【課題を解決するための手段】
【0022】
これらの目的は、請求項1及び2に記載の使用、請求項7に記載の反応性樹脂、並びに請求項12に記載の反応性樹脂成分によって達成される。
【0023】
発明者らにより、特定の低粘度ウレタンメタクリレート化合物を骨格樹脂として使用することにより、これらの化合物を含む反応性樹脂及びそれから得られる反応性樹脂成分の粘度に対する温度の影響が広範囲な領域でほぼ皆無となることが見いだされたのは、驚くべきことである。
【0024】
さらに、特定の低粘度ウレタンメタクリレート化合物を使用することにより、硬化した留め付けコークへの反応性希釈剤の機能及び効果を損なうことなく、化学的留め付けのための反応性樹脂中の反応性希釈剤の割合を増加させることができることが見いだされた。
【0025】
本発明は、従来のシステムと比較して、反応性樹脂システムの低温域における押出力の低減を可能にする。低粘度ウレタンメタクリレート化合物を反応性樹脂の骨格樹脂として使用することにより、反応性希釈剤を高い割合で有する必要性なしに、20℃のみならず、例えば、より低い温度である10℃未満、好ましくは5℃未満で反応性樹脂システムを押し出す力の低減を可能とする。
【0026】
本発明のより良い理解のために、反応性樹脂の製造方法及び本明細書で使用される用語についての以下の説明は有用であると考えられる。
【0027】
ここでヘキサメチレンジイソシアネートをベースとするウレタンメタクリレートの例により説明する反応性樹脂の製造方法は、通常以下の通り実行される。
【0028】
1.骨格樹脂/反応性樹脂マスターバッチの製造
【0029】
ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)とヒドロキシプロピルメタクリレート(HPMA)とが、触媒及び阻害剤(重合により形成される骨格樹脂の安定化に使用され、安定剤又はプロセス安定剤とも呼ばれることも多い)の存在下で反応させられる。このプロセスで、骨格樹脂が得られる。
【0030】
反応終了後に得られる反応混合物は、反応性樹脂マスターバッチとして知られている。これにはさらなる後処理、具体的には、骨格樹脂の分離は行われない。
【0031】
2.反応性樹脂の製造
【0032】
骨格樹脂への反応が完了した後、促進剤−阻害剤系、即ち1つ又は複数の追加の阻害剤と、1つ又は複数の促進剤と、任意の反応性希釈剤との組み合わせを反応性樹脂マスターバッチに加える。
【0033】
これにより、反応性樹脂が得られる。
【0034】
促進剤−阻害剤系は、反応性樹脂の反応性の調整、即ち、開始剤の添加後の反応性樹脂が完全に硬化していない時点及び反応性樹脂と混合されたプラグコークが開始剤と混合した後も加工可能な時点の調整に用いられる。
【0035】
促進剤−阻害剤系中の阻害剤が反応性の調整にも適している場合には骨格樹脂の製造のための阻害剤と同一でもよく、又は両方の機能を有しない場合は異なる阻害剤でもよい。例として、4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチル−ピペリジニル−1−オキシル(テンポル、TEMPOL)を反応性の調整のための安定剤として及び阻害剤として使用することができる。
【0036】
3.反応性樹脂成分の製造
【0037】
反応性樹脂を建築目的、特に化学的留め付けに使用するために、1つ又は複数の添加剤及び/又は充填剤等の無機骨材が反応性樹脂の製造後に添加される。
【0038】
これにより、反応性樹脂成分が得られる。
【0039】
本発明において使用される用語は、以下の通りである。
【0040】
「骨格樹脂」とは、通常固体又は高粘度のフリーラジカル硬化性重合性樹脂であって、重合により硬化し(例えば、促進剤の存在下で開始剤を添加した後)、原則として、反応性希釈剤を含まず且つさらなる精製を行わずに存在し、従って、不純物が含まれ得る、フリーラジカル硬化性重合性樹脂を意味する。
【0041】
「反応性マスターバッチ」とは、骨格樹脂の製造のための反応の反応生成物、即ち、骨格樹脂と、反応性希釈剤と、反応混合物のさらなる任意の成分との混合物を意味する。
【0042】
「反応性樹脂」とは、反応性樹脂マスターバッチと、少なくとも1つの促進剤と、少なくとも1つの阻害剤(促進剤−阻害剤系とも呼ばれる)と、少なくとも1つの反応性希釈剤と、任意のさらなる添加物との混合物を意味し、反応性樹脂は通常、液体又は粘性であり、さらに反応性樹脂成分へと加工することができる。本願において、反応性樹脂は「樹脂混合物」とも呼ばれる。
【0043】
「阻害剤」とは、樹脂若しくは樹脂含有組成物の合成若しくは保存中に望ましくないフリーラジカル重合を抑制する物質(これらの物質は専門家の間では「安定剤」とも呼ばれる)又は開始剤の添加(通常は促進剤と組み合わせて)後の樹脂のフリーラジカル重合の時間遅延を引き起こす物質を意味する(これらの物質は専門家の間では「阻害剤」とも呼ばれるが、用語のそれぞれの意味は文脈から明らかである)。
【0044】
「促進剤」とは、反応に開始剤とともに関与してより低温で開始剤によって大量のフリーラジカルが既に生成されるようにする試薬、又は開始剤の分解反応を触媒する試薬を意味する。
【0045】
「反応性希釈剤」とは、液体又は低粘度モノマー及び骨格樹脂であって、他の骨格樹脂又は反応性樹脂マスターバッチを希釈し、それによりその施工に必要な粘度を付与し、骨格樹脂と反応することができる官能基を含み、重合(硬化)の際に主に硬化コーク(例えば、モルタル)の成分になる、液体又は低粘度のモノマー及び骨格樹脂を意味する。反応性希釈剤は共重合性モノマーとも呼ばれる。
【0046】
「反応性樹脂成分」とは、反応性樹脂と充填剤と、任意のさらなる成分、例えば、添加物との液体又は粘性混合物を意味する。通常、反応性樹脂成分は、化学的留め付けのための2成分反応性樹脂システムの2つの成分の1つである。
【0047】
「開始剤」とは、反応開始フリーラジカル(通常は促進剤と組み合わせて)を形成する物質を意味する。
【0048】
「硬化剤成分」とは、骨格樹脂の重合のための開始剤を含有する組成物を意味する。硬化剤成分は固体でも液体でもよく、開始剤に加えて、溶媒と充填剤及び/又は添加剤を含んでもよい。通常、硬化剤成分は、反応性樹脂成分に加えて、化学的留め付けのための2成分反応性樹脂システムの2つの成分のもう一つである。
【0049】
「モルタルコーク/留め付けコーク」とは、反応性樹脂成分と硬化剤成分を混合することにより得られ、化学的留め付けにそのまま使用できる組成物を意味する。
【0050】
「反応性樹脂システム」とは、互いに別々に保管された成分からなるシステムを一般的に意味し、1つの成分に含まれる骨格樹脂の硬化が成分の混合後にのみ行われる。
【0051】
「2成分系留付け材」又は「2成分反応性樹脂システム」とは、別々に保管した2成分である反応性樹脂成分(A)と硬化剤成分(B)からなる反応性樹脂システムを意味し、この2成分の混合後にのみ反応性樹脂成分に含まれる骨格樹脂が硬化される。
【0052】
「多成分系留付け材」又は「多成分反応性樹脂システム」とは、反応性樹脂成分(A)及び硬化剤成分(B)を含む多くの成分からなる反応性樹脂システムを意味し、別々に保管した多くの成分全ての混合後にのみ反応性樹脂成分に含まれる骨格樹脂が硬化する。
【0053】
「建築目的」とは、ポリマーコンクリート、プラスチックがベースの被膜コーク、又は常温硬化路面標示等の建造部及び建造物の製造並びに維持又は修理、特に、例えば、壁、天井、又は床の建造部及び建造物の補強、並びに建造部及び建造物上の、例えば、石、ガラス、若しくはプラスチック製のパネル又はブロック等の、例えば、建造部の接着結合(建築用接着結合)による留め付け、並びに掘削孔等の凹部内のアンカーロッド、ボルト等のアンカー手段の極めて特殊な化学的留め付けによる施工を意味する。
