【解決手段】球状野菜の表皮をむくための球状野菜の皮むき装置において、球状野菜を収容する筒65、73と、筒65の底部開口に設けられており前記筒65に入れられた球状野菜を受ける受け部材80と、筒65へエアーを供給するエアー管66と、を有しており、エアー管66は筒65の管壁の外側からその管壁の内側へ向けて、その管壁を斜め方向に貫通して配置される。
  複数の前記エアー管を有しており、当該複数のエアー管は互いに異なる位置で前記筒の管壁を貫通しており、前記複数のエアー管が前記筒の管壁を通過する角度は互いに同じであることを特徴とする請求項1記載の球状野菜の皮むき装置。
  前記エアー管が前記筒の管壁を通過する角度は、当該管壁の接線方向に対して角度0°から角度90°の間の角度であることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の球状野菜の皮むき装置。
【発明を実施するための形態】
【0016】
  以下、本発明に係る球状野菜の皮むき装置を実施形態に基づいて説明する。なお、本発明がこの実施形態に限定されないことはもちろんである。また、本明細書に添付した図面では特徴的な部分を分かり易く示すために実際のものとは異なった比率で構成要素を示す場合がある。
 
【0017】
(全体の構成)
  
図1は本発明に係る球状野菜の皮むき装置の一実施形態を示している。この球状野菜の皮むき装置1は、機枠フレーム2と、カバー3とを有している。機枠フレーム2は、球状野菜の皮むき装置1の主たる動作機構部を設置面上に支持するための構造のことである。カバー3は、球状野菜の皮むき装置1の主たる動作機構部が外部へ露出されることを防ぐための要素である。カバー3は、電装部品等といった付随部品を支持する機能を奏することもある。機枠フレーム2は、例えば構造用鋼によって形成されている。カバー3は、例えばステンレス鋼によって形成されている。
 
【0018】
  本実施形態では、球状野菜として玉ねぎ4を投入する。玉ねぎ4は、根芯5、芽芯6及び表皮7を有する。本実施形態の皮むき装置1は、根芯5がある端部を切断すること、芽芯6がある端部を切断すること、及び表皮7をむくこと、を主な処理内容としている。
図1では前面カバー3aの下部の図示を省略しており、内部の玉ねぎ処理構造11の一部を示している。作業者は処理の対象である玉ねぎ4を玉ねぎ処理構造11の所定位置へ投入する。なお、本発明は必要に応じて玉ねぎ以外の球状野菜にも適用できる。
 
【0019】
(玉ねぎ処理構造)
  
図2は、
図1のA−A線に従った縦断面図である。
図2において、玉ねぎ処理構造11は、第1のステージとしての上ステージ12と第2のステージとしての下ステージ13とを有している。上ステージ12と下ステージ13の両方を貫通して主軸14が上下方向へ延びている。主軸14は上面カバー3b又は上面カバー3bの近傍の機枠フレームに固定されて垂下している。なお、これ以降で説明する各種の部材は、特段の説明があるものを除いて、例えばステンレス鋼や構造用鋼によって形成される。
 
【0020】
  図3は、
図1の矢印Bに従って玉ねぎ処理構造11を前面方向から見た場合の斜視図である。
図4は、
図1の矢印Cに従って玉ねぎ処理構造11を背面方向から見た場合の斜視図である。
図3及び
図4において、主軸14の上部に第1回転盤15が回転自在に取付けられている。主軸14の中間部分に第2回転盤16が回転自在に取付けられている。主軸14の下部に第3回転盤17が回転自在に取付けられている。
 
【0021】
  第1回転盤15と第2回転盤16は、上下方向に延びる6枚の壁板21によって連結されている。6枚の壁板21は主軸14を中心とする円周方向に並べて配置されている。6枚の壁板21は上方向から見て断面6角形状の筒を構成している。第1回転盤15と第2回転盤16は、壁板21によって連結されることにより、主軸14を中心として一体状態で回転可能である。
 
【0022】
  第2回転盤16と第3回転盤17は、
図2に示す支柱22によって連結されている。支柱22は、本実施形態の場合、
図2において主軸14を中心として6本が等角度間隔で配置されている。第2回転盤16と第3回転盤17は、支柱22によって連結されることにより、主軸14を中心として一体状態で回転可能である。結果的に、第1回転盤15、第2回転盤16及び第3回転盤17は主軸14を中心として一体状態で回転可能である。
図3及び
図4において、矢印Eで示す位置が玉ねぎを投入する位置である。
 
