【解決手段】 本発明の硬化性組成物は、架橋性シリル基を有し且つ数平均分子量が10000〜15000で、分子量分布(重量平均分子量(Mw)/数平均分子量(Mn))が1.5以下であるポリオキシアルキレン系重合体(A)100質量部と、メトキシシリル基を含有する(メタ)アクリレート系重合体(B)と、炭酸カルシウム(C)50〜300質量部とを含有することを特徴とする。
架橋性シリル基を有し且つ数平均分子量が10000〜15000で、分子量分布(重量平均分子量(Mw)/数平均分子量(Mn))が1.5以下であるポリオキシアルキレン系重合体(A)100質量部と、
メトキシシリル基を含有する(メタ)アクリレート系重合体(B)と、
炭酸カルシウム(C)50〜300質量部とを含有することを特徴とする硬化性組成物。
メトキシシリル基を含有する(メタ)アクリレート系重合体(B)は、トリメトキシシリル基を有し且つ主鎖骨格がメチル(メタ)アクリレート単位、ブチルアクリレート単位及びブチルメタクリレート単位を含む(メタ)アクリレート系重合体(B)を含むことを特徴とする請求項1に記載の硬化性組成物。
ポリオキシアルキレン系重合体(A)100質量部に対して、アミノシランカップリング剤0〜1質量部を更に含有していることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の硬化性組成物。
【発明を実施するための形態】
【0012】
[ポリオキシアルキレン系重合体(A)]
硬化性組成物は、架橋性シリル基を有し且つ数平均分子量が10000〜15000であり且つ分子量分布(重量平均分子量(Mw)/数平均分子量(Mn))が1.5以下であるポリオキシアルキレン系重合体(A)を含有している。なお、架橋性シリル基を有し且つ数平均分子量が10000〜15000であり且つ分子量分布(重量平均分子量(Mw)/数平均分子量(Mn))が1.5以下であるポリオキシアルキレン系重合体(A)を単に「ポリオキシアルキレン系重合体(A)」ということがある。
【0013】
架橋性シリル基を有するポリオキシアルキレン系重合体(A)は、主鎖が、一般式:−(R−O)
n−(式中、Rは炭素数が1〜14のアルキレン基を表し、nは、繰り返し単位の数であって正の整数である。)で表される繰り返し単位を含有する重合体が好ましく挙げられる。ポリオキシアルキレン系重合体(A)の主鎖骨格は一種のみの繰り返し単位からなっていてもよいし、二種以上の繰り返し単位からなっていてもよい。
【0014】
ポリオキシアルキレン系重合体の主鎖骨格としては、ポリオキシエチレン、ポリオキシプロピレン、ポリオキシブチレン、ポリオキシテトラメチレン、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレン共重合体、及びポリオキシプロピレン−ポリオキシブチレン共重合体などが挙げられ、ポリオキシプロピレンが好ましい。
【0015】
架橋性シリル基としては、例えば、ケイ素原子と結合した加水分解性基を有するケイ素含有基又はシラノール基のように、湿気又は架橋剤の存在下にて必要に応じて触媒などを使用することによって縮合反応を生じる基をいう。
【0016】
架橋性シリル基としては、例えば、トリメトキシシリル基、トリエトキシシリル基などのトリアルコキシシリル基、ジメトキシシリル基、メチルジメトキシシリル基、メチルジエトキシシリル基などのジアルコキシシリル基、ジメチルメトキシシリル基、ジメチルエトキシシリル基などのモノアルコキシシリル基、トリクロロシリル基などのハロゲンが結合したシリル基など挙げられ、ジアルコキシシリル基が好ましく、ジメトキシシリル基がより好ましい。
【0017】
ポリオキシアルキレン系重合体(A)は、架橋性シリル基の他に、ウレタン結合をさらに有していてもよい。ウレタン結合は、ポリオキシアルキレン系重合体(A)に極性を付与することができ、これにより硬化性組成物を硬化させてなる硬化物層に適度な接着性を付与することができる。
【0018】
ポリオキシアルキレン系重合体(A)は、主鎖骨格となるポリオキシアルキレン鎖の末端にウレタン結合を介して架橋性シリル基を有していてもよいし、主鎖骨格となるポリオキシアルキレン鎖の末端(好ましくは両末端)にウレタン結合を介することなく架橋性シリル基を有していてもよい。
【0019】
主鎖骨格となるポリオキシアルキレン鎖の末端(好ましくは両末端)にウレタン結合を介して架橋性シリル基を有するポリオキシアルキレン系重合体(A)としては、例えば、ポリオキシアルキレン鎖の末端(好ましくは両末端)にヒドロキシル基を有するプレポリマーと、架橋性シリル基及びイソシアネート基を有する化合物とを反応させることにより得られる。
【0020】
ポリオキシアルキレン鎖の末端(好ましくは両末端)にヒドロキシル基を有するプレポリマーとしては、ポリオキシエチレングリコール、ポリオキシプロピレングリコール、ポリオキシブチレングリコール、ポリオキシテトラメチレングリコール、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレングリコール、及びポリオキシプロピレン−ポリオキシブチレングリコールなどが挙げられる。
【0021】
架橋性シリル基及びイソシアネート基を有する化合物としては、1−イソシアネートメチルトリメトキシシラン、2−イソシアネートエチルトリメトキシシラン、3−イソシアネートプロピルトリメトキシシラン、3−イソシアネートブチルトリメトキシシラン、3−イソシアネートペンチルトリメトキシシラン、及び1−イソシアネートプロピルトリメトキシシランなどが挙げられる。
