特開2021-104657(P2021-104657A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2021-104657(P2021-104657A)
(43)【公開日】2021年7月26日
(54)【発明の名称】ゴム材料の製造装置および製造方法
(51)【国際特許分類】
   B29B 7/62 20060101AFI20210625BHJP
   B29B 7/56 20060101ALI20210625BHJP
【FI】
   B29B7/62
   B29B7/56
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2019-238028(P2019-238028)
(22)【出願日】2019年12月27日
(71)【出願人】
【識別番号】000183233
【氏名又は名称】住友ゴム工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100078813
【弁理士】
【氏名又は名称】上代 哲司
(74)【代理人】
【識別番号】100094477
【弁理士】
【氏名又は名称】神野 直美
(74)【代理人】
【識別番号】100099933
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 敏
(72)【発明者】
【氏名】依田 拓弥
【テーマコード(参考)】
4F201
【Fターム(参考)】
4F201AA45
4F201AH20
4F201AR06
4F201BA01
4F201BK16
4F201BK26
4F201BK56
4F201BK73
4F201BK74
4F201BK75
4F201BK80
(57)【要約】
【課題】熱入れ設備の設置スペースを低減させると共に、エネルギーロスを発生させることなく熱入れを行うことができるゴム材料の製造技術を提供する。
【解決手段】一端にゴム材料の投入部、他端にゴム材料の排出部が設けられた前後一対のカレンダーロールを備えたゴム材料の製造装置であって、一対のカレンダーロールは、投入部から中央部に向けて表面が凹凸面である凹凸部、および、排出部から中央部に向けて表面が平滑面である平滑部を有する第1ロールと、表面全体が平滑面である第2ロールとにより構成されているゴム材料の製造装置。投入部が、排出部に比べて、相対的に低い位置に位置するように、一対のカレンダーロールを傾斜させるロール傾斜機構が設けられているゴム材料の製造装置。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一端にゴム材料の投入部、他端にゴム材料の排出部が設けられた前後一対のカレンダーロールを備えたゴム材料の製造装置であって、
前記一対のカレンダーロールは、
前記投入部から中央部に向けて表面が凹凸面である凹凸部、および、前記排出部から中央部に向けて表面が平滑面である平滑部を有する第1ロールと、
表面全体が平滑面である第2ロールとにより構成されていることを特徴とするゴム材料の製造装置。
【請求項2】
前記第1ロールにおける前記凹凸部と前記平滑部との、ロール表面全体における面積比が、6:4〜7:3であることを特徴とする請求項1に記載のゴム材料の製造装置。
【請求項3】
前記第1ロールにおける前記凹凸部が、前記投入部の端部から中央部に向けて螺旋状に延伸する凸条および凹溝を交互に配置して構成されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のゴム材料の製造装置。
【請求項4】
前記凸条と前記凹溝の面積比が、7:3〜6:4であることを特徴とする請求項3に記載のゴム材料の製造装置。
【請求項5】
前記凸条および凹溝が、前記第1ロールの端面に対して、15〜45°の傾斜角度で、螺旋状に延伸していることを特徴とする請求項3または請求項4に記載のゴム材料の製造装置。
【請求項6】
前記排出部が、前記投入部に対し、相対的に高い位置に位置するように、前記一対のカレンダーロールを傾斜させるロール傾斜機構が設けられていることを特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれか1項に記載のゴム材料の製造装置。
【請求項7】
前記ロール傾斜機構による傾斜を所定の角度に制御する傾斜角度制御機構が設けられていることを特徴とする請求項6に記載のゴム材料の製造装置。
