【解決手段】液体Lから放出されたガスGがろ過フィルタ33を通過することにより、液体Lで除去しきれなかったダストがろ過フィルタ33で除去される。液体Lの液面Laと略一致する高さにろ過フィルタ33を配置することにより、ガスGの散気に伴う液体Lの液面Laの揺動によってろ過フィルタ33を洗浄できるので、ろ過フィルタ33にダストが蓄積することを抑制できる。よって、ろ過フィルタ33を洗浄または交換する頻度を低減できるので、集塵装置3のメンテナンス性を向上できる。
液体を貯留するための容器と、その容器内に貯留された前記液体にダストを含むガスを散気するための散気口と、その散気口から前記液体に散気された前記ガスを前記容器の外部に排出するための排気口と、前記容器内における前記散気口側の空間と前記排気口側の空間とを区画するろ過フィルタと、を備え、前記液体を通過した前記ガスに含まれる前記ダストが前記ろ過フィルタによって除去される集塵装置において、
前記ろ過フィルタは、前記液体の液面と略一致する高さに配置するためのフィルタとして構成されることを特徴とする集塵装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述した従来の技術では、液体で除去しきれなかったダストがろ過フィルタに蓄積されるため、ろ過フィルタを定期的に清掃または交換する必要がある。よって、集塵装置のメンテナンスに手間を要するという問題点があった。
【0006】
本発明は、上述した問題点を解決するためになされたものであり、メンテナンス性を向上できる集塵装置およびレーザ加工機を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この目的を達成するために本発明の集塵装置およびレーザ加工機は、液体を貯留するための容器と、その容器内に貯留された前記液体にダストを含むガスを散気するための散気口と、その散気口から前記液体に散気された前記ガスを前記容器の外部に排出するための排気口と、前記容器内における前記散気口側の空間と前記排気口側の空間とを区画するろ過フィルタと、を備え、前記液体を通過した前記ガスに含まれる前記ダストが前記ろ過フィルタによって除去されるものであり、前記ろ過フィルタは、前記液体の液面と略一致する高さに配置するためのフィルタとして構成される。
【発明の効果】
【0008】
請求項1記載の集塵装置によれば、液体から放出されたガスがろ過フィルタを通過することにより、液体で除去しきれなかったダストがろ過フィルタで除去される。液体の液面と略一致する高さにろ過フィルタを配置することにより、ガスの散気に伴う液体の液面揺動によってろ過フィルタを洗浄できるので、ろ過フィルタにダストが蓄積することを抑制できる。よって、ろ過フィルタを洗浄または交換する頻度を低減できるので、集塵装置のメンテナンス性を向上できるという効果がある。
【0009】
なお、「液体の液面と略一致する高さ」とは、ガスの散気に伴う液面揺動により、ろ過フィルタに液面が触れる状態と触れない状態とを繰り返すことができる範囲内の高さである。
【0010】
請求項2記載の集塵装置によれば、請求項1記載の集塵装置の奏する効果に加え、次の効果を奏する。ろ過フィルタと排気口との間に配置される第1邪魔板を備えるので、ろ過フィルタから排気口までの流路を第1邪魔板によって長く形成できる。よって、容器内の湿気とガスとの接触時間を長くできるので、ガスに含まれるダストを効率よく除去できる。
【0011】
第1邪魔板に容器内の湿気が結露することや、湿気を含んだガスが第1邪魔板に衝突することにより、第1邪魔板には液体が付着する。第1邪魔板は、一端側から他端側にかけて散気口に向けて下降傾斜するようにして配置されるため、第1邪魔板に付着した液体が散気口付近のろ過フィルタに滴下し易くなる。
【0012】
第1邪魔板から滴下する液体にもダストが含まれるため、散気口付近のろ過フィルタにダストが付着するが、散気口付近は液体の液面揺動(散気の勢い)が比較的大きく、ろ過フィルタの洗浄効果が高い領域である。従って、かかる領域に第1邪魔板から液体を滴下させることにより、ろ過フィルタにダストが蓄積することを抑制できるので、集塵装置のメンテナンス性を向上できるという効果がある。
【0013】
請求項3記載の集塵装置によれば、請求項2記載の集塵装置およびレーザ加工機の奏する効果に加え、次の効果を奏する。散気口からのガスの散気方向は、第1邪魔板の他端側から一端側に向けた方向とされるため、散気による液体の液面揺動は、散気口から比較的遠い第1邪魔板の一端側ほど小さくなりやすい。液面揺動が小さい領域では、ろ過フィルタの洗浄効果が比較的小さいため、その領域でろ過フィルタを通過して容器内に放出されるガス(即ち、第1邪魔板の一端側に放出されるガス)には比較的多くのダストが含まれる。
