【発明を実施するための形態】
【0013】
以下の記載及び実施例では、本発明の好適な実施形態を詳細に説明する。当業者は、そ
の範囲に含まれる本発明の多数の変更及び修飾が存在することを理解するであろう。した
がって、好適な実施形態の記載により、本発明の範囲が限定されるものではない。
【0014】
発癌性転写因子を生じる染色体転座は、多くの肉腫を含む、各種腫瘍の特質である。ユ
ーイング肉腫ファミリー腫瘍(ESFT)は、この腫瘍の高い悪性形質の原因となる、ユ
ーイング肉腫ブレイクポイントリージョン1及びフレンド白血病ウイルスインテグレーシ
ョン1(EWS−FLI1)融合転移因子を生じるt(11;22)(q24;q12)
転座を特徴とする。EWS−FLI1の連続した発現は、ESFT細胞の生存にとっての
臨界であると考えられる。EWS−FLI1は、その悪性細胞特異性の点から、ユーイン
グ肉腫に対する魅力的な治療の標的である。さらに、EWS/FLI発現は、ユーイング
肉腫腫瘍細胞にとって不可欠であることが、実験によって証明されている。インビトロに
おいて、アンチセンスオリゴデオキシヌクレオチド及びRNA干渉(RNAi)でEWS
−FLI1を標的にすることにより、潜在的治療様相としてのEWS−FLI1減衰をサ
ポートする、ユーイング肉腫細胞の生存能力、増殖、及び発癌性形質転換が阻害される。
好適な実施形態に係る治療剤は、より大きな腫瘍群に対して広く適用可能であり、化学療
法耐性肉腫及び白血病、並びにユーイング肉腫のような治療が困難な腫瘍等、悪性腫瘍に
関連した他の発癌性転写因子を処置するための治療薬として有用である。
【0015】
<定義>
本明細書で使用される全ての技術的及び科学的用語は、特に定義がない限り、当業者が
通常理解しているものと同じ意味を有する。本明細書で引用される全ての特許、出願、公
開出願、及び他の公開物は、特に規定がない限り、もっぱら参考として組み込まれている
。本明細書の用語について複数の定義がある場合には、特に規定がない限り、該セクショ
ンにおける定義を優先する。
【0016】
本明細書において、例えば、限定はないが、R
1、R
2、R
3、R
4、R
5、R
6、R
7、R
8、R
9、R
10、R
11、及びR
12等のいずれの「R」基も、指定される原子に結合できる置換基を示す。R基は、置換されていてもよく、非置換であってもよい。2つの「R」基が「一緒になって」と記載される場合、該R基とそれらが結合する原子とにより、シクロアルキル、シクロアルケニル、アリール、ヘテロアリール、又は複素環を形
成できる。例えば、限定はないが、NR
aR
b基におけるR
a及びR
bは、「一緒になっ
て」と示される場合、R
aとR
bとは互いに共有結合して下記のような環:
【化1】
を形成することを意味する。さらに、2つの「R」基が、それらが結合する原子で「一緒
になって」と記載され、選択肢として環を形成する場合、「R」基は、先に定義の可変基
又は置換基に限定されない。
【0017】
本明細書において、「アルキル」は、完全に飽和した(二重結合又は三重結合を有しな
い)炭化水素基を含む直鎖状又は分岐鎖状の炭化水素鎖を指す。アルキル基は、1個〜2
0個の炭素原子(本定義は数値範囲が指定されていない用語「アルキル」の存在も包含す
るが、本明細書で示される場合、「1〜20」等の数値範囲は、その指定された範囲にお
ける各整数を指す。例えば、「1個〜20個の炭素原子」は、1個の炭素原子、2個の炭
素原子、3個の炭素原子等の、20個以下の炭素原子からなり得るアルキル基を意味する
)を有してもよい。アルキル基は、1個〜10個の炭素原子を有する中間サイズのアルキ
ルであってもよい。アルキル基は、1個〜6個の炭素原子を有する低級アルキルであって
もよい。化合物のアルキル基は、「C
1〜C
6アルキル」又は類似の名称として示されて
もよい。単なる例として、「C
1〜C
6アルキル」は、アルキル鎖において1個〜6個の
炭素原子があることを示す。すなわち、アルキル鎖は、メチル、エチル、プロピル、イソ
プロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、t−ブチル、ペンチル(直鎖状及
び分岐鎖状)、及びヘキシル(直鎖状及び分岐鎖状)から選ばれる。代表的なアルキル基
としては、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、t−ブチル
、ペンチル(直鎖状及び分岐鎖状)、及びヘキシル(直鎖状及び分岐鎖状)が挙げられる
が、これらに限定されない。アルキル基は、置換されていてもよく、非置換であってもよ
い。
【0018】
本明細書において、「シクロアルキル」は、完全に飽和した(二重結合又は三重結合を
有しない)単環式又は多環式炭化水素環系を指す。2つ又はそれ以上の環から構成される
場合、それらの環は、縮合環の形で互いに結合されてもよい。シクロアルキル基は、環中
に3個〜10個の原子、又は3個〜8個の原子を含んでもよい。シクロアルキル基は、置
換されていてもよく、非置換であってもよい。代表的なシクロアルキル基としては、シク
ロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、及びシ
クロオクチルが挙げられるが、これらに限定されない。
【0019】
本明細書において、「アリール」は、すべての環にわたって完全に非局在化したπ電子
系を有する炭素環式(すべて炭素)の単環式又は多環式芳香環系(2つの炭素環が化学結
合を共有する縮合環系を含む)を指す。アリール基の炭素原子数は変更可能である。例え
ば、アリール基は、C
6〜C
14アリール基、C
6〜C
10アリール基、又はC
6アリール基であってもよい。アリール基の例としては、ベンゼン、ナフタレン、及びアズレンが挙げられるが、これらに限定されない。アリール基は、置換されていてもよく、非置換であってもよい。
【0020】
本明細書において、「ヘテロアリール」は、1つ又はそれ以上のヘテロ原子(例えば、
1個〜5個のヘテロ原子)、すなわち炭素以外の元素を含む単環式又は多環式芳香環系(
完全に非局在化したπ電子系を有する環系)を指す。そのヘテロ原子としては、チッ素、
酸素、及び硫黄が挙げられるが、これらに限定されない。ヘテロアリール基の環の原子数
は変更可能である。例えば、ヘテロアリール基は、環に4個〜14個の原子、環に5個〜
10個の原子、又は環に5個〜6個の原子を含んでもよい。さらに、用語「ヘテロアリー
ル」は縮合環系を含み、その縮合環系において、2つの環、例えば少なくとも1つのアリ
ール環及び少なくとも1つのヘテロアリール環、又は少なくとも2つのヘテロアリール環
は、少なくとも1つの化学結合を共有する。ヘテロアリール環の例としては、フラン、フ
ラザン、チオフェン、ベンゾチオフェン、フタラジン、ピロール、オキサゾール、ベンゾ
オキサゾール、1,2,3−オキサジアゾール、1,2,4−オキサジアゾール、チアゾ
ール、1,2,3−チアジアゾール、1,2,4−チアジアゾール、ベンゾチアゾール、
イミダゾール、ベンズイミダゾール、インドール、インダゾール、ピラゾール、ベンゾピ
ラゾール、イソオキサゾール、ベンゾイソオキサゾール、イソチアゾール、トリアゾール
、ベンゾトリアゾール、チアジアゾール、テトラゾール、ピリジン、ピリダジン、ピリミ
ジン、ピラジン、プリン、プテリジン、キノリン、イソキノリン、キナゾリン、キノキサ
リン、シンノリン、及びトリアジンが挙げられるが、これらに限定されない。ヘテロアリ
ール基は、置換されていてもよく、非置換であってもよい。
【0021】
本明細書において、「ヘテロシクロアルキル」は、炭素原子と1個〜5個のヘテロ原子
とにより構成される、三員、四員、五員、六員、七員、八員、九員、十員、十八員までの
単環式、二環式、及び三環式の環系を指す。複素環は、このように位置している1つ又は
それ以上の不飽和結合を任意に含んでもよいが、完全に非局在化したπ電子系がすべての
環にわたって発生することはない。ヘテロ原子は炭素以外の元素であり、酸素、硫黄、及
びチッ素が挙げられるが、これらに限定されるものではない。複素環は、ラクタム、ラク
トン、環状イミド、環状チオイミド、及び環状カルバマート等のオキソ系及びチオ系を含
む定義とするように、1つ又はそれ以上のカルボニル又はチオカルボニル官能基をさらに
含んでもよい。2つ又はそれ以上の環から構成される場合、それらの環は、縮合環の形で
互いに結合されてもよい。また、ヘテロシクロアルキルにおける任意のチッ素は、四級化
されてもよい。ヘテロシクロアルキル基は、置換されていてもよく、非置換であってもよ
い。このようなヘテロシクロアルキル基の例としては、1,3−ジオキシン、1,3−ジ
オキサン、1,4−ジオキサン、1,2−ジオキソラン、1,3−ジオキソラン、1,4
−ジオキソラン、1,3−オキサチアン、1,4−オキサチイン、1,3−オキサチオラ
ン、1,3−ジチオール、1,3−ジチオラン、1,4−オキサチアン、テトラヒドロ−
1,4−チアジン、2H−1,2−オキサジン、マレイミド、スクシンイミド、バルビツ
ール酸、チオバルビツール酸、ジオキソピペラジン、ヒダントイン、ジヒドロウラシル、
トリオキサン、ヘキサヒドロ−1,3,5−トリアジン、イミダゾリン、イミダゾリジン
、イソオキサゾリン、イソオキサゾリジン、オキサゾリン、オキサゾリジン、オキサゾリ
ジノン、チアゾリン、チアゾリジン、モルホリン、オキシラン、ピペリジンN−オキシド
、ピペリジン、ピペラジン、ピロリジン、ピロリドン、ピロリジオン、4−ピペリドン、
ピラゾリン、ピラゾリジン、2−オキソピロリジン、テトラヒドロピラン、4H−ピラン
、テトラヒドロチオピラン、チアモルホリン、チアモルホリンスルホキシド、チアモルホ
リンスルホン、及びそれらのベンゾ縮合類似体(例えば、ベンズイミダゾリジノン、テト
ラヒドロキノリン、3,4−メチレンジオキシフェニル)が挙げられるが、これらに限定
されない。
【0022】
「医薬的に許容し得る塩」という用語は、それが投与される有機体に重篤な刺激を生じ
させず、化合物の生物活性及び特性をなくすことがない化合物の塩を指す。いくつかの実
施形態では、該塩は、化合物の酸付加塩である。薬学的な塩は、化合物と、ハロゲン化水
素酸(例えば、塩酸又は臭化水素酸)、硫酸、硝酸、及びリン酸等の無機酸との反応によ
って得られる。また、薬学的な塩は、化合物と、例えば、ギ酸、酢酸、コハク酸、乳酸、
リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、アスコルビン酸、ニコチン酸、メタンスルホン酸、エタン
スルホン酸、p−トルエンスルホン酸、サリチル酸、もしくはナフタレンスルホン酸等の
脂肪族酸、芳香族カルボン酸又はスルホン酸のような有機酸との反応によっても得られる
。また、薬学的な塩は、化合物と、塩基とを反応させることによっても得られ、アンモニ
ウム塩、ナトリウム塩又はカリウム塩といったアルカリ金属塩、カルシウム塩又はマグネ
シウム塩といったアルカリ土類金属塩、ジシクロヘキシルアミン、N−メチル−D−グル
カミン、トリス(ヒドロキシメチル)メチルアミン、C
1〜C
7アルキルアミン、シクロ
ヘキシルアミン、トリエタノールアミン、エチレンジアミン等の有機塩基の塩、並びにア
ルギニン及びリシンといったアミノ酸塩のような塩を形成する。
【0023】
本明細書に記載の、1つ又はそれ以上の不斉中心を有する如何なる化合物も、絶対立体
化学式が明確に示されていないのであれば、各中心はそれぞれ独立して、(R)体、又は
(S)体、又はこれらの混合物のものであればよいと理解される。従って、本明細書にて
提供される化合物は、エナンチオ異性的に純粋なものであるか、エナンチオ異性的に強化
されたものであるか、ラセミ体混合物であるか、ジアステレオ異性的に純粋なものである
か、ジアステレオ異性的に強化されたものであるか、又は立体異性体混合物であればよい
。さらに、本明細書に記載の、E又はZとして定義することができる幾何異性体を生成す
る1つ又はそれ以上の二重結合を有する任意の化合物では、各二重結合はそれぞれ独立し
て、E又はZ、又はこれらの混合物であってもよい。
【0024】
本明細書に開示の化合物が未充足原子価を有する場合、該原子価は、水素又はその同位
元素、例えば水素1(軽水素)及び水素2(重水素)及び水素3(三重水素)によって充
足されるべきであると理解される。本発明に存在する任意の化学式では、Hは軽水素を、
Dは重水素を、及びTは三重水素を示すと理解すべきである。
【0025】
本明細書に記載の化合物は、同位体標識され得ると理解される。重水素等の同位元素で
の置換により、例えば、インビボでの半減期の増大又は必要摂取量の減少といった、より
優れた代謝的安定性に起因する特定の治療上の利点がもたらされる。化合物構造において
表されている各化学元素は、該元素の任意の同位元素を含んでいてもよい。例えば、化合
物構造において水素原子は、明らかに開示されているか、又は化合物中に存在しているこ
とが理解されている。水素原子が存在している化合物の任意位置で、水素原子は、水素1
(軽水素)、水素2(重水素)及び水素3(三重水素)を始めとする(これらは限定では
ない)水素の同位元素であり得る。同様に、炭素の同位元素、例えば、炭素12(
12C
)、炭素13(
13C)、及び炭素14(
14C)も考慮に入れる。このように、本明細書で記載される化合物は、特に明記しない限り、全ての潜在的な同位体形を含む。
【0026】
本明細書に記載の方法及び組み合わせは、結晶形(「多形」としても既知、化合物と同
じ元素組成の異なる結晶パッキング配列を含むもの)、非晶形相、塩、溶媒和物、及び水
和物を含むと理解される。いくつかの実施形態において、本明細書に記載の化合物は、水
、エタノール等の医薬的に許容し得る溶媒と共に、溶媒和物の形態で存在する。他の実施
形態においては、本明細書に記載の化合物は、非溶媒和物の形態で存在する。溶媒和物は
、化学量論的な、又は非化学量論的な量の溶媒を含有しており、水、エタノール等の医薬
的に許容し得る溶媒での結晶化の過程で形成されうる。水和物は、溶媒が水の場合に形成
