【課題を解決するための手段】
【0005】
ASDの診断は、典型的には、精神障害の診断と統計の手引きに詳述される基準を使用
した子供の慎重な査定の後にのみ、発達小児科医および他の専門家によってなされる。信
頼できる診断はしばしば、発達小児科医、神経病学者、精神科医、心理学者、発話と聴力
の専門家および作業療法士などの複数の専門家による対象の集中的な査定を要する。さら
に、親がASDを疑う平均年齢が20ヶ月もの早期であるという事実にもかかわらず、A
SD診断の年齢中央値は54ヶ月である。CDC(疾病管理センター)によれば、ASD
診断と判断された子供のうち18%しか36ヶ月齢までに同定されないことが観察されて
いる。残念なことに、診断未確定のASDに罹っている若年の子供は、小児期の発達の重
要な期間中に早期の治療的介入から利益を得る機会を失う。ASDリスクを確実に決定す
るための、特に、治療的介入がより有効になる可能性が高い場合により早期により若年の
子供を同定するための医療診断試験が必要である。
【0006】
本発明の実施形態は、集団内および集団全体にわたり測定された代謝産物などの分析物
の分布曲線の分析は、ASDなどの状態または障害のリスクを予測するための分類器を構
築または改善するのに利用できる情報を提供するという発見から生じたものである。特に
、血液中の代謝産物レベルの集団分布曲線の分析は、対象における自閉症スペクトラム障
害(ASD)のリスクの予測を容易にする。例えば、血液中の代謝産物レベルの集団分布
曲線の分析は、対象において自閉症スペクトラム障害(ASD)と、自閉症スペクトラム
障害に起因しない発達遅延(DD)などの非ASD発達障害とを識別するのに使用するこ
とができる。
【0007】
2つの群を識別するバイオマーカーの統計学的分析は通常、2つの集団は、それらの平
均バイオマーカーレベルの点で異なっており、この平均周辺の変動は、ガウス分布によっ
て最もよく特徴付けられる実験上および/または集団の変動に起因すると仮定する。この
ベースラインモデルに反して、本明細書では、一部の分析物について、ただしそれ以外の
ものには当てはまらないが、ASD、または時にはDDにおける分布は、複数の下位分布
、すなわち本質的に他の健康状態と識別されていないある下位分布(例えば、ASD分布
とDD分布とが識別されていない場合)、および対象の少数派において平均からかけ離れ
ている別の下位分布、例えばその集団について組み合わされた分布の「テール」でそれ自
身構成されていることを最大の特徴とすることが観察されている。この見識は、ベースラ
インとは著しく異なる分析の枠組みをもたらすものであり、ある特定の分析物について、
集団分布の上位または下位部分に基づいて閾値を定義することによって、例えば、基準と
なるガウス分布モデルを必要としないランキングを確立することによって、より優れた結
果が達成されることが見出されている。
【0008】
したがって、本明細書において、ある代謝産物に関する代謝産物レベルの分布曲線の遠
位部分において特定の集団(例えば、ASDまたはDDのいずれか)からの試料の濃縮が
みられる場合、その代謝産物は、「テール濃縮」または「テール」効果を表すと説明され
る。代謝産物の分布曲線におけるテール効果の存在、非存在、および/または方向(より
高いまたはより低い)の査定からの情報は、ASDのリスクを予測するために利用するこ
とができる。特定の代謝産物に関して、分布曲線の上位または下位部分(例えば、十分位
数)に対応する、すなわち分布曲線の「テール」内(「右テール」中または「左テール」
中かどうかにかかわらず)の代謝産物レベルは、ASDの存在または非存在について高い
情報的価値があることが発見された。
【0009】
さらに、オーバーラップする相互情報量の程度が低い複数の代謝産物が取り入れられる
ため、リスク予測は改善されることが見出されている。例えば、ASDの査定のために、
相補的な診断/リスク査定情報を提供する代謝産物の特定の群が存在する。すなわち、第
1の代謝産物のレベルの分析によって同定可能なASD陽性個体(例えば、第1の代謝産
物の同定されたテール内の個体)は、第2の代謝産物の分析によって同定可能なASD陽
性個体と同じではない(または低いがゼロではない程度のオーバーラップが存在する可能
性がある)。特定の理論に縛られることは望まないが、この発見は、ASDそれ自身の多
面的な性質を反映している可能性がある。
【0010】
したがって、ある特定の実施形態において、リスク査定方法は、対象が複数の代謝産物
を含む多数の同定された代謝産物テールのいずれかに当てはまるかどうかを同定するステ
ップ、例えば、異なる代謝産物テールの予測変数が少なくとも部分的に排反する場合、例
えば、複数の代謝産物が低い相互情報量で取り入れられることによってリスク予測が改善
されるように、それらが低い相互情報量を有する場合を同定するステップを包含する。分
類器は、予め決定されたレベルの予測可能性を、例えばAUC、すなわち、その分類器に
ついての真陽性率(感度)に対して偽陽性率(1−特異度)をプロットしたROC曲線下
の面積の形態で有しており、テール効果を表す分類器に代謝産物が低い相互情報量で追加
されるとAUCは増加する。
【0011】
一部の実施形態において、本発明は、血液中の代謝産物レベルのある特定の閾値の値は
、対象における自閉症スペクトラム障害(ASD)のリスク予測を容易にするのに使用で
きるという発見から生じたものである。ある特定の態様において、代謝産物の分布曲線に
おけるテール効果の存在、非存在、および/または方向(より高いまたはより低い)の査
定から推測された代謝産物のこれらの閾値の値は、ASDのリスクを予測するのに利用さ
れる。ある特定の態様において、これらの閾値の値は、集団における代謝産物レベルの分
布における上端または下端のいずれかに存在し得る。特定の代謝産物に関して、上の閾値
の値を超えるおよび/または下の閾値の値を下回る代謝産物レベルは、ASDの存在また
