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特開2020-96339チャネル状態情報に基づいて、生理状態情報を測定する方法、装置およびシステム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2020-96339(P2020-96339A)
(43)【公開日】2020年6月18日
(54)【発明の名称】チャネル状態情報に基づいて、生理状態情報を測定する方法、装置およびシステム
(51)【国際特許分類】
   H04B 7/0413 20170101AFI20200522BHJP
   H04L 27/26 20060101ALI20200522BHJP
   A61B 5/11 20060101ALI20200522BHJP
   A61B 5/113 20060101ALI20200522BHJP
【FI】
   H04B7/0413
   H04L27/26 100
   A61B5/11 110
   A61B5/113
【審査請求】有
【請求項の数】20
【出願形態】OL
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2019-95262(P2019-95262)
(22)【出願日】2019年5月21日
(31)【優先権主張番号】107144441
(32)【優先日】2018年12月11日
(33)【優先権主張国】TW
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.ZIGBEE
(71)【出願人】
【識別番号】390023582
【氏名又は名称】財團法人工業技術研究院
【氏名又は名称原語表記】INDUSTRIAL TECHNOLOGY RESEARCH INSTITUTE
(74)【代理人】
【識別番号】100106150
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 英樹
(74)【代理人】
【識別番号】100082175
【弁理士】
【氏名又は名称】高田 守
(72)【発明者】
【氏名】劉家隆
(72)【発明者】
【氏名】顏在賢
【テーマコード(参考)】
4C038
【Fターム(参考)】
4C038VA04
4C038VB33
4C038VC20
(57)【要約】
【課題】チャネル状態情報に基づいて、生理状態情報を測定する方法、装置およびシステムを提供する。
【解決手段】チャネル状態情報に基づいて、生理状態情報を測定する方法、装置およびシステムが提供される。本方法は、トランスミッタの少なくとも二個の送信アンテナにより、それぞれ、測定信号を受信する工程と、レシーバの少なくとも二個の受信アンテナにより、それぞれ、ターゲットオブジェクトから、測定信号を反射する反射信号を受信する工程と、レシーバにより、反射信号に従って、送信アンテナと受信アンテナ間のチャネル状態情報(CSI)を得る工程と、コンピューティングデバイスにより、レシーバにより送信されるCSIを受信するとともに、CSIにしたがって、ターゲットオブジェクトの生理状態情報を得る工程と、を有する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
チャネル状態情報に基づいて、生理状態情報を測定する方法は、
トランスミッタの少なくとも二個の送信アンテナにより、それぞれ、測定信号を送信する工程と、
レシーバの少なくとも二個の受信アンテナにより、ターゲットオブジェクトから、前記測定信号を反射する反射信号を受信する工程と、
前記レシーバにより、前記反射信号にしたがって、前記送信アンテナと前記受信アンテナ間のチャネル状態情報(CSI)を得る工程と、および
コンピューティングデバイスにより、前記レシーバにより送信される前記CSIを受信するとともに、前記CSIにしたがって、前記ターゲットオブジェクトの生理状態情報を得る工程と、
を有することを特徴とするチャネル状態情報に基づいて、生理状態情報を測定する方法。
【請求項2】
前記受信アンテナの第一受信アンテナは、第一反射信号、および、第二反射信号を受信し、且つ、前記受信アンテナの第二受信アンテナは、第三反射信号、および、第四反射信号を受信する工程と、
前記第一反射信号は、前記ターゲットオブジェクトにより、前記送信アンテナの第一送信アンテナから送信される第一測定信号を反射させることにより生成され、且つ、前記第二反射信号は、前記ターゲットオブジェクトにより、前記送信アンテナの第二送信アンテナから送信される第二測定信号を反射させることにより生成される工程と、および
前記第三反射信号は、前記ターゲットオブジェクトにより、前記第一送信アンテナから送信される前記第一測定信号を反射させることにより生成され、且つ、前記第四反射信号は、前記ターゲットオブジェクトにより、前記第二送信アンテナから送信される前記第二測定信号を反射させることにより生成される工程と、
を有することを特徴とする請求項1に記載のチャネル状態情報に基づいて、生理状態情報を測定する方法。
【請求項3】
前記CSIにしたがって、前記ターゲットオブジェクトの生理状態情報を得る前記工程は、さらに、
前記第一反射信号と前記第三反射信号間の第一位相差を計算する工程と、
前記第二反射信号と前記第四反射信号間の第二位相差を計算する工程と、および
前記第一位相差と前記第二位相差間のチャネル応答の差異にしたがって、前記ターゲットオブジェクトの前記生理状態情報を得る工程と、
を有することを特徴とする請求項2に記載のチャネル状態情報に基づいて、生理状態情報を測定する方法。
【請求項4】
前記チャネル応答の前記差異に従って、前記ターゲットオブジェクトの前記生理状態情報を得る前記工程は、さらに、
一期間に対応する前記チャネル応答の前記差異を得る工程と、
前記チャネル応答の前記差異を、複数のサブキャリアに対応するスペクトログラムに転換する工程と、および
前記スペクトログラム中の最高ピークに対応する一周波数にしたがって、前記生理状態情報を決定する工程と、
を有することを特徴とする請求項3に記載のチャネル状態情報に基づいて、生理状態情報を測定する方法。
【請求項5】
前記一期間に対応する前記チャネル応答の前記差異は、二個の周波数分析モードを用いることにより、前記サブキャリアに対応する第一スペクトログラム、および、第二スペクトログラムに転換されるとともに、
前記スペクトログラム中の前記最高ピークに対応する一周波数にしたがって、前記生理状態情報を決定する前記工程は、さらに、
各サブキャリアの前記第一スペクトログラム中の前記垂直軸の前記最高ピークに対応する第一周波数、および、各サブキャリアの前記第二スペクトログラム中の前記垂直軸の前記最高ピークに対応する第二周波数を得る工程と、
前記サブキャリアの第一サブキャリアの前記第一周波数と前記第二周波数間の周波数差異が、スレッショルドを超過するか判断する工程と、
前記周波数差が前記スレッショルドを超過すると判断するとき、前記第一サブキャリアを除去する、あるいは、前記周波数差が前記スレッショルドを超過しないと判断するとき、 前記第一サブキャリアを保留する工程と、および
