【解決手段】標準ウェーハ用ノッチ係合固定ピン40an及び特殊ウェーハ用ノッチ係合固定ピン40asの相反移動機構51を備えることにより、標準ウェーハ用ノッチ係合固定ピン40an又は特殊ウェーハ用ノッチ係合固定ピン40asが標準Vノッチウェーハ2nのVノッチ又は特殊VノッチウェーハのVノッチに係合する前に、特殊ウェーハ用ノッチ係合固定ピン40as又は標準ウェーハ用ノッチ係合固定ピン40anが標準Vノッチウェーハ2n又は特殊Vノッチウェーハに干渉することがないので、標準Vノッチウェーハ2nと特殊Vノッチウェーハの両方ともホールダに載置することができる。
【背景技術】
【0002】
半導体素子や集積回路の製造工程では、ウェーハ上に作成した半導体素子や集積回路の検査や評価を、ウェーハ上に形成した各種パターンの線幅等の寸法を測定することによって行う。通常、このような微小寸法の測定には、測長SEM或いはCD−SEM(Critical Dimension-Scanning Electron Microscope)と呼ばれる測長機能付きの走査型電子顕微鏡が用いられる。
【0003】
測長SEMは、観察試料に電子線やイオンビーム等の荷電粒子線を照射することにより得られる二次電子等の放出信号を画像化処理して観察試料像を取得し、その画像上の明暗の変化から測定対象の回路パターン等の形状を判別して、回路パターンの線幅等の寸法を導き出す。その際、観察試料のウェーハは、測長SEMに備えられた基板搬送システムによって、真空状態に保持されている試料室に搬送され、試料室内の試料ステージに搭載されて荷電粒子線の照射を受ける。
【0004】
測長SEMを用いてウェーハの観察及び測長を行う場合、観察試料の基板であるウェーハは、カセットと称する1枚または複数枚のウェーハを収納可能なケースに予め格納されて観察準備される。また、ウェーハの周縁部には、Vノッチやオリフラと称する、工程中でウェーハの向きを合わせるための切欠部が設けられている。観察及び測長を実施する際は、このカセットからウェーハが1枚ずつ取り出され、測長SEMのロードロック室と呼ばれる大気圧状態と真空状態との雰囲気変換室に一旦搬送されて雰囲気を調整されてから、真空状態の試料室に搬送され、前述した荷電粒子線を照射による観察及び測長が実施される。観察及び測長が済んだウェーハは、試料室からロードロック室に一旦搬送されて雰囲気を大気圧状態に調整されてから、基板搬送システムによって、ロードロック室から取り出され、カセットに搬送して戻される。
【0005】
測長SEMを用いたウェーハの検査や評価では、このような観察及び測長作業が、ウェーハ1枚毎、カセットに収納されている観察試料のウェーハ枚数分だけ、繰り返し行われる。その際、カセットと測長SEMのロードロック室との間のウェーハの搬送には、通常、搬送用ロボットを使用した基板搬送システムが利用される。
【0006】
搬送用ロボットは、測長SEMによる観察及び測長を実施する都度、カセットから観察試料のウェーハを取り出し、この取り出したウェーハを、まず、ウェーハ整列機構であるプリアライナに搬送する。プリアライナでは、ウェーハの向きを測長SEMの試料室内での配置向きに合わせて整列する。そして、搬送用ロボットは、プリアライナから測長SEMのロードロック室に備えられているホールダと称する基板保持具としてのウェーハ保持具まで、ウェーハを搬送し、ホールダ上の規定位置に規定向きで載置する。ホールダは、ロードロック室内で板バネによって保持されており、ロードロック室内に設けられたアームの作動に応動して、試料室内の試料ステージとの間で移動可能な構成になっている。
【0007】
ホールダの表面すなわちウェーハの載置面には、ウェーハをホールダ上の規定位置に規定向きで保持しておくための固定ピン及び可動ピンが、ウェーハの周回りに間隔を空けて互いの位置を異ならせて立設されている。ホールダ上の規定位置に載置されたウェーハは、可動ピンの作動によって、可動ピンよりもホールダの奥部側に配設されている固定ピンに押し付けられて、ウェーハのVノッチが固定ピンと係合し、ウェーハの向きが試料室内での配置向きに合わされ、整列されて保持される。
【0008】
ロードロック室は、カセットとの間でのウェーハ搬送のために大気圧状態となった雰囲気を試料室内と同じ真空状態にするため、バルブを介してドライポンプの吸込側と接続されている。測長SEMでは、ホールダの規定位置に対するウェーハの載置が完了すると、ロードロック室は密閉され、前述したバルブの開放によってドライポンプの吸込側と連通されて室内の真空引きが行われる。その後、ロードロック室は、規定の真空度に達すると、ロードロック室と試料室との間が開放状態となり、ウェーハは、ロードロック室からホールダごと試料室内に搬送され、試料室内で荷電粒子線の照射を受ける。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
従来のウェーハ保持具のホールダは、基板保持具として、可動ピンがウェーハに所定の付勢力を加えて、ウェーハを固定ピンに押し付け、ウェーハをホールダに保持する構成になっている。その際、ホールダに載置されるウェーハの向きは、固定ピンとウェーハのVノッチを係合(嵌合)させ、ホールダの載置面上におけるウェーハの回路パターン形成方向及びウェーハ中心の位置決めを行っている。そのため、ホールダには、ウェーハのVノッチと係合してウェーハを押さえる固定ピンと、Vノッチ部分以外のウェーハ外周面と当接してウェーハを押さえる固定ピン及び可動ピンとの、3種類のウェーハ保持ピンが設けられている。
【0011】