【0014】
これに対して請求項3では、第1邪魔板に沿って切断した断面におけるガスの流路断面積は、第1邪魔板の他端側の領域で最も大きく設定されるので、第1邪魔板の一端側に放出されるガスは、第1邪魔板の他端側の流路を迂回するようにして移動する。これにより、第1邪魔板の一端側に放出されるガス(ダストを比較的多く含むガス)の流路を長くし、容器内の湿気との接触時間を長くできるので、かかるガスに含まれるダストを効率よく除去できるという効果がある。
【0015】
請求項4記載の集塵装置によれば、請求項1から3のいずれかに記載の集塵装置の奏する効果に加え、次の効果を奏する。排気口に対向して配置されガスが流れる際の圧力によって変位可能に構成される第2邪魔板を備えるので、排気口から排気されるガスの圧力によって第2邪魔板を変位させることができる。第2邪魔板の変位量は、容器の外部から視認可能に構成されるので、第2邪魔板の変位量に基づいてガスの流量を把握できる。よって、例えば、センサ等の機器を用いることなく、ガスの流量が正常であるか否かを判別できるという効果がある。
【0016】
そして、排気口は、その開口を容器の下方側に向けて配置され、第2邪魔板は、容器内における散気口側の空間と排気口側の空間とを区画した状態で上下に変位するものである。即ち、第2邪魔板は、ガスの流路を長くしたり、ガスに含まれる湿気を結露させたりする邪魔板としての機能も有している。よって、邪魔板としての機能と、ガスの流量を判別するための機能とを第2邪魔板に兼用させることができるので、部品点数が低減するという効果がある。
【0017】
請求項5記載の集塵装置によれば、請求項4記載の集塵装置の奏する効果に加え、次の効果を奏する。ろ過フィルタと第2邪魔板との間に配置される第1邪魔板を備えるので、ろ過フィルタから排気口までの流路を第1邪魔板によって更に長く形成できる。よって、容器内の湿気とガスとの接触時間を長くできるので、ガスに含まれるダストを効率よく除去できる。
【0018】
また、第1邪魔板および第2邪魔板は、一端側から他端側にかけて散気口に向けて下降傾斜して配置され、第2邪魔板の他端は、上下方向視において第1邪魔板の他端よりも散気口側に位置する。これにより、第2邪魔板に付着した液体を第1邪魔板に滴下させることなく、ろ過フィルタに直接滴下させることができる。即ち、第1邪魔板および第2邪魔板のそれぞれに付着した液体を、ろ過フィルタの洗浄効果が高い領域に直接滴下させることができる。よって、ろ過フィルタにダストが蓄積することを抑制できるので、集塵装置のメンテナンス性を向上できるという効果がある。
【0019】
請求項6記載の集塵装置によれば、請求項1から5のいずれかに記載の集塵装置の奏する効果に加え、次の効果を奏する。ろ過フィルタは、水平方向に長く形成され、散気口からのガスの散気方向は、ろ過フィルタの長手方向に沿った方向とされるので、ガスの散気による液面揺動がろ過フィルタの全体に行き渡り易くなる。これにより、ろ過フィルタの全体が洗浄され易くなるので、ろ過フィルタにダストが蓄積することを抑制できる。よって、集塵装置のメンテナンス性を向上できるという効果がある。
【0020】
請求項7記載のレーザ加工機によれば、請求項1から6のいずれかに記載の集塵装置と、加工機本体と、その加工機本体および散気口を接続する散気ダクトと、を備える。これにより、加工機本体でのレーザ加工によって生じたダストを含むガスを、散気ダクトを介して集塵装置に送り込むことができる。集塵装置においては、ダストを含むガスが容器内の液体やろ過フィルタ(液体の液面揺動で洗浄されたもの)を通過することでダストが除去されるので、加工機本体で生じたダストを含むガスを効果的に浄化できるという効果がある。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の好ましい実施の形態について、添付図面を参照して説明する。まず、
図1及び
図2を参照して、レーザ加工機100の構成について説明する。
図1は、本発明の一実施形態におけるレーザ加工機100の模式図である。
図2(a)は、
図1のIIa−IIa線における集塵装置3の断面図であり、
図2(b)は、
図1のIIb−IIb線における集塵装置3の断面図である。なお、
図1では、レーザ加工機100の加工機本体1及び集塵機5については構造の図示を省略し、集塵装置3については断面を模式的に図示している。
【0023】
図1に示すように、レーザ加工機100は、加工機本体1でのレーザ加工時に生じたダスト(ヒューム)を含むガスが散気ダクト2を介して集塵装置3に送り込まれ、その集塵装置3で浄化されたガスが排気ダクト4を介して集塵機5によって吸引されるものである。
