【解決手段】ナビゲーション装置1は、ユーザ端末200から荷物の輸送先である市場名、荷物の品目を取得し、輸送先の市場入口から構内の目的地である荷下ろし場所、出口までの経路を案内する。ナビゲーション装置1は、構内の案内に加え、ユーザ端末200から荷下ろし場所への到着希望時間を取得して、荷下ろし場所への到着希望時間に荷下ろし場所へ到着するための市場入口到着時間を取得する。また、ナビゲーション装置1は、複数の市場を経由する場合における各市場入口への到着時間、荷下ろし場所への到着時間、市場出口の到着時間を取得する。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明のナビゲーション装置における好適な実施の形態について、
図1から
図5を参照して詳細に説明する。
(1)実施形態の概要
ナビゲーション装置1は、ユーザ端末200から荷物の輸送先である市場名、荷物の品目を取得し、輸送先の市場の入口から構内の目的地である荷下ろし場所、出口までの経路を案内する。ナビゲーション装置1は、構内の案内に加え、ユーザ端末200から荷下ろし場所への到着希望時間を取得して、荷下ろし場所への到着希望時間に荷下ろし場所へ到着するための市場入口到着時間を取得する。また、ナビゲーション装置1は、複数の市場を経由する場合における各市場入口への到着時間、荷下ろし場所への到着時間、市場出口の到着時間を取得する。
【0010】
(2)実施形態の詳細
図1は、本実施形態が適用されるナビゲーション装置1の構成図の一例を表したものである。
図1に示されるように、ナビゲーション装置1は、構内の経路探索や混雑情報の取得、地図情報の提供等を行うナビゲーションサーバ100と、ナビゲーションサーバ100へ目的地等を送信し、ナビゲーションサーバ100から経路探索の結果等を受信して表示するユーザ端末200とから構成される。ナビゲーションサーバ100とユーザ端末200とは、ネットワーク300により通信可能に接続される。
【0011】
ナビゲーションサーバ100は、制御部110と記憶部120、及び通信制御部130を備え、各部はデータバス等のバスラインを介して接続されている。
制御部110は、CPU、ROM、RAMを備える。
制御部110のCPUは、プログラムに従って、装置、各部を制御し、演算を行う。ROMは、CPUが制御や演算を行うための各種プログラムやデータが格納されたリードオンリメモリである。RAMは、CPUにワーキングメモリとして使用されるランダムアクセスメモリである。RAMには、本実施形態における各種処理を行うための領域の確保が可能となっている。
制御部110は、経路探索部111と到着時間取得部112を備える。
【0012】
経路探索部111は、後述するユーザ端末200の入力部240からユーザが入力した目的地等の情報を受け付け、構内の経路を、後述する構内情報データベース121を使用して探索する。
到着時間取得部112は、後述する混雑情報データベース122から混雑情報を取得して、到着時間等を取得する。
【0013】
記憶部120は、読み書き可能な記憶媒体で構成され、ハードディスクやSSD等が使用される。
記憶部120は、構内情報データベース121、混雑情報データベース122、地図情報データベース123、市場データベース124やその他のデータベース等、を有している。
【0014】
構内情報データベース121は、市場等の構内の経路網の情報を格納する。経路網は、ノードとリンクの組み合わせによって表現される。ノードは、交差点や荷下ろし場所、その他経路網表現上の結節点などである。リンクは、ノードとノードの間の経路区間である。
ノードデータには、ノード番号、名称、位置座標、ノード種別、接続リンク本数、接続ノード番号等の情報が含まれる。
ノード番号は、ノードを識別するための一意の番号である。名称は、ノードに付与する名称であって、品目ごとの各荷下ろし場所の名称や各仲卸事務所の名称などである。位置座標は、ノードの位置を緯度、経度、高度により表す。ノード種別は、構内への入口、出口、入場ゲートや退場ゲート、経路の交差点や曲がり角、エレベーター乗降口、荷下ろし場所、守衛室、荷受事務所、仲卸事務所などの情報である。接続リンク本数は、ノードに接続するリンクの本数を、接続ノード番号は、リンクを介してノードに接続するノードの番号である。
【0015】
リンクデータには、リンク番号、起点ノード番号、終点ノード番号、リンク種別、リンク長、車線数、車道幅員、レーン情報、制限速度などの交通規制等の情報が含まれる。
リンク番号は、リンクを識別するための一意の番号である。起点ノード番号及び終点ノード番号は、リンクの起点と終点となるノードの番号である。リンク種別は、道路やスロープ、エレベーター、階段、エスカレーター等の情報である。リンク長は、リンクの長さ、つまり距離である。車線数は、リンクで表す区間が有する車線の数である。車道幅員は、リンクで表す区間の車線の幅である。レーン情報は、リンクで表す区間に含まれる専用通行帯や優先通行帯等の情報である。制限速度は、構内における車両の速度規制の情報である。
