【発明を実施するための形態】
【0010】
[剤]
(第1の態様)
本発明の第1の態様では、ケルセチン配糖体(ケルセチンの配糖体)を含有(有効成分として含有)する剤を提供する。
【0011】
なお、ケルセチンは下記化合物であり、ケルセチン配糖体はケルセチン(この化合物)のヒドロキシ基に糖が置換(結合)したものである。
【0013】
ケルセチン配糖体において、糖としては、特に限定されないが、例えば、単糖(単糖類)、オリゴ糖、多糖(多糖類)などであってもよい。なお、糖(オリゴ糖又は多糖)は、ホモ多糖、ヘテロ多糖のいずれであってもよい。
【0014】
単糖において、炭素数は特に限定されず、例えば、ペントース、ヘキソースであってもよい。また、単糖は、例えば、フラノース、ピラノースであってもよい。
【0015】
具体的な糖には、単糖[例えば、ペントース(例えば、リボース、アラビノース、キシロース、デオキシリボースなど)、ヘキソース(例えば、フルクトース、タガトース、アロース、アルトロース、グルコース、マンノース、ガラクトース、ラムノース、グルコサミン、ガラクトサミン、グルクロン酸)など]、これらの単糖類が結合したオリゴ糖又は多糖[例えば、二糖(例えば、マルトース、コージビオース、セロビオース、イソマルトース、ゲンチビオース、ラクトース、ルチノース、ネオヘスペリドースなど)など]などが挙げられる。
【0016】
これらのうち、代表的な糖には、単糖(例えば、グルコース、ガラクトースなどのヘキソース)が含まれる。
【0017】
なお、糖は、D体、L体、これらの混合物のいずれであってもよい。
【0018】
ケルセチン配糖体において、糖の置換(結合)位置は、特に限定されず、ケルセチンのヒドロキシル基のいずれであってもよい。また、ケルセチン配糖体において、糖(ケルセチン又はケルセチンのヒドロキシル基)の数[置換(結合)数]も特に限定されず、1であってもよく、2以上(例えば、2〜5、2〜4、2〜3、2等)であってもよい。
【0019】
なお、糖の数が2以上である場合、糖は同一であっても、異なっていてもよい。
【0020】
また、ケルセチン配糖体は、α体(αアノマー、α−グリコシド(O−グリコシド))、β体(βアノマー、β−グリコシド(O−グリコシド))、これらの混合物のいずれであってもよい。
【0021】
具体的なケルセチン配糖体としては、例えば、ケルセチングルコシド(例えば、ケルセチン−3−グルコシド、ケルセチン−7−グルコシド)、ケルセチンガラクトシド(例えば、ケルセチン−3−ガラクトシド)、ケルセチンラムノシド(例えば、ケルセチン−3−ラムノシド)、ケルセチングルクロニド(例えば、ケルセチン−3−グルクロニド)、ケルセチンルチノシド(例えば、ケルセチン−3−ルチノシド)等が挙げられる。
【0022】
ケルセチン配糖体は、単独で又は2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0023】
これらの中でも、ケルセチングルコシド及び/又はケルセチン−7−グリコシドが好ましく、特に、ケルセチン−7−グルコシドが好ましい。そのため、ケルセチン配糖体は、少なくともこのような配糖体(例えば、ケルセチン−7−グルコシド)を含んでいてもよい。
【0024】
このような場合、ケルセチン配糖体は、ケルセチングルコシド及び/又はケルセチン−7−グリコシドを、ケルセチン配糖体全体に対して、例えば、10質量%以上、30質量%以上、50質量%以上、60質量%以上、70質量%以上、80質量%以上、90質量%以上等の割合で含んでいてもよく、実質的に100質量%で含んでいてもよい。
【0025】
また、特に、ケルセチン配糖体がケルセチン−7−グルコシドを含む場合、ケルセチン配糖体全体に対する、ケルセチン−7−グルコシドの割合は、例えば、1質量%以上(例えば、5質量%以上)、好ましくは10質量%以上(例えば、15質量%以上)、さらに好ましくは20質量%以上、特に30質量%以上等であってもよい。
【0026】
ケルセチン配糖体は、市販品であってもよく、慣用の方法により合成したものであってもよい。また、後述の紅花成分のように、植物由来(植物そのもの又は植物から分離ないし抽出したもの)であってもよい。
【0027】
(第2の態様)
本発明の第2の態様では、紅花成分を含有(有効成分として含有)する剤を提供する。
紅花成分としては、紅花、紅花エキスなどが挙げられ、これらを組み合わせてもよい。紅花成分としては、代表的には、紅花エキスを使用する場合が多い。
【0028】
紅花としては、例えば、花、葉、種(種子、種皮)、茎、根などの部分を使用してもよく、これらを組み合わせて使用してもよく、全草を使用してもよい。
【0029】
紅花としては、特に、少なくとも葉を含む紅花を使用してもよい。
【0030】
紅花エキスは、市販品を利用してもよく、紅花を抽出処理することで得ることもできる。
【0031】
