【解決手段】放送受信装置では、記憶部は、受信部により放送が受信された場合、放送の識別情報が記憶装置に記憶されているか否かを判定し、記憶されていると判定した場合、放送の放送情報と、識別情報に対応付けられて記憶装置に記憶されている放送情報とが異なるときは、記憶装置に記憶されている放送情報を放送の放送情報に更新し、記憶装置に記憶されている放送情報を更新したことを示す更新情報を識別情報に対応付けて記憶し、取得部は、受信部により放送が順次に受信される際、受信された放送の識別情報と同じ記憶装置に記憶されている識別情報に更新情報が対応付けられている場合、放送の放送情報を取得し、受信された放送の識別情報と同じ記憶装置に記憶されている識別情報に更新情報が対応付けられていない場合、放送の放送情報を取得しない。
前記記憶部は、前記受信部により放送が受信された場合、前記放送の識別情報が前記記憶装置に記憶されているか否かを判定し、記憶されていないと判定した場合、前記放送の識別情報と前記放送の放送情報とを対応付けて前記記憶装置に記憶する、
請求項1に記載の放送受信装置。
前記記憶部は、前記受信部により放送が受信された場合、前記放送の識別情報が前記記憶装置に記憶されているか否かを判定し、記憶されていないと判定した場合、前記放送の識別情報と前記放送の放送情報とを対応付けて前記記憶装置に記憶する、
請求項5に記載の放送受信方法。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を用いて、本発明の実施の形態を詳述する。
【0016】
(1)第1の実施の形態
本実施の形態は、FM多重放送のデータを取得する技術に関する。FM多重放送は、FM放送の隙間にデジタル信号を多重することで、ユーザにとって有用な情報を提供する放送である。例えば、FM多重放送では、PS名、渋滞、事故等の情報(以下、「放送情報」と記す)が文字、図形等として表示される。
【0017】
本実施の形態の放送受信装置は、例えば、放送情報が変化していない放送局については、放送情報を取得する処理をスキップする。かかる構成によれば、放送情報の更新にかかる時間を短縮することができる。以下では、上記構成について主に説明する。
【0018】
なお、FM多重放送の方式は、RDS方式であってもよいし、RBDS(Radio Broadcast Data System)方式であってもよいし、DARC(Data Radio Channel)方式であってもよいし、RTIC(Realtime Information in the Cockpit)方式であってもよいし、その他のFM多重放送の方式であってもよい。以下では、RDS方式に適した放送受信装置を例に挙げて説明するが、他のFM多重放送の方式に適した放送受信装置も本発明の範疇である。
【0019】
以下の説明では、同種の要素を区別しないで説明する場合には、枝番を含む参照符号のうちの共通部分(枝番を除く部分)を使用し、同種の要素を区別して説明する場合は、枝番を含む参照符号を使用することがある。例えば、ブロックを特に区別しないで説明する場合には、「ブロック310」と記載し、個々のブロックを区別して説明する場合には、「ブロック310−1」、「ブロック310−2」のように記載することがある。
【0020】
図1は、放送受信装置100の構成の一例を示す図である。
【0021】
放送受信装置100は、例えば、道路を走行する車両に搭載された車載器である。放送受信装置100は、アンテナ101、チューナ102、ラジオ信号処理回路103、オーディオ信号処理回路104、パワーアンプ105、スピーカ106、RDS復調回路107、PLL(Phase Locked Loop)回路108、マイクロコンピュータ109、入力インタフェース110、およびディスプレイ111を備えている。
【0022】
なお、
図1では、本実施の形態の説明に必要な主たる構成要素を図示しており、放送受信装置として一般的な構成要素である筐体など、一部の構成要素については、その図示を適宜省略している。
【0023】
放送受信装置100は、放送電波(放送信号)をアンテナ101で受信してチューナ102に出力する。チューナ102は、マイクロコンピュータ109によるPLL回路108を介した制御により、受信している放送電波から選択局のRF(Radio Frequency)信号を抽出する。抽出されたRF信号は、フィルタリング等の信号処理に適した中間周波数に周波数変換される。チューナ102は、周波数変換によって得たIF(Intermediate Frequency)信号をラジオ信号処理回路103に出力する。
【0024】
このように、アンテナ101、チューナ102、PLL回路108、およびマイクロコンピュータ109は、放送電波を受信する受信部として動作する。
【0025】
ここで、入力インタフェース110に対するユーザの操作(ユーザ操作)により選択局が指定される。選択局の指定情報は、マイクロコンピュータ109の内蔵メモリに記憶される。マイクロコンピュータ109は、例えば、放送受信装置100の電源の投入直後、内蔵メモリの記憶情報に従ってPLL回路108を介したチューナ102の選局動作を制御する。
【0026】
