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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2021-105556(P2021-105556A)
(43)【公開日】2021年7月26日
(54)【発明の名称】製品検査装置及び製品検査方法
(51)【国際特許分類】
   G01G 19/62 20060101AFI20210625BHJP
   G01G 19/42 20060101ALI20210625BHJP
   G01G 11/00 20060101ALI20210625BHJP
【FI】
   G01G19/62
   G01G19/42 Z
   G01G11/00 H
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2019-236716(P2019-236716)
(22)【出願日】2019年12月26日
(71)【出願人】
【識別番号】302046001
【氏名又は名称】アンリツインフィビス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100067323
【弁理士】
【氏名又は名称】西村 教光
(74)【代理人】
【識別番号】100124268
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 典行
(72)【発明者】
【氏名】山田 健太
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 尚文
(72)【発明者】
【氏名】佐野 純一
(57)【要約】
【課題】連続品の個々の製品Wが内包する物品Aの個数の過不足を低コストで精度よく検査する。
【解決手段】製品検査装置1は、包装材Pに所定個数の物品Aを収容した製品Wが所定数連続してなる製品群Gを計量コンベア1で搬送しながら秤3で計量する。制御手段5の計量部7は、センサ4の検知信号と、製品のコンベアへの載り込み時間T1、計測が安定する安定時間T2及びフィルタ時間Ftに基づき、先方製品WFの計量値M1と、先方製品WFと後方製品WRの合計の計量値M2を取得し、計量値M1を先方製品WFの重量MFとし、計量値の演算M2-M1 の結果を後方製品WRの重量MRとする。個数算出部8がこれら重量を製品の単位重量で除して実際の個数を得、過不足判定部9が正規入数と比較して個数の過不足を判定する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定個数の物品(A)を収容した製品(W)が所定数連続してなる製品群(G)を搬送しながら計量して各製品に収容された物品の個数の過不足を検査する製品検査装置(1)であって、
製品群の全体が載置される長さの計量コンベア(2)と、
前記計量コンベアに搬送される製品を計量して秤量信号を出力する秤(3)と、
前記計量コンベアに搬入される製品群を検知するセンサ(4)と、
前記センサが製品群を検知したタイミングを基準として、製品群のうち前記計量コンベアにある製品に対応する計量値を前記秤量信号に基づいて算出する計量部(7)と、
前記計量部が算出した各計量値から、各製品に収容された物品の個数の過不足を判定する過不足判定部(9)と、
を具備する製品検査装置(1)。
【請求項2】
前記計量部(7)は、n個目の計量値と(n−1)個目の計量値の差分によりn個目の製品(W)の計量値を算出する請求項1に記載の製品検査装置(1)。
【請求項3】
前記計量部(7)が前記複数の計量値を算出する各タイミングに応じて前記秤量信号を処理するフィルタを設定する設定手段(6)を備えた請求項1又は2に記載の製品検査装置(1)。
【請求項4】
連結された2つの製品(W)から製品群(G)が構成されており、前記計量部(7)は一つ目の製品が前記計量コンベア(2)から降りるタイミングで二つ目の製品を計量する請求項1乃至3の何れか一つに記載の製品検査装置(1)。
【請求項5】
前記過不足判定部(9)は、一つの物品(A)の重量値に基づいて前記計量値を個数に換算し、前記過不足を判定する請求項1乃至4の何れか一つに記載の製品検査装置(1)。
【請求項6】
所定個数の物品(A)を収容した製品(W)が所定数連続してなる製品群(G)を搬送しながら計量して各製品に収容された物品の個数の過不足を検査する製品検査方法であって、
