特開2021-102379(P2021-102379A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2021-102379(P2021-102379A)
(43)【公開日】2021年7月15日
(54)【発明の名称】車両用シフト装置
(51)【国際特許分類】
   B60K 20/02 20060101AFI20210618BHJP
【FI】
   B60K20/02 D
   B60K20/02 F
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2019-234257(P2019-234257)
(22)【出願日】2019年12月25日
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り (1)公開の事実―1(発明に係る車両用シフト装置を備えた自動車を展示) 展示会名;東京モーターショー2019 展示日;令和元年10月23日(10月23日〜11月4日) 展示場所;東京都江東区有明3−11−1 東京ビッグサイト (2)公開の事実−2(発明に係る車両用シフト装置を備えた自動車を展示) 展示会名;MAZDA GLOBAL TECH FORUM 2019 展示日;令和元年8月26日(8月26日〜9月2日) 展示場所;Hotel Amerikalinjen Jernbanetorget 2,0154 Oslo,Norway (3)公開の事実−3(発明に係る車両用シフト装置を備えた自動車を展示) 展示会名;2019 MAZDA EUROPEAN TECHNOLOGY & DESIGN FORUM 展示日;令和元年11月25日(11月25日〜12月13日) 展示場所;Penha Longa Resort Estrada da Lagoa Azul,Linh■ Sintra,2714−511 Lisbon,Portugal
(71)【出願人】
【識別番号】000003137
【氏名又は名称】マツダ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100067828
【弁理士】
【氏名又は名称】小谷 悦司
(74)【代理人】
【識別番号】100115381
【弁理士】
【氏名又は名称】小谷 昌崇
(74)【代理人】
【識別番号】100176304
【弁理士】
【氏名又は名称】福成 勉
(72)【発明者】
【氏名】上村 裕樹
(72)【発明者】
【氏名】平田 義人
(72)【発明者】
【氏名】大坪 智範
(72)【発明者】
【氏名】田口 雅典
(72)【発明者】
【氏名】徳永 幸司
(72)【発明者】
【氏名】道永 旦
【テーマコード(参考)】
3D040
【Fターム(参考)】
3D040AA01
3D040AA23
3D040AA33
3D040AB01
3D040AC03
3D040AC36
3D040AC66
3D040AD04
3D040AE19
3D040AF07
3D040AF26
(57)【要約】
【課題】運転中における運転者の疲労を軽減することができる車両用シフト装置を提供する。
【解決手段】車両用シフト装置11は、シフトレバー12とシフトノブ13とを備える。運転者は、複数の走行ポジション同士の間を切り替える際には車両の前後方向にシフトノブ13を移動させ、RポジションからPポジションへと切り替える際には車両の横方向における運転者側にシフトノブ13を移動させる。シフトレバー12を車両の後側から見るとき、走行ポジションにある場合のシフトレバー12は、直立状態に対してシフトノブ13が取り付けられた上端部が運転席から離れる方向に傾斜した状態の第1姿勢Pos1をとり、Pポジションにある場合のシフトレバー12は、直立状態または第1姿勢Pos1よりも直立に近い状態の第2姿勢Pos2をとる。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
運転席の側方部分に設けられた車両用シフト装置であって、
前記側方部分のフロア側から上方に向けて延びるように立設されたシフトレバーと、
前記シフトレバーの上端部に取り付けられ、運転者がシフト操作する際の操作力が入力されるシフトノブと、
を備え、
ドライブポジションを含む複数の走行ポジション同士の間を切り替える際に前記シフトレバーの前記上端部が移動する軌跡を第1シフトレーン、前記複数の走行ポジションのうちの1つのポジションとパーキングポジションとの間を切り替える際に前記シフトレバーの前記上端部が移動する軌跡を第2シフトレーンとするとき、
前記第1シフトレーンは、車両の前後方向に延び、前記第2シフトレーンは、前記車両の横方向であって、前記第1シフトレーンから前記運転席の側へと近づくように延びており、
前記シフトレバーを前記車両の前後方向の一方側から見るとき、
前記走行ポジションにある場合の前記シフトレバーは、直立状態に対して前記上端部が前記運転席から離れる方向に傾斜した状態の第1姿勢をとり、
前記パーキングポジションにある場合の前記シフトレバーは、直立状態または前記第1姿勢よりも直立に近い状態の第2姿勢をとる、
車両用シフト装置。
【請求項2】
請求項1に記載の車両用シフト装置において、
前記複数の走行ポジションおよび前記パーキングポジションを、前記車両の上下方向の一方側から見るとき、前記複数の走行ポジションのそれぞれおよび前記パーキングポジションは、互いに離間した位置に配置されており、
シフトポジションが所定のポジションにある場合に、新たに前記シフト操作がなされるまでは、当該ポジションが維持される、
車両用シフト装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の車両用シフト装置において、
