であり、30%圧縮変形時の回復率が16〜48%である導電性粒子と、はんだ粒子と、導電性粒子、及びはんだ粒子を分散させるバインダーとを含有する。これにより、アルミニウム配線に対しても、優れた接続信頼性及び放熱性が得られる。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら下記順序にて詳細に説明する。
1.異方性導電接着剤
2.接続構造体及びその製造方法
3.実施例
【0016】
<1.異方性導電接着剤>
本実施の形態における異方性導電接着剤は、樹脂からなる基材と、前記基材の表面に配置された導電層とを有し、30%圧縮変形時のK値が50〜400Kgf/mm
2であり、30%圧縮変形時の回復率が16〜48%である導電性粒子と、はんだ粒子と、導電性粒子、及びはんだ粒子を分散させるバインダーとを含有する。これにより、アルミニウム配線に対して優れた接続信頼性が得られるとともに、優れた放熱性を得ることができる。
【0017】
異方性導電接着剤は、フィルム状の異方性導電フィルム、又はペースト状の異方性導電ペーストのいずれであってもよい。また、異方性導電ペーストを接続時にフィルムの形態にしてもよく、部品を搭載することでフィルムの形態としてもよい。
【0018】
[導電性粒子]
導電性粒子は、樹脂からなる基材と、基材の表面に配置された導電層とを有する。基材としては、ジビニルベンゼン系樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、アクリル樹脂、アクリロニトリル・スチレン(AS)樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、スチレン系樹脂などが挙げられる。また、導電層は、ニッケル、金、銅、パラジウムなどの金属メッキ層であることが好ましく、特に、ニッケルメッキ層上に金メッキ層が形成されたニッケル−金メッキ層であることが好ましい。これにより、アルミニウム配線に対して優れた接続信頼性を得ることができる。
【0019】
導電性粒子の30%圧縮変形時の圧縮硬さK値は、50〜400Kgf/mm
2であり、好ましくは150〜300Kgf/mm
2であり、より好ましくは180〜250Kgf/mm
2である。導電性粒子の30%圧縮変形時の回復率は、16〜48%であり、好ましくは16〜40%であり、より好ましくは16〜30%である。これにより、導電性粒子が比較的低圧で圧縮され、アルミニウム配線の表面に存在する酸化膜を除去し、回復率も著しく大きくないため、アルミニウム配線に対して優れた接続信頼性を得ることができる。
【0020】
導電性粒子の30%圧縮変形時の圧縮硬さK値は、下記式(1)によって算出される。
【0022】
ここで、式(1)中、F及びSは、それぞれ導電性粒子の30%圧縮変形時における荷重値(kgf)及び圧縮変位(mm)であり、Rは半径(mm)である。
【0023】
K値は、例えば以下の測定方法によって測定される。具体的には、先ず、室温において平滑表面を有する鋼板の上に導電性粒子を散布する。次に、散布した導電性粒子の中から1個の導電性粒子を選択する。そして、微小圧縮試験機(例えば、PCT−200型:株式会社島津製作所製)が備えるダイアモンド製の直径50μmの円柱の平滑な端面を、選択した1個の導電性粒子に押し当てることによりこの導電性粒子を圧縮する。この際、圧縮荷重は、電磁力として電気的に検出され、圧縮変位は、作動トランスによる変位として電気的に検出される。ここで、「圧縮変位」とは、変形前の導電性粒子の粒径から変形後の導電性粒子の短径の長さを引いた値(mm)をいう。その後、鋼板上の別の導電性粒子を選択し、選択した導電性粒子についても圧縮荷重及び圧縮変位を測定する。例えば10個の導電性粒子について、異なる圧縮荷重に対する圧縮変位の測定を行う。そして、例えば、圧縮変位−荷重値の関係を示すグラフや式より、導電性粒子の30%圧縮時における荷重値F(kgf)及び圧縮変位S(mm)を求め、式(1)を用いて30%圧縮時の圧縮硬さK値を算出する。
【0024】
また、導電性粒子の30%圧縮変形時の回復率は、例えば以下の方法により測定される。まず、微小硬度計を用いて、25℃の温度下で、導電性粒子の中心方向に、圧縮速度0.33mN/秒で荷重を30%圧縮変形するまで、すなわち、直径が30%短くなるまで、負荷を与え、5秒間保持した後、0.33mN/秒で除荷を行う。そして、30%変位負荷時の導電性粒子の厚さをAmm、除荷後30分間放置したときの導電性粒子の厚さをBmmとして、下記式(2)から圧縮回復率を求めることができる。
