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特開2021-105974熱併合設備と新再生エネルギー源結合型スマートエネルギー運営システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2021-105974(P2021-105974A)
(43)【公開日】2021年7月26日
(54)【発明の名称】熱併合設備と新再生エネルギー源結合型スマートエネルギー運営システム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/06 20120101AFI20210625BHJP
   H02J 3/00 20060101ALI20210625BHJP
   H02J 3/38 20060101ALI20210625BHJP
【FI】
   G06Q50/06
   H02J3/00 170
   H02J3/38 120
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
【全頁数】24
(21)【出願番号】特願2020-17787(P2020-17787)
(22)【出願日】2020年2月5日
(11)【特許番号】特許第6894022号(P6894022)
(45)【特許公報発行日】2021年6月23日
(31)【優先権主張番号】10-2019-0175342
(32)【優先日】2019年12月26日
(33)【優先権主張国】KR
(71)【出願人】
【識別番号】519362745
【氏名又は名称】ジェーエイチエナジー,シーオー.エルティーディー
(71)【出願人】
【識別番号】520043992
【氏名又は名称】インチョン ナショナル ユニバーシティ リサーチ アンド ビジネス ファウンデーション
(74)【代理人】
【識別番号】100111202
【弁理士】
【氏名又は名称】北村 周彦
(72)【発明者】
【氏名】キム,ヨン ハ
【テーマコード(参考)】
5G066
5L049
【Fターム(参考)】
5G066AA03
5G066AE09
5G066HB06
5G066HB07
5G066JB06
5L049CC06
(57)【要約】      (修正有)
【課題】既存熱併合エネルギーの最適運営(収益を最大化)を具現する、熱併合設備と新再生エネルギー源結合型スマートエネルギー運営システムを提供する。
【解決手段】熱併合設備(既存集団エネルギー設備)と新再生エネルギー源が結合されたスマートエネルギー運営システムであって、既存集団エネルギー設備である熱併合設備の最適運営を反映して新再生エネルギー源の熱的投入限界容量を算定し、新規で投入された熱負荷にエネルギーを供給する時に算定された新再生エネルギー源の熱的投入限界容量に基づいて新再生エネルギー源の供給量を決定する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エネルギーを消費する既存熱負荷;
前記既存熱負荷の周辺に新規で構築されてエネルギーを消費する新規熱負荷;
熱併合発電機、尖頭負荷ボイラーおよび蓄熱槽を含む設備を構成して既存エネルギーを生産し、生産された既存エネルギーを前記既存熱負荷と前記新規熱負荷に供給する既存熱併合設備;
前記既存熱併合設備を構成する熱併合発電機、尖頭負荷ボイラーおよび蓄熱槽の情報と、前記既存熱負荷と前記新規熱負荷を含む需要家の最大および最小熱負荷と総熱負荷量を含む需要家情報の提供を受けて、考慮対象期間の間前記既存熱併合設備の収益が最大となる経路を探索して最適運営を導き出す最適運営導き出し部;
前記最適運営導き出し部を通じて導き出された前記既存熱併合設備の最適運営結果を利用して、前記既存熱併合設備の熱的限界容量を算出する熱的限界容量算出部;
前記熱的限界容量算出部を通じて算出された前記既存熱併合設備の熱的限界容量を利用して、前記新規熱負荷に投入できる時間帯別新規エネルギーの熱的投入限界容量を算定する熱的投入限界容量算定部;
前記熱的投入限界容量算定部で算定された時間帯別新規エネルギーの熱的投入限界容量のうち最大値を有する熱的投入限界容量を、前記新規熱負荷に投入する新規エネルギーの投入量として決定する新再生エネルギー投入量決定部;および