前記複数の走行ポジションには、前記ドライブポジションの他にリバースポジションおよびニュートラルポジションが含まれており、
前記第1シフトレーンでは、前記車両の前後方向の前側より、前記リバースポジション、前記ニュートラルポジション、および前記ドライブポジションが順に配置されており、
前記1つの走行ポジションは、前記リバースポジションである、
車両用シフト装置。
【請求項4】
請求項1から請求項3の何れかに記載の車両用シフト装置において、
前記シフトレバーを前記車両の前後方向の一方側から見るとき、
前記第1姿勢をとっている前記シフトレバーと前記第2姿勢をとっている前記シフトレバーとがなす角度は、10deg.以上である、
車両用シフト装置。
【請求項5】
請求項1から請求項4の何れかに記載の車両用シフト装置において、
前記第2姿勢をとっている前記シフトレバーは直立状態にある、
車両用シフト装置。
【請求項6】
請求項1から請求項5の何れかに記載の車両用シフト装置において、
前記車両の前記横方向において、前記運転席に対して間隔を空けて助手席が配設されており、
前記車両用シフト装置は、前記運転席と前記助手席との間に配設されており、
前記第1姿勢における前記シフトレバーの傾斜角は、前記シフトノブが前記助手席よりも前記運転席側に位置するように設定されている、
車両用シフト装置。
【請求項7】
請求項1から請求項5の何れかに記載の車両用シフト装置において、
前記車両の前記横方向において、前記運転席に対して間隔を空けて助手席が配設されているとともに、前記運転席と前記助手席との間の部分にはセンターコンソールが配設されており、
前記シフトレバーは、前記上端部が前記センターコンソールの上面部よりも上方に延出されており、
前記第1姿勢における前記シフトレバーの傾斜角は、前記シフトノブと前記センターコンソールとの間に所定量の隙間が確保されるように設定されている、
車両用シフト装置。
【請求項8】
請求項7に記載の車両用シフト装置において、
前記車両用シフト装置は、シフト・バイ・ワイヤ式のエレキシフト装置であって、
前記シフトレバーの回動中心を内部に収容する箱状のシフト装置ベースを更に備え、
前記シフト装置ベースは、前記センターコンソールの内部に填め込まれており、
前記センターコンソールにおける前記シフト装置ベースが収納された部分の底部の一部と前記フロアとの間には空間が空いている、
車両用シフト装置。
【請求項9】
請求項1から請求項8の何れかに記載の車両用シフト装置において、
前記シフトノブは、前記シフトレバーの延伸方向に対して略直交する方向に広がる上面部を有し、
前記シフトノブの前記上面部は、前記運転者が前記シフト操作を行う際に当該運転者の掌を添える面である、
車両用シフト装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用シフト装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、車両用シフト装置の一例として、ステーショナリ式のエレキシフト装置(シフト・バイ・ワイヤ方式のシフト装置)が開示されている。ステーショナリ式のエレキシフト装置は、モメンタリ式のエレキシフト装置と異なり、運転者がシフト操作後にシフトノブから手を放してもレバー位置が操作後の位置に保持されるので、運転者はインジケータなどを確認しなくても直接的に現在のシフトポジションを認識することができる。
【0003】
また、特許文献1に開示のエレキシフト装置では、R(リバース)ポジション−N(ニュートラル)ポジション−D(ドライブ)ポジションの各間でポジションを変更しようとする際にはシフトノブを車両前後方向に移動させ、Rポジション−P(パーキング)ポジションの間でポジションを変更しようとする際にはシフトノブを車両左右方向に移動させるようになっている。これにより、特許文献1では、P−R−N−Dを車両前後方向に配列する場合に比べて、装置サイズのコンパクト化を図ることができるとされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2019−43466号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、車両に対しては、運転者の疲労を更に軽減することで、運転時のより高い安全性が確保できる構造の採用が求められている。このため、上記特許文献1に開示のエレキシフト装置でも、運転者の疲労を更に軽減するために改良の余地があるものと考えられる。
【0006】
なお、変速機との間がケーブルでリンクされた車両用シフト装置に関しても、上記エレキシフト装置と同様に改良の余地がある。
【0007】
本発明は、上記のような問題に鑑みてなされたものであって、運転中における運転者の疲労を軽減することができる車両用シフト装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一態様に係る車両用シフト装置は、運転席の側方部分に設けられた車両用シフト装置であって、前記側方部分のフロア側から上方に向けて延びるように立設されたシフトレバーと、前記シフトレバーの上端部に取り付けられ、運転者がシフト操作する際の操作力が入力されるシフトノブと、を備え、ドライブポジションを含む複数の走行ポジション同士の間を切り替える際に前記シフトレバーの前記上端部が移動する軌跡を第1シフトレーン、前記複数の走行ポジションのうちの1つのポジションとパーキングポジションとの間を切り替える際に前記シフトレバーの前記上端部が移動する軌跡を第2シフトレーンとするとき、前記第1シフトレーンは、車両の前後方向に延び、前記第2シフトレーンは、前記車両の横方向であって、前記第1シフトレーンから前記運転席の側へと近づくように延びており、前記シフトレバーを前記車両の前後方向の一方側から見るとき、前記走行ポジションにある場合の前記シフトレバーは、直立状態に対して前記上端部が前記運転席から離れる方向に傾斜した状態の第1姿勢をとり、前記パーキングポジションにある場合の前記シフトレバーは、直立状態または前記第1姿勢よりも直立に近い状態の第2姿勢をとる。