抽出において、溶媒(抽出溶媒)としては、使用する紅花の部分等に応じて選択できるが、例えば、水、アルコール類[例えば、アルカノール(例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−ブタノールなどのC
1−4アルカノール)、ポリオール(例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、グリセリンなど)]、ケトン類(例えば、アセトン、メチルエチルケトンなど)、エーテル類(例えば、ジエチルエーテルなど)、エステル類(例えば、酢酸エチルなど)などが挙げられる。
抽出溶媒は、単独で又は2種以上組み合わせて用いてもよい。
【0032】
代表的な抽出溶媒は、水、アルコール類(エタノールなど)、これらの混合液などが挙げられる。
【0033】
特に、溶媒としては、少なくとも極性溶媒(例えば、アルコール類)を含む溶媒、特に、エタノールを含む溶媒[例えば、エタノールを30質量%以上、好ましくは50質量%以上、さらに好ましくは70質量%以上(例えば、90質量%以上等)含む溶媒]を好適に使用してもよい。このような溶媒を使用することで、効率良くケルセチン配糖体(例えば、ケルセチン−7−グルコシド)を含む紅花エキスを得やすい。
【0034】
抽出温度や抽出時間は、特に限定されず、抽出溶媒や抽出方法などに応じて適宜選択できる。
【0035】
なお、抽出に際しては、紅花を、必要に応じて、適当な処理(粉砕処理、加熱処理、乾燥処理など)に供してもよい。また、抽出物は、さらに、濃縮や乾燥(常温乾燥、凍結乾燥など)に供してもよい。
【0036】
紅花成分の形態は、特に限定されず、例えば、液状(例えば、抽出溶媒を含む抽出液等)、粉状(又は粉粒状)等であってもよい。
【0037】
紅花成分は、特に、ケルセチン配糖体を含んでいてもよい。なお、このようなケルセチン配糖体を含有する紅花成分は、使用する紅花の部分や、エキスにおいてはその抽出条件等を選択することによって、効率良く得ることができる。
【0038】
ケルセチン配糖体としては、前記第1の態様で例示のものと同様の配糖体が挙げられ、その好ましい態様も同様である。
【0039】
例えば、紅花成分は、ケルセチングルコシド及び/又はケルセチン−7−グリコシド、特に、ケルセチン−7−グルコシドを少なくとも含んでいてもよい。
【0040】
なお、ケルセチン配糖体を含有する紅花成分は、他の成分(ケルセチン配糖体以外の成分)を含んでいてもよい。このような他の成分としては、紅花の部位や抽出条件等にもよるが、例えば、ケルセチン、ルテオリン、ルテオリン配糖体(例えば、ルテオリン−7−グルコシド)等が挙げられる。
【0041】
他の成分は、単独で又は2種以上組み合わせて紅花成分に含まれていてもよい。
【0042】
紅花成分(例えば、紅花エキス)が、ケルセチン配糖体を含有する場合、紅花成分におけるケルセチン配糖体の割合(溶媒を含む場合には固形分全体に対する割合)は、例えば、0.01質量%以上(例えば、0.03質量%以上)、好ましくは0.1質量%以上(例えば、0.3質量%以上)、さらに好ましくは1質量%以上(例えば、3質量%以上)等であってもよい。
なお、紅花成分におけるケルセチン配糖体の割合(溶媒を含む場合には固形分全体に対する割合)の上限は、特に限定されないが、例えば、0.3質量%、1質量%、3質量%、5質量%、10質量%、20質量%、30質量%等であってもよい。
【0043】
紅花成分(例えば、紅花エキス)が、ケルセチン−7−グルコシドを含有する場合、紅花成分におけるケルセチン−7−グルコシドの割合(溶媒を含む場合には固形分全体に対する割合)は、例えば、0.001質量%以上(例えば、0.003質量%以上、0.005質量%以上、0.01質量%以上)、好ましくは0.01質量%以上(例えば、0.03質量%以上、0.05質量%以上、0.1質量%以上)、さらに好ましくは0.1質量%以上(例えば、0.3質量%以上、0.5質量%以上、1質量%以上)等であってもよい。
なお、紅花成分におけるケルセチン−7−グルコシドの割合(溶媒を含む場合には固形分全体に対する割合)の上限は、特に限定されないが、例えば、0.1質量%、1質量%、3質量%、5質量%、10質量%等であってもよい。
【0044】
紅花成分(例えば、紅花エキス)が、ルテオリン−7−グルコシドを含有する場合、紅花成分におけるルテオリン−7−グルコシドの割合(溶媒を含む場合には固形分全体に対する割合)は、例えば、0.01質量%以上、好ましくは0.1質量%以上、さらに好ましくは1質量%以上等であってもよい。
なお、紅花成分におけるルテオリン−7−グルコシドの割合(溶媒を含む場合には固形分全体に対する割合)の上限は、特に限定されないが、例えば、0.1質量%、1質量%、3質量%、5質量%、10質量%等であってもよい。
【0045】
(剤の用途)
本発明の剤(第1の態様の剤、第2の態様の剤)は、特定の用途に使用できる。
【0046】
まず、本発明の剤は、オートファジー誘導剤[オートファジーを誘導(発現、改善、向上、活性化)するための剤]として使用できる。
