(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2020-95026(P2020-95026A)
(43)【公開日】2020年6月18日
(54)【発明の名称】測時学または宝飾用のジルコニア系セラミックス部品にチタン合金部品をろう付けするための方法
(51)【国際特許分類】
G04B 37/22 20060101AFI20200522BHJP
C04B 37/02 20060101ALI20200522BHJP
B23K 1/19 20060101ALI20200522BHJP
B23K 26/361 20140101ALI20200522BHJP
B23K 1/00 20060101ALI20200522BHJP
【FI】
G04B37/22 B
G04B37/22 V
C04B37/02
B23K1/19 B
B23K26/361
B23K1/00 330Z
【審査請求】有
【請求項の数】21
【出願形態】OL
【外国語出願】
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2019-210209(P2019-210209)
(22)【出願日】2019年11月21日
(31)【優先権主張番号】18212595.5
(32)【優先日】2018年12月14日
(33)【優先権主張国】EP
(71)【出願人】
【識別番号】599044744
【氏名又は名称】コマディール・エス アー
(74)【代理人】
【識別番号】100098394
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 茂樹
(74)【代理人】
【識別番号】100064621
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 政樹
(72)【発明者】
【氏名】ダミアン・ル ブードゥイユ
(72)【発明者】
【氏名】アレクサンドル・ネトゥシル
【テーマコード(参考)】
4E168
4G026
【Fターム(参考)】
4E168AD03
4E168JA15
4G026BA05
4G026BB21
4G026BF11
4G026BG02
4G026BG26
4G026BH13
(57)【要約】 (修正有)
【課題】機械的応力またはポリマー接着剤を使用せずに、金属合金時計器部品とセラミックス部品とのアッセンブリを解明し、したがってより良好な機械的特性をアッセンブリに付与する。
【解決手段】第1の部品10にはジルコニア系セラミックスが選択され、第2の部品20にはチタン合金が選択され、接合領域3の第1の表面1に対して、第2の部品20の第2の表面2に対して後退するように設けられている第1の凹部4が、第1の部品10の内部に製作され、ろう付け材料5が、この第1の表面1および各凹部4の内部に堆積され、第2の表面2は、第1の表面1とアラインして、アッセンブリを形成するように位置決めされ、このアッセンブリは、制御された雰囲気中で、ろう付け材料5の融解温度よりも高い温度に加熱され、接合領域3にろう付けが形成される方法。
【選択図】
図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1のセラミックス部品(10)および第2の金属合金部品(20)をろう付けして、構造および/または外部時計器要素(100)を製作するための方法であって、前記第1の部品(10)にはジルコニア系セラミックスが選択され、前記第2の部品(20)にはチタン合金が選択され、接合領域(3)の第1のベアリング表面(1)に対して、前記第2の部品(20)の第2のベアリング表面(2)に対して後退するように設けられている少なくとも1つの第1の凹部(4)が、前記第1の部品(10)の内部に製作され、ろう付け材料(5)が、この第1のベアリング表面(1)および各凹部(4)の内部に堆積され、前記第2の表面(2)は、前記第1の表面(1)とアラインして、アッセンブリを形成するように位置決めされ、前記アッセンブリは、制御された雰囲気中で、前記ろう付け材料(5)の融解温度よりも高い温度で加熱され、前記接合領域(3)の前記第1の部品(10)に対する前記第2の部品(20)のろう付けが形成され、さらに、少なくとも1つの前記第2のベアリング表面(2)は、前記接合領域(3)に位置する交点(23)の少なくとも第2の線と交差する少なくとも2つの基礎表面(21、22)を有するように、第2の部品(20)に製作される方法。
【請求項2】
前記ろう付けは、前記第1の部品(10)に含まれている少なくとも第1のベアリング表面(1)と、前記第2の部品20)に含まれており、前記第1のベアリング表面(1)と少なくとも部分的に相補的である少なくとも第2のベアリング表面(2)との間の少なくとも1つの接合領域(3)で実施され、前記第1の部品(10)および/または対応する前記第2の部品(20)は、その前記第1のベアリング表面(1)および/または対応するその前記第2のベアリング表面(2)から後退させて設けられている、テーパー穿孔またはスリットまたは溝型の少なくとも1つの第1の凹部(4)、ならびに/またはろう付け材料(5)が前記第1の部品(10)および/もしくは対応する前記第2の部品(20)の内部に深く浸透することを可能にし、前記第1のベアリング表面(1)および/もしくは対応する前記第2のベアリング表面(2)から後退させて設けられており、前記第1の部品(10)および/もしくは対応する前記第2の部品(20)の内部の前記ろう付け材料(5)の機械的接着を容易にするように配置されている受け口を形成する対応する第2の凹部(7)を製作することにより配置され、少なくとも前記チタン合金と適合する前記ろう付け材料(5)が選択され、前記第1の部品(10)および/または対応する前記第2の部品(20)は、ろう付け材料(5)を、前記第1のベアリング表面(1)および前記第1のベアリング表面(1)から後退させて設けられている各前記第1の凹部(4)の内部に、ならびに/または前記第2のベアリング表面(2)および/もしくは前記第2のベアリング表面(2)から後退させて設けられている各前記第2の凹部(7)の内部に堆積させることにより準備され、前記第2の部品(20)の前記第2の表面(2)は、前記第1の部品(10)の前記第1の表面(1)とアラインして、アッセンブリを形成するように位置決めされ、前記アッセンブリは、制御された雰囲気中で、前記ろう付け材料(5)の融解温度よりも高いかまたは等しい温度に加熱されて、前記接合領域(3)の前記第2の部品(20)と前記第1の部品(10)との間にろう付けが形成される、請求項1に記載のろう付け法。