【0009】
上記態様に係る車両用シフト装置では、複数の走行ポジション(例えば、リバースポジション、ニュートラルポジション、ドライブポジション)を切り替える際にシフトレバーの上端部(シフトノブが取り付けられた部分)の軌跡である第1シフトレーンでは、シフトレバーの上端部が運転席から離れるようにシフトレバーが傾斜しているので(第1姿勢をとっているので)、運転中における運転者の腕の疲労を軽減することができる。即ち、複数の走行ポジションを切り替える際には運転者は手を前後方向に動かすことになるが、シフトレバーを傾けることによってシフトノブも傾くことになり、運転者が腕の筋に力を入れずにシフト操作を行うことができる。
【0010】
上記態様に係る車両用シフト装置において、前記複数の走行ポジションおよび前記パーキングポジションを、前記車両の上下方向の一方側から見るとき、前記複数の走行ポジションのそれぞれおよび前記パーキングポジションは、互いに離間した位置に配置されており、シフトポジションが所定のポジションにある場合に、新たに前記シフト操作がなされるまでは、当該ポジションが維持される、とすることもできる。
【0011】
上記のように、新たなシフト操作がなされるまで元のポジションが維持される、所謂、ステーショナリ式のシフト装置という構成を採用する場合には、モメンタリ式のシフト装置と違い、運転者はインジケータ等を確認しなくても現在のシフトポジションを直感的に認識することができる。よって、上記のような構成を採用する場合には、車両のより高い安全性を確保するのに有効である。
【0012】
上記態様に係る車両用シフト装置において、前記複数の走行ポジションには、前記ドライブポジションの他にリバースポジションおよびニュートラルポジションが含まれており、前記第1シフトレーンでは、前記車両の前後方向の前側より、前記リバースポジション、前記ニュートラルポジション、および前記ドライブポジションが順に配置されており、前記1つの走行ポジションは、前記リバースポジションである、とすることもできる。
【0013】
上記のように、第1シフトレーンの前端部分にリバースポジションを配置し、当該第1シフトレーンの前端部分のリバースポジションから横方向に向けて第2シフトレーンが伸びている構成を採用する場合には、運転者が第1シフトレーンに沿ってリバースポジションまでシフト操作を行う際に、第1シフトレーンの前端部分に突き当たるまで前方に押せばよい。よって、ニュートラルポジションなどからリバースポジションへと切り替える際に、リバースポジションを通過してパーキングポジションに切り替わってしまうというような事態が生じ得ず、パーキングポジション、リバースポジション、ニュートラルポジション、およびドライブポジションが前後方向に直列に並んだシフトパターンのように後ろ向きの力を腕に入れる必要がない。このため、シフト操作時の運転者の腕の疲労を更に軽減することができる。
【0014】
なお、パーキングポジションからリバースポジションへと切り替える場合にも、第2シフトレーンの端部分に突き当たるまで横方向にシフトノブを移動させればよく、誤ってニュートラルポジションやドライブポジションへと切り替わる心配がない。このため、パーキングポジションからリバースポジションへのシフト操作時にも運転者の腕の疲労を軽減することができる。
【0015】
上記態様に係る車両用シフト装置において、前記シフトレバーを前記車両の前後方向の一方側から見るとき、前記第1姿勢をとっている前記シフトレバーと前記第2姿勢をとっている前記シフトレバーとがなす角度は、10deg.以上である、とすることもできる。
【0016】
上記のように、第1姿勢のときのシフトレバーを第2姿勢のときのシフトレバーに対して運転席とは反対側に10deg.以上傾斜させることにより、走行中における運転者の腕の疲労を軽減するのに特に有効である。即ち、運転者が前後方向に延びる第1シフトレーンに沿ってシフト操作を行う場合には、主に肩の筋と上腕の筋とを使用して手を前後方向に動かすのであるが、シフトレバーを運転席とは反対側に10deg.以上傾斜させることで該シフト操作時に前腕の筋を余り使わずに生むこととなる。このため、上記の構成を採用する場合には、運転中における運転者の腕の疲労を更に軽減するのに有効である。
【0017】
上記態様に係る車両用シフト装置において、前記第2姿勢をとっている前記シフトレバーは直立状態にある、とすることもできる。
【0018】
上記のように、第2姿勢をとっているときのシフトレバーを直立状態とすることで、パーキングポジションにシフト操作した運転者が、確実にパーキングポジションに入っていることを直感的に認識しやすくなる。即ち、第2姿勢をとっているときのシフトレバー直立状態ではなく傾いている場合には、その傾き度合いによってはパーキングポジションに入っているか否かを直感的に認識しにくいが、直立状態の場合にはパーキングポジションに入っていることを直感的に認識することができる。
【0019】
なお、上記の「直立」とは、車両のフロアを基準にするものである。
【0020】
上記態様に係る車両用シフト装置において、前記車両の前記横方向において、前記運転席に対して間隔を空けて助手席が配設されており、前記車両用シフト装置は、前記運転席と前記助手席との間に配設されており、前記第1姿勢における前記シフトレバーの傾斜角は、前記シフトノブが前記助手席よりも前記運転席側に位置するように設定されている、とすることもできる。
