【解決手段】本発明の解決手段は、(メタ)アクリレートモノマー(A)、植物油変性(メタ)アクリレート(B)、ワックス(C)、光重合開始剤(D)、及びバインダー樹脂(E)を含有することを特徴とする活性エネルギー線硬化型オフセットインキに関するものである。
(メタ)アクリレートモノマー(A)、植物油変性(メタ)アクリレート(B)、ワックス(C)、光重合開始剤(D)及びバインダー樹脂(E)を含有する事を特徴とする活性エネルギー線硬化型オフセットインキ。
前記植物油変性(メタ)アクリレート(B)が、エポキシ化大豆油変性アクリレートであり、前記エポキシ化大豆油変性アクリレートの添加量がインキ全量の5〜25質量%である請求項1に記載の活性エネルギー線硬化型オフセットインキ。
前記(メタ)アクリレートモノマー(A)が、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレートとジペンタエリスリトールペンタアクリレートの混合物、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、及びトリメチロールプロパンエチレンオキサイド変性トリアクリレートから成る群から選ばれる何れか1つ以上であり、これらの添加量の総量がインキ全量の5〜50質量%である請求項1又は2に記載の活性エネルギー線硬化型オフセットインキ。
前記ワックス(C)が、ポリエチレンワックス、エチレン−プロピレン共重合体ワックス、4フッ化エチレン樹脂ワックス、フィッシャー・トロプシュワックス、及びマイクロクリスタリンワックスから成る群から選ばれる何れか1つ以上であり、これらワックスの添加量の総量がインキ全量の0.1〜5質量%である請求項1〜3の何れか1つに記載の活性エネルギー線硬化型オフセットインキ。
前記バインダー樹脂(E)が、ジアリルオルトフタレート樹脂、及び/又はジアリルイソフタレート樹脂であり、バインダー樹脂(E)の総量がインキ全量の5〜25質量%である請求項1〜4に記載の活性エネルギー線硬化型オフセットインキ。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の、活性エネルギー線硬化型オフセットインキは、(メタ)アクリレートモノマー(A)、植物油変性(メタ)アクリレート(B)、ワックス(C)、光重合開始剤(D)、及びバインダー樹脂(E)を含有する事で目的とする本発明の効果を奏するものである。
【0015】
本発明の活性エネルギー線硬化型オフセットインキで使用する(メタ)アクリレートモノマー(A)について説明する。 尚、本発明において、「(メタ)アクリレート」とは、アクリレート及びメタクリレートの一方または両方をいい、「(メタ)アクリル化合物」とは、アクリル化合物及びメタクリル化合物」の一方または両方をいう。
(メタ)アクリレートモノマー(A)としては、単官能(メタ)アクリレート、多官能(メタ)アクリレート、重合性オリゴマー等が挙げられる。
【0016】
単官能(メタ)アクリレートとしては、例えば、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、ヘキサデシル(メタ)アクリレート、オクタデシル(メタ)アクリレート、イソアミル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、イソステアリル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、メトキシエチル(メタ)アクリレート、ブトキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、ノニルフェノキシエチル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、3−クロロ−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ノニルフェノキシエチルテトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニロキシエチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0017】
