【解決手段】一面に開口部2aを有した有底筒状のケース2と、ケース内に設けられたコンデンサ素子10と、コンデンサ素子10に保持された電解液と、開口部2aに装着された封口体と、を備え、コンデンサ素子10は、陽極11と、陰極12と、陽極11と陰極12の間に配置された導電性高分子層15と、を有し、電解液は、少なくとも溶媒と、電解質と、重合して導電性高分子となるモノマーと、を含むとともに、導電性高分子層15に含浸されており、電解液では、重合して導電性高分子となるモノマーが、電解液の50WT%以上を占める電解コンデンサ1。
前記電解質は、ボロジサリチル酸、フタル酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、安息香酸、マレイン酸、アンモニア、トリメチルアミン、トリエチルアミンの少なくとも一つを含む請求項1から4のいずれかに記載の電解コンデンサ。
前記重合して導電性高分子となるモノマーは、チオフェン、ピロール、フラン、アニリン及びその誘導体の少なくとも一つを含む請求項1から5のいずれかに記載の電解コンデンサ。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の電解コンデンサを、今まで使用されていた電子機器よりも、高い雰囲気温度となる電子機器に採用した場合、前記低ESR特性が徐々に劣化し、電子機器を構成する部品として要求される性能を満足できなくなる恐れがある。
【0006】
本発明は、雰囲気温度が高い状態で使用した場合でも、長い期間、低ESR特性を保持できる電解コンデンサを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために本発明の電解コンデンサは、一面に開口部を有した有底筒状のケースと、前記ケース内に設けられたコンデンサ素子と、前記コンデンサ素子に保持された電解液と、前記開口部に装着された封口体と、を備え、前記コンデンサ素子は、陽極と、陰極と、前記陽極と前記陰極の間に配置された導電性高分子層と、を有し、前記電解液は、少なくとも溶媒と、電解質と、重合して導電性高分子となるモノマーと、を含むとともに、前記導電性高分子層に含浸されており、前記電解液では、前記重合して導電性高分子となるモノマーが、前記電解液の50WT%以上を占めることを特徴とする。
【0008】
この構成によると、陽極と陰極との間に導電性高分子層を備えることで、電解液に、重合して導電性高分子となるモノマーの占める重量比が高い電解液を用いた場合でも電解コンデンサのESRを低く抑えることができる、すなわち、低ESR特性を有する電解コンデンサとすることができる。また、導電性高分子層の劣化が発生しても、重合して導電性高分子となるモノマーで修復することができる。重合して導電性高分子となるモノマーの占める重量比が高い電解液を用いていることで、長期間にわたり導電性高分子層の劣化の修復が可能であり、ESRの上昇を抑えることが可能である。
【0009】
すなわち、上述の構成によると、低ESR特性を有するとともに、雰囲気温度が高い環境で電解コンデンサを使用したときに、低ESR特性を長期間維持することができる電解コンデンサを提供することが可能である。
【0010】
上記構成の電解コンデンサに用いる電解液として、前記重合して導電性高分子となるモノマーが、前記電解液の50WT%〜90WT%を占めるものを挙げることができる。
【0011】
上記構成の電解コンデンサに用いる電解液として、前記重合して導電性高分子となるモノマーが、前記電解液の60WT%〜80WT%を占めるものを挙げることができる。
【0012】
上記構成の電解コンデンサに用いる電解液の溶媒として、γ-ブチロラクトン、スルホラン、エチレングリコールの少なくとも一つを含んでいてよい。
【0013】
上記構成の電解コンデンサに用いる電解液の電解質として、ボロジサリチル酸、フタル酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、安息香酸、マレイン酸、アンモニア、トリメチルアミン、トリエチルアミンの少なくとも一つを含んでいてよい。