搬送されている製品の秤量信号に基づいて各製品に対応する計量値を算出し、製品群の各製品に収容された物品の個数の過不足を判定する製品検査方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、包装材に複数個の物品を収容した製品が連続している構成の製品群を検査対象とし、その各製品に収容された物品の個数の過不足を検査する製品検査装置及び方法に係り、特に物品の種類や態様等の如何に関わらず製品内の物品の個数の過不足を安定して検査できる製品検査装置及び方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1には、複数の物品がパック詰めされた製品の重量に基づき、製品に含まれる物品の個数が正規の個数であるか否かを判定する重量選別機の発明が開示されている。この重量選別機には、判定の基準となる基準重量値と、基準重量値からの上限許容重量値及び下限許容重量値が設定されており、計量した製品の重量値が許容重量値の範囲内に入っている場合は製品に含まれる物品の個数が正規の個数であると判定する。そして、この重量選別機は、合格と判定された製品が所定個数計量される度に、この所定個数の製品の平均重量値を算出し、この平均重量値が前記基準重量値と異なる場合は、前記基準重量値を平均重量値に自動的に修正する。
【0003】
下記特許文献2には、X線質量測定装置の発明が開示されている。このX線質量測定装置では、搬送される連包ワークWの境界位置を境界検知部5で検知し、この検知信号を所定の信号処理後に境界信号として質量積算部11に出力する。また、ライン質量算出部10が、X線検出器4からのX線透過データに基づいて連包ワークWに吸収されたX線吸収量を算出し、ラインセンサ1周期分を合算した後に風袋部分のX線吸収量を減算して内容物のみのX線吸収量を取得し、これに質量換算係数を乗算してライン質量値を算出し、質量積算部11に出力する。質量積算部11では、境界信号の入力タイミングに応じてライン質量値の積算を開始し、次に入力した境界信号の入力タイミングでライン質量値の積算を終了し、個装袋の内容物質量値を算出する。この発明によれば、連続的に巻き取られるような連包ワークにおける個装袋毎の質量測定や空袋検査及び欠品検査をリアルタイムに且つ連続的に行うことができるものとされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実開昭62−10085号公報
【特許文献2】特開2013−19688号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前記特許文献1に開示された重量選別機によれば、パック詰めされた製品に含まれる物品の個数が正規の個数であるか否かを判定することはできるが、包装材に所定個数の物品を収容した製品が所定個数連続しているような製品群を対象とした場合、連なった製品群の全体の重量を測定することはできても、個々の製品に収容された物品の個数の過不足を検査することはできなかった。
【0006】
前記特許文献2に開示されたX線質量測定装置によれば、上述したような製品群、すなわち連包ワークにおける欠品検査を行なうことは可能であるが、X線を用いた装置であるため高価であり、さらに次の様な問題があった。すなわち、X線を用いても、包装材の中身である物品が均一な状態の粉や液体であれば有効であるが、物品の成分や素材が均一でなかったり、物品が複雑な形状であったり、包装材の中で物品同士の重なり姿勢が変化してしまう等の事情がある場合には、X線透過画像の画像処理による判別(個々の物品の識別)が安定せず、包装された製品の中にある物品の個数の検査を精度よく行なうことができない。
【0007】
本発明は、以上説明した従来の技術における課題に鑑みてなされたものであり、連続品の個々の製品が内包する物品の個数の過不足を低コストで精度よく検査できる製品検査装置及び方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1に記載された製品検査装置1は、
所定個数の物品Aを収容した製品Wが所定数連続してなる製品群Gを搬送しながら計量して各製品Wに収容された物品Aの個数の過不足を検査する製品検査装置1であって、
製品群Gの全体が載置される長さの計量コンベア2と、
前記計量コンベア2に搬送される製品Wを計量して秤量信号を出力する秤3と、
前記計量コンベア2に搬入される製品群Gを検知するセンサ4と、
前記センサ4が製品群Gを検知したタイミングを基準として、製品群Gのうち前記計量コンベア2にある製品Wに対応する計量値を前記秤量信号に基づいて算出する計量部7と、
