【解決手段】6位が無置換のピリド[2,3−d]ピリミジン−7(8H)−オンを、N−ブロモスクシンイミド、又はN−ヨードスクシンイミドで処理して6−ハロ置換ピリド[2,3−d]ピリミジン−7(8H)−オンとした後、ジフルオロメチルトリアルキルシラン、またはZn(DMPU)
ホスフィン配位子が、n−ブチル−ジ−t−ブチルホスホニウムテトラボロフルオラートまたは(オキシジ−2,1−フェニレン)ビス(ジフェニルホスフィン)(DPEPhos)である、請求項12に記載の方法。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明は、以下の本発明の好ましい諸実施形態の詳細な説明および本明細書に含まれる実施例を参照することにより、より容易に理解することができる。本明細書で使用する専門用語は、特定の諸実施形態を説明するためだけのものであり、限定を意図したものではないことを理解されたい。本明細書で具体的に定義しない限り、本明細書で使用する専門用語には、関連技術で知られているような従来の意味が与えられることをさらに理解されたい。
【0018】
本明細書で使用する場合、単数形「1つの(a、an)」および「その(the)」は、別段の指示がない限り、複数の言及を含む。例えば、「1個の(a)」置換基には、1個または複数個の置換基が含まれる。
【0019】
本明細書に記載の本発明は、本明細書に具体的に開示していない要素(複数可)がなくても適切に実施することができる。したがって、例えば、本明細書の各例において、用語「含む(comprising)」、「から本質的になる(consisting essentially of)」、および「からなる(consisting of)」のどれをも他の2つの用語のいずれかに置き換えることができる。
【0020】
用語「アルコキシド塩基」は、本明細書で使用する場合、M
+OR”を指し、ここで、M
+は、リチウム、ナトリウム、カリウム、およびセシウムからなる群から選択されるカチオンであり、R”は、本明細書で定義するC
1〜C
5アルキルである。アルコキシド塩基の例としては、リチウムメトキシド、リチウムエトキシド、リチウムイソプロポキシド、リチウムtert−ブトキシド、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、ナトリウムイソプロポキシド、ナトリウムtert−ブトキシド、ナトリウムtert−ペントキシド、カリウムメトキシド、カリウムエトキシド、カリウムイソプロポキシド、カリウムtert−ブトキシド、カリウムtert−ペントキシドなどが挙げられる。
【0021】
用語「アルキル」は、本明細書で使用する場合、1〜6個の炭素(C
1〜C
6アルキル)、時には1〜5個の炭素(C
1〜C
5アルキル)、好ましくは1〜4個の炭素(C
1〜C
4アルキル)を有する飽和した一価の直鎖または分岐鎖炭化水素を指す。アルキル基の代表的な例は、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチルなどである。
【0022】
用語「アミノ保護基」は、本明細書で使用する場合、合成手順中の望ましくない副反応からアミノ基を保護する、選択的に導入可能および除去可能な基を指す。アミノ保護基の代表的な例としては、カルバマート(例えば、カルボベンジルオキシ(Cbz)、tert−ブチルオキシカルボニル(Boc)、またはフルオレニルメチルオキシカルボニル(Fmoc))、アミド(例えば、アセトアミド、トリフルオロアセトアミド、またはホルムアミド)、スルホンアミド(例えば、トシルアミド)、およびベンジル基(例えば、ベンジル、p−メトキシベンジル(PMB)、または3,4−ジメトキシベンジル(DMPM))が挙げられる。このようなアミノ保護基は、本明細書に記載の化合物および方法におけるR
3の置換えに有用であり得る。いくつかの実施形態では、アミノ保護基は、カルバマート、アミド、スルホンアミド、および1個または複数個のメトキシ置換基で置換されていてもよいベンジル基からなる群から選択される。いくつかのそのような実施形態では、カルバマートは、CBz、Boc、またはFmocであり、アミドは、アセトアミド、トリフルオロアセトアミド、またはホルムアミドであり、スルホンアミドは、トシルアミドであり、ベンジル基は、ベンジル、PMB、またはDMPMである。
【0023】
本明細書に記載の方法のいくつかは銅試薬を含む。適切な銅試薬としては、銅(I)または銅(II)試薬および錯体が挙げられる。適切な銅試薬の例としては、塩化銅(I)(CuCl)、ヨウ化銅(I)(CuI)、トリフルオロメタンスルホン酸銅(I)(CuOTf)、トリフルオロメタンスルホン酸銅(II)(Cu(OTf)
2)、テトラフルオロホウ酸テトラキス(アセトニトリル)銅(I)(Cu(BF
4)(MeCN)
4)、またはヘキサフルオロリン酸テトラキス(アセト−ニトリル)銅(I)(Cu(PF
6)(MeCN)
4)が挙げられる。
【0024】
用語「ハロ」は、本明細書で使用する場合、Cl、Br、またはIを指す。
【0025】
用語「ヒドロキシル」は、本明細書で使用する場合、−OHを指す。
【0026】
用語「ヒドロキシル保護基」は、本明細書で使用する場合、合成手順中の望ましくない副反応からヒドロキシル基を保護する、選択的に導入可能および除去可能な基を指す。ヒドロキシル保護基の代表的な例としては、エーテル(例えば、ベンジル、トリチル、またはトリアルキルシリルエーテル)、エステル(例えば、アセチルまたはベンゾイル)、およびアセタール(例えば、テトラヒドロピラニルエーテル)が挙げられる。このようなヒドロキシル保護基は、本明細書に記載の化合物および方法におけるR
4の置換えに有用であり得る。いくつかの実施形態では、ヒドロキシル保護基は、エーテル、エステル、およびアセタールからなる群から選択される。いくつかのそのような実施形態では、エーテルは、ベンジル、トリチル、またはトリアルキルシリルエーテル(例えば、TMS、TES、TBDMS)であり、エステルは、アセチルまたはベンゾイルエステルであり、アセタールは、テトラヒドロピラニルエーテルである。
【0027】
用語「OTf」は、本明細書で使用する場合、トリフルオロメタンスルホン酸エステルまたはトリフラートエステル(すなわち、−OSO
2CF
3)部分を指す。
【0028】
用語「OTs」は、本明細書で使用する場合、p−トルエンスルホン酸エステルまたはトシル酸エステル(すなわち、−OSO
2C
6H
4CH
3)部分を指す。
【0029】
用語「保護基」は、本明細書で使用する場合、合成手順中の望ましくない副反応から官能基を保護する、選択的に導入可能および除去可能な基を指す。様々な官能基および関連する反応条件に適する保護基の例は、Wuts,Peter G.M.Greene’s Protective Groups in Organic Synthesis(5
th ed.).New York:Wiley、2007に示されている。
【0030】
本明細書に記載するように、いくつかの反応は、プロトン源の存在下で実行してもよい。化学反応の性質に応じて、そのような試薬は、触媒量、準化学量論量、または化学量論量で存在してよく、反応速度を加速させる、または転化の程度を増大させることができる。通常、プロトン源の不在下で、特に小規模でそのような反応を実行することが可能である。
【0031】
いくつかの実施形態では、プロトン源は、カルボン酸、スルホン酸、スルフィン酸、アルコール、チオール、または第一級アミンを含む。いくつかの実施形態では、プロトン源は、カルボン酸またはスルホン酸、例えば、p−トルエンスルホン酸またはシュウ酸を含む。他の諸実施形態では、プロトン源は、スルフィン酸、アルコール、チオール、または第一級アミン、例えば、p−トルエンスルフィン酸、水、プロピレングリコール、またはピナコールを含む。触媒として使用する場合、プロトン源の量は、約0.01〜約0.30モル当量(すなわち、約1%〜約30%)、しばしば約0.05〜約0.15モル当量(すなわち、約5%〜約15%)の範囲であり得る。いくつかの実施形態では、プロトン源は、約0.25、約0.2、約0.15、約0.10、または約0.10モル当量未満の量で存在する。他の反応では、プロトン源は、準化学量論量または化学量論量、例えば、約0.50〜約1.0モル当量以上、通常約0.70〜約1.0モル当量以上で存在し得る。