【0023】
  図1において、上面カバー3bの上面左部に電動モータ23が設けられている。
図3及び
図4において、第1回転盤15の外周面にギヤ15aが設けられている。電動モータ23の出力軸にギヤ24が取付けられている。電動モータ23のギヤ24と第1回転盤15のギヤ15aとがかみ合っている。電動モータ23が作動すると、電動モータ23の出力軸の回転がギヤ24及びギヤ15aを介して第1回転盤15へ伝わり、第1回転盤15が矢印D方向へ回転する。第1回転盤15が矢印D方向へ回転すると、第2回転盤16及び第3回転盤17が一体状態で同じ方向(すなわち矢印D方向)へ回転する。
 
【0024】
(上ステージの構造)
  
図3及び
図4の6枚の壁板21によって囲まれた空間内に、
図6に示す円筒カム28が設けられている。円筒カム28は回転することなく固定配置されている。また、第2回転盤16に、6個の第1貫通穴29が設けられている。第1貫通穴29は、玉ねぎを通過させることができる大きさの穴径を有している。6個の第1貫通穴29は主軸14を中心として等角度間隔で設けられている。円筒カム28は固定されているが、第2回転盤16は既述の通り主軸14を中心として矢印Dのように回転する。なお、本実施形態において上ステージ12は、玉ねぎの両端を切断するための球状野菜の両端切断装置として機能する。
 
【0025】
  <玉ねぎ載置ユニット>
  
図6では1つの第1貫通穴29に対して玉ねぎ載置ユニット30が設けられている。しかしながら、玉ねぎ載置ユニット30は、
図3及び
図4に示すように、6個の第1貫通穴29(
図6参照)の個々に対して合計で6個設けられている。各玉ねぎ載置ユニット30はボルト等といった締結具によって第2回転盤16の上面に固定されている。
 
【0026】
  玉ねぎ載置ユニット30は、
図8(a)に示すように、右アーム31aと左アーム31bを有している。右アーム31a及び左アーム31bの先端には板状の部材である玉ねぎホルダ32a,32bが取付けられている。各玉ねぎホルダ32a,32bは適宜の角度で折れ曲がっている一対の板材によって形成されている。
 
【0027】
  各アーム31a,31bは、直線状のガイド部材36によって案内されて、それぞれ矢印Fで示すように平行移動可能である。符号38はアーム31a,31bの平行移動を助けるローラである。
図8(b)に示すように、アーム31a,31bのそれぞれの奥部に歯40が設けられている。第2回転盤16(
図3参照)に固定されたベース41に歯車42が自身の中心軸を中心として回転自在に設けられている。アーム31a,31bの歯40はそれぞれ歯車42にかみ合っている。これにより、アーム31a,31bの開閉移動は互いに同期して同じ距離だけ動くようになっている。
 
【0028】
  右アーム31aと左アーム31bとの間には引張りバネ37が設けられている。このため、玉ねぎホルダ32a,32bは、自然状態においてバネ力によって、
図8(a)に示すように閉じている。玉ねぎホルダ32a,32bの上方位置から、玉ねぎホルダ32aと玉ねぎホルダ32bの間に玉ねぎが押込まれると、玉ねぎホルダ32aと玉ねぎホルダ32bは
図8(b)に示すように、引張りバネ37のバネ力に抗して開く。
 
【0029】
  玉ねぎホルダ32a,32bの上端辺は、玉ねぎを受け易くするために外側へ開く傾斜を有している。また、好ましくは、この傾斜は上に向かって凸形状である緩やかな湾曲を有している。玉ねぎホルダ32a,32bを形成している板材の中央部にはヒダ39が設けられている。ヒダ39は
図8(b)の部分拡大図で示すように縦方向に平行に並ぶ複数の細長い折片によって形成されている。複数の細長い折片は下方向へ向けて傾斜している。このヒダ39の働きにより、玉ねぎホルダ32a,32bへ押し入れられた玉ねぎは、上方向へ移動し難くなっている。
 
【0030】
  なお、引張りバネ37のバネ力は、(1)玉ねぎホルダ32a,32bが玉ねぎをしっかりと把持でき、(2)玉ねぎが潰れることがなく、(3)玉ねぎを上方から押したときにその玉ねぎが玉ねぎホルダ32a,32b内でズレ下がることができる、程度のバネ力に設定されている。引張りバネ37の働きにより、玉ねぎホルダ32a,32bは、玉ねぎ4が落ちないように玉ねぎ4の側面を力をかけて挟んで支持する働きを成す。そして、玉ねぎ4を把持する玉ねぎホルダ32a,32bが、第2回転盤16によって主軸14を中心として回転搬送させられる。
 