【0021】
第1姿勢をとっているシフトレバーの傾斜角の上限を上記のように規定することにより、走行中に運転者がシフト操作を行う際に、助手席に乗車している乗員に手が当たるようなことがなく、運転者および他の乗員の快適性を確保するのに有効である。
【0022】
上記態様に係る車両用シフト装置において、前記車両の前記横方向において、前記運転席に対して間隔を空けて助手席が配設されているとともに、前記運転席と前記助手席との間の部分にはセンターコンソールが配設されており、前記シフトレバーは、前記上端部が前記センターコンソールの上面部よりも上方に延出されており、前記第1姿勢における前記シフトレバーの傾斜角は、前記シフトノブと前記センターコンソールとの間に所定量の隙間が確保されるように設定されている、とすることもできる。
【0023】
第1姿勢をとっているシフトレバーの傾斜角の上限を上記のように規定することにより、走行中に運転者がシフト操作を行う際に、運転者の小指などがシフトノブとセンターコンソールとの間に挟まれてしまうような事態を回避することが可能となる。このため、運転者が小指等を挟まれることによる不快感や、シフト操作の支障となるような事態が回避され、走行中における運転者の快適性の確保、並びに運転中の高い安全性を確保するのに有効である。
【0024】
上記態様に係る車両用シフト装置において、前記車両用シフト装置は、シフト・バイ・ワイヤ式のエレキシフト装置であって、記シフトレバーの回動中心を内部に収容する箱状のシフト装置ベースを更に備え、前記シフト装置ベースは、前記センターコンソールの内部に填め込まれており、前記センターコンソールにおける前記シフト装置ベースが収納された部分の底部の一部と前記フロアとの間には空間が空いている、とすることもできる。
【0025】
上記のように、センターコンソールの底部(シフト装置ベースが填め込まれた部分の底部)の一部とフロアとの間に空間が空いた状態とすることで、上記態様に係る車両用シフト装置がシフト・バイ・ワイヤ式のエレキシフト装置であることを乗員や周囲の人に認識させるのに有効である。また、車両の室内デザインの自由度を高めるという観点からも有効である。
【0026】
上記態様に係る車両用シフト装置において、前記シフトノブは、前記シフトレバーの延伸方向に対して略直交する方向に広がる上面部を有し、前記シフトノブの前記上面部は、前記運転者が前記シフト操作を行う際に当該運転者の掌を添える面である、とすることもできる。
【0027】
上記のように、シフトノブの上面部がシフトレバーの延伸方向に略直交する構成とすることにより、走行ポジションの切り替えに際して運転者は、掌を水平よりも親指側を若干起こした状態で上面部に添えることになる。このように、掌を水平よりも親指側を若干起こした状態とすることで、掌を水平にする場合に比べて腕の筋(特に、前腕の筋)の疲労を軽減することができる。これは、掌を水平にしようとする際には、前腕の尺骨と橈骨とが捻じれるようになり、当該2本の骨の周りの筋に力が入ってしまうことになる。これに対して、掌を水平よりも親指側を若干起こした状態とすることで、前腕における上記2本の骨の周りの筋に力を入れない自然な体制とすることができる。
【発明の効果】
【0028】
上記の各態様に係る車両用シフト装置では、運転中における運転者の疲労を軽減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1】実施形態に係る車両の車室内構造を示す斜視図である。
図2】車両用シフト装置の外観構造を示す斜視図である。
図3】シフトレバーの回動に係る構造を示す正面図である。
図4】車両用シフト装置を右側から見た側面図である。
図5】車両用シフト装置におけるシフトパターンを示す模式図である。
図6】Pポジションと走行ポジションとの間でのシフトレバーの姿勢変化を示す模式図である。
図7】(a)は、シフトレバーを左右方向に動かす場合の筋力を説明するための図であり、(b)は、シフトレバーを前後方向に動かす場合の筋力を説明するための図であり、(c)は、前腕の筋肉を表す断面図である。
図8】参考例に係る車両用シフト装置のシフトパターンを示す模式図である。
図9】(a)は、第1姿勢をとっているシフトノブを前側から見た図であり、(b)は、掌を垂直に立てた状態の腕を表す模式図であり、(c)は、所定角だけ回内した状態を示す模式図である。
図10】(a)は、走行ポジションにおけるシフトレバーの傾斜角の上限を規定する第1の例を示す模式図であり、(b)は、走行ポジションにおけるシフトレバーの傾斜角の上限を規定する第2の例を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下では、本発明の実施形態について、図面を参酌しながら説明する。なお、以下で説明の形態は、本発明の一例であって、本発明は、その本質的な構成を除き何ら以下の形態に限定を受けるものではない。
【0031】
[実施形態]
1.車両1における車室内1aの構造
図1は、本実施形態に係る車両1の車室内1aの構造を示す斜視図である。なお、本実施形態で参酌する図面については、模式的に図示をしており、図のサイズ等は実際とは異なる場合がある。また、図中における「UP、「LO」、「FR」、「RE」、「LE」、「RI」は、それぞれ運転席に乗車した運転者が認識する「上方」、「下方」、「前方」、「後方」、「左方」、「右方」を示している。
【0032】
図1に示すように、本実施形態に係る車両1の車室1aには、左右方向に並んだ状態で運転席2および助手席3が配置されている。左右方向において、運転席2と助手席3との間には間隔が空いている。なお、本実施形態では、左側に運転席2、右側に助手席3を配置した、所謂、左ハンドルの車両1を一例としている。