【0032】
一態様では、本発明は、式5aの中間体化合物を調製するための、スキームAに示す一般的な3ステップの方法を提供する。
【0034】
スキームAのステップ1に従って、式3aの化合物を、パラジウム、銅、ニッケル、コバルト、または鉄触媒などの金属(「M」)触媒の存在下で式2aの中間体(式中、Xは、Cl、Br、I、OTf、またはOTsであり、米国特許第10,233,188号の実施例7/実施例8に記載の中間体1bを適切な5−置換−2,6−ジクロロピリミジンと反応させることで調製)をアクリル酸アルキルまたはベンジル(すなわち、R
6は、C
1〜C
4アルキルまたはベンジル)と反応させることによって調製する。好ましくは、触媒はパラジウム(Pd)触媒である。いくつかの実施形態では、触媒はPd(II)触媒である。好ましい一実施形態では、触媒は酢酸パラジウム(II)(すなわち、Pd(OAc)
2)である。他の諸実施形態では、触媒はPd(0)触媒である。金属触媒は、通常、中間体2aに対して約0.01〜約0.10モル当量の量で存在する。場合により、カップリング反応は、ホスフィン配位子などの配位子を含む。使用する場合、ホスフィン配位子は、通常、約0.01〜約0.10モル当量の量で存在する。
【0035】
式3aの中間体化合物は、主にトランス幾何異性体(E−オレフィン)を含有しているが、様々な量のシス幾何異性体(Z−オレフィン)を含有していてもよい。式3aの化合物を精製(例えば、クロマトグラフィもしくは結晶化)してもよく、または水系後処理後の粗混合物をさらに精製することなく後続の環化(ステップ2)で直接使用してもよい。いくつかの実施形態では、式3aの化合物はE−オレフィンとして単離される。しかし、環化前にE−およびZ−オレフィンの混合物を分離する必要はない。
【0036】
スキームAのステップ2に従って、式4の化合物を、塩基性条件下で化合物3aを環化させることによって調製する。式4の化合物は、米国特許第10,233,188号の実施例2にすでに記載されていた。ステップ2で使用するのに好ましい塩基は、アルコキシド塩基、好ましくは、メトキシド、エトキシド、またはt−ブトキシド塩基である。アルコキシド塩基は、通常、中間体3aに対して約1.0〜約5.0モル当量の量で存在する。式4の化合物は、精製(例えば、結晶化により)してもよく、または単離し、さらに精製することなく後続のハロゲン化反応(ステップ3)で使用してもよい。
【0037】
スキームAのステップ3に従って、式5aの化合物を、求電子条件下で式4の化合物をハロゲン化することによって調製して、X’がCl、Br、またはIである5aを得る。X’がヨードである場合、好ましいヨウ素化試薬は、ヨウ素またはN−ヨードスクシンイミド(NIS)である。X’がブロモである場合、好ましい臭素化試薬は、臭素またはN−ブロモスクシンイミド(NBS)である。X’がクロロである場合、好ましい塩素化試薬は、N−クロロスクシンイミド(NCS)である。他の適切なハロゲン化試薬は、当業者に既知であり、例えば、1,3−ジヨード−5,5’−ジメチルヒダントイン(DIH)、N−ヨードフタルイミド、N−ブロモフタルイミド、およびN−クロロフタルイミドが挙げられる。ハロゲン化試薬がNIS、NBS、またはNCSである場合、脱離基「LG」はスクシンイミド部分である。同様に、DIHおよびN−ハロフタルイミドの脱離基は、それぞれ5,5’−ジメチルヒダントインおよびフタルイミドである。ハロゲン化試薬は、中間体4に対して化学量論量でまたは過剰に、例えば約1.0〜約2.0モル当量、時には約1.5モル当量で存在してよい。
【0038】
ステップ3のハロゲン化反応は、通常、触媒量のプロトン源を含有する。いくつかの実施形態では、プロトン源は、カルボン酸またはスルホン酸を含む。いくつかのそのような実施形態では、プロトン源は、p−トルエンスルホン酸またはシュウ酸である。いくつかの実施形態では、プロトン源は、中間体4に対して約0.01〜約0.30モル当量、好ましくは約0.05〜約0.15モル当量の量で存在する。いくつかの実施形態では、プロトン源は、中間体4に対して約0.10モル当量で存在する。
【0039】
一態様では、本発明は、スキームAに従って式5aの化合物を調製する方法であって、
【0040】
【化6】
(式中、X’は、BrまたはIである)
(1)式3aの化合物を調製するステップであり、
【0041】
【化7】
(式中、R
6は、C
1〜C
4アルキルまたはベンジルである)
式2aの化合物を
【0042】
【化8】
(式中、Xは、Cl、Br、I、OTf、またはOTsである)
パラジウム触媒の存在下でアクリル酸C
1〜C
4アルキルまたはアクリル酸ベンジルで処理して、式3aの化合物を得るステップを含む、ステップと、
(2)式4の化合物を調製するステップであり、
【0044】
【化10】
(式中、R
6は、C
1〜C
4アルキルまたはベンジルである)
塩基で処理して、式4の化合物を得るステップを含む、ステップと、
(3)式4の化合物を
【0045】
【化11】
(i)臭素もしくはN−ブロモスクシンイミドで処理して、X’がBrである式5aの化合物を得るステップ、または
(ii)ヨウ素もしくはN−ヨードスクシンイミドで処理して、X’がIである式5aの化合物を得るステップと
を含む、方法を提供する。
【0046】
いくつかの実施形態では、方法はさらに、スキームCに従って式5a(式中、X’はIである)から式1の化合物を調製するステップ(4)を含む。
【0047】
本明細書にさらに記載するように、ステップ(1)においてパラジウム触媒を選択する。酢酸パラジウムおよび場合により配位子である。いくつかのそのような実施形態では、パラジウム触媒は酢酸パラジウムである。いくつかの実施形態では、本明細書にさらに記載するように、ステップ(2)における塩基はアルコキシド塩基である。いくつかの実施形態では、本明細書にさらに記載するように、ステップ(3)におけるハロゲン化反応は、プロトン源の存在下で実行する。記載するように、すべての反応は、適切な溶媒および温度で実行する。
【0048】
スキームBは、上記で概説した3ステップの順序に従って式5bのヨード中間体化合物を調製する特定の方法を示している。
【0050】
スキームBのステップ1に従って、式3bまたは式3cの化合物を、パラジウム触媒、好ましくはPd(OAc)
2などのPd(II)触媒の存在下で式2bの化合物(米国特許第10,233,188号の実施例7/実施例8の記載の通りに調製)をアクリル酸エチルまたはアクリル酸n−ブチルでそれぞれ処理することによって調製する。パラジウム触媒は、通常、中間体2bに対して約0.01〜約0.10モル当量の量で存在する。式3bおよび式3cの化合物は、主にトランス幾何異性体として調製されるが、様々な量のシス幾何異性体を含有していてもよい。
【0051】
カップリング反応は、ホスフィン配位子などの配位子を含んでいてもよい。いくつかのそのような実施形態では、ホスフィン配位子は、n−ブチル−ジ−t−ブチルホスホニウムテトラボロフルオラート、1,4−ビス(ジ−t−ブチルホスホニウム)ブタンビス(テトラフルオロボラート)、トリフェニルホスフィン、シクロヘキシルジフェニルホスフィン、(オキシジ−2,1−フェニレン)−ビス(ジフェニルホスフィン)(DPEPhos)、(オキシジ−2,1−フェニレン)ビス(ジシクロヘキシル−ホスフィン)(DCyEPhos)、1,3−ビス(ジフェニルホスフィノ)プロパン(dppp)、1,4−ビス(ジフェニル−ホスフィノ)−ブタン(dppb)、ジ−(1−アダマンチル)−n−ブチルホスフィン(CataCXium(登録商標)A)、ビス(ジ−tert−ブチル(4−ジメチルアミノフェニル)ホスフィン(Amphos)、5−(ジ−tert−ブチルホスフィノ)−1’,3’,5’−トリフェニル−1’H−[1,4’]ビピラゾール(Bippyphos)、1,1’−ビス(ジ−tert−ブチルホスフィノ)−フェロセン(DTBPF)、1,3−ビス(2,6−ジイソプロピルフェニル)イミダゾリニウムクロリド(SIPr−HCl)、および1,3−ビス(1−アダマンチル)−4,5−ジヒドロイミダゾリウムクロリド(Sad−HCl)からなる群から選択される。使用する場合、ホスフィン配位子は、通常、約0.01〜約0.10モル当量の量で存在する。
