(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2020-94289(P2020-94289A)
(43)【公開日】2020年6月18日
(54)【発明の名称】スーツの製造方法
(51)【国際特許分類】
A41H 43/00 20060101AFI20200522BHJP
A41D 1/02 20060101ALI20200522BHJP
【FI】
A41H43/00 Z
A41D1/02 F
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2018-230553(P2018-230553)
(22)【出願日】2018年12月10日
(71)【出願人】
【識別番号】509338477
【氏名又は名称】株式会社柴田音吉商店
(74)【代理人】
【識別番号】110000556
【氏名又は名称】特許業務法人 有古特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】柴田 啓嗣
【テーマコード(参考)】
3B031
【Fターム(参考)】
3B031AA07
3B031AC01
3B031AC14
(57)【要約】
【課題】パターンオーダーと比較して、縦方向の調整のみならず、胴回り等の横方向の調整が可能で、より顧客の満足度を得ることができ、且つ、フルオーダー及びイージーオーダーと比較してスタイル及びファッション性を重視したスーツを製造することが可能な、スーツの製造方法を提供する。
【解決手段】第2ステップで採寸した顧客の肩幅に基づき、第1ステップで準備した複数の上着サンプルのなかから顧客の肩幅に最もフィットし得る上着サンプルを選択する第4ステップと、第2ステップで採寸した少なくとも顧客の中胴に基づき、第5ステップで特定した顧客の肩幅に最もフィットする上着サンプルの製造に用いた型紙を調整することで、上着の型紙を作成する第6ステップと、第6ステップで作成した上着の型紙を用いて中仮縫い上着を作成する第7ステップと、を備えることを特徴とする。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
肩幅が互いに異なる複数の上着サンプルを準備する第1ステップと、
顧客の肩幅を採寸する第2ステップと、
少なくとも前記顧客の中胴を採寸する第3ステップと、
少なくとも前記第1及び前記第2ステップを行ったあとで、前記第2ステップで採寸した前記顧客の肩幅に基づき、前記第1ステップで準備した複数の上着サンプルのなかから前記顧客の肩幅に最もフィットし得る上着サンプルを選択する第4ステップと、
前記第4ステップで選択した前記顧客の肩幅に最もフィットし得る上着サンプルを前記顧客に試着させることで、前記第1ステップで準備した複数の上着サンプルのなかから前記顧客の肩幅に最もフィットする上着サンプルを特定する第5ステップと、
前記第2ステップで採寸した前記少なくとも顧客の中胴に基づき、前記第5ステップで特定した前記顧客の肩幅に最もフィットする上着サンプルの製造に用いた型紙を調整することで、上着の型紙を作成する第6ステップと、
前記第6ステップで作成した上着の型紙を用いて中仮縫い上着を作成する第7ステップと、
前記第7ステップで作成した中仮縫い上着を前記顧客に試着させる第8ステップと、
前記第8ステップを行ったあとで、前記第7ステップで作成した中仮縫い上着を本縫いして上着を製造する第9ステップと、
を備えることを特徴とする、スーツの製造方法。
【請求項2】
前記第2及び前記第3ステップは、前記第1ステップのあとで行われる、請求項1に記載のスーツの製造方法。
【請求項3】
前記第4ステップは、前記第3ステップのあとで行われる、請求項1又は2に記載のスーツの製造方法。
【請求項4】
前記第1ステップで準備する複数の上着サンプルは、それぞれ、上着の既製品である、請求項1乃至3のいずれかに記載のスーツの製造方法。
【請求項5】
前記第1ステップで準備する複数の上着サンプルの肩幅は、それぞれ、22cm以上25cm以下である、請求項1乃至4のいずれかに記載のスーツの製造方法。
【請求項6】
前記第7ステップで作成される中仮縫い上着は、前身頃に対して、下衿、ポケット及び裏地が本縫いされる、請求項1乃至5のいずれかに記載のスーツの製造方法。
【請求項7】
前記第7ステップで作成される中仮縫い上着は、上衿、前身頃及び背面身頃の上端部分である肩ライン、袖、アームホール、及び背中のセンターラインが仮縫いされる、請求項1乃至6のいずれかに記載のスーツの製造方法。
【請求項8】
ウェストが互いに異なる複数のパンツサンプルを準備する第10ステップと、
顧客のウェストを採寸する第11ステップと、