【0033】
運転席2の前方には、ステアリングホイール4が配置されている。ステアリングホイール4は、運転者が運転席2に着座した際に当該運転者の胸のあたりとなる高さ位置に配置されている。また、運転席2の前方には、下方のフロア部分にアクセルペダル5およびブレーキペダル6が配置されている。アクセルペダル5は、運転席2に着座した運転者の右足が置かれる位置に配置され、ブレーキペダル6は、アクセルペダル5よりも左側に配置されている。
【0034】
車室1aの前方部分には、フロントウインドシールド7が設けられている。フロントウインドシールド7は、例えば、合わせガラスで形成されている。フロントウインドシールド7の下端部分からステアリングホイール4の前方までの領域には、インストルメントパネル8が設けられている。インストルメントパネル8は、運転席2の前方から助手席3の前方まで車幅方向に延びるように設けられている。インストルメントパネル8は、ステアリングホイール4の前方に配置されたメータークラスタ部などを有する。
【0035】
運転席2の右側方部分であって、助手席3との間におけるフロア上には、センターコンソール9およびアームレスト10が配置されている。センターコンソール9には、車両用シフト装置11などの運転操作に係る入力デバイスが配置されている。アームレスト10は、センターコンソール9よりも後方に配置されており、運転席2や助手席3に着座した乗員が前腕や肘を載せるための場所である。
【0036】
2.車両用シフト装置11の外観構造
図2は、本実施形態に係る車両1が備える車両用シフト装置11の外観構造を示す斜視図である。
【0037】
図2に示すように、車両用シフト装置11は、センターコンソール9に対して当該センターコンソール9の上面部9aと略面一になるように填め込まれたシフト装置ベース15と、シフト装置ベース15の内方から上向きに起立状態で立設されたシフトレバー12と、シフトレバー12の上端部に取り付けられたシフトノブ13と、を有する。また、シフトノブ13の左側部分には、運転者の親指による操作を受け付けるプッシュスイッチ14が設けられている。
【0038】
シフト装置ベース15には、運転者の操作によるシフトレバー12の移動軌跡に合わせてシフトレーン15aが設けられている。なお、本実施形態に係る車両1では、所謂、ステーショナリ式のシフト装置を採用している。このため、運転者のシフト操作によりシフトレバー12の位置が所定のポジションに移動された場合には、次に運転者がシフト操作を行うまでシフトレバー12の位置が当該所定のポジションに保持される。
【0039】
また、シフト装置ベース15には、シフトレバー12が突出された部分よりも運転者側の部分に、インジケータ部15bが設けられている。運転者は、インジケータ15bの表示によってもシフトポジションの確認が可能となっている。
【0040】
なお、本実施形態に係る車両用シフト装置11は、エレキシフト装置(シフト・バイ・ワイヤ方式のシフト装置)である。
【0041】
3.シフトレバー12の回動に係る構造
図3は、シフトレバー12の回動に係る構造を示す正面図である。
【0042】
図3に示すように、車両用シフト装置11のシフト装置ベース15は、センターコンソール9の内部9bに填め込まれている。そして、シフト装置ベース15の上下方向寸法は、当該シフト装置ベース15がセンターコンソール9の内部9bに収まる寸法に設定されている。
【0043】
シフトレバー12は、運転者がシフトノブ13に手を添えてシフト操作することによって、シフトノブ13が取り付けられた上端部が前後方向および左右方向に移動するように回動可能となっている。そして、シフトレバー12の回動中心12aは、シフト装置ベース15の内部15cに配置されている。即ち、本実施形態に係る車両用シフト装置11は、所謂、ショートストローク式のシフト装置である。
【0044】
4.フロア1bに対する車両用シフト装置11の配置
図4は、車両用シフト装置11を右側から見た側面図である。
【0045】
図4に示すように、車両用シフト装置11のシフト装置ベース15は、センターコンソール9に填め込まれている(内装されている)。そして、センターコンソール9におけるシフト装置ベース15が填め込まれた部分の底部9cの一部が、フロア1bとの間に空間SPを空けた状態となっている。
【0046】
このような構造を以って配設された車両用シフト装置11を備える車両1においては、当該車両用シフト装置11がエレキシフト装置であることを乗員に実感させることができる。また、車室1a内のデザイン性という観点からも優れる。
【0047】
5.シフトパターン
図5は、車両用シフト装置11におけるシフトパターンを示す模式図である。
【0048】
図5に示すように、車両用シフト装置11では、リバース(R)ポジション15r、ニュートラル(N)ポジション15n、およびドライブ(D)ポジションが、この順で前方から後方に向けて略直線的に配置されている。これに対して、パーキング(P)ポジション15pは、Rポジション15rに対して左側(運転者側)に配置されている。
【0049】
シフトレバー12の移動軌跡に沿って設けられたシフトレーン15aは、Rポジション15r、Nポジション15n、およびDポジション15dの間でのシフトレバー12の移動に対応する前後方向レーン15a1と、Rポジション15rとPポジション15pとの間でのシフトレバー12の移動に対応する横方向レーン15a2とを有する。前後方向レーン15a1と横方向レーン15a2とは、Rポジション15rで連続しており、シフトレーン15aは、全体として略逆L字形状である。
【0050】