2官能以上の(メタ)アクリレートとしては、例えば、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、3−メチル−1,5−ペンタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、2−メチル−1,8−オクタンジオールジ(メタ)アクリレート、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオールジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメタノールジ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート等の2価アルコールのジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートのジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコール1モルに4モル以上のエチレンオキサイドもしくはプロピレンオキサイドを付加して得たジオールのジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールA1モルに2モルのエチレンオキサイドもしくはプロピレンオキサイドを付加して得たジオールのジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールのポリ(メタ)アクリレート等の3価以上の多価アルコールのポリ(メタ)アクリレート、グリセリン1モルに3モル以上のエチレンオキサイドもしくはプロピレンオキサイドを付加して得たトリオールのトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパン1モルに3モル以上のエチレンオキサイドもしくはプロピレンオキサイドを付加して得たトリオールのジ又はトリ(メタ)アクリレート、ビスフェノールA1モルに4モル以上のエチレンオキサイドもしくはプロピレンオキサイドを付加して得たジオールのジ(メタ)アクリレート等のポリオキシアルキレンポリオールのポリ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0018】
重合性オリゴマーとしては、アミン変性ポリエーテルアクリレート、アミン変性エポキシアクリレート、アミン変性脂肪族アクリレート、アミン変性ポリエステルアクリレート、アミノ(メタ)アクリレートなどのアミン変性アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレート、ポリエーテル(メタ)アクリレート、ポリオレフィン(メタ)アクリレート、ポリスチレン(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0019】
中でも、2官能以上の(メタ)アクリレートにあたるジペンタエリスリトールヘキサアクリレートとジペンタエリスリトールペンタアクリレートの混合物 (DPHAと略する場合がある)、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート(DTMPTAと略する場合がある)、トリメチロールプロパン1モルに3モル以上のエチレンオキサイドを付加して得たトリオールのトリ(メタ)アクリレートであるトリメチロールプロパンエチレンオキサイド付加体トリ(メタ)アクリレートが良好な耐スクラッチ性を保ちつつ、前記植物油変性(メタ)アクリレート(B)と組み合わせることで「耐罫割れ性」を抑制できる点でより好ましい。前記トリメチロールプロパンエチレンオキサイド付加体トリ(メタ)アクリレートとしては、代表的なものとしてトリメチロールプロパンエチレンオキサイド(EO)変性(n≒3)トリアクリレートが挙げられる。
前記したジペンタエリスリトールヘキサアクリレートとジペンタエリスリトールペンタアクリレートの混合物 (DPHA)、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート(DTMPTA)、及びトリメチロールプロパンエチレンオキサイド変性トリアクリレートからなる群から選ばれる何れか1つ以上である(メタ)アクリレートモノマー(A)の総量が、インキ全量の5〜50質量%の範囲が好ましく、より好ましくは10〜45質量%であり、30〜45質量%の範囲であれば更に好ましい。
【0020】
本発明では、植物由来の原材料を用いた植物油変性(メタ)アクリレート(B)を本発明の活性エネルギー線硬化型オフセットインキで使用する事で、二酸化炭素排出量低減等の効果をもたらす。
なお、本発明において、植物油変性(メタ)アクリレート(B)であり、尚且つアクリレートモノマー(A)でもあるアクリレートモノマーは、アクリレートモノマー(B)(植物油変性(メタ)アクリレート(A)では無いものとする)である。
【0021】
前記植物油変性(メタ)アクリレート(B)の中でも、エポキシ化植物油変性アクリレートが好ましい。
【0022】
前記エポキシ化植物油変性アクリレートの反応原料であるエポキシ化植物油としては、例えば、エポキシ化大豆油、エポキシ化亜麻仁油、エポキシ化桐油、エポキシ化ひまし油、エポキシ化パーム油、エポキシ化綿実油、エポキシ化ツバキ油、エポキシ化オリーブ油、エポキシ化コーン油、エポキシ化やし油、及びエポキシ化サフラワー油などが挙げられる。これらを単独または2種類以上組み合わせて使用することができる。
