【課題】アルカリ金属の水酸化物から水素化ナトリウムを生成することができ、多量の水素化ナトリウムを短時間に効率よく製造することができる水素化ナトリウム製造システムを提供する。
【解決手段】水素化ナトリウム製造システム10のチャンバー11aでは、流入管路14から供給された窒素ガスの雰囲気において、下部加熱スペース21が加熱手段によって所定温度に加熱され、下部加熱スペース21において溶融したアルカリ金属の水酸化物の分解ベーパーが下部加熱スペース21から中間冷却スペース22へ上昇し、分解ベーパーが冷却プレート13によって冷却されつつ還元触媒によって水素化ナトリウム(NaH)に還元され、還元された水素化ナトリウムが冷却プレート13に付着して堆積固化し、冷却ガスと還元スペース18において生成された水素ガス(H
オーステナイト系ステンレス鋼から作られて所定容積の還元スペースを有するチャンバーと、前記チャンバーを部分的に加熱する加熱手段と、前記チャンバーの還元スペースに収容された冷却手段と、前記加熱手段によって加熱された還元スペースを所定の温度に冷却する冷却ガスを該還元スペースに流入させる流入管路と、前記チャンバーの還元スペースから前記冷却ガス及び水素ガス(H2)を流出させる流出管路とを備え、
前記チャンバーの還元スペースが、所定量のアルカリ金属の水酸化物と前記オーステナイト系ステンレス鋼から作られた還元触媒とが収容されるとともに前記加熱手段によって加熱される所定容積の下部加熱スペースと、前記冷却手段が配置されるとともに前記流入管路のガス供給口が位置する所定容積の中間冷却スペースと、前記流出管路のガス排出口が位置する所定容積の上部スペースとから形成され、
前記チャンバーでは、前記流入管路から供給された前記冷却ガスの雰囲気において、前記下部加熱スペースが前記加熱手段によって所定温度に加熱され、前記下部加熱スペースにおいて溶融した前記アルカリ金属の水酸化物の分解ベーパーが前記下部加熱スペースから前記中間冷却スペースへ上昇し、該分解ベーパーが前記冷却手段によって冷却されつつ前記還元触媒によって水素化ナトリウム(NaH)に還元され、前記還元された水素化ナトリウムが前記冷却手段に付着して堆積固化し、前記冷却ガスと前記還元スペースにおいて生成された水素ガス(H2)とが前記排出口から流出管路に流入することを特徴とする水素化ナトリウム製造システム。
前記冷却手段が、前記オーステナイト系ステンレス鋼から作られて前記中間冷却スペースに挿脱可能に配置された上下方向へ長い所定面積の冷却プレートであり、前記冷却プレートには、その厚み方向へ貫通する所定面積の貫通孔が穿孔されている請求項1に記載の水素化ナトリウム製造システム。
前記冷却プレートには、複数の前記貫通孔が穿孔され、それら貫通孔が、前記冷却プレートの上下方向と横方向とのうちの少なくとも一方へ並んでいる請求項2に記載の水素化ナトリウム製造システム。
前記流入管路のガス供給口が、前記冷却プレートの上下方向中央部と上下方向下部との間であって該冷却プレートに穿孔された前記貫通孔に対向して配置されている請求項2又は請求項3に記載の水素化ナトリウム製造システム。
前記流入管路の前記冷却プレートに対向する対向部分には、上下方向へ並ぶ複数のガス供給口が形成され、前記流入管路のそれらガス供給口が、前記冷却プレートに向かって開口している請求項2又は請求項3に記載の水素化ナトリウム製造システム。
複数枚の前記冷却プレートが、前記中間冷却スペースの中心から径方向外方へ向かって放射状に並んでいる請求項2ないし請求項5いずれかに記載の水素化ナトリウム製造システム。
前記流入管路が、複数本の分岐管路に分岐し、それら分岐管路の各ガス供給口が、前記中間冷却スペースの周り方向へ並ぶ各冷却プレートの間に位置している請求項6に記載の水素化ナトリウム製造システム。
前記還元触媒が、前記オーステナイト系ステンレス鋼を微粉砕した粒径が10〜500μmの粉状還元触媒、前記オーステナイト系ステンレス鋼を粒状に成形した粒状還元触媒、前記オーステナイト系ステンレス鋼を板状に成形した板状還元触媒、前記オーステナイト系ステンレス鋼を線状に成形した線状還元触媒のうちの少なくとも1つである請求項1ないし請求項7いずれかに記載の水素化ナトリウム製造システム。
前記加熱手段によって加熱された前記下部加熱スペースの温度が、450〜600℃の範囲にあり、前記中間冷却スペースの温度が、200〜250℃の範囲にある請求項1ないし請求項8いずれかに記載の水素化ナトリウム製造システム。
前記アルカリ金属の水酸化物が、水酸化ナトリウム(NaOH)と水酸化カリウム(KOH)とのうちの少なくとも一方である請求項1ないし請求項10いずれかに記載の水素化ナトリウム製造システム。
前記オーステナイト系ステンレス鋼が、SUS304とSUS316Lとのうちの少なくとも一方である請求項1ないし請求項12いずれかに記載の水素化ナトリウム製造システム。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
金属ナトリウムと水素とを反応させて水素化ナトリウムを製造する方法では、水酸化ナトリウムから金属ナトリウムを製造する反応と、金属ナトリウム及び水素を反応させる2段階の反応が必要となるため、多量の水素化ナトリウムを短時間に効率よく製造することができない。
【0006】
又、前記特許文献1に開示の水素化ナトリウムの製造方法は、水素化ナトリウムとともに炭素化合物由来の炭酸ナトリウムが反応生成物として生成されるため、反応生成物中から炭酸ナトリウムを除去する必要があり、その分の手間と時間とを要し、多量の水素化ナトリウムを短時間に効率よく製造することができない。
【0007】
本発明の目的は、アルカリ金属の水酸化物から水素化ナトリウムを固体の状態で生成することができ、多量の水素化ナトリウムを短時間に効率よく製造することができる水素化ナトリウム製造システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決するための本発明の水素化ナトリウム製造システムは、オーステナイト系ステンレス鋼から作られて所定容積の還元スペースを有するチャンバーと、チャンバーを部分的に加熱する加熱手段と、チャンバーの還元スペースに収容された冷却手段と、加熱手段によって加熱された還元スペースを所定の温度に冷却する冷却ガスを還元スペースに流入させる流入管路と、チャンバーの還元スペースから冷却ガス及び水素ガス(H
2)を流出させる流出管路とを備え、チャンバーの還元スペースが、所定量のアルカリ金属の水酸化物とオーステナイト系ステンレス鋼から作られた還元触媒とが収容されるとともに加熱手段によって加熱される所定容積の下部加熱スペースと、冷却手段が配置されるとともに流入管路のガス供給口が位置する所定容積の中間冷却スペースと、流出管路のガス排出口が位置する所定容積の上部スペースとから形成され、チャンバーでは、流入管路から供給された冷却ガスの雰囲気において、下部加熱スペースが加熱手段によって所定温度に加熱され、下部加熱スペースにおいて溶融したアルカリ金属の水酸化物の分解ベーパーが下部加熱スペースから中間冷却スペースへ上昇し、分解ベーパーが冷却手段によって冷却されつつ還元触媒によって水素化ナトリウム(NaH)に還元され、還元された水素化ナトリウムが冷却手段に付着して堆積固化し、冷却ガスと還元スペースにおいて生成された水素ガス(H
2)とが排出口から流出管路に流入することを特徴とする。
【0009】
