0073】
そして
図6に示すように、袋B、サイド保持部30、ガスノズル17及び口保持部19が、第6ステーションS6及び第7ステーションS7から第7ステーションS7及び第8ステーションS8に移動させられる。具体的には、回転テーブル31が回転させられることによって、サイド保持部30とともに2つの袋Bが、第6ステーションS6及び第7ステーションS7から第7ステーションS7及び第8ステーションS8に向かって移動させられる。またモーター回転シャフト38が回転させられることによって、移動ベース39が回転軸線Axを中心に回転させられ、2つのガスノズル17及び2つの口保持部19が、第6ステーションS6及び第7ステーションS7から第7ステーションS7及び第8ステーションS8に向かって移動させられる。
【0074】
この際、各ガスノズル17及び各口保持部19は対応の袋Bを追従するように移動させられる。具体的には、回転テーブル31の回転に応じて移動ベース39は回転させられ、例えば、回転テーブル31の回転タイミング及び角速度と移動ベース39の回転タイミング及び角速度とが一致させられる。これにより、各ガスノズル17の噴出口20が対応の袋Bの内側に配置されている状態を維持することができ、ステーション間を移動する間も各ガスノズル17から各袋B内に置換ガスを継続的に吹き込むことができる。また各口保持部19は袋Bを挟み込んでいる状態を維持することができ、ステーション間を移動する間も各袋Bの口部を閉じて、袋Bの外側から内側への外気の流入を防ぐことができる。
【0075】
そして
図7に示すように、袋B、サイド保持部30、ガスノズル17及び口保持部19が、第7ステーションS7及び第8ステーションS8に配置される。袋B、サイド保持部30、ガスノズル17及び口保持部19が第7ステーションS7及び第8ステーションS8に配置(本実施形態では間欠停止)された後も、各ガスノズル17の噴出口20から袋B内への置換ガスの噴出を継続することができる。また袋B及びサイド保持部30が第7ステーションS7及び第8ステーションS8から第8ステーションS8及び第9ステーションS9に向かって移動を開始する直前まで、各ガスノズル17の噴出口20から袋B内への置換ガスの噴出を継続することが可能である。
【0076】
そして袋B及びサイド保持部30が第7ステーションS7及び第8ステーションS8から第8ステーションS8及び第9ステーションS9に向かって移動を開始する際に、各ガスノズル17が外側位置に配置されており且つ各口保持部19が開位置に配置されているように、口保持駆動部27及びガスノズル駆動部28は各ガスノズル17及び各口保持部19を駆動する。すなわち袋B及びサイド保持部30が第7ステーションS7及び第8ステーションS8から第8ステーションS8及び第9ステーションS9に向かって移動を開始する前に、ガスノズル駆動部28は各ガスノズル17を外側位置に配置し、口保持駆動部27は各口保持部19を開位置に配置する。
【0077】
また第7ステーションS7及び第8ステーションS8に配置されているサイド保持部30は、保持調整機構(図示省略)により駆動され、対応の袋Bの口部が閉じられるように、当該袋Bに加える張力を調整する。この張力の調整は、任意のタイミングで行われることが可能である。例えば、各ガスノズル17が外側位置に配置される前(すなわち各ガスノズル17が内側位置から外側位置に移動する前又は最中)に、或いは各ガスノズル17が外側位置に配置された後に、そのような張力の調整が行われてもよい。また各口保持部19が開位置に配置される前(すなわち各口保持部19が閉位置から開位置に移動する前又は最中)に、或いは各口保持部19が開位置に配置された後に、そのような張力の調整が行われてもよい。
【0078】
このように、複数のガスノズル17及び複数の口保持部19を設けることによって、袋Bが第1処理位置(第6ステーションS6又は第7ステーションS7)に滞在している間、袋Bが第1処理位置から第2処理位置(第7ステーションS7又は第8ステーションS8)に移動している間、及び袋Bが第2処理位置に滞在している間に、袋B内に置換ガスを吹き込むことが可能である。一方、1つのガスノズル17のみ及び1つの口保持部19のみが設けられる場合には、袋B及びサイド保持部30とともにガスノズル17及び口保持部19が第1処理位置から第2処理位置に移動した後であって新たな袋が第1処理位置から第2処理位置に移動を開始する前に、ガスノズル17及び口保持部19を第2処理位置から第1処理位置に戻す必要がある。この場合、ガスノズル17及び口保持部19が第2処理位置に滞在可能な時間が非常に限られるため、第1処理位置及び/又は第2処理位置においてガスノズル17から袋B内に置換ガスを吹き込む時間を十分に確保することが難しい。
【0079】
そして
図8に示すように、置換ガスの注入が終わった袋Bとともにサイド保持部30が第7ステーションS7及び第8ステーションS8から第8ステーションS8及び第9ステーションS9に移動する一方で、外側位置に配置されている各ガスノズル17及び開位置に配置されている各口保持部19が第7ステーションS7及び第8ステーションS8から第6ステーションS6及び第7ステーションS7に移動する。
【0080】
図8において「第8ステーションS8から第9ステーションS9に向かって移動する袋B」及び「第7ステーションS7から第8ステーションS8に向かって移動する袋B」は、口部が閉じられ且つ内側に置換ガスを収容する袋(すなわちガス吹き込み済み袋)である。一方、
図8において「第6ステーションS6から第7ステーションS7に移動する袋B」及び「第5ステーションS5から第6ステーションS6に移動する袋B」は、口部が開かれており且つ内側に置換ガスが吹き込まれていない袋である。