は非存在について高い情報的価値があることが発見された。
【0012】
一部の実施形態において、これらの代謝産物のレベルは、ASDを他の形態の発達遅延
(例えば、自閉症スペクトラム障害に起因しない発達遅延(DD))と区別することにお
いて有用である。
【0013】
一態様において、本発明は、対象において自閉症スペクトラム障害(ASD)と非AS
D発達遅延(DD)とを識別する方法であって、(i)対象から得られた試料に由来する
複数の代謝産物の第1の代謝産物のレベルを測定するステップであって、第1の代謝産物
の集団分布が、ASDを有する対象の第1の集団および非ASD発達遅延(DD)を有す
る対象の第2の集団において前もって特徴付けられ、ここで第1の代謝産物は、ASDテ
ール効果および/またはDDテール効果を表すことが予め決定されており、各テール効果
は、対応する(ASDまたはDD)集団のメンバーで濃縮された関連する右テールまたは
左テールを含み、ここで第1の代謝産物は、右テールを有するASDテール効果を表し、
試料中の第1の代謝産物のレベルが第1の(ASD)集団のメンバーで濃縮された右テー
ルを定義する予め決定された上の(最小の)閾値より大きい場合、試料中の第1の代謝産
物のレベルはASDテール内であり、ここで第1の代謝産物は、左テールを有するASD
テール効果を表し、試料中の第1の代謝産物のレベルが第1の(ASD)集団のメンバー
で濃縮された左テールを定義する予め決定された下の(最大の)閾値未満である場合、試
料中の第1の代謝産物のレベルはASDテール内であり、ここで第1の代謝産物は、右テ
ールを有するDDテール効果を表し、試料中の第1の代謝産物のレベルが第2の(DD)
集団のメンバーで濃縮された右テールを定義する予め決定された上の(最小の)閾値より
大きい場合、試料中の第1の代謝産物のレベルはDDテール内であり、ここで第1の代謝
産物は、左テールを有するDDテール効果を表し、試料中の第1の代謝産物のレベルが第
2の(DD)集団のメンバーで濃縮された左テールを定義する予め決定された下の(最大
の)閾値未満である場合、試料中の第1の代謝産物のレベルはDDテール内である、ステ
ップ;(ii)試料に由来する複数の代謝産物の少なくとも1種の追加の代謝産物のレベ
ルを測定するステップであって、少なくとも1種の追加の代謝産物のそれぞれの集団分布
が、第1の集団および第2の集団において前もって特徴付けられ、ASDテール効果およ
びDDテール効果の少なくとも1つを表すことが予め決定されており、少なくとも1種の
追加の代謝産物のそれぞれについて、ステップ(i)に従って試料中の前記代謝産物のレ
ベルが対応するASDテールおよび/またはDDテール内であるかどうかを同定するステ
ップ;ならびに(iii)ステップ(i)およびステップ(ii)で分析された代謝産物
に関して試料がその範囲内にある同定されたASDテールおよび/または同定されたDD
テールに基づいて、予め決定されたレベルの予測可能性を用いて、(a)対象がASDを
有しDDを有さないこと、または(b)対象がDDを有しASDを有さないことを決定す
るステップを含む方法を対象とする。
【0014】
ある特定の実施形態において、第1の代謝産物は、関連する上の(最小の)または下の
(最大の)閾値を有するASDテール効果を表すことが予め決定されており、前記閾値は
、この基準を満たす未知の分類の試料(前もって特徴付けられていない試料)がDDに対
してASDであるというオッズがp≦0.3で1.6:1以上になるように予め決定され
ている。ある特定の実施形態において、オッズは、2:1以上、または2.5:1以上、
または2.75:1以上、または3:1以上、または3.25:1以上、または3.5:
1以上、または3.75:1以上、または4:1以上である。前述のもののいずれかにお
いて、p値(統計学的有意性の値)は、p≦0.3、またはp≦0.25、またはp≦0
.2、またはp≦0.15、またはp≦0.1、またはp≦0.05を満たす。
【0015】
ある特定の実施形態において、第1の代謝産物は、関連する上の(最小の)または下の
(最大の)閾値を有するDDテール効果を表すことが予め決定されており、前記閾値は、
この基準を満たす未知の分類の試料(前もって特徴付けられていない試料)がASDに対
してDDであるというオッズがp≦0.3で1.6:1以上になるように予め決定されて
いる。ある特定の実施形態において、オッズは、2:1以上、または2.5:1以上、ま
たは2.75:1以上、または3:1以上、または3.25:1以上、または3.5:1
以上、または3.75:1以上、または4:1以上である。前述のもののいずれかにおい
て、p値(統計学的有意性の値)は、p≦0.3、またはp≦0.25、またはp≦0.
2、またはp≦0.15、またはp≦0.1、またはp≦0.05を満たす。
【0016】
ある特定の実施形態において、予め決定されたレベルの予測可能性は、少なくとも0.
70のAUC(曲線下面積)を有する真陽性率(感度)に対して偽陽性率(1−特異度)
をプロットした受信者動作特性(ROC)曲線に相当する。
【0017】
ある特定の実施形態において、代謝産物の1種または複数に関する予め決定された上の
(最小の)閾値は、85から95パーセンタイル(例えば、小数点以下のパーセンタイル
を切り捨てて、約90パーセンタイル、または約85、86、87、88、89、91、
92、93、94、もしくは95パーセンタイル)のパーセンタイルであり、代謝産物の
1種または複数に関する予め決定された下の(最大の)閾値は、10から20パーセンタ
イル(例えば、小数点以下のパーセンタイルを切り捨てて、約15パーセンタイル、また
は約10、11、12、13、14、16、17、18、19、もしくは20パーセンタ
イル)のパーセンタイルである。
【0018】
ある特定の実施形態において、複数の代謝産物は、5−ヒドロキシインドールアセテー
ト(5−HIAA)、1,5−アンヒドログルシトール(1,5−AG)、3−(3−ヒ