【0022】
ポリオキシアルキレン鎖の末端(好ましくは両末端)にウレタン結合を介して架橋性シリル基を有するポリオキシアルキレン系重合体を合成するには、ポリオキシアルキレン鎖の末端(好ましくは両末端)にヒドロキシル基を有するプレポリマーと、架橋性シリル基及びイソシアネート基を有する化合物とを混合して混合物を得、この混合物を撹拌して上記プレポリマーのヒドロキシル基と、上記化合物のイソシアネート基とを反応させてウレタン結合を形成させることにより合成することができる。又、上記混合物を加熱しながら撹拌することにより、反応を促進させることができる。
【0023】
ポリオキシアルキレン鎖の末端(好ましくは両末端)にウレタン結合を介することなく架橋性シリル基を有しているポリオキシアルキレン系重合体は、例えば、末端に水酸基などの官能基を有するオキシアルキレン系重合体に、この官能基に対して反応性を示す活性基及び不飽和基を有する有機化合物を反応させ、次いで、得られた反応生成物に加水分解性基を有するヒドロシランを作用させてヒドロシリル化することによって製造することができる。
【0024】
ポリオキシアルキレン系重合体(A)の数平均分子量は、10000〜15000であり、12000〜15000が好ましく、12000〜14000がより好ましい。ポリオキシアルキレン系重合体(A)の数平均分子量が15000以下であると、硬化性組成物の塗工性が優れていると共に、硬化性組成物の硬化物の剥離接着強さ及び引張接着強さが優れている。ポリオキシアルキレン系重合体の数平均分子量が10000以上であると、硬化性組成物の硬化物の剥離接着強さ及び引張接着強さが優れている。
【0025】
ポリオキシアルキレン系重合体(A)の分子量分布(重量平均分子量(Mw)/数平均分子量(Mn))は、1.5以下であり、1.3以下が好ましく、1.25以下がより好ましい。分子量分布が1.5以下であるポリオキシアルキレン系重合体によれば、硬化性組成物の硬化物の剥離接着強さ及び引張接着強さが優れている。
【0026】
なお、本発明において、ポリオキシアルキレン系重合体(A)の数平均分子量及び重量平均分子量はGPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)法によって測定されたポリスチレン換算した値である。
【0027】
具体的には、ポリオキシアルキレン系重合体6〜7mgを採取し、採取したポリオキシアルキレン系重合体を試験管に供給した上で、試験管に0.05質量%のBHT(ジブチルヒドロキシトルエン)を含むo−DCB(オルトジクロロベンゼン)溶液を加えてポリオキシアルキレン系重合体の濃度が1mg/mLとなるように希釈して希釈液を作製する。
【0028】
溶解濾過装置を用いて145℃にて回転速度25rpmにて1時間に亘って上記希釈液を振とうさせてポリオキシアルキレン系重合体をBHTを含むo−DCB溶液に溶解させて測定試料とする。この測定試料を用いてGPC法によってポリオキシアルキレン系重合体の数平均分子量及び重量平均分子量を測定することができる。
【0029】
ポリオキシアルキレン系重合体における数平均分子量及び重量平均分子量は、例えば、下記測定装置及び測定条件にて測定することができる。
測定装置 TOSOH社製 商品名「HLC-8121GPC/HT」
測定条件 カラム:TSKgelGMHHR-H(20)HT×3本
TSKguardcolumn-HHR(30)HT×1本
移動相:o−DCB 1.0mL/分
サンプル濃度:1mg/mL
検出器:ブライス型屈折計
標準物質:ポリスチレン(TOSOH社製 分子量:500〜8420000)
溶出条件:145℃
SEC温度:145℃
【0030】
架橋性シリル基を有するポリオキシアルキレン系重合体は、市販されているものを用いることができる。例えば、主鎖骨格がポリオキシプロピレンであり、主鎖骨格の末端にジメトキシシリル基を有し且つウレタン結合を有していないポリオキシアルキレン系重合体としては、例えば、AGC社製 商品名「ESS6250」などが挙げられる。
【0031】
[(メタ)アクリレート系重合体(B)]
硬化性組成物は、メトキシシリル基を含有する(メタ)アクリレート系重合体(B)を含有している。なお、メトキシシリル基を含有する(メタ)アクリレート系重合体(B)を単に「(メタ)アクリレート系重合体(B)」ということがある。
【0032】
硬化性組成物が(メタ)アクリレート系重合体(B)を含有していることによって、シランカップリング剤を含有させることなく又は極めて少量のシランカップリング剤の存在によって、硬化性組成物に優れた剥離接着強さ及び引張接着強さなどの接着性を付与することができる。そして、硬化性組成物中のシランカップリング剤の量を極めて少量又は無い状態とすることができるので、硬化性組成物の硬化物は接着亢進せず、硬化性組成物は優れた剥離性を発現する。
【0033】
(メタ)アクリレート系重合体(B)の主鎖骨格は、特に限定されないが、メチル(メタ)アクリレート単位、ブチルアクリレート単位、及びブチルメタクリレート単位を含むことが好ましく、メチルメタクリレート単位、ブチルアクリレート単位、及びブチルメタクリレート単位を含むこと、メチル(メタ)アクリレート単位、n−ブチルアクリレート単位、及びブチルメタクリレート単位を含むことが好ましく、メチルメタクリレート単位、n−ブチルアクリレート単位、及びブチルメタクリレート単位を含むことがより好ましい。
【0034】
