(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2020-94483(P2020-94483A)
(43)【公開日】2020年6月18日
(54)【発明の名称】温海水と砂利の呑吐置換に基づくI型ハイドレートシステムの採掘方法
(51)【国際特許分類】
E21B 43/00 20060101AFI20200522BHJP
【FI】
E21B43/00 A
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
【外国語出願】
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2019-223624(P2019-223624)
(22)【出願日】2019年12月11日
(11)【特許番号】特許第6679038号(P6679038)
(45)【特許公報発行日】2020年4月15日
(31)【優先権主張番号】201811514174.4
(32)【優先日】2018年12月12日
(33)【優先権主張国】CN
(71)【出願人】
【識別番号】517455720
【氏名又は名称】青▲島▼海洋地▲質▼研究所
(74)【代理人】
【識別番号】110000659
【氏名又は名称】特許業務法人広江アソシエイツ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】▲呉▼能友
(72)【発明者】
【氏名】▲劉▼昌▲嶺▼
(72)【発明者】
【氏名】李彦▲龍▼
(72)【発明者】
【氏名】胡高▲偉▼
(72)【発明者】
【氏名】▲陳▼▲強▼
(72)【発明者】
【氏名】万▲義▼▲ジャォ▼
(72)【発明者】
【氏名】▲孫▼建▲業▼
(57)【要約】 (修正有)
【課題】浅部地層の塊状型ハイドレートの安全かつ持続な採掘を実現するため、海洋における浅部地層の塊状型ハイドレートの採掘に適しており、温海水呑吐と砂利置換に基づいてI型ハイドレートシステムを採掘する方法を提供する。
【解決手段】浅部地層の塊状型ハイドレートを含むI型ハイドレートシステムの埋蔵層について、ハイドレート層とフリーガス層を貫通する主坑井を掘り、フリーガス層を穿孔し、減圧で下位のフリーガスを採掘し、主坑井と複数の枝坑井を掘削する方法を採用することで、塊状型ハイドレートの分解表面積を広げるとともに、塊状型ハイドレートを徐々に分解させ、地層に一定の粒径の砂利を間欠的に注入することで、塊状型のハイドレートの分解によって生じる地層のボイド空間を充填し続け、地層の安定性を維持するとともに、坑井付近の浸透率を高め、それらを繰り返すことで、天然ガスハイドレートの持続的かつ規模な採掘を実現する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
温海水と砂利の呑吐置換に基づくI型ハイドレートシステムの採掘方法であって、
I型ハイドレートシステム埋蔵層に、ハイドレート埋蔵層とフリーガス層を貫通した垂直の主坑井を掘り、セクション全体の穿孔を完了し、ハイドレート層と下位のフリーガスを同時に減圧することで、ハイドレート埋蔵層の下表面、主坑井の塊状型ハイドレートを徐々に分解させ、減圧で下位のフリーガスを採掘する第1のステップと、
減圧採掘によるガス量が減少する時、ハイドレート埋蔵層に表層の温海水を注入し、熱交換を行い、埋蔵層のハイドレートがさらに分解し、埋蔵層の圧力が回復した後、海水を吸いこんで圧力を下げ、減圧・坑井加熱の併用を実現する第2のステップと、
ガス量に基づいて減圧採掘の程度を判定し、ハイドレートの分解が坑井の近傍に発生し、かつ、ハイドレート埋蔵層の底に孔隙が開いた時、パイプラインを介して特定の量の砂利を間欠的に輸送し、ボイド空間を補う第3のステップと、