ドロキシフェニル)プロピオネート、3−カルボキシ−4−メチル−5−プロピル−2−
フランプロパノエート(CMPF)、3−インドキシルスルフェート、4−エチルフェニ
ルスルフェート、8−ヒドロキシオクタノエート、ガンマ−CEHC、ヒドロキシイソバ
レロイルカルニチン(hydroxyisovaleroylcarnitine)(C5)、インドールアセテート
、イソバレリルグリシン、ラクテート、N1−メチル−2−ピリドン−5−カルボキサミ
ド、p−クレゾールスルフェート、パントテネート(ビタミンB5)、フェニルアセチル
グルタミン、ピペコレート、キサンチン、ヒドロキシ−クロロタロニル、オクテノイルカ
ルニチン(octenoylcarnitine)、および3−ヒドロキシヒプレートからなる群から選択
される少なくとも2種の代謝産物を含む。
【0019】
ある特定の実施形態において、複数の代謝産物は、フェニルアセチルグルタミン、キサ
ンチン、オクテノイルカルニチン、p−クレゾールスルフェート、イソバレリルグリシン
、ガンマ−CEHC、インドールアセテート、ピペコレート、1,5−アンヒドログルシ
トール(1,5−AG)、ラクテート、3−(3−ヒドロキシフェニル)プロピオネート
、3−インドキシルスルフェート、パントテネート(ビタミンB5)、およびヒドロキシ
−クロロタロニルからなる群から選択される少なくとも2種の代謝産物を含む。
【0020】
ある特定の実施形態において、複数の代謝産物は、フェニルアセチルグルタミン、キサ
ンチン、オクテノイルカルニチン、p−クレゾールスルフェート、イソバレリルグリシン
、ガンマ−CEHC、インドールアセテート、ピペコレート、1,5−アンヒドログルシ
トール(1,5−AG)、ラクテート、3−(3−ヒドロキシフェニル)プロピオネート
、3−インドキシルスルフェート、パントテネート(ビタミンB5)、およびヒドロキシ
−クロロタロニルからなる群から選択される少なくとも3種の代謝産物を含む。
【0021】
ある特定の実施形態において、複数の代謝産物は、表6に列挙した対から選択される少
なくとも1つの代謝産物の対を含む。
【0022】
ある特定の実施形態において、複数の代謝産物は、表7で列挙した3つ組から選択され
る少なくとも1つの代謝産物の3つ組を含む。
【0023】
ある特定の実施形態において、複数の代謝産物は、2種の代謝産物のセットとして一緒
に組み合わされて、少なくとも0.62(例えば、少なくとも約0.63、0.64、ま
たは0.65)のAUCを提供する少なくとも1つの代謝産物の対を含み、ここでAUC
は、その2種の代謝産物のセットにのみ基づく分類器についての真陽性率(感度)に対し
て偽陽性率(1−特異度)をプロットしたROC曲線下の面積である。
【0024】
ある特定の実施形態において、複数の代謝産物は、3種の代謝産物のセットとして一緒
に組み合わされて、少なくとも0.66(例えば、少なくとも約0.67または0.68
)のAUCを提供する少なくとも1つの代謝産物の3つ組を含み、ここでAUCは、その
3種の代謝産物のセットにのみ基づく分類器についての真陽性率(感度)に対して偽陽性
率(1−特異度)をプロットしたROC曲線下の面積である。
【0025】
別の態様において、本発明は、対象における自閉症スペクトラム障害(ASD)のリス
クを決定する方法であって、(i)対象から得られた試料に由来する複数の代謝産物の第
1の代謝産物のレベルを分析するステップであって、第1の代謝産物の集団分布が、公知
の分類を有する対象の参照集団において前もって特徴付けられ、ここで第1の代謝産物は
、ASDメンバーで濃縮された関連する右テールまたは左テールを含むASDテール効果
を表すことが予め決定されており、ここで第1の代謝産物は、右テールを有するASDテ
ール効果を表し、試料中の第1の代謝産物のレベルがASD集団のメンバーで濃縮された
右テールを定義する予め決定された上の(最小の)閾値より大きい場合、試料中の第1の
代謝産物のレベルはASDテール内であり、ここで第1の代謝産物は、左テールを有する
ASDテール効果を表し、試料中の第1の代謝産物のレベルがASD集団のメンバーで濃
縮された左テールを定義する予め決定された下の(最大の)閾値未満である場合、試料中
の第1の代謝産物のレベルはASDテール内である、ステップ;(ii)試料に由来する
複数の代謝産物の少なくとも1種の追加の代謝産物のレベルを測定するステップであって
、少なくとも1種の追加の代謝産物のそれぞれの集団分布が、参照集団において前もって
特徴付けられ、ASDテール効果を表すことが予め決定されており、少なくとも1種の追
加の代謝産物のそれぞれについて、ステップ(i)に従って試料中の前記代謝産物のレベ
ルが対応するASDテール内であるかどうかを同定するステップ;ならびに(iii)ス
テップ(i)およびステップ(ii)で分析された代謝産物に関して試料がその範囲内に
ある同定されたASDテールに基づいて、予め決定されたレベルの予測可能性を用いて、
ASDを有する対象のリスクを決定するステップを含む方法を対象とする。
【0026】
ある特定の実施形態において、第1の代謝産物は、関連する上の(最小の)または下の
(最大の)閾値を有するASDテール効果を表すことが予め決定されており、前記閾値は
、この基準を満たす未知の分類の試料(前もって特徴付けられていない試料)がDDに対
してASDであるというオッズがp≦0.3で1.6:1以上になるように予め決定され
ている。ある特定の実施形態において、オッズは、2:1以上、または2.5:1以上、
または2.75:1以上、または3:1以上、または3.25:1以上、または3.5:
1以上、または3.75:1以上、または4:1以上である。前述のもののいずれかにお
いて、p値(統計学的有意性の値)は、p≦0.3、またはp≦0.25、またはp≦0
.2、またはp≦0.15、またはp≦0.1、またはp≦0.05を満たす。
【0027】
ある特定の実施形態において、予め決定されたレベルの予測可能性は、少なくとも0.