【0054】
「化学的留め付け」とは、掘削孔、特に様々な基板、特にコンクリート、気泡コンクリート、煉瓦、石灰砂岩、砂岩、自然岩、グラス等がベースの鉱物基板及び鉄鋼基板等の金属基板に掘削された掘削孔等の凹部でのアンカーロッド、ボルト、鉄筋、ネジ等のアンカー手段の留め付け(物質と物質の結合及び/又は相互係止接合による)を意味する。
【0055】
「脂肪族炭化水素基」とは、芳香族ではない環状及び非環状の飽和又は不飽和炭化水素基を意味する(PAC、1995、67、1307、構造に基づく有機化合物及び反応性中間体のクラス名の用語集(IUPAC勧告、1995))。
【0056】
「(メタ)アクリル…/…(メタ)アクリル…」は、「メタクリル…/…メタクリル…」と「アクリル…/…アクリル…」化合物との両方を示唆し、本発明においては「メタクリル…/…メタクリル…」化合物が示唆されていることが好ましい。
【0057】
化学化合物の範疇に先行する不定冠詞である「a」、「an」、「any」は、例えば、「ウレタンメタクリレート」という語の前にある冠詞であって、この範疇の化学化合物に含まれる少なくとも1つ、つまり、1つ又は複数の化合物、例えば、様々なウレタンメタクリレートが示唆され得る。好ましい実施態様において、この不定冠詞は、1つの個別の化合物のみを示唆する。
【0058】
「少なくとも1つ」とは、数値的に「1つ又は複数」を意味する。好ましい実施態様において、「a」、「an」、「any」はこの用語の範囲内で数値に係る意味を有する。
【0059】
「含む」及び「備える」は、言及されたものに加えて、さらに別の成分が存在し得ることを意味する。これらの用語は包括的であることを意図しているため、「から成る」の意味も包含する。「から成る」は排他的であることを意図しており、さらなる成分が存在してはならないことを意味する。好ましい実施態様において、「含む」及び「備える」という用語は、「から成る」という用語を意味する。
【0060】
数値の前に来る「約」又は「およそ」は、この値の±5%、好ましくはこの値の±2%、より好ましくはこの値の±1%、特に好ましくはこの値の±0%(即ち、同値)の範囲を意味する。
【0061】
数値によって制限される範囲は、2つの極値とこの範囲内の値とが個々に開示されていることを意味する。
【0062】
本テキストで引用されているすべての標準(例えば、DIN標準等)は、本願の出願日時点で使用されていたバージョンによる。
【0063】
本発明の第1の態様は、一般式(I)の化合物の使用であって、
【化1】
ここで、
Bは直鎖、分岐鎖、又は環状の二価脂肪族炭化水素基、
R
1は、それぞれ互いに独立した、二価の分岐鎖又は直鎖脂肪族C
1−C
15アルキレン基
である反応性樹脂又は反応性樹脂成分における化学的留め付けのため使用である。
【0064】
第2の態様は、一般式(I)の化合物の使用であって、
【化2】
ここで、
Bは直鎖、分岐鎖、又は環状の二価脂肪族炭化水素基、
R
1は、それぞれ互いに独立した、二価の分岐鎖又は直鎖脂肪族C
1−C
15アルキレン基
である反応性樹脂の粘度の低減のため又は化学的留め付けのための反応性樹脂成分の押出力の低減のための使用である。
【0065】
第3の態様は、一般式(I)の化合物を含む反応性樹脂である。第4の態様は、反応性樹脂を含む反応性樹脂成分である。第5の態様は、反応性樹脂成分(A)と硬化剤成分(B)とを有する反応性樹脂システムであって、反応性樹脂に含まれる骨格樹脂を硬化させるための開始剤(例えば、過酸化物等)を含む反応性樹脂システムである。成分(A)及び(B)は、反応性樹脂システムが使用されるまで空間的に互いに分離された状態で詰められているため、2つの成分が互いに接触した場合のみ反応が起こる。第6、第7、及び第8の態様は、反応性樹脂、反応性樹脂成分、及び反応性樹脂システムのそれぞれの建築目的のため、特に化学的留め付けのための使用である。
【0066】
本発明において、低粘度ウレタンメタクリレート化合物は、一般式(I)の化合物であって、
【化3】
ここで、
Bは直鎖、分岐鎖、又は環状の二価脂肪族炭化水素基、
R
1は、それぞれ互いに独立した、二価の分岐鎖又は直鎖脂肪族C
1−C
15アルキレン基である、
化合物である。
【0067】
1つの実施態様において、式(I)の直鎖、分岐鎖又は環状の二価脂肪族炭化水素基Bは、ペンチレン、ヘキシレン、ヘプチレン又はオクチレン基から成る群から選択される二価の直鎖脂肪族炭化水素基であることが好ましい。この実施態様における直鎖脂肪族炭化水素基Bは、ヘキシレン基であると特に好ましい。
【0068】
代替の実施態様において、式(I)の化合物中の直鎖、分岐鎖又は環状の二価脂肪族炭化水素基Bは二価の環状脂肪族炭化水素基であって、3−メチレン−3,5,5−テトラメチルシクロヘキシレン、メチレンジシクロヘキシレン、及び1,3−ジメチレンシクロヘキシル基から成る群から選択される環状脂肪族炭化水素基であることが好ましい。この実施態様における環状脂肪族炭化水素基Bは、3−メチレン−3,5,5−トリメチルシクロヘキシレン又は1,3−ジメチレンシクロヘキシル基であると特に好ましい。
【0069】
脂肪族炭化水素基は、直鎖及び分岐鎖ジイソシアネートを含む脂肪族ジイソシアネート及び脂環式ジイソシアネートから誘導される。
【0070】
適した脂肪族炭化水素基は、脂肪族ジイソシアネートからイソシアネート基を除去することにより得られるような二価基である。
【0071】
Bは、例えば、1,4−ジイソシアナトブタン(BDI)、1,5−ジイソシアナトペンタン(PDI)、1,6−ジイソシアナトヘキサン(HDI)、2−メチル−1,5−ジイソシアナトペンタン、1,5−ジイソシアナト−2,2−ジメチルペンタン、2,2,4−又は2,4,4−トリメチル−1,6−ジイソシアナトヘキサン、1,10−ジイソシアナトデカン、1,3−及び1,4−ジイソシアナトシクロヘキサン、1,4−ジイソシアナト−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,3−ジイソシアナト−2−メチルシクロヘキサン、1,3−ジイソシアナト−4−メチルシクロヘキサン、1−イソシアナト−3,3,5−トリメチル−5−イソシアナトメチル−シクロヘキサン(イソホロンジイソシアネート、IPDI)、1−イソシアナト−1−メチル−4(3)−イソシアナトメチルシクロヘキサン、2,4’−及び4,4’−ジイソシアナトジシクロヘキシルメタン(H
12MDI)、1,3−及び1,4−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、ビス−(イソシアナトメチル)−ノルボルナン(NBDI)、4,4’−ジイソシアナト−3,3’−ジメチルジシクロヘキシルメタン、4,4’−ジイソシアナト−3,3’,5,5’−テトラメチルジシクロヘキシルメタン、4,4’−ジイソシアナト−1,1’−ビ(シクロヘキシル)、4,4’−ジイソシアナト−3,3’−ジメチル−1,1’−ビ(シクロヘキシル)、4,4’−ジイソシアナト−2,2’,5,5’−テトラメチル−1,1’−ビ(シクロヘキシル)、1,8−ジイソシアナト−p−メンタン、1,3−ジイソシアナト−アダマンタン、1,3−ジメチル−5,7−ジイソシアナトアダマンタン等の脂肪族ジイソシアネートから誘導されることが特に好ましい。
【0072】
R
1は、それぞれ互いに独立し、置換することができる分岐鎖又は直鎖脂肪族C
