【解決手段】式Iの化合物または薬学的に許容できるその塩を提供する。本発明は、該化合物を含む医薬組成物、該化合物を使用する治療方法、および該化合物を調製する方法も提供する。
前記ヘテロアリールが、トリアゾリル、イミダゾリル、ピラゾリル、ピリジニル、ピラジニル、ピリミジニル、ピリダジニル、トリアゾロピリジニル、ピラゾロピリジニル、ピラゾロピリミジニルまたはキノキサリニルからなる群から選択される(5〜10員)窒素含有ヘテロアリールである、請求項5に記載の化合物、または薬学的に許容できるその塩。
N−シクロプロピル−3−([1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリジン−6−イル)イミダゾ[1,2−b]ピリダジン−2−カルボキサミド、または薬学的に許容できるその塩。
PDE4Bアイソフォームによって媒介される疾患または状態に罹患している患者を治療する方法であって、前記治療を必要とする前記患者に、治療有効量の、請求項1から23のいずれか一項に記載の式Iの化合物または薬学的に許容できるその塩を投与するステップを含み、前記疾患または状態が、統合失調症、うつ病、不安神経症、アルツハイマー病、パーキンソン病、多発性硬化症、慢性閉塞性肺疾患、炎症、脳卒中、喘息、脳血管疾患およびアレルギー性結膜炎から選択される、方法。
【発明を実施するための形態】
【0016】
この文書内の見出しは、読者によるその見直しを円滑にするためだけに利用されている。それらの見出しは、本発明または特許請求の範囲をいかようにも限定するものとして解釈されるべきではない。
【0017】
定義および例証
特許請求の範囲を包含する本願全体を通して使用される場合、下記の用語は、具体的に別段の指示がない限り、以下で定義する意味を有する。複数形および単数形は、数の指示以外、交換可能なものとして扱われるべきである:
【0018】
本明細書において使用される場合、用語「n員」は、nが整数である場合、典型的には、環形成原子の数がnである部分における環形成原子の数を記述するものである。例えば、ピリジンは6員ヘテロアリール環の一例であり、チアゾールは5員ヘテロアリール基の一例である。
【0019】
本明細書内の種々の場所において、本発明の化合物の置換基が群または範囲で開示されている。具体的には、本発明は、そのような群および範囲のメンバーのありとあらゆる個々のサブ組合せを包含することが意図されている。例えば、用語「(C
1〜C
6)アルキル」は、具体的には、C
1アルキル(メチル)、C
2アルキル(エチル)、C
3アルキル、C
4アルキル、C
5アルキルおよびC
6アルキルを包含することが意図されている。別の例として、用語「(5〜10員)ヘテロシクロアルキル基」は、具体的には、任意の5、6、7、8、9および10員ヘテロシクロアルキル基を包含することが意図されている。
【0020】
用語「(C
1〜C
6)アルキル」は、本明細書において使用される場合、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、sec−ブチル、イソブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、イソペンチル、ネオペンチルおよびn−ヘキシル等であるがこれらに限定されない、1から6個の炭素原子を含有する飽和分枝鎖または直鎖アルキル基を指す。
【0021】
用語「置換されていてもよい(C
1〜C
6)アルキル」は、本明細書において使用される場合、1個または複数の水素原子が、ハロゲン、オキソ、シアノ、ヒドロキシ、−SF
5、ニトロ、−N(R
4)(R
5)、−N(R
4)(C(=O)R
5)、−N(R
4)C(=O)−OR
5、−C(=O)−N(R
4)(R
5)、−C(=O)−O−N(R
4)(R
5)、−C(=O)−R
4、−C(=O)−OR
4および(C
3〜C
8)シクロアルキルからなる群から選択される置換基によって置きかえられており、ここで、R
4およびR
5は、それぞれ独立して、水素または置換されていてもよい(C
1〜C
6)アルキルである、上記で定義した通りの(C
1〜C
6)アルキルを指す。例えば、(C
1〜C
6)アルキル部分は、1個または複数のハロゲン原子で置換されて、「ハロ(C
1〜C
6)アルキル」を形成することができる。ハロ(C
1〜C
6)アルキルの代表例は、フルオロメチル、ジフルオロメチル、2−フルオロエチル、トリフルオロメチル、ペンタフルオロエチルおよび2−クロロ−3−フルオロペンチルを包含するがこれらに限定されない。
【0022】
用語「(C
2〜C
6)アルケニル」は、少なくとも1つの炭素−炭素二重結合を有する直鎖または分枝鎖基を包含する、2から6個の炭素原子を有し、少なくとも1つの炭素−炭素二重結合を有する、脂肪族炭化水素を指す。代表例は、エテニル、1−プロペニル、2−プロペニル(アリル)、イソプロペニル、2−メチル−1−プロペニル、1−ブテニル、2−ブテニル等を包含するがこれらに限定されない。本発明の化合物が(C
2〜C
6)アルケニル基を含有する場合、化合物は、純粋なE(エントゲーゲン)形態、純粋なZ(ツザンメン)形態、またはそれらの任意の混合物として存在し得る。
【0023】
用語「置換されていてもよい(C
2〜C
6)アルケニル」は、1個または複数の水素原子が、ハロゲン、オキソ、シアノ、ヒドロキシ、−SF
5、ニトロ、−N(R
4)(R
5)、−N(R
4)(C(=O)R
5)、−N(R
4)C(=O)−OR
5、−C(=O)−N(R
4)(R
5)、−C(=O)−O−N(R
4)(R
5)、−C(=O)−R
4、−C(=O)−OR
4および(C
3〜C
8)シクロアルキルからなる群から選択される置換基によって置きかえられており、ここで、R
4およびR
5は、それぞれ独立して、水素または置換されていてもよい(C
1〜C
6)アルキルである、上記で定義した通りの(C
2〜C
6)アルケニルを指す。
【0024】
用語「(C
2〜C
6)アルキニル」は、少なくとも1つの炭素−炭素三重結合を有する直鎖および分枝鎖を包含する、2から6個の炭素原子および少なくとも1つの炭素−炭素三重結合を有する、脂肪族炭化水素を指す。代表例は、エチニル、プロピニル、ブチニル、ペンチニルおよびヘキシニルを包含するがこれらに限定されない。
【0025】
用語「置換されていてもよい(C
2〜C
6)アルキニル」は、1個または複数の水素原子が、ハロゲン、オキソ、シアノ、ヒドロキシ、−SF
5、−N(R
4)(R
5)、−N(R
4)(C(=O)R
5)、−N(R
4)C(=O)−OR
5、−C(=O)−N(R
4)(R
5)、−C(=O)−O−N(R
4)(R
5)、−C(=O)−R
4、−C(=O)−OR
4および(C
3〜C
8)シクロアルキルからなる群から選択される置換基によって置きかえられており、ここで、R
4およびR
5は、それぞれ独立して、水素または置換されていてもよい(C
1〜C
6)アルキルである、上記で定義した通りの(C
2〜C
6)アルキニルを指す。
【0026】
用語「(C
1〜C
6)アルコキシ」は、本明細書において使用される場合、酸素原子を経由して親分子部分と結合している、上記で定義した通りの(C
1〜C
6)アルキル基を指す。(C
1〜C
6)アルコキシの代表例は、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、2−プロポキシ、ブトキシ、tert−ブトキシ、ペンチルオキシおよびヘキシルオキシを包含するがこれらに限定されない。
【0027】
用語「置換されていてもよい(C
1〜C
6)アルコキシ」は、本明細書において使用される場合、1個または複数の水素原子が、ハロゲン、オキソ、シアノ、ヒドロキシ、−S
F
5、ニトロ、−N(R
4)(R
5)、−N(R
4)(C(=O)R
5)、−N(R
4)C(=O)−OR
5、−C(=O)−N(R
4)(R
5)、−C(=O)−O−N(R
4)(R
5)、−C(=O)−R
4、−C(=O)−OR
4および(C
3〜C
8)シクロアルキルからなる群から選択される置換基によって置きかえられており、ここで、R
4およびR
5は、それぞれ独立して、水素または置換されていてもよい(C
1〜C
6)アルキルである、上記で定義した通りの(C
1〜C
6)アルコキシ基を指す。例えば、(C
1〜C
6)アルコキシは、1個または複数のハロゲン原子で置換されて、「ハロ(C
1〜C
6)アルコキシ」を形成することができる。ハロ(C
1〜C
6)アルコキシの代表例は、フルオロメトキシ、ジフルオロメトキシ、2−フルオロエトキシ、トリフルオロメトキシおよびペンタフルオロエトキシを包含するがこれらに限定されない。
【0028】
用語「(C
1〜C
6)アルキルチオ」は、本明細書において使用される場合、硫黄原子を経由して親分子部分と結合している、上記で定義した通りの(C
1〜C
6)アルキル基を指す。(C
1〜C
6)アルキルチオの代表例は、メチルチオ、エチルチオ、プロピルチオ等を包含するがこれらに限定されない。
【0029】
用語「置換されていてもよい(C
1〜C
6)アルキルチオ」は、本明細書において使用される場合、1個または複数の水素原子が、ハロゲン、オキソ、シアノ、ヒドロキシ、−SF
5、ニトロ、−N(R
4)(R
5)、−N(R
4)(C(=O)R
5)、−N(R
4)C(=O)−OR
5、−C(=O)−N(R
4)(R
5)、−C(=O)−O−N(R
4)(R
5)、−C(=O)−R
4、−C(=O)−OR
4および(C
3〜C
8)シクロアルキルからなる群から選択される置換基によって置きかえられており、ここで、R
4およびR
5は、それぞれ独立して、水素または置換されていてもよい(C
1〜C
6)アルキルである、上記で定義した通りの(C
1〜C
6)アルキルチオ基を指す。
【0030】
本明細書において使用される場合、用語「(C
3〜C
8)シクロアルキル」は、飽和炭素環式分子から水素を除去することによって得られた環式フレームワークが3から8個の炭素を有する、炭素環式置換基を指す。「(C
3〜C
6)シクロアルキル」は、3から6個の炭素原子を有する飽和炭素環式分子から水素を除去することによって得られた炭素環式置換基を指す。「シクロアルキル」は、単環式環であってよく、その例は、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチルおよびシクロオクチルを包含する。シクロアルキルの定義内には、シクロヘキセニル、シクロヘキサジエニル、シクロペンテニル、シクロヘプテニルおよびシクロオクテニル等であるがこれらに限定されない不飽和非芳香シクロアルキルも包含される。代替として、シクロアルキルは、「(C
4〜C
8)ビシクロアルキル」等、1個を超える環を含有し得る。用語「(C
4〜C
8)ビシクロアルキル」は、4から8個の炭素原子を含有する二環式環系を指す。ビシクロアルキルは、ビシクロ[1.1.0]ブタニル、ビシクロ[2.1.0]ペンタニル、ビシクロ[2.2.0]ヘキサニル、ビシクロ[3.1.0]ヘキサニル、ビシクロ[3.2.0]ヘプタニルおよびビシクロ[3.3.0]−オクタニル等、縮合していてよい。用語「ビシクロアルキル」は、ビシクロ[2.2.1]ヘプタニルおよびビシクロ[1.1.1]ペンタニル等であるがこれらに限定されない架橋ビシクロアルキル系も包含する。
【0031】
用語「置換されていてもよい(C
3〜C
8)シクロアルキル」は、1個または複数の水素原子が、ハロゲン、オキソ、シアノ、ヒドロキシ、−SF
5、ニトロ、−N(R
4)(R
5)、−N(R
4)(C(=O)R
5)、−N(R
4)C(=O)−OR
5、−C(=O)−N(R
4)(R
5)、−C(=O)−O−N(R
4)(R
5)、−C(=O)−R
4、−C(=O)−OR
4および(C
3〜C
8)シクロアルキルからなる群から選択される置換基によって置きかえられており、ここで、R
4およびR
5は、それぞれ独立して、水素または置換されていてもよい(C
1〜C
6)アルキルである、上記で定義した通りの
(C
3〜C
8)シクロアルキルを指す。
【0032】
「ヘテロシクロアルキル」は、本明細書において使用される場合、環炭素原子の少なくとも1個が、窒素、酸素または硫黄から選択されるヘテロ原子で置きかえられている、上記で定義した通りのシクロアルキルを指す。用語「(4〜6員)ヘテロシクロアルキル」は、ヘテロシクロアルキル置換基が合計4から6個の環原子を含有し、その少なくとも1個がヘテロ原子であることを意味する。用語「(4〜8員)ヘテロシクロアルキル」は、ヘテロシクロアルキル置換基が合計4から8個の環原子を含有し、その少なくとも1個がヘテロ原子であることを意味する。「(4〜10員)ヘテロシクロアルキル」は、ヘテロシクロアルキル置換基が合計4から10個の環原子を含有することを意味する。「(6員)ヘテロシクロアルキル」は、ヘテロシクロアルキル置換基が合計6個の環原子を含有し、その少なくとも1個がヘテロ原子であることを意味する。「(5員)ヘテロシクロアルキル」は、合計5個の環原子を含有し、その少なくとも1個がヘテロ原子である、ヘテロシクロアルキル置換基を意味する。ヘテロシクロアルキルは、最大合計10員を持つ単環であってよい。代替として、上記で定義した通りのヘテロシクロアルキルは、一緒に縮合している2または3個の環を含んでよく、ここで、少なくとも1個のそのような環は、ヘテロ原子を環原子として含有する(すなわち、窒素、酸素または硫黄)。ヘテロシクロアルキル置換基は、適切な原子価を有する窒素原子を介して、または任意の環炭素原子を介して、本発明の化合物のイミダゾピリダジンコアと結合していてよい。ヘテロシクロアルキル置換基は、イミダゾピリダジンコア上のアミド部分の窒素と結合していてもよい。ヘテロシクロアルキル部分は、適切な原子価を有する窒素原子において、または任意の利用可能な炭素原子において、1個または複数の置換基で置換されていてもよい。
【0033】
「ヘテロシクロアルキル」の定義内には、ピリジニル環またはピリミジニル環等であるがこれらに限定されない、フェニルもしくはナフチル環と、またはヘテロアリール環と縮合しているヘテロシクロアルキルも包含される。
【0034】
ヘテロシクロアルキル環の例は、アゼチジニル、ジヒドロフラニル、ジヒドロチオフェニル、テトラヒドロチオフェニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロトリアジニル、テトラヒドロピラゾリル、テトラヒドロオキサジニル、テトラヒドロピリミジニル、オクタヒドロベンゾフラニル、オクタヒドロベンゾイミダゾリル、オクタヒドロベンゾチアゾリル、イミダゾリジニル、ピロリジニル、ピペリジニル、ピペラジニル、オキサゾリジニル、チアゾリジニル、ピラゾリジニル、チオモルホリニル、テトラヒドロピラニル、テトラヒドロチアジニル、テトラヒドロチアジアジニル、テトラヒドロ−オキサゾリル、モルホリニル、オキセタニル、テトラヒドロジアジニル、オキサジニル、オキサチアジニル、キヌクリジニル、クロマニル、イソクロマニル、ジヒドロベンゾジオキニル、ベンゾジオキソリル、ベンゾオキサジニル、インドリニル、ジヒドロベンゾフラニル、テトラヒドロキノリル、イソクロミル、ジヒドロ−1H−イソインドリル、2−アザビシクロ[2.2.1]ヘプタノニル、3−アザビシクロ[3.1.0]ヘキサニル、3−アザビシクロ[4.1.0]ヘプタニル等を包含するがこれらに限定されない。ヘテロシクロアルキル環のさらなる例は、テトラヒドロフラン−2−イル、テトラヒドロフラン−3−イル、イミダゾリジン−1−イル、イミダゾリジン−2−イル、イミダゾリジン−4−イル、ピロリジン−1−イル、ピロリジン−2−イル、ピロリジン−3−イル、ピペリジン−1−イル、ピペリジン−2−イル、ピペリジン−3−イル、ピペリジン−4−イル、ピペラジン−1−イル、ピペラジン−2−イル、1,3−オキサゾリジン−3−イル、1,4−オキサゼパン−1−イル、イソチアゾリジニル、1,3−チアゾリジン−3−イル、1,2−ピラゾリジン−2−イル、1,2−テトラヒドロチアジン−2−イル、1,3−チアジナン−3−イル、1,2−テトラヒドロジアジン−2−イル、1,3−テトラヒドロジアジン−1−イル、1,4−オキサジン−4−イル、オキサゾリジノニル、2−オキソ−ピペリジニル(例えば、2−オキソ−ピペリジン−1−イル)等を包含する。
【0035】
用語「置換されていてもよいヘテロシクロアルキル」[例えば、置換されていてもよい(4〜10員)ヘテロシクロアルキル]は、1個または複数の水素原子が、化学的に容認できる場合、ハロゲン、オキソ、シアノ、ヒドロキシ、−SF
5、ニトロ、−N(R
4)(R
5)、−N(R
4)(C(=O)R
5)、−N(R
4)C(=O)−OR
5、−C(=O)−N(R
4)(R
5)、−C(=O)−O−N(R
4)(R
5)、−C(=O)−R
4、−C(=O)−OR
4および(C
3〜C
8)シクロアルキルからなる群から選択される置換基によって置きかえられており、ここで、R
4およびR
5は、それぞれ独立して、水素または置換されていてもよい(C
1〜C
6)アルキルである、上記で定義した通りのヘテロシクロアルキルを指す。
【0036】
「(C
6〜C
10)アリール」は、フェニルまたはナフチル等の6から10個の炭素原子を含有するコンジュゲートしたπ電子系を有する全炭素単環式または縮合環多環式芳香族基を指す。
【0037】
用語「置換されていてもよい(C
6〜C
10)アリール」は、1個または複数の水素原子が、ハロゲン、シアノ、ヒドロキシ、−SF
5、ニトロ、−N(R
4)(R
5)、−N(R
4)(C(=O)R
5)、−N(R
4)C(=O)−OR
5、−C(=O)−N(R
4)(R
5)、−C(=O)−O−N(R
4)(R
5)、−C(=O)−R
4、−C(=O)−OR
4および(C
3〜C
8)シクロアルキルからなる群から選択される置換基によって置きかえられており、ここで、R
4およびR
5は、それぞれ独立して、水素または置換されていてもよい(C
1〜C
6)アルキルである、上記で定義した通りの(C
6〜C
10)アリールを指す。
【0038】
本明細書において使用される場合、用語「ヘテロアリール」は、少なくとも1個の環中に、酸素(O)、硫黄(S)および窒素(N)からそれぞれ独立して選択される1個または複数のヘテロ原子環員(環形成原子)を持つ、単環式または縮合環多環式芳香族複素環式基を指す。「(5〜14員)ヘテロアリール」環は、環原子の少なくとも1個がヘテロ原子(すなわち、酸素、窒素または硫黄)であり、残りの環原子が、炭素、酸素、窒素および硫黄からなる群から独立して選択される、5から14個の環原子を有するヘテロアリール環を指す。「(5〜10員)ヘテロアリール」環は、環原子の少なくとも1個がヘテロ原子(すなわち、酸素、窒素または硫黄)であり、残りの環原子が、炭素、酸素、窒素および硫黄からなる群から独立して選択される、5から10個の環原子を有するヘテロアリール環を指す。「(5〜10員)窒素含有ヘテロアリール」環は、環原子の少なくとも1個が窒素であり、残りの環原子が、炭素および窒素からなる群から独立して選択される、5から10個の環原子を有するヘテロアリール環を指す。「(5〜6員)ヘテロアリール」は、環原子の少なくとも1個がヘテロ原子(すなわち、酸素、窒素または硫黄)であり、残りの環原子が、炭素、酸素、窒素および硫黄からなる群から独立して選択される、5から6個の環原子を有するヘテロアリール環を指す。「(5〜6員)窒素含有ヘテロアリール」は、環中のヘテロ原子のすべてが窒素である、5から6個の環原子を有するヘテロアリール環を指す。「(6員)窒素含有ヘテロアリール」は、環中のヘテロ原子のすべてが窒素である、6個の環原子を有するヘテロアリール環を指す。「(5員)窒素含有ヘテロアリール」は、環中のヘテロ原子のすべてが窒素である、5個の環原子を有するヘテロアリール環を指す。ヘテロアリールは、単環または2もしくは3個の縮合環であってよい。ヘテロアリールの例は、ピリジニル、ピラジニル、ピリミジニルおよびピリダジニル等の6員環置換基;トリアゾリル、イミダゾリル、フラニル、イソオキサゾリル、イソチアゾリル、1,2,3−、1,2,4、1,2,5−または1,3,4−オキサジアゾリル、オキサゾリル、チオフェニル、チアゾリル、イソチアゾリルおよびピラゾリル等の5員ヘテロアリール;インドリル、インダゾリル、ベンゾフラニル、ベンズイミダゾリル、ベンゾチエニル、ベンゾオキサジアゾリル、ベンゾチアゾリル、イソベンゾチオフラニル
、ベンゾチオフラニル、ベンズイソオキサゾリル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾジオキソリル、フラノピリジニル、プリニル、イミダゾピリジニル、イミダゾピリミジニル、ピロロピリジニル、ピラゾロピリジニル、ピラゾロピリミジニル、チエノピリジニル、トリアゾロピリミジニル、トリアゾロピリジニル(例えば、5,6,7,8−テトラヒドロ[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリジン−2−イル)およびアントラニリル等の6/5員縮合環置換基;ならびにキノリニル、イソキノリニル、シンノリニル、キナゾリニル、オキソクロマニルおよび1,4−ベンゾオキサジニル等の6/6員縮合環置換基を包含するがこれらに限定されない。
【0039】
ヘテロアリールは、本明細書において定義されている通りの、シクロアルキル基と、またはヘテロシクロアルキル基と縮合していてもよいことを理解されたい。
【0040】
ヘテロアリール置換基は、適切な原子価を有する窒素原子を介して、もしくは任意の環炭素原子を介して、本発明の化合物のイミダゾピリダジンコアと、またはイミダゾピリダジンコア上のアミド部分の窒素と、結合していてよい。ヘテロアリール部分は、適切な原子価を有する窒素原子において、または任意の利用可能な炭素原子において、1個または複数の置換基で置換されていてもよい。
【0041】
用語「置換されていてもよい(5〜14員)ヘテロアリール」、「置換されていてもよい(5〜6員)ヘテロアリール」および「置換されていてもよい(5〜6員)窒素含有ヘテロアリール」は、1個または複数の水素原子が、化学的に容認できる場合、ハロゲン、オキソ、シアノ、ヒドロキシ、−SF
5、ニトロ、−N(R
4)(R
5)、−N(R
4)(C(=O)R
5)、−N(R
4)C(=O)−OR
5、−C(=O)−N(R
4)(R
5)、−C(=O)−O−N(R
4)(R
5)、−C(=O)−R
4、−C(=O)−OR
4および(C
3〜C
8)シクロアルキルからなる群から選択される置換基によって置きかえられており、ここで、R
4およびR
5は、それぞれ独立して、水素または置換されていてもよい(C
1〜C
6)アルキルである、上記で定義した通りの(5〜14員)ヘテロアリール、(5〜6員)ヘテロアリールおよび(5〜6員)窒素含有ヘテロアリールを指す。置換基は、任意の利用可能な炭素原子においてヘテロアリール部分と、またはヘテロ原子が適切な原子価を有する窒素である場合にはヘテロ原子と、結合していてよい。
【0042】
「ハロ」または「ハロゲン」は、本明細書において使用される場合、塩素、フッ素、臭素またはヨウ素原子を指す。
【0043】
「ヒドロキシ」または「ヒドロキシル」は、本明細書において使用される場合、−OH基を意味する。
【0044】
「シアノ」は、本明細書において使用される場合、−CN基を意味し、これは、
【0046】
「ニトロ」は、本明細書において使用される場合、−NO
2基を意味する。
【0047】
「オキソ」は、本明細書において使用される場合、=O部分を意味する。オキソが炭素原子上で置換されている場合、これらは一緒になってカルボニル部分[−C(=O)−]
を形成する。オキソが硫黄原子上で置換されている場合、これらは一緒になってスルホキシド部分[−S(=O)−]を形成し、2個のオキソ基が硫黄原子上で置換されている場合、これらは一緒になってスルホニル部分[−S(=O)2−]を形成する。
【0048】