圧縮回復率(%)=[(B−A)/A]×100 ・・・(2)
【0025】
導電性粒子の平均粒径は、1μm以上20μm以下であることが好ましく、2μm以上10μm以下であることがより好ましい。また、導電性粒子の平均粒径は、はんだ粒子の平均粒径よりも小さいことが好ましい。これにより、放熱性を向上させることができる。
【0026】
導電性粒子の配合量は、バインダー100質量部に対して、5〜50質量部であることが好ましく、5〜15質量部であることがより好ましく、8〜15質量部であることがさらに好ましい。はんだ粒子の配合量が少なすぎると優れた放熱特性が得られなくなり、配合量が多すぎると異方性が損なわれ、優れた接続信頼性が得られない。
【0027】
なお、本明細書において、「平均粒径」は、金属顕微鏡、光学顕微鏡、SEM(Scanning Electron Microscope)等の電子顕微鏡などを用いた観察画像において、N=50以上、好ましくはN=100以上、さらに好ましくはN=200以上で測定した粒子の長軸径の平均値であり、粒子が球形の場合は、粒子の直径の平均値である。また、観察画像を公知の画像解析ソフトを用いて計測された測定値、画像型粒度分布測定装置を用いて測定した測定値(N=1000以上)であってもよい。観察画像や画像型粒度分布測定装置から求めた平均粒径は、粒子の最大長の平均値とすることができる。なお、異方性導電接着剤を作製する際には、簡易的にレーザー回折・散乱法によって求めた粒度分布における頻度の累積が50%になる粒径(D50)、算術平均径などのメーカー値を用いることができる。
【0028】
[はんだ粒子]
はんだ粒子は、例えばJIS Z 3282−1999に規定されている、Sn−Pb系、Pb−Sn−Sb系、Sn−Sb系、Sn−Pb−Bi系、Bi−Sn系、Sn−Cu系、Sn−Pb−Cu系、Sn−In系、Sn−Ag系、Sn−Pb−Ag系、Pb−Ag系などから、電極材料や接続条件などに応じて適宜選択することができる。また、はんだ粒子の形状は、粒状、燐片状などから適宜選択することができる。なお、はんだ粒子は、異方性を向上させるために絶縁層で被覆されていても構わない。
【0029】
はんだ粒子の平均粒径は、導電性粒子の平均粒径よりも大きく、好ましくは、導電性粒子の平均粒径の120%以上250%未満である。はんだ粒子が導電性粒子に対して小さすぎると、圧着時にはんだ粒子が対向する端子間に捕捉されず、優れた放熱特性及び電気特性を得ることができない。一方、はんだ粒子が導電性粒子に対して大きすぎると、例えばLEDチップのエッジ部分ではんだ粒子によるショルダータッチが発生してリークが発生し、製品の歩留りが悪くなる。
【0030】
はんだ粒子の配合量は、バインダー100質量部に対して、30〜200質量部であることが好ましく、50〜150質量部であることがより好ましく、120〜150質量部であることがより好ましい。はんだ粒子の配合量が少なすぎると優れた放熱特性が得られなくなり、配合量が多すぎると異方性が損なわれ、優れた接続信頼性が得られない。
【0031】
[バインダー]
バインダーは、熱硬化型の絶縁性バインダー(絶縁性樹脂)であればよく、(メタ)アクリレート化合物と熱ラジカル重合開始剤とを含む熱ラジカル重合型樹脂組成物、エポキシ化合物と熱カチオン重合開始剤とを含む熱カチオン重合型樹脂組成物、エポキシ化合物と熱アニオン重合開始剤とを含む熱アニオン重合型樹脂組成物などが挙げられる。なお、(メタ)アクリルモノマーとは、アクリルモノマー、及びメタクリルモノマーのいずれも含む意味である。
【0032】
以下では、具体例として、アクリル樹脂と、脂環式エポキシ化合物又は水素添加エポキシ化合物と、カチオン触媒とを含有する熱硬化型の絶縁性バインダーを例に挙げて説明する。
【0033】
アクリル樹脂は、アクリル酸を好ましくは0.5〜10wt%含み、より好ましくは1〜5wt%含む。アクリル樹脂中にアクリル酸が含まれることにより、アクリル樹脂を島とし、エポキシ化合物の海とする硬化物モデルにおいて、アクリル樹脂の島とエポキシ化合物の海との繋がりが生じるとともに、酸化膜の表面が荒れてエポキシ化合物の海とのアンカー効果が強まるため、アルミニウム配線に対して優れた接続信頼性を得ることができる。
