【解決手段】自走式作業機は、車体10と、車体10の側部に配置して進行が可能な走行部20と、車体10の前方部で回動フレーム35によって昇降自在に連結した作業部30と、を備える。さらに、車体10の前方に設け、作業部30を昇降駆動させるシリンダ38と、回動フレーム35の下方に回動自在のカム71を配置して、作業部30の下方への回動を規制する回動規制部70と、を備える。さらに、回動規制部70は、カム71を回動させるモータ75と、カム71を連結するロッド72と、を備える。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図1乃至
図5を参照して、本発明の一実施形態を説明する。説明においては、
図1に示す左側を進行方向に対する前方側、右側を進行方向に対する後方側、下側を進行方向の左側、上側を進行方向の右側、として説明する。また、
図2に示す下側を機体下方側、上側を機体上方側として説明する。また、図面の記載において、同一又は類似の部分には同一又は類似の符号を付して、その説明を省略することがある。加えて、説明に用いる図面は模式的なものであり、各部の寸法との関係等は現実のものとは異なることがある。また、本発明の技術的思想は、特許請求の範囲に記載された請求項が規定する技術的範囲内において、種々の変更を加えることができる。
【0010】
まず、発明の概要を説明する。本発明の自走式作業機は、車体10の進行方向の左右の側部に電動モータ26によって駆動可能に設けた走行部20を配置し、前後進行及び旋回進行が可能にされている。車体10及び走行部20の前方部には、左右に設けた走行部の外側の幅より広い幅のブレード31を有した作業部30が設けられている。作業部30はシリンダ38等で上下に昇降駆動が可能にされている。車体10の前部には、作業部30の下方への回動を規制する回動規制部70が配置されている。
【0011】
車体10の前方側の上部にはバッテリ40が設置されていて、電動モータ26やシリンダ38の電力源となっている。車体10の上部でバッテリ40の後方には制御部50が配置されていて、図示しない操作部の指令を受信、あるいは、制御部50に内蔵された図示しない記憶部に記憶された走行経路のデータを取り出すことによって、電動モータ26やシリンダ38等に駆動指令等を送信し、自走式作業機を駆動可能にしている。車体10の上部で制御部50の後方には、1個以上のウェイトが載置されていて、載置する個数を調整することで、自走式作業機の前後バランスを調整できる。
【0012】
各部を詳細に説明する。車体10は、前後方向に長い箱状に設けていて、自走式作業機の骨格となっている。箱状とすることで、内部に空間を形成して強度を確保しながらも軽量化を図っている。
【0013】
車体10の進行方向に対する左右の側部のそれぞれに、走行部20を配置する。走行部20は、クローラベルト21、駆動輪22、従動輪24、電動モータ26を備える。車体10の左右両側のそれぞれにクローラベルト21を設け、クローラベルト21の内周の前方部に前輪である駆動輪22と、内周の後方側に後輪である従動輪24を位置させ、電動モータ26を回転駆動させることによってクローラベルト21を転動させる。実施形態において、クローラベルト21の前後長は車体10より短くしているが、長くなってもよい。
【0014】
電動モータ26は車体10の前方側の左右側部のそれぞれに取り付けられている。また、電動モータ26は出力軸を車体10に固定して設けるため、モータケース264側が回転駆動をする。モータケース264の外周に駆動輪22を固定しているため、駆動輪は電動モータ26によって回転駆動が可能である。なお、電動モータ26と駆動輪22の回転軸は同軸に設けられている。
【0015】
従動輪24は、車体10の後部の左右両側のそれぞれから突出させた回転軸に挿入され、回転自在に設けている。このため、前方の駆動輪22と後部の従動輪24とに巻き掛けられたクローラベルト21は、駆動輪22部に設けられた電動モータ26を正逆回転させることによって駆動され、自走式作業機は走行可能に設けている。
【0016】