【0031】
  <玉ねぎ押しユニット>
  
図5は、
図4における上ステージ12を拡大して示している。個々の玉ねぎ載置ユニット30に対応して玉ねぎ押しユニット46が設けられている。玉ねぎ押しユニット46は、
図7に示すように、壁板21に固定された直線状のガイド47と、ガイド47に沿って上下移動自在な移動子48と、移動子48に固定されて外側へ張出している張出し体49と、張出し体49の前部の上部に設けられた補助ローラ50と、張出し体49の前部の下方へ延びる押し棒51とを有している。
 
【0032】
  図9は、
図7の矢印Gに従った平面図である。
図10は、
図9のH−H線に従った正面断面図である。
図11は、
図9のI−I線に従った側面断面図である。
図10に示すように、壁板21の中央よりやや左部分に上下方向に延びる長孔55が設けられている。
図9及び
図11に示すように、移動子48の背面にカムフォロワローラ56が設けられている。カムフォロワローラ56は
図10の長孔55を通って
図9に示すように壁板21の裏側に位置している。そして、このカムフォロワローラ56が
図6に示すように円筒カム28のカム辺に当たっている。カム辺の形状は後述の説明で明らかになる。
 
【0033】
  図11に示すように、押し棒51の下端は、玉ねぎ載置ユニット30の上方に位置している。押し棒51の下端は4つの枝51aに分かれている。4つの枝51aは下から見て角度90°の等角度間隔で配置されている。各枝51aに押し片57がネジ等といった締結具によって固定されている。押し片57の下端は傾斜面となっている。好ましくは、この傾斜面は、緩やかな湾曲面である。この傾斜面の働きにより、押し片57が玉ねぎを局所的に押圧することが防止される。
 
【0034】
  <カット構造>
  
図5に示す壁板21によって囲まれた空間内に、
図6に示す円筒カム28が設けられる。壁板21は主軸14を中心として回転移動するが、円筒カム28は固定されていて動かない。玉ねぎ押しユニット46のカムフォロワローラ56が当接する円筒カム28のカム辺は所期の目的を達成するために特定の形状に形成されている。
 
【0035】
  図5の第2回転盤16の周辺位置であって、
図6の円筒カム28のカム辺(すなわちカムフォロワローラ56が当接する部分)の形状によって特定される所定の位置に、第1の切断刃としての下カッタ58が設けられている。また、第2回転盤16の回転方向Dに沿って下カッタ58の下流側の所定位置に第2の切断刃としての上カッタ59が設けられている。上カッタ58及び下カッタ59は、ステンレス鋼によって形成された薄い円板である。
 
【0036】
  第2回転盤16の外周部の全域にギヤ16aが設けられている。第2回転盤16が矢印D方向へ回転移動するとき、ギヤ16aは第2回転盤16と一体になって矢印D方向へ回転移動する。下カッタ58の近傍に第1従動ギヤ70が設けられている。第1従動ギヤ70と下カッタ58との間に動力伝達機構71aが設けられている。また、上カッタ59の近傍に第2従動ギヤ72が設けられている。第2従動ギヤ72と上カッタ59との間に動力伝達機構71bが設けられている。動力伝達機構71a,71bは、例えばギヤ列、動力伝達ベルト、チェーン等である。
 
【0037】
  第2回転盤16が回転移動するとき、その回転動力が第1従動ギヤ70及び動力伝達機構71aを介して下カッタ58へ伝えられて下カッタ58が自身の中心線を中心として回転する。また、第2回転盤16が回転移動するとき、その回転動力が第2従動ギヤ72及び動力伝達機構71bを介して上カッタ59へ伝えられて上カッタ59が自身の中心線を中心として回転する。玉ねぎ載置ユニット30に載って搬送される玉ねぎが下カッタ58まで送られて来ると、回転する下カッタ58によって玉ねぎの下端(すなわち根芯又は芽芯)が切断される。搬送される玉ねぎが上カッタ59まで送られて来ると、回転する上カッタ59によって玉ねぎの上端(すなわち芽芯又は根芯)が切断される。玉ねぎの下端を切断するとき、切断長さを一定に維持するために、
図31に示すように第2回転盤16の下方位置に位置決め板60が予め固定配置される。位置決め板60は
図2に示すように第2回転盤16の下方位置において機枠2によって支持されている。
 