【0024】
加工機本体1は、金属材料からなるワークにレーザ加工を行う加工ヘッド(図示せず)と、その加工ヘッドを取り囲む筐体(図示せず)と、を主に備えている。加工機本体1の筐体には筒状の散気ダクト2の一端が接続され、散気ダクト2の他端は集塵装置3に接続される。
【0025】
集塵装置3は、散気ダクト2の他端(先端)が挿入される容器30を備えている。容器30は、その幅方向(
図2の上下方向)に比べて長手方向(
図2の左右方向)に長い直方体状の内部空間を有しており、容器30の長手方向一端側(
図1の右側)の側面から散気ダクト2が挿入される。なお、以下の説明においては、容器30の長手方向一端側を「右端側」、他端側を「左端側」と記載する。
【0026】
散気ダクト2は、容器30の側面から挿入されつつ容器30の底部に向けて垂下するL字状に形成されており、散気ダクト2の先端側(
図1の下側の端部)には複数の散気口20が形成される。
【0027】
散気ダクト2の先端は、容器30の幅方向における中央に位置する一方(
図2参照)、容器30の長手方向においては、散気ダクト2の先端は容器30の右端側に位置している。容器30の左端側を向く散気ダクト2の外周面に散気口20が形成されるため、散気口20からのガスの放出方向は、容器30の右端側から左端側に向けた水平方向(
図1の左側に向けた方向)に設定されている。
【0028】
容器30の内部には、ガスに含まれるダストを除去するための液体L(水等、ガスからダストを除去可能な液体)が貯留されており、液体Lの深さは、複数の散気口20のそれぞれを浸漬できる程度に設定される。よって、散気口20から放出されるガスは液体L内に散気(曝気)されるようになっており、この液体L内でのガスの散気によってダストが除去される。容器30の底部には、液体L中のダストを吸着するための磁石31が設けられる。
【0029】
液体Lの液面Laの上方側にはパンチングメタル32が配置され、そのパンチングメタル32の下面にろ過フィルタ33が接着等により固定される。パンチングメタル32は、複数の貫通孔32a(
図2参照)を有する金属板であり、ろ過フィルタ33は、発泡樹脂製のフィルタである。
【0030】
パンチングメタル32及びろ過フィルタ33には、それぞれ散気ダクト2を挿入可能な貫通孔32b,33aが形成される(貫通孔33aについては、
図1参照)。散気ダクト2の先端側がパンチングメタル32及びろ過フィルタ33の貫通孔32b,33aに挿入されることにより、散気ダクト2の散気口20は、パンチングメタル32及びろ過フィルタ33よりも下方に配置される。
【0031】
また、パンチングメタル32及びろ過フィルタ33は、それぞれ容器30の内寸と同一の寸法に形成されており、容器30の内部空間は、パンチングメタル32及びろ過フィルタ33を挟んだ散気口20側の空間と排気口40側の空間とに区画されている。よって、散気口20から液体L内に散気されたガスは、ろ過フィルタ33及びパンチングメタル32を通過して容器30内に放出される。
【0032】
パンチングメタル32の上方側には、ろ過フィルタ33及びパンチングメタル32を通過したガスを衝突させたり、容器30内の霧状の液体L(湿気)を結露させたりするための第1邪魔板34及び第2邪魔板35が設けられる。
【0033】
第1邪魔板34及び第2邪魔板35は、容器30の長手方向に延びる長方形の樹脂板であり、パンチングメタル32に対面するようにして第1邪魔板34が配置され、その第1邪魔板34の上方に第2邪魔板35が配置される。容器30の幅方向(
図2(b)の上下方向)における第1邪魔板34及び第2邪魔板35の寸法は、容器30の内寸と略同一の寸法に設定される一方、容器30の長手方向における第1邪魔板34及び第2邪魔板35の寸法は、容器30の内寸よりも小さい寸法に設定されている。
【0034】
第1邪魔板34は、右端側の面を除く各側面が容器30の内面に接触されている。即ち、第1邪魔板34の右端は容器30の内面に非接触とされており、第1邪魔板34に沿って切断した断面におけるガスの流路断面積は、第1邪魔板34の右端側の領域で最も大きく設定されている。よって、ろ過フィルタ33及びパンチングメタル32を通過したガスの大部分は、第1邪魔板34の右端側であって、散気口20の上方側の流路F1(
図1参照)を通るようになっている。
【0035】
なお、「第1邪魔板34(第2邪魔板35)に沿って切断した断面におけるガスの流路断面積」とは、第1邪魔板34(第2邪魔板35)に沿って容器30を切断した断面において、第1邪魔板34(第2邪魔板35)によって仕切られていない領域、即ち、ガスの通過が可能となっている領域の面積である。