即ち、(メタ)アクリレート系重合体(B)の主鎖骨格は、メチル(メタ)アクリレート、ブチルアクリレート及びブチルメタクリレートを含む単量体の共重合体が好ましく、メチルメタクリレート、ブチルアクリレート及びブチルメタクリレートを含む単量体の共重合体、メチル(メタ)アクリレート、n−ブチルアクリレート及びブチルメタクリレートを含む単量体の共重合体が好ましく、メチルメタクリレート、n−ブチルアクリレート及びブチルメタクリレートを含む単量体の共重合体がより好ましい。
【0035】
主鎖骨格がメチル(メタ)アクリレート単位、ブチルアクリレート単位、及びブチルメタクリレート単位を含む(メタ)アクリレート系重合体(B)によれば、硬化性組成物の硬化物の剥離接着強さ及び引張接着強さを向上させることができる。なお、(メタ)アクリレートは、メタクリレート及び/又はアクリレートを意味する。
【0036】
(メタ)アクリレート系重合体(B)の主鎖骨格において、メチル(メタ)アクリレートの含有量は、20〜80質量%が好ましく、30〜70質量%がより好ましく、40〜65質量%が特に好ましい。メチル(メタ)アクリレートの含有量が20質量%以上であると、硬化性組成物の引張接着強さが向上する。メチル(メタ)アクリレートの含有量が80質量%以下であると、硬化性組成物の剥離接着強さが向上する。なお、メチル(メタ)アクリレートの含有量とは、メチルメタクリレート及びメチルアクリレートの総量をいう。
【0037】
(メタ)アクリレート系重合体(B)の主鎖骨格において、ブチルアクリレートの含有量は、5〜40質量%が好ましく、10〜35質量%がより好ましく、15〜25質量%が特に好ましい。ブチルアクリレートの含有量が5質量%以上であると、硬化性組成物の剥離接着強さが向上する。ブチルアクリレートの含有量が40質量%以下であると、硬化性組成物の引張接着強さが向上する。
【0038】
(メタ)アクリレート系重合体(B)の主鎖骨格において、ブチルメタクリレートの含有量は、5〜40質量%が好ましく、10〜35質量%がより好ましく、15〜25質量%が特に好ましい。ブチルメタクリレートの含有量が5質量%以上であると、硬化性組成物の引張接着強さが向上する。ブチルメタクリレートの含有量が40質量%以下であると、硬化性組成物の剥離接着強さが向上する。
【0039】
(メタ)アクリレート系重合体(B)において、主鎖骨格、即ち、主鎖骨格を構成している共重合体に用いられる単量体は、メチル(メタ)アクリレート、ブチルアクリレート及びブチルメタクリレートの他に、他のモノマーを更に含んでいてもよい。他のモノマーとしては、例えば、スチレン、インデン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−クロロスチレン、p−クロロメチルスチレン、p−メトキシスチレン、p−tert−ブトキシスチレン、ジビニルベンゼンなどのスチレン誘導体、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、カプロン酸ビニル、安息香酸ビニル、珪皮酸ビニルなどのビニルエステル基を持つ化合物、無水マレイン酸、N−ビニルピロリドン、N−ビニルモルフォリン、(メタ)アクリロニトリル、(メタ)アクリルアミド、N−シクロヘキシルマレイミド、N−フェニルマレイミド、N−ラウリルマレイミド、N−ベンジルマレイミド、n−プロピルビニルエーテル、n−ブチルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテル、tert−ブチルビニルエーテル、tert−アミルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテル、2−エチルヘキシルビニルエーテル、ドデシルビニルエーテル、オクタデシルビニルエーテル、2−クロロエチルビニルエーテル、エチレングリコールブチルビニルエーテル、トリエチレングリコールメチルビニルエーテル、安息香酸(4−ビニロキシ)ブチル、エチレングリコールジビニルエーテル、ジエチレングリコールジビニルエーテル、トリエチレングリコールジビニルエーテル、テトラエチレングリコールジビニルエーテル、ブタン−1,4−ジオール−ジビニルエーテル、ヘキサン−1,6−ジオール−ジビニルエーテル、シクロヘキサン−1,4−ジメタノール−ジビニルエーテル、イソフタル酸ジ(4−ビニロキシ)ブチル、グルタル酸ジ(4−ビニロキシ)ブチル、コハク酸ジ(4−ビニロキシ)ブチルトリメチロールプロパントリビニルエーテル、2−ヒドロキシエチルビニルエーテル、4−ヒドロキシブチルビニルエーテル、6−ヒドロキシヘキシルビニルエーテル、シクロヘキサン−1,4−ジメタノールモノビニルエーテル、ジエチレングリコールモノビニルエーテル、3−アミノプロピルビニルエーテル、2−(N,N−ジエチルアミノ)エチルビニルエーテル、ウレタンビニルエーテル、ポリエステルビニルエーテルなどのビニロキシ基を持つ化合物などを挙げることができる。これらのモノマーは、単独で用いられても二種以上が併用されてもよい。
【0040】
(メタ)アクリレート系重合体(B)の重合方法としては、特に限定されず、公知の方法を用いることができ、例えば、フリーラジカル重合法、アニオン重合法、カチオン重合法、UVラジカル重合法、リビングアニオン重合法、リビングカチオン重合法、リビングラジカル重合法などの各種重合法が挙げられる。
【0041】
(メタ)アクリレート系重合体(B)は、分子内にメトキシシリル基を有している。メトキシシリル基は、下記式(1)に示したように、ケイ素原子にn個のメトキシ基及び(3−n)個の水素原子が直接結合したケイ素含有基をいう。なお、nは1〜3の整数である。