され、アルコラートは、溶媒がアルコールの場合に形成される。さらに、本明細書におい
て提供される化合物は、溶媒和物の形態だけでなく、非溶媒和物の形態でも存在する。通
常、本明細書において提供される化合物及び方法の目的に対して、溶媒和物の形態は、非
溶媒和物の形態と同等であると考えられる。
【0027】
数値範囲を提供する場合、上限及び下限、並びにその範囲における上限と下限との間の
各介在値は、実施形態の範囲内に包含されると理解されるべきである。
【0028】
<化合物>
第1態様では、式(I):
【化2】
(式中、
Aは、−OH、D、H、F、及び−NH
2からなる群より選ばれ、
R
1、R
2、R
3、及びR
4は、それぞれ独立して、H、Cl、−CN、−CF
3、C
1
−6アルキル、C
1−6アルコキシ、−C(=O)NH
2、−NO
2、−NH
2及び−O
Hからなる群より選ばれ、
R
7、R
8、R
9、R
10、及びR
11は、それぞれ独立して、H、D、F、Cl、ハロ
ゲン、CN、CF
3、C
1−6アルキル、アリール、ヘテロアリール、−O(アリール)
、−O(ヘテロアリール)、−CO
2H、−CO
2(C
1−6アルキル)、−NHSO
2
(C
1−6アルキル)、−NHSO
2(アリール)、−NHCONH(C
1−6アルキル
)、−NHCON(C
1−6アルキル)
2、−N(C
1−6アルキル)CONH
2、−N
(C
1−6アルキル)CONH(C
1−6アルキル)、−N(C
1−6アルキル)CON
(C
1−6アルキル)
2、−SO
2(C
1−6アルキル)、−SO
2NH
2、−SO
2N
H(C
1−6アルキル)、−SO
2N(C
1−6アルキル)
2、C
3−8シクロアルキル
及びC
3−8ヘテロシクロアルキルからなる群より選ばれる)
で表される化合物、又はその立体異性体、医薬的に許容し得る塩もしくは溶媒和物が提供
される。
【0029】
第1態様の一実施形態では、R
1、R
2、R
3、及びR
4は、それぞれ独立して、H及
びClからなる群より選ばれる。
【0030】
第1態様の一実施形態では、R
1及びR
4はClであり、R
2及びR
3はHである。
【0031】
第1態様の一実施形態では、Aは−OHである。
【0032】
第1態様の一実施形態では、R
7、R
8、R
10、及びR
11はHである。
【0033】
第1態様の一実施形態では、R
9は−OCH
3である。
【0034】
第1態様の一実施形態では、化合物は、式(I−12):
【化3】
で表される。
【0035】
第2態様では、式(II):
【化4】
(式中、
Aは、−OH、D、H、F、及び−NH
2からなる群より選ばれ、
R
1、R
2、R
3、及びR
4は、それぞれ独立して、H、Cl、−CN、−CF
3、C
1
−6アルキル、C
1−6アルコキシ、−C(=O)NH
2、−NO
2、−NH
2及び−O
Hからなる群より選ばれ、
R
7、R
8、R
10、及びR
11は、それぞれ独立して、H、D、F、Cl、ハロゲン、
CN、CF
3、C
1−6アルキル、アリール、ヘテロアリール、−O(アリール)、−O
(ヘテロアリール)、−CO
2H、−CO
2(C
1−6アルキル)、−NHSO
2(C
1
−6アルキル)、−NHSO
2(アリール)、−NHCONH(C
1−6アルキル)、−
NHCON(C
1−6アルキル)
2、−N(C
1−6アルキル)CONH
2、−N(C
1
−6アルキル)CONH(C
1−6アルキル)、−N(C
1−6アルキル)CON(C
1
−6アルキル)
2、−SO
2(C
1−6アルキル)、−SO
2NH
2、−SO
2NH(C
1−6アルキル)、−SO
2N(C
1−6アルキル)
2、C
3−8シクロアルキル、及び
C
3−8ヘテロシクロアルキルからなる群より選ばれ、
R
12は、置換又は非置換C
1−6アルキルである)
で表される化合物、又はその立体異性体、医薬的に許容し得る塩もしくは溶媒和物が提供
される。
【0036】
第2態様の一実施形態では、R
1、R
2、R
3、及びR
4は、それぞれ独立して、H及
びClからなる群より選ばれる。
【0037】
第2態様の一実施形態では、R
7、R
8、R
10、及びR
11は、それぞれ独立して、
H及びClからなる群より選ばれる。
【0038】
第2態様の一実施形態では、Aは−OHである。
【0039】
第2態様の一実施形態では、前記R
7、R
8、R
10、及びR
11はHである。
【0040】
第2態様の一実施形態では、R
12は−CH
3である。
【0041】
第2態様の一実施形態では、化合物は、式(II−13):
【化5】
で表される。
【0042】
第3態様では、式(III):
【化6】
(式中、
R
1、R
2、R
3、及びR
4は、それぞれ独立して、H、Cl、−CN、−CF
3、C
1
−6アルキル、C
1−6アルコキシ、−C(=O)NH
2、−NO
2、−NH
2、及び−
OHからなる群より選ばれ、
R
7、R
8、R
10、及びR
11は、それぞれ独立して、H、D、F、Cl、ハロゲン、
CN、CF
3、C
1−6アルキル、アリール、ヘテロアリール、−O(アリール)、−O
(ヘテロアリール)、−CO
2H、−CO
2(C
1−6アルキル)、−NHSO
2(C
1
−6アルキル)、−NHSO
2(アリール)、−NHCONH(C
1−6アルキル)、−
NHCON(C
1−6アルキル)
2、−N(C
1−6アルキル)CONH
2、−N(C
1
−6アルキル)CONH(C
1−6アルキル)、−N(C
1−6アルキル)CON(C
1
−6アルキル)
2、−SO
2(C
1−6アルキル)、−SO
2NH
2、−SO
2NH(C
1−6アルキル)、−SO
2N(C
1−6アルキル)
2、C
3−8シクロアルキル、及び
C
3−8ヘテロシクロアルキルからなる群より選ばれ、
R
13及びR
14は、それぞれ独立して、置換又は非置換C
1−6アルキルである)
で表される化合物、又はその立体異性体、医薬的に許容し得る塩もしくは溶媒和物が提供
される。
【0043】
第3態様の一実施形態では、R
1、R
2、R
3、及びR
4は、それぞれ独立して、H及
びClからなる群より選ばれる。
【0044】
第3態様の一実施形態では、R
1及びR
4はClであり、R
2及びR
3はHである。
【0045】
第3態様の一実施形態では、R
7、R
8、R
10、及びR
11はHである。
【0046】
第3態様の一実施形態では、R
13及びR
14は−CH
3である。
【0047】
第3態様の一実施形態では、化合物は式(III−14):
【化7】
で表される。
【0048】
第4態様では、式(IV−A)、式(IV−B)、式(IV−C)、又は式(IV−D
):
【化8】
(式中、
Aは、−OH、D、H、F、及び−NH
2からなる群より選ばれ、
R
1、R
2、R
3、及びR
4は、それぞれ独立して、H、Cl、−CN、−CF
3、C
1
−6アルキル、C
1−6アルコキシ、−C(=O)NH
2、−NO
2、−NH
2、及び−
OHからなる群より選ばれ、
R
8、R
9、R
10、及びR
11は、それぞれ独立して、H、D、F、Cl、ハロゲン、
CN、CF
3、C
1−6アルキル、アリール、ヘテロアリール、−O(アリール)、−O
(ヘテロアリール)、−CO
2H、−CO
2(C
1−6アルキル)、−NHSO
2(C
1
−6アルキル)、−NHSO
2(アリール)、−NHCONH(C
1−6アルキル)、−
NHCON(C
1−6アルキル)
2、−N(C
1−6アルキル)CONH
2、−N(C
1
−6アルキル)CONH(C
1−6アルキル)、−N(C
1−6アルキル)CON(C
1
−6アルキル)
2、−SO
2(C
1−6アルキル)、−SO
2NH
2、−SO
2NH(C
1−6アルキル)、−SO
2N(C
1−6アルキル)
2、C
3−8シクロアルキル、及び
C
3−8ヘテロシクロアルキルからなる群より選ばれる)
で表される化合物、又はその立体異性体、医薬的に許容し得る塩もしくは溶媒和物が提供
される。
【0049】
第4態様の一実施形態では、R
1、R
2、R
3、及びR
4は、それぞれ独立して、H及
びClからなる群より選ばれる。
【0050】
第4態様の一実施形態では、R
1及びR
4はClであり、前記R
2及びR
3はHである
。
【0051】
第4態様の一実施形態では、Aは−OHである。
【0052】
第4態様の一実施形態では、R
8、R
10、及びR
11はHである。
【0053】
第4態様の一実施形態では、R
9はHである。
【0054】
第4態様の一実施形態では、化合物は、式(IV−15)、式(IV−16)、式(I
V−17)、又は式(IV−18):
【化9】
で表される。
【0055】
第5態様では、式(V):
【化10】
(式中、
Aは、−OH、D、H、F、及び−NH
2からなる群より選ばれ、
R
1、R
2、R
3、及びR
4は、それぞれ独立して、H、Cl、−CN、−CF
3、C
1
−6アルキル、C
1−6アルコキシ、−C(=O)NH
2、−NO
2、−NH
2、及び−
OHからなる群より選ばれ、
R
7、R
8、R
9、R
10、及びR
11は、それぞれ独立して、−OCH
3、H、D、F
、Cl、ハロゲン、CN、CF
3、C
1−6アルキル、アリール、ヘテロアリール、−O
(アリール)、−O(ヘテロアリール)、−CO
2H、−CO
2(C
1−6アルキル)、
−NHSO
2(C
1−6アルキル)、−NHSO
2(アリール)、−NHCONH(C
1
−6アルキル)、−NHCON(C
1−6アルキル)
2、−N(C
1−6アルキル)CO
NH
2、−N(C
1−6アルキル)CONH(C
1−6アルキル)、−N(C
1−6アル
キル)CON(C
1−6アルキル)
2、−SO
2(C
1−6アルキル)、−SO
2NH
2
、−SO
2NH(C
1−6アルキル)、−SO
2N(C
1−6アルキル)
2、C
3−8シ
クロアルキル、及びC
3−8ヘテロシクロアルキルからなる群より選ばれる)
で表される化合物、又はその立体異性体、医薬的に許容し得る塩もしくは溶媒和物が提供
される。
【0056】
第5態様の一実施形態では、R
1、R
2、R
3、及びR
4は、それぞれ独立して、H及
びClからなる群より選ばれる。
【0057】
第5態様の一実施形態では、R
1及びR
4はClであり、前記R
2及びR
3はHである
。
【0058】
第5態様の一実施形態では、Aは−OHである。
【0059】
第5態様の一実施形態では、R
7、R
8、R
10、及びR
11はHである。
【0060】
第5態様の一実施形態では、R
9は−OCH
3である。
【0061】
第5態様の一実施形態では、化合物は、式(V−19):
【化11】
で表される。
【0062】
第6態様において、式(VI):
【化12】
(式中、
Aは、−OH、D、H、F、及び−NH
2からなる群より選ばれ、
R
1、R
2、R
3、及びR
4は、それぞれ独立して、H、Cl、−CN、−CF
3、C
1
−6アルキル、C
1−6アルコキシ、−C(=O)NH
2、−NO
2、−NH
2、及び−
OHからなる群より選ばれ、
R
7、R
8、R
10、及びR
11は、それぞれ独立して、H、D、F、Cl、ハロゲン、
CN、CF
3、C
1−6アルキル、アリール、ヘテロアリール、−O(アリール)、−O
(ヘテロアリール)、−CO
2H、−CO
2(C
1−6アルキル)、−NHSO
2(C
1
−6アルキル)、−NHSO
2(アリール)、−NHCONH(C
1−6アルキル)、−
NHCON(C
1−6アルキル)
2、−N(C
1−6アルキル)CONH
2、−N(C
1
−6アルキル)CONH(C
1−6アルキル)、−N(C
1−6アルキル)CON(C
1
−6アルキル)
2、−SO
2(C
1−6アルキル)、−SO
2NH
2、−SO
2NH(C
1−6アルキル)、−SO
2N(C
1−6アルキル)
2、C
3−8シクロアルキル、及び
C
3−8ヘテロシクロアルキルからなる群より選ばれる)
で表される化合物、又はその立体異性体、医薬的に許容し得る塩もしくは溶媒和物が提供
される。
【0063】
第6態様の一実施形態では、R
1、R
2、R
3、及びR
4は、それぞれ独立して、H及
びClからなる群より選ばれる。
【0064】
第6態様の一実施形態では、R
1及びR
4はClであり、R
2及びR
3はHである。
【0065】
第6態様の一実施形態では、Aは−OHである。
【0066】
第6態様の一実施形態では、R
7、R
8、R
10、及びR
11はHである。
【0067】
第6態様の一実施形態では、化合物は、式(VI−20):
【化13】
で表される。
【0068】
第7態様では、式(VII):
【化14】
(式中、
Aは、−OH、D、H、F、及び−NH
2からなる群より選ばれ、
R
1、R
2、R
3、及びR
4は、それぞれ独立して、H、Cl、−CN、−CF
3、C
1
−6アルキル、C
1−6アルコキシ、−C(=O)NH
2、−NO
2、−NH
2、
及び−OHからなる群より選ばれ、
Gは、
【化15】
からなる群より選ばれる)
で表される化合物、又はその立体異性体、医薬的に許容し得る塩もしくは溶媒和物が提供
される。
【0069】
第7態様の一実施形態では、R
1、R
2、R
3、及びR
4は、それぞれ独立して、H及
びClからなる群より選ばれる。
【0070】
第7態様の一実施形態では、R
1及びR
4はClであり、R
2及びR
3はHである。
【0071】
第7態様の一実施形態では、Aは−OHである。
【0072】
第7態様の一実施形態では、化合物は、式(VII−19)、式(VII−20)、式
(VII−21)、式(VII−22)、式(VII−23)、又は式(VII−24)
:
【化16】
で表される。
【0073】
第8態様では、第1〜第6態様又はそのいずれかの実施形態に記載の化合物と、医薬的
に許容し得る担体とを含む医薬組成物が提供される。
【0074】
第9態様では、第1〜第6態様又はそのいずれかの実施形態に記載の化合物と、医薬的
に許容し得る賦形剤とを含む医薬組成物が提供される。