70のAUC(曲線下面積)を有する真陽性率(感度)に対して偽陽性率(1−特異度)
をプロットした受信者動作特性(ROC)曲線に相当する。
【0028】
ある特定の実施形態において、複数の代謝産物は、5−ヒドロキシインドールアセテー
ト(5−HIAA)、1,5−アンヒドログルシトール(1,5−AG)、3−(3−ヒ
ドロキシフェニル)プロピオネート、3−カルボキシ−4−メチル−5−プロピル−2−
フランプロパノエート(CMPF)、3−インドキシルスルフェート、4−エチルフェニ
ルスルフェート、8−ヒドロキシオクタノエート、ガンマ−CEHC、ヒドロキシイソバ
レロイルカルニチン(C5)、インドールアセテート、イソバレリルグリシン、ラクテー
ト、N1−メチル−2−ピリドン−5−カルボキサミド、p−クレゾールスルフェート、
パントテネート(ビタミンB5)、フェニルアセチルグルタミン、ピペコレート、キサン
チン、ヒドロキシ−クロロタロニル、オクテノイルカルニチン、および3−ヒドロキシヒ
プレートからなる群から選択される少なくとも2種の代謝産物を含む。
【0029】
別の態様において、本発明は、対象における自閉症スペクトラム障害(ASD)のリス
クを決定する方法であって、(i)対象から得られた試料中の複数の代謝産物のレベルを
分析するステップであって、複数の代謝産物が、5−ヒドロキシインドールアセテート(
5−HIAA)、1,5−アンヒドログルシトール(1,5−AG)、3−(3−ヒドロ
キシフェニル)プロピオネート、3−カルボキシ−4−メチル−5−プロピル−2−フラ
ンプロパノエート(CMPF)、3−インドキシルスルフェート、4−エチルフェニルス
ルフェート、8−ヒドロキシオクタノエート、ガンマ−CEHC、ヒドロキシイソバレロ
イルカルニチン(C5)、インドールアセテート、イソバレリルグリシン、ラクテート、
N1−メチル−2−ピリドン−5−カルボキサミド、p−クレゾールスルフェート、パン
トテネート(ビタミンB5)、フェニルアセチルグルタミン、ピペコレート、キサンチン
、ヒドロキシ−クロロタロニル、オクテノイルカルニチン、および3−ヒドロキシヒプレ
ートからなる群から選択される少なくとも2種の代謝産物を含む、ステップ;ならびに(
ii)複数の代謝産物の定量化されたレベルに基づいて、対象がASDを有するリスクを
決定するステップを含む方法を対象とする。
【0030】
ある特定の実施形態において、対象は、約54ヶ月齢以下である。ある特定の実施形態
において、対象は、約36ヶ月齢以下である。
【0031】
ある特定の実施形態において、複数の代謝産物は、フェニルアセチルグルタミン、キサ
ンチン、オクテノイルカルニチン、p−クレゾールスルフェート、イソバレリルグリシン
、ガンマ−CEHC、インドールアセテート、ピペコレート、1,5−アンヒドログルシ
トール(1,5−AG)、ラクテート、3−(3−ヒドロキシフェニル)プロピオネート
、3−インドキシルスルフェート、パントテネート(ビタミンB5)、およびヒドロキシ
−クロロタロニルからなる群から選択される少なくとも2種の代謝産物を含む。
【0032】
ある特定の実施形態において、複数の代謝産物は、フェニルアセチルグルタミン、キサ
ンチン、オクテノイルカルニチン、p−クレゾールスルフェート、イソバレリルグリシン
、ガンマ−CEHC、インドールアセテート、ピペコレート、1,5−アンヒドログルシ
トール(1,5−AG)、ラクテート、3−(3−ヒドロキシフェニル)プロピオネート
、3−インドキシルスルフェート、パントテネート(ビタミンB5)、およびヒドロキシ
−クロロタロニルからなる群から選択される少なくとも3種の代謝産物を含む。
【0033】
ある特定の実施形態において、複数の代謝産物は、表6に列挙した対から選択される少
なくとも1つの代謝産物の対を含む。
【0034】
ある特定の実施形態において、複数の代謝産物は、表7で列挙した3つ組から選択され
る少なくとも1つの代謝産物の3つ組を含む。
【0035】
ある特定の実施形態において、複数の代謝産物は、2種の代謝産物のセットとして一緒
に組み合わされて、少なくとも0.62(例えば、少なくとも約0.63、0.64、ま
たは0.65)のAUCを提供する少なくとも1つの代謝産物の対を含み、ここでAUC
は、その2種の代謝産物のセットにのみ基づく分類器についての真陽性率(感度)に対し
て偽陽性率(1−特異度)をプロットしたROC曲線下の面積である。
【0036】
ある特定の実施形態において、複数の代謝産物は、3種の代謝産物のセットとして一緒
に組み合わされて、少なくとも0.66(例えば、少なくとも約0.67または0.68
)のAUCを提供する少なくとも1つの代謝産物の3つ組を含み、ここでAUCは、その
3種の代謝産物のセットにのみ基づく分類器についての真陽性率(感度)に対して偽陽性
率(1−特異度)をプロットしたROC曲線下の面積である。
【0037】
ある特定の実施形態において、試料は、血漿試料である。
【0038】
ある特定の実施形態において、代謝産物のレベルを測定するステップは、質量分析を行
うことを含む。ある特定の実施形態において、質量分析を行うことは、熱分解質量分析、
フーリエ変換赤外分光分析、ラマン分光分析、ガスクロマトグラフ質量分析、高圧液体ク
ロマトグラフィー/質量分析(HPLC/MS)、液体クロマトグラフィー(LC)−エ
レクトロスプレー質量分析、cap−LC−タンデムエレクトロスプレー質量分析、およ
び超高速液体クロマトグラフィー/エレクトロスプレーイオン化タンデム質量分析からな
る群から選択される1つまたは複数のメンバーを行うことを含む。
【0039】
別の態様において、本発明は、対象において自閉症スペクトラム障害(ASD)と非A
SD発達遅延(DD)とを識別する方法であって、(i)対象から得られた試料中の複数
の代謝産物のレベルを分析するステップであって、複数の代謝産物が、5−ヒドロキシイ
ンドールアセテート(5−HIAA)、1,5−アンヒドログルシトール(1,5−AG
)、3−(3−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、3−カルボキシ−4−メチル−5
−プロピル−2−フランプロパノエート(CMPF)、3−インドキシルスルフェート、
4−エチルフェニルスルフェート、8−ヒドロキシオクタノエート、ガンマ−CEHC、
ヒドロキシイソバレロイルカルニチン(C5)、インドールアセテート、イソバレリルグ
リシン、ラクテート、N1−メチル−2−ピリドン−5−カルボキサミド、p−クレゾー
ルスルフェート、パントテネート(ビタミンB5)、フェニルアセチルグルタミン、ピペ
コレート、キサンチン、ヒドロキシ−クロロタロニル、オクテノイルカルニチン、および
3−ヒドロキシヒプレートからなる群から選択される少なくとも2種の代謝産物を含み、