【請求項3】
前記第1の部品(10)は、その前記第1のベアリング表面(1)から後退させて設けられている、テーパー穿孔またはスリットまたは溝型の少なくとも第1の凹部(4)であって、ろう付け材料(5)が前記第1の部品(10)の内部に深く浸透することを可能にし、前記第1のベアリング表面(1)から後退させて設けられており、前記第1の部品(10)の内部の前記ろう付け材料(5)の機械的接着を容易にするように配置されている受け口を形成する第1の凹部(4)を製作することにより配置され、少なくとも前記チタン合金と適合する前記ろう付け材料(5)が選択され、前記第1の部品(10)は、ろう付け材料(5)を、前記第1のベアリング表面(1)および前記第1のベアリング表面(1)から後退させて設けられている各前記凹部(4)の内部に堆積させることにより準備され、前記第2の部品(20)の前記第2の表面(2)は、このように準備された前記第1の部品(10)の前記第1の表面(1)とアラインして、アッセンブリを形成するように位置決めされ、前記アッセンブリは、制御された雰囲気中で、前記ろう付け材料(5)の融解温度よりも高いかまたは等しい温度に加熱され、前記接合領域(3)の前記第2の部品(20)と前記第1の部品(10)との間にろう付けが形成される、請求項1に記載のろう付け法。
【請求項4】
前記第1の部品(10)の少なくとも前記第1のベアリング表面(1)は、交点(13)の少なくとも第1の線と交差する少なくとも2つの第1の基礎表面(11、12)を有するように製作され、少なくとも1つの前記第1の凹部(4)は、前記交点(13)の第1の線上に製作される、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
少なくとも1つの前記第2の凹部(7)は、前記交点(23)の第2の線上に製作される、請求項2に記載の方法。
【請求項6】
前記アッセンブリは、前記ろう付け作業中、前記接合領域(3)の近傍にしっかり押しつけて機械的に保持される、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記ろう付け材料(5)は、ろう付けペーストの形態が選択され、前記第1の表面(1)から後退させて設けられている少なくとも各前記第1の凹部(4)に加圧下で挿入される、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
少なくとも1つの前記第1の凹部(4)は、前記第1の表面(1)の近傍に頸部(6)を有するように製作され、前記頸部(6)の断面は、前記ろう付け作業後に前記第2の部品(20)を前記第1の部品(10)に機械的に保持するくさびが形成されるように、前記第1の表面(1)と対向する前記第1の凹部(4)の底部(8)の断面よりも小さい、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
第2の部品(20)の単一の挿入方向(DI)は、前記第1の部品(10)とのそのアラインメントのために決定され、少なくとも1つの前記第1の凹部(4)は、前記挿入方向(DI)に対して斜めまたは垂直に製作されている、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記第2の部品(20)の単一の挿入方向(DI)は、前記前記第1の部品(10)とのそのアラインメントのために決定され、前記第1の表面(1)および前記第2の表面(2)は、ろう付け材料(5)を堆積させる前の自由状態では、それらの間に半径方向クリアランス(JR)を有するように製作され、前記半径方向クリアランス(JR)は、半径方向に0.010mm〜0.040mmを含み、前記挿入方向(DI)に対して垂直である、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記第1の表面(1)および前記第2の表面(2)は、ろう付け材料(5)を堆積させる前の自由状態では、それらの間に半径方向クリアランス(JR)を有するように製作され、この半径方向クリアランス(JR)は、半径方向に0.015mm〜0.025mmを含み、前記挿入方向(DI)に対して垂直である、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
鋼鉄に炭化タングステンをろう付けするのに好適なろう付け材料が、前記ろう付け材料(5)として選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記ろう付け材料(5)は、銅、マンガン、およびニッケルを含み、カドミウムを含まず、極細粒度であり、および1000℃〜1100℃を含む温度の制御された雰囲気の炉でろう付けするための結合剤を含むように選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
少なくとも1つの前記第1の凹部(4)は、前記第1のセラミックス部品(10)の製造中に製作される、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
