特開2021-104148(P2021-104148A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特開2021-104148卵パック用の移動式のラックシステム、卵パック群の生産方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2021-104148(P2021-104148A)
(43)【公開日】2021年7月26日
(54)【発明の名称】卵パック用の移動式のラックシステム、卵パック群の生産方法
(51)【国際特許分類】
   A47F 7/00 20060101AFI20210625BHJP
   B65B 23/02 20060101ALI20210625BHJP
   B62B 3/00 20060101ALI20210625BHJP
   B62B 3/02 20060101ALI20210625BHJP
【FI】
   A47F7/00 N
   B65B23/02
   B62B3/00 D
   B62B3/02 B
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2019-236093(P2019-236093)
(22)【出願日】2019年12月26日
(11)【特許番号】特許第6876343号(P6876343)
(45)【特許公報発行日】2021年5月26日
(71)【出願人】
【識別番号】597017812
【氏名又は名称】株式会社ナベル
(72)【発明者】
【氏名】南部 隆彦
【テーマコード(参考)】
3D050
3E043
【Fターム(参考)】
3D050AA11
3D050BB05
3D050BB21
3D050CC05
3D050DD03
3E043AA01
3E043BA19
3E043CA07
3E043EA04
(57)【要約】
【課題】自動化に対応できる卵パック用の移動式のラックシステム、移載装置、卵パック用の移動式のラックに収納される中間容器、卵パック移載装置、卵パック群の生産方法を提供する。
【解決手段】卵パックP用の移動式のラックシステム1は、複数の卵パックPを店頭で陳列する移動式のラックシステム1であって、ロールインナー2と、複数の中間容器3とを備える。ロールインナー2は、複数枚の折り畳み式の棚板21を備える。中間容器3は、展開状態の棚板21の上にそれぞれ収納される。また、中間容器3は、複数の卵パックPが配置され、ロールインナー2の前面側から卵パックPにアクセス可能な開口部を備える。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の卵パックを店頭で陳列する移動式のラックシステムであって、
複数枚の折り畳み式の棚板を備える移動式のラックと、
展開状態の棚板の上にそれぞれ収納される複数の中間容器とを備え、
前記中間容器は、複数の卵パックが配置され、前記移動式のラックの前面側から前記卵パックにアクセス可能な開口部を備える、卵パック用の移動式のラックシステム。
【請求項2】
請求項1記載の卵パック用の移動式のラックシステムに用いられる移載装置であって、
複数個の卵パックが前記中間容器内に配置された状態で、当該中間容器を保持する保持部と、
前記保持部の動きを制御する制御部とを備え、
前記制御部は、前記移動式のラックに設けられた折り畳み式の棚板の下方の空間に、前記保持部で保持した中間容器ごと卵パックを移動させる、移載装置。
【請求項3】
複数枚の折り畳み式の棚板を備える移動式のラックに収納される中間容器であって、
展開状態の棚板の上に重なる底部と、
前記底部の上に複数の卵パックが配置された状態で、前記移動式のラックの前面側から前記卵パックにアクセス可能な開口部を備える、卵パック用の移動式のラックに収納される中間容器。
【請求項4】
請求項3記載の卵パック用の移動式のラックに収納される中間容器に卵パックを移載する卵パック移載装置であって、
前記卵パックを把持する把持部を備えるロボットヘッドと、
前記ロボットヘッドの位置姿勢を変更可能なロボットアームと、
前記ロボットヘッドとロボットアームの動きを制御する制御部とを備え、
前記制御部は、前記中間容器の底部の上に、前記把持部で把持した卵パックを移動させる、卵パック移載装置。
【請求項5】
複数枚の折り畳み式の棚板を備える移動式のラックと、複数の卵パックが配置される中間容器とを用いて、店頭で陳列される状態の卵パック群を生産する方法であって、
