【実施例】
【0017】
図1は、本発明の実施の形態における商品販売装置を適用して構成した商品販売装置の構成を示す図である。
【0018】
図1には、商品販売装置1の筐体を示している。この商品販売装置1は、販売可能な商品を格納する格納部10、商品の展示や支払い操作を行う操作インターフェース20、販売する商品に関する支払い金銭の処理を行う金銭処理部21、さまざまな情報を制御する制御部30を少なくとも具備する。
【0019】
格納部10は、商品を格納、貯蔵等しておくための搬送路を兼ねた収納庫であって、この格納部10には、倉庫内温度の管理機能として冷却ユニット、加温ユニットや送風機をさらに備えている。このほか、格納部10は、商品の格納状況(格納量)や売り切れ状況を検知するための商品管理機能をも備えている。
【0020】
また、操作インターフェース20は、商品を格納部10へ格納するために開閉可能な扉(「前面扉」、「背面扉」のいずれであってもよい)に設けられており、販売する商品(またはその模型)を展示する商品ディスプレイ部や、商品に関する画像等を表示する画像表示部を有している。また、この操作インターフェース20には、商品選択ボタン、返却レバー、硬貨投入口、紙幣挿入口、販売口、つり銭返却口等の「商品販売操作部」が設けられており、商品の購入に際する金銭の受け渡しに関する操作が行われる。
【0021】
さらに、金銭処理部21は、筐体内部に設けられており、硬貨の検銭や紙幣の検札を行う点検部、硬貨や紙幣を格納する金銭スタッカーからなる。
【0022】
そして、制御部30は、筐体内部に設けられており、商品の販売に関する制御処理(「販売制御処理」ともいう)を行う。例えば、操作インターフェース20の硬貨投入口、紙幣挿入口を介して投入された硬貨や紙幣などの受入金銭の計数処理や受入金銭の払い出し処理が金銭処理部21によって行われたことにより、制御部30は、商品を格納部10から販売口へと搬送して商品を提供する処理等の制御を行う。さらに、この制御部30は、商品の在庫管理の制御をも行うことが可能である。
【0023】
制御部30では、販売制御処理に基づく情報として、受入金銭の計数処理や払い出し処理に関する情報、格納部10に格納された商品の在庫状況に関する情報、商品種別に関する商品情報などを記憶部に記憶する。
この記憶部には、後述する、支持部材50のサイズ情報として、支持板部材の形状、大きさ情報(縦の長さ、横の長さ)、各アジャスタが設けられた位置座標等の情報、または、支持フレーム部材の形状、大きさ情報、各アジャスタが設けられた位置座標等の情報を記憶する。
このほか、この記憶部には、後述する、調整制御処理に用いられる、調整制御処理を実行するための条件情報(調整制御条件情報)も記憶しており、記憶部に記憶する条件情報が成立したことによって、アジャスタ40の長さを調整する調整制御処理が行われるものである。
【0024】
制御部30は、通信部を介して外部端末(外部装置)と相互通信を行うことで商品情報の相互通信が可能である。特に、商品販売装置1が画像表示部を有している場合、制御部30は、表示する画像(例えば、提供する商品に関する画像、そのほか提供する商品とは関係してない情報(天気、気温、交通、地域に関する情報等))を、通信部を介して受信して画像表示部に適宜、表示させることも可能である。
この画像表示部は、タッチパネル等によって構成されており、操作者による所定の指示が可能な操作部(上述する、「商品販売操作部」をも含む)でもある。この操作部を用いて操作者が操作した操作内容は画像表示部から制御部30へと出力される。また、画像表示部においては、制御部30から出力された情報を表示制御することも可能である。
【0025】
本発明における商品販売装置1は、商品を必ずしも販売することを必要とするものではなく、商品の販売が可能な設備を備えた装置であって任意の情報を提供する装置であればよい。
【0026】
記憶部では、上述するように、調整制御条件情報を記憶しており、この調整制御条件情報の調整制御条件として、操作者により調整制御処理の実行が指示されたとき、据付位置に据え付けられた状態(バランス、重量)が変化したとき、所定の時間を経過したとき、電力供給の状態が変化したときなどが規定されている。
特に、据付位置に据え付けられた状態(バランス、重量)が変化したときとは、後述する、アジャスタ40に設けられた重量センサによって商品販売装置1に掛かる荷重の荷重バランスが検知したとき、または、傾斜計によって測定している傾斜角が一定の傾斜角以上、傾斜したときである。具体的には、商品が格納部10に補充された場合や、格納部10に格納された商品の払い出し・取り出しが行われた場合、扉の開閉された場合、さらには、外部からの力が加わった場合などがある。
このような調整制御条件は、重量物である商品販売装置1が不安定な状態となったときに、この不安定な状態となったことを検知して、即座に、安定した据付状態に移行できるようにしている。
【0027】