【0052】
別の一態様では、本発明は、スキームBに従って式5bの化合物を調製する方法であって、
【0053】
【化13】
(1)式3bまたは式3cの化合物を調製するステップであり、
【0055】
【化15】
パラジウム触媒の存在下でアクリル酸エチルまたはアクリル酸n−ブチルで処理して、式3bまたは式3cの化合物を得るステップを含む、ステップと、
(2)式4の化合物を調製するステップであり、
【0056】
【化16】
式3bまたは式3cの化合物を
【0057】
【化17】
塩基で処理して、式4の化合物を得るステップを含む、ステップと、
(3)式4の化合物を
【0058】
【化18】
ヨウ素またはN−ヨードスクシンイミドで処理して、式5bの化合物を得るステップと
を含む、方法を提供する。
【0059】
いくつかの実施形態では、方法はさらに、スキームCに従って式5bから式1の化合物を調製するステップ(4)を含む。
【0060】
本明細書にさらに記載するように、ステップ(1)においてパラジウム触媒を選択する。ステップ(1)は、ホスフィン配位子などの配位子を含んでもよい。いくつかのそのような実施形態では、パラジウム触媒は酢酸パラジウムである。いくつかの実施形態では、本明細書にさらに記載するように、ステップ(2)における塩基はアルコキシド塩基である。いくつかの実施形態では、本明細書にさらに記載するように、ステップ(3)におけるハロゲン化反応は、プロトン源の存在下で実行する。記載するように、すべての反応は、適切な溶媒および温度で実行する。
【0061】
スキームCは、式5bの化合物をジフルオロメチル化することによって式1の化合物を調製する2つの方法(方法Aおよび方法B)を示している。
【0063】
方法Aに従って、式1の化合物を、銅(I)または銅(II)試薬、例えばCuClまたはCu(OTf)
2、および塩基の存在下で式5bの化合物をジフルオロメチルトリアルキルシラン、好ましくはジフルオロメチルトリメチルシラン(TMSCHF
2)と反応させることによって調製する。好ましくは、塩基は、カリウムt−ブトキシド(KOt−Bu)などのアルコキシド塩基である。他の適切な塩基および銅試薬を使用してもよい。
【0064】
方法Aの好ましい一実施形態では、銅試薬を適切な溶媒中で塩基と合わせ、反応混合物を適切な時間および温度、例えば約0.5時間および約20〜30℃で維持し、その後、ジフルオロメチルトリアルキルシラン試薬を添加し、続いて、式5bの化合物を添加する。
【0065】
方法Aのための好ましい溶媒としては、極性の非プロトン性溶媒、例えば、N,N’−ジメチルプロピレンウレア(DMPU)、N,N’−ジメチルホルムアミド(DMF)、もしくはそれらの混合物、またはDMFおよび/もしくはDMPUと他の有機溶媒との混合物などが挙げられる。方法Aでは、銅試薬と塩基の化学量論比は、約1:1〜約1:3の範囲であり、通常約1:2である。銅試薬とジフルオロメチルトリアルキルシランの化学量論比は、約1:1〜約1:3の範囲であり、しばしば約1:2である。銅試薬と式5bの化合物の化学量論比は、1:1以上とすべきであり、好ましくは、過剰量の銅試薬を使用する。いくつかの実施形態では、銅試薬は、式5bの化合物に対して約1.0モル当量〜約3.0モル当量の量で使用することができる。いくつかのそのような実施形態では、銅試薬と式5bの化学量論比は、約1.5:1、約2:1、または約3:1である。しばしば、銅試薬と式5bの化学量論比は約1.5:1である。いくつかの実施形態では、反応は、それぞれ1.0モル当量の式5bに対して約3当量の塩基、約1.5当量の銅試薬、および約2.5〜約3.5当量のジフルオロメチルトリアルキルシランを含む。
【0066】
方法Bに従って、式1の化合物を、銅(I)または銅(II)試薬、例えば、CuCl、CuOTf、またはCu(OTf)
2の存在下で、式5bの化合物を亜鉛ジフルオロメチル錯体Zn(DMPU)
2(CHF
2)
2と反応させることによって調製する。
【0067】
方法Bのための好ましい溶媒としては、極性の非プロトン性溶媒、例えば、DMPU、DMF、もしくはそれらの混合物、またはDMFおよび/もしくはDMPUと他の有機溶媒との、特に好ましくはDMPUとの混合物などが挙げられる。
【0068】
方法Bでは、銅試薬と式5bの化学量論比は、約0.5〜約1.5モル当量の範囲であり、時には約0.9モル当量である。亜鉛ジフルオロメチル錯体と式5bの化学量論比は、約1.0〜約5.0モル当量の範囲であり、時には約3.0モル当量である。いくつかの実施形態では、反応は、それぞれ1.0モル当量の式5bに対して約0.9当量の銅試薬および約3.0当量の亜鉛ジフルオロメチル錯体を含む。
【0069】
いくつかの実施形態では、ジフルオロメチル化反応は、プロトン源の存在下で実行する。いくつかの実施形態または方法Aおよび方法Bでは、プロトン源は、p−トルエンスルフィン酸、水、プロピレングリコール、またはピナコールである。方法Aのいくつかの実施形態では、プロトン源は、式5bに対して約0.65〜約0.85モル当量、好ましくは約0.70〜約0.75モル当量の量のプロピレングリコールである。方法Bのいくつかの実施形態では、プロトン源は、式5bに対して約0.20〜約0.30モル当量、好ましくは約0.25モル当量の量のプロピレングリコールまたはp−トルエンスルフィン酸である。
【0070】
いくつかの実施形態では、本発明は、スキームCに従って式1の化合物を調製する方法を提供し、ここで、式5bは、スキームAまたはスキームBのステップ1〜3に従って調製する。
【0071】
スキームDは、亜鉛錯体Zn(DMPU)
2(CHF
2)
2を調製するプロセスを示している。
【0073】
亜鉛錯体Zn(DMPU)
2(CHF
2)
2を、好ましくは連続または半連続プロセスにより、ヨードジフルオロメタン(HCF
2I)をジエチル亜鉛(ZnEt
2)で処理することによって調製することができる。一実施形態では、ヨードジフルオロメタン、ジエチル亜鉛、およびDMPUを同時に合わせる。亜鉛試薬は、バッチ方式で調製してもよく、または不活性雰囲気下でフローケミストリーを使用して調製してもよい。
【0074】
一実施形態では、式5bの化合物を、隣接的連続(contiguous continuous)または半連続プロセスそれぞれにおいて、銅試薬の存在下で、連続的または半連続的に調製したZn(DMPU)
2(CHF
2)
2で処理して、式1の化合物を得る。
【0075】
一態様では、本発明は、式1の化合物を調製する方法であって、
【0077】
【化22】
(式中、X’は、Cl、Br、I、OTf、またはOTsである)
ジフルオロメチル化剤および銅試薬と反応させて、式1の化合物を得るステップ
を含む、方法を提供する。
【0078】
この態様のいくつかの実施形態では、X’は、Cl、Br、またはIである。この態様の頻繁な諸実施形態では、X’はIである。他の諸実施形態では、X’は、BrまたはClである。他の諸実施形態では、X’はBrである。さらに他の諸実施形態では、X’はClである。さらなる諸実施形態では、X’は、OTfまたはOTsである。
【0079】
この態様のいくつかの実施形態では、ジフルオロメチル化剤は、ジフルオロメチルトリアルキルシランである。特定の諸実施形態では、ジフルオロメチルトリアルキルシランは、ジフルオロメチルトリメチルシラン(TMSCHF
2)である。
【0080】
ジフルオロメチルトリアルキルシランを使用する諸実施形態は、通常、適切な塩基、例えば、カリウムtert−ブトキシドなどのアルコキシド塩基、または本明細書に記載の他の適切なアルコキシド塩基の存在下で行う。いくつかの実施形態では、式5aとジフルオロメチルトリアルキルシランおよび銅試薬との反応はさらに、塩基、特にアルコキシド塩基を含む。
【0081】
