【解決手段】本発明は、第1の材料で作られる基板(22)であって、前記第1の材料がポリマーを含む、基板(22)と、基板(22)に堆積されるグリッド(24)であって、前記グリッド(24)が第2の材料で作られ、前記第2の材料が金属粒子を含む、グリッド(24)と、を備える、集電体(20)に関する。
前記集電体(20)が、コーティング層(26)をさらに含み、前記コーティング層(26)が、前記グリッド(24)と接触しており、積層方向に沿って前記基板(22)と重ね合わされた層のスタックを形成する、請求項1から3の何れか一項に記載の集電体。
前記コーティング層(26)が、第2の組成物(C2)に従って作られ、前記第2の組成物(C2)が、導電性材料(MC)及びバインダー材料(ML)を含み、前記導電性材料(MC)が、
−カーボン、
−カーボンブラック、
−グラファイト、
−グラフェン、
−カーボンナノチューブ、
−活性炭素繊維、
−非活性炭素ナノファイバー、
−金属フレーク、
−金属粉末、
−金属繊維、及び、
−導電性ポリマー
からなる群から選択される少なくとも1つを含む、請求項4に記載の集電体。
前記コーティング層(26)と前記グリッド(24)との全体の組立体が、15マイクロメートル以下の厚さを有し、又は、前記グリッド(24)と前記コーティング層(26)とによって構成される積層体が、15マイクロメートル以下の厚さを有する、請求項5から8の何れか一項に記載の集電体。
前記グリッド(24)と接触してコーティング層(26)を堆積するための追加の段階を含み、前記コーティング層(26)が、導電性材料(MC)及びバインダー材料(ML)を含む組成物(C2)を堆積することによって生成される、請求項13に記載の集電体(20)の製造方法。
【発明を実施するための形態】
【0019】
蓄電池10は、他の蓄電池に接続されて所望の電圧及び静電容量の発電機を形成するように意図されている。そのような発電機は、蓄電池又は単に電池と呼ばれる。
【0020】
蓄電池10は、エネルギーを蓄積し、その後それを放出するために可逆的エネルギー変換技術を使用する。
【0021】
記載された蓄電池10は、電気化学反応を使用し、蓄電池10は、電気化学蓄電池である。
【0022】
提供された例では、蓄電池10は、リチウムイオン電池用のリチウムイオン蓄電池である。
【0023】
変形例として、蓄電池10は、他の技術に対応し、次のタイプの蓄電池である:鉛−酸、ニッケル−カドミウム(NiCd)、ニッケル−金属水素化物(NiMH)、ニッケル−亜鉛(NiZn)、ナトリウム−硫黄(NaS)、ナトリウムイオン(Na−イオン)、リチウム金属ポリマー(LMP)、リチウムポリマー(Li−Po)、リチウム−硫黄(Li−S)、又は、ニッケル−リチウム(Ni−Li)。そのような群は、非限定的であることを意図している。
【0024】
図1の場合、蓄電池10は、電解質12、アノード14及びカソード16を含む。
【0025】
電解質12、アノード14及びカソード16の間の相互作用は、蓄電池10が電気化学蓄電池として動作することを可能にする。
【0026】
電解質12は、イオンの可溶化を可能にするために、ファラデー又は電荷蓄積反応に使用されるイオンをもたらす様々なイオン塩、カーボネート及び溶媒又は溶媒混合物からなる。
【0027】
リチウムイオン蓄電池において、イオン塩は、例えば、リチウムヘキサフルオロホスフェート(LiPF
6)、リチウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)の塩、イミド(LiTFSI)、リチウムテトラフルオロボレート(LiBF
4)、及び、リチウムビス(シュウ酸)ボレート(LiBOB)、リチウムジフルオロ(オキサラト)ボレート(LiDFOB)である。
【0028】
カーボネートは、例えばプロピレンカーボネート(PC)、エチレンカーボネート(EC)、ジメチルカーボネート(DMC)、エチルメチルカーボネート(EMC)又はジエチルカーボネート(DEC)である。
【0029】
より少ない割合で、酢酸メチル若しくはギ酸メチル、アセトニトリル、テトラヒドロフラン、又は、ガンマ−ブチロラクトン、及び、後者の二成分若しくは三成分若しくは四成分混合物、並びに、イオン液体を見出すことも可能である。
【0030】