【0034】
また、アクリル樹脂は、ヒドロキシル基を有するアクリル酸エステルを好ましくは0.5〜10wt%含み、より好ましくは1〜5wt%含む。アクリル樹脂中にヒドロキシル基を有するアクリル酸エステルが含まれることにより、ヒドロキシル基の極性によりアルミニウム配線に対して静電気的な接着力が得られる。
【0035】
ヒドロキシル基を有するアクリル酸エステルとしては、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸2−ヒドロキシプロピル、アクリル酸2−ヒドロキシエチル、アクリル酸2−ヒドロキシプロピル等を挙げることができる。これらの中でも、酸化膜に対する接着性に優れるメタクリル酸2−ヒドロキシエチルが好ましく使用される。
【0036】
また、アクリル樹脂は、アクリル酸及びヒドロキシル基を有するアクリル酸エステル以外に、ヒドロキシ基を有さないアクリル酸エステルを含む。ヒドロキシ基を有さないアクリル酸エステルとしては、アクリル酸ブチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ニトリル等を挙げることができる。
【0037】
アクリル樹脂は、重量平均分子量が50000〜900000であることが好ましい。アクリル樹脂を島とし、エポキシ化合物の海とする硬化物モデルにおいて、アクリル樹脂の重量平均分子量は、アクリル樹脂の島の大きさに相関を示すことになるため、アクリル樹脂の重量平均分子量が50000〜900000であることにより、適度な大きさのアクリル樹脂の島を酸化膜に接触させることが可能となる。アクリル樹脂の重量平均分子量が50000未満の場合、アクリル樹脂の島と酸化膜の接触面積が小さくなり、接着力向上の効果が得られない。また、アクリル樹脂の重量平均分子量が900000超の場合、アクリル樹脂の島が大きくなり、酸化膜に対してアクリル樹脂の島及びエポキシ化合物の海の硬化物全体で接着している状態とはいえず、接着力が低下する。
【0038】
また、アクリル樹脂の含有量は、エポキシ化合物100質量部に対して1〜10質量部であることが好ましく、1〜5質量部であることがより好ましい。アクリル樹脂の含有量がエポキシ化合物100質量部に対して1〜10質量部であることにより、アクリル樹脂の島が、エポキシ樹脂の海に良好な密度で分散した硬化物を得ることが可能となる。
【0039】
脂環式エポキシ化合物としては、分子内に2つ以上のエポキシ基を有するものが好ましく挙げられる。これらは液状であっても、固体状であってもよい。具体的には、3,4−エポキシシクロヘキセニルメチル−3′,4′−エポキシシクロヘキセンカルボキシレート、グリシジルヘキサヒドロビスフェノールA等を挙げることができる。これらの中でも、硬化物にLED素子の実装等に適した光透過性を確保でき、速硬化性にも優れている点から、3,4−エポキシシクロヘキセニルメチル−3′,4′−エポキシシクロヘキセンカルボキシレートが好ましく使用される。
【0040】
水素添加エポキシ化合物としては、先述の脂環式エポキシ化合物の水素添加物や、ビスフェノールA型、ビスフェノールF型等の公知の水素添加エポキシ化合物を使用することができる。
【0041】
脂環式エポキシ化合物や水素添加エポキシ化合物は、単独で使用してもよいが、2種以上を併用することができる。また、これらのエポキシ化合物に加えて本発明の効果を損なわない限り、他のエポキシ化合物を併用してもよい。例えば、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、テトラメチルビスフェノールA、ジアリールビスフェノールA、ハイドロキノン、カテコール、レゾルシン、クレゾール、テトラブロモビスフェノールA、トリヒドロキシビフェニル、ベンゾフェノン、ビスレゾルシノール、ビスフェノールヘキサフルオロアセトン、テトラメチルビスフェノールA、テトラメチルビスフェノールF、トリス(ヒドロキシフェニル)メタン、ビキシレノール、フェノールノボラック、クレゾールノボラックなどの多価フェノールとエピクロルヒドリンとを反応させて得られるグリシジルエーテル; グリセリン、ネオペンチルグリコール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ヘキシレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールなどの脂肪族多価アルコールとエピクロルヒドリンとを反応させて得られるポリグリシジルエーテル; p−オキシ安息香酸、β−オキシナフトエ酸のようなヒドロキシカルボン酸とエピクロルヒドリンとを反応させて得られるグリシジルエーテルエステル; フタル酸、メチルフタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、テトラハイドロフタル酸、エンドメチレンテトラハイドロフタル酸、エンドメチレンヘキサハイドロフタル酸、トリメリット酸、重合脂肪酸のようなポリカルボン酸から得られるポリグリシジルエステル; アミノフェノール、アミノアルキルフェノールから得られるグリシジルアミノグリシジルエーテル; アミノ安息香酸から得られるグリシジルアミノグリシジルエステル; アニリン、トルイジン、トリブロムアニリン、キシリレンジアミン、ジアミノシクロヘキサン、 ビスアミノメチルシクロヘキサン、4,4′−ジアミノジフェニルメタン、4,4′−ジアミノジフェニルスルホンなどから得られるグリシジルアミン; エポキシ化ポリオレフィン等の公知のエポキシ樹脂類が挙げられる。
【0042】
カチオン触媒としては、例えば、アルミニウムキレート系潜在性硬化剤、イミダゾール系潜在性硬化剤、スルホニウム系潜在性硬化剤などの潜在性カチオン硬化剤を挙げることができる。これらの中でも、速硬化性に優れるアルミニウムキレート系潜在性硬化剤が好ましく使用される。
【0043】
カチオン触媒の含有量は、少なすぎると反応性が無くなり、多すぎると接着剤の製品ライフが低下する傾向があるため、エポキシ化合物100重量部に対し、好ましくは0.1〜30質量部、より好ましくは0.5〜20質量部である。
【0044】
また、絶縁性バインダーは、他の成分として、光反射性絶縁粒子をさらに含有してもよい。光反射性絶縁粒子は、酸化チタン(TiO
2)、窒化ホウ素(BN)、酸化亜鉛(ZnO)及び酸化アルミニウム(Al
2O
3)からなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましい。これらの光反射性絶縁粒子は、粒子自体が自然光の下で灰色から白色であるため、可視光に対する反射特性の波長依存性が小さく、発光効率を向上させることができる。これらの中でも、高い屈折率を有する酸化チタンが好適に用いられる。
【0045】
また、絶縁性バインダーは、他の成分として、無機材料との界面における接着性を向上させるため、シランカップリング剤をさらに含有してもよい。シランカップリング剤としては、エポキシ系、メタクリロキシ系、アミノ系、ビニル系、メルカプト・スルフィド系、ウレイド系等が挙げられ、これらは単独で用いてもよいし、2種類以上を込み合わせて用いてもよい。
【0046】
また、絶縁性バインダーは、流動性を制御し、粒子捕捉率を向上させるため、無機フィラーを含有してもよい。無機フィラーとしては、特に限定されないが、シリカ、タルク、酸化チタン、炭酸カルシウム、酸化マグネシウム等を用いることができる。このような無機フィラーは、接着剤によって接続される接続構造体の応力を緩和させる目的によって適宜用いることができる。また、熱可塑性樹脂、ゴム成分等の柔軟剤等を配合してもよい。
【0047】
このような絶縁性バインダーによれば、アルミニウム配線などの難接着金属に対し、高い接着力を得ることができる。
【0048】
<2.接続構造体及びその製造方法>
次に、前述した異方性導電接着剤を用いた接続構造体について説明する。本実施の形態における接続構造体は、第1の電子部品と、第2の電子部品と、第1の電子部品と第2の電子部品との間に、樹脂からなる基材と、基材の表面に配置された導電層とを有し、30%圧縮変形時のK値が50〜400Kgf/mm
2であり、30%圧縮変形時の回復率が16〜48%である導電性粒子と、はんだ粒子と、導電性粒子、及びはんだ粒子を分散させるバインダーとを含有する異方性導電接着剤が硬化してなる異方性導電膜とを備え、第1の電子部品の端子と第2の電子部品の端子とが、導電性粒子を介して電気的に接続されてなるとともに、はんだ粒子によって接合されてなるものである。これにより、アルミニウム配線に対して優れた接続信頼性が得られるとともに、はんだ粒子による接合により、優れた放熱性を得ることができる。
【0049】