これらのエポキシ化植物油の中でも、特に、エポキシ化大豆油、エポキシ化亜麻仁油、エポキシ化桐油、エポキシ化ひまし油から選ばれるものが好ましく、特にエポキシ化大豆油が好適である。
前記エポキシ化大豆油の具体例としては、PHOTOMER3005(IGM Resins B.V.社製)、EB860、EB5848(ダイセル・オルネクス(株)社製)、MIRAMER PE3130(MIWON社製)、LAROMER EA9101(BASF社製)、CN111(SARTOMER社製)等を挙げることができ、これらは単独で使用してもよく、また2種以上を適宜組み合わせて使用してもよい。
【0023】
これにより柔軟性に優れる前記エポキシ化大豆油変性アクリレートと、柔軟性に劣るジペンタエリスリトールヘキサアクリレートとジペンタエリスリトールペンタアクリレートの混合物 (DPHA)、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート(DTMPTA)、トリメチロールプロパンエチレンオキサイド変性トリアクリレート等と適量範囲で併用する事で、インキ塗膜の被膜強度と柔軟性のバランスをとる事ができ、耐罫割れ性と耐スクラッチ性を保持する事ができるものである。
【0024】
本発明の活性エネルギー線硬化型オフセットインキでは、硬化皮膜の皮膜強度がやや十分でなくとも、ワックス(C)を添加することで耐スクラッチ性を保つ事ができる。前記ワックス(C)としては、ポリオレフィンワックス、パラフィンワックス、フィッシャー・トロプシュワックス、カルナバワックス、みつろう、マイクロクリスタリンワックス、酸化ポリエチレンワックス、アマイドワックスなどのワックス、ヤシ油脂肪酸や大豆油脂肪酸などを挙げることができる。
中でもポリオレフィンワックス、フィッシャー・トロプシュワックス、マイクロクリスタリンワックスが好ましく、ポリオレフィンワックスの具体例としてはポリエチレンワックス(SHAMROCK TECNOLOGIE社製、S−394−N1等)、エチレン−プロピレン共重合体ワックス(SHAMROCK TECNOLOGIE社製、S−381−N1等)、4フッ化エチレン樹脂ワックス((株)喜多村社製 KTL−4N等)が挙げられ、フィッシャー・トロプシュワックスの具体例としてはSASOL社製 SASOL WAX SPRAY 30等、マイクロクリスタリンワックスの具体例をしては日本精蝋(株)社製 LUVAX−2191等が挙げられ、好ましい。
前記ポリエチレンワックス、エチレン−プロピレン共重合体ワックス、4フッ化エチレン樹脂ワックス、フィッシャー・トロプシュワックス、及びマイクロクリスタリンワックスは単体で用いてもよいし、複数組み合わせて使用してもよい。
これらワックスの添加量の総量がインキ全量の0.1〜5質量%が好ましく、0.1質量%以上であれば、耐スクラッチ性を保持できる傾向にあり、5質量%以下であれば光沢性が保持できる傾向にある。
【0025】
本発明の活性エネルギー線硬化型オフセットインキは、基材に印刷後、活性エネルギー線を照射することで硬化塗膜とすることができる。
前記活性エネルギー線としては、紫外線、電子線、α線、β線、γ線のような電離放射線であるが、具体的なエネルギー源又は硬化装置としては、例えば、殺菌灯、紫外線用蛍光灯、紫外線発光ダイオード(UV−LED)、カーボンアーク、キセノンランプ、複写用高圧水銀灯、中圧又は高圧水銀灯、超高圧水銀灯、無電極ランプ、メタルハライドランプ、自然光等を光源とする紫外線、又は走査型、カーテン型電子線加速器による電子線等が挙げられる。
【0026】
前記活性エネルギー線として紫外線を使用する場合、添加する光重合開始剤(D)とし分子内開裂型光重合開始剤及び水素引き抜き型光重合開始剤が挙げられる。
前記分子内開裂型光重合開始剤としては、例えば、ジエトキシアセトフェノンのアセトフェノン系化合物;1−[4−(フェニルチオ)−,2−(O−ベンゾイルオキシム)]、1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]−,1−(O−アセチルオキシム)等のオキシム系化合物、3,6−ビス(2−メチル−2−モルフォリノプロパノニル)−9−ブチルカルバゾール等のカルバゾール系化合物、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル等のベンゾイン系化合物;2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)ブタン−1−オン、2−(ジメチルアミノ)−2−(4−メチルベンジル)−1−(4−モルフォリノフェニル)ブタン−1−オン、2−メチル−2−モルホリノ((4−メチルチオ)フェニル)プロパン−1−オン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタノン等のアミノアルキルフェノン系化合物;ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチル−ペンチルフォスフィンオキサイド等のアシルホスフィンオキシド系化合物;ベンジル、メチルフェニルグリオキシエステル等が挙げられる。