そして、制御部30では、さらに、商品販売装置1そのものを据付位置に据え付けたとき、または、据付位置に据え付けられた状態が変化したとき等の記憶部で記憶している条件(調整制御条件情報)が成立した場合に、「調整制御処理(「調整処理」ともいう)」を行うことが可能である。この調整制御処理を行う制御部30を、特に、「調整制御部」または「調整部」とも称することがある。
【0028】
このときの調整制御処理は、後述するアジャスタ40に設けられたモータを駆動制御することによってアジャスタ40が備える支柱部の長さを調整する制御処理である。この調整制御処理によって、商品販売装置1は、据付位置の形状や高さにかかわらず、アジャスタ40の支柱部の長さが調整された状態となり、このアジャスタ40によって適切に据付位置に据え付けられた状態とすることができる。
なお、据付位置とは、例えば、日本工業規格(JIS)によって規定されている商品販売装置を設置するため据付基準(Installation)に基づいて、商品販売装置の重量を支えるための位置を示すものである。そのため、表現としては、据付位置、据付面、設置位置、設置面、接地位置、接地面、支持位置、支持面等と表現することが可能であり、いずれの表現であっても同義であることを明示する。
【0029】
この調整制御処理の詳細な処理については後述する。
【0030】
商品販売装置1は、格納部10内に格納された商品の数量、種類等が変化することによってその総重量や荷重バランスが変更される装置の一例を示している。また、商品販売装置1は、格納部10に商品等を補充するために、操作インターフェース20の扉を開閉することによっても荷重バランスが変更されることがある。
【0031】
このような商品販売装置1には、上記に示すような構成に加えて、
図1に示すように、自装置(自商品販売装置)を支持する支持部材50、この支持部材50の傾斜角を計測することが可能な傾斜計51が備えられている。
【0032】
この支持部材50は、商品販売装置1の底面を形成する部材を示し、例えば、支持板部材または支持フレーム部材などがある。この支持部材50は、好適には四角形からなる部材であって強い剛性を持つ。この支持部材50としては、筐体底面とは別に設けられた部材であってもよい。
【0033】
また、傾斜計51は、商品販売装置1を据付位置に据え付ける場合である操作者による指示が行われたこと等の調整制御条件が成立した際に、その据付位置の形状や高さによって商品販売装置1が傾斜した傾斜角、より詳細には、支持部材50が傾斜した傾斜角を測定する。
このときの傾斜計51は、MEMS傾斜計などによって構成され、交差する2つの軸の各方向(第1軸の方向、第2軸の方向)における傾斜角それぞれを測定可能である。
【0034】
この支持部材50の四隅には、それぞれアジャスタ40が設けられている。つまり、支持部材50には4個のアジャスタ40が設けられている。これらのアジャスタ40が、据付位置と接地することによって商品販売装置1を据付位置に適切な状態で設置することが可能となる。このときのアジャスタ40を「調整脚」とも称する。
【0035】
より具体的には、支持部材50は、四隅それぞれに開口部が設けられおり、この開口部にアジャスタ40が係合されている。また、この開口部は、螺子を螺挿可能な形状となっており、後述する、アジャスタ40の支柱部を螺挿することが可能である。
図1に示す商品販売装置1は、支持部材50の4箇所にそれぞれアジャスタ40が設けられた状態を示しており、4箇所のアジャスタ40によって商品販売装置1を据付位置に適切な状態で設置することが可能である。
【0036】
このアジャスタ40は、商品販売装置1を据付位置に据え付けるための部材であって、商品販売装置1を適切に設置された状態とすることが可能である。このアジャスタ40は、支持部材50に設けられており、モータ部41、モータ軸部42、支柱受部43、支柱部44、可動脚部45を具備して構成されている。このアジャスタ40は、支柱部44の長さを調整可能な調整脚とも称される。
【0037】
このほか、アジャスタ40には重量センサを設け、掛かる荷重を計測するほか、荷重の変化を測定してもよい。特に、この重量センサは、上述する、調整制御条件の成立の有無の判断に用いられる。
【0038】
モータ部41は、駆動制御(「回転制御」とも称する)によってモータ軸部42を順方向、または逆方向に回転させることが可能である。また、モータ軸部42は、支柱受部43と一体形成されており、この支柱受部43とともにモータ部41の駆動制御によって順方向、または逆方向に回転する。
【0039】
調整制御部による調整制御処理によって、モータ部41がこのモータ軸部42を逆方向に回転させると、支柱受部43が、支柱部44を回転させて筐体の外部へと飛び出す長さが短くなる。つまり、支柱部44が筐体内部へと押し込まれた状態(以下では、「収縮状態」という)となる。
【0040】
また、調整制御部による調整制御処理によって、モータ部41がモータ軸部42を順方向に回転させると、支柱受部43が、支柱部44を回転させて筐体の外部へと飛び出す長さが長くなる。つまり、支柱部44が筐体外部へと大きく飛び出した状態(以下では、「延伸状態」という)となる。
【0041】