載置面上における各ピンの配置は、Vノッチ部分以外のウェーハ外周面と当接してウェーハを押さえる固定ピンと可動ピンは、ホールダ上の規定位置に対するウェーハの載置状態でピン外周面がVノッチ部分以外のウェーハ外周面と当接するように、規定位置に載置されたウェーハと同心でVノッチ部分以外のウェーハ外周よりも直径が大きい円周上に、互いの位置を異ならせて離間して配置されている。一方、Vノッチに係合してウェーハを押さえる固定ピンは、ピン外周面をVノッチに係合させるため、ピン外周面をVノッチ部分以外のウェーハ外周面よりも径方向内方に位置させるように、Vノッチ部分以外のウェーハ外周面と当接してウェーハを押さえる固定ピン及び可動ピンが共に配置された円周上よりも径方向内側に位置させ、これら固定ピン及び可動ピンとは円周上における位置を異ならせて配置されている。
【0012】
今回、標準Vノッチウェーハとともに観察試料となる特殊Vノッチウェーハは、試料室内での配置向きを基準にすると、ウェーハ外周に形成されたVノッチの角度位置が、標準Vノッチウェーハに対して45°ずらして形成されている。その一方で、特殊Vノッチウェーハ上における回路パターンの向きは、試料室内での配置向きを基準にすると、標準Vノッチウェーハ上における回路パターンの向きと同方向に形成されている。換言すれば、特殊VノッチウェーハにおけるVノッチを基準にしたウェーハ上の回路パターンの向きは、標準VノッチウェーハにおけるVノッチを基準にしたウェーハ上の回路パターンの向きに対し、45°傾いている。
【0013】
そのため、標準Vノッチウェーハを載置するためのホールダに特殊Vノッチウェーハを載置して、ロードロック室から試料室に搬送すると、特殊Vノッチウェーハの回路パターンは45°傾いたまま、試料室内で位置決めされてしまう。回路パターンが45°傾いた状態では、測長SEMは、特殊Vノッチウェーハの回路パターンを測長することができない。
【0014】
特殊Vノッチウェーハに対応するためには、Vノッチに係合させる固定ピンの配置位置を、特殊Vノッチウェーハ上に形成されている回路パターンの向きの違い(45°)に合わせて、標準Vノッチウェーハに対する配置位置から45°移動する必要がある。
【0015】
そこで、測長SEMの観察試料として標準Vノッチウェーハと特殊Vノッチウェーハとの両方を使用したい場合は、Vノッチと係合する固定ピンについて、ホールダに形成されている既存の固定ピンから同一円周上の45°ずらした位置に新たに固定ピンを追加して、標準Vノッチウェーハと特殊Vノッチウェーハの両種類のウェーハに対応できるようにすることが考えられる。しかし、前述したようにVノッチと係合してウェーハを押さえる固定ピンは、Vノッチ部分以外のウェーハ外周面と当接してウェーハを押さえる固定ピン及び可動ピンが共に配置された円周上よりも径方向内側に、ピン外周面をVノッチ部分以外のウェーハ外周面よりも径方向内方に位置させるように配置する必要がある。その結果、標準Vノッチウェーハを使用した際は、特殊VノッチウェーハのVノッチと係合する固定ピンが標準VノッチウェーハのVノッチ部分以外のウェーハ外周面と干渉し、特殊Vノッチウェーハを使用した際は、標準VノッチウェーハのVノッチと係合する固定ピンが特殊VノッチウェーハのVノッチ部分以外のウェーハ外周面と干渉してしまい、両立させることができなかった。
【0016】
そのため、従来は、測長SEMの観察試料として標準Vノッチウェーハと特殊Vノッチウェーハとの両方使用したい場合は、観察試料であるウェーハの種類を変更する度に、ホールダの、ウェーハのVノッチに係合させる固定ピンを付け替える必要が生じることになり、検査工程が煩雑になってしまうという問題点があった。
【0017】
本開示は、上述した問題点を鑑み、基板保持具の固定ピンを付け替えることなく、標準基板としての標準Vノッチウェーハと特殊基板としての特殊Vノッチウェーハの両方とも、載置、保持することができる基板保持具を提供することを課題とする。また、本開示は、標準Vノッチウェーハと特殊Vノッチウェーハの両方とも容易に観察できる走査型電子顕微鏡装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本開示は上記した課題を解決するために、ウェーハ(基板)が載置される載置面に立設され、載置面に載置されたウェーハを保持する固定ピン及び可動ピンを備えたウェーハ保持具(基板保持具)であって、固定ピンのうち、ウェーハの周縁部に予め形成されているVノッチ(切欠部)と係合し、ウェーハの基板面に形成された回路パターンの向きが所定向きになるように載置面に載置されるウェーハの向きを規制するVノッチ係合固定ピン(切欠部係合固定ピン)を、標準Vノッチウェーハ(標準基板)、特殊Vノッチウェーハ(特殊基板)それぞれに対応させた標準ウェーハ用ノッチ係合固定ピン(標準基板用切欠部係合固定ピン)、特殊ウェーハ用ノッチ係合固定ピン(特殊基板基板用切欠部係合固定ピン)で構成し、標準ウェーハ用ノッチ係合固定ピン、特殊ウェーハ用ノッチ係合固定ピンそれぞれを対応する標準Vノッチウェーハ、特殊VノッチウェーハのVノッチとの係合位置と非係合位置との間で移動可能に保持し、標準ウェーハ用ノッチ係合固定ピンが、特殊Vノッチウェーハの載置面への載置により、標準ウェーハ用ノッチ係合固定ピンと標準VノッチウェーハのVノッチとの非係合位置へ押動されることに連動して、特殊ウェーハ用ノッチ係合固定ピンを特殊VノッチウェーハのVノッチとの係合位置へ押動する一方、特殊ウェーハ用ノッチ係合固定ピンが、標準Vノッチウェーハの載置面への載置により、特殊Vノッチウェーハ用ノッチ係合固定ピンと特殊VノッチウェーハのVノッチとの非係合位置へ押動されることに連動して、標準ウェーハ用ノッチ係合固定ピンを標準VノッチウェーハのVノッチとの係合位置へ押動する相反移動機構を備えている。また、本開示は上記した課題を解決するために、ロードロック部と、ステージ部と、鏡筒部とが一体的に備えられた走査型電子顕微鏡装置であって、上記基板保持具が、ロードロック部のロードロック室に備えられている。
