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特開2021-103767積層セラミックキャパシタ及びその製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2021-103767(P2021-103767A)
(43)【公開日】2021年7月15日
(54)【発明の名称】積層セラミックキャパシタ及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01G 4/30 20060101AFI20210618BHJP
【FI】
   H01G4/30 515
   H01G4/30 512
   H01G4/30 517
   H01G4/30 201K
   H01G4/30 201L
   H01G4/30 201M
   H01G4/30 201N
   H01G4/30 311Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】16
【出願形態】OL
【全頁数】21
(21)【出願番号】特願2020-192052(P2020-192052)
(22)【出願日】2020年11月18日
(31)【優先権主張番号】10-2019-0173854
(32)【優先日】2019年12月24日
(33)【優先権主張国】KR
(71)【出願人】
【識別番号】594023722
【氏名又は名称】サムソン エレクトロ−メカニックス カンパニーリミテッド.
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】龍華国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】キム、チャン スーク
(72)【発明者】
【氏名】チョ、ドン ス
【テーマコード(参考)】
5E001
5E082
【Fターム(参考)】
5E001AB03
5E001AC09
5E001AD02
5E001AE01
5E001AE02
5E001AE03
5E001AE04
5E001AF06
5E001AJ02
5E082AA01
5E082AB03
5E082BC19
5E082BC32
5E082BC35
5E082EE04
5E082EE23
5E082EE35
5E082FF05
5E082FG04
5E082FG26
5E082FG46
5E082GG10
5E082JJ03
5E082LL01
(57)【要約】      (修正有)
【課題】信頼性を向上させる積層セラミックキャパシタ及びその製造方法を提供する。
【解決手段】積層セラミックキャパシタ100において、対向する第1面及び第2面、第1面及び第2面を連結する第3面及び第4面並びに第1面から第4面と連結され、且つ、対向する第5面及び第6面を含むセラミック本体110の内部に配置され、第1面及び第2面に露出し、且つ、第3面又は第4面に一端が露出する複数の内部電極121と、第1面及び第2面に露出した内部電極の端部に配置された第1サイドマージン部112及び第2サイドマージン部113と、を含む。セラミック本体は、誘電体層111を間に挟んで互いに対向するように配置される複数の内部電極を含んで容量が形成される活性部Aと、活性部の上部に配置された上部カバー部114及び下部に配置された下部カバー部115と、を含む。各サイドマージン部は、何れか1つのカバー部と誘電体組成が互いに異なる。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
誘電体層を含み、互いに対向する第1面及び第2面、前記第1面及び前記第2面を連結する第3面及び第4面、及び前記第1面から前記第4面と連結され、且つ互いに対向する第5面及び第6面を含むセラミック本体と、
前記セラミック本体の内部に配置され、前記第1面及び前記第2面に露出し、且つ前記第3面又は前記第4面に一端が露出する複数の内部電極と、
前記第1面及び前記第2面に露出した前記内部電極の端部上に配置された第1サイドマージン部及び第2サイドマージン部と、を含み、
前記セラミック本体は、前記誘電体層を間に挟んで互いに対向するように配置される複数の内部電極を含んで容量が形成される活性部と、前記活性部の上部に配置された上部カバー部及び下部に配置された下部カバー部と、を含み、
前記第1サイドマージン部及び前記第2サイドマージン部は、前記上部カバー部及び前記下部カバー部のいずれか1つのカバー部と誘電体組成が互いに異なる、積層セラミックキャパシタ。
【請求項2】
前記上部カバー部及び前記下部カバー部は、誘電体組成が互いに異なる、請求項1に記載の積層セラミックキャパシタ。
【請求項3】
前記活性部の誘電体層ならびに前記上部カバー部及び前記下部カバー部のいずれか1つのカバー部は、誘電体組成が互いに異なる、請求項1または2に記載の積層セラミックキャパシタ。
【請求項4】
前記セラミック本体の側面セラミック部において、
前記複数の内部電極のうち最外側の内部電極から前記セラミック本体の前記第5面及び前記第6面のいずれか一面までに対応する側面セラミック部の領域は前記上部カバー部又は前記下部カバー部であり、
前記上部カバー部又は前記下部カバー部である前記側面セラミック部の領域は、残りの領域である前記第1サイドマージン部及び前記第2サイドマージン部と誘電体組成が互いに異なる、請求項1から3のいずれか一項に記載の積層セラミックキャパシタ。
【請求項5】
前記第1サイドマージン部及び前記第2サイドマージン部に含まれるマグネシウム(Mg)の含有量は、前記上部カバー部及び前記下部カバー部のいずれか1つのカバー部に含まれるマグネシウム(Mg)の含有量よりも多い、請求項1から4のいずれか一項に記載の積層セラミックキャパシタ。
【請求項6】
前記上部カバー部に含まれるマグネシウム(Mg)の含有量は、前記下部カバー部に含まれるマグネシウム(Mg)の含有量よりも多い、請求項1から5のいずれか一項に記載の積層セラミックキャパシタ。
【請求項7】
前記上部カバー部及び前記下部カバー部のいずれか1つのカバー部に含まれるマグネシウム(Mg)の含有量は、前記活性部の誘電体層に含まれるマグネシウム(Mg)の含有量よりも多い、請求項1から6のいずれか一項に記載の積層セラミックキャパシタ。
【請求項8】
複数の第1内部電極パターンが所定の間隔を置いて形成された第1セラミックグリーンシート、及び複数の第2内部電極パターンが所定の間隔を置いて形成された第2セラミックグリーンシートを設ける段階と、
前記第1内部電極パターンと前記第2内部電極パターンとが交差するように、前記第1セラミックグリーンシート及び前記第2セラミックグリーンシートを積層し、積層本体の下部に複数のセラミックグリーンシートを積層して下部カバー部が形成されたセラミックグリーンシート積層本体を形成する段階と、