このときのモータ部41における駆動制御は、調整制御部による調整制御処理によってアジャスタ40に掛かる荷重負荷(単に、「荷重」ともいう)が算出され、その荷重に応じて支柱部44の飛び出し量を変更することが可能な制御処理である。
このアジャスタ40の詳細を
図2に示している。
【0042】
図2は、本発明の実施の形態における商品販売装置に設けられたアジャスタ40の支柱部44の長さの変化による支持部材50の位置を示す図である。
【0043】
図2(a)は、アジャスタ40の支柱部44が筐体内部へと押し込まれた「収縮状態」を示している。この
図2(a)では、支柱部44が最も筐体内部へと押し込まれた状態であることから、飛び出し量が最小の「最小延伸状態」を示している。
また、
図2(b)は、
図2(a)に示す状態に比べて、アジャスタ40の支柱部44が筐体外部へと飛び出し量hだけ飛び出した「延伸状態」を示している。支柱部44が最大の飛び出し量で筐体外部へと飛び出した状態を、特に、「最大延伸状態」と示す。
【0044】
このときの支柱部44は、螺子山部と、螺子谷部とが交互に設けられた螺子形状からなり、開口部と螺挿可能な螺子形状であり、螺子山部の間隔の距離を螺子ピッチ(単に、「ピッチ」ともいう)と称する。
【0045】
モータ部41の駆動制御によって、この支柱部44が回転することとなり、支柱部44の飛び出し量が変わることとなる。
【0046】
調整制御部において行われる調整制御処理は、アジャスタ40の支柱部44の長さを調整する処理であって、支持部材50の四隅に設けられた各アジャスタ40の支柱部44の長さを調整して据付位置の高さに応じた長さに調整する処理である。この調整制御処理により、支持部材50が、商品販売装置1に掛かる重力の方向に対して垂直とすることが可能となる。
言い換えれば、調整制御部の調整制御処理によって、支持部材50が地面に対して水平の状態とすることが可能である。
【0047】
図1に示す商品販売装置1には、
図2に示すようなアジャスタ40が、支持部材50の四隅それぞれに設けられていることから、各アジャスタ40を、第1アジャスタ40a、第2アジャスタ40b、第3アジャスタ40c、第4アジャスタ40dと称する。また、各アジャスタ40が「調整脚」とも称されることから、第1アジャスタ40aを「第1調整脚」と称し、第2アジャスタ40bを「第2調整脚」と称し、第3アジャスタ40cを「第3調整脚」と称し、第4アジャスタ40dを「第4調整脚」と称することがある。
【0048】
さらに、一例として、第4アジャスタ40dを基準としたとき、第1アジャスタ40aは、この第4アジャスタ40dに対して第1軸の方向にあり、第2アジャスタ40bは、第1軸の方向と交差する第2軸の方向にあり、第3アジャスタ40cは、第1アジャスタ40aおよび第2アジャスタ40bとは別の四隅にあると表現できる。なお、この基準とした第4アジャスタ40dを「基準アジャスタ」若しくは「基準調整脚」と称する。
上記例では、第4アジャスタ40dを「基準アジャスタ」としているが、もちろん、これに限定されることなく、第4アジャスタ40dとは異なる他のアジャスタを基準アジャスタとしてもよく、この場合であっても上記と同様の表現が可能である。
【0049】
以下では、商品販売装置1における制御部30(調整制御部)において行われる調整制御処理の詳細について、
図3および
図4を用いて説明する。
【0050】
図3および
図4は、本発明の実施の形態における商品販売装置1を据付位置に据え付ける際の状態を示す図である。
【0051】
図3(a)は、商品販売装置1が据付位置に据え付けられる前の状態を示している。例えば、クレーン等で商品販売装置1が持ち上げられている状態である。続いて、
図3(b)は、商品販売装置1を据付位置に据え付けた仮の状態を示している。
【0052】
商品販売装置1が、
図3(b)に示すような仮の据付状態で、操作者が、タッチパネル等の画像表示部の操作を行って商品販売装置1を据付位置に据え付けることが指示されると(調整制御条件が成立すると)、調整制御部における処理が開始される。
この調整制御部では、調整制御処理として、まず、全てのアジャスタ40のモータ部41を反転させる駆動制御を行うことで飛び出し量を最小に調整する処理を行う。もちろん、初期状態で飛び出し量を最小に調整されている場合にはこの処理は不要となる。
【0053】
調整制御処理では、この飛び出し量が最小に調整された状態で、各アジャスタ40のモータ部41を正転させる駆動制御を行い、各アジャスタ40のモータ部41に掛かる荷重負荷を測定する。このときの荷重負荷は、モータ部41の駆動制御によって支柱部44を回転させるために必要な電流量等によって測定可能である。なお、この荷重負荷は、アジャスタ40のモータ部41に設けられた負荷計測部によって行うことが可能である。
【0054】
そして、調整制御処理では、各アジャスタ40のモータ部41において計測した荷重負荷をもとに、対角上にあるアジャスタ40同士の荷重負荷を合計してそれぞれの合計荷重負荷を算出する。上記例では、基準アジャスタと、第3アジャスタ40cとの荷重負荷を合計した「第1合計荷重負荷」を算出するほか、第1アジャスタ40aと第2アジャスタ40bとの荷重負荷を合計した「第2合計荷重負荷」を算出する。