なお、入力インタフェース110には、ハードウェア、ソフトウェア、または、これらを組み合わせた種々のUI(User Interface)が想定される。本実施の形態では、入力インタフェース110には、放送受信装置100本体のフロントパネルに実装されたメカニカルスイッチキー、メンブレンキー、タッチパネル環境下で提供されるGUI(Graphical User Interface)、操作キーが実装されたリモートコントローラ等が含まれる。
【0027】
ラジオ信号処理回路103は、AD変換回路、IF検波(IF-Detection)回路、ノイズキャンセラ(Noise Canceller)、弱電界処理(Multiplex)回路等を備える。ラジオ信号処理回路103に入力されたIF信号は、AD変換回路にてAD変換されて、IF検波回路でオーディオ信号に検波後、ノイズキャンセラによってノイズが除去される。オーディオ信号は、弱電界処理回路により、ミュート、ハイカット、セパレーション制御等の選択局の受信状態に応じた処理が施されてオーディオ信号処理回路104に出力される。なお、ラジオ信号処理回路103は、放送を受信している放送局の受信状態を検出する検出機能を備える。検出結果は、例えば、マイクロコンピュータ109にて取り込まれ、有局の検出等に使用される。
【0028】
オーディオ信号処理回路104に入力されたオーディオ信号は、DA変換等の所定のオーディオ信号処理後、パワーアンプ105によるボリュームに応じた利得調整を経て、スピーカ106から音声として出力再生される。
【0029】
ラジオ信号処理回路103には、例えば、受信している信号の強度を指示するメータ、いわゆるSメータが内蔵されている。Sメータは、アナログオーディオ信号の復調時の検波電圧の値を所定のサンプリング周期で測定してマイクロコンピュータ109に出力する。上記検波電圧値は、受信している放送電波に比例した直流電圧(受信した放送電波の電界強度)である。
【0030】
ラジオ信号処理回路103で検波された信号(以下、「検波信号」と記す)は、RDS復調回路107にも出力される。検波信号は、RDS復調回路107による復調処理後、マイクロコンピュータ109内のRDS復号器121(復号部)でRDSデータ(放送情報の一例)に復号される。なお、RDSデータのデータ構造については、
図3を用いて後述する。
【0031】
このように、ラジオ信号処理回路103、RDS復調回路107、およびマイクロコンピュータ109は、RDSデータを取得する取得部として動作する。
【0032】
マイクロコンピュータ109は、1以上のプロセッサである。少なくとも1つのプロセッサは、典型的には、CPU(Central Processing Unit)のようなマイクロプロセッサであるが、GPU(Graphics Processing Unit)のような他種のプロセッサでもよい。少なくとも1つのプロセッサは、シングルコアでもよいし、マルチコアでもよい。少なくとも1つのプロセッサは、処理の一部または全部を行うハードウェア回路(例えば、FPGA(Field-Programmable Gate Array)またはASIC(Application Specific Integrated Circuit))といった広義のプロセッサでもよい。
【0033】
マイクロコンピュータ109は、入力インタフェースを用いたユーザ操作を検出し、ユーザ操作に基づいてPLL回路108を制御し、任意の放送局からの放送の周波数に同調するための同調周波数信号を生成する。マイクロコンピュータ109は、チューナ102を制御して、PLL回路108で生成された同調周波数信号に基づく周波数に同調し、この周波数からの放送電波を受信する。
【0034】
マイクロコンピュータ109は、データを記憶するためのメモリ122を備える。メモリ122は、1以上のメモリであり、典型的には主記憶デバイスでよい。メモリ122における少なくとも1つのメモリは、RAM(Random Access Memory)等の揮発性メモリであってもよいし、ROM(Read Only Memory)等の不揮発性メモリであってもよい。
【0035】
マイクロコンピュータ109は、復号によって得たRDSデータをメモリ122に記憶する。RDSデータには、PIコード、PS名、AFリスト、RT(Radio Text)、PTY(Programme Type)、TP(Traffic Programme)等が含まれる。
【0036】
マイクロコンピュータ109は、RDSデータを用いてステーションリストを作成する。マイクロコンピュータ109は、作成したステーションリストをメモリ122記憶する。
【0037】
このように、マイクロコンピュータ109は、RDSデータをメモリ122に記憶する記憶部として動作する。
【0038】
ステーションリストは、各放送局について、PIコード、PS名、および放送の周波数の各種情報を関連付けてリスト化したデータである。なお、ステーションリストについては、
図4を用いて後述する。マイクロコンピュータ109は、ステーションリスト(より詳細には、表示情報であるPS名)をディスプレイ111の表示画面に表示させる。
【0039】