1−C
15アルキレン基である。R
1は、ヒドロキシアルキルメタクリレートから誘導され、水酸基及びメタクリレート基の除去により得られるような二価のアルキレン基を含む。
【0073】
1つの実施態様において、アルキレン基R
1は二価である。
【0074】
しかし、代替の実施態様において、それは三価又は多価であってもよく、式(I)の化合物は、式(I)から直接明らかでない場合でも、2つ以上のメタクリレート基を有してよい。
【0075】
好ましくは、アルキレン基R
1は、二価の直鎖又は分岐鎖C
1−C
15アルキレン基、好ましくはC
1−C
6アルキレン基、特に好ましくはC
1−C
4アルキレン基である。これらには、特にメチレン、エチレン、プロピレン、i−プロピレン、n−ブチレン、2−ブチレン、sec.−ブチレン、tert.−ブチレン、n−ペンチレン、2−ペンチレン、2−メチルブチレン、3−メチルブチレン、1,2−ジメチルプロピレン、1,1−ジメチルプロピレン、2,2−ジメチルプロピレン、1−エチルプロピレン、n−ヘキシレン、2−ヘキシレン、2−メチルペンチレン、3−メチルペンチレン、4−メチルペンチレン、1,2−ジメチルブチレン、1,3−ジメチルブチレン、2,3−ジメチルブチレン、1,1−ジメチルブチレン、2,2−ジメチルブチレン、3,3−ジメチルブチレン、1,1,2−トリメチルプロピレン、1,2,2−トリメチルプロピレン、1−エチルブチレン、2−エチルブチレン、1−エチル−2−メチルプロピレン、n−ヘプチレン、2−ヘプチレン、3−ヘプチレン、2−エチルペンチレン、1−プロピルブチレン基又はオクチレン基が含まれ、中でもエチレン、プロピレン、及びi−プロピレン基がより好ましい。本発明の特に好ましい実施態様において、2つのR
1基は同一且つエチレン、プロピレン又はi−プロピレン基である。
【0076】
低粘度ウレタンメタクリレート化合物は、2当量のヒドロキシアルキルメタクリレートと1当量のジイソシアネートとの反応により得られる。ジイソシアネート及びヒドロキシアルキルメタクリレートは、触媒と阻害剤の存在下で反応させられ、得られた化合物を安定化させる働きをする。
【0077】
適したヒドロキシアルキルメタクリレートは最大15個の炭素原子を有するアルキレン基を有し、アルキレン基は直鎖でも分岐鎖でもよい。1乃至10個の炭素原子を有するヒドロキシアルキルメタクリレートが好ましい。より好ましいヒドロキシアルキルメタクリレートは、2乃至6個の炭素原子を有するものであり、中でも2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート(2−HPMA)、3−ヒドロキシプロピルメタクリレート(3−HPMA)、及びグリセロール−1,3−ジメタクリレートが特に好ましい。2−ヒドロキシプロピルメタクリレート(2−HPMA)又は3−ヒドロキシプロピルメタクリレート(3−HPMA)がよりさらに特に好ましい。
【0078】
適したジイソシアネートは、例えば、1,4−ジイソシアナトブタン(BDI)、1,5−ジイソシアナトペンタン(PDI)、1,6−ジイソシアナトヘキサン(HDI)、2−メチル−1,5−ジイソシアナトペンタン、1,5−ジイソシアナト−2,2−ジメチルペンタン、2,2,4−又は2,4,4−トリメチル−1,6−ジイソシアナトヘキサン、1,10−ジイソシアナトデカン、1,3−及び1,4−ジイソシアナトシクロヘキサン、1,4−ジイソシアナト−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,3−ジイソシアナト−2−メチルシクロヘキサン、1,3−ジイソシアナト−4−メチルシクロヘキサン、1−イソシアナト−3,3,5−トリメチル−5−イソシアナトメチル−シクロヘキサン(イソホロンジイソシアネート、IPDI)、1−イソシアナト−1−メチル−4(3)−イソシアナトメチルシクロヘキサン、2,4’−及び4,4’−ジイソシアナトジシクロヘキシルメタン(H
12MDI)、1,3−及び1,4−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、ビス−(イソシアナトメチル)−ノルボルナン(NBDI)、4,4’−ジイソシアナト−3,3’−ジメチルジシクロヘキシルメタン、4,4’−ジイソシアナト−3,3’,5,5’−テトラメチルジシクロヘキシルメタン、4,4’−ジイソシアナト−1,1’−ビ(シクロヘキシル)、4,4’−ジイソシアナト−3,3’−ジメチル−1,1’−ビ(シクロヘキシル)、4,4’−ジイソシアナト−2,2’,5,5’−テトラメチル−1,1’−ビ(シクロヘキシル)、1,8−ジイソシアナト−p−メンタン、1,3−ジイソシアナト−アダマンタン、1,3−ジメチル−5,7−ジイソシアナトアダマンタン等の脂肪族系及び/又は脂環族系イソシアネート基を有するようなジイソシアネートである。
【0079】
本発明で好ましいジイソシアネートは、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、及び1,3−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサンである。
【0080】
式(I)の化合物は、一般式(IIa)乃至(IIc)の化合物であることが好ましい。
【化4】
【化5】
【化6】
ここで、R
1は、上記で定義された通り、それぞれ互いに独立している。
【0081】
式(I)の化合物は、式(III)乃至(V)の化合物であることがさらに特に好ましい。
【化7】
【化8】
【化9】
【0082】
式(IV)及び(V)の化合物は、純粋な化合物として、また光学異性体又は異性体混合物の両方として異なる組成で存在し、必要に応じ従来の方法で分離し得る。純粋な異性体と異性体混合物の両方及びその使用が本発明の態様である。異なる割合の異性体化合物を含む混合物も本発明の態様である。
【0083】
発明性を有する化合物の製造中にすべてのイソシアネート基が変換されない場合、又はイソシアネート基の一部が反応前に、例えば、副反応により他の基に変換される場合、主要な化合物又は不純物として反応性樹脂マスターバッチに含まれてよい化合物が得られる。これらの化合物は、発明性を有する目的に使用できる限り、それらも本発明に含まれる。
【0084】
式(I)の化合物は、反応性樹脂の製造のために本発明に従って使用される。これにより、この方法で製造される反応性樹脂の粘度を下げることができ、それに際して市販のコークの場合のように高い割合の反応性希釈剤も必要無ければ、高い割合の反応性希釈剤に関連する課題に対処する必要もない。
【0085】
発明性を有する反応性樹脂は、骨格樹脂としての上述した式(I)の少なくとも1つの化合物と、阻害剤と、促進剤と、任意の反応性希釈剤とを含む。骨格樹脂は、その製造後、一般的に反応性樹脂の製造のために分離せずに使用されるため、例えば、反応性樹脂マスターバッチに含まれる触媒等の追加成分も通常、骨格樹脂とともに反応性樹脂に存在する。
【0086】
発明性を有する反応性樹脂中の一般式(I)の化合物の割合は、反応性樹脂の総重量に対して、25wt%乃至65wt%、好ましくは30wt%乃至45wt%、特に好ましくは33wt%乃至40wt%である。
【0087】
当業者には知られているように、N−オキシルフリーラジカル等のフリーラジカル硬化性重合性化合物に一般的に使用される安定フリーラジカルは、阻害剤として適している。
【0088】