本実施の形態における第1の電子部品としては、熱を発するLED(Light Emitting Diode)、ドライバーIC(Integrated Circuit)等のチップ(素子)が好適であり、第2の電子部品としては、チップを搭載する基板が好適である。
【0050】
図1は、LED実装体の構成例を示す断面図である。このLED実装体は、LED素子と基板とを、前述した導電性粒子31とはんだ粒子32とが絶縁性バインダー中に分散された異方性導電接着剤を用いて接続したものである。
【0051】
LED素子は、例えばサファイヤからなる素子基板11上に、例えばn−GaNからなる第1導電型クラッド層12と、例えばIn
xAl
yGa
1−x−yN層からなる活性層13と、例えばp−GaNからなる第2導電型クラッド層14とを備え、いわゆるダブルヘテロ構造を有する。また、第1導電型クラッド層12上の一部に第1導電型電極12aを備え、第2導電型クラッド層14上の一部に第2導電型電極14aを備える。LED素子の第1導電型電極12aと第2導電型電極14aとの間に電圧を印加すると、活性層13にキャリアが集中し、再結合することにより発光が生じる。
【0052】
基板は、基材21上に第1導電型用回路パターン22と、第2導電型用回路パターン23とを備え、LED素子の第1導電型電極12a及び第2導電型電極14aに対応する位置にそれぞれ電極22a及び電極23aを有する。
【0053】
図1に示すように、LED実装体は、LED素子の端子(電極12a、14a)と、基板の端子(電極22a、23a)とが導電性粒子31を介して電気的に接続され、さらに、はんだ粒子32により接合している。これにより、端子間の接触面積が増大し、LED素子の活性層13で発生した熱を効率良く基板側に逃がすことができ、発光効率の低下を防ぐとともにLED実装体を長寿命化させることができる。
【0054】
また、フリップチップ実装するためのLED素子は、
図2に示すように、パッシベーション15により、LED素子の端子(電極12a、14a)が大きく設計されているため、LED素子の端子(電極12a、14a)と基板の端子(回路パターン22、23)との間に導電性粒子31及びはんだ粒子32がより多く捕捉される。これにより、LED素子の活性層13で発生した熱をさらに効率良く基板側に逃がすことができる。
【0055】
次に、上述した接続構造体の製造方法について説明する。本実施の形態における接続構造体の製造方法は、樹脂からなる基材と、基材の表面に配置された導電層とを有し、30%圧縮変形時のK値が50〜400Kgf/mm
2であり、30%圧縮変形時の回復率が16〜48%である導電性粒子と、はんだ粒子と、導電性粒子、及びはんだ粒子を分散させるバインダーとを含有する異方性導電接着剤を、第1の電子部品の端子と第2の電子部品の端子との間に介在させ、第1の電子部品と第2の電子部品とを熱圧着するものである。
【0056】
本実施の形態における接続構造体の製造方法によれば、圧着時に導電性粒子が押圧により扁平変形して電気的に接続するとともに、はんだ粒子による接合により対向する端子間のとの接触面積が増加するため、高い放熱性及び高い接続信頼性を得ることができる。
【実施例】
【0057】
<3.実施例>
以下、本発明の実施例について詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。本実施例では、異方性導電接着剤を用いてLED実装体を作製し、導通信頼性、及び放熱性ついて評価した。
【0058】
3.1 導電性粒子の圧縮変形に対する導通信頼性の評価
<実験例1〜12>
[異方性導電接着剤の作製]
脂環式エポキシ化合物(品名:セロキサイド2021P、ダイセル化学社製)100質量部、潜在性カチオン硬化剤(アルミニウムキレー卜系潜在性硬化剤)5質量部、アクリル樹脂(アクリル酸ブチル(BA):15%、アクリル酸エチル(EA):63%、アクリル酸ニトリル(AN):20%、アクリル酸(AA):1w%、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル(HEMA):1wt%、重量平均分子量Mw:70万)3質量部で構成されたバインダー中に、平均粒子径が10μm、融点が150℃のはんだ粒子を50質量部、及び表1に示す導電性粒子を5質量部配合し、異方性導電接着剤を作製した。
【0059】
[LED実装サンプルの作製]