少なくとも1つの前記第1の凹部(4)は、レーザーを使用して完全に機械加工されるかまたは仕上げ機械加工される、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
少なくとも1つの前記第1の凹部(4)は、ツールまたは砥石車を使用して完全に機械加工されるかまたは仕上げ機械加工される、請求項1に記載の方法。
【請求項17】
複数の不連続な第1の凹部(4)が、前記接合領域(3)に製作される、請求項1に記載の方法。
【請求項18】
前記チタン合金として、ASTM F136による%で、0.00から0.08までのC、0.0から0.3までのFe、0.0000から0.0125までのH、0.00から0.05までのN、0.0から0.2までのO、5.50から6.75までのAl、3.5から4.5までのV、0.0から0.1までのOE(他の元素、各々)、0.0から0.4までのTO(他の元素全体)、および残部Tiを含むグレード5チタンが選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項19】
ジルコニア系セラミックスは、
− 酸化イットリウム、酸化マグネシウム、および酸化カルシウムを単独でまたは組合せで含む酸化物の群から選択される少なくとも1つの安定化剤、
− ガラス質相を形成するための、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化リチウム、および酸化イットリウムを単独でまたは組合せで含む群から選択される少なくとも1つの要素、
− 顔料として使用される酸化物粉末、および
− 100重量%までの残部を形成するジルコニア粉末
を含むように選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項20】
前記ジルコニア系セラミックスは、
− 酸化イットリウム、酸化マグネシウム、および酸化カルシウムを単独でまたは組合せで含む酸化物の群から選択される、3〜20重量%の少なくとも1つの安定化剤、
− ガラス質相を形成するための、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化リチウム、および酸化イットリウムを単独でまたは組合せで含む群から選択される、0.1〜5重量%の少なくとも1つの要素、
− 顔料として使用される1〜10重量%の酸化物粉末、および
− 100重量%までの残部を形成するジルコニア粉末
を含むように選択される、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
請求項1に記載の方法により製作された少なくとも1つの構造および/または外部要素を含む腕時計。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、第1のセラミックス部品および第2の金属合金部品をろう付けして、構造および/または外部時計器要素を製作するための方法に関する。
【0002】
また、本発明は、本発明による方法で製作された少なくとも1つの構造および/または外部要素を含む腕時計に関する。
【0003】
本発明は、特に腕時計用の構造および/または外部時計器要素の製造に関する。本発明は、より詳しくは、幾つかの材料を組み立てることで作られる、さらにより詳しくは、セラミックス材料構成物を含む複合要素の分野に関する。
【背景技術】
【0004】
測時学において、セラミックス部品を他の金属タイプの部品と組み立てることは、依然として、完全な接着を経時的に保証するために適切に管理することが難しい作業である。実際、一般的に、厚さが数十ミリメートル〜数ミリメートルである三次元部品を、主に湾曲した表面である接続表面に、多くの場合は、特に腕時計ケースの軸対称性またはブレスレット要素の左右対称性などの対称性の点で、精密に位置決めおよび心立てして組み立てることが問題となる。
【0005】
セラミックス、特にジルコニア系セラミックスと、そのような時計器応用のための金属合金とを組み立てるための現行技術は、圧入、接着剤結合(ポリマー接着剤)、およびスクリュー嵌合である。こうした技術は、部品を弱体化する場合があり、経時的な接着を保証することができない。
【0006】
種々の文献が、この問題に取り組んでいる。
− 特開昭63249085A SEIKO EPSON KYOCERAには、ジルコニア系セラミックス部品を、時計器応用のための別の金属合金部品、特にチタン合金とろう付けするための方法が開示されている。
【0007】
− 国際公開第99/58332号A1 PACIFIC COAST TECHNOLOGIESには、ジルコニアなどのセラミックス材料で作られているインターフェース表面を、チタン含有材料などの金属材料で作られているインターフェースに、チタン/ニッケルろう付け材料を使用して密封するための方法が開示されている。好ましいセラミックスとしては、安定化ジルコニア材料が挙げられ、好ましい金属としては、チタンおよびニオブの合金が挙げられ、好ましいチタン/ニッケルろう付け材料は、50:50チタン/ニッケル合金である。チタン、ニッケル、およびニオブを含むろう付け材料を使用して、セラミックス材料を無ニオブ金属材料に接合する。インターフェースの少なくとも1つを、チタン/ニッケルろう付け材料と接触するように配置し、継ぎ目に圧力をかけながら、900〜1200℃を含む温度にて減圧条件下で密封を実施する。この方法は、移植可能な医療デバイス、電気コネクター、電子ケース、スポーツ物品、構造部品の気密密封応用に好適である。
【0008】