一方で、阻害剤は、骨格樹脂の合成中又は反応性樹脂及び反応性樹脂成分の貯蔵中に望ましくないフリーラジカル重合を抑制するように機能することができる。また、必要に応じ付加的に、骨格樹脂のフリーラジカル重合の時間遅延を開始剤の添加後に発生させ、よって硬化剤との混合後に反応性樹脂又は反応性樹脂成分の処理時間を調整するように機能し得る。
【0089】
安定したN−オキシルラジカルの例として、独国特許出願公開第19956509号明細書及び独国特許出願公開第19531649号明細書に記載されているようなものを使用することができる。かかる安定したニトロキシルフリーラジカルは、ピペリジニル−N−オキシル若しくはテトラヒドロピロール−N−オキシル種又はそれらの混合物である。
【0090】
好ましい安定したニトロキシルフリーラジカルは、1−オキシル−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、1−オキシル−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−オール(テンポル(TEMPOL)としても知られる)、1−オキシル−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−オン(テンポン(TEMPON)としても知られる)、1−オキシル−2,2,6,6−テトラメチル−4−カルボキシル−ピペリジン(4−カルボキシ−テンポ(TEMPO)としても知られる)、1−オキシル−2,2,5,5−テトラメチルピロリジン、1−オキシル−2,2,5,5−テトラメチル−3−カルボキシルピロリジン(3−カルボキシ−プロキシル(PROXYL)としても知られる)、及びこれら2つ以上の化合物の混合物から成る群から選択されるが、1−オキシル−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−オール(テンポル)が特に好ましい。テンポルは、実施例で使用されているテンポルであることが好ましい。
【0091】
ピペリジニル−N−オキシル又はテトラヒドロピロール−N−オキシル種のニトロキシルフリーラジカルに加えて、反応性樹脂若しくは反応性樹脂を含む反応性樹脂成分(A)、又は反応性樹脂を含むその他の組成物のさらなる安定化のためだけでなく、樹脂の反応性の調整のために、1つ又は複数のさらなる阻害剤が存在してもよい。
【0092】
当業者に知られている通り、フリーラジカル硬化性重合性化合物に一般的に使用される阻害剤は、この目的に適している。これらのさらなる阻害剤は、フェノール化合物及び非フェノール化合物及び/又はフェノチアジンの群から選択されることが好ましい。
【0093】
2−メトキシフェノール、4−メトキシフェノール、2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノール、2,4−ジ−tert−ブチルフェノール、2,6−ジ−tert−ブチルフェノール、2,4,6−トリメチルフェノール、2,4,6−トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール、4,4’−チオ−ビス(3−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、4,4’−イソプロピリデンジフェノール、6,6’−ジ−tert−ブチル−4,4’−ビス(2,6−ジ−tert−ブチルフェノール)等のフェノール、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、2,2’−メチレン−ジ−p−クレゾール、ピロカテコール等のカテコール、並びに4−tert−ブチルピロカテコール及び4,6−ジ−tert−ブチルピロカテコール等のブチルピロカテコール等のカテコール誘導体、ヒドロキノン、2−メチルヒドロキノン、2−tert−ブチルヒドロキノン、2,5−ジ−tert−ブチルヒドロキノン、2,6−ジ−tert−ブチルヒドロキノン、2,6−ジメチルヒドロキノン、2,3,5−トリメチルヒドロキノン、ベンゾキノン、2,3,5,6−テトラクロロ−1,4−ベンゾキノン、メチルベンゾキノン、2,6−ジメチルベンゾキノン、ナフトキノン、又はこれらの2つ以上の混合物等のヒドロキノンは、フェノール系阻害剤として適している。これらの阻害剤は、多くの場合、市販のフリーラジカル硬化反応性樹脂成分の成分である。
【0094】
フェノチアジン及び/又はそれらの誘導体若しくは組み合わせ等のフェノチアジン、又は、例えば、アルミニウム−N−ニトロソフェニルヒドロキシルアミン、ジエチルヒドロキシルアミン等のピペリジニル−N−オキシル又はテトラヒドロピロール−N−オキシル種、アセタールドキシム、アセトンオキシム、メチルエチルケトオキシム、サリチルオキシム、ベンズオキシム、グリオキシム、ジメチルグリオキシム、アセトン−O−(ベンジルオキシカルボニル)オキシム等のオキシム以外のガルビノキシル及びN−オキシルフリーラジカル等の安定した有機フリーラジカルを、好ましくは非フェノール系阻害剤とみなし得る。
【0095】
さらに、独国特許出願公告第102011077248号明細書に記載されているように、水酸基に対してパラ位で置換されたピリミジノール又はピリジノール化合物を阻害剤として使用してもよい。
【0096】
さらなる阻害剤は、カテコール、カテコール誘導体、フェノチアジン、tert−ブチルカテコール、テンポル又はそれらの2つ以上の混合物の群から選択されることが好ましい。さらなる阻害剤は、カテコールとフェノチアジンとを含む群から選択されることが特に好ましい。実施例で使用されるさらなる阻害剤は、好ましくは実施例で特定された近似量であればさらに特に好ましい。
【0097】
反応性樹脂の所望の特性に応じて、さらなる阻害剤を単独で又はそれらの2つ以上の組み合わせとして使用することができる。
【0098】
阻害剤又は阻害剤混合物は、関連技術分野で一般的な割合、好ましくは約0.0005から約2wt%(最終的に製造される反応性樹脂に対して)、より好ましくは約0.01から約1wt%(反応性樹脂に対して)、さらにより好ましくは約0.05から約1wt%(反応性樹脂に対して)、さらにより好ましくは約0.2から約0.5wt%(反応性樹脂に対して)の割合で添加される。
【0099】
一般式(I)の化合物は、特に化学的留め付け及び構造的接着結合のために反応性樹脂及び反応性樹脂成分で使用するため、一般的に硬化剤として過酸化物によって硬化する。過酸化物は、低い施工温度でも重合が起こるように、促進剤によって開始されることが好ましい。促進剤はすでに反応性樹脂に添加されている。
【0100】
当業者に知られた、適した促進剤は、例えば、アミン、好ましくは第3級アミン及び/又は金属塩である。
【0101】