−SiH
(3-n)(OCH
3)
n (1)
メトキシシリル基としては、例えば、モノメトキシシリル基(n=1)、ジメトキシシリル基(n=2)及びトリメトキシシリル基(n=3)の何れであってもよいが、トリメトキシシリル基が好ましい。
【0042】
(メタ)アクリレート系重合体(B)は、分子内にメトキシシリル基を有しておればよいが、主鎖骨格の側鎖又は末端にメトキシシリル基を有していることが好ましい。(メタ)アクリレート系重合体(B)を、上述したポリオキシアルキレン系重合体(A)と組み合わせて用いることにより、硬化性組成物の硬化物は、優れた剥離接着強さ及び引張接着強さを有する。
【0043】
(メタ)アクリレート系重合体(B)の一分子あたりのメトキシシリル基の平均個数は、1.5〜3個が好ましく、1.8〜2.5個がより好ましい。メトキシシリル基の平均個数が上記範囲内である(メタ)アクリレート系重合体(B)は、硬化性組成物の硬化物が優れた剥離接着強さ及び引張接着強さを有する。
【0044】
(メタ)アクリレート系重合体(B)へのメトキシシリル基の導入方法としては、特に限定されず、例えば、メチル(メタ)アクリレート、ブチルアクリレート、及びブチルメタクリレートを含む単量体の共重合体に不飽和基を導入した後、メトキシシリル基を有するヒドロシランを作用させてヒドロシリル化する方法などを利用することができる。
【0045】
(メタ)アクリレート系重合体(B)の重量平均分子量は、3000〜50000が好ましく、5000〜15000がより好ましく、5000〜10000が特に好ましい。(メタ)アクリレート系重合体(B)の重量平均分子量が上記範囲内であると、硬化性組成物の硬化物の引張接着強さを向上させることができる。
【0046】
硬化性組成物中における(メタ)アクリレート系重合体(B)の含有量は、ポリオキシアルキレン系重合体(A)100質量部に対して5〜100質量部が好ましく、10〜70質量部がより好ましく、10〜50質量部が特に好ましい。硬化性組成物中における(メタ)アクリレート系重合体(B)の含有量が5質量部以上であると、硬化性組成物の硬化物の引張接着強さが向上する。硬化性組成物中における(メタ)アクリレート系重合体(B)の含有量が100質量部以下であると、硬化性組成物の硬化物の引張接着強さ及び剥離性が向上する。
【0047】
[炭酸カルシウム]
硬化性組成物は、炭酸カルシウムを含有している。炭酸カルシウムとしては、特に限定されず、例えば、重質炭酸カルシウム、沈降性炭酸カルシウム、コロライド炭酸カルシウム、軽質炭酸カルシウムなどが挙げられる。
【0048】
重質炭酸カルシウムは、例えば、天然のチョーク(白亜)、大理石、石灰石などの天然の炭酸カルシウムを微粉状に粉砕することにより得ることができる。
【0049】
沈降性炭酸カルシウムは、例えば、石灰石を原料として用い、化学的反応を経て製造することができる。
【0050】
炭酸カルシウムの平均粒子径は、0.02〜3μmが好ましく、0.05〜2.5μmがより好ましく、0.1〜2.5μmが特に好ましい。平均粒子径が0.02μm以上であると、硬化性組成物の硬化物の引張接着強さが向上する。平均粒子径が3μm以下であると、硬化性組成物が塗工性に優れている。
【0051】
なお、炭酸カルシウムの平均粒子径は、炭酸カルシウム1g当たりの比表面積値を用いて下記式に基づいて算出された値をいう。なお、炭酸カルシウム1g当たりの比表面積値は、島津製作所から商品名「SS−100型」にて市販されている粉体比表面積測定装置を用いることができる。
炭酸カルシウムの平均粒子径(μm)
=6×10000/(比重×比表面積)
【0052】
硬化性組成物中における炭酸カルシウムの含有量は、ポリオキシアルキレン系重合体(A)100質量部に対して50〜300質量部が好ましく、100〜280質量部がより好ましく、150〜270質量部がより好ましく、170〜250質量部が特に好ましい。炭酸カルシウムの含有量が50質量部以上であると、硬化性組成物の硬化物の引張接着強さ及び剥離接着強さが向上する。炭酸カルシウムの含有量が300質量部以下であると、硬化性組成物の塗工性が向上する。
【0053】
[溶剤]
硬化性組成物は溶剤を含有していてもよい。溶剤としては、特に限定されず、炭化水素系溶剤、エーテル系溶剤、エステル系溶剤などが挙げられ、炭化水素系溶剤が好ましい。
【0054】
炭化水素系溶剤としては、例えば、n−ペンタン、i−ペンタン、n−ヘキサン、i−ヘキサン、n−ヘプタン、i−ヘプタン、2,2,4−トリメチルペンタン、n−オクタン、i−オクタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサンなどの脂肪族炭化水素系溶剤、ベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレン、エチルベンゼン、トリメチルベンゼン、メチルエチルベンゼン、n−プロピルベンゼン、i−プロピルベンゼン、ジエチルベンゼン、i−ブチルベンゼン、トリエチルベンゼン、ジ−i−プロピルベンセン、n−アミルナフタレンなどの芳香族炭化水素系溶剤などが挙げられる。
【0055】
エーテル系有機溶剤としては、例えば、ジエチルエーテル、ジプロピルエーテルなどのジ脂肪族エーテル、アニソール、フェニルエチルエーテルなどの芳香族−脂肪族エーテル、ジフェニルエーテルなどのジ芳香族エーテル、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、ジオキサンなどの環状エーテルなどが挙げられる。