【0016】
混雑情報データベース122は、市場等の構内や構内への入口から構外に続く渋滞情報を格納する。混雑情報データベース122は、混雑発生区間、混雑距離、通過時刻、旅行時間等の情報を含む。
混雑発生区間は、混雑のある区間の情報である。区間は、始点と終点等の2点の間を指し、混雑発生区間は、混雑のある区間の始点と終点に関する情報を保持する。始点や終点としてノードを登録してもよい。ノード「入口」から構外へ渋滞が発生する場合は、例えば、構外に位置するユーザ端末200の現在位置を始点、ノード「入口」を終点としてもよい。その他、例えば、構内情報データベース121のリンクデータを基準とすることができる。ノード「入口」からノード「入場ゲート」までの区間に混雑が発生した場合、起点ノードが「入口」、終点ノードが「入場ゲート」のノードをもつリンクが混雑発生区間となる。この場合において、混雑発生区間はリンクIDとしてもよい。以下、本実施例においては、混雑発生区分はリンクデータを基準とする。
【0017】
混雑距離は、混雑発生区間に該当するリンクのリンク長である。
通過時刻は、例えば、ユーザ端末200が、起点ノード、終点ノードをそれぞれ通過した時刻である。
旅行時間とは、2点間を通過する際に要する時間である。例えば、ユーザ端末200が、ノードの2点間、つまりリンクの通過に要する時間や、ユーザ端末200の位置から特定のノード通過までに要する時間等である。旅行時間は、起点ノードと終点ノードの通過時刻の差分により算出することができる。
また、混雑情報データベース122は、各レコードをユーザ端末200に紐づけてもよい。これにより、特定のユーザ端末200の構内における移動を追跡することができる。また、紐づけされたレコードの起点ノード通過時刻と終点ノード通過時刻から、ノードでの停止時間を算出することができる。例えば、荷下ろし場所のノードにおける終点ノード通過時刻と起点ノード通過時刻との差により、荷下ろしに要した時間を得ることができる。
【0018】
混雑の発生の有無は、「リンク長を構内の制限速度で除する」ことで取得する平常時の旅行時間と、構内情報データベース121の旅行時間との比較により判断できる。また、後述するユーザ端末200が備える現在置取得部280の速度センサによりユーザ端末200の移動速度を計測して、計測した速度が、構内やユーザ端末200の位置する一般道の制限速度以下であるか等によって混雑の発生の有無を判断してもよい。
これら混雑発生区間、混雑距離、通過時刻、旅行時間等の情報は、月日、曜日、時間帯等の実績に基づく統計データでもよいし、リアルタイムに計測するデータでもよい。
【0019】
地図情報データベース123は、地図に関する情報を格納する。地図情報データベース123は、地図を描画するための画像、テキスト、構内案内図等の情報を含む。地図を描画するための画像とは、道路、敷地、建物等を描画するためのポリゴンデータ等の情報である。テキストとは、地図上に表示される施設名や地点情報などである。構内案内図とは、市場構内の案内図等であって、屋内施設を有する市場においては当該屋内施設のフロア案内等の情報である。
【0020】
その他のデータベースとして、例えば、市場データベース124を格納する。市場データベース124は、市場の名称、取扱品目、仲買業者、荷下ろし場所、荷受時間(競り開始時間)等の情報を含む。
取扱品目とは、人参や玉葱、法蓮草などの青果名や、マグロや鯖などの生鮮名、いくらや雲丹などの水産加工品名等、市場に紐付けられた品目に関する情報である。
仲買業者は市場に紐付けられた仲買業者の情報である。仲買業者の情報には、名称、マーク、略称、連絡先等の情報が含まれてもよい。仲買業者の多くは、市場内においては正式名称よりもその略称やマークで認識される場合が多く、これらの情報をユーザに提供することにより、新人ドライバーであっても混乱することなく仲買業者を認識することができる。
荷下ろし場所は、取扱品目や仲買業者に紐付けられた荷物の下ろし場所である。
荷受時間は、荷物の受け渡し可能時間であって、荷物の必着時間である。荷受時間は、例えば、競りの開始時間により決定される。
【0021】
通信制御部130は、ナビゲーションサーバ100と他のパーソナルコンピュータやタブレット、ナビゲーション専用端末等の各種電子機器との間をネットワーク接続するための制御を行う。
【0022】
ユーザ端末200は、パーソナルコンピュータ、携帯電話、スマートフォン、タブレット、ナビゲーション専用端末等である。ユーザ端末200は、ウェブブラウザを用いてナビゲーションサーバ100へ接続してもよく、専用のアプリケーションにより接続してもよい。