新再生エネルギーを生産する少なくとも1箇所以上の生産設備を構成して前記新規熱負荷に供給する新規エネルギーを生産し、前記新再生エネルギー投入量決定部で決定された新規エネルギーの投入量に対応する新規エネルギーを前記新規熱負荷に供給する新再生エネルギー生産設備;を含む、熱併合設備と新再生エネルギー源結合型スマートエネルギー運営システム。
【請求項2】
前記既存熱併合設備から前記新規熱負荷に供給される既存エネルギーの投入量を感知して前記既存エネルギーの投入量の変動量を算定する投入変動量検出部;および
前記投入変動量検出部の検出結果、前記既存熱併合設備から前記新規熱負荷に供給される既存エネルギーが減少した場合、減少量だけ補償する追加投入量を決定して前記新再生エネルギー投入量決定部に提供する変動量補償決定部;をさらに含み、
前記新再生エネルギー投入量決定部は前記熱的投入限界容量算定部で算定された新規エネルギーの熱的投入限界容量に対応する新規エネルギーの投入量と、前記変動量補償決定部で決定された新規エネルギーの追加投入量とを合算して、前記新再生エネルギー生産設備から前記新規熱負荷に投入する新規エネルギーの投入量を決定し、
前記新再生エネルギー生産設備は前記新再生エネルギー投入量決定部で決定された新規エネルギーの熱的投入限界容量に対応する新規エネルギーの投入量と、前記変動量補償決定部で決定された新規エネルギーの追加投入量の合算に対応する投入量で新規エネルギーを前記新規熱負荷に供給する、請求項1に記載の熱併合設備と新再生エネルギー源結合型スマートエネルギー運営システム。
【請求項3】
前記最適運営導き出し部は、
前記既存熱併合設備の収益が最大化される目的関数を定義する過程と、前記目的関数に対する等号制約条件と不等号制約条件を設定する過程と、前記既存熱併合設備の収益が最大化される前記目的関数の最適経路を探索する過程と、探索された最適経路から前記既存熱併合設備の収益が最大となる最適運営結果を導き出す過程を通じて前記既存熱併合設備の収益が最大となる最適運営を導き出すものの、
前記目的関数を定義する過程は、前記目的関数を[数式1]のように定義し、
[数式1]
ここで、CHPは熱併合発電機、PLBは尖頭負荷ボイラーを表し、
前記目的関数に対する等号制約条件と不等号制約条件を設定する過程では、前記既存熱併合設備で生産した熱量は前記既存熱負荷と前記新規熱負荷で要求する熱量と同じでなければならないという熱需給制約条件を[数式2]のように設定し、前記既存熱併合発電機の熱生産上限値と下限値の制約は[数式3]のように設定し、前記尖頭負荷ボイラーの熱出力上限値と下限値の制約は[数式4]のように設定し、前記蓄熱槽は熱出力中に直ぐに最大熱出力で運転することはできず、単位時間当り一定の熱出力限度内でのみ蓄熱と放熱をし、単位時間当り蓄熱と放熱の限度は[数式5]のように設定し、
[数式2]
ここで、ACCは蓄熱槽であり、
[数式3]
[数式4]
[数式5]
前記既存熱併合設備の収益が最大化される前記目的関数の最適経路を探索する過程は、
前記熱併合発電機の熱生産と前記尖頭負荷ボイラーの熱出力を算定し、前記蓄熱槽の初期温水の水位と最終時点での前記蓄熱槽の温水の水位が同じであるようにして、前記既存熱併合設備の収益が最大となる経路を探索するものの、前記蓄熱槽の初期温水の水位からt=1の時間帯に遷移する時に変動する熱負荷
は[数式6]で計算し、t=1の時間帯に遷移される熱負荷
の増減から前記[数式1]で

を算定し、各熱負荷から遷移された熱負荷が前記蓄熱槽の熱出力となり、各stateの初期収益を計算し、遷移される経路のうちで総収益が最も大きいstate値のみを記憶し、[数式7]のように最終時点まで前記蓄熱槽の温水の水位による各収益を算定し、最終stageであるtで[数式7]から算定された結果で前記目的関数が最適な経路を探索する、請求項1に記載の熱併合設備と新再生エネルギー源結合型スマートエネルギー運営システム。
[数式6]
[数式7]
【請求項4】
前記熱的投入限界容量算定部は、1年運転模擬中のt時間であるときに発生した最大熱負荷が[数式8]のように前記熱併合発電機の熱生産上限値と前記尖頭負荷ボイラーの熱出力上限値の和と同じであれば、t時間であるときに前記既存熱併合設備の最適運営による熱的限界容量が満たされたと判断して前記新規エネルギーの熱的投入限界容量を[数式9]で算定する、請求項3に記載の熱併合設備と新再生エネルギー源結合型スマートエネルギー運営システム。
[数式8]
[数式9]