【0056】
エステル系溶剤としては、例えば、ジエチルカーボネート、プロピレンカーボネートなどのカーボネート、γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトンなどのラクトン、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸n−プロピル、酢酸i−プロピル、酢酸n−ブチル、酢酸i−ブチル、酢酸sec−ブチル、酢酸n−ペンチル、酢酸sec−ペンチル、酢酸3−メトキシブチル、酢酸メチルペンチル、酢酸2−エチルブチル、酢酸2−エチルヘキシル、酢酸ベンジル、酢酸シクロヘキシル、酢酸メチルシクロヘキシル、酢酸n−ノニル、酢酸メトキシトリグリコールなどの酢酸エステルなどが挙げられる。
【0057】
溶剤の沸点は、60〜200℃が好ましい。溶剤の沸点が上記範囲内であると、硬化性組成物の硬化物は、優れた剥離接着強さ及び引張接着強さを有する。更に、硬化性組成物の硬化物を介して接着させた床仕上げ材などの接着物を、床下地材などの被着体から容易に剥離することができる。溶剤の沸点は、1気圧(1013.25hPa)下における沸点をいう。
【0058】
硬化性組成物中における溶剤の含有量は、ポリオキシアルキレン系重合体(A)100質量部に対して5〜70質量部が好ましく、8〜60質量部がより好ましく、9〜50質量部が特に好ましい。溶剤の含有量が上記範囲内であると、硬化性組成物の硬化物は、優れた剥離接着強さ及び引張接着強さを有すると共に、硬化性組成物の硬化物の剥離性も向上する。
【0059】
[アミノシランカップリング剤]
硬化性組成物は、アミノシランカップリング剤を含有していてもよいが、含有していなくてもよい。硬化性組成物がアミノシランカップリング剤を含有している場合、アミノシランカップリング剤の含有量は、ポリオキシアルキレン系重合体(A)100質量部に対して1質量部以下が好ましい。硬化性組成物にアミノシランカップリング剤が含有されるとによって、硬化性組成物の硬化物の剥離性が向上すると共に、硬化性組成物の硬化物の引張接着強さが向上する。
【0060】
アミノシランカップリング剤とは、一分子中にアルコキシ基が結合した珪素原子と、窒素原子を含有する官能基とを含有している化合物を意味する。アミノシランカップリング剤を用いることにより、硬化性組成物の硬化物の引張接着強さを向上させることができる。
【0061】
アミノシランカップリング剤として、具体的には、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N,N’−ビス−〔3−(トリメトキシシリル)プロピル〕エチレンジアミン、N,N’−ビス−〔3−(トリエトキシシリル)プロピル〕エチレンジアミン、N,N’−ビス−〔3−(メチルジメトキシシリル)プロピル〕エチレンジアミン、N,N’−ビス−〔3−(トリメトキシシリル)プロピル〕ヘキサメチレンジアミン、N,N’−ビス−〔3−(トリエトキシシリル)プロピル〕ヘキサメチレンジアミンなどが挙げられる。これらのアミノシランカップリング剤は、単独で用いられても二種以上が併用されてもよい。
【0062】
なかでも、アミノシランカップリング剤としては、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、及びN−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリエトキシシランが好ましく、3−アミノプロピルトリメトキシシラン,N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシランがより好ましく,3−アミノプロピルトリメトキシシランが特に好ましい。
【0063】
[可塑剤]
硬化性組成物は、可塑剤を含有していてもよい。
【0064】
可塑剤としては、例えば、フタル酸ジメチル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジブチル、フタル酸ジイソブチル、フタル酸ジノルマルヘキシル、フタル酸ビス(2−エチルヘキシル)、フタル酸ジノルマルオクチル、フタル酸ジイソノニル、フタル酸ジノニル、フタル酸ジイソデシル、フタル酸ジイソウンデシル、及びフタル酸ビスブチルベンジルなどのフタル酸エステル;アジピン酸ジオクチル、セバシン酸ジオクチル、セバシン酸ジブチル、及びコハク酸イソデシルなどの非芳香族二塩基酸エステル;オレイン酸ブチル、及びアセチルリシノール酸メチルなどの脂肪族エステル;ジエチレングリコールジベンゾエート、トリエチレングリコールジベンゾエート、及びペンタエリスリトールエステルなどのポリアルキレングリコールのエステル;並びにトリクレジルホスフェート、及びトリブチルホスフェートなどのリン酸エステルなどが挙げられる。これらの可塑剤は、単独で用いられても二種以上が併用されてもよい。
【0065】
なかでも、可塑剤としては、ポロプロピレングルコールが好ましい。可塑剤の数平均分子量は2000〜5000が好ましい。これらの可塑剤によれば、硬化性組成物の硬化物の剥離接着性をより向上させることができる。なお、可塑剤の数平均分子量は、ポリオキシアルキレン系重合体(A)の数平均分子量の測定方法と同様の要領で測定された値をいう。
【0066】