荷重負荷が電流量によって測定可能であることから、「第1合計荷重負荷」を「第1合計負荷電流量」とも称し、また、「第2合計荷重負荷」を「第2合計負荷電流量」とも称する。
【0055】
このときの調整制御処理では、「第1合計荷重負荷」と、「第2合計荷重負荷」とで有意な差が生じているか否かを判断する。この「有意な差」とは、予め指定された差分負荷であって、商品販売装置1が据付位置に据え付けられた状態でガタツキがあり固定されていないと判断する差分量(相違量)である。
【0056】
すなわち、この「有意な差」が生じていると判断する場合、商品販売装置1は、ガタツキがあることで不安定な状態で据え付けられていると判断でき、また、この「有意な差」が生じていないと判断する場合、商品販売装置1は、ガタツキがなく安定した状態で据え付けられていると判断できる。
【0057】
図3(b)は、「有意な差」があると判断する場合における据付状態を示している。
図3(b)では、第1アジャスタ40aが据付位置から浮いた状態を示している。
もちろん、
図3(b)に示す第1アジャスタ40aの状態は一例を示したものであって、必ずしも浮いた状態にある必要はなく、据付位置と接地した状態において「有意な差」が生じることがある。
【0058】
図3(b)のような状態となることで、「有意な差」が生じていると判断する場合、調整制御処理では、この第1アジャスタ40aの支柱部44の長さを調整して差分負荷を小さくする。すなわち、第1アジャスタ40aが据付位置から浮いた状態にある場合、第1アジャスタ40aを据付位置に設置させて荷重負荷を与える。
より具体的には、第1アジャスタ40aのモータ部41に掛かる荷重負荷が重く変化した(荷重負荷の変化量(変化の割合)が最大となった)ことを負荷計測部が測定するまで、第1アジャスタ40aの支柱部44の長さを調整する。
【0059】
これらの処理によって、商品販売装置1は、4つのアジャスタ40によって荷重が支えられた状態にあり、商品販売装置1の筐体に掛かるねじれなどによる歪みが解消された状態となる。この状態を
図3(c)に示している。
【0060】
つまり、この状態にある商品販売装置1は、バランスが取れた状態(安定した状態)にある。このことから、仮の据付状態からバランスの取れた状態とするまでの上記の処理を、特に、「バランス制御処理」とも称する。このバランス制御処理は、調整制御処理の一部である。
【0061】
図3(c)は、支持部材50が、商品販売装置1に掛かる重力の方向と垂直とはなっていないが、据付位置に対して商品販売装置1がバランスの取れた状態を示している。
【0062】
続いて、この
図3(c)のように、バランス制御処理によって商品販売装置1が、バランスの取れた状態となったとき、傾斜計51によって支持部材50が傾斜した傾斜角を測定する。
そして、調整制御処理では、この傾斜計51を用いて測定した傾斜角の正負の値によって最も高い位置にあるアジャスタ40を基準アジャスタと決定する。ここでは、一例として、第4アジャスタ40dが最も高い位置にあるアジャスタ40として決定されたとする。すなわち、第4アジャスタ40dが基準アジャスタと決定される。
【0063】
図3(c)に示すように、第4アジャスタ40dを基準アジャスタと決定すると、この基準アジャスタを基準点(原点)とすると、基準アジャスタを基準点(原点)からX軸(第1軸)の方向にあるアジャスタが第1アジャスタ40aであり、このX軸と交差するY軸(第2軸)の方向にあるアジャスタが第2アジャスタ40bである。
【0064】
そして、この基準アジャスタ、第1アジャスタ40a、第2アジャスタ40bとは異なるアジャスタが第3アジャスタ40cである。この第3アジャスタ40cは、基準アジャスタに対して対角の位置にある。
【0065】
続いて、調整制御部によって行われる調整制御処理では、記憶部で記憶している支持部材50のサイズ情報をもとに、各アジャスタ40における3次元位置情報を算出する。
【0066】
この3次元位置情報の算出処理においては、基準アジャスタの基準座標を「(横、縦、高さ)=(0、0、0)」に設定する。そして、この基準座標からの変化量として、サイズ情報、傾斜角、モータ部41の駆動制御における回転角度の情報をもとに、第1アジャスタ40a、第2アジャスタ40b、第3アジャスタ40cの3次元位置情報の座標(3次元位置座標)を算出する。
【0067】
このとき、傾斜計51によって、X軸(第1軸)の方向の傾斜角をMと計測し、Y軸(第2軸)の方向の傾斜角をNと計測した場合であって、支持部材50のサイズ情報として「横:縦=Bx:Cy」が記憶部に記憶され、また、螺子ピッチが「p」である場合、3次元位置情報の座標(3次元位置座標)は以下のように算出される。
【0068】
第1アジャスタ40aの3次元位置座標は、「(横、縦、高さ)=(Bx、0、m)」であり、第2アジャスタ40bの3次元位置座標は、「(横、縦、高さ)=(0、Cy、n)」であり、第3アジャスタ40cの3次元位置座標は、「(横、縦、高さ)=(Bx、Cy、m+n)」と算出される。