前記計量部7が算出した各計量値から、各製品Wに収容された物品Aの個数の過不足を判定する過不足判定部9と、
を具備している。
【0009】
請求項2に記載された製品検査装置1は、請求項1に記載の製品検査装置1において、
前記計量部7は、n個目の計量値と(n−1)個目の計量値の差分によりn個目の製品Wの計量値を算出する。
【0010】
請求項3に記載された製品検査装置1は、請求項1又は2に記載の製品検査装置1において、
前記計量部7が前記複数の計量値を算出する各タイミングに応じて前記秤量信号を処理するフィルタを設定する設定手段6を備えている。
【0011】
請求項4に記載された製品検査装置1は、請求項1乃至3の何れか一つに記載の製品検査装置1において、
連結された二つの製品Wから製品群Gが構成されており、前記計量部7は一つ目の製品Wが前記計量コンベア2から降りるタイミングで二つ目の製品Wを計量する。
【0012】
請求項5に記載された製品検査装置1は、請求項1乃至4の何れか一つに記載の製品検査装置1において、
前記過不足判定部9は、一つの物品Aの重量値に基づいて前記計量値を個数に換算し、前記過不足を判定する。
【0013】
請求項6に記載された製品検査方法は、
所定個数の物品Aを収容した製品Wが所定数連続してなる製品群Gを搬送しながら計量して各製品Wに収容された物品Aの個数の過不足を検査する製品検査方法であって、
搬送されている製品Wの秤量信号に基づいて各製品Wに対応する計量値を算出し、製品群Gの各製品Wに収容された物品Aの個数の過不足を判定する。
【発明の効果】
【0014】
請求項1に記載された製品検査装置及び請求項6に記載された製品検査方法によれば、製品群の各製品が計量コンベア上に載置される度に出力される秤量信号から計量コンベア上の製品に対応する複数の計量値を取得し、この複数の計量値に基づいて各製品に収容された物品の個数の過不足を低コストで精度よく検査することができる。
【0015】
請求項2に記載された製品検査装置によれば、本来、同一の正規入数の物品が収容されているはずである各製品の各計量値を計量部が算出し、各計量値の差分を求めるだけの簡易な演算を行なうことにより、各計量値に有意の差がある場合には、各製品に収容された物品の個数の過不足を低コストで精度よく検査することができる。
【0016】
請求項3に記載された製品検査装置によれば、計量部が複数の計量値を取得する各タイミングに応じて適切なフィルタで秤量信号を処理することができるので、計量部が取得する計量値の精度が向上する。
【0017】
請求項4に記載された製品検査装置によれば、連結された二つの製品から構成された製品群の一つ目の製品が計量コンベアに載るタイミングで一つ目の製品を計量し、一つ目と二つ目の製品が計量コンベアに載るタイミングで一つ目と二つ目の製品を計量するだけでなく、一つ目の製品が前記計量コンベアから降りるタイミングにおいて二つ目の製品の製品を計量することもできるため、これら三つの計量値を用いた演算によって製品群の一つ目の製品と二つ目の製品の各重量値をより正確に算出することができる。
【0018】
請求項5に記載された製品検査装置によれば、製品群の各製品に収容された物品の個数の過不足の判定結果を計量部が取得した計量値だけではなく、計量値から換算した物品の個数によって具体的な過不足の個数として理解しやすく示すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】第1実施形態の製品検査装置の構成図である。
図2】第1実施形態の製品検査装置による製品検査の説明図であって、分図(a)は製品群の搬送状態を示す概略図であり、分図(b)は製品検査装置において秤が出力する秤量信号の波形をフィルタで整形されたものとして示した図であり、分図(c)は製品検査装置の制御手段において秤の秤量信号から各製品の計量値を算出し、これらの計量値から物品の個数の過不足の判定を行なう処理を行なうためのタイミングチャートである。
図3】第2実施形態の製品検査装置による製品検査の説明図であって、分図(a)は製品群の搬送状態を示す概略図であり、分図(b)は製品検査装置において秤が出力する秤量信号の波形をフィルタで整形されたものとして示した図であり、分図(c)は製品検査装置の制御手段において秤の秤量信号から各製品の計量値を算出し、これらの計量値から物品の個数の過不足の判定を行なう処理を行なうためのタイミングチャートである。