硬化性組成物中における可塑剤の含有量は、ポリオキシアルキレン系重合体(A)100質量部に対して10〜100質量部が好ましく、20〜70質量部がより好ましい。硬化性組成物中における可塑剤の含有量が10質量部以上であると、硬化性組成物の硬化物に糊残りを生じさせることなく、被着体から接着物を剥離することができる。硬化性組成物中における可塑剤の含有量が100質量部以下であると、可塑剤が硬化性組成物の硬化物の表面に滲み出すことを抑制し、硬化物の耐候性の向上を図ることができる。
【0067】
[脱水剤]
硬化性組成物は、脱水剤をさらに含んでいることが好ましい。脱水剤によれば、硬化性組成物を保存している際に、空気中などに含まれている水分によって硬化性組成物が硬化することを抑制することができる。
【0068】
脱水剤としては、ビニルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、テトラエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、テトラメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、及びジフェニルジメトキシシランなどのシラン化合物;並びにオルトギ酸メチル、オルトギ酸エチル、オルト酢酸メチル、及びオルト酢酸エチルなどのエステル化合物などを挙げることができる。これらの脱水剤は、単独で用いられても二種以上が併用されてもよい。なかでも、ビニルトリメトキシシランが好ましい。
【0069】
硬化性組成物中における脱水剤の含有量は、ポリオキシアルキレン系重合体(A)100質量部に対して0.5〜20質量部が好ましく、1〜10質量部がより好ましく、3〜8質量部が特に好ましい。硬化性組成物中における脱水剤の含有量が1質量部以上であると、硬化性組成物の保存安定生が向上する。硬化性組成物中における脱水剤の含有量が20質量部以下であると、硬化性組成物の硬化性が向上する。
【0070】
[耐候安定剤]
硬化性組成物は、耐候安定剤を更に含有していることが好ましい。耐候安定剤としては、酸化防止剤、紫外線吸収剤、及び光安定化剤が好ましく挙げられる。これらの耐候安定剤を用いることによって、硬化性組成物の硬化物の耐候性を向上させることができる。耐候安定剤は、単独で用いられても二種以上が併用されてもよい。
【0071】
酸化防止剤としては、ヒンダードフェノール系酸化防止剤、モノフェノール系酸化防止剤、ビスフェノール系酸化防止剤、及びポリフェノール系酸化防止剤などが挙げられる。なかでも、ヒンダードフェノール系酸化防止剤が好ましい。ヒンダードフェノール系酸化防止剤として、具体的には、ペンタエリスリトールテトラキス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート](融点118℃)、オクタデシル−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート](融点52℃)、及びN,N′−ヘキサン−1,6−ジイルビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニルプロピオンアミド)](融点158℃)などが挙げられ、ペンタエリスリトールテトラキス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]が好ましい。ヒンダードフェノール系酸化防止剤としては、BASF社製 IRGANOX(登録商標)1135(融点5℃)などの市販品を用いることもできる。
【0072】
硬化性組成物中における酸化防止剤の含有量は、ポリオキシアルキレン系重合体(A)100質量部に対して0.1〜20質量部が好ましく、0.3〜10質量部がより好ましく、0.5〜5質量部が特に好ましい。
【0073】
紫外線吸収剤としては、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤などが挙げられる。なかでも、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤が好ましい。ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤として、具体的には、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−p−クレゾール(融点130℃)、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−6−ビス(1−メチル−1−フェニルエチル)フェノール(融点139℃)、2−[5−クロロ(2H)−ベンゾトリアゾール−2−イル]−4−メチル−6−(tert−ブチル)フェノール(融点139℃)、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4,6−ジ−tert−ペンチルフェノール(融点84℃)、及び2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェノール(融点104℃)などが挙げられ、2−[5−クロロ(2H)−ベンゾトリアゾール−2−イル]−4−メチル−6−(tert−ブチル)フェノールが好ましい。ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤としては、BASF社製 TINUVIN(登録商標)384−2(融点10℃以下)などの市販品を用いることもできる。
【0074】
硬化性組成物中における紫外線吸収剤の含有量は、ポリオキシアルキレン系重合体(A)100質量部に対して0.1〜20質量部が好ましく、0.1〜10質量部がより好ましく、0.5〜5質量部が特に好ましい。