ユーザ端末200は、制御部210、記憶部220,通信制御部230、入力部240、表示部250、音声出力部260、入出力インターフェース部270、現在地取得部280を備え、各部はデータバスのバスライン等を介して接続されている。
【0023】
制御部210は、CPU、ROM、RAMを備える。
制御部210のCPUは、プログラムに従って各部を制御し、演算を行う。ROMは、CPUが制御や演算を行うための各種プログラムやデータが格納されたリードオンリメモリである。RAMは、CPUにワーキングメモリとして使用されるランダムアクセスメモリである。RAMには、本実施形態における各種処理を行うための領域の確保が可能となっている。
制御部210は、現在位置情報取得部211を備える。
現在位置情報取得部211は、後述する現在地取得部280からユーザ端末200の現在の位置情報を取得する。現在位置情報取得部211は、例えば、1秒ごとや1分ごとなど、定期的にユーザ端末200の現在位置を更新する。現在位置情報取得部211は、地図情報に基づいてユーザ端末200の現在位置を取得しても良い。
【0024】
記憶部220は、読み書き可能な記憶媒体で構成され、ハードディスクやSSD、SRAM等で構成されキャッシュメモリなどの小容量高速メモリ等が使用される。記憶部220は、検索の履歴などを格納してもよく、各種のデータを一時的に記憶するものであってもよい。
通信制御部230は、ユーザ端末200とナビゲーションサーバ100等の各種電子機器との間をネットワーク接続するための制御を行う。
【0025】
入力部240は、例えばタッチパネルやソフトウェアキーボード、マウス、マイク、バーコードリーダ等であり、データ入力等を行う。
表示部250は、例えば液晶ディスプレイ等が使用され、ウェブブラウザやアプリケーションの画面、入力部240からの入力結果等を表示する。
音声出力部260は、スピーカー等であって、音声情報を処理して出力する。
入出力インターフェース部270は、入力部240、表示部250、音声出力部260現在地取得部280等の制御を行う。
【0026】
現在地取得部280は、ユーザ端末200の現在の位置情報を取得する。
例えば、現在地取得部280は、GPS等の位置情報に関する信号を受信する。GPS信号を受信することで、ユーザ端末200の位置情報、移動速度、進行方向などの情報を得ることができる。
また、現在地取得部280は、市場構内の屋外や屋内においては、位置情報を発信する位置情報発信機器より位置情報を取得するようにしてもよい。位置情報発信機器は、構内の各要所へ設置され、自己の設置される位置を記憶する。現在地取得部280は、位置情報発信器と通信可能な範囲へ入ると、位置情報発信器より位置情報を取得する。構内の各要所とは、例えば、入口や入場ゲート、各荷下ろし場所、退場ゲート、エレベーターの乗降口などのノードの位置等である。
現在地取得部280は、速度センサ、方位センサ、距離センサ等を備えてもよい。方位センサとしては、例えば、絶対方位センサとして地磁気センサ、相対方位センサとしてジャイロセンサなどを使用してもよい。距離センサとしては、車輪の回転数を検出して計算する等して車両の移動距離を計測してもよい。
【0027】
ネットワーク300は、インターネットや電話回線網、専用回線等である。ナビゲーションサーバ100及びユーザ端末200は、ネットワーク300へ有線、無線、WiFi等により接続される。ネットワーク300は、地図や混雑状況、交通情報等の情報をナビゲーション装置1の外部から取得する場合には、これらの情報を提供する外部機器とナビゲーションサーバ100及びユーザ端末200を通信可能に接続する。
【0028】
なお、本実施形態におけるナビゲーション装置1の構成は例示であって、サーバ側と端末側の機能分散の形態はこれに限られない。本実施例においてサーバ側で行う機能を端末側で実施してもよく、その反対でも良い。また、本実施例においては単一のサーバで構成しているが、これを複数のサーバで構成して各機能と負荷を分散してもよいし、サーバと端末に分散するすべての機能を単一の機器でまかなうスタンドアローンとして構成してもよい。
【0029】
次に、以上のように構成された実施形態の動作について説明する。
図2は、経路探索の流れを示すフローチャートである。
ユーザ端末200の制御部210は、ナビゲーションサーバ100の市場データベース124より市場の一覧を取得して、表示部250へ表示する。
ユーザは、入力部240を用いて、表示部250に表示された市場一覧の中から所望の市場を選択する。
続いて、制御部210は、選択された市場名を取得し、取得した市場において扱われる取扱品目を、ナビゲーションサーバ100の市場データベース124より取得して表示部250へ表示する。
ユーザは、入力部240を用いて、表示部250に表示された取扱品目の中から輸送対象である荷物の品目を選択する。
制御部210は、選択された市場名及び品目名をナビゲーションサーバ100へ送信する。