− 国際公開第2017/129705号A1 MORGAN ADVANCED CERAM.INC.には、焼結ジルコニアセラミックス体をろう付けするための方法であって、表面を有する焼結ジルコニアセラミックス体を提供するステップ;焼結ジルコニアセラミックス体を全体的にまたは部分的に化学的に還元して、焼結ジルコニアセラミックス体に対する還元表面を形成するステップ;ろう付け材料を、還元表面の少なくとも1つの部分に施して、上記ろう付け材料および焼結ジルコニアセラミックス体を含むアッセンブリを形成するステップ;上記アッセンブリを、ろう付け材料が少なくとも部分的に融解し、ろう付け材料が還元表面を湿潤するのに十分な温度に加熱するステップ;およびアッセンブリを冷却して、ろう付け材料を凝固させるステップを含む方法が開示されている。
【0009】
− 欧州特許出願公開第3243593A1 PNL HOLDINGには、ジルコニア部品の表面に金属要素をろう付けするための方法であって、−部品の表面状態を分解して、第1の金属化層の接着を可能にするステップ;−部品を洗浄して、その表面から不純物を除去するステップ;−部品の表面に、主にチタンを含む第1の金属化層を堆積させるステップ;−第1の金属化層に、主にニオブを含む第2の金属化層を堆積させるステップ;−要素を第2の金属化層に対して配置するステップ;−要素および第2の金属化層に金ろうを堆積させるステップ;−ろう付けされた領域を温度制御様式で冷却するステップを含み、−ろう付け前に金属要素に負荷かけて応力緩和熱処理を行う方法が開示されている。
【0010】
− 仏国特許出願公開第2862246A1 EADS SPACE TRANSP GmbHには、ろう付け前に、Nd/Yagレーザービームまたは機械的手段を使用して、その表面に一連の穴を生成することによりセラミックス表面の少なくとも1つを構造化することを含む方法が開示されている。穴は、550mcmよりも大きな平均直径を有し、穴には、それらの幾何学的形状、直径、または深さが異なる2つのクラスがある。各クラスの幾つかの数は、幾何学的グループを作り、1つのグループの穴の中心間の間隔は、他方の穴の中心間の間隔よりも小さい。セラミックス表面が繊維強化および積層されている場合、穴は、積層された層の深さと少なくとも同等な深さまで開けられる。
【0011】
− 欧州特許第2789597 ALSTOM TECHNOLOGY Ltd.には、断熱性材料を含むセラミックス層を金属層に接合するための構成であって、金属材料で作られており、セラミックス層と金属層との間に位置するインターフェース層を含み、その側面の1つに複数の連動要素を含み、インターフェース層の対応する連動要素と接続させることが意図されている複数の空洞を含むセラミックス層に面しており、インターフェース層を金属層に接合する手段によるろう付け層をさらに含む構成を得るための方法が開示されている。
【0012】
− 欧州特許出願公開第2799411A1 COMADURには、明橙色のジルコニア系品目を製造するための方法であって、ジルコニア粉末;酸化イットリウム、酸化マグネシウム、および酸化カルシウムを単独でまたは組合せで含む酸化物の群から選択される3〜20重量%の少なくとも1つの安定化剤;ガラス質相を形成するための、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化リチウム、および酸化イットリウムを単独でまたは組合せで含む群から選択される0.1%〜5重量%の少なくとも1つの要素;1%〜6重量%の酸化セリウム粉末を含む第1の混合物を製作するステップ、上記第1の混合物および接合剤を含む第2の混合物を製作するステップ、上記第2の混合物を粉砕して、顆粒化混合物を製作するステップ、第2の顆粒化混合物に所望の品目の形状を付与することにより生素地体を形成するステップ、1,250〜1,500℃を含む温度で少なくとも30分間空気焼結し、700℃〜1,350℃を含む温度にて30分間〜20時間を含む期間にわたって還元雰囲気下で上記所望の品目を焼き鈍しするステップ、および焼結した生素地体を研磨するステップを含む連続ステップを含む方法が開示されている。
【0013】
他の適用は、2018年10月26日に発表されたSonia Simoes「Recent progress in the joining of titanium alloy to ceramics」、METALSの論文に提供されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】特開昭63249085A
【特許文献2】国際公開第99/58332号A1
【特許文献3】国際公開第2017/129705号A1
【特許文献4】欧州特許出願公開第3243593号A1
【特許文献5】仏国特許出願公開第2862246号A1
【特許文献6】欧州特許第2789597号
【特許文献7】欧州特許出願公開第2799411号A1
【非特許文献】
【0015】
【非特許文献1】Sonia Simoes「Recent progress in the joining of titanium alloy to ceramics」、METALS
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
本発明は、機械的応力またはポリマー接着剤を使用せずに、金属合金時計器部品とセラミックス部品とのアッセンブリを解明し、したがってより良好な機械的特性をアッセンブリに付与することを提案する。
【0017】
また、本発明は、生産コストを管理するために、反対側部品の事前の薄膜金属化を一切行わずに直接ろう付けすることにより、そのようなアッセンブリを製作することを提案する。
【0018】
本発明の目的は、制御された雰囲気でのろう付けプロセスにより、そのような合金で作られている部品とセラミックス部品とを組み立てることである。その原理は、
− セラミックス基材に少なくとも1つの(アンダーカット)凹部を製作すること、
− この凹部の内部に、ろう付けしようとする表面全体にわたって、ろう付け材料を堆積させること、
− ろう付けしようとする金属合金部品を追加し、それを正確に位置決めすること、