【0036】
第2邪魔板35の右端および左端のそれぞれは、容器30の内面に非接触とされており、第2邪魔板35の右端と容器30の内面との対向間隔よりも、第2邪魔板35の左端と容器30の内面との対向間隔が狭く設定される。即ち、第2邪魔板35に沿って切断した断面におけるガスの流路断面積は、第2邪魔板35の右端側の領域で最も大きく設定されている。よって、第1邪魔板34の右端側の流路F1を通過したガスの大部分は、第2邪魔板35の右端側(散気口20の上方側)の流路F2を通るようになっている。
【0037】
容器30の幅方向を向く第2邪魔板35の側面(4隅)には、容器30の内面に向けて突出する4つの突起35aが形成される(
図2(b)参照)。容器30の内面には、上下に延びる溝形鋼状のレール36が4本設けられており、これらの4本のレール36のそれぞれに第2邪魔板35の突起35aがスライド可能に嵌め込まれている。
【0038】
詳細は後述するが、集塵機5の吸引装置50の吸引力により、レール36に沿った第2邪魔板35の上下のスライド変位が可能となっており、この第2邪魔板35の変位量に基づいてガスの流量が正常であるか否かの判別ができるようになっている。
【0039】
容器30の天井面には、排気ダクト4の排気口40よりも第2邪魔板35の右端側に位置するストッパ37と、排気口40よりも第2邪魔板35の左端側に位置するストッパ38と、が設けられている。これらのストッパ37,38は、それぞれ排気口40の下端よりも下方に突出しているため、第2邪魔板35が上方に変位してストッパ37,38に当接した際には、排気口40と第2邪魔板35との間に隙間が形成されるようになっている。また、ストッパ37,38は、それぞれ容器30の幅方向(
図2(b)の上下方向)で所定間隔を隔てて一対に設けられる。よって、一対のストッパ37(ストッパ38)の対向間を通したガスの移動が可能となっている。
【0040】
容器30の天井面には筒状の排気ダクト4の一端が挿入されており、排気ダクト4の他端は集塵機5に接続される。集塵機5には、吸引装置50と、その吸引装置50及び排気ダクト4(排気口40)の間に配置されるエアフィルタ51と、が設けられている。吸引装置50は、容器30内のガスを吸引するためのファンであり、エアフィルタ51は、吸引装置50で吸引されたガスからダストを除去するための発泡樹脂製のフィルタである。
【0041】
次いで、
図3を参照して、レーザ加工機100の吸引装置50を駆動させた際の作用について説明する。
図3は、
図1の状態から吸引装置50を駆動させた状態を示すレーザ加工機100の模式図である。なお、
図3では、散気口20から散気されるガスG(気泡)や、そのガスGの散気に伴って液体Lの液面Laが揺動する様子を模式的に図示しており、液体Lから放出されたガスGの流れを矢印で示している。
【0042】
図3に示すように、レーザ加工機100の集塵機5(吸引装置50)が排気ダクト4を介して容器30の内部空間に接続されているため、吸引装置50を駆動することにより、排気ダクト4の排気口40から容器30の内部のガスが吸引される。
【0043】
排気口40が第2邪魔板35の上面に対向して配置されているため、吸引装置50の吸引力により、第2邪魔板35がレール36に沿って上方にスライド変位し、そのスライド変位がストッパ37,38によって規制される。第2邪魔板35のスライド変位が規制された後、吸引装置50による吸引が継続されることにより、容器30の内部が負圧になるため、散気ダクト2の散気口20からガスGが液体L内に放出される。
【0044】
これにより、液体L内でガスGが散気されるので、ガスGに含まれるダストを液体Lによって除去できる。液体Lには磁石31が浸漬されているため、液体L内のダスト(磁性をもつヒューム)を磁石31によって吸着できる。これにより、液体Lの交換頻度を低減できるので、集塵装置3のメンテナンス性を向上できる。なお、図示は省略するが、容器30には液体Lを給水または排水するための弁や、磁石31を出し入れするための蓋が設けられている。
【0045】
散気口20からの散気方向は、容器30の長手方向に沿った方向に設定されるため、ガスGの散気に伴い、容器30の長手方向に沿った(
図3の左側に向けた)液体Lの流れが発生する。散気口20からのガスGの散気方向前方側に磁石31が配置されるため、液体Lの流れによってダストが磁石31に向けて移動し易くなる。これにより、磁石31にダストを吸着させ易くできる。
【0046】