【0027】
また、前記水素引き抜き型光重合開始剤については、ベンゾフェノン系化合物、チオキサントン系化合物、アミノベンゾフェノン系化合物等の光重合開始剤を使用してもよい。これらの光重合開始剤は、単独で用いることも、2種以上を併用することもできる。
【0028】
前記光重合開始剤(D)の含有量の総計としては、インキ全量の3〜20質量%の範囲が好ましい。3質量%以上であれば十分な硬化性を得ることができ、また、20質量%以下であれば(メタ)アクリレートモノマーに対して溶解し、流動性を損ねる事も抑制できる。
【0029】
本発明の活性エネルギー線硬化型オフセットインキで使用するバインダー樹脂(E)としては、ポリウレタン樹脂、アミノ樹脂、フェノール樹脂、ポリアミド、セルロース誘導体、フッ素樹脂、ジアリルフタレート樹脂、ビニル系樹脂、ポリオレフィン、天然ゴム誘導体、アクリル樹脂、ケトンアルデヒド縮合樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル、ポリスチレン、アルキド樹脂、ロジン変性アルキド樹脂、アマニ油変性アルキド樹脂等が挙げられ、これらを単独で使用しても、複数を組合せて使用してもよい。
中でもジアリルフタレート樹脂が好ましく、耐乳化適性、ロングランでの印刷適性を付与するために特に有用である。
ジアリルフタレート樹脂の例としては、ジアリルオルトフタレート(ダイソーダップAダイソー社製)、ジアリルイソフタレート(ダイソーイソダップ ダイソー社製)が挙げられる。
本発明の活性エネルギー線硬化型オフセットインキにおいて、ジアリルフタレート樹脂の含有量は、インキ全量の5〜25質量%であることが好ましく、5〜20質量%であることがより好ましい。
ジアリルフタレート樹脂の含有量が5質量以上であれば、十分なインキ粘度が得られ、印刷上、ドットゲインや汚れ等のトラブルが抑制できる傾向にある。一方で、ジアリルフタレート樹脂の含有量が25質量%以下であれば、インキの流動性を著しく損なう事なく、十分な印刷適性を付与することができる。
【0030】
本発明の活性エネルギー線硬化型オフセットインキは必要に応じて更に、光増感剤、酸化防止剤、重合禁止剤、シリコン系添加剤、顔料、染料等を含有しても良い。
【0031】
前記顔料としては、公知慣用の無機顔料や有機顔料を使用することができる。
【0032】
前記無機顔料としては、例えば、酸化鉄や、コンタクト法、ファーネス法、サーマル法等の公知の方法によって製造されたカーボンブラック等がある。
例えば、ラーベン14、ラーベン450、ラーベン860Ultra、ラーベン1035、ラーベン1040、ラーベン1060Ultra、ラーベン1080Ultra、ラーベン1180、ラーベン1255(以上、BIRLA ARBON社製)、リーガル250R、リーガル400R、リーガル330R、リーガル660R、モーグルL(以上、キャボット社製)、MA7、MA8、MA11(以上、三菱化学社製)等を挙げることができ、これらは単独で使用してもよく、また2種以上を適宜組み合わせて使用してもよい。
【0033】
前記有機顔料としては、例えば、キナクリドン顔料、キナクリドンキノン顔料、ジオキサジン顔料、フタロシアニン顔料、アントラピリミジン顔料、アンサンスロン顔料、インダンスロン顔料、フラバンスロン顔料、ペリレン顔料、ジケトピロロピロール顔料、ペリノン顔料、キノフタロン顔料、アントラキノン顔料、チオインジゴ顔料、ベンツイミダゾロン顔料、アゾ顔料等が挙げられる。これらの顔料は、単独で用いることも2種以上を併用することもできる。
【0034】
イエローインキに使用される顔料の具体例としては、C.I.ピグメントイエロー1、2、12、13、14、16、17、73、74、75、83、93、95、97、98、109、110、114、120、128、129、138、150、151、154、155、174、180、185等が挙げられる。
【0035】
また、マゼンタインキに使用される顔料の具体例としては、C.I.ピグメントレッド5、7、12、48(Ca)、48(Mn)、57(Ca)、57:1、112、122、123、146、168、176、184、185、202、209、269等、C.I.ピグメントバイオレット19等が挙げられる。
【0036】
また、シアンインキに使用される顔料の具体例としては、C.I.ピグメントブルー1、2、3、15、15:3、15:4、16、22、60、63、66等が挙げられる。