− アッセンブリを適切な温度に加熱して、ろう付け材料を融解させ、2つの部品間にろう付けを形成することである。
【課題を解決するための手段】
【0019】
そのため、本発明は、第1のセラミックス部品および第2の金属合金部品をろう付けして、構造および/または外部時計器要素を製作するめの、請求項1に記載の方法に関する。
【0020】
より詳しくは、本発明は、測時学または宝飾用の構造および/または外部要素を製作するために、第1のジルコニア系セラミックス部品に含まれる少なくとも第1のベアリング表面と、第2のチタン合金部品に含まれる少なくとも第2のベアリング表面との間を、少なくとも1つの接合領域でろう付けするための、請求項2に記載の方法に関する。
【0021】
また、本発明は、本発明による方法で製作された少なくとも1つの構造および/または外部要素を含む腕時計に関する。
【0022】
本発明の他の特徴および利点は、添付の図面を参照して、以下の詳細な説明を読めば明らかになるだろう。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】ジルコニア系セラミックス腕時計ミドルケースによりここで形成される第1の未処理部品の模式平面図を表す。
【
図2】ここではリングである第2の部品を受けるための第1のベアリング表面での
図1のミドルケースの詳細の半径方向平面における模式断面図を表す。
【
図3】その厚さにおいて第1のベアリング表面から後退して設けられている第1の凹部を有する、本発明によるこのミドルケースの配置を、
図2と同様の様式で表す図である。
【
図4】この凹部に堆積されたろう付け材を、
図3と同様の様式で表す図である。
【
図5】ここでは、チタン合金リング、特にグレード5チタン合金からなり、ミドルケースの第1のベアリング表面と、接合領域にて少なくとも部分的に相補的な様式で協動するように配置されている第2のベアリング表面を含む第2の部品を、
図2と同様の様式で表す図である。
【
図6】その厚さにおいてその第2のベアリング表面から後退して設けられている第2の凹部を有する異なる構成の第2の部品を、
図5と同様の様式で表す図である。
【
図7】このリングをこのミドルケースに対して挿入方向に挿入して生成された、炉に入れる準備のできたアッセンブリを、
図4と同様の様式で表す図である。
【
図8】制御された雰囲気の炉で、特にアルゴン雰囲気下でろう付け作業を実施した後のこのアッセンブリを、
図7と同様の様式で表す図である。
【
図9】ホーンの近傍に4つの凹部を有するこのミドルケースを、
図1と同様の様式で表す図である。
【
図10】例えばレーザー加工後の、挿入方向に対して斜めになっており、ミドルケースの第1のベアリング表面を形成する基礎表面に対しても斜めになっている、先のとがったプロファイルを有する第1の凹部を、
図3と同様の様式で表す図である。
【
図11】ろう付け材料が、凹部におよび第1のベアリング表面に波形パターンで堆積させた後のミドルケースを、
図9と同様の様式で表す図である。
【
図12】例えばアンダーカットの機械加工後の、挿入方向に対して垂直であり、またミドルケースの第1のベアリング表面を形成する基礎表面の1つに対して斜めになっている、先の丸まったプロファイルを有する第1の凹部を、
図10と同様の様式で表す図である。
【
図13】頸部が凹部の底部よりも狭いプロファイルを有する第1の凹部を、
図10と同様の様式で表す図である。
【
図14】本発明による方法により製作された少なくとも1つの構造および/または外部要素を含む腕時計を表わすブロックダイヤグラムを示す図である。
【0024】
本発明は、第1のセラミックス部品10および第2の金属合金部品20をろう付けして、構造および/または外部時計器要素100を製作するための方法に関する。
【0025】
本発明によると、第1のセラミックス部品10には、ジルコニア系セラミックスが選択され、第2の金属合金部品20には、チタン合金が選択される。
【0026】
実際、外部時計器部品に好適なセラミックスと金属合金とをろう付けすることは困難な作業であり、実施された多数の試験は、セラミックスと金属合金との間で温度挙動が近似しているという性質が不可欠であることを強調している。
【0027】
下記で説明されている方法は、窒化ケイ素系セラミックスなどのような他のセラミックス、および/またはステンレス鋼などのような他の合金に使用することができるが、膨張および収縮挙動は非常に異なり、ろう付け作業の品質が損なわれてしまう。これは、良好な品質のろう付け、特に優れた経時的接着性をもたらすように、ジルコニア系セラミックスとチタン合金とを対にすることを選択することが、よく考えられたものであることを説明する。
【0028】
ジルコニアは、多数の有利な特性を有する材料であるが、他の要素とは全く非反応性である。結果的に、その原理が要素(ろう付け材料および部品)間の反応に基づくろう付けは、実施することが非常に困難な作業である。健康安全性、強度、経年劣化に対する耐性、外観品質の観点で測時学的制約に適合する好適な金属合金を選択することは、自明のことではない。ろう付けは、ろう付け材料の融解温度で生じるため、2つの組み立てられた要素の熱膨張係数は、部品の破断または変形のあらゆるリスクを回避するために、ジルコニアおよびチタンの場合のように、互いに非常に近似してなければならない。
【0029】
チタン合金、少なくともニッケルを欠如するものは、上述の条件を満たし、ろう付けに好適であり、本発明に従ってジルコニア系セラミックスと共に組み立てられる。
【0030】
他のセラミックスおよび他の金属合金でも、問題は同様であるが、ろう付けによる組立ては、ほとんどの場合で不可能であるか、または少なくとも実施が非常に困難である。しかしながら、下記で開示されている方法の作業モードは、理論的には、他のセラミックス/金属合金対でも可能である。
【0031】