電動モータ26の重心はクローラベルト21の幅内に位置させている。構成部品の中でも比較的重量がある電動モータ26の重量は、直接クローラベルト21の接地圧に作用して駆動力を向上させる。また、駆動輪22の回転軸と同軸に、本発明の他の構成部品に比べ、比較的重量のある電動モータ26が位置することにより、自走式作業機全体の重心を低く抑えることができる。これにより、前後左右に傾斜した場合でも左右に配置したクローラベルト21の駆動力の変化を少なくでき、また、転倒の危険性を少なくできるので、取扱い性が良好な構造とすることができる。さらに、電動モータ26がクローラベルト21内に位置するため、機体のいずれかの場所に改めて電動モータ26等の駆動源を設置するスペースを省略でき、機体全体の構成をコンパクトにできる。
【0017】
駆動輪22が車体10前方に、車体10の後方には従動輪24が配置され、これに巻き掛けたクローラベルト21によって前後進する。前後進は、駆動輪22部に設けた電動モータ26の正逆回転によって駆動輪22を回転させ駆動される。後述する車体10前方部の作業部30のブレード31を用い、前進して雪を押す場合、駆動輪22は電動モータ26を正回転し車体が前進する。正回転することによりクローラベルト21の非接地面である上面側が前方に引っ張られた状態となる。後方の従動輪24は遊動状態であるためクローラベルト21の接地面側も張られた状態となり、クローラベルト21の接地面全体が均等に地面を押し付けて駆動力を有効に発揮する。このことから、説明する実施形態において、駆動輪22は前方側に配置するのが、走行性能を向上させる上で有効である。なお、本発明を説明する実施形態において、走行部20はクローラベルト21を有するものとして説明したが、クローラベルト21に変えて駆動輪22や従動輪24に接地可能なタイヤを装着して、走行部20を構成しても良い。
【0018】
車体10及び走行部20の前方部には、作業部30を位置させている。作業部30は雪等を押し出す作業をする部位であり、ブレード31を有する。前方に位置するブレード31は、後方に向けて突出するように湾曲させた板状部材であり、進行方向左右端部には押し出す雪等の押し出す対象物を側方に逃がさないための側板を設けている。また、ブレード31は例示したように、平面視において、進行方向と直交する向きに凹部面を形成した形状に限られず、前後方向に傾斜配置させたり、前後方向に傾斜したブレード31をV字状に対向させて配置させたりしてもよい。
【0019】
作業部30は、ブレード31を車体10に対し上下方向に回動させるために、車体と連結する回動フレーム35を有している。回動フレーム35は、ブレード31の進行方向に対する左右両端部のそれぞれから後方に向けて延ばされている。回動フレーム35の後端部には回動ボス37が設けられていて、車体10左右側面の中央部に設けた回動支点軸36に挿入されている。ブレード31は回動フレーム35を介して、回動支点軸36を軸にして上下昇降が自在である。
【0020】
さらにブレード31の昇降を駆動可能にするシリンダ38が取り付けられている。シリンダ38は、車体10の前端部の左右に対する中央部から前方に突出した車体側取付部381と、ブレード31の後部から上方に向けて突出した作業部側取付部384に連結されている。車体側取付部381には孔382を設けていて、ピン等の支点軸383によってシリンダ38の一端部を回動自在に連結する。シリンダ38の他端部が取り付けられる作業部側取付部384には上下方向に長い長孔385を設け、これにピン等の支点軸386を通してシリンダ38の他端部を連結する。なお、実施形態において、シリンダ38はバッテリ40を電源として動作する電動シリンダを採用しているが、伸縮駆動可能であれば駆動の動力源に限定はない。
【0021】
長孔385によって、シリンダ38の伸縮とブレード31の上下動は必ずしも一致しない。具体的に述べると、シリンダ38が伸長して長孔385の上端に支点軸386が当接すると、初めてブレード31が上昇する。また、長孔385の上端に支点軸386が当接した状態の場合、ブレード31は長孔385の下端に支点軸386が当接するまで、上方に自由に回動自在である。反対に、シリンダ38が短縮する場合は、長孔385の上端に支点軸386が当接したまま、ブレード31が下降する。この時、地面並びに障害物等がブレード31の下部に当接して、ブレード31の下降が阻害されると、ブレード31の上下位置はそのままに、シリンダ38のみが短縮する。シリンダ38の短縮は、支点軸386が長孔385の下端に当接するまで行われる。