このときの「m」は、基準アジャスタの高さと第1アジャスタ40aの高さとの差分であって、また、「n」は、基準アジャスタの高さと第2アジャスタ40bの高さとの差分である。これらの差分は、サイズ情報と傾斜角によって表される。
【0069】
「m」は、「m = Bx × sinM゜」と表すことができ、また、「n」は、「n = Cy × sinN゜」と表すことができる。
以上のことから、基準アジャスタの3次元位置座標は、「(0、0、0)」であり、第1アジャスタ40aの3次元位置座標は、「(Bx、0、Bx × sinM゜)」であり、第2アジャスタ40bの3次元位置座標は、「(0、Cy、Cy × SinN゜)」であり、第3アジャスタ40cの3次元位置座標は、「(Bx、Cy、(Bx × sinM゜)+(Cy × sinN゜))」である。
【0070】
このように算出された各アジャスタ40の3次元位置座標のうち、高さ情報を基準アジャスタの高さ情報と略同一に調整(高さ調整)することによって、支持部材50が水平となる角度にする。
【0071】
このとき、第1アジャスタ40aを構成するモータ部41の駆動制御による回転角度を「θ1」とし、また、第2アジャスタ40bを構成するモータ部41の駆動制御による回転角度を「θ2」とし、さらに、第3アジャスタ40cを構成するモータ部41の駆動制御による回転角度を「θ3」とする。
この場合、「θ1」は、高さ情報と螺子ピッチとを用いて「m/p×360゜」と表すことができ、また、「θ2」は、高さ情報と螺子ピッチとを用いて「n/p×360゜」と表すことができ、「θ3」は、高さ情報と螺子ピッチとを用いて「(m+n)/p×360゜」と表すことができる。
【0072】
また、上記に示すように、「m」は、「m = Bx × sinM゜」と表すことができ、また、「n」は、「n = Cy × sinN゜」と表すことができることから、回転角度は、以下のように表すことができる。すなわち、
「θ1=Bx sinM゜/p×360゜」と表すことができ、
「θ2=Cy sinN゜/p×360゜」と表すことができ、
「θ3=(Bx sinM゜+ Cy sinN゜)/p×360゜」と表すことができる。
【0073】
以上に示すような回転角度で、各アジャスタ40の回転制御を行うことにより、基準アジャスタの高さ情報と略同一に調整(高さ調整)することが可能となる。
【0074】
このように、支持部材50を水平にするための回転角度が算出された状態となると、調整制御部によって行われる調整制御処理では、記憶部において記憶しているサイズ情報をもとに、高さ調整を行う一軸(第1軸または第2軸)のアジャスタを決定する。
【0075】
これは、商品販売装置1本体に歪みが生じないよう、歪みが生じにくいように、または、モータ部41のギアに対して過度の負荷が掛からないように、2軸のうち、一方の軸(第1軸または第2軸)を決定する処理である。
【0076】
好適には、サイズ情報をもとに、支持部材50の短辺となる軸を選択することが好ましい。よって、短辺の第2軸が選択され、第1アジャスタ40aと、第3アジャスタ40cとが決定される。
このように決定された、第1アジャスタ40aと、第3アジャスタ40cとのモータ部41を、第1アジャスタ40aの回転角度である「θ1=Bx sinM゜/p×360゜」だけ、第1アジャスタ40aと第3アジャスタ40cを同時に駆動させる。
この駆動制御によって、第1アジャスタ40aと第3アジャスタ40cの支柱部44が、「m = Bx × sinM゜」だけ延伸された状態となる。この状態を
図4(d)に示している。この
図4(d)は、
図3(c)からの続きである。
【0077】
これにより、第1アジャスタ40aの高さは基準アジャスタの高さと略同一となり、かつ、第3アジャスタ40cの高さは第2アジャスタ40bの高さと略同一となる。つまり、1軸方向の高さ調整の制御が行われた状態となる。
【0078】
続いて、長編の第1軸を選択し、第2アジャスタ40bと、第3アジャスタ40cとを駆動制御するアジャスタ40として決定する。
このように決定された、第2アジャスタ40bと、第3アジャスタ40cとのモータ部41を、第2アジャスタ40bの回転角度である「θ2=Cy sinN゜/p×360゜」だけ、第2アジャスタ40bと第3アジャスタ40cを同時に駆動させる。
この駆動制御によって、第2アジャスタ40bと第3アジャスタ40cの支柱部44が、「n = Cy × sinN゜」だけ延伸された状態となる。この状態を
図4(e)に示している。
【0079】
このとき、第3アジャスタ40cは、2回の駆動制御によって回転角度「θ1+θ2」である「θ3=(Bx sinM゜+ Cy sinN゜)/p×360゜」だけ駆動されたこととなる。
【0080】
これにより、第2アジャスタ40bの高さおよび第3アジャスタ40cの高さは、それぞれ基準アジャスタの高さと略同一となる。すなわち、第1アジャスタ40a、第2アジャスタ40b、第3アジャスタ40cの高さが、基準アジャスタの高さと略同一となり、支持部材50が水平となる。この状態を
図4(f)に示している。
つまり、両軸方向の高さ調整の制御が行われた状態となる。