前記保留されたサブキャリアに対応する前記スペクトログラム中の最高強度ピークに対応する前記周波数にしたがって、前記生理状態情報を決定する工程と、
を有することを特徴とする請求項4に記載のチャネル状態情報に基づいて、生理状態情報を測定する方法。
【請求項6】
チャネル状態情報に基づいて、生理状態情報を測定するシステムであって、
少なくとも二個の送信アンテナを有し、前記少なくとも二個の送信アンテナが、それぞれ、測定信号を送信するトランスミッタと、
少なくとも二個の受信アンテナを有し、前記受信アンテナが、それぞれ、ターゲットオブジェクトから、前記測定信号を反射する反射信号を受信し、前記反射信号にしたがって、前記送信アンテナと前記受信アンテナ間のチャネル状態情報(CSI)を得るレシーバと、および
前記レシーバに結合され、前記CSIを受信するとともに、前記CSIにしたがって、前記ターゲットオブジェクトの生理状態情報を得るコンピューティングデバイスと、
を有することを特徴とするチャネル状態情報に基づいて、生理状態情報を測定するシステム。
【請求項7】
前記受信アンテナの第一受信アンテナは、第一反射信号、および、第二反射信号を受信し、且つ、前記受信アンテナの第二受信アンテナは、第三反射信号、および、第四反射信号を受信する工程と、
前記第一反射信号は、前記ターゲットオブジェクトにより、前記送信アンテナの第一送信アンテナから送信される第一測定信号を反射させることにより生成され、且つ、前記第二反射信号は、前記ターゲットオブジェクトにより、前記送信アンテナの第二送信アンテナから送信される第二測定信号を反射させることにより生成される工程と、および
前記第三反射信号は、前記ターゲットオブジェクトにより、前記第一送信アンテナから送信される前記第一測定信号を反射させることにより生成され、且つ、前記第四反射信号は、前記ターゲットオブジェクトにより、前記第二送信アンテナから送信される前記第二測定信号を反射させることにより生成される工程と、
を有することを特徴とする請求項6に記載のチャネル状態情報に基づいて、生理状態情報を測定するシステム。
【請求項8】
前記コンピューティングデバイスが、前記CSIにしたがって、前記ターゲットオブジェクトの生理状態情報を得る前記工程は、さらに、
前記第一反射信号と前記第三反射信号間の第一位相差を計算する工程と、
前記第二反射信号と前記第四反射信号間の第二位相差を計算する工程と、および
前記第一位相差と前記第二位相差間のチャネル応答の差異にしたがって、前記ターゲットオブジェクトの前記生理状態情報を得る工程と、
を有することを特徴とする請求項7に記載のチャネル状態情報に基づいて、生理状態情報を測定するシステム。
【請求項9】
前記コンピューティングデバイスが、前記チャネル応答の前記差異に従って、前記ターゲットオブジェクトの前記生理状態情報を得る前記工程は、さらに、
一期間に対応する前記チャネル応答の前記差異を得る工程と、
前記チャネル応答の前記差異を、複数のサブキャリアに対応するスペクトログラムに転換する工程と、および
前記スペクトログラム中の最高ピークに対応する一周波数にしたがって、前記生理状態情報を決定する工程と、
を有することを特徴とする請求項8に記載のチャネル状態情報に基づいて、生理状態情報を測定するシステム。
【請求項10】
前記コンピューティングデバイスが、二個の周波数分析モードを用いることにより、前記一期間に対応する前記チャネル応答の前記差異を、前記サブキャリアに対応する第一スペクトログラム、および、第二スペクトログラムに転換し、
前記コンピューティングデバイスにより実行される前記スペクトログラム中の前記最高ピークに対応する一周波数にしたがって、前記生理状態情報を決定する前記工程は、さらに、
各サブキャリアの前記第一スペクトログラム中の前記垂直軸の前記最高ピークに対応する第一周波数、および、各サブキャリアの前記第二スペクトログラム中の前記垂直軸の前記最高ピークに対応する第二周波数を得る工程と、
前記サブキャリアの第一サブキャリアの前記第一周波数と前記第二周波数間の周波数差異が、スレッショルドを超過するか判断する工程と、
前記周波数差が前記スレッショルドを超過すると判断するとき、前記第一サブキャリアを除去する、あるいは、前記周波数差が前記スレッショルドを超過しないと判断するとき、 前記第一サブキャリアを保留する工程と、および
前記保留されたサブキャリアに対応する前記スペクトログラム中の最高強度ピークに対応する前記周波数にしたがって、前記生理状態情報を決定する工程と、
を有することを特徴とする請求項9に記載のチャネル状態情報に基づいて、生理状態情報を測定するシステム。
【請求項11】
チャネル状態情報に基づいて、生理状態情報を測定する装置であって、
一つ以上のプロセッサと、および
一つ以上のコンピュータ可読命令を保存し、前記プロセッサが、前記コンピュータストレージ媒体を駆動し、以下のタスクを実行させる一つ以上のコンピュータストレージ媒体と、を有し、前記タスクは、
トランスミッタの少なくとも二個の送信アンテナとレシーバの少なくとも二個の受信アンテナ間のチャネル状態情報(CSI)を受信し、前記CSIは前記レシーバから送信され、且つ、反射信号にしたがって、前記レシーバにより得られ、前記反射信号は、ターゲットオブジェクトから、前記トランスミッタの前記送信アンテナにより送信される測定信号を反射されることにより生成され、前記反射信号が、前記レシーバの前記アンテナより受信される工程と、および
前記CSIにしたがって、前記ターゲットオブジェクトの生理状態情報を得る工程と、
を有することを特徴とするチャネル状態情報に基づいて、生理状態情報を測定する装置。
【請求項12】
前記受信アンテナの第一受信アンテナは、第一反射信号、および、第二反射信号を受信し、且つ、前記受信アンテナの第二受信アンテナは、第三反射信号、および、第四反射信号を受信する工程と、
前記第一反射信号は、前記ターゲットオブジェクトにより、前記送信アンテナの第一送信アンテナから送信される第一測定信号を反射させることにより生成され、且つ、前記第二反射信号は、前記ターゲットオブジェクトにより、前記送信アンテナの第二送信アンテナから送信される第二測定信号を反射させることにより生成される工程と、および
前記第三反射信号は、前記ターゲットオブジェクトにより、前記第一送信アンテナから送信される前記第一測定信号を反射させることにより生成され、且つ、前記第四反射信号は、前記ターゲットオブジェクトにより、前記第二送信アンテナから送信される前記第二測定信号を反射させることにより生成される工程と、
を有することを特徴とする請求項11に記載のチャネル状態情報に基づいて、生理状態情報を測定する装置。
【請求項13】
前記プロセッサが、前記CSIにしたがって、前記ターゲットオブジェクトの生理状態情報を得る前記工程は、さらに、
前記第一反射信号と前記第三反射信号間の第一位相差を計算する工程と、
前記第二反射信号と前記第四反射信号間の第二位相差を計算する工程と、および
前記第一位相差と前記第二位相差間のチャネル応答の差異にしたがって、前記ターゲットオブジェクトの前記生理状態情報を得る工程と、
を有することを特徴とする請求項12に記載のチャネル状態情報に基づいて、生理状態情報を測定する装置。
【請求項14】