【0075】
光安定剤としては、ヒンダードアミン系光安定剤、ヒンダードフェノール系光安定剤などが挙げられる。具体的には、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート及びメチル1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジルセバケートの混合物(融点10℃以下)、ジブチルアミン・1,3,5−トリアジン・N,N’−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル−1,6−ヘキサメチレンジアミンとN−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)ブチルアミンとの重縮合物(融点135℃)、ポリ[{6−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)アミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジイル}{(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}ヘキサメチレン{(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}](融点118℃)、コハク酸ジメチルと4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチル−1−ピペリジンエタノールの重縮合物(融点63℃)などが挙げられる。
【0076】
硬化性組成物中における光安定剤の含有量は、ポリオキシアルキレン系重合体(A)100質量部に対して0.5〜20質量部が好ましく、1〜10質量部がより好ましく、1〜5質量部が特に好ましい。
【0077】
硬化性組成物は、上述した成分の他にも、チキソ性付与剤、顔料、染料、及び沈降防止剤などの他の添加剤を含んでいてもよい。他の添加剤は、単独で用いられても二種以上が併用されてもよい。
【0078】
チキソ性付与剤は、硬化性組成物にチキソトロピー性を発現せることができるものであればよい。チキソ性付与剤としては、水添ひまし油、脂肪酸ビスアマイド、ヒュームドシリカなどが好ましく挙げられる。
【0079】
硬化性組成物中におけるチキソ性付与剤の含有量は、ポリオキシアルキレン系重合体(A)100質量部に対して0.1〜200質量部が好ましく、1〜150質量部がより好ましい。硬化性組成物中におけるチキソ性付与剤の含有量が0.1質量部以上であると、硬化性組成物に優れたチキソトロピー性を付与することができる。硬化性組成物中におけるチキソ性付与剤の含有量が200質量部以下であると、硬化性組成物の塗工性を向上させることができる。
【0080】
[シラノール縮合触媒]
シラノール縮合触媒としては、例えば、ジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫オキサイド、ジブチル錫ジアセテート、ジブチル錫フタレート、ビス(ジブチル錫ラウリン酸)オキサイド、ジブチル錫ビス(アセチルアセトナート)、ジブチル錫ビス(モノエステルマレート)、オクチル酸錫、ジブチル錫オクトエート、ジオクチル錫オキサイド、ジブチル錫ビス(トリエトキシシリケート)、ジオクチル錫ジラウレート、ビス(ジブチル錫ビストリエトキシシリケート)オキサイド、ジブチル錫オキシビスエトキシシリケート、及び1,1,3,3−テトラブチル−1,3−ジラウリルオキシカルボニル−ジスタノキサンなどの有機錫系化合物;テトラ−n−ブトキシチタネート、及びテトライソプロポキシチタネートなどの有機チタン系化合物;1,5,7−トリアザビシクロ[4.4.0]デカー5−エン、7−メチル−1,5,7−トリアザビシクロ[4.4.0]デカー5−エン、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン、6−ジブチルアミノ−1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン、1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]ノナー5−エンなどのシクロアミジン系化合物;ジブチルアミン−2−エチルヘキソエートなどが挙げられ、ジブチル錫ジラウレートが好ましい。また、他の酸性触媒や塩基性触媒もシラノール縮合触媒として用いることができる。
【0081】
硬化性組成物中におけるシラノール縮合触媒の含有量は、ポリオキシアルキレン系重合体(A)100質量部に対して0.1〜10質量部が好ましい。
【0082】
硬化性組成物は、上記ポリオキシアルキレン系重合体(A)、上記メトキシシリル基を含有する(メタ)アクリレート系重合体(B)及び炭酸カルシウム(C)、並びに必要に応じて他の添加剤を混合する方法により製造することができる。混合は減圧下で行うことが好ましく、硬化性組成物は、外気中の水分との反応を防止するため、密封された容器に保管することが好ましい。
【0083】
硬化性組成物の23℃における粘度は、10000〜150000mPa・sが好ましく、20000〜100000mPa・sがより好ましい。硬化性組成物の23℃における粘度が上記範囲内であると、硬化性組成物は優れた塗工性を有する。なお、硬化性組成物の23℃における粘度は、JIS K6833に準拠してB型粘度計を用いて23℃、10回転/分の条件下にて測定された粘度をいう。