前記中間容器は、前記移動式のラックの前面側から前記卵パックにアクセス可能な開口部を備え、
複数の卵パックを前記中間容器に配置する工程と、
前記中間容器を前記棚板の上に収納する工程とを備える、卵パック群の生産方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、卵パック用の移動式のラックシステム、移載装置、卵パック用の移動式のラックに収納される中間容器、卵パック移載装置、卵パック群の生産方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
GPセンターにて卵がパック詰めされた卵パックは、段ボール箱やコンテナに箱詰めされたり、ロールインナーと呼ばれる専用の移動式のラックに載せられたりする。
【0003】
卵パックを箱詰めするものとして、下記特許文献1に記載のものがある。また、卵パックを収納する移動式のラック(ロールインナー)について、下記特許文献2に記載のものが知られている。
【0004】
ロールインナーは、複数の棚を備え、各棚に卵パックが積み重ねられた状態で載せられる。この状態で、ロールインナーは移動され、そのまま売り場に陳列が可能である。そのため、ロールインナーは、卵パックの棚からの落下防止のために複雑な形状をしていたり、折り畳み部分があったりする。
【0005】
卵パックは、ロールインナーに複数段に積まれた状態で、GPセンターから売り場へと移動させられる。複数段に積まれた状態での移動に耐えられるように、以下のような特徴がある。まず、ロールインナーは、側面の3方向が柵で囲まれている。そして、ロールインナーは、出し入れ側にもこぼれ止めが付いている。また、ロールインナーは、棚板を複数枚備え、棚一段あたり4〜5個(4〜5段)の卵パックを積み上げる。そして、卵パックが横方向にずり落ちないように、卵パック自体が、上下に積まれた卵パックの横ずれを抑制できる形状になっている。
【0006】
また、輸送効率を上げるために、以下のような特徴がある。1つ目は、ロールインナーの1段あたり、できるだけ多くの卵パックを積みたい。言い換えれば、柵の内側ギリギリの場所まで、また、棚板の下方ギリギリの場所まで卵パックを置きたいという要望がある。これには、卵パックを棚に詰めて置き、卵パック同士で拘束し合って卵パックが所定位置から大きく動かないようにすることで、輸送時の卵の割れを防止するという理由もある。さらに、2つ目の特徴は、非使用時にコンパクトに収容できるように、棚板や柵が折り畳み式になっている点である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2018−177325号公報
【特許文献2】実用新案登録第3209255号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献2記載の移動式のラック(ロールインナー)に卵容器を収納する作業は、人手により行われている。
【0009】
そこで、本発明は、自動化に対応できる卵パック用の移動式のラックシステム、移載装置、卵パック用の移動式のラックに収納される中間容器、卵パック移載装置、卵パック群の生産方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の卵パック用の移動式のラックシステムは、複数の卵パックを店頭で陳列する移動式のラックシステムであって、移動式のラックと、複数の中間容器とを備える。移動式のラックは、複数枚の折り畳み式の棚板を備える。中間容器は、展開状態の棚板の上にそれぞれ収納される。また、中間容器は、複数の卵パックが配置され、移動式のラックの前面側から前記卵パックにアクセス可能な開口部を備える。
【0011】
本発明の移載装置は、卵パック用の移動式のラックシステムに用いられる移載装置であって、保持部と、制御部とを備える。保持部は、複数個の卵パックが中間容器内に配置された状態で、当該中間容器を保持する。制御部は、保持部の動きを制御する。また、制御部は、移動式のラックに設けられた折り畳み式の棚板の下方の空間に、保持部で保持した中間容器ごと卵パックを移動させる。
【0012】
本発明の卵パック用の移動式のラックに収納される中間容器は、複数枚の折り畳み式の棚板を備える移動式のラックに収納される中間容器であって、底部と、開口部とを備える。底部は、展開状態の棚板の上に重なる。開口部は、底部の上に複数の卵パックが配置された状態で、移動式のラックの前面側から卵パックにアクセス可能なものである。