このように、マイクロコンピュータ109は、RDSデータを用いてステーションリストを作成する作成部として動作する。また、マイクロコンピュータ109は、ステーションリスト内のPS名をディスプレイ111の表示画面に表示させる表示制御部として動作する。
【0040】
ユーザは、ディスプレイ111の表示画面上に表示されたステーションリストの中から所望のPS名(放送局)を選択することができる。ステーションリストから放送局が選択操作されると、マイクロコンピュータ109は、選択された放送局に関連付けられて記憶された周波数を選局し、選択された放送局の音声サービスをスピーカ106より出力再生させる。
【0041】
図2は、放送受信装置100の機能の一例を示す図である。
【0042】
放送受信装置100の機能(受信部201、取得部202、記憶部203等)は、例えば、マイクロコンピュータ109がメモリ122に記憶されたプログラムを読み出して実行すること(ソフトウェア)により実現されてもよいし、専用の回路等のハードウェアにより実現されてもよいし、ソフトウェアとハードウェアとが組み合わされて実現されてもよい。また、放送受信装置100の機能の一部は、放送受信装置100と通信可能な他のコンピュータにより実現されてもよい。
【0043】
受信部201は、放送電波(放送)を受信する。
【0044】
取得部202は、受信部201で受信された放送から当該放送のPIコードおよび当該放送のPS名を取得する。
【0045】
記憶部203は、取得部202により取得されたPIコードとPS名とを対応付けてメモリ122に記憶する。
【0046】
図3は、RDSデータのデータ構造の一例(RDSデータ300)を示す図である。
【0047】
RDSデータ300は、4つのブロック310からなるグループの単位で構成される。各ブロック310は、26ビットのデータからなる。26ビット中16ビットがRDS情報であり、残り10ビットが検査語(Check word)である。
【0048】
なお、検査語は、データ伝送の途中で生じるエラーを検出して訂正するときに用いられたり、切れ目、特別の境界信号を含まずに連続して送られてくるブロック310の始まりを識別するときに用いられたりする。
【0049】
第1のブロック310−1には、PIコードが含まれる。第2のブロック310−2には、グループの種別を示すグループタイプが含まれる。
【0050】
グループタイプは、グループタイプコードとバージョンコードとからなる。グループタイプコードは、A
3、A
2、A
1、A
0、からなる4ビットのデータである。バージョンコードは、「A」または「B」を示すデータであり、B
0からなる1ビットのデータである。よって、グループタイプは、0A(A
3=0、A
2=0、A
1=0、A
0=0、B
0=0)〜15B(A
3=1、A
2=1、A
1=1、A
0=1、B
0=1)の何れかとなり、グループタイプにより、ブロック310の構成(何ビット目に何の情報が含まれるか等)が特定される。
【0051】
ここで、例えば、PS名は、0Aグループの第4のブロック310−4または0Bグループの第4のブロック310−4に割り付けられている。1文字は、8ビットであるから、1つのグループで送信可能な文字数は2文字(16ビット)である。したがって、8文字のPS名を取得(受信)し終わるまでには、4つのグループが必要である。
【0052】
例えば、ノイズ等により、8文字のうち1文字だけ取得できなかった場合でも、少なくとも4つのグループを待たなければならないことになる。ここで、0Aグループまたは0Bグループは、全グループの40%の割合で送信されている。また、1つのグループの伝送には、約90msが必要である。よって、1文字だけ取得できなかった場合でも、約1s(=90×4÷0.4)待機する必要がある。更に、PS名を2回取得して一致した場合に、PS名を取得できたと判断する仕様である場合には、待機する時間がより長くなってしまう。
【0053】
また、例えば、放送電波が途切れる等する受信状態が悪い場合、リトライ等が行われる。結果として、PS名の取得に関して予め定められたタイムアウト時間(例えば、5秒)になるまで、放送受信装置100は、待機することになる。
【0054】
つまり、全ての放送局についてPS名の取得を行う場合、PS名の取得に時間がかかり、ユーザへの影響が大きくなってしまう。ここで、既に、PS名を取得済みの放送局についてはPS名の取得をしない方法も考えられるが、万が一、放送局がPS名を変更した場合、当該変更を把握できなくなってしまう。
【0055】
この点、本実施の形態では、過去に変化があったPS名を取得することで、PS名の更新にかかる時間の短縮を図っている。なお、詳細については
図5および
図6を用いて後述する。
【0056】
図4は、ステーションリストの一例(ステーションリストテーブル400)を示す図である。
【0057】
ステーションリストテーブル400は、PIコード401と、周波数402と、PS名403と、変化フラグ404とが対応付けられた情報を記憶する。なお、ステーションリストテーブル400では、PTY、TP等、その他の項目が対応付けられていてもよい。
【0058】