【請求項8】
前記傾斜角度制御機構は、
前記第1ロールの前記凹凸面と前記平滑面との境界近傍に、前記ゴム材料の温度を検知する温度センサーが設けられており、
前記温度センサーが検知した前記ゴム材料の温度に対応して、前記一対のカレンダーロールの傾斜角度を制御するように構成されていることを特徴とする請求項7に記載のゴム材料の製造装置。
【請求項9】
混練されたゴム材料を熱入れして、押出機へ送り出すゴム材料の製造方法であって、
請求項1ないし請求項8のいずれか1項に記載のゴム材料の製造装置を用いて、
所定の温度に加熱されて回転する前記一対のカレンダーロールの間に、前記投入部から前記ゴム材料を投入して、前記第1ロールの凹凸部と前記第2ロールの間を複数回通過させることにより、前記ゴム材料に熱入れを行った後、
前記第1ロールの平滑部と前記第2ロールの間を通過させ、前記排出部から前記ゴム材料を排出することにより、前記押出機へ前記ゴム材料を送り出すことを特徴とするゴム材料の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ゴム材料の製造装置および製造方法に関し、より詳しくは、タイヤ用ゴム部材などの製造に際して、所定配合で混練されたゴム材料に対して熱入れを施すゴム材料の製造装置および製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
タイヤは、種々のゴム組成物からなる各種タイヤ用ゴム部材が積層されて構成されているが、これらのタイヤ用ゴム部材は、所定配合で混練されたゴム材料を、所定の形状に押出成形することにより製造される。
【0003】
このとき、混練されたゴム材料は、一般的に、予め、所定の温度まで加熱(熱入れ)された後、押出成形に適切な可塑性を備えた状態で押出機へ送り出され、所定の形状に押出成形されることで、タイヤ用ゴム部材に成形される。
【0004】
熱入れ作業は、一般的に、一対のカレンダーロール(ロードミル)を用いて行われ、加熱されたロール間にゴム材料を複数回通過させて、ゴム材料にせん断力を繰り返し加え、ゴム材料を所定の温度まで加熱することにより行われている(例えば、特許文献1〜3)。
【0005】
熱入れされたゴム材料は、その後、別の一対のカレンダーロール(フィードミル)を用いて、所定の厚み、幅に成形され、所定の供給速度で押出機へと供給される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2013−86265号公報
【特許文献2】特開2013−176901号公報
【特許文献3】特開2017−205897号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、従来の熱入れ作業は、ロードミルとフィードミル、少なくとも2種類のミル(カレンダーロール)を使用しているため、熱入れ設備の設置には大きなスペースを必要とし、設備の管理も煩雑とならざるを得なかった。
【0008】
また、ロードミルからフィードミルへとゴム材料を移送する際には、熱入れを一時停止する必要があるため、その間に、熱入れされたゴム材料が冷却されてしまい、フィードミルへの投入時には再加熱しなければならず、エネルギーロスが発生することが避けられなかった。
【0009】
そこで、本発明は、熱入れ設備の設置スペースを低減させると共に、エネルギーロスを発生させることなく熱入れを行うことができるゴム材料の製造技術を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者は、上記課題の解決について鋭意検討を行い、以下に記載する発明により上記課題が解決できることを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0011】
請求項1に記載の発明は、
一端にゴム材料の投入部、他端にゴム材料の排出部が設けられた前後一対のカレンダーロールを備えたゴム材料の製造装置であって、
前記一対のカレンダーロールは、
前記投入部から中央部に向けて表面が凹凸面である凹凸部、および、前記排出部から中央部に向けて表面が平滑面である平滑部を有する第1ロールと、
表面全体が平滑面である第2ロールとにより構成されていることを特徴とするゴム材料の製造装置である。
【0012】
請求項2に記載の発明は、
前記第1ロールにおける前記凹凸部と前記平滑部との、ロール表面全体における面積比が、6:4〜7:3であることを特徴とする請求項1に記載のゴム材料の製造装置である。
