特開2020-95922(P2020-95922A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2020-95922(P2020-95922A)
(43)【公開日】2020年6月18日
(54)【発明の名称】異方性導電フィルム
(51)【国際特許分類】
   H01R 11/01 20060101AFI20200522BHJP
   H01R 43/02 20060101ALI20200522BHJP
   H05K 3/36 20060101ALI20200522BHJP
   H05K 3/32 20060101ALI20200522BHJP
【FI】
   H01R11/01 501C
   H01R43/02 Z
   H05K3/36 A
   H05K3/32 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2018-234746(P2018-234746)
(22)【出願日】2018年12月14日
(71)【出願人】
【識別番号】000108410
【氏名又は名称】デクセリアルズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000224
【氏名又は名称】特許業務法人田治米国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】塚尾 怜司
【テーマコード(参考)】
5E319
5E344
【Fターム(参考)】
5E319AA03
5E319AB05
5E319AC02
5E319AC03
5E319AC04
5E319BB16
5E319CC12
5E319CD26
5E319GG20
5E344AA02
5E344AA22
5E344BB02
5E344BB13
5E344CD04
5E344DD10
5E344EE30
(57)【要約】      (修正有)
【課題】ファインピッチの端子列でも、ファンアウト型の端子列でも、異方性導電接続を良好に行えるようにする。
【解決手段】導電粒子Pが絶縁性樹脂層2に保持されている異方性導電フィルム10Aであって、その短手方向に導電粒子Pが配列した第1配列軸A1と、第1配列軸に並列して導電粒子Pが配列した第2配列軸A2とが所定の繰り返しピッチbで並列している。導電粒子の平均粒子径をDとした場合に、第1配列軸と第2配列軸との距離aが0.7D〜8D、第1配列軸及び第2配列軸の繰り返しピッチbが1.5Dより大きい。第1配列軸にある導電粒子P1と、第2配列軸にある導電粒子P2との最近接粒子の中心間距離dが2Dより大きく、第1配列軸における導電粒子の配列ピッチc1が2f以上であり、隣り合う第1配列軸と第2配列軸において、第1配列軸における導電粒子と第2配列軸における導電粒子が異方性導電フィルムの長手方向で重畳しない。
【選択図】図1A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
導電粒子が絶縁性樹脂層に保持されている異方性導電フィルムであって、
異方性導電フィルムの短手方向に導電粒子が配列した第1配列軸と、第1配列軸に並列して導電粒子が配列した第2配列軸とが所定の繰り返しピッチで配列した粒子配置を有し、
導電粒子の平均粒子径をDとした場合に、
第1配列軸と第2配列軸との距離aが0.7D〜8D、
第1配列軸及び第2配列軸の繰り返しピッチbが1.5Dより大きく、
第1配列軸にある導電粒子P1と、第2配列軸にある導電粒子のうち前記導電粒子P1に最も近接した導電粒子P2との中心間距離dが2Dより大きく、
前記中心間距離dを異方性導電フィルムの長手方向に投影した場合の投影像の長さをfとしたときに、第1配列軸における導電粒子の配列ピッチc1が2f以上であり、
隣り合う第1配列軸と第2配列軸において、第1配列軸における導電粒子と第2配列軸における導電粒子が異方性導電フィルムの長手方向で重畳しない異方性導電フィルム。
【請求項2】
前記繰り返しピッチbと距離dにつき、d<bである請求項1記載の異方性導電フィルム。
【請求項3】
第1配列軸における導電粒子の配列ピッチc1と第2配列軸における導電粒子の配列ピッチc2が等しい請求項1又は2記載の異方性導電フィルム。
【請求項4】
第1配列軸と第2配列軸との繰り返し方向が異方性導電フィルムの長手方向に対して傾斜している請求項1〜3のいずれかに記載の異方性導電フィルム。
【請求項5】
第1配列軸と第2配列軸との繰り返し方向が異方性導電フィルムの長手方向である請求項1〜3のいずれかに記載の異方性導電フィルム。
【請求項6】
第1配列軸と第2配列軸の繰り返し配列において、隣り合う3つの配列軸における導電粒子が異方性導電フィルムの長手方向で重畳しない請求項1〜5のいずれかに記載の異方性導電フィルム。
【請求項7】
距離aが4D以下である請求項1〜6のいずれかに記載の異方性導電フィルム。
