特開2020-97425(P2020-97425A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2020-97425(P2020-97425A)
(43)【公開日】2020年6月25日
(54)【発明の名称】エアゾール装置
(51)【国際特許分類】
   B65D 83/20 20060101AFI20200529BHJP
【FI】
   B65D83/20
【審査請求】未請求
【請求項の数】1
【出願形態】OL
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2018-235486(P2018-235486)
(22)【出願日】2018年12月17日
(71)【出願人】
【識別番号】000160522
【氏名又は名称】久光製薬株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100128381
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 義憲
(74)【代理人】
【識別番号】100126653
【弁理士】
【氏名又は名称】木元 克輔
(72)【発明者】
【氏名】井海田 拓也
(72)【発明者】
【氏名】望月 さや香
(72)【発明者】
【氏名】木下 寛之
【テーマコード(参考)】
3E014
【Fターム(参考)】
3E014PA01
3E014PB01
3E014PC03
3E014PD01
3E014PE02
3E014PE14
3E014PE15
3E014PF09
(57)【要約】
【課題】マラソン等の競技中に携帯し使用するのに適したエアゾール装置を提供すること。
【解決手段】本発明によるエアゾール装置10は、容器本体12と、容器本体の頂部に結合される一体成形品の噴射装置16と、包装用のシュリンクフィルム42とを備え、噴射装置が、容器本体の頂部から突出するステム14に接続される押ボタン部18と、容器本体の頂部の周縁部に嵌着され、押ボタン部を上下動可能に支持するベース部20と、ベース部の上面から上方に延設され、前記押ボタン部の周囲を部分的に囲む、略U字状の誤操作防止壁部とを備え、略U字状の誤操作防止壁部の後端部がシュリンクフィルムの開封を容易とする鋭利な部分を有し、押ボタン部が、包装されたシュリンクフィルムに接しないように構成されていることを特徴とする。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器本体と、前記容器本体の頂部に結合される一体成形品の噴射装置と、少なくとも前記噴射装置を加熱収縮により包装するシュリンクフィルムとを備えるエアゾール装置であって、
前記噴射装置が、
前記容器本体の頂部から突出するステムに接続され、側面に前記ステムからの液体を噴射する噴射口を有し、押圧面に滑止めが施された押ボタン部と、
前記容器本体の頂部の周縁部に嵌着され、前記押ボタン部を上下動可能に支持するよう前記押ボタン部が連設されたベース部と、
前記ベース部の上面から上方に延設され、前記押ボタン部の周囲を部分的に囲み、中央部に前記押ボタン部の前記噴射口からの噴射液体を外部に放出するための開口部が形成されている、略U字状の誤操作防止壁部と
を備え、
前記略U字状の誤操作防止壁部の後端部が前記シュリンクフィルムの開封を容易とする鋭利な部分を有し、
前記押ボタン部が、包装された前記シュリンクフィルムに接しないように構成されている、エアゾール装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エアゾール装置に関し、特に、エアゾール装置の容器本体に取り付けられる噴射装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的なエアゾール装置は、例えば下記の特許文献1に記載されているように、耐圧性の容器本体を備え、その中に噴射対象たる液体と、圧縮ガスとが封入されている。容器本体内の頂部にはバルブが設けられている。バルブの上部からは、バルブを開閉するためのステムが容器本体の頂部を貫通して延びており、このステムに液体の噴射を操作するための噴射装置としての押ボタンが取り付けられている。このような構成のエアゾール装置を使用する場合、押ボタンを押すと、ステムが押し下げられてバルブが開き、容器本体内の圧縮ガスの圧力によって液体がバルブ、ステムを通って押し上げられ、押ボタンの噴射口から外部に霧状や泡状等となって噴射される。