【発明の効果】
【0019】
本開示の基板保持具によれば、標準ウェーハ用ノッチ係合固定ピン及び特殊ウェーハ用ノッチ係合固定ピンの相反移動機構を備えていることにより、標準ウェーハ用ノッチ係合固定ピン又は特殊ウェーハ用ノッチ係合固定ピンが標準VノッチウェーハのVノッチ又は特殊VノッチウェーハのVノッチに係合する前に、特殊ウェーハ用ノッチ係合固定ピン又は標準ウェーハ用ノッチ係合固定ピンが標準Vノッチウェーハ又は特殊Vノッチウェーハに干渉することもない。その結果、基板保持具に備えられている固定ピンを付け替えることなく、標準Vノッチウェーハと特殊Vノッチウェーハの両方ともホールダに載置することができる。
【0020】
測長SEMを用いてウェーハ上に形成した各種パターンの観察及び測長を実施する際、標準ウェーハ用ノッチ係合固定ピン及び特殊ウェーハ用ノッチ係合固定ピンの相反移動機構を備えたホールダを適用することにより、観察試料が標準Vノッチウェーハであるか、特殊Vノッチウェーハであるかに応じてホールダの固定ピンを付け替えたりする等の段取りの必要がなくなるので、観察及び測長のスループットが向上する。
【0021】
また、本開示の上記した以外の、課題、構成及び効果については、以下の実施の形態の説明により明らかにされる。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本開示に係る基板保持具の一実施の形態について、ウェーハ保持具のホールダ、及びこのホールダを用いた基板搬送システムであるウェーハ搬送システムを例に、図面に基づき説明する。
【0024】
図1は、本実施例に係るウェーハ保持具のホールダが適用されたウェーハ搬送システムを備えた測長SEMの概略構成図である。
【0025】
図1に示すように、測長SEM1は、オープンカセット方式の試料搬送装置10と、走査型電子顕微鏡装置20とを有する。測長SEM1では、試料搬送,試料観察,測定を含む諸動作は、図示省略した付設のコンピュータ装置によって制御される。オペレータは、マウスやキーボード,表示器の画面上に表示されるOSD(On Screen Display)等のユーザインターフェースを使用して、測長SEM1に実行させる試料搬送,試料観察,測定等の処理についての指示や設定入力等を、コンピュータ装置に対して行う。
【0026】
試料搬送装置10は、図示の例では、2つのカセット置き台11(11a,11b)と、1台の試料搬送ロボット12とを備えた構成になっている。カセット置き台11には、オペレータにより、ウェーハ2の搬送,保管用の、オープンカセット方式のウェーハ収納ケース13が搭載される。
【0027】
試料搬送ロボット12は、走査型電子顕微鏡装置20が設置された室内雰囲気と区別された局所空間としてのウェーハ搬送空間Sを画成する試料搬送装置筐体内に設けられている。試料搬送ロボット12は、ロボットアーム先端のウェーハ把持部でウェーハ2を把持して、ウェーハ収納ケース13と走査型電子顕微鏡装置20との間でウェーハ2を搬送する。具体的に、試料搬送ロボット12は、カセット置き台11に搭載されているウェーハ収納ケース13から観察試料のウェーハ2を取り出して、ウェーハ整列機構であるプリアライナ14に搬送する。また、プリアライナ14から、ウェーハ向きの整列が済んだウェーハ2を、走査型電子顕微鏡本体20のロードロック室24に搬送する。また、ロードロック室24から、観察,測定が済んだウェーハ2を取り出して、ウェーハ収納ケース13に搬送し、ウェーハ収納ケース13に収納して戻す。プリアライナ14は、センサによるVノッチ検出を基にアライメント機構を作動制御してウェーハ2を適宜回動し、ウェーハ2の向きを走査型電子顕微鏡装置20での観察時における配置向きに整列させる。
【0028】
走査型電子顕微鏡装置20は、図示の例では、ロードロック部21と、ステージ部22と、鏡筒部23とが一体的に構成された装置本体を有する。ロードロック部21には、大気圧状態と真空状態との雰囲気変換室として、ロードロック室24が形成されている。ステージ部22には、ウェーハ2に荷電粒子線を照射するため真空状態に保持される試料室25が設けられ、試料室25にはウェーハ2を載置したホールダ26がロードロック室24から搬送される試料ステージ29が備えられている。
【0029】
ロードロック室24は、試料搬送ロボット12が配置されているオープンカセット方式の試料搬送装置10のウェーハ搬送空間Sに対し、両者間に介在させたロードドア34の開閉に対応して連通,遮断される。また、ロードロック室24は、ステージ部22の試料室25に対し、両者間に介在させたゲートバルブ35の開閉に対応して連通,遮断される。これにより、ロードロック室24は、ロードドア34及びゲートバルブ35の閉塞により、オープンカセット方式の試料搬送装置10のウェーハ搬送空間S及びステージ部22の試料室25の双方に対して密閉可能になっている。ロードロック室24は、試料搬送装置10との間の試料搬送で、大気圧雰囲気に開放された室内をステージ部22の試料室25内と同じ真空状態にするため、図示省略のバルブを介してドライポンプの吸込側と接続されている。
【0030】
ステージ部22には、ウェーハ2に荷電粒子線を照射するため真空状態に保持される試料室25が設けられている。試料室25内には、ロードロック室24からホールダ26に載置されて搬送されてきたウェーハ2が、ホールダ26ごと搭載される試料ステージ29が備えられている。試料ステージ29は、試料室25内で、ホールダ26ごと搭載された観察試料のウェーハ2の、水平移動、上下移動、回転、、傾倒等を行い、ウェーハ上における観察範囲や観察方向等を調整する。