本発明の水素化ナトリウム製造システムの一例としては、冷却手段が、オーステナイト系ステンレス鋼から作られて中間冷却スペースに挿脱可能に配置された上下方向へ長い所定面積の冷却プレートであり、冷却プレートには、その厚み方向へ貫通する所定面積の貫通孔が穿孔されている。
【0010】
本発明の水素化ナトリウム製造システムの他の一例として、冷却プレートには、複数の貫通孔が穿孔され、それら貫通孔が、冷却プレートの上下方向と横方向とのうちの少なくとも一方へ並んでいる。
【0011】
本発明の水素化ナトリウム製造システムの他の一例としては、流入管路のガス供給口が、冷却プレートの上下方向中央部と上下方向下部との間であって冷却プレートに穿孔された貫通孔に対向して配置されている。
【0012】
本発明の水素化ナトリウム製造システムの他の一例として、流入管路の冷却プレートに対向する対向部分には、上下方向へ並ぶ複数のガス供給口が形成され、流入管路のそれらガス供給口が、冷却プレートに向かって開口している。
【0013】
本発明の水素化ナトリウム製造システムの他の一例としては、複数枚の冷却プレートが、中間冷却スペースの中心から径方向外方へ向かって放射状に並んでいる。
【0014】
本発明の水素化ナトリウム製造システムの他の一例としては、流入管路が、複数本の分岐管路に分岐し、それら分岐管路の各ガス供給口が、中間冷却スペースの周り方向へ並ぶ各冷却プレートの間に位置している。
【0015】
本発明の水素化ナトリウム製造システムの他の一例としては、還元触媒が、オーステナイト系ステンレス鋼を微粉砕した粒径が10〜500μmの粉状還元触媒、オーステナイト系ステンレス鋼を粒状に成形した粒状還元触媒、オーステナイト系ステンレス鋼を板状に成形した板状還元触媒、オーステナイト系ステンレス鋼を線状に成形した線状還元触媒のうちの少なくとも1つである。
【0016】
本発明の水素化ナトリウム製造システムの他の一例としては、加熱手段によって加熱された下部加熱スペースの温度が、450〜600℃の範囲にあり、中間冷却スペースの温度が、200〜250℃の範囲にある。
【0017】
本発明の水素化ナトリウム製造システムの他の一例としては、冷却ガスのチャンバーへの流入量が、10〜500cc/minの範囲にある。
【0018】
本発明の水素化ナトリウム製造システムの他の一例としては、アルカリ金属の水酸化物が、水酸化ナトリウム(NaOH)と水酸化カリウム(KOH)とのうちの少なくとも一方である。
【0019】
本発明の水素化ナトリウム製造システムの他の一例としては、冷却ガスが、窒素ガス(N
2)である。
【0020】
本発明の水素化ナトリウム製造システムの他の一例としては、オーステナイト系ステンレス鋼が、SUS304とSUS316Lとのうちの少なくとも一方である。
【発明の効果】
【0021】
本発明に係る水素化ナトリウム製造システムによれば、所定量のアルカリ金属の水酸化物とオーステナイト系ステンレス鋼から作られた還元触媒とをチャンバーの下部加熱スペースに収容し、流入管路から供給された冷却ガスの雰囲気において、下部加熱スペースを加熱手段によって所定温度に加熱し、下部加熱スペースから中間冷却スペースへ上昇したアルカリ金属の水酸化物の分解ベーパーが冷却手段によって冷却されつつ還元触媒によって水素化ナトリウム(NaH)に還元され、その水素化ナトリウムを冷却手段に付着させて堆積固化させることで水素化ナトリウムを生成するから、所定の還元触媒を利用するだけで水素化ナトリウムを固体の状態で生成することができ、多量の水素化ナトリウムを短時間に効率よく製造することができる。水素化ナトリウム製造システムは、還元スペースにおいて水素ガス(H
2)が生成されるから、水素化ナトリウムの生成と同時に、アルカリ金属の水酸化物から水素を作ることができる。
【0022】
冷却手段がオーステナイト系ステンレス鋼から作られて中間冷却スペースに挿脱可能に配置された上下方向へ長い所定面積の冷却プレートであり、冷却プレートの厚み方向へ貫通する所定面積の貫通孔が冷却プレートに穿孔されている水素化ナトリウム製造システムは、オーステナイト系ステンレス鋼から作られた上下方向へ延びる所定面積の冷却プレートを利用し、還元された水素化ナトリウムをその冷却プレートに付着させて堆積固化させることで、多量の水素化ナトリウムを固体の状態で生成することができ、短時間に多量の水素化ナトリウムを製造することができる。水素化ナトリウム製造システムは、冷却プレートの厚み方向へ貫通する所定面積の貫通孔がそれら冷却プレートに穿孔されているから、流入管路から供給された冷却ガスがそれら貫通孔を通って中間冷却スペースに満遍なく分散し、冷却ガスによってそれら冷却プレートを確実に冷却することができ、それら冷却プレートに水素化ナトリウムを確実に堆積固化させることができる。
【0023】
複数の貫通孔が冷却プレートに穿孔され、それら貫通孔が冷却プレートの上下方向と横方向とのうちの少なくとも一方へ並んでいる水素化ナトリウム製造システムは、冷却プレートの厚み方向へ貫通する所定面積の貫通孔が冷却プレートの上下方向と横方向とのうちの少なくとも一方へ並んでいるから、流入管路から供給された冷却ガスが冷却プレートのそれら貫通孔を通って中間冷却スペースに満遍なく分散し、冷却ガスによって中間冷却スペース(冷却プレート)を確実に冷却することができ、冷却プレートに水素化ナトリウムを確実に堆積固化させることができる。
【0024】
流入管路のガス供給口が冷却プレートの上下方向中央部と上下方向下部との間であって冷却プレートに穿孔された貫通孔に対向して配置されている水素化ナトリウム製造システムは、流入管路のガス供給口を冷却プレートの上下方向中央であって冷却プレートに穿孔された貫通孔に対向配置することで、流入管路のガス供給口から供給された冷却ガスが冷却プレートの貫通孔を通って中間冷却スペースに満遍なく分散し、冷却ガスによって中間冷却スペース(冷却プレート)を確実に冷却することができ、冷却プレートに水素化ナトリウムを確実に堆積固化させることができる。
【0025】
上下方向へ並ぶ複数のガス供給口が流入管路の冷却プレートに対向する対向部分に形成され、流入管路のそれらガス供給口が冷却プレートに向かって開口している水素化ナトリウム製造システムは、上下方向へ並ぶ複数のガス供給口を流入管路の冷却プレートに対向する対向部分に形成し、それらガス供給口を冷却プレートに向かって開口させることで、流入管路のガス供給口から供給された冷却ガスが冷却プレートに向かって供給されるとともに、冷却ガスが冷却プレートの貫通孔を通って中間冷却スペースに満遍なく分散し、冷却ガスによって中間冷却スペース(冷却プレート)を確実に冷却することができ、冷却プレートに水素化ナトリウムを確実に堆積固化させることができる。
【0026】
複数枚の冷却プレートが中間冷却スペースの中心から径方向外方へ向かって放射状に並んでいる水素化ナトリウム製造システムは、中間冷却スペースの中心から径方向外方へ向かって延びるとともに中間冷却スペースの周り方向へ放射状に並ぶ複数枚の冷却プレートを利用し、還元触媒によって還元された水素化ナトリウムをそれら冷却プレートに付着させて堆積固化させることで、多量の水素化ナトリウムを固体の状態で生成することができ、短時間に多量の水素化ナトリウムを製造することができる。
【0027】
