特開2021-1009(P2021-1009A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2021-1009(P2021-1009A)
(43)【公開日】2021年1月7日
(54)【発明の名称】梱包箱
(51)【国際特許分類】
   B65D 5/54 20060101AFI20201204BHJP
   B65D 5/02 20060101ALI20201204BHJP
【FI】
   B65D5/54 B
   B65D5/02 K
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2019-115141(P2019-115141)
(22)【出願日】2019年6月21日
(71)【出願人】
【識別番号】390000929
【氏名又は名称】祐徳薬品工業株式会社
(72)【発明者】
【氏名】島崎 秀剛
【テーマコード(参考)】
3E060
【Fターム(参考)】
3E060AA03
3E060AB05
3E060BA03
3E060BC02
3E060BC04
3E060CE04
3E060CE07
3E060CE13
3E060CE18
3E060CE19
3E060CE27
3E060DA14
3E060DA30
(57)【要約】      (修正有)
【課題】商品等の輸送後、使用済みの梱包箱を容易に解体できるようにするための押込部を備える梱包箱を提供する。特に、女性や高齢者など、従来の梱包箱では解体が困難な人でも容易に解体でき、さらに一般の人にとっても効率よく解体できる。
【解決手段】厚紙で構成され、上部開口部と下部開口部を有し、下部開口部に側壁から連なる4枚のフラップ2、3の中で梱包箱1の内側に配置される2枚のフラップ3と外側に配置される2枚のフラップ2とを接着剤により接着し封緘して形成される底面部を含む梱包箱において、梱包箱の外側に配置される2枚のフラップに、梱包箱を容易に解体できるようにするための押込部4を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
厚紙で構成され、上部開口部と下部開口部を有し、下部開口部に側壁から連なる4枚のフラップを有する組箱で構成され、前記下部開口部の4枚のフラップの中で組箱の外側に配置される2枚の外側フラップと内側に配置される2枚の内側フラップとを接着剤により接着し封緘して形成される底面部を含む梱包箱において、前記2枚の外側フラップに、前記梱包箱を容易に解体するための押込部を備えることを特徴とする、梱包箱。
【請求項2】
前記押込部が、前記外側フラップと連結する繋ぎ部を有する切込線で構成される、請求項1記載の梱包箱。
【請求項3】
前記切込線が、略U字型、略コの字型または略V字型である、請求項2記載の梱包箱。
【請求項4】
前記切込線の端の間に、折曲線を備える、請求項2〜3記載の梱包箱。
【請求項5】
封緘状態において、前記押込部が、前記外側フラップと前記内側フラップとが重なる領域に設けられ、前記接着剤よりも、前記内側フラップの先端側である、請求項1〜4記載の梱包箱。
【請求項6】
前記押込部の大きさが、前記折曲線に対する垂直方向の最大長さ30〜120mm、最大幅25〜100mmである、請求項4または5記載の梱包箱。
【請求項7】
封緘状態において、前記内側フラップの先端から前記押込部の最も近い端までの距離が、0〜30mmである、請求項1〜6記載の梱包箱。
【請求項8】
前記押込部を内向きに押し込み、前記内側フラップを押すことで、前記接着剤の少なくとも一部を剥がし、続けて、当該押込部に形成された開口に指を挿入し、前記外側フラップを外向きに引っ張ることで、下部開口部を開く、という手順で解体することを特徴とする請求項1〜7記載の梱包箱。
【請求項9】
前記厚紙が段ボール紙である、請求項1〜8記載の梱包箱。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、商品等の輸送のために使用される梱包箱に関する。具体的には、下部開口部の4枚のフラップの中で、組箱の外側に配置される2枚のフラップに、当該梱包箱を容易に解体できるようにするための押込部を備える梱包箱に関する。
【背景技術】
【0002】
商品等の輸送のため、従来から段ボール等の厚紙により形成された組箱が梱包箱として使用されている。一般に、このような組箱は、組箱の側壁に連なるフラップを重ね合わせ、外側のフラップと内側のフラップとを接着剤により接着し、封緘して梱包する方法が採用されている。
【0003】
上記の場合、輸送中の自然開封や商品の破損、異物の侵入を防止するため、組箱の接着剤による封緘は、比較的強固な状態を維持している。
【0004】
一方で、上記のように封緘された組箱は、中の商品等を取り出すために、接着されたフラップを剥がす必要があり、開封する人にとって相当程度の労力が必要とされる。特に、強固な状態で封緘された梱包箱を開封するためには、組箱を破壊するほどの強い力が必要となるため、女性や高齢者では開封できない、などの問題があった。
【0005】
そのため、上記のような梱包箱を容易に開封するための方法が提案されている(特許文献1〜7)。
【0006】
【特許文献1】特開2002−308252号
【特許文献2】特開2003−246314号
【特許文献3】特開2003−321021号
【特許文献4】特開2003−327234号
【特許文献5】特開2004−51204号