PIコード401は、放送の番組を識別可能な識別情報(PIコードを示す情報)である。周波数402は、PIコード401により識別される番組の放送の周波数である。PS名403は、PIコード401により識別される番組を放送する放送局の名称である。変化フラグ404は、PS名403が変化したか否かを識別するためのフラグである。
【0059】
図5は、所定のユーザ選局が行われた際、放送受信装置100が放送電波を受信するときの処理(受信時処理)の一例を示す図である。
【0060】
なお、所定のユーザ選局としては、ユーザが入力インタフェース110を操作して(例えば、シークボタンを押下して)放送電波の強い次のまたは前の放送局を探すシーク選局、ユーザが入力インタフェース110を操作して(例えば、ダイヤルボタンを手動で合わせて)放送局を選局するダイヤル選局、ユーザが入力インタフェース110を操作して放送局の周波数を直接指定して放送局を選局するダイレクト選局等が挙げられる。
【0061】
ステップS501では、放送受信装置100は、放送電波を受信し、受信した放送電波からPIコード、PS名等を取得する。
【0062】
ステップS502では、放送受信装置100は、取得したPIコードと同じPIコードのレコードがステーションリストテーブル400に登録されているか否か(新規の受信であるか否か)を判定する。放送受信装置100は、当該レコードが登録されていない(新規の受信である)と判定した場合、ステップS503に処理を移し、当該レコードが登録されている(新規の受信でない)と判定した場合、ステップS504に処理を移す。
【0063】
ステップS503では、放送受信装置100は、受信した放送電波に係るレコードをステーションリストテーブル400に登録する。例えば、放送受信装置100は、所定のユーザ選局において、98.1MHzの放送電波を初めて受信した場合、当該放送電波に含まれるPIコード「D401」およびPS名「ABCDEFGH」と、当該放送電波の周波数「98.1」と、変化フラグ「OFF」とを一のレコードとしてステーションリストテーブル400に登録する。
【0064】
ステップS504では、放送受信装置100は、取得したPS名と、取得したPIコードと同じPIコードのレコードのPS名とに差異があるか否か(PS名に変化があるか否か)を判定する。放送受信装置100は、PS名に変化があると判定した場合、ステップS505に処理を移し、PS名に変化がないと判定した場合、受信時処理を終了する。
【0065】
ステップS505では、放送受信装置100は、ステーションリストテーブル400を参照し、取得したPIコードと同じPIコードのレコードのPS名を、取得したPS名に更新する。
【0066】
ステップS506では、放送受信装置100は、ステーションリストテーブル400を参照し、取得したPIコードと同じPIコードのレコードの変化フラグを「ON」に更新し、受信時処理を終了する。
【0067】
このように、未登録の放送局の情報が自動的にステーションリストに登録される。また、PS名の変化が検出された場合、変化フラグが「ON」に更新される。付言するならば、所定のユーザ選局における番組の変化フラグをONに更新することは、ユーザがよく聴く番組のPS名を最新にすることを意味しているとも言える。
【0068】
図6は、放送受信装置100がステーションリストを手動更新するときの処理(手動更新時処理)の一例を示す図である。
【0069】
なお、放送受信装置100は、放送局の一の周波数による放送を受信中に、手動更新を実行する操作を、入力インタフェース110を介してユーザが行ったことを検出すると、手動更新時処理を開始する。
【0070】
ステップS601では、放送受信装置100は、ミュートをONにする。放送受信装置100は、図示は省略するミュート回路によるミュート機能をONにする。この結果、スピーカ106からは音声が出力されなくなる。
【0071】
ステップS602では、放送受信装置100は、周波数を次のステップに変更する。例えば、マイクロコンピュータ109は、PLL回路108を制御し、同調させる周波数を、受信中の周波数から1ステップ分(例えば、0.1MHz)進めた同調周波数信号を生成する。
【0072】
ステップS603では、放送受信装置100は、受信可能な放送局があるか否か(有局であるか否か)を判定する。放送受信装置100は、有局であると判定した場合、ステップS604に処理を移し、有局でないと判定した場合、ステップS609に処理を移す。
【0073】
例えば、マイクロコンピュータ109は、チューナ102を制御し、PLL回路108で生成した同調周波数信号に同調する周波数の放送電波を受信し、この周波数の放送電波の電界強度とノイズ値とを検波回路から入力される信号に基づいて算出する。なお、ノイズ値は、例えば、マルチパス妨害および隣接妨害から算出される。続いて、マイクロコンピュータ109は、算出した電界強度とノイズ値とを、予め設定されたしきい値と比較し、この周波数に受信可能な放送局があるか否かを判定する。
【0074】
ステップS604では、放送受信装置100は、RDSデータを送信する放送局(RDS局)であるか否かを判定する。放送受信装置100は、RDS局であると判定した場合、ステップS605に処理を移し、RDS局でないと判定した場合、ステップS609に処理を移す。