【請求項8】
繰り返しピッチbが20D以下である請求項1〜7のいずれかに記載の異方性導電フィルム。
【請求項9】
距離dが繰り返しピッチbよりも小さい請求項1〜8のいずれかに記載の異方性導電フィルム。
【請求項10】
請求項1〜9のいずれかに記載の異方性導電フィルムを介して第1電子部品と第2電子部品とが異方性導電接続されている接続構造体。
【請求項11】
請求項1〜9のいずれかに記載の異方性導電フィルムを介して第1電子部品と第2電子部品とを圧着することにより第1電子部品と第2電子部品を異方性導電接続する接続構造体の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、異方性導電フィルムに関する。
【背景技術】
【0002】
絶縁性樹脂層に導電粒子を分散させた異方性導電フィルムが、ICチップ等の電子部品を配線基板等に実装する際に広く使用されている。異方性導電フィルムにおいては、電子部品の高密度実装に伴う端子のファインピッチ化により、端子における導電粒子の捕捉性を高め、かつ隣り合う端子間のショートを回避することが強く求められている。
【0003】
このような要請に対し、異方性導電フィルムにおける導電粒子の配置を格子状の配列とし、かつその導電粒子の配列方向を異方性導電フィルムの長手方向及び短手方向の双方に対して傾斜させることが提案されている(特許文献1)。
【0004】
また、電子部品の実装時の圧着温度が変動し、その温度変動により端子の位置がずれても電子部品の接続を確実に行えるようにするため、電子部品の端子を放射状に並列させること(所謂、ファンアウト配線)が知られている(特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許6119718号公報
【特許文献2】特開2015-232660号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
近年、さらなるファインピッチ化の要請により、接続する端子同士のアラインメントずれがあると正味の端子間スペースが5μm未満となる場合や、異方性導電フィルムに含まれる導電粒子の粒子径に極わずかなマージン(例えば、3μm程度の粒子径に対して1μm)を加えただけの幅になる場合があるが、そのような場合でもショートを引き起こさないようにすることが異方性導電フィルムに求められている。ショートの発生を抑制する方法としては、異方性導電フィルムにおいて導電粒子を格子状に配置するにあたり、導電粒子同士の中心間距離を広げることが考えられるが、単に導電粒子の中心間距離を広げるだけではファインピッチに対応することが困難となる。
【0007】
また、異方性導電フィルムを用いてファンアウト型の端子列を接続する場合に、異方性導電フィルムの導電粒子が単に格子状に配置されているときには、ファンアウト型の端子列では、端子の配列方向と端子の長手方向とのなす角度が順次異なるので、その格子軸がフィルム長手方向に対して傾斜していても、端子同士における導電粒子の捕捉数の差が大きくなり、また、端子に捕捉された導電粒子の配置状態が端子同士で異なることになる。そのため、接続の良否判定が困難になる等の問題が生じる。
【0008】
そこで本発明は、端子の配列パターンが放射状になっていても、また、端子間スペースが、5μm未満又は異方性導電フィルムに含まれる導電粒子径に極わずかなマージン(例えば、3μm程度の粒子径に対して1μm)を加えただけの幅になる場合も、異方性導電接続を良好に行うことを可能とする異方性導電フィルムの提供を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者は、異方性導電フィルムにおける導電粒子の配置に関し、異方性導電フィルムの長手方向を端子ピッチで区切った場合に、一つの端子ピッチの範囲に、導電粒子の配列軸として、端子の長手方向に伸びた第1配列軸A1と第2配列軸A2を繰り返し配置し、この場合に、第1配列軸A1上の導電粒子P1と、該導電粒子に最近接した第2配列軸A2上の導電粒子P2との中心間距離dを、導電粒子の平均粒子径Dの2倍より大きくするが、この距離dを異方性導電フィルムの短手方向に投影した長さを第1配列軸A1における導電粒子の配列ピッチc1に対して十分に小さくし、この導電粒子P1と導電粒子P2とを異方性導電フィルムの長手方向で重畳させず、これらで形成される配列軸A3を第1配列軸A1に対して傾斜させ、第1配列軸A1と第2配列軸A2との繰り返しピッチbを、導電粒子の平均粒子径に対して十分に大きくすると、ファインピッチの端子列を接続する場合に繰り返しピッチbを端子ピッチの1/2以下にすることで第1配列軸A1と第2配列軸A2の少なくとも一方の上の導電粒子が端子で捕捉されるようにしてもショートの発生を抑制でき、また、端子の配列パターンがファンアウト型であっても、導電粒子の捕捉数が急激に低下した端子が生じることを防止できることを見出し、本発明を完成させた。