【0031】
鏡筒部23には、荷電粒子線を生成する荷電粒子源(図示省略)と、この荷電粒子源により生成された荷電粒子線を収束,偏向して、試料室25内の試料ステージ29に搭載されたウェーハ2に照射する電子光学系(図示省略)とが設けられている。さらに、鏡筒部23又はステージ部22には、観察試料像を取得するため、荷電粒子線の照射により試料から放出される放出荷電粒子を検出する検出器(図示省略)が設けられている。
【0032】
このように構成された測長SEM1において、装置オペレータによってカセット置き台11にウェーハ収納ケース13が搭載されると、ウェーハ収納ケース13に収納されている観察試料のウェーハ2は、試料搬送ロボット12によってウェーハ収納ケース13から試料搬送装置10のウェーハ搬送空間S内に取り出され、プリアライナ機構14に搬送される。
【0033】
プリアライナ機構14は、ウェーハ2の周縁部に形成されているVノッチ45の位置を読み取り、ウェーハ2の向きを、ロードロック室24から試料室25に搬送される際の一定方向に合わせる。整列が済んだウェーハ2は、プリアライナ機構14から、試料搬送ロボット12よって再び取り出される。その後、試料搬送ロボット12よって、ウェーハ2は、開放されたロードドア34を介して、ロードロック室24に搬送され、ロードロック室24に配置されたホールダ26の規定の位置に載置される。
【0034】
ホールダ26へのウェーハ2の載置が完了すると、ロードロック室24は、ロードドア34が閉じられ、試料搬送ロボット12によるウェーハ2の搬入に伴って試料搬送装置10のウェーハ搬送空間Sに対して開放されていた室内が外部に対して密閉される。それから、ドライポンプとの間に設けられたバルブが開放され、ドライポンプによる室内の真空引きが行われる。
【0035】
真空引きによってロードロック室24が規定の真空度に達すると、ドライポンプとの間のバルブが閉塞してドライポンプによる真空引きが停止される。それから、ステージ部22の試料室25との間に設けられているゲートバルブ35を開放して、ウェーハ2をホールダ26ごと試料室25内に搬送し、ウェーハ2は、ホールダ26ごと試料ステージ29に搭載される。そして、試料ステージ29に搭載されたウェーハ2は、鏡筒部23で生成された荷電粒子線の照射を受け、観察及び測長が行われる。
【0036】
検査終了後は、試料室25内の試料ステージ29にホールダ26ごと搭載されたウェーハ2は、ロードロック室24との間の開放されたゲートバルブ35を介して、試料室25からロードロック室24内にホールダ26ごと搬送されて戻される。その後、試料室25との間のゲートバルブ35を閉じて、ロードロック室24を試料室25に対して閉塞した後、ロードロック室24は大気圧開放され、その真空度が下げられる。
【0037】
ロードロック室24が大気圧状態になると、ロードドア34が開放され、検査が終了したウェーハ2は、試料搬送ロボット12により、ロードロック室24からウェーハ搬送空間S内に取り出され、カセット置き台11上の当該ウェーハ2が取り出されたウェーハ収納ケース13へ戻されて収納される。
【0038】
次に、ロードロック室24を備えたロードロック部21の詳細な構成と、ロードロック室24に配置されているホールダ26に対するウェーハ2の載置について、
図2,
図3に基づき詳しく説明する。
【0039】
図2は、本実施例に係る走査型電子顕微鏡本体におけるロードロック部の概略構成を示した平面断面図である。
図3は、本実施例に係る走査型電子顕微鏡本体におけるロードロック部の概略構成を示した正面断面図である。
【0040】
図中、Xは、ロードロック室24の幅方向を、Yは、ロードロック室24の長さ方向を、Zは、ロードロック室24の高さ方向をそれぞれ示す。特に、ロードロック室24の長さ方向Yは、その+Y方向が、試料搬送装置10のウェーハ搬送空間Sからロードロック室24へのウェーハ2の搬入方向、及びロードロック室24から試料室25へのホールダ26の搬出方向に該当する。また、その−Y方向は、試料室25からロードロック室24へのホールダ26の搬入方向、及びロードロック室24からウェーハ搬送空間Sへのウェーハ2の搬出方向に該当する。
【0041】
図示の例では、走査型電子顕微鏡本体20のロードロック部21は、中空の直方体形状の筐体部31を備え、その中空部がロードロック室24を形成している。そして、筐体部31の長さ方向Yの両端側には、ロードドア34、ゲートバルブ35が設けられている。ロードドア34は、カセット置き台11と大気圧開放されたロードロック室24との間でウェーハ2を搬送する際に、ロードロック室24を開放する。ゲートバルブ35は、真空引きによって規定の真空度に達しているロードロック室24と試料室25との間でウェーハ2を搬送する際に、ロードロック室24を試料室25に連通させる。
【0042】
また、ロードロック部21の底面内壁の幅方向X両側には、断面矩形状の柱状部材32R,32Lがロードロック部21の長さ方向Yに沿って延設され、ベース32を構成している。各ベース32(32R,32L)には、その長さ方向Yに沿って、ホールダ26を移動可能に支持するレール33(33R,33L)が延設されている。各レール33(33R,33L)には、ホールダ26の幅方向X両側に設けられたベアリング27(27R,27L)が係合され、ホールダ26をロードロック室24の長さ方向Yに沿って移動可能に支持している。また、ホールダ26は、このロードロック室24内で図示省略した板バネによって保持されて、同じく図示省略したアームの作動に応動して、レール33上でベアリング27を転動させ、試料室25内の試料ステージ29との間で移動可能に構成されている。
