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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2020-93877(P2020-93877A)
(43)【公開日】2020年6月18日
(54)【発明の名称】作業車の安全装置
(51)【国際特許分類】
   B66F 9/24 20060101AFI20200522BHJP
   B66F 11/04 20060101ALI20200522BHJP
   B66C 23/78 20060101ALI20200522BHJP
【FI】
   B66F9/24 S
   B66F11/04
   B66C23/78 H
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2018-231792(P2018-231792)
(22)【出願日】2018年12月11日
(71)【出願人】
【識別番号】000116644
【氏名又は名称】株式会社アイチコーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100092897
【弁理士】
【氏名又は名称】大西 正悟
(74)【代理人】
【識別番号】100157417
【弁理士】
【氏名又は名称】並木 敏章
(72)【発明者】
【氏名】町田 朝
【テーマコード(参考)】
3F205
3F333
【Fターム(参考)】
3F205AA05
3F205FA01
3F205FA10
3F333AA08
3F333AC02
3F333CA24
3F333FA10
3F333FA36
3F333FE04
3F333FE05
(57)【要約】
【課題】アウトリガジャッキを目視することが難しい車両であっても、アウトリガジャッキの動作を確認しながら作動操作を行うことができる作業車の安全装置を提供する。
【解決手段】アウトリガジャッキを張り出す方向の画像情報を取得する第1カメラ装置と、その第1カメラ装置により取得された画像情報を用いて、アウトリガジャッキを含む車両の周囲の平面視での車両周囲画像111を生成する画像処理装置と、その画像処理装置により生成された車両周囲画像111を表示するディスプレイ装置100とを備えて構成される。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行可能な車両と、
前記車両の前後左右にそれぞれ設けられ、前記車両の側方に張り出すとともに接地させて前記車両を支持するアウトリガジャッキと、
前記車両上に設けられる作業装置とを備える作業車の安全装置であって、
前記車両の左右にそれぞれ設けられ、前記アウトリガジャッキを張り出す方向の画像情報を取得する第1カメラ装置と、
前記第1カメラ装置により取得された前記画像情報を用いて、前記アウトリガジャッキを含む前記車両の周囲の平面視での車両周囲画像を生成する画像処理装置と、
前記画像処理装置により生成された前記車両周囲画像を表示するディスプレイ装置とを備えることを特徴とする作業車の安全装置。
【請求項2】
前記ディスプレイ装置は、前記車両周囲画像において、前記アウトリガジャッキを前記車両の側方に張り出す場合の目安となる張出イメージ画像を表示することを特徴とする請求項1に記載の作業車の安全装置。
【請求項3】
前記アウトリガジャッキは、下端部に回転自在に設けられたローラーを有して構成され、
前記ローラーが接地する路面の画像情報を取得する第2カメラ装置を備え、
前記ディスプレイ装置は、前記第2カメラ装置により取得されたローラー接地路面画像を表示することを特徴とする請求項1もしくは2に記載の作業車の安全装置。
【請求項4】
前記作業装置は、前記車両上に旋回自在に設けられた旋回台と、前記旋回台に少なくとも起伏自在に設けられたブームと、前記ブームの先端部に設けられた作業台とを有して構成され、
前記ディスプレイ装置は、前記車両に対する前記ブームの旋回位置を示す旋回イラスト画像を表示することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の作業車の安全装置。
【請求項5】
前記アウトリガジャッキの作動操作を行うジャッキ操作装置を備え、