「置換されていてもよい」は、本明細書において使用される場合、置換が任意選択であり、したがって、非置換および置換されている原子および部分の両方を包含することを意味する。「置換されている」原子または部分は、指定された原子または部分上の任意の水素を、示されている置換基(指定された原子または部分上のすべての水素原子が、示されている置換基からの選択で置きかえられているものまでを包含する)からの選択で置きかえることができ、但し、指定された原子または部分の正常な原子価を超えず、置換は安定化合物をもたらすことを示す。例えば、メチル基(すなわち、−CH
3)が置換されていてもよいならば、炭素原子上の最大3個の水素原子を置換基で置きかえることができる。
【0049】
本明細書において使用される場合、定めのない限り、置換基の結合点は置換基の任意の好適な位置からであり得る。例えば、ピリジニル(またはピリジル)は、2−ピリジニル(またはピリジン−2−イル)、3−ピリジニル(またはピリジン−3−イル)または4−ピリジニル(またはピリジン−4−イル)であり得る。
【0050】
置換基との結合が、環中の2個の原子を接続している結合と交差していることが示されている場合、そのような置換基は、置換可能である(すなわち、1個または複数の水素原子と結合している)その環中の環形成原子のいずれかと結合していてよい。例えば、上記の式Iに示されている通り、R
3は、置換可能であるピリダジン環の任意の環形成原子と結合していてよい。
【0051】
「治療有効量」は、治療されている障害の症状の1つまたは複数をある程度まで軽減するであろう、投与される化合物の量を指す。
【0052】
「患者」は、例えば、ブタ、ウシ、ニワトリ、ウマ、モルモット、マウス、ラット、スナネズミ、ネコ、ウサギ、イヌ、サル、チンパンジーおよびヒト等の温血動物を指す。
【0053】
「治療すること」または「治療する」は、本明細書において使用される場合、別段の指示がない限り、そのような用語が当てはまる障害もしくは状態、またはそのような障害もしくは状態の1つもしくは複数の症状を、回復させること、緩和すること、その進行を阻害すること、または予防することを意味する。用語「治療」は、本明細書において使用される場合、別段の指示がない限り、「治療すること」がすぐ上で定義された通りの治療する行為を指す。用語「治療すること」は、対象のアジュバントおよびネオアジュバント治療も包含する。
【0054】
「薬学的に許容できる」は、物質または組成物が、製剤を構成する他の原料および/またはそれにより治療されている哺乳動物と、化学的にかつ/または毒物学的に適合しなくてはならないことを意味する。
【0055】
「アイソフォーム」は、同じタンパク質の数種の異なる形態のいずれかを意味する。
【0056】
「アイソザイム」または「アイソエンザイム」は、アミノ酸配列が異なるが同じ化学反応を触媒する酵素の密接に関係するバリアントを意味する。
【0057】
「異性体」は、以下で定義する通りの「立体異性体」および「幾何異性体」を意味する。
【0058】
「立体異性体」は、それぞれRまたはS配置で存在し得る、1つまたは複数のキラル中心を保有する化合物を指す。立体異性体は、すべてのジアステレオマー、エナンチオマーおよびエピマー形態ならびにそれらのラセミ体および混合物を包含する。
【0059】
「幾何異性体」は、シス、トランス、アンチ、エントゲーゲン(E)およびツザンメン(Z)形態ならびにそれらの混合物で存在し得る化合物を指す。
【0060】
本明細書では、用語「置換基」、「ラジカル」および「基」を交換可能に使用する。
【0061】
置換基が、ある群から「独立して選択される」として記述されているならば、置換基の各事例は、互いに独立して選択される。したがって、各置換基は、他の置換基と同一であってよく、または異なっていてよい。
【0062】
本明細書において使用される場合、用語「式I」は、以後、「本発明の化合物」と称され得る。そのような用語は、その水和物、溶媒和物、異性体、結晶性および非結晶性形態、同形、多形ならびに代謝産物を包含する、本発明の化合物のすべての形態を包含するようにも定義されている。例えば、本発明の化合物、または薬学的に許容できるその塩は、非溶媒和および溶媒和形態で存在し得る。溶媒または水が密接に結合している場合、錯体は、湿度とは無関係に、明確な化学量論を有することになる。しかしながら、溶媒または水の結合が弱い場合、チャネル溶媒和物および吸湿性化合物のように、水/溶媒含有量は湿度および乾燥条件に依存することになる。そのような事例では、非化学量論を基準とする。
【0063】
本発明の化合物は、クラスレートまたは他の錯体として存在し得る。クラスレート、薬物−宿主包接錯体等の錯体が、本発明の範囲内に包含され、ここで、薬物および宿主は、化学量論的または非化学量論的量で存在する。化学量論的または非化学量論的量であってよい、2つ以上の有機および/または無機成分を含有する本発明の化合物の錯体も包含される。得られた錯体は、イオン化、部分イオン化、または非イオン化であってよい。そのような錯体の総説については、J Pharm Sci.、64(8)、1269〜1288、Haleblian著(1975年8月)を参照されたい。
【0064】
本発明の化合物のいくつかは、不斉炭素原子を有する。本発明の化合物の炭素−炭素結合は、本明細書において、実線(
【0067】
【化5】
)を使用して示されることがある。不斉炭素原子との結合を示すための実線の使用は、その炭素原子におけるすべての可能な立体異性体(例えば、具体的なエナンチオマー、ラセミ混合物等)が包含されることを示すことを意味する。不斉炭素原子との結合を示すため
の中実楔または破線楔の使用は、示されている立体異性体が存在することを示すことを意味する。ラセミ化合物中に存在する場合、中実楔および破線楔は、絶対立体化学よりもむしろ相対立体化学を定義するために使用される。そのような示されている相対立体化学を保有するラセミ化合物には、(+/−)が付けられている。別段の定めがない限り、本発明の化合物は、シスおよびトランス異性体、RおよびSエナンチオマー等の光学異性体、ジアステレオマー、幾何異性体、回転異性体、配座異性体、アトロプ異性体、ならびにそれらの混合物(ラセミ体およびジアステレオマー対等)を包含する、立体異性体として存在できることが意図されている。本発明の化合物は、1種類を超える異性を呈し得る。対イオンが光学活性の、例えば、D−乳酸もしくはL−リジン、またはラセミの、例えば、DL−酒石酸もしくはDL−アルギニンである酸付加または塩基付加塩も包含される。
【0068】
任意のラセミ体が結晶化する場合、2つの異なる種類の結晶が可能である。第一の種類は、等モル量で両エナンチオマーを含有する1つの均質な形態の結晶が生成される、上記で言及したラセミ化合物(真のラセミ体)である。第二の種類は、それぞれが単一のエナンチオマーを含む2種の形態の結晶が等モル量で生成されるラセミ混合物またはコングロメレートである。
【0069】
本発明の化合物は、無機または有機酸から誘導される塩の形態で使用されてよい。特定の化合物に応じて、化合物の塩は、異なる温度および湿度における薬学的安定性の強化、または水もしくは油中での望ましい溶解性等、塩の物理的特性のうちの1つまたは複数により、有利となり得る。いくつかの場合において、化合物の塩は、化合物の単離、精製および/または分割における助剤として使用されることもある。
【0070】
ある塩が、患者に投与されることが意図されている場合(例えば、インビトロの状況で使用されるのとは対照的に)、該塩は、好ましくは、薬学的に許容できる。用語「薬学的に許容できる塩」は、本発明の化合物を、そのアニオンまたはカチオンが、哺乳類による消費に好適であると概してみなされている酸または塩基と組み合わせることによって調製された塩を指す。薬学的に許容できる塩は、親化合物と比較して大きいそれらの水溶解度により、本発明の方法の生成物として特に有用である。
【0071】
本発明の化合物の好適な薬学的に許容できる酸付加塩は、可能な場合、塩酸、臭化水素酸、フッ化水素酸、ホウ酸、ホウフッ化水素酸、リン酸、メタリン酸、硝酸、カルボン酸、スルホン酸および硫酸等であるがこれらに限定されない無機酸、ならびに、酢酸、ベンゼンスルホン酸、安息香酸、クエン酸、エタンスルホン酸、フマル酸、グルコン酸、グリコール酸、イソチオン酸、乳酸、ラクトビオン酸、マレイン酸、リンゴ酸、メタンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、コハク酸、トルエンスルホン酸、酒石酸およびトリフルオロ酢酸等の有機酸から誘導されたものを包含する。好適な有機酸は、概して、脂肪族、脂環式、芳香族、芳香脂肪族(araliphatic)、複素環式、カルボン酸およびスルホン酸クラスの有機酸を包含するがこれらに限定されない。
【0072】
好適な有機酸の具体例は、酢酸、トリフルオロ酢酸、ギ酸、プロピオン酸、コハク酸、グリコール酸、グルコン酸、ジグルコン酸、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、アスコルビン酸、グロクロン酸、マレイン酸、フマル酸、ピルビン酸、アスパラギン酸、グルタミン酸、安息香酸、アントラニル酸、ステアリン酸、サリチル酸、p−ヒドロキシ安息香酸、フェニル酢酸、マンデル酸、エンボン酸(パモ酸)、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、パントテン酸、トルエンスルホン酸、2−ヒドロキシエタンスルホン酸、スルファニル酸(sufanilate)、シクロヘキシルアミノ−エタンスルホン酸、アルゲン酸、β−ヒドロキシ酪酸、ガラクタル酸、ガラクツロン酸、アジピン酸、アルギン酸、酪酸、樟脳、樟脳スルホン酸、シクロペンタンプロピオン酸、ドデシル硫酸、グリコヘプタン酸、グリセロリン酸、ヘプタン酸、ヘキサン酸、ニコチン酸、
2−ナフタレン−スルホン酸、シュウ酸、パルモ酸、ペクチン酸(pectinate)、3−フェニルプロピオン酸、ピクリン酸、ピバル酸、チオシアン酸およびウンデカン酸を包含するがこれらに限定されない。
【0073】
さらに、本発明の化合物が酸性部分を担持する場合、好適な薬学的に許容できるその塩は、アルカリ金属塩、例えば、ナトリウムまたはカリウム塩;アルカリ土類金属塩、例えば、カルシウムまたはマグネシウム塩;ならびに好適な有機リガンドと形成された塩、例えば、第四級アンモニウム塩を包含し得る。別の実施形態において、塩基塩は、アルミニウム塩、アルギニン塩、ベンザチン塩、コリン塩、ジエチルアミン塩、ジオールアミン塩、グリシン塩、リジン塩、メグルミン塩、オラミン塩、トロメタミン塩および亜鉛塩を包含する、非毒性塩を形成する塩基から形成される。
【0074】
有機塩は、トロメタミン、ジエチルアミン、N,N’−ジベンジルエチレンジアミン、クロロプロカイン、コリン、ジエタノールアミン、エチレンジアミン、メグルミン(N−メチルグルカミン)およびプロカイン等の、第二級、第三級または第四級アミン塩から作製され得る。塩基性窒素含有基は、低級アルキル(C
1〜C
6)ハロゲン化物(例えば、塩化、臭化およびヨウ化メチル、塩化、臭化およびヨウ化エチル、塩化、臭化およびヨウ化プロピル、ならびに塩化、臭化およびヨウ化ブチル)、硫酸ジアルキル(例えば、硫酸ジメチル、硫酸ジエチル、硫酸ジブチル、および硫酸ジアミル)、長鎖ハロゲン化物(例えば、塩化、臭化およびヨウ化デシル、塩化、臭化およびヨウ化ラウリル、塩化、臭化およびヨウ化ミリスチル、ならびに塩化、臭化およびヨウ化ステアリル)、アリールアルキルハロゲン化物(例えば、臭化ベンジルおよび臭化フェネチル)ならびにその他等の物質で四級化されていてよい。
【0075】
一実施形態において、酸および塩基のヘミ塩、例えばヘミ硫酸塩およびヘミカルシウム塩も形成され得る。
【0076】
本発明のある特定の化合物は、幾何異性体として存在し得る。本発明の化合物は、1つまたは複数の不斉中心を保有していてよく、それ故に、2つ以上の立体異性形態として存在し得る。本発明は、本発明の化合物のすべての個々の立体異性体および幾何異性体ならびにそれらの混合物を包含する。個々のエナンチオマーは、キラル分離によって、または合成において関連する鏡像異性体を使用することによって得ることができる。
【0077】
加えて、本発明の化合物は、非溶媒和、ならびに水、エタノール等の薬学的に許容できる溶媒との溶媒和形態で、存在することができる。概して、溶媒和形態は、本発明の目的のために非溶媒和形態と同等であるとみなされる。化合物は、1つまたは複数の結晶性状態、すなわち多形として存在してもよいし、非晶質固体として存在してもよい。すべてのそのような形態は、特許請求の範囲によって包括される。
【0078】
本発明の化合物のいわゆる「プロドラッグ」も、本発明の範囲内である。それ故に、それら自体は薬理活性をほとんどまたは全く有し得ない本発明の化合物のある特定の誘導体は、体内または体表面に投与されると、例えば加水分解開裂によって、所望の活性を有する本発明の化合物に変換され得る。そのような誘導体を、「プロドラッグ」と称する。プロドラッグの使用についてのさらなる情報は、「Pro−drugs as Novel
Delivery Systems、第14巻、ACS Symposium Series(T.HiguchiおよびW.Stella)および「Bioreversible Carriers in Drug Design」、Pergamon Press、1987(E.B.Roche編、American Pharmaceutical Association)において見ることができる。本発明に従うプロドラッグは、例えば、本発明の化合物中に存在する適切な官能基を、例えば、「Design o
f Prodrugs」、H.Bundgaard著(Elsevier、1985)において記述されている通り、「プロ部分」として当業者に公知のある特定の部分で置きかえることによって生成され得る。
【0079】
本発明は、保護基を含有する本発明の化合物も包括する。当業者ならば、本発明の化合物を、精製または貯蔵に有用であり、患者への投与前に除去できる、ある特定の保護基を用いて調製することもできることが分かるであろう。官能基の保護および脱保護は、「Protective Groups in Organic Chemistry」、J.W.F.McOmie編、Plenum Press(1973)ならびに「Protective Groups in Organic Synthesis」、第3版、T.W.GreeneおよびP.G.M.Wuts、Wiley−Interscience(1999)において記述されている。
【0080】
本発明は、1個または複数の原子が、同じ原子番号を有するが、原子質量または質量数が自然界で優勢な原子質量または質量数とは異なる原子によって置きかえられている、本明細書において列挙されているものと同一である薬学的に許容できる同位体標識化合物もすべて包含する。本発明の化合物への包含に好適な同位体の例は、
2H、
3H等の水素;
11C、
13Cおよび
14C等の炭素;
36Cl等の塩素;
18F等のフッ素;
123Iおよび
125I等のヨウ素;
13Nおよび
15N等の窒素;
15O、
17Oおよび
18O等の酸素;
32P等のリン;ならびに
35S等の硫黄の同位体を包含するがこれらに限定されない。本発明のある特定の同位体標識化合物、例えば、放射性同位体を組み込んだものは、薬物および/または基質組織分布研究(例えば、アッセイ)において有用である。放射性同位体トリチウム、すなわち
3H、および炭素−14、すなわち
14Cは、それらの組み込みの容易性および即時の検出手段を考慮すると、この目的に特に有用である。重水素、すなわち
2H等のより重い同位体による置換は、より優れた代謝安定性によって生じるある特定の治療上の利点、例えば、インビボ半減期の増大または必要用量の減少を生じさせることができ、それ故、一部の状況において好ましい場合がある。
11C、
15F、
18F、
15Oおよび
13N等の陽電子放射同位体による置換は、基質受容体占有率を調査するための陽電子放射断層撮影法(PET)研究において有用となり得る。本発明の同位体標識化合物は、概して、当業者に公知である従来の技術によって、または付随するスキームにおいて、ならびに/もしくは実施例および調製において記述されているものと類似のプロセスによって、これまでに用いられた非標識試薬の代わりに適切な同位体標識試薬を使用することにより、調製され得る。本発明に従う薬学的に許容できる溶媒和物は、結晶化の溶媒が同位体置換されていてよいもの、例えば、D
2O、アセトン−d
6またはDMSO−d
6を包含する。後述する実施例1〜104において例示されている化合物を包含する本発明の化合物は、重水素化およびトリチウム化同位体ならびに上記で論じられているすべての他の同位体等であるがこれらに限定されない、これらの化合物の同位体標識型を包含する。
【0081】
化合物
式Iの化合物は、上述した通り、イミダゾ[1,2−b]ピリダジンコアを含有し、ここで、コアは、3位で、1から3個のR
2で置換されていてもよいR
1部分によって置換されており、5、6および/または7位でR
3部分によって置換されていてもよく、イミダゾ[1,2−b]ピリダジンコアの2位に結合しているアミド部分の窒素は、R
6およびR
7で置換されている。
【0082】
一実施形態において、上述した通りの式I中、mは、0であり、R
1は、1から3個のR
2で置換されていてもよい(4〜10員)ヘテロシクロアルキルである。
【0083】
ある特定の実施形態において、R
1が、置換されていてもよい(4〜10員)ヘテロシ
クロアルキルである場合、ヘテロシクロアルキルは、アゼチジニル、ジヒドロフラニル、ジヒドロチオフェニル、テトラヒドロチオフェニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロトリアジニル、テトラヒドロピラゾリル、テトラヒドロオキサジニル、テトラヒドロピリミジニル、オクタヒドロベンゾフラニル、オクタヒドロベンゾイミダゾリル、オクタオヒドロベンゾチアゾリル、イミダゾリジニル、ピロリジニル、ピペリジニル、ピペラジニル、オキサゾリジニル、イソチアゾリジニル、チアゾリジニル、ピラゾリジニル、チオモルホリニル、テトラヒドロピラニル、テトラヒドロチアジニル、テトラヒドロチアジアジニル、テトラヒドロオキサゾリル、モルホリニル、オキセタニル、テトラヒドロジアジニル、ジヒドロオキサジニル、オキサチアジニル、キヌクリジニル、クロマニル、イソクロマニル、ジヒドロベンゾジオキシニル、ベンゾジオキソリル、ベンゾオキサジニル、インドリニル、ジヒドロベンゾフラニル、テトラヒドロキノリル、イソクロマニル、ジヒドロ−1H−イソインドリル、2−アザビシクロ[2.2.1]ヘプタノニル、3−アザビシクロ[3.1.0]ヘキサニル、および3−アザビシクロ[4.1.0]ヘプタニルからなる群から選択される。
【0084】
ある特定の他の実施形態において、R
1が、置換されていてもよい(4〜10員)ヘテロシクロアルキルである場合、ヘテロシクロアルキルは、ジヒドロベンゾフラニル、ベンゾジオキソリルまたはジヒドロベンゾジオキシニルから選択される。
【0085】
別の実施形態において、上述した通りの式I中、R
1は、1から3個のR
2で置換されていてもよい(C
6〜C
10)アリールである。
【0086】
ある特定の実施形態において、R
1が、置換されていてもよい(C
6〜C
10)アリールである場合、アリールは、フェニルまたはナフチルから選択される。
【0087】
ある特定の他の実施形態において、R
1が、置換されていてもよい(C
6〜C
10)アリールである場合、アリールは、フェニルである。
【0088】
別の実施形態において、上述した通りの式I中、R
1は、1から3個のR
2で置換されていてもよい(5〜14員)ヘテロアリールである。
【0089】
ある特定の実施形態において、R
1は、置換されていてもよい(5〜10員)ヘテロアリールである。
【0090】
ある特定の他の実施形態において、R
1が、置換されていてもよい(5〜10員)ヘテロアリールである場合、ヘテロアリールは、トリアゾリル、イミダゾリル、フラニル、イソオキサゾリル、イソチアゾリル、1,2,3−、1,2,4、1,2,5−、または1,3,4−オキサジアゾリル、オキサゾリル、チオフェニル、チアゾリル、イソチアゾリル、ピラゾリル、ピリジニル、ピラジニル、ピリミジニル、ピリダジニル、インドリル、インダゾリル、ベンゾフラニル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾチエニル、ベンゾオキサジアゾリル、ベンゾチアゾリル、イソベンゾチオフラニル、ベンゾチオフラニル、ベンゾイソオキサゾリル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾジオキソリル、フラノピリジニル、プリニル、イミダゾピリジニル、イミダゾピリミジニル、ピロロピリジニル、ピラゾロピリジニル、ピラゾロピリミジニル、チエノピリジニル、トリアゾロピリミジニル、トリアゾロピリジニル、キノリニル、イソキノリニル、シンノリニル、キナゾリニル、オキソクロメニル、および1,4−ベンゾオキサジニルからなる群から選択される。
【0091】
ある特定の他の実施形態において、R
1は、置換されていてもよい(5〜10員)窒素含有ヘテロアリールである。例えば、R
1が、置換されていてもよい(5〜10員)窒素含有ヘテロアリールである場合、ヘテロアリールは、トリアゾリル、イミダゾリル、ピラ
ゾリル、ピリジニル、ピラジニル、ピリミジニル、ピリダジニル、インドリル、インダゾリル、ベンズイミダゾリル、プリニル、イミダゾピリジニル、イミダゾピリミジニル、ピロロピリジニル、トリアゾロピリミジニル、トリアゾロピリジニル、ピラゾロピリジニル、ピラゾロピリミジニル、キノリニル、シンノリニル、キナゾリニル、イソキノリニルまたはキノキサリニルから選択される。
【0092】
ある特定の他の実施形態において、R
1が、置換されていてもよい(5〜10員)窒素含有ヘテロアリールである場合、ヘテロアリールは、トリアゾリル、イミダゾリル、ピラゾリル、ピリジニル、ピラジニル、ピリミジニル、ピリダジニル、トリアゾロピリジニル、ピラゾロピリジニル、ピラゾロピリミジニルまたはキノキサリニルから選択される。
【0093】
ある特定の他の実施形態において、R
1は、置換されていてもよい(6員)窒素含有ヘテロアリールである。例えば、R
1が、置換されていてもよい(6員)窒素含有ヘテロアリールである場合、ヘテロアリールは、ピリジニル、ピラジニル、ピリミジニルまたはピリダジニルから選択される。
【0094】
ある特定の実施形態において、R
1が、置換されていてもよい(6員)窒素含有ヘテロアリールである場合、ヘテロアリールは、ピリミジニルまたはピリジニルから選択される。
【0095】
ある特定の他の実施形態において、R
1は、置換されていてもよい(5員)窒素含有ヘテロアリールである。例えば、R
1が、置換されていてもよい(5員)窒素含有ヘテロアリールである場合、ヘテロアリールは、トリアゾリル、イミダゾリルまたはピラゾリルから選択される。
【0096】
前述の実施形態のいずれかにおいて、化学的に容認できる場合、R
1が、1から3個のR
2で置換されている場合、各R
2は、ハロゲン、オキソ、シアノ、ヒドロキシ、置換されていてもよい(C
1〜C
6)アルキルおよび置換されていてもよい(C
1〜C
6)アルコキシからなる群から独立して選択される。
【0097】
ある特定の実施形態において、R
2が、ハロゲンである場合、ハロゲンは、フルオロおよびクロロから選択される。
【0098】
ある特定の他の実施形態において、R
2が、置換されていてもよい(C
1〜C
6)アルキルである場合、アルキルは、メチル、エチルまたはプロピルから選択され、メチル、エチルおよびプロピルは、1から3個のフッ素原子で置換されていてもよい。例えば、置換されていてもよいアルキルは、フルオロメチル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、フルオロエチル、ジフルオロエチル、トリフルオロエチル等を包含するがこれらに限定されない。
【0099】
また別の実施形態において、R
2が、置換されていてもよい(C
1〜C
6)アルコキシである場合、アルコキシは、メトキシ、エトキシまたはプロポキシから選択され、メトキシ、エトキシおよびプロポキシは、1から3個のフッ素原子で置換されていてもよい。例えば、置換されていてもよいアルコキシは、フルオロメトキシ、ジフルオロメトキシ、トリフルオロメトキシ、フルオロエトキシ、ジフルオロエトキシ、トリフルオロエトキシ等を包含するがこれらに限定されない。