少なくとも前記第10及び前記第11ステップを行ったあとで、前記第11ステップで採寸した前記顧客のウェストに基づき、前記第10ステップで準備した複数のパンツサンプルのなかから前記顧客のウェストに最もフィットし得るパンツサンプルを選択する第12ステップと、
前記第12ステップで選択した前記顧客のウェストに最もフィットし得るパンツサンプルを前記顧客に試着させることで、前記第10ステップで準備した複数のパンツサンプルのなかから前記顧客のウェストに最もフィットするパンツサンプルを特定する第13ステップと、
前記第11ステップで採寸した前記顧客のウェストに基づき、前記第13ステップで特定した前記顧客のウェストに最もフィットするパンツサンプルの製造に用いた型紙を調整することで、パンツの型紙を作成する第14ステップと、
前記第14ステップで作成したパンツの型紙を用いて中仮縫いパンツを作成する第15ステップと、
前記第15ステップで作成した中仮縫いパンツを前記顧客に試着させる第16ステップと、
前記第16ステップを行ったあとで、前記第15ステップで作成した中仮縫いパンツを本縫いしてパンツを製造する第17ステップと、
をさらに備える、請求項1乃至7のいずれかに記載のスーツの製造方法。
【請求項9】
前記第15ステップで作成される中仮縫いパンツは、両脇部分、ベルトが宛がわれる帯、及び前記ベルトが挿通されるループが本縫いされる、請求項8に記載のスーツの製造方法。
【請求項10】
前記第15ステップで作成される中仮縫いパンツは、内股部分、ベルトが宛がわれる帯の下端からヒップを経て前立ての下端までのセンターライン、及び前記前立てのチャック部分が仮縫いされる、請求項8又は9に記載のスーツの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スーツの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、スーツとして、例えば、特許文献1で提案されているような紳士用スーツが知られている。
【0003】
特許文献1の紳士用スーツは、紳士用ジャケットを含む。当該紳士用ジャケットは、機械による洗濯及び乾燥が可能であり、第1表地からなる複数の衣服部分を含む。第1表地は、折り目記憶を有する、折り目記憶は、第1表地の材料に少なくとも50%のポリエステルを含めることで実現する。衣服部分同士は、機械により洗濯及び乾燥が可能な市販の糸を用いて縫い合わせる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特表2008−528816号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、特許文献1及びその他の従来からあるスーツでは、一般に、パターンオーダーと称されるオーダーメイドの製造方法が知られている。パターンオーダーでは、一般に、寸法が互いに異なる複数の既製品サンプル(一般に「ゲージ服」と称される)を顧客に試着させることで、前記複数の既製品サンプルのなかから顧客に最もフィットするサンプルを特定する。そして、前記顧客に最もフィットするサンプルの製造に用いた型紙を基準としつつ、例えば、上着の袖丈及び着丈、並びにパンツ丈等を縦方向のみ調整することで、オーダーメイドのスーツを製造する。
【0006】
パターンオーダーは、一般に、他のオーダーメイドによる製造方法(例えば、フルオーダー及びイージーオーダー等)と比較して、短時間で安価にスーツを製造することが可能である。しかし、パターンオーダーは、一般に、他のオーダーメイドによる製造方法と比較して、顧客の満足度を十分に得られない場合があった。
【0007】
そこで、本発明は、パターンオーダーと比較して、縦方向の調整のみならず、胴回り等の横方向の調整が可能で、より顧客の満足度を得ることができ、且つ、フルオーダー及びイージーオーダーと比較してスタイル及びファッション性を重視したスーツを製造することが可能な、スーツの製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決するために、本発明に係るスーツの製造方法は、肩幅が互いに異なる複数の上着サンプルを準備する第1ステップと、顧客の肩幅を採寸する第2ステップと、少なくとも前記顧客の中胴を採寸する第3ステップと、少なくとも前記第1及び前記第2ステップを行ったあとで、前記第2ステップで採寸した前記顧客の肩幅に基づき、前記第1ステップで準備した複数の上着サンプルのなかから前記顧客の肩幅に最もフィットし得る上着サンプルを選択する第4ステップと、前記第4ステップで選択した前記顧客の肩幅に最もフィットし得る上着サンプルを前記顧客に試着させることで、前記第1ステップで準備した複数の上着サンプルのなかから前記顧客の肩幅に最もフィットする上着サンプルを特定する第5ステップと、前記第2ステップで採寸した前記少なくとも顧客の中胴に基づき、前記第5ステップで特定した前記顧客の肩幅に最もフィットする上着サンプルの製造に用いた型紙を調整することで、上着の型紙を作成する第6ステップと、前記第6ステップで作成した上着の型紙を用いて中仮縫い上着を作成する第7ステップと、前記第7ステップで作成した中仮縫い上着を前記顧客に試着させる第8ステップと、前記第8ステップを行ったあとで、前記第7ステップで作成した中仮縫い上着を本縫いして上着を製造する第9ステップと、を備えることを特徴とする。