より詳しくは、本発明によると、少なくとも第1の凹部4が、第1の部品10の内部に作られており、接合領域3の第1のベアリング表面1および第2の部品20の第2のベアリング表面2に対して後退して設けられており、ろう付け材料5を、この第1のベアリング表面1および各凹部4の内部に堆積させ、第2の表面2を、第1の表面1とアラインしてアッセンブリを形成するように位置決めし、このアッセンブリを、制御された雰囲気中でろう付け材料5の融解温度よりも高い温度に加熱して、接合部領域3の第2の部品20と第1の部品10との間にろう付けを形成する。
【0032】
より詳しくは、このろう付け法は、そのような要素100を生産するために、第1のジルコニア系セラミックス部品10に含まれている少なくとも第1のベアリング表面1と、チタン合金部品20に含まれている少なくとも第2のベアリング表面2との間の少なくとも1つの接合領域3で実施される。この第2のベアリング表面2は、第1のベアリング表面1と少なくとも部分的に相補的である。
【0033】
本発明によると、第1の部品10および/または対応する第2の部品20は、その第1のベアリング表面1および/または対応するその第2のベアリング表面2から後退させて設けられている、テーパー穿孔またはスリットまたは溝型の少なくとも第1の凹部4、ならびに/またはろう付け材料5が第1の部品10および/もしくは対応する第2の部品20の内部に深く浸透することを可能にし、第1のベアリング表面1および/もしくは対応する第2のベアリング表面2から後退させて設けられており、第1の部品10および/もしくは対応する第2の部品20の内部のろう付け材料5の機械的接着を容易にするように配置されている受け口を形成する対応する第2の凹部7を製作することにより配置される。
【0034】
そのために、少なくとも第2の部品のチタン合金と、特に限定ではないがグレード5チタン合金と適合するろう付け材料5が選択される。
【0035】
第1の部品10および/または対応する第2の部品20は、ろう付け材料5を第1のベアリング表面1および第1のベアリング表面1から後退させて設けられている各第1の凹部4の内部に、ならびに/または対応する第2のベアリング表面2および第2のベアリング表面2から後退させて設けられている各第2の凹部7の内部に堆積させることにより準備される。
【0036】
第2の部品20の第2の表面2は、第1の部品10の第1の表面1とアラインして、アッセンブリを形成するように位置決めされる。その後、このアッセンブリを、制御された雰囲気中で、ろう付け材料5の融解温度よりも高いかまたは等しい温度に加熱して、接合領域3の第2の部品20と第1の部品10との間にろう付けを形成する。
【0037】
有利には、幾つかの凹部4は、第2の部品20を第1の部品10と一種のかすがい留めするように、接合領域3に幾何学的に配分して製作される。例えば、ミドルケースの肩部周囲にリングをろう付けするために、少なくとも3つの、またはより詳しくは、少なくとも4つのそのような凹部4を製作して、2つの部品の良好な相対的接着を保証する。
【0038】
変形では、複数の不連続の第1の凹部4および/または対応する第2の凹部7が、接合領域3に製作される。
【0039】
別の変形では、単一の連続した凹部4が接合領域3に製作される。より詳しくは、この単一の凹部4は、第1の部品10の第1の表面1周囲の閉鎖輪郭に沿って設けられる。
【0040】
特定の実施では、接合領域3の第2の部品20の考え得る最も多くの材料を維持するために、第1の凹部4は、第1の部品10のみに製作される。その後、第1の部品10は、その第1のベアリング表面1から後退させて設けられている、テーパー穿孔またはスリットまたは溝型の少なくとも第1の凹部4であって、ろう付け材料5が第1の部品10の内部に深く浸透することを可能にし、第1のベアリング表面1から後退させて設けられており、第1の部品10の内部のろう付け材料5の機械的接着を容易にするように配置されている受け口を形成する第1の凹部4を製作することにより配置される。チタン合金と適合するろう付け材料5が選択される。第1の部品10は、ろう付け材料5を、第1のベアリング表面1および第1のベアリング表面1から後退させて設けられている各第1の凹部4の内部に堆積させることにより準備される。第2の部品20の第2の表面2は、このように準備された第1の部品10の第1の表面1とアラインするように位置決めされ、アッセンブリを形成する。このアッセンブリを、制御された雰囲気中で、ろう付け材料5の融解温度よりも高いかまたは等しい温度に加熱して、接合領域3の第2の部品20と第1の部品10との間にろう付けを形成する。
【0041】
より詳しくは、第1の部品1の少なくとも第1のベアリング表面1は、交点13の少なくとも第1の線と交差する少なくとも2つの第1の基礎表面11、12を有するように製作され、少なくとも第1の凹部4は、交点13の第1の線上に製作される。例えば、
図8および9に示されているように、第1の基礎表面11は平坦な表面であり、第2の基礎表面12は円柱状であり、交点線13は円形であり、凹部4は、第1の基礎表面11、第2の基礎表面12、および交差線13に侵入する。
【0042】
同様に、
図5に示されているように、少なくとも第2のベアリング表面12は、少なくとも2つの基礎表面21、22が、接合領域3に位置する交点23の少なくとも第2の線と交差するように、第2の部品20に製作してもよい。
【0043】
第2の部品20に1つまたは複数の第2の凹部7がさらに設けられている代替形態では、より詳しくは、少なくとも1つのそのような第2の凹部7は、交点23の第2の線上に製作される。
【0044】
より詳しくは、ろう付け材料5は、可能な場合、チタン合金およびジルコニア系セラミックスの両方と適合するように選択される。
【0045】
より詳しくは、第1の部品10および第2の部品20は、ろう付け作業の前に超音波洗浄される。
【0046】
