特開2021-100438(P2021-100438A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2021-100438(P2021-100438A)
(43)【公開日】2021年7月8日
(54)【発明の名称】菓子およびその製造方法
(51)【国際特許分類】
   A23G 1/32 20060101AFI20210611BHJP
   A23G 3/36 20060101ALI20210611BHJP
【FI】
   A23G1/32
   A23G3/36
【審査請求】有
【請求項の数】3
【出願形態】OL
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2021-65879(P2021-65879)
(22)【出願日】2021年4月8日
(62)【分割の表示】特願2018-509327(P2018-509327)の分割
【原出願日】2017年3月29日
(31)【優先権主張番号】特願2016-71892(P2016-71892)
(32)【優先日】2016年3月31日
(33)【優先権主張国】JP
(71)【出願人】
【識別番号】307013857
【氏名又は名称】株式会社ロッテ
(74)【代理人】
【識別番号】100094112
【弁理士】
【氏名又は名称】岡部 讓
(74)【代理人】
【識別番号】100128668
【弁理士】
【氏名又は名称】齋藤 正巳
(74)【代理人】
【識別番号】100096943
【弁理士】
【氏名又は名称】臼井 伸一
(72)【発明者】
【氏名】道口 靖央
(72)【発明者】
【氏名】樋口 葉
(72)【発明者】
【氏名】藤本 一郎
(72)【発明者】
【氏名】徳本 匠
【テーマコード(参考)】
4B014
【Fターム(参考)】
4B014GB01
4B014GB04
4B014GG06
4B014GG07
4B014GG11
4B014GG14
4B014GK03
4B014GK05
4B014GK07
4B014GK12
4B014GL06
4B014GL07
4B014GL10
4B014GP12
4B014GQ05
4B014GY04
(57)【要約】
【課題】優れたチョコレート風味と、シャリシャリした結晶感のある軽快な食感を有する、耐熱性の菓子の提供。
【解決手段】結晶性糖質を56重量%以上、カカオマスを18重量%以上含むことを特徴とする菓子を提供する。また、結晶性糖質、カカオマス、水を混合し、105℃以上150℃以下の温度で煮詰める工程、煮詰めた生地を45℃以上105℃以下に調温する工程、調温した生地に結晶性糖質の微粉末を混合する工程、および結晶性糖質の微粉末を混合した生地を成型する工程からなる菓子の製造方法を提供する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
固形分換算割合に基づき、トレハロースを含む結晶性糖質を56重量%以上、カカオマスを18重量%以上含むことを特徴とする菓子。
【請求項2】
固形分換算割合に基づき、トレハロースを含む結晶性糖質を56重量%以上74重量%以下、カカオマスを18重量%以上30重量%以下含むことを特徴とする請求項1の菓子。
【請求項3】
60℃の温度下で溶けないことを特徴とする請求項1または2に記載の菓子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
優れたチョコレート風味と、シャリシャリした結晶感のある軽快な食感を有する、耐熱性の菓子およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
チョコレートはカカオ成分(カカオマス、ココアパウダー、ココアバター)、糖類、乳化剤などを原料とする菓子である。カカオ由来の油脂の融点が低いため、チョコレートは28℃以上で軟化、さらに高温で融解するという問題点がある。
これを解消するため、焼成することによって製造される、耐熱性チョコレートが知られる。しかし、焼成された耐熱性チョコレートは、食感がジャリジャリとして好ましくない。また、焼成の際は150℃前後という高温にする必要があり、安全な製造設備の確保が難しかった。