流入管路が複数本の分岐管路に分岐し、それら分岐管路の各ガス供給口が中間冷却スペースの周り方向へ並ぶ各冷却プレートの間に位置している水素化ナトリウム製造システムは、複数本の分岐管路の各ガス供給口から各冷却プレートの間に冷却ガスを流入させることで、冷却ガスがそれら冷却プレートの間に満遍なく流入し、それら分岐管路の各ガス供給口から流入した冷却ガスによって中間冷却スペース(それら冷却プレート)を確実に冷却することができ、それら冷却プレートに水素化ナトリウムを確実に堆積固化させることができる。
【0028】
還元触媒がオーステナイト系ステンレス鋼を微粉砕した粒径が10〜500μmの粉状還元触媒、オーステナイト系ステンレス鋼を粒状に成形した粒状還元触媒、オーステナイト系ステンレス鋼を板状に成形した板状還元触媒、オーステナイト系ステンレス鋼を線状に成形した線状還元触媒のうちの少なくとも1つである水素化ナトリウム製造システムは、オーステナイト系ステンレス鋼を微粉砕した粒径が10〜500μmの粉状還元触媒、オーステナイト系ステンレス鋼を粒状に成形した粒状還元触媒、オーステナイト系ステンレス鋼を板状に成形した板状還元触媒、オーステナイト系ステンレス鋼を線状に成形した線状還元触媒のうちの少なくとも1つを利用することで、オーステナイト系ステンレス鋼から作られた粉状還元触媒や粒状還元触媒、板状還元触媒、線状還元触媒の優れた触媒活性(触媒作用)を利用することができ、それら還元触媒の触媒作用によってアルカリ金属の水酸化物の分解ベーパーを水素化ナトリウム(NaH)に確実に還元することができる。水素化ナトリウム製造システムは、オーステナイト系ステンレス鋼から作られたそれら還元触媒の優れた触媒作用によってアルカリ金属の水酸化物の分解ベーパーを水素化ナトリウム(NaH)に確実に還元することができるから、多量の水素化ナトリウムを短時間に効率よく製造することができるとともに、水素化ナトリウムの生成と同時に、アルカリ金属の水酸化物から水素を作ることができる。
【0029】
加熱手段によって加熱された下部加熱スペースの温度が450〜600℃の範囲にあり、中間冷却スペースの温度が200〜250℃の範囲にある水素化ナトリウム製造システムは、下部加熱スペースの温度を前記範囲にすることで、下部加熱スペースにおいてアルカリ金属の水酸化物を溶融させてアルカリ金属の水酸化物の分解ベーパーを確実に作ることができるとともに、還元触媒の触媒活性を向上させることができる。水素化ナトリウム製造システムは、還元触媒の触媒作用を最大限に利用することができ、還元触媒の触媒作用によってアルカリ金属の水酸化物の分解ベーパーを水素化ナトリウム(NaH)に確実に還元することができるとともに、中間冷却スペースの温度を前記範囲にすることで、アルカリ金属の水酸化物から還元された水素化ナトリウムを冷却手段に確実に堆積固化させることができ、多量の水素化ナトリウムを短時間に効率よく製造することができるとともに、水素化ナトリウムの生成と同時に、アルカリ金属の水酸化物から水素を作ることができる。
【0030】
冷却ガスのチャンバーへの流入量が10〜500cc/minの範囲にある水素化ナトリウム製造システムは、冷却ガスのチャンバーへの流入量を前記範囲にすることで、流入管路から供給された冷却ガスによって中間冷却スペースを所定温度に確実に冷却することができ、アルカリ金属の水酸化物から還元された水素化ナトリウムを冷却手段に確実に堆積固化させることができ、多量の水素化ナトリウムを短時間に効率よく製造することができる。
【0031】
アルカリ金属の水酸化物が水酸化ナトリウム(NaOH)と水酸化カリウム(KOH)とのうちの少なくとも一方である水素化ナトリウム製造システムは、水酸化ナトリウムと水酸化カリウムとのうちの少なくとも一方とオーステナイト系ステンレス鋼から作られた還元触媒とを使用し、水酸化ナトリウムと水酸化カリウムとのうちの少なくとも一方とオーステナイト系ステンレス鋼から作られた還元触媒とをチャンバーの下部加熱スペースに収容し、流入管路から供給された冷却ガスの雰囲気において、下部加熱スペースを加熱手段によって所定温度に加熱し、下部加熱スペースから中間冷却スペースへ上昇した水酸化ナトリウムの分解ベーパーや水酸化カリウムの分解ベーパーが冷却手段によって冷却されつつ還元触媒によって水素化ナトリウム(NaH)に還元され、その水素化ナトリウムを冷却手段に付着させて堆積固化させることで水素化ナトリウムを生成するから、所定の還元触媒を利用するだけで水素化ナトリウムを固体の状態で生成することができ、水酸化ナトリウムや水酸化カリウムから多量の水素化ナトリウムを短時間に効率よく製造することができる。水素化ナトリウム製造システムは、チャンバーの還元スペースにおいて水素ガス(H
2)が生成されるから、水素化ナトリウムの生成と同時に、水酸化ナトリウムや水酸化カリウムから水素を作ることができる。
【0032】
冷却ガスが窒素ガス(N
2)である水素化ナトリウム製造システムは、冷却ガスとして窒素ガス(N
2)を利用することで、窒素ガスによってチャンバーの中間冷却スペースを所定温度に確実に冷却することができ、アルカリ金属の水酸化物(水酸化ナトリウムや水酸化カリウム)還元された水素化ナトリウムを冷却手段に確実に堆積固化させることができ、多量の水素化ナトリウムを短時間に効率よく製造することができるとともに、水素化ナトリウムの生成と同時に、アルカリ金属の水酸化物(水酸化ナトリウムや水酸化カリウム)から水素を作ることができる。
【0033】
オーステナイト系ステンレス鋼がSUS304とSUS316Lとのうちの少なくとも一方である水素化ナトリウム製造システムは、オーステナイト系ステンレス鋼のSUS304やSUS316Lから作られた還元触媒の優れた触媒活性(触媒作用)を利用することができ、還元触媒の触媒作用によってアルカリ金属の水酸化物の分解ベーパー(水酸化ナトリウムの分解ベーパーや水酸化カリウムの分解ベーパー)を水素化ナトリウム(NaH)に確実に還元することができる。水素化ナトリウム製造システムは、SUS304とSUS316Lとのうちの少なくとも一方から作られた還元触媒の優れた触媒作用によってアルカリ金属の水酸化物の分解ベーパー(水酸化ナトリウムの分解ベーパーや水酸化カリウムの分解ベーパー)を水素化ナトリウム(NaH)に確実に還元することができるから、多量の水素化ナトリウムを短時間に効率よく製造することができるとともに、水素化ナトリウムの生成と同時に、アルカリ金属の水酸化物(水酸化ナトリウムや水酸化カリウム)から水素を作ることができる。
【発明を実施するための形態】
【0035】
一例として示す水素化ナトリウム製造システム10の構成図である
図1等の添付の図面を参照し、本発明に係る水素化ナトリウム製造システムの詳細を説明すると、以下のとおりである。なお、
図2は、一例として示すチャンバー11aの斜視図であり、
図3は、チャンバー11aの上面図である。
図4は、一例として示す冷却プレート13の正面図である。
図2,
図3では、ハッチ20の図示を省略している。
図2,
図3では、上下方向を矢印X、径方向を矢印Yで示し、周り方向を矢印Zで示す。
【0036】
水素化ナトリウム製造システム10は、アルカリ金属の水酸化物24を原料とし、還元触媒を利用することで、固体である水素化ナトリウム(NaH)を製造するとともに、水素ガス(H
2)を生成する。アルカリ金属の水酸化物としては、水酸化ナトリウム(NaOH)と水酸化カリウム(KOH)とのうちの少なくとも一方が使用される。水素化ナトリウム製造システム10Aは、チャンバー11a(還元反応炉)と、チャンバー11aを部分的に加熱する加熱手段12と、所定面積の複数枚の冷却プレート13(冷却手段)と、流入管路14及び流出管路15とを備えている。