より詳しくは、アッセンブリは、ろう付け作業中、接合領域3の近傍にしっかり押しつけて機械的に保持される。
【0047】
より詳しくは、ろう付け材料5として、ろう付けペーストが選択され、第1の表面1および/または対応する第2の表面2から後退させて設けられている各第1の凹部4および/または対応する各第2の凹部7(適切な場合)の少なくとも内部に加圧下で挿入される。
【0048】
より詳しくは、
図13に示されているように、少なくとも第1の凹部4は、第1の表面1の近傍に頸部6を有するように製作されており、頸部6の断面は、ろう付け作業後に第2の部品20を第1の部品10に保持する機械的くさびが形成されるように、第1の表面1と対向する第1の凹部4の底部8の断面よりも小さい。より詳しくは、各第1の凹部4は、第1の表面1の近傍にそのような頸部6を有するように製作されており、頸部6の断面は、ろう付け作業後に第2の部品20を第1の部品10に保持する機械的くさびが形成されるように、第1の表面1と対向する第1の凹部4の底部8の断面よりも小さい。
【0049】
変形では、第2の部品20の単一の挿入方向DIは、第1の部品10とのそのアラインメントのために決定され、少なくとも第1の凹部4は、挿入方向DIに対して斜めまたは垂直に製作される。さらにより詳しくは、各第1の凹部4は、挿入方向DI対して斜めまたは垂直に製作される。
【0050】
別の変形では、第2の部品20の単一の挿入方向DIは、第1の部品10とのそのアラインメントのために決定され、少なくとも第1の凹部4は、挿入方向DIに製作される。
【0051】
より詳しくは、第2の部品20の単一の挿入方向DIは、第1の部品10とのそのアラインメントのために決定され、第1の表面1および第2の表面2は、ろう付け材料5を堆積させる前の自由状態では、それらの間の半径方向クリアランスJRを有するように製作され、上記半径方向クリアランスJRは、半径方向に0.010mm〜0.040mmを含み、挿入方向DIに対して垂直である。さらにより詳しくは、第1の表面1および第2の表面2は、ろう付け材料5を堆積させる前の自由状態では、それらの間の半径方向クリアランスJRを有するように製作され、上記半径方向クリアランスJRは、半径方向に0.015mm〜0.025mmを含み、挿入方向DIに対して垂直である。
【0052】
より詳しくは、ろう付け材料5は、注射器により各第1の凹部4に挿入される。
【0053】
より詳しくは、鋼鉄に炭化タングステンをろう付けするのに好適なろう付け材料が、ろう付け材料5として選択される。
【0054】
より詳しくは、ろう付け材料5は、銅、マンガン、およびニッケルを含み、カドミウムを含まず、極細粒度であり、1000℃〜1100℃を含む温度の制御された雰囲気の炉でろう付けするための結合剤を含むように選択される。
【0055】
より詳しくは、制御された雰囲気での加熱は、0.15m/mn〜0.25m/mnを含む炉内への速度を有するベルトを含むアルゴンの制御された雰囲気の炉でのろう付け作業のために実施される。
【0056】
より詳しくは、ろう付け作業の後、第1の冷却作業は、0.05m/mmから0.15m/mmのベルト速度を有するベルトで実施される。
【0057】
より詳しくは、ろう付けおよび/または第1の冷却は、ろう付け作業後のアッセンブリの冷却を遅延させるために、アッセンブリを機械的に保持する中実ツールを用いて、および/またはアッセンブリの重量と少なくとも等しいおもりをアッセンブリに設置および保持して実施される。
【0058】
より詳しくは、熱ショックを与えずに急速冷却するために、ろう付け後、アッセンブリをグラファイト支持体に設置する。
【0059】
より詳しくは、熱ショックを与えずに急速冷却するために、ろう付けおよび/または第1の冷却作業後、アッセンブリをグラファイト支持体に設置する。
【0060】
より詳しくは、
図10に示されているように、ろう付け材料5は、第1の表面1におよび/または対応する第2の表面2に、波形パターン8で堆積される。
【0061】
より詳しくは、少なくとも第1の凹部4は、第1のセラミックス部品10の製作中に製作され、特にこの第1の凹部4は、鋳型で製作される。
【0062】
より詳しくは、少なくとも1つの第1の凹部4は、レーザーを使用して完全に機械加工されるかまたは仕上げ機械加工される。
【0063】
より詳しくは、少なくとも1つの第1の凹部4は、ツールまたは砥石車を使用して完全に機械加工されるかまたは仕上げ機械加工される。
【0064】
より詳しくは、チタン合金としてグレード5チタンが選択される。このグレード5チタンは、ASTM F136による%で、0.00から0.08までのC、0.0から0.3までのFe、0.0000から0.0125までのH、0.00から0.05までのN、0.0から0.2までのO、5.50から6.75までのAl、3.5から4.5までのV、0.0から0,1までのOE(他の元素、各々)、0.0から0.4までのTO(他の元素全体)、および残部Tiを含む。
【0065】
より詳しくは、ジルコニア系セラミックスは、以下のものを含むように選択される:
− 酸化イットリウム、酸化マグネシウム、および酸化カルシウムを単独でまたは組合せで含む酸化物の群から選択される少なくとも1つの安定化剤、
− ガラス質相を形成するための、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化リチウム、および酸化イットリウムを単独でまたは組合せで含む群から選択される少なくとも1つの要素、
− 顔料として使用される酸化物粉末、および
− 100重量%までの残部を形成するジルコニア粉末。
【0066】
より詳しくは、ジルコニア系セラミックスは、以下のものを含むように選択される:
− 酸化イットリウム、酸化マグネシウム、および酸化カルシウムを単独でまたは組合せで含む酸化物の群から選択される、3〜20重量%の少なくとも1つの安定化剤、