オートファジー(機能)とは、前記の通り、例えば、細胞内の不要なタンパク質や細胞小器官を分解する役割を果たすものであり、本発明の剤によれば、このようなオートファジー(機能)を誘導(発現、改善、向上、活性化)しうる。
このような剤は、皮膚細胞に対してオートファジーを誘導してもよい。皮膚細胞としては、例えば、表皮角化細胞、繊維芽細胞等が挙げられる。特に、本発明の剤は、表皮角化細胞及び繊維芽細胞に対してもオートファジー誘導が可能であり、効率良くオートファジー機能(さらには、それに伴う皮膚の予防ないし改善機能)を発揮しうる。
【0047】
また、本発明の剤は、抗老化剤として使用できる。
【0048】
特に、本発明の剤は、皮膚の老化の予防及び/又は改善のための剤であってもよい。
【0049】
なお、抗老化剤(さらには皮膚の老化の予防及び/又は改善のための剤)において、抗老化作用・機能(さらには皮膚の老化の予防及び/又は改善作用・機能)は、オートファジー(機能)の誘導を伴うものであってもよい。
【0050】
また、本発明の剤は、特定の適用対象のための剤、例えば、医薬用、飲食品用、化粧料用等として使用してもよい。
【0051】
[組成物]
本発明には、前記剤(第1の態様又は第2の態様)を含む組成物も含まれる。
【0052】
なお、このような組成物もまた、前記剤と同様の機能・用途に使用しうる。例えば、オートファジー誘導、抗老化、皮膚の老化の予防及び/又は改善のため)に使用しうる。また、医薬用、飲食品用、化粧料用等として使用してもよい。
【0053】
特に、本発明の組成物は、オートファジー誘導作用や抗老化作用を有するという観点から、化粧料用(化粧料用組成物)として好適に使用してもよい。なお、化粧料用組成物としては、特に限定されず、薬用化粧品等の薬事法における定義では医薬部外品に分類されるものであってもよい。
【0054】
本発明の組成物は、前記剤(ケルセチン配糖体又は紅花成分)を含んでいればよく、その用途や形態等に応じて他の成分を含んでいてもよい。
【0055】
このような他の成分としては、基剤又は担体、添加剤、その他の有効成分等が挙げられる。なお、このような他の成分やその割合は、組成物の形態、性状等に応じて適宜選択できる。
【0056】
基剤又は担体としては、特に限定されないが、例えば、パラフィン、流動パラフィン、スクワラン、白ロウ、ゲル化炭化水素(プラスチベース等)、オゾケライト、セレシン、ワセリン、ハードファット、マイクロクリスタリンワックス、α−オレフィンオリゴマー、軽質流動パラフィン等の炭化水素;ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘニン酸、イソステアリン酸等の脂肪酸;トリ2−エチルヘキサン酸グリセリル(トリオクタノイン)、トリ(カプリル酸/カプリン酸)グリセリル等のトリ脂肪酸グリセリド;セタノール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール等の高級アルコール;メチルポリシロキサン、高重合メチルポリシロキサン、ジメチルシロキサン・メチル(ポリオキシエチレン)シロキサン・メチル(ポリオキシプロピレン)シロキサン共重合体、ジメチルシロキサン・メチル(ポリオキシエチレン)シロキサン共重合体、ジメチルシロキサン・メチル(ポリオキシプロピレン)シロキサン共重合体、ポリオキシエチレン・メチルポリシロキサン共重合体、ポリ(オキシエチレン・オキシプロピレン)・メチルポリシロキサン共重合体、ジメチルシロキサン・メチルセチルオキシシロキサン共重合体、ジメチルシロキサン・メチルステアロキシシロキサン共重合体、アクリル酸アルキル共重合体メチルポリシロキサンエステル、架橋型メチルポリシロキサン、架橋型メチルフェニルポリシロキサン、架橋型ポリエーテル変性シリコーン、架橋型アルキルポリエーテル変性シリコーン、架橋型アルキル変性シリコーン、デカメチルシクロペンタシロキサン、エチルトリシロキサン、メチルトリメチコン、メチルシロキサン網状重合体、ポリオキシエチレン・メチルポリシロキサン共重合体、メチルハイドロジェンポリシロキサン、トリエトキシシリルエチルポリジメチルシロキシエチルヘキシルジメチコン、ジメチルポリシロキサン等のシリコーン油;エチレングリコールモノアセタート、エチレングリコールジアセタート、トリエチレングリコールジアセタート、ヘキシレングリコールジアセタート、及び2−メチル−2−プロペン−1,1−ジオールジアセタート等のグリコールアセタート;トリエチレングリコールジバレラート、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールモノイソブチラート、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールジイソブチラート等のグリコールエステル;エチレングリコールジアクリラート、ジエチレングリコールジアクリラート、プロピレングリコールモノアクリラート、2,2−ジメチル−トリメチレングリコールジアクリラート、及び1,3−ブチレングリコールジアクリラート等のグリコールアクリラート;エチレングリコールジニトラート、ジエチレングリコールジニトラート、トリエチレングリコールジニトラート、及びプロピレングリコールジニトラート等のグリコールジニトラート;2,2’−[1,4−フェニレンジオキシ]ジエタノール;エチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース等のセルロース誘導体;ポリビニルピロリドン;カラギーナン;ポリビニルブチラート;ポリエチレングリコール;ジオキサン;ブチレングリコールアジピン酸ポリエステル;ミリスチン酸イソプロピル、ミリスチン酸オクチルドデシル、パルミチン酸イソプロピル、パルミチン酸セチル、イソノナン酸イソノニル、テトラ2−エチルヘキサン酸ペンタエリスエリット等のエステル類;デキストリン、マルトデキストリン等の多糖類;エタノール、イソプロパノール等の低級アルコール;エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテル等のグリコールエーテル;水等の水系基剤等が挙げられる。これらの基剤又は担体は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0057】
添加剤としては、特に限定されないが、例えば、酸化防止剤、界面活性剤、増粘剤、保存剤、pH調整剤、安定化剤、防腐剤、着色剤、及び香料等が挙げられる。これらの添加剤は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0058】
酸化防止剤としては、例えば、ジブチルヒドロキシトルエン、ブチルヒドロキシアニソール、ソルビン酸、亜硫酸ナトリウム、アスコルビン酸、アスコルビン酸誘導体(アスコルビン酸リン酸エステル等)、トコフェロール、トコフェロール誘導体、エリソルビン酸、L−システイン塩酸塩等が挙げられる。
【0059】
界面活性剤としては、例えば、ソルビタンモノイソステアレート、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノパルミテート、ソルビタンモノステアレート、ペンタ−2−エチルヘキシル酸ジグリセロールソルビタン、テトラ−2−エチルヘキシル酸ジグリセロールソルビタン等のソルビタン脂肪酸エステル類;モノステアリン酸プロピレングリコール等のプロピレングリコール脂肪酸エステル類;グリセリンアルキルエーテル;アルキルグルコシド;ステアリルアミン、オレイルアミン等のアミン類;ポリオキシエチレン・メチルポリシロキサン共重合体、ラウリルPEG−9ポリジメチルシロキシエチルジメチコン、PEG−9ポリジメチルシロキシエチルジメチコン等のシリコーン系界面活性剤等が挙げられる。
【0060】
増粘剤としては、例えば、グアーガム、ローカストビーンガム、カラギーナン、キサンタンガム、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、カルボキシビニルポリマー、アクリル酸メタクリル酸アルキル共重合体、ポリエチレングリコール、ベントナイト、アルギン酸、マクロゴール、並びにセルロース系増粘剤(メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、及びカルボキシエチルセルロース等)及びこれらの塩等が挙げられる。
【0061】
保存剤、防腐剤としては、例えば、安息香酸、安息香酸ナトリウム、デヒドロ酢酸、デヒドロ酢酸ナトリウム、パラオキシ安息香酸イソブチル、パラオキシ安息香酸イソプロピル、パラオキシ安息香酸ブチル、パラオキシ安息香酸エチル、パラオキシ安息香酸プロピル、パラオキシ安息香酸ベンジル、パラオキシ安息香酸メチル、フェノキシエタノール、ベンジルアルコール、クロロブタノール、ソルビン酸及びその塩、グルコン酸クロルヘキシジン、アルカンジオール、及びグリセリン脂肪酸エステル等が挙げられる。
【0062】
pH調整剤としては、例えば、無機酸(塩酸、硫酸等)、有機酸(乳酸、乳酸ナトリウム、クエン酸、クエン酸ナトリウム、コハク酸、コハク酸ナトリウム等)、無機塩基(水酸化カリウム、水酸化ナトリウム等)、有機塩基(トリエタノールアミン、ジイソプロパノールアミン、トリイソプロパノールアミン等)等が挙げられる。
【0063】
安定化剤としては、例えば、ポリアクリル酸ナトリウム、ジブチルヒドロキシトルエン、ブチルヒドロキシアニソール、エデト酸塩等が挙げられる。
【0064】
その他の有効成分としては、特に限定されないが、例えば、保湿成分、抗炎症成分、抗菌又は殺菌成分、ビタミン類、ペプチド又はその誘導体(エステル、アミド等)、細胞賦活化成分、老化防止成分、血行促進成分、角質軟化成分、美白成分、収斂成分等が挙げられる。これらの有効成分は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0065】