前記プロセッサが、前記チャネル応答の前記差異に従って、前記ターゲットオブジェクトの前記生理状態情報を得る前記工程は、さらに、
一期間に対応する前記チャネル応答の前記差異を得る工程と、
前記チャネル応答の前記差異を、複数のサブキャリアに対応するスペクトログラムに転換する工程と、および
前記スペクトログラム中の最高ピークに対応する一周波数にしたがって、前記生理状態情報を決定する工程と、
を有することを特徴とする請求項13に記載のチャネル状態情報に基づいて、生理状態情報を測定する装置。
【請求項15】
二個の周波数分析モードを用いることにより、前記プロセッサは、前記一期間に対応する前記チャネル応答の前記差異を、前記サブキャリアに対応する第一スペクトログラム、および、第二スペクトログラムに転換し、
前記プロセッサが、前記スペクトログラムの前記最高ピークに対応する一周波数にしたがって、前記生理状態情報を決定する前記工程は、さらに、
各サブキャリアの前記第一スペクトログラム中の前記垂直軸の前記最高ピークに対応する第一周波数、および、各サブキャリアの前記第二スペクトログラム中の前記垂直軸の前記最高ピークに対応する第二周波数を得る工程と、
前記サブキャリアの第一サブキャリアの前記第一周波数と前記第二周波数間の周波数差異が、スレッショルドを超過するか判断する工程と、
前記周波数差が前記スレッショルドを超過すると判断するとき、前記第一サブキャリアを除去する、あるいは、前記周波数差が前記スレッショルドを超過しないと判断するとき、前記第一サブキャリアを保留する工程と、および
前記保留されたサブキャリアに対応する前記スペクトログラム中の最高強度ピークに対応する前記周波数にしたがって、前記生理状態情報を決定する工程と、
を有することを特徴とする請求項14に記載のチャネル状態情報に基づいて、生理状態情報を測定する装置。
【請求項16】
チャネル状態情報に基づいて、生理状態情報を測定する方法であって、
トランスミッタの少なくとも二個の送信アンテナとレシーバの少なくとも二個の受信アンテナ間のチャネル状態情報(CSI)を受信して、前記CSIは前記レシーバにより送信され、且つ、反射信号に従って、前記レシーバにより得られ、前記反射信号は、ターゲットオブジェクトから、前記トランスミッタの前記送信アンテナにより送信される測定信号を反射させることにより生成され、前記反射信号が前記レシーバの前記アンテナにより受信される工程と、および
前記CSIにしたがって、前記ターゲットオブジェクトの生理状態情報を得る工程と、
を有することを特徴とするチャネル状態情報に基づいて、生理状態情報を測定する方法。
【請求項17】
前記受信アンテナの第一受信アンテナは、第一反射信号、および、第二反射信号を受信し、且つ、前記受信アンテナの第二受信アンテナは、第三反射信号、および、第四反射信号を受信する工程と、
前記第一反射信号は、前記ターゲットオブジェクトにより、前記送信アンテナの第一送信アンテナから送信される第一測定信号を反射させることにより生成され、且つ、前記第二反射信号は、前記ターゲットオブジェクトにより、前記送信アンテナの第二送信アンテナから送信される第二測定信号を反射させることにより生成される工程と、および
前記第三反射信号は、前記ターゲットオブジェクトにより、前記第一送信アンテナから送信される前記第一測定信号を反射させることにより生成され、且つ、前記第四反射信号は、前記ターゲットオブジェクトにより、前記第二送信アンテナから送信される前記第二測定信号を反射させることにより生成される工程と、
を有することを特徴とする請求項16に記載のチャネル状態情報に基づいて、生理状態情報を測定する方法。
【請求項18】
前記CSIにしたがって、前記ターゲットオブジェクトの生理状態情報を得る前記工程は、さらに、
前記第一反射信号と前記第三反射信号間の第一位相差を計算する工程と、
前記第二反射信号と前記第四反射信号間の第二位相差を計算する工程と、および
前記第一位相差と前記第二位相差間のチャネル応答の差異にしたがって、前記ターゲットオブジェクトの前記生理状態情報を得る工程と、
を有することを特徴とする請求項17に記載のチャネル状態情報に基づいて、生理状態情報を測定する方法。
【請求項19】
前記チャネル応答の前記差異に従って、前記ターゲットオブジェクトの前記生理状態情報を得る前記工程は、さらに、
一期間に対応する前記チャネル応答の前記差異を得る工程と、
前記チャネル応答の前記差異を、複数のサブキャリアに対応するスペクトログラムに転換する工程と、および
前記スペクトログラム中の最高ピークに対応する一周波数にしたがって、前記生理状態情報を決定する工程と、
を有することを特徴とする請求項18に記載のチャネル状態情報に基づいて、生理状態情報を測定する方法。
【請求項20】
前記一期間に対応する前記チャネル応答の前記差異は、二個の周波数分析モードを用いて、前記サブキャリアに対応する第一スペクトログラム、および、第二スペクトログラムに転換するとともに、
前記スペクトログラムの前記最高ピークに対応する一周波数にしたがって、前記生理状態情報を決定する前記工程は、さらに、
各サブキャリアの前記第一スペクトログラム中の前記垂直軸の前記最高ピークに対応する第一周波数、および、各サブキャリアの前記第二スペクトログラム中の前記垂直軸の前記最高ピークに対応する第二周波数を得る工程と、
前記サブキャリアの第一サブキャリアの前記第一周波数と前記第二周波数間の周波数差異が、スレッショルドを超過するか判断する工程と、
前記周波数差が前記スレッショルドを超過すると判断するとき、前記第一サブキャリアを除去する、あるいは、前記周波数差が前記スレッショルドを超過しないと判断するとき、前記第一サブキャリアを保留する工程と、および
前記保留されたサブキャリアに対応する前記スペクトログラム中の前記最高強度ピークに対応する前記周波数にしたがって、前記生理状態情報を決定する工程と、
を有することを特徴とする請求項19に記載のチャネル状態情報に基づいて、生理状態情報を測定する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生理状態情報を測定する方法、装置およびシステムに関するものであって、特に、チャネル状態情報に基づいて生理状態情報を測定する方法、装置およびシステムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
呼吸率は、毎分、人が呼吸する回数である。呼吸率は、発熱や病気、その他の医学状況によって、増加したり減少したりするので、患者の呼吸率を頻繁に測定して、健康状態を分析する手段としている。呼吸率は、毎分呼吸する回数や、周波数(たとえば、1Hzの周波数は、毎分60回の呼吸に対応する)として表される。患者の呼吸率は人工的に測定される(たとえば、臨床医が、一期間の患者の呼吸回数をカウントする)、あるいは、呼吸測定装置により測定する。
【0003】
しかし、現在の呼吸測定機器は、大部分が接触式装置である。被験者(たとえば、高齢者)は、呼吸測定装置の装着が不便であるので、使用上面倒である。 よって、近年、非接触式の呼吸測定が主要な研究技術の一つとなっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平4−5432号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