以下では、記載された全ての要素がアノードの組成のみを適合させることによってアノード14にも等しく有効であることを理解して、カソード16のみがより具体的に記載される。
【0031】
カソード16は、電極18及び集電体20を含む。
【0032】
電極18は、集電体20上に堆積された層である。
【0033】
電極18は、電解質12と接触している。
【0034】
集電体20の一例が
図2に概略的に表されている。
【0035】
集電体20は、基板22と、基板22に接触しているグリッド24とを備える。
【0036】
基板22は、平面層、すなわち主に1つの平面内に延在する層である。
【0037】
その平面に垂直な方向が積層方向である。
図2では、積層方向を軸Zで表している。また、以下では、積層方向を積層方向Zと表記する。便宜上、
図2では、軸X及びYに対応する2つの横方向も定義され、横方向のそれぞれは、積層方向Zに対して垂直であり、かつ互いに垂直である。第1の横方向Xは、
図2の平面に対して垂直であり、第2の横方向Yは、
図2の平面内にある。
【0038】
さらに、定義により、層又は要素の厚さは、積層方向Zに沿った寸法である。
【0039】
基板22は、18マイクロメートル(μm)以下の厚さを有する。
【0041】
「可撓性」という用語は、これに関連して、基板22が金属基板よりも可撓性であることを意味すると理解されるべきである。
【0042】
基板22は、第1の材料M1で作られる。
【0043】
第1の材料M1は、ポリマー又はポリマーの混合物を含む。
【0044】
以下では、簡単にするために、用語「ポリマー」は、単一のポリマー及びポリマーの混合物の両方を意味するために使用される。
【0045】
第1の材料M1は、ポリマーであるか、又はそれからなる。
【0046】
いくつかの実施形態では、ポリマーは、多孔質である。
【0047】
変形例として、第1の材料M1は、紙又は布地である。
【0048】
例として、第1の材料M1は、PETとも呼ばれるポリ(エチレンテレフタレート)である。
【0049】
より一般的には、第1の材料M1は、以下の化合物からなる群から選択された少なくとも1つの材料である:ポリアクリレート(AA)、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン(ABS)、エチレンビニルアルコール(E/VAL)、フッ素化エチレンプロピレン(FEP)、ペルフルオロアルコキシ(PFA)、クロロトリフルオロエチレン(CTFE)、耐衝撃性ポリスチレン(HIPS)、メラミンホルムアルデヒド(MF)、液晶ポリマー(LCP)、ポリアセタール(POM)、アクリロニトリル(PAN)、フェノール−ホルムアルデヒドプラスチック(PF)、ポリアミド(PA)、ポリアミドイミド(PAI)、ポリアリールエーテルケトン(PAEK)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、シス1,4−ポリブタジエン(PBD)、トランス1,4−ポリブタジエン(PBD)、ポリ1−ブテン(PB)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリカプロラクタム、ポリカーボネート(PC)、ポリカーボネート/アクリロニトリルブタジエンスチレン(PC/ABS)、ポリ2,6−ジメチル−1,4−フェニレンエーテル(PPE)、ポリジシクロペンタジエン(PDCP)、ポリエステル(PL)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリエーテルイミド(PEI)、ポリエチレン(PE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、中密度ポリエチレン(MDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)、超高密度ポリエチレン(UHDPE)、ポリエチレンクロリネート(PEC)、ポリ(エチレングリコール)(PEG)、ポリエチレンヘキサメチレンジカルバメート(PEHD)、ポリエチレンオキシド(PEO)、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリエチレンスルフィド(PES)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