第2のステップと第3のステップを繰り返すことで、海水の呑吐循環、減圧採掘、砂利の注入によって、浅部地層の塊状I型ハイドレートシステムである鉱体を採掘終了まで連続的に分解させる第4のステップと、を含み、
そのうち、減圧で下位のフリーガスを採掘するには、
(1)まず、I型ハイドレートシステムにおける各小層の埋蔵深度、分布面積、厚さ、下位のフリーガス位置、延長方向、埋蔵層の浸透率及び機械的強度を確定し、それらをもとに主坑井の掘削計画と坑井構造を設計し、また生産井の施工前には、塊状型ハイドレート埋蔵層の分解状態、波及面積、地層の安定性、メタンガスの漏れを監視するための監視井を布設し、
(2)つぎに、サクションアンカーを泥質地盤の海底に設置し、掘削船によって表層の堆積物、浅部地層の塊状型ハイドレート埋蔵層、分散型ハイドレート埋蔵層及びフリーガス層を順次貫通した垂直の主坑井を掘った後、セクション全体でセメンティングし、穿孔し、
(3)出砂対策ツールで坑井仕上げを行い、フリーガス層と坑井の流路を確立し、
(4)主坑井において、ハイドレート減圧採掘の用に供するハイパワー電動ポンプ1式及び表層の海水注入と砂利充填の用に供する高圧注入ポンプ1式をそれぞれ取り付け、ハイパワー電動ポンプと高圧注入ポンプの2つのシステムが自動切替スイッチを介して左右側に交代で使用され、ハイパワー電動ポンプの前端にガス水砂三相分離器を設置し、
(5)RMRシステムの吸込装置のリング状のBOPをオフにし、RMRシステムのリフト装置をオンにすることで坑底圧力を下げ、減圧生産を実現する、ことを特徴とする温海水と砂利の呑吐置換に基づくI型ハイドレートシステムの採掘方法。
【請求項2】
前記第1のステップにおいて、ハイドレート埋蔵層の主坑井に複数の枝坑井を掘削し、前記枝坑井を主坑井の円周方向に沿って布設することを特徴とする請求項1に記載の温海水と砂利の呑吐置換に基づくI型ハイドレートシステムの採掘方法。
【請求項3】
前記第2のステップにおいて、高圧注入ポンプを用いて表層の海水を注入し、熱交換を行い、貯留ハイドレートをさらに分解させた後、高圧注入ポンプを再びオンにし、坑井内の流体を吸い込んで圧力を下げ、減圧採掘プログラムを起動し、減圧生産を続け、当該ステップの実行を繰り返すことを特徴とする請求項2に記載の温海水と砂利の呑吐置換に基づくI型ハイドレートシステムの採掘方法。
【請求項4】
前記第3のステップにおいて、ガス量と水量に基づいて塊状型ハイドレートの分解体積を取得し、監視井の監視データも加えてハイドレート貯留層のボイド状況を取得し、高圧注入ポンプを用いて孔隙内に砂利を注入することを特徴とする請求項3に記載の温海水と砂利の呑吐置換に基づくI型ハイドレートシステムの採掘方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、海域における天然ガスハイドレート開発の分野に関し、特に、温海水の呑吐(huff and puff,吸排方式)と砂利置換に基づく海洋I型ハイドレートシステム減圧採掘方法に関する。
【背景技術】
【0002】
天然ガスハイドレートの埋蔵量は膨大で、将来の潜在的なエネルギー源として認識されている。天然ガスハイドレート資源の約90%は海洋由来で、多くの国で研究に対する関心と開発意欲を強く呼び起こしている。天然ガスハイドレートの安全かつ効率な採掘方法は、天然ガスハイドレートの分野で課題視されている。
【0003】
