【解決手段】棒状の柄2と、打撃面11を有する頭部3とを備えたハンマー1において、頭部3は、打撃面11が前後方向の少なくとも一方に設けられ、頭部3の前後方向が柄2の長手方向に直交するように設けられており、頭部3には、当該頭部3の左右厚み方向に貫通する貫通孔12が穿孔されており、貫通孔12が頭部3の後側にずれた位置に形成されていて、貫通孔12の周縁には、面取り部14が形成されている。
前記頭部が掛下されるカラビナに対して、当該カラビナの内径より前記頭部の外径は小さいものとされており、前記カラビナの開口部の幅より、前記頭部の外径は小さいものとされており、前記カラビナを形成するリング体自体の径より、前記貫通孔の径が大きいものとされていることを特徴とする請求項1又は2に記載のハンマー。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載された工具ホルダ等では、柄を上方から差し込み頭部を係止させるだけでハンマーを保持しているため、作業中に屈んだ姿勢からある程度の勢いをつけて立ち上がるなどした場合、柄が工具ホルダ等から上方へ抜けて、ハンマーが落下してしまう虞がある。作業員が屋根の上などの高所で作業している場合にハンマーが落下すると下方にいる者が危険にさらされることになる。更に、落下したハンマーによって屋根瓦等を破損してしまうこともある。
【0006】
ハンマーに紐の一端を連結して他端を腰ベルトや腰ベルトに装着されたカラビナに繋いでいても、紐がハンマーを持って作業するために必要な長さを有しているため、ハンマーが工具ホルダ等から落下すると屋根瓦等を破損してしまうことに変わりはない。
なお、カラビナとは、登山用途を目的として開発された金属リング(ジュラルミン製が主流のリング)であり、現在では多くの分野で使用されるものとなっている。この金属リングは、開閉できる部品(ゲート)を有し、ハーケンやクライミングチョックなどを素早く確実に繋ぐことが可能となっている。
【0007】
本発明は、上述の問題に鑑みてなされたものであり、腰ベルトに付けたカラビナ(ホルダ)に対し片手で簡単に着脱でき、しかもカラビナに吊り下げられた状態においては当該カラビナから外れる虞のないハンマーを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、ハンマーは以下の技術的手段を講じている。
すなわち、本発明にかかるハンマーは、棒状の柄と、打撃面を有する頭部と、を備えたハンマーにおいて、前記頭部は、前記打撃面が前後方向の少なくとも一方に設けられ、当該頭部の前後方向が前記柄の長手方向に直交するように設けられており、前記頭部には、当該頭部の左右厚み方向に貫通する貫通孔が穿孔されており、前記貫通孔が前記頭部の後側にずれた位置に形成されていて、前記貫通孔の周縁には、面取り部が形成されていることを特徴とする。
【0009】
好ましくは、前記貫通孔は、頭部の上下方向中央より上側に形成されているとよい。
好ましくは、前記頭部が掛下されるカラビナに対して、当該カラビナの内径より前記頭部の外径は小さいものとされており、前記カラビナの開口部の幅より、前記頭部の外径は小さいものとされており、前記カラビナを形成するリング体自体の径より、前記貫通孔の径が大きいものとされているとよい。
【発明の効果】
【0010】
本発明のハンマーによれば、腰ベルトに付けたカラビナ(ホルダ)に対し片手で簡単に着脱でき、しかもカラビナに吊り下げられた状態においては当該カラビナから外れる虞がないものとなる。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明にかかるハンマーを、図面に基づき詳しく説明する。
なお、
図1に示す左右方向、前後方向、及び
図2に示す前後方向、上下方向をもとに、以降の説明を進めることとする。
本発明のハンマー1は金属製の柄2を有し、この柄2は長さ約25cm、径が約3cm〜4cmであり、柄2の先端(上端部)に金属製の頭部3が取り付けられており、柄2の基端側は合成ゴムなどからなるグリップ部4によって覆われている。使用者M(建設作業員など)は、このグリップ部4を把持し、対象物に対して頭部3を振り当てるようにする。
【0013】
グリップ部4の下端部には、安全紐等の落下防止具を取り付けるためのリング状の部品や貫通孔が形成されていてもよい。なお、本実施形態の場合は、グリップ部4を貫く孔10が形成されている。この孔10には、安全紐の一端が連結され、安全紐の他端は使用者Mの腰ベルト34側に繋がれるものとなる。これにより、不注意などに起因するハンマー1の落下事故を確実に防ぐことが可能となる。