【0009】
上記構成によれば、顧客の肩幅に最もフィットする上着サンプルの製造に用いた型紙を調整することで上着の型紙を作成するので、フルオーダー及びイージーオーダーと比較してスタイル及びファッション性を重視した上着を製造することができる。また、前記上着の型紙を用いて作成した中仮縫い上着を顧客に試着させるので、パターンオーダーと比較してより顧客の満足度を得ることができる。
【0010】
前記第2及び前記第3ステップは、前記第1ステップのあとで行われてもよい。
【0011】
上記構成によれば、効率良く製造作業を行うことが可能となる。
【0012】
前記第4ステップは、前記第3ステップのあとで行われてもよい。
【0013】
上記構成によれば、効率良く製造作業を行うことが可能となる。
【0014】
前記第1ステップで準備する複数の上着サンプルは、それぞれ、上着の既製品であってもよい。
【0015】
上記構成によれば、顧客が具体的な完成品のイメージを持つことができ、前記具体的な完成品のイメージを顧客から確認したうえで上着の型紙を作成することができる。したがって、顧客の満足度を向上させることが可能となる。
【0016】
前記第1ステップで準備する複数の上着サンプルの肩幅は、それぞれ、22cm以上25cm以下であってもよい。
【0017】
上記構成によれば、成人男性の肩幅にフィットし得る上着サンプルを無駄なく準備することができるので、効率良く製造作業を行うことが可能となる。
【0018】
前記第7ステップで作成される中仮縫い上着は、前身頃に対して、下衿、ポケット及び裏地が本縫いされてもよい。
【0019】
上記構成によれば、中仮縫い上着を顧客に試着させたとき、当該顧客がいっそう具体的な完成品のイメージを持つことができる。したがって、顧客の満足度を向上させることが可能となる。
【0020】
例えば、前記第7ステップで作成される中仮縫い上着は、上衿、前身頃及び背面身頃の上端部分である肩ライン、袖、アームホール、及び背中のセンターラインが仮縫いされてもよい。
【0021】
ウェストが互いに異なる複数のパンツサンプルを準備する第10ステップと、顧客のウェストを採寸する第11ステップと、少なくとも前記第10及び前記第11ステップを行ったあとで、前記第11ステップで採寸した前記顧客のウェストに基づき、前記第10ステップで準備した複数のパンツサンプルのなかから前記顧客のウェストに最もフィットし得るパンツサンプルを選択する第12ステップと、前記第12ステップで選択した前記顧客のウェストに最もフィットし得るパンツサンプルを前記顧客に試着させることで、前記第10ステップで準備した複数のパンツサンプルのなかから前記顧客のウェストに最もフィットするパンツサンプルを特定する第13ステップと、前記第11ステップで採寸した前記顧客のウェストに基づき、前記第13ステップで特定した前記顧客のウェストに最もフィットするパンツサンプルの製造に用いた型紙を調整することで、パンツの型紙を作成する第14ステップと、前記第14ステップで作成したパンツの型紙を用いて中仮縫いパンツを作成する第15ステップと、前記第15ステップで作成した中仮縫いパンツを前記顧客に試着させる第16ステップと、前記第16ステップを行ったあとで、前記第15ステップで作成した中仮縫いパンツを本縫いしてパンツを製造する第17ステップと、をさらに備えてもよい。
【0022】
上記構成によれば、顧客のウェストに最もフィットするパンツサンプルの製造に用いた型紙を調整することでパンツの型紙を作成するので、フルオーダー及びイージーオーダーと比較してスタイル及びファッション性を重視したパンツを製造することができる。また、前記パンツの型紙を用いて作成した中仮縫いパンツを顧客に試着させるので、パターンオーダーと比較してより顧客の満足度を得ることができる。
【0023】
前記第15ステップで作成される中仮縫いパンツは、両脇部分、ベルトが宛がわれる帯、及び前記ベルトが挿通されるループが本縫いされてもよい。
【0024】
上記構成によれば、中仮縫いパンツを顧客に試着させたとき、当該顧客がいっそう具体的な完成品のイメージを持つことができる。したがって、顧客の満足度を向上させることが可能となる。
【0025】