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は熱併合設備(既存集団エネルギー設備)と新再生エネルギー源が結合されたスマートエネルギー運営システムに関し、詳細には、既存集団エネルギー設備である熱併合設備の最適運営を反映して新再生エネルギー源の熱的投入限界容量を算定し、新規で投入された熱負荷でエネルギーを供給する時に算定された新再生エネルギー源の熱的投入限界容量に基づいて新再生エネルギー源の供給量を決定して熱併合設備の最適運営を具現する、熱併合設備と新再生エネルギー源結合型スマートエネルギー運営システムに関する。
【背景技術】
【0002】
最近のエネルギーおよび環境問題に対応するために、世界各国は気候変化関連政策を発表しており、その政策の一環として地球温暖化の原因である温室ガスの減縮を推進している。このような国内外の政策および環境変化を勘案する時、熱併合発電と新再生エネルギー源を結合した集団エネルギー事業に対する関心が次第に増加するものと見込まれている。
【0003】
集団エネルギーは、一般的に住宅団地と産業団地などのように、多数の熱需要家が密集した地域を対象に、熱併合発電機、尖頭負荷ボイラー、資源回収施設などの1箇所またはそれ以上の集中されたエネルギー生産施設で生産されたエネルギーを、住居地域や商業地域または産業団地内の多数の需要家に一括的に供給・販売する形態をいう。
【0004】
このような集団エネルギー事業は、既存化石エネルギーに比べて総合効率が高いためエネルギーを節減し微細粉塵の排出を減らして環境汚染問題の解決に寄与することができ、送電線路を拡充することなく建設が可能であるため建設による社会的費用と長距離送電による電力損失を最小化できるなどの多様な便益が発生する長所がある。
【0005】
このように、国内外で新再生エネルギー拡大のために多くの投資が進行されており、温室ガスの減縮義務の施行のような気候変化対策を勘案する時、今後熱併合発電と新再生エネルギー源を結合して既存方式で熱を供給するのではなく、新再生エネルギー源を併合して使用するか、新再生エネルギー源だけで熱を供給して温室ガスの排出量を減らすことができる集団エネルギー事業に対する関心はさらに高まるものと見込まれている。
【0006】
これに伴い、ハードウェア的な側面で集団エネルギー設備に対する技術開発は多くの進展を見せているが、最適運営方式においては未だ素人の水準に留まっている。特に安定した住宅供給と不動産安定化政策により既存集団エネルギー設備が投入された地域の周辺に、新規宅地地域(新都市)やスマートシティなどの都市開発によって熱負荷が新規に持続的に投入されている状況で、既投入された集団エネルギー設備事業者の収益を最大に保障するための効率的な運営方法を提示できないでいるのが実情である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
KR 10−1715451 B1、2017.03.06.
KR 10−2005218 B1、2019.07.23.
【非特許文献】
【0008】
キム・ヨンハ他4名、「運転モードを考慮した熱併合発電の熱取引最適運転」、エネルギー工学第18冊第1号、2009年3月、pp.37〜48.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
したがって、本発明は前記の問題点を解決するために提案されたものであって、新規熱負荷の投入により新再生エネルギー源の熱的投入限界容量を算定する時に既存熱併合設備の最適運営を反映して算定し、新規で投入された熱負荷でエネルギーを供給する時に算定された新再生エネルギー源の熱的投入限界容量に基づいて新再生エネルギー源の供給量を決定して既存熱併合エネルギーの最適運営(収益を最大化)を具現する、熱併合設備と新再生エネルギー源結合型スマートエネルギー運営システムを提供することにその目的がある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記した目的を達成するための一側面に係る本発明は、エネルギーを消費する既存熱負荷;前記既存熱負荷の周辺に新規で構築されてエネルギーを消費する新規熱負荷;熱併合発電機、尖頭負荷ボイラーおよび蓄熱槽を含む設備を構成して既存エネルギーを生産し、生産された既存エネルギーを前記既存熱負荷と前記新規熱負荷に供給する既存熱併合設備;前記既存熱併合設備を構成する熱併合発電機、尖頭負荷ボイラーおよび蓄熱槽の情報と、前記既存熱負荷と前記新規熱負荷を含む需要家の最大および最小熱負荷