【0013】
本発明の卵パック移載装置は、卵パック用の移動式のラックに収納される中間容器に卵パックを移載する卵パック移載装置であって、ロボットヘッドと、ロボットアームと、制御部とを備える。ロボットヘッドは、卵パックを把持する把持部を備える。ロボットアームは、ロボットヘッドの位置姿勢を変更可能なものである。制御部は、ロボットヘッドとロボットアームの動きを制御する。また、制御部は、中間容器の底部の上に、把持部で把持した卵パックを移動させる。
【0014】
本発明の卵パック群の生産方法は、複数枚の折り畳み式の棚板を備える移動式のラックと、複数の卵パックが配置される中間容器とを用いて、店頭で陳列される状態の卵パック群を生産する方法である。中間容器は、移動式のラックの前面側から卵パックにアクセス可能な開口部を備える。卵パック群の生産方法は、複数の卵パックを中間容器に配置する工程と、中間容器を棚板の上に収納する工程とを備える。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、自動化に対応できる卵パック用の移動式のラックシステム、移載装置、卵パック用の移動式のラックに収納される中間容器、卵パック移載装置、卵パック群の生産方法を提供できる。
【0016】
この発明の上記および他の目的、特徴、局面および利点は、添付の図面と関連して理解されるこの発明に関する次の詳細な説明から明らかとなるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の一実施形態にかかる卵パック用の移動式のラックシステムおよび移載装置を用いた収納方法を説明するための側面図。
図2】同実施形態の収納方法を説明するための側面図。
図3】同実施形態の収納方法を説明するための側面図。
図4】同実施形態にかかる卵パック用の移動式のラックシステムを示す正面図。
図5】同実施形態にかかる卵パック移載装置の移載方法を説明するための平面図。
図6】本発明の変形例にかかる卵パック用の移動式のラックシステムおよび移載装置を用いた収納方法を説明するための図2に対応する図。
図7】同変形例における棚を引き出す作動を示す側面図。
図8】同変形例における棚を引き出す作動を示す側面図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、実施形態にかかる卵パックP用の移動式のラックシステム(以下、「ラックシステム1」と記す。)の一例について、図1図5を用いて説明する。
【0019】
ラックシステム1は、複数の卵パックPを店頭で陳列するためのものである。ラックシステム1は、移動式のラック(以下、「ロールインナー2」と記す。)と、複数の中間容器3とを備える。
【0020】
ロールインナー2は、複数枚の折り畳み式の棚板21を備える。棚板21は、手前側に引き出された使用状態(展開状態)と折り畳まれて奥側に位置する収納状態との間で状態変更可能である。使用状態の各棚板21の上方には、卵パックPが収納される収納空間22が形成される。ロールインナー2は、さらに、棚板21の周囲に配置される柵23と、棚板21の前縁に設けられるこぼれ止め24と、柵23の内側に設けられる棚板受け(図示しない)と、キャスター(図示しない)とを備える。
【0021】
収納空間22には、当該収納空間22とほぼ同じ大きさか若干小さいサイズの中間容器3が配置される。本実施形態では、ロールインナー2の棚板21の一段に1つの中間容器3が配置される。なお、ロールインナー2の棚板21の一段に2つ、または3つ以上の中間容器3が配置されてもよい。
【0022】
中間容器3は、卵パックP用のロールインナー2に収納される。中間容器3は、展開状態の棚板21の上にそれぞれ収納される。中間容器3は、複数の卵パックPが配置される。中間容器3は、底部31と、開口部32とを備える。底部31は、その上に複数の卵パックPが配置される。底部31は、卵パックPを支えることができ、後述する移載装置4での移載に耐えることができる強度、剛性を有していることが好ましい。底部31は、中間容器3がロールインナー2に収納された状態で、展開状態の棚板21の上に重なる。開口部32は、中間容器3がロールインナー2に収納された状態で、ロールインナー2の前面側から卵パックPにアクセス可能なものである。中間容器3は、例えば、箱状のもので、底部31を形成する底面壁33と、対をなす側面壁34と、背面壁35と、前面壁36を備える。前面壁36は、高さが側面壁34に比べて低く設定されている部分があり、この部分の上方に開口部32が形成されている。
【0023】
なお、中間容器3は、少なくとも底部31を備えていれば、図示した以外の形状であってもよい。例えば、プレート状であってもよいし、天面壁または蓋部を備えていてもよい。また、開口部32は、ロールインナー2に積み込まれる前の段階から中間容器3に形成されたものであってもよいし、ロールインナー2に積み込まれた後に切り取り用のミシン目などを用いて、または、蓋を開くなどして形成されるものであってもよい。中間容器3は、段ボール製、段ボール以外の紙製、プラスチック製、金属製のものなど様々なものが用いられる。
【0024】
このラックシステム1に用いられる移載装置4は、保持部41と、制御部42とを備える。保持部41は、複数個の卵パックPが中間容器3内に配置された状態で、当該中間容器3を保持する。保持部41は、作用部43と、支持部44とを備える。作用部43は、卵パックPが入った中間容器3に移動方向の力を加える。支持部44は、卵パックPが入った中間容器3を支持する。支持部44は、底部31を下面側から支える。制御部42は、保持部41の動きを制御する。また、制御部42は、ロールインナー2に設けられた折り畳み式の棚板21の下方の収納空間22に、保持部41で保持した中間容器3ごと卵パックPを移動させる。移載装置4は、例えば、中間容器3の前面壁36に作用部43が接触し、ロールインナー2に向けて押し込む動きをするものが考えられる。この場合、特に、前面壁36は、作用部43から受ける力に耐えられるような強度、剛性を有していることが好ましい。保持部41での中間容器3の保持方法、保持位置はどのようなものであってもよい。移載装置4は、例えば、6軸垂直多関節ロボット等の、任意に作動する慣用の多関節ロボットであってもよい。
【0025】
移載装置用の制御部42は、保持部41の動きを制御する。制御部42は、CPU、内部メモリ、入出力インターフェース、AD変換部などの専用のコンピュータまたは汎用のコンピュータによって構成される。内部メモリに格納されたプログラムにしたがって、CPUおよびその周辺機器が協働することによって、制御部42としての機能が発揮される。
【0026】
制御部42は、保持部41で保持した中間容器3と障害物との干渉を避けるように中間容器3を移動させる。ここで「障害物」とは、例えば、収納空間22の上方に存在する折り畳み式の棚板21や、中間容器3が載せられる棚板21のこぼれ止め24などである。
【0027】
本実施形態では、中間容器3には、複数の卵パックPが配置される。中間容器3には、卵パックPが複数段(図では4段)に積み重ねられる。1段あたりには、複数個の卵パックPが所定の配置で並べられる。なお、卵パックPの個数、並べ方は図示したものには限られない。
【0028】
卵パックPは、種々の大きさ、形状のものがある。図では、10個入りのもので、「フラットパック」と呼ばれる蓋の天面が平坦な卵パックPを示している。卵パックPは、上面側に突起(図示しない)を有する。突起は、例えば、天面の各コーナー部分に設けられている。突起は、上に積まれた卵パックPの位置ずれを防止する。
【0029】
中間容器3に卵パックPを移載する卵パック移載装置5は、ロボットヘッド51と、ロボットアーム52と、制御部53とを備える。ロボットヘッド51は、卵パックPを把持する把持部54を備える。ロボットアーム52は、ロボットヘッド51の位置姿勢を変更可能なものである。制御部53は、ロボットヘッド51とロボットアーム52の動きを制御する。また、制御部53は、中間容器3の底部31の上に、把持部54で把持した卵パックPを移動させる。
【0030】
ロボットヘッド51は、把持部54を備える。把持部54は、複数の卵パックPを把持する。把持部54は、例えば、横方向に隣接する3つの卵パックPを保持することができる。把持部54は、複数の吸着部材によって構成される。各吸着部材は、蓋が閉じられた卵パックPの天面側を吸着する。各吸着部材は、真空機構(図示しない)に接続されている。1つの卵パックPにつき、複数個(例えば6つ)の吸着部材で保持する。なお、吸着部材の個数、配置方法はどのようなものであってもよいし、把持部54は、吸着タイプのものには限られない。