複数の代謝産物のレベルおよび/または集団分布が、参照集団において前もって特徴付け
られる、ステップ;ならびに(ii)予め決定されたレベルの予測可能性を用いて、予め
決定された閾値(例えば、公知の分類を有する試料の参照集団から決定された閾値)を有
する対象からの試料に由来する複数の代謝産物のレベルを比較することによって、(a)
対象がASDを有しDDを有さないこと、または(b)対象がDDを有しASDを有さな
いことを決定するステップを含む方法を対象とする。
【0040】
ある特定の実施形態において、本発明は、異なる代謝産物に重みを割り当てて、リスク
予測においてそれらのそれぞれの機能を反映することによって、代謝産物を分析するため
の方法を提供する。一部の実施形態において、重みの割り当ては、代謝産物の生物学的機
能(例えば、それらが属する経路)、それらの臨床的有用性、または統計もしくは疫学的
分析に基づくそれらの重要性から推測することができる。
【0041】
ある特定の実施形態において、本発明は、これらに限定されないが、クロマトグラフィ
ーアッセイ、質量分析アッセイ、蛍光測定法アッセイ、電気泳動アッセイ、免疫親和性ア
ッセイ、および免疫化学アッセイなどの様々な技術を使用して代謝産物を測定するための
方法を提供する。
【0042】
ある特定の実施形態において、本発明は、対象における自閉症スペクトラム障害(AS
D)のリスクを決定するための方法であって、対象からの試料に由来する複数の代謝産物
のレベルを分析するステップ;および予め決定されたレベルの予測可能性を用いて、複数
の代謝産物の定量化されたレベルに基づいて、対象が非ASD発達障害ではなくASDを
有するかどうかを決定するステップを含む方法を提供する。
【0043】
ある特定の実施形態において、複数の代謝産物は、5−ヒドロキシインドールアセテー
ト(5−HIAA)、1,5−アンヒドログルシトール(1,5−AG)、3−(3−ヒ
ドロキシフェニル)プロピオネート、3−カルボキシ−4−メチル−5−プロピル−2−
フランプロパノエート(CMPF)、3−インドキシルスルフェート、4−エチルフェニ
ルスルフェート、8−ヒドロキシオクタノエート、ガンマ−CEHC、ヒドロキシイソバ
レロイルカルニチン(C5)、インドールアセテート、イソバレリルグリシン、ラクテー
ト、N1−メチル−2−ピリドン−5−カルボキサミド、p−クレゾールスルフェート、
パントテネート(ビタミンB5)、フェニルアセチルグルタミン、ピペコレート、キサン
チン、ヒドロキシ−クロロタロニル、オクテノイルカルニチン、3−ヒドロキシヒプレー
ト、およびそれらの組合せからなる群から選択される少なくとも1種の代謝産物を包含す
る。
【0044】
ある特定の実施形態において、複数の代謝産物は、5−ヒドロキシインドールアセテー
ト(5−HIAA)、1,5−アンヒドログルシトール(1,5−AG)、3−(3−ヒ
ドロキシフェニル)プロピオネート、3−カルボキシ−4−メチル−5−プロピル−2−
フランプロパノエート(CMPF)、3−インドキシルスルフェート、4−エチルフェニ
ルスルフェート、8−ヒドロキシオクタノエート、ガンマ−CEHC、ヒドロキシイソバ
レロイルカルニチン(C5)、インドールアセテート、イソバレリルグリシン、ラクテー
ト、N1−メチル−2−ピリドン−5−カルボキサミド、p−クレゾールスルフェート、
パントテネート(ビタミンB5)、フェニルアセチルグルタミン、ピペコレート、キサン
チン、ヒドロキシ−クロロタロニル、オクテノイルカルニチン、3−ヒドロキシヒプレー
ト、およびそれらの組合せからなる群から選択される少なくとも2種の代謝産物を包含す
る。
【0045】
ある特定の実施形態において、複数の代謝産物は、5−ヒドロキシインドールアセテー
ト(5−HIAA)、1,5−アンヒドログルシトール(1,5−AG)、3−(3−ヒ
ドロキシフェニル)プロピオネート、3−カルボキシ−4−メチル−5−プロピル−2−
フランプロパノエート(CMPF)、3−インドキシルスルフェート、4−エチルフェニ
ルスルフェート、8−ヒドロキシオクタノエート、ガンマ−CEHC、ヒドロキシイソバ
レロイルカルニチン(C5)、インドールアセテート、イソバレリルグリシン、ラクテー
ト、N1−メチル−2−ピリドン−5−カルボキサミド、p−クレゾールスルフェート、
パントテネート(ビタミンB5)、フェニルアセチルグルタミン、ピペコレート、キサン
チン、ヒドロキシ−クロロタロニル、オクテノイルカルニチン、3−ヒドロキシヒプレー
ト、およびそれらの組合せからなる群から選択される、少なくとも3、少なくとも4、少
なくとも5、少なくとも6、少なくとも7、少なくとも8、少なくとも9、または少なく
とも10種の代謝産物を包含する。
【0046】
ある特定の実施形態において、複数の代謝産物は、追加の代謝産物を包含する。一部の
実施形態において、複数の代謝産物は、21種より多くの代謝産物を包含する。
【0047】
ある特定の実施形態において、本発明は、対象において自閉症スペクトラム障害(AS
D)と非ASD発達障害とを識別するための方法であって、対象からの試料に由来する複
数の代謝産物のレベルを分析するステップ、代謝産物のレベルを、1つの参照集団におけ
るそれらのそれぞれの集団分布と比較するステップ、および予め決定されたレベルの予測
可能性を用いて、対象からの試料に由来する複数の代謝産物のレベルを、参照集団におけ
る複数の代謝産物の前もって特徴付けられたレベルおよび/または集団分布と比較するこ
とによって、対象が非ASD発達障害ではなくASDを有するかどうかを決定するステッ
プを含む方法を提供する。
【0048】
例えば、ある特定の実施形態において、本発明は、対象におけるASDのリスクを予測
することができる少なくとも1種の代謝産物を包含する診断基準であって、ROC曲線が
、少なくとも0.60、少なくとも0.65、少なくとも0.70、少なくとも0.75
、少なくとも0.80、少なくとも0.85または少なくとも0.90のAUCを有する
、診断基準を提供する。AUCは、分類器について真陽性率(感度)に対して偽陽性率(
1−特異度)をプロットしたROC曲線下の面積である。
【0049】
ある特定の実施形態において、分析のための少なくとも1種の代謝産物は、5−ヒドロ
キシインドールアセテート(5−HIAA)、1,5−アンヒドログルシトール(1,5
−AG)、3−(3−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、3−カルボキシ−4−メチ
ル−5−プロピル−2−フランプロパノエート(CMPF)、3−インドキシルスルフェ
ート、4−エチルフェニルスルフェート、8−ヒドロキシオクタノエート、ガンマ−CE