【0014】
上記構成の電解コンデンサに用いる電解液の重合して導電性高分子となるモノマーとして、チオフェン、ピロール、フラン、アニリン及びその誘導体の少なくとも一つを含んでいてよい。
【0015】
上記構成の電解コンデンサに用いる封口体は、ゴムまたはゴム系の材料により構成されていてもよい。
【発明の効果】
【0016】
本発明によると、雰囲気温度が高い状態でも、長い期間、低ESR特性を保持できる電解コンデンサを提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下に本発明の実施形態を図面を参照して説明する。
図1は一実施形態の電解コンデンサを示す側面断面図である。電解コンデンサ1は一面に開口部2aを有した有底筒状のアルミニウム等から形成された外装ケース2内にコンデンサ素子10が収納される。外装ケース2の開口部2aはゴム製(ゴム系の材料で形成されていてもよい)の封口体3により封口される。なお、外装ケース2及び封口体3が容器である。
【0019】
図2はコンデンサ素子の分解斜視図を示している。コンデンサ素子10は帯状の陽極箔11及び陰極箔12の間に電解紙等のセパレータ13及び導電性高分子層15を介在させた状態で、円柱状に巻回して形成される。陽極箔11または陰極箔12の終端は巻き止めテープ14によって固定される。陽極箔11及び陰極箔12にはそれぞれリードタブ21a、22aを介してリード線21、22が取り付けられている。リード線21、22によって陽極及び陰極の端子部が形成される。そして、電解液が、コンデンサ素子10に保持されている。すなわち、電解液が、導電性高分子層15に含浸されている。
【0020】
次に本発明の要部について説明する。上述のとおり、電解コンデンサを雰囲気温度が高い状態になる電子機器に利用した場合、ESR特性が劣化する。本発明の発明者は、電解コンデンサの高温雰囲気中での使用における劣化(ESR特性の劣化)について、次のとおり考察した。すなわち、電解コンデンサ1が使用される場所の雰囲気温度が高いと、外装ケース2内の温度が上昇することで、電解液中の有機溶媒が封口体3で封口された開口部2aから漏洩(蒸散)する。その結果として、導電性高分子層15の一部が空気に触れて酸化(劣化)し、それによりESR特性が劣化する。
【0021】
そして、本発明の発明者は、以上の考察に基づいて、酸化により劣化した導電性高分子層15を修復させることができないかと考え、電解液中に重合して導電性高分子となるモノマーを含有させ、導電性高分子層15を修復させることを思いついた。すなわち、本発明にかかる電解コンデンサ1において、電解液には、少なくとも、有機溶媒と、電解質と、重合して導電性高分子となるモノマーとを含むこととした。
【0022】
重合して導電性高分子となるモノマーを含む電解液を用いた電解コンデンサは従来から知られている(例えば、特開2007−19469号公報、特開2006−237307号公報等参照)。重合して導電性高分子となるモノマー自体は導電性が低い。重合して導電性高分子となるモノマーが多量に含まれた電解液を使用すると、電解コンデンサのESRが高くなる。すなわち、電解コンデンサの低ESR特性を得ることができなくなる。そのため、従来の電解コンデンサでは、使用初期におけるESRの上昇を抑えるため、すなわち、低ESR特性を有するために、重合して導電性高分子となるモノマーの量の電解液に占める重量比を、低く抑えている。
【0023】
本発明の発明者が、鋭意研究を重ねた結果、陽極箔11と陰極箔12との間に導電性高分子層15を設けたコンデンサ素子10に、重合して導電性高分子となるモノマーが占める重量比が大きい電解液を使用しても、低ESR特性の電解コンデンサを作製できることが分かった。そして、重合して導電性高分子となるモノマーが占める重量比が大きい電解液を利用することで、高温雰囲気中での使用時間が長くなったときの電解コンデンサのESRの上昇が抑えられることも分かった。