【0031】
ロボットアーム52は、ロボットヘッド51の位置姿勢を変更可能なものである。ロボットアーム52は、一時待機領域62と中間容器3との間でロボットヘッド51を移動させる。ロボットアーム52は、例えば、6軸垂直多関節ロボット等の、任意に作動する慣用の多関節ロボットが適用される。この他に、ロボットアーム52は、ロボットヘッド51をX軸、Y軸およびZ軸に対して、任意に移動させることができるロボットまたは装置など種々のものを採用できる。なお、一時待機領域62は、搬送装置61の下流側に設けられており、搬送装置61の上流側には、卵をパックに収容する包装装置(図示せず)が配置されている。
【0032】
卵パック移載装置用の制御部53は、ロボットヘッド51とロボットアーム52の動きを制御する。制御部53は、CPU、内部メモリ、入出力インターフェース、AD変換部などの専用のコンピュータまたは汎用のコンピュータによって構成される。内部メモリに格納されたプログラムにしたがって、CPUおよびその周辺機器が協働することによって、制御部53としての機能が発揮される。
【0033】
ここで、本実施形態では、卵パックPと中間容器3と卵パック移載装置5を用いてパック集合体PS(卵パックPの入った中間容器3)を生産し、パック集合体PSとロールインナー2と移載装置4を用いて店頭で陳列される卵パック群PGを生産する。言い換えれば、卵パック群PGの生産方法は、複数の卵パックPを中間容器3に配置する工程と、中間容器3を棚板21の上に収納する工程とを備える。
【0034】
まず、複数の卵パックPを中間容器3に配置する工程の一例を説明する。搬送装置61では、上流側から搬送された卵パックPが一時待機領域62に集められる。一時待機領域62に、例えば、3つの卵パックPが集まった状態で、移載動作が開始される。
【0035】
制御部53は、集められた卵パックPの上方にロボットヘッド51を移動させる。制御部53は、把持部54で卵パックPを吸着する。その後、制御部53は、ロボットヘッド51で把持した卵パックPを中間容器3に移動させる。これを繰り返して、パック集合体PSを生産する。
【0036】
次に、中間容器3を棚板21の上に収納する工程の一例を説明する。まず、移載装置4が届く範囲にロールインナー2を配置する。ロールインナー2は、パック集合体PSを移載する棚板21を使用状態にしておく。
【0037】
制御部42は、保持部41でパック集合体PSを保持する。その後、制御部42は、パック集合体PSをロールインナー2内の収納空間22に移動させる。制御部42は、保持部41で保持した中間容器3と障害物との干渉を避けるように、中間容器3をロールインナー2の前から奥側へ移動させる。これを繰り返して、卵パック群PGを生産する。すなわち、卵パック群PGは、ロールインナー2と、中間容器3と、卵パックPとを含む概念である。
【0038】
以上説明したように、本実施形態にかかる卵パックP用の移動式のラックシステム1は、複数の卵パックPを店頭で陳列する移動式のラックシステム1であって、ロールインナー2と、複数の中間容器3とを備える。ロールインナー2は、複数枚の折り畳み式の棚板21を備える。中間容器3は、展開状態の棚板21の上にそれぞれ収納される。また、中間容器3は、複数の卵パックPが配置され、ロールインナー2の前面側から前記卵パックPにアクセス可能な開口部32を備える。そのため、従来技術の課題を解決して、自動化に対応できる。
【0039】
本実施形態にかかる移載装置4は、ラックシステム1に用いられる移載装置4であって、保持部41と、制御部42とを備える。保持部41は、複数個の卵パックPが中間容器3内に配置された状態で、当該中間容器3を保持する。制御部42は、保持部41の動きを制御する。また、制御部42は、移動式のラックに設けられた折り畳み式の棚板21の下方の空間22に、保持部41で保持した中間容器3ごと卵パックPを移動させる。
【0040】
本実施形態にかかる卵パックP用のロールインナー2に収納される中間容器3は、複数枚の折り畳み式の棚板21を備えるロールインナー2に収納される中間容器3であって、底部31と、開口部32とを備える。底部31は、展開状態の棚板21の上に重なる。開口部32は、底部31の上に複数の卵パックPが配置され、ロールインナー2に収納された状態で、ロールインナー2の前面側から卵パックPにアクセス可能なものである。
【0041】