【0013】
請求項3に記載の発明は、
前記第1ロールにおける前記凹凸部が、前記投入部の端部から中央部に向けて螺旋状に延伸する凸条および凹溝を交互に配置して構成されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のゴム材料の製造装置である。
【0014】
請求項4に記載の発明は、
前記凸条と前記凹溝の面積比が、7:3〜6:4であることを特徴とする請求項3に記載のゴム材料の製造装置である。
【0015】
請求項5に記載の発明は、
前記凸条および凹溝が、前記第1ロールの端面に対して、15〜45°の傾斜角度で、螺旋状に延伸していることを特徴とする請求項3または請求項4に記載のゴム材料の製造装置である。
【0016】
請求項6に記載の発明は、
前記排出部が、前記投入部に対し、相対的に高い位置に位置するように、前記一対のカレンダーロールを傾斜させるロール傾斜機構が設けられていることを特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれか1項に記載のゴム材料の製造装置である。
【0017】
請求項7に記載の発明は、
前記ロール傾斜機構による傾斜を所定の角度に制御する傾斜角度制御機構が設けられていることを特徴とする請求項6に記載のゴム材料の製造装置である。
【0018】
請求項8に記載の発明は、
前記傾斜角度制御機構は、
前記第1ロールの前記凹凸面と前記平滑面との境界近傍に、前記ゴム材料の温度を検知する温度センサーが設けられており、
前記温度センサーが検知した前記ゴム材料の温度に対応して、前記一対のカレンダーロールの傾斜角度を制御するように構成されていることを特徴とする請求項7に記載のゴム材料の製造装置である。
【0019】
請求項9に記載の発明は、
混練されたゴム材料を熱入れして、押出機へ送り出すゴム材料の製造方法であって、
請求項1ないし請求項8のいずれか1項に記載のゴム材料の製造装置を用いて、
所定の温度に加熱されて回転する前記一対のカレンダーロールの間に、前記投入部から前記ゴム材料を投入して、前記第1ロールの凹凸部と前記第2ロールの間を複数回通過させることにより、前記ゴム材料に熱入れを行った後、
前記第1ロールの平滑部と前記第2ロールの間を通過させ、前記排出部から前記ゴム材料を排出することにより、前記押出機へ前記ゴム材料を送り出すことを特徴とするゴム材料の製造方法である。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、熱入れ設備の設置スペースを低減させると共に、エネルギーロスを発生させることなく熱入れを行うことができるゴム材料の製造技術を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明の一実施の形態に係るゴム材料の製造装置におけるカレンダーロールの形状を模式的に示す平面図である。
図2】本発明の他の実施の形態に係るゴム材料の製造装置におけるカレンダーロールの傾斜を説明する斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
[1]本発明の完成に至る経緯
1.従来技術の問題点
最初に、本発明の理解を容易にするために、上記した従来技術の問題点について、詳細に説明する。
【0023】
熱入れ作業は、まず、混練されたゴム材料をロードミルに投入して、ロール間を通過させる。このとき、ゴム材料にせん断力が掛かり、ゴム材料が加熱されて、片方のロールの表面に貼り付く。そして、ゴム材料が所定の温度に達するまで、ロール間を複数回通過させる。これにより、ゴム材料が所定の温度まで加熱されて、熱入れされる。次に、熱入れされたゴム材料をロードミルからフィードミルに移送して、ロール間を複数回通過させた後、所定の厚み、幅に切り出して、所定の供給速度で押出機へと供給する。
【0024】
このとき、ゴム材料の配合によって適切な熱入れに必要な熱量が異なるため、ゴム材料毎に、ロードミルの回転数やゴム材料の通過回数を変化させる必要がある。一方、フィードミルでは、一定量のゴム材料を安定して押出機へ供給して押出すために、回転速度が押出機の押出速度に合うように回転数を設定する必要がある。
【0025】