前記第1内部電極パターン及び前記第2内部電極パターンの末端が幅方向に露出した側面を有するように、前記セラミックグリーンシート積層本体を切断する段階と、
前記第1内部電極パターン及び前記第2内部電極パターンの末端が露出した側面及び前記積層本体の上部に第1サイドマージン部及び第2サイドマージン部ならびに上部カバー部を形成する段階と、
前記切断された積層本体を焼成して誘電体層ならびに第1及び第2内部電極を含む活性部と下部カバー部とを含むセラミック本体を設ける段階と、を含み、
前記第1サイドマージン部及び前記第2サイドマージン部ならびに前記上部カバー部を形成する段階は、セラミック材料を付加して前記第1サイドマージン部及び前記第2サイドマージン部ならびに前記上部カバー部を一体に形成する段階で行われる、積層セラミックキャパシタの製造方法。
【請求項9】
前記第1サイドマージン部及び前記第2サイドマージン部ならびに前記上部カバー部を形成する段階は、セラミックスラリーを注入するか、又は誘電体シートを前記積層本体に対して圧着する方法で行われる、請求項8に記載の積層セラミックキャパシタの製造方法。
【請求項10】
前記第1サイドマージン部及び前記第2サイドマージン部ならびに前記上部カバー部を形成する段階は、前記セラミックグリーンシート積層本体を切断して形成された複数の積層棒状の状態で行われる、請求項8または9に記載の積層セラミックキャパシタの製造方法。
【請求項11】
前記第1サイドマージン部及び前記第2サイドマージン部ならびに前記上部カバー部を形成する段階は、前記セラミックグリーンシート積層本体を切断して形成された複数の積層チップの状態で行われる、請求項8から10のいずれか一項に記載の積層セラミックキャパシタの製造方法。
【請求項12】
前記セラミックグリーンシート積層本体を切断する段階において、
前記下部カバー部は、前記第1サイドマージン部及び前記第2サイドマージン部の幅に対応する領域まで切断される、請求項8から11のいずれか一項に記載の積層セラミックキャパシタの製造方法。
【請求項13】
前記第1サイドマージン部及び前記第2サイドマージン部ならびに前記上部カバー部は、前記下部カバー部と誘電体組成が互いに異なる、請求項8から12のいずれか一項に記載の積層セラミックキャパシタの製造方法。
【請求項14】
前記第1サイドマージン部及び前記第2サイドマージン部ならびに前記上部カバー部は、前記活性部の誘電体層と誘電体組成が互いに異なる、請求項8から13のいずれか一項に記載の積層セラミックキャパシタの製造方法。
【請求項15】
前記第1サイドマージン部及び前記第2サイドマージン部ならびに前記上部カバー部に含まれるマグネシウム(Mg)の含有量は、前記下部カバー部に含まれるマグネシウム(Mg)の含有量よりも多い、請求項8から14のいずれか一項に記載の積層セラミックキャパシタの製造方法。
【請求項16】
前記第1サイドマージン部及び前記第2サイドマージン部ならびに前記上部カバー部に含まれるマグネシウム(Mg)の含有量は、前記活性部の誘電体層に含まれるマグネシウム(Mg)の含有量よりも多い、請求項8から15のいずれか一項に記載の積層セラミックキャパシタの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、信頼性を向上させることができる積層セラミックキャパシタ及びその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、キャパシタ、インダクタ、圧電体素子、バリスタ又はサーミスタなどのセラミック材料を用いる電子部品は、セラミック材料からなるセラミック本体と、セラミック本体の内部に形成された内部電極と、上記内部電極と接続されるように、セラミック本体の表面に設けられた外部電極と、を備える。
【0003】
最近では、電子製品の小型化及び多機能化に伴い、チップ部品も小型化及び高機能化しつつあるため、積層セラミックキャパシタに対してもサイズが小さく、容量が大きい高容量製品が要求されている。
【0004】
また、積層セラミックキャパシタの小型化及び高容量化のためには、電極有効面積の極大化(容量実現に必要な有効体積分率を増加)が要求される。
【0005】
上記のように小型及び高容量の積層セラミックキャパシタを実現するために、積層セラミックキャパシタを製造するにあたり、内部電極が本体の幅方向に露出するようにすることにより、マージンのない設計を介して、内部電極の幅方向の面積を最大化し、且つかかるチップを製作してから焼成する前の段階において、チップの幅方向の電極露出面にサイドマージン部を別に付着して完成する方法が適用されている。
【0006】
しかし、上記の方法によると、サイドマージン部の形成過程において、セラミック本体とサイドマージン部が接触する界面にボイド(void)が多く生成され、信頼性が低下する可能性がある。
【0007】
また、セラミックス本体とサイドマージン部が接触する界面に生成されたボイド(void)により、電界集中が発生し、その結果、絶縁破壊電圧(Breakdown Voltage、BDV)が低くなるという問題が発生する。
【0008】
尚、上記ボイド(void)が原因となって外側焼結緻密度の低下による耐湿信頼性の低下がもたらされる可能性がある。
【0009】
また、サイドマージン部と本体の境界に界面接合部が生じることにより、接合力が低下し、これに伴う耐湿信頼性の低下がもたらされる可能性もある。
【0010】
そこで、超小型及び高容量製品における絶縁破壊電圧(Breakdown Voltage、BDV)及び耐湿信頼性の低下を防ぐことができる研究が必要な実情である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】韓国公開特許第2010−0136917号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明は、信頼性を向上させることができる積層セラミックキャパシタ及びその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の一実施形態は、誘電体層を含み、互いに対向する第1面及び第2面、上記第1面及び第2面を連結する第3面及び第4面、及び上記第1面から第4面と連結され、且つ互いに対向する第5面及び第6面を含むセラミック本体と、上記セラミック本体の内部に配置され、上記第1及び第2面に露出し、且つ第3面又は第4面に一端が露出する複数の内部電極と、上記第1面及び第2面に露出した上記内部電極の端部上に配置された第1サイドマージン部及び第2サイドマージン部と、を含み、上記セラミック本体は、上記誘電体層を間に挟んで互いに対向するように配置される複数の内部電極を含んで容量が形成される活性部と、上記活性部の上部に配置された上部カバー部及び下部に配置された下部カバー部と、を含み、上記第1及び第2サイドマージン部は、上記上部カバー部及び下部カバー部のいずれか1つのカバー部と誘電体組成が互いに異なる積層セラミックキャパシタを提供する。