【0075】
放送受信装置100は、予め設定された時間内にPIコードが取得できたか否かを判定する。より具体的には、放送受信装置100は、PIコードを取得できた場合は、受信可能と判定した周波数を用いて放送を行う放送局については、RDSを用いて放送を行う放送局であると判定する。他方、放送受信装置100は、PIコードを取得できなかった場合は、受信可能と判定した周波数を用いて放送を行う放送局については、RDSを用いて放送を行う放送局ではないと判定する。
【0076】
ステップS605では、放送受信装置100は、受信した放送電波のPIコードと同じPIコードのレコードがステーションリストテーブル400に登録されているか否か(新規の受信であるか否か)を判定する。放送受信装置100は、新規の受信であると判定した場合、ステップS607に処理を移し、新規の受信でないと判定した場合、ステップS606に処理を移す。
【0077】
ステップS606では、放送受信装置100は、受信した放送電波のPIコードと同じPIコードのレコードの変化フラグがONであるか否かを判定する。放送受信装置100は、変化フラグがONであると判定した場合、ステップS607に処理を移し、変化フラグがONでない(OFFである)と判定した場合、ステップS608に処理を移す。
【0078】
ステップS607では、放送受信装置100は、受信している放送電波からPS名を取得する。
【0079】
ステップS608では、放送受信装置100は、ステーションリストテーブル400を更新する。
【0080】
例えば、放送受信装置100は、新規の受信であると判定した場合、ステップS503と同様に、受信した放送電波に係るレコードをステーションリストテーブル400に登録する。
【0081】
また、例えば、放送受信装置100は、変化フラグがONであると判定した場合、ステーションリストテーブル400を参照し、放送局のPIコードと同じPIコードのレコードのPS名を、取得したPS名で更新する。また、放送受信装置100は、ステーションリストテーブル400を参照し、放送局のPIコードと同じPIコードのレコードの変化フラグをOFFに更新する。また、放送受信装置100は、取得している情報で当該レコードの他の項目(PIコード401、周波数402、PS名403、変化フラグ404以外の項目)を更新する。
【0082】
また、例えば、放送受信装置100は、変化フラグがOFFであると判定した場合、ステーションリストテーブル400を参照し、放送局のPIコードと同じPIコードのレコードの他の項目を、取得している情報で更新する。
【0083】
ステップS609では、放送受信装置100は、全ての周波数(例えば、87.5MHzから108.0MHzまで)について処理が完了したか否かを判定する。放送受信装置100は、処理が完了したと判定した場合、ステップS610に処理を移し、処理が完了していないと判定した場合、ステップS602に処理を移す。
【0084】
ステップS610では、放送受信装置100は、ミュートをOFFにし、手動更新時処理を終了する。
【0085】
このように、PS名に変化がない場合は、PS名を取得する処理を行わない(スキップする)ことで、手動更新時処理にかかる時間を短縮することができる。
【0086】
なお、変化フグをONにするためには、再度、同じ放送局を受信させる必要がある。過去、一度しか受信したことのない放送局の場合は、PS名の変化を検出することはできないが、利用していない放送局とみなす。つまり、一度しか受信したことのない放送局である場合も、手動更新時処理においてPS名を取得する処理を行わないことで、手動更新時処理にかかる時間を短縮することができる。
【0087】
図7は、ステーションリストの表示態様の一例(ステーションリスト画面700)を示す図である。
【0088】
ステーションリスト画面700では、受信可能な放送電波の周波数およびPS名の情報が表示される。
【0089】
放送受信装置100は、ステーションリストテーブル400に登録されている周波数とPS名とを含むステーションリスト画面700をディスプレイ111に表示する。放送受信装置100は、入力インタフェース110を介して、ディスプレイ111に表示された周波数およびPS名の一覧の中からユーザによる番組(放送局)の選択を受け付ける。放送受信装置100は、受け付けた番組の周波数を、受信する周波数としてチューナ102に設定する。これにより、ユーザは、所望の番組を聴くことができる。
【0090】
図8は、ステーションリストの表示態様の一例(ステーションリスト画面800)を示す図である。
【0091】
ステーションリスト画面800では、受信可能な放送電波のPS名の情報が表示される。
【0092】
放送受信装置100は、ステーションリストテーブル400に登録されているPS名を含むステーションリスト画面800をディスプレイ111に表示する。放送受信装置100は、入力インタフェース110を介して、ディスプレイ111に表示されたPS名の一覧の中からユーザによる番組の選択を受け付ける。放送受信装置100は、ステーションリストテーブル400を参照し、受け付けた番組の周波数を特定し、特定した周波数を、受信する周波数としてチューナ102に設定する。これにより、ユーザは、所望の番組を聴くことができる。