ジフルオロメチルトリアルキルシランを使用する諸実施形態は、通常、プロトン源の存在下で行う。いくつかの実施形態では、式5aとジフルオロメチルトリアルキルシランおよび銅試薬との反応は、プロトン源をさらに含む。いくつかのそのような実施形態では、プロトン源は、スルフィン酸、アルコール、チオール、または第一級アミンを含む。いくつかのそのような実施形態では、プロトン源は、p−トルエンスルフィン酸、水、プロピレングリコール、またはピナコールである。他の諸実施形態では、プロトン源は、アルコール、チオール、または第一級アミンを含む。特定の諸実施形態では、プロトン源は、水、プロピレングリコール、またはピナコールである。さらなる諸実施形態では、プロトン源は、スルフィン酸を含む。いくつかのそのような実施形態では、プロトン源は、p−トルエンスルフィン酸である。いくつかの実施形態では、反応は、触媒量のプロトン源の存在下で行う。いくつかのそのような実施形態では、反応は、触媒量のp−トルエンスルフィン酸、水、プロピレングリコール、またはピナコールの存在下で行う。
【0082】
いくつかの実施形態では、式5aとジフルオロメチルトリアルキルシランおよび銅試薬との反応は、本明細書にさらに記載するように塩基およびプロトン源をさらに含む。
【0083】
いくつかの実施形態では、塩基の存在下でのジフルオロメチルトリアルキルシラン試薬および銅(I)試薬の反応は、ジフルオロメチル化剤として作用するジフルオロメチル銅錯体をin situで形成することができる。
【0084】
他の諸実施形態では、ジフルオロメチル化剤は、亜鉛ジフルオロメチル錯体である。ある好ましい諸実施形態では、亜鉛ジフルオロメチル錯体は、Zn(CHF
2)
2(DMPU)
2である。
【0085】
いくつかの実施形態では、式5aと亜鉛ジフルオロメチル錯体との反応は、プロトン源の存在下で行う。いくつかのそのような実施形態では、プロトン源は、スルフィン酸、アルコール、チオール、または第一級アミンを含む。いくつかのそのような実施形態では、プロトン源は、p−トルエンスルフィン酸、水、プロピレングリコール、またはピナコールである。いくつかのそのような実施形態では、プロトン源は、スルフィン酸またはアルコールを含む。特定の諸実施形態では、プロトン源は、p−トルエンスルフィン酸またはプロピレングリコールである。いくつかのそのような実施形態では、反応は、触媒量のプロトン源の存在下で行う。いくつかのそのような実施形態では、反応は、触媒量のp−トルエンスルフィン酸、水、プロピレングリコール、またはピナコールの存在下で行う。
【0086】
この態様のいくつかの実施形態では、銅試薬は、銅(I)試薬または銅(II)試薬である。いくつかの実施形態では、銅試薬は、CuCl、CuI、Cu(OTf)、Cu(OTf)
2、Cu(BF
4)(MeCN)
4、またはCu(PF
6)(MeCN)
4である。いくつかの実施形態では、銅試薬は、CuCl、CuI、CuOTf、またはCu(OTf)
2である。
【0087】
いくつかの実施形態では、銅試薬は、銅(I)試薬である。いくつかのそのような実施形態では、銅(I)試薬は、CuCl、CuI、Cu(OTf)、Cu(BF
4)(MeCN)
4、またはCu(PF
6)(MeCN)
4である。他のそのような諸実施形態では、銅(I)試薬は、CuCl、CuI、またはCuOTfである。いくつかのそのような実施形態では、銅(I)試薬は、CuClである。他のそのような諸実施形態では、銅(I)試薬は、CuIである。他のそのような諸実施形態では、銅(I)試薬は、Cu(OTf)である。さらに他のそのような諸実施形態では、銅(I)試薬は、Cu(BF
4)(MeCN)
4またはCu(PF
6)(MeCN)
4である。
【0088】
他の諸実施形態では、銅試薬は、銅(II)試薬である。いくつかのそのような実施形態では、銅(II)試薬は、Cu(OTf)
2である。
【0089】
いくつかの実施形態では、反応は、触媒量または準化学量論量の銅(I)または銅(II)試薬の存在下で行う。いくつかのそのような実施形態では、反応は、触媒量の銅(I)または銅(II)試薬の存在下で行う。いくつかの実施形態では、反応は、準化学量論量の銅(I)または銅(II)試薬の存在下で行う。
【0090】
ジフルオロメチル化反応は、適切な溶媒または溶媒混合物中で行う。好ましい溶媒としては、極性の非プロトン性溶媒、例えば、DMPU、DMF、もしくはそれらの混合物、またはDMFおよび/もしくはDMPUと他の有機溶媒との、特に好ましくはDMPUとの混合物などが挙げられる。頻繁な諸実施形態では、溶媒は、DMPU、DMF、もしくはそれらの混合物、またはDMFおよび/もしくはDMPUと他の有機溶媒との混合物を含む。いくつかの実施形態では、溶媒は、DMFである。他の諸実施形態では、溶媒は、DMPUである。いくつかの実施形態では、溶媒は、DMFとDMPUとの混合物である。さらなる諸実施形態では、溶媒は、DMFおよび/またはDMPUと1種または複数種の他の有機溶媒との混合物である。いくつかの実施形態では、溶媒は、DMFを含む。他の諸実施形態では、溶媒は、DMPUを含む。他の諸実施形態では、溶媒は、DMPUおよびDMFを含む。さらなる諸実施形態では、溶媒は、DMFおよび/またはDMPUと1種または複数種の他の有機溶媒との混合物を含む。
【0091】
別の一態様では、本発明は、式1の化合物を調製する方法であって、
【0093】
【化24】
ジフルオロメチルトリアルキルシラン、銅試薬、および塩基と反応させて、式1の化合物を得るステップ
を含む、方法を提供する。
【0094】
いくつかの実施形態では、ジフルオロメチルトリアルキルシランはTMSCHF
2である。
【0095】
この態様の諸実施形態では、式5bとジフルオロメチルトリアルキルシランとの反応は、適切な塩基、例えば、カリウムtert−ブトキシドなどのアルコキシド塩基、または本明細書に記載の他の適切なアルコキシド塩基の存在下で行う。いくつかのそのような実施形態では、アルコキシド塩基は、カリウムtert−ブトキシドである。
【0096】
この態様のいくつかのそのような実施形態では、ジフルオロメチル化反応は、プロトン源の存在下で行う。いくつかの実施形態では、式5bとジフルオロメチルトリアルキルシラン、銅試薬、および塩基との反応は、プロトン源をさらに含む。いくつかのそのような実施形態では、プロトン源は、スルフィン酸、アルコール、チオール、または第一級アミンを含む。いくつかのそのような実施形態では、プロトン源は、p−トルエンスルフィン酸、水、プロピレングリコール、またはピナコールである。特定の諸実施形態では、プロトン源は、プロピレングリコール、ピナコール、または水である。他の諸実施形態では、プロトン源は、p−トルエンスルフィン酸である。
【0097】
この態様のいくつかの実施形態では、銅試薬は、銅(I)試薬または銅(II)試薬である。いくつかの実施形態では、銅試薬はCuCl、CuI、CuOTf、またはCu(OTf)
2である。いくつかの実施形態では、銅試薬は、CuCl、CuI、Cu(OTf)、Cu(OTf)
2、Cu(BF
4)(MeCN)
4、またはCu(PF
6)(MeCN)
4である。
【0098】
いくつかの実施形態では、銅試薬は、銅(I)試薬である。いくつかのそのような実施形態では、銅(I)試薬は、CuCl、CuI、またはCuOTfである。他のそのような諸実施形態では、銅(I)試薬は、CuCl、CuI、Cu(OTf)、Cu(BF
4)(MeCN)
4、またはCu(PF
6)(MeCN)
4である。いくつかのそのような実施形態では、銅(I)試薬は、CuClである。他のそのような諸実施形態では、銅(I)試薬は、CuIである。他のそのような諸実施形態では、銅(I)試薬は、Cu(OTf)である。さらに他のそのような諸実施形態では、銅(I)試薬は、Cu(BF
4)(MeCN)
4またはCu(PF
6)(MeCN)
4である。
【0099】
他の諸実施形態では、銅試薬は、銅(II)試薬である。いくつかのそのような実施形態では、銅(II)試薬は、Cu(OTf)
2である。
【0100】
いくつかの実施形態では、反応は、触媒量または準化学量論量の銅(I)または銅(II)試薬の存在下で行う。いくつかのそのような実施形態では、反応は、触媒量の銅(I)または銅(II)試薬の存在下で行う。いくつかの実施形態では、反応は、準化学量論量の銅(I)または銅(II)試薬の存在下で行う。
【0101】