【0014】
本発明の他の実施形態は、複数の第1内部電極パターンが所定の間隔を置いて形成された第1セラミックグリーンシート、及び複数の第2内部電極パターンが所定の間隔を置いて形成された第2セラミックグリーンシートを設ける段階と、上記第1内部電極パターンと上記第2内部電極パターンとが交差するように、上記第1セラミックグリーンシート及び上記第2セラミックグリーンシートを積層し、上記積層本体の下部に複数のセラミックグリーンシートを積層して下部カバー部が形成されたセラミックグリーンシート積層本体を形成する段階と、上記第1内部電極パターン及び第2内部電極パターンの末端が幅方向に露出した側面を有するように、上記セラミックグリーンシート積層本体を切断する段階と、上記第1内部電極パターン及び第2内部電極パターンの末端が露出した側面及び上記積層本体の上部に第1サイドマージン部及び第2サイドマージン部ならびに上部カバー部を形成する段階と、上記切断された積層本体を焼成して誘電体層ならびに第1及び第2内部電極を含む活性部と下部カバー部とを含むセラミック本体を設ける段階と、を含み、上記第1サイドマージン部及び第2サイドマージン部ならびに上部カバー部を形成する段階は、セラミック材料を付加して上記第1サイドマージン部及び第2サイドマージン部ならびに上部カバー部を一体に形成する段階で行われる積層セラミックキャパシタの製造方法を提供する。
【発明の効果】
【0015】
本発明の一実施形態によると、第1サイドマージン部及び第2サイドマージン部ならびに上部カバー部を一体に形成することにより、サイドマージン部と本体の界面接合部を減少させることで、信頼性を向上させることができる。
【0016】
また、第1サイドマージン部及び第2サイドマージン部ならびに上部カバー部の誘電体組成と、下部カバー部及び活性部の誘電体層の誘電体組成とを互いに異ならせて調整することにより、信頼性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の一実施形態による積層セラミックキャパシタを示す概略的な斜視図である。
図2図1のセラミック本体の外観を示す斜視図である。
図3図2のセラミック本体の焼成前のセラミックグリーンシート積層本体を示す斜視図である。
図4図2のB方向から見た側面図である。
図5a】本発明の他の実施形態による積層セラミックキャパシタの製造方法を概略的に示す図である。
図5b】本発明の他の実施形態による積層セラミックキャパシタの製造方法を概略的に示す図である。
図5c】本発明の他の実施形態による積層セラミックキャパシタの製造方法を概略的に示す図である。
図5d】本発明の他の実施形態による積層セラミックキャパシタの製造方法を概略的に示す図である。
図6a】本発明の第1実施形態による積層セラミックキャパシタの製造方法を概略的に示す図である。
図6b】本発明の第1実施形態による積層セラミックキャパシタの製造方法を概略的に示す図である。
図7a】本発明の第2実施形態による積層セラミックキャパシタの製造方法を概略的に示す図である。
図7b】本発明の第2実施形態による積層セラミックキャパシタの製造方法を概略的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、様々な実施例を参照して、本発明の好ましい実施形態を説明する。しかし、本発明の実施形態は、いくつかの他の形態に変形することができ、本発明の範囲が以下説明する実施形態に限定されるものではない。また、本発明の実施形態は、当該技術分野で平均的な知識を有する者に本発明をより完全に説明するために提供されるものである。したがって、図面における要素の形状及び大きさなどはより明確な説明のために拡大縮小表示(又は強調表示や簡略化表示)がされることがあり、図面上の同一の符号で示される要素は同一の要素である。
【0019】
図1は本発明の一実施形態による積層セラミックキャパシタを示す概略的な斜視図であり、図2図1のセラミック本体の外観を示す斜視図であり、図3図2のセラミック本体の焼成前のセラミックグリーンシート積層本体を示す斜視図であり、図4図2のB方向から見た側面図である。
【0020】
図1図4を参照すると、本実施形態による積層セラミックキャパシタ100は、セラミック本体110と、上記セラミック本体110の内部に形成される複数の内部電極121、122と、上記セラミック本体110の外表面に形成される外部電極131、132と、を含む。
【0021】
上記セラミック本体110は、互いに対向する第1面1及び第2面2と、上記第1面及び第2面を連結する第3面3及び第4面4と、上面及び下面である第5面5及び第6面6と、を有することができる。
【0022】
上記第1面1及び第2面2はセラミック本体110の幅方向に向かい合う面、上記第3面3及び第4面4は長さ方向に向かい合う面、上記第5面5及び第6面6は厚さ方向に向かい合う面と定義することができる。
【0023】
上記セラミック本体110の形状に特に制限はないが、図面に示すように、直方体状であることができる。
【0024】
上記セラミック本体110の内部に形成された複数の内部電極121、122は、セラミック本体の第3面3又は第4面4に一端が露出する。
【0025】
上記内部電極121、122は、互いに異なる極性を有する第1内部電極121及び第2内部電極122を一対にすることができる。
【0026】
第1内部電極121の一端は第3面3に露出し、第2内部電極122の一端は第4面4に露出することができる。
【0027】
上記第1内部電極121及び第2内部電極122の他端は、第3面3又は第4面4から一定の間隔を置いて形成される。
【0028】
上記セラミック本体の第3面3及び第4面4には、第1及び第2外部電極131、132が形成され、上記内部電極と電気的に連結されることができる。
【0029】
本発明の一実施形態による積層セラミックキャパシタ100は、上記セラミック本体110の内部に配置され、上記第1及び第2面1、2に露出し、且つ第3面3又は第4面4に一端が露出する複数の内部電極121、122と、上記第1面1及び第2面2に露出した上記内部電極121、122の端部上に配置された第1サイドマージン部112及び第2サイドマージン部113と、を含む。
【0030】
上記セラミック本体110の内部には、複数の内部電極121、122が形成され、上記複数の内部電極121、122の各末端は、上記セラミック本体110の幅方向の面である第1面1及び第2面2に露出し、露出した端部上に第1サイドマージン部112及び第2サイドマージン部113が配置される。