【0003】
ところで、近年の市民マラソンの隆盛により、一般ランナーの参加が増加の一途を辿っている。これに伴い、競技中に鎮痛消炎剤や冷却剤を使用したいという一般ランナーからの要望が増えており、鎮痛消炎剤や冷却材を内容物としたエアゾール装置の携帯利用が考えられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平10−245084号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、競技中にエアゾール装置を携帯しても邪魔にならず、ランナー自らがエアゾール装置を容易に操作することができるエアゾール装置を提供することにある。
【0006】
この目的を達成するためには、次に示すような様々な解決すべき課題がある。
(1)押ボタンを覆うキャップを不要とすること。
(2)競技中に噴射装置の部品がバラバラにならないようにすること。
(3)マラソン競技では手袋を装着することが多いが、手袋をはめたままでも押ボタンを押すことができること。
(4)汗で濡れた指でも押ボタンを滑らずに押すことができること。
(5)押ボタンを誤って押されることがないようにすること。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を全て解決するために、本願発明者らは鋭意検討した結果、キャップレス構造とすると共に、噴射装置を一体成形により作製することとした。これによって、上記の(1)と(2)の課題を解決することができる。また、手袋をはめたままで押ボタンを押すことができるよう、押ボタンの上面、すなわち押圧面の面積を大きくし、且つ押圧面に凹凸状の滑止めを施すこととした。これにより、上記の(3)と(4)の課題を解決することができる。さらに、キャップレス構造とすることで、押ボタンを誤って押す可能性が高くなるため、押ボタンの周囲を可能な限り大きく囲み、上記(5)の課題を解決することとした。
【0008】
したがって、本発明によるエアゾール装置の噴射装置は、容器本体の頂部から突出するステムに接続され、側面にステムからの液体を噴射する噴射口を有し、押圧面に滑止めが施された押ボタン部と、容器本体の頂部の周縁部に嵌着され、押ボタン部を上下動可能に支持するよう押ボタン部が連設されたベース部と、ベース部の上面から上方に延設され、押ボタン部の周囲を部分的に囲み、中央部に押ボタン部の噴射口からの噴射液体を外部に放出するための開口部が形成されている、略U字状の誤操作防止壁部とを備え、押ボタン部、ベース部及び誤操作防止壁部は合成樹脂により一体成形されている。
【0009】
略U字状の誤操作防止壁部の後端部間は指を挿入して押ボタン部を押すための指挿入口となっている。また、押ボタン部と誤操作防止壁部との連設部分に2本のスリットを設け、押ボタン部の上下動を小さな力で可能とすることが好適である。
【0010】
ところで、通常、熱収縮性を有するフィルム、いわゆるシュリンクフィルムでエアゾール装置全体を覆い、これを加熱収縮させてエアゾール装置を包装することとしている。このシュリンクフィルムを付けたまま競技に参加し、途中でエアゾール装置を使用したい場合もあろうが、その際にシュリンクフィルムを簡単に破ることができるよう、略U字状の誤操作防止壁部の後端部は鋭利な部分を有すること、例えば水平断面形状において先細り形状とし、またその上角部を略直角とすることが好ましい。勿論、この鋭利な部分には、使用者の怪我を防ぐために、丸みや斜面等の適度な面取りを施すことが好ましい。
【0011】
一方、シュリンクフィルムは加熱収縮させると、誤操作防止壁部の後端部間の部分が中心側に凹み、また、上角部間をつなぐ直線の中心からベース部の上縁部までのシュリンクフィルムの部分も中心側に凹み、このために、押ボタン部の一部がシュリンクフィルムに接する場合があることを、本願発明者らは見出した。これは、押ボタン部によりシュリンクフィルムを支えることになり、シュリンクフィルムを破りにくくするという弊害を生じる。また、販売店の展示棚にそのようなエアゾール装置を置いた場合、何者かが、シュリンクフィルムを破ることなく、シュリンクフィルムの上から押ボタン部を操作するおそれもある。そこで、本発明においては、シュリンクフィルムを加熱収縮させた状態において、押ボタン部がシュリンクフィルムに接触しない構成としている。