【0022】
このように長孔385によるシリンダ38に対する不感帯があることで、シリンダ38を頻繁に操作しなくてもよくなる。また、ブレード31が長孔385の範囲内で自由に上下動できるため、地面の凹凸にブレード31を追従させることができる。また、自走式作業機を操縦する作業者は、地面の凹凸による作業部30の昇降の操作を減らすことができる。したがって、ブレード31を地面の凹凸に適応させながら、作業者による操縦回数を減らせた軽労化につながる。
【0023】
作業部30を昇降駆動するシリンダ38を、作業部30の前部である、ブレード31の後方且つ回動フレーム35の前方部に配置している。このような配置にすることで、シリンダ38を回動フレーム35の回動支点軸36の近傍を連結するよりも、シリンダ38は少ない推力で済ませられる。したがって、シリンダ38を小型化することができるので、機体の寸法の拡大を抑制し、且つ、作業部30の前方への突出を可及的に少なくすることができる。したがって、操縦者は、機体の周囲の障害物を気にすることが減るため、機体の操縦が容易になる。
【0024】
作業部30には、作業部30の下方への回動を規制する回動規制部70が、車体10の前部に設けられている。回動規制部70は、カム71、ロッド72、ギヤ73、ピニオンギヤ74、モータ75、ポテンショメータ76を備える。カム71は、回動フレーム35の下方に位置すると共に、回動フレーム35に当接することで、作業部30の下方への回動を規制する。カム71は、ロッド72、ギヤ73、ピニオンギヤ74を介して、モータ75の回転動力を受けて回動することができる。ポテンショメータ76は可変抵抗器の一種でギヤ73の回転角度を検出する。実施形態において、カム71及びロッド72は、左右の回動フレーム35の下方にそれぞれ位置しているが、左右対称に配置しているので、片側のみを代表して説明する。
【0025】
カム71は、一方側の端縁に曲線によってカム面711を形成していて、回動フレーム35の下部と当接することができる。カム71の他方側の端部には、ロッド72を取り付けるための孔712を形成している。カム面711と孔712の中間部には、カム71を回動自在に取り付けるための回動軸713を形成している。カム71は、車体10の前部の左右両端部から、それぞれ左右側方に突出させたベース部材714に回動軸713を挿入することで回動自在にされている。回動軸713は前後方向に向けて配置されて、カム71は進行方向に対して左右方向に回動自在である。例示した実施形態において、回動軸713の上方には回動フレーム35の前後方向に対する中間部が位置する。
【0026】
回動軸713から回動フレーム35の下面までの直線上において、カム71の回動によって、回動軸713からカム面711までの距離が変化する。カム71の上方に位置する回動フレーム35はカム面711に当接することで、下方への回動規制をかけるとともに、この高さを任意に変化させることができる。実施形態において、カム面711は円弧状に形成するとともに、円弧の中心と回動軸713がずれた場所に配置させることによって、回動フレーム35の回動規制高さを変更可能にしている。つまり、回動規制高さは出没可能にされている。
【0027】
箱体となった車体10の前方内部には、モータ75を正逆転の駆動が可能な出力軸751を下方に向けて配置している。モータ75は、車体10の前方内部に設けた取付部材752上に固定していて、出力軸751は取付部材752より下方に突出させている。
図5に示すように出力軸751には、ピニオンギヤ74を固着して設け、このピニオンギヤ74に噛み合うように、ギヤ73をさらに設ける。
【0028】