前記ディスプレイ装置は、前記ジャッキ操作装置の近傍に配設され、
前記ジャッキ操作装置により前記アウトリガジャッキの作動操作を行う作業者が、前記ディスプレイ装置に表示される前記車両周囲画像によって前記アウトリガジャッキの作動を視認することが可能に構成されたことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の作業装置の安全装置。
【請求項6】
前記ディスプレイ装置は、前記車両の運転キャブ内に配設され、
前記運転キャブ内で前記車両の運転操作を行う作業者が、前記ディスプレイ装置に表示される画像情報を視認することが可能に構成されたことを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の作業車の安全装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アウトリガジャッキを備えた作業車の安全装置に関する。
【背景技術】
【0002】
このような作業車の一例として、運転キャブを前部に有して走行可能なトラック車両をベースに構成され、その車体上に水平旋回可能に設けられた旋回台と、その旋回台に起伏および伸縮可能に設けられたブームと、そのブームの先端部に旋回可能に支持された作業台とを備えた高所作業車が知られている。このような高所作業車は、電線工事、道路トンネル内の保守点検作業、橋梁の保守点検作業等の種々の作業現場で用いられている。このような高所作業車では、作業中に車両を安定した状態で支持するため、車両の前後左右にそれぞれアウトリガジャッキが設けられ、これらのアウトリガジャッキを車両の側方に張り出して接地させるように構成されている(例えば、特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平8‐324998号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のような作業車では、アウトリガジャッキの操作装置が、例えば車両の後部等に設けられている。そのため、車両上に工具箱等が設けられている場合には、その工具箱等によって前側のアウトリガジャッキを目視することが難しく、アウトリガジャッキの動作を確認しながら作動操作を行うことができないという問題があった。
【0005】
本発明は、このような課題に鑑みてなされたものであり、アウトリガジャッキを目視することが難しい車両であっても、アウトリガジャッキの動作を確認しながら作動操作を行うことができる作業車の安全装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本発明は、走行可能な車両と、前記車両の前後左右にそれぞれ設けられ、前記車両の側方に張り出すとともに接地させて前記車両を支持するアウトリガジャッキと、前記車両上に設けられる作業装置とを備える作業車の安全装置である。その上で、前記車両の左右にそれぞれ設けられ、前記アウトリガジャッキを張り出す方向の画像情報を取得する第1カメラ装置と、前記第1カメラ装置により取得された前記画像情報を用いて、前記アウトリガジャッキを含む前記車両の周囲の平面視での車両周囲画像を生成する画像処理装置(例えば、実施形態におけるコントロールユニット50の画像処理部55)と、前記画像処理装置により生成された前記車両周囲画像を表示するディスプレイ装置とを備えて構成される。
【0007】
上記構成の作業車の安全装置において、前記ディスプレイ装置は、前記車両周囲画像において、前記アウトリガジャッキを前記車両の側方に張り出す場合の目安となる張出イメージ画像を表示することが好ましい。
【0008】
上記構成の作業車の安全装置において、前記アウトリガジャッキは、下端部に回転自在に設けられたローラーを有して構成され、前記ローラーが接地する路面の画像情報を取得する第2カメラ装置を備え、前記ディスプレイ装置は、前記第2カメラ装置により取得されたローラー接地路面画像を表示することが好ましい。
【0009】
上記構成の作業車の安全装置において、前記作業装置は、前記車両上に旋回自在に設けられた旋回台と、前記旋回台に少なくとも起伏自在に設けられたブームと、前記ブームの先端部に設けられた作業台とを有して構成され、前記ディスプレイ装置は、前記車両に対する前記ブームの旋回位置を示す旋回イメージ画像を表示することが好ましい。