【0038】
(下ステージの構造)
  
図14は、
図3における下ステージ13及び付随する傷付け用筒63の構造を示している。下ステージ13に含まれる第3回転盤17は
図3の電動モータ23が作動したときに第1回転盤15及び第2回転盤16と一体状態で矢印D方向へ回転移動する。第3回転盤17には、
図12に示すように6個の第2貫通穴61が主軸14を中心として等角度間隔で設けられている。これらの第2貫通穴61は、
図3における第2回転盤16に設けられた第1貫通穴29(
図6参照)と平面的に見て同じ位置に設けられている。第2貫通穴61の穴径は、玉ねぎを通過させることができる大きさである。
 
【0039】
  第3回転盤17の下に、玉ねぎの底面を受けるための受け板80が設けられている。受け板80は
図2において第3回転盤17の下方位置に設けられている。受け板80は機枠2に取付けられており、固定状態となっている。
図38に示すように、受け板80の適所には、エアーによる皮むき処理が完了した後の製品としての玉ねぎを下方へ落下させるための第3貫通穴81が開けられている。
 
【0040】
  図12の個々の第2貫通穴61に対応して、
図13に示すように、皮むき用の円筒62が第3回転盤17にネジ等といった締結具によって固定されている。皮むき用の円筒62は、玉ねぎの表皮7(
図1参照)を本体部分からむき取る際に用いられる。そして、個々の円筒62のフランジの上に
図14に示すように、傷付け用の筒63のフランジがネジ等といった締結具によって固定されている。傷付け用の筒63は、皮むき用の円筒62を使って玉ねぎの皮むきを行う前に、玉ねぎの表面に傷を付けるための部品である。
 
【0041】
  図15において、3つの傷付け用の筒63の上にエアー遮蔽板64が設けられている。エアー遮蔽板64は、
図2において、第2回転盤16と傷付け用の筒63との間に設けられている。エアー遮蔽板64は機枠2に固定されていて動かない。エアー遮蔽板64は、
図14において、皮むき用の円筒62の内部へ噴射されたエアーが傷付け用の筒63の上端開口から外部へ飛散することを防止する。皮むき用の円筒62へのエアーの供給処理については後述する。
 
【0042】
(下ステージの筒構造)
  
図14において、皮むき用円筒62によって下ステージ13が構成されている。そして、皮むき用円筒62の上端に傷付け用筒63が取付けられている。
図16は、皮むき用円筒62と傷付け用筒63とによって構成される筒構造の1つを拡大して示している。
図17は
図16の筒構造を上方から見た場合の平面図である。
図18は
図17のJ−J線に従った側面断面図である。
図19は
図17の矢印Kに従った側面図である。
図20は
図17の矢印Lに従った側面図である。
 
【0043】
  図16において、皮むき用円筒62は、円筒65と、エアー管66と、分岐継手67と、エアー取入管68とを有している。エアー管66は、
図17に示すように、円筒65の周囲に3個、等角度間隔で設けられている。エアー管66は、円筒65に対して直角方向から円筒65に進入するのではなく、円筒65に対して斜め方向から円筒65に進入している。
 
【0044】
  エアー取入管68は図示しないエアー供給源から送られたエアーを取り込む。取り込まれたエアーは分岐継手67によって3つの出力ポート69へ分けられる。個々の出力ポート69は図示しないエアー管によって個々のエアー管66に接続されている。従って、エアー取入管68に取り込まれたエアーは3つのエアー管66へ分けられる。そして、各エアー管66から円筒65の内部へエアーが噴射される。
 
【0045】
  エアー管66は本実施形態の場合3個が用いられている。これらのエアー管66は、
図17に示すように、平面的に見て、円筒65の周囲に等角度間隔で設けられている。これらのエアー管66は斜め方向から円筒65へ挿入されている。具体的には、エアー管66は円管65の管壁の接線方向に対して角度0°から角度90°の間の角度で円筒65の内部へ進入している。より具体的には、エアー管65は接線方向に対して角度45°よりも小さい角度で円筒65の内部へ進入している。エアー管66は円筒65へ斜め方向から進入しているので、各エアー管66から噴射されるエアーは円筒65の内部で渦巻きのように流れる。これにより、玉ねぎの表皮を確実に剥ぎ取ることができる。
 