なお、本明細書では、Rポジション15r、Nポジション15n、およびDポジション15dを「走行ポジション」と総称する場合がある。
【0051】
運転者が停車中(パーキング中)の車両1を発進させようとする場合には、次のようなシフト操作を行う。
【0052】
先ず、運転者は、ブレーキペダル6を足で踏んだ状態でシフトノブ13を把持し、プッシュスイッチ14を押し込みながら親指でシフトノブ13を右側に移動させる。これによって、シフトポジションがPポジション15pからRポジション15rに移動する。
【0053】
次に、運転者は、シフトノブ13の前端部分に中指や薬指などを引っ掛けてシフトノブ13を後方に向けて移動させる。これによって、シフトポジションがRポジション15rからNポジション15n、さらにはDポジション15dに移動する。
【0054】
最後に、運転者は、ブレーキペダル6から足を放してアクセルペダル5を踏み込むことで、車両1を前進(発進)させることができる。
【0055】
逆に、運転者は、車両1を停車させてシフトポジションをPポジション15pに入れる場合には、次のようなシフト操作を行うことになる。
【0056】
先ず、運転者は、アクセルペダル5から足を放してブレーキペダル6を踏む。これにより、車両1が停車した後、運転者はシフトノブ13の後端部分を掌で前方へ押す。これにより、シフトポジションがDポジション15dからNポジション15nに移動する。
【0057】
次に、運転者は、ブレーキペダル6を踏んだ状態を維持したまま、シフトノブ13を把持しながらプッシュスイッチ15を押し込み、当該状態でシフトポジションをNポジション15nからRポジション15pへと移動させる。
【0058】
最後に、運転者は、シフトノブ13の右側側方部分を掌で左側へと押し、シフトポジションをRポジション15rからPポジション15pへと移動させる。この後、運転者は、パーキングブレーキをかける。
【0059】
6.Pポジション15pと走行ポジション15r,15n,15dとの間でのシフトレバー12の姿勢変化
図6は、Pポジション15pと走行ポジション15r,15n,15dとの間でのシフトレバー12の姿勢変化を示す模式図である。
【0060】
図6に示すように、車両用シフト装置11を車両1の後側から見たとき、シフトポジションが走行ポジション15r,15n,15dにある場合にはシフトレバー12が第1姿勢Pos1となり、Pポジション15pにある場合にはシフトレバー12が第2姿勢Pos2となる。第1姿勢Pos1では、シフトレバー12の中心線L1が右側(助手席3側)に傾斜した状態となる。
【0061】
一方、第2姿勢Pos2では、シフトレバー12の中心線L2が、略鉛直方向に直立した状態、または中心線L1よりも直立に近い状態となる。本実施形態に係る車両1では、車両1が水平な場所に停車している状態において、中心線L2は鉛直方向に直立した状態となる。
【0062】
本実施形態に係る車両用シフト装置11では、中心線L1と中心線L2とがなす角度θ1を10deg.以上となるようにしている。具体的には、本実施形態に係る車両用シフト装置11では、一例として、角度θ1を10deg.としている。
【0063】
7.人500の腕501の筋
図7(a)は、シフトレバー12を左右方向に動かす場合の人500の腕501の筋505〜510を説明するための図であり、図7(b)は、シフトレバー12を前後方向に動かす場合の筋力を説明するための図であり、図7(c)は、前腕503における骨および筋肉を説明するための断面図である。
【0064】
図7(a)に示すように、シフトノブ13の右側側方部分に手504を当てて、Rポジション15rからPポジション15pにシフト操作する場合には、肩の筋508、上腕502の筋509、および前腕503の筋510が使われる。
【0065】
一方、プッシュスイッチ15を押し込みながらシフトノブ13に手504を添えて、Pポジション15pからRポジション15rにシフト操作する場合には、肩の筋505.上腕502の筋506、および前腕503の筋507が使われる。
【0066】
ここで、図7(c)に示すように、前腕503には、2本の骨(尺骨511、橈骨512)があり、その周りに橈骨手根屈筋513、円回内筋514、および尺骨手根屈筋515がある。このうち、橈骨手根屈筋513と円回内筋514とがシフトレバー12を右側(体の外側)に動かす場合に使われる筋であり、尺骨手根屈筋515がシフトレバー12を左側(体の内側)に動かす場合に使われる筋である。
【0067】
次に、図7(b)に示すように、シフトノブ13の後端部分に手504の掌を当てて、Dポジション15dからNポジション15nの方向(前向き)にシフト操作する場合には、肩の筋508と上腕502の筋506とが使われる。
【0068】
一方、シフトノブ13の前端部分に手504の中指や薬指などを引っ掛けて、Nポジション15nからDポジション15dの方向(後向き)にシフト操作する場合には、肩の筋505と上腕502の筋509とが使われる。
【0069】
8.シフト操作時に伴う運転者の疲労
シフト操作に伴う運転者の疲労について、上記で用いた図に加えて図8を用いて説明する。図8は、参考例に係る車両用シフト装置91のシフトパターンを示す模式図である。
【0070】
(1)シフトパターンによる疲労軽減
上述のように、本実施形態に係る車両用シフト装置11では、シフトパターン(シフトレーン15a)が逆L字形であり、Pポジション15pとRポジション15rとの間のシフト操作では、シフトノブ14を左右方向に移動させる。
【0071】
一方、図8に示すように、参考例に係る車両シフト装置91では、前側から後側に向けて、Pポジション95p、Rポジション95r、Nポジション95n、およびDポジション95dが順に配置されている。このため、参考例に係る車両用シフト装置91では、I字形のシフトレーン95aが形成されている。