海洋ハイドレート層は、ハイドレート層と下位のフリーガス層或いは含水層との共生関係により、I型ハイドレートシステム、II型ハイドレートシステム及びIII型ハイドレートシステムに分類されている。その中、I型ハイドレートシステムは、上位のサブ層であるハイドレート層であり、下位にフリーガス層が共生されることを意味する。上位のハイドレート層と下位のフリーガス層は同じハイドレートシステムに属し、2つのサブ層間の界面は動的に変化する。このような埋蔵層は、天然ガスハイドレートの試採掘に適した貯留層であり、特に、浅部地層の塊状型ハイドレートを含むI型ハイドレートシステムでは、当該ハイドレートシステムは上から下に順次塊状型ハイドレート層、分散型ハイドレート層および下位のフリーガス層が分布されている。近年の調査では、浅部地層の天然ガスハイドレート資源の割合が著しく増加していることが明らかになっている。中国の海域で得られた浅部地層のハイドレートの現物サンプルによれば、このような天然ガスハイドレートが海域に広く存在していることが証明され、このタイプのハイドレートに膨大な資源があることを示している。
【0004】
深部地層の分散型ハイドレートと比較すると、I型ハイドレートシステムにはユニックな資源優位性がある。ただし、採掘の基本理論は未だ曖昧で、採掘技術によって制限されているため、国際的に、浅部地層の塊状型ハイドレートを採掘しようと試みていない。その原因として、次のような重要課題を解決しなければならない。
【0005】
1.浅部地層の塊状型ハイドレート鉱体を分解するには、大量の熱を加えなければならない。そのため、単純な減圧法は塊状型ハイドレートの連続採掘には適していない。
【0006】
2.浅部地層の塊状型ハイドレートは海底堆積物の骨格の一部を構成し、一部のハイドレート鉱体の厚さは数十メートルであり、これらのハイドレートは固相から気相と水相へ分解するにあたって地層の大規模なボイドが発生し、地層の急速な崩壊になり、環境や生態系の災害を引き起こすおそれがある。
【0007】
3.塊状型ハイドレート埋蔵層の海底に遊離型天然ガスがある場合、ハイドレート埋蔵層が分解されると、キャップロックが破壊されることに相当し、その下にある天然ガスが湧出し、海洋や大気などへ移動すると、局所の地質破壊が発生し、海洋生態環境に不可逆的な災害につながる。
【0008】
したがって、海洋の浅部地層の塊状型ハイドレートを効果的に採掘するには、まず詳細な地質構造、下位の天然ガス層の有無、鉱体の面積と厚さなど、鉱体の特定の条件を調べる必要がある。このような鉱体については、上記の技術的困難を解決し、環境に優しい浅部地層の塊状I型ハイドレートシステムの継続的な採掘を実現し、中国の海域における天然ガスハイドレートの産業化を促進できる技術上実行可能な採掘技術と方法を提案することが急務となっている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、浅部地層の塊状型ハイドレートの安全かつ持続な採掘を実現するため、海洋における浅部地層の塊状型ハイドレートの採掘に適しており、温海水呑吐と砂利置換に基づいてI型ハイドレートシステムを採掘する新しい方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、以下の技術的解決手段を採用して実現されたものである。温海水と砂利の呑吐置換に基づくI型ハイドレートシステムの採掘方法は、
【0011】
海洋の浅部地層にあるI型ハイドレートシステムに、ハイドレート埋蔵層とフリーガス層を貫通した垂直の主坑井を掘り、フリーガス層の穿孔を行い、そして坑井とハイドレート埋蔵層の下位のフリーガスを同時に減圧することで、ハイドレート埋蔵層の下表面、主坑井の塊状型ハイドレートを徐々に分解させ、減圧で下位のフリーガスを採掘する第1のステップと、
【0012】
減圧採掘によるガス量が減少する時、ハイドレート埋蔵層に表層の温海水を注入し、一定の時間静置後に熱交換を行い、海水の熱交換により、塊状型ハイドレートの表面分解を促し、埋蔵層のハイドレートがさらに分解した後、海水を吸いこんで圧力を下げ、減圧・坑井加熱の併用を実現し、浅部地層の海水呑吐法と流体抽出減圧法を合わせた採掘技術を採用することで、塊状型ハイドレートを徐々に分解させる第2のステップと、
【0013】