液体Lで除去しきれなかったダストは、ガスGと共に液体Lから放出されるが、液体Lの上方にはろ過フィルタ33が配置されている。よって、液体Lから放出されたガスGがろ過フィルタ33を通過することにより、液体Lで除去しきれなかったダストをろ過フィルタ33で除去できる。この場合、ろ過フィルタ33にダストが付着するが、本実施形態では、ろ過フィルタ33にダストが蓄積することを抑制できる構成となっている。
【0047】
即ち、集塵機5の吸引装置50が駆動していない状態(
図1の状態)においては、ろ過フィルタ33は、液体Lの液面Laと略一致する高さ(本実施形態では、液面Laの僅かに上方側)に配置される。これにより、ガスGの散気に伴う液面Laの揺動により、ろ過フィルタ33への液面Laの衝突が繰り返されるため、ろ過フィルタ33を液体Lで洗浄することができる。よって、ろ過フィルタ33にダストが蓄積することを抑制できるので、ろ過フィルタ33を洗浄または交換する頻度を低減できる(又は、ろ過フィルタ33の交換を不要にできる)。従って、集塵装置3のメンテナンス性を向上できる。
【0048】
また、ろ過フィルタ33は、容器30の長手方向(
図3の左右方向)に長く形成されているが、散気口20からのガスの散気方向は、上述した通り、ろ過フィルタ33の右端側から左端側に向けた方向とされている。これにより、散気による液面Laの揺動がろ過フィルタ33の長手方向の全体に行き渡り易くなるので、ろ過フィルタ33の全体が洗浄され易くなる。このように、洗浄されたろ過フィルタ33をガスGが通過することでダストの大部分を除去できるものの、一部のダストはガスGと共にパンチングメタル32を通して容器30内に放出される。
【0049】
パンチングメタル32の上方に配置される第1邪魔板34は、ろ過フィルタ33と排気口40との間を遮るようにして設けられるため、ろ過フィルタ33から排気口40までのガスGの流路を第1邪魔板34によって長く形成できる。これにより、容器30内の霧状の液体L(湿気)とガスGの接触時間を長くできるので、ガスGに含まれるダストを効率よく除去できる。
【0050】
また、容器30内の霧状の液体Lが第1邪魔板34に結露する(霧状の液体Lが第1邪魔板34衝突する)ことで第1邪魔板34に液体Lが付着するが、第1邪魔板34は、右端側ほど散気口20に向けて下降傾斜している。これにより、第1邪魔板34に付着した液体Lが第1邪魔板34の傾斜に沿って流れ、散気口20付近のろ過フィルタ33に滴下し易くなる。
【0051】
第1邪魔板34から滴下する液体Lにもダストが含まれるため、散気口20付近のろ過フィルタ33にダストが付着するが、散気口20付近は液体Lの液面Laの揺動(散気の勢い)が比較的大きく、ろ過フィルタ33の洗浄効果が高い領域である。従って、かかる領域に第1邪魔板34からの液体Lを滴下させることにより、ろ過フィルタ33にダストが蓄積することを抑制できる。
【0052】
一方、散気口20からのガスGの散気方向は、第1邪魔板34の右端側から左端側に向けた方向であるため、散気による液面Laの揺動は、散気口20から比較的遠い第1邪魔板34の左端側の領域で小さくなりやすい。液面Laの揺動が小さい領域は、ろ過フィルタ33の洗浄効果が比較的小さい領域であるため、その領域に位置するろ過フィルタ33を通して容器30内に放出されるガスGには、比較的多くのダストが含まれている。
【0053】
即ち、散気口20から遠い位置でろ過フィルタ33を通過するガスGは、液体L内に留まる時間が長いものの、洗浄効果が比較的低い領域に位置するろ過フィルタ33を通過する。これに対し、散気口20付近のろ過フィルタ33を通過するガスGは、液体L内に留まる時間が短いが、洗浄効果が高い領域に位置するろ過フィルタ33を通過する。この場合、液体L内に長く留まるよりも、洗浄された状態のろ過フィルタ33を通過する方がダストの除去効果が高いため、散気口20から遠い位置でろ過フィルタ33を通過するガスGの方がダストを多く含み易い。
【0054】
これに対して本実施形態では、第1邪魔板34に沿って切断した断面におけるガスの流路断面積は、第1邪魔板34の右端側の領域で最も大きく設定されている。よって、散気口20から遠い位置でろ過フィルタ33を通過したガスG(第1邪魔板34の左端側に放出されるガスG)は、第1邪魔板34の右端側の流路F1を迂回するようにして移動する。これにより、比較的ダストが多く含まれるガスGの流路が長くなり、容器30内を漂う蒸発した液体Lの粒子(湿気)との接触時間を長くできるので、ダストを効率よく除去できる。
【0055】
一方、散気口20から近い位置でろ過フィルタ33を通過したガスG(第1邪魔板34の右端側に放出されるガスG)は、洗浄された状態のろ過フィルタ33を通過しているため、比較的流路が短くなっても問題はない。このように、第1邪魔板34の左端側に向けてガスGの散気を行うことにより、ガスGがろ過フィルタ33を通過する位置(散気口20からの距離)に依らず、ガスGのダストを均一に除去できる。