よって、本発明は、チャネル状態情報に基づいて、生理状態情報を測定する方法、装置およびシステムを提供して、上述の欠点を改善することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一実施形態において、チャネル状態情報に基づいて、生理状態情報を測定する方法が開示される。本方法は、トランスミッタの少なくとも二個の送信アンテナにより、それぞれ、測定信号を送信する工程と、レシーバの少なくとも二個の受信アンテナにより、それぞれ、ターゲットオブジェクトから、測定信号を反射する反射信号を受信する工程と、レシーバにより、反射信号にしたがって、送信アンテナと受信アンテナ間のチャネル状態情報(CSI)を得る工程、および、コンピューティングデバイスにより、レシーバから送信されるCSIを受信するとともに、CSIにしたがって、ターゲットオブジェクトの生理状態情報を得る工程、を有する。
【0007】
いくつかの実施形態において、受信アンテナの第一受信アンテナは、第一反射信号、および、第二反射信号を受信し、且つ、受信アンテナの第二受信アンテナは、第三反射信号、および、第四反射信号を受信する。第一反射信号が、ターゲットオブジェクトにより、送信アンテナの第一送信アンテナから送信される第一測定信号を反射させることにより生成され、且つ、第二反射信号が、ターゲットオブジェクトにより、送信アンテナの第二送信アンテナから送信される第二測定信号を反射させることにより生成される工程、および、第三反射信号が、ターゲットオブジェクトにより、第一送信アンテナから送信される第一測定信号を反射させることにより生成され、且つ、第四反射信号が、ターゲットオブジェクトにより、第二送信アンテナから送信される第二測定信号を反射させることにより生成される工程、を有する。
【0008】
いくつかの実施形態において、CSIにしたがって、ターゲットオブジェクトの生理状態情報を得る工程は、さらに、第一反射信号と第三反射信号間の第一位相差を計算する工程と、第二反射信号と第四反射信号間の第二位相差を計算する工程、および、第一位相差と第二位相差間のチャネル応答の差異にしたがって、ターゲットオブジェクトの生理状態情報を得る工程、を有する。
【0009】
いくつかの実施形態において、チャネル応答の差異に従って、ターゲットオブジェクトの生理状態情報を得る工程は、さらに、一期間に対応するチャネル応答の差異を得る工程と、チャネル応答の差異を、複数のサブキャリアに対応するスペクトログラムに転換する工程、および、スペクトログラム中の最高ピークに対応する一周波数にしたがって、生理状態情報を決定する工程と、を有する。
【0010】
いくつかの実施形態において、一期間に対応するチャネル応答の差異は、二個の周波数分析モードを用いることにより、サブキャリアに対応する第一スペクトログラム、および、第二スペクトログラムに転換され、スペクトログラム中の最高ピークに対応する一周波数に従って、生理状態情報を決定する工程は、さらに、各サブキャリアの第一スペクトログラム中の垂直軸の最高ピークに対応する第一周波数、および、各サブキャリアの第二スペクトログラム中の垂直軸の最高ピークに対応する第二周波数を得る工程と、サブキャリアの第一サブキャリアの第一周波数と第二周波数間の周波数差異が、スレッショルドを超過するか判断する工程と、周波数差がスレッショルドを超えると判断するとき、第一サブキャリアを除去する工程と、周波数差がスレッショルドを超えないと判断するとき、第一サブキャリアを保留する工程、および、保留されたサブキャリアに対応するスペクトログラム中の最高強度に対応する周波数にしたがって、生理状態情報を決定する工程、を有する。
【0011】
一実施形態において、チャネル状態情報に基づいて、生理状態情報を測定するシステムが提供される。システムは、トランスミッタ、レシーバ、および、コンピューティングデバイスを有する。トランスミッタは少なくとも二個の送信アンテナを有し、少なくとも二個の送信アンテナは、それぞれ、測定信号を送信する。レシーバは少なくとも二個の受信アンテナを有し、受信アンテナは、それぞれ、ターゲットオブジェクトから、測定信号を反射する反射信号を受信し、レシーバは、反射信号にしたがって、送信アンテナと受信アンテナ間のチャネル状態情報(CSI)を得る。コンピューティングデバイスはレシーバに結合されるとともに、CSIを受信し、CSIにしたがって、ターゲットオブジェクトの生理状態情報を得る。
【0012】
一実施形態において、チャネル状態情報に基づいて、生理状態情報を測定する装置が提供される。本装置は、一つ以上のプロセッサ、および、一つ以上のコンピュータストレージ媒体を有して、一つ以上のコンピュータ可読命令を保存する。プロセッサが設置されて、コンピュータストレージ媒体を駆動して、以下のタスクを実行する。トランスミッタの少なくとも二個の送信アンテナとレシーバの少なくとも二個の受信アンテナ間のチャネル状態情報(CSI)を受信し、CSIは、レシーバにより、反射信号に従って得られる。反射信号は、ターゲットオブジェクトから、トランスミッタの送信アンテナにより送信される測定信号を反射させることにより生成され、且つ、反射信号は、レシーバのアンテナにより受信される。CSIにしたがって、ターゲットオブジェクトの生理状態情報を得る。
【0013】
一実施形態において、チャネル状態情報に基づいて、生理状態情報を測定する方法が提供される。本方法は、トランスミッタの少なくとも二個の送信アンテナとレシーバの少なくとも二個の受信アンテナ間のチャネル状態情報(CSI)を受信し、CSIがレシーバから、反射信号にしたがって、レシーバにより得られる工程と、反射信号が、ターゲットオブジェクトから、トランスミッタの送信アンテナにより送信される測定信号を反射させることにより生成され、且つ、反射信号が、レシーバのアンテナにより受信される工程、および、CSIにしたがって、ターゲットオブジェクトの生理状態情報を得る工程、を有する。
【発明の効果】
【0014】
本発明によるチャネル状態情報に基づいて、生理状態情報を測定する方法、装置、および、システムは、非接触装置の複数のアンテナにより送信される信号間の位相差を用いることにより、CFO、CO、および、測定されたノイズを消去して、CSIに基づいて、呼吸、あるいは、心拍測定技術の正確さを改善する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の一実施形態によるチャネル状態情報に基づいて、生理状態情報を測定するシステムを示す図である。
図2】本発明の一実施形態によるチャネル状態情報に基づいて、生理状態情報を測定する方法のフローチャートである。
図3】本発明の一実施形態によるチャネル状態情報に基づいて、生理状態情報を測定する方法のフローチャートである。
図4】本発明の一実施形態によるチャネル状態情報に基づいて、生理状態情報を測定するシステムを示す図である。
図5】本発明の一実施形態による一期間で、チャネル応答の差異に従って、ターゲットオブジェクトの生理状態情報を得る方法のフローチャートである。