【0046】
  図16において、傷付け用筒63は角筒73を有している。角筒73の上端に4つの長方形状の切欠き74が形成されている。
図18に示すように、切欠き74の中に遥動アーム75が配置されている。
図18では2つの切欠き74及び2つの遥動アーム75が示されているが、角筒73の相対向する側面にも2つの切欠き74及び2つの遥動アーム75が設けられている。各遥動アーム75は、
図17、
図19及び
図20の支軸X0によって遥動自在に支持されている。
 
【0047】
  皮むき用円筒62の円筒65と傷付け用筒63の角筒73は1つの筒を構成している。この1つの筒の底部開口、すなわち円筒65の底部開口は、
図37及び
図2の受け部材としての受け板80によって塞がれている。受け板80は円筒65へ収容された玉ねぎを受ける。
 
【0048】
  図16において、各遥動アーム75の先端に傷付け刃79が設けられている。傷付け刃79は、部分拡大図(a)に示すように、複数の小刃79aを間欠的に環状に並べることによって形成されている。傷付け刃79は遥動アーム75の先端に固定状態で設けられている。傷付け刃79は自身の中心軸線を中心として回転(すなわち自転)することはない。
図19及び
図20において、アーム75の後端に張出し片76が形成されている。張出し片76はアーム75の本体部分と一体である。
 
【0049】
  図16において、張出し片76と傷付け用筒63のベース部との間に弾性力付与部材としての引張りバネ77が設けられている。これにより、遥動アーム75の先端はバネ77のバネ力によって最も上の位置に付勢されている。すなわち、遥動アーム75は角筒73の先端開口へ向かう方向へ付勢されている。傷付け用筒63の上端開口に玉ねぎが投入されると、玉ねぎは遥動アーム75を下方へ押しやりながら降下して、皮むき用円筒62の円筒65の内部へ落下する。玉ねぎが遥動アーム75の先端部を通過するとき、切断刃79によって玉ねぎの表面に直線状の傷が形成される。この傷が、後で行われるエアー吹き付けによる皮むきの基点となる。
 
【0050】
(下ステージのエアー分配構造)
  
図12において、下ステージ13の中心部にエアー分配器83が設けられている。エアー分配器83は、
図21に示すように、芯体84と、回転筒85と、連結カバー86とを有している。芯体84はブラケット87を介して機枠2(
図1参照)に固定されている。芯体84は回転せず、移動もしない。回転筒85は、芯体84の外周面に気密に嵌合する。回転筒85は芯体84に対して相対回転可能である。連結カバー86は、回転筒85の上面にボルト等といった締結手段によって固定されている。連結カバー86は
図12に示すように支柱22に固定されている。支柱22は第3回転盤17と第2回転盤16とを連結する支柱である。従って、第3回転盤17が矢印D方向へ回転する際には、回転筒85は第3回転盤17と一体状態で矢印D方向へ回転する。
 
【0052】
  図21において、芯体84に上段室88a,中断室88b及び下段室88cの各空気室が、例えば切削加工によって形成されている。上段室88a,中段室88b及び下段室88cは、
図25(a)、
図25(b)及び
図25(c)に示すように、円形の一部分を切り欠いた形状であって、半円形状に近い形状に形成されている。
図23において、回転筒85の底端に3つの吸気口92a,92b,92cが設けられている。吸気口92aは上段室88aにつながっている。吸気口92bは中段室88bにつながっている。吸気口92cは下段室88cにつながっている。
 
【0053】
  図22において、回転筒85の外周側面に6つの排気口93a〜93fが設けられている。排気口93a及び93dは
図23において上段室88aにつながっている。排気口93b及び93eは中段室88bにつながっている。排気口93c及び93fは下段室88cにつながっている。
図25(a)〜
図25(c)において、芯体84は静止しており、回転筒85が芯体84の周りで回転するので、排気口93a,93dは上段室88aにつながる時期とつながらない時期とを繰り返す。また、排気口93b,93eは中段室88bにつながる時期とつながらない時期とを繰り返す。さらに、排気口93c,93fは下段室88cにつながる時期とつながらない時期とを繰り返す。
 