【0010】
即ち、本発明は、導電粒子が絶縁性樹脂層に保持されている異方性導電フィルムであって、
異方性導電フィルムの短手方向に導電粒子が配列した第1配列軸と、第1配列軸に並列して導電粒子が配列した第2配列軸とが所定の繰り返しピッチで配列した粒子配置を有し、
導電粒子の平均粒子径をDとした場合に、
第1配列軸と第2配列軸との距離aが0.7D〜8D、
第1配列軸及び第2配列軸の繰り返しピッチbが1.5Dより大きく、
第1配列軸にある導電粒子P1と、第2配列軸にある導電粒子のうち前記導電粒子P1に最も近接した導電粒子P2との中心間距離dが2Dより大きく、
前記中心間距離dを異方性導電フィルムの長手方向に投影した場合の投影像の長さをfとしたときに、第1配列軸における導電粒子の配列ピッチc1が2f以上であり、
隣り合う第1配列軸と第2配列軸において、第1配列軸における導電粒子と第2配列軸における導電粒子が異方性導電フィルムの長手方向で重畳しない異方性導電フィルムを提供する。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、第1配列軸も第2配列軸も異方性導電フィルムの短手方向に導電粒子が所定の繰り返しピッチで配列しており、かつ、隣り合う第1配列軸と第2配列軸において第1配列軸における導電粒子と第2配列軸における導電粒子が異方性導電フィルムの長手方向で重畳しないので、異方性導電フィルムで接続する端子パターンの端子幅内に好ましくは第1配列軸と第2配列軸の少なくとも一方、より好ましくは双方が存在するように第1配列軸と第2配列軸の繰り返しピッチbを定め、端子の長手方向に、第1配列軸における導電粒子の配列方向を合わせ、一つの端子内に第1配列軸に含まれる導電粒子と、第2配列軸に含まれる導電粒子とから形成される、第1配列軸に斜交する配列軸が存在するようにする。これにより、接続する端子パターンがファンアウト型であっても、導電粒子の捕捉数が急激に低下した端子が生じることを防止できる。
【0012】
また、上述のように繰り返しピッチbを定めると、端子パターンがファインピッチであっても確実に接続することができ、この場合に、第1配列軸の導電粒子と第2配列軸の導電粒子とが異方性導電フィルムの長手方向で重畳しないので、ショートの発生を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1A図1Aは、実施例の異方性導電フィルム10Aにおける導電粒子の配置を説明する平面図である。
図1B図1Bは、異なる実施例の異方性導電フィルムにおける導電粒子の配置を説明する平面図である。
図1C図1Cは、異なる実施例の異方性導電フィルムにおける導電粒子の配置を説明する平面図である。
図2図2は、実施例の異方性導電フィルム10Aの断面図である。
図3図3は、実施例の異方性導電フィルム10Bの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の異方性導電フィルムを、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、各図中、同一符号は同一又は同等の構成要素を表している。
【0015】
<異方性導電フィルムの全体構成>
図1Aは実施例の異方性導電フィルム10Aの導電粒子の配置を示す平面図であり、図2はそのX−X断面図である。この異方性導電フィルム10Aは、導電粒子Pが絶縁性樹脂層2の表面又はその近傍に単層で配置され、その上に低粘度樹脂層3が積層された層構成を有している。なお、本発明において、低粘度樹脂層3は必要に応じて設けられ、図3に示す異方性導電フィルム10Bの断面図のように、低粘度樹脂層3を省略した層構成としてもよい。この異方性導電フィルム10Bの導電粒子Pの平面配置は、低粘度樹脂層3を有する異方性導電フィルム10Aと同様とすることができる。低粘度樹脂層3は、複数設けられていてもよく、低粘度樹脂層の層数や層構成については特に制限はない。
【0016】
本発明の異方性導電フィルム10A、10Bにおける導電粒子Pの平面配置は、後述するように、異方性導電フィルム10Aの短手方向に導電粒子Pが配列した第1配列軸A1と、第1配列軸A1に並列して導電粒子Pが配列した第2配列軸A2とが繰り返しピッチbで繰り返し配列しており、第1配列軸A1にある導電粒子P1と、第2配列軸A2にある導電粒子のうち前記導電粒子P1に最近接した導電粒子P2との中心間距離dが、導電粒子Pの平均粒子径Dの2倍より大きく、繰り返しピッチbよりも小さい。また、この中心間距離dを異方性導電フィルム10A、10Bの長手方向に投影した場合の投影像の長さをfとしたとき、第1配列軸A1における導電粒子P1の配列ピッチc1は2f以上である。導電粒子P1と導電粒子P2の異方性導電フィルム10A、10Bの長手方向の投影像は重畳しておらず、導電粒子P1と導電粒子P2とで形成される配列軸A3の配列の方向が、第1配列軸A1や第2配列軸A2に対して傾斜している。
