特開2020-9767(P2020-9767A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2020-9767(P2020-9767A)
(43)【公開日】2020年1月16日
(54)【発明の名称】回路遮断器の開閉機構
(51)【国際特許分類】
   H01H 21/36 20060101AFI20191213BHJP
   H01H 73/24 20060101ALI20191213BHJP
   H01H 3/46 20060101ALI20191213BHJP
【FI】
   H01H21/36 L
   H01H73/24 C
   H01H3/46
【審査請求】有
【請求項の数】8
【出願形態】OL
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2019-127523(P2019-127523)
(22)【出願日】2019年7月9日
(31)【優先権主張番号】10-2018-0080188
(32)【優先日】2018年7月10日
(33)【優先権主張国】KR
(71)【出願人】
【識別番号】593121379
【氏名又は名称】エルエス産電株式会社
【氏名又は名称原語表記】LSIS CO.,LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】100091982
【弁理士】
【氏名又は名称】永井 浩之
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100105153
【弁理士】
【氏名又は名称】朝倉 悟
(74)【代理人】
【識別番号】100107582
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 毅
(74)【代理人】
【識別番号】100217940
【弁理士】
【氏名又は名称】三並 大悟
(72)【発明者】
【氏名】イム、ジョンジェ
(72)【発明者】
【氏名】オ、ギファン
【テーマコード(参考)】
5G030
5G219
【Fターム(参考)】
5G030FA02
5G030FB14
5G030FE06
5G030YY02
5G219GS35
5G219HT01
5G219HU13
5G219JU04
5G219KS11
5G219KU52
5G219KW03
5G219NS01
(57)【要約】
【課題】クロスバーとケースの装着部間の摩擦を低減し、遮断性能を最大限発揮できるようにした回路遮断器の開閉機構を提供する。
【解決手段】本発明の一実施形態による回路遮断器の開閉機構は、ケースと、前記ケースに固定された側板に回動可能に結合されるハンドルと、前記ハンドルの下部に結合されるユーピン(U pin)と、前記ユーピンに結合されて移動するレバーと、前記ケースから突設される装着部に垂直移動可能に設けられ、前記レバーの接圧力を受けて移動するクロスバーとを含み、前記レバーの下面には曲面状に形成される接圧部が設けられ、遮断時に前記クロスバーを垂直下方に押すようにすることを特徴とする。
【選択図】図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケースと、
前記ケースに固定された側板に回動可能に結合されるハンドルと、
前記ハンドルの下部に結合されるユーピン(U pin)と、
前記ユーピンに結合されて移動するレバーと、
前記ケースから突設される装着部に垂直移動可能に設けられ、前記レバーの接圧力を受けて移動するクロスバーとを含み、
前記レバーの下面には曲面状に形成される接圧部が設けられ、遮断時に前記クロスバーを垂直下方に押すようにすることを特徴とする回路遮断器の開閉機構。
【請求項2】
前記装着部には、前記クロスバーが上下に移動できるように、一字溝状に形成される切欠部が設けられることを特徴とする請求項1に記載の回路遮断器の開閉機構。
【請求項3】
前記クロスバーの上面には、前記レバーに接する頭部が突設されることを特徴とする請求項1に記載の回路遮断器の開閉機構。
【請求項4】
前記頭部の内側角部は、曲面状に形成されることを特徴とする請求項3に記載の回路遮断器の開閉機構。
【請求項5】
前記接圧部は、頂点から傾斜面へ行くほど曲率半径が大きくなる第1曲面部を含むことを特徴とする請求項1に記載の回路遮断器の開閉機構。
【請求項6】
前記第1曲面部の傾斜面の一部には、変曲点を有する変曲部が形成されることを特徴とする請求項5に記載の回路遮断器の開閉機構。
【請求項7】
前記接圧部は、前記第1曲面部から所定距離離隔して形成される第2曲面部をさらに含むことを特徴とする請求項5に記載の回路遮断器の開閉機構。
【請求項8】