適したアミンは、以下の化合物から選択される。すなわち、ジメチルアミン、トリメチルアミン、エチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、n−プロピルアミン、ジ−n−プロピルアミン、トリ−n−プロピルアミン、イソプロピルアミン、ジイソプロピルアミン、トリイソプロピルアミン、n−ブチルアミン、イソブチルアミン、tert−ブチルアミン、ジ−n−ブチルアミン、ジイソブチルアミン、トリ−イソブチルアミン、ペンチルアミン、イソペンチルアミン、ジイソペンチルアミン、ヘキシルアミン、オクチルアミン、ドデシルアミン、ラウリルアミン、ステアリルアミン、アミノエタノール、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、アミノヘキサノール、エトキシアミノエタン、ジメチル−(2−クロロエチル)アミン、2−エチルヘキシルアミン、ビス−(2−クロロエチル)アミン、2−エチルヘキシルアミン、ビス−(2−エチルヘキシル)アミン、N−メチルステアリルアミン、ジアルキルアミン、エチレンジアミン、N,N’−ジメチルエチレンジアミン、テトラメチルエチレンジアミン、ジエチレントリアミン、ペルメチルジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、1,2−ジアミノプロパン、ジ−プロピレントリアミン、トリプロピレンテトラミン、1,4−ジアミノブタン、1,6−ジアミノヘキサン、4−アミノ−1−ジエチルアミノペンタン、2,5−ジアミノ−2,5−ジメチルヘキサン、トリメチルヘキサメチレンジアミン、N,N−ジメチルアミノエタノール、2−(2−ジエチルアミノエトキシ)エタノール、ビス−(2−ヒドロキシエチル)−オレイルアミン、トリス−[2−(2−ヒドロキシ−エトキシ)−エチル]アミン、3−アミノ−1−プロパノール、メチル−(3−アミノプロピル)エーテル、エチル−(3−アミノプロピル)エーテル、1,4−ブタンジオール−ビス(3−アミノプロピルエーテル)、3−ジメチルアミノ−1−プロパノール、1−アミノ−2−プロパノール、1−ジエチルアミノ−2−プロパノール、ジイソプロパノールアミン、メチル−ビス−(2−ヒドロキシプロピル)アミン、トリス−(2−ヒドロキシプロピル)アミン、4−アミノ−2−ブタノール、2−アミノ−2−メチルプロパノール、2−アミノ−2−メチルプロパンジオール、2−アミノ−2−ヒドロキシメチルプロパンジオール、5−ジエチルアミノ−2−ペンタノン、3−メチルアミノプロピオン酸ニトリル、6−アミノヘキサン酸、11−アミノウンデカン酸、6−アミノヘキサン酸エチルエステル、11−アミノヘキサン酸イソプロピルエステル、シクロヘキシルアミン、N−メチルシクロヘキシルアミン、N,N−ジメチルシクロヘキシルアミン、ジシクロヘキシルアミン、N−エチルシクロヘキシルアミン、N−(2−ヒドロキシエチル)−シクロヘキシルアミン、N,N−ビス−(2−ヒドロキシエチル)−シクロヘキシルアミン、N−(3−アミノプロピル)−シクロヘキシルアミン、アミノメチルシクロヘキサン、ヘキサヒドロトルイジン、ヘキサヒドロベンジルアミン、アニリン、N−メチルアニリン、N,N−ジメチルアニリン、N,N−ジエチルアニリン、N,N−ジプロピルアニリン、イソ−ブチルアニリン、トルイジン、ジフェニルアミン、ヒドロキシエチルアニリン、ビス−(ヒドロキシエチル)アニリン、クロロアニリン、アミノフェノール、アミノ安息香酸、及びそのエステル、ベンジルアミン、ジベンジルアミン、トリベンジルアミン、メチルジベンジルアミン、a−フェニルエチルアミン、キシリジン、ジイソプロピルアニリン、ドデシルアニリン、アミノナフタレン、N−メチルアミノナフタレン、N,N−ジメチルアミノナフタレン、N,N−ジベンジルナフタレン、ジアミノシクロヘキサン、4,4’−ジアミノ−ジシクロヘキシルメタン、ジアミノ−ジメチル−ジシクロヘキシルメタン、フェニレンジアミン、キシリレンジアミン、ジアミノビフェニル、ナフタレンジアミン、トルイジン、ベンジジン、2,2−ビス−(アミノフェニル)−プロパン、アミノアニソール、アミノチオフェノール、アミノジフェニルエーテル、アミノクレゾール、モルホリン、N−メチルモルホリン、N−フェニルモルホリン、ヒドロキシエチルモルホリン、N−メチルピロリジン、ピロリジン、ピペリジン、ヒドロキシエチルピペリジン、ピロール、ピリジン、キノリン、インドール、インドレニン、カルバゾール、ピラゾール、イミダゾール、チアゾール、ピリミジン、キノキサリン、アミノモルホリン、ジモルホリンエタン、[2,2,2]−ジアザビシクロオクタン並びにN,N−ジメチル−p−トルイジン、である。
【0102】
本発明においては、ジ−イソ−プロパノール−p−トルイジン又はN,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)−m−トルイジンが促進剤として使用される。
【0103】
好ましいアミンは、アニリン誘導体並びにN,N−ジメチルアニリン、N,N−ジエチルアニリン、N,N−ジメチル−p−トルイジン、N,N−ビス(ヒドロキシアルキル)アリールアミン、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)アニリン、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)トルイジン、N,N−ビス(2−ヒドロキシプロピル)アニリン、N,N−ビス(2−ヒドロキシプロピル)トルイジン、N,N−ビス(3−メタクリロイル−2−ヒドロキシプロピル)−p−トルイジン、N,N−ジブトキシヒドロキシプロピル−p−トルイジン、及び4,4’−ビス(ジメチルアミノ)ジフェニルメタン等のN,N−ビスアルキルアリールアミンである。ジ−イソ−プロパノール−p−トルイジンが特に好ましい。
【0104】
N,N−ビス(ヒドロキシアルキル)アニリンとジカルボン酸の重縮合又はエチレンオキシド又は他のエポキシドとこれらのアミンの重付加により得られる高分子アミン等も同様に促進剤として適している。
【0105】
適した金属塩は、例えば、オクチル酸コバルト又はナフテン酸コバルト及びバナジウム、カリウム、カルシウム、銅、マンガン又はカルボン酸ジルコニウムである。さらなる適した金属塩は、上記のスズ触媒である。
【0106】
促進剤が使用される場合、反応性樹脂に対して0.01から10wt%、好ましくは0.2から5wt%の割合で導入される。
【0107】
反応性樹脂は、必要に応じて、反応性希釈剤をさらに含んでよい。この目的のために、骨格樹脂の製造中に任意に使用される余分なヒドロキシ官能化(メタ)アクリレートは、反応性希釈剤として機能し得る。さらに、ヒドロキシ官能化(メタ)アクリレートがイソシアネート基とほぼ等モル比で使用される場合、又はさらに余分なヒドロキシ官能化(メタ)アクリレートが使用される場合、ヒドロキシ官能化(メタ)アクリレートとは構造的に異なるさらなる反応性希釈剤を反応混合物に加えてよい。
【0108】
適した反応性希釈剤は、低粘度のフリーラジカル共重合可能化合物、好ましくはラベル表示が免除される化合物であって、必要に応じて、その製造中にウレタンメタクリレート又は前駆体の粘度及びその他の特性を調整するために添加される。
【0109】
適した反応性希釈剤は、欧州特許出願公開第1935860号明細書及び独国特許出願公開第19531649号明細書に記載されている。好ましくは、反応性樹脂(樹脂混合物)が反応性希釈剤として(メタ)アクリル酸エステルを含み、脂肪族又は芳香族C
5−C