【0017】
<導電粒子>
・粒子材料
導電粒子Pとしては、ニッケル、コバルト、銀、銅、金、パラジウムなどの金属粒子、ハンダなどの合金粒子、金属被覆樹脂粒子、表面に絶縁性微粒子が付着している金属被覆樹脂粒子などが挙げられる。2種以上を併用することもできる。中でも、金属被覆樹脂粒子が、接続された後に樹脂粒子が反発することで端子との接触が維持され易くなり、導通性能が安定する点から好ましい。また、導電粒子の表面には公知の技術により導通特性に支障を来さないように、絶縁性微粒子が付着していてもよく、絶縁性樹脂層が形成されていてもよい。即ち、導電粒子には予め、導通特性に支障を来さない絶縁処理が施されたものを用いてもよい。
【0018】
・平均粒子径
導電粒子Pの平均粒子径は、導通抵抗の上昇を抑制し、且つショートの発生を抑制するために、好ましくは1μm以上30μm以下、より好ましくは2.5μm以上10μm未満である。絶縁性樹脂層に分散させる前の導電粒子の粒子径は、一般的な粒度分布測定装置により測定することができ、また、平均粒子径も粒度分布測定装置を用いて求めることができる。測定装置としては、一例としてFPIA−3000(マルバーン社)を挙げることができる。異方性導電フィルムにおける導電粒子の粒子径は、SEMなどの電子顕微鏡観察から求めることができる。この場合、導電粒子径を測定するサンプル数を200以上、好ましくは1000以上とすることが望ましい。
【0019】
なお、導電粒子として、その表面に絶縁処理が施されている場合、本発明における導電粒子の粒子径は、その絶縁処理による厚さを除いた粒子径を意味する。
【0020】
<導電粒子の平面配置>
導電粒子の平面配置は、図1Aに示したように、第1配列軸A1と第2配列軸A2とが繰り返しピッチbで繰り返された配置となっている。本実施例において第1配列軸A1と第2配列軸A2は、それぞれ異方性導電フィルムの短手方向に導電粒子が所定のピッチで配列したものであるが、本発明において、導電粒子が異方性導電フィルムの短手方向に配列するとは、異方性導電フィルムの長手方向に対して厳密に垂直な方向に導電粒子が配列することに限られず、異方性導電フィルムの長手方向に対して垂直な方向に±5°の範囲内で配列していることをいう。
【0021】
また、図1Aに示した異方性導電フィルム10Aでは、第1配列軸A1と第2配列軸A2の繰り返し方向が異方性導電フィルム10Aの長手方向であるが、本発明においてこの繰り返し方向は異方性導電フィルムの長手方向に限らない。例えば、図1Bに示すように、繰り返し方向(A4の配列軸方向)を異方性導電フィルムの長手方向に対して傾斜させてもよい。
【0022】
また、本発明の異方性導電フィルムは、導電粒子Pの平均粒子径をDとした場合に、次の粒子配置を有している。
まず、第1配列軸A1と第2配列軸A2との距離(軸間距離)aが0.7D〜8Dである。距離aを8D以下とすることにより、好ましくは4D以下とすることにより、異方性導電フィルム10Aをファインピッチの端子パターンの接続に使用することが可能となる。例えば、接続すべき端子20a、20bの配列パターンの端子幅L/端子間スペースSが10μm/10μmの場合に、接続すべき端子20a、20bのアラインメントずれが5μmあったことにより、これらの端子20a、20b同士が重なり合う有効接続幅L0が5μm、正味の端子間スペースS0が5μmであっても、平均粒子径Dが4μm以下の導電粒子Pを使用して端子20a、20bを確実に接続することが可能となる。一方、接続時に生じる樹脂流動による導電粒子の連結を回避し易くする点から、距離aは、0.7D以上とすることが好ましい。
【0023】
第1配列軸A1及び第2配列軸A2の繰り返しピッチbは1.5Dより大きく、好ましくは2.5Dより大きい。繰り返しピッチbの好ましい数値は、並列した第1配列軸A1のうち、隣り合う第1配列軸A1同士の導電粒子の異方性導電フィルムの長手方向における重畳の有無又は重畳の程度によって異なるが、例えば、接続すべき端子20a、20bがファインピッチで、それらの正味の端子間スペースが5μm未満となる場合、又は正味の端子間スペースが導電粒子Pの平均粒子径Dに1μmを加えた程度の場合(例えば、導電粒子の平均粒子径が3μmの場合に端子間スペースが4μm程度の場合)であっても、繰り返しピッチbを1.5Dより大きく、好ましくは2.5Dより大きくすることにより接続後にショートが起こることを防止できる。一方、接続すべき端子で導電粒子が確実に捕捉されるようにする点から、繰り返しピッチbは、20D以下であることが好ましく、15D以下であることがより好ましく、10D以下であることが更に好ましい。また、第1配列軸A1と第2配列軸A2との距離aがDより大きい場合、導電粒子の捕捉が一様に行われるようにする点からは、繰り返しピッチbを2a±0.5Dとすることが好ましい。
【0024】