以上のことから、調整制御部は、他の調整脚のうち、基準アジャスタである基準調整脚に対して第1軸の方向にある第1調整脚、前記第1軸の方向と交差する第2軸の方向にある第2調整脚、および、前記第1調整脚および第2調整脚とは異なる第3調整脚のうち、その基準調整脚との距離が小さい第1調整脚または第2調整脚のいずれかを選択し、選択された第1調整脚または第2調整脚における「有意な差」(相違量)を元に、選択された第1調整脚または第2調整脚と第3調整脚との長さを調整する。また、選択されなかった第2調整脚または第1調整脚の「有意な差」(相違量)を元に、選択されなかった第2調整脚または第1調整脚と第3調整脚との長さを調整する処理を行う。
【0081】
図5は、本発明の実施の形態における商品販売装置による調整処理の詳細な流れを示すフローチャートである。
【0082】
図5において、まず、商品販売装置1は、据え付けを行う据付位置に仮設置されている。この仮設置された状態は、商品販売装置の支持部材50の四方(四隅)に設けられた各アジャスタの少なくとも2つが据付位置に接した状態である。つまり、仮設置された商品販売装置は、全てのアジャスタが据付位置に接した状態にあるか、または、1つまたは2つのアジャスタが据付位置と接していない状態にある。
【0083】
このように仮設置された状態において、まず、商品販売装置は、自機(商品販売装置自体)を仮設置した際の各アジャスタに掛かる荷重を考慮した「調整制御初期処理」を行う(S501)。この「調整制御初期処理」の詳細な流れを
図6に示しており、後述する。
【0084】
この「調整制御初期処理」では、全てのアジャスタが据付位置と接地した状態となり、商品販売装置は、据付位置に対して各アジャスタによりバランスが取れて設置された状態となる。
上記の「調整制御初期処理」は、例えば、操作者により調整制御処理の実行が指示されたときという、調整制御条件が成立したことによって行われる処理である。
【0085】
また、「調整制御初期処理」によって、商品販売装置の支持部材50に設けられたアジャスタのうち、1のアジャスタが「基準点」となるアジャスタ(基準アジャスタ)として設定された状態となる。
【0086】
このような状態において、商品販売装置は、支持部材50のサイズ情報を読み出す(S502)。このサイズ情報は、あらかじめ記憶部において記憶された情報であって、支持部材50の形状、大きさ情報およびアジャスタが設けられた位置座標からなる。
【0087】
続いて、商品販売装置は、支持部材50の傾斜角を測定可能な傾斜計51を用いて、交差する2軸(第1軸、第2軸)それぞれの方向の傾斜角を算出する(S503)。
【0088】
このようにして2軸(第1軸、第2軸)それぞれの傾斜角をもとに、これら各軸の方向の傾斜角に基づいて、S501に示すような「調整制御初期処理」において設定された基準アジャスタの高さで支持部材50が水平なるために、より安定した調整制御が容易な一方の軸を選択する(S504)。以下では、第2軸を「より安定した調整制御が容易な一方の軸」として選択している。
【0089】
続いて、商品販売装置は、この選択した、より安定した調整制御が容易な一方の軸の傾斜角を「0(ゼロ)」に調整するためのモータを選択する(S505)。
【0090】
このとき、より安定した調整制御が容易な一方の軸として、たとえば、支持部材50の短手方向(Y軸)である「第2軸」が選択され、この場合、この第2軸の方向(短手方向)の高さを調整するための2つのモータが選択される。
【0091】
商品販売装置1は、選択された2つのアジャスタ40に設けられているモータ部41を用いて、第1軸の方向の傾斜角を「0(ゼロ)」とする高さとするための「モータ回転角度」を算出する(S506)。
【0092】
続いて、上記のS505に示すような処理によって選択された、「より安定した調整制御が容易な一方の軸」とは異なる他の軸の傾斜角を「0(ゼロ)」に調整するためのアジャスタを選択する(S507)。このときの「他の軸」とは、より安定した調整制御が容易な一方の軸として選択された「短手方向(Y軸)である第2軸」とは異なり、支持部材50の長手方向(X軸)である「第1軸」が選択されることとなる。また、このとき選択されるアジャスタは、この第1軸の方向(長手方向)の高さを調整するための2つのアジャスタが選択される。
具体的には、第2アジャスタ40b、第3アジャスタ40cが選択されることとなる。
【0093】
商品販売装置1は、選択された2つのアジャスタ40に設けられているモータ部41を用いて、第2軸の方向の傾斜角を「0(ゼロ)」とする高さとするための「モータ回転角度」を算出する(S508)。
【0094】
このようにして、第1軸および第2軸の傾斜角を「0(ゼロ)」に調整するための「モータ回転角度」が算出されると、この「モータ回転角度」でアジャスタのモータ部を回転制御する処理を行う(S509)。この回転制御の詳細な処理の流れを
図7に示し、後述する。
【0095】
このモータの回転制御処理では、「第1軸」の方向および「第2軸」の方向における傾斜角それぞれを順次、略水平(勾配が略0度)とし、これによって、商品販売装置を垂直に設置することが可能となる。
【0096】