、フェノール樹脂(PF)、ポリヘキサメチレンアジパミド(PHMA)、ポリヘキサメチレンセバミド(PHMS)、ポリヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)、ポリイミド(KAPTONなどのPI)、ポリイソブチレン(PM)、ポリケトン(PK)、ポリ乳酸(PLA)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリメチルペンテン(PMP)、ポリメタクリルスチレン(PMMS)、ポリパラメチルスチレン(PPMS)、ポリオキシメチレン(POM)、ポリペンタメチレンヘキサメチレンジカルバメート(PPHD)、ポリ(m−フェニレン)、イソフタルアミド(PMIA)、ポリフェニレンオキシド(PPO)、ポリパラフェニレンスルフィド(PPS)、ポリパラフェニレンテレフタルアミド(PPTA)、ポリフタルアミド(PTA)、ポリプロピレン(PP)、ポリプロピレンオキシド(PPDX)、ポリスチレン(PS)、ポリスルホン(PSU)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリ(トリメチレンテレフタレート)(PTT)、ポリウレタン(PU)、ポリビニルブチラール(PVB)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリ塩化ビニリデン(PVDC)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリビニルメチルエーテル(PVME)、ポリ(ビニルピロリドン)(PVP)、シリコーン(SI)、スチレン−アクリロニトリル樹脂(SAN)、熱可塑性エラストマー(TPE)、熱可塑性ポリマー(TP)、及び、尿素−ホルムアルデヒド(UF)。
【0050】
有利には、第1の材料M1は、160℃までの温度で使用することができる。
【0051】
他の第1の材料M1の使用は、高温、例えば300℃までの温度での安定性のそのような特性を強化することを可能にする。
【0052】
例えば、第1の材料M1は、少なくとも1つのアミド官能基及び/又は少なくとも1つのイミド官能基を含むポリマーである。
【0053】
機能的観点から、グリッド24は、導電性ネットワークとして機能する。
【0054】
構造的には、グリッド24は、内部区域を画定する要素である。
【0055】
図示の例によれば、この区域は、孔に対応する。
【0056】
変形例として、区域は、グリッド24と同じ材料で作られ、グリッド24の厚さより薄い厚さを有する。
【0057】
グリッド24は、基本パターン、すなわち、グリッドの広がり全体にわたる基本パターンの繰り返しで構成されるタイル張りである。
【0058】
図3から
図8を参照して、複数の形状のグリッド24、特に複数の基本パターンを考えることができる。
【0059】
図3の基本パターンは正方形であり、
図4の基本パターンは三角形であり、
図5の基本パターンは肺胞であり、
図6の基本パターンはその反対側の頂点がセグメントによって接続されている肺胞であり、
図7の基本パターンは、四角形は、対辺の中央がセグメントによって接続されている四角形であり、
図8の基本パターンは、対角線を備えた四角形である。
【0060】
より一般的には、基本パターンは、点の有限集合であり、そのいくつかの点は、セグメントによって接続されている。
【0061】
グリッド24は、15マイクロメートル以下、有利には5マイクロメートル未満、好ましくは3マイクロメートル未満の厚さを有する。
【0062】
グリッド24は、第2の材料M2で作られる。
【0063】
グリッド24は、液体インク又は第1の組成物C1の形態で堆積される。
【0064】
このようにして、グリッド24が基板22に堆積される。
【0065】
前記第1の組成物C1は、以下から選択される第2の材料M2(第2の材料M2は、バインダー等の追加の要素の存在下、その全体が第1の組成物C1を形成してもよい)を含む:
−導電性金属及び合金、特に金、銀、銅、アルミニウム、ニッケル、パラジウム、白金、チタン、鉄、亜鉛、マンガン、クロム、バナジウム又はステンレス鋼、及び、
−銅−、アルミニウム−、インジウム−、及び、酸化錫等の金属酸化物、フッ素化酸化錫、酸化錫、酸化亜鉛又はそれらの混合物。