と総熱負荷量を含む需要家情報の提供を受けて、考慮対象期間の間前記既存熱併合設備の収益が最大となる経路を探索して最適運営を導き出す最適運営導き出し部;前記最適運営導き出し部を通じて導き出された前記既存熱併合設備の最適運営結果を利用して、前記既存熱併合設備の熱的限界容量を算出する熱的限界容量算出部;前記熱的限界容量算出部を通じて算出された前記既存熱併合設備の熱的限界容量を利用して、前記新規熱負荷に投入できる時間帯別新規エネルギーの熱的投入限界容量を算定する熱的投入限界容量算定部;前記熱的投入限界容量算定部で算定された時間帯別新規エネルギーの熱的投入限界容量のうち最大値を有する熱的投入限界容量を、前記新規熱負荷に投入する新規エネルギーの投入量として決定する新再生エネルギー投入量決定部;および新再生エネルギーを生産する少なくとも1箇所以上の生産設備を構成して前記新規熱負荷に供給する新規エネルギーを生産し、前記新再生エネルギー投入量決定部で決定された新規エネルギーの投入量に対応する新規エネルギーを前記新規熱負荷に供給する新再生エネルギー生産設備を含む、熱併合設備と新再生エネルギー源結合型スマートエネルギー運営システムを提供する。
【0011】
また、前記既存熱併合設備から前記新規熱負荷に供給される既存エネルギーの投入量を感知して前記既存エネルギーの投入量の変動量を算定する投入変動量検出部;および前記投入変動量検出部の検出結果、前記既存熱併合設備から前記新規熱負荷に供給される既存エネルギーが減少した場合、減少量だけ補償する追加投入量を決定して前記新再生エネルギー投入量決定部に提供する変動量補償決定部をさらに含み、前記新再生エネルギー投入量決定部は前記熱的投入限界容量算定部で算定された新規エネルギーの熱的投入限界容量に対応する新規エネルギーの投入量と、前記変動量補償決定部で決定された新規エネルギーの追加投入量とを合算して、前記新再生エネルギー生産設備から前記新規熱負荷に投入する新規エネルギーの投入量を決定し、前記新再生エネルギー生産設備は前記新再生エネルギー投入量決定部で決定された新規エネルギーの熱的投入限界容量に対応する新規エネルギーの投入量と、前記変動量補償決定部で決定された新規エネルギーの追加投入量の合算に対応する投入量で新規エネルギーを前記新規熱負荷に供給することができる。
【0012】
また、前記最適運営導き出し部は、前記既存熱併合設備の収益が最大化される目的関数を定義する過程と、前記目的関数に対する等号制約条件と不等号制約条件を設定する過程と、前記既存熱併合設備の収益が最大化される前記目的関数の最適経路を探索する過程と、探索された最適経路から前記既存熱併合設備の収益が最大となる最適運営結果を導き出す過程を通じて前記既存熱併合設備の収益が最大となる最適運営を導き出すものの、
前記目的関数を定義する過程は前記目的関数を[数式1]のように定義し、
[数式1]
ここで、CHPは熱併合発電機、PLBは尖頭負荷ボイラーを表し、
前記目的関数に対する等号制約条件と不等号制約条件を設定する過程では、前記既存熱併合設備で生産した熱量は前記既存熱負荷と前記新規熱負荷で要求する熱量と同じでなければならないという熱需給制約条件を[数式2]のように設定し、前記既存熱併合発電機の熱生産上限値と下限値の制約は[数式3]のように設定し、前記尖頭負荷ボイラーの熱出力上限値と下限値の制約は[数式4]のように設定し、前記蓄熱槽は熱出力中に直ぐに最大熱出力で運転することはできず、単位時間当り一定の熱出力限度内でのみ蓄熱と放熱をし、単位時間当り蓄熱と放熱の限度は[数式5]のように設定し、
[数式2]
ここで、ACCは蓄熱槽であり、
[数式3]
[数式4]
[数式5]
前記既存熱併合設備の収益が最大化される前記目的関数の最適経路を探索する過程は、
前記熱併合発電機の熱生産と前記尖頭負荷ボイラーの熱出力を算定し、前記蓄熱槽の初期温水の水位と最終時点での前記蓄熱槽の温水の水位が同じとなるようにして、前記既存熱併合設備の収益が最大となる経路を探索するものの、前記蓄熱槽の初期温水の水位からt=1の時間帯に遷移する時に変動する熱負荷
は[数式6]で計算しt=1の時間帯に遷移される熱負荷
の増減から前記[数式1]で

を算定し、各熱負荷から遷移された熱負荷が前記蓄熱槽の熱出力となり、各stateの初期収益を計算し、遷移される経路のうちで総収益が最も大きいstate値のみを記憶し、[数式7]のように最終時点まで前記蓄熱槽の温水の水位による各収益を算定し、最終stageであるtで[数式7]から算定された結果で前記目的関数が最適な経路を探索することができる。