【0093】
本実施の形態によれば、ステーションリストの手動更新時、過去にPS名が変化した放送局のPS名を取得し、PS名が変化していない放送局のPS名の取得をスキップすることで、ステーションリストの更新にかかる時間を短縮することができる。
【0094】
(2)第2の実施の形態
本実施の形態では、第1の実施の形態とは、利用頻度が低い番組のPS名を取得する処理を行わない点が異なる。なお、本実施の形態では、第1の実施の形態の構成と同じ構成については同じ符号を用いてその説明を適宜省略する。
【0095】
図9は、ステーションリストの一例(ステーションリストテーブル900)を示す図である。なお、本実施の形態では、ステーションリストテーブル400に替えてステーションリストテーブル900が用いられる。
【0096】
ステーションリストテーブル900は、PIコード401と、周波数402と、PS名403と、変化フラグ404と、OFFタイマ901とが対応付けられた情報を記憶する。なお、ステーションリストテーブル900では、PTY、TP等、その他の項目が対応付けられていてもよい。
【0097】
OFFタイマ901は、変化フラグ404をOFFにする時間を管理するための情報である。OFFタイマ901は、予め設定した所定の時間(例えば、3か月)までの残り時間を示す。
【0098】
OFFタイマ901は、変化フラグ404がONに更新されたときに所定の時間が設定される。なお、放送受信装置100は、OFFタイマ901が設定されている場合、OFFタイマ901のカウントダウンを行っている。
【0099】
OFFタイマ901(残り時間)が「0(ゼロ)」となったときに変化フラグ404がOFFに更新される。なお、放送受信装置100は、OFFタイマ901が「0(ゼロ)」となる前に、更にPS名の変化を検出した場合は、OFFタイマ901を再設定(所定の時間を設定)する。
【0100】
図10は、放送受信装置100が、変化フラグが変化しないまま所定の時間が経過したときにステーションリストテーブル900を更新する処理(変化フラグ更新処理)の一例を示す図である。なお、変化フラグ更新処理は、所定のタイミングで(例えば、周期的に、予め定められた時間に)実行される。
【0101】
ステップS1001では、放送受信装置100は、ステーションリストテーブル900から未処理のレコードを取得する。
【0102】
ステップS1002では、放送受信装置100は、取得したレコードのOFFタイマが「0「ゼロ」」であるか否か(所定の時間が経過したか否か)を判定する。放送受信装置100は、所定の時間が経過したと判定した場合、ステップS1003に処理を移し、所定の時間が経過していないと判定した場合、ステップS1004に処理を移す。
【0103】
ステップS1003では、放送受信装置100は、ステーションリストテーブル900の変化フラグをOFFに更新し、OFFタイマを解除(例えば、初期化「―」)する。
【0104】
ステップS1004では、放送受信装置100は、全てのレコードについて処理を行ったか否か(取得したレコードが最後のレコードであるか否か)を判定する。放送受信装置100は、取得したレコードが最後のレコードであると判定した場合、変化フラグ更新処理を終了し、取得したレコードが最後のレコードでないと判定した場合、ステップS1001に処理を戻す。
【0105】
このように、一度でも過去に受信していたPS名から変化を検出した場合、変化フラグをONに継続するが、最後の変化から所定の時間が経過するまで再度の変化が検出されなかった場合、変化フラグをOFFに更新する。かかる構成によれば、当該PS名の番組の利用頻度が低いとみなし、手動更新時処理におけるPS名の取得を対象外とすることができる。
【0106】
(3)付記
上述の実施の形態には、例えば、以下のような内容が含まれる。
【0107】
上述の実施の形態においては、本発明を放送受信装置に適用するようにした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、この他種々のシステム(例えば、カーナビゲーションシステム)、装置(例えば、車載器)、方法、プログラムに広く適用することができる。
【0108】
また、上述の実施の形態において、放送受信装置100として車載器を例に挙げて説明したが、本発明は、車載器に限るものではない。放送受信装置100は、例えば、スマートフォン、フィーチャフォン、PHS(Personal Handy phone System)、タブレット端末、ノートPC、PDA(Personal Digital Assistant)、PND(Portable Navigation Device)、携帯ゲーム機等の携帯型端末であってもよい。
【0109】
また、上述の実施形態において、PS名を取得する放送局を特定する方法として、変化フラグを用いる場合について説明したが、本発明は、この構成に限るものではない。例えば、PS名に変化があったときに、当該時点の時間、所定の文字列、所定の数時等、PS名に変化があったことを示す情報(記憶部に記憶されている放送情報を更新したことを示す更新情報)を記憶するようにしてもよい。