前記第2曲面部は、前記第1曲面部より低く形成されることを特徴とする請求項7に記載の回路遮断器の開閉機構。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回路遮断器に関し、特に回路遮断器の開閉機構に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、回路遮断器(以下、単に遮断器ともいう)は、送変電線路や電気回路の一部に設けられ、負荷を開閉したり、短絡などの事故が発生した場合に回路を遮断することにより、電気施設及び負荷を保護する電気機器である。
【0003】
そのうち、小型遮断器(小型配線用遮断器)は、交流110/220Vの低圧回路(15〜30A)を構成する小型分電盤内に設けられ、過電流保護、短絡保護のために用いられる。小型遮断器は、家庭、商店、事務所、デパートなどの分電盤内にスイッチとして内蔵され、1箇所で複数の負荷を便利に開閉できる装置である。また、工作機械、工場設備などにおいて、機器の電源を開閉する用途にも用いられる。
【0004】
小型遮断器は、産業用に用いられる一般の回路遮断器と同様に、固定接点と可動接点とからなる接点部、接点部の開閉を可能にする開閉機構、異常電流を検出する検出機構部、過電流や短絡電流などの異常電流発生時に開閉機構を開離させることにより線路や負荷を保護するトリップ部、遮断時に発生するアークを消弧及び冷却させるように機能する消弧部などから構成される。
【0005】
図11に従来技術による小型遮断器を示す。同図は上部のカバーを除去した状態である。外部との絶縁を保持し、各部品の位置を固定して支持するためのケース1と、電源又は負荷に接続される端子部2と、ハンドル3とを含む開閉機構、固定接触子4と可動接触子5とを含む接点部、バイメタル14とトリップバー11とを含むトリップ部などを示す。
【0006】
図12及び図13に従来技術による小型遮断器の開閉機構アセンブリを示す。図12は開放状態であり、図13は通電状態である。
【0007】
開閉機構は、側板6の上部に回動可能に結合されるハンドル3、側板6の一側に回動可能に結合されるトリップバー11、トリップバー11の軸となるトリップバーピン12、トリップバー11に復帰力を与えるトリップバースプリング13、ハンドル3の下部に結合されてレバー8を作動させるユーピン(U pin)7、ユーピン7に連結されて動作してクロスバー9を作動させ、一端がトリップバー11に拘束されるレバー8などから構成される。
【0008】
以下、従来技術による小型遮断器における投入動作について説明する。
【0009】
ユーザがハンドル3に反時計方向の力F1を加えると、ハンドル3が回動軸10を中心に回動する。ハンドル3の下部に結合されたユーピン7は、ハンドル3の力を受けて移動する。ここで、ユーピン7がハンドル3に結合された部分が回動軸10の左下方に位置するので、ユーピン7は右下向きの力F2を受ける。よって、ユーピン7の上端部は右下方に移動し、ユーピン7の下端部は側板6の溝に沿って下方に移動する。
【0010】
一方、ユーピン7がレバー8の中央部に結合されているので、ユーピン7が下方に移動しながらレバー8をユーピン7と共に下方に移動させる。レバー8は、クロスバー9に接触した状態であるので、下方に移動しながらクロスバー9をレバー8と共に移動させる。可動接触子5がクロスバー9により下方に押されて固定接触子4に接触し、図13の通電状態となる。
【0011】
ここで、クロスバー9は、レバー8の中心(レバーとユーピンの結合部分)より左側に配置される。よって、レバー8がクロスバー9に作用する力F3は、左下方に作用する。一方、クロスバー9は、ケース1から突設された装着部1aに垂直に形成された作動溝1bに上下移動可能に設けられる(図14参照)。よって、クロスバー9の移動方向は垂直下方であるのに対して、クロスバー9がレバー8から受ける力F3の方向は左下方であるので、クロスバー9が作動溝1b内で上下に滑らかに移動することができず、上端部、下端部がねじれて作動溝1bとの摩擦を起こす。すなわち、遮断性能の損失をもたらす。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明は、上記問題を解決するためになされたものであり、クロスバーとケースの装着部間の摩擦を低減し、遮断性能を最大限発揮できるようにした回路遮断器の開閉機構を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の一実施形態による回路遮断器の開閉機構は、ケースと、前記ケースに固定された側板に回動可能に結合されるハンドルと、前記ハンドルの下部に結合されるユーピン(Uピン)と、前記ユーピンに結合されて移動するレバーと、前記ケースから突設される装着部に垂直移動可能に設けられ、前記レバーの接圧力を受けて移動するクロスバーとを含み、前記レバーの下面には曲面状に形成される接圧部が設けられ、遮断時に前記クロスバーを垂直下方に押すようにすることを特徴とする。
【0014】
ここで、前記装着部には、前記クロスバーが上下に移動できるように、一字溝状に形成される切欠部が設けられることを特徴とする。
【0015】