HC、ヒドロキシイソバレロイルカルニチン(C5)、インドールアセテート、イソバレ
リルグリシン、ラクテート、N1−メチル−2−ピリドン−5−カルボキサミド、p−ク
レゾールスルフェート、パントテネート(ビタミンB5)、フェニルアセチルグルタミン
、ピペコレート、キサンチン、ヒドロキシ−クロロタロニル、オクテノイルカルニチン、
3−ヒドロキシヒプレート、およびそれらの組合せからなる群から選択される。
【0050】
ある特定の実施形態において、分析のための少なくとも1種の代謝産物は、5−ヒドロ
キシインドールアセテート(5−HIAA)、1,5−アンヒドログルシトール(1,5
−AG)、3−(3−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、3−カルボキシ−4−メチ
ル−5−プロピル−2−フランプロパノエート(CMPF)、3−インドキシルスルフェ
ート、4−エチルフェニルスルフェート、8−ヒドロキシオクタノエート、ガンマ−CE
HC、ヒドロキシイソバレロイルカルニチン(C5)、インドールアセテート、イソバレ
リルグリシン、ラクテート、N1−メチル−2−ピリドン−5−カルボキサミド、p−ク
レゾールスルフェート、パントテネート(ビタミンB5)、フェニルアセチルグルタミン
、ピペコレート、キサンチン、ヒドロキシ−クロロタロニル、オクテノイルカルニチン、
および3−ヒドロキシヒプレートからなる群から選択される少なくとも2種またはそれよ
り多く(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14
、15、16、17、18、19、20、21種)のメンバーを含み、非ASD集団分布
曲線およびASD集団分布曲線は、代謝産物のそれぞれ(例えば、テール効果を実証する
前記代謝産物のそれぞれ)について確立される。
【0051】
ある特定の実施形態において、分析のための代謝産物は、ガンマ−CEHC、キサンチ
ン、p−クレゾールスルフェート、オクテノイルカルニチン、フェニルアセチルグルタミ
ン、およびそれらの組合せからなる群から選択される。
【0052】
ある特定の実施形態において、分析のための代謝産物は、ガンマ−CEHCである。
【0053】
ある特定の実施形態において、分析のための代謝産物は、キサンチンである。
【0054】
ある特定の実施形態において、分析のための代謝産物は、p−クレゾールスルフェート
である。
【0055】
ある特定の実施形態において、分析のための代謝産物は、オクテノイルカルニチンであ
る。
【0056】
ある特定の実施形態において、分析のための代謝産物は、フェニルアセチルグルタミン
である。
【0057】
ある特定の実施形態において、分析のための代謝産物は、イソバレリルグリシンである
。
【0058】
ある特定の実施形態において、分析のための代謝産物は、ピペコレートである。
【0059】
ある特定の実施形態において、分析のための代謝産物は、インドールアセテートである
。
【0060】
ある特定の実施形態において、分析のための代謝産物は、オクテノイルカルニチンであ
る。
【0061】
ある特定の実施形態において、分析のための代謝産物は、ヒドロキシ−クロロタロニル
である。
【0062】
ある特定の実施形態において、複数の代謝産物は、相補的である少なくとも第1の代謝
産物および第2の代謝産物を含む(例えば、代謝産物によって提供される予測変数が部分
的に排反して低い相互情報量を有するように、第1および第2の代謝産物のためのASD
テール試料は実質的にオーバーラップしない。ある特定の実施形態において、複数の代謝
産物が低い相互情報量で取り入れられることによってリスク予測は改善される。
【0063】
ある特定の実施形態において、複数の代謝産物は、2種の代謝産物を含み、ここで2種
の代謝産物は、2種の代謝産物のセットとして一緒に組み合わされて、少なくとも0.6
2、0.63、0.64、または0.65のAUCを提供する。
【0064】
ある特定の実施形態において、複数の代謝産物は、3種の代謝産物を含み、ここで3種
の代謝産物は、3種の代謝産物のセットとして一緒に組み合わされて、少なくとも0.6
6、0.67、または0.68のAUCを提供する。
【0065】
ある特定の実施形態において、本発明は、前もって定義された代謝産物の2つの群のレ
ベルを分析することによって、対象において自閉症スペクトラム障害(ASD)と非AS
D発達障害とを識別する方法を提供する。ある特定の実施形態において、代謝産物の第1
の群は、ASDと密接に関連する代謝産物を表し、一方で代謝産物の第2の群は、対照状
態(例えば、DD)と関連する代謝産物を表す。対象からの試料に由来する代謝産物の両
方の群を分析することによって、対照状態ではなくASDを有する対象のリスクを、本開
示で説明される様々な方法によって決定することができる。例えば、これは、代謝産物の
第1の群について集約されたASDテール効果を、代謝産物の第2の群について集約され
た非ASDテール効果と比較することによって達成できる。
【0066】
ある特定の実施形態において、本発明は、対象において自閉症スペクトラム障害(AS
D)と非ASD発達遅延(DD)とを識別するための方法であって、(i)対象から得ら
れた試料中の複数の代謝産物のレベルを測定するステップであって、複数の代謝産物が、
キサンチン、ガンマ−CEHC、ヒドロキシ−クロロタロニル、5−ヒドロキシインドー
ルアセテート(5−HIAA)、インドールアセテート、p−クレゾールスルフェート、
1,5−アンヒドログルシトール(1,5−AG)、3−(3−ヒドロキシフェニル)プ
ロピオネート、3−カルボキシ−4−メチル−5−プロピル−2−フランプロパノエート
(CMPF)、3−インドキシルスルフェート、4−エチルフェニルスルフェート、ヒド
ロキシイソバレロイルカルニチン(C5)、イソバレリルグリシン、ラクテート、N1−
メチル−2−ピリドン−5−カルボキサミド、パントテネート(ビタミンB5)、フェニ
ルアセチルグルタミン、ピペコレート、3−ヒドロキシヒプレート、およびそれらの組合
せからなる群から選択される少なくとも2種の代謝産物を含む、ステップ;ならびに(i
i)(a)表9Aで定義されるASD(ASD左テール効果)の指標であるか、もしくは
(b)表9Bで定義されるDD(DD左テール効果)の指標である、予め決定された閾値
濃度もしくはそれ未満のレベルを有する試料中の代謝産物の数を計算するステップ;なら
びに/または(iii)(a)表9Aで定義されるASD(ASD右テール効果)の指標
であるか、もしくは(b)表9Bで定義されるDD(DD右テール効果)の指標である、
予め決定された閾値濃度もしくはそれを超えるレベルを有する試料中の代謝産物の数を計