保湿成分としては、例えば、コラーゲン、エラスチン、ケラチン、キチン、キトサン等の高分子化合物;乳酸ナトリウム、尿素、ピロリドンカルボン酸ナトリウム等の天然保湿因子;セラミド、コレステロール、リン脂質等の脂質;カミツレエキス、ハマメリスエキス、チャエキス、シソエキス等の植物抽出エキス等が挙げられる。
【0066】
抗炎症成分としては、例えば、植物(例えば、コンフリー)に由来する成分、アラントイン、グリチルリチン酸又はその誘導体、酸化亜鉛、塩酸ピリドキシン、酢酸トコフェロール、サリチル酸又はその誘導体、ε-アミノカプロン酸等が挙げられる。
【0067】
抗菌又は殺菌成分としては、例えば、エタノール、クロルヘキシジン、サリチル酸、塩化ベンザルコニウム、アクリノール、イオウ、レゾルシン、塩化ベンゼトニウム、アダパレン、過酸化ベンゾイル、クリンダマイシン、クレゾール、グルコン酸及びその誘導体、ポピドンヨード、ヨウ化カリウム、ヨウ素、イソプロピルメチルフェノール、トリクロカルバン、トリクロサン、感光素101号、感光素201号、パラベン、フェノキシエタノール、1,2−ペンタンジオール、塩酸アルキルジアミノグリシン、グルコン酸クロルヘキシジン、パラフェノールスルホン酸亜鉛等が挙げられる。
【0068】
ビタミン類としては、例えば、レチノール、酢酸レチノール、パルミチン酸レチノール等のレチノール誘導体、レチナール、レチノイン酸、レチノイン酸メチル、レチノイン酸エチル、レチノイン酸レチノール、d−δ−トコフェリルレチノエート、α−トコフェリルレチノエート、β−トコフェリルレチノエート等のビタミンA類;dl−α−トコフェロール、酢酸dl−α−トコフェロール、コハク酸dl−α−トコフェロール、コハク酸dl−α−トコフェロールカルシウム等のビタミンE類;リボフラビン、フラビンモノヌクレオチド、フラビンアデニンジヌクレオチド、リボフラビン酪酸エステル、リボフラビンテトラ酪酸エステル、リボフラビン5’−リン酸エステルナトリウム、リボフラビンテトラニコチン酸エステル等のビタミンB2類;ニコチン酸dl−α−トコフェロール、ニコチン酸ベンジル、ニコチン酸メチル、ニコチン酸β−ブトキシエチル、ニコチン酸1−(4−メチルフェニル)エチル等のニコチン酸類;アスコルビゲン−A、アスコルビン酸ステアリン酸エステル、アスコルビン酸パルミチン酸エステル、ジパルミチン酸L−アスコルビル等のビタミンC類;メチルヘスペリジン、エルゴカルシフェロール、コレカルシフェロール等のビタミンD類;フィロキノン、ファルノキノン等のビタミンK類、γ−オリザノール、ジベンゾイルチアミン、ジベンゾイルチアミン塩酸塩;チアミン塩酸塩、チアミンセチル塩酸塩、チアミンチオシアン酸塩、チアミンラウリル塩酸塩、チアミン硝酸塩、チアミンモノリン酸塩、チアミンリジン塩、チアミントリリン酸塩、チアミンモノリン酸エステルリン酸塩、チアミンモノリン酸エステル、チアミンジリン酸エステル、チアミンジリン酸エステル塩酸塩、チアミントリリン酸エステル、チアミントリリン酸エステルモノリン酸塩等のビタミンB1類;塩酸ピリドキシン、酢酸ピリドキシン、塩酸ピリドキサール、5’−リン酸ピリドキサール、塩酸ピリドキサミン等のビタミンB6類;シアノコバラミン、ヒドロキソコバラミン、デオキシアデノシルコバラミン等のビタミンB12類;葉酸、プテロイルグルタミン酸等の葉酸類;ニコチン酸、ニコチン酸アミド等のニコチン酸類;パントテン酸、パントテン酸カルシウム、パントテニルアルコール(パンテノール)、D−パンテサイン、D−パンテチン、補酵素A、パントテニルエチルエーテル等のパントテン酸類;ビオチン、ビオチシン等のビオチン類;アスコルビン酸、アスコルビン酸ナトリウム、デヒドロアスコルビン酸、アスコルビン酸リン酸エステルナトリウム、アスコルビン酸リン酸エステルマグネシウム等のアスコルビン酸誘導体であるビタミンC類;カルニチン、フェルラ酸、α−リポ酸、オロット酸等のビタミン様作用因子等が挙げられる。
【0069】
ペプチド又はその誘導体としては、例えば、ケラチン分解ペプチド、加水分解ケラチン、コラーゲン、魚由来コラーゲン、アテロコラーゲン、ゼラチン、エラスチン、エラスチン分解ペプチド、コラーゲン分解ペプチド、加水分解コラーゲン、塩化ヒドロキシプロピルアンモニウム加水分解コラーゲン、エラスチン分解ペプチド、コンキオリン分解ペプチド、加水分解コンキオリン、シルク蛋白分解ペプチド、加水分解シルク、ラウロイル加水分解シルクナトリウム、大豆蛋白分解ペプチド、加水分解大豆蛋白、小麦蛋白、小麦蛋白分解ペプチド、加水分解小麦蛋白、カゼイン分解ペプチド、アシル化ペプチド(パルミトイルオリゴペプチド、パルミトイルペンタペプチド、パルミトイルテトラペプチド等)等が挙げられる。
【0070】
細胞賦活化成分としては、例えば、レチノール、チアミン、リボフラビン、塩酸ピリドキシン、パントテン酸類等のビタミン類;グリコール酸、乳酸等のα−ヒドロキシ酸類;タンニン、フラボノイド、サポニン、アラントイン、感光素301号等が挙げられる。
【0071】