【0072】
参考例に係る車両用シフト装置91を用いてシフト操作する場合には、I字形のシフトレーン95aであるために、本実施形態に係る逆L字形のシフトレーン15aに比べて、腕501の疲労が大きいと考えられる。即ち、車両用シフト装置91でNポジション95nからRポジション95rにシフト操作しようとする場合には、シフトノブの後端部に掌を当てて前方にシフトノブを押すのであるが、Rポジション95rを通過してPポジション95pにまで到達してしまわないように、操作後半で腕に後ろ向きの力を入れる必要が生じる。
【0073】
同様に、Pポジション95pからRポジション95rにシフト操作しようとする場合には、シフトノブの前端部に中指および薬指を引っ掛けて後方にシフトノブを引くのであるが、Rポジション95rを通過してNポジション95nやDポジション95dにまで到達してしまわないように、操作後半で腕に前向きの力を入れる必要が生じる。長時間の運転の際などには、運転者が上記のような繰り返しにより、疲労が蓄積して行くものと考えられる。
【0074】
これに対して、図5を用いて説明したように、逆L字形のシフトレーン15aを採用する本実施形態に係る車両用シフト装置11では、上記参考例に係る車両用シフト装置91を用いる場合より、運転者の疲労を軽減することができる。即ち、本実施形態に係る車両用シフト装置11でNポジション15nからRポジション15rにシフト操作しようとする場合には、シフトノブの後端部に掌を当てて前後方向レーン15a1の前端部分までシフトノブ13を前方に押すだけでよく、誤ってPポジション15pに到達するようなことはない。
【0075】
同様に、本実施形態に係る車両用シフト装置11では、Pポジション15pからRポジション15rにシフト操作しようとする場合には、シフトノブの左側側面を親指で押して横方向レーン15a2の右端部分までシフトノブ13を右側に移動させるだけでよく、誤ってNポジション15nやDポジション15dに到達するようなことはない。よって、本実施形態に係る車両用シフト装置11を備える車両1では、上記参考例に係る車両用シフト装置91を備える車両を運転する場合よりも疲労の軽減を図ることができるものと考えられる。
【0076】
(2)シフトレバー12の姿勢による疲労軽減
図6を用いて説明したように、本実施形態に係る車両用シフト装置11では、シフトポジションがPポジション15pにある場合にシフトレバー12が直立した第2姿勢Pos2をとり、Rポジション15r、Nポジション15n、およびDポジション15dといった走行ポジションにある場合にシフトレバー12が傾斜した第1姿勢Pos1をとるようにしている。これにより、走行中における運転者の腕の疲労を抑制することができる。
【0077】
具体的には、Rポジション15r、Nポジション15n、およびDポジション15dの間でシフト操作を行う際には、運転者は掌をシフトノブ13の上面部13aに載せて操作を行う。ここで、シフトレバー12が第1姿勢Pos1にある場合には、シフトノブ13の上面部13aは水平面に対して角度θ1だけ運転者から見て外側に傾斜した状態となる。
【0078】
人は、手を水平な台の上に載せた場合、掌を台に沿って水平とするよりも親指側を少し浮かせて掌を少し体の内側に向けた状態がリラックス(脱力)した状態となる。逆に言えば、手を机などの水平な台の上に載せ、掌を水平な面に密着させようとすると、尺骨511と橈骨512とが交差する方向に向けて前腕503が捻じれることとなり、腕501の筋が使われる。よって、走行ポジション15r,15n,15pでのシフトノブ13の上面部13aを水平面に対して角度θ1だけ傾斜させている本実施形態に係る車両用シフト装置11では、走行中における運転者の腕501を脱力した自然な体制でシフトノブ13の上面部13aの上に載置することができる。
【0079】
よって、本実施形態に係る車両用シフト装置11では、運転中における運転者の疲労を更に軽減することができる。
【0080】
9.シフトレバー12の姿勢と運転者の疲労との関係についての補足
図9(a)は、第1姿勢Pos1をとっているシフトノブ13を前側から見た図であり、図9(b)は、手504を垂直に立てた状態の腕を表す模式図であり、図9(c)は、所定角(θ504)だけ回内した状態を示す模式図である。
【0081】
先ず、図9(a)に示すように、上述のように第1姿勢Pos1にある場合のシフトレバー12の中心線L1は、第2姿勢Pos2にある場合のシフトレバー12の中心線L2に対して角度θ1だけ傾斜している。よって、第1姿勢Pos1のときの上面部13aに接する接線L11は、第2姿勢Pos1のときの上面部13aの接線L21に対して同じくθ1だけ傾斜することになる。そして、第1姿勢Pos1のときの接線L11は、第2姿勢Pos2のときのシフトレバー12の中心線L2に対して角度θ11をなすことになる。本実施形態では、角度θ11が(90deg.−θ1)の関係になっている。
【0082】
次に、『岡 久仁洋、The Japanese Journal of Rehabilitation Medicine Vol.53 No.10 2016、pp.758−761』では、「肘関節の3次元動態」に関して、「肘関節は腕尺関節、腕橈関節、近位橈尺関節において前腕回旋運動を行うことができる。肘関節の正常可動域は伸展0〜10°、屈曲140〜150°、回外90°、回内85°である日常生活に支障をきたさない肘関節の可動域は屈曲30〜130°、回内80°、回外80°が必要である。」と記載されている。
【0083】