【0100】
R
1の上述の亜属のいずれかを、上記および以下で記述されている通りの、R
3、R
6およびR
7についての実施形態のいずれかと一緒に組み合わせることができることを理解されたい。例えば、一実施形態において、R
1が、置換されていてもよい(C
6〜C
10
)アリールであり、アリールがフェニルである場合、bは0であってよく(R
3は、存在せず)、R
6およびR
7の一方は水素、他方は、シクロプロピル等の、置換されていてもよい(C
3〜C
8)シクロアルキルであってよい。
【0101】
別の実施形態において、上述した通りの式I中、nは、0、1または2から選択される整数であり、R
6およびR
7は、水素、置換されていてもよい(C
1〜C
6)アルキル、−(CH
2)
n−(C
3〜C
8)シクロアルキル、−(CH
2)
n−(C
6〜C
10)アリールおよび−(CH
2)
n−(5〜6員)ヘテロアリールからなる群からそれぞれ独立して選択され、化学的に容認できる場合、(C
3〜C
8)シクロアルキル、(C
6〜C
10)アリールおよび(5〜6員)ヘテロアリールは、1から3個のR
8で置換されていてもよいか、または
R
6およびR
7は、それらが結合した窒素と一緒になって、(4〜6員)ヘテロシクロアルキルを形成し、化学的に容認できる場合、(4〜6員)−ヘテロシクロアルキルは、1から3個のR
9で置換されていてもよく、
存在する場合、各R
8は、ハロゲン、オキソ、シアノ、ヒドロキシ、−SF
5、ニトロ、置換されていてもよい(C
1〜C
6)アルキル、置換されていてもよい(C
2〜C
6)アルケニル、置換されていてもよい(C
2〜C
6)アルキニル、置換されていてもよい(C
1〜C
6)アルキルチオ、置換されていてもよい(C
1〜C
6)アルコキシ、−N(R
4)(R
5)、−N(R
4)(C=(O)R
5)、−C(=O)N(R
4)(R
5)、−C(=O)−O−N(R
4)(R
5)、−C(=O)−R
4および−C(=O)−OR
4からなる群から独立して選択され、
存在する場合、各R
9は、ハロゲン、オキソ、シアノ、ヒドロキシ、−SF
5、ニトロ、置換されていてもよい(C
1〜C
6)アルキル、置換されていてもよい(C
2〜C
6)アルケニル、置換されていてもよい(C
2〜C
6)アルキニル、置換されていてもよい(C
1〜C
6)アルキルチオ、置換されていてもよい(C
1〜C
6)アルコキシ、−N(R
4)(R
5)、−N(R
4)(C=(O)R
5)、−C(=O)N(R
4)(R
5)、−C(=O)−O−N(R
4)(R
5)、−C(=O)−R
4および−C(=O)−OR
4からなる群から独立して選択される。
【0102】
ある特定の実施形態において、上述した通りの式I中、R
6およびR
7の一方は水素であり、他方は、置換されていてもよい(C
1〜C
6)アルキルである。
【0103】
ある特定の実施形態において、R
6およびR
7の一方が、置換されていてもよい(C
1〜C
6)アルキルである場合、アルキルは、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、tert−ブチル、ペンチルおよびヘキシルからなる群から選択され、ここで、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、tert−ブチル、ペンチルおよびヘキシルは、1個または複数のフッ素原子で置換されていてもよい。
【0104】
ある特定の他の実施形態において、R
6およびR
7の一方が、置換されていてもよい(C
1〜C
6)アルキルである場合、アルキルは、メチル、エチルまたはプロピルから選択され、メチル、エチルおよびプロピルは、1から3個のフッ素原子で置換されていてもよい。例えば、置換されていてもよい(C
1〜C
6)アルキルは、フルオロメチル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、フルオロエチル、ジフルオロエチルまたはトリフルオロエチルから選択される。
【0105】
別の実施形態において、上述した通りの式I中、nは、0、1または2から選択される整数であり、R
6およびR
7の一方は水素であり、他方は、−(CH
2)
n−(C
3〜C
8)シクロアルキルであり、ここで、シクロアルキルは、1から3個のR
8で置換されていてもよい。
【0106】
ある特定の実施形態において、R
6およびR
7の一方が、置換されていてもよい(C
3〜C
8)シクロアルキルである場合、シクロアルキルは、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロオクチルまたはビシクロ[1.1.1]ペンチルから選択される。
【0107】
ある特定の実施形態において、R
6およびR
7の一方が、置換されていてもよい(C
3〜C
8)シクロアルキルである場合、シクロアルキルは、シクロプロピルまたはビシクロ[1.1.1]ペンチルから選択される。
【0108】
ある特定の実施形態において、R
6およびR
7の一方が、置換されていてもよい(C
3〜C
8)シクロアルキルである場合、シクロアルキルは、シクロプロピルである。
【0109】
別の実施形態において、上述した通りの式I中、nは、0、1または2から選択され、R
6およびR
7の一方は水素であり、他方は、−(CH
2)
n−(C
6〜C
10)アリールであり、ここで、アリールは、1から3個のR
8で置換されていてもよい。
【0110】
ある特定の実施形態において、R
6およびR
7の一方が、置換されていてもよい(C
6〜C
10)アリールである場合、(C
6〜C
10)アリールは、フェニルまたはナフチルから選択される。
【0111】
ある特定の実施形態において、R
6およびR
7の一方が、置換されていてもよい(C
6〜C
10)アリールである場合、(C
6〜C
10)アリールは、フェニルである。
【0112】
別の実施形態において、上述した通りの式I中、R
6およびR
7の一方は水素であり、他方は、−(CH
2)
n−(5〜6員)ヘテロアリールであり、ここで、ヘテロアリールは、1から3個のR
8で置換されていてもよい。
【0113】
ある特定の実施形態において、R
6およびR
7の一方が、置換されていてもよい(5〜6員)ヘテロアリールである場合、ヘテロアリールは、トリアゾリル、イミダゾリル、フラニル、イソオキサゾリル、イソチアゾリル、1,2,3−、1,2,4、1,2,5−もしくは1,3,4−オキサジアゾリル、オキサゾリル、チオフェニル、チアゾリル、イソチアゾリル、ピラゾリル、ピリジニル、ピラジニル、ピリミジニルまたはピリダジニルから選択される。
【0114】
ある特定の実施形態において、R
6およびR
7の一方が、置換されていてもよい(5〜6員)ヘテロアリールである場合、ヘテロアリールは、オキサゾリルである。
【0115】
ある特定の実施形態において、R
6およびR
7の一方が、置換されていてもよい(5〜6員)ヘテロアリールである場合、ヘテロアリールは、(5〜6員)窒素含有ヘテロアリールである。
【0116】
ある特定の実施形態において、R
6およびR
7の一方が、置換されていてもよい(5〜6員)窒素含有ヘテロアリールである場合、ヘテロアリールは、トリアゾリル、イミダゾリル、ピラゾリル、ピリジニル、ピラジニル、ピリミジニルまたはピリダジニルから選択される。
【0117】
ある特定の実施形態において、R
6およびR
7の一方が、置換されていてもよい(5〜6員)窒素含有ヘテロアリールである場合、ヘテロアリールは、トリアゾリル、ピラゾリルまたはピリミジニルから選択される。
【0118】
前述の実施形態のいずれかにおいて、R
6およびR
7の一方が、1から3個のR
8で置換されている、(C
3〜C
8)シクロアルキル、(C
6〜C
10)アリールまたは(5〜6員)ヘテロアリールである場合、各R
8は、ハロゲン、オキソ、シアノ、ヒドロキシ、置換されていてもよい(C
1〜C
6)アルキルおよび置換されていてもよい(C
1〜C
6)アルコキシからなる群から独立して選択される。
【0119】
ある特定の実施形態において、R
8が、ハロゲンである場合、ハロゲンは、フルオロおよびクロロから選択される。
【0120】
ある特定の他の実施形態において、R
8が、置換されていてもよい(C
1〜C
6)アルキルである場合、アルキルは、メチル、エチルまたはプロピルから選択され、メチル、エチルおよびプロピルは、1から3個のフッ素原子で置換されていてもよい。例えば、置換されていてもよいアルキルは、フルオロメチル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、フルオロエチル、ジフルオロエチル、トリフルオロエチル等を包含するがこれらに限定されない。
【0121】
また別の実施形態において、R
8が、置換されていてもよい(C
1〜C
6)アルコキシである場合、アルコキシは、メトキシ、エトキシまたはプロポキシから選択され、メトキシ、エトキシおよびプロポキシは、1から3個のフッ素原子で置換されていてもよい。例えば、置換されていてもよいアルコキシは、フルオロメトキシ、ジフルオロメトキシ、トリフルオロメトキシ、フルオロエトキシ、ジフルオロエトキシ、トリフルオロエトキシ等を包含するがこれらに限定されない。
【0122】
別の実施形態において、上述した通りの式I中、R
6およびR
7は、それらが結合した窒素と一緒になって、1から3個のR
9で置換されていてもよい、(4〜6員)ヘテロシクロアルキルを形成する。
【0123】
ある特定の実施形態において、R
6およびR
7が、それらが結合した窒素と一緒になって、(4〜6員)ヘテロシクロアルキルを形成する場合、ヘテロシクロアルキルは、アゼチジニル、テトラヒドロピラゾリル、テオトラヒドロオキサジニル、テトラヒドロピリミジニル、イミダゾリジニル、ピペリジニル、ピペラジニル、オキサゾリジニルまたはピロリジニルから選択される。
【0124】
ある特定の実施形態において、R
6およびR
7が、それらが結合した窒素と一緒になって、(4〜6員)ヘテロシクロアルキルを形成する場合、ヘテロシクロアルキルは、アゼチジニルである。
【0125】
前述の実施形態のいずれかにおいて、R
6およびR
7が、それらが結合した窒素と一緒になって、1から3個のR
9で置換されている(4〜6員)ヘテロシクロアルキルを形成する場合、各R
9は、ハロゲン、オキソ、シアノ、ヒドロキシ、置換されていてもよい(C
1〜C
6)アルキルおよび置換されていてもよい(C
1〜C
6)アルコキシからなる群から独立して選択される。
【0126】
ある特定の実施形態において、R
9が、ハロゲンである場合、ハロゲンは、フルオロおよびクロロから選択される。
【0127】
ある特定の他の実施形態において、R
9が、置換されていてもよい(C
1〜C
6)アルキルである場合、アルキルは、メチル、エチルまたはプロピルから選択され、メチル、エチルおよびプロピルは、1から3個のフッ素原子で置換されていてもよい。例えば、置換されていてもよいアルキルは、フルオロメチル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル
、フルオロエチル、ジフルオロエチル、トリフルオロエチル等を包含するがこれらに限定されない。
【0128】
また別の実施形態において、R
9が、置換されていてもよい(C
1〜C
6)アルコキシである場合、アルコキシは、メトキシ、エトキシまたはプロポキシから選択され、メトキシ、エトキシおよびプロポキシは、1から3個のフッ素原子で置換されていてもよい。例えば、置換されていてもよいアルコキシは、フルオロメトキシ、ジフルオロメトキシ、トリフルオロメトキシ、フルオロエトキシ、ジフルオロエトキシ、トリフルオロエトキシ等を包含するがこれらに限定されない。
【0129】
R
6およびR
7の上述の亜属のいずれかを、上記および以下で記述されている通りの、R
1およびR
3についての実施形態のいずれかと一緒に組み合わせることができることを理解されたい。例えば、一実施形態において、R
6およびR
7の一方が水素であり、他方が、シクロプロピル等の、置換されていてもよい(C
3〜C
8)シクロアルキルである場合、R
1は、置換されていてもよい(C
6〜C
10)アリールであってよく、ここで、アリールはフェニルであり、bは0であってよい(R
3は存在しない)。
【0130】
別の実施形態において、上述した通りの式I中、存在する場合、各R
3は、ハロゲン、シアノ、ヒドロキシ、−SF
5、ニトロ、置換されていてもよい(C
1〜C
6)アルキルおよび置換されていてもよい(C
1〜C
6)アルコキシからなる群から独立して選択される。
【0131】
ある特定の実施形態において、R
3が、ハロゲンである場合、ハロゲンは、フルオロまたはクロロから選択される。
【0132】
ある特定の他の実施形態において、R
3が、置換されていてもよい(C
1〜C
6)アルキルおよび/または置換されていてもよい(C
1〜C
6)アルコキシである場合、(C
1〜C
6)アルキルおよび(C
1〜C
6)アルコキシは、前述の実施形態のいずれかにおいて上述した通りである。
【0133】
R
3の上述の亜属のいずれかを、上述した通り、R
1、R
6およびR
7についての実施形態のいずれかと一緒に組み合わせることができることを理解されたい。
【0134】
別の実施形態において、上述した通りの式I中、前述の実施形態のいずれかにおいて、bは0である。
【0135】
別の実施形態において、本発明の選択された化合物は、それを必要とする哺乳動物(好ましくはヒト)に、治療有効量の、PDE4B活性を阻害するのに有用な本発明の化合物を投与すること、より好ましくは、PDE4Bに対する改善された結合親和性を有し、同時にPDE4Dに対するより低い阻害活性を保有する、ある量の本発明の化合物を投与することを含む、PDE4B媒介性障害を治療することのために有用となり得る。
【0136】
ある特定の他の実施形態において、本発明の選択された化合物は、PDE4Bアイソフォームに対する結合親和性を呈し得る。
【0137】
ある特定の実施形態において、本発明の化合物は、PDE4DアイソフォームよりもPDE4Bアイソフォームに対して強化された結合親和性を有し、そのため、化合物は、PDE4DアイソフォームよりもPDE4Bアイソフォームに対して約2倍から約325倍の結合親和性を示す。ある特定の他の実施形態において、本発明の化合物は、PDE4DアイソフォームよりもPDE4Bアイソフォームに対して、約5倍から約50倍の結合親
和性を示す。ある特定の他の実施形態において、本発明の化合物は、PDE4DアイソフォームよりもPDE4Bアイソフォームに対して、約51倍から約100倍の結合親和性を示す。ある特定の他の実施形態において、本発明の化合物は、PDE4DアイソフォームよりもPDE4Bアイソフォームに対して、約101倍から約200倍の結合親和性を示す。ある特定の他の実施形態において、本発明の化合物は、PDE4DアイソフォームよりもPDE4Bアイソフォームに対して、約201倍から約250倍の結合親和性を示す。ある特定の他の実施形態において、本発明の化合物は、PDE4DアイソフォームよりもPDE4Bアイソフォームに対して約251倍から約300倍の結合親和性を示す。ある特定の他の実施形態において、本発明の化合物は、PDE4DアイソフォームよりもPDE4Bアイソフォームに対して約301倍から約325倍の結合親和性を示す。ある特定の実施形態において、本発明の化合物は、PDE4DアイソフォームよりもPDE4Bアイソフォームに対して、少なくとも約5倍の結合親和性を示す。ある特定の実施形態において、本発明の化合物は、PDE4DアイソフォームよりもPDE4Bアイソフォームに対して、少なくとも約10倍の結合親和性を示す。ある特定の実施形態において、本発明の化合物は、PDE4DアイソフォームよりもPDE4Bアイソフォームに対して、少なくとも約20倍の結合親和性を示す。ある特定の他の実施形態において、本発明の化合物は、PDE4DアイソフォームよりもPDE4Bアイソフォームに対して、少なくとも約40倍の結合親和性を示す。ある特定の他の実施形態において、本発明の化合物は、PDE4DアイソフォームよりもPDE4Bアイソフォームに対して、少なくとも約50倍の結合親和性を示す。ある特定の他の実施形態において、本発明の化合物は、PDE4DアイソフォームよりもPDE4Bアイソフォームに対して、少なくとも約75倍の結合親和性を示す。ある特定の他の実施形態において、本発明の化合物は、PDE4DアイソフォームよりもPDE4Bアイソフォームに対して、少なくとも約100倍の結合親和性を示す。ある特定の他の実施形態において、本発明の化合物は、PDE4DアイソフォームよりもPDE4Bアイソフォームに対して、少なくとも約200倍の結合親和性を示す。ある特定の他の実施形態において、本発明の化合物は、PDE4DアイソフォームよりもPDE4Bアイソフォームに対して少なくとも約300倍の結合親和性を示す。ある特定の他の実施形態において、本発明の化合物は、PDE4DアイソフォームよりもPDE4Bアイソフォームに対して最大約325倍の結合親和性を示す。PDE4BおよびPDE4Dアイソフォームに対する本発明の化合物の結合親和性を、以下の実験の項の表3に示す。
【0138】
別の実施形態において、本発明は、本発明の化合物、または薬学的に許容できるその塩を、少なくとも1つの薬学的に許容できる添加剤と混和して含む、医薬組成物を提供する。
【0139】
また別の実施形態において、それを必要とする患者への本発明の化合物の投与は、他のPDE4アイソフォーム、とりわけPDE4Dアイソフォームに対する結合親和性を有する化合物の投与に関連すると現在考えられている、嘔吐、下痢および悪心等の胃腸の不快感の減少にもつながり得、患者コンプライアンスの向上および全体的な治療成果をもたらす。
【0140】
別の実施形態において、本発明は、中枢神経系(CNS)、神経炎症性、代謝性、自己免疫性および炎症性疾患または障害を治療する方法であって、そのような治療を必要とする哺乳動物、特にヒトに、治療有効量の、本発明の化合物、または薬学的に許容できるその塩を投与するステップを含む、方法を提供する。
【0141】
別の実施形態において、本発明は、中枢神経系(CNS)、神経炎症性、自己免疫性および炎症性疾患または障害を治療するための医薬の製造における、本発明の化合物、または薬学的に許容できるその塩の使用を提供する。
【0142】
薬理学
PDE4ファミリーのホスホジエステラーゼ(PDE)は、第二のメッセンジャー環状ヌクレオチド、アデノシン3’,5’−環状一リン酸(cAMP)の選択的高親和性加水分解を特徴とする。PDE4A、PDE4BおよびPDE4Dサブタイプは、脳の全体にわたって広く発現され、PDE4A、PDE4BおよびPDE4Dサブタイプの局部的な細胞内分布が明確であることが公知であるのに対し、PDE4Cサブタイプは、中枢神経系の全体にわたってより低レベルで発現される(Siuciak,J.A.ら、Antipsychotic profile of rolipram:efficacy in rats and reduced sensitivity in mice deficient in the phosphodiesterase−4B(PDE4B)enzyme、Psychopharmacology(2007)192:415〜424を参照)。PDE4サブタイプの位置により、PDE4サブタイプは、中枢神経系疾患および障害のための新たな治療を探索するための興味深い標的となる。例えば、PDE4Bは、統合失調症の遺伝的感受性因子として同定されている(Millar,J.K.ら、Disrupted in schizophrenia 1 and phosphodiesterase 4B:towards an understanding of psychiatric illness、J.Physiol.584(2007)401〜405頁を参照)。
【0143】
PDE4阻害剤ロリプラムは、神経炎症およびアポトーシス媒介性cAMP/CREBシグナル伝達の減衰を介してAβ誘発性記憶欠損を治療するまたは回復させるのに有用であることが示されており、それ故にPDE4はADに関連する認知欠損の治療の潜在的標的である(Wang,C.ら、The phosphodiesterase−4 inhibitor rolipram reverses Aβ−induced cognitive impairment and neuroinflammatory and apoptotic responses in rats、International Journal of Neuropsychopharmacology(2012)、15、749〜766を参照)。
【0144】
PDE4阻害剤は、cAMPカスケードを正規化することによる抗うつ効果も保有していてよい(Fujita,M.ら、Downregulation of Brain Phosphodiesterase Type IV Measured with
11C−(R)−Rolipram Positron Emission Tomography in Major Depressive Disorder、Biological Psychiatry、72、2012、548〜554を参照)。
【0145】
さらに、PDE4阻害剤は、多発性硬化症の治療を暗示する治療活性を保有することが示されている(Sun,X.ら、Rolipram promotes remyelination possibly via MEK−ERK signal pathway in cuprizone−induced demyelination mouse、Experimental Neurology 2012;237:304〜311を参照)。
【0146】
上記を考慮すると、ある特定の実施形態において、本発明の化合物は、神経学的、神経変性および/または精神医学的障害を包含する、中枢神経系の状態または疾患の治療への幅広い治療用途を有する。神経学的、神経変性および/または精神医学的障害は、(1)気分[情動]障害;(2)不安障害を包含する、神経症的、ストレス性および身体表現性障害;(3)ヒトを包含する哺乳動物における認知障害の症状を含む障害;(4)注意欠陥、実行機能欠陥(ワーキングメモリー欠陥)、衝動制御の機能不全、錐体外路症状、大
脳基底核の機能不良に基づく障害を含む障害;(5)通常は小児期および青年期に発症が起こる行動および情緒障害;(6)心理的発達の障害;(7)主として中枢神経系を侵す全身萎縮;(8)錐体外路および運動障害;(9)生理的乱れおよび物理的要因に関連する行動症候群;(10)成人の人格および行動の障害;(11)統合失調症および他の精神病性障害;(12)精神活性物質使用による精神および行動障害;(13)過度な性的衝動を含む性的機能不全;(14)精神遅滞;(15)虚偽性障害、例えば、急性幻覚躁病;(16)エピソード性および発作性障害、てんかん;(17)ナルコレプシー;および(18)認知症を包含するがこれらに限定されない。
【0147】
本発明によって治療することができる気分[情動]障害の例は、双極性障害I型、軽躁病(躁病および混合型)、双極性障害II型;単一うつ病エピソードまたは再発性大うつ病性障害、慢性うつ病、精神病性うつ病、小うつ病性障害、産後の発症を伴ううつ病性障害、精神病性症状を伴ううつ病性障害等のうつ病性障害;気分循環症、気分変調、安寧等の持続性気分[情動]障害;月経前症候群(PMS)および月経前不快気分障害を包含するがこれらに限定されない。
【0148】
本発明によって治療することができる神経症的、ストレス性および身体表現性障害の例は、不安障害、社会不安障害、全般性不安障害、広場恐怖症を伴うまたは伴わないパニック障害、特定恐怖症、社会恐怖症、慢性不安障害;強迫性障害;心的外傷後ストレス障害(PTSD)、急性ストレス障害等の、重度のストレスに対する反応および適応障害;離人症−現実感喪失症候群等の他の神経症的障害を包含するがこれらに限定されない。
【0149】