【0003】
一方、キャンディの製造方法を応用して、チョコレート風味を有し、かつ、軽快な噛み心地をもつ耐熱性の菓子の製造が試みられてきた。
この方法では、従来のハードキャンディに、少量のカカオマスを配合することで、サクサクとした食感が達成されるが、この場合チョコレートの風味が充分に出ない。
【0004】
一方、同じ方法でよりチョコレート風味を出そうと、多量のカカオマスを配合すると、サクサクした食感は失われてしまう。さらには、カカオマス配合のハードキャンディは、噛んだ時に、その破片が歯に入り込み不快な食感となってしまっていた。
また、カカオマス配合のハードキャンディは室温では溶けないが、60℃付近では、キャンディの表面が溶けてしまうため、お互いがくっ付いてしまうといった現象が見られ、耐熱性が充分とはいえなかった。
また、従来のソフトキャンディやグミキャンディでは、多量のカカオマスを配合することが可能であるが、弾力の強い食感となってしまい、サクサクした食感を実現することができない。また、60℃付近ではキャンディの表面がベタベタしてしまう。
【0005】
なお、本明細書中で、チョコレートとは、規約(チョコレート類の表示に関する公正競争規約)または法規上の規定に限定されるものではなく、カカオ豆由来の成分を含むチョコレート類全てを意味する。
【0006】
特許文献1は手指でべとつかない焼成チョコレートを開示し、トレハロースを10−30%含むチョコレート類生地を作製したことを開示する。一方、特許文献1の焼成チョコレートは製造の過程で、200℃といった高温で焼成する工程が必要であり、特別な製造設備が必要となる。また、カカオマスの配合量も多くはなく、チョコレート感が高いとはいえない。
【0007】
特許文献2は耐熱性チョコレートの製造方法を開示し、トレハロース、パラチノースまたはグルコースのいずれか1種を1−30重量%含むチョコレート生地を80−100℃に加熱固化する方法を開示する。しかし、特許文献2においては、いずれの実施例においても、カカオマスは10重量%未満であり、チョコレート感が高いとはいえない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特許第5205311号公報
【特許文献2】特開2014−87319号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
従来の耐熱性を謳うチョコレートやキャンディでは得ることができなかった、優れたチョコレート風味と、シャリシャリした結晶感のある軽快な食感を有する菓子の提供を課題とした。なお、本発明において「結晶感がある」とは、糖に由来する微細な結晶が知覚されるということを指す。
【課題を解決するための手段】
【0010】
固形分換算割合に基づき、結晶性糖質を56重量%以上、カカオマスを18重量%以上含むことを特徴とする菓子を提供する。また、結晶性糖質、カカオマス、水を混合し、105℃以上150℃以下の温度で煮詰める工程、煮詰めた生地を45℃以上105℃以下に調温する工程、調温した生地に結晶性糖質の微粉末を混合する工程、結晶性糖質の微粉末を混合した生地を成型する工程からなる菓子の製造方法を提供する。
【発明の効果】
【0011】
本願発明の菓子は耐熱性を有し、60℃で溶けない。また、本願発明の菓子は、なめらかな食感とシャリシャリした結晶感を有する。また、本願発明の菓子は、カカオマスの割合が高く、チョコレート感が高く、チョコレートの風味を充分に味わうことができる。また、本願発明の菓子は、製造の際、高温での焼成が不要である。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】実施例1の製造工程図である。
図2】実施例2の製造工程図である。
図3】実施例3の製造工程図である。
図4】実施例4の製造工程図である。
図5】実施例5の製造工程図である。
図6】実施例6の製造工程図である。
図7】実施例7の製造工程図である。
図8】実施例8の製造工程図である。
図9】実施例9の製造工程図である。
図10】実施例10の製造工程図である。
図11】実施例11の製造工程図である。
図12】比較例1の製造工程図である。