【0024】
すなわち、本発明の電解コンデンサでは、陽極と陰極との間に導電性高分子層を備えた電解コンデンサにおいて、重合して導電性高分子となるモノマーが、電解液の50WT%以上を占める電解液を用いることで、低ESR特性を有するとともに、雰囲気温度が高い場所で使用した場合でも、その低ESR特性を長期間保持できる。そこで、本発明のコンデンサ素子10の構成を以下のとおりとした。
【0025】
図3は、コンデンサ素子の陽極と陰極とを含む断面図である。
図3に示すように、陽極箔11と陰極箔12との間には、導電性高分子層15が形成されている。
【0026】
陽極箔11はアルミニウム、タンタル、ニオブ、チタン等の弁作用金属から形成される。陰極箔12はセパレータ13を介して陽極箔11と対向しており、アルミニウム、タンタル、ニオブ、チタン等により形成される。導電性高分子層15としては、例えば、ポリエチレンジオキシチオフェン、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリアニリンまたはこれらの誘導体等が使用されている。
【0027】
電解液は、溶質である電解質を溶媒に溶かしている。溶媒としては、例えば、γ-ブチロラクトン、スルホラン、エチレングリコール及びこれらの混合物等を挙げることができるが、これに限定されない。電解質としては、例えば、ボロジサリチル酸、フタル酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、安息香酸、マレイン酸、アンモニア、トリメチルアミン、トリエチルアミンの少なくとも一つを有する構成等を挙げることができるが、これに限定されない。
【0028】
重合して導電性高分子となるモノマーは、例えば、チオフェン、ピロール、フラン、アニリン等またはその誘導体によるものを挙げることができるが、これに限定されない。
【0029】
本発明では、陽極箔11と陰極箔12間に導電性高分子層15を設けるとともに、導電性高分子層15に重合して導電性高分子となるモノマーが、電解液の50WT%以上を占める構成としている。このような構成にすると、使用初期において電解コンデンサ1のESRは、陽極箔11(陽極)と陰極箔12(陰極)との間に導電性高分子層15を設けることで低い状態に保持できる。そして、高温雰囲気での長期使用により有機溶媒が封口体部分から漏洩(蒸散)し、導電性高分子層15が劣化しても、その分を、上述したモノマーが重合し、劣化した導電性高分子層15を修復する。その結果、本発明にかかる電解コンデンサ1は、雰囲気温度が高い状態で、長い期間使用されても、低ESR特性を保持できる。
【0030】
以上のような構成を備えた本発明にかかる電解コンデンサ1の特性評価を行った。特性評価の試験としては、電解コンデンサ1の高温雰囲気中におけるESRの時間変化を測定した。まず、試験を行ったサンプルとして本発明にかかる構成の実施例1〜実施例6を用意した。また、本発明にかかる各実施例と比較するために比較例1〜比較例4も用意した。まず、各実施例及び比較例について説明する。
【0031】
(試験サンプル)
試験に用いたサンプルの形状は、完成寸法(外装ケース2に収納した状態での電解コンデンサ1の外形寸法)をφ10mm×H10.5mmとしている。まず、誘電体被膜を有する陽極箔11と陰極箔12とを電解紙等のセパレータ13を介して巻回し、定格250(V)−6.8(μF)のコンデンサ素子10を作成した。
【0032】
そして、ポリエチレンオキシオフェン粒子が水に分散された分散液(濃度:約3質量%)に25℃、89(kPa)の減圧下でコンデンサ素子10を1分間浸漬して、分散液をコンデンサ素子10に含浸させた。次に、コンデンサ素子を125℃の乾燥炉で乾燥させ、導電性高分子層15を形成した。
【0033】
電解液は、上述した溶媒と、電解質と、重合して導電性高分子となるモノマーとして、3,4−エチレンジオキシチオフェンを所定量(電解液に所定WT%占める量)投入し、撹拌することで溶かして生成される。なお、3,4−エチレンジオキシチオフェンの投入量は、電解液に占める重量比(WT%)で示している。