接続すべき端子ピッチが具体的に想定される場合には、接続を確実に行えるようにする点から、端子ピッチの1/2に相当するフィルム長手方向の範囲内に、好ましくは隣り合う2つの配列軸A1、A2の少なくとも一方が含まれるように、より好ましくは隣り合う2つの配列軸A1、A2の双方が含まれるように異方性導電フィルムを設計する。一方、ショートの抑制の点から端子ピッチの1/2に相当するフィルム長手方向の範囲内に、隣り合う3つの配列軸A1、A2、A1'又はA2、A1'、A2'が含まれないように繰り返しピッチbを定めることが好ましい。接続後の正味の端子間スペースS0の幅に相当するフィルム長手方向の範囲に1つの配列軸A1又はA2は含まれていてもよい。
【0025】
第1配列軸A1にある導電粒子P1と、第2配列軸A2にある導電粒子のうち前記導電粒子P1に最も近接した導電粒子P2との中心間距離dは、第1配列軸A1と第2配列軸A2との距離aより大きく、2Dよりも大きい。第1配列軸A1及び第2配列軸A2の導電粒子により形成される配列軸A3と、これらの配列軸A1、A2に隣接する第1配列軸A1'及び第2配列軸A2'の導電粒子により形成される配列軸A3とを同一直線上に位置させると、導電粒子の配置の設計が容易となるので好ましい。この場合、中心間距離dは、配列軸A3における粒子ピッチとみることができる。中心間距離dを異方性導電フィルムの長手方向に投影した場合の投影像の長さをfとしたときに、fが、配列軸A1における導電粒子の配列ピッチc1の1/2以下であり(言い換えると、ピッチc1が2f以上であり)、配列軸A3が第1配列軸A1に対して傾斜していることにより、異方性導電フィルムで接続すべき端子の有効接続幅が4μm程度に狭く、かつ、接続すべき端子パターンがファンアウト型であっても、端子の傾斜角により、導電粒子の捕捉数が極端に低下する端子が生じることを防止することができる。ここで、配列軸A3と配列軸A1とがなす角度αを0<α≦45°とすることが好ましい。
【0026】
また、距離dを2Dより大きくすることで接続時に端子間スペースで生じる樹脂流動による導電粒子同士の不要な接触が起こりにくくなる。加えて、距離dは、繰り返しピッチbよりも小さくすることがより好ましい。繰り返しピッチbは端子配列方向の粒子中心間距離となるので、距離dを端子配列方向の粒子中心間距離よりも短くすることで、異方性導電接続時に導電粒子が捕捉されやすくなることが見込まれるからである。これにより、ファンアウト型の端子パターンにもより適合させやすくなる。
【0027】
第1配列軸A1における導電粒子Pの配列ピッチc1は、上述の長さfの2倍以上とする。これにより端子間スペースの長手方向で十分な粒子間距離を得られることから、これによっても上記した樹脂流動による粒子同士の接触が起こりにくくなる。
【0028】
一方、第2配列軸A2における導電粒子P2の配列ピッチc2は、第1配列軸A1における導電粒子P1の配列ピッチc1と同一でもよく、異なっていても良く、例えば、図1Cに示したように、配列ピッチc2を配列ピッチc1の2倍とすることができる。配列ピッチc2を配列ピッチc1と異ならせる場合、配列ピッチc2を配列ピッチc1の整数倍とすることが好ましい。
【0029】
図1Aに示した異方性導電フィルムでは、隣り合う第1及び第2配列軸A1、A2における導電粒子P1、P2は、異方性導電フィルム10Aの長手方向で重畳しない。言い換えると、これらの導電粒子を異方性導電フィルムの長手方向に投影した場合に、これらの投影像P1x、P2xは重ならない。これにより、接続する端子パターンがファインピッチである場合に、第1配列軸及び第2配列軸の繰り返しピッチbを端子ピッチに応じて狭め、接続時に第1配列軸A1及び第2配列軸A2が端子間スペースに位置することがあっても、導電粒子P1、P2の連結を抑制できるので、ショートの発生を抑制することができる。より確実にショートの発生を防止するためには、図1Bに示したように、隣り合う3つの配列軸(A1A2A1'、又はA2A1'A2')において、いずれの導電粒子Pも異方性導電フィルム10Aの長手方向で重畳しないようにすることが特に好ましい。
【0030】
一方、接続後の正味の端子間スペースにおいて、2つの導電粒子が互いに接触しても、それらの導電粒子と、それらを端子幅方向で挟む端子との間にスペースが残存していればショートは発生しない。このようなスペースの残存を確保できる限り、隣り合う3つ以上の配列軸の導電粒子が、異方性導電フィルムの長手方向で重畳しないようにすることは必ずしも必要ではない。
【0031】
なお、上述した距離a、繰り返しピッチb、距離d、配列ピッチc1に関する要件や、第1配列軸A1における導電粒子P1と第2配列軸A2における導電粒子P2とが、異方性導電フィルム10Aの長手方向で重畳しないという要件は、正方格子又は長方格子の格子軸を異方性導電フィルムの長手方向に対して傾斜させることによっても得ることができる。この場合、正方格子の格子間距離と、導電粒子の平均粒子径を上述の要件が満たされるように調整する。