【0037】
チャンバー11a(還元反応炉)は、底壁16と底壁16の周縁から上方へ延びる周壁17とを有して円筒状に成形されている。チャンバー11aには、底壁16と周壁17とに囲繞された所定容積の還元スペース18が画成されている。還元スペース18の容積に特に制限はないが、水素化ナトリウム製造システム10では、還元スペース18の容積が1.6〜2リットルのチャンバー11aを使用した。チャンバー11aの頂部開口19には、開閉可能なハッチ20(開閉蓋)が設置されている。チャンバー11aの頂部開口19は、ハッチ20によって気密に閉鎖される。ハッチ20には、流入管路14を気密に連結する流入管路連結孔が形成され、流出管路15を気密に連結する流出管路連結孔が形成されている。チャンバー11a及びハッチ20は、オーステナイト系ステンレス鋼から作られている。オーステナイト系ステンレス鋼には、SUS304とSUS316Lとのうちの少なくとも一方が使用されている。
【0038】
チャンバー11aの還元スペース18は、所定容積の下部加熱スペース21と、所定容積の中間冷却スペース22と、所定容積の上部スペース23とから形成されている。チャンバー11aでは、その略下半分が下部加熱スペース21になる。下部加熱スペース21には、所定量の水酸化ナトリウム(NaOH)と所定量の水酸化カリウム(KOH)とのうちの少なくとも一方(アルカリ金属の水酸化物24)が収容されるとともに、SUS304やSUS316Lのオーステナイト系ステンレス鋼から作られた還元触媒25が収容される。下部加熱スペース21は、システム10の稼働時に加熱手段12によって所定温度に加熱される。
【0039】
チャンバー11aでは、その略上半分の2/3が中間冷却スペース22となる。中間冷却スペース22には、冷却プレート13(冷却手段)が配置されるとともに、流入管路14のガス供給口が位置する。チャンバー11aでは、その略上半分の1/3が上部スペース23になる。上部スペース23には、流出管路15のガス排出口が位置する。
【0040】
チャンバー11aの中間冷却スペース22を画成する周壁17には、中間冷却スペース22の温度を測定する第1温度センサ26が設置されている。第1温度センサ26は、インターフェイス(有線又は無線)を介してコントローラ27(制御装置)に接続されている。第1温度センサ26は、測定した中間冷却スペース22の温度をコントローラ27に送信する。チャンバー11aの下部加熱スペース21を画成する周壁17には、下部加熱スペース21の温度を測定する第2温度センサ28が設置されている。第2温度センサ28は、インターフェイス(有線又は無線)を介してコントローラ27(制御装置)に接続されている。第2温度センサ28は、測定した下部加熱スペース21の温度をコントローラ27に送信する。
【0041】
加熱手段12は、チャンバー11aを下部加熱スペース21を画成する周壁17の外周面を取り巻くように設置され、チャンバー11aの下部加熱スペース21を450〜600℃の範囲に加熱する。加熱手段12には、マントルヒーターやジャケットヒーターが使用され、その加熱方式として抵抗加熱や高周波誘導加熱が利用される。加熱手段12は、その制御部がインターフェイスを介してコントローラ27に接続されている。
【0042】
それら冷却プレート13(冷却手段)は、SUS304やSUS316Lのオーステナイト系ステンレス鋼から作られ、上下方向へ長い所定厚みの矩形に成形されている。それら冷却プレート13は、中心軸29に取り付けられ、中心軸29から径方向外方へ延びている。それら冷却プレート13は、中心軸29(中間冷却スペース22の中心)から径方向外方へ向かって延びているとともに、中間冷却スペース22の周り方向へ放射状に並んでいる。それら冷却プレート13は、チャンバー11aの中間冷却スペース22に挿脱可能に配置される。
【0043】
それら冷却プレート13には、その厚み方向へ貫通する所定面積の複数の貫通孔30が穿孔されている。それら貫通孔30は、冷却プレート13の上下方向へ並んでいる。
図4では、3つの貫通孔30を図示しているが、貫通孔30の数に特に限定はなく、4つ以上の貫通孔30がそれら冷却プレート13に穿孔されていてもよい。また、貫通孔30が冷却プレート13の上下方向へ並ぶとともに、貫通孔30が冷却プレート13の横方向へ並んでいてもよい。
【0044】
流入管路14は、窒素ガス(N
2)(冷却ガス)を貯蔵した窒素ガス貯蔵タンク31(ガスボンベ)に連結されている。流入管路14は、ハッチ20の流入管路連結孔に気密に連結され、その一部がチャンバー11aの内部に進入している。流入管路14は、窒素ガス(N
2)(冷却ガス)をチャンバー11aの内部に流入させる。流入管路14は、そのガス供給口がチャンバー11aの中間冷却スペース22に位置している。流入管路14のガス供給口は、冷却プレート13の上下方向中央部と上下方向下部との間であって冷却プレート13に穿孔された貫通孔30に対向して配置されている。窒素ガスは、加熱手段12によって加熱された還元スペース18(中間冷却スペース22)を所定の温度に冷却する。
【0045】
窒素ガス貯蔵タンク31とハッチ20(流入管路連結孔)との間に延びる流入管路14(流入管路14のチャンバー11aの外側に延びる部分)には、ガス給気ポンプ32と給気バルブ33(電磁バルブ)とが設置されている。ガス給気ポンプ32と給気バルブ33との間に延びる流入管路14には、ガス流量計34(圧力計)が設置されている。ガス給気ポンプ32は、その制御部がインターフェイスを介してコントローラ27に接続されている。ガス給気ポンプ32は、窒素ガス貯蔵タンク31に貯蔵された窒素ガスをチャンバー11aに給気する。給気バルブ33は、その制御部がインターフェイスを介してコントローラ27に接続されている。給気バルブ33は、流入管路14の流路を開閉する。
【0046】
給気バルブ33(電磁バルブ)の弁機構が開放されることで、窒素ガスが流入管路14の流路を流動可能となり、給気バルブ33の弁機構が閉鎖されることで、流入管路14の流路における窒素ガスの流動が停止される。ガス流量計34(圧力計)は、インターフェイスを介してコントローラ27に接続されている。ガス流量計34は、流入管路14を通流する窒素ガスの流量(流動圧力)を測定し、測定した流量をコントローラ27に送信する。
【0047】
流出管路15は、窒素ガス(N
2)(冷却ガス)と水素ガス(H
2)との混合ガスを貯蔵する混合ガス貯蔵タンク35(ガスボンベ)に連結されている。流出管路15は、ハッチ20の流出管路連結孔に気密に連結され、その一部がチャンバー11aの内部に進入している。流出管路15は、窒素ガス(N
2)(冷却ガス)及び水素ガス(H
2)の混合ガスをチャンバー11aの内部から外部に流出させる。流出管路15は、そのガス排出口がチャンバー11aの上部スペース23に位置している。
【0048】
混合ガス貯蔵タンク35とハッチ20(流出管路連結孔)との間に延びる流出管路15(流出管路15のチャンバー11aの外側に延びる部分)には、排気バルブ36(電磁バルブ)と真空ポンプ37とが設置されている。排気バルブ36と真空ポンプ37との間に延びる流出管路15には、ガス流量計34(圧力計)が設置されている。排気バルブ36は、その制御部がインターフェイスを介してコントローラ27に接続されている。排気バルブ36は、流出管路15の流路を開閉する。排気バルブ36(電磁バルブ)の弁機構が開放されることで、窒素ガスと水素ガスとの混合ガスが流出管路15の流路を流動可能となり、排気バルブ36の弁機構が閉鎖されることで、流入管路15の流路における窒素ガスと水素ガスとの混合ガスの流動が停止される。