このように、ロードミルとフィードミルとでは、設定される回転数が同じではないため、従来は、熱入れ設備を、少なくともロードミルとフィードミルの2種類のミルで構成させて、それぞれを各ゴム材料および押出機に適した条件で運転することにより、熱入れ作業を行っていた。具体的には、ロードミルについては、回転数を対象のゴム材料に必要な熱入れ量に合わせて設定して約3分、ロール上にゴム材料を滞留させ、一方、フィードミルについては、回転数を押出機に合わせて設定して、約5分、ゴム材料をロール上に滞留させていた。
【0026】
その結果、前記したように、熱入れ設備の設置に際しては、ロードミルとフィードミル、少なくとも2種類のミル(カレンダーロール)が設置できるだけのスペースが必要となる。また、設置後の設備の管理も煩雑となる。さらに、ゴム材料のロードミルからフィードミルへの移送に際して、エネルギーロスが発生する。
【0027】
2.本発明の概要
このような状況下、本発明者は、前後一対のカレンダーロールの長手方向の片側にロードミル部、他の側にフィードミル部を形成した場合、熱入れ設備を設置するスペースが半減され、設備の管理も簡略化でき、さらに、ロードミルとフィードミルとの間の移送も不要となるため、エネルギーロスの発生が抑制できると考え、種々の実験と検討を行った。
【0028】
しかしながら、このように一対のカレンダーロールにロードミルとフィードミル、2つの機能を同時に持たせようとしても、前記したように、熱入れ工程の後には押出工程があるため、カレンダーロールの回転数は、フィードミルとしての回転数に設定される必要がある。このため、ロードミル部側では、ゴム材料の熱入れに必要なせん断力が確保できず、十分な熱入れができない状態で、ゴム材料が押出機へ供給されてしまう。
【0029】
そこで、本発明者が種々の実験と検討を行ったところ、一対のカレンダーロールの内、1本のロールの長手方向の片側の表面に凹凸加工を施してロードミル部を形成させることにより、ロードミル部側で十分なせん断力を確保して、十分な熱入れが可能であることが分かった。
【0030】
即ち、一対のカレンダーロールの内、長手方向の片側の表面に凹凸加工が施されている一方、他の側の表面は平滑な1本のロール(第1ロール)、および、長手方向の表面全体が平滑面である1本のロール(第2ロール)で、一対のカレンダーロールを構成させる。このようにして、第1ロールの凹凸部と第2ロールとでロードミル部を構成させ、第1ロールの平滑部と第2ロールとでフィードミル部を構成させることにより、一対のカレンダーロールの回転数がフィードミル部に合わせた回転数であっても、ロードミル部で凹凸部によるせん断力をゴム材料に十分に作用させて、十分な熱入れを行うことができる。そして、この場合には、ロードミル部からフィードミル部への移送が不要となるため、エネルギーロスの発生を防止することができる。
【0031】
そして、上記した考え方の下、実験を行った結果、ロードミル部でゴム材料に十分な熱入れを行った後、フィードミル部に送り出すことにより、ゴム材料を最適な状態で押出機へ供給することができることが確認でき、本発明を完成するに至った。
【0032】
[2]具体的な実施の形態
以下、図面を参照しながら、具体的な実施の形態について説明する。
【0033】
1.第1の実施の形態
図1は本実施の形態に係る製造装置におけるカレンダーロールの形状を模式的に示す平面図である。図1において、1は熱入れ設備としてのカレンダーロールであり、第1ロール2と第2ロール3とを前後に配置して一対のカレンダーロール1が構成されている。
【0034】
図1に示すように、カレンダーロール1の一端には、熱入れ対象のゴム材料が投入される投入部が設けられ、他端には熱入れが完了してシート化されたゴム材料が排出される排出部が設けられている。
【0035】
そして、第1ロール2は、投入部から中央部に向けて表面が凹凸面に形成された凹凸部21と、排出部から中央部に向けて表面が平滑面に形成された平滑部22とを有している。一方、第2ロール3の表面31、32は、全体が平滑面に形成されている。
【0036】
そして、第1ロール2の凹凸部21と、第2ロール3の表面31とで、熱入れを行うロードミル部が構成され、第1ロール2の平滑部22と、第2ロール3の表面32とで、熱入れされたゴム材料を押出機へと送り出すフィードミル部が構成されている。
【0037】
本実施の形態において、ゴム材料はロードミル部側の投入部から投入された後、第1ロール2の凹凸部21と第2ロール3の表面31との間を通過することにより、せん断力が加えられて、熱入れされながら第2ロール3の平滑な表面31に巻き付くが、その際、第1ロール2の表面の凹凸部21に通過するゴム材料が食い込んで、さらに大きなせん断力が加えられるため、十分に熱入れされる。