異方性導電接着剤をアルミニウム配線基板A(フッ素樹脂基板、導体スペース=100μmP、Ni/Auメッキ=5.0/0.3μm)に塗布した後、FC実装用LEDチップ(商品名:DA3547、CREE社製、Vf=3.08V/If=60mA)をアライメントして搭載した。そして、180℃−60秒、荷重0.8N/chipの条件で加熱圧着を行い、LED実装サンプルAを作製した。
【0060】
また、異方性導電接着剤を用いて、アルミニウム配線基板B(PET基板、導体スペース=100μmP、Ni/Auメッキ=5.0/0.3μm)に塗布した後、FC実装用LEDチップ(商品名: DA3547、CREE社製、Vf=3.08V/If=60mA)をアライメントして搭載した。そして、180℃−60秒、荷重0.8N/chipの条件で加熱圧着を行い、LED実装サンプルBを作製した。
【0061】
[導通抵抗の評価]
各LED実装サンプルA、Bの初期、および冷熱サイクル試験(TCT)後の導通抵抗を測定した。冷熱サイクル試験は、LED実装サンプルを、−40℃および100℃の雰囲気に各30分間曝し、これを1サイクルとする冷熱サイクルを100、500、1000サイクル行い、それぞれについて導通抵抗を測定した。導通抵抗の評価は、If=50mA時のVf値を測定し、試験成績表のVf値からのVf値の上昇分が5%未満である場合を「OK」とし、初期Vf値からの変動が5%以上の場合を「NG」とした。表1に、各LED実装サンプルA、Bの導通抵抗の評価結果を示す。
【0062】
【表1】
【0063】
実験例6、7では、ニッケル粒子を用いているため、圧縮変形がないため、アルミニウム配線基板A(フッ素樹脂基板)及びアルミニウム配線基板B(PET基板)のいずれにも、接続ができなかった。
【0064】
また、実験例8では、導電性粒子の30%圧縮変形時のK値が400Kgf/mm
2を超えており、また、実験例9、10では、導電性粒子の30%圧縮変形時の回復率が16%未満であり、実験例11、12では、導電性粒子の30%圧縮変形時のK値が400Kgf/mm
2を超え、且つ導電性粒子の30%圧縮変形時の回復率が16%未満であるため、アルミニウム配線基板A(フッ素樹脂基板)及びアルミニウム配線基板B(PET基板)のいずれにも、接続ができなかった。
【0065】
一方、実験例1〜5では、導電性粒子の30%圧縮変形時のK値が50〜400Kgf/mm
2であり、導電性粒子の30%圧縮変形時の回復率が16〜48%であるため、アルミニウム配線基板A(フッ素樹脂基板)及びアルミニウム配線基板B(PET基板)の両者とも、優れた接続信頼性を得ることができた。これは、導電性粒子が比較的低圧で圧縮されて、アルミニウム配線の表面に存在する酸化膜を除去し、回復率も著しく大きくないためであると考えられる。
【0066】
3.2 実装方法による導通信頼性の評価
<実験例13>
異方性導電接着剤の代わりにはんだ(融点217℃)を用いて、260℃リフローによりLEDチップの実装を試みた。しかしながら、アルミニウム配線基板A(フッ素樹脂基板)及びアルミニウム配線基板B(PET基板)のいずれにも、接続ができなかった。
【0067】
<実験例14>
異方性導電接着剤の代わりに金−錫共晶はんだ(融点280℃)を用いて、300℃リフローによりLEDチップの実装を試みた。しかしながら、アルミニウム配線基板A(フッ素樹脂基板)及びアルミニウム配線基板B(PET基板)のいずれにも、接続ができなかった。
【0068】
<実験例15>
異方性導電接着剤の代わりワイヤーボンドを用いて、装置による超音波融着によりLEDチップの実装を試みた。しかしながら、アルミニウム配線基板A(フッ素樹脂基板)及びアルミニウム配線基板B(PET基板)のいずれにも、接続ができなかった。
【0069】
実験例13〜15は、異方性導電接着剤を用いた実装方法ではないため、アルミニウム配線基板A(フッ素樹脂基板)及びアルミニウム配線基板B(PET基板)のいずれにも、接続ができなかった。
【0070】
3.3 放熱性の評価
<実験例16>
[異方性導電接着剤の作製]
脂環式エポキシ化合物(品名:セロキサイド2021P、ダイセル化学社製)100質量部、潜在性カチオン硬化剤(アルミニウムキレー卜系潜在性硬化剤)5質量部、アクリル樹脂(アクリル酸ブチル(BA):15%、アクリル酸エチル(EA):63%、アクリル酸ニトリル(AN):20%、アクリル酸(AA):1w%、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル(HEMA):1wt%、重量平均分子量Mw:70万)3質量部で構成されたバインダー中に、融点が150℃のはんだ粒子を50質量部、及び実験例1で使用した導電性粒子(樹脂コア/Ni/Auメッキ、平均粒子径5μm、30%圧縮変形時のK値215kgf/mm