【0031】
第1サイドマージン部112及び第2サイドマージン部113の平均厚さは2μm以上10μm以下であってもよい。
【0032】
本発明の一実施形態によると、上記セラミック本体110は、複数の誘電体層111が積層された積層本体と、上記積層本体の両側面に配置される第1サイドマージン部112及び第2サイドマージン部113ならびに上部カバー部114及び下部カバー部115とで構成されることができる。
【0033】
上記複数の誘電体層111は、焼結された状態であって、隣接する誘電体層同士の境界は確認できないほど一体化することができる。
【0034】
上記セラミック本体110の長さは、セラミック本体の第3面3から第4面4までの距離に該当する。
【0035】
上記誘電体層111の長さは、セラミック本体の第3面3と第4面4の間の距離を形成する。
【0036】
これに制限されるものではないが、本発明の一実施形態によると、セラミック本体の長さは、400〜1400μmであることができる。より具体的には、セラミック本体の長さは、400〜800μmであってもよく、又は600〜1400μmであってもよい。
【0037】
上記誘電体層111上に内部電極121、122が形成されることができる。また、内部電極121、122は、焼結を介して一誘電体層を間に挟んで上記セラミック本体の内部に形成されることができる。
【0038】
図3を参照すると、誘電体層111上に第1内部電極121が形成される。上記第1内部電極121は、誘電体層の長さ方向には全体的に形成されない。すなわち、第1内部電極121の一端は、セラミック本体の第4面4から所定の間隔を置いて形成されることができ、第1内部電極121の他端は、第3面3まで形成されて第3面3に露出することができる。
【0039】
セラミック本体の第3面3に露出した第1内部電極121の端部は、第1外部電極131と接続される。
【0040】
第1内部電極とは逆に、第2内部電極122の一端は、第3面3から所定の間隔を置いて形成され、第2内部電極122の他端は、第4面4に露出して第2外部電極132と接続される。
【0041】
上記内部電極は、高容量の積層セラミックキャパシタの実現のために、400層以上積層されることができるが、必ずしもこれに制限されるものではない。
【0042】
上記誘電体層111は、第1内部電極121の幅と同一の幅を有することができる。すなわち、上記第1内部電極121は、誘電体層111の幅方向において全体的に形成されることができる。
【0043】
これに制限されるものではないが、本発明の一実施形態によると、誘電体層及び内部電極の幅は、100〜900μmであることができる。より具体的には、誘電体層及び内部電極の幅は、100〜500μmであってもよく、又は100〜900μmであってもよい。
【0044】
セラミック本体が小型化するほど、サイドマージン部の厚さが積層セラミックキャパシタの電気的特性に影響を与える可能性がある。本発明の一実施形態によると、サイドマージン部の厚さを10μm以下に形成することにより、小型化した積層セラミックキャパシタの特性を向上させることができる。
【0045】
すなわち、サイドマージン部の厚さを10μm以下に形成することにより、容量を形成する内部電極の重なり面積を最大に確保することで、高容量及び小型の積層セラミックキャパシタを実現することができる。
【0046】
かかるセラミック本体110は、キャパシタの容量形成に寄与する部分としての活性部Aと、上下マージン部として活性部Aの上下部にそれぞれ形成された上部カバー部114及び下部カバー部115とで構成されることができる。
【0047】
上記活性部Aは、誘電体層111を間に挟んで複数の第1及び第2内部電極121、122を繰り返し積層して形成されることができる。
【0048】
上記下部カバー部115は、内部電極を含んでいないことを除いては、誘電体層111と同一の材料及び構成を有することができる。
【0049】
すなわち、上記下部カバー部115は、セラミック材料を含むことができ、例えば、チタン酸バリウム(BaTiO)系セラミック材料を含むことができる。
【0050】
上記下部カバー部115は、20μm以下の厚さを有することができるが、必ずしもこれに制限されるものではない。
【0051】
上記下部カバー部115は、単一の誘電体層又は2つ以上の誘電体層を活性部Aの下面に厚さ方向に積層して形成することができ、基本的には物理的又は化学的ストレスによる内部電極の損傷を防止する役割を果たすことができる。
【0052】
上記上部カバー部114は、活性部Aの上面に配置され、上記下部カバー部115と同様に、物理的又は化学的ストレスによる内部電極の損傷を防止する役割を果たすことができる。
【0053】
本発明の一実施形態によると、後述のように、上記第1サイドマージン部112及び第2サイドマージン部113ならびに上部カバー部114を一体に形成することにより、サイドマージン部とセラミック本体の界面接合部を減少させることで、信頼性を向上させることができる。
【0054】
すなわち、上記上部カバー部114を上記活性部Aの上面に配置するにあたって、上記単一の誘電体層又は2つ以上の誘電体層を活性部Aの下面に厚さ方向に積層して形成する下部カバー部115とは異なり、上記第1サイドマージン部112及び第2サイドマージン部113の形成時に一体に形成する。
【0055】
これにより、第1サイドマージン部112及び第2サイドマージン部113とセラミック本体110の界面接合部を減少させることで、信頼性を向上させることができる。
【0056】
従来、上記上部カバー部114を上記活性部Aの上面に配置するにあたって、下部カバー部と同様に、単一の誘電体層又は2つ以上の誘電体層を活性部Aの上面に厚さ方向に積層して形成し、サイドマージン部は別に形成したため、サイドマージン部と上部カバー部の間に界面接合部が形成されていた。
【0057】
上記のように、従来の積層セラミックキャパシタの場合には、上記サイドマージン部と上部カバー部の間に界面接合部が形成されているため、接合力の弱化により耐湿信頼性の不良が発生した。
【0058】
これに対し、本発明の一実施形態によると、上記第1サイドマージン部112及び第2サイドマージン部113ならびに上部カバー部114を一体に形成することにより、サイドマージン部とセラミック本体の界面接合部を減少させることで、信頼性を向上させることができる。
【0059】
本発明の一実施形態において、内部電極及び誘電体層は、同時に切断されて形成されるものであって、内部電極及び誘電体層の幅が同一に形成されることができる。これについてのより具体的な事項は後述する。
【0060】