図13】比較例2の製造工程図である。
図14】比較例3の製造工程図である。
図15】実施例12の製造工程図である。
図16】実施例13の製造工程図である。
図17】実施例14の製造工程図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の一実施形態は、固形分換算割合に基づき、結晶性糖質を56重量%以上、カカオマスを18重量%以上含むことを特徴とする菓子を提供する。本実施形態においては、さらに、結晶性糖質は56重量%以上74重量%以下が好ましく、カカオマスは18重量%以上30重量%以下であることが好ましい。
【0014】
なお、上記における固形分換算割合とは、各原料から水分の重量を差し引いた重量が完成品(水分を含む)に占める重量の割合を指す。完成品の仕上がり時の水分量は10〜12重量%に設定することができる。
【0015】
結晶性糖質の例として、砂糖、ぶどう糖、果糖、乳糖、麦芽糖、キシロース、トレハロース、パラチノースなどの糖類や、ソルビトール、マルチトール、キシリトール、エリスリトール、マンニトール、ラクチトール、還元パラチノースなどの糖アルコールなどが挙げられ、これらは、単独で用いても2種以上を併用しても良い。
また、本実施形態にかかる菓子には、ハローデックスなどの水飴、グリセリン、乳化剤等が添加されても良い。
また、本実施形態の菓子には、ミルク感の付与といった、風味の向上を目的として、加糖練乳やミルク粉末などの乳原料を含むことができ、また、生クリーム、コーヒー粉末、バニラエキス、香料を含むことができる。
また、添加されるものは、上記に限定されるものではなく、着色料、調味料、高甘味度甘味料、果汁、ビタミン類、ミネラル類、健康増進を目的とする物質や微生物など、あらゆる物を含むことができる。
【0016】
本発明の第二の実施形態は、結晶性糖質、カカオマス、水を混合し、105℃以上150℃以下で煮詰める工程、煮詰めた生地を45℃以上105℃以下に調温する工程、調温した生地に結晶性糖質の微粉末を混合する工程、結晶性糖質の微粉末を混合した生地を成型する工程からなる菓子の製造方法を提供する。また、さらには、本実施形態は、原料配合割合に基づき、結晶性糖質52重量%以上70重量%以下、カカオマス19重量%以上30重量%以下となるよう原料を混合する工程、混合された原料に水を添加して105℃以上150℃以下の温度で煮詰める工程、煮詰めた生地を45℃以上105℃以下に調温する工程、調温した生地に結晶性糖質の微粉末を混合する工程、結晶性糖質の微粉末を混合した生地を成型する工程からなる菓子の製造方法を提供する。
【0017】
また、本発明の第三の実施形態は、結晶性糖質、水を混合し、105℃以上150℃以下の温度で煮詰める工程、煮詰めた混合物にカカオマスを加える工程、カカオマスを含む混合物を45℃以上105℃以下に調温する工程、調温した生地に結晶性糖質の微粉末を混合する工程、結晶性糖質の微粉末を混合した生地を成型する工程からなる菓子の製造方法を提供する。この製造方法においては、カカオマスをあらかじめ65℃以上70℃以下に調温しておくことができ、その場合、カカオマスは湯煎などによって、調温することができ、あるいは、カカオマスは調温することなく、固体のまま添加してもよい。また、さらに、カカオマスを添加した後、生地全体を撹拌する工程を設けることができる。
【0018】
次に、第二の実施形態、および第三の実施形態に関して記載する。
煮詰める工程の前の、原料を混合する工程で、ハローデックスなどの水飴、グリセリン、乳化剤等を添加しても良い。ハローデックスは、マルトシルトレハロース(マルトースとトレハロースがつながった4糖類)を固形分で50重量%以上含む水飴のことである。ハローデックスは、生地の結晶化の進行を制御する効果を有する。ハローデックスを添加する場合、添加量は1〜2重量%が好適であり、最終製品の経時安定性を付与できる。
【0019】
グリセリンには、最終製品の水分活性を低下させる効果があり、その結果、最終製品の経時安定性を付与できる。また生地粘度の低減効果があり、その結果、製造適性の向上が認められる。グリセリンを添加する場合、添加量は1〜6重量%が好適である。
【0020】