【0010】
上記構成の作業車の安全装置において、前記アウトリガジャッキの作動操作を行うジャッキ操作装置(例えば、実施形態における下部操作装置60)を備え、前記ディスプレイ装置は、前記ジャッキ操作装置の近傍に配設され、前記ジャッキ操作装置により前記アウトリガジャッキの作動操作を行う作業者が、前記ディスプレイ装置に表示される前記車両周囲画像によって前記アウトリガジャッキの作動を視認することが可能に構成されることが好ましい。
【0011】
上記構成の作業車の安全装置において、前記ディスプレイ装置は、前記車両の運転キャブ内に配設され、前記運転キャブ内で前記車両の運転操作を行う作業者が、前記ディスプレイ装置に表示される画像情報を視認することが可能に構成されることが好ましい。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係る作業車の安全装置によれば、アウトリガジャッキを張り出す方向の画像情報を取得する第1カメラ装置と、その画像情報を用いてアウトリガジャッキを含む前記車両の周囲の平面視での車両周囲画像を生成する画像処理装置と、その車両周囲画像を表示するディスプレイ装置とを備えて構成される。そのため、このディスプレイ装置に表示される車両周囲画像によりアウトリガジャッキの作動を確認しながらアウトリガジャッキの作動操作を行うことができる。従って、車両上に工具箱等が設けられ、その工具箱等によりアウトリガジャッキの作動を目視することが難しい車両であっても、アウトリガジャッキの作動を確認しながら安全にアウトリガジャッキの作動操作を行うことができる。また、ディスプレイ装置に表示される車両周囲画像により作業時の死角を軽減することができ、作業の安全性を向上させることができる。
【0013】
本発明に係る作業車の安全装置において、ディスプレイ装置は、アウトリガジャッキを車両の側方に張り出す場合の目安となる張出イメージ画像を前記車両周囲画像において表示するように構成されることが好ましい。このような構成とすれば、アウトリガジャッキをどの程度張り出すと、車両側方の既存物等とアウトリガジャッキとが接触するかを、アウトリガジャッキの作動操作を行う前に把握することができる。そのため、車両側方の既存物等とアウトリガジャッキとの接触を未然に防ぐことができる。また、作業現場において車両を設置する際に、車両をどこまで幅寄せできるかを把握することができ、車両の設置を容易に行うことができる。
【0014】
本発明に係る作業車の安全装置において、アウトリガジャッキが下端部にローラーを有して構成され、そのローラーが接地する前方路面の画像情報を取得する第2カメラ装置を備え、ディスプレイ装置は、そのローラー接地路面画像を表示するように構成されることが好ましい。このような構成とすれば、車両を走行させながら作業を行う際に、ディスプレイ装置に表示されるローラー接地路面画像により路面状況を把握することができ、路面の段差や轍等に注意を払うことができる。
【0015】
本発明に係る作業車の安全装置において、作業装置が旋回台、ブームおよび作業台を有して構成され、ディスプレイ装置は、ブームの旋回位置を示す旋回イラスト画像を表示することが好ましい。このような構成とすれば、車両を走行させながら作業を行う際に、ディスプレイ装置に表示される旋回イラスト画像によりブームがどの位置にあるかを把握することができ、道路脇の障害物や橋桁等とブーム(作業台)とが接触しないように注意を
促すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明に係る安全装置を備えた高所作業車の側面図である。
図2】上記高所作業車の背面図である。
図3】上記高所作業車の作動制御構成を示すブロック図である。
図4】本発明に係る安全装置のディスプレイ装置の第1表示例を示す概略図である。
図5】本発明に係る安全装置のディスプレイ装置の第2表示例を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。本発明に係る安全装置を備えた作業車の一例として、図1および図2に高所作業車1を示している。高所作業車1は、車体2の前部に設けられた運転キャブ2aと、車体2の前後左右にそれぞれ設けられた車輪3とを有するトラック車両をベースに構成されている。