【0038】
熱入れされたゴム材料は、その後、カレンダーロール上を、ロードミル部からフィードミル部へと移動していき、フィードミル部で所定の厚みでシート出しされて、フィードミル部側の排出部から排出されて、押出機へ送り出される。
【0039】
以上のように、本実施の形態によれば、フィードミル部としての回転数、即ち、ゴム材料の押出機への送り出し速度に合わせて、カレンダーロールを回転させても、ロードミル部の凹凸部がゴム材料に十分なせん断力を与えて、十分な熱入れを適切に行うことができる。
【0040】
なお、本実施の形態において、第1ロール2における凹凸部21と平滑部22との、ロール表面全体における面積比は、6:4〜7:3であることが好ましく、対象となるゴム材料の硬さなどを考慮して、適宜設定される。
【0041】
このように、凹凸部21の面積を平滑部22の面積に比べて大きくして、一対のカレンダーロールの中でロードミル部の割合を多くすることにより、ロードミル部での熱入れ時間を十分に確保すると共に、熱入れが不十分なゴム材料がロードミル部からフィードミル部へ流れ出ることを抑制して、十分に熱入れすることができる。
【0042】
そして、この凹凸部21は、一端から中央部に向けて螺旋状に延伸する凸条21aおよび凹溝21bを交互に配置して構成されていることが好ましい。このとき、凸条21aと凹溝21bの面積比は、7:3〜6:4であることが好ましく、また、螺旋の傾斜角度は、15〜45°であることが好まく、対象となるゴム材料の硬さなどを考慮して、適宜設定される。
【0043】
このような凸条と凹溝を螺旋状に形成させることにより、投入部から投入されて熱入れされた原料ゴムは、順次、ロールの中央部へと送られるため、ロードミル部において十分な熱入れが行われたゴム材料を、スムーズにフィードミル部へと送り出すことができる。
【0044】
2.第2の実施の形態
しかしながら、本発明者がさらに実験を行ったところ、カレンダーロールを水平状態にしたまま熱入れ作業を行った場合、ロードミル部での熱入れが十分でない状態でゴム材料がフィードミル部へ送り出される恐れがあることが分かった。
【0045】
そこで、所定の温度までゴム材料が加熱されるまではゴム材料をロードミル部に滞留させ、熱入れの完了が確認された後に、初めて、フィードミル部へ送り出すことができれば、十分に熱入れされたゴム材料だけを、確実に、フィードミル部に送り込めると考え、さらに実験と検討を行った。
【0046】
その結果、所定の熱入れが完了するまでは、排出部が投入部に比べて、相対的に高い位置となるように、カレンダーロールを傾斜させればよいことが分かった。
【0047】
具体的には、傾斜したカレンダーロールの投入部から連続的に投入された原料ゴムは、ロードミル部で凹凸部によってせん断力を受けながらロールの隙間に食い込まれた後は、凹凸部に沿って、上方の中央部に向けて押されて移動していく。このとき、フィードミル部の手前で、ゴム材料が所定の温度まで加熱されて、十分に熱入れできているか否かを確認する。
【0048】
所定の温度となっていれば、十分に熱入れが行われているので、そのままフィードロール部へ送り出す。一方、所定の温度まで達していない場合には、熱入れが不十分であると判断して、ゴム材料を再び投入部へと戻して、さらに熱入れを行う必要がある。このとき、本実施の形態のように、カレンダーロールが傾斜していると、効率的に、熱入れが不十分なゴム材料をフィードミル部へ送り出すことなく、ロードミル部に滞留させることができる。そして、下方に位置する投入部へ戻して、再度、ロードミル部で熱入れすることにより、十分な熱入れを行うことができる。
【0049】
具体的には、熱入れが不十分なゴム材料がフィードミル部へ送り出されない傾斜角度にカレンダーロールを傾斜させることにより、熱入れが不十分なゴム材料は、その重力によって自動的に下方に位置する投入部へと移動していくため、ロードミル部に長時間滞留させて、十分な熱入れを行うことができる。
【0050】
図2は、本実施の形態に係るゴム材料の製造装置における熱入れ設備(カレンダーロール)が、水平状態から傾斜状態への移行を示す斜視図である。なお、図2において、状態1は熱入れ開始前のロールが水平状態にあるときの図であり、状態2は熱入れ開始後のロールが傾斜状態にあるときの図である。
【0051】