【0049】
真空ポンプ37は、その制御部がインターフェイスを介してコントローラ27に接続されている。真空ポンプ37は、システム10の起動準備においてチャンバー11aの還元スペース18(内部)の空気を外部に排気(真空引き)し、チャンバー11aの還元スペース18の内部気圧(チャンバー11aの内部の気圧)を真空状態(−0.12〜−0.08MPsの範囲)にする。ガス流量計34(圧力計)は、インターフェイスを介してコントローラ27に接続されている。ガス流量計34は、流出管路15を通流する窒素ガスと水素ガスとの混合ガスの流量(流動圧力)を測定し、測定した流量をコントローラ27に送信する。
【0050】
還元触媒25には、SUS304とSUS316Lとのうちの少なくとも一方であるオーステナイト系ステンレス鋼を微粉砕した粒径が10〜500μmの粉状還元触媒(紛状メタル触媒)、SUS304とSUS316Lとのうちの少なくとも一方であるオーステナイト系ステンレス鋼を粒状に成形した粒状還元触媒(粒状メタル触媒)、SUS304とSUS316Lとのうちの少なくとも一方であるオーステナイト系ステンレス鋼を板状に成形した板状還元触媒(板状メタル触媒)、SUS304とSUS316Lとのうちの少なくとも一方であるオーステナイト系ステンレス鋼を線状に成形した線状還元触媒(線状メタル触媒)のうちの少なくとも1つが使用される。
【0051】
コントローラ27(制御装置)は、中央処理部(CPUまたはMPU)とメモリ(メインメモリおよびキャッシュメモリ)とを有して独立したオペレーティングシステム(OS)によって動作する物理的なコンピュータであり、大容量記憶領域を実装している。コントローラ27には、液晶画面であるタッチパネル(出力装置及び入力装置)(図示せず)が接続されている。コントローラ27の大容量記憶領域には、下部加熱スペース21の設定加熱温度、中間冷却スペース22の設定温度、窒素ガス(冷却ガス)の中間冷却スペース22への設定流入量、真空ポンプ37のシステム起動時出力、水素化ナトリウム製造システム10の運転時間が記憶(格納)されている。
【0052】
コントローラ27は、加熱手段12における加熱温度(加熱手段12の出力)を制御し、ガス供給ポンプ32における窒素ガスのチャンバー11aへの給気量(ガス供給ポンプ32の出力)を制御するとともに、真空ポンプ37における真空度(真空ポンプ37の出力)を制御する。コントローラ27は、給気バルブ33や排気バルブ36の弁機構の開閉(電磁弁の発停)を制御し、運転時間経過後に水素化ナトリウム製造システム10を停止させる。下部加熱スペース21の設定加熱温度や中間冷却スペース22の設定温度、窒素ガス(冷却ガス)の中間冷却スペース22への設定流入量、真空ポンプ37のシステム起動時出力、水素化ナトリウム製造システム10の運転時間は、タッチパネルにおいて自由に設定・変更することができる。
【0053】
図5は、稼働中の水素化ナトリウム製造システム10を示す
図1と同様の図であり、
図6は、水素化ナトリウム38が冷却プレート13に堆積固化した状態のチャンバー11aの上面図である。
図6では、ハッチ20の図示を省略している。水素化ナトリウム製造システム10における水素化ナトリウム38の製造手順の一例は、以下のとおりである。
【0054】
ハッチ20(開閉蓋)を開けてチャンバー11aの頂部開口19を開放し、チャンバー11aの内部(還元スペース18)に水酸化ナトリウム(NaOH)と水酸化カリウム(KOH)とのうちの少なくとも一方(アルカリ金属の水酸化物24)を収容するとともに、チャンバー11aの内部に還元触媒25(粉状オーステナイト系ステンレス鋼触媒(紛状メタル触媒)、粒状オーステナイト系ステンレス鋼触媒(粒状メタル触媒)、板状オーステナイト系ステンレス鋼触媒(板状メタル触媒)、線状オーステナイト系ステンレス鋼触媒(線状メタル触媒)のうちの少なくとも1つ)を収容する。なお、チャンバー11aの内部には、水酸化ナトリウム24と粉状オーステナイト系ステンレス鋼触媒25(紛状メタル触媒)とが収容されたものとする。水酸化ナトリウム24及び粉状オーステナイト系ステンレス鋼触媒25は、チャンバー11aの下部加熱スペース21(底壁16)に載置される。
【0055】
水酸化ナトリウム24と粉状オーステナイト系ステンレス鋼触媒25(還元触媒)とをチャンバー11aの下部加熱スペース21に収容した後、ハッチ20を閉めてチャンバー11aの内部(還元スペース18)を気密に閉鎖し、水酸化ナトリウム24と粉状オーステナイト系ステンレス鋼触媒25(還元触媒25)とをチャンバー11aの内部に封じ込める。ハッチ20を閉めてチャンバー11aを気密に閉鎖した後、コントローラ27のスイッチをONにする。コントローラ27のスイッチをONにすると、準備画面がタッチパネルに表示(出力)される。
【0056】
準備画面には、製造準備ボタン及びOFFボタンが表示される。OFFボタンをタップ(クリック)すると、コントローラ27がOFFになる(以下のOFFボタンも同様)。準備画面の製造準備ボタンをタップ(クリック)すると、タッチパネルには、設定値確認画面が表示(出力)される。設定値確認画面には、下部加熱スペース21の設定加熱温度(450〜600℃の範囲)を表示した設定加熱温度表示エリア、中間冷却スペース22の設定温度(200〜250℃の範囲)を表示した設定温度表示エリア、窒素ガス(冷却ガス)の中間冷却スペース22への設定流入量(10〜500cc/minの範囲)を表示した設定流入量表示エリア、真空ポンプ37のシステム起動時出力を表示した真空ポンプ設定出力表示エリア、水素化ナトリウム製造システム10の運転時間を表示した運転時間表示エリア、確認ボタン、設定ボタン、キャンセルボタンが表示される。キャンセルボタンが表示される。キャンセルボタンをタップ(クリック)すると、準備画面に戻る(以下のキャンセルボタンも同様)。
【0057】
なお、各設定値を設定していない場合は、各表示エリアがブランクになる。各表示エリアに表示された設定値を変更または各表示エリアに新規に設定値を入力するには、設定値確認画面の設定ボタンをタップ(クリック)する。設定ボタンをタップすると、タッチパネルには、設定値入力画面が表示(出力)される。設定値入力画面には、下部加熱スペース21の設定加熱温度を入力する設定加熱温度入力エリア、中間冷却スペース22の設定温度を入力する設定温度入力エリア、窒素ガス(冷却ガス)の中間冷却スペース22への設定流入量を入力する設定流入量入力エリア、真空ポンプ37のシステム起動時出力を入力する真空ポンプ設定出力入力エリア、水素化ナトリウム製造システム10の運転時間を入力する運転時間入力エリア、設定登録ボタン、戻るボタン、キャンセルボタンが表示される。戻るボタンをタップ(クリック)すると、1つ前の画面に戻る(以下の戻るボタンも同様)。
【0058】
各入力エリアには、既に入力されている設定値が表示される。各入力エリアの設定値を変更又は新規入力するには、各入力エリアに表示された設定値を変更入力又は新規入力した後、設定登録ボタンをタップする。設定登録ボタンをタップすると、コントローラ27は、大容量記憶領域に記憶した設定値を各入力エリアに入力された設定値に更新又は登録した後、タッチパネルに設定値確認画面を表示(出力)する。