このようなモータの回転制御処理によって、「第1軸」の方向および「第2軸」の方向における傾斜角それぞれが略水平(勾配が略0度)とすると、商品販売装置は、傾斜計51を用いて、第1軸および第2軸の両軸の傾斜角を算出して記憶部に記憶する(S510)。
【0097】
このS510における、第1軸および第2軸の両軸の傾斜角を算出する処理は、調整制御処理によって商品販売装置が、実際に垂直に設置された状態にあるかを確認する処理である。
【0098】
続いて、商品販売装置は、S501の処理が行われた「調整制御条件」とは異なる他の「調整制御条件」が成立したか否かを判断する(S511)。
【0099】
この「調整制御条件」が成立したと判断する場合(S511でYES)、商品販売装置は、上記のS505における処理以降を継続して行う。また、「調整制御条件」が成立したと判断しない場合(S511でNO)、商品販売装置は、一定時間(1秒、1分、1時間、一日等)が経過したかを判断する(S512)。
【0100】
商品販売装置では、一定時間を経過した場合(S512でYES)、さらに、S511に示す「調整制御条件」が成立したか否かの判断処理を行う。一定時間を経過するまでは(S512でNO)待機状態となる。
【0101】
このような「調整制御条件」の成立を判断する処理(S509)を設けることによって、商品販売装置は、適宜、調整制御が可能となり、常にまたは必要に応じて、バランスを保つことが可能になるという効果を奏する。
【0102】
図6は、
図5に示す調整制御処理における「調整制御初期処理」の詳細な流れを示すフローチャートである。
【0103】
図6における「調整制御初期処理」は、商品販売装置が、据え付けを行う据付位置に設置された状態(「仮設置状態」とも称する)となり、操作者によって調整制御処理の指示操作(タッチパネル等による操作)が行われることによって開始される初期処理である。
【0104】
この調整制御初期処理において、商品販売装置は、まず、自商品販売装置に設けられた全てのアジャスタのモータの制御処理を行うことで、支柱部の飛び出し量を「初期飛び出し量」へと設定する(S601)。このとき、支柱部の飛び出し量を「初期飛び出し量」とするために、モータの制御により支柱部の飛び出し量を「初期飛び出し量」とする。
【0105】
続いて、商品販売装置では、アジャスタのモータ部41を制御することで支柱部44を正転させ、「初期飛び出し量」にある支柱部44を延伸させて可動脚45部を据付位置に接地させる(S602)。
【0106】
このように据付位置に商品販売装置が設置された状態において、続いて、商品販売装置は、据付位置に接地している可動脚部45それぞれに掛かる負荷電流量を計測する(S603)。そして、商品販売装置は、可動脚部ごとに負荷電流量を記憶部に記憶する。
【0107】
そして、商品販売装置は、各アジャスタの可動脚部45の負荷電流量同士を比較することで「最大負荷電流量」と「最小負荷電流量」を特定し、この「最大負荷電流量」と「最小負荷電流量」との差分負荷を算出する。
このとき、商品販売装置は、この差分負荷が一定の許容範囲内にあるか否かを判断する(S604)。このS604における処理は任意に行われる。
【0108】
商品販売装置は、この差分負荷が一定の許容範囲内にあると判断する場合(S604でYES)、処理を終了する。この場合、商品販売装置は、各アジャスタの可動脚部に略均等に荷重がかかっていることを示す。つまり、商品販売装置は、バランスが取れた状態で設置されていると言える。
【0109】
これに対して、上記のS604における処理において、商品販売装置は、差分負荷が一定の許容範囲内にあると判断しない場合(S604でNO)、つまり、各アジャスタの可動脚部に略均等に荷重がかかっていない状態である場合、続いて、対角線上にあるアジャスタのモータに掛かる負荷電流量同士を加算した合計負荷電流量(第1合計負荷電流量、第2合計負荷電流量)をそれぞれ算出する(S605)。
【0110】
このときの商品販売装置は、可動脚部が据付位置に接地した状態にあるが、商品販売装置の重量が可動脚部に均等に掛かっておらず、不安定な状態にあることを示している。
【0111】
続いて、商品販売装置は、これらの合計負荷電流量(第1合計負荷電流量、第2合計負荷電流量)間の差分負荷を算出し、その差分負荷が「有意な差」があるか否かを判断する(S606)。このときの「有意な差」とは、上記に示すように、商品販売装置の荷重が可動脚部に均等ではないことを示す差分負荷以上であることを示している。
【0112】
つまり、合計負荷電流量間の差分負荷に有意な差がある場合とは、各アジャスタに掛かる荷重が均等ではなく、商品販売装置のバランスが取れていない状態を示しており、また、合計負荷電流量間の差分負荷に有意な差がない場合とは、各アジャスタに掛かる荷重が略均等であって商品販売装置のバランスが取れている状態を示している。
【0113】