図4】第3実施形態の製品検査装置による製品検査の説明図であって、分図(a)は製品群の搬送状態を示す概略図であり、分図(b)は製品検査装置において秤が出力する秤量信号の波形をフィルタで整形されたものとして示した図であり、分図(c)は製品検査装置の制御手段において秤の秤量信号から各製品の計量値を算出し、これらの計量値から物品の個数の過不足の判定を行なう処理を行なうためのタイミングチャートである。
図5】各実施形態の製品検査装置が対象とする製品群の具体的な構成を説明する図であって、分図(a)は連結された複数の製品から構成される製品群を示しており、分図(b)は連続した複数の製品から構成される製品群を示している。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明の第1実施形態について図1図2及び図5を参照して説明する。
図1に示す第1実施形態の製品検査装置1は、図5(a)に示す連結された複数の製品Wから構成される製品群Gを対象としている。図5(a)は、前段の搬送手段CVによって搬送されている二つの製品群G,Gが製品検査装置1に順次搬入される状況を示している。
【0021】
図5(a)に示す製品群Gは、包装材に4個の物品Aを収容した製品Wを2個含んでおり、2個の製品Wは包装材の一部において連結されている。ここで、特に搬送方向の先方の製品Wを先方製品WFと称し、搬送方向の後方の製品Wを後方製品WRと称する。また連結とは各製品Wの一部(この場合は包装材P)が互いに結合されていることを意味する。製品群Gを構成する2個の製品W(WF,WR)は、製品群Gを一単位として製造されているため、製造又は包装工程において、製品群Gの全体としては物品Aの個数が規定通りであっても、一方の製品Wに入るべき物品Aが他方の製品Wに入ってしまう場合があるため、これを検査する必要が生じる。
【0022】
図5(a)で左側に示す製品群Gは正規品であるが、同右側に示す製品群Gは不正規品である。この不正規品では、製品群Gの全体としては物品Aの個数が8個であり規定通りであるが、一方の製品WRに入るべき4個の物品Aのうちの1個が他方の製品WFに入っているため、一方の製品WRは物品Aが3個になり、他方の製品WFは物品Aが5個となり、製品WR,WFごとにみれば物品Aの個数の過不足が生じている。このような製品群Gにおける物品Aの個数の過不足の検査では、製品群Gとして重量を測定しても物品Aの個数の過不足を検出することはできないが、以下に説明するように、本実施形態の製品検査装置1及び方法によれば、製品群Gを構成する個々の製品Wにおける物品Aの個数の過不足を低コストで精度よく検査できる。
【0023】
図1に示すように、第1実施形態の製品検査装置1は、製品群Gの全体を載置できるだけの長さを備えた計量コンベア2と、計量コンベア2を支持する秤3と、製品群Gを検出するセンサ4と、製品検査装置1の全体を制御して製品群Gの各製品Wに収容された物品Aの個数の過不足を判定する制御手段5を有している。
【0024】
秤3は、図2(a)に示すような一つの製品群Gに属する1個又は2個の製品W(WF,WR)を計量コンベア2で搬送しながら秤3(図1参照)で計量し、図2(b)に示すような秤量信号を出力する。なお、図2(b)に示す秤量信号の波形は、秤3が出力する秤量信号の波形そのものではなく、これを後述するフィルタで整形した状態として示したものである。この実施形態では、図2(a)に示すように製品群Gは2個の製品W(WF,WR)からなるため、図2(a)及び(b)から理解されるように、この秤量信号には、計量コンベア2に載り込む時に計量された先方の1個の製品W(先方製品WF)の計量値M1と、計量コンベア2が2個の製品W(先方製品WF,後方製品WR)を搬送している時に計量された2個の製品Wの計量値M2と、計量コンベア2から降りる時に計量された後方の1個の製品W(後方製品WR)の計量値M3が含まれている。図1に示すように、秤3からの秤量信号は制御手段5に入力される。
【0025】
図1に示すように、センサ4は、計量コンベア2に製品群Gが搬入される搬入位置に設けられており、図2(c)の最上段に示すように、製品群Gの通過を検知して検知信号を出力する。図1に示すように、センサ4からの検知信号は制御手段5に入力され、秤3が出力した秤量信号から前述した計量値M1,M2,M3を算出するタイミングを計るために使用される。
【0026】
図1に示す制御手段5では、図2(c)に示すように、センサ4が製品群Gを検知している検知信号の立ち上がりのタイミングを基準として、計量コンベア2上の製品Wに対応する複数の計量値M1,M2,M3(図2(b)参照)を秤量信号から取得するため、図2(c)の第2段以下に示すようなタイミング信号が生成される。