図2に示すように、カレンダーロールは、ロール傾斜機構(図示せず)により、水平な状態1から状態2へと、ゴム材料の排出側が、投入側に対し、相対的に高い位置になるように、傾斜させることができるように構成されている。
【0052】
傾斜角度θは、傾斜角度制御機構(図示せず)により、異なるゴム材料の各々に合わせて、適切な傾斜角度に制御することができる。具体的な傾斜角度制御機構としては、例えば、第1ロール2の凹凸部21と平滑部22との境界近傍に、ゴム材料の温度を検知する放射温度計などの温度センサーを設けて、この温度センサーが検知したゴム材料の温度に対応して、傾斜角度を制御するように構成されている傾斜角度制御機構を挙げることができる。
【0053】
なお、このような傾斜角度制御機構は、温度センサーが検知したゴム材料の温度によって、ゴム材料の到達を検知することもできるため、ゴム材料検知センサーとして利用することもできる。具体的には、まず、ロードミル部を通過してきたゴム材料の到達が検知されるまで、傾斜角度を変更させ、その後、到達したゴム材料の温度が所定の熱入れ温度と検知されるまで、さらに傾斜角度を変更させる。
【0054】
そして、温度センサーにより、所定の温度まで加熱されて、熱入れが完了したことが確認できたら、ロールの傾斜を解除して、元の水平状態に戻して、フィードミル部による押出機への送り出しを行う。
【実施例】
【0055】
以下、実施例に基づいて本発明をさらに具体的に説明する。
【0056】
[1]実験例1
本実験例においては、同一種類で同じ物性を有する2色のゴム材料を用いて、2つの試験を行った。
【0057】
1.実験1−1
黒と白の色が異なる2種類のシート状ゴム材料を熱入れし、ゴム材料の混合状態を判断した。
【0058】
(1)試験体の作製
(a)実施例1−1
熱入れ設備として、図1に示すカレンダーロール(径660mm、長さ2300mm)を用い、これを水平状態に配置した。
【0059】
なお、第1ロールは、傾斜角度30°に形成された凸条および凹溝により、凸条と凹溝の面積比が7:3となるように形成された凹凸部と、平滑部とを、ロール表面全体において6:4の面積比となるように加工し、第2ロールは全体を平滑表面とした。
【0060】
表面温度を50℃に設定したカレンダーロールの投入部から、上記した2色のゴム材料を、同じ投入速度、投入量で投入し、ロードミル部で3分間の熱入れを行った後、フィードミル部に送り、3分後、排出部から排出し、排出されたゴム材料を実施例1−1の試験体として得た。
【0061】
(b)比較例1−1
熱入れ設備として、従来と同様の、ロードミルおよびフィードミルの2基のカレンダーロールから構成された熱入れ設備を、水平状態に並べて配置した。具体的には、ロードミルとしては、径660mm、長さ2300mmのカレンダーロールを用い、フィードミルとしては、径560mm、長さ2000mmのカレンダーロールを用いた。
【0062】
実施例1−1と同じ表面温度に設定したロードミルに、上記した2色のゴム材料を、同じ投入速度、投入量で投入し、約3分間の熱入れを行った後、ゴム材料をロードミルから切り上げて、約40秒掛けて、フィードミルまで手作業により移送した。その後、ゴム材料をフィードミルに投入して、約5分後、フィードミルから排出し、排出されたゴム材料を比較例1−1の試験体として得た。
【0063】
(2)評価
各試験体のゴム材料の混合状態を目視にて観察した。評価の結果を表1に示す。
【0064】
2.実験1−2
実験1−1で用いたと同じ熱入れ設備を用いて、上記した2種類のゴム材料の内の黒色のゴムを、実験1−1と同様にして熱入れして、実施例1−2、および比較例1−2の試験体を得、ロードミル(またはロードミル部)からフィードミル(またはフィードミル部)へと送られる各試験体の温度を計測した。
【0065】
計測の結果を表1に示す。
【0066】
【表1】
【0067】
表1に示すように、実施例1−1、比較例1−1の試験体のいずれも、均一に混合されていることが確認できた。しかし、実施例1−2の試験体ではゴム材料の温度が72℃であったのに対し、比較例1−2の試験体では63℃と低くなっており、比較例の熱入れの場合には、移送に際して、ゴム材料の温度が低下してエネルギーロスが発生していることが確認できた。
【0068】
[2]実験例2
本実験例においては、熱入れ設備として、図1に示すカレンダーロールを傾斜させることによる効果を確認した。以下、具体的に説明する。
【0069】
1.実験2−1