【0066】
より好ましくは、第1の組成物C1は、金属粒子を含む。
【0067】
記載の例によれば、第1の組成物C1は、金属粒子を含む。
【0068】
そのような粒子は、任意の種類の形状を有し得る。好ましくは、粒子は球形である。
【0069】
各粒子について、直径は、粒子の表面上の2点間の最大距離として定義される。
【0070】
直径は、例えば、レーザー粒度計技術によって測定される。
【0071】
レーザー回折粒子サイズ測定技術は、レーザー光線が分散粒子のサンプルを通過する際の散乱光強度の角度変化を測定することによって粒子サイズ分布を測定する。大きな粒子は、レーザー光線に対して小さな角度で光を散乱させ、小さな粒子は、より高い角度で光を散乱させる。
【0072】
第1組成物C1の粒子のうち、各粒子の直径は、100ミクロン以下である。
【0073】
好ましくは、粒子は、ナノ粒子である。
【0074】
ナノ粒子は、各寸法が100ナノメートル未満の粒子である。
【0075】
第1の組成物C1は、特にスクリーン印刷、フレキソ印刷、グラビア印刷、オフセット印刷又はインクジェット印刷を含む印刷方法によって基材22上に堆積され、それによって金属粒子をベースとする組成物のコーティングを施すことが可能になる。
【0076】
蓄電池10の動作は、従来技術の電気化学蓄電池の動作に従う。
【0077】
簡単に要約すると、集電体20は、ポリマーの比較的薄い基板22と、比較的薄い厚さのグリッド24の形態の金属ナノ粒子の導電層とから形成されている。
【0078】
その結果、このような集電体20は、基板22上に堆積される材料に関して節約を得ることを可能にし、それは質量を減少させることを可能にする。
【0079】
質量に関する利得も、金属シートの代わりにポリマー材料である基板22から得られる。実際に、金属の密度は、ポリマー材料の密度より少なくとも2倍大きい。例えば、銅の密度は、8.9g/cm
3(グラム/立方センチメートル)であり、一方、PETの密度は1.3g/cm
3である。
【0080】
これにより、集電体20の良好な程度の導電性を維持しながら、標準的な集電体よりも薄く、軽く、より柔軟な集電体20を得ることが可能になる。
【0081】
さらに、印刷されたポリマー基材の使用によって提供される柔軟性は、より薄く、その使用に伴う制約に対してより耐性のある基板を想定することを可能にする。
【0082】
金属粒子の使用はまた、組成物C1では金属密度がより低いため、質量を減らすことを可能にする。
【0083】
加えて、その結果、特に3μm未満の厚さを有さない、沈着可能で十分に導電性の金属シートに関して、グリッド24の厚さが減少する。
【0084】
さらに、金属シートに関しては、提案された堆積モード及び金属粒子の使用は、より大きな柔軟性を提供する。一方では、グリッド24に対して異なる形状又はメッシュのいくつかのパターンが可能であり、他方では、より多くの種類の材料及び組成物C1が利用可能である。
【0085】
これにより、特に導電性、基板22への接着性、又は重量に関して、グリッド24の特性を単純に変更することによって集電体20の特性を最適化することを考えることが可能になる。
【0086】
さらに、金属粒子を結合するのに役立つ結合材料を形成する1つ又は複数のバインダーによっても、ゲート24の基板22への接着を容易にすることが可能になることに留意されたい。
【0087】
従って、より高いエネルギー密度で動作するように適合されている集電体20を得ることが可能であり得る。
【0088】
この特性は、「経験」のセクションに示されているように、出願人によって実験的に実証されている。
【0089】
さらに、このような集電体は製造が容易である。これは、集電体20を製造する方法の一例の例示的な動作上の実施を説明する際に特に明らかになる。
【0090】
この製造方法は、印刷技術、特にロータリースクリーン印刷を使用することによって基板上にグリッドを堆積することを含む。
【0092】
集電体20はまた、基板22及びグリッド24を含む。
【0093】
図2に示される基板22及び集電体20のグリッド24に関する言及は、
図9に示される基板22及び集電体20のグリッド24にも当て嵌る。これらの言及は、以下では繰り返されない。
【0094】