例えば、前記第15ステップで作成される中仮縫いパンツは、内股部分、ベルトが宛がわれる帯の下端からヒップを経て前立ての下端までのセンターライン、及び前記前立てのチャック部分が仮縫いされてもよい。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、パターンオーダーと比較して、縦方向の調整のみならず、胴回り等の横方向の調整が可能で、より顧客の満足度を得ることができ、且つ、フルオーダー及びイージーオーダーと比較してスタイル及びファッション性を重視したスーツを製造することが可能な、スーツの製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1】本発明の一実施形態に係るスーツの製造方法により製造されたスーツを示す正面図である。
【
図2】本発明の一実施形態に係るスーツの製造方法の第7ステップで製造される中仮縫い上着を示す図であり、(A)が正面図、(B)が背面図である。
【
図3】本発明の一実施形態に係るスーツの製造方法の第14ステップで作成される中仮縫いパンツを示す図であり、(A)が正面図、(B)が(A)の部分的な拡大図である。
【
図4】本発明の一実施形態に係るスーツの製造方法の第14ステップで作成製される中仮縫いパンツを示す図であり、(A)が背面図、(B)が(A)の部分的な拡大図である。
【
図5】本発明の一実施形態に係るスーツの上着の製造方法を示すフローチャートである。
【
図6】本発明の一実施形態に係るスーツのパンツの製造方法を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0028】
(紳士用スーツ10の製造方法)
以下、本発明の一実施形態に係るスーツの製造方法について図面を参照して説明する。なお、本実施形態によって本発明が限定されるものではない。また、以下では、全ての図を通じて、同一又は相当する要素には同一の参照符号を付して、その重複する説明を省略する。
【0029】
図1は、本実施形態に係るスーツの製造方法により製造されたスーツを示す正面図である。
図1に示すように、本実施形態に係るスーツの製造方法では、紳士用スーツ10を製造する。紳士用スーツ10は、上着12及びパンツ14を備える。
【0030】
(上着12の製造方法)
はじめに、
図2及び
図5等に基づき、本実施形態における上着12の製造方法について説明する。
図2は、本実施形態に係るスーツの製造方法の第7ステップで製造される中仮縫い上着を示す図であり、(A)が正面図、(B)が背面図である。
図5は、同スーツの上着の製造方法を示すフローチャートである。
【0031】
まず、肩幅が互いに異なる複数の上着サンプルを準備する(
図5のステップS1:第1ステップ)。当該上着サンプル(「スタイリング・イメージ」と呼ぶ)は、上着の既製品であってもよい。また、このとき準備する複数の上着サンプルの肩幅は、それぞれ、22cm以上25cm以下であってもよい。
【0032】
次に、顧客の肩幅を採寸する(
図5のステップS2:第2ステップ)。
【0033】
さらに、少なくとも顧客の中胴(すなわち、腹回り=お腹の最も出っ張ったところ)を採寸する(
図5のステップS3:第3ステップ)。このとき、例えば、顧客の着丈、袖丈、袖幅、袖口幅及び上胴(胸回り)等をさらに採寸してもよい。また、例えば、顧客の裾丈(パンツ丈)、下胴(ヒップ)、ウェスト幅(腰回り)、股上、股下及びわたり幅等をさらに採寸してもよい。
【0034】
そして、ステップS1〜S3を行ったあとで、ステップS2で採寸した顧客の肩幅に基づき、ステップS1で準備した複数の上着サンプルのなかから顧客の肩幅に最もフィットし得る上着サンプルを選択する(
図5のステップS4:第4ステップ)。このとき、ステップS2で採寸した顧客の肩幅だけでなく、顧客の肩幅に関する好み等に基づき、顧客の肩幅に最もフィットし得る上着サンプルを選択してもよい。
【0035】
次に、ステップS4で選択した顧客の肩幅に最もフィットし得る上着サンプルを顧客に試着させることで、ステップS1で準備した複数の上着サンプルのなかから顧客の肩幅に最もフィットする上着サンプルを特定する(
図5のステップS5:第5ステップ)。
【0036】
さらに、ステップS2で採寸した少なくとも顧客の中胴に基づき、ステップS5で特定した顧客の肩幅に最もフィットする上着サンプルの製造に用いた型紙を調整することで、上着の型紙を作成する(
図5のステップS6:第6ステップ)。このとき、例えば、ステップS2で顧客の着丈、袖丈、袖幅、袖口幅及び上胴(胸回り)等をさらに採寸していた場合、これらにも基づき、ステップS5で特定した顧客の肩幅に最もフィットする上着サンプルの製造に用いた型紙を調整してもよい。
【0037】
そして、ステップS6で作成した上着の型紙を用いて中仮縫い上着20を作成する(
図5のステップS7:第7ステップ)。
【0038】