【0054】
  図5において、第1回転盤15の上面に6個の検知片94a〜94fが設けられている。これらの検知片は主軸14の周りに等角度間隔で設けられている。検知片94a及び94dは、主軸14に関して角度180°の対称位置にあり、互いに主軸14から等距離の位置にある。検知片94b及び94eは、主軸14に関して角度180°の対称位置にあり、互いに主軸14から等距離の位置にある。検知片94c及び94fは、主軸14に関して角度180°の対称位置にあり、互いに主軸14から等距離の位置にある。
 
【0055】
  検知片94a及び94dの主軸14からの距離をLE1とし、検知片94b及び94eの主軸14からの距離をLE2とし、検知片94c及び94fの主軸14からの距離をLE3とすると、LE1>LE2>LE3に設定されている。
図1において、上面カバー3aの適所に3個のセンサS1,S2,S3が並べて配置されている。センサS1,S2,S3は、例えば反射型光センサである。内側のセンサS1は短距離LE3の検知片94c及び94fを検知して信号を出力する。中間のセンサS2は中距離LE2の検知片94b及び94eを検知して信号を出力する。外側のセンサS3は長距離LE1である検知片94a及び94dを検知して信号を出力する。
 
【0056】
  図23において、エアー供給源としてのエアーコンプレッサ99からエアー分配器83の吸気口92a,92b,92cへ空気が供給される。これらの空気供給路に電磁弁Vが設けられる。これらの電磁弁Vはコントローラ100からの指令に基づいて開閉制御される。コントローラ100はコンピュータや、シーケンサや、電子部品であるリレーを用いて構成された制御回路、等によって構成される。コントローラ100は、クロックパルスに基づいて時間を測定する計時部を含んでいる。
図1のセンサS1,S2,S3の出力信号は
図23においてコントローラ100へ伝送される。
 
【0057】
  コントローラ100はセンサS1,S2,S3の出力信号(すなわち
図5の検知片94a〜94fの検知信号)に基づいて、
図23の電磁弁Vの開閉制御を行う。具体的には、センサS1,S2,S3の出力信号を基点として計時部によって電磁弁Vを開く時間を決める。より具体的には、コントローラ100は、
図25(a)〜
図25(c)において、排気口93a〜93fが対応する上段室88a,中段室88b又は下段室88cに到来してから当該室を出るまでの時間内の所定時間だけ電磁弁Vを開く。これにより、
図23のエアーコンプレッサ99から供給された空気が、芯体84内の空気室88a,88b,88cを介して回転筒85の各排気口93a〜93fへ送られる。
図13において、各排気口93a〜93fから選択的に流れ出た空気は、空気供給管を通って対応する皮むき用円筒62の円筒65内へ流れ込む。円筒65内に玉ねぎが在る場合には、この流れ込んだ空気流によって玉ねぎの表皮が剥ぎ取られる。
 
【0058】
  図25(a)において、芯体84の上段室88aと、回転筒85の排気口93a,93dとが連通する時間は、回転筒85の回転速度によって所定時間に決められる。また、
図25(b)において、芯体84の中段室88bと、回転筒85の排気口93b,93eとが連通する時間は、回転筒85の回転速度によって所定時間に決められる。さらに、
図25(c)において、芯体84の下段室88cと、回転筒85の排気口93c,93fとが連通する時間は、回転筒85の回転速度によって所定時間に決められる。一方、それらの連通時間内に
図23の電磁バルブVが開いている時間はコントローラ100によって調整可能である。この電磁バルブVの開時間は必要に応じて適宜に調整される。
 
【0059】
(カムの形状及び皮むきの動作)
  動作の始めにあたって、作業者は所定のスタート指示を行う。例えば、スタートボタンを押す。すると、
図3において電動モータ23が作動して、玉ねぎ処理構造11の全体が矢印D方向へ回転移動を始める。
 
【0060】
  図6において、円筒カム28の下カム28aの第1下カム辺LC1に対応する位置Eが処理対象である玉ねぎ4(
図1参照)を投入する位置である。第1下カム辺LC1は、高さが最も高いカム辺である。カムフォロワローラ56が第1下カム辺LC1に載っているとき、押し棒51は最も高い位置へ持上げられており、玉ねぎ載置ユニット30の玉ねぎホルダ32a,32bの上に広い空間が形成されている。作業者はこの広い空間の中に玉ねぎを差し入れ、当該玉ねぎを玉ねぎホルダ32a,32bの上に置く。この場合、
図1において通常は根芯5を下にし、芽芯6を上にするが、上下を逆にしても良い。
 