図6】本発明の一実施形態による一期間で、チャネル応答の差異に従って、ターゲットオブジェクトの生理状態情報を得る方法のフローチャートである。
図7】本発明の一実施形態による複数の被験者の生理状態情報を示す図である。
図8】本発明の実施形態を実行する操作環境の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
添付図面を参照にしながら、本発明の各種態様を以下で十分に説明する。しかし、本開示は、多くの異なる形式で具体化され、且つ、本開示により表現される任意の特定の構造や機能に限定されると解釈されるべきではない。反対に、これらの態様が提供されて、本開示を詳細、且つ、完全にするとともに、当業者、本発明の範囲を十分に伝達する。当業者の教示に基づいて、当業者なら理解すべきことは、単独でも、本発明の任意のその他の態様と結合しても、本発明は、開示される本発明の任意の態様を実現する。たとえば、ここで示される任意の数量の装置を使用する、あるいは、方法を実行して実現する。このほか、ここで示される本発明の各種態様に加え、本発明の範囲は、その他の構造、機能、あるいは、構造と機能を用いて実施されるこのような装置、あるいは、方法をカバーする。理解できることは、ここで開示される本発明の任意の態様は、請求範囲の一つ以上の素子により具体化される。
【0017】
用語“例示的”は、本文中で、“例、実例、あるいは、説明として用いられる”ことを意味する。ここで開示される任意の態様や本文の描写の“例示的”な設計は、本開示、あるいは、設計より好ましい、あるいは、優れていると解釈されるべきではない。さらに、相同の数字は、いくつかの図面中で相同の素子を示し、且つ、描写中で特に指定されない限り、冠詞“一”と“前記”は複数の参照を含む。
【0018】
理解すべきことは、一素子が、もう一つの素子に“接続”あるいは“結合される”と称しているとき、その素子は、もう一つの素子に、直接接続、あるいは、結合されているか、中間素子が存在するか、である。反対に、一素子がもう一つの素子に、“直接接続”あるいは“直接結合”されると称しているとき、中間素子がないことである。素子間の関係の記述に用いられるその他の用語は類似の方式で解釈される(たとえば、“の間”と“直接、〜の間に”、“隣接”と“直接隣接する”等の方式)。
【0019】
図1は、本発明の一実施形態によるチャネル状態情報に基づいて、生理状態情報を測定するシステム100を示す図である。システム100は、トランスミッタ110、レシーバ120、および、コンピューティングデバイス130を有する。トランスミッタ110、および、レシーバ120は、ターゲットオブジェクト140に隣接し、トランスミッタ110とターゲットオブジェクト140間、および、レシーバ120とターゲットオブジェクト140間の距離は、たとえば、せいぜい5メートルである。
【0020】
トランスミッタ110は、複数の送信アンテナを有し、送信アンテナは、それぞれ、測定信号をターゲットオブジェクト140に送信することができる。レシーバ120は、複数の受信アンテナを有し、受信アンテナは、それぞれ、ターゲットオブジェクト140から、反射する反射信号を受信する。トランスミッタ110、および/または、レシーバ120は、固定、あるいは、移動型であり、且つ、コンピューティングデバイス130と通信し、且つ、データ、および/または、各種制御情報を、コンピューティングデバイス130とやり取りする各種コンポーネントを有する。トランスミッタ110、および、レシーバ120は、端末装置、移動局(MS)、携帯端末(MT)、ユーザー端(UT), サブキャリア局(SS)、無線装置、アクセスポイント(AP)、あるいは、処理サーバ(PS)である。一実施形態において、トランスミッタ110、および、レシーバ120は、無線通信技術を用いて、信号を送信、および/または、受信し、無線通信技術は、たとえば、無線LAN(WLAN)、Bluetooth(登録商標)、ZigBee、WiMAX(Worldwide Interoperability for Microwave Access)、第3世代移動通信システム(Third Generation Of Wireless Mobile Telecommunications、3G)、第4世代移動通信システム(Fourth Generation Of Cellular Network 、4G)、ロングタームエボリューション(Long Term Evolution、LTE)、あるいは、LTE-Advancedである。一実施形態において、測定信号、および/または、受信信号は、複数のサブキャリア上の信号を有する。
【0021】
コンピューティングデバイス130は、レシーバ120に結合されるとともに、有線ネットワーク、あるいは、無線通信により、レシーバ120とデータを送受信し、且つ、プロセッサ、および、プログラムを保存するメモリを有する。コンピューティングデバイス130は、レシーバ120により送信される反射信号を受信し、反射信号にしたがって、トランスミッタ110の送信アンテナとレシーバ120の受信アンテナ間のチャネル状態情報(CSI)を得るとともに、CSIにしたがって、ターゲットオブジェクト140の生理状態情報を得る。
【0022】
コンピューティングデバイス130のタイプは、小型ハンドヘルド装置、たとえば、携帯電話やハンドヘルドコンピュータから、大型メインフレームシステム、たとえば、大型汎用コンピュータまでの範囲である。ハンドヘルドコンピュータの例は、PDA、および、ノードブック等である。別の実施形態において、コンピューティングデバイス130は、ここで記述される以外のコンポーネント、システム、サブシステム、および/または、装置と一緒に使用される。たとえば、コンピューティングデバイス130は、レシーバ120と統合されて一装置になる。
【0023】
理解すべきことは、図1に示されるコンピューティングデバイス130は、チャネル状態情報に基づいて、生理状態情報を測定する適当なシステム100機構の例であることである。図1に示される各コンポーネントは、任意のタイプのコンピューティングデバイス、たとえば、図8に示されるコンピューティングデバイス800により実現される。
【0024】
図2は、本発明の一実施形態によるチャネル状態情報に基づいて、生理状態情報を測定する方法200のフローチャートである。本方法は、図1に示されるチャネル状態情報に基づいて、生理状態情報を測定するシステム100中で実行される。
【0025】
工程205において、トランスミッタTXの少なくとも二個の送信アンテナは、それぞれ、測定信号を送信する。特に、トランスミッタTxの少なくとも二個の送信アンテナは、直接、測定信号をターゲットオブジェクトに送信する、あるいは、ターゲットオブジェクトではない方向に測定信号を発射する。ターゲットオブジェクトの方向で発射されない測定信号は、別のオブジェクトにより、ターゲットオブジェクトに反射される。たとえば、トランスミッタTxは測定信号を壁に発射し、壁は測定信号をターゲットオブジェクトに反射させる。次に、工程210において、レシーバRxの少なくとも二個の受信アンテナは、それぞれ、ターゲットオブジェクトから、測定信号を反射させる反射信号を受信する。特に、レシーバRxにより受信される反射信号は、ターゲットオブジェクトにより直接反射される信号であるか、あるいは、ターゲットオブジェクトにより反射され、その後、別のオブジェクト(たとえば、壁や机)により反射される反射信号である。