【実施例】
【0084】
以下、本発明を更に詳細に、より具体的に説明することを目的として、実施例を用いて本発明を説明する。これらの実施例は、本発明を説明するためのものであり、本発明を何ら制限するものではない。
【0085】
実施例及び比較例において使用した化合物を下記に示す。
[ポリオキシアルキレン系重合体(A)]
・主鎖骨格がポリオキシプロピレンであり且つ主鎖骨格の末端にウレタン結合を介することなくジメトキシシリル基を有しているポリオキシアルキレン系重合体(A1)(数平均分子量:14000、分子量分布(Mw/Mn):1.20、AGC社製 製品名「ESS6530」)
・主鎖骨格がポリオキシプロピレンであり且つ主鎖骨格の末端にウレタン結合を介することなくジメトキシシリル基を有しているポリオキシアルキレン系重合体(A2)(数平均分子量Mn:17000、分子量分布(Mw/Mn):1.39、AGC社製 製品名「ESS2420」)
[(メタ)アクリレート系重合体(B)]
・主鎖骨格がメチルメタクリレート単位、n−ブチルアクリレート単位及びブチルメタクリレート単位を含有し(メチルメタクリレート単位の含有量:60質量%、n−ブチルアクリレート単位の含有量:20質量%、ブチルメタクリレート単位の含有量:20質量%、主鎖骨格がメチルメタクリレート60質量%、n−ブチルアクリレート20質量%及びブチルメタクリレート20質量%を含む単量体の共重合体)且つ主鎖骨格の側鎖又は末端にトリメトキシシリル基を有している(メタ)アクリレート系重合体(B1)(東亞合成株式会社製 商品名「アルフォンRA−100」、重量平均分子量:8200、1分子あたりのトリメトキシシリル基の平均個数:2.2個)
【0086】
[炭酸カルシウム(C)]
・炭酸カルシウム(C1)(日東粉化社製 商品名「NCC2310」、平均粒子径:1.0μm)
【0087】
[アミノシランカップリング剤]
・アミノシランカップリング剤(3−アミノプロピルトリメトキシシラン(信越化学工業社製 商品名「KBM−903」))
【0088】
[溶剤]
・炭化水素系溶剤(1)(東燃ゼネラル石油社製 商品名「アイソパーG」、沸点:177℃(1気圧))
・炭化水素系溶剤(2)(東燃ゼネラル石油社製 商品名「アイソパーM」、沸点:254℃(1気圧))
【0089】
[可塑剤]
・可塑剤(AGC社製 商品名「エクセノール3020」)
【0090】
[脱水剤]
・脱水剤(ビニルトリメトキシシラン、信越化学工業社製 商品名「KBM−1003」)
【0091】
[耐光安定剤]
・ヒンダードフェノール系酸化防止剤(ペンタエリスリトールテトラキス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、融点:118℃、BASF社製 商品名「IRGANOX(登録商標)1010」)
・ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤(2−[5−クロロ(2H)−ベンゾトリアゾール−2−イル]−4−メチル−6−(tert−ブチル)フェノール、融点:139℃、BASF社製 商品名「TINUVIN(登録商標)326」)
【0092】
[シラノール縮合触媒]
・ジブチル錫ジラウレート
【0093】
(実施例1〜13、比較例1及び2)
ポリオキシアルキレン系重合体(A)、(メタ)アクリレート系重合体(B)、アミノシランカップリング剤、炭酸カルシウム(C)、溶剤、可塑剤、脱水剤、耐光安定剤及びシラノール縮合触媒をそれぞれ表1に示した配合量となるようにして、密封した攪拌機中で減圧しながら均一になるまで混合することにより硬化性組成物を調製した。
【0094】
得られた硬化性組成物について、引張接着強さ、剥離接着強さ及び剥離性を下記の要領で測定し、その結果を表1に示した。
【0095】
得られた硬化性組成物の23℃における粘度を上述の要領で測定し、その結果を表1に示した。
【0096】
(引張接着強さ)
硬化性組成物の常態引張接着強さをJIS A5536 6.3.2 d)1)に準拠して測定した。試験用床タイルとして東リ社から製品名「ロイヤルストーン」にて市販されているシートを用いた。下地材として厚さ20mmのモルタル板を用いた。
【0097】
(剥離接着強さ)
硬化性組成物の常態剥離接着強さ(90度剥離試験)をJIS A5536 6.3.3 e)1)に準拠して測定した。試験用床シートとして東リ社から製品名「フロアリュームプレーン 厚み2mm」にて市販されているシートを用いた。下地材として厚さ10mmのモルタル板を用いた。
【0098】
(剥離性)
モルタル板(縦:70mm×横:70mm×厚み:10mm)に硬化性組成物を10mm径にビード塗工した後、ポリ塩化ビニルシートを硬化性組成物上に配設した。硬化性組成物を23℃、相対湿度50%にて1か月にわたって養生して硬化物とし、モルタル板上に硬化性組成物の硬化物を介してポリ塩化ビニルシートを敷設一体化した。
【0099】
次に、ポリ塩化ビニルシートをモルタル板から手で剥離させた。剥離させた状態を目視観察して下記基準に基づいて評価した。
【0100】
A:モルタル板と硬化性組成物の硬化物との界面で剥離していた。
B:硬化性組成物の硬化物が凝集破壊した。凝集物は、モルタル板と凝集物の界面にお
いてモルタル板から容易に剥離できた。
C:硬化性組成物の硬化物が凝集破壊した。凝集物は、モルタル板と凝集物の界面におい
てモルタル板から剥離するにはスクレーパが必要であった。
D:ポリ塩化ビニルシートが破壊していた。
【0101】
【表1】