【0027】
図2(c)において符合T1、T2、Ftで示す各時間は、秤3の秤量信号から計量値M2を取得するために必要なタイミングを示している。
図2(c)に示すT1は、製品群Gが計量コンベア2に載り始めてから製品群Gの全体が載置されるまでに要する載り込み時間であり、製品群Gの搬送方向の長さと、計量コンベア2の搬送速度によって予め定められている。また、T2は、製品群Gの全体が計量コンベア2に載った後、製品群Gの先端が計量コンベア2から出るまでの時間内で、製品群Gが載り込んだことによる計量コンベア2の有害な振動が減衰し、計量に適した状態になるまでの安定時間を示している。このT2も予め定めておく。また、Ftは、T2の立ち下がりのタイミングから所定時間だけ遡った時点を始点として定められた時間であり、秤3から送られる秤量信号に必要なフィルタをかけて計量値の取得に適した状態に処理するためのフィルタ時間である。秤量信号をデジタル化しておけば、このFtに相当する時間分の秤量データをバッファメモリから読み出してフィルタ演算することにより計量値を取得できる。
【0028】
なお、秤3からの秤量信号は必要なタイミングで計量値を算出できるよう秤量信号を処理するフィルタが予め定められている。
【0029】
図2(c)において符合T1f、T2f、Ftfで示す各時間は、秤3の秤量信号から計量値M1を算出するために必要なタイミングを示している。
図2(c)に示すT1fは、製品群Gの先方製品WFが計量コンベア2に載り始めてから先方製品WFの全体が載置されるまでに要する載り込み時間であり、T1と同様に先方製品WFの搬送方向の長さと計量コンベア2の搬送速度によって予め定められている。また、T2fは、先方製品WFが載り込んだことによる計量コンベア2の有害な振動が減衰し、最も計量に適した状態になる安定時間を示しており、このT2fも予め定めておく。このとき、T2fは、先方製品WFの全体が計量コンベア2に載置されてから、後方製品WRが計量コンベア2に載り始めるまでの短い時間内に定められる。また、Ftfは、T2fの立ち下がりのタイミングから所定時間だけ遡った時点を始点として定められた前記Ftと同様のフィルタ時間である。
さらに、先方製品WFの全体が計量コンベア2から降りるタイミングT1r、後方製品WRが計量コンベア2から降り始めるまでの間で安定化時間T2rが定められ、これに基づいて計量値M3を算出するためのフィルタ時間Ftrが定められる。
【0030】
図1に示すように、制御手段5は、信号処理部6と、計量部7と、個数算出部8と、過不足判定部9と、表示部10及び操作部11を備えている。
【0031】
信号処理部6は、フィルタ時間Ft,Ftf,Ftrのタイミングで必要なフィルタを設定する設定手段であり、秤3からの秤量信号に必要な処理を行ない、これを計量部7に送る。
【0032】
計量部7は、センサ4が製品群Gを検知したタイミングと、前述した載り込み時間T1、安定時間T2等の予め定められたタイミングを基準として、計量コンベア2上の製品Wに対応する前記計量値M1,M2,M3を、信号処理部6においてフィルタで処理された秤量信号から取得する。これらの計量値のうち、計量値M1は先方製品WFの重量を示しており、計量値M3は後方製品WRの重量を示しており、計量値M2は先方製品WFと後方製品WRの合計の重量を示している。従って以下に説明するように、計量部7は、これらの計量値M1,M2,M3を用いた演算により先方製品WFと後方製品WRの重量を取得するか、又は計量値M1,M3をそれぞれ先方製品WFと後方製品WRの重量とすることもできる。本発明でいう各製品Wの重量は、予め設定しておいた包装材Pの重量を差し引いた(いわゆる風袋引き)後の内容物の重量を示し、以下の説明も同様とする。
【0033】
計量部7は、図2(c)の判定タイミングJ2の計量値M2に対応するタイミングにおいて、計量値M1,M2が利用可能となるので、この時点において計量値M1を先方製品WFの重量MFとし、計量値M2−M1を演算してその結果を後方製品WRの重量MRとすることができる。そして、先方製品WFの重量WFと後方製品WRの重量MRとの差分重量MDを演算する。また、計量部7の演算結果は表示部10に表示されるとともに、個数算出部8に送られる。
【0034】