【0056】
また、第1邪魔板34の上方側には第2邪魔板35が配置されるので、この第2邪魔板35によっても、ろ過フィルタ33から排気口40までの流路を長く形成できる。第2邪魔板35には、容器30内の霧状の液体Lが結露する(霧状の液体Lが衝突する)ため、第1邪魔板34と同様、第2邪魔板35にもダストを含む液体Lが付着する。
【0057】
第2邪魔板35は、右端側ほど散気口20に近づくに連れて下降傾斜しており、第2邪魔板35の右端は、上下方向視(鉛直方向視)において第1邪魔板34の右端よりも散気口20側(
図3の右側)に位置している。これにより、第2邪魔板35に付着した液体Lを第1邪魔板34の上面に滴下させることなく、散気口20付近のろ過フィルタ33に直接滴下させ易くできる。即ち、第1邪魔板34及び第2邪魔板35のそれぞれに付着した液体Lを、ろ過フィルタ33の洗浄効果が高い領域に直接滴下させることができるので、ろ過フィルタ33にダストが蓄積することを抑制できる。
【0058】
ここで、本実施形態では、第2邪魔板35の右端側ほど散気口20に向けて下降傾斜しているため、容器30の天井面と第2邪魔板35の上面との間の流路断面積は、第2邪魔板35の右端側ほど大きくなっている。また、第2邪魔板35に沿って切断した断面におけるガスの流路断面積は、第2邪魔板35の右端側の領域で最も大きく設定されている。よって、ガスGの大部分が第2邪魔板35の右端側(散気口20の上方側)の流路F2を通るため、第1邪魔板34と第2邪魔板35との間を通るガスGの量は僅かになっている。
【0059】
これに対して、例えば、第2邪魔板35の右端側ほど散気口20に近づくに連れて上昇傾斜させると共に、第2邪魔板35に沿って切断した断面におけるガスの流路断面積を、第2邪魔板35の左端側の領域で最も大きく設定する構成を採用することも可能である。しかしながら、そのような構成では、第1邪魔板34の右端側の流路F1を通過したガスGは、第1邪魔板34と第2邪魔板35との間を通って第2邪魔板35の左端側に向けて流れることになる。よって、そのガスGの流れの方向と、第1邪魔板34の上面で液体Lが流れようとする方向とが逆向きになるため、散気口20付近のろ過フィルタ33に向けた液体Lの滴下が阻害され易くなる。
【0060】
これに対して本実施形態では、上述した構成により、ガスGの大部分が第2邪魔板35の右端側の流路F2を通過するため、第1邪魔板34の上面や第2邪魔板35の下面に付着した液体Lの流れがガスGの流れによって阻害されることを抑制できる。よって、第1邪魔板34の上面や第2邪魔板35の下面に付着した液体Lを散気口20付近のろ過フィルタ33に滴下させ易くできる。
【0061】
第2邪魔板35の右端側の流路F2を通り、排気口40から吸引されたガスGは、排気ダクト4を通して集塵機5に送り込まれる。集塵機5の吸引装置50と排気口40との間にはエアフィルタ51が設けられているため、集塵装置3で除去しきれなかったダストをエアフィルタ51で除去できる。この場合、エアフィルタ51にもダストが付着するが、上記の通り、集塵装置3においては、液体Lや、その液体Lで洗浄されたろ過フィルタ33をガスGが通過することでダストの大部分が除去されている。よって、エアフィルタ51に付着するダストを低減できるので、エアフィルタ51の交換または清掃の頻度を低減できる。従って、集塵機5のメンテナンス性を向上できる。
【0062】
また、集塵装置3を通過したガスGは湿気(液体L)を含んでいるため、そのガスGがエアフィルタ51を通過することでエアフィルタ51が濡れる(目詰まりする)恐れがあるが、本実施形態では、排気ダクト4が鋼管を用いて形成されている。これにより、排気ダクト4を通過する際にガスGが冷却されるので、ガスGに含まれる湿気を排気ダクト4に結露させることができる。よって、エアフィルタ51の濡れによる圧力損失を抑制できる。
【0063】
ここで、エアフィルタ51にダストや液体Lが付着して圧力損失が生じた場合、排気口40からのガスGの吸引力が低下して第2邪魔板35を持ち上げる力が弱まるため、第2邪魔板35がレール36に沿って下方に変位する。
【0064】
即ち、本実施形態では、吸引装置50による吸引力が正常である(エアフィルタ51に目詰まりが生じていない)場合には、その吸引力によって第2邪魔板35がストッパ37,38に当接するまで持ち上げられるようになっている。よって、吸引力が正常な状態よりも低下すると、第2邪魔板35が自重によってストッパ37,38から離れるようにして下方に変位する。そして、図示は省略するが、容器30には点検窓が設けられており、その点検窓から第2邪魔板35の変位量を視認できるようになっている。