15(メタ)アクリレートが特に好ましく選択される。適した例は以下の通りである。2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、1,2−エタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,3−プロパンジオールジメタクリレート、1,3−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、フェニルエチル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、エチルトリグリコール(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノメチル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、アセトアセトキシエチル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、tert−ブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、メチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソ−ブチル(メタ)アクリレート、3−トリメトキシシリルプロピル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、トリメチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート、及び/又はトリシクロペンタジエニルジ(メタ)アクリレート、ビスフェノール−A−(メタ)アクリレート、ノボラックエポキシジ(メタ)アクリレート、ジ−[(メタ)アクリロイル−マレオイル]−トリシクロ−5.2.1.0.2.6−デカン、3−(メタ)アクリロイル−オキシメチル−トリシロ−5.2.1.0.2.6−デカン、3−(メタ)シクロペンタジエニル(メタ)アクリレート、及びデカリル−2−(メタ)アクリレート、並びにPEG200−ジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ソルケタール(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、フェノキシエチルジ(メタ)アクリレート、2−フェノキシエチル(メタ)アクリレート、ヘキサンジオール−1,6−ジ(メタ)アクリレート、1,2−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、メトキシエチル(メタ)アクリレート、ブチルジグリコール(メタ)アクリレート、tert−ブチル(メタ)アクリレート、及びノルボルニル(メタ)アクリレート等のPEG−ジ(メタ)アクリレート。アクリレートよりもメタクリレートが好ましい。
【0110】
2−及び3−ヒドロキシプロピルメタクリレート、1,2−エタンジオールジメタクリレート、1,4−ブタンジオールジメタクリレート、1,3−ブタンジオールジメタクリレート、グリセロールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、アセトアセトキシエチルメタクリレート、イソボルニルメタクリレート、ビスフェノール−A−ジメタクリレート、E2BADMA又はE3BADMA等のエトキシ化ビスフェノール−A−メタクリレート、トリメチルシクロヘキシルメタクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、PEG200−ジメタクリレート、及びノルボルニルメタクリレートが特に好ましく、2−及び3−ヒドロキシプロピルメタクリレートと1,4−ブタンジオールジメタクリレートの混合物、すなわちこれら3つのメタクリレートの混合物がさらに特に好ましい。
【0111】
最も好ましいのは、2−及び3−ヒドロキシプロピルメタクリレートの混合物である。原則として、他の一般的なフリーラジカル重合可能化合物も、単独で又は(メタ)アクリル酸エステル、例えば、メタクリル酸、スチレン、α−メチルスチレン、tert−ブチルスチレン等のアルキル化スチレン、ジビニルベンゼン、及びビニル、並びにアリル化合物の混合物での態様で反応性希釈剤として用いられ、ラベル表示を免除されるそれらの代表物質が好ましい。かかるビニル又はアリル化合物の例は、ヒドロキシブチルビニルエーテル、エチレングリコールジビニルエーテル、1,4−ブタンジオールジビニルエーテル、トリメチロールプロパンジビニルエーテル、トリメチロールプロパントリビニルエーテル、モノ−、ジ−、トリ−、テトラ−及びポリアルキレングリコールビニルエーテル、モノ−、ジ−、トリ−、テトラ−及びポリアルキレングリコールアリルエーテル、アジピン酸ジビニルエステル、トリメチロールプロパンジアリルエーテル及びトリメチロールプロパントリアリルエーテルが挙げられる。
【0112】
反応性希釈剤又は希釈剤は、反応性樹脂に対して65乃至10wt%、好ましくは60乃至20wt%、さらに好ましくは55乃至25wt%、特に好ましくは50wt%未満の割合で添加される。
【0113】
例示としての反応性樹脂は、一般式(I)の化合物を含む。
【化10】
ここで、Bは脂肪族炭化水素基、R
1はそれぞれ互いに独立した、骨格樹脂としての分岐鎖又は直鎖脂肪族C
1−C
15アルキル基、阻害剤としての安定したニトロキシルラジカル、促進剤としての置換トルイジンと、任意の反応性希釈剤である。
【0114】
好ましい反応性樹脂は、式(IIa)、(IIb)、又は(IIc)の化合物(a)を含む。
【化11】
【化12】
【化13】
ここで、R
1はそれぞれ互いに独立した、骨格樹脂としての分岐鎖又は直鎖脂肪族C
1−C
15アルキル基、阻害剤としての安定したニトロキシルラジカル、促進剤としての置換トルイジン、及び任意の反応性希釈剤である。
【0115】
さらに好ましい反応性樹脂は、骨格樹脂としての式(III)、(IV)、又は(V)の化合物と、阻害剤としての安定したニトロキシルラジカルと、促進剤としての置換トルイジンと、任意の反応性希釈剤とを含む。
【化14】
【化15】
【化16】
【0116】
特に好ましい反応性樹脂は、骨格樹脂としての式(III)、(IV)、又は(V)の化合物と、阻害剤としての4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチル−ピペリジニル−1−オキシル(テンポル)と、促進剤としてのジ−イソ−プロパノール−p−トルイジンと、反応性希釈剤としてのヒドロキシプロピルメタクリレートと1,4−ブタンジオールジメタクリレート(BDDMA)の混合物とを含む。
【0117】
低粘度の骨格樹脂により、発明性を有する反応性樹脂は特に低い動粘度を有するため、反応性樹脂成分を反応性樹脂システム用に製造することが可能であり、従来のシステムよりも低温の10℃以下、好ましくは0℃の施工温度で大幅に低い押出力を、このためにこれまで必要であった高い割合の反応性希釈剤を含まなくても達成する。
【0118】
本発明のさらなる態様は、反応性樹脂を含む反応性樹脂成分である。反応性樹脂成分は、発明性を有する反応性樹脂に加えて、充填材及び/又は添加剤等の無機骨材を含んでよい。いくつかの物質は充填材として、場合により変形された形態で、添加剤としても使用できることを指摘しておく必要がある。例えば、フュームシリカは、極性のある後処理されていない形態ではより充填材として機能し、また無極性の後処理された形態ではより添加剤として機能する。全く同一の物質を充填剤又は添加剤として使用できる場合、その総量は、充填剤について本願で規定されている上限を超えてはならない。
【0119】
建築目的、特に化学的留め付けのための反応性樹脂成分の製造のために、一般的な充填剤及び/又は添加剤を、発明性を有する反応性樹脂に添加してもよい。これらの充填剤は、一般的に無機充填剤及び添加剤であり、例えば、以下に例として記載されているものである。
【0120】
反応性樹脂成分中の反応性樹脂の割合は、反応性樹脂成分に対して、好ましくは約10乃至約70wt%、より好ましくは約30乃至約50wt%の範囲である。従って、充填剤の割合は、反応性樹脂成分に対して、好ましくは約90乃至約30wt%、より好ましくは約70乃至約50wt%の範囲である。
【0121】