【0075】
第10態様では、第1〜第6態様又はそのいずれかの実施形態に記載の化合物と、少な
くとも1種の追加の医薬的活性剤とを含む医薬組成物が提供される。
【0076】
第11態様では、有効量の第1態様又はその任意の実施形態の化合物を、それを必要と
する対象に投与することを含む癌を治療する方法が提供される。
【0077】
第11態様の一実施形態では、対象は哺乳動物である。
【0078】
第11態様の一実施形態では、対象はヒトである。
【0079】
第11態様の一実施形態では、癌は、ユーイング肉腫、前立腺癌、神経膠芽腫、急性骨
髄性白血病、乳癌、頭部及び頸部癌、黒色腫、非小細胞肺癌、卵巣癌、及び子宮癌からな
る群より選ばれる。
【0080】
第12態様では、腫瘍細胞を殺傷する又は腫瘍細胞の増殖を阻害する方法であって、腫
瘍細胞を、有効量の第1態様又はその任意の実施形態に記載の化合物と接触させることを
含む方法が提供される。
【0081】
第12態様の一実施形態では、細胞は哺乳動物のものである。
【0082】
第12態様の一実施形態では、細胞はヒトのものである。
【0083】
第12態様の一実施形態では、細胞はインビトロのものである。
【0084】
第12態様の一実施形態では、細胞はインビボのものである。
【0085】
第12態様の一実施形態では、細胞は癌細胞であり、該癌は、ユーイング肉腫、前立腺
癌、神経膠芽腫、急性骨髄性白血病、乳癌、頭部及び頸部癌、黒色腫、非小細胞肺癌、卵
巣癌、及び子宮癌からなる群より選ばれる。
【0086】
第13態様では、ETS遺伝子を過剰発現させる又はETS融合遺伝子を含む細胞の増
殖を阻害する方法であって、該細胞を、有効量の第1態様又はその任意の実施形態に記載
の化合物と接触させることを含む方法が提供される。
【0087】
第13態様の一実施形態では、ETS遺伝子又はETS融合遺伝子は、FLI1、ER
G、ETV1、及びETV4からなる群より選ばれる。
【0088】
第13態様の一実施形態では、細胞は哺乳動物のものである。
【0089】
第13態様の一実施形態では、細胞はヒトのものである。
【0090】
第13態様の一実施形態では、細胞はインビトロのものである。
【0091】
第13態様の一実施形態では、細胞はインビボのものである。
【0092】
第13態様の一実施形態では、細胞は癌細胞であり、該癌は、ユーイング肉腫、前立腺
癌、神経膠芽腫、急性骨髄性白血病、乳癌、頭部及び頸部癌、黒色腫、非小細胞肺癌、卵
巣癌、及び子宮癌からなる群より選ばれる。
【0093】
第1〜第13態様の実施形態の特徴のいかなるものも、本明細書に示す全ての態様及び
実施形態に適用可能である。また、第1〜第13態様の実施形態の特徴のいかなるものも
、それぞれ独立して、本明細書に記載する他の実施形態と、いかなる方法でも部分的又は
全体的に組合せ可能であり、例えば、1、2、3、又はそれ以上の実施形態を、全体とし
て又は部分的に組み合わせることが可能である。さらに、第1〜第13態様の実施形態の
特徴のいかなるものも、他の態様又は実施形態に使用することができる。方法の任意の態
様又は実施形態は、他の態様又は実施形態の化合物又は組成物を使用して実施することが
でき、化合物又は組成物の任意の態様又は実施形態は、他の態様又は実施形態の方法を実
施するために使用することができる。
【0094】
<合成方法>
本明細書に記載の式(I)〜(VII)の化合物は、種々の方法で調製される。本明細
書では、式(I)〜(VII)の化合物を合成する一般的な合成経路を示し、記載する。
本明細書に示して説明する経路は単なる例示であり、いかなる場合でも、本請求の範囲を
限定することを意味するものではないと解釈される。当業者によって、開示された合成方
法の変更が可能であり、本明細書の開示に基づく代替経路の考案も可能である。このよう
な変更及び代替経路は、全て本請求の範囲の範囲内である。
【0095】
<式(I)の化合物>
式(I)の化合物は、以下の合成経路によって調製することができる。該合成経路は、
Thompsonら、「Tyrosine Kinase Inhibitors.1.
Structure−Activity Relationships for Inh
ibition of Epidermal Growth Factor Recep
tor Tyrosine Kinase Activity by 2,3−Dihy
dro−2−thioxo−1H−indole−3−alkanoic Acids
and 2,2’−Dithiobis(1H−indole−3−alkanoic
acids)」J.Med.Chem.1993年、36、2459−2469頁に記載
の経路の修正法であり、これらの内容は、その全体が参照により本明細書に組み入れられ
ている。
【化17】
【0096】
<式(II)の化合物>
式(II)の化合物は、以下の合成経路によって調製することができる。該合成経路は
、Al−Rawi,H.;Williams,A.;Journal of the A
merican Chemical Society;第99巻;(1977);p.2
671−2678;Kulkarni;Naik;Tandel;Rajappa;Tetrahedron;第47巻;nb.7;(1991);p.1249−1256;Deshpande,Sunita R.;Likhite,Anjali P.;Rajappa,Srinivasachari;Tetrahedron;第50巻;nb.34;(1994);p.10367−10370;Al Sabbagh,Mohamed Mowafak;Calmon,Michelle;Calmon,Jean−Pierre;Bulletin de la Societe Chimique de France;第2巻;nb.3−4;(1983);p.73−77;Iwakura;Nabeya;Journal of Organic Chemistry;第26巻;(1961);p.4384,4387;Iwakura;Nabeya;Journal of Organic Chemistry;第26巻;(1961);p.4384,4387;Schwezowa−Schilowskajaら;J.Gen.Chem.USSR(Engl.Transl.);第33巻;(1963);p.2109,2054;及び米国特許第4,376,731号明細書に記載の経路の修正法であり、これらの内容は、その全体が参照により本明細書に組み入れられている。
【化18】
【0097】
<式(III)の化合物>
式(III)の化合物は、以下の合成経路によって調製することができる。該合成経路
は、米国特許第3,631,177号;米国特許第3,592,813号;米国特許第3
,435,034号明細書;及びKobayashiら「Studies on Ind
ole Derivatives.I.Synthesis of 3−Phenyl−
9H−pyridazino[3,4−b]indole Derivatives」C
hemical&Pharmaceutical Bulletin12(10),19
64年10月,1129−1135頁に記載の経路の修正法であり、これらの内容は、そ
の全体が参照により本明細書に組み入れられている。
【化19】
【0098】
<式(IV)の化合物>
式(IV)の化合物は、以下の合成経路で調製することができる。
【0099】
<式(IV−A)の化合物>
式(IV−A)の化合物を調製するには、2つの代替経路を使用することができる。1
つのアプローチでは、合成順序の最後のステップで最後から2番目の中間体(IV−15
A)のフッ素原子の分子内置換によってインダゾールを形成する。しかし、高い温度を必
要とし、これにより、第3級水酸基の脱離が起こりE/Zオレフィンが生成するかもしれ
ない。
【化20】
【0100】
代替の合成アプローチは、直接脱プロトン又はハロゲン交換により、Li又はMg有機金属のいずれかとして、異なる方法により生成してもよい有機金属インダゾール試薬を使用することを含む。国際特許出願第2004/18441号;国際特許出願第2006/135826号;Lipshutzら,Journal of Organic Chemistry;第49巻;nb.21;(1984);p.3928−3938;Soneら,Journal of the American Chemical Society;第130巻;nb.31;(2008);p10078−10079;国際特許出願第2012/177603号;Chenら,Journal of Organic Chemistry;第62巻;nb.13;(1997);p4349−4357;Yadavら,Tetrahedron Letters;第42巻;nb.13;(2001);p2557−2559;Archelas;Furstoss;Journal of Organic Chemistry;第64巻;nb.16;(1999);p6112−6114;Fujisawaら,Chemistry Letters;(1988);p59−62;米国特許第5057529号明細書;Wakabayashiら,Journal of Organic Chemistry;第75巻;nb.13;(2010);p4337−4343;Kireenkoら,Dalton Transactions;第44巻;nb.26;(2015);p11963−11976;Bawdenら,European Journal of Medicinal Chemistry;第18巻;nb.1;(1983);p91−96;Coppolaら,Journal of Heterocyclic Chemistry;第18巻;(1981);p31−35;欧州特許第613890号;米国特許第4935436号明細書;Cristolら;Journal of the American Chemical Society;第73巻;(1951);p816;Lipshutzら,Journal of the American Chemical Society;第104巻;nb.8;(1982);p2305−2307;米国特許第2016/75712号明細書;Lamら,Chemistry−A European Journal;第22巻;nb.13;(2016);p4440−4446;Buchstallerら,Synthesis;nb.19;(2011);p3089−3098;Art.No:T48411SS;Lynchら,Bioorganic and Medicinal Chemistry Letters;第23巻;nb.9;(2013);p2793−2800;Youngsayeら,Beilstein Journal of Organic Chemistry;第9巻;(2013);p1501−1507;Sladeら,Journal of Organic Chemistry;第74巻;nb.16;(2009);p6331−6334;Lukinら,Journal of Organic Chemistry;第71巻;nb.21;(2006);p8166−8172;Tungら,Journal of Medicinal Chemistry;第54巻;nb.8;(2011);p3076−3080;国際特許出願第2012/3418号;Wheelerら,Organic Process Research and Development;第15巻;nb.3;(2011);p565−569;国際特許出願2014/152144号;Tono−Okaら,Bulletin of the Chemical Society of Japan;第58巻;nb.1;(1985);p309−315;Vernekarら,Journal of Medicinal Chemistry;第53巻;nb.5;(2010);p2324−2328;Shimadaら,Bioorganic and Medicinal Chemistry;第16巻;nb.4;(2008);p1966−1982;Senwarら,European Journal of Medicinal Chemistry;第102巻;(2015);p413−424;Art.No:8053;Hajraら,Organic Letters;第17巻;nb.14;(2015);p3430−3433;Gorokhovikら,Organic Letters;第13巻;nb.20;(2011);p5536−5539;Paceら,Advanced Synthesis and Catalysis;第358巻;nb.2;(2016);p172−177;Kennewellら,Journal of Chemical Research,Miniprint;nb.10;(1995);p2380−2388;Chouhanら,Green Chemistry;第13巻;nb.9;(2011);p2553−2560;Liら,Organic Letters;第17巻;nb.5;(2015);p1098−1101;Allousら,European Journal of Organic Chemistry;nb.27;(2011);p5303−5310;Wille,S.,Synthesis;nb.5;(2001);p759−762;Aikawaら,European Journal of Organic Chemistry;nb.1;(2011);p62−65;Vyasら,Journal of Organic Chemistry;第75巻;nb.19;(2010);p6720−6723;Banerjeeら,RSC Advances;第4巻;nb.63;(2014);p33236−33244;Sabahiら,Angewandte Chemie−International Edition;第45巻;nb.26;(2006);p4317−4320;Nooleら,Chemistry−A European Journal;第18巻;nb.47;(2012);p14929−14933;Liら,Angewandte Chemie−International Edition;第52巻;nb.17;(2013);p4628−4632;Quintavallaら,Journal of Organic Chemistry;第78巻;nb.23;(2013);p12049−12064;Badiolaら,Journal of the American Chemical Society;第136;nb.51;(2014);p17869−17881に記載されているように、エポキシドを開環する場合は、銅塩を使用することもできる。前記刊行物の内容は、その全体が参照により本明細書に組み入れられている。6−メトキシ−1H−インダゾールは、6−ヒドロキシインダゾール又は2−フルオロ−4−メトキシ−ベンズアルデヒドから調製することができる。