集電体20は、さらにコーティング層26を含み、コーティング層26は、グリッド24と接触しており、積層方向Zに沿って基板22と重ね合わされた層の積層体を形成する。
【0095】
コーティング層26は、10μm以下、有利には5μm未満、好ましくは2μm未満の厚さを有する。
【0096】
場合によっては、コーティング層26は、グリッド24が現れるようにグリッド24の厚さより薄い厚さを有する。
【0097】
積層体は、グリッド24とその上に重ねられたコーティング層26とから構成され、この積層体は、15μm以下、好ましくは3μm未満の厚さを有する。
【0098】
コーティング層26は、第2の組成物C2に従って又はそれに基づいて作られる。
【0099】
第2の組成物C2は、導電材料MC及びバインダー材料MLを含む。
【0100】
第2の組成物C2は、導電材料MC及びバインダー材料MLからなる。
【0101】
バインダー材料MLの選択は、バインダー材料MLが第2の組成物C2の他の材料に対して不活性である限り、かなり変わり得る。バインダー材料MLは、熱可塑性ポリマー、熱硬化性ポリマー、エラストマー及びそれらの混合物の中から選択される1つ又は複数のポリマーを含む。
【0102】
熱可塑性ポリマーの例としては、ポリオレフィン(ポリエチレン又はポリプロピレンを含む)のような脂肪族又は脂環式ビニルモノマーの重合から誘導されるポリマー、ポリスチレン等のビニル芳香族モノマーの重合から誘導されるポリマー、アクリル系モノマー及び/又は(メタ)アクリレートの重合から誘導されるポリマー、ポリアミド、ポリエーテルケトン、ポリイミド、ポリビニルアルコール、フッ素化ポリマー、及び、ポリアクリロニトリルが挙げられるが、これらに限定されない。
【0103】
熱硬化性ポリマーの例としては、任意にポリウレタン又はポリエーテルポリオールと混合した、又はその逆の、熱硬化性樹脂(エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂等)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0104】
エラストマーポリマーの例としては、天然ゴム、合成ゴム、スチレン−ブタジエンコポリマー(略語「SBR」としても知られる)、エチレン−プロピレンコポリマー(略語「EPM」としても知られる)、シリコーンが挙げられるが、これらに限定されない。
【0105】
バインダー材料MLは、熱可塑性ポリマー、熱硬化性ポリマー及び/又はエラストマーポリマーを含み、又は、それらの混合物である。
【0106】
他の適切なバインダー材料MLは、カルボキシル基を有するポリマー及び架橋剤から作られたものなどの架橋ポリマーを含む。
【0107】
第2の組成物C2のバインダー結合材料MLについてなされたばかりの言及は、コーティング層26が存在しない実施形態におけるものを含んで、第1の組成物C1が金属粒子及びバインダー材料を含む場合にも当て嵌ることに留意されたい。
【0108】
特に、そのような第1の組成物C1のバインダー材料は、熱可塑性ポリマー、熱硬化性ポリマー、エラストマー及びそれらの混合物から選択される1つ又は複数のポリマーを含む。
【0109】
バインダー材料MLの含有量は、30重量%以上である。混合物中の元素Xの重量含有量又は重量による含有量は、元素Xの重量と混合物中の全元素の重量との間の比である。
【0110】
好ましくは、バインダー材料MLの含有量は、80重量%以下である。
【0111】
有利には、バインダー材料MLの含有量は、40重量%から70重量%である。
【0112】
導電性材料MCは、導電性を高めるために1種類又は複数の種類の導電性要素を含む。
【0113】
導電性要素の例としては、導電性カーボン、カーボンブラック、グラファイト、グラフェン、カーボンナノチューブ、活性炭素繊維、非活性炭素ナノファイバー(ナノファイバーは、1μm未満の寸法を有する繊維)、金属フレーク、金属粉末、金属繊維及び導電性ポリマーが挙げられるが、これらに限定されない。
【0114】
第2の導電材料MCの含有量は、20重量%以上である。
【0115】
好ましくは、第2の導電材料MCの含有量は、70重量%以下である。
【0116】
有利には、第2の導電材料MCの含有量は、30重量%から60重量%の間である。
【0117】