2、30%圧縮変形時の回復率18%)を5質量部配合し、異方性導電接着剤を作製した。
【0071】
[LED実装サンプルの作製]
異方性導電接着剤をアルミニウム配線基板B(PET基板、導体スペース=100μmP、Ni/Auメッキ=5.0/0.3μm)に塗布した後、FC実装用LEDチップ(商品名: DA3547、CREE社製、Vf=3.08V/If=60mA)をアライメントして搭載した。そして、180℃−60秒、荷重0.8N/chipの条件で加熱圧着を行い、LED実装サンプルを作製した。
【0072】
<実験例17>
実験例16のバインダー中に、実験例1で使用した導電性粒子(樹脂コア/Ni/Auメッキ、平均粒子径5μm、30%圧縮変形時のK値215kgf/mm
2、30%圧縮変形時の回復率18%)を5質量部のみ配合した異方性導電接着剤を用いた以外は、実験例16と同様にLED実装サンプルを作製した。
【0073】
<実験例18>
実験例16のバインダー中に、融点が150℃のはんだ粒子を50質量部のみ配合した異方性導電接着剤を用いた以外は、実験例16と同様にLED実装サンプルを作製した。
【0074】
[熱抵抗値(放熱性)の評価]
リファレンス(参照例)として、銅配線PET基板にはんだを用いてLEDを実装したサンプルについて、過渡熱抵抗測定装置(CATS電子設計社製)を用いて、熱抵抗値(K/W)を測定した。測定条件はIf=60mA(定電流制御)で行った。そして、リファレンスの熱抵抗値を100%として、実験例16〜18の熱抵抗値を換算した。表2に、各LED実装サンプルの熱抵抗値の評価結果を示す。
【0075】
【表2】
【0076】
実験例16〜18より、はんだ粒子は、アルミニウム配線に対して導通の補助的な役割を果たしつつ、熱を基板に放熱する放熱性に大きく寄与することが分かった。
【0077】
3.4 導電性粒子及びはんだ粒子の配合量に対する導通信頼性の評価
<実験例19〜24>
[異方性導電接着剤の作製]
脂環式エポキシ化合物(品名:セロキサイド2021P、ダイセル化学社製)100質量部、潜在性カチオン硬化剤(アルミニウムキレー卜系潜在性硬化剤)5質量部、アクリル樹脂(アクリル酸ブチル(BA):15%、アクリル酸エチル(EA):63%、アクリル酸ニトリル(AN):20%、アクリル酸(AA):1w%、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル(HEMA):1wt%、重量平均分子量Mw:70万)3質量部で構成されたバインダー中に、実験例1で使用した導電性粒子(樹脂コア/Ni/Auメッキ、平均粒子径5μm、30%圧縮変形時のK値215kgf/mm
2、30%圧縮変形時の回復率18%)及びはんだ粒子(融点150℃、粒子径10μm)を表3に示す配合量(質量部(導電性粒子/半田粒子)、実験例19:5/50、実験例20:8/50、実験例21:12/50、実験例22:15/60、実験例23:8/120、実験例24:15/150)にて配合し、異方性導電接着剤を作製した。
【0078】
[LED実装サンプルの作製]
異方性導電接着剤を用いて、アルミニウム配線基板B(PET基板、導体スペース=100μmP、Ni/Auメッキ=5.0/0.3μm)に、FC実装用LEDチップ(商品名: DA3547、CREE社製、Vf=3.08V/If=60mA)を搭載した。
【0079】
異方性導電接着剤をアルミニウム配線基板Bに塗布した後、LEDチップをアライメン卜して搭載し、180℃−60秒、荷重0.8N/chipの条件で加熱圧着を行い、LED実装サンプルを作製した。
[信頼性試験(TCT試験)]
【0080】
LED実装サンプルについて、初期、及び1000サイクルTCT試験後の導通抵抗を測定し、評価を行った。導通抵抗の測定条件はIf=60mA(定電流制御)とした。評価は、初期、及び1000サイクルTCT試験後のVf値の変化量が0〜0.1V以内である場合を「OK」、それ以外を「NG」とした。
【0081】
<実験例25〜31>