本実施形態にかかる卵パック移載装置5は、ロールインナー2に収納される中間容器3に卵パックPを移載する卵パック移載装置5であって、ロボットヘッド51と、ロボットアーム52と、制御部53とを備える。ロボットヘッド51は、卵パックPを把持する把持部54を備える。ロボットアーム52は、ロボットヘッド51の位置姿勢を変更可能なものである。制御部53は、ロボットヘッド51とロボットアーム52の動きを制御する。また、制御部53は、中間容器3の底部31の上に、把持部54で把持した卵パックPを移動させる。
【0042】
本実施形態にかかる卵パック群PGの生産方法は、複数枚の折り畳み式の棚板21を備えるロールインナー2と、複数の卵パックPが配置される中間容器3とを用いて、店頭で陳列される状態の卵パック群PGを生産する方法である。中間容器3は、ロールインナー2の前面側から卵パックPにアクセス可能な開口部32を備える。卵パック群PGの生産方法は、複数の卵パックPを中間容器3に配置する工程と、中間容器3を棚板21の上に収納する工程とを備える。
【0043】
なお、本発明は上述した実施形態に限られない。
【0044】
例えば、図6に示すように、折り畳み式の棚板21は収納状態にしておいてもよい。また、このような場合に、ロールインナー2の前面から中間容器3を押し込むタイプの収納方法には限られない。
【0045】
卵パック移載装置5は、図7および図8に示すように、さらに、折り畳み式の棚板21を展開させてもよい。折り畳み式の棚板21は、把持部54を用いて、収納状態から使用状態に展開される。具体的には、制御部53は、把持部54が棚板21を持ち、その状態のまま手前側に移動させる。なお、これらの動作を卵パック移載装置5の代わりに移載装置4が行ってもよい。
【0046】
複数の卵パックPを前記中間容器3に配置する工程と、中間容器3を前記棚板21の上に収納する工程のうち少なくとも一方は、手作業で行われてもよい。複数の卵パックPを前記中間容器3に配置する工程と、中間容器3を前記棚板21の上に収納する工程は、1つの装置で兼用してもよい。
【0047】
卵パックP用の移動式のラックシステム1は、卵パックPが入った中間容器3を棚板21に載せた後、卵パックPを棚板21に残したまま中間容器3をロールインナー2から、自動でまたは手動で取り除くようなものであってもよい。この場合、少なくとも背面壁35を有していない中間容器3を用いればよい。
【0048】
卵パックPはフラットパックには限られない。例えば、卵の形状に沿った凹凸が蓋に形成されている「レギュラーパック」であってもよい。レギュラーパックの場合、下段と上段とで卵半個分ずれて積み重ねられる。卵の形状に沿って蓋に設けられた凸部分は、上に積まれた卵パックPの位置ずれを防止する。
【0049】
今回開示された実施の形態は例示であってこれに制限されるものではない。本発明は上記で説明した範囲ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲でのすべての変更が含まれることが意図される。
【産業上の利用可能性】
【0050】
本発明は、卵パック用の移動式のラックシステム、移載装置、卵パック用の移動式のラックに収納される中間容器、卵パック移載装置、卵パック群の生産方法に利用することができる。
【符号の説明】
【0051】
1…ラックシステム
2…ロールインナー(移動式のラック)
21…棚板
3…中間容器
4…移載装置
41…保持部
42…制御部
5…卵パック移載装置
51…ロボットヘッド
52…ロボットアーム
53…制御部
54…把持部
PG…卵パック群
P…卵パック
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
【手続補正書】
【提出日】2020年12月21日
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の卵パックを店頭で陳列する移動式のラックシステムであって、
複数枚の折り畳み式の棚板を備える移動式のラックと、
展開状態の棚板の上にそれぞれ収納される複数の中間容器とを備え、
前記中間容器は、複数の卵パックが配置され、前記移動式のラックの展開状態の棚板の上に収納された状態で前記移動式のラックの前面側に開口部を備える、卵パック用の移動式のラックシステム。
【請求項2】
請求項1記載の卵パック用の移動式のラックシステムであって、
複数個の卵パックが前記中間容器内に配置された状態で、当該中間容器を保持する保持部と、