「認知障害の症状を含む障害」においてここで使用されるような語句「認知障害」は、記憶、知性、学習および論理能力等の1つもしくは複数の認知的側面における正常以下の機能もしくは次善の機能、または、同じ全年齢人口内の他の個体と比較した特定の個体における注意および実行機能(ワーキングメモリー)を指す。
【0150】
本発明によって治療することができる「認知障害の症状を含む障害」の例は、健忘症、精神病(統合失調症)、パーキンソン病、アルツハイマー病、多発梗塞性認知症、老年性認知症、レビー(Lewis)小体認知症、脳卒中、前頭側頭型認知症、進行性核上麻痺、ハンチントン病、HIV疾患(HIV関連認知症)、脳外傷および薬物乱用に主として関係するがこれらだけではない、認知欠損;軽度認知障害ADHD、アスペルガー症候群、ならびに加齢に伴う記憶機能障害;術後または集中ケア療法に関連する認知低下またはせん妄(delerium)を包含するがこれらに限定されない。
【0151】
本発明によって治療することができる、通常は乳児期、小児期および青年期において最初に診断される障害の例は、活動および注意の乱れ、注意欠陥/多動性障害(ADHD)、多動性行為障害を包含する多動性障害;注意欠陥障害(ADD);うつ病性行為障害を包含するがこれに限定されない行為障害;一過性チック障害、慢性運動または音声チック障害、音声および多発運動性の合併したチック障害(ジル・ドゥ・ラ・トゥレット症候群)、物質誘発性チック障害を包含するチック障害;自閉症障害;バッテン病、過度の自慰、爪を噛むこと、鼻をほじることおよび親指しゃぶりを包含するがこれらに限定されない。
【0152】
本発明によって治療することができる心理的発達の障害の例は、アスペルガー症候群およびレット症候群、自閉症障害、精神遅滞および常同運動に関連する小児自閉症および過活動性障害、運動機能の特異的発達障害、学力の特異的発達障害を包含するがこれらに限定されない広汎性発達障害を包含するがこれらに限定されない。
【0153】
本発明によって治療することができる、主として中枢神経系を侵す全身萎縮の例は、ハ
ンチントン病および筋萎縮性側索硬化症を包含する、主として大脳基底核を侵す多発性硬化症全身萎縮を包含するがこれらに限定されない。
【0154】
本発明によって治療することができる、大脳基底核の機能不良および/または変性を伴う錐体外路および運動障害の例は、パーキンソン病;脳炎後パーキンソニズム等の二次性パーキンソニズム;他の障害に含まれるパーキンソニズム;ニーマン・ピック病、レビー小体病;大脳基底核の神経変性疾患;振戦、本態性振戦および薬物誘発性振戦、ミオクローヌス、舞踏病および薬物誘発性舞踏病、薬物誘発性チックおよび器質因性のチック、薬物誘発性急性ジストニア、薬物誘発性遅発性ジスキネジー、筋肉けいれん、ならびに振戦を包含する筋痙直または衰弱に関連する障害を含む、他の錐体外路および運動障害;精神障害(痙直、ダウン症候群および脆弱性X症候群を包含する)、L−ドーパ誘発性ジスキネジー;むずむず脚症候群およびスティッフマン症候群を包含するがこれらに限定されない。
【0155】
本発明によって治療することができる、大脳基底核の機能不良および/または変性を伴う運動障害のさらなる例は、限局性ジストニア、多巣性ジストニアまたは分節性ジストニア、捻転性ジストニア、大脳半球、全身性および遅発性ジストニア(精神薬理学的薬物によって誘発されたもの)を包含するがこれらに限定されないジストニアを包含するがこれらに限定されない。限局性ジストニアは、頸部ジストニア(斜頸)、眼瞼けいれん(まぶたのけいれん)、虫垂ジストニア(書痙のような四肢におけるけいれん)、または下顎ジストニアおよびけいれん性発声障害(声帯のけいれん);神経弛緩薬性悪性症候群(NMS)、神経弛緩薬誘発性パーキンソニズム、神経弛緩薬誘発性早期発症または急性ジスキネジー、神経弛緩薬誘発性急性ジストニア、神経弛緩薬誘発性急性アカシジア、神経弛緩薬誘発性遅発性ジスキネジー、神経弛緩薬誘発性振戦を包含するがこれらに限定されない神経弛緩薬誘発性運動障害を包含する。
【0156】
本発明による生理的乱れおよび物理的要因に関連する行動症候群の例は、非器質性過眠症、睡眠覚醒スケジュールの非器質性障害(概日リズム睡眠障害)、不眠症、睡眠時随伴症および睡眠不足を包含するがこれらに限定されない非器質性睡眠障害;出生後および分娩後うつ病を包含する産じょく期に関連する精神および行動障害;神経性無食欲症、神経性過食症、むちゃ食い障害、過食症、肥満、強迫性摂食障害および氷食症を包含するがこれらに限定されない摂食障害を包含するがこれらに限定されない。
【0157】
本発明によって治療することができる、成人の人格および行動の障害の例は、情緒不安定の、境界型、強迫神経症性、強迫性、依存性および受動攻撃型パーソナリティ障害を包含するがこれらに限定されないパーソナリティ障害;間欠性爆発性障害、病的賭博、病的放火(放火狂)、病的盗難(窃盗癖)、抜毛癖を包含する習慣および衝動障害(衝動制御障害);ミュンヒハウゼン症候群を包含するがこれらに限定されない。
【0158】
本発明によって治療することができる、統合失調症および他の精神病性障害の例は、異なる種類の継続性またはエピソード性統合失調症(例えば、偏執性、破瓜型、緊張型、未分化型、残留および統合失調症様障害);統合失調症性障害(境界型、潜伏性、精神病前、前駆症状的、偽神経症性偽精神病性統合失調症および統合失調型パーソナリティ障害等);持続性妄想性障害;急性、一過性および持続性精神病性障害;誘発性妄想性障害;異なる種類の統合失調性感情障害(例えば、躁うつまたは混合型);産じょく期精神障害他、ならびに特定不能の非器質性精神障害を包含するがこれらに限定されない。
【0159】
本発明によって治療することができる、精神活性物質使用による精神および行動障害の例は、アルコール、オピオイド、カンナビノイド、鎮静剤または睡眠薬、コカインの使用による精神および行動障害;カフェインを包含する他の刺激物質の使用による精神および
行動障害、薬物依存および乱用(例えば、麻薬依存、アルコール依存症、アンフェタミンおよびメタンフェタミン依存、オピオイド依存、コカイン中毒、ニコチン依存、ならびに薬物離脱症候群、ならびに再発予防)、幻覚剤、タバコ(ニコチン)、揮発性溶剤の使用による精神および行動障害、ならびに、下記のサブタイプ症状:有害な使用、依存症候群、離脱状態、およびせん妄を伴う離脱状態を包含する、多剤使用および他の精神活性物質の使用による精神および行動障害を包含するがこれらに限定されない。
【0160】
本発明によって治療することができる認知症の例は、血管性認知症、クロイツフェルト・ヤコブ(Creutzfeld−Jacob)病、HIV、頭部外傷、パーキンソン病、ハンチントン病、ピック病による認知症、アルツハイマー型の認知症を包含するがこれらに限定されない。
【0161】
ある特定の実施形態において、本発明は、治療有効量の本発明の化合物の、それを必要とする患者への投与による、統合失調症の治療のための方法を対象とする。
【0162】
ある特定の他の実施形態において、本発明はさらに、治療有効量の本発明の化合物の、それを必要とする患者への投与による、統合失調症に関連する認知機能障害の治療のための方法を対象とする。
【0163】
上記で言及した中枢神経系障害に加えて、好酸球、好中球および単球における、スーパーオキシド産生、脱顆粒、走化性および腫瘍壊死因子(TNF)放出の阻害をcAMP増大に加えて包含する、種々の自己免疫性および炎症性細胞応答に対するPDE阻害剤の効果について記述している、広範な文献が当技術分野にはある。したがって、本発明の化合物は、自己免疫性および炎症性疾患を治療するために有用となり得る(Schett,G.ら、Apremilast:A novel PDE4 Inhibitor in the Treatment of Autoimmune and Inflammatory Diseases、Ther.Adv.Musculoskeletal Dis.2010;2(5):271〜278を参照)。例えば、本発明の化合物は、ベーチェット病に関連する口腔潰瘍の治療に有用となり得る。本発明の化合物は、関節炎に関連する疼痛の治療(Hess,A.ら、Blockade of TNF−α rapidly inhibits pain responses in the central nervous system、PNAS、第108巻、第9号、3731〜3736(2011)を参照)または乾癬もしくは乾癬性関節炎の治療(Schafer,P.、Apremilast mechanism of action and application to psoriasis and psoriatic arthritis、Biochem.Pharmacol.(2012)、15;83(12):1583〜90を参照)にも有用となり得る。したがって、本発明の化合物は、強直性脊椎炎の治療にも有用となり得る[Patan,E.ら、Efficacy and safety of apremilast,an oral phosphodiesterase 4 inhibitor,in ankylosing spondylitis、Ann.Rheum.Dis.(2102年9月14日)を参照]。本発明の化合物の投与によって治療可能な他の状態は、喘息、慢性または急性気管支収縮、慢性気管支炎、気管支拡張症、小気道閉塞、気腫、閉塞性または炎症性気道疾患、急性呼吸窮迫症候群(ARDS)、COPD、塵肺症、季節性アレルギー性鼻炎または通年性アレルギー性鼻炎または副鼻腔炎、および急性肺損傷(ALI)等であるがこれらに限定されない急性および慢性気道疾患を包含するがこれらに限定されない。
【0164】
また別の実施形態において、本発明の化合物は、関節リウマチ、痛風、ならびに炎症に関連する発熱、浮腫および疼痛、好酸球関連障害、皮膚炎または湿疹、じんましん、結膜炎、ブドウ膜炎、乾癬、炎症性腸疾患、敗血症、敗血性ショック、肝臓損傷、肺高血圧症
、肺水腫、骨量減少疾患、ならびに感染症を治療するために有用となり得る。
【0165】
また別の実施形態において、本発明の化合物は、がんを治療するために有用となり得る。例えば、本発明の化合物は、脳腫瘍(例えば、髄芽腫)の治療に有用となり得る(Schmidt,A.L.、BDNF and PDE4,but not GRPR,Regulate Viability of Human Medulloblastoma Cells、J.Mol.Neuroscience(2010)40:303〜310を参照)。本発明の化合物は、黒色腫を治療するためにも有用となり得る(Marquette,A.ら、ERK and PDE4 cooperate to induce RAF isoform switching in melanoma、Nature Structural&Molecular Biology、第18巻、第5号、584〜91、2011を参照)。ある特定の実施形態において、本発明の化合物は、白血病、例えば、慢性リンパ球性白血病を治療するために有用となり得る(Kim,D.H.ら、Type 4 Cyclic Adenosine Monophosphate Phosphodiesterase as a Therapeutic Target in Chronic Lymphocytic Leukemia、Blood Journal of The American Society of Hematology、1998年10月1日、第92巻、第7号 2484〜2494参照)。他の実施形態において、化合物は、脳または眼科(ophthamological)腫瘍を治療するために有用となり得る。
【0166】
ある特定の他の実施形態において、本発明の化合物は、糖尿病または糖尿病に関連する疾患を治療するために有用となり得る(Vollert,S.ら、The glucose−lowering effects of the PDE4 inhibitors roflumilast and roflumilast−N−oxide in
db/db mice、Diabetologia(2012)55:2779〜2788、Wouters,E.F.M.ら、Effect of the Phosphodiesterase 4 Inhibitor Roflumilast on Glucose Metabolism in Patients with Treatment−Naive,Newly Diagnosed Type 2 Diabetes Mellitus、Journal of Clinical Endocrinology and Metabolism 2012、97、1720〜1725を参照)。他の例は、糖尿病性黄斑変性、糖尿病性ニューロパチー、肥満、2型糖尿病(インスリン非依存性真性糖尿病)、メタボリックシンドローム、グルコース不耐性、尿失禁(例えば、膀胱過活動)、糖尿病性黄斑浮腫、腎症および関連する健康リスク、症状または障害を包含するがこれらに限定されない。そのため、化合物を使用して、過体重または肥満の個体の体脂肪または体重を低減させることもできる。
【0167】
ある特定の他の実施形態において、本発明の化合物は、内皮活性の強化、内皮障壁機能の低下および/または敗血性ショック等の血管新生の強化;血管性浮腫、末梢性浮腫、交通性または非交通性水頭症、血管浮腫、脳浮腫;ナトリウム利尿(natriuria)病理の低減;喘息、鼻炎、関節炎およびリウマチ性疾患を包含する炎症性疾患、ならびに自己免疫疾患;急性腎または肝不全、肝機能不全;乾癬、過敏性腸疾患(IBD)、クローン病、ならびに良性/悪性新生物に関連する障害の予防および治療において有用となり得る。
【0168】
ある特定の他の実施形態において、本発明の化合物は、脊髄損傷、脊髄浮腫、脊髄腫瘍、脊髄の血管奇形または異常、脊髄空洞症、および水脊髄症を包含する、脊髄および/または末梢神経系の疾患を治療するために有用となり得る。
【0169】
ある特定の他の実施形態において、本明細書に記述されている化合物はさらに、冠動脈疾患における、脳血管疾患(脳動脈硬化症、脳アミロイド血管症、遺伝性脳出血および脳低酸素虚血を包含する)における、および/または末梢血管疾患における血栓症誘発性組織梗塞;安定および不安定狭心症、一過性虚血発作、脳卒中、アテローム性動脈硬化症、心筋梗塞、脳梗塞、再灌流傷害(脳/心臓)、外傷性脳損傷、硬膜下、硬膜外またはくも膜下出血、片頭痛、群発および緊張性頭痛、胎盤機能不全、バイパス、血管形成術、ステント留置術、および心臓弁置換術等の外科的手技後の血栓症を包含するがこれらに限定されない、血栓症、塞栓症または虚血性障害に関連する障害の予防および治療において有用である。
【0170】
ある特定の他の実施形態において、本明細書に記述されている化合物はさらに、疼痛状態および障害を治療するために有用である。そのような疼痛状態および障害の例は、炎症性疼痛、痛覚過敏、炎症性痛覚過敏、片頭痛、がん疼痛、変形性関節炎疼痛、術後疼痛、非炎症性疼痛、神経障害性疼痛、末梢神経障害性疼痛症候群、化学療法誘発性ニューロパチー、複合性局所疼痛症候群、HIV感覚性ニューロパチー、腫瘍浸潤に続発するニューロパチー、疼痛を伴う糖尿病性ニューロパチー、幻肢痛、ヘルペス後神経痛、乳房切除後疼痛、三叉神経痛、中枢神経障害性疼痛症候群、中枢性卒中後疼痛、多発性硬化症疼痛、パーキンソン病疼痛および脊髄損傷疼痛を包含する神経障害性疼痛のサブカテゴリーを包含するがこれらに限定されない。
【0171】
ある特定の他の実施形態において、本明細書に記述されている化合物はさらに、創傷を治療する(または創傷治癒を促進する)、熱傷、瘢痕化および関連状態を治療するために有用である。
【0172】
ある特定の他の実施形態において、本明細書に記述されている化合物はさらに、神経損傷障害(眼損傷、糖尿病性黄斑浮腫もしくは目の黄斑変性を包含する網膜症、耳鳴り、聴覚機能障害および喪失、ならびに脳浮腫を包含する)を治療するために有用である。
【0173】
ある特定の他の実施形態において、本明細書に記述されている化合物はさらに、移植片拒絶反応、同種移植の拒絶反応、腎および肝不全、ならびにむずむず脚症候群を治療するために有用である。
【0174】
製剤
本発明の化合物は、経口的に投与され得る。経口投与には、化合物が胃腸管に入るような嚥下が関与し得、または化合物が口から血流に直接入る口腔もしくは舌下投与を用いてもよい。
【0175】
別の実施形態において、本発明の化合物は、血流中、筋肉中または内臓器官中に直接投与されてもよい。非経口投与に好適な手段は、静脈内、動脈内、腹腔内、髄腔内、脳室内、尿道内、胸骨内、頭蓋内、筋肉内および皮下を包含する。非経口投与に好適なデバイスは、針(顕微針を包含する)注射器、無針注射器および注入技術を包含する。
【0176】
別の実施形態において、本発明の化合物を、皮膚または粘膜に局所的に(すなわち真皮にまたは経皮的に)投与することで化合物の全身吸収につながるように製剤化してもよい。別の実施形態において、本発明の化合物を、鼻腔内にまたは吸入によって投与することで化合物の全身吸収につながるように製剤化することもできる。別の実施形態において、本発明の化合物を、経直腸的にまたは経膣的に投与することで化合物の全身吸収につながるように製剤化してよい。
【0177】
化合物および/または化合物を含有する組成物の投薬レジメンは、患者の種類、年齢、
体重、性別および医学的状態;状態の重症度;投与経路;ならびに用いられる特定の化合物の活性を包含する多様な要因に基づく。それ故に、投薬レジメンは広く変動し得る。1日当たり体重1キログラムにつき約0.01mgから約100mgの投薬量レベルが、上記で示した状態の治療において有用である。一実施形態において、本発明の化合物の総日用量(単回または分割用量で投与される)は、典型的には、約0.01から約100mg/kgである。別の実施形態において、本発明の化合物の総日用量は、約0.1から約50mg/kg、別の実施形態において、約0.5から約30mg/kg(すなわち、体重1kg当たりの本発明の化合物のmg)である。一実施形態において、投薬は、0.01から10mg/kg/日である。別の実施形態において、投薬は、0.1から1.0mg/kg/日である。投薬量単位組成物は、日用量を構成するために、そのような量またはその約数の量を含有し得る。多くの場合において、化合物の投与は、1日に複数回(典型的には4回以下)繰り返されることになる。所望の場合、典型的には、1日に複数回用量を使用して総日用量を増大させてよい。
【0178】
経口投与では、組成物は、患者に対する投薬量の対症調整のために、0.01、0.05、0.1、0.5、1.0、2.5、5.0、10.0、15.0、25.0、50.0、75.0、100、125、150、175、200、250および500ミリグラムの活性成分を含有する錠剤の形態で提供され得る。医薬は、典型的には、約0.01mgから約500mgの活性成分、または別の実施形態において、約1mgから約100mgの活性成分を含有する。静脈内への用量は、定速注入中、約0.1から約10mg/kg/分の範囲であってよい。
【0179】
本発明による好適な対象は、哺乳類対象を包含する。本発明による哺乳動物は、イヌ、ネコ、ウシ、ヤギ、ウマ、ウシ、ブタ、げっ歯類、ウサギ、霊長類等を包含するがこれらに限定されず、胎内哺乳動物を包括する。一実施形態において、ヒトは好適な対象である。ヒト対象は、いずれのジェンダーおよび任意の発達段階であってもよい。
【0180】
別の実施形態において、本発明は、本明細書において列挙されている状態の治療用医薬の調製のための、本発明の1つまたは複数の化合物の使用を含む。
【0181】
上記で言及した状態の治療のために、本発明の化合物を、化合物自体として投与することができる。代替として、薬学的に許容できる塩は、親化合物と比較して大きいそれらの水溶解度により、医学的用途に好適である。
【0182】
別の実施形態において、本発明は、医薬組成物を含む。そのような医薬組成物は、薬学的に許容できる担体とともに提示される本発明の化合物を含む。担体は、固体、液体または両方であってよく、化合物とともに、単位用量組成物、例えば錠剤として製剤化されてよく、これは、0.05から95重量%の活性化合物を含有することができる。本発明の化合物を、標的化可能な薬物担体としての好適なポリマーとカップリングしてよい。他の薬理的活性物質が存在していてもよい。
【0183】
本発明の化合物は、任意の好適な経路によって、好ましくはそのような経路に適合された医薬組成物の形態で、意図されている治療に有効な用量で投与され得る。活性化合物および組成物は、例えば、経口的に、経直腸的に、非経口的に、または局所的に(例えば、鼻腔内または眼内)投与され得る。
【0184】
固体投薬形態の経口投与は、例えば、所定量の少なくとも1つの本発明の化合物をそれぞれ含有する、硬もしくは軟カプセル剤、丸剤、カシェ剤、ロゼンジ剤、または錠剤等の不連続単位で提示され得る。別の実施形態において、経口投与は、散剤または顆粒剤形態であってよい。別の実施形態において、経口投薬形態は、例えば、ロゼンジ剤等の舌下剤
である。そのような固体剤形において、本発明の化合物は、通常、1つまたは複数のアジュバントと組み合わせられる。そのようなカプセル剤または錠剤は、制御放出製剤を含有し得る。カプセル剤、錠剤および丸剤の事例において、剤形は、緩衝剤を含んでもよいし、腸溶コーティングを用いて調製されてもよい。
【0185】
別の実施形態において、経口投与は、液体投薬形態であってよい。経口投与のための液体剤形は、例えば、当技術分野において一般に使用される不活性賦形剤(例えば、水)を含有する、薬学的に許容できる乳剤、液剤、懸濁剤、シロップ剤およびエリキシル剤を包含する。そのような組成物は、湿潤剤、乳化剤、懸濁化剤、香味剤(例えば、甘味剤)、および/または着香剤等のアジュバントも含み得る。
【0186】
別の実施形態において、本発明は、非経口投薬形態を含む。「非経口投与」は、例えば、皮下注射、静脈内注射、腹腔内注射、筋肉内注射、胸骨内注射、および注入を包含する。注射用調製物(すなわち、滅菌注射用水溶液または油脂性懸濁液)は、公知の技術により、好適な分散剤、湿潤剤、および/または懸濁化剤を使用して製剤化され得、デポー製剤を含み得る。
【0187】
別の実施形態において、本発明は、局所投薬形態を含む。「局所投与」は、例えば、経皮パッチもしくはイオントフォレーシスデバイスを介するもの等の経皮投与、眼内投与、または鼻腔内もしくは吸入投与を包含する。局所投与のための組成物は、例えば、局所ゲル剤、スプレー剤、軟膏剤およびクリーム剤も包含する。局所製剤は、皮膚または他の患部への活性成分の吸収または浸透を強化する化合物を包含し得る。本発明の化合物が経皮デバイスによって投与される場合、投与は、レザバーおよび多孔質膜式または固体マトリックス型のいずれかのパッチ剤を使用して達成されるであろう。この目的のための典型的な製剤は、ゲル剤、ヒドロゲル剤、ローション剤、液剤、クリーム剤、軟膏剤、撒布剤、包帯剤、フォーム剤、フィルム剤、皮膚パッチ剤、ウエハー剤、移植片、スポンジ、繊維、絆創膏およびマイクロ乳剤を包含する。リポソームを使用してもよい。典型的な担体は、アルコール、水、鉱油、流動ワセリン、白色ワセリン、グリセリン、ポリエチレングリコールおよびプロピレングリコールを包含する。浸透強化剤を組み込んでよく、例えば、FinninおよびMorgan、J.Pharm.Sci.、88(10)、955〜958(1999)を参照されたい。
【0188】
目への局所投与に好適な製剤は、例えば、本発明の化合物が好適な担体に溶解または懸濁された点眼剤を包含する。眼内または耳内投与に好適である典型的な製剤は、等張のpH調整した滅菌生理食塩水中の微粒化懸濁液または溶液の滴の形態であってよい。眼内および耳内投与に好適な他の製剤は、軟膏剤、生物分解性(例えば、吸収性ゲルスポンジ、コラーゲン)および非生物分解性(例えば、シリコーン)移植片、ウエハー剤、レンズ、ならびにニオソームまたはリポソーム等の微粒子または小胞系を包含する。架橋ポリアクリル酸、ポリビニルアルコール、ヒアルロン酸、セルロース性ポリマー、例えば、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロースもしくはメチルセルロース、またはヘテロ多糖ポリマー、例えば、ジェラン(gelan)ガム等のポリマーを、塩化ベンザルコニウム等の保存剤と一緒に組み込んでよい。そのような製剤は、イオントフォレーシスによって送達されてもよい。