− ガラス質相を形成するための、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化リチウム、および酸化イットリウムを単独でまたは組合せで含む群から選択される、0.1〜5重量%の少なくとも1つの要素、
− 顔料として使用される1〜10重量%の酸化物粉末、
− 100重量%までの残部を形成するジルコニア粉末。
【0067】
本発明は、より詳しくは、ジルコニア系セラミックス腕時計ミドルケースに対するチタン合金リング、特にグレード5チタンのろう付けアッセンブリを用いて説明される。試行錯誤により、重要なパラメーターは、望ましくない変形を起こすことなく、適切な熱膨張を可能にするのに必要である、ミドルケースとリングとの間の、ろう付け前のクリアランスであることが示される。特に、およそ約37mmのアッセンブリ肩部を有するミドルケースの場合、ミドルケースとリングとの間のクリアランスは、有利には半径方向で0.01〜0.04mmを含み、ほぼ0.02mmであることが好ましい。当然、この低いクリアランス値は、コストと同義である、機械加工許容差の低減を必要とする。
【0068】
アンダーカット凹部は、レーザーを用いて製作することが可能である。そうしたアンダーカット凹部4の目的は、機械的接着の領域を生成することであり、これによりろう付けが強化される。アンダーカット凹部4は、
図8に示されているように、例えば、ミドルケースのホーン近傍のある特定の領域にのみ配置されていてもよい。
【0069】
ろう付けは、CF CuMn3ろう付け材料を用いて、アルゴンの制御された雰囲気の炉で適切に実施される。
【0070】
良好なろう付け条件は、以下の通りである。
− 炉内への速度:20cm/分(所望の速度)
− 冷却速度:10cm/分(所望の速度)
− アルゴン雰囲気下でのろう付け
− 炉内温度:1050℃の所望の温度
【0071】
作業プロトコールは、最終産物を得するために実施されるすべてのステップを含む。
【0072】
ろう付け材料を、リング20の位置に基づいてミドルケース10に、および壁面に、および事前に製作された凹部4の内部に堆積させる。さらに、ろう付け材料は、
図10に示されているように、波形の形態8に堆積させることが有利である。
【0073】
その後、リング20をろう付け材料に位置決めする。
【0074】
炉に入れる際、リング20が、熱膨張中に移動することを回避するために、リングに、おもり、例えばミドルケース10の重量に相当するおもりを置くことが有利である。また、このおもりは、ベルトが炉へと移動する際にアッセンブリを安定させる。特に、このおもりの存在は、部品、特にチタンリングがよりゆっくりと冷却されることを可能にする。これは、熱膨張係数の影響を制限することにより、アッセンブリにかかる応力をより少なくする。また、冷却中にそのようなおもりをグレード5チタンリングに置くことにより、酸化からのある程度の保護がリングにもたらされる。
【0075】
炉から出したら、ろう付けされた部品をグラファイトスタンドに置いて熱ショックを回避し、この場合もミドルケースの重量と同程度である追加のおもりを使用して、このより急速な冷却作業中、リングをミドルケースの底部にしっかりと保持することが有利である。
【0076】
そのようなアンダーカット凹部の存在は、そうでなければ、ろう付けは、チタンには接着するが、セラミックスには適切に接着しないため、アッセンブリの接着を保証するために不可欠である。凹部4内部のろう付け材料5の重量により果たされる係留機能がなければ、リングは、2つの材料の冷却速度に差があるため、部品が冷却されると共に浮き上がってしまうだろう。これにより、十分にゆっくりとした冷却を維持して、熱膨張により付与される応力を最大限に減少させなければならないことが確認される。また、リングは、チタンとジルコニア系セラミックスとの間に薄いインターフェース層を形成するろう付け材料のため、浮き上がってしまう傾向があることにも留意されたい。
【0077】
アンダーカット凹部4の結果として、ろう付け材料が、2つの部品を共に保持する金属支持体を生成するため、アンダーカットは、リングを機械的に係留するものとしての役目を果たす。
【0078】
したがって、セラミックスミドルケースに対するグレード5チタンリングのろう付けが可能になり、除去耐性検査で良好な結果がもたらされる。
【0079】
また、本方法による向上は、部品の大きさの最適化、特に、約0.75〜1.00mm程度の断面への、チタンリングの断面の低減を含む。
【0080】
また、本発明は、本発明による方法で製作された少なくとも1つの構造および/または外部要素100を含む腕時計1000に関する。
【0081】
要約すると、本発明は、制御された雰囲気でのろう付け法により、グレード5チタン部品とジルコニア系セラミックス部品との耐久性で高品質のアッセンブリを提供する。本発明は、材料が、組立てステップにて、ろう付けペーストの形態で追加されるという点で他の技法と異なる。さらに、本発明は、通常の技術と比較して、アッセンブリのより良好な機械的および熱的特性を保証する。
【0082】
本方法では、ろう付けペーストは、グレード5チタンと溶融し、それにより、チタン部品の金属拡張部を形成することが可能であるが、セラミックスとは反応しない。したがって、機械的および耐熱性特性はすべて、ろう付け、およびセラミックス部品に製作されている凹部内部におけるその係留の品質によるものである。
【符号の説明】
【0083】
1 第1のベアリング表面
2 第2のベアリング表面
3 接合領域
4 第1の凹部
5 ろう付け材料
6 頸部
7 第2の凹部
8 底部
8 波形パターン
10 第1のセラミックス部品、ミドルケース
11、12 基礎表面
13 交点
20 第2の金属合金部品、リング
100 外部時計器要素
1000 腕時計
DI 挿入方向
JR 半径方向クリアランス
【外国語明細書】