ガス量に基づいて減圧採掘の程度を判定し、ハイドレートの分解が坑井の近傍に発生し、かつ、ハイドレート埋蔵層の底に孔隙が開いた時、パイプラインを介して特定の量の砂利を間欠的に輸送し、ボイド空間を補い、また地層に一定の粒径の砂利を注入することで、塊状型ハイドレートの分解によって生じる地層のボイド空間を充填し続け、地層の完全性を保つとともに、砂利の浸透率が高く、気液の流動に影響を与えず、地層の安定性を維持するとともに、坑井付近の浸透率を高め、ハイドレートの効果的な分解を促進する第3のステップと、
【0014】
第2のステップと第3のステップを繰り返すことで、海水の呑吐循環、減圧採掘、砂利の注入によって、浅部地層の塊状型ハイドレートシステムである鉱体を採掘終了まで連続的に分解させる第4のステップとを含む。ハイドレート鉱体のかわりに注入された砂利が地層の安定性を維持し、浅部地層の塊状型ハイドレートの安全かつ持続な採掘目的を達成する。
【0015】
さらに、前記第1のステップにおいて、減圧で下位のフリーガスを採掘するには、次のように実現される。
【0016】
(1)まず、浅部地層の塊状型ハイドレートの埋蔵深度、分布面積、厚さ、下位のフリーガス位置、延長方向、埋蔵層の浸透率及び機械的強度を確定し、それらをもとに主坑井の掘削計画と坑井構造を設計し、また生産井の施工前には、塊状型ハイドレート埋蔵層の分解状態、波及面積、地層の安定性、メタンガスの漏れを監視するための監視井を布設する。
【0017】
(2)つぎに、サクションアンカーを泥質地盤の海底に設置し、サクションアンカーに20#導管とウェルヘッドをあらかじめ取り付け、掘削船によって表層の堆積物、ハイドレート埋蔵層及びフリーガス層を順次貫通した垂直の主坑井を掘った後、フリーガス層を穿孔し、セメンティング後、生産用導管をフリーガス層まで取り付ける。
【0018】
(3)出砂対策ツールで坑井仕上げを行い、フリーガス層と坑井の流路を確立する。
【0019】
(4)大直径の主坑井内には、ハイドレート減圧採掘の用に供するハイパワー電動ポンプ1式及び表層の海水注入と砂利充填の用に供する高圧注入ポンプ1式をそれぞれ取り付け、ハイパワー電動ポンプと高圧注入ポンプの2つのシステムが自動切替スイッチを介して左右側に交代で使用され、ガス水砂三相分離器をハイパワー電動ポンプの前端に設置する。
【0020】
(5)RMRシステムの吸込装置のリング状のBOPをオフにし、RMRシステムのリフト装置をオンにすることで坑底圧力を下げ、減圧生産を実現する。
【0021】
さらに、前記第1のステップにおいて、ハイドレートの分解表面積を広げるため、ハイドレート埋蔵層の主坑井に複数の枝坑井を掘削し、前記枝坑井を主坑井の円周方向に沿って布設し、枝坑井の長さが実際の採掘状況に応じて数百メートルまで延長することができる。
【0022】
さらに、前記第2のステップにおいて、高圧注入ポンプを用いて表層の海水を注入し、熱交換を行い、貯留ハイドレートをさらに分解させた後、高圧注入ポンプを再びオンにし、坑井内の流体を吸い込み、圧力を下げ、減圧採掘プログラムを起動し、減圧生産を続け、当該ステップの実行を繰り返す。
【0023】
さらに、前記第3のステップにおいて、ガス量と水量に基づいて塊状型ハイドレートの分解体積を取得し、監視井の監視データも加えてハイドレート貯留層のボイド状況を取得し、高圧注入ポンプを用いて孔隙内に砂利を注入することで、地層の安定性を保つ。
【発明の効果】
【0024】
従来技術と比較すると、本発明は以下の優位点及び好ましい効果を有する。
【0025】