【0026】
工程215において、レシーバRxは、反射信号にしたがって、送信アンテナと受信アンテナ間のチャネル状態情報(CSI)を得る。工程220において、コンピューティングデバイス130は、レシーバRxにより送信されるCSIを受信するとともに、CSIにしたがって、ターゲットオブジェクトの生理状態情報を得る。
【0027】
図3は、本発明の一実施形態によるチャネル状態情報に基づいて、生理状態情報を測定する方法300のフローチャートである。本方法は、図1に示されるコンピューティングデバイス130のプロセッサにより実行される。
【0028】
工程305において、コンピューティングデバイス130は、トランスミッタ110の少なくとも二個の送信アンテナとレシーバ120の少なくとも二個の受信アンテナ間のチャネル状態情報(CSI)を受信する。CSIは、レシーバ120から、反射信号にしたがって得られる。反射信号は、ターゲットオブジェクトから、トランスミッタ110の送信アンテナにより送信される測定信号を反射させることにより生成され、且つ、反射信号は、レシーバ120のアンテナにより受信される。工程310において、コンピューティングデバイス130は、CSIにしたがって、ターゲットオブジェクトの生理状態情報を得る。
【0029】
以下で、工程220、および、工程310において、コンピューティングデバイス130が、どのように、CSIに基づいて、ターゲットオブジェクトの生理状態情報を得るかを詳細に説明する。
【0030】
図4は、本発明の一実施形態によるチャネル状態情報に基づいて、生理状態情報を測定するシステム400を示す図である。図4は、トランスミッタTx の送信アンテナとレシーバRxの受信アンテナ間の送信をさらにはっきりと記述する。注意すべきことは、図4において、この例において用いられるトランスミッタTxとレシーバRxのアンテナの数量は二個であるが、これに限定されないことである。つまり、レシーバRxが、任意の二個(あるいは、少なくとも二個の)受信アンテナを選択して、反射信号を受信し、且つ、この反射信号が、トランスミッタTxの任意の二個(あるいは、少なくとも二個の)送信アンテナにより送信される測定信号を反射させるターゲットオブジェクトにより生成されれば、本開示中で記述される方法が達成される。
【0031】
図4に示されるように、トランスミッタTxの第一送信アンテナ412は、第一測定信号をターゲットオブジェクト440に送信し、トランスミッタTx の第二送信アンテナ414は、第二測定信号をターゲットオブジェクト440に送信し、第一送信アンテナ412と第二送信アンテナ414間の距離は L2、且つ、測定信号と水平面間の角度はφである。ターゲットオブジェクト440の胸の起伏の大きさはδである。
【0032】
レシーバRxの第一受信アンテナ422は、第一反射信号、および、第二反射信号を受信し、且つ、レシーバRxの第二受信アンテナ424は、第三反射信号、および、第四反射信号を受信し、第一受信アンテナ422と第二受信アンテナ424間の距離は L1 、且つ、反射信号と水平面間の角度はθである。第一反射信号は、ターゲットオブジェクト440により、第一送信アンテナ412から送信される第一測定信号を反射させることにより生成され、第二反射信号は、ターゲットオブジェクト440により、第二送信アンテナ414から送信される第二測定信号を反射させることにより生成される。第三反射信号は、ターゲットオブジェクト440により、第一送信アンテナ412から送信される第一測定信号を反射させることにより生成され、第四反射信号は、ターゲットオブジェクト440により、第二送信アンテナ414から送信される第二測定信号を反射させることにより生成される。
【0033】
よって、レシーバRxは、時間tで受信される反射信号にしたがって、トランスミッタ(第一送信アンテナ412、および、第二送信アンテナ414)とレシーバ(第一受信アンテナ422、および、第二受信アンテナ424)間の時間tのCSIを得る。時間tのCSIは以下のように示される:
H1,1=CFO/COTx+L2sinφ+Vt(H1,1)+L1sinθ+CFO/CORx (1)
H1,2=CFO/COTx+L2sinφ+Vt(H1,2) +CFO/CORx (2)
H2,1=CFO/COTx +Vt(H2,1)+L1sinθ+CFO/CORx (3)
H2,2=CFO/COTx +Vt(H2,2) +CFO/CORx (4)
式中、Hm,nは、トランスミッタTxの第m本の送信アンテナとレシーバRxの第 n本の受信アンテナ間のCSI(チャネル応答とも称される)を表し、CFO/COTxは、トランスミッタのキャリア周波数オフセット(CFO)とクロックオフセット(CO)により生じる位相シフトであり、CFO/CORxレシーバのCFOとCOにより生じる位相シフトである。L2sinφ、および、L1sinθは測定されたノイズで、Vt(Hm,n)は、時間tのチャネル応答位相である。
【0034】
その後、コンピューティングデバイス130は、CSI H1,1とCSI H1,2間の第一位相差ΔVt(H1)+L1sinθ(つまり、等式(1)と等式(2))の差異を計算するとともに、CSI H2,1とCSI H2,2間の第二位相差ΔVt(H2)+L1sinθ(つまり、等式(3)と等式(4)間の差異)を計算し、式中、ΔVt(H1)は、Vt(H1,1)とVt(H1,2)間の差異(つまり、ΔVt(H1)=Vt(H1,1)-Vt(H1,2))、ΔVt(H2)はVt(H2,1)とVt(H2,2)間の差異(つまり、ΔVt(H2)=Vt(H2,1)-Vt(H2,2))である。コンピューティングデバイス130は、時間tの第一位相差と第二位相差間のチャネル応答の差ΔVt(H)を計算する。つまり、チャネル応答の差ΔVt(H)は、ΔVt(H1)とΔVt(H2)の差である。コンピューティングデバイス130は、その後、一期間のチャネル応答の差ΔVt(H)を収集して、生理状態情報を得る。
【0035】
以下で、コンピューティングデバイス130が、どのように、一期間のチャネル応答の差異 ΔVt(H)を用いて、ターゲットオブジェクトの生理状態情報を得るかを詳細に記述する。この部分は、異なる生理状態と生理状態情報に関して記述される。
【0036】
図5は、本発明の一実施形態による一期間で、チャネル応答の差異に従って 、ターゲットオブジェクトの生理状態情報を得る方法500のフローチャートである。この実施形態において、生理状態は呼吸で、生理状態情報は呼吸周波数である。期間は、たとえば、生理状態情報(この実施形態において、生理状態情報は呼吸率)が測定される時間の長さである。たとえば、期間が1分である場合、毎分一回、その分内の呼吸率が推定される。トランスミッタは、その期間で、複数の測定信号を送信し、レシーバは、複数の測定信号により反射される複数の反射信号を受信する。たとえば、トランスミッタは、10ミリ秒ごとに測定信号を送信し、レシーバは、10ミリ秒ごとに反射信号を受信する。