【特許文献6】特開2009−154955号
【特許文献7】実用新案登録第3193456号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、従来の梱包箱の開封方法は、輸送後、商品等を取り出す際に開封するための方法であって、商品取り出し後、梱包箱を解体するための方法は提案されていなかった。
【0008】
そこで、本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、商品等の取り出し後、梱包箱を廃棄する際に、容易に解体できる梱包箱を提供することをその課題とするものである。特に、女性や高齢者など、従来の梱包箱では解体が困難な人でも容易に解体でき、さらに一般の人にとっても効率よく解体できる梱包箱を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者は、鋭意研究を重ねた結果、組箱の下部開口部の4枚のフラップの中で組箱の外側に配置される2枚のフラップに、当該梱包箱を容易に解体するための押込部を備えることにより、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成させた。
【発明の効果】
【0010】
本発明の押込部を備える梱包箱により、比較的大きな梱包箱でも、特殊な機械や道具を使用することなく、人の手で容易に解体することができる。さらに、女性や高齢者など、従来の梱包箱では解体が困難な人でも多数の梱包箱を解体でき、流通現場での生産性の向上に貢献することができる。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の梱包箱の実施形態の一例を、図面に基づいて具体的に説明する。なお、本発明はこれら実施形態に何ら限定されるものではない。
【0012】
図1〜12に示すように、本発明の梱包箱(1)は、上部開口部と下部開口部を有し、下部開口部に側壁から連なる4枚のフラップを有する組箱で構成される。当該下部開口部の4枚のフラップの中で組箱の外側に配置される2枚のフラップ(2、外側フラップ)と、内側に配置される2枚のフラップ(3、内側フラップ)とを接着剤(8)により接着し封緘して形成される底面部を有し、当該外側フラップに、梱包箱を容易に解体するための押込部(4)を備える。
【0013】
押込部(4)は、切込線(5)で構成される。当該切込線は、外側フラップ(2)と連結する繋ぎ部(a)を有することが好ましく、例えば、図4に示すように、当該繋ぎ部を2箇所有する切込線とすることができる。なお、当該切込線は、押込部を指で押して容易に破断できればよく、ミシン目状の切り込み等により形成することもできる。当該切込線の形状は、解体時に、押込部に指を挿入し、外側フラップを引っ張ることができればよく、例えば、略U字型、略コの字型、略V字型である。
【0014】
押込部(4)は、切込線(5)の端の間に、折曲線(6)を備えることが好ましい。当該折曲線は、押込部を内側に折り曲げ易くするためのものであり、スジ加工やミシン目加工等、公知の技術により形成することができる。
【0015】
押込部(4)は、前記のとおり、外側フラップ(2)に設けられる。押込部の位置は、封緘状態において、当該外側フラップと内側フラップ(3)とが重なる領域である。より詳細には、押込部は、封緘状態において、接着剤(8)よりも、内側フラップの先端側に設けられることが好ましい。図6に示すように、封緘状態における、内側フラップの先端から、押込部の最も近い端までの距離(D)は、特に制限はないが、0〜30mm、好ましくは、0〜25mm、さらに好ましくは、0〜20mmである。
【0016】
押込部(4)の大きさは、少なくとも指を1本挿入できる程度の大きさが好ましい。図4に示すように、折曲線(6)に対する垂直方向の最大長さ(L)と最大幅(W)は、特に制限はないが、Lが30〜120mm、Wが25〜100mm、好ましくは、Lが45〜100mm、Wが30〜70mm、さらに好ましくは、Lが60〜90mm、Wが35〜45mmである。
【0017】
押込部(4)の数は、特に制限はないが、図3及び図11に示すように、2枚の外側フラップ(2)に、2個ずつ設けることができる。また、図12に示すように、2枚の外側フラップに、押込部を1個ずつ設けることもできる。なお、2枚の内側フラップ(3)をどちらも押せるよう、各内側フラップと接する押込部を少なくとも1個設けることが好ましい。
【0018】
接着剤(8)は、封緘状態において、押込部(4)と接さない位置に塗布される。より詳細には、接着剤は、図6に示すように、封緘状態において、押込部よりも内側フラップの側壁側である。なお、接着剤は、図5に示すように、内側フラップ(3)の、封緘時に外側フラップ(2)と接する面に塗布してもよいし、外側フラップの、封緘時に内側フラップと接する面に塗布してもよい。
【0019】
さらに、当該接着剤の塗布部に、接着剤を剥がしやすくするための破断部(7)を設けることができる。破断部は、封緘状態において、押込部(4)と接さない位置に設けられる。より詳細には、破断部は、図6に示すように、封緘状態において、押込部よりも内側フラップの側壁側に位置し、当該破断部の長手方向の押込部に近い端を除いて、接着剤の少なくとも一部と接する。また、破断部は、図7に示すように、接着剤の長手方向に設けられ、接着剤の長手方向の押込部に近い端から、接着剤の少なくとも1/3と重なることが好ましい。なお、破断部は、図5に示すように、外側フラップ(2)の、封緘時に内側フラップ(3)と接する面に設けてもよいし、内側フラップの、封緘時に外側フラップと接する面に設けてもよい。破断部の形状等は、特に限定されず、複数の切り込み線により、丸形や多角形等の形状に加工できる。