【0014】
ハンマー1の柄2の上端部に固着されている頭部3は、鋳鍛鋼などの金属で形成されており、この頭部3は中央部分がやや膨らんだ略八角柱を為していている。この実施形態では、頭部3は前後方向の長さは約9cm程度であり、上下の長さ(厚み)は約4cmである。
より詳細には、八角柱の頭部3に関し、左右に形成された側面5は、頭部3の上面6及び下面7よりその幅が広いものとなっている。頭部3の上面6と側面5(右側壁、左側壁)とをつなぐ斜面8、同じく頭部3の下面7と側面5(右側壁、左側壁)とをつなぐ斜面8は、上面6と略同じ幅となっている。頭部3の全体としての外形は先端(打撃面11)が中央部よりやや小さい太鼓型となっている。
【0015】
なお、本実施形態の頭部3の上面6の一部は、略水平となるように形成されている。この水平面(上面6の水平部分)により、ハンマー1を使用しない際に、床面上に逆さ姿勢(頭部3が下で、柄2が上方に延びるような姿勢)で立てて置くことも可能となる。
図2に示すように、頭部3の下面7であって、前後方向の中心部には柄取付け穴が形成されている。この柄取付け穴に対して柄2の上端部が下方から差し込まれた上でカシメたり溶接するなどして、頭部3と柄2とが固着されるものとなっている。
【0016】
頭部3の前後側の両端面は、非常に緩やかな曲率を有する面(ほぼ平面とみなしてよい)を有する打撃面11となっている。打撃面11は、長期間の使用に耐えれるようにその硬度を増す処理(焼入れ処理や浸炭処理など)を行っておくことが好ましい。前側の打撃面11Fが、ハンマー1の主たる打撃面であり、後側の打撃面11Bは従たる打撃面となる。打撃面11がこのような構成となっている理由は後述する。
【0017】
図1、
図2に示す如く、本実施形態のハンマー1の頭部3には、左右に貫通するように貫通孔12が形成されていることが大きな特徴となっている。
この貫通孔12は、柄2の上下軸心を頭部3に延長した位置よりも後側に形成されている。すなわち、柄2の直上に貫通孔12が形成されるものとはなっていない。本実施形態の貫通孔12は、上方がやや大きい略台形状の孔とされているが、円形状の孔であっても問題はない。
【0018】
貫通孔12の前後径は、頭部3の前後長さの約1/5程度であり、貫通孔12の前縁が、側面視で柄2の上方延長線よりやや後側に位置するものとなっている。貫通孔12の上下径は、頭部3の上下長さの約1/2程度であり、頭部3の上下方向中心よりやや上側に貫通孔12の中心がくるように、当該貫通孔12は頭部3に対して形成されている。したがって、頭部3の上面6から貫通孔12の上端までの上下厚みは、頭部3の下面7から貫通孔12の下端までの上下厚みに比して薄いものとなっている。
【0019】
貫通孔12の上側に位置する金属の厚みを薄くする、言い換えれば、貫通孔12を頭部3の上下方向で、上方に偏心した状態で設けることで、後述するカラビナ30への取り付け・取り外しが非常に容易なものとなる。以降、貫通孔12の上端に位置する薄肉の部分を「架橋部13」と呼ぶこともある。
カラビナ30への取り付けや取り外しを容易にするために、貫通孔12の周縁(左右側面5における貫通孔12の入口と出口)は面取り部14がされており、貫通孔12の左右端面は「すり鉢状」に窪んているものとなっている。
図2などから明らかなように、この面取り部14の大きさは、貫通孔12の直径と同等〜1/4程度の拡がりをもって形成されており、通常の機械部品における面取りの大きさよりは非常に大きな(広い)ものとなっている。なお、この面取り部14は、貫通孔12の上側の前後方向の拡がり寸法L1が、貫通孔12の下側の拡がり寸法L2よりも大きくなっており、面取り部14の全体は上方拡がり状となっている。このような面取り部14の面により、後述するカラビナ30の本体リング35(リング体自体)が滑るように案内されて貫通孔12内に入ったり貫通孔12から出たりすることが可能となり、カラビナ30へのハンマー1の着脱が非常にスムーズに行えるようになる。
なお、架橋部13は、上方から見ると、その中央部分が前後に比して細く湾曲状に括れており、さらに、架橋部13の左右両側における上面6と面取り部14との境界部分に、第2の面取り部15が形成されている。そのため、カラビナ30の本体リング35が、架橋部13の前後方向非中央部に接したとしても、自然に、架橋部13の前後方向中央部に移動するように頭部3が動き、ハンマー1がカラビナ30に容易に掛下するようになる。
【0020】
また、貫通孔12は、頭部3の後方側に偏った位置で形成されるものとなっているため、頭部3の前部と後部とでは、その重さが異なるものとなる。したがって、