また、前記クロスバーの上面には、前記レバーに接する頭部が突設されることを特徴とする。
【0016】
さらに、前記頭部の内側角部は、曲面状に形成されることを特徴とする。
【0017】
さらに、前記接圧部は、頂点から傾斜面へ行くほど曲率半径が大きくなる第1曲面部を含むことを特徴とする。
【0018】
さらに、前記第1曲面部の傾斜面の一部には、変曲点を有する変曲部が形成されることを特徴とする。
【0019】
さらに、前記接圧部は、前記第1曲面部から所定距離離隔して形成される第2曲面部をさらに含むことを特徴とする。
【0020】
さらに、前記第2曲面部は、前記第1曲面部より低く形成されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0021】
本発明の一実施形態による回路遮断器の開閉機構によれば、クロスバーはレバーの接圧部により遮断時に垂直下向きの力を受けて垂直下降運動をする。
【0022】
このような垂直下降運動は、レバーの接圧部に形成される第1曲面部により引き起こされる。さらに、レバーのプレート又は第2曲面部により補助される。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本発明の一実施形態による回路遮断器の内部斜視図である。
図2図1の開閉機構の分解斜視図である。
図3図2のレバーの詳細斜視図である。
図4図2のレバーの部分正面図である。
図5図1の開閉機構の開放状態を示す作用図である。
図6図1の開閉機構の通電状態を示す作用図である。
図7図5図6間の作用過程におけるレバーとクロスバーの作用状態を示す図である。
図8図5図6間の作用過程におけるレバーとクロスバーの作用状態を示す図である。
図9図5図6間の作用過程におけるレバーとクロスバーの作用状態を示す図である。
図10図7図9のレバーとクロスバーの作用状態を動的に示す図である。
図11】従来技術による回路遮断器の内部斜視図である。
図12図11の開閉機構の開放状態を示す作用図である。
図13図11の開閉機構の通電状態を示す作用図である。
図14図11のクロスバーの作動状態を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、添付図面を参照して本発明の好ましい実施形態について説明するが、これは本発明を詳細に説明するためのものであり、本発明の技術的思想及び範囲を限定するものではない。
【0025】
図面を参照して、本発明の各実施形態による回路遮断器の開閉機構について詳細に説明する。
【0026】
図1は本発明の一実施形態による回路遮断器の内部斜視図であり、図2図1の開閉機構の分解斜視図である。
【0027】
本発明の一実施形態による回路遮断器の開閉機構は、ケース20と、ケース20に設けられた側板30に回動可能に結合されるハンドル55と、ハンドル55の下部に結合されるユーピン45と、ユーピン45に結合されて移動するレバー50と、ケース20の装着部22に垂直移動可能に設けられ、レバー50の力を受けて移動するクロスバー40とを含み、レバー50の下面には曲面状に形成される接圧部54が設けられ、遮断時にクロスバー40を垂直下方に押すようにすることを特徴とする。
【0028】
本発明の一実施形態による遮断器の外形を形成する筐体(enclosure)は、箱状に形成されると共に、上面が開放されるケース20と、下面が開放されてケース20の上部に結合されるカバー(図示せず)とから構成されてもよい。
【0029】
ケース20には、固定接触子70と可動接触子75とを含む接点部、ハンドル55を含む開閉機構、バイメタル78を含むトリップ部、負荷又は電源に接続される端子部21などの構成要素が内蔵設置される。
【0030】
ケース20の両側には、電源又は負荷に接続される端子部21が設けられる。通常、図1の遮断器において、左側の端子部が電源に接続され、右側の端子部が負荷に接続される。
【0031】
一方の端子部21には、固定接触子70が設けられる。すなわち、電源側に固定接触子70が設けられる。
【0032】
ケース20の中間部には、可動接触子75が設けられる。可動接触子75は、固定接触子70に接離する。可動接触子75は、他方の端子部21、すなわち負荷側に接続される。可動接触子75は、バイメタル78と共に結合されてもよい。
【0033】
ケース20の中央部には、側板30とクロスバー40が設けられる装着部22が形成される。装着部22は、内部に空間を有する壁状に形成されてもよい。装着部22の一側には、クロスバー40が上下に移動できるように、溝状に形成される切欠部23が設けられる。切欠部23は、側面から見て垂直方向に一字状に形成される(図7参照)。
【0034】
クロスバー40は、装着部22の切欠部23に上下移動可能に配置される。クロスバー40の下部には復帰スプリング25が設けられるので、クロスバー40に作用する力がないときはクロスバー40が上方に移動する。
【0035】