【0110】
また、上述の実施形態において、PS名の取得をスキップする構成について説明したが、本発明は、この構成に限るものではない。例えば、PS名の取得をスキップする構成に加えてまたは代えて、PTY等、他の放送情報の取得をスキップする構成にしてもよい。この場合、例えば、ステーションリストテーブルは、PIコードに対応付けて他の放送情報の変化フラグを記憶する。
【0111】
また、上述の実施形態において、所定の時間が経過したことを検出する方法として、OFFタイマを用いる場合について説明したが、本発明は、この構成に限るものではない。例えば、変化フラグがONに更新されたときに当該時点の時間を設定し、変化フラグ更新処理では、現在の時間と、設定した時間と所定の時間との和とを比較して所定の時間が経過してことを検出してもよい。また、例えば、所定の時間が経過するときの時間を設定し、変化フラグ更新処理では、現在の時間と、設定した時間とを比較して所定の時間が経過したことを検出するようにしてもよい。
【0112】
また、上述の実施形態において、ステーションリストテーブルにRDSデータを記憶する場合について説明したが、本発明は、この構成に限るものではない。例えば、ステーションリストテーブルに非RDSデータ(予め登録しているRDS局でない放送局の情報)を記憶するようにしてもよい。この場合、ステーションリストには、RDSデータと非RDSデータとが表示されてもよい。
【0113】
また、上述の実施形態において、ユーザがよく聴くPS名を最新にしておくために、所定のユーザ選局を契機に更新フラグをONにする場合について説明したが、本発明は、この構成に限るものではない。例えば、放送受信装置100は、放送電波を受信すると、PIコードにより識別される番組を視聴している時間(視聴時間)、当該番組を視聴している回数(視聴回数)等をステーションリストテーブルに記憶してもよい。この場合、放送受信装置100は、例えば、ステップS606でYesと判定した場合、視聴時間がしきい値を超えたと判定した場合、ステップS607の処理を行い、視聴時間がしきい値を超えないと判定した場合、ステップS607の処理を行わない。また、例えば、放送受信装置100は、ステップS606でYesと判定した場合、視聴回数がしきい値を超えたと判定した場合、ステップS607の処理を行い、視聴回数がしきい値を超えないと判定した場合、ステップS607の処理を行わない。
【0114】
また、上述の実施の形態において、各テーブルは、情報の一例であり、1つのテーブルは、2以上のテーブルに分割されてもよいし、2以上のテーブルの全部または一部が1つのテーブルであってもよい。また、上述の実施の形態において、少なくとも一部の情報は、どのような構造の情報でもよいし(例えば、構造化データでもよいし非構造化データでもよいし)、入力に対する出力を発生するニューラルネットワークのような学習モデルでもよい。
【0115】
また、上述の実施の形態において、「kkk部」の表現にて機能が説明されたが、機能は、1以上のコンピュータプログラムが制御装置(プロセッサ)によって実行されることで実現されてもよいし、1以上のハードウェア回路(例えばFPGAまたはASIC)によって実現されてもよいし、それらの組合せによって実現されてもよい。1以上のプログラムが制御装置によって実行されることで機能が実現される場合、定められた処理が、適宜に記憶装置および/または通信装置等を用いながら行われるため、機能は制御装置の少なくとも一部とされてもよい。機能を主語として説明された処理は、制御装置或いはその制御装置を有する装置が行う処理としてもよい。プログラムは、プログラムソースからインストールされてもよい。プログラムソースは、例えば、プログラム配布計算機または計算機が読み取り可能な記録媒体(例えば非一時的な記録媒体)であってもよい。各機能の説明は一例であり、複数の機能が1つの機能にまとめられたり、1つの機能が複数の機能に分割されたりしてもよい。
【0116】
また、上記の説明において、各機能に関わるプログラム、テーブル、ファイル等の情報は、メモリや、ハードディスク、SSD等の記憶装置、または、ICカード、SDカード、DVD等の記録媒体に置くことができる。
【0117】
上述した実施の形態は、例えば、以下の特徴的な構成を有する。
【0118】