図2に示すように、本実施形態のステップS7で作成される中仮縫い上着20は、前身頃30に対して、下衿32、ポケット36及び裏地(図示せず)が本縫いされる。また、中仮縫い上着20は、上衿34、前身頃30及び背面身頃40の上端部分である肩ライン50、袖51a、51b、アームホール52a、52b及び背中のセンターライン54が仮縫いされる。なお、袖51a、51bは、それぞれ、各々の背面側で基端から先端まで(すなわち、アームホール52a、52bから袖口まで)延びるラインに沿って仮縫いされる。
【0039】
なお、ここでいう中仮縫いとは、しつけ糸を用いて各パーツを手縫いで粗く縫い合わせることをいう。当該中仮縫いは、フルオーダーで行われる仮縫いと比較して、しつけ糸のテンションが高くてもよい。
【0040】
次に、ステップS7で作成した中仮縫い上着20を顧客に試着させる(
図5のステップS8:第8ステップ)。このとき、顧客から各部位のフィット具合や着心地などをヒアリングしてもよい。
【0041】
さらに、ステップS8を行ったあとで、ステップS7で作成した中仮縫い上着20を本縫いして上着12(
図1参照)を製造する(
図5のステップS9:第9ステップ)。このとき、例えば、ステップS8で顧客から各部位のフィット具合や着心地などをヒアリングしていた場合、そのヒアリングの内容などに基づき、各パーツの寸法などを調整して上着12を製造してもよい。
【0042】
(パンツ14の製造方法)
次に、
図3、
図4、及び
図6等に基づき、本実施形態におけるパンツ14の製造方法について説明する。
図3は、本実施形態に係るスーツの製造方法の第14ステップで作成される中仮縫いパンツを示す図であり、(A)が正面図、(B)が(A)の部分的な拡大図である。また、
図4は、同スーツの製造方法の第14ステップで作成製される中仮縫いパンツを示す図であり、(A)が背面図、(B)が(A)の部分的な拡大図である。
図6は、同スーツのパンツの製造方法を示すフローチャートである。
【0043】
まず、ウェストが互いに異なる複数のパンツサンプルを準備する(
図6のステップS10:第10ステップ)。当該パンツサンプルは、パンツの既製品であってもよい。
【0044】
次に、顧客のウェストを採寸する(
図6のステップS11:第11ステップ)。
【0045】
さらに、少なくともステップS10、及びステップS11を行ったあとで、ステップS11で採寸した顧客のウェストに基づき、ステップS10で準備した複数のパンツサンプルのなかから顧客のウェストに最もフィットし得るパンツサンプルを選択する(
図6のステップS12:第12ステップ)。
【0046】
このとき、例えば、ステップS3で顧客の裾丈(パンツ丈)、下胴(ヒップ)、股上、股下及びわたり幅等をさらに採寸していた場合、これらにも基づき、顧客のウェストに最もフィットし得るパンツサンプルを選択してもよい。さらに、ステップS11で採寸した顧客のウェストだけでなく、顧客のウェストに関する好み等に基づき、顧客のウェストに最もフィットし得るパンツサンプルを選択してもよい。
【0047】
そして、ステップS12で選択した顧客のウェストに最もフィットし得るパンツサンプルを顧客に試着させることで、ステップS10で準備した複数のパンツサンプルのなかから顧客のウェストに最もフィットするパンツサンプルを特定する(
図6のステップS13:第13ステップ)。
【0048】
次に、ステップS11で採寸した顧客のウェストに基づき、ステップS13で特定した顧客のウェストに最もフィットするパンツサンプルの製造に用いた型紙を調整することで、パンツの型紙を作成する(
図6のステップs14:第14ステップ)。このとき、例えば、ステップS3で顧客の裾丈(パンツ丈)、下胴(ヒップ)、股上、股下及びわたり幅等をさらに採寸していた場合、これらにも基づき、ステップS13で特定した顧客のウェストに最もフィットするパンツサンプルの製造に用いた型紙を調整してもよい。
【0049】
さらに、ステップS14で作成したパンツの型紙を用いて中仮縫いパンツ70を作成する(
図6のステップS15:第15ステップ)。
【0050】
図3及び
図4に示すように、本実施形態のステップS15で作成される中仮縫いパンツ70は、両脇部分72a、72b(パンツの外側の縫い目)、ベルトが宛がわれる帯76、及び前記ベルトが挿通されるループ78a〜78eが本縫いされる。また、中仮縫いパンツ70は、内股部分74(パンツの内側の縫い目)、帯76の下端から下胴(ヒップ)を経て前立て82の下端までのセンターライン80、及び前立て82のチャック部分が仮縫いされる。
【0051】
そして、ステップS15で作成した中仮縫いパンツ70を顧客に試着させる(
図6のステップS16:第16ステップ)。このとき、顧客から各部位のフィット具合や着心地などをヒアリングしてもよい。
【0052】
最後に、ステップS16を行ったあとで、ステップS15で作成した中仮縫いパンツ70を本縫いしてパンツ14(
図1参照)を製造する(