クロスバー40の上端には、頭部41が突設される。頭部41は、レバー50の接圧部54に接触して力を受ける部分である。頭部41の上面は、水平かつ平坦に形成される。頭部41の内側(負荷側)の面の角部は、曲面状に滑らかに形成される。
【0036】
側板30は、装着部22の内部に固定設置される。側板30は、並んで配置される一対の側面を含む。側板30の上部には、回動軸35が挿入される軸孔31が形成される。側板30の中間部には、ユーピン45の移動を案内するガイド孔32又はガイド溝33が形成される。ガイド孔32又はガイド溝33は、垂直方向に対して所定の傾斜角を有するように形成される。側板30の下部には、トリップバー60の軸61が装着される軸溝34が形成される。
【0037】
ハンドル55は、側板30の上部に回動可能に設けられる。ハンドル55には、ユーザが把持して力を加えることのできる加圧部56が上方に突設される。ハンドル55には、回動軸35が挿入される第1孔57と、ユーピン45の上端部が挿入される第2孔58が形成される。開放状態では、第2孔58が第1孔57の左下方に位置する。ハンドル55の復帰のために、ハンドルスプリング59が備えられる。
【0038】
ユーピン45が備えられる。ユーピン45は、「U」字状(「コ」字状)に形成され、上端部46がハンドル55の第2孔58に結合され、下端部47がレバー50に結合される。ユーピン45は、ハンドル55の作用力をレバー50に伝達する。
【0039】
レバー50は、ユーピン45の力を受けて下方に移動し、クロスバー40を加圧してクロスバー40を下方に移動させる。
【0040】
図3にレバーの詳細斜視図を示し、図4にレバーの部分正面図を示す。
【0041】
レバー50は、プレート51と、プレート51の中間部に垂直方向に折曲形成された羽根部52とから構成される。羽根部52は、プレート51の両側面にそれぞれ設けられて一対をなすようにしてもよい。羽根部52には、ユーピン45の下端部47が挿入結合される結合孔53が形成される。レバー50は、結合孔53に締結されたユーピン45の作用力により下方に移動する。
【0042】
レバー50の前端部には、下面に接圧部54が設けられる。接圧部54は、クロスバー40の頭部41に接触して力を加える部分である。レバー50の接圧部54がクロスバー40の頭部41を押すことにより、クロスバー40が下方に移動する。
【0043】
接圧部54は、クロスバー40の頭部41に当接する面が曲面状に形成される。
【0044】
接圧部54は、第1曲面部54aを含む。第1曲面部54aは丸い山状に形成される。ここで、第1曲面部54aの頂点(頂上)から傾斜面に下がるほど緩やかになる。すなわち、曲率半径が大きくなる。
【0045】
第1曲面部54aの傾斜面の一部には、変曲点となる変曲部54bが形成される。よって、第1曲面部54aがプレート51に接する境界部54cは、滑らかな傾斜面となる。
【0046】
また、第1曲面部54aから所定距離離隔して第2曲面部54dが設けられてもよい。ここで、第2曲面部54dは、第1曲面部54aより低く形成されてもよい。第2曲面部54dは、第1曲面部54aと類似した形態に形成される。
【0047】
トリップバー60は、正常状態ではレバー50を拘束し、事故電流発生時にはそれを解除してトリップ作動を起こすために備えられる。トリップバー60は、バイメタル78の湾曲により回動してレバー50の拘束を解除する。トリップバー60は、正常状態では復帰スプリング65の力により前向きの力を受ける。事故電流が発生してバイメタル78が湾曲すると、トリップバー60を後方に押すので、トリップバー60によるレバー50の拘束が解除されてトリップ動作が起こり、回路が遮断される。
【0048】
トリップバー60は、略「Y」字状に形成される。トリップバー60の上端には、バイメタル78との間隔を調節する調節部材62が結合される。バイメタル78は、この調節部材62を加圧することによりトリップバー60を回動させる。
【0049】
回路内に過電流又は事故電流が流れると、接点部の可動接触子に結合されたバイメタル78においても電流が増加すると共に熱が発生する。よって、熱変形材料であるバイメタル78は湾曲する。バイメタル78が湾曲してトリップバー60を押すので、トリップバー60により拘束されていたレバー50が解除される。よって、クロスバー40が復帰すると、可動接触子75が固定接触子70から分離され、回路が遮断される。
【0050】
図5及び図6を参照して、本発明の一実施形態による回路遮断器の開閉機構の投入動作について説明する。
【0051】
まず、図5の開放状態において、ユーザがハンドル55を反時計方向に回動させると、ハンドル55が回動軸35を中心に反時計方向に回動する。ハンドル55の下部に結合されたユーピン45は、ハンドル55と共に動く。ここで、ユーピン45がハンドル55に結合された部分(すなわち、ユーピン45の上端部46)が回動軸35の左下方に位置するので、ハンドル55が反時計方向に回動すると、ユーピン45は右下向きの力を受ける。よって、ユーピン45の上端部46は右下方に移動し、ユーピン45の下端部47は側板30のガイド孔32又はガイド溝33に沿って下方に移動する。