老化防止成分としては、パンガミン酸、カイネチン、ウルソール酸、ウコンエキス、スフィンゴシン誘導体、ケイ素、ケイ酸、N−メチル−L−セリン、メバロノラクトン等が挙げられる。
【0072】
血行促進成分としては、例えば、植物(例えば、オタネニンジン、アシタバ、アルニカ、イチョウ、ウイキョウ、エンメイソウ、オランダカシ、カミツレ、ローマカミツレ、カロット、ゲンチアナ、ゴボウ、コメ、サンザシ、シイタケ、セイヨウサンザシ、セイヨウネズ、センキュウ、センブリ、タイム、チョウジ、チンピ、トウキ、トウニン、トウヒ、ニンジン、ニンニク、ブッチャーブルーム、ブドウ、ボタン、マロニエ、メリッサ、ユズ、ヨクイニン、ローズマリー、ローズヒップ、モモ、アンズ、クルミ、トウモロコシ)に由来する成分;グルコシルヘスペリジン等が挙げられる。
【0073】
角質軟化成分としては、例えば、サリチル酸、グリコール酸、フルーツ酸、フィチン酸、イオウ等が挙げられる。
【0074】
美白成分としては、例えば、アスコルビン酸とその誘導体(リン酸エステル等)、アルブチン、トコフェロール等が挙げられる。
【0075】
収斂成分としては、例えば、パラフェノールスルホン酸亜鉛、酸化亜鉛、メントール、エタノール等が挙げられる。
【0076】
本発明の組成物の形状は、特に限定されず、用途等に応じて適宜選択でき、例えば、液体状、流動状、半固形状等が挙げられる。
また、本発明の組成物(化粧料用組成物等)の形態は、特に限定されず、例えば、液剤、懸濁剤、乳剤、クリーム剤、軟膏剤、ゲル剤、リニメント剤、ローション剤、エアゾール剤、不織布に薬液を含浸させたシート剤等が挙げられる。これらの中でも、好ましくは、液剤、懸濁剤、乳剤、クリーム剤等が挙げられる。
【0077】
本発明の組成物の具体的な用途は、特に限定されないが、例えば、化粧水、化粧用乳液、化粧用オイル、ジェル、クリーム、美容液、日焼け止め用化粧料、パック、マスク、ハンドクリーム、ボディローション、ボディークリーム等の基礎化粧品;洗顔料、メイク落とし、ボディーシャンプー、シャンプー、リンス、トリートメント等の洗浄用化粧品;化粧下地、ファウンデーション、フェイスパウダー、水おしろい、おしろい、ドーラン、アイシャドーベース、アイシャドー、ノーズシャドー、リップペンシル、口紅、リップグロス、頬紅、各種カラー等のメイクアップ化粧料;シャンプー、ドライシャンプー、コンディショナー、リンス、リンスインシャンプー、トリートメント、ヘアトニック、整髪料、髪油、ポマード、ヘアカラーリング剤などのヘアケア用品;歯磨剤、リップクリーム、石鹸、ボディソープ等が挙げられる。
これらの中でも、好ましくは、化粧水、化粧用乳液、化粧用オイル、ジェル、クリーム、美容液、日焼け止め用化粧料等であり、より好ましくは、化粧水、化粧用乳液、クリーム、美容液等である。
【0078】
本発明の組成物が医薬部外品である場合の具体的な用途は、特に限定されないが、例えば、薬用化粧品、薬用石鹸、薬用歯磨剤、制汗剤、薬用クリーム、育毛剤、染毛剤、うがい薬、ドリンク剤、口中清涼剤、コンタクトレンズ装着薬、殺菌消毒薬、しもやけ用薬、消化薬、生薬含有保健薬、ビタミン含有保健薬、入浴剤等が挙げられる。これらの中でも、好ましくは、薬用化粧品、薬用クリーム、育毛剤等である。
【0079】
本発明の組成物の製造方法は、本発明の剤(ケルセチン配糖体、紅花成分)を使用する方法であれば特に限定されず、組成物の用途や性状等に応じて、従来公知の方法を使用することができる。例えば、本発明の剤を、常法により、組成物の製造時にそのまま、あるいは乳化、可溶化、分散化して配合することにより製造することができる。
【0080】
本発明の組成物において、本発明の剤の割合は、組成物の種類や配合成分等により適宜選択でき、特に限定されないが、例えば、ケルセチン配糖体の割合(溶媒を含む場合には固形分全体に対する割合)として、例えば、0.00003質量%以上、好ましくは0.0003質量%以上、さらに好ましくは0.003質量%以上等であってもよい。
なお、組成物におけるケルセチン配糖体の割合(溶媒を含む場合には固形分全体に対する割合)の上限は、特に限定されないが、例えば、0.0001質量%、0.0003質量%、0.001質量%、0.003質量%、0.01質量%、0.03質量%等であってもよい。
【0081】
本発明の組成物が、ケルセチン−7−グルコシドを含有する場合、組成物におけるケルセチン−7−グルコシドの割合(溶媒を含む場合には固形分全体に対する割合)は、例えば、0.00001質量%以上、好ましくは0.0001質量%以上、さらに好ましくは0.001質量%以上等であってもよい。
なお、組成物におけるケルセチン−7−グルコシドの割合(溶媒を含む場合には固形分全体に対する割合)の上限は、特に限定されないが、例えば0.0001質量%、0.0003質量%、0.001質量%、0.003質量%、0.01質量%、0.03質量%等であってもよい。
【0082】