ギヤ73は円板状部材からなり、円周部に歯面731を形成している。ギヤ73は、取付部材752に設け、且つ、車体10の左右に対する中央部に位置させた回転軸732に回転自在に取り付けられている。ギヤ73は、ピニオンギヤ74を介してモータ75によって正転方向及び逆転方向にそれぞれ回転駆動が可能となる。モータ75は車体10の前方部に1つだけ設けているので、駆動に要する部材を減らして機体構成を簡略化している。すなわち、モータ75は、車体10の前部に格納されているので、車体10以外の場所に設置スペースをわざわざ確保する必要がなく、機体のコンパクト化を実現できる。コンパクト化した自走式作業機は、さまざまの場所を走行させることができるので、作業場所に対する適応性能を向上させることができる。
【0029】
ギヤ73の歯面731より回転軸732方向の内側の2か所には、ロッド取付孔733を設けている。例示においては、ロッド取付孔733は、回転軸732に対して左右それぞれの位置に配置している。前記ロッド取付孔733と、カム71に設けた前記孔712を連結させるように、ロッド72を取り付ける。この構造によって、カム71はモータ75の回転運動を伝達して回動し、カム面711が出没し、回動フレーム35の回動規制高さを変更させる。ロッド72は、両端部にボールジョイントを用いたタイロッドによって、回転方向が異なるギヤ73とカム71とを連結させているため、スムーズな動力の伝達が可能である。
【0030】
ギヤ73に連結させたロッド72は、モータ75の回転運動によって、車体10の左右それぞれの側方に設けた孔11から、側方に出没する。
図5(a)に示すよう回動規制部70が最高規制高さ位置の時、ロッド72は孔11から車体10の側方に突出している。ロッド72を車体10側に収納するように移動させるにしたがって、回動規制部70のカム71が回動して回動フレーム35の回動規制高さを低い位置に変更させる。
図5(b)は、ギヤ73をモータ75によって、
図5(a)の位置から誌面上における右方向に回転させて、回動規制高さを最低置にした状態を示している。ギヤ73のロッド取付孔733は回転軸732を中心に回転することで、ロッド72を車体10側に引っ込むように移動する。カム71はロッド72の移動に伴って回動し、回動軸から上方のカム面711の高さが変わる。このように、モータ75の回転動力をピニオンギヤ74、ギヤ73、ロッド72を介してカム71に伝動し、カム71を回動させる。
【0031】
カム71は、左右それぞれの回動フレーム35の下方に配置すると共に、ベース部材714から上方に突出させている。モータ75の正転または逆転によって、カム71を回動させてカム面711の突出高さを自由に変更可能である。回動フレーム35は、下方への回動時にカム面711が当接することで、下方への回動が規制される。カム面711は、カム71の回動によって、回動フレーム35引いては作業部30の回動規制高さを自由に変更できる。
図4(a)に示す回動規制部70の最高規制高さから、
図4(b)の回動規制部70の最低規制高さまで、モータ75によって任意の位置に回動させることが可能である。したがって、ブレード31は下方への回動規制を自由に変更できるのである。
【0032】
図示はしないが、回動規制部70の最高規制高さの時は、ブレード31の下端は、走行面から10cm程度浮いた位置で、下方への回動規制がかかる。押し出し作業時は、シリンダ38でブレード38を上下動させても、ブレード31の下端を走行面に接触させること無く走行が可能である。他方、回動規制部70の最低規制高さの時は、ブレード31の下端が走行面に接触することはもちろん、シリンダ38でブレード38を最下端まで下降させると、さらに下方に下げることが可能である。つまり、走行部20が接地する走行面よりさらに低い場所でも作業ができるので、ブレード31が許容する傾斜であれば、容易にブレード31を地面に追従させながら作業ができる。
【0033】
進行方向に対する左右それぞれに設けた2つのカム71は、1つのギヤ73の回転と連動させているので、それぞれのカム71の出没量は同一とすることができる。したがって、車体10の左右それぞれに配置した回動フレーム35は、同じ高さで下方への規制ができ安定した規制が可能である。また、2つのカム71は1つのモータ75で回動させているので、駆動に係る部材を減らして簡易な構成としている。
【0034】