この態様の諸実施形態では、ジフルオロメチル化反応ステップは、適切な溶媒または溶媒混合物中で行う。頻繁な諸実施形態では、溶媒は、極性の非プロトン性溶媒、例えば、DMPU、DMF、もしくはそれらの混合物、またはDMFおよび/もしくはDMPUと1種もしくは複数種の他の有機溶媒との混合物などである。いくつかの実施形態では、溶媒は、DMFである。他の諸実施形態では、溶媒は、DMPUである。いくつかの実施形態では、溶媒は、DMFとDMPUとの混合物である。さらなる諸実施形態では、溶媒は、DMFおよび/またはDMPUと1種または複数種の他の有機溶媒との混合物である。いくつかの実施形態では、溶媒は、DMFを含む。他の諸実施形態では、溶媒は、DMPUを含む。他の諸実施形態では、溶媒は、DMPUおよびDMFを含む。さらなる諸実施形態では、溶媒は、DMFおよび/またはDMPUと1種または複数種の他の有機溶媒との混合物を含む。
【0102】
別の一態様では、本発明は、式1の化合物を調製する方法であって、
【0104】
【化26】
亜鉛ジフルオロメチル錯体、銅試薬、およびプロトン源と反応させて、式1の化合物を得るステップ
を含む、方法を提供する。
【0105】
いくつかのそのような実施形態では、亜鉛ジフルオロメチル錯体は、Zn(CHF
2)
2(DMPU)
2である。そのような錯体は、本明細書にさらに記載するように別々に調製しても、in situで調製してもよい。特定の諸実施形態では、Zn(DMPU)
2(CHF
2)
2は、連続または半連続プロセスにより、例えば、ヨードジフルオロメタンをジエチル亜鉛およびN,N’−ジメチルプロピレンウレア(DMPU)で処理することによって調製することができる。
【0106】
この態様の諸実施形態では、式5bと亜鉛ジフルオロメチル錯体との反応は、プロトン源の存在下で行う。この態様のいくつかの実施形態では、プロトン源は、スルフィン酸、アルコール、チオール、または第一級アミンを含む。いくつかのそのような実施形態では、プロトン源は、p−トルエンスルフィン酸、水、プロピレングリコール、またはピナコールである。いくつかのそのような実施形態では、プロトン源は、スルフィン酸またはアルコールを含む。特定の諸実施形態では、プロトン源は、p−トルエンスルフィン酸またはプロピレングリコールである。いくつかのそのような実施形態では、反応は、触媒量のプロトン源の存在下で行う。いくつかのそのような実施形態では、反応は、触媒量のp−トルエンスルフィン酸、水、プロピレングリコール、またはピナコールの存在下で行う。いくつかのそのような実施形態では、反応は、触媒量のプロトン源、例えば、p−トルエンスルフィン酸またはプロピレングリコールなどの存在下で行う。いくつかのそのような実施形態では、プロトン源は、p−トルエンスルフィン酸である。いくつかのそのような実施形態では、プロトン源は、プロピレングリコールである。
【0107】
この態様のいくつかの実施形態では、銅試薬は、銅(I)試薬または銅(II)試薬である。いくつかの実施形態では、銅試薬は、CuCl、CuI、CuOTf、またはCu(OTf)
2である。いくつかの実施形態では、銅試薬は、CuCl、CuI、Cu(OTf)、Cu(OTf)
2、Cu(BF
4)(MeCN)
4、またはCu(PF
6)(MeCN)
4である。
【0108】
いくつかの実施形態では、銅試薬は、銅(I)試薬である。いくつかのそのような実施形態では、銅(I)試薬は、CuCl、CuI、またはCuOTfである。他のそのような諸実施形態では、銅(I)試薬は、CuCl、CuI、Cu(OTf)、Cu(BF
4)(MeCN)
4、またはCu(PF
6)(MeCN)
4である。いくつかのそのような実施形態では、銅(I)試薬は、CuClである。他のそのような諸実施形態では、銅(I)試薬は、CuIである。他のそのような諸実施形態では、銅(I)試薬は、Cu(OTf)である。さらに他のそのような諸実施形態では、銅(I)試薬は、Cu(BF
4)(MeCN)
4またはCu(PF
6)(MeCN)
4である。
【0109】
他の諸実施形態では、銅試薬は、銅(II)試薬である。いくつかのそのような実施形態では、銅(II)試薬は、Cu(OTf)
2である。
【0110】
いくつかの実施形態では、反応は、触媒量または準化学量論量の銅(I)または銅(II)試薬の存在下で行う。いくつかのそのような実施形態では、反応は、触媒量の銅(I)または銅(II)試薬の存在下で行う。いくつかの実施形態では、反応は、準化学量論量の銅(I)または銅(II)試薬の存在下で行う。
【0111】
この態様の諸実施形態では、ジフルオロメチル化反応ステップは、適切な溶媒または溶媒混合物中で行う。頻繁な諸実施形態では、溶媒は、極性の非プロトン性溶媒、例えば、DMPU、DMF、もしくはそれらの混合物、またはDMFおよび/もしくはDMPUと1種もしくは複数種の他の有機溶媒との混合物などである。頻繁な諸実施形態では、溶媒は、DMPU、DMF、もしくはそれらの混合物、またはDMFおよび/もしくはDMPUと他の有機溶媒との混合物を含む。いくつかの実施形態では、溶媒は、DMFである。他の諸実施形態では、溶媒は、DMPUである。いくつかの実施形態では、溶媒は、DMFとDMPUとの混合物である。さらなる諸実施形態では、溶媒は、DMFおよび/またはDMPUと1種または複数種の他の有機溶媒との混合物である。いくつかの実施形態では、溶媒は、DMFを含む。他の諸実施形態では、溶媒は、DMPUを含む。他の諸実施形態では、溶媒は、DMPUおよびDMFを含む。さらなる諸実施形態では、溶媒は、DMFおよび/またはDMPUと1種または複数種の他の有機溶媒との混合物を含む。
【0112】
一実施形態では、式5bの化合物を、隣接的連続または半連続プロセスにおいて、連続的または半連続的に調製したZn(DMPU)
2(CHF
2)
2および適切な銅試薬で処理して、式1の化合物を調製する。この実施形態では、空気および水分に敏感な亜鉛ジフルオロメチル錯体を、連続または半連続処理装置の外で操作および/または保管する必要がない。
【0113】
さらなる一態様では、本発明は、ヨードジフルオロメタンをジエチル亜鉛およびDMPUで処理するステップを含む、連続または半連続プロセスを使用してZn(DMPU)
2(CHF
2)
2錯体を調製する方法を提供する。
【0114】
別の一態様では、本発明は、式1の化合物を調製する方法であって、
【0116】
【化28】
隣接的連続または半連続プロセスにおいて、連続的または半連続的に調製したZn(DMPU)
2(CHF
2)
2および銅(I)触媒と反応させるステップ
を含む、方法を提供する。いくつかの実施形態では、反応は、触媒量のプロトン源を含む、プロトン源の存在下で行う。
【0117】
さらなる一態様では、本発明は、式1の化合物を調製する方法であって、
【0119】
【化30】
ジフルオロメチル化剤、例えば、ジフルオロメチル銅錯体または亜鉛ジフルオロメチル錯体などで処理するステップを含み、そのような錯体が、別々にまたはin situで調製され得る、
方法を提供する。
【0120】
この態様のいくつかの実施形態では、ジフルオロメチル化剤は、ジフルオロメチル銅錯体である。この態様の他の諸実施形態では、ジフルオロメチル化剤は、亜鉛ジフルオロメチル錯体である。
【0121】
別の一態様では、本発明は、本明細書に示す方法のいずれかに従って調製した式1の化合物を提供する。
【0123】
さらに別の一態様では、本発明は、本明細書に記載の化合物の調製に有用な中間体を提供する。特定の諸実施形態では、本発明は、式1の化合物の合成に有用であり得る以下の中間体を提供する。
【0125】
そのような一実施形態では、本発明は、式3aの化合物を提供する。
【0126】
【化33】
(式中、R
6は、C
1〜C
4アルキルまたはベンジルである)
【0127】
いくつかのそのような実施形態では、R
6は、エチルである。他のそのような諸実施形態では、R
6は、n−ブチルである。
【0128】
別の一実施形態では、本発明は、式5aの化合物を提供する。
【0129】
【化34】
(式中、X’は、Cl、Br、I、OTf、またはOTsである)
【0130】
いくつかのそのような実施形態では、X’はIである。いくつかのそのような実施形態では、X’はBrである。いくつかのそのような実施形態では、X’はClである。いくつかのそのような実施形態では、X’はOTfまたはOTsである。
【0131】
別の一態様では、本発明は、式3aの化合物を調製する方法であって、
【0132】
【化35】
(式中、R
6は、C
1〜C