個数算出部8は、対象となっている製品Wに含まれる物品Aの1個の重量データを保有している。個数算出部8は、計量部7から送られた各製品Wの重量を物品Aの1個の重量で除して、当該製品Wに含まれる物品Aの個数に換算し、これにより製品Wに含まれる物品Aの個数の過不足を直感的に把握することができる。また、個数算出部8は、計量部7から送られた差分重量MDを物品Aの1個の重量MSで除して、当該製品間の物品Aの個数の差を個数として算出する。ここで言う個数は、例えば小数点第2位を四捨五入した少数第1位までの値として算出するようにするとよい。
【0035】
過不足判定部9は、製品群Gの正規重量とともに、製品Wの正規重量と、各正規重量に対して許容される範囲を示す許容重量範囲を保有している。この許容重量範囲は、製品Wに含まれる物品Aの1個の重量MSに基づいて予め定められており、物品Aの1個の重量MSに0.5乃至0.1の係数を乗じた値を用いて、例えば(正規重量)±(物品Aの1個の重量)×0.5のように設定されている。製品Wに対する許容重量範囲は、先方製品WFおよび後方製品WRのそれぞれに異なる値を設定してもよく、特に、先方製品WFに対する後方製品WRの連結部分の影響や安定時間が十分確保できないことを考慮して、下限の係数を0.5、上限の係数を0.7というように正規重量に対して非対称な許容範囲を設定してもよい。
【0036】
また、先方製品WFの重量MFと後方製品WRの重量MRとの差分重量MDに対しては、(物品Aの1個の重量)×0.5乃至0.8以下といった許容範囲を設定し、製品群G全体での過不足だけでなく、先方製品WFおよび後方製品WRの各重量MF,MRに対してそれぞれの正規重量と許容重量範囲に基づいて過不足を判定する。これにより、本来同数の物品Aが含まれているはずの製品W間の重量の差を用いて、製品Wに含まれる物品Aの個数の過不足をより精度よく判定できるようになる。なお、本実施形態の製品群Gのように各製品Wが連結された状態であれば、いずれかの製品Wに個数の過不足があった場合には、製品Gとして過不足がある不正規品とする。
【0037】
また、過不足判定部9は、対象となっている製品Wに含まれる物品Aの正規の個数のデータ(正規入数)とこれに対する許容範囲を保有していてもよい。過不足判定部9は、個数算出部8から送られた製品Wの物品Aの実際の個数と正規入数を比較し、個数の過不足を判定し、その結果を表示部10に表示する。具体的には、製品群G、先方製品WF又は後方製品WRの各々について、物品Aの実際の個数と、正規入数と、物品Aの個数と正規入数との差分CD(個数)と、合否判定を表示部10に表示する。なお、物品Aの1個の重量MSを基準となる一定値とすれば、製品群Gまたは各製品Wに含まれる物品Aの個数は、それぞれの重量から換算することができ、正規重量、許容重量範囲に基づいた重量による個数の過不足の判定は、正規入数、許容個数範囲に基づいた個数判定に対応する。
【0038】
計量部7は、図2(c)の判定タイミングJ3の計量値M3に対応するタイミングにおいて、計量値M1,M2,M3がすべて利用可能となるので、この時点において先方製品WFの重量MFと後方製品WRの重量MRを次の式で演算することもできる。
先方製品WFの重量MF:{M1+(M2−M3)}/2
後方製品WRの重量WR:{M3+(M2−M1)}/2
個数に換算して判定を行なう手順は先に説明したのと同一である。
【0039】
この演算によれば、三つの計量値から平均値を演算して製品Wの重量を取得しているので、先に説明した計量値M1,M2のみを用いる演算に較べて得られる製品Wの重量がより正確になる。なお、計量値M3に対応するタイミングでは計量値M1,M2,M3をすべて取得しているので、演算は行なわず、単に計量値M1,M3を、それぞれ先方製品WFの重量MF及び後方製品WRの重量MRとすることもできる。
【0040】
第1実施形態の製品検査装置1によれば、製品群Gの各製品Wが計量コンベア2上に載置される度に出力される秤量信号から、計量コンベア2上の製品Wに対応する二つ又は三つの計量値を順次取得し、これらの差分を求めたり、平均値を計算する等の簡易な演算により、各製品Wに収容された物品Aの個数の過不足を低コストで精度よく検査することができる。
【0041】
また、計量部7が二つ又は三つの計量値を取得する各タイミングに応じて適切なフィルタで秤量信号を処理しているので、計量値の精度は高く、判定結果の信頼性は安定している。
【0042】
さらに、まず製品群Gの先方製品WFの計量を行い、次に先方製品WFと後方製品WRの計量を行なうだけでなく、一つ目の先方製品WFが計量コンベア2から降りるタイミングで後方製品WRの計量を行なった場合には、これら三つの計量値を用いた平均値の演算により、先方製品WFと後方製品WRのより正確な重量値を得ることができる。