前記保持部の動きを制御する制御部とを有する移載装置を備え、
前記移載装置の制御部は、前記移動式のラックに設けられた折り畳み式の棚板の下方の空間に、前記保持部で保持した中間容器ごと卵パックを移動させる、卵パック用の移動式のラックシステム。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の卵パック用の移動式のラックシステムであって、
前記卵パックを把持する把持部を備えるロボットヘッドと、
前記ロボットヘッドの位置姿勢を変更可能なロボットアームと、
前記ロボットヘッドとロボットアームの動きを制御する制御部とを有する卵パック移載装置を備え、
前記卵パック移載装置の制御部は、前記中間容器の底部の上に、前記把持部で把持した卵パックを移動させる、卵パック用の移動式のラックシステム。
【請求項4】
複数枚の折り畳み式の棚板を備える移動式のラックと、複数の卵パックが配置される中間容器とを用いて、店頭で陳列される状態の卵パック群を生産する方法であって、
前記中間容器は、開口部を備え、
複数の卵パックを前記中間容器に配置する工程と、
前記中間容器の開口部を前記移動式のラックの前面側に向けて前記棚板の上に収納する工程とを備える、卵パック群の生産方法。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0001
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0001】
本発明は、卵パック用の移動式のラックシステム、卵パック群の生産方法に関するものである。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0009
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0009】
そこで、本発明は、自動化に対応できる卵パック用の移動式のラックシステム、卵パック群の生産方法を提供することを目的とする。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0010
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0010】
本発明の卵パック用の移動式のラックシステムは、複数の卵パックを店頭で陳列する移動式のラックシステムであって、移動式のラックと、複数の中間容器とを備える。移動式のラックは、複数枚の折り畳み式の棚板を備える。中間容器は、展開状態の棚板の上にそれぞれ収納される。また、中間容器は、複数の卵パックが配置され、移動式のラックの展開状態の棚板の上に収納された状態で移動式のラックの前面側に開口部を備える。
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0011
【補正方法】削除
【補正の内容】
【手続補正7】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0012
【補正方法】削除
【補正の内容】
【手続補正8】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0013
【補正方法】削除
【補正の内容】
【手続補正9】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0014
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0014】
本発明の卵パック群の生産方法は、複数枚の折り畳み式の棚板を備える移動式のラックと、複数の卵パックが配置される中間容器とを用いて、店頭で陳列される状態の卵パック群を生産する方法である。中間容器は、開口部を備える。卵パック群の生産方法は、複数の卵パックを中間容器に配置する工程と、中間容器の開口部を移動式のラックの前面側に向けて棚板の上に収納する工程とを備える。
【手続補正10】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0015
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0015】
本発明によれば、自動化に対応できる卵パック用の移動式のラックシステム、卵パック群の生産方法を提供できる。