図6のステップS17:第17ステップ)。このとき、例えば、ステップS16で顧客から各部位のフィット具合や着心地などをヒアリングしていた場合、そのヒアリングの内容などに基づき、各パーツの寸法などを調整してパンツ14を製造してもよい。
【0053】
(効果)
本実施形態では、顧客の肩幅に最もフィットする上着サンプルの製造に用いた型紙を調整することで上着12の型紙を作成するので、フルオーダー及びイージーオーダーと比較してスタイル及びファッション性を重視した上着12を製造することができる。また、上着12の型紙を用いて作成した中仮縫い上着20を顧客に試着させるので、パターンオーダーと比較して、縦方向の調整のみならず、胴回り等の横方向の調整が可能で、より顧客の満足度を得ることができる。さらに、中仮縫い上着20を顧客に試着させたあと、必要に応じて上着12の型紙を調整して本縫いを行うこともできるので、顧客の満足度をさらに向上させることが可能となる。
【0054】
本実施形態では、ステップS2及びステップS3は、ステップS1のあとで行われる。これにより、例えば、店舗に複数の上着サンプルを準備してから、来店した顧客の肩幅等を採寸し、採寸した顧客の肩幅等に基づき前記複数の上着サンプルを顧客に試着させることができるので、効率良く製造作業を行うことが可能となる。
【0055】
本実施形態では、ステップS4は、ステップS3のあとで行われる。これにより、例えば、顧客の中胴(すなわち、腹回り)にも基づき、複数の上着サンプルのなかから顧客の肩幅に最もフィットし得る上着サンプルを選択することができるので、効率良く製造作業を行うことが可能となる。
【0056】
本実施形態では、ステップS1で準備する複数の上着サンプルは、それぞれ、上着の既製品であるため、顧客が具体的な完成品のイメージを持つことができ、前記具体的な完成品のイメージを顧客から確認したうえで上着12の型紙を作成することができる。したがって、顧客の満足度を向上させることが可能となる。
【0057】
本実施形態では、ステップS1で準備する複数の上着サンプルの肩幅は、それぞれ、22cm以上25cm以下である。これにより、成人男性の肩幅にフィットし得る上着サンプルを無駄なく準備することができるので、効率良く製造作業を行うことが可能となる。
【0058】
本実施形態では、ステップS7で作成される中仮縫い上着20は、前身頃30に対して、下衿32a、32b、ポケット36a〜36c及び裏地が本縫いされるので、中仮縫い上着20を顧客に試着させたとき、当該顧客がいっそう具体的な完成品のイメージを持つことができる。したがって、顧客の満足度を向上させることが可能となる。
【0059】
本実施形態では、顧客のウェストに最もフィットするパンツサンプルの製造に用いた型紙を調整することでパンツ14の型紙を作成するので、フルオーダー及びイージーオーダーと比較してスタイル及びファッション性を重視したパンツ14を製造することができる。また、パンツ14の型紙を用いて作成した中仮縫いパンツ70を顧客に試着させるので、パターンオーダーと比較してより顧客の満足度を得ることができる。さらに、中仮縫いパンツ70を顧客に試着させたあと、必要に応じてパンツ14の型紙を調整して本縫いを行うこともできるので、顧客の満足度をさらに向上させることが可能となる。
【0060】
本実施形態では、ステップS15で作成される中仮縫いパンツ70は、両脇部分72a、72b、帯76及びループ78a〜78eが本縫いされるので、中仮縫いパンツ70を顧客に試着させたとき、当該顧客がいっそう具体的な完成品のイメージを持つことができる。したがって、顧客の満足度を向上させることが可能となる。
【0061】
(変形例)
上記説明から、当業者にとっては、本発明の多くの改良や他の実施形態が明らかである。したがって、上記説明は、例示としてのみ解釈されるべきであり、本発明を実行する最良の態様を当業者に教示する目的で提供されたものである。本発明の精神を逸脱することなく、その構造及び/又は機能の詳細を実質的に変更できる。
【0062】
上記実施形態では、中仮縫い上着20は、前身頃30に対して、下衿32a、32b、ポケット36a〜36c及び裏地が本縫いされる場合について説明したが、これに限定されない。例えば、前身頃30に対して、ボタンや仮縫いされた上衿34が本縫いされてもよいし、或いは、その他の仮縫いされた部分が本縫いされてもよい。これにより、顧客がいっそう具体的な完成品のイメージを持つことができる。
【0063】
上記実施形態では、中仮縫い上着20は、上衿、肩ライン50、袖51a、51b、アームホール52a、52b、及び背中のセンターライン54が仮縫いされる場合について説明したが、これに限定されない。例えば、本縫いされた下衿32a、32bが仮縫いされてもよいし、或いは、その他の本縫いされた部分が仮縫いされてもよい。
【0064】