また、本発明の組成物が、紅花成分(例えば、紅花エキス)を含有する場合、組成物における紅花成分の割合(溶媒を含む場合には固形分全体に対する割合)は、例えば、0.01質量%以上、好ましく0.1質量%以上、さらに好ましくは1質量%以上等であってもよい。
なお、組成物における紅花成分の割合(溶媒を含む場合には固形分全体に対する割合)の上限は、特に限定されないが、例えば、0.1質量%、1質量%、10質量%等であってもよい。
【0083】
[使用態様等]
本発明には、前記剤又は組成物を用いた各種方法を含む。
このような方法は、例えば、前記剤又は組成物を、使用(適用)対象に使用する方法であってもよい。
【0084】
そして、このような方法は、前記の機能・作用(例えば、オートファジー誘導、抗老化、皮膚の老化の予防及び/又は改善)を伴うものであってもよい。
【0085】
本発明の剤又は組成物の使用(適用)方法は、特に限定されず、使用(適用)対象等に応じて適宜選択できる。例えば、化粧料用などとして使用する場合においては、皮膚の状態、年齢、性別等によって適宜選択することができ、例えば、1日数回(例えば、1日1〜5回、好ましくは1日1〜3回)、適量(例えば、約0.005〜0.5g)を皮膚に適用(塗布、噴霧、貼付等)してもよい。また、顔、首、手、足、指、胴、頭皮等のどのような皮膚にでも適用することもできる。
【0086】
本発明の剤又は組成物の使用(適用)量もまた、特に限定されず、組成物の種類や成分等により適宜変更され得るが、例えば、ケルセチン配糖体(特に、ケルセチン−7−グルコシドを含むケルセチン配糖体)又は紅花成分として、成人1日当たり、好ましくは約0.001〜10mg/cm
2(皮膚面積)であり、より好ましくは、約0.01〜1mg/cm
2(皮膚面積)であってもよい。
【実施例】
【0087】
以下、実施例により本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0088】
[ケルセチン−7−グルコシド及びケルセチン配糖体の定量]
公知の高速液体クロマトグラフィー(HPLC法)に従って試料を分析し、ケルセチン−7−グルコシドのピーク面積を標準品のピーク面積と比較することにより算出した。
また、ケルセチン−7−グルコシド以外のケルセチン配糖体についても同様にして算出した。
【0089】
合成例(紅花エキス)
紅花葉粉末10gを90質量%エタノール水溶液100mLに懸濁し、室温で1時間攪拌した。濾過にて抽出液を分離し、減圧留去したのち、凍結乾燥にて紅花エキス1gを得た。
【0090】
実施例1
ヒト表皮線維芽細胞(51歳白人女性由来)(以下、NHDF)を、6ウェルプレートに播種し、10%牛胎児血清,1%ペニシリン・ストレプトマイシン、1%L−グルタミンを加えたDMEM培地(サーモフィッシャーサイエンティフィック社製)にて37℃、5%CO
2下で一晩培養した。
紅花エキスを10、100μg/mLとなるよう培地に添加し、24時間培養した。同時に、オートファジーフラックス解析のため、紅花エキスを同様に添加してから8時間培養した後、リソソーム阻害剤であるクロロキン(以下、CQ)を5μMとなるよう添加し、さらに16時間培養した。培養後の細胞をRIPAバッファー(ミリポア社製)で回収し、SDSサンプルバッファーを用いてSDS−PAGE用サンプルを調整した。
LC3抗体(セルシグナリングテクノロジー社製)を用いたウェスタンブロットにてオートファジーのマーカータンパク質であるLC3−II量を測定した。バンド強度の測定は、画像解析ソフトImageJを用いた。
LC3−IIのバンド強度を比較定量する際、生体内での産生量が一定なGAPDHを内部標準とし、GAPDHのバンド強度に対するLC3−IIのバンド強度の比を算出して標準化した。オートファジーフラックス解析では、被験物質処理において、LC3−IIのバンド強度が増加すること、リソソーム阻害剤添加処理によりバンド強度がさらに増加することの2条件を満たす場合、被験物質がオートファジー誘導効果を有するものと判断する。
図1に内部標準であるGAPDHにて標準化したLC3−IIの発現量を示す。無添加の細胞におけるLC3−II発現量を「1」とし、これに対する各種細胞の相対値を求めた。
図1より無添加群と比較し、10、100μg/mLの紅花エキスを添加した群では、LC3−IIバンド強度が増加した。また、CQ添加により、そのバンド強度のさらなる増加が確認された。
【0091】
実施例2
正常ヒト表皮角化細胞(47歳白人女性由来)(以下、NHEK)を、6ウェルプレートに播種し、ヒト角化細胞増殖因子(HKGS)を加えたEpilife培地(サーモフィッシャーサイエンティフィック社製)にて37℃、5%CO
2下で一晩培養した。
紅花エキスを1、10、100μg/mLとなるよう培地に添加し、24時間培養した。同時に、オートファジーフラックス解析のため、紅花エキスを同様に添加してから8時間培養した後、リソソーム阻害剤であるクロロキン(以下、CQ)を5μMとなるよう添加し、さらに16時間培養した。培養後の細胞をRIPAバッファー(ミリポア社製)で回収し、SDSサンプルバッファーを用いてSDS−PAGE用サンプルを調整した。