【0034】
3,4−エチレンジオキシチオフェンの占める重量比が50WT%の電解液を利用した電解コンデンサを実施例1としている。そして、3,4−エチレンジオキシチオフェンの占める重量比が60WT%、80WT%、90WT%の電解液を用いた電解コンデンサを、それぞれ、実施例2、実施例3及び実施例4とした。また、3,4−エチレンジオキシチオフェンの占める重量比が0WT%の電解液を用いた電解コンデンサを比較例1、3,4−エチレンジオキシチオフェンの占める重量比が10WT%の電解液を用いた電解コンデンサを比較例2及び3,4−エチレンジオキシチオフェンの占める重量比が40WT%の電解液を用いた電解コンデンサを比較例3とした。また、3,4−エチレンジオキシチオフェンの占める重量比が100WT%の電解液を用いた電解コンデンサを比較例4とした。
【0035】
そして、25℃に保たれた上述の各電解液にコンデンサ素子10を10秒間浸漬し、電解液をコンデンサ素子10、すなわち、導電性高分子層15に含浸させた。次に、電解液を含浸したコンデンサ素子10をアルミニウム製の外装ケース2に収納して外装ケース2を封口した。
【0036】
次に、定格電圧の1.15倍の電圧を印加しながら約125℃で約1時間エージングすることにより、第1実施例〜第4実施例、第1比較例〜第4比較例それぞれの電解コンデンサを作成した。
【0037】
(試験)
電解コンデンサは、例えば、自動車や電化製品に用いられるコンプレッサの電源回路、LEDを用いた照明装置の電源回路等に用いられることが多い。そして、電源回路には大電流が流れる場合が多く発熱量が多い。そのため、電源回路に用いられる電解コンデンサは、高温雰囲気(例えば、125℃)にさらされることが多い。そして、電源回路に用いられる電解コンデンサには、長期間にわたって、設計時に想定している性能を維持する、すなわち、長寿命であることが要求される。
【0038】
電解コンデンサの性能を測る指標の一つに等価直流抵抗(ESR)がある。電解コンデンサにおいて、ESRが大きくなると放電電圧の低下が大きくなる。すなわち、ESRが小さいコンデンサが高性能である。また、一般的な電解コンデンサでは、使用時間が長くなるとESRが大きくなる傾向がある。そのため、時間変化によるESRの増加が少ない電解コンデンサが、長期間にわたって設計時に想定している性能を維持できるとされている。つまり、電解コンデンサでは、ESRが小さいほど、放電電圧の低下が抑制されて高性能であり、高温雰囲気中での時間経過(使用時間)に伴うESRの増加が少ないほど、長寿命であるといえる。
【0039】
そこで、高温雰囲気中での使用時における電解コンデンサのESRの計時変化を測定する試験を行った。試験の詳細は次のとおりである。試験は、実施例1〜実施例4、比較例1〜比較例4の電解コンデンサに対し、雰囲気温度125℃で定格電圧250Vを印加し、一定時間ごとに電解コンデンサの100kHzにおけるESRを測定した。この試験結果を
図4に示す。
図4は、電解コンデンサの時間経過によるESRの変化を示すグラフである。
図4に示すグラフでは、縦軸がESR(mΩ/100kHz)であり、横軸が時間(Hrs)である。なお、グラフは、縦軸が対数目盛の片対数グラフである。
【0040】
図4に示すように、3,4−エチレンジオキシチオフェンの占める重量比が低い電解液を利用した試験サンプルである、比較例1及び比較例2の電解コンデンサの試験開始直後のESRは約40mΩであった。なお、試験開始直後のESRは、電界コンデンサの設計上の特性を示すものであり、電解コンデンサのESR特性とする。また、3,4−エチレンジオキシチオフェンがある程度の重量比占めている電解液を利用した試験サンプルである、実施例1及び比較例3の電解コンデンサの試験開始直後のESRは約45mΩである。一方、3,4−エチレンジオキシチオフェンの占める重量比を高くした電解液を利用した試験サンプルである実施例2〜実施例4及び比較例4の電解コンデンサの試験開始直後のESRは、約70mΩであった。