即ち、図9(b)に示すように、手504を垂直に立てた状態での腕501の中心線L501を基準として、回内および回外の角度が規定される。そして、図9(c)に示すように、回内した場合に手504に沿う仮想線L504を引くとき、上記中心線L501と仮想線L504とがなす角度θ504が、上記の回内80°ということになる。
【0084】
以上より、本実施形態では、上記のような説を根拠として、角度θ11を80deg.以下とし、第1姿勢Pos1にある場合のシフトレバー12の角度θ1を10deg.以上と規定することとしている。なお、上述のように、本実施形態では、一例として、角度θ1を10deg.としている。
【0085】
なお、運転者の体格の違いや個人差などを考慮して、角度θ504を82deg.とすることが可能であると考えられる。このような事項より、角度θ11を82deg.以下とし、第1姿勢Pos1にある場合のシフトレバー12の角度θ1を8deg.以上と規定することもできる。
【0086】
10.走行ポジション15r,15n,15dでのシフトレバー12の傾斜角の上限
図10(a)は、走行ポジション15r,15n,15dにおけるシフトレバー12の傾斜角の上限を規定するための第1の例を示す模式図であり、図10(b)は、走行ポジション15r,15n,15dにおけるシフトレバー12の傾斜角の上限を規定するための第2の例を示す模式図である。
【0087】
(1)第1の例
図10(a)に示すように、第1の例では、シフトレバー12の傾斜角の上限θ2を、シフトノブ13がセンターコンソール9の右端L9の位置に基づいて規定している。具体的には、シフトレバー12中心線L2,L3同士がなす角度(上限)θ2は、シフトノブ13の右側上端部13bがセンターコンソール9の右端L9に合致する姿勢Pos3のときの角度として規定されている。
【0088】
このようにシフトレバー12の傾斜角の上限θ2を規定することにより、シフトポジションを走行ポジション15r,15n,15dとして走行中にも、シフトノブ13が助手席3の側にはみ出すことがなく、助手席に乗員が乗車している場合にも当該乗員も快適に過ごすことが可能である。
【0089】
(2)第2の例
図10(b)に示すように、第2の例では、シフトレバー12の傾斜角の上限θ3を、シフトノブ13とセンターコンソール9の上面部9aとの間に隙間Gが残るように規定している。具体的には、シフトレバー12の中心線L2,L4同士がなす角度(上限)θ3は、シフトノブ13の右側下端部13cとセンターコンソール9の上面部9aとの間に隙間Gが残る姿勢Pos4のときの角度として規定されている。なお、隙間Gは、大柄な人の小指の太さよりも大きな寸法として規定される。
【0090】
このようにシフトレバー12の傾斜角の上限θ3を規定することにより、シフトポジションを走行ポジション15r,15n,15dとして走行中にも、運転者がシフトノブ13とセンターコンソール9との間で指を挟むのを防ぐことができる。
【0091】
[変形例]
上記実施形態では、左ハンドルの車両1を一例として採用したが、本発明は、右ハンドル車を採用することもできる。その場合には、上記実施形態とは左右の関係を反対にすることで、上記実施形態と同じ効果を得ることができる。
【0092】
上記実施形態では、ステーショナリ式の車両用シフト装置11を採用することとしたが、本発明は、モメンタリ式の車両用シフト装置を採用することもできる。この場合にも、走行ポジションにあるシフトレバーがパーキングポジションにあるシフトレバーに対して所定角度だけ傾斜していることとすれば上記同様の効果を得ることができる。
【0093】
上記実施形態では、走行ポジションとしてRポジション15r、Nポジション15n、およびDポジション15dの3つのポジションを備える構成としたが、本発明は、Rポジション、Nポジション、およびDポジションを含む4つ以上の走行ポジションを備える構成とすることもできる。例えば、SポジションやBポジションなどを備えることとしてもよい。
【0094】
上記実施形態では、シフトレバー12の長さが比較的短いショートストローク式の車両用シフト装置11を採用することとしたが、本発明は、シフトレバーの長さが比較的長いロングストローク式の車両用シフト装置を採用することもできる。
【0095】
上記実施形態では、センターコンソール9におけるシフト装置ベース15が填め込まれた部分の底部9cの一部とフロア1bとの間に空間SPが空いた構造としたが、本発明は、必ずしも当該部分に空間が空いている必要はない。
【0096】
上記実施形態では、シフトノブ13の左側部分(運転者側の側面部分)にプッシュスイッチ15を設けることとしたが、本発明は、プッシュスイッチの配置に関してこれに限定を受けるものではない。例えば、シフトノブの前面部や上面部前方部分などにプッシュスイッチを設けることとしてもよい。
【0097】
上記実施形態では、車両用シフト装置11のシフト装置ベース15にインジケータ部15bを設けることとしたが、本発明は、インジケータ部の配置に関してこれに限定を受けるものではない。例えば、メータークラスターパネルやインストルメントパネルなどに設けることとしてもよい。
【符号の説明】
【0098】
1 車両
1a 車室
1b フロア
2 運転席
3 助手席
9 センターコンソール
9c 底部
11 車両用シフト装置
12 シフトレバー
13 シフトノブ
13a 上面部
14 プッシュスイッチ
15 シフト装置ベース
15a シフトレーン
15a1 前後方向レーン(第1シフトレーン)
15a2 横方向レーン(第2シフトレーン)
15d ドライブ(D)ポジション
15n ニュートラル(N)ポジション
15p パーキング(P)ポジション
15r リバース(R)ポジション
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10