乳化剤は、乳化の役割、消泡作用、生地の結晶化の進行を制御する効果を有する。その結果、最終製品への経時安定性の付与効果が見られ、製造適性の向上が認められる。乳化剤を添加する場合、添加量は0.2〜1.5重量%が好適である。なお、乳化剤としてはショ糖脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、レシチンなどが挙げられ、上記以外の乳化剤を用いても同様の効果が得られる。特にレシチンにおいては、生地粘度の低減効果、最終製品のブルーミングの発生を抑制する効果を有する。
【0021】
またミルク感の付与といった、風味の向上を目的として、煮詰める工程の前に添加する生地の原料として、加糖練乳やミルク粉末などの乳原料、生クリーム、コーヒー粉末、バニラエキスなどを適切な量で使用することができる。
【0022】
煮詰める工程と調温する工程の間に、さらに、生地のブリックス値を70以上80以下に調整する工程を設けることができる。
【0023】
また、結晶性糖質の微粉末を混合する工程において、結晶性糖質の微粉末のサイズは、好ましくは840μm以下であり、より好ましくは425μm以下である。また、微粉末のサイズの下限は特にはない。結晶性糖質の微粉末の添加量は好ましくは4重量%以上10重量%以下である。結晶性糖質の微粉末の添加は、シャリシャリした結晶感のある軽快な食感に寄与する。
主要な結晶性糖質原料の微粉状態のものを、煮詰め後の生地に添加することで、食感、耐熱性の効果を特に顕著に得ることができる。
【0024】
結晶性糖質の微粉末を混合する工程において、風味の向上を目的として、(熱の影響を受けやすい)香料やバニラエキスなどを併せて添加し、混合しても良い。
【0025】
結晶性糖質の微粉末を混合する工程と生地を成型する工程の間に、生地全体を撹拌する工程を設けても良い。撹拌工程においては、へらによる撹拌や、ミキサーや攪拌機、超音波攪拌機、均質機を用いた撹拌などを採用することができる。撹拌を充分に行うことで、仕上がり後の菓子からの油分のしみ出しを低減させることが可能となる。
また、各混合の工程においては、へらによる混合やミキサーによる混合、エキストルーダーによる混合などの混合方法を採用することができる。
【0026】
生地を成型する工程では、スターチモールド、シリコンモールド、ワックスペーパーボックスなどを使用することができる。また、球断機やスタンピングマシンによる成型、カッターによる成形などを行っても良い。
【0027】
生地を成型する工程の後には、成型後の生地を常温に冷却する工程を設けても良い。
また、生地の成型後には、成型した生地を40℃以上60℃以下の温度にて12時間以上48時間以下乾燥させる乾燥工程を設けることもできる。
【0028】
乾燥工程においては、好ましい乾燥温度は40℃以上60℃以下であるが、より好ましい乾燥温度は45℃以上55℃以下であり、もっとも好ましい乾燥温度は50℃である。
【0029】
製品の仕上がり時の水分量は、10〜12重量%に設定することができる。以下の本実施例では11重量%であったが、当然これに限定されるものではない。
【0030】
本発明の実施形態にかかる菓子、あるいは本発明の製造方法によって製造される菓子は、濃厚なチョコレートの風味と食感を有し、すなわち、フォンダンショコラ(外側はしっとりとした固体状で、内側は液体状のチョコレート)を想起させるような、なめらかさと、粉糖のようなシャリシャリとした結晶感、そして口溶けの良さを併せ持つ。またこの菓子は耐熱性に優れており、60℃の温度下でも溶けることがなく、保形性を失わない。
【実施例】
【0031】
それぞれ表1の配合割合で、第二の実施形態の製造方法により実施例1から8の菓子を、また、第三の実施形態の製造方法により実施例9から11の菓子を製造した。また、それぞれ表2の配合割合で、第二の実施形態の製造方法により、比較例1と2の菓子を、また、第二・第三の実施形態とは異なる製造方法により比較例3の菓子を製造した。実施例1から11、比較例1から3のそれぞれの製造方法の詳細は、図1から図14に詳細に記されている。














