【0189】
鼻腔内投与または吸入による投与では、本発明の活性化合物は、患者が圧搾するもしくは噴出させるポンプスプレー容器からの液剤もしくは懸濁剤の形態で、または加圧容器もしくはネブライザーからのエアゾールスプレー提示として、好適な噴射剤を使用して、うまく送達される。鼻腔内投与に好適な製剤は、典型的には、乾燥粉末吸入器からの乾燥粉末(単独で、例えばラクトースとの乾式混和物中の混合物として、または例えばホスファチジルコリン等のリン脂質と混合された混合構成成分粒子としてのいずれか)の形態で、
または、加圧容器、ポンプ、スプレー、噴霧器(好ましくは、電気流体力学を使用して霧状ミストを生成する噴霧器)もしくはネブライザーからのエアゾールスプレーとして、1,1,1,2−テトラフルオロエタンもしくは1,1,1,2,3,3,3−ヘプタフルオロプロパン等の好適な推進剤を使用してもしくは使用せずに、投与される。鼻腔内使用では、散剤は、生体接着剤、例えば、キトサンまたはシクロデキストリンを含み得る。
【0190】
別の実施形態において、本発明は、経直腸投薬形態を含む。そのような経直腸投薬形態は、例えば、坐剤の形態であってよい。ココアバターは慣習的な坐剤基剤であるが、種々の代替物を適宜使用してよい。
【0191】
薬学分野において公知である他の担体材料および投与モードを使用してもよい。本発明の医薬組成物は、有効な製剤および投与手順等、周知の調剤技術のいずれかによって調製され得る。有効な製剤および投与手順に関する上記の考察は、当技術分野において周知であり、標準的な教科書において記述されている。薬物の製剤化は、例えば、Hoover,John E.、Remington’s Pharmaceutical Sciences、Mack Publishing Co.、Easton、Pennsylvania、1975;Libermanら編、Pharmaceutical Dosage Forms、Marcel Decker、New York、N.Y.、1980;およびKibbeら編、Handbook of Pharmaceutical Excipients(第3版)、American Pharmaceutical Association、Washington、1999において論じられている。
【0192】
本発明の化合物を、単独でまたは他の治療剤と組み合わせて、種々の状態または病状の治療において使用することができる。本発明の化合物および他の治療剤を、同時に(同じ剤形でまたは別個の剤形でのいずれか)または順次に投与してよい。例示的な治療剤は、例えば、代謝型グルタミン酸受容体アゴニストであってよい。
【0193】
「組み合わせた」2つ以上の化合物の投与は、2つの化合物が、一方の存在が他方の生物学的作用を変化させるように時間的に十分近接して投与されることを意味する。2つ以上の化合物は、同時に、同時発生的にまたは順次に投与され得る。加えて、同時投与は、投与前に化合物を混合することによって、または同じ時点であるが異なる解剖学的部位にもしくは異なる投与経路を使用して化合物を投与することによって行われ得る。
【0194】
語句「同時発生的投与」、「共投与」、「同時投与」および「同時に投与される」は、化合物が組み合わせて投与されることを意味する。
【0195】
本発明は、本発明のPDE4阻害剤化合物および1つまたは複数の追加の薬学的活性剤の組合せの使用を包含する。活性剤の組合せが投与されるならば、活性剤は、別個の剤形で、または単一の剤形中で組み合わせて、順次にまたは同時に投与され得る。したがって、本発明は、ある量の、(a)本発明の化合物または該化合物の薬学的に許容できる塩を含む第一の薬剤;(b)第二の薬学的活性剤;および(c)薬学的に許容できる担体、ビヒクルまたは希釈剤を含む、医薬組成物も包含する。
【0196】
治療される疾患、障害または状態に応じて、種々の薬学的活性剤が、本発明の化合物と併せて使用するために選択され得る。本発明の組成物と組み合わせて使用され得る薬学的活性剤は、限定されないが、以下を包含する:
(i)ドネペジル塩酸塩(ARICEPT、MEMAC)、サリチル酸フィゾスチグミン(ANTILIRIUM)、硫酸フィゾスチグミン(ESERINE)、メトリホネート、ネオスチグミン、ガンスチグミン、ピリドスチグミン(MESTINON)、アンベノニウム(MYTELASE)、デメカリウム、デビオ9902(ZT−1としても公知
である;Debiopharm)、リバスチグミン(EXELON)、ラドスチギル、NP−0361、ガランタミン臭化水素酸塩(RAZADYNE、RIMINYL、NIVALIN)、タクリン(COGNEX)、トルセリン、マレイン酸ベルナクリン、メモキン、ヒューペルジンA(HUP−A;NeuroHitech)、フェンセリン、エドロホニウム(ENLON、TENSILON)およびINM−176等の、アセチルコリンエステラーゼ阻害剤;
(ii)汎HLA DR結合エピトープとコンジュゲートしているAβ
1〜15(PADRE)、ACC−001(Elan/Wyeth)、ACI−01、ACI−24、AN−1792、Affitope AD−01、CAD106、およびV−950等の、アミロイド−β(または、そのフラグメント);
(iii)ポネズマブ、ソラネズマブ、バピネオズマブ(AAB−001としても公知である)、AAB−002(Wyeth/Elan)、ACI−01−Ab7、BAN−2401、静脈内Ig(GAMMAGARD)、LY2062430(ヒト化m266;Lilly)、R1450(Roche)、ACU−5A5、huC091、および国際特許公開第WO04/032868号、同第WO05/025616号、同第WO06/036291号、同第WO06/069081号、同第WO06/118959号に、米国特許公開第US2003/0073655号、同第US2004/0192898号、同第US2005/0048049号、同第US2005/0019328号に、欧州特許公開第EP0994728号および同第1257584号に、ならびに米国特許第5,750,349号に開示されているもの等の、アミロイド−βに対する抗体(または、それらのフラグメント);
(iv)ディメボン、ダブネチド、エプロジセート、ロイプロリド、SK−PC−B70M、セレコキシブ、ロバスタチン、アナプソス、オキシラセタム、プラミラセタム、バレニクリン、ニセルゴリン、コロストリニン、ビスノルシムセリン(BNCとしても公知である)、NIC5−15(Humanetics)、E−2012(エーザイ株式会社)、ピオグリタゾン、クリオキノール(PBT1としても公知である)、PBT2(Prana Biotechnology)、フルルビプロフェン(ANSAID、FROBEN)およびそのR−エナンチオマータレンフルビル(FLURIZAN)、ニトロフルルビプロフェン、フェノプロフェン(FENOPRON、NALFON)、イブプロフェン(ADVIL、MOTRIN、NUROFEN)、イブプロフェンリシネート、メクロフェナム酸、メクロフェナム酸ナトリウム(MECLOMEN)、インドメタシン(INDOCIN)、ジクロフェナクナトリウム(VOLTAREN)、ジクロフェナクカリウム、スリンダク(CLINORIL)、スリンダク硫化物、ジフルニサル(DOLOBID)、ナプロキセン(NAPROSYN)、ナプロキセンナトリウム(ANAPROX、ALEVE)、ARC031(Archer Pharmaceuticals)、CAD−106(Cytos)、LY450139(Lilly)、インスリン分解酵素(インスリシンとしても公知である)、イチョウ(gingko biloba)抽出物EGb−761(ROKAN、TEBONIN)、トラミプロセート(CEREBRIL、ALZHEMED)、エプロジセート(FIBRILLEX、KIACTA)、化合物W[3,5−ビス(4−ニトロフェノキシ)安息香酸]、NGX−96992、ネプリライシン(中性エンドペプチダーゼ(NEP)としても公知である)、シロイノシトール(シリトールとしても公知である)、アトルバスタチン(LIPITOR)、シンバスタチン(ZOCOR)、KLVFF−(EEX)3、SKF−74652、メシル酸イブタモレン、ASP−1702、SCH−745966、JNJ−715754、AMG−0683、AZ−12304146、BMS−782450、GSK−188909、NB−533、E2609およびTTP−854等のBACE阻害剤;ELND−007等のガンマセクレターゼモジュレーター;ならびに、TTP488(Transtech)およびTTP4000(Transtech)、およびPTI−777を包含する米国特許第7,285,293号において記述されているもの等のRAGE(糖化最終産物の受容体)阻害剤等の、アミロイド低下または阻害剤(アミロイド産生、蓄積および線維化を低減させ
るものを包含する);
(v)グアンファシン(INTUNIV、TENEX)、クロニジン(CATAPRES)、メタラミノール(ARAMINE)、メチルドパ(ALDOMET、DOPAMET、NOVOMEDOPA)、チザニジン(ZANAFLEX)、フェニレフリン(ネオシネフリンとしても公知である)、メトキサミン、シラゾリン、グアンファシン(INTUNIV)、ロフェキシジン、キシラジン、モダフィニル(PROVIGIL)、アドラフィニルおよびアルモダフィニル(NUVIGIL)等の、アルファ−アドレナリン受容体アゴニスト;
(vi)カルテオロール、エスモロール(BREVIBLOC)、ラベタロール(NORMODYNE、TRANDATE)、オクスプレノロール(LARACOR、TRASACOR)、ピンドロール(VISKEN)、プロプラノロール(propanolol)(INDERAL)、ソタロール(BETAPACE、SOTALEX、SOTACOR)、チモロール(BLOCADREN、TIMOPTIC)、アセブトロール(SECTRAL、PRENT)、ナドロール(CORGARD)、酒石酸メトプロロール(LOPRESSOR)、コハク酸メトプロロール(TOPROL−XL)、アテノロール(TENORMIN)、ブトキサミンおよびSR59230A(Sanofi)等の、ベータ−アドレナリン受容体遮断剤(ベータ遮断薬);
(vii)アミトリプチリン(ELAVIL、ENDEP)、ブトリプチリン、メシル酸ベンズトロピン(COGENTIN)、トリヘキシフェニジル(ARTANE)、ジフェンヒドラミン(BENADRYL)、オルフェナドリン(NORFLEX)、ヒヨスチアミン、アトロピン(ATROPEN)、スコポラミン(TRANSDERM−SCOP)、臭化メチルスコポラミン(PARMINE)、ジシクロベリン(BENTYL、BYCLOMINE、DIBENT、DILOMINE)、トルテロジン(DETROL)、オキシブチニン(DITROPAN、LYRINEL XL、OXYTROL)、臭化ペンチエネート、プロパンテリン(PRO−BANTHINE)、シクリジン、イミプラミン塩酸塩(TOFRANIL)、イミプラミンマレイン酸塩(SURMONTIL)、ロフェプラミン、デシプラミン(NORPRAMIN)、ドキセピン(SINEQUAN、ZONALON)、トリミプラミン(SURMONTIL)およびグリコピロレート(ROBINUL)等の、抗コリン薬;
(viii)カルバマゼピン(TEGRETOL、CARBATROL)、オクスカルバゼピン(TRILEPTAL)、フェニトインナトリウム(PHENYTEK)、フォスフェニトイン(CEREBYX、PRODILANTIN)、バルプロ酸ナトリウム(DEPAKOTE)、ガバペンチン(NEURONTIN)、プレガバリン(LYRICA)、トピラメート(topirimate)(TOPAMAX)、バルプロ酸(DEPAKENE)、バルプロ酸ナトリウム(DEPACON)、1−ベンジル−5−ブロモウラシル、プロガビド、ベクラミド、ゾニサミド(TRERIEF、EXCEGRAN)、CP−465022、レチガビン、タランパネルおよびプリミドン(MYSOLINE)等の、抗けいれん薬;
(ix)ルラシドン(LATUDA、SM−13496としても公知である;大日本住友製薬株式会社)、アリピプラゾール(ABILIFY)、クロルプロマジン(THORAZINE)、ハロペリドール(HALDOL)、イロペリドン(FANAPTA)、デカン酸フルペンチキソール(DEPIXOL、FLUANXOL)、レセルピン(SERPLAN)、ピモジド(ORAP)、デカン酸フルフェナジン、塩酸フルフェナジン、プロクロルペラジン(COMPRO)、アセナピン(SAPHRIS)、ロキサピン(LOXITANE)、モリンドン(MOBAN)、パーフェナジン、チオリダジン、チオチキセン、トリフルオロペラジン(STELAZINE)、ラメルテオン、クロザピン(CLOZARIL)、ノルクロザピン(ACP−104)、リスペリドン(RISPERDAL)、パリペリドン(INVEGA)、メルペロン、オランザピン(ZYPREXA)、クエチアピン(SEROQUEL)、タルネタント、アミスルピリド、ジプラシドン(GEODON)、ブロナンセリン(LONASEN)およびACP−103(Acadia
Pharmaceuticals)等の、抗精神病薬;
(x)ロメリジン、ジコノチド、ニルバジピン(ESCOR、NIVADIL)、ジペルジピン、アムロジピン(NORVASC、ISTIN、AMLODIN)、フェロジピン(PLENDIL)、ニカルジピン(CARDENE)、ニフェジピン(ADALAT、PROCARDIA)、MEM1003およびその親化合物ニモジピン(NIMOTOP)、ニソルジピン(SULAR)、ニトレンジピン、ラシジピン(LACIPIL、MOTENS)、レルカニジピン(ZANIDIP)、リファリジン、ジルチアゼム(CARDIZEM)、ベラパミル(CALAN、VERELAN)、AR−R18565(AstraZeneca)ならびにエネカジン等の、カルシウムチャネル遮断薬;
(xi)ニテカポン、トルカポン(TASMAR)、エンタカポン(COMTAN)およびトロポロン等の、カテコールO−メチルトランスフェラーゼ(COMT)阻害剤;
(xii)アトモキセチン、レボキセチン、ヨヒンビン、カフェイン、フェンメトラジン、フェンジメトラジン、ペモリン、フェンカムファミン(GLUCOENERGAN、REACTIVAN)、フェネチリン(CAPTAGON)、ピプラドロール(MERETRAN)、デアノール(ジメチルアミノエタノールとしても公知である)、メチルフェニデート(DAYTRANA)、塩酸メチルフェニデート(RITALIN)、デクスメチルフェニデート(FOCALIN)、アンフェタミン(単独で、または他のCNS刺激物質、例えば、ADDERALL(アスパラギン酸アンフェタミン、硫酸アンフェタミン、デキストロアンフェタミンサッカレートおよび硫酸デキストロアンフェタミン)と組み合わせて)、硫酸デキストロアンフェタミン(DEXEDRINE、DEXTROSTAT)、メタンフェタミン(DESOXYN)、リスデキサンフェタミン(VYVANSE)およびベンズフェタミン(DIDREX)等の、中枢神経系刺激物質;
(xiii)プレドニゾン(STERAPRED、DELTASONE)、プレドニゾロン(PRELONE)、酢酸プレドニゾロン(predisolone)(OMNIPRED、PRED MILD、PRED FORTE)、プレドニゾロンリン酸ナトリウム(ORAPRED ODT)、メチルプレドニゾロン(MEDROL);酢酸メチルプレドニゾロン(DEPO−MEDROL)およびコハク酸メチルプレドニゾロンナトリウム(A−METHAPRED、SOLU−MEDROL)等の、コルチコステロイド;
(xiv)アポモルヒネ(APOKYN)、ブロモクリプチン(PARLODEL)、カベルゴリン(DOSTINEX)、ジヒドレキシジン、ジヒドロエルゴクリプチン、フェノルドパム(CORLOPAM)、リスリド(DOPERGIN)、テルグリド、ペルゴリド(spergolide)(PERMAX)、ピリベジル(TRIVASTAL、TRASTAL)、プラミペキソール(MIRAPEX)、キンピロール、ロピニロール(REQUIP)、ロチゴチン(NEUPRO)、SKF−82958(GlaxoSmithKline)、カリプラジン、パルドプルノックスおよびサリゾタン等の、ドーパミン受容体アゴニスト;
(xv)クロルプロマジン、フルフェナジン、ハロペリドール、ロキサピン、リスペリドン、チオリダジン、チオチキセン、フルオロペラジン、テトラベナジン(NITOMAN、XENAZINE)、7−ヒドロキシアモキサピン、ドロペリドール(INAPSINE、DRIDOL、DROPLETAN)、ドンペリドン(MOTILIUM)、L−741742、L−745870、ラクロプリド、SB−277011A、SCH−23390、エコピパム、SKF−83566およびメトクロプラミド(REGLAN)等の、ドーパミン受容体アンタゴニスト;
(xvi)ブプロピオン、サフィナミド、マレイン酸ノミフェンシン(MERITAL)、バノキセリン(GBR−12909としても公知である)およびそのデカン酸エステルDBL−583ならびにアミネプチン等の、ドーパミン再取り込み阻害剤;
(xvii)バクロフェン(LIORESAL、KEMSTRO)、サクロフェン(siclofen)、ペントバルビタール(NEMBUTAL)、プロガビド(GABRENE)およびクロメチアゾール等の、ガンマ−アミノ−酪酸(GABA)受容体アゴニスト;
(xviii)シプロキシファン、チプロリサント(tiprolisant)、S−38093、イルダビサント、ピトリサント、GSK−239512、GSK−207040、JNJ−5207852、JNJ−17216498、HPP−404、SAR−110894、trans−N−エチル−3−フルオロ−3−[3−フルオロ−4−(ピロリジン−1−イルメチル)フェニル]−シクロブタンカルボキサミド(PF−3654746、ならびに、米国特許公開第US2005−0043354号、同第US2005−0267095号、同第US2005−0256135号、同第US2008−0096955号、同第US2007−1079175号および同第US2008−0176925号;国際特許公開第WO2006/136924号、同第WO2007/063385号、同第WO2007/069053号、同第WO2007/088450号、同第WO2007/099423号、同第WO2007/105053号、同第WO2007/138431号および同第WO2007/088462号;ならびに米国特許第7,115,600号において開示されているもの)等の、ヒスタミン3(H3)アンタゴニスト;
(xix)酢酸グラチラマー(コポリマー−1としても公知である;COPAXONE)、MBP−8298(合成ミエリン塩基性タンパク質ペプチド)、フマル酸ジメチル、フィンゴリモド(FTY720としても公知である)、ロキニメクス(LINOMIDE)、ラキニモド(ABR−215062およびSAIK−MSとしても公知である)、ABT−874(ヒト抗−IL−12抗体;Abbott)、リツキシマブ(RITUXAN)、アレムツズマブ(CAMPATH)、ダクリズマブ(ZENAPAX)およびナタリズマブ(TYSABRI)等の、免疫モジュレーター;
(xx)メトトレキサート(TREXALL、RHEUMATREX)、ミトキサントロン(NOVANTRONE)、ミコフェノール酸モフェチル(CELLCEPT)、ミコフェノール酸ナトリウム(MYFORTIC)、アザチオプリン(AZASAN、IMURAN)、メルカプトプリン(PURI−NETHOL)、シクロホスファミド(NEOSAR、CYTOXAN)、クロラムブシル(LEUKERAN)、クラドリビン(LEUSTATIN、MYLINAX)、アルファ−フェトプロテイン、エタネルセプト(ENBREL)および4−(ベンジルオキシ)−5−[(5−ウンデシル−2H−ピロール−2−イリデン)メチル]−1H,1’H−2,2’−ビピロール(PNU−156804としても公知である)等の、免疫抑制薬;
(xxi)インターフェロンベータ−1a(AVONEX、REBIF)およびインターフェロンベータ−1b(BETASERON、BETAFERON)を包含する、インターフェロン;
(xxii)単独であるか、またはDOPAデカルボキシラーゼ阻害剤(例えば、カルビドパ(SINEMET、CARBILEV、PARCOPA)、ベンセラジド(MADOPAR)、α−メチルドパ、モノフルオロメチルドパ(monofluromethyldopa)、ジフルオロメチルドパ、ブロクレシンまたはm−ヒドロキシベンジルヒドラジン)と組み合わせた、レボドパ(または、そのメチルもしくはエチルエステル);
(xxiii)メマンチン(NAMENDA、AXURA、EBIXA)、アマンタジン(SYMMETREL)、アカンプロセート(CAMPRAL)、ベソンプロジル、ケタミン(KETALAR)、デルセミン、デキサナビノール、デキセファロキサン、デキストロメトルファン、デキストロルファン、トラキソプロジル、CP−283097、ヒマンタン(himantane)、インダンタドール(idantadol)、イペノキサゾン、L−701252(Merck)、ランシセミン(lancicemine)、レボルファノール(DROMORAN)、LY−233536およびLY−235959(いずれもLilly)、メタドン、(DOLOPHINE)、ネラメキサン、ペルジンホテル、フェンシクリジン、チアネプチン(STABLON)、ジゾシルピン(MK−801としても公知である)、EAB−318(Wyeth)、イボガイン、ボアカンギン、チレタミン、リルゾール(RILUTEK)、アプチガネル(CERES0TAT)、ガベスチネルならびにレマセミド(remacimide)等の、N−メチル−D−アス
パラギン酸(NMDA)受容体アンタゴニスト;
(xxiv)セレギリン(EMSAM)、塩酸セレギリン(l−デプレニール、ELDEPRYL、ZELAPAR)、ジメチルセレギリン(dimethylselegilene)、ブロファロミン、フェネルジン(NARDIL)、トラニルシプロミン(PARNATE)、モクロベミド(AURORIX、MANERIX)、ベフロキサトン、サフィナミド、イソカルボキサジド(MARPLAN)、ニアラミド(NIAMID)、ラサギリン(AZILECT)、イプロニアジド(MARSILID、IPROZID、IPRONID)、CHF−3381(Chiesi Farmaceutici)、イプロクロジド、トロキサトン(HUMORYL、PERENUM)、ビフェメラン、デソキシペガニン(desoxypeganine)、ハルミン(テレパシンまたはバナステリン(banasterine)としても公知である)、ハルマリン、リネゾリド(ZYVOX、ZYVOXID)およびパージリン(EUDATIN、SUPIRDYL)等の、モノアミンオキシダーゼ(MAO)阻害剤;
(xxv)セビメリン、レベチラセタム、塩化ベタネコール(DUVOID、URECHOLINE)、イタメリン、ピロカルピン(SALAGEN)、NGX267、アレコリン、L−687306(Merck)、L−689660(Merck)、ヨウ化フルトレトニウム(FURAMON、FURANOL)、ベンゼンスルホン酸フルトレトニウム、p−トルエンスルホン酸フルトレトニウム、McN−A−343、オキソトレモリン、サブコメリン、AC−90222(Acadia Pharmaceuticals)およびカルバコール(CARBASTAT、MIOSTAT、CARBOPTIC)等の、ムスカリン様受容体(特に、M1サブタイプ)アゴニスト;
(xxvi)ボスチニブ、コンドリアーゼ、アリモクロモル(airmoclomol)、ラモトリジン、ペランパネル、アニラセタム、ミナプリム(minaprime)、リルゾール、N−ヒドロキシ−1,2,4,9−テトラヒドロ−3H−カルバゾール−3−イミン、デスモテプラーゼ、アナチバント、アスタキサンチン、ニューロペプチドNAP(例えば、AL−108およびAL−208;いずれもAllon Therapeutics)、ニューロストロール(neurostrol)、ペランパネル(perampenel)、イスプロニクリン、ビス(4−β−D−グルコピラノシルオキシベンジル)−2−β−D−グルコピラノシル−2−イソブチルタルトレート(ダクチロリン(dactylorhin)BまたはDHBとしても公知である)、ホルモバクチン、キサリプロデン(XAPRILA)、ラクタシスチン、ジメボリン塩酸塩(dimeboline