図3に示すように、このハンマー1をカラビナ30に取り付けた場合、頭部3の前方が下方へさがり、反対に柄2の下端部(切り止め)が後方斜め下を向くような形態で、カラビナ30にぶら下がることとなる。このため、使用者Mはの手(
図3では右手)の位置に近づいた状態で柄2が配備されることになるため、ハンマー1と取り上げる際に非常に扱いやすいものとなっている。
【0021】
ところで、貫通孔12が頭部3の後方側に形成され、後方側に架橋部13が存在して、この架橋部13は強度的にやや弱い部分となるため、前側の打撃面11Fをハンマー1の主たる打撃面とすることが好ましい。とはいえ、後側の打撃面11Bでも対象物を打撃することは可能であるため、後側の打撃面11を従たる打撃面と考えることができる。
以上述べた貫通孔12は、頭部3から張り出すように設けられたものではなく、頭部3自体に形成されたものとなっている。それ故、貫通孔12が他の突起物に不用意に引っかかったり、ハンマーによる打撃時に張り出した状態の貫通孔が邪魔になるといった不都合を回避できる。
【0022】
さて、このハンマー1が取り付けられるカラビナ30について説明する。
カラビナ30とは、そもそもは登山用途を目的として開発された金属リングであり、現在では多分野で使用されるものである。この金属リングは、開閉できる部品(ゲートバー31)を有し、ロープ、ハーケン、クライミングチョックなどを素早く確実に繋ぐことが可能となっている。
【0023】
現在では、カラビナ30は登山の用途だけではなく様々な場面で使用される。例えば、キーをカバンなどに取り付けるために使用されたり、本実施形態のように、ハンマー1などの工具を使用者Mの腰に取り付けるために用いられる。
図3に示すように、腰ベルトに装着されるカラビナ30は、当該カラビナ30を設置する面(使用者Mの腰など)に対面するように設けられた上下方向に長いベルト挿通板32を有している。このベルト挿通板32には、上下方向を向くスリット孔33が形成されており、このスリット孔33に使用者Mの腰ベルト34が挿通されることで、ベルト挿通板32が使用者Mの腰に固定状態となる。
【0024】
ベルト挿通板32の表面(使用者Mの腰に対面する面とは反対側)には、一方に開口部を有する略C型形状に成形された本体リング35(リング体自体)が取り付けられている。具体的には、本体リング35の開口部とは対面する部位が、ベルト挿通板32の表面に固着されるものとなっている。本体リング35の開口部には、バネの付勢力に抗して内側へ押し込み可能とされたゲートバー31が設けられている。
【0025】
ゲートバー31の上端と本体リング35の開口部の上端とは、水平方向を向く軸心回りに回動自在となっている。また、ゲートバー31は、本体リング35の開口部の長さよりやや長めに形成されており、ゲートバー31の下端は、バネの付勢力により、状態では本体リング35の開口部の下端の内側から当接するようになっている。
言い換えれば、カラビナ30は、略C型の本体リング35に、ゲートバー31により開閉される開口部を有し、ゲートバー31は、その下端部が本体リング35の下端内側に当接して閉じるようになっていて、ゲートバー31は図示しないバネによって開口部を閉じる方向へ付勢されている。
【0026】
このような構成のゲートバー31を、バネの付勢力に抗して内側(本体リング35の内部)へ押し込むことで、ゲートバー31の下端と本体リング35の開口部の下端との間に空隙ができ、この空隙を通して、締結対象物を押し入れることが可能となる。
本実施形態の場合、ゲートバー31の下端と本体リング35の開口部の下端との間に空隙を介して、本体リング35の開口部の下端に、ハンマー1に形成された貫通孔12を通すことで、カラビナ30にハンマー1を取り付け、ハンマー1を使用者Mの腰部に吊り下げるようにしている。
【0027】
カラビナ30にハンマー1を取り付けた状態は、
図3に示す如くであり、ハンマー1の頭部3の前方が下方へさがり、反対に柄2の端部が後方斜めを向くような形態で、カラビナ30にぶら下がることとなる。このため、使用者Mはの手(
図3では右手)の位置に近づいた状態で柄2が配備されることとなるため、ハンマー1を取り上げる際に非常に扱いやすいものとなっている。
【0028】
次に、このハンマー1をカラビナ30に着脱する態様を説明する。
まず、カラビナ30のベルト挿通板32に腰ベルト34が挿通されており、この腰ベルト34を使用者Mが装着する。