はんだ粒子を配合せずに、導電性粒子を表3に示す配合量(実験例25:1質量部、実験例26:3質量部、実験例27:5質量部、実験例28:8質量部、実験例29:15質量部、実験例30:20質量部、実験例31:50質量部)にて配合した以外は、実験例19と同様にして異方性導電接着剤を作製し、導通信頼性の評価を行った。
【0082】
<実験例32〜38>
導電性粒子を配合せずに、はんだ粒子を表3に示す配合量(実験例32:30質量部、実験例33:50質量部、実験例34:60質量部、実験例35:100質量部、実験例36:120質量部、実験例37:150質量部、実験例38:200質量部)にて配合した以外は、実験例19と同様にして異方性導電接着剤を作製し、導通信頼性の評価を行った。
【0083】
【表3】
【0084】
実験例25〜31は、TCT試験後の導通抵抗がOKであったが、はんだ粒子を配合していないため、実験例17に示すように熱抵抗が高く、放熱性が低かった。また、実験例32〜38は、導電性粒子を配合していないため、TCT試験において100サイクル程度で不点灯となった。
【0085】
一方、実験例19〜24では、バインダー108質量部に対して導電性粒子を5〜15質量部、はんだ粒子を50〜150質量部配合しているため、実験例16に示すように熱抵抗が低く、TCT試験後の導通抵抗がOKであった。
【0086】
3.5 大電流(700mA)に対する導通信頼性の評価
<実験例39〜44>
[異方性導電接着剤の作製]
脂環式エポキシ化合物(品名:セロキサイド2021P、ダイセル化学社製)100質量部、潜在性カチオン硬化剤(アルミニウムキレー卜系潜在性硬化剤)5質量部、アクリル樹脂(アクリル酸ブチル(BA):15%、アクリル酸エチル(EA):63%、アクリル酸ニトリル(AN):20%、アクリル酸(AA):1w%、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル(HEMA):1wt%、重量平均分子量Mw:70万)3質量部で構成されたバインダー中に、実験例1で使用した導電性粒子(樹脂コア/Ni/Auメッキ、平均粒子径5μm、30%圧縮変形時のK値215kgf/mm
2、30%圧縮変形時の回復率18%)及びはんだ粒子(融点150℃、粒子径10μm)を表4に示す配合量(質量部(導電性粒子/半田粒子)、実験例39:5/50、実験例40:8/50、実験例41:12/50、実験例42:15/60、実験例43:8/120、実験例44:15/150)にて配合し、異方性導電接着剤を作製した。
【0087】
[LED実装サンプルの作製]
異方性導電接着剤を用いて、アルミニウム配線基板B(PET基板、導体スペース=100μmP、Ni/Auメッキ=5.0/0.3μm)に、FC実装用LEDチップ(商品名: DA700、CREE社製、Vf=3.2V/If=350mA)を搭載した。
【0088】
異方性導電接着剤をアルミニウム配線基板Bに塗布した後、LEDチップをアライメン卜して搭載し、180℃−60秒、荷重0.8N/chipの条件で加熱圧着を行い、LED実装サンプルを作製した。
【0089】
[信頼性試験(TCT試験)]
LED実装サンプルについて、初期導通、並びに、500サイクル、1000サイクル、及び2000サイクルのTCT試験後、導通抵抗を測定し、評価を行った。導通抵抗の測定条件はIf=350mA(定電流制御)及び700mA(定電流制御)とした。評価は、以下の基準により行った。表4に、各LED実装サンプルの導通抵抗値の評価結果を示す。
(評価基準)
A:導通正常(Vf値の変化量:0〜0.1V未満)
B:数個、抵抗上昇や導通不良が発生する(0.1V以上の変化〜不点灯)
C:電流を流した瞬間に導通不良になる(不点灯)
【0090】
【表4】
【0091】
実験例39〜44では、バインダー108質量部に対して導電性粒子を5〜15質量部、はんだ粒子を50〜150質量部配合しているため、実験例19〜24と同様に、350mAの電流に対して長期信頼性を得ることができた。特に、実験例43、44では、導電性粒子の配合量がバインダー100質量部に対して8〜15質量部であり、はんだ粒子の配合量がバインダー100質量部に対して120〜150質量部であることにより、アルミニウム配線に対する700mAの電流に対して長期信頼性を得ることができた。これは、はんだ粒子が導通の補助的な役割を果たしつつ、大電流で発生する熱を基板に放熱したためだと考えられる。