【0037】
本発明の活性エネルギー線硬化型オフセットインキで使用する印刷基材としては特に限定は無いが、例えばカタログ、ポスター、チラシ、CDジャケット、ダイレクトメール、パンフレット、化粧品や飲料、医薬品、おもちゃ、機器等のパッケージ等の印刷に用いられる上質紙、コート紙、アート紙、模造紙、薄紙、厚紙等の紙、各種合成紙等に対し使用する事ができる。
ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、塩化ビニル樹脂、塩化ビニリデン樹脂、ポリビニルアルコール、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアクリロニトリル、エチレン酢酸ビニル共重合体、エチレンビニルアルコール共重合体、エチレンメタクリル酸共重合体、ナイロン、ポリ乳酸、ポリカーボネート等のフィルム又はシート、セロファン、アルミニウムフォイル、その他従来から印刷基材として使用されている各種基材に対しても特に問題はない。
また、金属基材、ガラス基材、紙基材、木材基材、繊維質基材等のその他の基材に用いてもよい。
【0038】
本発明で述べる活性エネルギー線硬化型オフセットインキの製造は、従来の活性エネルギー線硬化型オフセットインキと同様に、前記体質顔料、(メタ)アクリレートモノマー、植物油変性(メタ)アクリレート、バインダー樹脂、ワックス、光重合開始剤、顔料、その他添加剤等を配合してミキサー等で撹拌混合し、三本ロールミル、ビーズミル等の分散機を用いて練肉することで製造される。
【実施例】
【0039】
以下、実施例と比較例とにより、本発明を具体的に説明する。なお、以下実施例中にある部とは質量部を、%とは質量%を表す。
【0040】
なお、本実施例において、重量平均分子量(Mw)は、ゲルパーミッションクロマトグラフ(GPC)を用い、下記の条件により測定した値である。
【0041】
測定装置 ; 東ソー株式会社製 HLC−8220
カラム ; 東ソー株式会社製ガードカラムH
XL−H
+東ソー株式会社製 TSKgel G5000HXL
+東ソー株式会社製 TSKgel G4000HXL
+東ソー株式会社製 TSKgel G3000HXL
+東ソー株式会社製 TSKgel G2000HXL
検出器 ; RI(示差屈折計)
データ処理:東ソー株式会社製 SC−8010
測定条件: カラム温度 40℃
溶媒 テトラヒドロフラン
流速 1.0ml/分
標準 ;ポリスチレン
試料 ;樹脂固形分換算で0.4質量%のテトラヒドロフラン溶液をマイクロフィルターでろ過したもの(100μl)
【0042】
(実施例1:活性エネルギー線硬化型オフセット墨インキ(1)の調製)
アクリレートモノマーとしてアロニックスM−400(ジペンタエリスリトールヘキサアクリレートとジペンタエリスリトールペンタアクリレートの混合物 (DPHA、東亜合成(株)社製)55部、植物油アクリレートとしてエポキシ化大豆油変性アクリレートであるPHOTOMER3005(IGM Resins B.V.社製)5部、
バインダー樹脂としてジアリルイソフタレート樹脂であるダイソーダップA(ダイソー社製)樹脂10部、エチレン−プロピレン共重合体ワックスとしてS−381−N1(SHAMROCK TECHNOLOGIE社製)2部、光重合開始剤としてα−アミノアルキルフェノン系光重合開始剤Omnirad 907(2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オン、数平均分子量279.4、IGM Resins B.V.社製)8質量部、アルキルアミノベンゾフェノン化合物である4,4’−ビスジメチルアミノベンゾフェノン(大同化成工業株式会社製「EAB−SS」)5部を60℃で3時間混合した後、カーボンブラックであるラーベン1060パウダー(BIRLA CARBON社製)を15部加え、ミキサー(単軸ディゾルバー)を用いて撹拌した後、配合物を3本ロールミルを用いて練肉し、活性エネルギー線硬化型オフセット墨インキ(1)を得た。
【0043】
(実施例2〜23:活性エネルギー線硬化型オフセット墨インキ(2)〜(23)の調製)
表1〜3に示した組成及び配合量に変更した以外は、実施例1と同様の手順にて活性エネルギー線硬化型オフセット墨インキ(2)〜(23)を得た。
【0044】
(比較例1〜4:活性エネルギー線硬化型オフセット墨インキ(H1)〜(H4)の調製)
表4に示した組成及び配合量に変更した以外は、実施例1と同様の手順にて活性エネルギー線硬化型オフセット墨インキ(H1)〜(H4)を得た。
【0045】
上記の実施例及び比較例で得られた活性エネルギー線硬化型オフセット墨インキを用いて、下記の評価を行った。
【0046】
〔評価項目1:耐スクラッチ性〕