【0059】
設定値を変更又は新規入力した後、又は、設定値に変更がない場合、設定値確認画面の確認ボタンをタップ(クリック)する。確認ボタンをタップすると、コントローラ27は、排気バルブ36の制御部に開放信号(ON信号)を送信するとともに、真空ポンプ37の制御部に起動信号(設定出力を含む。)を送信する。開放信号を受信した排気バルブ36の制御部は、開放信号にしたがって排気バルブ36の弁機構を開放する。起動信号を受信した真空ポンプ37の制御部は、起動信号にしたがって設定出力で真空ポンプ37を起動する。
【0060】
排気バルブ36の弁機構が開放されることで、流出管路15の流路が開放される。起動した真空ポンプ37は設定出力で運転され、チャンバー11aの内部(還元スペース18)から空気を吸引し、チャンバー11aの内部を真空引きする。コントローラ27は、所定時間真空ポンプ37を起動させてチャンバー11aの内部の気圧(還元スペース18の気圧)が−0.12〜−0.08MPsの真空状態になった後、真空ポンプ37の制御部に停止信号(OFF信号)を送信する。停止信号を受信した真空ポンプ37の制御部は、停止信号にしたがって真空ポンプ37を停止させる。水素化ナトリウム製造システム10の起動時には、チャンバー11aの内部(還元スペース18)が−0.12〜−0.08MPsの真空に保持される。
【0061】
真空ポンプ37が停止した後、コントローラ27は、運転画面をタッチパネルに表示(出力)する。運転画面には、製造開始ボタン、製造停止ボタンが表示される。製造停止ボタンをタップ(クリック)すると、コントローラ27は、給気バルブ33の弁機構を開放するとともに、ガス給気ポンプ32を起動させ、外気給気口(図示せず)から外気を取り入れてその外気を流入管路14からチャンバー11aの内部(還元スペース18)に給気し、チャンバー11aの内部を大気圧に戻し、ハッチ開放OKメッセージ及びOFFボタンをタッチパネルに表示(出力)する。
【0062】
運転画面において製造開始ボタンをタップ(クリック)すると、コントローラ27は、加熱手段12(マントルヒーター又はジャケットヒーター)の制御部に加熱開始信号(ON信号)を送信し、給気バルブ33の制御部に開放信号(ON信号)を送信するとともに、ガス給気ポンプ32の制御部に起動信号(設定出力を含む。)を送信する。更に、第1及び第2温度センサ26,28にセンシング開始信号(ON信号)を送信し、ガス流量計34にセンシング開始信号(ON信号)を送信する。
【0063】
加熱開始信号を受信した加熱手段12の制御部は、加熱開始信号にしたがって加熱手段12を起動する。開放信号を受信した給気バルブ33の制御部は、開放信号にしたがって給気バルブ33の弁機構を開放する。起動信号を受信したガス給気ポンプ32の制御部は、起動信号にしたがって設定出力でガス給気ポンプ32を起動する。センシング開始信号を受信した第1温度センサ26は、センシング開始信号にしたがってチャンバー11aの中間冷却スペース22の温度測定を開始するとともに、測定した中間冷却スペース22の測定温度をコントローラ27に送信する。センシング開始信号を受信した第2温度センサ28は、センシング開始信号にしたがってチャンバー11aの下部加熱スペース21の温度測定を開始するとともに、測定した下部加熱スペース21の測定温度をコントローラ27に送信する。
【0064】
センシング開始信号を受信したガス流量計34は、センシング開始信号にしたがって流入管路14を通流する窒素ガスの流量(流動圧力)測定を開始し、測定した測定流量をコントローラ27に送信する。センシング開始信号を受信したガス流量計37は、センシング開始信号にしたがって流出管路15を通流する窒素ガスと水素ガスとの混合ガスの流量(流動圧力)測定を開始し、測定した測定流量をコントローラ27に送信する。
【0065】
チャンバー11aの下部加熱スペース21が加熱手段12によって加熱され、下部加熱スペース21が450〜600℃の温度範囲に加熱される。下部加熱スペース21の測定温度が第2温度センサ28からコントローラ28に送信される。コントローラ27は、第2温度センサ28から受信した下部加熱スペース21の測定温度と設定加熱温度とを比較し、下部加熱スペース21の温度が設定加熱温度(450〜600℃の範囲)に保持されるように、加熱手段12の出力をフィードバック制御する(例えば、加熱手段12の出力を増減して下部加熱スペース21の加熱温度を調節する)。
【0066】
チャンバー11aの下部加熱スペース21が設定加熱温度(450〜600℃)に加熱されると、下部加熱スペース21に収容された水酸化ナトリウム24(固体)が溶融し、水酸化ナトリウム24が気化して水酸化ナトリウム24の分解ベーパー(アルカリ金属の水酸化物24の分解ベーパー)(水酸化ナトリウム24の蒸気)が発生する。水酸化ナトリウム24(溶融塩)の分解ベーパーは、
図5に矢印L1で示すように、下部加熱スペース21から中間冷却スペース22に向かって上昇する。更に、チャンバー11a(還元スペース18)の内部気圧が上昇し、チャンバー11a(還元スペース18)の内部気圧がプラスになる。
【0067】
水素化ナトリウム製造システム10は、下部加熱スペース21の温度を450〜600℃の範囲にすることで、下部加熱スペース21において水酸化ナトリウム24(アルカリ金属の水酸化物24)を溶融させて水酸化ナトリウム24の分解ベーパー(アルカリ金属の水酸化物24の分解ベーパー)を確実に作ることができるとともに、粉状オーステナイト系ステンレス鋼触媒25(還元触媒25)の触媒活性(触媒作用)を向上させることができる。
【0068】
給気バルブ33の弁機構が開放され、ガス給気ポンプ32が起動すると、
図5に矢印L2で示すように、窒素ガス貯蔵タンク31から窒素ガス(冷却ガス)が流入管路14に流入し、流入管路14のガス供給口からチャンバー11aの中間冷却スペース22に窒素ガスが供給(給気)される。窒素ガス(冷却ガス)の中間冷却スペース22への流入量は、10〜500cc/minの範囲にある。中間冷却スペース22に供給(給気)された窒素ガスは、それら冷却プレート13の貫通孔30を通って中間冷却スペース22に満遍なく分散する。チャンバー11aの上部スペース23及び中間冷却スペース22は、窒素ガスによって200〜250℃の範囲に冷却される。
【0069】
水素化ナトリウム製造システム10は、複数の貫通孔30が冷却プレート13に穿孔され、それら貫通孔30が冷却プレート13の上下方向へ並ぶとともに、流入管路14のガス供給口が冷却プレート13の上下方向中央部と上下方向下部との間であって冷却プレート13に穿孔された貫通孔30に対向して配置されているから、流入管路14のガス供給口から供給された窒素ガス(冷却ガス)が冷却プレート13の貫通孔30を通って中間冷却スペース22に満遍なく分散し、窒素ガスによって中間冷却スペース22(冷却プレート13)を確実に冷却することができる。
【0070】