【0037】
一実施形態において、工程が開始する前に、コンピューティングデバイス130は、すでに、一期間に対応するチャネル応答の差異を得ている。工程505において、コンピューティングデバイス130は、チャネル応答の差異を、複数のサブキャリアに対応するスペクトログラムに転換し、フーリエ変換、あるいは、その他の周波数分析方式(たとえば、MUSIC(MUltiple SIgnal Classification)、HHT(Hilbert-Huang Transform)、および、DWT(Discrete Wavelet Transform))により、チャネル応答の差異が、スペクトログラムに転換される。工程510において、コンピューティングデバイス130は、スペクトログラム中の最高ピークに対応する一周波数に従って、生理状態情報を決定する。特に、コンピューティングデバイス130は、各サブキャリアのスペクトログラムを被覆するとともに、重複するスペクトログラム中の最高ピークに対応する一周波数を、呼吸周波数とみなす。
【0038】
図6は、本発明の一実施形態による一期間で、チャネル応答の差異に従って、ターゲットオブジェクトの生理状態情報を得る方法600のフローチャートである。この実施形態において、生理状態は呼吸か心拍であり、生理状態情報は、呼吸周波数、または、心拍頻度である。
【0039】
一実施形態において、工程の開始前、コンピューティングデバイス130は、すでに、一期間に対応するチャネル応答の差異を得ている。工程605において、コンピューティングデバイス130は、二個の周波数分析モードを用いることにより、一期間に対応するチャネル応答の差異を、複数のサブキャリアに対応する第一スペクトログラム、および、第二スペクトログラムに転換する。二個の周波数分析モードは、任意の二個のフーリエ変換、MUSIC、HHT、DWT、および、その他の周波数分析方式である。一実施形態において、第一スペクトログラムと第二スペクトログラムの垂直軸は強度、水平軸は周波数である。工程610において、コンピューティングデバイス130は、複数のサブキャリアから、第一サブキャリアを選択するとともに、第一サブキャリアの第一スペクトログラム中の垂直軸(強度)の最高ピークに対応する第一周波数を得るとともに、第一サブキャリアの第二スペクトログラム中の垂直軸(強度)の最高ピークに対応する第二周波数を得る。工程615において、コンピューティングデバイス130は、第一周波数と第二周波数間の周波数差がスレッショルドを超過するか判断する。コンピューティングデバイス130が、周波数差がスレッショルド値を超過すると判断するとき(工程615で“はい”)、工程620において、コンピューティングデバイス130はサブキャリアを除去する。コンピューティングデバイス130が、周波数差がスレッショルドを超過しないと判断するとき(工程615において“いいえ”)、工程625において、コンピューティングデバイス130は、サブキャリアを保留する。次に、工程630において、コンピューティングデバイス130は、未決定のサブキャリアがあるか判断する。未決定のサブキャリアがまだあると判断するとき(工程630において“はい”)、工程635において、コンピューティングデバイス130は、未決定のサブキャリアから、一サブキャリア(たとえば、第二サブキャリア)を選択するとともに、工程は、工程615に戻り(たとえば、コンピューティングデバイス130は、第二サブキャリアの第一周波数と第二周波数間の周波数差がスレッショルドを超過するか判断する)。コンピューティングデバイス130が、未決定のサブキャリアがないと判断するとき(工程630において“いいえ”)、工程640で、コンピューティングデバイス130は、保留されたサブキャリアに対応するスペクトログラム中の最高強度ピークに対応する周波数に従って、生理状態情報を決定する。一実施形態において、コンピューティングデバイス130は、各保留されたサブキャリアの第一周波数と第二周波数を乗じて、各保留されたサブキャリアの第一周波数と第二周波数を乗じた後のスペクトログラムを被覆するとともに、重複するスペクトログラム中の最高強度ピークに対応する一周波数を、呼吸率、あるいは、心拍率とみなす。別の実施形態において、コンピューティングデバイス130は、さらに、各保留されたサブキャリアの第一周波数と第二周波数を乗じた後のスペクトログラムから、一スペクトログラムを選択する。このスペクトログラム中の最高強度ピークに対応する一周波数は、呼吸率、あるいは、心拍率と見なされる。一実施形態において、保留されたサブキャリアの数量は一つ以上である。
【0040】
別の実施形態において、システムは、複数の被験者を測定する。コンピューティングデバイス130は、重複するスペクトログラム中の第一最高強度ピークに対応する第一周波数を、 第一被験者の生理状態情報として選択し、その後、第二最高強度ピークに対応する第二周波数を、第二被験者の生理状態情報として選択する。図7に示されるように、第一最高強度ピークに対応する第一周波数は10bpm、第二最高強度ピークに対応する第二周波数は15bpmである。よって、コンピューティングデバイス130は、第一被験者、および、第二被験者の呼吸周波数は、それぞれ、10と15bpmであると判断する。
【0041】
上述のように、チャネル状態情報に基づいて、本発明で提供される生理状態情報を測定する方法、装置、および、システムは、非接触装置の複数のアンテナにより送信される信号間の位相差を用いることにより、CFO、CO、および、測定される騒音を消去して、CSIに基づいて、呼吸、あるいは、心拍測定技術の正確さを改善する。
【0042】
本発明の上述の実施形態に対し、以下で、本発明の実施形態を実施する例示的な操作環境を記述する。図8を参照すると、本発明の実施形態を実行する例示的な操作環境が示され、一般に、コンピューティングデバイス800として知られる。コンピューティングデバイス800は、単に、適当なコンピューティング環境の一例であり、本発明の使用、あるいは、機能の範囲を制限するものではない。コンピューティングデバイス800は、また、示されるコンポーネントの一つ、あるいは、組み合わせに関連する依存性や要求を有すると解釈されるべきではない。
【0043】
本開示は、コンピュータコード、あるいは、機械使用可能命令の手段によって実現され、機械使用可能命令はコンピュータ実行可能命令、たとえば、プログラムモジュールを有し、コンピュータ、あるいは、その他の機器、たとえば、PDA、あるいは、その他のハンドヘルド装置により実行される。一般に、プログラムモジュールは、ルーティン、プログラム、オブジェクト、コンポーネント、データ構造等を有し、プログラムモジュールというのは、特定のタスクを実行する、あるいは、特定の抽象データタイプを実行するコードのことである。本発明は、各種システム配置で実施され、ハンドヘルド装置、家庭用電化製品、汎用コンピュータ、さらに専門的なコンピューティングデバイス等を有する。本発明は、タスクが、通信ネットワークにより連結される円滑処理装置により実行される分散型のコンピューティング環境で実施することもできる。
【0044】