本実施形態において、誘電体層の幅は、内部電極の幅と同一に形成される。これにより、セラミック本体110の幅方向の第1及び第2面に内部電極121、122の末端が露出することができる。
【0061】
上記内部電極121、122の末端が露出したセラミック本体110の幅方向の両側面には、第1サイドマージン部112及び第2サイドマージン部113が形成されることができる。また同時に、上記セラミック本体110の厚さ方向の第5面に上部カバー部114が形成されることができる。
【0062】
上記第1サイドマージン部112及び第2サイドマージン部113の厚さは10μm以下であることができる。上記第1サイドマージン部112及び第2サイドマージン部113の厚さが小さいほど、セラミック本体内に形成される内部電極の重なり面積が相対的に広くなることができる。
【0063】
上記第1サイドマージン部112及び第2サイドマージン部113の厚さは、セラミック本体110の側面に露出する内部電極のショートを防止できる厚さを有することができれば特に制限されないが、例えば、第1サイドマージン部112及び第2サイドマージン部113の厚さは2μm以上であることができる。
【0064】
上記第1及び第2サイドマージン部の厚さが2μm未満の場合には、外部衝撃に対する機械的強度が低下する可能性があり、上記第1及び第2サイドマージン部の厚さが10μmを超えると、内部電極の重なり面積が相対的に減少し、積層セラミックキャパシタの高容量を確保することが困難となるおそれがある。
【0065】
積層セラミックキャパシタの容量を最大化するためには、誘電体層を薄膜化する方法や薄膜化された誘電体層を高積層化する方法、内部電極のカバレッジを向上させる方法などが考慮されている。
【0066】
尚、容量を形成する内部電極の重なり面積を向上させる方法も考慮されている。
【0067】
内部電極の重なり面積を増やすためには、内部電極が形成されていないマージン部の領域を最小限に抑える必要がある。
【0068】
特に、積層セラミックキャパシタが小型化するほど、内部電極の重なり領域を増やすためには、マージン部の領域を最小限に抑える必要がある。
【0069】
本実施形態によると、誘電体層の幅方向全体に内部電極が形成され、且つサイドマージン部の厚さが10μm以下に設定されて、内部電極の重なり面積が広いという特徴を有する。
【0070】
一般に、誘電体層が高積層化するほど、誘電体層及び内部電極の厚さは薄くなる。その結果、内部電極がショートする現象が頻繁に発生することがある。また、誘電体層の一部にのみ内部電極が形成される場合には、内部電極による段差が発生し、絶縁抵抗の加速寿命又は信頼性が低下する可能性がある。
【0071】
しかし、本実施形態によると、薄膜の内部電極及び誘電体層を形成しても、内部電極が誘電体層の幅方向において全体的に形成されるため、内部電極の重なり面積が大きくなり、積層セラミックキャパシタの容量を大きくすることができる。
【0072】
尚、内部電極による段差を減少させ、且つ絶縁抵抗の加速寿命を向上させることにより、容量特性及び信頼性に優れた積層セラミックキャパシタを提供することができる。
【0073】
一方、本発明の一実施形態によると、上記第1サイドマージン部112及び第2サイドマージン部113は、上記上部カバー部114及び下部カバー部115のいずれか1つのカバー部と誘電体組成が互いに異なることを特徴とする。
【0074】
特に、本発明の一実施形態によると、上記第1サイドマージン部112及び第2サイドマージン部113は、上記下部カバー部115と誘電体組成が互いに異なることを特徴とする。
【0075】
上述のように、上記上部カバー部114を上記活性部Aの上面に配置するにあたって、上記単一の誘電体層又は2つ以上の誘電体層を活性部Aの下面に厚さ方向に積層して形成する下部カバー部115とは異なり、第1サイドマージン部112及び第2サイドマージン部113の形成時に一体に形成する。
【0076】
そのため、上記下部カバー部115は、上記活性部Aの誘電体層111の誘電体組成と同一であるが、上記第1サイドマージン部112及び第2サイドマージン部113の誘電体組成とは互いに異なり得る。
【0077】
一方、上記上部カバー部114は、上記第1サイドマージン部112及び第2サイドマージン部113と一体に形成されるため、上記上部カバー部114の誘電体組成は、上記第1サイドマージン部112及び第2サイドマージン部113の誘電体組成と同一であることができる。
【0078】
本発明の一実施形態によると、上記第1サイドマージン部112及び第2サイドマージン部113ならびに上部カバー部114を一体に形成することにより、サイドマージン部112、113とセラミック本体110の界面接合部を減少させることで、信頼性を向上させることができる。
【0079】
また、第1サイドマージン部112及び第2サイドマージン部113ならびに上部カバー部114の誘電体組成と、上記下部カバー部115及び活性部Aの誘電体層111の誘電体組成とを互いに異ならせて調整することにより、信頼性を向上させることができる。
【0080】
本発明の一実施形態によると、上記上部カバー部114及び上記下部カバー部115は、誘電体組成が互いに異なり得る。
【0081】
上記下部カバー部115は、上記の活性部Aの誘電体層111の誘電体組成と同一であるが、上記上部カバー部114の誘電体組成とは互いに異なり得る。
【0082】
すなわち、上記上部カバー部114は、上記第1サイドマージン部112及び第2サイドマージン部113と一体に形成されるため、上記上部カバー部114の誘電体組成は、上記下部カバー部115の誘電体組成と異なり得る。
【0083】
一方、上記活性部Aの誘電体層111ならびに上記上部カバー部114及び下部カバー部115のいずれか1つのカバー部は、誘電体組成が互いに異なり得る。
【0084】
特に、本発明の一実施形態によると、上記活性部Aの誘電体層111及び上記上部カバー部114は、誘電体組成が互いに異なり得る。
【0085】
上述のように、上記上部カバー部114は、上記第1サイドマージン部112及び第2サイドマージン部113と一体に形成されるため、上記上部カバー部114の誘電体組成は、上記の活性部Aの誘電体層111の誘電体組成と異なり得る。
【0086】
本発明の一実施形態によると、上記セラミック本体110の側面セラミック部において、上記複数の内部電極121、122のうち最外側の内部電極121、122から上記セラミック本体110の第5面5及び第6面6のいずれか一面までに対応する側面セラミック部の領域は上部カバー部114又は下部カバー部115であり、上記上部カバー部114又は下部カバー部115である上記側面セラミック部の領域は、残りの領域である上記第1及び第2サイドマージン部112、113と誘電体組成が互いに異なり得る。
【0087】