hydrochloride)(DIMEBON)、ジスフェントン(CEROVIVE)、アルンジン酸(ONO−2506、PROGLIA、CEREACT)、シチコリン(シチジン5’−ジホスホコリンとしても公知である)、エダラボン(RADICUT)、AEOL−10113およびAEOL−10150(いずれもAeolus Pharmaceuticals)、AGY−94806(SA−450およびMsc−1としても公知である)、顆粒球コロニー刺激因子(AX−200としても公知である)、BAY−38−7271(KN−387271としても公知である;Bayer AG)、アンクロド(VIPRINEX、ARWIN)、DP−b99(D−Pharm Ltd)、HF−0220(17−β−ヒドロキシエピアンドロステロン;Newron Pharmaceuticals)、HF−0420(オリゴトロピン(oligotropin)としても公知である)、ピリドキサール5’−リン酸(MC−1としても公知である)、マイクロプラスミン、S−18986、ピクロゾタン、NP031112、タクロリムス、L−セリル−L−メチオニル−L−アラニル−L−リシル−L−グルタミル−グリシル−L−バリン、AC−184897(Acadia Pharmaceuticals)、ADNF−14(National Institutes of Health)、スチルバズレニルトロン、SUN−N8075(第一サントリー生物医学研究所)ならびにゾナンパネル等の、神経保護薬;
(xxvii)エピバチジン、ブプロピオン、CP−601927、バレニクリン、ABT−089(Abbott)、ABT−594、AZD−0328(AstraZen
eca)、EVP−6124、R3487(MEM3454としても公知である;Roche/Memory Pharmaceuticals)、R4996(MEM63908としても公知である;Roche/Memory Pharmaceuticals)、TC−4959およびTC−5619(いずれもTargacept)ならびにRJR−2403等の、ニコチン性受容体アゴニスト;
(xxviii)アトモキセチン(STRATTERA)、ドキセピン(APONAL、ADAPIN、SINEQUAN)、ノルトリプチリン(AVENTYL、PAMELOR、NORTRILEN)、アモキサピン(ASENDIN、DEMOLOX、MOXIDIL)、レボキセチン(EDRONAX、VESTRA)、ビロキサジン(VIVALAN)、マプロチリン(DEPRILEPT、LUDIOMIL、PSYMION)、ブプロピオン(WELLBUTRIN)およびラダキサフィン(radaxafine)等の、ノルエピネフリン(ノルアドレナリン)再取り込み阻害剤;
(xxix)(a)PDE1阻害剤(例えば、ビンポセチン(CAVINTON、CERACTIN、INTELECTOL)および米国特許第6,235,742号において開示されているもの)、(b)PDE2阻害剤(例えば、エリスロ−9−(2−ヒドロキシ−3−ノニル)アデニン(EHNA)、BAY60−7550および米国特許第6,174,884号において開示されているもの)、(c)PDE3阻害剤(例えば、アナグレリド、シロスタゾール、ミルリノン、オルプリノン、パログレリルおよびピモベンダン)、(d)PDE4阻害剤(例えば、アプレミラスト、イブジラスト、ロフルミラスト、ロリプラム、Ro20−1724、イブジラスト(KETAS)、ピクラミラスト(RP73401としても公知である)、CDP840、シロミラスト(ARIFLO)、ロフルミラスト、トフィミラスト、オグレミラスト(GRC3886としても公知である)、テトミラスト(OPC−6535としても公知である)、リリミラスト(lirimifast)、テオフィリン(UNIPHYL、THEOLAIR)、アロフィリン(LAS−31025としても公知である)、ドキソフィリン、RPR−122818またはメセンブリン)ならびに(e)PDE5阻害剤(例えば、シルデナフィル(VIAGRA、REVATIO)、タダラフィル(CIALIS)、バルデナフィル(LEVITRA、VIVANZA)、ウデナフィル、アバナフィル、ジピリダモール(PERSANTINE)、E−4010、E−4021、E−8010、ザプリナスト、イオデナフィル(iodenafil)、ミロデナフィル、DA−8159、ならびに国際特許出願第WO2002/020521号、同第WO2005/049616号、同第WO2006/120552号、同第WO2006/126081号、同第WO2006/126082号、同第WO2006/126083号および同第WO2007/122466号において開示されているもの)、(f)PDE7阻害剤;(g)PDE8阻害剤;(h)PDE9阻害剤(例えば、BAY73−6691(Bayer AG)、ならびに米国特許公開第US2003/0195205号、同第US2004/0220186号、同第US2006/0111372号、同第US2006/0106035号、およびUSSN12/118,062(2008年5月9日出願)において開示されているもの)、(i)2−({4−[1−メチル−4−(ピリジン−4−イル)−1H−ピラゾール−3−イル]フェノキシ}メチル)キノリン−3(4H)−オンおよびSCH−1518291等のPDE10阻害剤;ならびに(j)PDE11阻害剤を包含するがこれらに限定されない、ホスホジエステラーゼ(PDE)阻害剤;
(xxx)キニーネ(その塩酸塩、二塩酸塩、硫酸塩、重硫酸塩およびグルコン酸塩を包含する)、クロロキン、サントキン、ヒドロキシクロロキン(PLAQUENIL)、メフロキン(LARIAM)およびアモジアキン(CAMOQUIN、FLAVOQUINE)等の、キノリン;
(xxxi)ASP−1702、SCH−745966、JNJ−715754、AMG−0683、AZ−12304146、BMS−782450、GSK−188909、NB−533、LY−2886721、E−2609、HPP−854、(+)−酒石酸フェンセリン(POSIPHEN)、LSN−2434074(LY−2434074
としても公知である)、KMI−574、SCH−745966、Ac−rER(N
2−アセチル−D−アルギニル−L−アルギニン)、ロキシスタチン(E64dとしても公知である)およびCA074Me等の、β−セクレターゼ阻害剤;
(xxxii)BMS−708163(Avagacest)、WO20060430064(Merck)、DSP8658(大日本住友製薬株式会社)、ITI−009、L−685458(Merck)、ELAN−G、ELAN−Z、4−クロロ−N−[(2S)−3−エチル−1−ヒドロキシペンタン−2−イル]ベンゼンスルホンアミド等の、γ−セクレターゼ阻害剤およびモジュレーター;
(xxxiii)スピペロン、レボ−ピンドロール、BMY7378、NAD−299、S−(−)−UH−301、NAN190、レコゾタン等の、セロトニン(5−ヒドロキシトリプタミン)1A(5−HT
1A)受容体アンタゴニスト;
(xxxiv)バビカセリンおよびジクロナピン等の、セロトニン(5−ヒドロキシトリプタミン)2C(5−HT2c)受容体アゴニスト;
(xxxv)PRX−03140(Epix)等の、セロトニン(5−ヒドロキシトリプタミン)4(5−HT
4)受容体アゴニスト;
(xxxvi)A−964324、AVI−101、AVN−211、ミアンセリン(TORVOL、BOLVIDON、NORVAL)、メチオテピン(メチテピンとしても公知である)、リタンセリン、ALX−1161、ALX−1175、MS−245、LY−483518(SGS518としても公知である;Lilly)、MS−245、Ro04−6790、Ro43−68544、Ro63−0563、Ro65−7199、Ro65−7674、SB−399885、SB−214111、SB−258510、SB−271046、SB−357134、SB−699929、SB−271046、SB−742457(GlaxoSmithKline)、Lu AE58054(Lundbeck A/S)およびPRX−07034(Epix)等の、セロトニン(5−ヒドロキシトリプタミン)6(5−HT
6)受容体アンタゴニスト;
(xxxvii)アラプロクレート、シタロプラム(CELEXA、CIPRAMIL)、エスシタロプラム(LEXAPRO、CIPRALEX)、クロミプラミン(ANAFRANIL)、デュロキセチン(CYMBALTA)、フェモキセチン(MALEXIL)、フェンフルラミン(PONDIMIN)、ノルフェンフルラミン、フルオキセチン(PROZAC)、フルボキサミン(LUVOX)、インダルピン、ミルナシプラン(IXEL)、パロキセチン(PAXIL、SEROXAT)、セルトラリン(ZOLOFT、LUSTRAL)、トラゾドン(DESYREL、MOLIPAXIN)、ベンラファキシン(EFFEXOR)、ジメリジン(NORMUD、ZELMID)、ビシファジン、デスベンラファキシン(PRISTIQ)、ブラソフェンシン、ビラゾドン、カリプラジン、ニューラルステムおよびテソフェンシン等の、セロトニン(5−HT)再取り込み阻害剤;
(xxxviii)神経成長因子(NGF)、塩基性線維芽細胞成長因子(bFGF;ERSOFERMIN)、ニューロトロフィン−3(NT−3)、カルディオトロフィン−1、脳由来神経栄養因子(BDNF)、ニューブラスチン、メテオリンおよびグリア由来神経栄養因子(GDNF)等の栄養因子、ならびに、プロペントフィリン、イデベノン、PYM50028(COGANE;Phytopharm)およびAIT−082(NEOTROFIN)等の栄養因子の産生を刺激する薬剤;
(xxxix)パリフルチン(paliflutine)、ORG−25935、JNJ−17305600およびORG−26041等の、グリシン輸送体−1阻害剤;
(xl)ペランパネル、ミバンパトル(mibampator)、セルランパネル(selurampanel)、GSK−729327、N−{(3S,4S)−4−[4−(5−シアノチオフェン−2−イル)フェノキシ]テトラヒドロフラン−3−イル}プロパン−2−スルホンアミド等の、AMPA型グルタミン酸受容体モジュレーター;
(xli)トファシチニブ、ルキソリチニブ、バリシチニブ、CYT387、GLPG0634、レスタウルチニブ、パクリチニブおよびTG101348等であるがこれらに
限定されない、ヤヌスキナーゼ阻害剤(JAK)。
【0197】
本発明はさらに、上述した通りの治療方法を実施する際に使用するのに好適なキットを含む。一実施形態において、キットは、本発明の化合物のうちの1つまたは複数を含む第一の剤形および投薬量のための容器を、本発明の方法を行うのに十分な分量で含有する。
【0198】
別の実施形態において、本発明のキットは、本発明の1つまたは複数の化合物を含む。
【0199】
本発明の化合物、またはそれらの薬学的に許容できる塩は、当技術分野において同じく公知である多様な方法によって調製され得る。後述する反応スキームは、有機化学の技術分野において公知の合成方法、または当業者によく知られている改変および誘導体化と一緒に、化合物を調製するための1つの方法を例証するものである。その改変を包含するその他は、当業者に容易に明らかとなるであろう。
【0200】
本明細書において使用されている出発材料は、市販されているか、当技術分野において公知の常法(COMPENDIUM OF ORGANIC SYNTHETIC METHODS、第I〜XII巻(Wiley−Interscienceにより出版された)等の標準参考図書に開示されている方法等)により調製することができる。好ましい方法は、後述するものを包含するがこれらに限定されない。
【0201】
下記の合成シーケンスのうちのいずれかの間に、関係する分子のいずれかにおける感受性または反応性基を保護することが必要でありかつ/または望ましい場合がある。このことは、参照により本明細書に組み込まれる、T.W.Greene、Protective Groups in Organic Chemistry、John Wiley&Sons、1981;T.W.GreeneおよびP.G.M.Wuts、Protective Groups in Organic Chemistry、John Wiley&Sons、1991;ならびにT.W.GreeneおよびP.G.M.Wuts、Protective Groups in Organic Chemistry、John Wiley&Sons、1999;ならびにT.W.GreeneおよびP.G.M.Wuts、Protective Groups in Organic Chemistry、John Wiley&Sons、2006において記述されているもの等、従来の保護基を利用して実現することができる。
【0202】
本発明の化合物または前記化合物もしくは互変異性体および放射性同位体の薬学的に許容できる塩は、本明細書において以下で論じる反応スキームに従って調製することができる。別段の指示がない限り、スキーム中の置換基は、上記の通りに定義される。生成物の単離および精製は、通常の技術を有する化学者に公知である標準的な手順によって達成される。
【0203】
当業者であれば、いくつかの事例において、スキーム1における化合物が、ジアステレオマーおよび/またはエナンチオマーの混合物として生成され、これらを、結晶化、順相クロマトグラフィー、逆相クロマトグラフィーおよびキラルクロマトグラフィー等であるがこれらに限定されない従来の技術またはそのような技術の組合せを使用し、合成スキームの種々の段階において分離して、本発明の単一のエナンチオマーを得ることができることを認識するであろう。
【0204】
スキーム、方法および実施例において使用される種々の記号、上付き文字および下付き文字は、提示の利便性のためにかつ/またはそれらがスキームに導入される順序を反映するために使用され、添付の特許請求の範囲における記号、上付き文字または下付き文字に必ずしも対応するように意図されていないことが、当業者には理解されるであろう。スキ
ームは、本発明の化合物を合成する際に有用な方法を代表するものである。それらは、本発明の範囲を何ら制約するものではない。
【0205】
スキーム1は、式Iによって表される化合物の一般的な合成調製に言及するものである。式Aによって表される化合物[式中、R=低級アルキルである]の調製については、以前に記述されている。少数の例:Journal of Heterocyclic Chemistry 1968、5(1)、35〜39;Il Farmaco−Ed.Sci.1977、36(6)、430〜437;Journal of Heterocyclic Chemistry 2002、39、737〜742。式Bの化合物を得るためのR
1置換基の直接的取り込みは、C−H挿入/直接アリール化反応によって達成することができる。これらの転換は、適切なハロゲン化アリール、金属源(酢酸パラジウム(II)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)、ヨウ化銅)、リガンド(トリフェニルホスフィン、ビス(アダマンタ−1−イル)(ブチル)ホスフィン、1,10−フェナントロリン)および塩基(炭酸カリウム、炭酸セシウム、カリウムtert−ブトキシド)による、通常は50℃を上回る温度まで加熱された適切な溶媒中での処理によって、行うことができる(RSC Advances 2012、2(14)、5972〜5975;Organic Letters 2012、14(7)、1688〜1691;PCT国際出願第2011075643号)。このステップ中に、(R
3)
bおよびR
1部分は、最終生成物において望ましいものと同じ部分によって表されるはずである。例えば、実施例1の化合物において、bは0であり、R
1は4−クロロフェニル部分である。次いで、式Bの中間体を、エステルの、適切なアミンによる、熱およびマグネシウムメトキシドまたは塩化カルシウム等のルイス酸を使用する、適切な溶媒中での処理(Tetrahedron Letters 2010、51、3879〜3882を参照)を経由して、式Iの化合物に変換することができる。このステップ中に、R
6およびR
7部分は、最終生成物において望ましいものと同じ部分によって表されるはずである。例えば、実施例4において、R
6はシクロプロピルであり、R
7は水素である。代替として、式Bのエステルの、式Iのアミドへの変換は、水および共溶媒中、酸性または塩基性処理を介してエステルを最初に酸に加水分解し、その後、酸を、適切なアミンによる、2,4,6−トリプロピル−1,3,5,2,4,6−トリオキサトリホスフィナン2,4,6−三酸化物(T3P)、O−(7−アザベンゾトリアゾール−1−イル)−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート(HATU)、1,3−ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)等のアミドカップリング/脱水試薬の存在下、−20℃から100℃の範囲の温度での処理によってアミドに変換して、式Iの化合物を得る、2ステッププロセスを経由して達成することができる。これらのステップのいずれか中に、R
1部分は、最終生成物において望ましいものと同じ部分によって表されるはずである。例えば、実施例1において、R
1は、4−クロロフェニル部分によって表されるはずである。
【0206】
あるいは、N−ヨードコハク酸イミド(NIS)、N−ブロモコハク酸イミド(NBS)、一塩化ヨウ素(ICl)、ヨウ素(I
2)、臭素(Br
2)等の求電子ハロゲン試薬による、酸触媒されていてもよい不活性溶媒中、室温から100℃での処理による、式Aの化合物のハロゲン化は、式Cの化合物[式中、Xは、臭素またはヨウ素によって表される]をもたらす。式Cの化合物は、2つの手法で、式Iの化合物に変換することができる。第一の方法は、鈴木−宮浦反応を介する式Cのハロゲン化イミダゾピリダジンの置換(Chemical Society Reviews 2014、43、412〜443;Accounts of Chemical Research 2013、46、2626〜2634)を用いるものであり:適切なアルキル、アリールまたはヘテロアリールボロネートによる、塩基、遷移金属触媒[潜在的に酢酸パラジウム(II)またはトリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)]および金属キレート配位子(概してホスフィンベース)の存在下、適切な溶媒中での処理により、適切なR
1部分を取り込み
、式Bを得る。次いで、式Bの化合物を、先に記述した通り、式Iの化合物に変換する。第二のアプローチにおいて、式Cの中間体を、エステルの、適切なアミンによる、熱およびマグネシウムメトキシドまたは塩化カルシウム等のルイス酸の存在下での処理により、アミドDに変換してよい。代替として、式Cの中間体の、式Dの化合物への転換は、好適な共溶媒中、塩基性または酸性水による処理により、エステルを酸に加水分解する2ステッププロセスで行ってよい。次いで、得られた酸を、適切なアミンによる、2,4,6−トリプロピル−1,3,5,2,4,6−トリオキサトリホスフィナン2,4,6−三酸化物(T3P)、O−(7−アザベンゾトリアゾール−1−イル)−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート(HATU)、1,3−ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)等のアミドカップリング/脱水試薬の存在下、−20℃から100℃範囲の温度での処理によって、式Dの化合物に変換する。次いで、式Dの中間体を、鈴木−宮浦反応を経由して式Iの化合物に転換することができ(Chemical Society Reviews 2014、43、412〜443;Accounts of Chemical Research 2013、46、2626〜2634):適切なアルキル、アリールまたはヘテロアリールボロネートによる、塩基、遷移金属触媒[潜在的に酢酸パラジウム(II)またはトリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)]および金属キレート配位子(概してホスフィンベース)の存在下、適切な溶媒中での処理により、必要なR
1部分を取り込む。
【0208】
実験手順
下記は、本発明の種々の化合物の合成を例証するものである。本発明の範囲内にある追加の化合物は、単独で、または当技術分野において概して公知である技術と組み合わせてのいずれかで、これらの実施例において例証されている方法を使用して調製され得る。
【0209】
実験は、概して、特に酸素または水分に感受性の試薬または中間体が用いられる場合、不活性雰囲気(窒素またはアルゴン)下で行った。市販の溶媒および試薬は、概して、さらに精製することなく使用した。適切な場合には、無水溶媒、概して、Acros Organics製AcroSeal(登録商標)製品またはEMD Chemicals製DriSolv(登録商標)製品を用いた。他の事例において、市販の溶媒を、4Å分子ふるいを詰めたカラムに、水について下記のQC標準に到達するまで、通過させた:a)ジクロロメタン、トルエン、N,N−ジメチルホルムアミドおよびテトラヒドロフランに
ついては100ppm未満;b)メタノール、エタノール、1,4−ジオキサンおよびジイソプロピルアミンについては180ppm未満。感受性の高い反応では、溶媒を、金属ナトリウム、水素化カルシウムまたは分子ふるいでさらに処理し、使用直前に蒸留した。生成物は、概して、真空下で乾燥させた後、さらなる反応に持ち越されるか、または生物学的試験に供された。質量分析データは、液体クロマトグラフィー質量分析(LCMS)、大気圧化学イオン化(APCI)またはガスクロマトグラフィー質量分析(GCMS)計測器のいずれかから報告される。核磁気共鳴(NMR)データについての化学シフトは、用いられる重水素化溶媒からの残存ピークを基準とした百万分率(ppm、δ)で表される。いくつかの例において、本発明のある特定の化合物のエナンチオマーを分離するために、キラル分離を行った(いくつかの例において、分離されたエナンチオマーは、それらの溶離順序により、ENT−1およびENT−2として指定される)。いくつかの例において、エナンチオマーの旋光度は、旋光計を使用して測定した。その観察された回転データ(またはその特異的な回転データ)により、時計回りのエナンチオマーは(+)−エナンチオマーとして指定され、反時計回りのエナンチオマーは(−)−エナンチオマーとして指定された。
【0210】
検出可能な中間体を経由して進行する反応には、概して、LCMSが続き、その後の試薬の添加前に完全変換まで進行した。他の実施例または方法における手順を参照する合成では、反応条件(反応時間および温度)は変動し得る。概して、反応には、薄層クロマトグラフィーまたは質量分析が続き、適切な場合には、ワークアップに供した。精製は、実験間で変動してよく、概して、溶離液/勾配に使用した溶媒および溶媒比は、適切なR
fまたは保持時間を提供するように選択した。
【実施例】
【0211】
(実施例1)
アゼチジン−1−イル[3−(4−クロロフェニル)イミダゾ[1,2−b]ピリダジン−2−イル]メタノン(1)
【0212】
【化7】
ステップ1。エチルイミダゾ[1,2−b]ピリダジン−2−カルボキシレート(C1)の合成。
エタノール(300mL)中のピリダジン−3−アミン(20g、210mmol)およびエチル3−ブロモ−2−オキソプロパノエート(82g、420mmol)の混合物
を、16時間にわたって加熱還流した。蒸留を介する溶媒の除去後、残留物を2M塩酸(100mL)に溶かし、酢酸エチルで洗浄した。水性層を、重炭酸ナトリウム水溶液の添加を介しておよそ8のpHに塩基性化し、次いで、クロロホルムで抽出し、この有機層を、硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、真空で濃縮した。シリカゲルクロマトグラフィー(溶離液:石油エーテル中20%酢酸エチル)により、生成物を褐色固体として得た。収量:8.0g、42mmol、20%。LCMS m/z 192.0 [M+H]
+.