算するステップ;ならびに(iv)ステップ(ii)および/または(iii)で得られ
た数に基づいて、対象がASDまたはDDを有すると決定するステップを含む方法を提供
する。
【0067】
ある特定の実施形態において、本発明は、対象がASDを有するかまたはそのリスクが
あることを決定するための方法であって、(i)対象から得られた試料中の複数の代謝産
物のレベルを測定するステップであって、複数の代謝産物が、キサンチン、ガンマ−CE
HC、ヒドロキシ−クロロタロニル、5−ヒドロキシインドールアセテート(5−HIA
A)、インドールアセテート、p−クレゾールスルフェート、1,5−アンヒドログルシ
トール(1,5−AG)、3−カルボキシ−4−メチル−5−プロピル−2−フランプロ
パノエート(CMPF)、3−インドキシルスルフェート、4−エチルフェニルスルフェ
ート、ヒドロキシイソバレロイルカルニチン(C5)、イソバレリルグリシン、ラクテー
ト、N1−メチル−2−ピリドン−5−カルボキサミド、パントテネート(ビタミンB5
)、フェニルアセチルグルタミン、ピペコレート、3−ヒドロキシヒプレート、およびそ
れらの組合せからなる群から選択される少なくとも2種の代謝産物を含む、ステップ;な
らびに(ii)(a)182.7ng/mlまたはそれを超えるレベルのキサンチン;(
b)20.3ng/mlまたはそれを超えるレベルのヒドロキシル−クロロタロニル;(
c)28.5ng/mlまたはそれを超えるレベルの5−ヒドロキシインドールアセテー
ト;(d)686600ng/mlまたはそれを超えるレベルのラクテート;(e)63
.3ng/mlまたはそれを超えるレベルのパントテネート;(f)303.6ng/m
lまたはそれを超えるレベルのピペコレート;(g)32.0ng/mlまたはそれ未満
のレベルのガンマ−CEHC;(h)141.4ng/mlまたはそれ未満のレベルのイ
ンドールアセテート;(i)182.7ng/mlまたはそれ未満のレベルのp−クレゾ
ールスルフェート;(j)11910.3ng/mlまたはそれ未満のレベルの1,5−
アンヒドログルシトール(1,5−AG);(k)7.98ng/mlまたはそれ未満の
レベルの3−カルボキシ−4−メチル−5−プロピル−2−フランプロパノエート(CM
PF);(l)256.7ng/mlまたはそれ未満のレベルの3−インドキシルスルフ
ェート;(m)3.0ng/mlまたはそれ未満のレベルの4−エチルフェニルスルフェ
ート;(n)12.9ng/mlまたはそれ未満のレベルのヒドロキシイソバレロイルカ
ルニチン(C5);(o)124.82ng/mlまたはそれ未満のレベルのN1−メチ
ル−2−ピリドン−5−カルボキサミド;および(p)166.4ng/mlまたはそれ
未満のレベルのフェニルアセチルグルタミン(phenacetylglutamine)の2種またはそれ
より多くを検出するステップ;ならびに(iii)ステップ(ii)で検出された代謝産
物レベルに基づいて対象がASDを有するかまたはそのリスクがあると決定するステップ
を含む方法を提供する。
【0068】
一部の実施形態において、ステップ(ii)で検出される代謝産物レベルは、およその
レベルである。
【0069】
一部の実施形態において、本発明は、自閉症スペクトラム障害(ASD)を有するかま
たはそれを有するリスクがあると対象を診断する方法であって、(i)前記対象から得ら
れた試料中の1つまたは複数の代謝産物のレベルを決定するステップ;(ii)1つまた
は複数の代謝産物の決定されたレベルを、前記1つまたは複数の代謝産物の予め決定され
たレベルと比較するステップであって、前記予め決定されたレベルが、ASDを有するか
またはASDを有するリスクがある対象の指標である、ステップ;および(iii)前記
1つまたは複数の代謝産物の決定されたレベルと予め決定されたレベルとの差に基づいて
、前記対象をASDを有するかまたはASDを有するリスクがあると診断するステップを
含み、ここで前記1つまたは複数の代謝産物は、5−ヒドロキシインドールアセテート(
5−HIAA)、1,5−アンヒドログルシトール(1,5−AG)、3−(3−ヒドロ
キシフェニル)プロピオネート、3−カルボキシ−4−メチル−5−プロピル−2−フラ
ンプロパノエート(CMPF)、3−インドキシルスルフェート、4−エチルフェニルス
ルフェート、8−ヒドロキシオクタノエート、ガンマ−CEHC、ヒドロキシイソバレロ
イルカルニチン(C5)、インドールアセテート、イソバレリルグリシン、ラクテート、
N1−メチル−2−ピリドン−5−カルボキサミド、p−クレゾールスルフェート、パン
トテネート(ビタミンB5)、フェニルアセチルグルタミン、ピペコレート、キサンチン
、ヒドロキシ−クロロタロニル、オクテノイルカルニチン、および3−ヒドロキシヒプレ
ートからなる群から選択される、方法を提供する。
【0070】
一部の実施形態において、本発明は、自閉症スペクトラム障害(ASD)を有するかま
たはそれを有するリスクがあると対象を診断する方法であって、(i)前記対象から得ら
れた試料中の1つまたは複数の代謝産物のレベルを決定するステップ;(ii)1つまた
は複数の代謝産物の決定されたレベルを、前記1つまたは複数の代謝産物の予め決定され
たレベルと比較するステップであって、前記予め決定されたレベルが、ASDを有するか
またはASDを有するリスクがある対象の指標である、ステップ;および(iii)前記
1つまたは複数の代謝産物の決定されたレベルと予め決定されたレベルとの差に基づいて
、前記対象をASDを有するかまたはASDを有するリスクがあると診断するステップを
含み、ここで前記1つまたは複数の代謝産物は、5−ヒドロキシインドールアセテート(
5−HIAA)、1,5−アンヒドログルシトール(1,5−AG)、3−(3−ヒドロ
キシフェニル)プロピオネート、3−カルボキシ−4−メチル−5−プロピル−2−フラ
ンプロパノエート(CMPF)、3−インドキシルスルフェート、4−エチルフェニルス
ルフェート、8−ヒドロキシオクタノエート、ガンマ−CEHC、ヒドロキシイソバレロ
イルカルニチン(C5)、インドールアセテート、イソバレリルグリシン、ラクテート、
N1−メチル−2−ピリドン−5−カルボキサミド、p−クレゾールスルフェート、パン
トテネート(ビタミンB5)、フェニルアセチルグルタミン、ピペコレート、キサンチン
、ヒドロキシ−クロロタロニル、オクテノイルカルニチン、および3−ヒドロキシヒプレ
ートからなる群から選択され、ただし代謝産物は、5−ヒドロキシインドールアセテート
(5−HIAA)、1,5−アンヒドログルシトール(1,5−AG)、3−(3−ヒド
ロキシフェニル)プロピオネート、3−カルボキシ−4−メチル−5−プロピル−2−フ
ランプロパノエート(CMPF)、3−インドキシルスルフェート、4−エチルフェニル