特に、上記セラミック本体110の側面セラミック部において、上記複数の内部電極121、122のうち最外側の内部電極121、122から上記セラミック本体110の第6面6までに対応する側面セラミック部の領域は下部カバー部115であり、上記下部カバー部115である上記側面セラミック部の領域は、残りの領域である上記第1及び第2サイドマージン部112、113と誘電体組成が互いに異なり得る。
【0088】
本発明の一実施形態によると、上記第1及び第2サイドマージン部112、113に含まれるマグネシウム(Mg)の含有量は、上記上部カバー部114及び下部カバー部115のいずれか1つのカバー部に含まれるマグネシウム(Mg)の含有量よりも多くてもよい。
【0089】
特に、上記第1及び第2サイドマージン部112、113に含まれるマグネシウム(Mg)の含有量は、上記下部カバー部115に含まれるマグネシウム(Mg)の含有量よりも多くてもよい。
【0090】
上記第1及び第2サイドマージン部112、113に含まれるマグネシウム(Mg)の含有量が上記下部カバー部115に含まれるマグネシウム(Mg)の含有量よりも多くなるように調整することにより、絶縁破壊電圧(Breakdown Voltage、BDV)を増加させるとともに、信頼性を向上させることができる。
【0091】
上記セラミック本体110の第1面1及び第2面2に露出した内部電極121、122に隣接した第1サイドマージン部112及び第2サイドマージン部113に含まれるマグネシウム(Mg)の含有量を調整することにより、上記セラミック本体110の幅方向の側面に露出した内部電極121、122の先端酸化層の長さを制御することができる。これにより、絶縁破壊電圧(Breakdown Voltage、BDV)を増加させるとともに、耐湿信頼性を向上させることができる。
【0092】
一般に、サイドマージン部の形成過程において、セラミック本体がサイドマージン部と接触する界面にボイド(void)が多く生成され、信頼性が低下する可能性がある。
【0093】
また、セラミックス本体がサイドマージン部と接触する界面に生成されたボイド(void)が原因となって電界集中が発生するようになる。その結果、絶縁破壊電圧(Breakdown Voltage、BDV)が低くなるという問題が発生する。
【0094】
尚、上記ボイド(void)により、外側焼結緻密度の低下による耐湿信頼性の低下がもたらされる可能性がある。
【0095】
本発明の一実施形態によると、上記第1及び第2サイドマージン部112、113に含まれるマグネシウム(Mg)の含有量が上記下部カバー部115に含まれるマグネシウム(Mg)の含有量よりも多くなるように調整することにより、上記セラミック本体110とサイドマージン部112、113が接触する界面に生成されたボイド(void)に酸化層を形成することができる。
【0096】
上述のように、セラミック本体110とサイドマージン部112、113が接触する界面に生成されたボイド(void)に酸化層を形成する場合には、絶縁性が確保されて電界集中を緩和することができる。これにより、絶縁破壊電圧(Breakdown Voltage、BDV)が増加し、ショート不良が減少することができる。
【0097】
上記第1及び第2サイドマージン部112、113に含まれるマグネシウム(Mg)の含有量が上記下部カバー部115に含まれるマグネシウム(Mg)の含有量よりも多くなるように調整する方法は、積層セラミックキャパシタの製作過程において、セラミック本体を形成するための誘電体組成と、第1及び第2サイドマージン部を形成するための誘電体組成とを互いに異ならせればよい。
【0098】
すなわち、セラミック本体を形成するための誘電体組成とは異なり、第1及び第2サイドマージン部を形成するための誘電体組成におけるマグネシウム(Mg)の含有量を増加させることにより、セラミック本体を形成するための誘電体組成と同一の組成で形成した下部カバー部115に含まれるマグネシウム(Mg)の含有量よりも、上記第1及び第2サイドマージン部112、113に含まれるマグネシウム(Mg)の含有量がさらに多くなるように調整することができる。
【0099】
一方、上記上部カバー部114に含まれるマグネシウム(Mg)の含有量は、上記下部カバー部115に含まれるマグネシウム(Mg)の含有量よりも多くてもよい。
【0100】
上述のように、上記上部カバー部114は、上記第1サイドマージン部112及び第2サイドマージン部113と一体に形成されるため、上記上部カバー部114に含まれるマグネシウム(Mg)の含有量は、上記下部カバー部115に含まれるマグネシウム(Mg)の含有量よりも多くてもよい。
【0101】
本発明の一実施形態によると、上記上部カバー部114及び下部カバー部115のいずれか1つのカバー部に含まれるマグネシウム(Mg)の含有量は、上記活性部Aの誘電体層111に含まれるマグネシウム(Mg)の含有量よりも多くてもよい。
【0102】
特に、上記上部カバー部114に含まれるマグネシウム(Mg)の含有量は、上記活性部Aの誘電体層111に含まれるマグネシウム(Mg)の含有量よりも多くてもよい。
【0103】
上記上部カバー部114は、上記第1サイドマージン部112及び第2サイドマージン部113と一体に形成されるため、上記上部カバー部114に含まれるマグネシウム(Mg)の含有量は、上記活性部Aの誘電体層111に含まれるマグネシウム(Mg)の含有量よりも多くてもよい。
【0104】
本発明の一実施形態によると、上記第1及び第2サイドマージン部112、113ならびに上記上部カバー部114に含まれるマグネシウム(Mg)の含有量は、上記第1及び第2サイドマージン部ならびに上記上部カバー部に含まれるチタン(Ti)に対して10モル以上30モル以下であることができる。
【0105】
上記第1及び第2サイドマージン部112、113ならびに上記上部カバー部114に含まれるマグネシウム(Mg)の含有量が、上記第1及び第2サイドマージン部ならびに上記上部カバー部に含まれるチタン(Ti)に対して10モル以上30モル以下となるように調整することにより、絶縁破壊電圧(Breakdown Voltage、BDV)を増加させるとともに、耐湿信頼性を向上させることができる。
【0106】
上記第1及び第2サイドマージン部112、113ならびに上記上部カバー部114に含まれるマグネシウム(Mg)の含有量が、上記第1及び第2サイドマージン部ならびに上記上部カバー部に含まれるチタン(Ti)に対して10モル未満の場合には、セラミック本体がサイドマージン部と接触する界面に生成されたボイド(void)に酸化層が十分に形成されず、絶縁破壊電圧(Breakdown Voltage、BDV)が低くなり、ショート不良が増加する可能性がある。
【0107】