データが多重化された放送を受信可能な放送受信装置(例えば、放送受信装置100)であって、上記データには、上記放送の番組を識別可能な識別情報(例えば、PIコード)と、上記放送に係る放送情報とが含まれ、放送を受信する受信部(例えば、受信部201)と、上記受信部で受信された放送から上記放送の識別情報および上記放送の放送情報を取得する取得部(例えば、取得部202)と、上記取得部により取得された識別情報と放送情報とを対応付けて記憶装置(例えば、メモリ122、放送受信装置100と通信可能なコンピュータ)に記憶する記憶部(例えば、記憶部203)と、を備え、上記記憶部は、上記受信部により放送が受信された場合、上記放送の識別情報が上記記憶装置に記憶されているか否かを判定し、記憶されていると判定した場合(例えば、ステップS502でNo)、上記放送の放送情報と、上記識別情報に対応付けられて上記記憶装置に記憶されている放送情報とが異なるときは(例えば、ステップS504でYes)、上記記憶装置に記憶されている放送情報を上記放送の放送情報に更新し(例えば、ステップS505参照)、上記記憶装置に記憶されている放送情報を更新したことを示す更新情報(例えば、変化フラグ「ON」)を上記識別情報に対応付けて記憶し(例えば、ステップS506参照)、上記取得部は、上記受信部により放送が順次に受信される際(例えば、手動更新の際)、受信された放送の識別情報と同じ上記記憶装置に記憶されている識別情報に更新情報が対応付けられている場合(ステップS606でYes)、上記放送の放送情報を取得し、受信された放送の識別情報と同じ上記記憶装置に記憶されている識別情報に更新情報が対応付けられていない場合(ステップS606でNo)、上記放送の放送情報を取得しない。
【0119】
データが多重化された放送は、例えば、RDS方式の放送、RBDS方式の放送、DARC方式の放送、RTIC方式の放送、DAB(Digital Audio Broadcast)方式の放送、IBOC(In-Band On-Channel)方式の放送(例えば、HD(High Definition)ラジオ)、衛星デジタル方式の放送(例えば、SXM(Sirius XM)ラジオ)である。上記放送に係る放送情報は、例えば、PS名、PTY、TP、TA(Traffic
Announcement)、AF、DI(Decoder Identification)、M/S(Music / speech)、PIN(Program Item Number)、RT(Radio Text)、TDC(Transparent Data Channel)、IH(In-House application)、RP(Radio Paging)、CT(Clock Time)、EON(Enhanced Other Net’s information)等である。
【0120】
上記構成によれば、例えば、放送が順次に受信される際、過去に放送情報が変化した放送情報を取得し、放送情報が変化していない放送情報の取得をスキップすることで、放送情報の更新にかかる時間を短縮することができる。
【0121】
上記データは、所定のグループの単位で構成され、上記受信部で受信された放送から上記取得部が取得する放送情報は、上記放送を行う放送局(例えば、上記放送を送信する放送局)の名称を示す名称情報(例えば、PS名)であり、上記名称情報は、複数のグループに分けられて送信される情報である。
【0122】
上記構成によれば、例えば、放送が順次に受信される際、過去に名称情報が変化した名称情報を取得し、名称情報が変化していない名称情報の取得をスキップすることで、複数のグループに分けられて送信される名称情報の更新にかかる時間を短縮することができる。
【0123】
上記記憶部は、上記受信部により放送が受信された場合、上記放送の識別情報が上記記憶装置に記憶されているか否かを判定し、記憶されていないと判定した場合(例えば、ステップS502でYes)、上記放送の識別情報と上記放送の放送情報とを対応付けて上記記憶装置に記憶する(例えば、ステップS503参照)。
【0124】
上記構成では、例えば、A国からB国に車両が移動した場合に、放送情報を最新にする際、放送情報を自動で登録することができる。また、例えば、上記構成では、新規に放送局が設置された場合に、放送情報を自動で登録することができる。
【0125】
上記記憶部は、上記記憶装置に記憶されている更新情報のうち所定の時間が経過した更新情報の対応付けを解除(例えば、変化フラグをOFFに更新)する(例えば、ステップS1003参照)。
【0126】
上記構成では、例えば、所定の時間が経過した更新情報の対応付けが解除され、利用頻度が低い番組の放送情報の取得がスキップされるので、放送情報の更新にかかる時間を短縮することができる。
【0127】
例えば、自分の車両を他の人に貸した場合に、自分の好みでない番組の更新情報が対応付けられたとしても、所定の時間が経過した場合は、当該更新情報の対応付けが解除されるので、他の人の好みの番組の放送情報の取得がスキップされるようになる。
【0128】
また、例えば、カーシェアリングの車両をよく利用する場合、自分の好みでない番組の更新情報が対応付けられたとしても、所定の時間が経過した場合は、当該更新情報の対応付けが解除されるので、他の人の好みの番組の放送情報の取得がスキップされるようになる。
【0129】
また、上記所定の時間は、入力インタフェース110を介して設定されるのが好適である。例えば、車両がレンタカーである場合、レンタカーの他の利用者が選局した番組の更新情報が対応付けられたとしても、レンタルの期間に応じて設定された時間が経過した場合は、当該更新情報の対応付けが解除されるので、他の利用者の好みの番組の放送情報の取得がスキップされるようになる。
【0130】
また、上述した構成については、本発明の要旨を超えない範囲において、適宜に、変更したり、組み替えたり、組み合わせたり、省略したりしてもよい。