(1)試験体の作製
実施例1−1と同じカレンダーロールに、ロール傾斜機構および傾斜角度制御機構を組み込んで、実験2−1における熱入れ設備とした。
【0070】
そして、カレンダーロールを水平に対して10°傾斜させた状態で、投入部から2色のゴム材料を投入して、ロードミル部にて熱入れを行い、熱入れの完了を温度センサーにて検知した後は、カレンダーロールを水平に戻して、フィードミル部にてシート出しして、実施例2−1としての試験体を得た(トータル作業期間:8分)。
【0071】
(2)評価
得られた実施例2−1の試験体におけるゴム材料の混合状態を目視にて観察した。評価の結果を、実施例1−1の結果と併せて表2に示す。
【0072】
2.実験2−2
実験2−1で用いたと同じ熱入れ設備を用いて、実験1−2と同様にして、実施例2−2の試験体を得、ロードミル部からフィードミル部へと送られる際のゴム材料の温度を計測した。
【0073】
計測の結果を、実施例1−1、1−2の結果と併せて表2に示す。
【0074】
【表2】
【0075】
表2に示すように、実施例2−1においても、実施例1−1と同様に、均一に混合されていることが確認できた。そして、実施例2−2では、ゴム材料の温度が73℃となっており、実施例1−2の場合と同様に、エネルギーロスの発生がないことが確認できた。
【0076】
また、実施例2−1を採用した場合、全体の作業時間を、実施例1−1の場合に比べて、短縮することができ、カレンダーロールを適切な角度で傾斜させることにより、効率的な熱入れが可能であることが確認できた。
【0077】
[3]実験例3
本実験例においては、第1ロールにおける凹凸部と平滑部のロール表面全体における面積比が、ゴム材料の熱入れに及ぼす影響について確認した。
【0078】
1.試験体の作製
実験2−1で用いたと同じ熱入れ設備を用いて、ゴム材料の熱入れを行うに際して、表3に示すように、凹凸部と平滑部の面積比を変化させて、実施例3−1〜3−5のカレンダーロールとし、各カレンダーロールを用いて、実験2−1と同様に、2種類のシートゴムで熱入れを行うことにより、実施例3−1〜3−5の試験体を得た。
【0079】
2.評価
評価は、実験例1−1、2−1と同様に、各試験体におけるゴム材料の混合状態を目視にて観察し、良、可、不可で判定した。
【0080】
また、各試験体のロードミル部からフィードミル部へと送られる際のゴム材料の温度を計測し、狙い温度との差に基づいて、良、可、不可で判定した。
【0081】
3.結果
評価の結果を表3に示す。
【0082】
【表3】
【0083】
表3より、実施例3−2〜3−4の場合、ゴム材料の混合状態およびゴム材料温度の評価結果が良であり、良好な熱入れが行われていることが分かる。
【0084】
[4]実験例4
本実験例においては、カレンダーロールのロードミル部において凹凸部を形成する凸条と凹溝の面積比が、ゴム材料の熱入れに及ぼす影響について確認した。
【0085】
1.試験体の作製
実験2−1で用いたと同じ熱入れ設備を用いて、ゴム材料の熱入れを行うに際して、表4に示すように、凹凸部を形成する凸条と凹溝の面積比を変化させて、実施例4−1〜4−5のカレンダーロールとし、各カレンダーロールを用いて、実験2−1と同様に、2種類のシートゴムで熱入れを行うことにより、実施例4−1〜4−5の試験体を得た。なお、凹凸部と平滑部との面積比は、7:3に固定した。
【0086】
2.評価
評価は、実験例1−1、2−1と同様に、各試験体におけるゴム材料の混合状態を目視にて観察し、良、可、不可で判定した。
【0087】
また、各試験体のロードミル部からフィードミル部へと送られる際のゴム材料の温度を計測し、狙い温度との差に基づいて、良、可、不可で判定した。
【0088】
3.結果
評価の結果を表4に示す。
【0089】
【表4】
【0090】
表4より、実施例4−3および4−4の場合、ゴム材料の混合状態およびゴム材料温度の評価結果が良であり、良好な熱入れが行われていることが分かる。
【0091】
以上、本発明を実施の形態に基づいて説明したが、本発明は上記の実施の形態に限定されるものではない。本発明と同一および均等の範囲内において、上記の実施の形態に対して種々の変更を加えることができる。
【符号の説明】
【0092】
1 熱入れ設備(カレンダーロール)
2 第1ロール
3 第2ロール
21 凹凸部
21a 凸条
21b 凹溝
22 平滑部
31、32 第2ロールの表面
θ 傾斜角度
図1
図2