【化21】
【0101】
<式(IV−B)の化合物>
式(IV−B)の化合物は、米国特許第2008/194661号明細書;国際特許出
願2006/109933号;Lebouvierら,Bioorganic and
Medicinal Chemistry Letters;第17巻;nb.13;(
2007);p3686−3689に記載されているような反応の修正法を使用して調製
することができる。前記刊行物の内容は、その全体が参照により本明細書に組み入れられ
ている。5−メトキシ−1H−インダゾールは、2−フルオロ−5−メトキシ−ベンズア
ルデヒド(Lukin,JOC,2006,p8166参照)から調製することもできる
。
【化22】
【0102】
<式(IV−C)の化合物>
式(IV−C)の化合物は、米国特許第5538984号明細書;Chenら,Org
anic Letters;第13巻;nb.23;(2011);p6300−6303;Villalobosら,Journal of Medicinal Chemistry;第37巻;nb.17;(1994);p2721−2734;Sahasrabudheら,Indian Journal of Chemistry,Section B:Organic Chemistry Including Medicinal Chemistry;第22巻;nb.12;(1983);p1266−1267;米国特許第US5856503号明細書に記載されているような反応の修正法を使用して調製することができる。前記刊行物の内容は、その全体が参照により本明細書に組み入れられている。6−メトキシ−3−メチルベンゾ[d]イソオキサゾールは、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−アセトフェノンから調製することができる。
【化23】
【0103】
<式(IV−D)の化合物>
式(IV−D)の化合物は、Villalobosら,Journal of Med
icinal Chemistry;第37巻;nb.17;(1994);p2721
−2734;Buchwald,S.;Watson,B.T.;Lum,R.T.;Journal of the American Chemical Society;第109巻;(1987);p7137,McKinnon,David M.;Lee,Kingsley R.;Canadian Journal of Chemistry;第66巻;(1988);p1405−1409;Devarie−Baez,Nelmi O.;Xian,Ming;Organic Letters;第12巻;nb.4;(2010);p752−754;Creed;Leardini;McNab;Nanni;Nicolson;Reed;Journal of the Chemical Society.Perkin Transactions1;nb.9;(2001);p1079−1085;Clarke,K.ら;Journal of the Chemical Society,Perkin Transactions1:Organic and Bio−Organic Chemistry(1972−1999);(1973);p356−359;Carrington,D.E.L.ら;Journal of the Chemical Society,Perkin Transactions1:Organic and Bio−Organic Chemistry(1972−1999);(1972);p3006−3010;米国特許第US5856503号明細書;国際特許出願第2010/33643号;Lou,Zhen−Bang;Pang,Xin−Long;Chen,Chao;Wen,Li−Rong;Li,Ming;Chinese Chemical Letters;第26巻;nb.10;(2015);p1231−1235;Chen,Qiang;Huo,Xing;Zheng,Huaiji;She,Xuegong;Synlett;第23巻;nb.9;(2012);p1349−1352;Wang,Feijun;Zhang,Yong Jian;Wei,Hao;Zhang,Jiaming;Zhang,Wanbin;Tetrahedron Letters;第48巻;nb.23;(2007);p4083−4086;Wang,Feijun;Zhang,Yong Jian;Yang,Guoqiang;Zhang,Wanbin;Tetrahedron Letters;第48巻;nb.24;(2007);p4179−4182;Pump,Eva;Poater,Albert;Zirngast,Michaela;Torvisco,Ana;Fischer,Roland;Cavallo,Luigi;Slugovc,Christian;Organometallics;第33巻;nb.11;(2014);p2806−2813;Moreno−Sanz,Guillermo;Duranti,Andrea;Melzig,Laurin;Fiorelli,Claudio;Ruda,Gian Filippo;Colombano,Giampiero;Mestichelli,Paola;Sanchini,Silvano;Tontini,Andrea;Mor,Marco;Bandiera,Tiziano;Scarpelli,Rita;Tarzia,Giorgio;Piomelli,Daniele;Journal of Medicinal Chemistry;第56巻;nb.14;(2013);p5917−5930;国際特許出願第2011/30955号;米国特許第2012/214991号明細書;Oki;Bulletin of the Chemical Society of Japan;第26巻;(1953);p331,334;Zara−Kaczian,Erzsebet;Deak,Gyula;Gyoergy,Lajos;Acta Chimica Hungarica;第126巻;nb.4;(1989);p441−454;Bartoli,Giuseppe;Bosco,Marcella;Marcantoni,Enrico;Massaccesi,Massimo;Rinaldi,Samuele;Sambri,Letizia;Tetrahedron Letters;第43巻;nb.36;(2002);p6331−6333;米国特許公開公報第2010/4159号;Zhang,Xiaohong;Lou,Cong;Li,Ningbo;Xu,Xinhua;Qiu,Renhua;Yin,Shuangfeng;Journal of Organometallic Chemistry;第749巻;(2014);p241−245;Tan,Lay Pheng;Wu,Hao;Yang,Peng−Yu;Kalesh,Karunakaran A.;Zhang,Xiaohua;Hu,Mingyu;Srinivasan,Rajavel;Yao,Shao Q.;Organic Letters;第11巻;nb.22;(2009);p.5102−5105に記載されているような反応の修正法を使用して調製することができる。前記刊行物の内容は、その全体が参照により本明細書に組み入れられている。6−メトキシ−3−メチルベンゾ[d]イソチアゾールは、2−フルオロ−4−メトキシ−アセトフェノン又は2−ブロモ−4−メトキシ−アセトフェノンから調製することができる。
【化24】
【0104】
<式(V)の化合物>
式(V)の化合物は、以下の合成経路により、Dubinskiら,Diazirin
e based photoaffinity labeling,Bioorgani
c&Medicinal Chemistry20(2012)554−570に記載されるような反応の修正法を使用して調製することができる。前記刊行物の内容は、その全体が参照により本明細書に組み入れられている。
【化25】
【0105】
<式(VI)の化合物>
式(VI)の化合物は、以下の合成経路により調製することができる。1−(4−アジ
ドフェニル)エタン−1−オンは、4−アミノ−アセトフェノンから調製することができ
る。
【化26】
【0106】
代替の経路を使用することもできる。
【化27】
【0107】
<式(VII)の化合物>
式(VII)の化合物は、4,7−ジクロロイサチンと適切なメチル−アリールケトン
との間の標準的な縮合条件を使用して調製することができる。例えば、以下が参照される
。
【化28】
【0108】
以下の合成経路を使用することができる。
【化29】
【0109】
式(VII)の化合物の調製に採用することができる合成経路の説明には、以下のもの
が挙げられる。Reck,ら;Journal of Medicinal Chemi
stry;第50巻;nb.20;(2007);p4868−4881;国際特許出願第98/46605号;国際特許出願第2005/116022号;国際特許出願第2005/116023号;Markevitchら;33;19;2003;3285−3290;Fossoら;Organic and Biomolecular Chemistry;第13号;nb.36;(2015);p9418−9426;国際特許出願第2008/108988号;Joら;Bioorganic and Medicinal Chemistry;第12巻;nb.22;(2004);p5909−5915;Abarcaら;Tetrahedron;第64巻;nb.17;(2008);p3794−3801;Huoら;Dalton Transactions;第40巻;nb.29;(2011);p7534−7540;国際特許出願第2015/27021号;国際特許出願第2012/21467号;米国特許公開公報第2014/249132号;国際特許出願第2008/91681号;米国特許公開公報第2010/16298号;国際特許出願第2013/144224号;国際特許出願第2013/91096号;Matulenkoら;Bioorganic and Medicinal Chemistry;第13巻;nb.11;(2005);p3705−3720;Karlsson,Olle;Synthetic Communications;第11巻;nb.1;(1981);p29−34;Sunら;Bioorganic and Medicinal Chemistry Letters;第21巻;nb.19;(2011);p5849−5853;米国特許第9138427号明細書;Stamfordら;ACS Medicinal Chemistry Letters;第3巻;nb.11;(2012);p897−902;米国特許公開公報第2003/114666号;国際特許出願第2014/31784号;Stanettyら;Monatshefte fuer Chemie;第120巻;(1989);p53−63;Sharfら;Chemistry of Heterocyclic Compounds(ニューヨーク,NY,米国);第18巻;nb.2;(1982);p130−133;Khimiya Geterotsiklicheskikh Soedinenii;第18巻;nb.2;(1982);p171−175;Molanderら;Journal of Organic Chemistry;第73巻;nb.19;(2008);p7481−7485;国際特許出願第2015/134701号である。
【0110】
<塩の形態>
存在する置換基によっては、小分子阻害剤は、医薬的に許容し得る塩の形態であっても
よい。本明細書で使用される用語「医薬的に許容し得る塩」は、広義の用語であり、当業
者にとって通常かつ慣用的な意味である(特別な意味又はカスタマイズされた意味に限定
されるべきではない)。また、医薬的に許容し得る、非毒性の酸又は塩基で調製される塩
を指すが、これに限定されない。適切な医薬的に許容し得る塩として、アルミニウム及び
亜鉛の塩、リチウム、ナトリウム、及びカリウムの塩等のアルカリ金属塩、カルシウム及
びマグネシウムの塩等のアルカリ土類金属塩が例示される金属塩;リジン、N,N’−ジ
ベンジルエチレンジアミン、クロロプロカイン、コリン、ジエタノールアミン、エチレン
ジアミン、メグルミン(N−メチルグルカミン)、プロカイン、及びトリスヒドロキシメ
チルアミノメタンの塩等が例示される有機塩;遊離酸及び遊離塩基の塩;硫酸塩、塩酸塩
、及び臭化水素酸塩等が例示される無機塩;並びに例えばMerck Indexのよう
な当業者に周知の情報源に記載され、現在広範な医薬用途に用いられる他の塩が挙げられ
る。いずれかの好適な成分を選択して、非毒性で、所望の活性を実質上阻害しない、本明
細書でいう治療薬の塩を製造することが可能である。
【0111】
<異性体>
好適な実施形態に係る化合物は、異性体、ラセミ体、光学異性体、エナンチオマー、ジ
アステレオマー、互変異性体、及びシス/トランス配座異性体を含み得る。これらの異性
体は全て、これらの混合物を含めて、好適な実施形態の範囲内に含まれる。前記のとおり
、好適な実施形態に係る化合物は、不斉中心を有していてもよく、例えば、これらの化合
物は不斉炭素原子を含んでもよく、従って、これらの化合物は、エナンチオマー又はジア
ステレオ異性体の形態、及びこれらの混合物、例えばラセミ体の形態として存在してもよ
い。不斉炭素原子は、(R)体又は(S)体として、もしくは(R)体及び(S)体の混