本実施形態では、市場名と品目名を、ユーザが表示部250に表示される内容から選択して入力するが、集荷伝票などに市場名や品目名の情報を含むバーコード等を付し、当該バーコードを読み込んで、市場名や品目名を取得する等してもよい。入力をより簡便にすることができる。
【0030】
ナビゲーションサーバ100の経路探索部111は、ユーザ端末100より市場名及び品目名を受信する(S1)。
経路探索部111は、市場名及び品目名を市場データベース124から検索して、対応する荷下ろし場所を取得する(S2)。
続いて、経路探索部111は、経路を探索する(S3)。経路探索部111は、市場入口を始点、荷下ろし場所を経由して、市場出口を終点として経路を探索する。
例えば、経路探索111は、取得した荷下ろし場所を構内情報データベース121から検索して対応するノードを取得する。
経路探索111は、取得したノードに対応する接続ノード、ノードに接続するリンクを取得して、始点から経由地、経由地から終点までの経路を探索する。経路探索部111は、経路探索が終了すると処理を終了する。
経路案内の始点は、入口に限らず、ユーザ端末200の現在位置や、ユーザがユーザ端末200の表示部250に表示される地図上から指定する任意の位置等を始点とすることができる。この場合において、始点が市場構外である場合には、始点から市場の入口までの経路は、既存のナビゲーションシステムを使用してもよい。
【0031】
また、経路探索111は、経路が複数探索された場合には、始点から終点までの総コストを算出してもよい。経路探索111は、最も低コストである経路を最適経路とすることができる。コストは、所要時間や移動距離等により決定することができる。
所要時間によりコストを算出する場合、経路探索111は、探索した経路に含まれるリンクのリンク長と構内の制限速度を取得し、リンク長を制限速度で除することでリンクの通過に要する時間(旅行時間)を取得できる。経路に含まれるすべてのリンクにおける旅行時間を合算することにより、経路に係る時間の総コストを算出することができる。
この他、混雑情報データベース122の旅行時間を使用して、所要時間のコスト算出に混雑状況を加味してもよい。
【0032】
経路探索111は、構内に輸送車両による複数の待ち行列が形成され、混雑が生じている場合には、その目的地に応じて、いずれの列に並ぶかを探索するようにしてもよい。例えば、経路探索111は、各輸送車両にユーザ端末200が搭載されている場合には、各輸送車両に搭載されたユーザ端末200と通信を行い、その位置情報等取得する。続いて、経路探索111は、経路案内の対象であるユーザ端末200の目的地への経路上に位置する各ユーザ端末200を取得し、目的地へ続く列の最後尾に位置するユーザ端末200の位置を取得する。
【0033】
輸送において、荷受時間に荷物の到着が間に合わないことは、遅延による補償等の問題を引き起すため、避けるべき事態である。例えば、構内が混雑している場合に、誤った列にならんでしまい、その後正しい列へ並び直す、等のタイムロスが発生する事態は遅延へつながるため、回避すべきである。したがって、構内において、混雑により輸送車両が列をなしている場合には、自己の荷下ろし場所へ続く正しい列を見極め、この列へ並ぶことが重要であり、ナビゲーション装置1は並ぶべき列の最後尾を案内することができる。
この他、目的地が混雑の列を越した先にある場合には、経路探索111は、探索する経路において複数の車線がある場合には、混雑の列のない車線を案内するようにしてもよい。また、経路探索111は、車線が一つであっても、車線の幅員から、混雑の列の横を通過することが可能であれば、これを案内するようにしてもよい。
【0034】
経路探索111の探索する経路は平面に限られない。例えば、市場が複数階からなる場合でも経路探索111は経路を探索することができる。より具体的には、荷下ろし場所が2Fであって、行きは輸送車両用のエレベーター、帰りはスロープを使用する場合、ナビゲーション装置1は、市場入口からエレベーター乗口、エレベーター降口から荷下ろし場所、荷下ろし場所からスロープ入口、スロープ出口から市場出口、までの経路を、構内情報データベース121を使用して探索することができる
経路探索111は、探索した経路に基づき地図情報データベース123から地図データを取得し、経路及び地図情報をユーザ端末200へ送信する。
【0035】
ユーザ端末200の制御部210は、ナビゲーションサーバ100から経路及び地図情報を受信する。制御部210は、受信した経路と地図情報に基づき、表示部250へ地図と、当該地図上に経路を表示する。
ユーザ端末200の制御部210は、経路案内を開始する際には、音声出力部260より経路案内を出力して音声による案内を行ってもよい。
【0036】
ナビゲーション装置1は、表示部250へ経路及び地図を表示する際に、交通情報を併せて表示してもよい。交通情報とは、一方通行やレーンであるとか、車線数、車道幅員等の情報である。