【0041】
試験開始直後において、いずれの試験サンプルの電解コンデンサも、低ESR特性を有している。このことは、3,4−エチレンジオキシチオフェンによる電解液の導電性の低さを、陽極箔11と陰極箔12の間設けられた導電性高分子層15で補っているとの発明者の考察と合致している。また、試験開始直後において、3,4−エチレンジオキシチオフェンの占める重量比を低くした電解液を利用した試験サンプルの電解コンデンサのESRが3,4−エチレンジオキシチオフェンの占める重量比を高くした電解液を利用した試験サンプルの電解コンデンサのESRよりも低い。これは、3,4−エチレンジオキシチオフェン自体、導電性が低いため、3,4−エチレンジオキシチオフェンが占める重量比が低い電解液を用いた電解コンデンサにおいて、電解液の導電性の低下が抑えられ、ESRがより低く抑えられている。
【0042】
そして、試験時間が約1000時間(Hrs)経過するまでは、いずれの試験サンプルの電解コンデンサでも、ESRがほとんど変化していない。このことは、試験時間が約1000時間(Hrs)経過するまでは導電性高分子層15の劣化が、修復が必要ない程度であるためと考えられる。
【0043】
実施例1の電解コンデンサは、試験開始から約2000時間(Hrs)を超えたあたりからゆっくりESRが増加している。そして、9000時間(Hrs)経過後のESRは、約450mΩであった。
【0044】
実施例2及び実施例3の電解コンデンサでは、試験開始から9000時間経過後のESR値は、約140mΩであった。つまり、実施例2及び実施例3の電解コンデンサの試験開始から9000時間経過するまでのESRの増加は、わずかであった。
【0045】
実施例3よりも3,4−エチレンジオキシチオフェンの電解液に占める重量比が高い、実施例4の電解コンデンサでは、試験開始から約2000時間までESRはほぼ横ばいであったが、約2000時間経過した後に、ESRがゆっくり増加している。そして、実施例4の電解コンデンサの試験開始から9000時間(Hrs)経過後のESRは、約450mΩであった。このESR値は、3,4−エチレンジオキシチオフェンの電解液に占める重量比が少ない実施例1とほぼ同じである。
【0046】
一方で、3,4−エチレンジオキシチオフェンの占める重量比を低くした電解液を利用した試験サンプルである、比較例1及び比較例2の電解コンデンサでは、約1200時間(Hrs)を経過したあたりから、ESRが上昇し始めている。そして、比較例1及び比較例2の電解コンデンサでは、時間経過によって、ESRが急上昇している。比較例1及び比較例2では、約2500時間(Hrs)を経過したときから、比較例1と比較例2とのESRの上昇度合いが異なっており、電解液に3,4−エチレンジオキシチオフェンを含まない比較例1の方が、ESRの上昇が急である。なお、比較例1、比較例2の電解コンデンサの9000時間(Hrs)経過後のESRは、ともに100000mΩを超えている。
【0047】
一方、比較例3の電解コンデンサでは、約2000時間(Hrs)経過後にESRが上昇し始めている。比較例3の電解コンデンサの試験時間の経過に伴うESRの上昇は、比較例1及び比較例2の電解コンデンサに比べて緩やかである。比較例3の電解コンデンサの試験開始から9000時間(Hrs)経過後のESRは約850mΩである。
【0048】
比較例4の電解コンデンサでは、約1500時間(Hrs)経過後にESRが増加し始めている。そして、比較例4の電解コンデンサのESRは、比較例3と近似した曲線となっている。なお、比較例4の電解コンデンサの9000時間経過後のESRは、約1500mΩであった。
【0049】
実施例1〜実施例4の結果及び比較例1〜比較例4の結果を総合すると次のとおりである。
【0050】