ギヤ73の回転角度を検出するポテンショメータ76は、モータ75に近接して取付部材752に設けている。ポテンショメータ76は、該ポテンショメータ76から下方に突出している検出軸761の回転角度に応じて電気抵抗値を変化させる。この検出軸761に長孔763を有した検出片762を取り付け、ギヤ73のロッド取付孔733の近傍に設けた突出部734に長孔763内をスライド可能に取り付ける。この構成により、ギヤ73の回転角度はポテンショメータ76によって、抵抗値の変化として検出可能となり、制御部50がギヤ73の回転角度を捉えることができる。
【0035】
制御部50は、車体10の前後に対する中央部の上方に配置されている。制御部50は図示しない操作部によって操作された信号を受信し、電動モータ26、シリンダ38、モータ75に電力を供給するか否か、あるいは、この供給量を制御する。また、制御部50に記憶された動作パターンを実行するための指令を出して、電動モータ26、シリンダ38、モータ75に電力を供給するか否か、あるいは、この供給量を制御することもできる。
【0036】
制御部50には、予め、カム71の突出量を決めるギヤ73の回転角度に対応したポテンショメータ76の抵抗値を記憶させている。操作部によって任意のカム71の突出量を設定すると、制御部50に記憶された抵抗値と、操作部で設定されたカム71の突出量に対応した抵抗値とを比較しながら、一致するまでギヤ73を回転させる。一致すると、ギヤ73の回転は停止し、同時にカム71の回動も停止する。結果、カム71の突出量は、作業者が望んだ任意の高さに出没し、回動フレーム35引いては作業部30の下方への回動規制高さを変化させることができる。
【0037】
ブレード31は、地面の凹凸に追従機能を有することは前述のとおりであるが、この凹凸の傾斜が急だったり、激しく突出したりするような場所では、ブレード31の下端部が引っ掛かり追従できない場合がある。また、路面からブレード31を意図的に離して使用したい場合もある。具体的な例の一部を述べると、視覚障害者用誘導用ブロックを有した凹凸が激しい部分を有する路面で、この凹凸部にブレードの下端部を当てたくない場合や、石畳等の段差を有する路面、砂利を敷き詰めた路面であって、この砂利を動かしたくない場合や等が相当する。このような路面でブレード31を使用して除雪等の押し出し作業をする場合、予め回動規制部70によって回動フレーム35の下方への回動を規制して行う。回動規制部70は、図示しない操作部を作業者が操作して、カム71を出没させることで、作業部30の下方への回動を規制する。
【0038】
回動規制部70によって作業部30の下方への回動を規制することで、路面上に存在する凹凸を避ける高さ、あるいは、地表面の物体を移動させない高さに、ブレード31を位置させるように設定できる。このようにすることで、路面上の突出部や凹凸部に注意を払う必要がなくなるため、操縦者によるブレード31の操作を省略でき、軽労化が図れる。また、回動規制高さを調整する場合は、図示しない操作部によって操作するのみで行えるため、ブレードの操作が容易化できる。結果、凹凸等の路面状況を気にすることなく、機体操作を行える。作業者の作業部を操作する回数が減らせるので、心理的負担が軽減でき、軽労化に繋がる。また、路面状況を限定せずに作業ができるので、適応性能を向上させることができる。
【0039】
カム71は、ブレード31の左右を支持する2つの回動フレーム35のそれぞれ下方で回動フレーム35の下方への回動を規制する。左右2か所で回動規制をかけているので、1か所で回動規制をかけた場合に比較して、回動フレーム35はより安定した状態で回動規制をかけることができる。具体的な例を述べると、作業部30の回動規制時に、2つの回動フレーム35が捻じれてしまうことを防止できる。ブレード31の左右いずれかに偏荷重が加わった場合でも、進行方向に対するブレード31のローリングを防ぐことができる。このような構成によって、ブレード31は捻じれること無く安定して、押し出し作業をすることができる。
【0040】