本発明に係る解決策は、海洋の浅部地層における塊状型ハイドレートの間欠的採掘技術を提供する。それは、浅部地層の海水呑吐法と流体抽出減圧法を合わせた採掘技術を採用することで、塊状型ハイドレートを徐々に分解させ、地層に一定の粒径の砂利を間欠的に注入することで、塊状型ハイドレートの分解によって生じる地層のボイド空間を充填し続け、地層の安定性を維持するとともに、坑井付近の浸透率を高め、ハイドレートの効果的な分解を促進し、それらを繰り返すことで、浅部地層の温海水の呑吐、砂利の置換によるハイドレート採掘を行い、浅部地層の塊状型ハイドレートの安全かつ持続な採掘目的を達成し、天然ガスハイドレートの持続かつ規模な採掘を実現するとともに、海中環境と生態系の安定性を維持し、グリーン環境保護開発のコンセプトを示すので、幅広い応用が見込まれてる海洋の浅部地層における塊状型ハイドレートの採掘方法である。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】温海水と砂利の呑吐置換に基づくI型ハイドレートシステムの動作原理を示す図である。
【0027】
【
図2】温海水と砂利の呑吐置換に基づくI型ハイドレートシステムの坑井構造を示す図である。
【符号の説明】
【0028】
1 充填用砂利
2 海面
3 砂利注入チャネル
4 海水
5 表層温海水注入チャネル
6 多相生産チャネル
7 海底
8 ハイドレート貯留層
9 砂利
10 出砂対策ツール
11 フリーガス層
12 気液混合輸送パイプライン
13 海底土中部
14 RMR
15 水中テストスリー
16 水中ウェルヘッド
17 連続導管
18 サクションアンカー
19 導管
20 連続導管
21 裸坑
22 マルチラテラル坑井
23 監視井
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、図面と実施例に基づき、本発明の上記目的、特徴及び優位点についてさらに詳しく説明する。なお、本出願における実施例及び実施例中の特徴は矛盾がない限り、相互に組み合わせることができる。
【0030】
図1と
図2に示すように、温海水と砂利の呑吐置換に基づくI型ハイドレートシステムの採掘方法は、
【0031】
海洋の浅部地層にある塊状のI型ハイドレートシステム埋蔵層に、ハイドレート埋蔵層とフリーガス層を貫通した垂直の主坑井を掘り、フリーガス層を穿孔し、またハイドレートの分解表面積を広げるため、ハイドレート埋蔵層の主坑井に複数の枝坑井を掘削し、前記枝坑井を主坑井の円周方向に沿って布設し、枝坑井の長さが実際の採掘状況に応じて数百メートルまで延長することができ、そしてハイドレート層と下位のフリーガスを同時に減圧することで、ハイドレート埋蔵層の下表面、主坑井と枝坑井の塊状型ハイドレートを徐々に分解させ、減圧で下位のフリーガスを採掘する第1のステップと、
【0032】
減圧採掘によるガス量が減少する時、ハイドレート埋蔵層に表層の温海水を注入し、一定の時間静置後に熱交換を行い、海水の熱交換により、塊状型ハイドレートの表面分解を促し、埋蔵層のハイドレートがさらに分解した後、海水を吸いこんで圧力を下げ、減圧・坑井加熱の併用を実現し、浅部地層の海水呑吐法と流体抽出減圧法を合わせた採掘技術を採用することで、塊状型ハイドレートを徐々に分解させる第2のステップと、
【0033】
ガス量に基づいて減圧採掘の程度を判定し、ハイドレートの分解が坑井の近傍に発生し、かつ、ハイドレート埋蔵層の底に孔隙が開いた時、パイプラインを介して特定の量の砂利(約20メッシュ)を間欠的に輸送し、ボイド空間を補い、また地層に一定の粒径の砂利を間欠的注入することで、塊状型ハイドレートの分解によって生じる地層のボイド空間を充填し続け、地層の完全性を保つとともに、砂利の浸透率が高く、気液の流動に影響を与えず、地層の安定性を維持するとともに、坑井付近の浸透率を高め、ハイドレートの効果的な分解を促進する第3のステップと、
【0034】
第2のステップと第3のステップを繰り返すことで、海水の呑吐循環、減圧採掘、砂利の注入によって、浅部地層の塊状型ハイドレートシステムである鉱体を採掘終了まで連続的に分解させる第4のステップとを含む。ハイドレート鉱体のかわりに注入された砂利が地層の安定性を維持し、浅部地層の塊状型ハイドレートの安全かつ持続な採掘目的を達成する。