合物として存在することができる。以下に、式(I)〜(VII)の化合物の異性体を示
す。
【化30】
【化31】
【化32】
【化33】
【0112】
これらの化合物は、非晶形であってもよく、結晶形であってもよい。好適な実施形態に
係る化合物の結晶形は、好適な実施形態に含まれる多形であってもよい。さらに、好適な
実施形態に係るいくつかの化合物は、水又は他の有機溶媒とともに溶媒和物を形成してい
てもよい。そのような溶媒和物は、同様に、好適な実施形態の範囲内に含まれる。
【0113】
<特定の医薬組成物>
一般的に、好適な実施形態に係る阻害剤を、静脈内又は皮下の単位剤形で投与すること
が好ましいが、他の投与経路も考えられる。考えられる投与経路としては、経口、非経口
、静脈内、及び皮下が含まれるが、これらに限定されない。好適な実施形態に係る阻害剤
は、例えば経口投与等のための液体製剤に製剤化することができる。適切な剤形として、
懸濁剤、シロップ剤、エリキシル剤等が挙げられる。経口投与のための特に好適な単位剤
形には、錠剤及びカプセル剤が含まれる。単位剤形は、1日1回投与するように構成され
ることが特に好ましいが、特定の実施形態においては、1日2回又はそれ以上の回数で投
与するように構成されることが望ましい場合もある。
【0114】
好適な実施形態に係る医薬組成物は、受容者の血液又は他の体液と等張であることが好
ましい。組成物の等張性は、酒石酸ナトリウム、プロピレングリコール、又は他の無機も
しくは有機溶質によって得られる。塩化ナトリウムは特に好ましい。例えば、酢酸及びそ
の塩、クエン酸及びその塩、ホウ酸及びその塩、並びにリン酸及びその塩等の緩衝剤を使
用することができる。非経口用賦形剤として、塩化ナトリウム溶液、リンゲルデキストロ
ース、デキストロース及び塩化ナトリウム、乳酸リンゲル、又は不揮発性油が挙げられる
。静脈内用賦形剤として、流体及び栄養補充液、電解質補充液(例えば、リンゲルデキス
トロースに基づくもの)等が挙げられる。
【0115】
医薬組成物の粘度は、医薬的に許容しうる増粘剤を使用して、選択されたレベルに維持
することができる。メチルセルロースは、容易に入手可能かつ経済的に利用可能で、使い
易いので好ましい。他の適切な増粘剤としては、例えば、キサンタンガム、カルボキシメ
チルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボマー等が挙げられる。増粘剤の
好適な濃度は、選択された増粘剤に依る。選択された粘度を達成する量で使用することが
好ましい。粘性組成物は、通常、このような増粘剤を添加することによって溶液で調製さ
れる。
【0116】
医薬的に許容し得る保存剤は、医薬組成物の貯蔵寿命を増長させるために使用すること
ができる。ベンジルアルコールが適切であるが、例えば、パラベン、チメロサール、クロ
ロブタノール、又は塩化ベンザルコニウムを始めとする種々の保存剤を使用できる。保存
剤の適切な濃度は、一般的には、組成物の総重量に基づいて約0.02%〜約2%である
が、選択された保存剤に応じて、多い量が望ましい場合も、少ない量が望ましい場合もあ
る。先に記載したような還元剤の使用は、製剤の良好な貯蔵寿命を維持するために有利で
ある。
【0117】
好適な実施形態に係る阻害剤は、適切な担体、希釈剤、又は滅菌水、生理食塩水、グル
コース等の賦形剤と混合されてもよく、所望の投与経路及び製剤に応じて、湿潤剤又は乳
化剤、pH緩衝剤、ゲル化又は増粘剤、保存剤、香料、着色剤等の補助物質を含んでいて
もよい。例えば、「Remington:The Science and Pract
ice of Pharmacy」Lippincott Williams & Wi
lkins;第20編(2003年6月1日)、及び「Remington’s Pha
rmaceutical Sciences」Mack Pub.Co.;第18及び第
19編(それぞれ、1985年12月及び1990年6月)を参照のこと。このような製
剤としては、錯化剤、金属イオン、ポリ酢酸、ポリグリコール酸、ヒドロゲル、デキスト
ラン等の高分子化合物、リポソーム、マイクロエマルジョン、ミセル、単層又は多層ベシ
クル、赤血球ゴースト、スフェロブラストを挙げることができる。リポソーム製剤に適し
た脂質としては、モノグリセリド、ジグリセリド、スルファチド、リゾレシチン、リン脂
質、サポニン、胆汁酸等が挙げられるが、これらに限定されない。このような追加成分の
存在により、物理的状態、溶解性、安定性、インビボ放出速度、及びインビボクリアラン
ス速度は影響を受けうるので、担体の特性が選択された投与経路に合わさるように、意図
された用途に応じて選択される。
【0118】
経口投与の場合、医薬組成物は、錠剤、水性もしくは油性懸濁液、分散性粉末もしくは
顆粒剤、エマルジョン、硬カプセル剤もしくは軟カプセル剤、シロップ剤、又はエリキシ
ル剤として提供することができる。経口用組成物は、医薬組成物を製造するための当技術
分野で既知の任意の方法に従って調製することができ、甘味料、香料、着色剤、及び保存
剤のうちの1種又はそれ以上の添加剤を含んでもよい。水性懸濁剤は、活性成分を、水性
懸濁剤の製造に適した賦形剤と混合されて含んでもよい。
【0119】
経口使用のための製剤は、活性成分が炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、又はカオリ
ン等の不活性固体希釈剤と混合されている硬ゼラチンカプセル剤として提供されてもよく
、軟ゼラチンカプセル剤として提供されてもよい。軟カプセル剤では、阻害剤を、水、又
はピーナッツ油、オリーブ油、脂肪油、流動パラフィンもしくは液体ポリエチレングリコ
ール等の油媒体のような適切な液体に溶解又は懸濁させることができる。経口投与用の安
定剤及びミクロスフェアを使用することもできる。カプセル剤として、ゼラチンで作られ
るプッシュフィットカプセル剤、及びゼラチンとグリセロール又はソルビトール等の可塑
剤とで作られる軟密閉カプセル剤を挙げることができる。プッシュフィットカプセル剤は
、活性成分を、ラクトース等の充填剤、デンプン等の結合剤、及び/又はタルクもしくは
ステアリン酸マグネシウム等の潤滑剤、並びに、場合によっては安定剤と混合して含んで
いてもよい。
【0120】
錠剤は、素錠であってもよく、又は、消化管での崩壊及び吸収を遅らせることによって
、長期間にわたって持続作用が提供されるように、既知の方法でコーティングされていて
もよい。例えば、モノステアリン酸グリセリン等の時間遅延材料を使用することができる
。錠剤等の固形の薬剤を投与する場合、固形の薬剤は、一般的に、約0.001重量%以
下から約50重量%以上の活性成分を含み、好ましくは、約0.005重量%、0.01
重量%、0.02重量%、0.03重量%、0.04重量%、0.05重量%、0.06
重量%、0.07重量%、0.08重量%、0.09重量%、0.1重量%、0.2重量
%、0.3重量%、0.4重量%、0.5重量%、0.6重量%、0.7重量%、0.8
重量%、0.9重量%、又は1重量%から、約2重量%、3重量%、4重量%、5重量%
、6重量%、7重量%、8重量%、9重量%、10重量%、15重量%、20重量%、2
5重量%、30重量%、35重量%、40重量%、又は45重量%までの活性成分を含む
。
【0121】
錠剤は、活性成分を、不活性物質を始めとする非毒性の医薬的に許容し得る賦形剤と混
合されて含んでいてもよい。例えば、錠剤は、場合によっては1つ又はそれ以上の追加成
分とともに、圧縮又は成形によって製造することができる。圧縮錠剤は、粉末又は顆粒等
の自由流動形態の活性成分を、場合によっては、結合剤、潤滑剤、不活性希釈剤、界面活
性剤、又は分散剤と混合して、適当な機械で圧縮することによって製造することができる
。成形錠剤は、不活性液体希釈剤で濡れた粉状阻害剤の混合物を、適切な機械で成形する
ことによって製造することができる。
【0122】
好適には、各錠剤又はカプセル剤は、約1mg以下から約1000mg以上の好適な実
施形態に係る阻害剤を含み、より好適には、約10mg、20mg、30mg、40mg
、50mg、60mg、70mg、80mg、90mg、又は100mgから、約150
mg、200mg、250mg、300mg、350mg、400mg、450mg、5
00mg、550mg、600mg、650mg、700mg、750mg、800mg
、又は900mgまでの好適な実施形態に係る阻害剤を含む。最も好適には、錠剤又はカ
プセル剤は、分割投与を可能にするための用量範囲で提供される。患者に適した投与量及
び1日当たりの投与回数をこのように都合よく選択することができる。特定の実施形態で
は、2つ又はそれ以上の治療薬を併用して単一の錠剤又は他の剤形で投与する(例えば、
併用療法において)ことが好ましいが、他の実施形態においては、別個の剤形で治療薬を
提供することが好ましい。
【0123】
適切な不活性物質として、炭水化物、マンニトール、ラクトース、無水ラクトース、セ
ルロース、スクロース、修飾デキストラン、及びデンプン等の希釈剤、又は三リン酸カル
シウム、リン酸カルシウム、リン酸ナトリウム、炭酸カルシウム、炭酸ナトリウム、炭酸
マグネシウム、及び塩化ナトリウム等の無機塩類が挙げられる。製剤には崩壊剤又は造粒
剤が含まれていてもよく、崩壊剤又は造粒剤としては、例えば、コーンスターチ等のデン
プン、アルギン酸、デンプングリコール酸ナトリウム、アンバーライト、カルボキシメチ
ルセルロースナトリウム、ウルトラミロペクチン、アルギン酸ナトリウム、ゼラチン、オ
レンジピール、カルボキシメチルセルロース酸、天然スポンジ及びベントナイト、不溶性
陽イオン交換樹脂、寒天、カラヤゴム又はトラガカントゴム等の粉末樹脂、又はアルギン
酸又はその塩等が挙げられる。
【0124】
硬い錠剤を形成するために、結合剤を使用することができる。結合剤としては、アカシ
ア、トラガカント、デンプン及びゼラチン等の天然物由来の材料、メチルセルロース、エ
チルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ポリビニルピロリドン、ヒドロキシプロ
ピルメチルセルロース等が挙げられる。
【0125】
錠剤製剤は、例えば、ステアリン酸もしくはそのマグネシウム塩又はカルシウム塩、ポ
リテトラフルオロエチレン、流動パラフィン、植物油及びワックス、ラウリル硫酸ナトリ
ウム、ラウリル硫酸マグネシウム、ポリエチレングリコール、デンプン、タルク、焼成シ
リカ、シリコアルミネート水和物等の潤滑剤を含むことができる。
【0126】
また、界面活性剤も使用することができ、界面活性剤としては、例えば、ラウリル硫酸
ナトリウム、ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム、及びジオクチルスルホン酸ナトリウ
ム等の陰イオン界面活性剤、塩化ベンザルコニウムもしくは塩化ベンゼトニウム等の陽イ
オン界面活性剤、又はポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、モノステアリン酸グリセロール
、ポリソルベート、ショ糖脂肪酸エステル、メチルセルロース、又はカルボキシメチルセ
ルロース等の非イオン界面活性剤が挙げられる。
【0127】
拡散機構又は浸出機構のいずれかにより放出を可能にする不活性マトリクスにアミホス
チン又はその類似物が組み込まれている放出制御製剤を使用することができる。また、徐
々に変性するマトリクスを製剤に組み込むこともできる。他の送達システムとして、徐放
、遅延放出、又は持続放出送達システムが挙げられる。
【0128】
コーティング剤を使用することができ、例えば、メチルセルロース、エチルセルロース
、ヒドロキシエチルセルロース、メチルヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピ
ルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナト
リウム、プロビドン、及びポリエチレングリコール類等の非腸溶性材料、又はフタル酸エ
ステル等の腸溶性材料が挙げられる。識別のため又は阻害剤の用量の異なる組み合わせを
特徴づけるために、染料又は顔料を添加することができる。
【0129】
液体形態で経口投与する場合、水、石油、ピーナッツ油、鉱油、大豆油、ゴマ油等の動
物性油もしくは植物性油、又は合成油等の液体担体を、活性成分に添加することができる
。また、生理食塩水溶液、デキストロースもしくは他の糖溶液、又はエチレングリコール
、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール等のグリコール類も、適切な液体担体
である。医薬組成物は、水中油型エマルジョンの形態であってもよい。油相は、オリーブ
油もしくはラッカセイ油等の植物油、流動パラフィン等の鉱油、又はこれらの混合物であ
ってもよい。適切な乳化剤としては、アカシア樹脂及びトラガカントゴム等の天然ゴム、
大豆レシチン等の天然リン脂質、モノオレイン酸ソルビタン等の、脂肪酸及び無水ヘキシ
トールに由来するエステル又は部分エステル、及びモノオレイン酸ポリオキシエチレンソ
ルビタン等の、これらの部分エステルとエチレンオキシドとの縮合生成物が挙げられる。
エマルジョンは、甘味料及び香料を含んでいてもよい。
【0130】
また、肺送達を使用することもできる。化合物は、吸入の間に肺に送達され、肺上皮層
を透過して血流に達する。治療薬の肺送達のために設計された種々の機器を使用すること
ができ、該機器としては、当業者に周知の噴霧器、定量吸入器、及び粉末吸入器が挙げら
れるが、これらに限定されない。これらの機器には、化合物の投薬に適した製剤を使用す
る。一般的に、各製剤は、使用する機器の種類に応じて特定され、治療に有効な希釈剤、
補助剤、及び/又は担体に加え、適切な噴射剤材料を使用することができる。
【0131】
化合物及び/又は他の任意の活性成分は、有利には、0.1μm以下から10μm以上
、より好適には約0.2μm、0.3μm、0.4μm、0.5μm、0.6μm、0.