1H NMR (400 MHz, CDCl
3)
δ 8.53 (s, 1H), 8.39 (dd, J=4.4, 1.6 Hz, 1H), 8.01-8.04
(m, 1H), 7.12 (dd, J=9.3, 4.4 Hz, 1H), 4.48 (q, J=7.1 Hz, 2H), 1.45 (t, J=7.1
Hz, 3H).
【0213】
ステップ2。エチル3−ヨードイミダゾ[1,2−b]ピリダジン−2−カルボキシレート(C2)の合成。
N−ヨードコハク酸イミド(24.6g、109mmol)を、アセトニトリル(250mL)中のC1(19g、99mmol)の溶液に添加し、反応混合物を室温で24時間にわたって攪拌した。追加のN−ヨードコハク酸イミド(24時間経過毎に1当量)を導入し、出発材料の完全消費が薄層クロマトグラフィー分析を介して示されるまで、攪拌をさらに48時間にわたって続けた(全体で72時間)。真空での溶媒の除去後、残留物をジクロロメタンに溶かし、1M塩酸でおよび水で洗浄した。有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮し、シリカゲルクロマトグラフィー(溶離液:石油エーテル中20%酢酸エチル)により、生成物をオフホワイト色の固体として提供した。収量:14.5g、45.7mmol、46%。LCMS m/z 318.0 [M+H]
+.
1H NMR (300 MHz, DMSO-d
6)
δ 8.74 (dd, J=4.3, 1.3 Hz, 1H), 8.18 (dd, J=9.2, 1.4
Hz, 1H), 7.41 (dd, J=9.3, 4.4 Hz, 1H), 4.35 (q, J=7.0 Hz, 2H), 1.36 (t, J=7.1
Hz, 3H).
【0214】
ステップ3。エチル3−(4−クロロフェニル)イミダゾ[1,2−b]ピリダジン−2−カルボキシレート(C3)の合成。
炭酸ナトリウム水溶液(3M、8.4mL、25mmol)を、1,4−ジオキサン(32mL)中の、C2(2.00g、6.31mmol)、(4−クロロフェニル)ボロン酸(1.48g、9.46mmol)および[1,1’−ビス(ジシクロヘキシルホスフィノ)フェロセン]ジクロロパラジウム(II)(382mg、0.505mmol)の混合物に添加した。反応混合物を90℃で終夜加熱したら直ぐに、これを酢酸エチル(150mL)と水(50mL)とに分配した。水性層を酢酸エチル(3×150mL)で抽出し、合わせた有機層を硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過し、真空で濃縮した。シリカゲルクロマトグラフィー(勾配:ヘプタン中0%から100%酢酸エチル)を介する精製により、生成物を得た。収量:1.25g、4.14mmol、66%。LCMS m/z 302.0, 304.0 [M+H]
+.
1H NMR (400 MHz,
CDCl
3) δ 8.39 (dd, J=4.3, 1.5 Hz, 1H), 8.09
(dd, J=9.3, 1.5 Hz, 1H), 7.65 (br d, J=8.5 Hz, 2H), 7.50 (br d, J=8.5 Hz, 2H),
7.17 (dd, J=9.3, 4.3 Hz, 1H), 4.42 (q, J=7.1 Hz, 2H), 1.38 (t, J=7.1 Hz, 3H).
【0215】
ステップ4。3−(4−クロロフェニル)イミダゾ[1,2−b]ピリダジン−2−カルボン酸、ナトリウム塩(C4)の合成。
メタノール(25mL)およびテトラヒドロフラン(25mL)中のC3(1.75g、5.80mmol)の溶液を、水酸化ナトリウムの水溶液(2M、25mL)に添加し、反応混合物を室温で4時間にわたって攪拌した。得られた固体を、濾過を介して収集し、冷水(2×25mL)で洗浄して、生成物を固体として提供した。収量:1.50g、5.07mmol、87%。LCMS m/z 274.0, 276.0 [M+H]
+。
【0216】
ステップ5。アゼチジン−1−イル[3−(4−クロロフェニル)イミダゾ[1,2−b]ピリダジン−2−イル]メタノン(1)の合成。
化合物C4(1.40g、4.74mmol)を、O−(ベンゾトリアゾール−1−イル)−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート(HBTU、2.92g、7.70mmol)およびN,N−ジイソプロピルエチルアミン(3.56mL、20.4mmol)と、N,N−ジメチルホルムアミド(75mL)中で合わせた。2分後、アゼチジン塩酸塩(957mg、10.2mmol)を添加し、反応混合物を50℃で終夜攪拌した。真空での溶媒の除去後、残留物を、シリカゲル上のクロマトグラフィー(勾配:ヘプタン中0%から100%酢酸エチル)、続いて、50℃での酢酸エチル(30mL)による粉砕に供し、この混合物を0℃に冷却し、濾過した。収集した固体を、ジエチルエーテル(50mL)でおよび冷酢酸エチル(15mL)で洗浄した。その後の酢酸エチルからの再結晶により、生成物をオフホワイト色の固体として提供した。収量:980mg、3.13mmol、66%。LCMS m/z 313.2, 315.2 [M+H]
+.
1H
NMR (400 MHz,
CDCl
3) δ 8.41 (dd, J=4.4, 1.6 Hz, 1H), 8.10
(br d, J=9.2 Hz, 1H), 7.75 (br d, J=8.6 Hz, 2H), 7.48 (br d, J=8.6 Hz, 2H),
7.19 (dd, J=9.2, 4.3 Hz, 1H), 4.46-4.57 (m, 2H), 4.17-4.28 (m, 2H), 2.28-2.39
(m, 2H).
【0217】
(実施例2)
3−(4−クロロフェニル)−N−シクロプロピルイミダゾ[1,2−b]ピリダジン−2−カルボキサミド(2)
【0218】
【化8】
O−ベンゾトリアゾール−1−イル−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート(97%、3.21g、8.21mmol)を、テトラヒドロフラン(100mL)中の、C4のカルボン酸(C4と同じ様式で調製したが、この事例においては、塩酸で酸性化して、ナトリウム塩ではなくカルボン酸を得た)(1.50g、5.48mmol)およびN,N−ジイソプロピルエチルアミン(2.86mL、16.4mmol)の混合物に添加し、反応混合物を室温で2分間にわたって攪拌した。シクロプロピルアミン(0.77mL、11mmol)を導入し、攪拌を室温で終夜続けた。反応混合物を真空で濃縮し、残留物を、シリカゲルクロマトグラフィー(勾配:ヘプタン中0%から100%酢酸エチル)に供した。得られた固体を、ジエチルエーテルおよびジクロロメタンの10:1混合物で粉砕し、その後、シリカゲル上のクロマトグラフィー(勾配:ヘプタン中0%から100%酢酸エチル)を介してもう一度精製して、生成物を固体として得た。収量:1.39g、4.44mmol、81%。LCMS m/z 313.3, 315.2 [M+H]
+.
1H NMR (400 MHz,
CD
3OD) δ 8.46 (dd, J=4.3, 1.6 Hz, 1H), 8.06
(dd, J=9.3, 1.7 Hz, 1H), 7.71 (br d, J=8.7 Hz, 2H), 7.48 (br d, J=8.6 Hz, 2H),
7.31 (dd, J=9.3, 4.4 Hz, 1H), 2.79-2.86 (m, 1H), 0.78-0.84 (m, 2H), 0.62-0.68
(m, 2H).
【0219】
(実施例3)
アゼチジン−1−イル[3−(3,5−ジフルオロ−4−メトキシフェニル)イミダゾ[1,2−b]ピリダジン−2−イル]メタノン(3)
【0220】
【化9】
ステップ1。エチル3−(3,5−ジフルオロ−4−メトキシフェニル)イミダゾ[1,2−b]ピリダジン−2−カルボキシレート(C5)の合成。
N,N−ジメチルホルムアミド(10mL)中の、C1(500mg、2.6mmol)、5−ブロモ−1,3−ジフルオロ−2−メトキシベンゼン(864mg、3.87mmol)および炭酸カリウム(866mg、6.27mmol)の混合物を、窒素で数回脱気した。酢酸パラジウム(II)(50mg、0.22mmol)およびテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(30mg、26μmol)を添加し、反応混合物を110℃で終夜攪拌した。水(50mL)の添加後、混合物を酢酸エチル(3×30mL)で抽出し、合わせた有機層を真空で濃縮し、シリカゲル上のクロマトグラフィーによって精製して、生成物を黄色固体として提供した。収量:500mg、1.5mmol、58%。LCMS m/z 334.0 [M+H]
+。
【0221】
ステップ2。3−(3,5−ジフルオロ−4−メトキシフェニル)イミダゾ[1,2−b]ピリダジン−2−カルボン酸(C6)の合成。
エタノール(30mL)中のC5(500mg、1.5mmol)の溶液に、水(10mL)中の水酸化リチウム(2当量)の溶液を添加し、反応混合物を室温で4時間にわたって攪拌したら直ぐに、これを真空で濃縮した。残留物を水で希釈し、塩酸で4のpHに酸性化した。ジクロロメタン(3×30mL)による混合物の抽出後、合わせた有機層を減圧下で濃縮して、生成物を黄色固体として得、これを、さらに精製することなく次のステップにおいて使用した。収量:500mg、定量的。LCMS m/z 305.9 [M+H]
+。
【0222】
ステップ3。アゼチジン−1−イル[3−(3,5−ジフルオロ−4−メトキシフェニル)イミダゾ[1,2−b]ピリダジン−2−イル]メタノン(3)の合成。
C6(100mg、0.328mmol)、アゼチジン塩酸塩(45mg、0.48mmol)、O−(7−アザベンゾトリアゾール−1−イル)−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート(HATU、186mg、0.489mmol)、N,N−ジイソプロピルエチルアミン(126mg、0.975mmol)およびN,N−ジメチルホルムアミド(10mL)の混合物を、室温で終夜攪拌した。次いで、反応混合物を水で希釈し、酢酸エチル(3×10mL)で抽出した。合わせた有機層を真空で濃縮し、逆相HPLC(カラム:Phenomenex Synergi C18、4μm;移動相A:水中0.225%ギ酸;移動相B:アセトニトリル;勾配:33%から53%B)によって精製して、生成物を黄色固体として提供した。収量:35.7mg、0.104mmol、32%。LCMS m/z 344.9 [M+H]
+.
1H NMR (400 MHz, DMSO-d
6)
δ 8.63 (dd, J=4.4, 1.6 Hz, 1H), 8.24 (dd, J=9.3, 1.6
Hz, 1H), 7.56 (br d, J=9.9 Hz, 2H), 7.39 (dd, J=9.4, 4.4 Hz, 1H), 4.46-4.53 (m,
2H), 4.01-4.07 (m, 2H), 4.01 (br s, 3H), 2.22-2.32 (m, 2H).
【0223】
(実施例4)
N−シクロプロピル−3−(2−メトキシピリミジン−5−イル)イミダゾ[1,2−b]ピリダジン−2−カルボキサミド(4)
【0224】
【化10】
ステップ1。エチル3−(2−メトキシピリミジン−5−イル)イミダゾ[1,2−b]ピリダジン−2−カルボキシレート(C7)の合成。
C2(1.8g、5.7mmol)、(2−メトキシピリミジン−5−イル)ボロン酸(1.3g、8.4mmol)、炭酸ナトリウム(1.8g、17mmol)および1,4−ジオキサン(30mL)の混合物を、窒素で数回脱気した。[1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]ジクロロパラジウム(II)(30mg、40μmol)を添加し、反応混合物を110℃で終夜攪拌した。次いで、これを水で希釈し、酢酸エチル(4×100mL)で抽出し、合わせた有機層を飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮した。シリカゲル上のクロマトグラフィーを介する精製により、生成物を黄色固体として提供した。収量:800mg、2.7mmol、47%。LCMS m/z 299.7 [M+H]
+。
【0225】
ステップ2。N−シクロプロピル−3−(2−メトキシピリミジン−5−イル)イミダゾ[1,2−b]ピリダジン−2−カルボキサミド(4)の合成。
シクロプロピルアミン(5mL、70mmol)を、メタノール(200mL)中のC7(800mg、2.7mmol)および塩化カルシウム(200mg、1.8mmol)の混合物に添加した。反応混合物を50℃で5時間にわたって攪拌したら直ぐに、これを水で希釈し、酢酸エチル(2×100mL)で抽出した。合わせた有機層を飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、真空で濃縮した。逆相HPLC(カラム:Agella Venusil ASB C18、5μm;移動相A:水中0.225%ギ酸;移動相B:アセトニトリル;勾配:29%から49%B)を介する精製により、生成物を白色固体として得た。収量:430.3mg、1.39mmol
、51%。LCMS m/z 311.0 [M+H]
+.
1H NMR (400 MHz, CDCl
3)
δ 9.01 (s, 2H), 8.40 (dd, J=4.4, 1.6 Hz, 1H), 7.97 (dd,
J=9.2, 1.7 Hz, 1H), 7.60 (br s, 1H), 7.20 (dd, J=9.3, 4.3 Hz, 1H), 4.10 (s,
3H), 2.88-2.95 (m, 1H), 0.84-0.91 (m, 2H), 0.66-0.72 (m, 2H).
【0226】
(実施例5)
3−(6−シアノピリジン−3−イル)−N−シクロプロピルイミダゾ[1,2−b]ピリダジン−2−カルボキサミド(5)
【0227】
【化11】
ステップ1。エチル3−ブロモイミダゾ[1,2−b]ピリダジン−2−カルボキシレート(C8)の合成。
N−ブロモコハク酸イミド(25.6g、144mmol)を、ジクロロメタン(250mL)中のC1(25.0g、131mmol)の0℃溶液に添加した。反応混合物を室温に徐々に加温させ、終夜攪拌させたら直ぐに、反応物を10%重亜硫酸ナトリウム水溶液でクエンチした。得られた混合物を追加のジクロロメタンで希釈し、飽和重炭酸ナトリウム水溶液でおよび水で洗浄した。有機層を硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過し、真空で濃縮した。tert−ブチルメチルエーテルによる粉砕により、生成物を帯桃紫色の固体(25.4g)として得た。減圧下での濾液の濃縮、続いて、tert−ブチルメチルエーテルおよびヘキサンによる粉砕により、生成物の第二のバッチ(6.46g)を得た。合わせた収量:31.9g、118mmol、90%。LCMS m/z 270.0, 272.0 [M+H]
+.
1H NMR (400 MHz,
CDCl
3) δ 8.55 (dd, J=4.4, 1.6 Hz, 1H), 8.05
(dd, J=9.3, 1.6 Hz, 1H), 7.22 (dd, J=9.3, 4.4 Hz, 1H), 4.53 (q, J=7.1 Hz, 2H),
1.49 (t, J=7.1 Hz, 3H).
【0228】
ステップ2。3−ブロモ−N−シクロプロピルイミダゾ[1,2−b]ピリダジン−2−カルボキサミド(C9)の合成。
メタノール(250mL)中の、C8(27.0g、100mmol)、シクロプロピルアミン(25.0mL、349mmol)および塩化カルシウム(12.2g、110mmol)の混合物を、50℃で3日間にわたって加熱したら直ぐに、これを室温に冷却し、真空で濃縮した。残留物をジクロロメタンと水とに分配し、有機層を減圧下で濃縮した。ジエチルエーテルおよび水による残留物の粉砕により、生成物を桃色固体として得た。収量:24.4g、86.8mmol、87%。LCMS m/z 281.0, 283.0 [M+H]
+.
1H NMR (400 MHz,
CDCl
3) δ 8.52 (dd, J=4.4, 1.6 Hz, 1H), 7.90
(dd, J=9.3, 1.6 Hz, 1H), 7.46 (br s, 1H), 7.20 (dd, J=9.2, 4.4 Hz, 1H),
2.91-2.98 (m, 1H), 0.86-0.92 (m, 2H), 0.67-0.72 (m, 2H).
【0229】
ステップ3。3−(6−シアノピリジン−3−イル)−N−シクロプロピルイミダゾ[1,2−b]ピリダジン−2−カルボキサミド(5)の合成。
2−メチルテトラヒドロフラン(7mL)および水(2mL)中のC9(300mg、1.07mmol)の脱気溶液に、リン酸カリウム(80%、849mg、3.20mmol)を添加した。混合物を80℃に加熱し、次いで、[1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]ジクロロパラジウム(II)、ジクロロメタン錯体(97%、53.9mg、64.0μmol)で処理した。2分後、5−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)ピリジン−2−カルボニトリル(319mg、1.39mmol)を添加し、反応混合物を80℃で終夜維持した。次いで、これを室温に冷却し、珪藻土に通して濾過し、フィルターパッドを酢酸エチルですすぎ、合わせた濾液を水で洗浄した。有機層を真空で濃縮した後、残留物を、シリカゲルクロマトグラフィー(勾配:ヘプタン中50%から100%酢酸エチル)を介して精製して、白色固体(196mg)を得た。メタノールからの再結晶により、生成物を無色針状物として得た。収量:135mg、0.444mmol、41%。LCMS m/z 305.1 [M+H]
+.
1H NMR (400 MHz, CDCl
3)
δ 9.18 (d, J=1.5 Hz, 1H), 8.41-8.46 (m, 2H), 8.01 (dd,
J=9.2, 1.4 Hz, 1H), 7.82 (d, J=8.0 Hz, 1H), 7.66 (br s, 1H), 7.26 (dd, J=9.2,
4.4 Hz, 1H), 2.86-2.94 (m, 1H), 0.85-0.92 (m, 2H), 0.66-0.72 (m, 2H).
【0230】
(実施例6)
N−シクロプロピル−3−([1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリジン−6−イル)イミダゾ[1,2−b]ピリダジン−2−カルボキサミド(6)
【0231】
【化12】
化合物C9(1.90g、6.76mmol)を、6−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリジン(1.82g、7.43mmol)、[1,1’−ビス(ジシクロヘキシルホスフィノ)フェロセン]ジクロロパラジウム(II)(51.4mg、68.0μmol)および1,4−ジオキサン(34mL)と合わせた。炭酸ナトリウム水溶液(3M、9.0mL、27mmol)を添加し、反応混合物を窒素で15分間にわたってパージし、次いで、100℃で20時間にわたって加熱した。反応混合物を室温に冷却し、酢酸エチル中10%メタノールですすぎながら、上清を珪藻土のパッドに通して直ちに濾過した。残った固体を、5分間にわたって攪拌することにより、半飽和塩化ナトリウム水溶液(25mL)と酢酸エチル中10%メタノールとに分配し、この混合物も珪藻土に通して濾過した。合わせた濾液を、飽和塩化ナトリウム水溶液(25mL)および追加の酢酸エチル中10%メタノールで希釈した。水性層を、酢酸エチル中10%メタノールで3回抽出し
、合わせた有機層を飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、真空で濃縮した。ジクロロメタンおよびメタノールを使用して残留物を珪藻土(粗生成物の4倍の重量)に吸着させ、シリカゲル上のクロマトグラフィー(勾配:酢酸エチル中0%から20%メタノール)に供した。得られた材料(1.83g)をメタノール(20mL)と混合し、72℃に20分間にわたって加熱し、冷却した後、混合物を濾過し、メタノールで洗浄して、生成物をオフホワイト色の固体として得た。この材料は、粉末X線回折を介し、結晶性であることが分かった。収量:1.66g、5.20mmol、77%。LCMS m/z 320.2 [M+H]
+.
1H NMR (400 MHz, DMSO-d
6)
δ 9.35 (dd, J=1.4, 1.3 Hz, 1H), 8.64 (dd, J=4.4, 1.6
Hz, 1H), 8.61 (br d, J=5 Hz, 1H), 8.60 (s, 1H), 8.24 (dd, J=9.3, 1.6 Hz, 1H),
7.93-7.99 (m, 2H), 7.44 (dd, J=9.3, 4.4 Hz, 1H), 2.82-2.90 (m, 1H), 0.64-0.70
(m, 4H).
【0232】
(実施例7)
3−(4−クロロ−3−フルオロフェニル)−N−(1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)イミダゾ[1,2−b]ピリダジン−2−カルボキサミド(7)
【0233】
【化13】
ステップ1。エチル3−(4−クロロ−3−フルオロフェニル)イミダゾ[1,2−b]ピリダジン−2−カルボキシレート(C10)の合成。
炭酸ナトリウム水溶液(3M、8.8mL、26mmol)を、1,4−ジオキサン(34mL)中の、C2(2.10g、6.62mmol)、(4−クロロ−3−フルオロフェニル)ボロン酸(1.73g、9.92mmol)および[1,1’−ビス(ジシクロヘキシルホスフィノ)フェロセン]ジクロロパラジウム(II)(401mg、0.530mmol)の混合物に添加し、反応混合物を85℃で終夜加熱した。次いで、これを水(75mL)で希釈し、酢酸エチル(4×250mL)で抽出した。合わせた有機層を硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過し、真空で濃縮し、シリカゲル上のクロマトグラフィー(勾配:ヘプタン中5%から100%酢酸エチル)を介する精製により、生成物を得た。収量:1.50g、4.69mmol、71%。LCMS m/z 320.0, 322.0 [M+H]
+.
1H NMR (400 MHz,
CDCl
3) δ 8.43 (br d, J=4.3 Hz, 1H), 8.11 (br
d, J=9.3 Hz, 1H), 7.52-7.58 (m, 2H), 7.46-7.50 (m, 1H), 7.22 (dd, J=9.3, 4.4 Hz,1H), 4.44 (q, J=7.1 Hz, 2H), 1.39 (t, J=7.1 Hz, 3H).
【0234】
ステップ2。3−(4−クロロ−3−フルオロフェニル)イミダゾ[1,2−b]ピリダジン−2−カルボン酸、リチウム塩(C11)の合成。
メタノール(100mL)および水(30mL)中のC10(700mg、2.2mmol)および水酸化リチウム一水和物(200mg、4.8mmol)の混合物を、室温で16時間にわたって攪拌した。反応混合物を濃縮してメタノールを除去し、残留物を酢酸エチルで洗浄した。得られた固体の濾過を介する収集により、生成物を黄色固体として得た。収量:700mg、定量的。
1H NMR (400 MHz, DMSO-d
6) δ 8.56 (br d, J=4 Hz,
1H), 8.13 (br d, J=9 Hz, 1H), 7.97 (d, J=11 Hz,
1H), 7.79 (d, J=8 Hz, 1H), 7.65 (dd, J=8.5, 8 Hz, 1H), 7.32 (dd, J=9.3, 4.3 Hz,
1H).
【0235】
ステップ3。3−(4−クロロ−3−フルオロフェニル)−N−(1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)イミダゾ[1,2−b]ピリダジン−2−カルボキサミド(7)の合成。
N,N−ジメチルホルムアミド(5mL)およびN,N−ジイソプロピルエチルアミン(2mL)中の、C11(200mg、0.67mmol)およびO−(7−アザベンゾトリアゾール−1−イル)−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート(500mg、1.3mmol)の混合物を、室温で20分間にわたって攪拌した。1−メチル−1H−ピラゾール−4−アミン(200mg、2.1mmol)を添加し、反応混合物を35℃で2時間にわたって攪拌したら直ぐに、これを水で希釈し、濾過した。収集した固体を酢酸エチルおよびメタノールで洗浄して、生成物を桃色固体として提供した。収量:130mg、0.351mmol、52%。LCMS m/z 393.0 [M+Na
+].