【0043】
ホールダ26は、その天面が矩形状の載置面28となった盤状部材によって構成されている。載置面28には、載置面28上のウェーハ2が載置される規定位置に合わせて、複数(少なくとも3本以上)の支持ピン42(42-1〜5)がロードドア34を介したロードロック室24内への試料搬送ロボット12のウェーハ把持部の進入の邪魔とならないように立設されている。各支持ピン42は、その突端がウェーハ2の裏側基板面(すなわち被加工面面)と当接して、ウェーハ2を支持する。各支持ピン42は、その突端の高さ方向Zの位置が等しくなっており、試料搬送ロボット12のウェーハ把持部のウェーハ2下方側への進入を許容して、ホールダ26の天面から離間させた所定高さ位置に、ウェーハ2を水平に支持する。
【0044】
また、ホールダ26の載置面28には、支持ピン42(42-1〜5)を取り囲むようにウェーハ2の外周上における配置位置を互いにずらして、2本の固定ピン40と1本の可動ピン41とが立設されている。これら固定ピン40及び可動ピン41は、支持ピン42上に載置されたウェーハ2の、載置面28上における幅方向X及び長さ方向Yに関する規定位置に対する位置決めを行う。そのため、2本の固定ピン40と1本の可動ピン41は、いずれも突端の高さ方向Zの位置が支持ピン42(42-1〜5)の突端の高さ方向Zの位置よりも高くなっており、支持ピン42(42-1〜5)上に載置されたウェーハ2の外周面と当接できるようになっている。
【0045】
2本の固定ピン40は、ウェーハ2のVノッチ45に係合してウェーハ2を固定するノッチ係合固定ピン40aと、ウェーハ2のVノッチ45部分以外のウェーハ外周面に当接してウェーハ2を固定するノッチ非係合固定ピン40bとからなる。ノッチ係合固定ピン40aは、載置面28上の規定位置、規定向きに載置された状態のウェーハ2の、Vノッチ45部分と係合するように、載置面28上に立設されている。一方、ノッチ非係合固定ピン40bは、この載置面28上の規定位置、規定向きに載置された状態のウェーハ2の、Vノッチ45部分以外の外周面とピン40bの周面と当接するように、載置面28上に立設されている。
【0046】
一方、可動ピン41は、載置面28上の規定位置、規定向きに載置された状態のウェーハ2の、ウェーハ外周面の内側位置と外側位置との間で移動可能に構成されている。可動ピン41には、ウェーハ外周面の内側位置に位置させるべく付勢するばねが付設されおり、可動ピン41には、常時、このばねの付勢力が作用している。そのため、可動ピン41は、載置されたウェーハ2のVノッチ49部分以外の外周面と当接することにより、ウェーハ2をノッチ係合固定ピン40aやノッチ非係合固定ピン40bに押し付けることができる。なお、可動ピン41には、ロードドア34を介してウェーハ搬送空間Sとロードロック室24との間でウェーハ2が搬入/搬出される際は、ばねの付勢力に抗して可動ピン41を搬入/搬出の支障にならないウェーハ外周面の外側位置に移動させる機構も付設されている。
【0047】
したがって、ウェーハ2のVノッチ45部分以外の外周面形状が円弧状である場合、ノッチ係合固定ピン40aは、規定位置、規定向きに載置された状態のウェーハ2と同一中心でウェーハ2の半径よりも半径が適宜小さい円周上にピン40aの周面を外接させるように、ウェーハ2のVノッチ45部分に対応する円周上位置に配置される。また、ノッチ非係合固定ピン40bと可動ピン41は、規定位置、規定向きに載置された状態のウェーハ2と同一中心でウェーハ2の半径よりも半径が大きい同一径の円周上に、ウェーハ2のVノッチ45部分に対応する位置を避けてウェーハ2の外周面とピン周面が外接するように、互いの位置をずらして離間させて配置されることになる。
【0048】
ここで、載置面28上に支持ピン42(42-1〜5)、ノッチ係合固定ピン40a、ノッチ非係合固定ピン40b、可動ピン41を備えて構成されたホールダ26の載置面28上の、規定位置、規定向きに載置された状態のウェーハ2の保持状態について、
図9を参照しながら説明する。また、本実施例の測長SEM1で観察試料として使用される標準Vノッチウェーハ2n及び特殊Vノッチウェーハ2sの一実施例について、
図10,
図11を参照しながら説明する。
【0049】
図9は、ホールダの載置面上の規定位置に規定向きで載置されたウェーハの保持状態の説明図である。
図10は、標準Vノッチウェーハの一実施例の構成説明図である。
図11は、特殊Vノッチウェーハの一実施例の構成説明図である。
【0050】
図9に示すように、ウェーハ2は、ロードロック室24に配置されたホールダ26に対し、複数の支持ピン42(42-1〜5)によって水平に支持されて、可動ピン41によって固定ピン40(40a、40b)に押し付けられ、ホールダ26の載置面上の規定位置に規定向きで位置決め保持される。その際、ウェーハ2の載置向きは、ノッチ係合固定ピン40aとVノッチ45との係合によって規定され、図示の場合は、ウェーハ2は、Vノッチ45の向きが+Y方向に整列されて、ホールダ26に保持されている。
【0051】
一方、
図10に示すように、標準Vノッチウェーハ2nは、Vノッチ45を通るウェーハ2nの径方向の向きをウェーハ2の向きとし、y方向とした場合、ウェーハ2の基板面に形成された回路パターン46におけるダイ47の配列方向は、y方向と、このy方向と直交する基板面に沿ったx方向とになる。これに対し、