これに対し、上記第1及び第2サイドマージン部112、113ならびに上記上部カバー部114に含まれるマグネシウム(Mg)の含有量が、上記第1及び第2サイドマージン部ならびに上記上部カバー部に含まれるチタン(Ti)に対して30モルを超えると、焼結性の低下により、信頼性及び絶縁破壊電圧(Breakdown Voltage、BDV)の散布が不均一になるという問題が発生する可能性がある。
【0108】
但し、上記含有量に必ずしも限定されるものではなく、製品の設計に応じて、上記含有量は変動することができる。
【0109】
本発明の一実施形態によると、上記誘電体層111の厚さが0.4μm以下、上記内部電極121、122の厚さは0.4μm以下の超小型積層セラミックキャパシタを特徴とする。
【0110】
本発明の一実施形態のように、上記誘電体層111の厚さが0.4μm以下、上記内部電極121、122の厚さは0.4μm以下の薄膜の誘電体層及び内部電極が適用された場合には、セラミック本体とサイドマージン部の接合界面で発生する接合力の低下及び耐湿信頼性の問題が非常に重要なイシューである。
【0111】
本発明の一実施形態では、上記第1サイドマージン部112及び第2サイドマージン部113ならびに上部カバー部114を一体に形成することにより、誘電体層111ならびに第1及び第2内部電極121、122の厚さが0.4μm以下の薄膜の場合でも、サイドマージン部とセラミック本体の界面接合部を減少させることで、信頼性を向上させることができる。
【0112】
但し、上記薄膜という意味が誘電体層111ならびに第1及び第2内部電極121、122の厚さが0.4μm以下であるものに限らず、従来の製品よりも薄い厚さの誘電体層及び内部電極を含む概念として理解されることができる。
【0113】
図5a〜図5dは本発明の他の実施形態による積層セラミックキャパシタの製造方法を概略的に示す図である。
【0114】
本発明の他の実施形態によると、複数の第1内部電極パターンが所定の間隔を置いて形成された第1セラミックグリーンシート、及び複数の第2内部電極パターンが所定の間隔を置いて形成された第2セラミックグリーンシートを設ける段階と、上記第1内部電極パターンと上記第2内部電極パターンとが交差するように、上記第1セラミックグリーンシート及び上記第2セラミックグリーンシートを積層し、上記積層本体の下部に複数のセラミックグリーンシートを積層して下部カバー部が形成されたセラミックグリーンシート積層本体を形成する段階と、上記第1内部電極パターン及び第2内部電極パターンの末端が幅方向に露出した側面を有するように、上記セラミックグリーンシート積層本体を切断する段階と、上記第1内部電極パターン及び第2内部電極パターンの末端が露出した側面及び上記積層本体の上部に第1サイドマージン部及び第2サイドマージン部ならびに上部カバー部を形成する段階と、上記切断された積層本体を焼成して誘電体層ならびに第1及び第2内部電極を含む活性部と下部カバー部とを含むセラミック本体を設ける段階と、を含み、上記第1サイドマージン部及び第2サイドマージン部ならびに上部カバー部を形成する段階は、セラミック材料を付加して上記第1サイドマージン部及び第2サイドマージン部ならびに上部カバー部を一体に形成する段階で行われる積層セラミックキャパシタの製造方法を提供する。
【0115】
以下、本発明の他の実施形態による積層セラミックキャパシタの製造方法を説明する。
【0116】
図5aに示すように、セラミックグリーンシート211上に所定の間隔を置いて複数のストライプ状の第1内部電極パターン221を形成する。上記複数のストライプ状の第1内部電極パターン221は、互いに平行に形成されることができる。
【0117】
上記セラミックグリーンシート211は、セラミック粉末、有機溶剤、及び有機バインダーを含むセラミックペーストで形成されることができる。
【0118】
上記セラミック粉末は、高誘電率を有する物質であって、これに制限されるものではないが、チタン酸バリウム(BaTiO)系材料、鉛複合ペロブスカイト系材料、又はチタン酸ストロンチウム(SrTiO)系材料などを用いることができ、好ましくは、チタン酸バリウム(BaTiO)粉末を用いることができる。上記セラミックグリーンシート211が焼成されると、セラミック本体110を構成する誘電体層111となる。
【0119】
ストライプ状の第1内部電極パターン221は、導電性金属を含む内部電極ペーストによって形成されることができる。上記導電性金属は、これに制限されるものではないが、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、パラジウム(Pd)、又はこれらの合金であることができる。
【0120】
上記セラミックグリーンシート211上にストライプ状の第1内部電極パターン221を形成する方法は、特に制限されないが、例えば、スクリーン印刷法又はグラビア印刷法のような印刷法を介して形成されることができる。
【0121】
また、図示されていないが、別のセラミックグリーンシート211上に所定の間隔を置いて複数のストライプ状の第2内部電極パターン222を形成することができる。
【0122】
以下、第1内部電極パターン221が形成されたセラミックグリーンシートを第1セラミックグリーンシート、第2内部電極パターン222が形成されたセラミックグリーンシートを第2セラミックグリーンシートと称することができる。
【0123】
次に、図5bに示すように、ストライプ状の第1内部電極パターン221とストライプ状の第2内部電極パターン222とが交差積層されるように、第1及び第2セラミックグリーンシートを交互に積層することができる。
【0124】
その後、上記ストライプ状の第1内部電極パターン221は第1内部電極121になり、ストライプ状の第2内部電極パターン222は第2内部電極122になる。
【0125】
本発明の他の実施形態によると、上記第1及び第2セラミックグリーンシートの厚さtdは0.6μm以下であり、第1及び第2内部電極パターンの厚さteは0.5μm以下である。
【0126】
本発明は、誘電体層の厚さが0.4μm以下、内部電極の厚さは0.4μm以下の薄膜を有する超小型高容量積層セラミックキャパシタを特徴とするため、上記第1及び第2セラミックグリーンシートの厚さtdは0.6μm以下、第1及び第2内部電極パターンの厚さteは0.5μm以下であることを特徴とする。
【0127】
図5cは本発明の一実施形態により、第1及び第2セラミックグリーンシートが積層されたセラミックグリーンシート積層本体220を示す断面図であり、図5dは第1及び第2セラミックグリーンシートが積層されたセラミックグリーンシート積層本体220を示す斜視図である。
【0128】
図5c及び図5dを参照すると、複数の平行なストライプ状の第1内部電極パターン221が印刷された第1セラミックグリーンシート、及び複数の平行なストライプ状の第2内部電極パターン222が印刷された第2セラミックグリーンシートが互いに交互に積層されている。