市場に入る長距離輸送車両は大型であり、例えば、一方通行である道へ逆向きに侵入した場合に、狭い構内で、かつ多くの人が行き交う状況において、その車両の方向転換を行うことは非常に困難である。仮に方向転換をせざるを得ない状況になった場合には、ドライバーは守衛室へ駆け込み、守衛による誘導を得る必要もある。このように、長距離輸送車両の構内における通行は、一般道の通行に比してより道を間違えることのないようにする必要がある。ここで、ユーザ端末200に表示される地図上に、一方通行であることを表示していれば、万一、輸送車両がユーザ端末200に表示される経路を逸脱した場合であっても、ナビゲーション装置1における経路の再検索の結果を待つ間に、一方通行の道路へ逆向きに侵入することを予防することができる。
これと同様に、専用レーンや車線数、車道幅員等を表示することで、ユーザはあらかじめ構内の交通情報を把握でき、構内の移動に際し、より冷静に対応することができる。
この他、守衛室、荷受事務所、フォークリフト置き場など、ユーザが構内にて必要となる可能性が高い場所に関しては、地図上にアイコンや色彩を付すなどして、ユーザにより認識しやすい表示としてもよい。これらの構内にて必要となる可能性がある場所は、ユーザが指定するようにしてもよい。ユーザの業務の熟練度等により必要となる情報は異なることもあるからである。
【0037】
図3は、到着時間を取得する流れを示すフローチャートである。
上述の通り、輸送において荷物は荷受時間までにその荷下ろし場所へ到着しなくてはならない。ここで問題となるのは、市場の構内や入口付近の構外は、時間帯によりその混雑状況は変化するため、荷下ろし場所へ希望の到着時間に到着するには、この混雑状況を考慮して市場入口への到着時間を決定する必要がある点である。到着時間は、市場構内及び市場入口付近の混雑状況を加味して、荷下ろし場所への希望の到着時間から、当該到着時間に荷下ろし場所へ到着するための市場入口への到着時間を取得するものである。
【0038】
ユーザ端末200の制御部210は、ナビゲーションサーバ100の市場データベース124より市場の一覧を取得して、表示部250へ表示する。
ユーザは、入力部240を用いて、表示部250に表示された市場一覧の中から所望の市場を選択する。
続いて、制御部210は、選択された市場名を取得し、取得した市場において扱われる取扱品目を、ナビゲーションサーバ100の市場データベース124より取得して表示部250へ表示する。
ユーザは、入力部240を用いて、表示部250に表示された取扱品目の中から輸送対象である荷物の品目を選択する。
制御部210は、表示部250へ荷下ろし場所到着希望時間の入力画面表を表示する。
ユーザは、入力部240を用いて、荷下ろし場所への希望の到着時間を入力する。
制御部210は、選択された市場名及び品目名、荷下ろし場所到着希望時間をナビゲーションサーバ100へ送信する。
【0039】
ナビゲーションサーバ100の制御部110は、ユーザ端末100より、市場名及び品目名、荷下ろし場所到着希望時間を受信する。
ナビゲーションサーバ100の到着時間取得部112は、ユーザ端末100より受信した荷下ろし場所到着希望時間を到着希望時間として取得する(S4)。
到着時間取得部112は、経路を探索する(S5)。経路探索部111は、ユーザ端末100より受信した市場名及び品目名を取得し、市場の入口を始点、荷下ろし場所を終点として経路を探索し、到着時間取得部112はその探索結果を受け取る。
【0040】
到着時間取得部112は、受け取った経路探索結果から終点のノードへ接続するリンクを取得する(S6)。到着時間取得部112は、取得したリンクと同一で、取得した到着希望時間以前であって到着希望時間に最も近い終点ノード通過時刻をもつレコードを混雑情報データベース122から取得する(S7)。到着時間取得部112は、取得したレコードから起点ノード通過時刻を取得する。
到着時間取得部112は、到着希望時間へ起点ノード通過時刻をセットする(S8)。
取得したリンクの起点ノードが始点のノードと同一となる場合(S9:Y)、到着時間取得部112は、処理を終了する。
取得したリンクの起点ノードが始点のノードと同一でない場合(S9:N)、到着時間取得部112は、S6に戻り、経路探索結果から、取得したリンクに続くリンク、つまり、取得したリンクの起点ノードを終点として接続するリンクを取得し、処理を続ける。
ナビゲーションサーバ100の制御部110は、到着希望時間を到着時間としてユーザ端末200へ送信する。
ユーザ端末200の制御部210は、ナビゲーションサーバ100から到着時間を受信して、表示部250へ市場入口到着時間として表示する。
【0041】
到着時間の取得にあたっては、市場入口から構外へ続く渋滞状況を加味してもよい。