チャンバー11aの還元スペース18では、流入管路14から供給された窒素ガス(冷却ガス)の雰囲気において、下部加熱スペース21から中間冷却スペース22へ上昇した水酸化ナトリウム24の分解ベーパー(アルカリ金属の水酸化物24の分解ベーパー)が窒素ガス及び各冷却プレート13(冷却手段)によって冷却されつつ、粉状オーステナイト系ステンレス鋼触媒25(還元触媒25)の触媒作用(冷却プレート13を形成するSUS304やSUS316Lのオーステナイト系ステンレス鋼の触媒作用、チャンバー11a及びハッチ20を形成するオーステナイト系ステンレス鋼の触媒作用を含む。)によって水酸化ナトリウム24の分解ベーパーが水素化ナトリウム38(NaH)に還元されるとともに、所定量の水素ガスが生成される。
【0071】
還元された水素化ナトリウム38は、
図6に示すように、それら冷却プレート13(冷却手段)に付着して堆積固化する。窒素ガス(冷却ガス)と還元スペース18において生成された水素ガス(H
2)との混合ガスは、排気口から流出管路15に流入する。流出管路15に流入した窒素ガスと水素ガスとの混合ガスは、
図5に矢印L3で示すように、流出管路15を通って混合ガス貯蔵タンク35に流入し、混合ガス貯蔵タンク35に貯蔵される。
【0072】
流入管路14を通流する窒素ガスの測定流量(測定流動圧力)がガス流量計34からコントローラ27に送信されるとともに、流出管路15を通流する窒素ガスと水素ガスとの混合ガスの測定流量(測定流動圧力)がガス流量計34からコントローラ27に送信される。コントローラ27は、それらガス流量計34から受信した測定流量と設定流入量とを比較し、窒素ガス(冷却ガス)の中間冷却スペース22への流入量が設定流入量(10〜500cc/minの範囲)に保持し得るように、ガス給気ポンプ32の出力をフィードバック制御する(例えば、ガス給気ポンプ32の出力を増減して窒素ガスの中間冷却スペース22への流入量を調節する。)。
【0073】
中間冷却スペース22の測定温度が第1温度センサ26からコントローラ27に送信される。コントローラ27は、第1温度センサ26から受信した中間冷却スペース22の測定温度と設定温度とを比較し、中間冷却スペース22の温度が設定温度(200〜250℃の範囲)に保持し得るように、ガス給気ポンプ32の出力をフィードバック制御する(例えば、ガス給気ポンプ32の出力を増減して窒素ガスの中間冷却スペース22への流入量を調節する。又は、ガス給気ポンプ32を所定の時間間隔で運転し、窒素ガスの中間冷却スペース22への流入量を調節する。)。
【0074】
水素化ナトリウム製造システム10は、中間冷却スペース22の温度を200〜250℃の範囲にすることで、水酸化ナトリウム24(アルカリ金属の水酸化物24)から還元された水素化ナトリウム38をそれら冷却プレート13(冷却手段)に確実に堆積固化させることができるとともに、窒素ガス(冷却ガス)のチャンバー11aへの流入量を10〜500cc/minの範囲にすることで、流入管路14から供給された窒素ガスによって中間冷却スペース22(冷却プレート13)を所定温度に確実に冷却することができる。
【0075】
水素化ナトリウム製造システム10の1回の運転時間は、12〜24時間である。コントローラ27は、システム10の運転時間が経過すると、加熱手段12の制御部に加熱停止信号(OFF信号)を送信し、給気バルブ33の制御部に閉鎖信号(OFF信号)を送信するとともに、ガス給気ポンプ32の制御部に停止信号(OFF信号)を送信する。更に、排気バルブ36の制御部に閉鎖信号(OFF信号)を送信し、第1及び第2温度センサ26,28にセンシング停止信号(OFF信号)を送信するとともに、ガス流量計34,34にセンシング停止信号(OFF信号)を送信する。
【0076】
加熱停止信号を受信した加熱手段12の制御部は、加熱停止信号にしたがって加熱手段12を停止させる。閉鎖信号を受信した給気バルブ33の制御部は、閉鎖信号にしたがって給気バルブ33の弁機構を閉鎖する。停止信号を受信したガス給気ポンプ32の制御部は、停止信号にしたがってガス給気ポンプ32を停止させる。閉鎖信号を受信した排気バルブ36の制御部は、閉鎖信号にしたがって排気バルブ36の弁機構を閉鎖する。センシング停止信号を受信した第1及び第2温度センサ26,28は、センシング停止信号にしたがって温度測定を停止する。センシング停止信号を受信したそれらガス流量計34は、センシング停止信号にしたがって流量測定を停止する。
【0077】
加熱手段12や給気バルブ33、ガス給気ポンプ32、排気バルブ36、第1及び第2温度センサ26,28、ガス流量計34にOFF信号を送信した後、コントローラ27は、水素化ナトリウム製造完了メッセージと製造確認ボタン(製造終了ボタン)とをタッチパネルに表示(出力)する。製造確認ボタンをタップ(クリック)すると、コントローラ27がOFFになる。製造確認ボタンをタップした後、ハッチ20を開けてチャンバー11aの頂部開口19を開放し、水素化ナトリウム38が体積固化した冷却プレート13をチャンバー11aの内部から取り出す。水素化ナトリウム38が体積固化した冷却プレート13を水素発生容器(図示せず)に収容し、必要に応じて水素発生容器に水を注入し、水素ガスを発生させる。
【0078】
水素化ナトリウム製造システム10は、所定量の水酸化ナトリウム24(NaOH)(アルカリ金属の水酸化物24)とSUS304とSUS316Lとのうちの少なくとも一方であるオーステナイト系ステンレス鋼から作られた粉状オーステナイト系ステンレス鋼触媒25(還元触媒25)とをチャンバー11aの下部加熱スペース21に収容し、流入管路14から供給された窒素ガス(冷却ガス)の雰囲気において、下部加熱スペース21を加熱手段12によって所定温度(450〜600℃)に加熱し、下部加熱スペース21から中間冷却スペース22へ上昇した水酸化ナトリウム24の分解ベーパー(アルカリ金属の水酸化物24の分解ベーパー)が窒素ガス及びそれら冷却プレート13(冷却手段)によって冷却されつつ粉状オーステナイト系ステンレス鋼触媒25(還元触媒25)によって水素化ナトリウム38(NaH)に還元され、その水素化ナトリウム38をそれら冷却プレート13に付着させて堆積固化させることで水素化ナトリウム38を生成するから、所定の粉状オーステナイト系ステンレス鋼触媒25(還元触媒25)を利用するだけで水素化ナトリウム38を固体の状態で生成することができ、多量の水素化ナトリウム38を短時間に効率よく製造することができる。水素化ナトリウム製造システム10は、還元スペース18において水素ガス(H
2)が生成されるから、水素化ナトリウム38の生成と同時に、水酸化ナトリウム24(アルカリ金属の水酸化物24)から水素を作ることができる。
【0079】
水素化ナトリウム製造システム10は、オーステナイト系ステンレス鋼を微粉砕した粒径が10〜500μmの粉状還元触媒、オーステナイト系ステンレス鋼を粒状に成形した粒状還元触媒、オーステナイト系ステンレス鋼を板状に成形した板状還元触媒、オーステナイト系ステンレス鋼を線状に成形した線状還元触媒のうちの少なくとも1つの還元触媒25を利用することで、オーステナイト系ステンレス鋼から作られた粉状還元触媒や粒状還元触媒、板状還元触媒、線状還元触媒の優れた触媒活性(触媒作用)を利用することができ、それら還元触媒25の触媒作用によって水酸化ナトリウム24(アルカリ金属の水酸化物24)の分解ベーパーを水素化ナトリウム38(NaH)に確実に還元することができる。
【0080】
図7は、他の一例として示すチャンバー11bの上面図である。
図7では、ハッチ20の図示を省略している。チャンバー11b及び流入管路14が