スルフェート、8−ヒドロキシオクタノエート、ガンマ−CEHC、ヒドロキシイソバレ
ロイルカルニチン(C5)、インドールアセテート、イソバレリルグリシン、ラクテート
、N1−メチル−2−ピリドン−5−カルボキサミド、p−クレゾールスルフェート、パ
ントテネート(ビタミンB5)、フェニルアセチルグルタミン、ピペコレート、キサンチ
ン、ヒドロキシ−クロロタロニル、オクテノイルカルニチン、または3−ヒドロキシヒプ
レートではない、方法を提供する。
【0071】
ある特定の実施形態において、本発明は、対象からのある特定の代謝産物および遺伝情
報の両方のレベルを測定することによって、対象においてASDリスクを決定するための
方法を提供する。一部の実施形態において、遺伝情報は、コピー数多型(CNV)および
/または脆弱X(FXS)検査を包含する。
【0072】
追加の実施形態において、本発明のある特定の態様に関して説明された限定は、本発明
の他の態様に適用することができる。例えば、1つの独立請求項に従属する請求項の限定
は、一部の実施形態において、別の独立請求項に適用され得る。
例えば、本発明の実施形態において、以下の項目が提供される。
(項目1)
対象において自閉症スペクトラム障害(ASD)と非ASD発達遅延(DD)とを識別
する方法であって、
(i)前記対象から得られた試料中の複数の代謝産物のレベルを測定するステップであっ
て、
前記複数の代謝産物が、キサンチン、ガンマ−CEHC、ヒドロキシ−クロロタロニル、
5−ヒドロキシインドールアセテート(5−HIAA)、インドールアセテート、p−ク
レゾールスルフェート、1,5−アンヒドログルシトール(1,5−AG)、3−(3−
ヒドロキシフェニル)プロピオネート、3−カルボキシ−4−メチル−5−プロピル−2
−フランプロパノエート(CMPF)、3−インドキシルスルフェート、4−エチルフェ
ニルスルフェート、ヒドロキシイソバレロイルカルニチン(C5)、イソバレリルグリシ
ン、ラクテート、N1−メチル−2−ピリドン−5−カルボキサミド、パントテネート(
ビタミンB5)、フェニルアセチルグルタミン、ピペコレート、3−ヒドロキシヒプレー
ト、およびそれらの組合せからなる群から選択される少なくとも2種の代謝産物を含む、
ステップ;ならびに
(ii)
(a)表9Aで定義されるASD(ASD左テール効果)の指標であるか、もしくは
(b)表9Bで定義されるDD(DD左テール効果)の指標である、
予め決定された閾値濃度もしくはそれ未満のレベルを有する前記試料中の代謝産物の数を
計算するステップ;ならびに/または
(iii)
(a)表9Aで定義されるASD(ASD右テール効果)の指標であるか、もしくは
(b)表9Bで定義されるDD(DD右テール効果)の指標である、
予め決定された閾値濃度もしくはそれを超えるレベルを有する前記試料中の代謝産物の数
を計算するステップ;ならびに
(iv)ステップ(ii)および/または(iii)で得られた数に基づいて、前記対象
がASDまたはDDを有すると決定するステップ
を含む方法。
(項目2)
前記複数の代謝産物が、キサンチンおよびガンマ−CEHCを含む、項目1に記載の方
法。
(項目3)
前記試料が、血漿試料である、項目1に記載の方法。
(項目4)
前記代謝産物のレベルが、質量分析によって測定される、項目1に記載の方法。
(項目5)
前記対象が、約54ヶ月齢以下である、項目1に記載の方法。
(項目6)
前記対象が、約36ヶ月齢以下である、項目1に記載の方法。
(項目7)
対象がASDを有するかまたはそのリスクがあることを決定するための方法であって、
(i)前記対象から得られた試料中の複数の代謝産物のレベルを測定するステップであっ
て、
前記複数の代謝産物が、キサンチン、ガンマ−CEHC、ヒドロキシ−クロロタロニル、
5−ヒドロキシインドールアセテート(5−HIAA)、インドールアセテート、p−ク
レゾールスルフェート、1,5−アンヒドログルシトール(1,5−AG)、3−カルボ
キシ−4−メチル−5−プロピル−2−フランプロパノエート(CMPF)、3−インド
キシルスルフェート、4−エチルフェニルスルフェート、ヒドロキシイソバレロイルカル
ニチン(C5)、イソバレリルグリシン、ラクテート、N1−メチル−2−ピリドン−5
−カルボキサミド、パントテネート(ビタミンB5)、フェニルアセチルグルタミン、ピ
ペコレート、3−ヒドロキシヒプレート、およびそれらの組合せからなる群から選択され
る少なくとも2種の代謝産物を含む、ステップ;ならびに
(ii)
(a)182.7ng/mlまたはそれを超えるレベルのキサンチン;
(b)20.3ng/mlまたはそれを超えるレベルのヒドロキシル−クロロタロニル;
(c)28.5ng/mlまたはそれを超えるレベルの5−ヒドロキシインドールアセテ
ート;
(d)686600.0ng/mlまたはそれを超えるレベルのラクテート;
(e)63.3ng/mlまたはそれを超えるレベルのパントテネート;
(f)303.6ng/mlまたはそれを超えるレベルのピペコレート;
(g)32.0ng/mlまたはそれ未満のレベルのガンマ−CEHC;
(h)141.4ng/mlまたはそれ未満のレベルのインドールアセテート;
(i)182.7ng/mlまたはそれ未満のレベルのp−クレゾールスルフェート;
(j)11910.3ng/mlまたはそれ未満のレベルの1,5−アンヒドログルシト
ール(1,5−AG);
(k)7.98ng/mlまたはそれ未満のレベルの3−カルボキシ−4−メチル−5−
プロピル−2−フランプロパノエート(CMPF);
(l)256.7ng/mlまたはそれ未満のレベルの3−インドキシルスルフェート;
(m)3.0ng/mlまたはそれ未満のレベルの4−エチルフェニルスルフェート;
(n)12.9ng/mlまたはそれ未満のレベルのヒドロキシイソバレロイルカルニチ
ン(C5);
(o)124.82ng/mlまたはそれ未満のレベルのN1−メチル−2−ピリドン−
5−カルボキサミド;および
(p)166.4ng/mlまたはそれ未満のレベルのフェニルアセチルグルタミン
の2種またはそれより多くを検出するステップ;ならびに
(iii)ステップ(ii)で検出された前記代謝産物レベルに基づいて前記対象がAS
Dを有するかまたはそのリスクがあると決定するステップ
を含む方法。
(項目8)
前記複数の代謝産物が、キサンチンおよびガンマ−CEHCを含む、項目7に記載の方
法。
(項目9)
前記試料が、血漿試料である、項目7に記載の方法。
(項目10)
前記代謝産物のレベルが、質量分析によって測定される、項目7に記載の方法。
(項目11)
前記対象が、約54ヶ月齢以下である、項目7に記載の方法。
(項目12)
前記対象が、約36ヶ月齢以下である、項目7に記載の方法。