【0036】
(1)まず、鉱体図精密作成技術を用いて浅部地層の塊状型ハイドレートの埋蔵深度、分布面積、厚さ、下位のフリーガス位置、延長方向、埋蔵層の浸透率及び機械的強度を確定し、それらをもとに垂直主坑井の掘削計画と坑井構造を設計し、また生産井の施工前には、塊状型ハイドレート埋蔵層の分解状態、波及面積、地層の安定性、メタンガスの漏れを監視するための監視井を布設する。
【0037】
(2)つぎに、
図1に示すように、サクションアンカーを泥質地盤の海底下12〜15メートルに設置し、サクションアンカーに20#導管とウェルヘッドをあらかじめ取り付け、掘削船によって表層の堆積物、ハイドレート埋蔵層及びフリーガス層を順次貫通した垂直の主坑井を掘った後、ハイドレートの分解表面積を広げるため、連続導管を用いてハイドレート埋蔵層の主坑井に複数の枝坑井を掘削し、またフリーガス層を穿孔し、セメンティング後、生産用導管をフリーガス層まで取り付ける。
【0038】
(3)
図2に示すように、Georform出砂対策ツールで坑井仕上げを行い、フリーガス層と坑井の流路を確立する。
【0039】
(4)大直径の主坑井内には、ハイドレート減圧採掘の用に供するハイパワー電動ポンプ1式及び表層の海水注入と砂利充填の用に供する高圧注入ポンプ1式をそれぞれ取り付け、ハイパワー電動ポンプと高圧注入ポンプの2つのシステムが自動切替スイッチを介して左右側に交代で使用され、ガス水砂三相分離器をハイパワー電動ポンプの前端に設置する。
【0040】
(5)RMRシステムの吸込装置のリング状のBOPをオフにし、RMRシステムのリフト装置をオンにすることで坑底圧力を下げ、減圧生産を実現し、
図2に示すように、ある程度まで減圧し、ハイドレートの分解によって発生するメタンガスをRMRシステムの吸込装置に移動させた後、リスト装置を通じて、主坑井内にサイクロン式砂分離器と気液分離器を介してさらに選別し、泥土還流パイプラインを通じて地面に上昇し、地面テストプロセスに入る。
【0041】
(6)三相分離後のガスはデッキで精製、乾燥された後、液化天然ガスに製造され、デッキの天然ガス液化装置に貯蔵され、液化ガスの形で保管、輸送される。
【0042】
(7)減圧採掘によるガス量が減少する時、生産用導管を介してハイドレート埋蔵層に表層の温海水を注入し、一定の時間静置後に熱交換を行い、埋蔵層のハイドレートがさらに分解する。
【0043】
(8)高圧注入ポンプを再びオンにし、坑井内の流体を吸い込み、圧力を下げ、減圧採掘プログラムを起動し、減圧生産を続け、ステップ(7)と(8)の実行を繰り返す。
【0044】
(9)ある程度まで減圧生産を行う時には、ハイドレートの分解によって坑井の近傍に孔隙が発生し、ガス量と水量に基づいて塊状型ハイドレートの分解体積を取得し、監視井の監視データも加えてハイドレート貯留層のボイド状況を取得し、高圧注入ポンプを用いて孔隙内に砂利を注入することで、地層の安定性を保つ。
【0045】
(10)ステップ(5)〜(9)を繰り返し、海水を注入し、水を吸い込んで圧力を下げて採掘し、その後に砂利を注入する。以上のように繰り返し、表層の温海水の呑吐、砂利の置換によるハイドレート採掘を行い、地層の安定性を保つ上で海洋の浅部地層におけるハイドレートの安全かつ効率な採掘を実現し、海洋生態環境要求を満たす。
【0046】
以上述べたことは、本発明の好ましい実施例に過ぎず、本発明のその他の形態を限定するものではなく、当業者が上記で開示した技術内容に基づいて同等の効果が得られる改変又は改造を行い、実施例を他の分野に応用するとしても、すべて本発明の技術案の内容を逸脱することはなく、本発明の技術的要素に基づいて以上の実施例に対して行う何らかの簡単な修正、同等の変化及び改造はいずれも本発明の技術案の保護範囲に属する。
【外国語明細書】