第2の実施形態に係る集電体20の動作は、第1の実施形態に係る集電体20の動作と同様である。
【0118】
コーティング層26は、グリッド24を保護するための層である。
【0119】
より正確には、コーティング層26は、電解質、活性電荷又は溶媒等の腐食性成分と接触している金属粒子の劣化を防ぐ。
【0120】
これはまた、特に蓄電池の他の構成要素における金属粒子の溶解を防ぐことを可能にする。
【0121】
一方、コーティング層26は、活物材料の層と集電体20との間の密着性及び界面を改善することを可能にする。
【0122】
そのような接触の改善は、電極の導電率を増加させることを可能にする。これは、グリッド24の内部領域の厚さをさらに減少させるか、又は表面積を増加させることが可能になり、その結果、集電体20の製造に含まれる材料の量が減少し、それによって製造コストが減少することを意味する。
【0123】
コーティング層26の保護能力により、腐食の危険性のためにコーティング層26が存在しない場合に使用することができなかったグリッド24用の材料を想定することが可能になることにも留意されたい。
【0124】
従って、向上した特性を有する金属粒子の使用によってもたらされる追加の利点から利益を得ることが可能である。
【0125】
グリッド24を複数の金属材料で製造することを提案することも考えられ、それはまた、材料の原価を下げながら、同時に集電体20の導電性を維持するか、又は実際にはさらに改善することを可能にする。
【0126】
コーティング層26を使用することにより、他の金属で被覆又はめっきされた金属粒子からグリッド24を製造することも可能になる。特定の例は、銀で被覆されたアルミニウム又は銅粒子である。そのような金属粒子は、改善された導電性を示す。
【0127】
このような集電体20の製造方法の一例の実施例を説明することで明らかとなるので、このような集電体20は、製造が容易である。
【0128】
この製造方法は、前述の段階に加えて、コーティング層26を形成するための追加の段階を含む。
【0129】
形成する段階は、第2の組成物C2を提供する段階及びコーティング塗布する段階を含む。
【0130】
形成する段階は、例えば、グリッド24が設けられた基板22に塗布される第2の組成物C2の被覆技術によって行われる。コーティング層26を形成する段階は、好ましくは、特にスロットダイ、グラビア印刷、スクリーン印刷及びフレキソ印刷から選択される湿式プロセスを使用することによって、ローラーコーティング又は印刷の技術によって行われる。
【0133】
変形例として、集電体20は、電気化学的蓄電池の代わりにスーパーキャパシタの一部である。
【0134】
特に、スーパーキャパシタは、水性、有機性及びイオン性液体ベースの電解質を有するスーパーキャパシタである。
【0135】
より一般的には、集電体20は、電気エネルギー貯蔵装置に有利に使用される。
【0136】
経験:
2つの集電体を比較するために、出願人によって実験が行われた。
【0137】
第1の集電体は、コーティング層で被覆された20ミクロンの厚さを有するアルミニウムシートを含む集電体である。コーティング層は、炭素系材料からなる。より具体的には、コーティング層の材料は、70重量%の熱可塑性ポリマー及び30重量%のカーボンブラックを含む。コーティングの乾燥後のコーティング層の厚さは、1μmから1.5μmの間である。
【0139】
第2の集電体20は、
図9による集電体20である。
【0140】
基板22の第1の材料M1は、PETである。基板22の厚さは、18μmである。
【0141】
グリッド24は、
図8のパターンで作られる。第2の材料M2は、50から60重量%の銀ナノ粒子とバインダーとを含むインクである。
【0142】
第2の組成物C2は、第1の集電体の場合にコーティング層を形成するために使用される組成物と同一である。
【0143】
グリッド24及びコーティング層26は、3.5ミクロンの厚さを有する。
【0144】
各集電体を用いて、電気化学セルが形成される。
【0145】
従って、第1の電気化学セルは、第1の集電体、正極、セパレータ、負極、アルミニウム集電体から形成される。
【0146】
同様に、第2の電気化学セルは、第2の集電体、正極、セパレータ、負極、アルミニウム集電体から形成される。
【0147】