【0129】
より具体的には、第1セラミックグリーンシートに印刷されたストライプ状の第1内部電極パターン221の中央部と、第2セラミックグリーンシートに印刷されたストライプ状の第2内部電極パターン222の間の間隔とが重なるように積層することができる。
【0130】
また、上記第1内部電極パターン221と上記第2内部電極パターン222とが交差するように、上記第1セラミックグリーンシート及び上記第2セラミックグリーンシートを積層し、上記積層本体の下部に複数のセラミックグリーンシートを積層して下部カバー部が形成されたセラミックグリーンシート積層本体220を形成することができる。
【0131】
次に、図5dに示すように、上記セラミックグリーンシート積層本体220は、複数のストライプ状の第1内部電極パターン221とストライプ状の第2内部電極パターン222とを横切るように切断することができる。すなわち、上記セラミックグリーンシート積層本体220は、互いに直交するC1−C1及びC2−C2の切断線に沿って切断された積層本体210になり得る。
【0132】
より具体的には、ストライプ状の第1内部電極パターン221及びストライプ状の第2内部電極パターン222は、長さ方向に切断され、一定の幅を有する複数の棒状を有する積層本体に分割されることができる。このとき、積層されたセラミックグリーンシートも内部電極パターンとともに切断される。これにより、誘電体層は、内部電極の幅と同一の幅を有するように形成されることができる。
【0133】
また、C2−C2の切断線に沿って、個々のセラミック本体サイズに合わせて切断することができる。すなわち、第1サイドマージン部及び第2サイドマージン部を形成する前に、上記棒状の積層本体をC2−C2の切断線に沿って個々のセラミック本体サイズに切断して複数の積層本体210を形成することができる。
【0134】
すなわち、棒状の積層本体を、重なっている第1内部電極の中心部と第2内部電極の間に形成された所定の間隔が同一の切断線によって切断されるように切断することができる。これにより、第1内部電極及び第2内部電極の一端は切断面に交互に露出することができる。
【0135】
その後、上記積層本体210の第1及び第2側面に第1サイドマージン部及び第2サイドマージン部を形成することができる。また同時に、上記積層本体210の上面に上部カバー部を形成することができる。
【0136】
図6a及び図6bは本発明の第1実施形態による積層セラミックキャパシタの製造方法を概略的に示す図である。
【0137】
図6a及び図6bを参照すると、本発明の第1実施形態による積層セラミックキャパシタの製造方法は、下部カバー部215がサイドマージン部の間隔の分だけ延長された幅を有するように形成された棒状の積層本体210を設け、第1内部電極パターン221及び第2内部電極パターン222の末端が露出した側面及び上記積層本体210の上部に第1サイドマージン部及び第2サイドマージン部ならびに上部カバー部を形成する段階を含む。
【0138】
次に、上記積層本体210を切断及び焼成して誘電体層111ならびに第1及び第2内部電極121、122を含む活性部Aと、下部カバー部115、第1サイドマージン部112及び第2サイドマージン部113、ならびに上部カバー部114と、を含むセラミック本体110を設ける。
【0139】
本発明の第1実施形態によると、上記第1サイドマージン部212及び第2サイドマージン部213ならびに上部カバー部214を形成する段階は、セラミック材料を付加し、上記第1サイドマージン部212及び第2サイドマージン部213ならびに上部カバー部214を一体に形成する段階で行われる。
【0140】
また、本発明の第1実施形態によると、後述する第2実施形態とは異なり、棒状の積層本体210に対してセラミック材料を付加し、上記第1サイドマージン部212及び第2サイドマージン部213ならびに上部カバー部214を一体に形成する段階で行われる。
【0141】
上記第1サイドマージン部212及び第2サイドマージン部213ならびに上部カバー部214を形成する段階は、セラミックスラリーを注入するか、又は誘電体シートを棒状の積層本体210に対して圧着する方法で行われることができる。
【0142】
上記誘電体シートを棒状の積層本体210に対して圧着する場合、上記誘電体シートとしては、流動性の高い誘電体シートが用いられることができる。
【0143】
上記セラミックグリーンシート積層本体210を切断する段階において、上記下部カバー部215は、上記第1サイドマージン部212及び第2サイドマージン部213の幅に対応する領域まで切断されることができる。
【0144】
これにより、上記下部カバー部215は、第1サイドマージン部212及び第2サイドマージン部213の幅の間隔の分だけ延長された幅を有するように形成されることができる。
【0145】
図7a及び図7bは本発明の第2実施形態による積層セラミックキャパシタの製造方法を概略的に示す図である。
【0146】
図7a及び図7bによると、本発明の第2実施形態によると、上記第1サイドマージン部212及び第2サイドマージン部213ならびに上部カバー部214を形成する段階は、上記セラミックグリーンシート積層本体210を切断して形成された複数の積層チップの状態で行われることができる。
【0147】
本発明の第2実施形態による積層セラミックキャパシタの製造方法は、複数の積層チップの状態で上記第1サイドマージン部212及び第2サイドマージン部213ならびに上部カバー部214を一体に形成すること以外は、上述した第1実施形態による積層セラミックキャパシタの製造方法と同一であるため、具体的な説明を省略する。
【0148】
その後、第1内部電極が露出したセラミック本体の第3面3及び上記第2内部電極が露出したセラミック本体の第4面4にそれぞれ外部電極を形成することができる。
【0149】
その他、上述した本発明の一実施形態における特徴と同一の部分についての説明は、重複を避けるために省略する。
【0150】
以上、本発明の実施形態について詳細に説明したが、本発明の範囲はこれに限定されず、特許請求の範囲に記載された本発明の技術的思想から外れない範囲内で多様な修正及び変形が可能であるということは、当技術分野の通常の知識を有する者には明らかである。
【符号の説明】
【0151】
100 積層セラミックキャパシタ
110 セラミック本体
111 誘電体層
112、113 第1及び第2サイドマージン部
114 上部カバー部
115 下部カバー部
121、122 第1及び第2内部電極
131、132 第1及び第2外部電極
図1
図2
図3
図4
図5a
図5b
図5c
図5d
図6a
図6b
図7a
図7b