【0018】
車体2の前後左右にはそれぞれローラージャッキ10が設けられている。ローラージャッキ10は、車体2の左右方向に伸縮可能なアウトリガ11と、アウトリガ11の先端部に設けられて上下方向に伸縮可能なジャッキ12と、ジャッキ12の下端部に回転自在に設けられたローラー13とを有して構成される。アウトリガ11は、内部に配設されたアウトリガシリンダ15(図3を参照)により伸縮作動される。ジャッキ12は、内部に配設されたジャッキシリンダ16(図3を参照)により伸縮作動される。高所作業車1は、アウトリガ11を張り出すとともにジャッキ12を伸長させてローラー13を路面に接地させることにより、後述する作業台40を所望の高所位置に移動させた状態で車両を走行させながら作業を行うことができるように構成されている。ローラージャッキ10は、車体2に設けられた下部操作装置60によって作動操作が行われるようになっている。
【0019】
車体2上の架装領域(運転キャブ2aの後方領域)の前部には、旋回台5が水平旋回自在に設けられている。旋回台5は、車体2に設けられたブーム旋回モータ6(図3を参照)により車体2に対して旋回作動される。旋回台5の上部には、枢結ピン7によりブーム20が上下方向に揺動自在(起伏自在)に設けられている。ブーム20は、旋回台5とブーム20の間に跨設されたブーム起伏シリンダ25により旋回台5(車体2)に対して起伏作動される。ブーム20は、旋回台5に枢結される基端ブーム21、中間ブーム22および先端ブーム23を入れ子式に組み合わせて伸縮自在に構成され、ブーム20内に設けられたブーム伸縮シリンダ26(図3を参照)により伸縮作動される。
【0020】
先端ブーム23の先端部には、作業台ブラケット30が上下方向に揺動自在に設けられ、この作業台ブラケット30上に作業台40が設けられている。先端ブーム23の先端部には、先端ブーム23と略平行に延びるシリンダブラケット31が設けられている。このシリンダブラケット31と作業台ブラケット30の間にレベリングシリンダ35が跨設されている。レベリングシリンダ35は、作業台40に設けられた作業台傾斜検出器(図示略)からの検出結果に基づいて伸縮作動し、作業台ブラケット30を先端ブーム23に対して上下揺動させることにより、ブーム20の起伏角度に拘らず常時に作業台40の床面を水平な状態に保持するように構成されている。
【0021】
作業台40は、作業台ブラケット30上に水平旋回自在に設けられ、作業台ブラケット30に設けられた作業台旋回モータ36(図3を参照)により作業台ブラケット30に対して旋回作動される。作業台40は、作業者が搭乗可能な略矩形状の作業床41と、その作業床41の周囲に立設された手摺り42とを有している。作業台40は、作業床41の
下面中央部から一方側に寄った位置(偏心した位置)において作業台ブラケット30上に水平旋回自在に支持されている。高所作業車1では、車体2上の架装領域において、ブーム20が後方に延び、そのブーム20の上方において作業台40が前後方向に延びた状態で格納されるように構成されている。
【0022】
作業台40には上部操作装置70が設けられている。高所作業車1では、作業台40に搭乗した作業者が上部操作装置70を操作したり、地上の作業者が下部操作装置60を操作したりして、旋回台5の旋回制御、ブーム20の起伏および伸縮制御、作業台40の旋回制御等を行って作業台40を所望の高所位置に移動させるように構成されている。上部操作装置70もしくは下部操作装置60が操作されると、その操作内容に対応した操作信号が、車体2に設けられたコントロールユニット50に出力される。コントロールユニット50の作動制御部51は、その操作信号に基づいた指令信号を油圧駆動ユニット80に出力するようになっている。
【0023】