一般的な充填材、好ましくは石英、ガラス、砂、石英砂、石英粉末、陶材、コランダム、セラミック、タルク、シリカ(例えば、フュームシリカ、特に極性で後処理なしのフュームシリカ)等の鉱物若しくは鉱物充填材、ケイ酸塩、酸化アルミニウム(例えば、アルミナ)、粘土、二酸化チタン、白墨、重晶石、長石、玄武石、水酸化アルミニウム、花崗岩若しくは砂岩、熱硬化性プラスチック等の高分子充填材、石膏、生石灰若しくはセメント(例えば、アルミン酸塩セメント(アルミナセメントとも呼ばれることも多い)若しくはポルトランドセメント)等の水硬性充填材、アルミニウム、カーボンブラック、さらなる木材、鉱物若しくは有機繊維等の金属等又はそれらの2つ以上の混合物が充填材として使用される。充填剤は、所望の形態、例えば、粉末若しくは粉として、若しくは成形体、例えば、シリンダー、リング、ボール、プレートレット、ロッド、シェル若しくは結晶、又はさらに繊維状(フィブリルフィラー)の形態で存在してもよく、対応する基本粒子は最大直径が約10mm、最小直径が約1nmであることが好ましい。これは、直径が約10mm又は約10mmより小さく約1nmより大きい任意の値であることを意味する。最大直径は、約5mm、より好ましくは約3mm、さらにより好ましくは約0.7mmであることが好ましい。約0.5mmの最大直径がさらに特に好ましい。より好ましい最小直径は約10nm、さらにより好ましくは約50nm、さらに特に好ましくは約100nmである。この最大直径と最小直径の組み合わせにより得られる直径範囲が特に好ましい。しかし、明らかに補強効果が高い球状の不活性物質(球形)が好ましい。好ましくは球形のコアシェル粒子も充填剤として使用できる。
【0122】
好ましい充填剤は、セメント、シリカ、石英、石英砂、石英粉末、及びこれらの2つ以上の混合物から成る群から選択される。セメント、フュームシリカ、特に未処理の極性フュームシリカ、石英砂、石英粉末、及びこれらの2つ以上の混合物から成る群から選択される充填材は、反応性樹脂成分(A)に特に好ましい。セメント(特にアルミン酸塩セメント(アルミナセメントとも呼ばれることも多い)又はポルトランドセメント)、フュームシリカ、石英砂の混合物は、反応性樹脂成分(A)にさらに特に好ましい。硬化剤成分(B)の場合、唯一の充填材又はいくつかの充填材の1つとしてフュームシリカが好ましく、フュームシリカのみならず、1つ又は複数のさらなる充填剤も存在すると特に好ましい。
【0123】
一般的な添加剤、即ち、任意に有機的又は無機的な後処理が施されたフュームシリカ(すでに充填材として使用されている場合を除く)、特に後処理が施された無極性フュームシリカ、ベントナイト、アルキル、及びメチルセルロース、ヒマシ油誘導体等の揺変剤、フタル酸若しくはセバシン酸エステル等の可塑剤、本発明で用いられる安定剤及び阻害剤以外の安定剤、帯電防止剤、増粘剤、柔軟剤、レオロジー添加剤、湿潤剤、例えば、異なる成分着色により相互混合をより効率的に制御するための染料若しくは特に顔料等の着色添加剤又はこれらの2つ以上の混合物が添加剤として使用される。非反応性希釈剤(溶媒)も、好ましくは反応性樹脂成分の総量に対して30wt%までの割合で含まれてもよく、非反応性希釈剤としては、例えば、アセトン等の低級アルキルケトン、ジメチルアセトアミド等のジ低級アルキル低級アルカノイルアミド、キシレン若しくはトルエン等の低級アルキルベンゼン、フタル酸エステル若しくはパラフィン、水、又はグリコールがある。さらに、表面改質フュームシリカの形態の金属スカベンジャーが反応性樹脂成分に含まれてよい。少なくとも1つの揺変剤が添加剤として存在することが好ましく、有機的又は無機的に後処理されたフュームシリカが特に好ましく、無極性に後処理されたフュームシリカがさらに特に好ましい。
【0124】
これに関しては、国際公開第2002/079341号、国際公開第2002/079293号、及び国際公開第2011/128061号の記載を引用する。
【0125】
反応性樹脂成分中の添加剤の割合は、反応性樹脂成分に対して最大約5wt%の範囲であり得る。
【0126】
本発明により製造される反応性樹脂は多くの分野で使用することができ、とりわけ不飽和ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂又はビニルエステルウレタン樹脂が一般的に使用される。通常それらは、多成分系留付け材、一般的には反応性樹脂成分(A)と硬化剤成分(B)とを含む2成分系留付け材等の反応性樹脂システムの、反応性樹脂成分での樹脂成分として使用される。この多成分系留付け材は、カートリッジ、キャニスタ、又はフィルムバッグといったシステムの形態で存在することができる。対象とするシステムの使用中に、成分はカートリッジ、キャニスタ、又はフィルムバッグから機械力又はガス圧の作用によって押し出され、好ましくは成分を搬送する静的混合機を用いて互いに混合され、施工される。
【0127】
従って、上記の反応性樹脂成分(A)とウレタンメタクリレート化合物用の開始剤を含む硬化剤成分(B)とを有する反応性樹脂システムも本発明の態様である。
【0128】
開始剤は一般的に過酸化物である。不飽和ポリエステル樹脂及びビニルエステル樹脂の硬化に使用される、当業者に知られた全ての過酸化物を使用することができる。かかる過酸化物は、液体又は固体の有機及び無機過酸化物を含み、過酸化水素の使用も可能である。適した過酸化物の例としては、ペルオキシカーボネート(式−OC(O)O−)、ペルオキシエステル(式−C(O)OO−)、ジアシルペルオキシド(式−C(O)OOC(O)−)、ジアルキルペルオキシド(式−OO−)等がある。これらは、オリゴマー又はポリマーとして存在し得る。
【0129】
過酸化物は、有機過酸化物の群から選択されることが好ましい。適した有機過酸化物としては、tert−ブチルヒドロペルオキシド等の三級アルキルヒドロペルオキシド、クメンヒドロペルオキシド等のその他のヒドロペルオキシド、tert−ブチルペルエステル等のペルオキシエステル又は過酸、過酸化ベンゾイル、過酢酸、及び過安息香酸、(ジ)ペルオキシエステル等の過酸化ラウリル、ペルオキシジエチルエーテル等のペルエーテル、並びにメチルエチルケトンペルオキシド等のペルケトンがある。硬化剤として使用される有機過酸化物は、多くの場合、三級ペルエステル又は三級ヒドロペルオキシド、即ち、−O−O−アシル−又は−OOH−基に直接結合している三級炭素原子を有する過酸化化合物である。しかしながら、これらの過酸化物と他の過酸化物との混合物も本発明において使用することができる。過酸化物は、混合過酸化物、即ち、1つの分子内に2つの異なる過酸化物担持体を有する過酸化物であってもよい。(ジ−ベンゾイル)ペルオキシド(BPO)が硬化に使用されることが好ましい。
【0130】
反応性樹脂システムは、2成分系留付け材又は多成分系留付け材の形で存在し、それぞれの成分は空間的に離れて存在するため、成分の反応(硬化)は、それらが混合された後にのみ発生する。
【0131】
好ましくは、2成分反応性樹脂システムは、反応の阻害を確実にするために、例えば、複室カートリッジ及び/又はキャニスタ等の複室装置の異なる容器に分離されたA成分及びB成分を含み、容器からは機械的押圧力の作用又はガス圧の作用により、容器から2つの成分が押し出され、混合される。さらなる可能性は、2成分反応性樹脂システムを、2成分カプセルとしてパッケージ化することであり、この2成分カプセルは破壊され、掘削孔に導入され、モルタルコークの2つの成分を相互混合すると同時に留め付け要素を回転させて凝固させる。ここで使用されるカートリッジシステム又は注入システムは、2つの成分が別々の容器から押し出され、静的混合機を通して、均一に混合されてからノズルを介して、好ましくは直接掘削孔に放出されることが好ましい。
【0132】