4アルキルまたはベンジルである)
式2aの化合物を
【0133】
【化36】
(式中、Xは、Cl、Br、I、OTf、またはOTsである)
金属触媒、例えばパラジウム触媒の存在下でアクリル酸C
1〜C
4アルキルまたはアクリル酸ベンジルで処理して、式3aの化合物を得るステップ
を含む、方法を提供する。
【0134】
いくつかの実施形態では、反応は、式2aの化合物をアクリル酸エチルと反応させて、R
6がエチルである式3aの化合物を得るステップを含む。他の諸実施形態では、反応は、式2aの化合物をアクリル酸n−ブチルと反応させて、R
6がn−ブチルである式3aの化合物を得るステップを含む。
【0135】
特定の諸実施形態では、金属触媒は、パラジウム触媒である。いくつかのそのような実施形態では、パラジウム触媒は、パラジウム(II)触媒である。特定の諸実施形態では、パラジウム(II)触媒は、Pd(OAc)
2である。他のそのような諸実施形態では、パラジウム触媒は、パラジウム(0)触媒である。パラジウム触媒は、通常、約0.01〜約0.10モル当量の量で存在する。
【0136】
いくつかの実施形態では、カップリング反応は、ホスフィン配位子などの配位子の存在を含む。いくつかのそのような実施形態では、ホスフィン配位子は、n−ブチル−ジ−t−ブチルホスホニウムテトラボロフルオラート、1,4−ビス(ジ−t−ブチルホスホニウム)ブタンビス(テトラフルオロボラート)、トリフェニルホスフィン、シクロヘキシルジフェニルホスフィン、(オキシジ−2,1−フェニレン)−ビス(ジフェニルホスフィン)(DPEPhos)、(オキシジ−2,1−フェニレン)ビス(ジシクロヘキシル−ホスフィン)(DCyEPhos)、1,3−ビス(ジフェニルホスフィノ)プロパン(dppp)、1,4−ビス(ジフェニル−ホスフィノ)−ブタン(dppb)、ジ−(1−アダマンチル)−n−ブチルホスフィン(CataCXium(登録商標)A)、ビス(ジ−tert−ブチル(4−ジメチルアミノフェニル)ホスフィン(Amphos)、5−(ジ−tert−ブチルホスフィノ)−1’,3’,5’−トリフェニル−1’H−[1,4’]ビピラゾール(Bippyphos)、1,1’−ビス(ジ−tert−ブチルホスフィノ)−フェロセン(DTBPF)、1,3−ビス(2,6−ジイソプロピルフェニル)イミダゾリニウムクロリド(SIPr−HCl)、および1,3−ビス(1−アダマンチル)−4,5−ジヒドロイミダゾリウムクロリド(Sad−HCl)からなる群から選択される。特定の諸実施形態では、ホスフィン配位子は、n−ブチル−ジ−t−ブチルホスホニウムテトラボロフルオラートまたは(オキシジ−2,1−フェニレン)ビス(ジフェニルホスフィン)(DPEPhos)である。使用する場合、ホスフィン配位子は、通常、約0.01〜約0.10モル当量の量で存在する。別の一態様では、本発明は、式4の化合物を調製する方法であって、
【0138】
【化38】
(式中、R
6は、C
1〜C
4アルキルまたはベンジルである)
塩基で処理して、式4の化合物を得るステップ
を含む、方法を提供する。
【0139】
いくつかの実施形態では、R
6は、エチルである。他の諸実施形態では、R
6は、n−ブチルである。
【0140】
ある種の諸実施形態では、塩基は、本明細書にさらに記載するようにアルコキシド塩基である。いくつかのそのような実施形態では、アルコキシド塩基は、カリウムtert−ブトキシドである。
【0141】
さらなる一態様では、本発明は、式5bの化合物を調製する方法であって、
【0143】
【化40】
ヨウ素またはN−ヨードスクシンイミドで処理して、式5bの化合物を得るステップ
を含む、方法を提供する。
【0144】
さらなる一態様では、本発明は、式5aの化合物を調製する方法であって、
【0145】
【化41】
(式中、X’はBrである)
式4の化合物を
【0146】
【化42】
臭素またはN−ブロモスクシンイミドで処理して、式5a(式中、X’はBrである)の化合物を得るステップ
を含む、方法を提供する。
【0147】
いくつかの実施形態では、式5bまたは式5a(式中、X’はBrである)を得るヨウ素化または臭素化反応は、極性の非プロトン性溶媒中で行う。いくつかのそのような実施形態では、溶媒は、アセトニトリルである。いくつかの実施形態では、ヨウ素化または臭素化反応は、プロトン源の存在下で行う。ある種の諸実施形態では、プロトン源は、p−トルエンスルホン酸またはシュウ酸である。いくつかのそのような実施形態では、プロトン源は、触媒量または準化学量論量で存在する。
【0148】
当業者なら、本明細書に記載の合成経路を改変できることを認識するであろう。特定の出発材料および試薬をスキームおよび実施例に示しているが、様々な誘導体および/または反応条件を提供するために、その他の出発材料および試薬と置き換えることができる。さらに、以下に記載の方法で調製される化合物の多くは、当業者に既知の従来の化学を使用して、本開示に照らしてさらに改変することができる。
【実施例】
【0149】
反応はすべて窒素雰囲気下で行った。供給業者から購入したすべての試薬を、特記しない限り、入手したまま使用した。NMRデータは、TCIクリオプローブを備えたBruker AV III 400MHzまたはBruker 600MHz分光計を使用して収集した。HRMSデータは、ポジティブモードでエレクトロスプレーイオン化を使用するThermo Orbitrap XLを使用して取得した。
【0150】
(実施例1)
エチル(E)−3−(4−(((1R,2R)−2−ヒドロキシ−2−メチルシクロペンチル)アミノ)−2−((1−(メチルスルホニル)ピペリジン−4−イル)アミノ)ピリミジン−5−イル)アクリラート(3b)の調製
【0151】
【化43】
(1R,2R)−2−((5−ブロモ−2−((1−(メチルスルホニル)ピペリジン−4−イル)アミノ)ピリミジン−4−イル)アミノ)−1−メチルシクロペンタン−1−オール(2b)(米国特許第10,233,188号の実施例7/実施例8の記載の通りに調製)(5g、11.2mmol)およびn−ブタノール(75mL)を合わせた。アクリル酸エチル(1.67g、16.7mmol)、続いて、N,N−ジイソプロピルエチルアミン(3.03g、23.4mmol)を装入した。得られた混合物を真空で脱気し、次いで、窒素でパージした(3サイクル)。酢酸パラジウム(0.125g、0.558mmol)およびn−ブチル−ジ(tert−ブチル)ホスホニウムテトラフルオロボラート(0.198g、0.669mmol)を添加した。反応を95℃に加熱し、反応が完了するまでこの温度で撹拌した。反応を周囲温度に冷却した後、反応混合物をCELITE(登録商標)パッドでろ過し、ろ滓を酢酸エチル(50mL)で洗浄した。ろ液を水で洗浄し、濃縮した。粗生成物をフラッシュクロマトグラフィで精製して、エチル(E)−3−(4−(((1R,2R)−2−ヒドロキシ−2−メチルシクロペンチル)−アミノ)−2−((1−(メチルスルホニル)ピペリジン−4−イル)アミノ)ピリミジン−5−イル)アクリラート(3b)(3.45g、7.82mmol、収率66%)を得た。あるいは、式3bの部分的に濃縮した粗溶液を、クロマトグラフィを行わずに直接使用することもできる。
【0152】
1H NMR
(400 MHz, DMSO-d
6) δ
8.28 (s, 1H), 7.80 (d, J = 15.6 Hz, 1H), 7.15 (bd, J = 27.3 Hz, 1H), 6.87 (d, J
= 7.6 Hz, 1H), 6.24 (d, J = 15.6 Hz, 1H), 4.69 (bd, J = 49.8 Hz, 1H), 4.36 (bs,
1H), 4.15 (q, J = 7.1 Hz, 2H), 3.86 (bs, 1H), 3.58 - 3.47 (m, 2H), 2.90-2.78
(m, 1H), 2.87 (s, 3H), 2.05 (bs, 1H), 1.98-1.87 (m, 3H), 1.73-1.58 (m, 6H),
1.60 - 1.43 (m,1H), 1.24 (t, J = 7.1 Hz, 3H), 1.07 (s, 3H).
LRMS-ESI (m/z) [M+H]
+ C
21H
33N
5O
5Sの計算値, 468.22, 実測値468.49.