【0020】
本発明の梱包箱は、解体後、梱包箱を平板状に折り畳んだ際に接する側壁の対向する位置に、運搬用の手穴を設けることができる。当該運搬用の手穴は、切込線で構成され、当該切込線で囲まれた部分を指で押して破断することにより、開口する。当該運搬用の手穴の形状は、特に限定されず、任意の形状にできるが、当該切込線の端同士が離れていることが好ましい。ここで、当該切込線の端の間に、当該切込線で囲まれた部分を折り曲げやすくするための折曲線を設けてもよい。当該運搬用の手穴の大きさは、一方の手穴が、対向する他方の手穴よりも大きいことが好ましい。
【0021】
また、本発明の梱包箱は、解体方法の説明となる表示手段を設けることができる。例えば、押込部(4)部分に、押し込む順番をイラストや文章で表示することが好ましい。
【0022】
また、本発明の梱包箱は、組箱の上部開口部に易開封手段を設けることができる。当該易開封手段は特に限定されず、公知の技術を利用できる。
【0023】
本発明の梱包箱の材質は、特に限定されず、一般に輸送箱で使用される段ボール等の厚紙を使用することができる。また、本発明の梱包箱の加工方法についても特に限定されず、一般の加工方法によって製造できる。梱包箱の開封時や解体時にけがをしないように、梱包箱の上下開口部の厚紙の切断面にけが防止加工を施すことが好ましい。
【0024】
本発明の梱包箱の解体方法について説明する。まず、図9及び10に示すように、組箱の下部開口部の外側フラップに設けられた切込線に沿って押込部を指で内向きに押し込む。このとき、押し込まれた押込部によって内側フラップが押され、接着剤の少なくとも一部が剥がれる。続けて、当該外側フラップの押込部に形成された開口に指を挿入し、外側フラップを外向きに引っ張り、下部開口部を開く。
【0025】
このように、押込部を指で内向きに押し込むだけで、接着剤の剥離及び指挿入用の開口形成を同時に行うことができる。当該押込部を押し込む際に、接着剤の少なくとも一部が剥離するため、外側フラップを引っ張る際に、大きな力を必要とせず、解体作業が省力化できる。
【0026】
また、本発明の梱包箱は、前記の解体方法において、押込部を内向きに押し込む際に、接着剤を剥離できなかった場合でも、当該押込部に形成された開口に指を挿入し、外側フラップを外向きに引っ張りながら全ての接着剤を剥離することで、容易に梱包箱を解体することができる。
【0027】
以上詳細に説明したように、本発明の梱包箱において、押込部は、外側フラップと内側フラップとが重なる領域に形成され、押し込んだ際に内側フラップのどちらか一方と接するようになっている。このようにすることで、押込部の効果が十分に発揮され、押込部の開口と同時に内側フラップを押し、接着剤を剥がすことができるため、強い力を必要とすることなく、容易に梱包箱を解体できる。さらに、押込部が内側フラップ上に位置するため、輸送時や保管時に、予期せず内向きに押圧するような外力が加わったとしても、押込部が破れることを防止できる。
【0028】
また、押込部は、切込線を略U字型、略コの字型、略V字型等とすることで、梱包箱から切り離されないようになっているため、生産工程や解体時に不要なゴミが発生しない。さらに、押込部は、比較的小さな開口で、その構造も極めて簡素なため、加工が容易である。
【産業上の利用可能性】
【0029】
本発明の梱包箱は、従来の梱包箱と同様に、特殊な素材や加工等を必要とせず、低コストで製造することが可能である。一方で、従来の梱包箱と比較して、使用後に解体処分する際の作業性に優れ、特に、特殊な機械や道具を使用することなく、女性や高齢者など、従来の梱包箱では解体が困難な人でも多数の梱包箱を解体でき、流通現場での生産性の向上に貢献することができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1】本発明の梱包箱の組み立て前の外側を示す平面図である。
図2】本発明の梱包箱の組み立て前の内側を示す平面図である。
図3】本発明の梱包箱の第1実施形態の底面部側から見た平面図である。
図4】本発明の梱包箱の押込部の拡大図である。
図5】本発明の梱包箱の底面部を上にして下部開口部の封緘前の状態を示す斜視図である。
図6】本発明の梱包箱の底面部側から見た平面図(透視図)である。
図7】本発明の梱包箱の押込部、破断部及び接着剤の位置関係を示す拡大図(透視図)である。
図8】本発明の梱包箱の底面部を上にして下部開口部の封緘後の状態を示す斜視図である。
図9】本発明の梱包箱の底面部を上にして片側の押込部を押し込んだ状態を示す斜視図である。
図10】本発明の梱包箱の底面部を上にして全ての押込部を押し込んだ状態を示す斜視図である。
図11】本発明の梱包箱の第2実施形態の底面部側から見た平面図である。
図12】本発明の梱包箱の第3実施形態の底面部側から見た平面図である。
【符号の説明】
【0031】
1 本発明の梱包箱
2 外側フラップ
3 内側フラップ
4 押込部
5 切込線
6 折曲線
7 破断部
8 接着剤
a 繋ぎ部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12