図4の(1)に示すように、ハンマー1をカラビナ30に装着させる場合には、柄2のグリップ部4を片手に持ち、貫通孔12の上部の金属部分、すなわち架橋部13によって、ゲートバー31を本体リング35内に押し込むようにし、ゲートバー31の下端側に空隙を形成する。
【0029】
そして、
図4の(2)の如く、本体リング35の下端を貫通孔12内に通すようにして、ハンマー1の頭部3を本体リング35に引っ掛けるようにする。この際、ゲートバー31や本体リング35が面取り部14や第2面取り部15により貫通項12内に案内する。そして、
図4の(2)の状態まで、頭部3を下側に下げると、ゲートバー31はバネの付勢力により、その下端部が本体リング35の下端側に形成されたストッパ部に再び当接して、開口部が閉じるようになる。
【0030】
この状態で手を離すと、
図4の(3)や
図3に示す如く、ハンマー1が使用者Mの側方にぶら下がった状態となる。前述した如く、貫通孔12は、頭部3の後方側に形成されるものとなっているため、頭部3の前部と後部とでは、貫通孔12を支点として重量バランスが異なるものとなる。したがって、
図4の(3)や
図3に示す如く、ハンマー1が吊り下げられた状態では、頭部3の前方が下方へさがり、反対に柄2の端部が後方斜めを向くような形態で、カラビナ30にぶら下がることとなる。
【0031】
この状態では、カラビナ30の開口部は閉状態となっているため、カラビナ30(本体リング35)は輪状となる。それ故、作業中に屈んだ姿勢からある程度の勢いをつけて立ち上がるなどした場合でも、ハンマー1がカラビナ30から外れることはない。従って、ハンマー1が落下するのを完全に防止することができる。
次に、ハンマー1をカラビナ30から外す場合について述べる。
【0032】
図4の(4)に示すように、ハンマー1をカラビナ30から外す場合には、柄2のグリップ部4を片手(右手)で持ち、柄2の切り止め(終端部)を使用者Mの体側から離すようにしつつ略水平になるまで、柄2を起こす。このとき架橋部13とゲートバー31とが側面視(使用者Mの体を横から見た状態)で重なるような位置関係とする。
図4の(5)に示す如く、
図4の(4)の状態を保ったまま、柄2を使用者Mの体の方へ押し込み、貫通孔12の下縁でゲートバー31を本体リング35内に押し込み、開口部をオープンな状態にしつつ、頭部3全体を本体リング35内(C形状の内部)に押し入れるようにする。当然ながら、ハンマー1の頭部3の外径は、C形状の本体リング35の内部の径よりやや小さいものとされている。
【0033】
図4の(6)に示す如く、頭部3全体を本体リング35内に押し入れた状態のまま、柄2の切り止め(終端部)を使用者Mの体側へ近づけるように略垂直になるまで、柄2を倒す。すると、貫通孔12の面取り部14を滑るようにゲートバー31が移動し、貫通孔12からゲートバー31が抜け出るようになり、貫通孔12からゲートバー31が離脱する。その後、架橋部13の左右両側に形成された第二の面取り部15や面取り部14により、ゲートバー31はスムーズに移動し、貫通孔12から抜け出し、カラビナ30とハンマー1の頭部3との係合が解除される。この第二の面取り部15は、架橋部13の左右両側に形成されており、架橋部13の断面視で上方が狭くなるようなハの字形状に形成されている。
【0034】
最後に、
図4の(7)に示す如く、頭部3を前方側に移動させるようにして、C形状の本体リング35から、頭部3を抜き取り、カラビナ30からハンマー1の頭部3を完全に離脱させる。
このように、ハンマー1は腰ベルト34に付けたカラビナ30に対し片手で簡単に着脱することができる。殊に貫通孔12の周縁には面取り部14が形成されているので、使用者Mは、目視確認せずとも、
図4の(1)から(7)の動作を簡単に行うことができるようになる。また、貫通孔12は、ハンマー1の頭部3自体に形成され、架橋部13は頭部3と一体(頭部3の一部)とされているため、頭部3に衝撃が加わっても、カラビナ30から貫通孔12が外れハンマー1が離脱することはなく、落下防止の観点から言っても、非常に安全性の高いハンマー1を提供することができることになる。
【0035】
なお、今回開示された実施形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。例えば、本実施形態では頭部3の前後に打撃面を設けたが、打撃面は前部のみで後部には別の機能を持たせてもよい。特に、今回開示された実施形態において、明示的に開示されていない事項、例えば、使用条件、構成物の寸法、重量、体積などは、当業者が通常実施する範囲を逸脱するものではなく、通常の当業者であれば、容易に想定することが可能な値を採用している。