【0032】
【表1】
【0033】
【表2】
【0034】
なお、表1および表2は、いずれも単位は重量%であり、割合は原料配合割合で示される。原料配合割合とは、各原料が製造の際に加えられた重量(水分を含む)が、すべての原料(仕込み水は除く)の重量の合計に占める割合である。製造過程では、原料配合の際に仕込み水が加えられ、煮詰め工程や乾燥工程を経て、仕上がりの状態では、水分が11.0重量%程度含まれたと考えられる。
【0035】
表1および表2において、食感の評価基準は以下のとおりである。
○:粉糖のようなシャリシャリとした結晶感で、フォンダンショコラを想起させる好ましい食感。
△:フォンダンショコラを想起させる食感だが、ネチっとして歯付きがある。
×:結晶の粒をほとんど感じられず、歯にベタ付いて口溶けが悪い。
【0036】
表1および表2において、耐熱性の評価基準は以下のとおりである。
◎:60℃でも液状にならず保形性がある。
○:仕上がり直後は耐熱性がないものの、数日経過すると結晶化が進行し、60℃でも液状にならず保形性を有する。
△:軟らかくなるも、60℃で液状にならず、製品として問題ない。
×:60℃で液状になってしまい、製品として不適切。
−:結晶化しなかったため、評価不可。
【0037】
また、それぞれの、完成品における結晶性糖質およびカカオマスの固形分換算量に基づく割合は表3、表4のように示される。いずれも単位は重量%である。トレハロースおよびトレハロース微粉の水分含有量は2%、砂糖の水分含有量は0%、カカオマスの水分含有量は2%として算出された。
【0038】
【表3】
【0039】
【表4】
【0040】
実施例1から11の菓子はいずれも、粉糖のようなシャリシャリとした結晶感で、フォンダンショコラを想起させる好ましい食感であり、耐熱性も良好であった。
比較例1から3は、いずれも食感の評価が好ましくなかった。比較例1,2については、そもそも結晶化しなかった。
なお、実施例8については、乾燥工程、取り出し工程を経た後、常温で数日(5日間程度)静置することで結晶化が進行し、保形性を有する品質となった。
また、実施例1に関し、トレハロースの微粉末の混合工程と成型工程の間に撹拌工程を設け、かつ乾燥工程の条件を「常温で15時間」として製造した菓子については、表面がネチっとして歯に付くも、シャリシャリとした結晶感が感じられるものとなった。
更に、実施例1に関し、乾燥工程の条件を「常温で18時間」として製造した菓子については、結晶化が進まないものとなってしまった。
【0041】
次に、表5の配合割合で、第三の実施形態の製造方法により実施例12から14の菓子を製造した。実施例12から14のそれぞれの製造方法の詳細は、図15から図17に詳細に記されている。
【0042】
【表5】
【0043】
表5は、いずれも単位は重量%であり、割合は原料配合割合で示される。製造過程では、原料配合の際に仕込み水が加えられ、煮詰め工程や乾燥工程を経て、仕上がりの状態では、水分が11.0重量%程度含まれたと考えられる。食感、耐熱性の評価基準については表1、2と同様である。
【0044】
また、それぞれの、完成品における結晶性糖質およびカカオマスの固形分換算量に基づく割合は表6のように示される。いずれも単位は重量%である。トレハロースおよびトレハロース微粉の水分含有量は2%、砂糖の水分含有量は0%、キシリトールおよびキシリトール微粉の水分含有量は0.5%、ソルビトールの水分含有量は12%、カカオマスの水分含有量は2%として算出された。
【0045】
【表6】
【0046】
実施例12から14の菓子はいずれも、粉糖のようなシャリシャリとした結晶感で、フォンダンショコラを想起させる好ましい食感であり、耐熱性も良好であった。
実施例14では、トレハロースを用いず、キシリトールを主要な糖質原料として製造されたが、トレハロースの場合と同様の効果が得られた。
【0047】
この出願は2016年3月31日に出願された日本国特許出願第2016−71892からの優先権を主張するものであり、その内容を引用してこの出願の一部とするものである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17