7μm、0.8μm、又は0.9μmから、約1.0μm、1.5μm、2.0μm、2
.5μm、3.0μm、3.5μm、4.0μm、4.5μm、5.0μm、5.5μm
、6.0μm、6.5μm、7.0μm、7.5μm、8.0μm、8.5μm、9.0
μm、又は9.5μmまでの平均粒径を有する粒子の形態で、肺送達のために調製される
。阻害剤の肺送達のための医薬的に許容し得る担体として、トレハロース、マンニトール
、キシリトール、スクロース、ラクトース、及びソルビトール等の炭水化物が挙げられる
。製剤に使用する他の成分として、DPPC、DOPE、DSPC、及びDOPCを挙げ
ることができる。ポリエチレングリコールと、シクロデキストラン等のデキストランを始
めとする天然又は合成の界面活性剤を使用することができる。また、セルロース及びセル
ロース誘導体と同様に、胆汁酸塩類及び他の関連する増強剤類、並びにアミノ酸類も使用
することができる。リポソーム、マイクロカプセル、ミクロスフェア、包接錯体、及び他
の種類の担体を使用することもできる。
【0132】
ジェット式又は超音波式のいずれかの噴霧器での使用に適している医薬製剤は、一般的
に、水に溶解又は懸濁される阻害剤を、約0.01mg/mL以下から約100mg/m
L以上の溶液における阻害剤の濃度で、好適には約0.1mg/mL、1mg/mL、2
mg/mL、3mg/mL、4mg/mL、5mg/mL、6mg/mL、7mg/mL
、8mg/mL、9mg/mL、又は10mg/mLから、約15mg/mL、20mg
/mL、25mg/mL、30mg/mL、35mg/mL、40mg/mL、45mg
/mL、50mg/mL、55mg/mL、60mg/mL、65mg/mL、70mg
/mL、75mg/mL、80mg/mL、85mg/mL、又は90mg/mLまでの
溶液における阻害剤の濃度で含む。また、製剤は、緩衝液及び単糖を含んでいてもよい(
例えば、タンパク質安定化及び浸透圧の調節のために)。噴霧器製剤には、エアロゾルを
形成する際、溶液の噴霧化による阻害剤の表面誘起凝集を減少又は防止するために、界面
活性剤が含まれていてもよい。
【0133】
定量吸入装置とともに使用するための製剤は、一般的に、界面活性剤の助けを借りて噴
射剤に懸濁される活性成分を含有する微粉を含む。噴射剤として、クロロフルオロカーボ
ン、ヒドロクロロフルオロカーボン、ヒドロフルオロカーボン、及び炭化水素等のような
従来の噴射剤を挙げることができる。好ましい噴射剤としては、トリクロロフルオロメタ
ン、ジクロロジフルオロメタン、ジクロロテトラフルオロエタノール、1,1,1,2−
テトラフルオロエタン、及びこれらの組み合わせが挙げられる。適切な界面活性剤として
は、ソルビタントリオレート、大豆レシチン、及びオレイン酸が挙げられる。
【0134】
粉末吸入装置から投薬するための製剤は、一般的に、阻害剤と、場合によってはラクト
ース、ソルビトール、スクロース、マンニトール、トレハロース、又はキシリトール等の
充填剤とを含む乾燥微粉砕粉末を含み、該乾燥微粉砕粉末は、装置からの粉末の分散を促
進する量、一般的には、製剤の約1重量%以下から約99重量%以上、好適には製剤の約
5重量%、10重量%、15重量%、20重量%、25重量%、30重量%、35重量%
、40重量%、45重量%、又は50重量%から、55重量%、60重量%、65重量%
、70重量%、75重量%、80重量%、85重量%、又は90重量%までの量で含まれ
る。
【0135】
好適な実施形態に係る化合物が、静脈内、非経口、又は他の注射経路により投与される
場合、発熱物質を含まない、非経口的に許容され得る水溶液又は油性懸濁液の形態である
ことが好ましい。懸濁液は、当技術分野で周知の方法に従って、適切な分散剤又は湿潤剤
及び懸濁剤を用いて調製することができる。適切なpH、等張性、安定性等を有し、許容
され得る水溶液の調製方法は、当業者に周知の範囲内にある。好適な注射用医薬組成物は
、1,3−ブタンジオール、水、等張塩化ナトリウム溶液、リンゲル溶液、デキストロー
ス溶液、デキストロース及び塩化ナトリウム溶液、乳酸リンゲル溶液等の等張賦形剤、又
は当技術分野で周知の他の賦形剤を含むことが好ましい。さらに、滅菌不揮発性油を、溶
媒又は懸濁媒体として従来通り使用することができる。この目的のために、合成のモノグ
リセリド又はジグリセリドを始めとする任意の無菌性不揮発性油を使用することができる
。さらに、オレイン酸等の脂肪酸を、注射用製剤の調製において上記のように使用するこ
とができる。医薬組成物は、安定剤、保存剤、緩衝液、抗酸化剤、又は当業者に周知の他
の添加剤を含んでいてもよい。
【0136】
注射の持続時間は、種々の要因に応じて調整することができ、数秒以下で投与される単
回注射時間から0.5時間、0.1時間、0.25時間、0.5時間、0.75時間、1
時間、2時間、3時間、4時間、5時間、6時間、7時間、8時間、9時間、10時間、
11時間、12時間、13時間、14時間、15時間、16時間、17時間、18時間、
19時間、20時間、21時間、22時間、23時間、又は24時間以上の持続静脈内投
与時間までを含むことができる。
【0137】
好適な実施形態に係る化合物では、医薬組成物によく見られる従来の補助成分を、それ
らの技術分野で慣用の方法、及び慣用のレベルで、追加的に、使用することができる。従
って、例えば、組成物は、併用療法用の、追加の相溶性のある薬学的活性物質(例えば、
補助的抗菌剤、止痒剤、収斂剤、局所麻酔剤、抗炎症剤、還元剤、化学療法剤等)を含ん
でいてもよく、又は好適な実施形態に係る種々の剤形を物理的に調製するのに有用な材料
、例えば、賦形剤、染料、増粘剤、安定剤、保存剤又は抗酸化剤等を含んでいてもよい。
好適な実施形態に係る化合物と併用可能である抗癌剤として、ビンブラスチン及びビンク
リスチン等のビンカアルカロイド;ドキソルビシン、ダウノルビシン、エピルビシン等の
アントラサイクリン;ビスアントレン及びミトキサントロン等のアントラセン;エトポシ
ド及びテニポシド等のエピポドフィロトキシン;アクチノマイシンD、マイトマイシンC
、ミトラマイシン、メトトレキサート、ドセタキセル、エトポシド(VP−16)、パク
リタキセル、ドセタキセル、及びアドリアマイシン等のその他の抗癌剤;並びに免疫抑制
剤(例えば、シクロスポリンA、タクロリムス)が挙げられるが、これらに限定されない
。いくつかの実施形態において、本明細書で提供される化合物、組成物、及び方法は、ヒ
ストンデアセチラーゼ阻害剤(HDAC)、オーロラキナーゼ阻害剤、脱メチル化剤(例
えば、5−AZAシチジン)、ナチュラルキラー細胞による免疫療法、IGF−IR抗体
、ユーイング抗原抗体、免疫抑制薬、及びヒドロキシウレアと併用されてもよい。ヒスト
ンデアセチラーゼ阻害剤の例として、ボリノスタット、ロミデプシン、パノビノスタット
、バルプロ酸、ベリノスタット、モセチノスタット、ギビノスタット、及びトリコスタチ
ンAが挙げられる。オーロラキナーゼ阻害剤の例として、ZM447439、ヘスペラジ
ン、及びVX−680が挙げられる。脱メチル化剤の例として、5−アザシチジン、5−
アザデオキシシチジン、及びプロカインが挙げられる。免疫抑制薬の例として、6−メル
カプトプリン、及びアザチオプリンが挙げられる。
【0138】
<特定のキット>
好適な実施形態に係る化合物は、キットの形として、医師又は他の医療専門家による投
与に提供することができる。キットは、適切な医薬組成物における化合物を含む収納容器
と、対象に医薬組成物を投与するための使用説明とを収容するパッケージである。また、
キットは、場合によっては、例えば、本明細書に記載される肉腫の治療に現在使用されて
いる化学療法薬等の1つ又はそれ以上の付加的治療薬を含んでもよい。例えば、1つ又は
それ以上の付加的化学療法薬と組み合わせて、好適な実施形態に係る化合物が含まれる1
つ又はそれ以上の組成物を含有するキットを提供することができ、又は、好適な実施形態
に係る阻害剤が含まれる別の医薬組成物と付加的治療薬とを分割して提供することもでき
る。また、キットは、順次又は連続投与のために、個別投与量の好ましい実施形態に係る
化合物を含んでもよい。キットは、場合によっては、1つ又はそれ以上の診断ツール及び
使用説明を含んでもよい。キットは、例えば注射器などの適切な送達デバイスを、阻害剤
及び他の任意の治療薬を投与するための使用説明とともに含んでもよい。キットは、場合
によっては、それに含まれる一部又は全ての治療薬の保管、再構成(必要な場合)、及び
投与のための使用説明を含んでもよい。キットは、対象への投与回数に相応する複数の容
器を含んでもよい。
【0139】
<使用方法>
本明細書で提供されるいくつかの実施形態は、ユーイング肉腫ファミリー腫瘍(ESF
T)を治療する方法に関する。ESFTは、特有の融合タンパク質であるEWS−FLI
1を含む。ESFTは、3歳〜40歳の患者に影響を与え、ほとんどの場合20代の患者
に発生する。ESFTの由来となる発生学的細胞型は不明であるが、腫瘍は骨に近接して
成長する場合が多く、しかし軟組織塊として発生する可能性もある。転位性ESFTを呈
する患者の75%〜80%は、高用量の化学療法にもかかわらず、5年以内に死亡するこ
とになる一方、局所腫瘍を呈する患者のうち40%を超える患者は、再発性疾患を発症し
、これらの患者の大部分は、ESFTで死亡することになる(Grier HE,Kra
ilo MD,Tarbell NJら、Addition of ifosfamid
e and etoposide to standard chemotherapy
for Ewing’s sarcoma and primitive neuro
ectodermal tumor of bone.N Engl J Med200
3;348(8):694−701)。これらの患者の生存率は、高用量化学治療(do
se−intensifying chemotherapy)後でも、過去20年間改
善していない。生存率を改善し、治療関連死亡率を減少させるために、好適な実施形態で
提供されるような、ESFT患者を治療するための新規標的戦略を使用することができる
。
【0140】
ESFTは、95%の腫瘍において、22番染色体に存在するEWS遺伝子(ユーイン
グ肉腫)の中央エクソンとetsファミリー遺伝子の中央エクソンとの間、すなわち、1
1番染色体に存在するFLI1(フレンド白血病統合体)又はt(11;22)、もしく
は、21番染色体に存在するERG又はt(21;22)のいずれかで発生する転座を特
徴とする。EWS−FLI1融合転写物は、2つのプライマリドメインを有する55kD
aタンパク質(約68kDの電気泳動移動度)をコードする。EWSドメインは、強力な
転写活性化因子であり、一方、FLI1ドメインは、高度に保存されたetsDNA結合
ドメインを含有する(May WA,Lessnick SL,Braun BSら,T
he Ewing’s sarcoma EWS/FLI−1 fusion gene
encodes a more potent transcriptional a
ctivator and is a more powerful transfor
ming gene than FLI−1.Mol Cell Biol 1993;
13(12):7393−8)。得られたEWS−FLI1融合タンパク質は、異常な転
写因子として作用する。マウス線維芽細胞のEWS−FLI1形質転換には、EWS及び
FLI1双方の機能ドメインが無傷であることが必要である(May WA,Gishi
zky ML,Lessnick SLら.Ewing sarcoma11;22tr
anslocation produces a chimeric transcri
ption factor that requires the DNA−bindi
ng domain encoded by FLI1 for transforma
tion.Proc Natl Acad Sci USA1993;90(12):5
752−6)。
【0141】
EWS−FLI1は、腫瘍細胞のみで発現され、ESFT細胞株の増殖を維持するため
に必要とされる点において、優れた治療標的である。アンチセンスオリゴデオキシヌクレ
オチド(ODN)(Toretsky JA,Connell Y,Neckers L
,Bhat NK.Inhibition of EWS−FLI−1 fusion
protein with antisense oligodeoxynucleot
ides.J Neurooncol 1997;31(1−2):9−16;Tana
ka K,Iwakuma T,Harimaya K,Sato H,Iwamoto
Y.EWS−Fli1 antisense oligodeoxynucleoti
de inhibits proliferation of human Ewing
’s sarcoma and primitive neuroectodermal
tumor cells.J Clin Invest1997;99(2):239
−47)、又は低分子干渉RNAs(siRNA)(Ouchida M,Ohno T
,Fujimura Y,Rao VN,Reddy ES.Loss of tumo
rigenicity of Ewing’s sarcoma cells expr
essing antisense RNA to EWS−fusion trans
cripts.Oncogene 1995;11(6):1049−54;Maksi
menko A,Malvy C,Lambert Gら,Oligonucleoti
des targeted against a junction oncogene
are made efficient by nanotechnologies.