LC3抗体(セルシグナリングテクノロジー社製)を用いたウェスタンブロットにてオートファジーのマーカータンパク質であるLC3−II量を測定した。バンド強度の測定は、画像解析ソフトImageJを用いた。LC3−IIのバンド強度を比較定量する際、生体内での産生量が一定なGAPDHを内部標準とし、GAPDHのバンド強度に対するLC3−IIのバンド強度の比を算出して標準化した。
図2に内部標準であるGAPDHにて標準化したLC3−IIの発現量を示す。無添加の細胞におけるLC3−II発現量を「1」とし、これに対する各種細胞の相対値を求めた。
図2より無添加群と比較し、1、10、100μg/mLの紅花エキスを添加した群では、LC3−IIバンド強度が増加した。また、CQ添加により、そのバンド強度のさらなる増加が確認された。
【0092】
実施例3
ヒト表皮線維芽細胞(新生児由来)(以下、NHDF)を、6ウェルプレートに播種し、10%牛胎児血清, 1%ペニシリン・ストレプトマイシン、1%L−グルタミンを加えたDMEM培地(サーモフィッシャーサイエンティフィック社製)にて37℃、5%CO
2下で一晩培養した。
ケルセチン−7−グルコシドを0.05、0.5、5μg/mLとなるよう培地に添加し、24時間培養した。同時に、オートファジーフラックス解析のため、紅花エキスを同様に添加してから8時間培養した後、リソソーム阻害剤であるクロロキン(以下、CQ)を5μMとなるよう添加し、さらに16時間培養した。培養後の細胞をRIPAバッファー(ミリポア社製)で回収し、SDSサンプルバッファーを用いてSDS−PAGE用サンプルを調整した。
LC3抗体(セルシグナリングテクノロジー社製)を用いたウェスタンブロットにてオートファジーのマーカータンパク質であるLC3−II量を測定した。バンド強度の測定は、画像解析ソフトImageJを用いた。LC3−IIのバンド強度を比較定量する際、生体内での産生量が一定なGAPDHを内部標準とし、GAPDHのバンド強度に対するLC3−IIのバンド強度の比を算出して標準化した。
図3に内部標準であるGAPDHにて標準化したLC3−IIの発現量を示す。無添加の細胞におけるLC3−II発現量を「1」とし、これに対する各種細胞の相対値を求めた。
図3より無添加群と比較し、0.05、0.5、5μg/mLのケルセチン−7−グルコシドを添加した群では、LC3−IIバンド強度が増加した。また、CQ添加により、そのバンド強度のさらなる増加が確認された。
【0093】
以下、本発明の剤を含む組成物の具体的処方を例示する。
【0094】
処方例1:化粧水
下記組成の化粧水を、以下の調製法に従って製造する。
合計が100重量%となるように以下の成分を処方する。全ての成分を室温にて混合及び撹拌して均一な溶液とし、pHを5.5に調整して、化粧水を得る。
成分 重量%
濃グリセリン 4.0
ソルビット 4.0
クエン酸ナトリウム 0.3
ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油 0.5
紅花エキス 0.1
エタノール 15.0
香料 0.005
クエン酸 適量
精製水 残部
【0095】
処方例2:洗顔クリーム
下記組成の洗顔クリームを、以下の調製法に従って製造する。
成分A、成分B及び成分Cの合計が100重量%となるように、各成分A〜Cを以下の割合で処方する。まず、成分Aの混合物を加熱溶解して80℃に保持する。次いで、別途80℃で加熱溶解した成分Bの混合物を成分Aの混合物に添加して充分撹拌する。その後、撹拌しながら冷却を行い、50℃にて成分Cの混合物を加え、洗顔クリームを得る。
「成分A」
成分 重量%
ミリスチン酸 14.0
ステアリン酸 12.0
ラウリン酸 3.5
オレイルアルコール 1.5
ヤシ油脂脂肪酸アミドプロピルベタイン 10.5
「成分B」
成分 重量%
濃グリセリン 18.0
水酸化カリウム 7.0
パラオキシ安息香酸エステル 適量
精製水 残部
「成分C」
成分 重量%
紅花エキス 0.1
香料 適量
【0096】
処方例3:乳液
下記組成の乳液を、以下の調製法に従って製造する。
成分D、成分E及び成分Fの合計が100重量%となるように、各成分D〜Fを以下の割合で処方する。まず、成分Dの混合物を加熱溶解して80℃に保持する。次いで、別途80℃で加熱溶解した成分Eの混合物を成分Dの混合物に添加して充分撹拌する。その後、撹拌しながら冷却を行い、50℃にて成分Fの混合物を加え、乳液を得る。
「成分D」
成分 重量%
ショ糖脂肪酸エステル 1.0
カルボキシビニルポリマー 0.06
水酸化カリウム 0.028
パラオキシ安息香酸エステル 適量
精製水 残部
「成分E」
成分 重量%
オリーブ油 4.0
ホホバ油 4.0
乳酸ミリスチル 2.0
自己乳化型モノステアリン酸グリセリン 1.5
親油型モノステアリン酸グリセリン 1.5
「成分F」
成分 重量%
紅花エキス 0.1
香料 0.2