図11に示す例では、特殊Vノッチウェーハ2sは、ウェーハ2の基板面に形成された回路パターン46におけるダイ47の配列方向を、y'方向と、y'方向と直交する基板面に沿ったx'方向とすると、Vノッチ45を通る特殊Vノッチウェーハ2sの径方向の向きy'は、標準Vノッチウェーハ2nにおいてVノッチ45を通る標準Vウェーハ2nの径方向の向きy方向に対して、45°傾いている。
【0052】
換言すれば、標準Vノッチウェーハ2nのVノッチ45(y方向)と回路パターン46のダイ47の配列方向(x方向及びy方向)との関係を基準にすると、特殊Vノッチウェーハ2sは、Vノッチ45(y'方向)と回路パターン46のダイ47の配列方向(x方向及びy方向)との関係が、45°ずれて形成されていることになる。そのため、特殊Vノッチウェーハ2sを、
図9に示すように、そのVノッチ45の向き(y'方向)を試料室25内での回路パターン46の配置向きである+Y方向に合わせて整列させてホールダ26に保持すると、回路パターン46のダイ47の配列方向は、標準Vノッチウェーハ2nの回路パターン46のダイ47の配列方向(x方向及びy方向)に対して、45°傾いた配置向きとなる。
【0053】
そのため、特殊Vノッチウェーハ2sの検査を行うには、Vノッチ45と係合する固定ピン40の配置位置を、特殊Vノッチウェーハ2s上に形成されている回路パターンの向きの違い(45°)に合わせて、
図9に示すように、標準Vノッチウェーハ2nのVノッチ45に対する配置位置Pnから円周上に沿って45°ずらした位置Psに設ける必要がある。
【0054】
そこで、本実施例のホールダ26では、
図2に示すように、固定ピン40(40a,40b)のうちの、Vノッチ45と係合して、ウェーハ2がホールダ26の載置面28に載置された際の、ウェーハ2の回路パターン46の向きを規制するノッチ係合固定ピン40aを、標準Vノッチウェーハ2nのVノッチ45に係合する標準ウェーハ用ノッチ係合固定ピン40anと、特殊Vノッチウェーハ2sのVノッチ45に係合する特殊ウェーハ用ノッチ係合固定ピン40asとの2種類のノッチ係合固定ピン40aで構成する。
【0055】
これら標準ウェーハ用ノッチ係合固定ピン40an及び特殊ウェーハ用ノッチ係合固定ピン40asは、相反移動機構51を介してホールダ26の載置面28に取り付けられ、相反移動機構51によって載置面28上を移動可能に構成されている。標準ウェーハ用ノッチ係合固定ピン40an、特殊ウェーハ用ノッチ係合固定ピン40as、相反移動機構51は、標準Vノッチウェーハ2n、特殊Vノッチウェーハ2sいずれのVノッチ45とも係合可能なノッチ係合固定ピン機構50を構成する。次に、ノッチ係合固定ピン機構60のより詳細な構成について、
図2、
図4、
図5を参照しながら説明する。
【0056】
図4は、本実施例に係るホールダに設けられたノッチ係合固定ピン機構の拡大図である。
図5は、本実施例に係るノッチ係合固定ピン機構における相反移動機構の動作説明図である。
【0057】
図2に示すように、ホールダ26の載置面28には、溝状の収容凹部52が設けられている。収容凹部52は、ウェーハ2をホールダ26の載置面28の規定位置に載置した状態で、Vノッチ45の向きを+Y方向に整列してウェーハ2を載置した場合のVノッチ45が対向する載置面28上の部分と、この+Y方向に整列したウェーハ2の向きを45°だけその中心軸回りに回転変位させて整列してウェーハ2を載置した場合のVノッチ45が対向する載置面28上の部分との両方をその溝部範囲内に含むように、載置面28に延設されている。そして、収容凹部52には、標準ウェーハ用ノッチ係合固定ピン40an、特殊ウェーハ用ノッチ係合固定ピン40as、相反移動機構51を有したノッチ係合固定ピン機構50が設けられている。
【0058】
ノッチ係合固定ピン機構50は、長手方向の中央部をベアリング54によって載置面28に沿って回動可能に軸支された揺動レバー53が、そのレバー回動面をホールダ26の載置面28から突出させないようにして収容凹部52に設けられた構成になっている。ベアリング54は、規定位置に配置されたウェーハ2のVノッチ45を+Y方向に向けた第1の整列方向D1と、この第1の整列方向D1からウェーハ2を反時計回りに45°だけ回転させて、Vノッチ45を+Y方向から45°回転させたy'方向に向けたウェーハ2の第2の整列方向D2との間の、収容凹部52の長手方向の略中間位置部分に形成されている。これにより、揺動レバー53は、ホールダ26の載置面28と平行な、溝内のレバー回動面上を、ベアリング54を中心にして回動可能に構成されている。
【0059】
その上で、揺動レバー53の両端側には、一端側部分に標準ウェーハ用ノッチ係合固定ピン40anが、他端側部分に特殊ウェーハ用ノッチ係合固定ピン40asが、ピン突端を載置面28からウェーハ2側に突出させるようにして立設されている。標準ウェーハ用ノッチ係合固定ピン40an及び特殊ウェーハ用ノッチ係合固定ピン40asとも、いずれも、ロードロック室24に搬入されるウェーハ2の外周面が当接可能なピン高さを有し、ピン外周面がウェーハ2のVノッチと係合可能になっている。
【0060】
このように、レバー長さ方向の両端側に標準ウェーハ用ノッチ係合固定ピン40an及び特殊ウェーハ用ノッチ係合固定ピン40asが設けられ、ベアリング54によって回動可能に軸支された揺動レバー53には、ウェーハ2が接触していない状態、すなわちホールダ26にウェーハ2が載置されていない状態で、揺動レバー53の回動向きを所定方向に保つレバー向き保持機構が備えられている。
【0061】
図示の例では、レバー向き保持機構は、収容凹部52に設けられた係止突起56に一端側が取り付けられ、揺動レバー53の一端側に他端側が取り付けられた引張りばね(引きばね)57から構成されている。