【発明の効果】
【0012】
上述したような構成においては、上記の(1)〜(5)に掲げる課題を解決することができ、さらに、シュリンクフィルムを容易に開封することができることに加えて、シュリンクフィルムを破らずに押ボタン部を操作するという行為をも防止できるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明によるエアゾール装置の一実施形態を示す正面図であり、シュリンクフィルムによる包装前の状態を示す図である。
図2図1のエアゾール装置を示す背面図である。
図3図1のエアゾール装置を示す平面図である。
図4図1のエアゾール装置を示す正面側からの斜視図である。
図5図1のエアゾール装置を示す背面側からの斜視図である。
図6図1のA−A線に沿っての断面図であり、容器本体及びシュリンクフィルムを二点鎖線で示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照しながら、本発明によるエアゾール装置の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、図中、同一又は相当部分には同一符号を付す。また、本明細書及び特許請求の範囲における「上下」については、エアゾール装置を図1に示すように水平面に置いた状態に基づき、「前後」については、噴射液の噴射方向を前方とした。
【0015】
図1図5は、本発明によるエアゾール装置の一実施形態を示す図である。図示のエアゾール装置10は、耐圧性を有する円筒形の容器本体12を備えている。容器本体12の外径及び高さについては特に限定されるものではないが、マラソン競技中に携帯し使用する場合には、手の中に納まる程度の寸法、例えば外径が3cm〜4.5cm、高さが5.5cm〜18cm程度のものが好ましい。容器本体12は従来から知られているものであり、容器本体12内には、鎮痛消炎剤や冷却材等の液体と、圧縮ガスが封入されている。図示しないが、容器本体12内の頂部にはバルブが設けられており、バルブの下部からはディップチューブが容器本体の底部まで延びている。また、バルブの上部からはステム14が容器本体12の頂部中央を貫通して上方に延びている(図6参照)。このステム14を押し下げると、バルブが開放され、容器本体12内の圧縮ガスの圧力によって液体がディップチューブからバルブ、そしてステム14を通って外部に放出されるようになっている。
【0016】
容器本体12の頂部には噴射装置16が結合されている。噴射装置16は一体成形品であり、例えば合成樹脂から射出成形等によって製造されるものである。図6に明示されるように、噴射装置16は、容器本体12から突出するステム14に接続する押ボタン部18と、押ボタン部18を支持し容器本体12の頂部の周縁部に嵌着されるベース部20とを有している。
【0017】
押ボタン部18は、その下面にステム14の上端が嵌合される接続穴22を有している。また、押ボタン部18には、接続穴22から上方に延びる第1の流路24と、この第1の流路24から略水平方向に延びる第2の流路26とが形成されており、第2の流路26の先端は押ボタン部18の側面に設けられた噴射口28に通じている。したがって、押ボタン部18を押すと、ステム14が下がってバルブが開き、容器本体12内の液体はステムから第1の流路24、第2の流路26を通って噴射口28から霧状又は泡状等となって外部に噴射される。なお、噴射口28は、噴射方向を安定させるため、また押ボタン部18を強く押した場合にも噴射範囲が過度に広がらないよう、押ボタン部18の側面から外方に突出していることが、競技中の使用を考慮すると、好ましい。
【0018】