1H NMR (400 MHz,
DMSO-d
6) δ 10.76 (s, 1H), 8.64 (br d, J=4.4
Hz, 1H), 8.26 (br d, J=9.4 Hz, 1H), 8.04 (s, 1H), 7.82 (br d, J=10.7 Hz, 1H),
7.73 (dd, J=8.3, 8.0 Hz, 1H), 7.66 (s, 1H), 7.61 (br d, J=8.4 Hz, 1H), 7.44
(dd, J=9.3, 4.3 Hz, 1H), 3.79 (s, 3H).
【0236】
(実施例8)
アゼチジン−1−イル[3−(ピラゾロ[1,5−a]ピリジン−6−イル)イミダゾ[1,2−b]ピリダジン−2−イル]メタノン(8)
【0237】
【化14】
ステップ1。6−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)ピラゾロ[1,5−a]ピリジン(C12)の合成。
1,4−ジオキサン(25mL)中の、6−ブロモピラゾロ[1,5−a]ピリジン(1.5g、7.6mmol)、4,4,4’,4’,5,5,5’,5’−オクタメチル−2,2’−ビ−1,3,2−ジオキサボロラン(2.03g、7.99mmol)、[1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]ジクロロパラジウム(II)(0.27g、0.37mmol)および酢酸カリウム(2.2g、22mmol)の混合物を、10分間にわたって脱気し、次いで、100℃で終夜加熱した。真空での溶媒の除去後、残留物をジクロロメタンで希釈し、珪藻土(約5g)と混合し、減圧下で濃縮した。シリカゲルクロマトグラフィー(勾配:ヘプタン中0%から50%酢酸エチル)により、生成物を緑色液体として得た。収量:1.35g、5.53mmol、73%。GCMS m/z
244 [M
+].
1H NMR (400 MHz, CDCl
3)
δ 8.86-8.87 (m, 1H), 7.99 (d, J=2.2 Hz, 1H), 7.50 (dd,
J=8.8, 1.1 Hz, 1H), 7.37 (dd, J=8.8, 1.1 Hz, 1H), 6.49 (dd, J=2.2, 0.9 Hz, 1H),
1.37 (s, 12H).
【0238】
ステップ2。アゼチジン−1−イル(3−ブロモイミダゾ[1,2−b]ピリダジン−2−イル)メタノン(C13)の合成。
無水メタノール(18mL)中のアゼチジン塩酸塩(1.73g、18.5mmol)およびトリエチルアミン(2.57mL、18.5mmol)の混合物を、室温で10分間にわたって攪拌した。化合物C8(500mg、1.85mmol)および塩化カルシウム(206mg、1.86mmol)を添加し、反応容器の蓋を固く閉め、反応混合物を50℃で終夜加熱した。真空での溶媒の除去後、残留物を水(25mL)とジクロロメタン(100mL)とに分配した。有機層を硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮し、シリカゲル上のクロマトグラフィー(溶離液:酢酸エチル)により、生成物を薄黄色固体として得た。収量:357mg、1.27mmol、69%。LCMS m/z 281.0, 283.0 [M+H]
+.
1H NMR (400 MHz,
CDCl
3) δ 8.45 (dd, J=4.4, 1.6 Hz, 1H), 7.87
(dd, J=9.2, 1.6 Hz, 1H), 7.12 (dd, J=9.2, 4.4 Hz, 1H), 4.59-4.65 (m, 2H),
4.17-4.24 (m, 2H), 2.27-2.37 (m, 2H).
【0239】
ステップ3。アゼチジン−1−イル[3−(ピラゾロ[1,5−a]ピリジン−6−イル)イミダゾ[1,2−b]ピリダジン−2−イル]メタノン(8)の合成。
トルエン(60mL)中のC13(1.06g、3.77mmol)の溶液を含有するフラスコを、真空下で排気し、次いで、窒素を充填した。各添加後に排気/窒素充填を繰り返し、C12(2.84g、11.6mmol)、続いて、水(18mL)中のフッ化セシウム(2.87g、18.9mmol)の溶液、および1,2−ジクロロエタン(9mL)中のビス[ジ−tert−ブチル(4−ジメチルアミノフェニル)ホスフィン]ジクロロパラジウム(II)(335mg、0.473mmol)の溶液を添加した。反応混合物を100℃で23時間にわたって加熱したら直ぐに、これを室温に冷却し、真空で濃縮し、シリカゲル上のクロマトグラフィー(溶離液:酢酸エチル、次いで、ジクロロメタン中5%メタノール)に供した。この材料を、C13に対して行われた同様の反応の生成物(200mg、0.71mmol)と合わせ、超臨界流体クロマトグラフィー(カラム:Princetonメタンスルホンアミド、5μm;移動相:4:1 二酸化炭素/メタノール)を介して精製した。得られた材料をエタノールから再結晶させて、生成物を白色固体として得た。この材料は、粉末X線回折を介し、結晶性であることが分かった。収量:540mg、1.7mmol、38%。LCMS m/z 319.1 [M+H]
+.
1H NMR (400 MHz, CDCl
3)
δ 9.07 (br s, 1H), 8.40 (dd, J=4.3, 1.6 Hz, 1H), 8.01
(d, J=2.2 Hz, 1H), 8.01 (dd, J=9.3, 1.7 Hz, 1H), 7.63 (d, AB四重線の半分, J=9.3 Hz, 1H), 7.54 (dd, ABXパターンの半分, J=9.2,
1.4 Hz, 1H), 7.16 (dd, J=9.3, 4.4 Hz, 1H), 6.56 (d, J=2.2 Hz, 1H), 4.59-4.65
(m, 2H), 4.20-4.27 (m, 2H), 2.31-2.40 (m, 2H).
【0240】
(実施例9)
3−(4−クロロ−2,5−ジフルオロフェニル)−N−シクロプロピルイミダゾ[1,2−b]ピリダジン−2−カルボキサミド(9)
【0241】
【化15】
リン酸カリウム(80%、1.42g、5.35mmol)を、2−メチルテトラヒドロフラン(20mL)および水(5mL)中のC9(500mg、1.78mmol)の脱気溶液に添加し、混合物を80℃に加熱した。[1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]ジクロロパラジウム(II)、ジクロロメタン錯体(97%、90.1mg、0.107mmol)を導入し、2分後、2−(4−クロロ−2,5−ジフルオロフェニル)−4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン(635mg、2.31mmol)を添加した。反応混合物を80℃で終夜維持したら直ぐに、これを室温に冷却し、珪藻土に通して濾過した。フィルターパッドを酢酸エチルですすぎ、合わせた濾液を水で洗浄し、有機層を真空で濃縮し、シリカゲルクロマトグラフィー(勾配:ヘプタン中50%から100%酢酸エチル)を介して精製した。メタノールからの再結晶により、生成物をオフホワイト色の固体として得た。収量:217mg、0.622m
mol、35%。LCMS m/z 349.1, 351.1 [M+H]
+.
1H NMR (400 MHz,
CDCl
3) δ 8.40 (dd, J=4.4, 1.7 Hz, 1H), 7.98
(dd, J=9.3, 1.6 Hz, 1H), 7.53 (br s, 1H), 7.50 (dd, J=8.9, 5.9 Hz, 1H), 7.31
(dd, J=8.6, 6.1 Hz, 1H), 7.21 (dd, J=9.3, 4.4 Hz, 1H), 2.86-2.93 (m, 1H),
0.84-0.89 (m, 2H), 0.66-0.71 (m, 2H).
【0242】
実施例1〜9について上述した方法論を使用して、実施例10〜25を合成した。用いられた具体的な方法、およびこれらの実施例の特徴付けデータについては、表1を参照されたい。
【0243】
【表1-1】
【0244】
【表1-2】
【0245】
【表1-3】
【0246】
【表1-4】
【0247】
【表1-5】
【0248】
【表1-6】
【0249】
【表2-1】
【0250】
【表2-2】
【0251】
【表2-3】
【0252】
【表2-4】
【0253】
【表2-5】
【0254】
【表2-6】
【0255】
【表2-7】
【0256】
【表2-8】
【0257】
【表2-9】
【0258】
【表2-10】
【0259】
【表2-11】
【0260】
【表2-12】
【0261】
【表2-13】
【0262】
本発明の化合物に対するPDE4A、PDE4B、PDE4CおよびPDE4D結合親和性は、下記の生物学的アッセイを利用して決定した:
【0263】
生物学的アッセイ
ヒトPDE4A3コード配列(受託番号NP_001104779を持つ配列からの配列2から825)を、精製を補助するためのN末端His6親和性タグおよびc末端FLAG親和性タグを包含するように操作されたバキュロウイルス発現ベクターpFastB
ac(Invitrogen)にクローン化した。組換えバクミドを単離し、昆虫細胞をトランスフェクトしてウイルスストックを生成するために使用した。精製用の細胞ペーストを生成するために、昆虫細胞をウイルスストックに感染させ、感染72時間後に細胞を採取した。昆虫細胞ペーストを溶解し、遠心分離後、上清をNi−NTAアガロース(GE Healthcare)とバッチ結合(batch bound)させ、250mMのイミダゾールで溶離した。この溶離物をFLAG緩衝液(50mMのトリスHCL pH7.5、100mMのNaCl、5%グリセロール、1mMのTCEPにプロテアーゼ阻害剤を加えたもの)で希釈し、抗FLAG M2アガロース(Sigma)と4℃で終夜バッチ結合させた。アガロースをカラムに詰め、緩衝液で洗浄し、溶離物(elute)を含有する緩衝液で、250ug/mlのFlagペプチドを使用して溶離した。SDS−PAGEクマシーブルー染色を使用して画分を分析し、純度に基づいてプールした。プールした画分を、50mMのトリスHCL pH7.5、150mMのNaCl、10%グリセロール、2mMのTCEPにプロテアーゼ阻害剤を加えたもの中、S200 120mlカラム(GE Healthcare)でクロマトグラフした。PDE4A3画分を、SDS−PAGEクマシーブルー染色によって分析し、純度に基づいてプールし、50mMのトリスHCL pH7.5、100mMのNaCl、20%グリセロール、2mMのTCEPに対して透析し、凍結させ、−80℃で貯蔵した。
【0264】
アミノ酸置換S134E、S654A、S659AおよびS661Aをもたらす突然変異を持つヒトPDE4B1コード配列(受託番号Q07343を持つ配列からのアミノ酸122から736)を、精製を補助するためのN末端His6親和性タグを包含するように操作されたバキュロウイルス発現ベクターpFastBac(Invitrogen)、続いて、トロンビン開裂部位にクローン化した。組換えバクミドを単離し、昆虫細胞をトランスフェクトしてウイルスストックを生成するために使用した。精製用の細胞ペーストを生成するために、昆虫細胞をウイルスストックに感染させ、Seeger,T.F.ら、Brain Research 985(2003)113〜126において記述されている通り、感染72時間後に細胞を採取した。昆虫細胞ペーストを溶解し、遠心分離後、上清を、Seeger,T.F.ら、Brain Research 985(2003)113〜126において記述されている通り、Ni−NTAアガロース(Qiagen)でクロマトグラフした。PDE4を含有するNi−NTAアガロース溶離画分をプールし、Q緩衝液A(20mMのトリスHCl pH8、5%グリセロール、1mMのTCEP)で希釈してNaClを約100mMに低減させ、Source 15Q(GE Healthcare)カラムに装填した。Q緩衝液A/10%緩衝液Bでベースラインまで洗浄した後、PDE4Dを、緩衝液B(20mMのトリスHCl pH8、1MのNaCl、5%グリセロール、1mMのTCEP)の10%から60%の勾配で溶離した。PDE4D画分を、SDS−PAGEクマシーブルー染色によって分析し、純度に基づいてプールし、凍結させ、−80℃で貯蔵した。
【0265】
ヒトPDE4C1コード配列(受託番号NP_000914.2を持つ配列からのアミノ酸2から712)を、精製を補助するためのN末端His6親和性タグおよびc末端FLAG親和性タグを包含するように操作されたバキュロウイルス発現ベクターpFastBac(Invitrogen)にクローン化した。組換えバクミドを単離し、昆虫細胞をトランスフェクトしてウイルスストックを生成するために使用した。精製用の細胞ペーストを生成するために、昆虫細胞をウイルスストックに感染させ、感染72時間後に細胞を採取した。昆虫細胞ペーストを溶解し、遠心分離後、上清をNi−NTAアガロース(GE Healthcare)とバッチ結合させ、250mMのイミダゾールで溶離した。この溶離物をFLAG緩衝液(50mMのトリスHCL pH7.5、100mMのNaCl、5%グリセロール、1mMのTCEPにプロテアーゼ阻害剤を加えたもの)で希釈し、抗FLAG M2アガロース(Sigma)と4℃で終夜バッチ結合させた。アガロースをカラムに詰め、緩衝液で洗浄し、溶離物を含有する緩衝液で、250ug/ml
のFlagペプチドを使用して溶離した。SDS−PAGEクマシーブルー染色を使用して画分を分析し、純度に基づいてプールした。プールした画分を、50mMのトリスHCL pH7.5、150mMのNaCl、10%グリセロール、2mMのTCEPにプロテアーゼ阻害剤を加えたもの中、S200 120mlカラム(GE Healthcare)でクロマトグラフした。PDE4C1画分を、SDS−PAGEクマシーブルー染色によって分析し、純度に基づいてプールし、50mMのトリスHCL pH7.5、100mMのNaCl、20%グリセロール、2mMのTCEPに対して透析し、凍結させ、−80℃で貯蔵した。
【0266】
ヒトPDE4D3コード配列(受託番号Q08499−2を持つ配列からのアミノ酸50から672)の一部を、Seeger,T.F.ら、Brain Research 985(2003)113〜126において記述されている通り、精製を補助するためのC末端His6親和性タグを包含するように操作されたバキュロウイルス発現ベクターpFastBac(Invitrogen)にクローン化した。組換えバクミドを単離し、昆虫細胞をトランスフェクトしてウイルスストックを生成するために使用した。精製用の細胞ペーストを生成するために、昆虫細胞を感染させ、感染72時間後に細胞を採取した。昆虫細胞ペーストを溶解し、遠心分離後、上清を、Seeger,T.F.ら、Brain Research 985(2003)113〜126において記述されている通り、Ni−NTAアガロース(Qiagen)でクロマトグラフした。PDE4を含有するNi−NTAアガロース溶離画分をプールし、Q緩衝液A(50mMのトリスHCl pH8、4%グリセロール、100mMのNaCl、1mMのTCEP、プロテアーゼ阻害剤EDTAフリー(Roche))で希釈してNaClを約200mMに低減させ、Q
Sepharose(GE Healthcare)カラムに装填した。Q緩衝液Aでベースラインまで洗浄した後、PDE4Dを、緩衝液B(50mMのトリスHCl pH8、1MのNaCl、4%グリセロール、1mMのTCEP)の10%から60%の勾配で溶離した。PDE4D画分を、SDS−PAGEクマシーブルー染色によって分析し、純度に基づいてプールし、凍結させ、−80℃で貯蔵した。
【0267】
PDE4A3、PDE4B1、PDE4C1およびPDE4D3アッセイは、化合物によるインビトロでのヒト組換えPDE4A1、PDE4B3、PDE4C1およびPDE4D3酵素活性の阻害を測定するために、シンチレーション近接アッセイ(SPA)技術を使用する。PDE4A1、PDE4B3、PDE4C1およびPDE4D3アッセイは、酵素の濃度(80pMのPDE4A3、40pMのPDE4B3、40pMのPDE4C1および10pMのPDE4D)を除き同一のパラメーターを使用して、並行して実行する。アッセイは、基質の約20%を変換するために十分なPDE4A3、PDE4B1、PDE4C1およびPDE4D(1μMのcAMPは20nMの3H−cAMP+980uMの冷cAMPからなる)を含有する50uLアッセイ緩衝液(50mMのTRIS
pH7.5;1.3mMのMgCl2;0.01%Brij)ならびに広範な阻害剤を用い、384ウェルフォーマットにおいて実施する。反応物を25℃で30分間にわたってインキュベートする。20uLの8mg/mlケイ酸イットリウム(yitrium silicate)SPAビーズ(Perkin Elmer)の添加により、反応を停止させる。プレートを密封し(TopSeal、Perkin Elmer)、ビーズを8時間にわたって静置させ、その後、Trilux Microbetaで終夜読み取る。
【0268】
【表3-1】
【0269】
【表3-2】
【0270】
【表3-3】
【0271】
【表3-4】
【0272】
【表3-5】
【0273】
【表3-6】
【0274】
【表3-7】
【0275】
【表3-8】
【0276】
【表3-9】
【0277】
【表3-10】
【0278】
【表3-11】
【0279】
【表3-12】
【0280】
【表3-13】
【0281】
【表3-14】
【0282】
【表3-15】
【0283】
【表3-16】
【0284】
【表3-17】
【0285】
【表3-18】
【0286】
【表3-19】
前記ヘテロアリールが、トリアゾリル、イミダゾリル、ピラゾリル、ピリジニル、ピラジニル、ピリミジニル、ピリダジニル、トリアゾロピリジニル、ピラゾロピリジニル、ピラゾロピリミジニルまたはキノキサリニルからなる群から選択される(5〜10員)窒素含有ヘテロアリールである、請求項5に記載の化合物、または薬学的に許容できるその塩。
検出可能な中間体を経由して進行する反応には、概して、LCMSが続き、その後の試薬の添加前に完全変換まで進行した。他の実施例または方法における手順を参照する合成では、反応条件(反応時間および温度)は変動し得る。概して、反応には、薄層クロマトグラフィーまたは質量分析が続き、適切な場合には、ワークアップに供した。精製は、実験間で変動してよく、概して、溶離液/勾配に使用した溶媒および溶媒比は、適切なR
は、それらが結合した窒素と一緒になって、(4〜10員)ヘテロシクロアルキルを形成し、化学的に容認できる場合、前記(4〜10員)−ヘテロシクロアルキルは、1から5個のR
で置換されていてもよい(4〜10員)ヘテロシクロアルキルであり、ここで、前記置換されていてもよいヘテロシクロアルキルは、アゼチジニル、ジヒドロフラニル、ジヒドロチオフェニル、テトラヒドロチオフェニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロトリアジニル、テトラヒドロピラゾリル、テトラヒドロオキサジニル、テトラヒドロピリミジニル、オクタヒドロベンゾフラニル、オクタヒドロベンゾイミダゾリル、オクタオヒドロベンゾチアゾリル、イミダゾリジニル、ピロリジニル、ピペリジニル、ピペラジニル、オキサゾリジニル、イソチアゾリジニル、チアゾリジニル、ピラゾリジニル、チオモルホリニル、テトラヒドロピラニル、テトラヒドロチアジニル、テトラヒドロチアジアジニル、テトラヒドロオキサゾリル、モルホリニル、オキセタニル、テトラヒドロジアジニル、オキサジニル、オキサチアジニル、キヌクリジニル、クロマニル、イソクロマニル、ジヒドロベンゾジオキシニル、ベンゾジオキソリル、ベンゾオキサジニル、インドリニル、ジヒドロベンゾフラニル、テトラヒドロキノリル、イソクロミル、ジヒドロ−1H−イソインドリル、2−アザビシクロ[2.2.1]ヘプタノニル、3−アザビシクロ[3.1.0]ヘキサニル、および3−アザビシクロ[4.1.0]ヘプタニルからなる群から選択される、態様1に記載の化合物、または薬学的に許容できるその塩。
で置換されていてもよい(5〜14員)ヘテロアリールであり、ここで、前記置換されていてもよい(5〜14員)ヘテロアリールは、トリアゾリル、イミダゾリル、フラニル、イソオキサゾリル、イソチアゾリル、1,2,3−、1,2,4、1,2,5−、または1,3,4−オキサジアゾリル、オキサゾリル、チオフェニル、チアゾリル、イソチアゾリル、ピラゾリル、ピリジニル、ピラジニル、ピリミジニル、ピリダジニル、インドリル、インダゾリル、ベンゾフラニル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾチエニル、ベンゾオキサジアゾリル、ベンゾチアゾリル、イソベンゾチオフラニル、ベンゾチオフラニル、ベンゾイソオキサゾリル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾジオキソリル、フラノピリジニル、プリニル、イミダゾピリジニル、イミダゾピリミジニル、ピロロピリジニル、ピラゾロピリジニル、ピラゾロピリミジニル、チエノピリジニル、トリアゾロピリミジニル、トリアゾロピリジニル、キノリニル、イソキノリニル、シンノリニル、キナゾリニル、オキソクロメニル、および1,4−ベンゾオキサジニルからなる群から選択される、態様1に記載の化合物、または薬学的に許容できるその塩。
前記ヘテロアリールが、トリアゾリル、イミダゾリル、ピラゾリル、ピリジニル、ピラジニル、ピリミジニル、ピリダジニル、トリアゾロピリジニル、ピラゾロピリジニル、ピラゾロピリミジニルまたはキノキサリニルからなる群から選択される(5〜10員)窒素含有ヘテロアリールである、態様5に記載の化合物、または薬学的に許容できるその塩。
が、それらが結合した窒素と一緒になって、(4〜6員)ヘテロシクロアルキルを形成し、化学的に容認できる場合、前記(4〜6員)−ヘテロシクロアルキルは、1から3個のR
の一方が水素であり、他方が、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、tert−ブチル、ペンチルおよびヘキシルからなる群から選択される、置換されていてもよい(C
)アルキルであり、前記メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、tert−ブチル、ペンチルおよびヘキシルは、1個または複数のフッ素原子で置換されていてもよい、態様10に記載の化合物、または薬学的に許容できるその塩。
の一方が水素であり、他方が、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロオクチルまたはビシクロ[1.1.1]ペンチルから選択される、−(CH
の一方が水素であり、他方が、トリアゾリル、イミダゾリル、フラニル、イソオキサゾリル、イソチアゾリル、1,2,3−、1,2,4、1,2,5−もしくは1,3,4−オキサジアゾリル、オキサゾリル、チオフェニル、チアゾリル、イソチアゾリル、ピラゾリル、ピリジニル、ピラジニル、ピリミジニルまたはピリダジニルから選択される、−(CH
で置換されていてもよい、(4〜6員)ヘテロシクロアルキルを形成し、ここで、前記ヘテロシクロアルキルは、アゼチジニル、テトラヒドロピラゾリル、テオトラヒドロオキサジニル、テトラヒドロピリミジニル、イミダゾリジニル、ピペリジニル、ピペラジニル、オキサゾリジニルまたはピロリジニルから選択される、態様10に記載の化合物、または薬学的に許容できるその塩。
N−シクロプロピル−3−([1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリジン−6−イル)イミダゾ[1,2−b]ピリダジン−2−カルボキサミド、または薬学的に許容できるその塩。
PDE4Bアイソフォームによって媒介される疾患または状態に罹患している患者を治療する方法であって、前記治療を必要とする前記患者に、治療有効量の、態様1から23のいずれか一項に記載の式Iの化合物または薬学的に許容できるその塩を投与するステップを含み、前記疾患または状態が、統合失調症、うつ病、不安神経症、アルツハイマー病、パーキンソン病、多発性硬化症、慢性閉塞性肺疾患、炎症、脳卒中、喘息、脳血管疾患およびアレルギー性結膜炎から選択される、方法。