いずれの場合も、正極は、炭素とバインダーで被覆された活物質から作られる。活物質は、ブラックカーボンでコーティングされたLiFePO
4であり、バインダーは、PVDFとしても知られるポリフッ化ビニリデンである。
【0148】
セパレータは、ポリプロピレン膜である。膜をエチレンカーボネート及びジエチルカーボネート中の六フッ化リン酸リチウム電解質(LiPF
6 EC DECとしても知られている)で含浸する。
【0149】
負極は、Li
4Ti
5O
12(LTO)で作られる。
【0150】
アルミニウム集電体は、シート状である。
【0151】
従って、これにより、第2の電気化学セルと比較される第1の電気化学セルを得ることが可能になる。
【0152】
各電気化学セルは、ストレインバッグ型であり、アルミナイズドフレキシブルエンベロープ型容器の内側に配置されている。
【0153】
2つのセルの電気化学的性能は、VMP3マルチポテンショスタット(Biologic)によって特徴付けられた。
【0154】
C/10速度(C/nは、n時間で最大容量までバッテリーを(アン)ロードするために使用される電流レベルに対応する)。で2.05ボルト(V)から1.0ボルトの間の3つのトレーニングサイクルは、負極上に固体電解質界面相層(SEIとも呼ばれる)を形成し、両方の電極が完全に機能的であることを確実にするために実施された。理論容量を用いてC/10速度を計算した。
【0155】
その後、2つのセルを50%の充電状態(しばしば「SOC」と呼ばれ、これは「充電状態(state of charge)」を意味する)でリサイクルし、1時間静置して安定した電位を確保した。
【0156】
次いで、電気化学インピーダンス分光スペクトル(EISとも呼ばれる)を、5ミリボルト(mV)の振幅で500キロヘルツ(kHz)から10ミリヘルツ(mHz)の周波数範囲にわたって記録した。
【0157】
電気化学インピーダンス分光法は、とりわけ、電気化学セルの電流/電極/電解質集電体界面における電気化学的及び物理的現象を研究するために使用される技術である。
【0158】
電気化学インピーダンス分光法は、定常及び線形条件下でのこれらの電気化学システムの伝達関数の研究に基づいている。非線形システムでそのような条件に置かれるためには、小振幅摂動が想定される定常動作点(平衡システム)の周りに適用される。
【0159】
出願人によって行われた実験では、インピーダンス測定は、セルが静止しているとき、2つの電極の間の電位差に対応する電気化学セルの平衡電圧の周りに5mVの振幅の正弦波電位摂動を印加することによって行われた。
【0160】
ナイキスト平面でのインピーダンスの表現は、研究されたセルに含まれる様々な現象を強調することを可能にすることに留意されたい。
【0161】
実際に、インピーダンススペクトルは、電気化学セル内の異なる寄与に対応し、従って、いくつかの現象の存在の兆候である:電気化学セルと集電体との組立体から生じる接触抵抗、電荷移動の抵抗、又は、電極内でのLi+イオンの拡散。結果として得られる集電体の抵抗を比較するために、上述の寄与のすべてによって得られる半円の幅に対応する2つの異なる周波数点間の差が測定され、それは、インピーダンスとも呼ばれる抵抗を得ることを可能にする。
【0162】
次に、放電能力の研究を、C/10とCとの間でセルを放電することによって実施し、セルの電荷をそれぞれその放電と同じ状況に固定した。
【0163】
実験プロトコルは、以下の結果をもたらした。
【0164】
第2のセルのインピーダンス(16.64Ω・cm
2)は、第1のセルのインピーダンス(24.72Ω・cm
2)よりも低くなっている。電解質、正極層及び負極は同一であるため、集電体20の寄与のみでインピーダンスの向上を説明することができる。
【0165】
さらに、C/10とCの間の性能調査の結果から電気的測定が行われた。
【0168】
前の表(Ragoneダイアグラムの値を示している)は、エネルギーの質量密度が第1のセルと比較して第2のセルの方が優れていることを示している。これは、集電体10の明度によってもたらされる利得を強調する。アノード及びカソードの両方の集電体10を使用する場合には、その利点はより顕著になり得る。
【0169】
さらに、この結果は、集電体10を用いて得られた質量の増加によって引き起こされる集電体10を含む電気化学セルの電気化学的性能の改善を実証する。