押ボタン部18の復帰動作はバルブ内のばね(図示せず)によってステム14を介して行われるが、押ボタン部18が外れることを防止するために、前述した通り噴射装置16は一体成形品であるので、ベース部20から分離して脱落することはない。これは、競技中に押ボタン部18が外れてエアゾール装置10が使用できなくなるという不具合を防止するものである。具体的には、押ボタン部18の前面部分(噴射口28を中央に有する押ボタン部18の側面の一部分)がベース部20に連設されている。
【0019】
ベース部20は円筒形であり、その下端縁の内周面の全周にわたり環状の溝30が形成されており、この溝30に容器本体12の頂部周縁部が係合されてベース部20と容器本体12が結合されるようになっている。ベース部20の外径及び高さは、容器本体12と同様に特に限定されるものではないが、競技中の使用を考慮した場合、容器本体12とベース部20との間に段差が形成されないよう容器本体12の外径と同等とし、高さについては可能な限り小さくすることが好ましい。
【0020】
このようなベース部20の上面に、前述したように押ボタン部18の前面部分が連設されている。押ボタン部18の前面部分とベース部20との連設箇所の両端からは、図1から分かるように、ベース部20の上面の外周に向けて2本のスリット32が設けられている。スリット32の間に位置するベース部20の領域は可撓性を有する片持ち梁として機能し、押ボタン部18を上下動可能に支持することができる。また、図示実施形態のように、両スリット32を、両者間の間隔が外周方向に向けて広がるよう放射状に形成することで、撓み易くする(押ボタン部18を押す際の抵抗を小さくする)と共に、ベース部20による押ボタン部18の支持強度を上げる効果を奏することができる。
【0021】
ベース部20の上面からは、誤操作防止壁部34が延設されている。この誤操作防止壁部34は、押ボタン部18を囲み、押ボタン部18の上面、すなわち押圧面に指やその他の物体が容易に触れてそこを押すことがないようにするためのものである。この目的で、誤操作防止壁部34の上面の、押ボタン部18の押圧面からの高さH(図6参照)は、1cm以上であることが好ましい。この寸法であれば、指を無意識に誤操作防止壁部34内に差し入れたとしても、誤操作防止壁部34の内壁面に触れる可能性が高くなるため、押ボタン部18を誤って押す事態を回避することができる。
【0022】
その一方で、押ボタン部18を指で操作するために、誤操作防止壁部34は馬蹄形ないしは略U字状とし、その後端部36間に指挿入口38を形成することが必要となる。なお、誤操作防止壁部34の外形については種々考えられるが、競技中の携帯及び使用を考慮して、ベース部20との間に段差が形成されないよう、ベース部20と同じ外径の、略U字状の一種である部分円筒形とすることが好ましい。また、誤操作防止壁部34の前側の領域は、押ボタン部18の噴射口28から液体が外方に噴射できるよう、放射状の開口部40が設けられているが、その上部は、押ボタン部18を誤って押すことがないよう閉じられている。このような構成の誤操作防止壁部34を設けることによって、本発明によるエアゾール装置10のキャップレス化を図ることも可能となっている。これは、競技中にキャップを外す手間をなくし、キャップを紛失したりゴミとして落としたりすることもなくなり、有効である。
【0023】
本発明によるエアゾール装置10は、図6の二点鎖線で示すように、シュリンクフィルム42によって包装されたものである。このシュリンクフィルム42は、ある程度の伸び性を有しているため、開封が困難となる場合もある。そこで、開封の起点を設けるべく、誤操作防止壁部34の後端部36には鋭利な部分が形成され、図示実施形態では、後端部36の上部の角部(上角部)44が略直角、すなわち直角又は直角に近い角度とされている。また、上角部44にて裂け始めたシュリンクフィルム42が連続して破れていくよう、誤操作防止壁部34の各後端部36の内壁面と外壁面との間の水平面におけるなす角度を鋭角とすることが好適である。図示実施形態では、誤操作防止壁部34の各後端部36の内壁面は後方ほど外方に向けられ、その水平面の断面形状が先細り形状とされている。なお、誤操作防止壁部34の後端部36の上角部や縁部にて使用者が怪我をすることがないよう、その部分には適度な面取りが施されるべきである。
【0024】