【0153】
(実施例2)
n−ブチル(E)−3−(4−(((1R,2R)−2−ヒドロキシ−2−メチルシクロペンチル)アミノ)−2−((1−(メチルスルホニル)ピペリジン−4−イル)アミノ)ピリミジン−5−イル)アクリラート(3c)の調製
【0154】
【化44】
(1R,2R)−2−((5−ブロモ−2−((1−(メチルスルホニル)ピペリジン−4−イル)アミノ)ピリミジン−4−イル)アミノ)−1−メチルシクロペンタン−1−オール(2b)(米国特許第10,233,188号の実施例7/実施例8の記載の通りに調製)(40.0kg、89.2mol)、n−ブタノール(324kg)、および水(1.60L)を合わせた。アクリル酸ブチル(34.3kg、268mmol)、続いて、重炭酸ナトリウム(22.5kg、268mol)を装入した。得られた混合物を真空で脱気し、次いで、窒素でパージした(2サイクル)。酢酸パラジウム(401g、1.80mol)およびビス(2−ジフェニルホスフィノフェニル)エーテル(1.20kg、2.20mol)を添加した。酸素含有量を最小限にするために、容器に圧力挿入を行った(4サイクル)。反応を95℃に加熱し、反応が完了するまでこの温度で撹拌した。完了後、混合物を75℃に冷却し、n−ブタノール(113kg)を添加し、反応混合物をCELITE(登録商標)パッドでろ過し、ろ滓をn−ブタノール(2×65kg)で洗浄した。合わせたろ液を約270Lまで濃縮し、tert−ブチルメチルエーテル(82.9kg)を55℃で添加した。得られた混合物を55℃で2時間撹拌し、4時間かけて10℃に冷却し、さらに8時間撹拌した。生成物をろ過で単離し、tert−ブチルメチルエーテル(59.2kg)で洗浄し、乾燥させて、ブチル(E)−3−(4−(((1R,2R)−2−ヒドロキシ−2−メチルシクロペンチル)アミノ)−2−((1−(メチルスルホニル)−ピペリジン−4−イル)アミノ)ピリミジン−5−イル)アクリラート(3c)(34.8kg、77.1mol、収率86%)を得た。
【0155】
(E/Z)混合物:
1H NMR (600 MHz, DMSO-d
6, 338K): δ 8.23 (s, 0.8H), 8.19 (s, 0.2H), 7.75 (d, J=15.6 Hz, 0.8H), 6.95 (d,
J=7.4 Hz, 0.8H), 6.90 (d, J=12.1 Hz, 0.2H), 6.78 (d, J=7.2 Hz, 0.2H), 6.61 (d,
J=7.4 Hz, 0.8H), 6.20 (d, J=15.6 Hz, 0.8H), 6.16 (d, J=7.4 Hz, 0.2H), 5.71 (d,
J=12.1 Hz, 0.2H), 4.61 (広幅なs, 0.2H), 4.56 (広幅なs, 0.8H), 4.35 (q, J = 7.5 Hz, 0.8H), 4.32 (q, J = 7.4 Hz, 0.2H),
4.11 (t, J = 6.7 Hz, 1.6H), 4.05 (t, J = 6.6 Hz, 0.4H), 3.92-3.84 (広幅, 1H), 3.56 (m, 2H), 2.90-2.83 (m, 2H), 2.85 (s, 3H), 2.11-2.05 (広幅, 1H), 1.99-1.92 (広幅, 2H), 1.73-1.51 (m,
9H), 1.38 (m, 1.6H), 1.31 (m, 0.4H), 1.10 (s, 2.4H), 1.08 (s, 0.6H), 0.92 (t, J
= 7.5 Hz, 2.4H), 0.88 (t, J = 7.4 Hz, 0.6H);
13C NMR
(150 MHz, DMSO-d
6, 338K): δ 166.6, 165.9*, 161.0, 160.6*, 160.0, 159.9*, 157.6*, 156.1, 138.1,
136.8*, 114.9*, 110.9, 102.4*, 102.3, 79.1
#, 62.9*, 62.9, 60.7,
60.7*, 46.7, 46.6*, 44.2
#, 39.4
#, 34.5
#,
30.8*, 30.7, 30.7*, 30.6, 30.2, 30.0*, 29.9, 29.8*, 23.4, 23.3*, 20.2, 20.1*,
18.4, 18.4*13.2, 13.2*;
*=Z異性体、
#=EおよびZが重複
【0156】
(E)異性体(3c):
1H NMR (600 MHz, DMSO-d
6) δ 0.90 (t, J=7.34 Hz, 3H), 1.06 (s, 3H), 1.32-1.40 (m, 2H), 1.44-1.56
(m, 2H), 1.56-1.72 (m, 7H), 1.84-2.14 (m, 3H), 2.79-2.85 (m, 2H), 2.86 (s, 3H),
3.45-3.60 (m, 2H), 3.75-3.96 (m, 1H), 4.10 (t, J=6.75 Hz, 2H), 4.25-4.46 (m,
1H), 4.55-4.82 (m, 1H), 6.24 (d, J = 15.6 Hz, 1H), 6.86 (br d, J=7.34 Hz, 1H),
7.02-7.29 (m, 1H), 7.79 (d, J=15.6 Hz, 1H), 8.28 (s, 1H).
HRMS-HESI (m/z) [M+H]
+ C
23H
38N
5O
5S
+の計算値, 496.2588, 実測値496.2592.
【0157】
(実施例3)
8−((1R,2R)−2−ヒドロキシ−2−メチルシクロペンチル)−2−((1−(メチルスルホニル)ピペリジン−4−イル)アミノ)ピリド[2,3−d]ピリミジン−7(8H)−オン(4)の調製
【0158】
【化45】
【0159】
方法A:3bを介しての化合物4の調製
エチル(E)−3−(4−(((1R,2R)−2−ヒドロキシ−2−メチルシクロペンチル)アミノ)−2−((1−(メチル−スルホニル)ピペリジン−4−イル)アミノ)ピリミジン−5−イル)アクリラート(3b)(4.5g、9.62mmol)およびテトラヒドロフラン(27mL)を合わせた。カリウムt−ブトキシドを含むテトラヒドロフラン(1mol/L、38.5mL、38.5mmol)を20℃の温度で添加した。反応が完了するまで、反応を45℃で加熱した。周囲温度に冷却した後、反応を水(50mL)でクエンチし、酢酸エチル(200mL)で希釈した。層を分離し、有機相をブラインで洗浄した。真空下で濃縮した後、粗溶液を酢酸エチル/ヘプタン混合物で結晶化させて、8−((1R,2R)−2−ヒドロキシ−2−メチルシクロペンチル)−2−((1−(メチルスルホニル)ピペリジン−4−イル)アミノ)ピリド[2,3−d]ピリミジン−7(8H)−オン(4)(2.1g、4.98mmol、収率52%)を得た。
【0160】
方法B:3cを介しての化合物4の調製
n−ブチル−(E)−3−(4−(((1R,2R)−2−ヒドロキシ−2−メチルシクロペンチル)アミノ)−2−((1−(メチルスルホニル)ピペリジン−4−イル)アミノ)ピリミジン−5−イル)アクリラート(3c)(32.67kg、65.9mol)および無水テトラヒドロフラン(281kg)を合わせ、50℃に加熱した。硫酸ナトリウム(32.7kg、230mol)を添加し、反応混合物を60℃に加熱した。1Mのカリウムtert−ブトキシドを含むテトラヒドロフラン(88.8kg、98.9mol)溶液を2時間かけて添加し、次いで、反応が完了するまで混合物を撹拌した。反応混合物を20℃に冷却し、トルエン(283kg)および水(327kg)を添加し、混合物を撹拌した。相を分離し、有機層を、トルエン生成物混合物中に残存するTHFが5%未満になるまで濃縮し、必要に応じて溶媒をトルエンと置き換えた。得られたスラリーを10℃で撹拌した。生成物をろ過で単離し、トルエン(2×56.6kg)で洗浄し、次いで、乾燥させて、8−((1R,2R)−2−ヒドロキシ−2−メチルシクロペンチル)−2−((1−(メチルスルホニル)ピペリジン−4−イル)アミノ)ピリド[2,3−d]ピリミジン−7(8H)−オン(4)(26.54kgのg、62.9mol、収率95%)を得た。
【0161】
材料は、米国特許第10,233,188号の実施例2の手順に従って調製した化合物と一致していた。
【0162】
(実施例4)
8−((1R,2R)−2−ヒドロキシ−2−メチルシクロペンチル)−6−ヨード−2−((1−(メチルスルホニル)ピペリジン−4−イル)アミノ)ピリド[2,3−d]ピリミジン−7(8H)−オン(5b)の調製
【0163】
【化46】
8−((1R,2R)−2−ヒドロキシ−2−メチルシクロペンチル)−2−((1−(メチルスルホニル)ピペリジン−4−イル)アミノ)ピリド[2,3−d]ピリミジン−7(8H)−オン(4)(7.5g、17.79mmol)およびN−ヨードスクシンイミド(6.0g、26.66mmol)を200mL容の反応器に装入した。アセトニトリル(75mL)を装入し、次いで、反応器を密閉し、窒素でパージした。混合物を25〜30℃で約30分間揺動した。30分後、反応器を大気開放し、p−トルエンスルホン酸水和物(0.35g、1.83mmol)を添加した。反応器を密閉し、窒素でガスシールし、反応がUPLCで約95%転化に達するまで30℃で約2時間揺動した。2時間後、反応を、5%の亜硫酸ナトリウムを含む水(5重量/重量%、150mL)でクエンチした。アセトニトリルを、最終体積が150mLになるまで蒸留した。反応を15分かけて約0℃に冷却し、約1時間揺動した。混合物を、ろ紙を備えたブフナー漏斗で真空下でろ過し、5%のアセトニトリルを含む水(各洗浄で3体積)で2回洗浄した。得られた湿潤ケーキを真空オーブンで50℃で乾燥させて、8−((1R,2R)−2−ヒドロキシ−2−メチルシクロペンチル)−6−ヨード−2−((1−(メチルスルホニル)ピペリジン−4−イル)アミノ)ピリド[2,3−d]ピリミジン−7(8H)−オン(5b)7.4g(収率76.7%、純度99.9%)を得た。
【0164】
1H NMR
(600 MHz, DMSO-d
6) δ:
8.63 (s, 0.35H), 8.59 (s, 0.65H), 8.45 (s, 1H), 8.05 (d, J = 7.2 Hz, 0.65H),
7.82 (広幅, 0.35H), 5.94-5.87 (m, 1H), 5.76 (s, 0.9H, CH
2Cl
2),
4.39 (広幅, 0.65H), 4.35 (広幅,
0.35H), 4.02 (広幅, 0.35H), 3.89 (広幅, 0.65H), 3.63 - 3.50 (m, 2H), 2.89 - 2.80 (m, 2H), 2.89 (s, 3H),
2.45 - 2.24 (広幅, 1H), 2.24 - 2.13 (広幅, 1.65H), 2.00 - 1.77 (m, 4.35H), 1.71 - 1.55 (m, 2.35H), 1.47 (m,
0.65H), 0.97 (s, 1.05H), 0.94 (s, 1.95H).