【0065】
これにより、第2邪魔板35がストッパ37,38に当接していることを点検窓から確認することにより、ガスGの流量が正常であることを把握できる。一方、第2邪魔板35が下方に変位してストッパ37,38から離れていることが確認された際には、ガスGの吸引力に所定の圧力損失が生じていることを把握できる。
【0066】
言い換えると、ガスGの流量が正常であるか否か、即ち、エアフィルタ51の清掃や交換を行うべきか否かを、センサ(流量計)等の機器を用いることなく、第2邪魔板35の変位量に基づいて判別できる。よって、ガスGの流量が正常であるか否かを判別するための機能と、ガスGの流路を長くする(液体Lを結露させる)邪魔板としての機能と、を第2邪魔板35に兼用させることができるので、部品点数が低減する。
【0067】
以上の通り、本実施形態のレーザ加工機100によれば、加工機本体1でのレーザ加工によって生じたガスが散気ダクト2を介して集塵装置3に送り込まれる。集塵装置3においては、ガスGが液体Lを通過することや、液体Lで洗浄されたろ過フィルタ33を通過することでダストが除去されるので、加工機本体1で生じたガスGを効果的に浄化できる。
【0068】
以上、上記実施形態に基づき本発明を説明したが、本発明は上記形態に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々の変形改良が可能であることは容易に推察できるものである。
【0069】
上記実施形態では、レーザ加工機100の加工機本体1に集塵装置3が接続される場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。ダストを含むガスが生じる他の工作機械(例えば、溶接機)に集塵装置3を接続する構成でも良い。
【0070】
上記実施形態では、散気口20からのガスGの散気方向が容器30の長手方向(水平方向)に設定される場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。例えば、散気口20からのガスGの散気方向は、容器30の幅方向に沿った方向でも良く、水平方向に対して傾斜していても良い。
【0071】
上記実施形態では、散気ダクト2の先端が容器30の右端側に位置し、散気口20からのガスGの散気が容器30の左端側に向けて行われる場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。例えば、散気ダクト2の先端を容器30の右端側に配置し、散気口20からのガスGの散気を容器30の右端側に向けて行う構成でも良い。これにより、容器30の内面との衝突によってガスGを拡散させることができる。
【0072】
また、散気ダクト2の先端を容器30の長手方向および幅方向における中央に配置し、散気口20からのガスGの散気を散気ダクト2の外周面の周囲に向けて行う構成でも良い。また、容器30の長手方向に延設される散気ダクト2を容器30の底部に配置し、散気ダクト2の上面に形成した散気口20からガスGを散気する構成でも良い。これらの構成により、ガスGがろ過フィルタ33の全体に行き渡り易くなる。
【0073】
上記実施形態では、1本の散気ダクト2からガスGの散気を行う場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。例えば、複数の散気ダクト2を設け(1本の散気ダクト2を分岐させ)、それら複数の散気ダクト2を容器30の幅方向または長手方向で並べて配置しても良い。これにより、ガスGがろ過フィルタ33の全体に行き渡り易くなる。
【0074】
上記実施形態では、容器30(容器30の内部空間)が直方体状に形成される場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。例えば、容器30が円筒状に形成される構成でも良い。容器30が円筒状である場合には、容器30の周方向に向けてガスGの散気を行う構成も良い。また、容器30が円筒状である場合には、容器30の中心(軸上)に散気ダクト2を配置し、散気口20からのガスGの散気を散気ダクト2の外周面の周囲に向けて行う構成でも良い。
【0075】
上記実施形態では、ろ過フィルタ33の一例として発泡樹脂を例示したが、必ずしもこれに限られるものではない。例えば、ろ過フィルタ33は、ガラス繊維やセラミック、中空糸膜等を用いた公知のろ過膜(ろ材)を用いることができる。また、セラミックフィルタ等、自重で変形しない程度の剛性を有するものを用いる場合には、パンチングメタル32を省略しても良い。