上記実施形態では、中仮縫いパンツ70は、両脇部分72a、72b、帯76及びループ78a〜78dが本縫いされる場合について説明したが、これに限定されない。例えば、仮縫いされた前立て82のチャック部分が本縫いされてもよいし、或いは、その他の仮縫いされた部分が本縫いされてもよい。これにより、顧客がいっそう具体的な完成品のイメージを持つことができる。
【0065】
上記実施形態では、中仮縫いパンツ70は、内股部分74、帯76の下端から下胴(ヒップ)を経て前立て82の下端までのセンターライン80、及び前立て82のチャック部分が仮縫いされる場合について説明したが、これに限定されない。例えば、本縫いされた両脇部分72a、72bが仮縫いされてもよいし、或いは、その他の本縫いされた部分が仮縫いされてもよい。
【符号の説明】
【0066】
10 紳士用スーツ
12 上着
14 パンツ
20 中仮縫い上着
30 前身頃
32 下衿
34 上衿
36 ポケット
40 背面身頃
50 肩ライン
51a、51b 袖
52 アームホール
70 中仮縫いパンツ
72 脇
74 内股
76 帯
78 ループ
80 センターライン
82 前立て
【手続補正書】
【提出日】2020年4月10日
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
肩幅が互いに異なる複数の上着サンプルを準備する第1ステップと、
顧客の肩幅を採寸する第2ステップと、
少なくとも前記顧客の中胴を採寸する第3ステップと、
少なくとも前記第1及び前記第2ステップを行ったあとで、前記第2ステップで採寸した前記顧客の肩幅に基づき、前記第1ステップで準備した複数の上着サンプルのなかから前記顧客の肩幅に最もフィットし得る上着サンプルを選択する第4ステップと、
前記第4ステップで選択した前記顧客の肩幅に最もフィットし得る上着サンプルを前記顧客に試着させることで、前記第1ステップで準備した複数の上着サンプルのなかから前記顧客の肩幅に最もフィットする上着サンプルを特定する第5ステップと、
前記第3ステップで採寸した前記少なくとも顧客の中胴に基づき、前記第5ステップで特定した前記顧客の肩幅に最もフィットする上着サンプルの製造に用いた型紙を調整することで、上着の型紙を作成する第6ステップと、
前記第6ステップで作成した上着の型紙を用いて中仮縫い上着を作成する第7ステップと、
前記第7ステップで作成した中仮縫い上着を前記顧客に試着させる第8ステップと、
前記第8ステップを行ったあとで、前記第7ステップで作成した中仮縫い上着を本縫いして上着を製造する第9ステップと、
を備えることを特徴とする、スーツの製造方法。
【請求項2】
前記第2及び前記第3ステップは、前記第1ステップのあとで行われる、請求項1に記載のスーツの製造方法。
【請求項3】
前記第4ステップは、前記第3ステップのあとで行われる、請求項1又は2に記載のスーツの製造方法。
【請求項4】
前記第1ステップで準備する複数の上着サンプルは、それぞれ、上着の既製品である、請求項1乃至3のいずれかに記載のスーツの製造方法。
【請求項5】
前記第1ステップで準備する複数の上着サンプルの肩幅のうち、左右いずれかの肩先の縫い目から背中のセンターラインまでを測った値は、それぞれ、22cm以上25cm以下である、請求項1乃至4のいずれかに記載のスーツの製造方法。
【請求項6】
前記第7ステップで作成される中仮縫い上着は、前身頃に対して、下衿、ポケット及び裏地が本縫いされる、請求項1乃至5のいずれかに記載のスーツの製造方法。
【請求項7】
前記第7ステップで作成される中仮縫い上着は、上衿、前身頃及び背面身頃の上端部分である肩ライン、袖、アームホール、及び背中のセンターラインが仮縫いされる、請求項1乃至6のいずれかに記載のスーツの製造方法。
【請求項8】
ウェストが互いに異なる複数のパンツサンプルを準備する第10ステップと、
顧客のウェストを採寸する第11ステップと、
少なくとも前記第10及び前記第11ステップを行ったあとで、前記第11ステップで採寸した前記顧客のウェストに基づき、前記第10ステップで準備した複数のパンツサンプルのなかから前記顧客のウェストに最もフィットし得るパンツサンプルを選択する第12ステップと、
前記第12ステップで選択した前記顧客のウェストに最もフィットし得るパンツサンプルを前記顧客に試着させることで、前記第10ステップで準備した複数のパンツサンプルのなかから前記顧客のウェストに最もフィットするパンツサンプルを特定する第13ステップと、
前記第11ステップで採寸した前記顧客のウェストに基づき、前記第13ステップで特定した前記顧客のウェストに最もフィットするパンツサンプルの製造に用いた型紙を調整することで、パンツの型紙を作成する第14ステップと、
前記第14ステップで作成したパンツの型紙を用いて中仮縫いパンツを作成する第15ステップと、
前記第15ステップで作成した中仮縫いパンツを前記顧客に試着させる第16ステップと、