【0032】
・個数密度
図1A図1Cのいずれの粒子配置においても、本発明の異方性導電フィルムでは導電粒子の個数密度を接続する電子部品の端子の形状、大きさ、配列ピッチなどに応じて定めることができる。通常、導電粒子の個数密度は30個/mm2以上であればよく、150〜70000個/mm2が好ましい。特にファインピッチ用途の場合には、好ましくは6000〜42000個/mm2、より好ましくは10000〜40000個/mm2、更により好ましくは15000〜35000個/mm2である。また、導電粒子の粒子径が10μm以上の場合、導電粒子の個数密度は30〜6000個/mm2が好ましい。
【0033】
また、導電粒子の個数密度に関し、次式で算出される導電粒子の面積占有率を、導通抵抗を下げる点から0.3%以上とすることが好ましい。一方、接続時に押圧治具に必要とされる推力を抑制する点からはこの面積占有率を35%以下とすることが好ましく、30%以下とすることがより好ましい。
導電粒子の面積占有率(%)=[平面視における導電粒子の個数密度(個/mm2)]×[導電粒子1個の平面視面積の平均(μm)×10−6]×100
【0034】
導電粒子の個数密度は、金属顕微鏡を用いて観察して求める他、画像解析ソフト(例えば、WinROOF、三谷商事株式会社等)により観察画像を計測して求めてもよい。
【0035】
<導電粒子のフィルム厚方向の位置>
導電粒子Pのフィルム厚方向の位置は揃っていることが好ましい。例えば、図2に示したように、導電粒子Pのフィルム厚方向の埋込量Lbを揃えることができる。これにより、端子における導電粒子Pの捕捉性が安定し易い。なお、本発明において、導電粒子Pは、絶縁性樹脂層2から露出していても、完全に埋め込まれていてもよい。
【0036】
ここで、埋込量Lbは、導電粒子Pが埋め込まれている絶縁性樹脂層2の表面(絶縁性樹脂層2の表裏の面のうち、導電粒子Pが露出している側の表面、又は導電粒子Pが絶縁性樹脂層2に完全に埋め込まれている場合には、導電粒子Pとの距離が近い表面)であって、隣接する導電粒子間の中央部における接平面2pと、導電粒子Pの最深部との距離をいう。
【0037】
・埋込率
導電粒子Pの平均粒子径Dに対する埋込量Lbの割合を埋込率(Lb/D)とした場合に(図3)、埋込率は30%以上105%以下が好ましい。埋込率(Lb/D)を30%以上とすることにより、導電粒子Pを絶縁性樹脂層2によって所定の位置に維持し、また、105%以下とすることにより、異方性導電接続時に端子間の導電粒子を不用に流動させるように作用する絶縁性樹脂層の樹脂量を低減させることができる。
【0038】
<絶縁性樹脂層>
本発明において、絶縁性樹脂層2は、特許6187665号公報に記載の異方性導電フィルムの絶縁性樹脂層と同様に、重合性化合物と重合開始剤から形成される硬化性樹脂組成物を用いて形成することができる。この場合、重合開始剤としては熱重合開始剤を使用してもよく、光重合開始剤を使用してもよく、それらを併用してもよい。例えば、熱重合開始剤としてカチオン系重合開始剤、熱重合性化合物としてエポキシ樹脂を使用し、光重合開始剤として光ラジカル重合開始剤、光重合性化合物としてアクリレート化合物を使用する。熱重合開始剤として、熱アニオン重合開始剤を使用してもよい。熱アニオン重合開始剤としては、イミダゾール変性体を核としその表面をポリウレタンで被覆してなるマイクロカプセル型潜在性硬化剤を用いることが好ましい。
【0039】
<絶縁性樹脂層の最低溶融粘度>
絶縁性樹脂層2の最低溶融粘度は、特に制限はないが、異方性導電フィルムを用いた電子部品の接続における熱圧着において、導電粒子Pの不用な流動を抑制するため、好ましくは1500Pa・s以上、より好ましくは2000Pa・s以上、さらに好ましくは3000〜15000Pa・s、特に好ましくは3000〜10000Pa・sである。この最低溶融粘度は、一例として回転式レオメータ(TA instrument社製)を用い、測定圧力5gで一定に保持し、直径8mmの測定プレートを使用し求めることができ、より具体的には、温度範囲30〜200℃において、昇温速度10℃/分、測定周波数10Hz、前記測定プレートに対する荷重変動5gとすることにより求めることができる。なお、最低溶融粘度の調整は、溶融粘度調整剤として含有させる微小固形物の種類や配合量、樹脂組成物の調整条件の変更などにより行うことができる。
【0040】
<低粘度樹脂層>
低粘度樹脂層3は、30〜200℃の範囲の最低溶融粘度が絶縁性樹脂層2よりも低い樹脂層である。本発明において、低粘度樹脂層3は必要に応じて設けられるが、低粘度樹脂層3を絶縁性樹脂層2に積層することにより、異方性導電フィルム10Aを介して対峙する電子部品を熱圧着する場合に、電子部品の電極やバンプによって形成される空間を低粘度樹脂層3で充填し、電子部品同士の接着性を向上させることができる。