Pharm Res 2003;20(10):1565−7;Kovar H,Ary
ee DN,Jug Gら,EWS/FLI−1 antagonists induc
e growth inhibition of Ewing tumor cells
in vitro.Cell Growth Differ1996;7(4):42
9−37)の使用によって、EWS−FLI1の発現量が減少し、それによりヌードマウ
スにおいてESFT細胞株の増殖減少及び腫瘍の退縮が誘発される。ナノテクノロジーの
近年の進歩により、siRNAの送達及び制御放出は改善されたが、ヒトにおいてEWS
−FLI1を減少させることは、アンチセンスODNを用いてもsiRNAを用いても、
現在の技術では不可能である(Maksimenko A,Malvy C,Lambe
rt Gら,Oligonucleotides targeted against
a junction oncogene are made efficient b
y nanotechnologies.Pharm Res 2003;20(10)
:1565−7;Lambert G,Bertrand JR,Fattal Eら,
EWS FLI−1 antisense nanocapsules inhibit
s Ewing sarcoma−related tumor in mice.Bi
ochem Biophys Res Commun2000;279(2):401−
6)。EWS−FLI1標的化への興味深いアプローチの1つでは、Ara−Cによる現
在の臨床試験につながる、EWS−FLI1を減少させるsiRNAと小分子ライブラリ
との間の比較発現を使用した(Stegmaier K,Wong JS,Ross K
Nら,Signature−based small molecule screen
ing identifies cytosine arabinoside as a
n EWS/FLI modulator in Ewing sarcoma.PLo
S medicine2007;4(4):e122)。Ara−Cを同定するこの方法
では、ドキソルビシン及びピューロマイシンがEWS−FLI1レベルを減少させること
も示された。ドキソルビシンは、現在、ESFT患者の標準的治療として使用されている
が、生存率は許容範囲とはかけ離れている(Grier HE,Krailo MD,T
arbell NJら,Addition of ifosfamide and et
oposide to standard chemotherapy for Ewi
ng’s sarcoma and primitive neuroectoderm
al tumor of bone.N Engl J Med2003;348(8)
:694−701)。ESFT患者におけるAra−Cの使用は、現在、第II相試験で
評価されている。これは必要な臨床突破口を示すと期待されている一方、EWS−FLI
1の小分子標的化の重要性を確実に示している。好適な実施形態は、重要なタンパク質パ
ートナーからEWS−FLI1を破壊する小分子タンパク質間相互作用阻害剤(SMPP
II)を提供することによって、EWS−FLI1の腫瘍特異性及びより正確な標的化を
達成する。
【0142】
EWS−FLI1は、腫瘍細胞のみで発現するので、重要な治療標的であるが、この腫
瘍特異性癌遺伝子を標的とする能力は、これまでは充分に発揮されていない。小分子の発
展に向けた課題の1つは、EWS−FLI1が、任意の既知の酵素ドメインを欠いている
ことであり、酵素ドメインは標的治療に重要であると考えられる。さらに、EWS−FL
I1は変性タンパク質であり、このことは、構造に基づく医薬品設計に使用できる強固な
構造を提示しないことを示す(Uren A,Tcherkasskaya O,Tor
etsky JA.Recombinant EWS−FLI1 oncoprotei
n activates transcription.Biochemistry20
04;43(42):13579−89)。実際には、EWS−FLI1の変性特質は、
その転写調節にとって重要である(Ng KP,Potikyan G,Savene
RO,Denny CT,Uversky VN,Lee KA.Multiple a
romatic side chains within a disordered
structure are critical for transcription
and transforming activity of EWS family
oncoproteins.Proc Natl Acad Sci USA2007
;104(2):479−84)。変性タンパク質は、特に、それらの生化学的変性特性
のため、小分子タンパク質間相互作用阻害剤のより魅力的な標的と考えられる(Chen
g Y,LeGall T,Oldfield CJら,Rational drug
design via intrinsically disordered prot
ein.Trends Biotechnol 2006;24(10):435−42
)。
【0143】
EWS−FLI1は、インビトロ及びインビボでRNAヘリカーゼAを結合する。EW
S−FLI1のタンパク質間相互作用は、その発癌性に寄与する可能性があるかもしれな
いと考えられるので、新規タンパク質は、EWS−FLI1と直接に相互作用し、これを
機能的に調節すると考えられる。転写活性のある組み換えEWS−FLI1(Uren
A,Tcherkasskaya O,Toretsky JA.Recombinan
t EWS−FLI1 oncoprotein activates transcr
iption.Biochemistry2004;43(42):13579−89)
は、市販のペプチドファージディスプレイライブラリをスクリーニングするための標的と
して使用された。EWS−FLI1と特異的に結合している28個の新規ペプチドは、フ
ァージシークエンシングから同定した。国立生物工学情報センターのデータベースにより
、これらのペプチドと相同のヒトタンパク質を検索するため、ヒトRNAヘリカーゼAの
aa823−832と相同のペプチドを同定した(RHA、遺伝子バンク登録番号A47
363)(Toretsky JA,Erkizan V,Levenson Aら,O
ncoprotein EWS−FLI1 activity is enhanced
by RNA helicase A.Cancer Res 2006;66(11
):5574−81)。
【0144】
EWS−FLI1がESFT細胞に非常に特異的である一方、EWS及びRHAは、遍
在的に発現される。EWS−FLI1は腫瘍においてのみ発現されるとともに、RHAと
の相互作用点が特有であるので、EWS−FLI1とRHAとの間の領域は、特異性のあ
る分子治療薬の標的とされる。治療薬、すなわち、小分子タンパク質間相互作用阻害剤は
、EWS−FLI1機能を阻害するように本明細書中で提供される。
【0145】
ESFTを始めとするほとんどの転座融合タンパク質肉腫は、予後不良の前兆となる。
特有で重要な融合タンパク質EWS−FLI1につながる染色体転座t(11;22)は
、完全な癌標的である。他の多くの肉腫は、同様の転座変異体を共有する(Helman
LJの表2,Meltzer P.Mechanisms of sarcoma d
evelopment.Nat Rev Cancer2003;3(9):685−9
4の表2)。
【0146】
EWS−FLI1転座は、膵臓の充実性偽乳頭腫瘍で報告されている(Maitra
A.ら,Detection of t(11;22)(q24;q12)transl
ocation and EWS−FLI−1 fusion transcript
in a case of solid pseudopapillary tumor
of the pancreas.Pediatr Dev Pathol2000;
3:603−605)が、全ての充実性偽乳頭腫瘍におけるEWS−FLI1の役割は、
まだ解明されていない(Katharina Tiemannら,Solid pseu
dopapillary neoplasms of the pancreas ar
e associated with FLI−1 expression,but n
ot with EWS/FLI−1 translocation)。
【0147】
EWS又はFLI1の相同体は、広範囲の肉腫及び白血病で発生する転座のパートナー
である。EWS、又は相同体TLSもしくはFUSは、明細胞肉腫、粘液性脂肪肉腫、線
維形成性小円形細胞腫瘍、軟骨肉腫、及び急性骨髄性白血病の染色体転座に関与する。F
LI1は、遺伝子のetsファミリーに属する。FLI1相同体ERGは、約10%のユ
ーイング肉腫及び20%の急性骨髄性白血病で転座する。これは、EWS−FLI1は、
多数の患者に影響する疾患群(転座パートナーによって関連付けられる)に影響を与える
可能性のあるモデルシステムとして役立つことを示唆する(Uren A.,Tcher
kasskaya O.and Toretsky J.A.Recombinant
EWS−FLI1 oncoprotein activates transcrip
tion.Biochemistry43(42)13579−89(2004))。
【0148】
また、ERGは、TMPRSS2:ERG融合が疾患進行のリスクを定義できるかもし
れない特異的な分子サブタイプを示唆する、前立腺がんにおいても、転座する(F.De
michelisら,TMPRSS2:ERG gene fusion associ
ated with lethal cancer in a watchful wa
iting cohort.Oncogene(2007)26,4596−4599)
。EWS又はFLI1ファミリーメンバーの転座が認められる他の疾患として、前立腺癌
、神経膠芽腫、急性骨髄性白血病、乳癌、頭部及び頸部癌、黒色腫、非小細胞肺癌、卵巣
癌、及び子宮癌が挙げられる(Janknecht,Ralf;Shin,Sook,a
nd Oh,Sangphil,ETV1,4 and 5:An Oncogenic
Subfamily of ETS Transcription Factors.