図1のそれと異なるところは、流入管路14が複数本の分岐管路14a〜14hに分岐し、それら分岐管路14a〜14hがチャンバー11bのハッチ20に気密に設置され、それら分岐管路14a〜14hの各ガス供給口がチャンバー11bの中間冷却スペース22の周り方向へ並ぶ各冷却プレート13の間に位置している点にあり、システム10の構成を含むその他の構成は
図1のチャンバー11aや流入管路14と同一であるから、
図1の説明を援用するとともに、
図1と同一の符号を付すことでシステム10の構成を含むその他の構成の詳細な説明は省略する。
【0081】
水素化ナトリウム製造システム10は、チャンバー11b(還元反応炉)と、チャンバー11bを部分的に加熱する加熱手段12と、所定面積の複数枚の冷却プレート13(冷却手段)と、流入管路14及び流出管路15とを備えている。加熱手段12や冷却プレート13(冷却手段)、流出管路15は、
図1のそれらと同一である。チャンバー11bに設置されたハッチ20には、分岐管路14a〜14hを気密に連結する各流入管路連結孔が形成されている。
【0082】
流入管路14は、給気バルブ33(電磁バルブ)の上流側において複数本の分岐管路14a〜14hに分岐している。それら分岐管路14a〜14hは、ハッチ20の各流入管路連結孔に気密に連結され、その一部がチャンバー11bの内部に進入している。それら分岐管路14a〜14hは、窒素ガス(N
2)(冷却ガス)をチャンバー11bの内部に流入させる。それら分岐管路14a〜14hのガス供給口は、チャンバー11bの中間冷却スペース22に位置するとともに、チャンバー11bの中間冷却スペース22の周り方向へ並ぶ各冷却プレート13の間に位置している。分岐管路14a〜14hのガス供給口は、冷却プレート13の上下方向中央部と上下方向下部との間であって冷却プレート11に穿孔された貫通孔30に対向して配置されている。
【0083】
チャンバー11bや分岐管路14a〜14hを使用した水素化ナトリウム製造システム10では、給気バルブ33及び排気バルブ36の弁機構が開放され、ガス給気ポンプ32が起動すると、窒素ガス貯蔵タンク31から窒素ガス(冷却ガス)が流入管路14に流入し、流入管路14の分岐管路14a〜14hの各ガス供給口からチャンバー11bの中間冷却スペース22に窒素ガスが供給(給気)される。
【0084】
窒素ガス(冷却ガス)の中間冷却スペース22への流入量は、10〜500cc/minの範囲にある。分岐管路14a〜14hから中間冷却スペース22に供給(給気)された窒素ガスは、周り方向へ隣接する各冷却プレート13の間に供給されるとともに、それら冷却プレート13の貫通孔30を通って中間冷却スペース22に満遍なく分散する。チャンバー11bや管路14a〜14hを使用した水素化ナトリウム製造システム10における水素化ナトリウム38のその他の製造手順は、
図5において説明したそれと同一である。
【0085】
チャンバー11bや管路14a〜14hを使用した分岐水素化ナトリウム製造システムは、既述の効果に加え、以下の効果を有する。水素化ナトリウム製造システム10は、複数本の分岐管路14a〜14hの各ガス供給口から各冷却プレート13の間に窒素ガス(冷却ガス)を流入させることで、窒素ガスがそれら冷却プレート13の間に満遍なく流入し、それら分岐管路14a〜14hの各ガス供給口から流入した窒素ガスによってチャンバー11bの中間冷却スペース22(それら冷却プレート13)を確実に冷却することができ、それら冷却プレート13に水素化ナトリウム38を確実に堆積固化させることができる。
【0086】
図8は、流入管路14の他の一例を示す図である。流入管路14が
図1のそれと異なるところは、上下方向へ並ぶ複数のガス供給口39が流入管路14の冷却プレート13に対向する対向部分に形成され、流入管路14のそれらガス供給口39が冷却プレート13に向かって開口している点にあり、システム10の構成を含むその他の構成は
図1の流入管路14と同一であるから、
図1の説明を援用するとともに、
図1と同一の符号を付すことでシステム10の構成を含むその他の構成の詳細な説明は省略する。
【0087】
水素化ナトリウム製造システム10は、チャンバー11a(還元反応炉)と、チャンバー11aを部分的に加熱する加熱手段12と、所定面積の複数枚の冷却プレート13(冷却手段)と、流入管路14及び流出管路15とを備えている。加熱手段12や冷却プレート13(冷却手段)、流出管路15は、
図1のそれらと同一である。
【0088】
流入管路14は、ハッチ20の流入管路連結孔に気密に連結され、その一部がチャンバー11aの内部に進入している。流入管路14は、窒素ガス(N
2)(冷却ガス)をチャンバー11aの内部に流入させる。流入管路14のチャンバー11aの内部に延びる部分(対向部分)には、上下方向へ並ぶ複数のガス供給口39が形成されている。流入管路14のそれらガス供給口39は、チャンバー11aの中間冷却スペース22に位置するとともに、冷却プレート13に対向し、冷却プレート13及び貫通孔30に向かって開口している。
【0089】
複数のガス供給口39を有する流入管路14を使用した水素化ナトリウム製造システム10では、給気バルブ33の弁機構が開放され、ガス給気ポンプ32が起動すると、窒素ガス貯蔵タンク31から窒素ガス(冷却ガス)が流入管路14に流入し、流入管路14の各ガス供給口39からチャンバー11aの中間冷却スペース22に窒素ガスが供給(給気)される。
【0090】
窒素ガス(冷却ガス)の中間冷却スペース22への流入量は、10〜500cc/minの範囲にある。流入管路14から中間冷却スペース22に供給(給気)された窒素ガスは、周り方向へ隣接する各冷却プレート13の間に供給されるとともに、それら冷却プレート13の貫通孔30を通って中間冷却スペース22に満遍なく分散する。複数のガス供給口39を有する流入管路14を使用した水素化ナトリウム製造システム10における水素化ナトリウム38のその他の製造手順は、
図5において説明したそれと同一である。
【0091】
なお、上下方向へ並ぶ複数のガス供給口39が
図7に示す分岐管路14a〜14hのチャンバー11aの内部に延びる部分(対向部分)に形成されていてもよい。この場合、それら分岐管路14a〜14hの各ガス供給口39は、チャンバー11bの中間冷却スペース22に位置するとともに、チャンバー11bの中間冷却スペース22の周り方向へ並ぶ各冷却プレート13の間に位置する。分岐管路14a〜14hの各ガス供給口39は、冷却プレート13の上下方向中央部と上下方向下部との間であって冷却プレート11に穿孔された貫通孔30に対向して配置される。
【0092】
複数のガス供給口39を有する流入管路14を使用した水素化ナトリウム製造システム10は、既述の効果に加え、以下の効果を有する。水素化ナトリウム製造システム10は、上下方向へ並ぶ複数のガス供給口39が流入管路14の冷却プレート13に対向する対向部分に形成され、それらガス供給口39を冷却プレート13及び貫通孔30に向かって開口させることで、流入管路14のそれらガス供給口39から供給された窒素ガス(冷却ガス)が冷却プレート13に向かって供給されるとともに、窒素ガスが冷却プレート13の貫通孔30を通ってチャンバー11の中間冷却スペース22に満遍なく分散し、窒素ガスによって中間冷却スペース22(冷却プレート13)を確実に冷却することができ、冷却プレート13に水素化ナトリウム38を確実に堆積固化させることができる。