【0062】
引張りばね(引きばね)57は、ウェーハ2が標準ウェーハ用ノッチ係合固定ピン40an及び特殊ウェーハ用ノッチ係合固定ピン40asのいずれにも接触していない状態で、ベアリング54によって軸支された揺動レバー53の回動状態の向きを、第1の整列方向(+Y方向)にVノッチ45を向けて載置されたウェーハ2に対して、標準ウェーハ用ノッチ係合固定ピン40anがVノッチ45と係合し、特殊ウェーハ用ノッチ係合固定ピン40asがウェーハ2の外周面に当接するレバー回動状態と、第2の整列方向(45°方向)にVノッチ45を向けて載置されたウェーハ2に対して、標準ウェーハ用ノッチ係合固定ピン40anがウェーハ2の外周面に当接し、特殊ウェーハ用ノッチ係合固定ピン40asがVノッチ45と係合するレバー回動状態との間の中間回動状態に保持するようになっている。すなわち、引張りばね57のばね力を受けた揺動レバー53は、相反移動機構51として、標準ウェーハ用ノッチ係合固定ピン40an及び特殊ウェーハ用ノッチ係合固定ピン40asのいずれにも接触していない中立状態で、標準ウェーハ用ノッチ係合固定ピン40an及び特殊ウェーハ用ノッチ係合固定ピン40asそれぞれのピン周面を、規定位置に載置された状態のウェーハ2と同心、同径の円周の内側に位置させた状態に保持するようになっている。
【0063】
したがって、標準ウェーハ用ノッチ係合固定ピン40an若しくは特殊ウェーハ用ノッチ係合固定ピン40asのうちのいずれか一方のピンの外周面がウェーハ2の外周面によって押動されることによって、揺動レバー53は、
図5に示すように、所定方向を向いた中立状態から引張りばね57のばね力に抗して反時計回り若しくは時計回りにベアリング54を中心にして回動変位させられる。これに伴い、標準ウェーハ用ノッチ係合固定ピン40an若しくは特殊ウェーハ用ノッチ係合固定ピン40asのうち、ウェーハ2の外周面によって押動された側の固定ピン40は、規定位置に載置された状態のウェーハ2と同心、同径の円周の内側位置からこの円周と外接する位置に移動させられ、ウェーハ2の外周面によって押動されていない固定ピン40は、規定位置に載置された状態のウェーハ2と同心、同径の円周のさらに内側位置に移動させられる。これにより、引張りばね(引きばね)57は、その際における揺動レバー53の回動変位に対応する分だけ、揺動レバー43の回動向きが所定方向を向いた中立状態から伸び、その伸びた分に対応した力で、一方のピンは、ウェーハ2の当接した外周面を押し、他方のピンは、ウェーハ2のVノッチ45と係合し、Vノッチ45部分に作用することになる。
【0064】
次に、本実施例に係るウェーハ保持具のホールダ26に、
図10に示した標準Vノッチウェーハ2n、
図11に示した特殊Vノッチウェーハ2それぞれを載置する場合の作用について、図面に基づき説明する。
【0065】
図6、
図7は、本実施例に係るウェーハ保持具のホールダに標準Vノッチウェーハを載置する場合の説明図である。
図8は、本実施例に係るウェーハ保持具のホールダに特殊Vノッチウェーハを載置する場合の説明図である。
【0066】
ホールダ26に標準Vノッチウェーハ2nを載置しようとする場合、可動ピン41が、標準Vノッチウェーハ2nを固定ピン40(40a,40b)に押し付け、ウェーハを載置面28の規定位置に保持しようとすると、標準ウェーハ用ノッチ係合固定ピン40anと特殊ウェーハ用ノッチ係合固定ピン40asとからなるノッチ係合固定ピン40aにおいては、
図6に示すように、ノッチ45とは対向しない特殊ウェーハ用ノッチ係合固定ピン40asが標準Vノッチウェーハ2nの外周面と当接する。
【0067】
これにより、特殊ウェーハ用ノッチ係合固定ピン40asは、可動ピン41の押し付け力を受けて、揺動レバー53が、
図7に示すように、収容凹部52内で引張りばね57のばね力に抗してベアリング54を中心にして時計回りに回動される。そして、この揺動レバー53の回動によって、特殊ウェーハ用ノッチ係合固定ピン40asは、
図2に示したレバー中立状態の、規定位置に載置された状態のウェーハ2と同心、同径の円周の内側位置から、
図7に示したこの円周に外接する位置に移動させられる。また、ウェーハ2の外周面によって押動されていない標準ウェーハ用ノッチ係合固定ピン40anは、
図2に示したレバー中立状態の、規定位置に載置された状態のウェーハ2と同心、同径の円周の内側位置から、さらに内側位置に移動させられる。その後、標準ウェーハ用ノッチ係合固定ピン40anが、
図7に示すように、標準Vノッチウェーハ2nのVノッチ45に係合当接すると、揺動レバー53の時計回りの回動が可動ピン41の押し付け力が作用している標準Vノッチウェーハ2nによって止められる。
【0068】
この状態においては、特殊ウェーハ用ノッチ係合固定ピン40asが、ノッチ非係合固定ピン40bと同様に、規定位置に載置された状態の標準Vノッチウェーハ2nのVノッチ45部分以外の外周面と当接し、標準ウェーハ用ノッチ係合固定ピン40anが、標準Vノッチウェーハ2nのVノッチ45と係合当接することにより、標準Vノッチウェーハ2nの、載置面28の規定位置に対する位置決めがなされる。加えて、標準ウェーハ用ノッチ係合固定ピン40anが、標準Vノッチウェーハ2nのVノッチ45と係合当接することにより、この規定位置での標準Vノッチウェーハ2nの基板向き、すなわち基板面に形成されている回路パターン47の配列向きについて、載置面28上の規定向きに沿った整列すなわち方向決めがなされる。
【0069】