【0081】
第6ステーションS6及び第7ステーションS7に戻されたガスノズル17及び口保持部19(
図4参照)は、上述の一連の動作を繰り返し、第6ステーションS6及び第7ステーションS7に配置された新たな袋Bに置換ガスを注入する。
【0082】
一方、内側に置換ガスが収容された袋Bの口部は、第9ステーションS9においてシール部21によってシール処理が施される。これにより、袋Bは置換ガスが充填された状態でシールされる。
【0083】
以上説明したように本実施形態のガス置換装置10及びガス置換方法によれば、サイド保持部30及び口保持部19によって袋Bの側部及び口部が保持されている状態で、袋B内への置換ガスの供給を安定的に行うことができる。このように袋Bを複数の方向から支持することによって、袋Bを安定的に保持することができ、意図しない力が袋Bに作用した場合の袋Bの位置ずれを防ぐことができる。サイド保持部30に対する袋Bの位置がずれると、袋B内の気体の置換ガスへの置換が不十分になる虞があるとともに、袋Bのシール不良を招く虞がある。例えば、袋Bを高速搬送する場合、袋Bには大きな慣性力が作用しうる。本実施形態のガス置換装置10及びガス置換方法によれば、そのような大きな慣性力が袋Bに作用しても、サイド保持部30及び口保持部19によって袋Bの位置ずれを防ぐことができる。
【0084】
またガスノズル17及び口保持部19を往復移動させることによって、限られた数のガスノズル17及び口保持部19によって、複数の袋B内の気体の置換ガスへの置き換えを連続的に行うことができる。このようにガスノズル17及び口保持部19の数の増大を防ぐことで、装置コストの上昇を抑えることができる。
【0085】
また共通の移動ベース39を使ってガスノズル17及び口保持部19を水平方向に移動させる機構を採用することによって、駆動源を共通化することができ、コストを抑えつつ、簡素な構成によってガスノズル17及び口保持部19を同調的に移動させることができる。特に、複数のガスノズル17及び複数の口保持部19を共通の移動ベース39に取り付けることによって、そのような低コスト化及び構成の簡素化をより一層効果的に促進することが可能である。
【0086】
また複数のガスノズル17及び複数の口保持部19を連続的に隣り合うように設置することによって、袋B内への置換ガスの吹き込みの時間を十分に確保することが容易であり、袋B内の気体の置換ガスへの置換率を向上させることができる。特に、2つのガスノズル17及び2つの口保持部19を設けることによって、装置コストの増大を抑えつつ、置換ガスの十分な吹き込み時間を確保することができる。
【0087】
[変形例]
上述の実施形態では、共通の移動ベース39及び駆動源(すなわちモーター37)を使って、各ガスノズル17及び各口保持部19を水平方向に移動させているが、別個の駆動機構及び別個の駆動源を使ってガスノズル17及び口保持部19を移動させてもよい。この場合、制御部11は、各ガスノズル17及び各口保持部19が対応の袋Bを適切に追従するように、それらの駆動機構及び駆動源を制御することができる。
【0088】
また上述の実施形態では、ガスノズル17及び口保持部19が往復移動可能に設けられており、ガスノズル17及び口保持部19は、ステーション及びサイド保持部30よりも少ない。ただしガスノズル17及び口保持部19の数は限定されず、例えば、ステーション及びサイド保持部30の数と同じであってもよい。この場合、各サイド保持部30に対して固有のガスノズル17及び口保持部19が関連づけられ、相互に関連づけられているサイド保持部30、ガスノズル17及び口保持部19を一体的に水平方向に移動させることができる。そのような装置構成は、例えば特許文献5の
図1に示す装置を応用することによって容易に実現可能である。この場合、サイド保持部30、ガスノズル17及び口保持部19を水平方向に移動させるための駆動源を共通化することができる。
【0089】
また上述の実施形態において回転テーブル31及びサイド保持部30は間欠的に移動するが、サイド保持駆動部26(回転テーブル31を含む)はサイド保持部30を停止させることなく継続的に移動させてもよい。回転テーブル31及びサイド保持部30が継続的に移動する場合、口保持駆動部27及びガスノズル駆動部28は、ガスノズル17及び口保持部19がサイド保持部30及び袋Bを適切に追従するように、袋B及びサイド保持部30の移動速度に応じてガスノズル17及び口保持部19を継続的に移動させることができる。
【0090】
また上述の実施形態において各サイド保持部30は、袋Bを吊り下げ保持するが、袋Bを他の姿勢で保持してもよい。例えば各サイド保持部30は、横臥姿勢の袋B(すなわち水平方向に延在している状態の袋B)を保持しつつ、第1ステーションS1〜第10ステーションS10を巡回してもよい。
【0091】
また各サイド保持部30の移動軌道及び各袋Bの移動軌道は、上述の円軌道に限定されず、他の曲線軌道、直線軌道、或いは曲線軌道及び直線軌道の両方が組み合わされた軌道(例えば両端部が半円軌道によって構成される無端軌道(すなわちレーストラック軌道))であってもよい。
【0092】
また袋Bの口部のシールの方式は限定されず、シール部21は、加熱以外の手段によって袋Bの口部をシールしてもよい。
【0093】
本発明は、上述の実施形態及び変形例には限定されない。例えば、上述の実施形態及び変形例の各要素に各種の変形が加えられてもよい。また、本発明によって奏される効果も上述の効果に限定されず、各実施形態の具体的な構成に応じた特有の効果も発揮されうる。このように、本発明の技術的思想及び趣旨を逸脱しない範囲で、特許請求の範囲、明細書、要約書及び図面に記載される各要素に対して種々の追加、変更及び部分的削除が可能である。