Biochim.Biophys.Acta1826(1),1−12(2012))。
【0149】
従って、好適な実施形態に係る治療薬は、他の多くの腫瘍に適用する可能性がある。さ
らに広くは、最も困難な白血病のいくつかも、混合系統白血病遺伝子(MLL,11q2
3)に関与する転座発生融合タンパク質を有し、本発明者らの研究は、非常に治療抵抗性
のある癌グループのためのパラダイムとして役立つ(Pui CH,Chessells
JM,Camitta Bら,Clinical heterogeneity in
childhood acute lymphoblastic leukemia
with 11q23 rearrangements.Leukemia2003;1
7(4):700−6.)。このように、本発明に係る実施形態は、転座が発生した癌を
含む。表1に、転座融合遺伝子を示す。
【0151】
多数の疾患が、ETS遺伝子の過剰発現又はETS遺伝子融合、すなわち、ETS遺伝
子を含む遺伝子転座を含む。このようなETS遺伝子の例として、FLI1、ERG、E
TV1、及びETV4が挙げられる。融合遺伝子の例として、EWS−FLI、TMPR
SS2−ERGが挙げられる。表2に、1つ又はそれ以上のETS遺伝子ファミリーメン
バーの過剰発現及び/又は再編成が見られる数種の癌を示す。
【0153】
<適応>
本明細書で提供される特定の化合物、組成物、及び方法は、数多くの疾患を治療するた
めに使用することができ、疾患として、例えば、表1に挙げた、ユーイング肉腫、前立腺
癌、神経膠芽腫、急性骨髄性白血病、乳癌、頭部及び頸部癌、黒色腫、非小細胞肺癌、卵
巣癌、並びに子宮癌のような、転座遺伝子融合を含む腫瘍又は腫瘍細胞が挙げられる。本
明細書で提供される方法のいくつかの実施形態には、細胞の増殖を阻害する方法がある。
いくつかの実施形態では、細胞はETS遺伝子を過剰発現する。いくつかの実施形態では
、過剰発現したETS遺伝子として、FLI1、ERG、ETV1、又はETV4が挙げ
られる。いくつかの実施形態では、細胞はETS融合遺伝子を含む。いくつかの実施形態
では、該ETS融合遺伝子として、FLI1、ERG、ETV1、及びETV4等のET
S遺伝子が挙げられる。
【0154】
転写因子のETSファミリーは、発生、分化、増殖に重大で、アポトーシス及び細胞修
復において重要な役割を担う。過剰発現によるETSタンパク質調節解除の転写結果、遺
伝子融合、及びRAS/MAPK及びPI3K信号伝達による調整は、正常な細胞機能で
は、変更に繋がり、増殖、血管形成の持続、浸潤、及び転移を増加させることになる。過
剰発現したETSタンパク質及びETSファミリー融合タンパク質は、急性骨髄性白血病
(AML)及びびまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)で報告されている。DL
BCLでは、11q24.3領域が、再発病変及び疾患の病因へ影響している者として同
定され、これにより、ETSファミリーメンバー、ETS1及びFLIの調節解除へと繋
がる。また、AMLにおけるETSファミリーメンバーであるERGの過剰発現及び転座
は、複雑又は正常核型において予後不良と関連することが示されている。
【0155】
式(I)〜(VII)の化合物は、ETS−ファミリー転写因子腫瘍性タンパク質の生
物活性を阻害するEWS−FLI1と直接結合するかもしれず、ユーイング肉腫を患う患
者の治療に使用され得る。EWS1−FLI1は、ユーイング肉腫(ES)のドライバー
であることが示された融合タンパク質である。式(I)〜(VII)の化合物は、EWS
−FLI1とRNAヘリカーゼAとの間の結合をブロックし、EWS−FLI1応答性プ
ロモーターで形質移入されるCOS7細胞において転写的減少を示し(EC
50<100
nM)、ナノモル濃度でA4573細胞(ユーイング肉腫細胞株を発現するEWS−FL
I1)の増殖を阻害するかもしれない(EC
50<200nM)。
【0156】
また、式(I)〜(VII)の化合物は、抗増殖効果を有し、細胞周期停止を引起し、
調節解除されたETSファミリーメンバーを持つAML及びDLBCL細胞株において、
アポトーシスを誘発するかもしれない。FLI1及び/又はERG ETSファミリーメ
ンバーの発現上昇は、骨髄性細胞株(例えば、HL60、Kasumi−1、ML−2、
MOLM−13、及びMOLM−16)において観察され得る。式(I)〜(VII)の
化合物を使用する治療により、48時間で、細胞生育力及び細胞の誘発された用量依存的
アポトーシスにおいて減少が示されるかもしれない。DLBLC細胞株(例えば、TMD
8、HBL1、U2932、DOHH2、WSUDLCL2、及びOCI−Ly18)に
おいて、式(I)〜(VII)の化合物を使用する治療により、細胞増殖は減少し、アポ
トーシスは増加する結果となるかもしれない。DLBCLの異種移植モデルにおけるイン
ビボ効能の研究では、抗腫瘍活性が示され、疾患の病因に影響を及ぼす、転写因子のET
S−ファミリー中の異常発現及び転座を標的化することによるAML及びDLBCLの治
療において、式(I)〜(VII)の化合物の有用性及び効能が確認されるかもしれない
。
【0157】
<例示>
式(I)〜(VII)の化合物のような構造を有する数多くの類似体を調製した。化合
物は、NMR、質量分析法、及びUPLC及びLCMSによるクロマトグラフ精製法を使
用して同定した。構造はNMR分析に応じた。表3に、これらの類似体の構造、質量分析
による質量「[M+H]
+」、UPLC(重量%)によるクロマトグラフ純度、及びLC
MS(重量%)によるクロマトグラフ純度を示す。
【0158】
【表3】
【表4】
【表5】
【表6】
【表7】
【表8】
【表9】
【表10】
【実施例】
【0159】
<細胞増殖の検討>
CCK−8キット(Sigma−Aldrich;St Louis,MO)を用いた
修飾テトラゾリウム塩分析・評価により、ヒト腫瘍細胞増殖の阻害を測定した。腫瘍細胞
(5000〜7500/ウェル)を96ウェルプレートに播種し、4〜5時間にわたって
接着させた。化合物を段階的に希釈し、0.02〜5μMの濃度で3種添加した。DMS
Oをビヒクルコントロールとして含ませた。化合物の存在下、細胞を3日間インキュベー
トした。インキュベーション後、各ウェルにCCK−8試薬を添加し、2〜4時間インキ
ュベートした。分光光度測定により波長450nmで生細胞を定量した。各サンプルの生
存率(%)をA450値から以下のように算出した。
生存率(%)=(サンプルのA450値/DMSO処置細胞のA450値×100)
細胞生存率を50%阻害した濃度をIC
50と定義した。特定化合物のIC
50活性を、
SKES(2型、7/5)細胞(ユーイング肉腫細胞株)、TC71(1型、7/6)細
胞(ユーイング肉腫細胞株)、及びA4573(3型、10/6)細胞(ユーイング肉腫
細胞株)を用いて測定した。小分子YK−4−279(4,7−ジクロロ−3−ヒドロキ
シ−3−(2−(4−メトキシフェニル)−2−オキソエチル)インドリン−2−one
)は、ユーイング肉腫細胞における増殖阻止及びアポトーシスで、EWS1−FLI1融
合タンパク質のRHAへの結合を阻害し、インビトロ抗リンパ腫活性を阻害する。TK−
216は、第I相において再発又は難治性ユーイング肉腫を患う患者に関し、YK−4−
279臨床誘導体である。前臨床試験が、リンパ腫モデルにおいてTK−216について
行われている。類似体に関する試験結果は、TK−216及びYK−4−279の試験結
果と比較した。表4に結果を纏める。
【0160】
【表11】
【0161】
本開示を、図面及び前述の記載で詳しく例証及び説明してきたが、このような例証及び
説明は、実例又は例示にすぎず、限定的に解釈すべきではない。本開示は、開示された実
施形態に限定されるものではない。特許請求された開示を実施する際に、開示された実施
形態の変形は、図面、本開示、及び添付された特許請求の範囲への検討から、当業者によ
って理解及び達成され得る。
【0162】
本明細書で引用した全ての参考文献は、その全体が参照により本明細書に組み込まれて
いる。参考として組み込まれている刊行物及び特許又は特許出願が本明細書に含まれる開
示と矛盾する場合、本明細書は、任意のこのような矛盾する素材にとって代わり及び/又
は優先することを意図している。
【0163】
別段の定めがない限り、すべての用語(技術用語及び科学用語を含む)は、当業者にと
って通常かつ慣用の意味であり、本明細書で明白に定義しない限り、特別な又はカスタマ
イズされた意味に限定されるものではない。本開示の特定の特徴又は様態を説明する場合
に特定の専門用語の使用は、専門用語が関連する本開示の特徴又は様態の任意の特定の特
性を含むように制限されるために、本明細書中でその専門用語が再定義される意味に解釈
されるべきではないことを注意すべきである。
【0164】
数値範囲が記載される場合、上限及び下限、並びにその範囲における上限と下限との間
の各介在値は、実施形態の範囲内に包含されると理解されるべきである。
【0165】
本願に使用される用語及び表現、並びにそれらの変形は、特に添付の特許請求の範囲に
おいて、特に明記しない限り、限定に対立する無制限(オープンエンド)として解釈され
るべきである。先に記載の例示として、用語「含む(including)」は「限定な
く含む」、「含むが、これらに限定されない」などの意味に解釈されるべきである。本明
細書で使用する用語「含む(comprising)」は、「含む(including
)」、「含む(containing)」、又は「を特徴とする」と同義であり、包含的
又は無制限であり、追加の、記載されていない要素又は方法ステップを除外しない。用語
「有する(having)」は、「少なくとも有する」と解釈されるべきである。用語「
含む(includes)」は、「含むが、これらに限定されない」と解釈されるべきで
ある。用語「(実施)例(example)」は、討論される項目の代表的な事例を提供
するために使用され、それらの完全又は限定的なリストではない。「既知の(known
)」、「慣用の(normal)」、「標準の(standard)」などの形容詞、及
び類似した意味の用語は、所定の期間に記載される項目、又は所定の時点で利用可能なア
イテムに限定されるものとして解釈すべきではなく、その代わりに、現在又は将来の任意
の時点で入手可能又は知られる、既知、慣用又は標準の技術を包含すると解釈すべきであ
る。「好適な(preferably)」、「好適な(preferred)」、「所望
(desired)」、又は「所望(desirable)」などの用語、及び類似した
意味の言葉の使用は、特定の特徴が本発明の構造や機能に対して重大、本質的、又は重要
であることを意味するのではなく、その代わりに、単に、本発明の特定の実施形態に利用
可能又は利用できない代替的又は追加の特徴を強調することを意図していると理解すべき
である。同様に、接続詞「及び(and)」に関連している項目のグループは、それらの
項目の一つ一つがグルーピングに存在する必要があると理解すべきではなく、別段の記載
がない限り、むしろ、「及び/又は(and/or)」として理解すべきである。同様に
、接続詞「又は(or)」に関連している項目のグループは、それらのグループの間で相
互排他性を必要とすると理解すべきではなく、別段の記載がない限り、むしろ、「及び/
又は(and/or)」と理解されるべきである。
【0166】
本明細書における実質的に任意の複数形及び/又は単数形の用語の使用に関して、当業
者は、複数形から単数形への変換、及び/又は、単数形から複数形への変換を文脈及び/
又は適用に合わせるように行うことができる。種々の単数形/複数形の置き換えは、明確
にするために、本明細書に明示的に説明されてもよい。不定冠詞「a」又は「an」は複
数を除外しない。特定の手段が互に異なる従属請求項に記載されるという単なる事実は、
これらの手段の組み合わせを有利に使用できないことを示すものではない。特許請求の範
囲における任意の引用符号は、本発明の範囲を限定すると解釈すべきではない。
【0167】
導入される請求項の記載における特定の数字が意図される場合に、そのような意図が請
求項に明確に記載される一方、そのような記載が存在しない場合に、そのような意図は存
在しないことは、当業者にとって理解されるであろう。例えば、理解の助けとして、以下
に添付される特許請求の範囲には、請求項の記載を導入する導入句「少なくとも1つ)」
及び「1つ又はそれ以上」の使用を含むことができる。しかしながら、このような語句の
使用は、同一の請求項が導入句「1つ又はそれ以上」又は「少なくとも1つ」、及び「a
」又は「an」などの不定冠詞(例えば、「a」及び/又は「an」は、一般的に、「少
なくとも1つ」又は「1つ又はそれ以上」を意味すると解釈されるべきである)を含む場
合であっても、不定冠詞「a」又は「an」による請求項の記載の導入が、そのような導
入された請求項の記載を含む任意の特定の請求項を、このような記載の1つのみを含む実
施形態に限定すると解釈すべきではない。請求項の記載を導入するために使用される定冠
詞の使用についても同じである。さらに、導入された請求項の記載における特定の数字を
明示的に記載する場合であっても、そのような記載が典型的に少なくとも記載の数を意味
するように解釈されるべきであることは、当業者に理解されるであろう(例えば、他の修
飾のない「2つの記載」という最低限の記載は、一般的に、少なくとも2つの記載、又は
2つ以上の記載を意味する)。さらに、「A、B、及びCなどの少なくとも1つ」に類似
している慣例を使用するこれらの例において、一般的に、このような構成は、その慣例に
ついて当業者が理解する意味で意図されている(例えば、「A、B、及びCの少なくとも
1つを有するシステム」は、単独のA、単独のB、単独のC、AとBを一緒に、AとCを
一緒に、BとCを一緒に、及び/又は、AとBとCとを一緒になどを有するシステムを含
むが、これらに限定されない)。「A、B、及びC等の少なくとも1つ」に類似している
慣例を使用するこれらの例において、一般的に、このような構成は、その慣例について当
業者が理解する意味で意図されている(例えば、「A、B、及びCの少なくとも1つを有
するシステム」は、単独のA、単独のB、単独のC、AとBを一緒に、AとCを一緒に、
BとCを一緒に、及び/又は、AとBとCとを一緒に、等を有するシステムを含むが、こ
れらに限定されない)。さらに、2つ以上の選択可能な用語が存在する実質的に任意の離
接語及び/又は語句は、明細書、特許請求の範囲、又は図面にあるなしを問わず、その選
択可能な用語の1つ、いずれか一方、又は両方ともを含む可能性を意図すると理解される
べきであることは当業者にに理解されるであろう。例えば、語句「A又はB」は、「A」
又は「B」又は「A及びB」の可能性を含むと理解されるであろう。
【0168】
明細書中で使用される成分、反応条件などの数量を表す全ての数字は、全ての例におい
て用語「約」により修飾されるものとして理解されるべきである。従って、反対のことが
示されていない限り、本明細書に記載される数値パラメータは、得ようとする所望の特性
に応じて変更できる近似値である。本願の優先権を主張する任意の出願における任意の特
許請求の範囲に対しては、少なくとも均等論が適用されるが、これに限定されず、各数値
パラメータは、有効数字及び通常の丸めアプローチの数字に照らして解釈されるべきであ
る。
【0169】
さらに、前述において、明瞭さ及び理解のために例示及び実施例を手段として多少詳し
く述べられるが、特定の変更及び修飾が実施できることは、当業者には明らかである。従
って、説明及び実施例は、本発明の範囲を本明細書に記載される特定の実施形態及び実施
例に限定するものとして解釈すべきではなく、むしろ、本発明の真の範囲及び趣旨に伴う
すべての修正及び代替物を包含する。
さらに、担体、希釈剤、賦形剤、生理食塩水、滅菌水、グルコース、湿潤剤、乳化剤、pH緩衝剤、ゲル化剤、増粘剤、保存剤、香料、及び着色剤の少なくとも1種との混合物からなる、請求項1〜33のいずれか1項に記載の化合物。