13C NMR
(150 MHz, DMSO-d
6) δ:
160.2, 159.6, 158.6, (158.5), (156.4), 156.2, 145.2, (107.2), 106.5, (87.8),
87.5, (80.4), 80.3, 64.0, (63.5), 54.8 (CH
2Cl
2), 47.4,
(47.2), (44.5), 44.3, 41.8, (41.7), 34.4, (34.1), (30.7), (30.6), 30.2, 30.1,
(27.2), 26.7, 23.7, 23.3.
微量の回転異性体の化学シフトは括弧内に記す。
【0165】
(実施例5)
6−(ジフルオロメチル)−8−((1R,2R)−2−ヒドロキシ−2−メチルシクロペンチル)−2−((1−(メチルスルホニル)ピペリジン−4−イル)アミノ)ピリド[2,3−d]ピリミジン−7(8H)−オン(1)の調製
【0166】
【化47】
【0167】
方法A:ジフルオロメチル銅錯体
適切な反応容器(A)にカリウムtert−ブトキシド(2.26g、19.7mmol)および塩化銅(I)(977mg、9.9mmol)を装入した。ジメチルホルムアミド(14.4mL)を添加し、混合物を20〜30℃で15分間撹拌した。トリメチルシリルジフルオロメタン(2.74mL、20.1mmol)を添加し、得られた混合物を20〜30℃で30分間撹拌した。8−((1R,2R)−2−ヒドロキシ−2−メチルシクロペンチル)−6−ヨード−2−((1−(メチルスルホニル)ピペリジン−4−イル)アミノ)ピリド[2,3−d]ピリミジン−7(8H)−オン(5b)(4.0g、6.6mmol)とプロピレングリコール(0.36mL、4.9mmol)とを含むジメチルホルムアミド(11.2mL)溶液を混合物に装入し、20〜30℃で16時間撹拌した。
【0168】
別の容器(B)に、カリウムtert−ブトキシド(2.26g、19.7mmol)および塩化銅(I)(977mg、9.9mmol)を装入した。ジメチルホルムアミド(14.4mL)を添加し、混合物を20〜30℃で15分間撹拌した。トリメチルシリルジフルオロメタン(2.74mL、20.1mmol)を添加し、得られた混合物を20〜30℃で30分間撹拌した。容器Bの混合物を容器Aに移し、得られた混合物をさらに20〜72時間撹拌した。
【0169】
反応混合物を、2−メチルテトラヒドロフラン(40mL)を使用して、飽和塩化アンモニウム水溶液(20mL)および35重量/重量%の塩化マグネシウム水溶液(20mL)が入っている反応器に移した。30分間撹拌した後、層を分離し、水相を2−メチルテトラヒドロフラン(20mL)で逆抽出した。トルエン(20mL)を合わせた有機物に添加し、それらを飽和塩化アンモニウム水溶液(2×40mL)および水(20mL)で洗浄した。得られた有機物をCELITE(登録商標)でろ過し、次いで、溶媒を真空下でトルエンに交換し、結晶化により、6−(ジフルオロメチル)−8−((1R,2R)−2−ヒドロキシ−2−メチルシクロペンチル)−2−((1−(メチルスルホニル)ピペリジン−4−イル)アミノ)ピリド[2,3−d]ピリミジン−7(8H)−オン(1)を灰白色固体(3.17g、収率89%)として形成した。
【0170】
(実施例6)
6−(ジフルオロメチル)−8−((1R,2R)−2−ヒドロキシ−2−メチルシクロペンチル)−2−((1−(メチルスルホニル)ピペリジン−4−イル)アミノ)ピリド[2,3−d]ピリミジン−7(8H)−オン(1)の調製
【0171】
【化48】
【0172】
方法B:亜鉛ジフルオロメチル錯体
不活性化した清浄な反応器に、8−((1R,2R)−2−ヒドロキシ−2−メチルシクロペンチル)−6−ヨード−2−((1−(メチルスルホニル)ピペリジン−4−イル)アミノ)ピリド[2,3−d]ピリミジン−7(8H)−オン(5b)(5.0g、8.312mmol、91質量%)を装入した。反応器を脱気し、窒素を3回充填した。窒素スパージしたDMPU(40mL)、続いて、プロピレングリコール(0.25当量、2.078mmol、100質量%)またはp−トルエンスルフィン酸(0.25当量)を装入した。完全な溶解が観察されるまで、混合物を撹拌した(15分)。トリフルオロメタンスルホン酸銅(II)(0.9当量、7.481mmol、98質量%)を含むDMPU(40mL、濃緑色)溶液を反応器に装入した。得られた緑黄色透明溶液を室温で10〜15分間撹拌した。Zn(CHF
2)
2(DMPU)
2(3.0当量、24.94mmol、78.76質量%)を含むDMPU(20mL、透明)溶液を装入した。得られた反応混合物を室温で24時間撹拌し、次いで、試料採取した。反応完了後、in situアッセイの収率が90〜96%であることが判明した。水を装入して過剰の亜鉛試薬をクエンチし、混合物をトルエン/EtOAc(2:1)で希釈した。NH
4OH水溶液を装入して、10%水溶液を作製した。次いで、層を分離した。次いで、有機層を、10%NH
4Cl、続いて、水および10%NaCl水溶液で洗浄した。溶媒を50℃で10Vまで蒸留すると、所望の生成物の結晶化が開始した。混合物を一晩放冷し、次いで、ろ過し、乾燥させて、6−(ジフルオロメチル)−8−[(1R,2R)−2−ヒドロキシ−2−メチル−シクロペンチル]−2−[(1−メチルスルホニル−4−ピペリジル)アミノ]ピリド[2,3−d]ピリミジン−7−オン(1)を灰白色固体(収率80〜87%)として単離した。
【0173】
(実施例7)
連続プロセスによるZn(DMPU)
2(CHF
2)
2の調製
最初に、反応器系をアルゴンスイープで不活性化した。アルゴン下の300mL容のジャケット付き反応器(連続式撹拌槽型反応器、CSTRとして)に、Zn(DMPU)
2(CHF
2)
2(1.0g、シード添加せずに同じプロセスにより小規模で調製した種結晶)、続いて、ヘキサン(20mL)を添加した。揺動しながら、CF
2HIストック溶液(ヘキサン中0.392M)、Et
2Znのヘキサン溶液(1.0M)、およびニートDMPUを、それぞれ1.40mmol/分、0.70mmol/分、および1.45mmol/分の流速で、CSTRに同時にポンプ注入した。充填量が200mLに達したら、スラリーを、PTFEチュービングヘッドを備えたぜん動ポンプを使用して、20秒オン(600rpm)、5分オフの断続的なポンピングサイクルで受容用反応器に移した。442分の実行時間の後、ポンピングを停止した。受容器中のスラリーをろ過し、ろ滓をヘキサンで3回洗浄し、恒量が得られるまでアルゴン流下で乾燥させた。合計で121gの白色粉末が得られた(収率92%)。定量
19F NMRアッセイ(C
6D
6中)は91.0重量%であった。