本実施形態のおいては、到着時間取得部112は、終点から始点へ向かって探索を行っているが、これを始点から終点へ向かって探索するようにしてもよい。市場入口へすでに到着している場合などに、荷下ろし場所への到着予想時間を提供することができる。
また、終点は荷下ろし場所に限らず、市場の出口等を指定してもよい。市場入口を始点、荷下ろし場所を経由して、市場出口を終点として探索することで、市場の出口希望到着時間に対する市場入口到着時間や、その逆である市場入口到着時間に対する市場出口到着予想時間を提供することができる。
【0042】
図4は、市場到着と荷下ろし場所到着の予想時間の表示例である。市場到着時間と荷下ろし場所到着時間の予想リストを時間帯ごとに表示する。市場到着時間は市場の入口への到着時間である。
ナビゲーションサーバ100の到着時間取得部112は、経路探索部111より入口から荷下ろし場所への経路探索の結果を取得して、市場到着時間、混雑度、荷下ろし場所到着時間、所要時間に関する統計データを混雑情報データベース122から作成する。統計は、リアルタイムでもよいし、直近の1週間や1ヶ月、半年、または一年前の同日や市場開場日、等に基づき行ってもよい。到着時間取得部112は、市場データベース124から荷受時間を取得し、荷下ろし場所到着時間が荷受時間内であるか判定する。
ナビゲーションサーバ100の制御部110は、市場到着時間、混雑度、荷下ろし場所到着時間、荷受時間内、所要時間をユーザ端末200へ送信し、ユーザ端末200の制御部210は、これを受信して表示部250へ表示する。
【0043】
図4に示すように、表示部250には、一定時間に区切られた市場到着時間と、これに対応する荷下ろし場所到着時間が表示される。市場到着時間の時間帯は、30分、15分、10分ごとなど、ユーザが所望の単位で表示できるよう表示を切り替えるようにしてもよい。
混雑度は、市場到着時間における入口から荷下ろし場所までの混雑状況を表す。平常時の旅行時間に比して増加する旅行時間の割合により表現する。例えば、入口を通過して荷下し場所までに要する旅行時間が平常時の旅行時間に比べて20%増であれば、例えば5つある矩形のうち一つの矩形に彩色する。混雑率が上がるに従い、彩色する矩形の数が増える。これにより、ユーザは入口から荷下ろし場所までの混雑状況をひと目で把握することができる。混雑度の表示は上記にかかわらず、文字による混雑率の表示や、色の濃淡等により表現してもよい。
【0044】
荷受時間内は、荷下ろし場所到着時間が荷受時間以前であれば「○」、荷受時間以降であれば「×」を表示する。これにより入口への最終到着時間をひと目で確認できる。
所要時間は、入口から荷下ろし場所に至るまでに要する時間(旅行時間)である。
表示例より、入口への到着時間が3:00である場合には、荷下ろし場所までの所要時間は50分である事がわかる。ユーザは、表示例を参考に荷物の集荷場や出荷場等からの出発時間を決めることができる。
この他、市場の出口到着時間を併せて表示するようにしてもよい。また、ナビゲーション装置1は、荷下ろしに要する時間を混雑情報データベース122から算出して、これを併せて表示したり、出口到着時間の取得の際に加味してもよい。
【0045】
図5は、複数の市場を経由する際の市場到着時間、荷下ろし場所到着時間、出口到着時間を取得する流れを示すフローチャートである。
長距離の輸送に関し、輸送効率の問題から、輸送車両は複数の市場を経由しながら最終の市場まで走行するという業務形態が取られている。複数の市場を経由する場合も荷物の到着遅延は当然に問題であり、複数の市場を経由するがゆえに、市場への到着時間の取得はより複雑である。
また、環状に位置する複数の市場を回る場合、例えば、右回りのルートで回るべきか左回りのルートで回るべきか判断する必要があり、輸送距離自体に大きな差はないため、道路や市場内の渋滞状況などにより何れのルートを採用すべきか判断する必要がある。ルートの選択を誤れば市場への到着の遅延へつながるため、何れのルートを採用するかは重要な判断事項である。
地点到着時間取得は、複数の市場を経由する場合に、最終の市場における荷受時間を基準として、当該最終市場の荷受時間に間に合うための、各市場における、市場入口、荷下ろし場所、市場出口への到着時間を取得するものである。例えば、輸送ルートとして市場A、市場B、市場Cの順に回る場合において、ナビゲーション装置1は、市場A,B,Cそれぞれの、入口到着時間、荷下ろし場所到着時間、出口到着時間とを提供する。
【0046】
ユーザ端末200の制御部210は、ナビゲーションサーバ100の市場データベース124より市場の一覧を取得して、表示部250へ表示する。
続いて、制御部210は、選択された市場名を取得し、取得した市場において扱われる取扱品目を、ナビゲーションサーバ100の市場データベース124よりそれぞれ取得して表示部250へ表示する。