【0061】
  第1下カム辺LC1は、
図26に示すように、所定の長さの間、同じ高さ位置を保持する。これにより、押し棒51と玉ねぎ4との間隔はしばらくの間は一定である。次に、下カム28aのカム辺は
図27に示すように斜め下方へ傾斜する第2下カム辺LC2となる。これにより、押し棒51が降下してその下端が玉ねぎ4の上面に当接する。その後、
図28に示すように、カムフォロワローラ56は同じ高さ位置を維持して回転移動する。次に、カムフォロワローラ56は円筒カム28の上カム28bの第3上カム辺UC3に当接する。
 
【0062】
  更に、カムフォロワローラ56は、
図29に示すように、第3上カム辺UC3によって押されて降下し、そのために押し棒51が降下して玉ねぎ4が位置決め板60に当接する。これにより、玉ねぎ4の下端位置が所定位置に決められる。第3上カム辺UC3の前方に設けられた補助加圧ユニット52は、
図1において上面カバー3aに直接に又は上面カバー3aの近傍の機枠2に固定配置されている。この補助加圧ユニット52は遥動板53及び引張りバネ54を有している。引張りバネ54は遥動板53の先端部を下方へ向けて弾性的に付勢している。この補助加圧ユニット52は、
図30に示すように、玉ねぎ4のサイズが小さいときに、遥動板53によってその玉ねぎ4を位置決め板60へ補助的に押し付ける作用を成す。
 
【0063】
  玉ねぎのサイズが通常のサイズである場合に話を戻して、
図31において、円筒カム28の下カム28aの第4下カム辺LC4が上方へ傾斜するカム辺となっている。このため、押し棒51はわずかに上昇してその下端が玉ねぎ4の上方へ少し離れる。その後、第2回転盤16の回転移動に応じて搬送される玉ねぎ4が、回転している下カッタ58に到着すると、その下カッタ58によって玉ねぎ4の下端(すなわち
図1の根芯5又は芽芯6)が切断される。玉ねぎの下端位置は位置決め板60によって常に一定位置に決められるので、玉ねぎ4は常に一定の下端部位において切断される。
 
【0064】
  その後、
図32において、第4下カム辺LC4の高さが一定の高さに維持され、そのため、押し棒51は一定の高さを維持した状態で回転移動を続ける。次に、
図33において、カム28の上カム28bの下方へ傾斜する第5上カム辺UC5によってカムフォロワローラ56が押し下げられ、その結果、押し棒51が第5上カム辺UC5の高さ分だけ降下して、玉ねぎ4の上端をその距離分だけ押し下げる。これにより、上カッタ59に対する玉ねぎ4の上端の位置が一定位置にセットされる。
 
【0065】
  その後、
図34において、円筒カム28の下カム28aの第6下カム辺LC6によってカムフォロワローラ56及び押し棒51がわずかに持上げられた状態で、玉ねぎ4が上カッタ59へ到着する。到着した玉ねぎ4は上カッタ59によってその上端(すなわち
図1の芽芯6又は根芯5)が切断される。
 
【0066】
  次に、
図35において、円筒カム28の上カム28bの下へ傾斜する第7上カム辺UC7によってカムフォロワローラ56及び押し棒51が押し下げられる。この押し下げ動作により、
図36に示すように、玉ねぎ4は、
図2の下ステージ13と上ステージ12との間に設けた傷付け用筒63の角筒73内に押し込まれる。このとき、
図16の傷付け刃79によって玉ねぎ4の表面に傷が付けられる。その後、玉ねぎ4は
図37に示すように自重で皮むき用円筒62の円筒65内へ落下する。
 
【0067】
  その後、
図38において、皮むき用円筒62は回転移動を継続する。皮むき用円筒62が回転移動する間、円筒65の内部の玉ねぎは受け板80の上で転動する。一方、押し棒51は円筒カム28の下カム28aの上へ向けて傾斜する第8下カム辺LC8によって押し上げられる。皮むき用円筒62が回転移動を継続する間、
図15及び
図23のエアー分配器83の働きにより円筒65の中に空気流が流される。空気流は、
図25(a)〜
図25(c)の芯体84の空気室88a,88b,88cと回転筒85の排気口93a〜93fが連通する間であって、且つ
図23のコントローラ100が電磁弁Vを開いている間に実現される。この空気流の働きにより、玉ねぎ4の表皮が傷を付けられた所から剥ぎ取られる。これにより、所望の皮むき処理が実現される。皮むき処理が行われている間、皮むき用円筒62につながっている傷付け用筒63の上端開口は、
図39のようにエアー遮蔽板64によって遮蔽されるので、エアー及び玉ねぎの表皮が外部へ飛散することが防止される。
 