油圧駆動ユニット80は、図3に示すように、作動油を貯留する作動油タンク81と、車体2に搭載されたエンジンEの動力を用いて駆動される油圧ポンプ82と、油圧ポンプ82から吐出される作動油を上記指令信号に基づいた供給方向および供給量で各油圧アクチュエータに供給制御する制御バルブユニット83とを有している。エンジンEの動力を変速して車輪3に伝達するトランスミッションには、パワーテイクオフ機構PTOが組み込まれている。運転キャブ2a内に配設されたPTO操作レバー85がオフ位置からオン位置に操作されると、パワーテイクオフ機構PTOによりエンジンEによる駆動先を車輪3から油圧ポンプ82に切り換えられ、エンジンEの動力により油圧ポンプ82が駆動されるようになっている。制御バルブユニット83は、ブーム旋回モータ6、ブーム起伏シリンダ25、ブーム伸縮シリンダ26、作業台旋回モータ36、アウトリガシリンダ15およびジャッキシリンダ16のそれぞれに対応した電磁比例制御バルブV1〜V6を有している。油圧駆動ユニット80は、コントロールユニット50の作動制御部51からの指令信号に応じて各油圧アクチュエータに供給する作動油の流れを制御して各油圧アクチュエータを作動させる。
【0024】
このように各油圧アクチュエータの作動はコントロールユニット50(作動制御部51)により制御される。そのため、高所作業車1には種々の検出装置が配設されており、それらの検出装置からの検出信号がコントロールユニット50に入力されるようになっている。具体的には、ブーム旋回角センサ91からブーム20(旋回台5)の旋回角度信号が入力され、ブーム起伏角センサ92からブーム20の起伏角度信号が入力され、ブーム長センサ93からブーム20の伸長量信号が入力され、作業台旋回角センサ94から作業台40の旋回角度信号が入力されている。また、ジャッキ張出量センサ95から各アウトリガジャッキ10(アウトリガ11)の車体側方への張出量信号が入力され、ジャッキ接地センサ96から各アウトリガジャッキ10(ローラー13)の接地検出信号が入力され、車体傾斜角センサ97から車体2(路面)の前後および左右の傾斜角度信号が入力されている。さらに、走行速度センサ98から高所作業車1の走行速度信号が入力されるようになっている。
【0025】
このように構成された高所作業車1では、車体2における下部操作装置60の近傍および運転キャビン2a内にそれぞれ、ディスプレイ装置100と、表示切換スイッチ105とが配設されている。下部操作装置60を操作する作業者、および運転キャブ2a内で高所作業車1の運転操作を行う作業者は、ディスプレイ装置100に表示される画像情報を視認することができるようになっている。ディスプレイ装置100は、図4に示すように、第1表示チャンネルCH1において、車両周囲情報表示部110と、文字情報表示部120と、検出情報表示部130と、ブーム位置情報表示部140とを有している。ディスプレイ装置100は、運転キャブ2a内のPTO操作レバー85がオフ位置からオン位置
に操作されると、この第1表示チャンネルCH1を表示するようになっている。
【0026】
車両周囲情報表示部110には、高所作業車1の周囲の平面視での車両周囲画像111が表示されるようになっている。車体2の左右にはそれぞれ、各アウトリガジャッキ10(アウトリガ11)を張り出す方向の画像情報を取得する左右の第1カメラ装置161,162(図3を参照)が設けられている。左右の第1カメラ装置161,162により取得された画像情報は、コントロールユニット50の画像処理部55に入力される。画像処理部55は、左右の第1カメラ装置161,162からの画像情報と、予め記憶されている高所作業車1の平面視画像とを用いて画像処理(画像合成処理等)を行い、高所作業車1(各アウトリガジャッキ10を含む車体2)とその周囲を上方から見た平面視画像である車両周囲画像111を生成する。画像処理部55は、生成した車両周囲画像111を各ディスプレイ装置100に出力し、車両周囲情報表示部110において表示するようになっている。
【0027】
このように表示される車両周囲画像111には、各アウトリガジャッキ10を車両側方に張り出す場合の目安となる張出イメージ画像112を重ねて表示されるようになっている。張出イメージ画像112は、アウトリガジャッキ10を車両側方に張り出したときの張出量を示す画像(アウトリガジャッキ10の最外郭位置を示す画像)である。張出イメージ画像112は、アウトリガジャッキ10を車両側方の最大位置まで張り出す場合のイメージ画像だけではなく、格納位置から最大張出位置までの間の中間位置まで張り出す場合のイメージ画像も表示するようになっている。図4に示す本実施形態では、格納位置側(車体2側)から順番に、第1中間張出イメージ画像112a、第2中間張出イメージ画像112b、最大張出イメージ画像112cの3段階の張出量のイメージ画像を表示するようになっている。