ユーザは、入力部240を用いて、表示部250に表示された市場における取扱品目の中から輸送対象である荷物の品目を選択する。
ユーザは、市場名と品目名を、市場を回る順に繰り返し入力する。例えば、市場A、市場B、市場Cの順に入力する。
制御部210は、市場名と品目名、その入力された順番、つまり輸送順をナビゲーションサーバ100へ送信する。
【0047】
ナビゲーションサーバ100の制御部110は、ユーザ端末100より各市場名、各品目名を、輸送順を受信する。
到着時間取得部112は、ユーザ端末100より受信した輸送順から輸送先の数を取得して、変数COUNTへセットする(S11)。
到着時間取得部112は、受信した市場名のうち、最後に入力された市場Cにつき市場入口到着時間を取得する(S12)。
到着時間取得部112は、市場Cに関し、受信した市場名及び品目名を市場データベース124から検索して、対応する荷受時間を到達希望時間として取得する。荷受時間に幅がある場合には、到着時間取得部112は、最終の荷受時間を到着希望時間とする。ユーザが到着希望時間を指定するようにしてもよい。
【0048】
到着時間取得部112は、経路探索部111から、市場Cの入口を始点、荷下ろし場所を経由し、市場Cの出口を終点とする経路の探索結果を受け取る。
まず、到着時間取得部112は、探索結果より、荷下ろし場所のノードを終点として接続するリンクを取得する。到着時間取得部112は、取得したリンクと同一で、取得した到達希望時間以前であって到達希望時間に最も近い終点ノード通過時刻をもつレコードを、混雑情報データベース122から取得する。到着時間取得部112は、取得したレコードから起点ノード通過時刻を取得する。ここで、取得したレコードの終点ノード通過時刻が、荷下ろし場所到着時間となる。
到着時間取得部112は、荷下ろし場所から始点である市場入口まで処理を繰り返して遡り、始点における起点ノード通過時刻、つまり市場C入口到着時間を取得する。
【0049】
到着時間取得部112は、COUNTが輸送先数である場合(S13:Y)、終点到着時間時間を取得する(S15)。終点到着時間は、処理の対象となる市場が最終輸送先の市場である場合に、荷下ろし場所到着時間を基準として、経路探索の結果に従い、市場への出口到着時間を取得する。
到着時間取得部112は、取得した荷下ろし場所到着時間を終点到着時間にセットする(S17)。
続いて、到着時間取得部112は、経路探索結果から、荷下ろし場所のノードを起点として接続するリンクを取得する(S18)。
到着時間取得部112は、取得したリンクと同一で、取得した終点到着時間以降であって終点到着時間に最も近い起点ノード通過時刻をもつレコードを、混雑情報データベース122から取得する(S19)。
到着時間取得部112は、取得したレコードから終点ノード通過時刻を取得して終点到着時間へセットする(S20)。
【0050】
取得したリンクの終点ノードが終点である市場出口のノードと同一となった場合(S21:Y)、到着時間取得部112は、処理を終了する。終点ノードが終点のノードと同一でない場合(S21:N)は、到着時間取得部112は、S18へ戻り処理を続ける。到着時間取得部112は、経路探索結果から、リンクの終点ノードを起点として接続するリンクを取得し、取得したリンクの終点ノードが終点のノードと同一となるまで、上記処理を繰り返す。終点到着時間が出口到着時間である。
【0051】
地点到着地点取得に戻り説明する。
到着時間取得部112は、COUNTが輸送先数でない場合(S13:N)、COUNTをデクリメントする(S14)。
到着時間取得部112は、COUNTが0以下の場合(S16:N)、処理を終了する。
到着時間取得部112は、COUNTが0より大きい場合(S16:Y)、S12へ戻り処理を続ける。
【0052】
その際、図示しないが、到着時間取得部112は、市場Bから市場Cへの移動時間を取得する。到着時間取得部112は、市場Bから市場Cへの移動時間を外部サーバ等より取得することができる。移動時間には、使用する道路の市場C到着時間における渋滞状況を加味してもよい。到着時間取得部112は、渋滞情報をVICS(登録商標)などから取得することができる。各市場間の道路の渋滞状況を加味することで、各市場へのより正確な到着時間を提供することができる。
到着時間取得部112は、市場Cの入口到着時間から、市場Bと市場C間の移動時間を引いた時間(市場B出発時間)を算出する。
【0053】
到着時間取得部112は、S12へ戻り、処理を続ける。
到着時間取得部112は、市場Bに関し、市場名及び品目名を取得し、市場名及び品目名を市場データベース124から検索して、市場B出発時間を到達希望時間として取得する。
到着時間取得部112は、経路探索部111から市場Bの入口を始点、荷下ろし場所を経由し、市場の出口を終点とする経路の探索結果を受け取る。