【0043】
さらにまた、製品群Gの各製品Wに収容された物品Aの計量値だけでなく、物品Aの個数の過不足が表示部10に個数で示されるため、判定結果がユーザーにとって理解しやすいという利点がある。
【0044】
本発明の第2実施形態について図3を参照して説明する。
第2実施形態の製品検査装置1の構成は図1に示した第1実施形態と略同様なので、同様の部分については、図1及び第1実施形態の前記記載を援用して説明の繰り返しを避け、第1実施形態と異なる部分を中心に説明する。
【0045】
第2実施形態および第3実施形態の製品検査装置1は、図5(b)に示すような短い間隔で並んで連続した複数の製品Wから構成される製品群Gを対象としている。図5(b)は、前段の搬送手段CVによって搬送されている二つの製品群G,Gが製品検査装置1に順次搬入される状況を示している。なお、後述するように第2実施形態が対象とする製品群Gに含まれる製品Wの数は2であり、第3実施形態が対象とする製品群Gに含まれる製品Wの数は3である。
【0046】
さらに、図5(b)について説明する。図5(b)に示す製品群Gは、包装材Pである瓶に正規入数である5個の物品Aを収容した製品Wを3個含んでいる。3個の製品Wは連結されておらず、互いに独立しており、所定の短い間隔をおいて1列に並んでいる。図5(b)で左側に示す製品群Gを構成する各製品Wはすべて正規品であるが、同右側に示す製品群Gには不正規品が含まれている。すなわち、この不正規品の製品Wを含む製品群Gでは、右側の先方製品WFの物品Aの数は正規入数よりも1個少ない4個である。このような製品群Gの各製品Wにおける物品Aの個数の過不足の検査では、通常、長さの短い計量コンベア2’(図示せず)を用い、かつ製品Wの間隔を広げるように制御して、計量コンベア2’に一つの製品Wが載置されるように構成して重量を取得することが多く、間隔制御機構やその設置スペースが必要となる。また、製品群G全体として重量を測定しただけでは、製品群G全体としての物品Aの個数の過不足しか判定できず、何れの製品に物品Aの個数の過不足があるかは検出できないが、以下に説明するように、本実施形態の製品検査装置1及び方法によれば、製品群Gを構成する個々の製品Wにおける物品Aの個数の過不足を低コストで精度よく検査できる。
【0047】
本発明の第2実施形態について、図3及び図5を参照して説明する。第2実施形態の製品検査装置1では、図5(a)を参照して説明した第1実施形態とは異なり、対象となる製品群Gは、短い間隔で1列に並んだ互いに連結されていない2個の製品W(先方製品WF、後方製品WR)からなり、各製品Wがそれぞれセンサ4により検知される点で動作が異なるが、図3(a)及び(b)から理解されるように、秤3が出力する秤量信号には、先方製品WFが計量コンベア2に載り込んだ状態での計量値M1と、先方製品WFと後方製品WRの2個が計量コンベア2で搬送されている時に計量された2個の製品Wの計量値M2が含まれている点において、第1実施形態と共通する。
【0048】
第2実施形態の製品検査装置1の制御手段5は、図3(c)に示すように、センサ4が製品群Gの先方製品WFを検知した検知信号の立ち上がりタイミングを基準として、製品群Gの載り込み時間T1、安定時間T2、および先方製品WFの載り込み時間T1f、安定時間T2fのタイミング信号を生成する。制御手段5は、センサ4が製品群Gの後方製品WRを検知した検知信号の立ち上がりのタイミングを基準として、載り込み時間T1、安定時間T2を生成してもよい。これらのタイミング信号により、計量コンベア2上の先方製品WFに対する計量値M1、製品群Gの2個の製品W(先方製品WFと後方製品WR)に対応する計量値M2を秤量信号から取得する。
【0049】
制御手段5の計量部7は、前述した安定時間T2、T2f等のタイミングを基準として、計量コンベア2上の製品Wに対応する前記計量値M1,M2を信号処理部6において第1の実施形態と同様にフィルタで秤量信号を処理して算出する。
【0050】
計量部7は、図3(c)の判定タイミングJ1で計量値M1から先方製品WFの重量MFを取得し、判定タイミングJ2で計量値M2から製品群Gの重量MAを取得し、この重量MAから先方製品WFの重量MFを差し引き、その結果を後方製品WRの重量MRとする。計量部7の演算結果は表示部10に表示されるとともに、個数算出部8に送られる。
【0051】