【0028】
文字情報表示部120には、「周囲の状況に注意しながら作業してください」といったような作業に関連した情報や、アウトリガジャッキ10やブーム20等の作業装置の作動に関連した情報が文字表示されるようになっている。
【0029】
検出情報表示部130には、車体傾斜角センサ97により検出された車体2(路面)の前後および左右の傾斜角度を示す値、走行速度センサ98により検出された高所作業車1の走行速度を示す値、およびブーム旋回角センサ91により検出されたブーム20の旋回角度を示す値が表示される。車体傾斜角センサ97は、重力加速度から水平面に対する車体2の傾きを測定するセンサであり、車体2の前後方向の傾きおよび左右方向の傾きをそれぞれ測定可能である。ブーム20の旋回角度を示す値は、ブーム20が車体2の前方に延びた状態を旋回角度0°とし、その状態から時計回りを正の値として表示するようになっている。
【0030】
検出情報表示部130には、上記の値の他に、ブーム起伏角センサ92により検出されたブーム20の起伏角度、およびブーム長センサ93により検出されたブーム20の伸長量から作業台40の高さ位置を求め、その値を表示するようにしてもよい。さらに、これら以外の検出値および算出値を表示するようにしてもよい。
【0031】
ブーム位置情報表示部140には、ブーム旋回角センサ91により検出された車体2に対するブーム20の旋回角度(旋回位置)を示す旋回イラスト画像141(平面イラスト画像)が表示される。ブーム位置情報表示部140には、ブーム20の旋回位置だけではなく、上記のように求めた作業台40の位置や、作業台旋回角センサ94により検出されたブーム20に対する作業台40の旋回角度(旋回位置)等も、旋回イラスト画像141において表示するようにしてもよい。
【0032】
ディスプレイ装置100は、表示切換スイッチ105を操作することにより、上記第1表示チャンネルCH1から第2表示チャンネルCH2に切り換えることができるようになっている。表示切換スイッチ105を操作して第2表示チャンネルCH2から第1表示チャンネルCH1に切り換えることも可能である。第2表示チャンネルCH2では、図5に示すように、第1表示チャンネルCH1の車両周囲情報表示部110に替えて、ローラー接地路面情報表示部150を有している。第1表示チャンネルCH1の文字情報表示部120、検出情報表示部130およびブーム位置情報表示部140は、第2表示チャンネルCH2でもそのまま表示される。
【0033】
ローラー接地路面情報表示部150には、前後左右のアウトリガジャッキ10のローラー13がそれぞれ接地する路面を撮像したローラー接地路面画像151が表示されるようになっている。車体2の前後左右の低い位置、もしくは前後左右のアウトリガジャッキ10にはそれぞれ、各アウトリガジャッキ10のローラー13が接地する路面(前方路面)の画像情報を取得する前後左右の第2カメラ装置171〜174(図3を参照)が設けられている。前後左右の第2カメラ装置171〜174により取得された画像情報は、コントロールユニット50の画像処理部55に入力され、画像処理部55から各ディスプレイ装置100に出力され、ローラー接地路面情報表示部150において表示されるようになっている。
【0034】
以上のように、ディスプレイ装置100では、車両周囲情報表示部110において、高所作業車1の周囲の平面視での車両周囲画像111が表示されるようになっている。そのため、各アウトリガジャッキ10の作動操作を行う下部操作装置60の近傍に設けられたディスプレイ装置100において表示される車両周囲画像111により各アウトリガジャッキ10の作動を確認しながら、下部操作装置60を操作して各アウトリガジャッキ10の作動操作を行うことができる。高所作業車1では車体2の架装領域上に工具箱等が設けられていないが、車体上に設けられた工具箱等によりアウトリガジャッキの作動を目視することが難しい車両であっても、アウトリガジャッキの作動を確認しながら安全にアウトリガジャッキの作動操作を行うことができる。また、ディスプレイ装置100に表示される車両周囲画像111により、作業時の死角を軽減することができ、作業の安全性を向上させることができる。
【0035】