図8を参照すると、コンピューティングデバイス800は、以下の装置に直接、あるいは、間接的に結合されるバス810を有し、前記装置は、一つ以上のメモリ812、一つ以上のプロセッサ814、一つ以上のディスプレイコンポーネント816、一つ以上の入/出力(I/O)ポート818、一つ以上の入/出力コンポーネント820、および、説明的な電源822を有する。バス810は、一つ以上の種類のバスを表す(たとえば、アドレスバス、データバス、あるいは、それらの組み合わせ)。簡潔にするために、図8の各種ブロックは線で示されているが、実際は、各種コンポーネントの境界は具体的ではない。たとえば、ディスプレイコンポーネント、たとえば、ディスプレイ装置はI/Oコンポーネントとみなされ、プロセッサはメモリを有する。
【0045】
コンピューティングデバイス800は、通常、様々なコンピュータ可読媒体を有する。コンピュータ可読媒体は、コンピューティングデバイス800によりアクセス可能であり、且つ、揮発性、および、不揮発性、取り外し可能、および、非取り外し可能媒体両方を含む任意の可用な媒体である。例として、これに限定されないが、コンピュータ可読媒体は、コンピュータストレージ媒体、および、通信媒体を有する。コンピュータストレージ媒体は、情報、たとえば、コンピュータ可読命令、データ構造、プログラムモジュール、あるいは、その他のデータを保存する任意の方法や技術で実施される揮発性、および、不揮発性、取り外し可能、および、非取り外し可能媒体を有する。コンピュータストレージ媒体は、これに限定されないが、ランダムアクセスメモリ(RAM)、リードオンリメモリ(ROM)、電気的消去可能ROM(EEPROM)、フラッシュメモリ、あるいは、その他のメモリ技術、CD−ROM、デジタル多用途ディスク(DVD)、あるいは、その他の光学ディスクストレージ、磁気カセット、磁気テープ、磁気ディスクストレージ、あるいは、その他の磁気ストレージ装置、あるいは、必要な情報を保存するのに用いられる、および、コンピューティングデバイス800によりアクセスされるその他の任意の媒体を有する。コンピュータストレージ媒体自身は、信号を含まない。
【0046】
通信媒体は、通常、コンピュータ可読命令、データ構造、プログラムモジュール、あるいは、モジュール化されたデータ信号、たとえば、キャリア波、あるいは、その他の輸送メカニズム中のその他のデータを含み、且つ、任意の情報伝達媒体を有する。用語“モジュール化されたデータ信号”は、一つ以上の特徴の集合を有する、あるいは、信号中で情報を符号化するこのような方式で変化する信号のことを意味する。例として、これに限定されないが、通信媒体は、有線媒体たとえば、有線ネットワーク、あるいは、直接有線接続、および、無線媒体、たとえば、音響、RF、赤外線、および、その他の無線媒体、あるいは、任意のそれらの組み合わせを有する。
【0047】
メモリ812は、揮発性、および/または、不揮発性メモリの形式で、コンピュータストレージ媒体を有する。メモリは、取り外し可能、非取り外し可能、あるいは、それらの組み合わせである。例示的ハードウェア装置は、ソリッドステートメモリ、ハードドライブ、光学ディスクドライブ等を有する。コンピューティングデバイス800は、各種エンティティ、たとえば、メモリ812、あるいは、I/Oコンポーネント820からデータを読み取る一つ以上のプロセッサを有する。ディスプレイコンポーネント816は、ユーザー、あるいは、その他の装置にデータ指示を表示する。例示的な表示コンポーネントは、ディスプレイ装置、スピーカー、プリンティングコンポーネント、振動素子を有する。
【0048】
I/Oポート818は、コンピューティングデバイス800を、論理的に、I/Oコンポーネント820を有するその他の装置に結合させ、この種の装置は内蔵装置である。実例となるコンポーネントは、マイクロフォン、ジョイスティック、ゲームパッド、サテライトディッシュ、スキャナー、プリンター、ワイヤレス装置等を有する。I/Oコンポーネント820は、ユーザーにより生成されるジェスチャー、音声、あるいは、その他の生理学的な入力を処理するナチュラルユーザーインターフェース(NUI)を提供する。たとえば、入力が、適当なネットワーク素子に送信されて、さらに処理される。NUIが実行されて、語言識別、接触とスタイラス識別、顔認証、生体識別、スクリーン上、および、スクリーンに隣接するジェスチャー識別、空中ジェスチャー、頭部と眼部追跡、コンピューティングデバイス800上のディスプレイと関連する接触識別、あるいは、任意の組み合わせを実現する。コンピューティングデバイス800は、深度カメラ、たとえば、立体カメラシステム、赤外線カメラシステム、RGBカメラシステム、それらの任意の組み合わせを装備して、ジェスチャー検出と識別を実現する。さらに、コンピューティングデバイス800は、加速度計、あるいは、ジャイロスコープが装備され、動きの検出を可能にする。加速度計、あるいは、ジャイロスコープの出力がコンピューティングデバイス800のディスプレイに提供されて、没入式の各超現実やバーチャルリアリティを実行する。
【0049】
さらに、コンピューティングデバイス800中のプロセッサ814は、メモリ812中で、プログラムコードを実行して、上述の動作、工程、あるいは、その他の記述を実行することができる。
【0050】
理解すべきことは、開示される任意のプロセスの工程の順序やヒエラルキーはサンプル的なアプローチの例であることである。設計優先に基づいて、理解すべきことは、プロセス中の工程の特定の順序やヒエラルキーは、本発明の範囲内で再アレンジできる。付随する方法の請求は、サンプル順序で、各種工程の素子を表現し、表現される特定の順序やヒエラルキーに制限されない。
【0051】
請求項中で、請求項を修飾する素子の序数用語、たとえば、“第一”“第二”“第三”等の使用は、優先権、優先順序、各素子間の前後順序、あるいは、方法が実行する工程の順序を暗示するものではなく、単に、標識として、同じ名称を有する(異なる序数用語を有する)異なる素子を区分するものである。
【0052】
本発明では好ましい実施例を前述の通り開示したが、これらは決して本発明に限定するものではなく、当該技術を熟知する者なら誰でも、本発明の思想を脱しない範囲内で各種の変形を加えることができる。
【符号の説明】
【0053】
100 システム
110 トランスミッタ
120 レシーバ
130 コンピューティングデバイス
140 ターゲットオブジェクト
200 方法
S205、S210、S215、S220 工程
300 方法
S305、S310 工程
400 システム
Tx トランスミッタ
Rx レシーバ
412 第一送信アンテナ
414 第二送信アンテナ
422 第一受信アンテナ
424 第二受信アンテナ
440 ターゲットオブジェクト
L1、L2 距離
φ、θ 角度
500 方法
S505、S510 工程
600 方法
S605、S610、S615、S620、S625、S630、S635、S640 工程
800 コンピューティングデバイス
810 バス
812 メモリ
814 プロセッサ
816 ディスプレイコンポーネント
818 I/Oポート
820 I/Oコンポーネント
822 電源
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8