(1)電解液に3,4−エチレンジオキシチオフェンを含まない比較例1と、電解液に占める3,4−エチレンジオキシチオフェンの割合が低い比較例2とを比較する。導電性高分子層を含む電解コンデンサでは、重合して導電性高分子になるモノマー(3,4−エチレンジオキシチオフェン)を含む電解液を使用することで、電解コンデンサの使用時間経過によるESRの上昇が抑えられることがわかる。
【0051】
(2)比較例2と比較例3とを比較する。重合して導電性高分子になるモノマー(3,4−エチレンジオキシチオフェン)の電解液に占める重量比が高いほど、電解コンデンサのESRの上昇が抑えられている。すなわち、重合して導電性高分子になるモノマー(3,4−エチレンジオキシチオフェン)の電解液に占める重量比が低い場合(ここでは、40WT%以下)、電解液に占める重合して導電性高分子になるモノマー(3,4−エチレンジオキシチオフェン)の割合が高いほど、電解コンデンサの使用時間経過によるESRの上昇が抑えられることがわかる。
【0052】
(3)比較例3と実施例1とを比較する。比較例3の電解コンデンサのESRは、約4000時間経過したあたりから、実施例1の電解コンデンサのESRよりも大きく推移している。このことからも、重合して導電性高分子になるモノマー(3,4−エチレンジオキシチオフェン)の電解液に占める重量比が高いほど、電解コンデンサのESRの上昇が抑えられることがわかる。そして、重合して導電性高分子になるモノマー(3,4−エチレンジオキシチオフェン)の電解液に占める重量比がある程度ある場合(ここでは、50WT%以上)、重合して導電性高分子になるモノマー(3,4−エチレンジオキシチオフェン)の電解液に占める重量比が高いほど、電解コンデンサのESRの上昇が抑えられている。なお、実施例1と実施例2との間にも、同様の規則性が成り立っている。
【0053】
(4)実施例2、実施例3及び実施例4を比較する。実施例2及び実施例3の電解コンデンサでは、時間経過に伴ってESRがあまり上昇していない。一方、実施例2及び実施例3の電解液よりも重合して導電性高分子になるモノマー(3,4−エチレンジオキシチオフェン)の電解液に占める重量比が高い実施例4の電解コンデンサでは、経過時間が長くなるにしたがって、実施例2及び実施例3の電解コンデンサよりもESRが大きくなる。
(5)実施例1〜実施例4よりも重合して導電性高分子になるモノマー(3,4−エチレンジオキシチオフェン)の電解液に占める重量比が高い電解液を利用している比較例4の電解コンデンサでは、時間経過に伴って実施例1〜実施例4の電解コンデンサよりもESRが大きくなっている。
【0054】
以上のことから、実施例1〜実施例4の電解コンデンサは、比較例1〜比較例4の電解コンデンサに比べて、高温雰囲気中での使用において、時間経過によるESRの上昇が抑えられている、すなわち、計時劣化が少ない。中でも、実施例2及び実施例3の電解コンデンサでは、高温雰囲気中での使用における計時劣化がより少ないことが分かった。
【0055】
以上のことから、陽極箔11(陽極)と陰極箔12(陰極)との間に導電性高分子層15が配された本発明にかかる電解コンデンサにおいて、電解液は、少なくとも溶媒と、電解質と、重合して導電性高分子となるモノマーと、を含むとともに、前記導電性高分子層に含浸されており、重合して導電性高分子となるモノマーが、電解液の50WT%以上を占めることで、電解コンデンサを高温雰囲気中で使用したときの計時劣化を抑制できる。
【0056】
また、実施例1及び実施例4の電解コンデンサの9000時間経過時のESRがほぼ同じとなること、実施例2及び実施例3の電解コンデンサの9000時間経過時のESRが実施例1及び実施例4の電解コンデンサよりも小さいことから、本発明にかかる電解コンデンサでは、重合して導電性高分子となるモノマーが、電解液の50WT%〜90WT%占めていることが好ましい。さらに、実施例2及び実施例3では、電解コンデンサの9000時間経過後のESRの上昇が低く抑えられていることから、本発明にかかる電解コンデンサでは、重合して導電性高分子となるモノマーが、電解液の60WT%〜80WT%占めていることがさらに好ましい。