ディスプレイ装置100では、車両周囲情報表示部110で表示される車両周囲画像111において、各アウトリガジャッキ10を車両側方に張り出す場合の目安となる張出イメージ画像112が表示されるようになっている。そのため、アウトリガジャッキ10をどの程度張り出すと、車両側方の既存物等とアウトリガジャッキ10とが接触するかを、アウトリガジャッキ10の作動操作を行う前に把握することができる。従って、車両側方の既存物等とアウトリガジャッキ10との接触を未然に防ぐことができる。また、運転キャブ2a内のディスプレイ装置100に表示される張出イメージ画像112により、作業現場において高所作業車1を設置する際に、高所作業車1をどこまで幅寄せできるかを把握することができ、高所作業車1の設置を容易に行うことができる。
【0036】
ディスプレイ装置100では、ブーム位置情報表示部140において、車体2に対するブーム20の旋回角度(旋回位置)を示す旋回イラスト画像141が表示されるようになっている。そのため、高所作業車1を走行させながら作業を行う際に、運転キャブ2a内のディスプレイ装置100に表示される旋回イラスト画像141により、ブーム20が車体2に対してどの位置にあるかを把握することができ、道路脇の障害物や橋桁等とブーム20(作業台40)とが接触しないように注意を促すことができる。
【0037】
ディスプレイ装置100では、ローラー接地路面情報表示部150において、前後左右のアウトリガジャッキ10のローラー13がそれぞれ接地する路面を撮像したローラー接
地路面画像151が表示されるようになっている。そのため、高所作業車1を走行させながら作業を行う際に、運転キャブ2a内のディスプレイ装置100に表示されるローラー接地路面画像151により路面状況を把握することができ、路面の段差や轍等に注意を払うことができる。
【0038】
これまで本発明に係る実施形態について説明してきたが、本発明の範囲は上述の実施形態に示したものに限定されない。例えば、上述の実施形態では、車体2の左右にそれぞれ第1カメラ装置161,162が設けられているが、車体2の前後にもカメラ装置を設け、ディスプレイ装置100に表示される車両周囲画像111において、車体2の前後方向の画像情報を加えるようにしてもよい。また、表示切換スイッチ105の操作により第3表示チャンネルに切り換え、当該第3表示チャンネルおいて車体2の後方画像をディスプレイ装置100に表示するようにしてもよい。上述の実施形態では、ディスプレイ装置100が下部操作装置60の近傍に設けられているが、当該ディスプレイ装置100が下部操作装置60の一部として一体に構成されてもよい。上述の実施形態では、張出イメージ画像112として、3段階の張出量のイメージ画像を表示しているが、1段階のみ、2段階、4段階以上の張出量のイメージ画像を表示するようにしてもよい。
【0039】
上述の実施形態では、パワーテイクオフ機構PTOを介してエンジンE(車両エンジン)の動力により油圧ポンプ82が駆動される構成であるが、エンジンEとは別の動力装置(バッテリユニット、エンジンユニット等)を備え、その動力装置により油圧ポンプ82を駆動するように構成してもよい。その場合には、当該動力装置を起動したときに、ディスプレイ装置100において上記第1および第2表示チャンネルCH1,CH2のいずれかが表示されるようにしてもよい。または、ジャッキ接地センサ96によりアウトリガジャッキ10(ローラー13)の接地が検出されたとき、或いはブーム20等が格納状態以外の状態になったときに、ディスプレイ装置100において上記第1および第2表示チャンネルCH1,CH2のいずれかが表示されるようにしてもよい。または、表示切換スイッチ105の操作により上記第1および第2表示チャンネルCH1,CH2のいずれかが表示されるようにしてもよい。
【0040】
上述の実施形態では、直線的にブーム20が伸縮するタイプの高所作業車に本願発明を適用した例について説明したが、本願発明は、アウトリガジャッキを備えた種々の作業車に適用して同様の効果を得ることができる。
【符号の説明】
【0041】
1 高所作業車
2 車体
10 アウトリガジャッキ
50 コントロールユニット
55 画像処理部(画像処理装置)
60 下部操作装置(ジャッキ操作装置)
100 ディスプレイ装置
161,162 第1カメラ装置
171〜174 第2カメラ装置
図1
図2
図3
図4
図5