【0068】
  その後、
図39において、カムフォロワローラ56は第8下カム辺LC8の傾斜に従って上昇し、これにより押し棒51が上昇する。カムフォロワローラ56が第8下カム辺LC8の最上辺まで上がると、
図6に示すように、押し棒51及び玉ねぎ載置ユニット30は当初の玉ねぎ供給位置Eへ戻る。この状態で、玉ねぎ載置ユニット30は次の玉ねぎを受け取る状態にセットされる。
 
【0069】
  (本実施形態の作用効果)
  本実施形態によれば、
図3において、玉ねぎの端部を切断する処理を行う第1ステージ12と、玉ねぎの皮むきを行う第2ステージ13との間に傷付け用筒63を設けたので、玉ねぎを第1ステージから第2ステージへ移動させる間に玉ねぎに対して傷つけ処理を行うことができる。このため、第1ステージ12と第2ステージ13とを上下に並べて配置することができる。このため、玉ねぎ処理構造11を平面的に見て小型に作製することができ、ひいては
図1の球状野菜の皮むき装置を平面的に見て小型に作製できる。
 
【0070】
  また、従来の玉ねぎの皮むき装置においては、コンベヤによって玉ねぎを搬送しながら、切断装置をその玉ねぎに近づけたり遠ざけたりさせることにより、玉ねぎの端部の切断を行っていた。この従来方法では、切断装置を玉ねぎに対して移動させる必要があるので、構造が複雑になったり、処理時間が長くなったりするという問題があった。これに対し、本実施形態では、
図5において、第2回転盤16によって玉ねぎを回転移動させ、押し棒51によって玉ねぎを下方向(すなわち一方向)だけに押し付けながら、下カッタ58によって玉ねぎの下端部を切断し、上カッタ59によって玉ねぎの上端部を切断するようにした。このように、玉ねぎの端部の切断に際しては、玉ねぎをわずかに下方向へ移動させるだけという非常に簡単な動作をさせるだけで良いので、複雑な機構を採用する必要が無く、作業時間も非常に短くて済むという利益を得ることができる。
 
【0071】
  また、従来の玉ねぎの皮むき装置においては、玉ねぎの表面に傷を付ける場所と、玉ねぎの表皮をエアーによって剥ぎ取る場所が、遠く離れていた。このため、装置が平面的に見て大きくならざるを得なかった。これに対し、本実施形態では
図37に示したように、傷付け用筒63と皮むき用円筒62とから成る1つの筒の中に玉ねぎを押し入れるだけで、玉ねぎの傷付け作業と玉ねぎの皮むき作業とを行うことができる。このように1つの場所で傷つけ作業と皮むき作業ができるので、装置を小型にすることができ、作業時間も短縮化できる。
 
【0072】
  さらに、従来の玉ねぎの皮むき装置においては、玉ねぎをローラの上で回転させながら、その玉ねぎにエアーを吹き付けることによって玉ねぎの表皮を剥ぎ取るという処理を行っていた。この場合、エアーは1つの方向へ吹き出されるだけであるので、皮むき処理を短時間で効率良く行うことができなかった。これに対し、本実施形態では、玉ねぎを筒の中に入れた状態で、筒の外部から内部へエアーを吹き込むことにより筒の内部に空気流を形成し、この空気流によって皮むきを行うことにしたので、短時間で効率良く皮むきを行うことができるようになった。
 
【0073】
  (他の実施形態)
  以上、好ましい実施形態を挙げて本発明を説明したが、本発明はその実施形態に限定されるものでなく、請求の範囲に記載した発明の範囲内で種々に改変できる。
  例えば、以上の実施形態では、
図3の上ステージ12で玉ねぎの上端及び下端の両方を切断することにした。これとは別に、上ステージ12において、玉ねぎの上端又は下端の一方を切断する場合も本発明に含まれるものである。
 
【0074】
  また、以上の実施形態では、第1のステージを上ステージとし、第2のステージを下ステージとし、両ステージを上下に並べる構造とした。これに代えて、玉ねぎの端部を切断する第1のステージと、エアーの吹付けによる皮むきを行う第2のステージと、を左右に並べる構造とすることもできる。