【0076】
上記実施形態では、集塵機5の吸引装置50が駆動していない静止状態において、液体Lの液面Laの僅かに上方側にろ過フィルタ33が配置される場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。例えば、ろ過フィルタ33の下面が液面Laと一致する構成、ろ過フィルタ33の一部が液体Lに浸漬される構成、又は、ろ過フィルタ33の全体が液体Lに浸漬される構成でも良い。
【0077】
いずれの構成であっても、液体Lの液面Laの揺動によってろ過フィルタ33に液面Laが触れる状態と触れない状態とを繰り返す構成であれば良い。即ち、ろ過フィルタ33の高さ(液体Lの量)は、ガスGの散気によって生じる液面Laの揺動の大きさに応じて適宜設定すれば良い。
【0078】
上記実施形態では、パンチングメタル32及びろ過フィルタ33が容器30の内寸と同一寸法、即ち、上面視において容器30の空間に丁度収まる矩形状に形成される場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。例えば、パンチングメタル32及びろ過フィルタ33は、容器30の内寸より小さい寸法でも良い。即ち、パンチングメタル32及びろ過フィルタ33によって容器30の一部が区画されない構成でも良い。
【0079】
上記実施形態では、ろ過フィルタ33が水平方向に沿って配置される場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。例えば、ろ過フィルタ33を散気口20に向けて下降傾斜させても良い。これにより、ろ過フィルタ33の傾斜に沿って散気口20から離れるようにしてガスG(気泡)が移動し易くなるので、散気口20から離れた領域までガスGを移動させ易くできる。
【0080】
上記実施形態では、第1邪魔板34に沿って切断した断面におけるガスの流路断面積が、第1邪魔板34の右端側の領域で最も大きく設定される場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。例えば、容器30の右端側に第1邪魔板34を配置し、第1邪魔板34の左端側の領域で流路断面積を最も大きく設定する構成でも良い。これにより、排気口40までのガスGの流路をより長く形成できる。なお、容器30の右端側に第1邪魔板34を配置する場合には、散気ダクト2を挿入可能な貫通孔を第1邪魔板34に形成するか、第1邪魔板34に干渉しない高さに散気ダクト2を配置すれば良い。
【0081】
上記実施形態では、第1邪魔板34及び第2邪魔板35を散気口20側に向けて下降傾斜させる場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。例えば、第1邪魔板34及び第2邪魔板35の傾斜を調整するための調整具(アジャスタ等)を容器30の下面に設けても良い。
【0082】
上記実施形態では、第2邪魔板35に沿って切断した断面におけるガスの流路断面積が、第2邪魔板35の右端側の領域で最も大きく設定される場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。例えば、容器30の右端側に第2邪魔板35を配置し、第2邪魔板35の左端側の領域で流路断面積を最も大きく設定する構成でも良い。これにより、排気口40までのガスGの流路をより長く形成できる。
【0083】
上記実施形態では、第2邪魔板35が上下にスライド変位する場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。例えば、第2邪魔板35は、容器30に対して変位不能に固定される構成でも良い。また、第2邪魔板35の左端側を容器30の内面に回転可能に軸支し、その回転量に基づいてガスGの流量の判別を行っても良い。
【0084】
上記実施形態では、集塵装置3から排出されるガスGの湿気を除去するための湿気除去手段の一例として、鋼管からなる排気ダクト4を例示したが、必ずしもこれに限られるものではない。例えば、湿気除去手段の他の例として、排気ダクト4に外気を導入する構成や、排気ダクト4に公知の気液分離装置を設ける構成が例示される。
【0085】
上記実施形態では、集塵機5の吸引装置50の吸引力によってガスGを液体L内で散気させる場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。例えば、加工機本体1と散気口20との間(散気ダクト2)にポンプを設け、そのポンプの吸引力によってガスGを液体L内で散気させる構成でも良い。