この合計負荷電流量間の差分負荷に有意な差がある場合(S606でYES)、商品販売装置は、小さい合計負荷電流量(第1合計負荷電流量、または第2合計負荷電流量のいずれか一方)を特定し、特定された小さい合計負荷電流量を構成する各負荷電流量を計測したモータを制御することで正転させ、支柱部を延伸させる。このとき、商品販売装置は、支柱部の延伸によってモータに掛かる負荷電流量の変化量を計測(モニタリング)し、この変化量が最大となったことを検知することでモータ制御を停止させる(S607)。
【0114】
このモータ制御によって、支柱部は、負荷電流量の変化量が最大となったときの飛び出し量で停止した状態となる。この状態は、商品販売装置の各アジャスタに設けられたモータに掛かる負荷電流量が略均一の状態であることを示している。すなわち、差分負荷が小さくなった状態を示しており、好適には差分負荷が生じていない状態となる。
【0115】
これによって、商品販売装置は、据付位置(より詳細にはアジャスタの可動脚部が接地した箇所)に対して各アジャスタによってバランスが取れた状態(各アジャスタに掛かる比重が均一の状態)となる。
【0116】
以上に示すような処理によって、商品販売装置は、据付位置に対して荷重が均一となってバランスが取れた状態となる。
【0117】
続いて、上記のS607のような処理によって商品販売装置がバランスの取れた状態となる場合と、上記のS606の処理において「有意な差」がなく商品販売装置がバランスの取れている状態にある場合とのいずれかとなると、続いて、商品販売装置は、支持部材50に設けられた傾斜計51で、この支持部材50の交差する2軸(X軸、Y軸)それぞれの傾斜角を測定する(S608)。傾斜計51の設置位置は、あくまでも一例であって、その位置を問わない。
【0118】
そして、このようにして計測した軸ごとの傾斜角をもとに、商品販売装置は、少なくとも一方の軸の傾斜角が所定角以上であるか否かを判断する(S609)。
【0119】
このとき、計測した少なくとも一方の軸の傾斜角が所定角以上でない場合(S609でNO)、傾斜角が所定角未満であることから、商品販売装置は、商品販売装置が垂直に設置されているものとして処理を終了する。つまり、この場合、商品販売装置は、据付位置に対して荷重が均一となってバランスが取れた状態によって、垂直に設置された状態となることを示している。
【0120】
これに対して、計測した少なくとも一方の軸の傾斜角が所定角以上である場合(S609でYES)、商品販売装置は、その傾斜角の情報(傾斜角情報)に基づいて、一番高い位置にあるモータを「基準点」に設定する(S610)。
【0121】
そして、商品販売装置は、この基準点に関する情報として、基準点に設定されたモータの識別情報を記憶する(S611)。
【0122】
以上に示すような「調整制御初期処理」によって、商品販売装置は、据付位置に対して各アジャスタによりバランスが取れて設置された状態となる。そのため、この「調整制御初期処理」を「バランス制御処理」とも称することがある。
【0123】
図7は、
図5に示す調整制御処理における「回転制御処理」の詳細な流れを示すフローチャートである。
【0124】
図7において、商品販売装置は、
図6に示すような調整制御初期処理(バランス制御処理)によって基準点が設定され、この基準点を原点として交差する2軸(第1軸と第2軸)が指定された状態となっている。
【0125】
この状態で、基準点からみて第1軸の方向にある設置点のモータと、このモータの設置点からみて第2軸方向にある設置点のモータとを、
図5に示すS506において算出された「モータ回転角度」で回転制御する(S701)。
【0126】
このモータの回転制御処理の開始から、一定時間を経過したか否かを判断して(S702)、一定時間を経過するまで(S702でNO)、商品販売装置は待機状態となる。これは、モータの回転制御処理により商品販売装置が一時的に不安定となる状態において、転倒等の危険性を最小限に抑制するものである。
【0127】
一定時間を経過後(S702でYES)、商品販売装置は、自装置が転倒等の危険性が高い状態にあるか否かを判断する(S703)。これは、例えば、加速度センサを用いること、倒立振子を制御すること等によって、その加速度や揺れ具合によって判断することが可能である。
【0128】
そして、自装置が転倒等の危険性が高い状態にあると判断する場合(S703でYES)、商品販売装置は、調整制御処理を停止して(S705)、その旨を報知する。
【0129】
その一方で、自装置が転倒等の危険性が高い状態にあると判断しない場合(S703でNO)、商品販売装置は、基準点を原点として交差する2軸(第1軸と第2軸)が指定された状態で、基準点からみて第2軸の方向にある設置点のモータと、このモータの設置点からみて第1軸方向にある設置点のモータとを、
図5に示すS508において算出された「モータ回転角度」で回転制御する(S704)。
【0130】
このような回転制御処理によって、商品販売装置は、「第1軸」の方向および「第2軸」の方向における傾斜角それぞれを略水平(勾配が略0度)とし、重力方向に対して略垂直に設置することが可能となる。
【0131】
以上に示す実施の形態は、本発明の実施の一形態であって、これらの実施例に限定することなく、その要旨を変更しない範囲内で適宜変形して実施できるものである。