個数算出部8は、計量部7から送られた各製品Wの重量を物品A1個の重量MSで除して、当該製品Wに含まれる物品Aの個数Cを算出する。過不足判定部9は、個数算出部8から送られた製品Wの物品Aの個数と正規入数を比較し、物品Aの個数の過不足を判定し、その結果を表示部10に表示する。
【0052】
本発明の第3実施形態について図4を参照して説明する。
第3実施形態の製品検査装置1の構成は第2実施形態と略同様なので、同様の部分については、図1、第1実施形態及び第2実施形態の記載を援用して再度の説明の繰り返しを避け、第1及び第2実施形態と異なる部分を中心に説明する。
【0053】
第3実施形態の製品検査装置1は、第2実施形態とは異なり、図5(b)に示す連続した複数の3個の製品W(前方製品WF、中間製品WM、後方製品WR)から構成される製品群Gを対象としている。第3実施形態の製品検査装置1が対象とする製品群Gは3個の製品W(前方製品WF、中間製品WM、後方製品WR)からなるため、図4(a)及び(b)から理解されるように、秤3が出力する秤量信号には、先方製品WFだけが計量コンベア2に載り込んだ状態での計量値M1と、先方製品WFと中央製品WMの2個が計量コンベア2で搬送されている時に計量された2個の製品Wの計量値M2と、先方製品WFと中央製品WMと後方製品WRの3個が計量コンベア2で搬送されている時に計量された3個の製品Wの計量値M3が含まれている。
【0054】
第3実施形態の製品検査装置1の制御手段5は、図4(c)に示すように、センサ4が製品群Gの先方製品WFを検知した検知信号の立ち上がりのタイミングを基準として、製品群Gの載り込み時間T1、安定時間T2、先方製品WFの載り込み時間T1f、安定時間T2f、および中間製品WMの載り込み時間T1m、安定時間T2mのタイミング信号を生成する。制御手段5は、製品群Gの中間製品WMをセンサ4が検知した検知信号の立ち上がりのタイミングを基準として、中間製品WMの載り込み時間T1m、安定時間T2mを生成し、製品群Gの後方製品WRをセンサ4が検知した検知信号の立ち上がりのタイミングを基準として、載り込み時間T1、安定時間T2を生成してもよい。これらのタイミング信号により、計量コンベア2上の先方製品WFに対する計量値M1、製品群Gの内先方2個の製品W(先方製品WFと中間製品WM)に対する計量値M2、製品群Gの3個の製品Wに対応する計量値M3を秤量信号から取得する。
【0055】
計量部7は、判定タイミングJ1で計量値M1から先方製品WFの重量MFを取得し、判定タイミングJ2で計量値M2から先方製品WFの重量MFに中間製品WMを加えた重量を取得し、先方製品WFの重量MFに中間製品WMを加えた重量から先方製品WFの重量MFを差し引き、その結果を中間製品WMの重量MMとし、判定タイミングJ3で計量値M3から製品群Gの重量MAを取得し、先方の2個の製品Wの重量(先方製品WFの重量MF+中間製品WMの重量MM)を差し引き、その結果を後方製品WRの重量MRとする。計量部7の演算結果は表示部10に表示されるとともに、個数算出部8に送られる。
【0056】
個数算出部8は、計量部7から送られた各製品Wの重量を物品Aの1個の重量MSで除して、当該製品Wに含まれる物品Aの個数Cを算出する。過不足判定部9は、個数算出部8から送られた製品Wの物品Aの実際の個数と正規入数を比較し、製品Wに含まれる物品Aの個数の過不足を判定し、その結果を表示部10に表示する。
なお、上述した実施形態の製品群Gに含まれる製品Wの数は、2個又は3個であったが、これに限らず4個以上であってもよく、製品群Gに含まれる製品Wの数をN個とした場合、n個目の製品W(n≦N)の重量は、n個目の計量値とn−1個目の計量値の差分で求めることができる(ただし、1個目の製品Wの場合のn−1個目の計量値は0となる。)。
【0057】
以上説明したように、本発明の各実施形態の製品検査装置1と、これを用いた製品検査方法によれば、連続品の個々の製品Wが内包する物品Aの個数の過不足を、X線検査装置を使用した場合に比較して低いコストで、かつX線検査装置では検査結果に影響を与える可能性のある物品Aの種類や包装内での態様等の如何に関わらず、精度よく検査することができる。
【符号の説明】
【0058】
1…製品検査装置
2…計量コンベア
3…秤
4…センサ
5…制御手段
6…フィルタの設定手段である信号処理部
7…計量部
8…個数算出部
9…過不足判定部
A…物品
W…製品
WF…前方製品
WM…中間製品
WR…後方製品
G…製品群
P…包装材
図1
図2
図3
図4
図5