作成した活性エネルギー線硬化型オフセット墨インキを簡易展色機(RIテスター、豊栄精工社製)を用い、インキ0.10mlを使用して、RIテスターのゴムロール及び金属ロール上に均一に引き伸ばし、コートボール紙(王子マテリア社製UFコート、米坪350g/m
2)の表面に、墨濃度1.8(X−Rite社製「SpectroEye」濃度計で計測)で均一に塗布されるように展色し、印刷物を作製した。
前記の方法で得られた印刷物に紫外線(UV)照射を行い、インキ皮膜を硬化させた。水冷式UV−LED(中心発光波長385nm±5nmUV−LEDの出力50%)およびベルトコンベアを搭載したUV照射装置(アイグラフィックス社製)を使用し、印刷物をコンベア上に載せ、LED直下(照射距離9cm)を150m/minで通過させた。硬化直後に各硬化物の硬化塗膜を爪で擦ることにより耐スクラッチ性を次の5段階にて目視評価した。
(評価基準)
5:爪スクラッチで傷がまったく発生せず、硬化性は最良である。
4:爪スクラッチで微小な傷が僅かに見られる。
3:爪スクラッチで傷が見られるが、使用できるレベルである。
2:爪スクラッチで傷が発生し、硬化性が十分であるとは言えない。
1:爪スクラッチで容易に傷が発生し、硬化性が最も悪い。
【0047】
〔評価項目2:耐罫割れ性〕
耐スクラッチ性の評価試験と同等の手順にて活性エネルギー線硬化型オフセット墨インキを展色した印刷物の紫外線照射直後の硬化皮膜を、印刷表面に対して反対方向に180°の角度で折り曲げ、皮膜表面の状態を目視で確認し、次の5段階にて目視評価した。
(評価基準)
5:クラックが全く発生しない。
4:下地の原反が折り曲げ部分全体の1〜25%未満の面積範囲で露出する。
3:下地の原反が折り曲げ部分全体の25%以上〜50%未満の面積範囲で露出が
見られるが、使用できるレベルである。
2:下地の原反が折り曲げ部分全体の50%以上〜75%未満の面積範囲で露出する。
1:折り曲げ部分が全体に白化する。
【0048】
〔評価項目3:光沢〕
耐スクラッチ性の評価試験と同等の手順にて活性エネルギー線硬化型オフセット墨インキを展色した印刷物の紫外線照射、硬化後の印刷面の光沢値を60°光沢計(BYK Garder GmbH製)で測定し、次の5段階で評価した。数値が高い程、光沢が良い事を示す。
(評価基準)
5:光沢値が75以上である。
4:光沢値が60以上 75未満である。
3:光沢値が50以上 60未満であり、使用できるレベルである。
2:光沢値が40以上 50未満である。
1:光沢値が40未満である。
【0049】
以下に、活性エネルギー線硬化型オフセット墨インキの各評価結果を示す。
【0050】
【表1】
【0051】
【表2】
【0052】
【表3】
【0053】
【表4】
表1〜4の数値は質量%である。各表に示す諸原料及び略語を以下に示す。
・アロニックスM−400:ジペンタエリスリトールヘキサアクリレートとジペンタエリスリトールペンタアクリレートの混合物 (DPHA)、東亜合成(株)社製
・アロニックスM−408:ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート(DTMPTA)、東亜合成(株)社製
・アロニックスM−350:トリメチロールプロパンエチレンオキサイド変性トリアクリレート、東亜合成(株)社製
・PHOTOMER3005:エポキシ化大豆油変性アクリレート、IGM Resins B.V.社製
・ダイソーダップA:ジアリルオルトフタレート樹脂、平均重量分子量5.5万、(株)大阪ソーダ社製
・ダイソーイソダップ:ジアリルイソフタレート樹脂、平均重量分子量5万、(株)大阪ソーダ社製
・ラーベン1060パウダー:カーボンブラック、BIRLA CARBON社製
・S−381−N1:エチレン−プロピレン共重合体ワックス、SHAMROCK TECNOLOGIE社製
・S−394−N1:ポリエチレンワックス、SHAMROCK TECNOLOGIE社製
・KTL−4N:4フッ化エチレン樹脂ワックス、(株)喜多村社製
・SASOL WAX SPRAY 30:フィッシャー・トロプシュワックス、SASOL社製
・LUVAX−2191:マイクロクリスタリンワックス、日本精蝋(株)社製
・Omnirad 907:α−アミノアルキルフェノン系光重合開始剤、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オン、IGM Resins B.V.社製
・EAB−SS:4,4’−ビス−(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、大同化成(株)社製
【0054】
本発明の活性エネルギー線硬化型オフセットインキでは、植物由来原料を用いつつ、耐罫割れ性、耐スクラッチ性、及び光沢を兼備する結果となった。