前記第16ステップを行ったあとで、前記第15ステップで作成した中仮縫いパンツを本縫いしてパンツを製造する第17ステップと、
をさらに備える、請求項1乃至7のいずれかに記載のスーツの製造方法。
【請求項9】
前記第15ステップで作成される中仮縫いパンツは、両脇部分、ベルトが宛がわれる帯、及び前記ベルトが挿通されるループが本縫いされる、請求項8に記載のスーツの製造方法。
【請求項10】
前記第15ステップで作成される中仮縫いパンツは、内股部分、ベルトが宛がわれる帯の下端からヒップを経て前立ての下端までのセンターライン、及び前記前立てのチャック部分が仮縫いされる、請求項8又は9に記載のスーツの製造方法。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0008
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0008】
前記課題を解決するために、本発明に係るスーツの製造方法は、肩幅が互いに異なる複数の上着サンプルを準備する第1ステップと、顧客の肩幅を採寸する第2ステップと、少なくとも前記顧客の中胴を採寸する第3ステップと、少なくとも前記第1及び前記第2ステップを行ったあとで、前記第2ステップで採寸した前記顧客の肩幅に基づき、前記第1ステップで準備した複数の上着サンプルのなかから前記顧客の肩幅に最もフィットし得る上着サンプルを選択する第4ステップと、前記第4ステップで選択した前記顧客の肩幅に最もフィットし得る上着サンプルを前記顧客に試着させることで、前記第1ステップで準備した複数の上着サンプルのなかから前記顧客の肩幅に最もフィットする上着サンプルを特定する第5ステップと、
前記第3ステップで採寸した前記少なくとも顧客の中胴に基づき、前記第5ステップで特定した前記顧客の肩幅に最もフィットする上着サンプルの製造に用いた型紙を調整することで、上着の型紙を作成する第6ステップと、前記第6ステップで作成した上着の型紙を用いて中仮縫い上着を作成する第7ステップと、前記第7ステップで作成した中仮縫い上着を前記顧客に試着させる第8ステップと、前記第8ステップを行ったあとで、前記第7ステップで作成した中仮縫い上着を本縫いして上着を製造する第9ステップと、を備えることを特徴とする。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0016
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0016】
前記第1ステップで準備する複数の上着サンプルの肩幅
のうち、左右いずれかの肩先の縫い目から背中のセンターラインまでを測った値は、それぞれ、22cm以上25cm以下であってもよい。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0031
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0031】
まず、肩幅が互いに異なる複数の上着サンプルを準備する(
図5のステップS1:第1ステップ)。当該上着サンプル(「スタイリング・イメージ」と呼ぶ)は、上着の既製品であってもよい。また、このとき準備する複数の上着サンプルの肩幅
のうち、左右いずれかの肩先の縫い目から背中のセンターラインまでを測った値は、それぞれ、22cm以上25cm以下であってもよい。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0036
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0036】
さらに、ステップ
S3で採寸した少なくとも顧客の中胴に基づき、ステップS5で特定した顧客の肩幅に最もフィットする上着サンプルの製造に用いた型紙を調整することで、上着の型紙を作成する(
図5のステップS6:第6ステップ)。このとき、例えば、ステップ
S3で顧客の着丈、袖丈、袖幅、袖口幅及び上胴(胸回り)等をさらに採寸していた場合、これらにも基づき、ステップS5で特定した顧客の肩幅に最もフィットする上着サンプルの製造に用いた型紙を調整してもよい。
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0057
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0057】
本実施形態では、ステップS1で準備する複数の上着サンプルの肩幅
のうち、左右いずれかの肩先の縫い目から背中のセンターラインまでを測った値は、それぞれ、22cm以上25cm以下である。これにより、成人男性の肩幅にフィットし得る上着サンプルを無駄なく準備することができるので、効率良く製造作業を行うことが可能となる。