発明性を有する反応性樹脂システムの好ましい実施態様において、反応性樹脂システムは2成分系留付け材であり、反応性樹脂成分(A)は骨格樹脂だけでなく、水硬結合又は重縮合性無機化合物、特にセメントも含み、硬化剤成分(B)は骨格樹脂の重合のための開始剤だけでなく水も含む。かかるハイブリッドモルタル系留付け材は、独国特許出願公開第4231161号明細書に詳細に記載されている。その中で、成分(A)は好ましくは水硬結合又は重縮合性無機化合物としてセメント、例えば、ポルトランドセメント又はアルミナセメントを含み、セメントは遷移金属酸化物を含まないか又は遷移金属の含有量が少ないものが特に好ましい。かかる石膏又はセメントと混合した石膏も、水硬結合無機化合物として使用してよい。成分(A)は、重縮合性無機化合物として、ケイ酸系重縮合性化合物、特に、例えば、後処理されていない極性フュームシリカ等の可溶性、溶解、及び/又はアモルファス二酸化ケイ素を含む物質をさらに含んでもよい。
【0133】
2成分系留付け材中の成分Aと成分Bの体積比は、好ましくは3:1、5:1又は7:1である。3:1又は5:1の体積比が特に好ましい。
【0134】
従って、好ましい実施態様において、反応性樹脂成分(A)は、
−上記で定義された少なくとも1つのウレタン(メタ)アクリレート、好ましくは式(IIa)、(IIb)、又は(IIc)の化合物と、
−上記で定義されたピペリジニル−N−オキシル又はテトラヒドロピロール−N−オキシル種の少なくとも1つの阻害剤、好ましくはテンポルと、
−上記で定義された少なくとも1つの促進剤、好ましくはトルイジン誘導体、特に好ましくはジ−イソ−プロパノール−p−トルイジンと、
−少なくとも1つの水硬結合又は重縮合性無機化合物、好ましくはセメントと、
−少なくとも1つの揺変剤、好ましくはフュームシリカと、
を含み、
硬化剤成分(B)は、
−ウレタン(メタ)アクリレート、好ましくは過酸化ベンゾイル(BPO)又はtert−ブチルペルオキシベンゾエートの重合開始のための少なくとも1つの開始剤と、
−水と、
を含む。
【0135】
より好ましい実施態様において、反応性樹脂成分(A)は、
−上記で定義された少なくとも1つのウレタン(メタ)アクリレート、好ましくは式(IIa)、(IIb)、又は(IIc)の化合物と、
−上記で定義されたピペリジニル−N−オキシル又はテトラヒドロピロール−N−オキシル種の少なくとも1つの阻害剤、好ましくはテンポルと、
−少なくとも1つの促進剤、好ましくはトルイジン誘導体、特に好ましくはジ−イソ−プロパノール−p−トルイジンと、
−少なくとも1つの水硬結合又は重縮合性無機化合物、好ましくはセメントと、
−少なくとも1つの揺変剤、好ましくはフュームシリカと、
を含み、
硬化剤成分(B)は、
−ウレタン(メタ)アクリレート、好ましくは過酸化ベンゾイル(BPO)又はtert−ブチルペルオキシベンゾエートの重合開始のための少なくとも1つの開始剤と、
−少なくとも1つの充填材、好ましくは石英砂又は石英粉末と、
−水と、
を含む。
【0136】
さらにより好ましい実施態様において、反応性樹脂成分(A)は、
−上記で定義された少なくとも1つのウレタン(メタ)アクリレート、好ましくは式(IIa)、(IIb)、又は(IIc)の化合物と、
−上記で定義されたピペリジニル−N−オキシル又はテトラヒドロピロール−N−オキシル種の少なくとも1つの阻害剤、好ましくはテンポルと、
−少なくとも1つの促進剤、好ましくはトルイジン誘導体、特に好ましくはジ−イソ−プロパノール−p−トルイジンと、
−カテコール及びフェノチアジンから成る群から選択される少なくとも1つのさらなる阻害剤と、
−少なくとも1つの水硬結合又は重縮合性無機化合物、好ましくはセメントと、
−少なくとも1つの揺変剤、好ましくはフュームシリカと、
を含み、
硬化剤成分(B)は、
−ウレタン(メタ)アクリレート、好ましくは過酸化ベンゾイル(BPO)又はtert−ブチルペルオキシベンゾエートの重合開始のための少なくとも1つの開始剤と、
−少なくとも1つの充填材、好ましくは石英砂又は石英粉末と、
−少なくとも1つの揺変剤、好ましくはフュームシリカと、
−水と、
を含む。
【0137】
さらにより好ましい実施態様において、反応性樹脂成分(A)は、
−上記で定義された少なくとも1つのウレタン(メタ)アクリレート、好ましくは式(IIa)、(IIb)、又は(IIc)の化合物と、
−上記で定義されたピペリジニル−N−オキシル又はテトラヒドロピロール−N−オキシル種の少なくとも1つの阻害剤、好ましくはテンポルと、
−少なくとも1つの促進剤、好ましくはトルイジン誘導体、特に好ましくはジ−イソ−プロパノール−p−トルイジンと、
−カテコール及びフェノチアジンから成る群から選択される少なくとも1つのさらなる阻害剤と、
−少なくとも1つの水硬結合又は重縮合性無機化合物、好ましくはセメントと、
−少なくとも1つの揺変剤、好ましくはフュームシリカと、
−少なくとも1つのさらなる充填剤、好ましくは石英砂と、
を含み、
硬化剤成分(B)は、
−ウレタン(メタ)アクリレートの重合開始のための開始剤としての過酸化ベンゾイル(BPO)又はtert−ブチルペルオキシベンゾエートと、
−少なくとも1つの充填材、好ましくは石英砂又は石英粉末と、
−少なくとも1つの揺変剤、好ましくはフュームシリカと、
−水と、
を含む。
【0138】
さらにより好ましい実施態様において、反応性樹脂成分(A)は、
−上記で定義された少なくとも1つのウレタン(メタ)アクリレート、好ましくは式(III)、(IV)、又は(V)の化合物と、
−テンポルと、
−ジ−イソ−プロパノール−p−トルイジンと、
−カテコール及びフェノチアジンから成る群から選択される少なくとも1つのさらなる阻害剤と、
−セメントと、
−フュームシリカと、
−石英砂と、
を含み、
硬化剤成分(B)は、
−ウレタン(メタ)アクリレートの重合開始のための少なくとも1つの開始剤と、
−フュームシリカと、
−石英砂又は石英粉末と、
−水と、
を含む。
【0139】
これらの実施態様のそれぞれにおいて、反応性樹脂成分(A)は、少なくとも1つの反応性希釈剤を好ましい実施態様として、さらに含む。この反応性希釈剤は、骨格樹脂のモノマー又はいくつかのモノマーの混合物であることが好ましい。
【0140】
これらの実施態様のそれぞれにおいて、反応性樹脂成分(A)と硬化剤成分(B)は、所望の方法で互いに組み合わせることができる。
【0141】
かかる反応性樹脂システムは、とりわけ、建設業界(建築目的)で用いられ、例えば、ポリマーコンクリート、プラスチックがベースの被膜コーク、又は常温硬化路面標示としての、例えば、コンクリートの建造部及び建造物の製造並びに維持又は修理、建造部及び建造物、例えば、壁、天井、又は床の補強、並びに建造部及び建造物上の、例えば、石、ガラス、若しくはプラスチック製のパネル又はブロック等の建造部の、例えば、接着結合(建築用接着結合)による留め付けに用いられる。それは、特に化学的留め付けに適している。これは、掘削孔、特に様々な基板、特にコンクリート、気泡コンクリート、煉瓦、石灰砂岩、砂岩、自然岩、グラス等がベースの鉱物基板及び鉄鋼基板等の金属基板に掘削された孔等の凹部でのアンカーロッド、ボルト、鉄筋、ネジ等のアンカー手段の化学的留め付け(物質と物質の結合及び/又は相互係止接合による)にさらに特に適している。1つの実施態様において、掘削孔の基板はコンクリートであり、アンカー手段は鋼又は鉄から成る。さらなる実施態様において、掘削孔の基板は鋼であり、アンカー手段は鋼又は鉄から成る。この目的のため、構成要素が掘削孔に注入された後、ねじ付きアンカーロッド等の留め付けられる装置が硬化反応性樹脂で充填された掘削孔に導入され、適切に調整される。