【0052】
一方、ユーピン45の下端部47がレバー50の羽根部52の結合孔53に締結されているので、ユーピン45が下方に移動しながらレバー50をユーピン45と共に下方に移動させる。ここで、レバー50は、クロスバー40に接触した状態であるので、下方に移動しながらクロスバー40をレバー50と共に移動させる。可動接触子75がクロスバー40により下方に押されて固定接触子70に接触し、図6の通電状態となる。
【0053】
開放動作は次の通りである。
【0054】
図6の通電状態において、ユーザがハンドル55を時計方向に回動させると、ハンドル55に結合されたユーピン45が左上方に引き上げられる。ユーピン45に結合されたレバー50も上昇するので、クロスバー40に対する加圧力が除去される。クロスバー40は、復帰スプリング25の復元力により上方に復帰する。よって、可動接触子75が固定接触子70から分離され、回路が開放される。
【0055】
図7図9を参照して、投入動作におけるレバー50とクロスバー40の作用をより詳細に説明する。
【0056】
まず、図7の開放状態について説明すると、レバー50が左上方に所定角度を有して立っている状態である。接圧部54の変曲部54bがクロスバー40の頭部41に接した状態でもある。ここで、ユーザがハンドルを回動させることにより前記投入作用が起こると、レバー50が結合孔53を中心に回動してクロスバー40を加圧する。ここで、接圧部54の変曲部54bがクロスバー40にほぼ水平な状態で力を加えるので、クロスバーは下向きの力F4を受ける。
【0057】
レバー50の回動が進むと、レバー50における頭部41との接触部分は頭部41の上部平面から外側に移動し、頭部41における第1曲面部54aとの接触部分は変曲部54bから境界部54c側に移動する。よって、図8にF5で示す傾斜方向の力を受ける。一方、第1曲面部54aと第2曲面部54d間の傾斜面又は第2曲面部54dにより、頭部41の内側はF5の傾斜方向とは逆方向の力F6を受ける。よって、クロスバー40は、第1曲面部54aと頭部41間の力F5と、プレート51又は第2曲面部54dと頭部41間の力F6の合力であるF7を受ける。つまり、クロスバー40は、下向きの力を受けて下方に滑らかに移動する。
【0058】
レバー50の回動がさらに進むと、第1曲面部54aが頭部41から離脱し、プレート51と第2曲面部54dが頭部41に接する。ここで、プレート51と頭部41間に作用する力F8と、第2曲面部54dと頭部41間に作用する力F9の合力により、下向きの力を受ける。(図9参照)
このような作用をさらに直観的に理解できるように、レバー50とクロスバー40の部分を図10に一括して示す。レバー50が結合孔53を中心に回動してクロスバー40を加圧すると、レバー50はクロスバー40に垂直下向きの力を加え、クロスバー40は垂直かつ一字状に運動する。
【0059】
よって、クロスバー40は、投入作用が行われている間中、垂直下向きの力を受けて安定して垂直移動し、切欠部23内で摩擦を起こさない。
【0060】
本発明の一実施形態による小型遮断器によれば、クロスバーはレバーの接圧部により遮断時に垂直下向きの力を受けて垂直下降運動をする。
【0061】
このような垂直下降運動は、レバーの接圧部に形成される第1曲面部により引き起こされる。さらに、レバーのプレート又は第2曲面部により補助される。
【0062】
これらの実施形態は本発明の一実施形態であり、本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者であれば、本発明の本質的な特性から逸脱しない範囲で様々な変更及び変形が可能であろう。また、これらの実施形態は本発明の技術思想を説明するためのものであり、これらの実施形態に本発明の範囲が限定されるものではない。すなわち、本発明は特許請求の範囲により定められるべきであり、均等の範囲にあるあらゆる技術思想は本発明に含まれるものと解釈すべきである。
【符号の説明】
【0063】
20 ケース
21 端子部
22 装着部
23 切欠部
25 復帰スプリング
30 側板
31 軸孔
32 ガイド孔
33 ガイド溝
34 軸溝
35 回動軸
40 クロスバー
41 頭部
45 ユーピン
46 上端部
47 下端部
50 レバー
51 プレート
52 羽根部
53 結合孔
54 接圧部
54a 第1曲面部
54b 変曲部
54c 境界部
54d 第2曲面部
55 ハンドル
56 加圧部
57 第1孔
58 第2孔
59 ハンドルスプリング
60 トリップバー
61 軸
62 調節部材
70 固定接触子
75 可動接触子
78 バイメタル
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14