車体10の上部で前方部にはバッテリ40が位置していている。バッテリ40は、制御部50を介して電動モータ26、シリンダ38に電力を供給する電力供給減である。この実施形態の場合、バッテリ40は前後に2個並べて置いているが、1個以上であればよい。バッテリ40は、側面視において、バッテリ40の重心が、前輪である駆動輪22の回転軸のほぼ直上に位置するように配置している。また、側面視において、バッテリ40の重心は、駆動輪22の回転外周径の上部よりやや高い位置で、クローラベルト21の周転外周の上面部の高さとほぼ同じ高さになるようにバッテリ40を配置している。
【0041】
車体10の後部で制御部50の後方に、重量負荷であるウェイト60を配置している。ウェイト60は車体10に対し取り外し可能に設けている。ウェイト60は、車体10上の後方で左右の両端部のそれぞれから突出させた固定板62の間で、ボルトとナットからなる係止部材63を貫通させることによって、車体10に係止されている。このため、走行時に車体10から落下することがない。この実施形態の場合、ウェイト60は鉄製の板14個で表現しているが、取り外しできればよいため、1個以上であればこの目的を果たせる。また、鉄製のウェイトに限らず、液体を入れたタンク等の容器を搭載してもよい。
【0042】
本発明の構成による自走式作業機を用いて、雪等の押出対象物を押し出す作業を行う場合、ブレード31の前方に押出対象物を当接させて、さらに走行部3によって前進させながら押し出し作業をする。この時、ブレード31は湾曲させた凹面に押し出し対象物が載った状態であるため、地面に対して相対的に上昇しにくくなるように下方に荷重がかけられる。さらに、ブレード31は、作業部側取付部384に設けた長孔385によって、回動フレーム35が長孔385の範囲内で回動自在状態である。このため、ブレード31は、シリンダ38の駆動とは関係なく、地面に追従して上下動することができる。
【0043】
走行面にブレード31の下端部が引っ掛かるような凹凸や、路面上の押出対象物以外の物体を動かしたくない場合、作業者が図示しない操作部を操作して、回動規制部70を動作させ、作業部30が下方の走行面に接触しない位置になるように回動規制をかける。作業部30の回動フレーム35は下方への回動が規制されているので、ブレード31を走行面から浮かせた状態を維持させながら走行ができる。この場合においても、作業部側取付部384に設けた長孔385によって、回動フレーム35が長孔385の範囲内で回動自在状態である。つまり、回動フレーム35は、長孔385の範囲内であって、カム71のカム面711の当接面より上方側に回動が自在である。下方から上方に向かう外力がかかった場合や、緩やかな起伏を走行するような場合においても、回動フレーム35は規制された範囲内で回動して走行面に追従させるので、作業部30の走行面に対する適応性を向上させる。また、作業者は、走行面に固定された凹凸や異物を気にすることないので、機体の操作が容易にできる。
【0044】
上記した構成による本発明の自走式作業機は、シリンダ38を作業部30の前方部に配置したことにより、機体の寸法の拡大を抑制でき、機体の操作に係る取扱性を向上できる。シリンダ38と作業部30を連結させる作業部側取付部384に長孔385を設けたことにより、作業部30が長孔385の範囲内で自由に上下動ができるので、機体操作を簡略し、結果、軽労化につながる。また、回動規制部70よって作業部30の下方への回動規制を容易に変更可能としたので、走行面の状態を気にせずに作業でき、心理的負担が減り軽労化になる。
【0045】
本発明は、上記の実施形態によって記載したが、この開示の一部をなす論述及び図面は、本発明を限定するものであると理解すべきではない。例えば、走行部20はクローラベルト21を用いた構造で説明したが、複数個の車輪を用いた構造でもよい。また、図示しない操作部は遠隔操作可能であると説明したが、自走式作業機と一体に構成した操作部であってもよい。作業部30は車体10の前方で昇降可能である構造で説明したが、車体10の前方以外の場所に配置したりしても良い。また、作業部30は雪等の押し出す作業をするものとして例示したが、ブレード31に変えて草を刈るための駆動する刃部等を有した作業部とし、下方への回動規制を容易に変更可能とする構造でもよい。また、ウェイト60を配置していなくてもよい。このように、この開示に基づく実施形態、実施例及び運用技術の改変は、特許請求の範囲に記載された範囲内で可能である。