【0041】
また、絶縁性樹脂層2の最低溶融粘度と低粘度樹脂層3の最低溶融粘度との差があるほど異方性導電フィルム10Aを介して接続する電子部品間の空間が低粘度樹脂層3で充填され、電子部品同士の接着性が向上しやすくなる。また、この差があるほど導電粒子Pを保持している絶縁性樹脂層2の熱圧着時の移動量が低粘度樹脂層3に対して相対的に小さくなるため、端子における導電粒子Pの捕捉性が向上しやすくなる。
【0042】
<絶縁性樹脂層と低粘度樹脂層の層厚>
絶縁性樹脂層2の層厚は、後述する異方性導電フィルムの製造工程において、絶縁性樹脂層2へ導電粒子Pを安定して押し込めるようにするため、導電粒子Pの平均粒子径Dに対して、好ましくは0.3倍以上、より好ましくは0.6倍以上、さらに好ましくは0.8倍以上、特に好ましくは1倍以上である。また、絶縁性樹脂層2の層厚の上限については接続する電子部品の端子形状、端子厚、配列ピッチ等に応じて定めることができるが、層厚が厚くなりすぎると接続時に導電粒子Pが樹脂流動の影響を不用に受け易くなるため、導電粒子Pの平均粒子径Dの好ましくは20倍以下、より好ましくは15倍以下である。
【0043】
低粘度樹脂層3は、本発明において必要に応じて設けられるが、低粘度樹脂層を設ける場合には、その層厚の下限としては、導電粒子Pの平均粒子径Dの好ましくは0.2倍以上、より好ましくは1倍以上である。また、低粘度樹脂層3の層厚の上限については、厚くなりすぎると絶縁性樹脂層2との積層の困難性が増すことから、導電粒子Pの平均粒子径Dの好ましくは50倍以下、より好ましくは15倍以下、さらに好ましくは8倍以下である。
【0044】
また、絶縁性樹脂層2と低粘度樹脂層3との総厚は、電子部品の接続時に導電粒子Pの不用な流動を抑制する点、異方性導電フィルムを巻装体とする場合の樹脂のはみ出しやブロッキングを抑制する点、異方性導電フィルムの単位重量あたりのフィルム長を長くする点等からは、薄い方が好ましい。しかし、薄くなりすぎると異方性導電フィルムの取り扱い性が劣る。また、異方性導電フィルムを電子部品に貼着し難くなり、電子部品を接続する際の仮圧着において必要な粘着力を得られない虞があり、本圧着においても樹脂量の不足により必要な接着力を得られない虞がある。そのため、総厚は、導電粒子Pの平均粒子径Dに対して好ましくは0.6倍以上、より好ましくは0.8倍以上、さらに好ましくは1倍以上、特に好ましくは1.2倍以上である。
【0045】
一方、絶縁性樹脂層と低粘度樹脂層との総厚の上限については、総厚が厚くなりすぎると異方性導電フィルムを電子部品に熱圧着するときに導電粒子Pが樹脂流動の影響を不用に受け易くなり、また、これらの樹脂層に粘度調整等の点からフィラーが含まれている場合には、フィラーの絶対量が多くなることにより電子部品の熱圧着が阻害される虞があることから、樹脂層の総厚は導電粒子Pの平均粒子径Dの好ましくは50倍以下、より好ましくは15倍以下、さらに好ましくは8倍以下である。特に、接続する電子部品におけるバンプの低背化に対応させる点からは、樹脂層の総厚を薄くすることが好ましい。そのため、樹脂層の総厚の下限については、導電粒子径の好ましくは0.6倍以上、より好ましくは0.8倍以上、さらに好ましくは1倍以上である。また、上限については、熱圧着時に押し込みツールに必要な推力が高くなり過ぎるため、導電粒子Pの平均粒子径Dの好ましくは4倍以下、より好ましくは3倍以下、さらに好ましくは2倍以下、さらにより好ましくは1.8倍以下、特に1.5倍以下である。絶縁性樹脂層2と低粘度樹脂層3の厚みの比率については、導電粒子Pの平均粒子径Dとバンプ高さや求められる接着力などの関係から適宜調整することができる。
【0046】
<異方性導電フィルムの巻装体>
本発明の異方性導電フィルムは、その製品形態において巻装体とすることができる。巻装体の長さについて特に制限はないが、出荷物の取り扱い性の点から好ましくは5000m以下、より好ましくは1000m以下、さらに好ましくは500m以下である。一方、巻装体の量産性の点からは5m以上が好ましい。
【0047】
巻装体は、その全長よりも短いフィラー含有フィルムを連結したものであってもよい。
連結箇所は、規則的に又はランダムに、複数箇所に存在させることができる。
【0048】
巻装体におけるフィルム幅について特に制限はないが、幅広の異方性導電フィルムをスリットして巻装体を製造する場合のスリット幅の下限の点からフィルム幅を0.3mm以上とすることが好ましく、スリット幅を安定させる点から0.5mm以上とすることがより好ましい。フィルム幅の上限には特に制限はないが、持ち運びや取り扱いの観点から、700mm以下が好ましく、600mm以下がより好ましい。異方性導電フィルムの実用的な取り扱い性の点からは、フィルム幅を0.3〜400mmの間で選択することが好ましい。即ち、異方性導電フィルムが、接続する電子部品の端に用いられる場合には、フィルム幅は数mm程度以下とされることが多く、比較的大きな電子部品(電極配線と実装部が一面に設けられた基板や切削前のウェーハーなど)にそのまま貼り付けて使用される場合には、400mm程度のフィルム幅が必要とされることがある。一般には、異方性導電フィルムのフィルム幅は0.5〜5mmで使用されることが多い。