測長SEM1による観察,測定後、標準Vノッチウェーハ2nがホールダ26から取り外されると、揺動レバー53は、引張りばね57のばね力により、
図2に示すレバー中立状態の、標準ウェーハ用ノッチ係合固定ピン40an及び特殊ウェーハ用ノッチ係合固定ピン40asそれぞれのピン周面を、規定位置に載置された状態のウェーハ2と同心、同径の円周の内側に位置させた状態に戻る。
【0070】
これに対し、ホールダ26に、特殊Vノッチウェーハ2sを載置しようとする場合、可動ピン41が特殊Vノッチウェーハ2sを固定ピン40(40a,40b)に押し付け、ウェーハを載置面28の規定位置に保持しようとすると、標準ウェーハ用ノッチ係合固定ピン40anと特殊ウェーハ用ノッチ係合固定ピン40asとからなるノッチ係合固定ピン40aにおいては、ノッチ45とは対向しない標準ウェーハ用ノッチ係合固定ピン40anが特殊Vノッチウェーハ2sの外周面と当接する。
【0071】
これにより、標準ウェーハ用ノッチ係合固定ピン40anは、可動ピン41の押し付け力を受けて、揺動レバー53が、
図8に示すように、収容凹部52内で引張りばね57のばね力に抗してベアリング54を中心にして反時計回りに回動される。そして、この揺動レバー53の回動によって、標準ウェーハ用ノッチ係合固定ピン40anは、
図2に示したレバー中立状態の、規定位置に載置された状態のウェーハ2と同心、同径の円周の内側位置から、
図8に示したこの円周に外接する位置に移動させられる。また、ウェーハ2の外周面によって押動されていない特殊ウェーハ用ノッチ係合固定ピン40asは、
図2に示したレバー中立状態の、規定位置に載置された状態のウェーハ2と同心、同径の円周の内側位置から、さらに内側位置に移動させられる。その後、特殊ウェーハ用ノッチ係合固定ピン40asが、
図8に示すように、特殊Vノッチウェーハ2sのVノッチ45に係合当接すると、揺動レバー53の反時計回りの回動が可動ピン41の押し付け力が作用している特殊Vノッチウェーハ2sによって止められる。
【0072】
この状態においては、標準ウェーハ用ノッチ係合固定ピン40anが、ノッチ非係合固定ピン40bと同様に、規定位置に載置された状態の標準Vノッチウェーハ2nのVノッチ45部分以外の外周面と当接し、特殊ウェーハ用ノッチ係合固定ピン40asが、特殊Vノッチウェーハ2sのVノッチ45と係合当接することにより、特殊ウェーハ用ノッチ係合固定ピン40asの、載置面28の規定位置に対する位置決めがなされる。加えて、特殊ウェーハ用ノッチ係合固定ピン40asが、特殊Vノッチウェーハ2sのVノッチ45と係合当接することにより、この規定位置での特殊Vノッチウェーハ2sの基板向き、すなわち基板面に形成されている回路パターン47の配列向きについて、載置面28上の規定向きに沿った整列すなわち方向決めがなされる。
【0073】
したがって、ホールダ26の載置面28の規定位置に標準Vノッチウェーハ2nを載置する場合も、特殊Vノッチウェーハ2sを載置する場合も、規定位置に載置する前にノッチ係合固定ピン40aが標準Vノッチウェーハ2nや特殊Vノッチウェーハ2sに干渉することがなくなり、ホールダ26の載置面28の規定位置に載置された状態で、標準Vノッチウェーハ2n及び特殊Vノッチウェーハ2sそれぞれの回路パターン46の向きを同じ向きにして規定位置にウェーハ2を保持することができる。
【0074】
測長SEM1を用いてウェーハ上に形成した各種パターンの観察及び測長を実施する際、観察試料が標準Vノッチウェーハ2nであるか、特殊Vノッチウェーハ2sであるかに応じてホールダ26のノッチ係合固定ピン40aを付け替えたりする等の段取りの必要がなくなるので、観察及び測長のスループットが向上する。
【0075】
なお、上述した実施例では、相反移動機構51は、一端側に標準ウェーハ用ノッチ係合固定ピン40anが立設され、他端側に特殊ウェーハ用ノッチ係合固定ピン40asが立設された回動可能な揺動レバー53を、引張りばね57からレバー向き保持機構によって、標準ウェーハ用ノッチ係合固定ピン40an及び特殊ウェーハ用ノッチ係合固定ピン40asのいずれにも接触していない中立状態で、標準ウェーハ用ノッチ係合固定ピン40an及び特殊ウェーハ用ノッチ係合固定ピン40asそれぞれのピン周面を、規定位置に載置された状態のウェーハ2と同心、同径の円周の内側に位置させた状態に保持する構成したが、相反移動機構51の構成は、一の基板別切欠部係合固定ピンが、当該一の基板別切欠部係合固定ピンとは対応しない種類の基板の前記載置面への載置により、当該一の基板別切欠部係合固定ピンと対応する種類の基板との非係合位置へ押動されることに連動して、他の基板別切欠部係合固定ピンを、当該他の基板別切欠部係合固定ピンと対応する種類の基板との係合位置へ押動する機構ものであれば、実施例の構成に限定されない。例えば、上記実施例では、相反移動機構51は、揺動レバー53の一端側に引張りばね57をの接続する構成としたが、揺動レバー53の回動軸部分にコイルばねを巻装し、コイルばねの一端側を揺動レバー53に固定し、他端側を載置面に固定するように構成してもよい。この場合は、揺動レバー53の回動によるコイルばねの拡径変化及び縮径変化のばね力を利用することができる。また、相反移動機構51をロッカースイッチのシーソー式機構のように構成することにより、標準ウェーハ用ノッチ係合固定ピン40anと特殊ウェーハ用ノッチ係合固定ピン40asとを係合位置と非係合位置との間で相反的に択一的に配置する構成であってもよい。さらに、上述した実施例では、標準ウェーハと特殊ウェーハとでノッチの角度が相異なる場合を例に説明したが、上述した実施例の構成は、標準ウェーハと特殊ウェーハとでオリフラの角度が相異なる場合にも適用可能である。