到着時間取得部112は、探索結果より、市場Bの出口のノードを終点として接続するリンクを取得する。到着時間取得部112は、取得したリンクと同一で、取得した到達希望時間以前であって到達希望時間に最も近い終点ノード通過時刻をもつレコードを、混雑情報データベース122から取得する。到着時間取得部112は、取得したレコードから起点ノード通過時刻を取得する。ここで、取得したレコードの終点ノード通過時刻が、出口到着時間となる。
【0054】
このように、到着時間取得部112は、終点から始点まで遡りながら、荷下ろし場所のノードを終点ノードとするリンクにおける終点ノード通過時刻(市場B荷下ろし場所到着時間)と、始点における起点ノード通過時刻(市場B入口到着時間)を取得する。
市場B出発時間と市場Bの出口到着時間との差が大きい場合には、到着時間取得部112は、市場Bの出口到着時間を市場Bの出発時間として、市場BとCの移動時間、及び市場Cの入口到着時間、荷下ろし場所到着時間、出口到着時間を再計算してもよい。この際、荷下ろし場所到着時間は荷受時間の範囲内となるよう計算する。
【0055】
到着時間取得部112は、以降、COUNTが0以下(S16:N)になるまで処理を続ける。
到着時間取得部112は、市場Bと市場Aの移動時間を取得し市場A出発時間を算出する。市場Bの場合と同様に、到着時間取得部112は、市場Aにおける始点のノードにおける起点ノード通過時刻(市場A到着時間)、荷下ろし場所のノードを終点ノードとするリンクにおける終点ノード通過時刻(市場A荷下ろし場所到着時間)、終点のノードのおける終点ノード通過時刻(市場A出口到着時間)を取得する。
この場合も、市場A出発時間と市場Aの出口到着時間との差が大きい場合には、到着時間取得部112は、市場Aの出口到着時間を市場Aの出発時間として、続く市場Bと市場Cにおける入口到着時間、荷下ろし場所到着時間、出口到着時間を再計算してもよい。この際、各荷下ろし場所到着時間は各荷受時間の範囲内となるよう計算する。
市場入口到着時間の取得には、市場の入口から構外へ続く渋滞状況を加味してもよい。また、到着時間取得部112は、混雑情報データベース122から、荷下ろしに要する時間を算出して、各到着時間の取得の際にこれを加味してもよい。
【0056】
ナビゲーションサーバ100の制御部110は、市場A,B,Cにおける入口到着時間、荷下ろし場所到着時間、出口到着時間をユーザ端末200へ送信する。
ユーザ端末200の制御部210は、市場A,B,Cにおける入口到着時間、荷下ろし場所到着時間、出口到着時間を受信して、表示部250へ表示する。制御部210は、各市場間の移動時間をナビゲーションサーバ100より取得して、これを併せて表示してもよい。
【0057】
本実施例においては、複数の市場を経由する場合の市場を回る順番は、ユーザが指定するが、ナビゲーション装置1がこれを決定してもよい。ナビゲーション装置1が、ユーザが入力した複数の市場名から輸送ルートを決定することで、ユーザは自らルートを指定する必要がない。複数のルートが選択可能な場合においては、ナビゲーション装置1が、複数のルートで探索を行い、結果を表示するようにしてもよい。ユーザは複数のルートを比較することができる。
【0058】
複数の市場を経由する場合においても、
図4に示される市場到着時間と荷下ろし場所到着時間の表示例に倣って、ユーザ端末200の制御部は、各市場の時間帯ごとの市場到着時間、荷下ろし場所到着時間、出口到着時間を表示部250に表示してもよい。この場合、市場ごとに画面を分けて表示するようにしてもよいし、一つの画面で比較できるように表示してもよい。市場ごとに、時間帯に応じた市場への到着時間や荷下ろし場所到着時間、出口到着時間を把握することができ、ユーザは、ルート選択の参考にすることができる。また、ユーザは、複数の市場を経由する際のルートを事前にシュミレーションすることができ、荷物の積み込みの順番の参考とすることなどもできる。
【0059】
以上説明したように本実施形態のナビゲーション装置1によれば、ユーザ端末200から荷物の輸送先である市場名、荷物の品目を取得して、輸送先の市場の入口から構内の目的地である荷下ろし場所、出口までの経路を案内することができる。また、ナビゲーション装置1は、構内の案内に加え、ユーザ端末200から荷下ろし場所への到着希望時間を取得して、荷下ろし場所への到着希望時間に荷下ろし場所へ到着するための市場入口到着時間を取得することができる。ナビゲーション装置1は、複数の市場を経由する場合における各市場入口への到着時間、荷下ろし場所への到着時間、市場出口の到着時間や市場の出発時間を取得することができる。
これにより、新人ドライバーであっても構内で迷うことなく容易に、荷受時間までに荷物を目的地へ届けることができる。
【0060】
以上、本発明のナビゲーション装置1における実施形態について説明したが、本発明は説明した実施形態に限定されるものではなく、各請求項に記載した範囲において各種の変形を行うことが可能である。