誤操作防止壁部34の各後端部36を先細り形状とすることによって、指を挿入するための指挿入口38の横幅が大きくなるという効果も奏する。その結果、押ボタン部18の押圧面を、図3に示すように略台形とすることが可能となり、広い面積を確保することが可能となる。これは、競技中のエアゾール装置10の使用を容易にし、特に手袋を装着した者の使用をも可能とするものである。一方、押圧面が広くなるということから、指を遮るものがなくなるため、指が押圧面上を滑り易くなるということも考えられる。そこで、押ボタン部18の押圧面には滑止め46が設けられるとよい。滑止め46としては種々の形態が考えられ、例えばエンボス加工等による凹凸模様でもよいし、単に全体を指の腹を受けるよう凹ました形状としたものでもよい。
【0025】
ここで、図6を参照する。押ボタン部18の最後部が破線で示す位置にあると仮定する。シュリンクフィルム42は、包装時の加熱により収縮し、誤操作防止壁部34の後端部36間の部分が噴射装置16の中心軸線側に凹み、また、上角部44間をつなぐ直線の中心からベース部20の上縁の再後部までのシュリンクフィルム42の部分も中心軸線側に凹んでいる。このために、シュリンクフィルム42の一部が押ボタン部に接することとなる。この状態では、シュリンクフィルム42は押ボタン部18により支えられることになり、これを押し破ることが困難であることを、本願発明者らは見出した。また、シュリンクフィルム42が破れなくとも、シュリンクフィルム42が一定の伸び性を有しているため、シュリンクフィルム42を破ることなく、押ボタン部18をシュリンクフィルム42の上から押すことができることも見出した。このことは、販売店で陳列されたエアゾール装置10の押ボタン部18をいたずら等で押すことを許してしまうことになるが、シュリンクフィルム42が破れないため、シュリンクフィルム42の持ついたずら防止機能をも損なうことになる。
【0026】
そこで、本発明によれば、加熱収縮後のシュリンクフィルム42に接しないよう、押ボタン部18の後縁部を切り詰め、前後方向の長さを小さくすることとしている。図示実施形態では、押ボタン部18は水平断面形状が略台形であり、その後縁部は、誤操作防止壁部34の上端部よりも前方の位置にあり、直線状とされている。押ボタン部18の形状は種々考えられるが、押ボタン部18の後縁を直線状とした略台形形状とするのが、押圧面の面積を大きくするためには有効である。なお、シュリンクフィルム42は、材料や厚さ、製造方法の違い等により収縮率が異なるため、試作品や製品を実際に用意した後でなければ、押ボタン部18の寸法を一律に定めることは困難であるが、押ボタン部18の押圧面を可能な限り大きくしたいという要請からは、押ボタン部18が収縮・包装後のシュリンクフィルム42から1mm程度離間されるような寸法とすることが最も有効である。
【0027】
以上述べたような構成のエアゾール装置10においては、押ボタン部18を覆うキャップが不要となり、噴射装置16が一体成形品であるので、噴射装置16の部品がバラバラとなる不具合が解消される。また、押ボタン部18が誤って押されることを防止できる一方、その押動操作は容易であり、マラソン競技中に手袋をはめたままでも押ボタン部18を押すことが可能となる。さらに、包装用のシュリンクフィルム42の開封を容易にすると共に、いたずら防止機能を損なわず、さらには押ボタン部18の押圧面の面積を大きく確保できるので操作性も損なわない、という数多くの効果を奏することができる。
【0028】
なお、本発明によるエアゾール装置10は特にマラソン競技中に携帯し使用する場合に適したものであるが、他の用途、例えばゴルフその他のスポーツの競技、練習中にも用いることができる。また、内容物の液体の種類に応じた通常の使用目的でも使用することができる。さらに、エアゾール装置10全体をシュリンクフィルム42で包装する場合に限らず、噴射装置16のみを覆うよう包装した場合にも、本発明は適用されるものである。
【符号の説明】
【0029】
10…エアゾール装置、12…容器本体、14…ステム、16…噴射装置、18…押ボタン部、20…ベース部、22…接続穴、24…第1の流路、26…第2の流路、28…噴射口、30…溝、32…スリット、34…誤操作防止壁部、36…後端部、38…指挿入口、40…開口部、42…シュリンクフィルム、44…上角部。

図1
図2
図3
図4
図5
図6