【0049】
<異方性導電フィルムの製造方法>
本発明の異方性導電フィルムの製造方法自体には特に限定はないが、例えば、導電粒子を所定の配列に配置するための転写型を製造し、転写型の凹部に導電粒子を充填し、その上に、剥離フィルム上に形成した絶縁性樹脂層を被せて圧力をかけ、絶縁性樹脂層に導電粒子を押し込むことにより、絶縁性樹脂層に導電粒子を転着させ、あるいはさらにその導電粒子上に低粘度樹脂層を積層することで、異方性導電フィルムを製造する。
【0050】
また、転写型の凹部に導電粒子を充填した後、その上に絶縁性樹脂層を被せ、転写型から絶縁性樹脂層の表面に導電粒子を転写させ、絶縁性樹脂層上の導電粒子を絶縁性樹脂層内に押し込むことにより異方性導電フィルムを製造してもよい。
【0051】
なお、転写型としては、凹部に導電粒子を充填するものの他、凸部の天面に微粘着剤を付与してその天面に導電粒子が付着するようにしたものを用いても良い。これらの転写型は機械加工、フォトリソグラフィ、印刷法等の公知の技術を用いて製造することができる。
【0052】
また、導電粒子を所定の配列に配置する方法としては、転写型を用いる方法に代えて、所定の配置で設けられた貫通孔に導電粒子を通過させる方法等を使用してもよい。
【0053】
<異方性導電フィルムを用いた電子部品の接続方法>
本発明の異方性導電フィルムを用いて電子部品を接続する方法としては、例えば、ステージに一方の電子部品を載置し、その上に異方性導電フィルムを介してもう一方の電子部品を載置し、圧着ツールで加熱押圧することにより接続構造体を製造する。この場合、ステージに載置する電子部品をICチップ、ICモジュール、FPC、ガラス基板、プラスチック基板、リジッド基板、セラミック基板などの第2電子部品とし、圧着ツールで加熱加圧する電子部品をFPC、ICチップ、ICモジュールなどの第1電子部品とする。より詳細な方法としては、各種基板等の第2電子部品に異方性導電フィルム仮貼りして仮圧着し、仮圧着した異方性導電フィルムにICチップ等の第1電子部品を合わせ、熱圧着することにより接続構造体を製造する。なお、第2電子部品ではなく、第1電子部品に異方性導電フィルムを仮貼りして接続構造体を製造することもできる。また、接続方法における圧着は熱圧着に限定されるものではなく、光硬化を利用した圧着や、熱と光を併用した圧着などを行っても良い。本発明は、このように本発明の異方性導電フィルムを介して第1電子部品と第2電子部品が異方性導電接続された接続構造体や、その製造方法も包含する。
【0054】
本発明の異方性導電フィルムは、(i)接続する端子列がファインピッチの場合に端子間のショートを効果的に抑制できるので意義が高く、また、(ii)第1電子部品および第2電子部品の少なくとも一方を、FPCやプラスチック基板などの熱膨張しやすい材質のものとする場合に意義が高い。具体的には、FOP、FOG、COG、COP接続する場合に上述の(i)、(ii)の何れか一つもしくは両方を満足するので好ましい。さらに接続する端子列がファンアウト型の場合にはより一層本発明の意義が高くなる。なお、ファンアウト配列は端子列が部品の何れか一方にのみ存在する態様に限定されるものではなく、本発明はペリフェラル配列などの公知の配列にも適用することができる。
【符号の説明】
【0055】
2 絶縁性樹脂層
3 低粘度樹脂層
10A、10B 異方性導電フィルム
20、20a、20b 端子
A1 第1配列軸
A2 第2配列軸
A3 第3配列軸
P、P1、P2 導電粒子
図1A
図1B
図1C
図2
図3
【手続補正書】
【提出日】2019年11月22日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0017
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0017】
<導電粒子>
・粒子材料
導電粒子Pとしては、ニッケル、コバルト、銀、銅、金、パラジウムなどの金属粒子、ハンダなどの合金粒子、金属被覆樹脂粒子、表面に絶縁性微粒子が付着している金属被覆樹脂粒子などが挙げられる。2種以上を併用することもできる。中でも、金属被覆樹脂粒子が、接続された後に樹脂粒子が反発することで端子との接触が維持され易くなり、導通性能が安定する点から好ましい。また、導電粒子の表面には公知の技術により導通特性に支障を来さないように、絶縁性微粒子が付着していてもよく、絶縁樹脂でコートされていてもよい。即ち、導電粒子には予め、導通特性に支障を来さない絶縁処理が施されたものを用いてもよい。