[数式6]
[数式7]
【0013】
また、前記熱的投入限界容量算定部は、1年運転模擬中のt時間であるときに発生した最大熱負荷が、[数式8]のように前記熱併合発電機の熱生産上限値と前記尖頭負荷ボイラーの熱出力上限値の和と同じであれば、t時間であるときに前記既存熱併合設備の最適運営による熱的限界容量が満たされたと判断して前記新規エネルギーの熱的投入限界容量を[数式9]で算定することができる。
[数式8]
[数式9]
【発明の効果】
【0014】
以上で説明した通り、本発明に係るスマートエネルギー運営システムによると、既存熱併合設備の最適運営を反映して新再生エネルギー源の熱的投入限界容量を算定し、これに基づいて新規で投入される新規熱負荷に対してエネルギーを供給する時、熱併合設備の最適運営を害しない範囲(収益を最大化する範囲)内で新再生エネルギー源の供給量を決定して熱併合設備を最適運営するように提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の実施例に係るスマートエネルギー運営システムの事業概念図。
図2】本発明の実施例に係るスマートエネルギー運営システムの構成を図示した図面。
図3】本発明に係る既存熱併合設備の最適運営を導き出す過程を図示したフローチャート。
図4】既存熱負荷が最大熱負荷を発生させる時にそれぞれの熱負荷を時間帯別に図示したグラフ。
図5】既存熱負荷が最大熱負荷を発生させる4週目の2018年SMP(System Marginal Price)時間帯別価格を図示したグラフ。
図6】本発明に係る既存熱併合設備の最適運営結果グラフを示した図面。
図7】各時間帯別新再生エネルギー源の熱的投入限界容量を示した図面。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、添付された図面を参照して本発明の技術的特徴を具体的に説明する。
【0017】
図1は、本発明の実施例に係るスマートエネルギー運営システムの事業概念図である。
【0018】
図1を参照すると、本発明の実施例に係るスマートエネルギー運営システムは、既存熱併合設備1を通じて生産された熱エネルギー(以下、「既存エネルギー」という)を既存熱負荷3に供給運営中に、既存熱併合設備1が投入された地域の周辺に新規開発によって新規で投入される新規熱負荷4が構築された場合、既存熱併合設備1の収益を最大化する範囲内で新再生エネルギー生産設備2から新規熱負荷4に投入される新再生エネルギーの投入量を効率的に運用できるスマートエネルギー運営を提供する。
【0019】
既存熱併合設備1は既存集団エネルギー設備であって、熱および/または電気エネルギーを生産して供給する生産施設として、熱併合発電機(CHP、Combined Heat and Power)、尖頭負荷ボイラー(PLB、Peak Load Boiller)、蓄熱槽(ACC、ACCumulator)および焼却炉を含む。その他にも、排熱回収装置(HRSG、Heat Recovery Steam Generator)等のように通常の熱併合発電システムに備えられている付随的な設備をさらに含むことができる。
【0020】
図1のように、新再生エネルギー生産設備2は、太陽光エネルギー、地熱エネルギー、海洋エネルギー、バイオエネルギー、燃料電池エネルギーなどのうち少なくともいずれか一つの親環境新再生エネルギーを生産する設備であって、太陽光発電機、地熱発電機、海洋発電機、バイオ発電機、燃料電池発電機のうち少なくとも1箇所以上を含むことができる。そして、新再生エネルギー生産設備2内には熱と電力を貯蔵するために蓄熱槽とESS(Energy Storage System)等が設置され得る。
【0021】
新再生エネルギー生産設備2は、既存熱併合設備1内に構築されるか既存熱併合設備1と別途に新規熱負荷4にエネルギーを供給するための新再生エネルギー源として、既存熱併合設備1と結合して新しい集団エネルギー設備を構成することができ、このように構成された集団エネルギー設備内で既存熱併合設備1と併合して運営されてもよい。
【0022】
新規熱負荷4が新しく構築されて新再生エネルギー生産設備2からエネルギーを供給する時、既存熱併合設備1の収益を保存することが何より重要である。すなわち、新再生エネルギー生産設備2を通じて新規熱負荷4にエネルギーを供給する時、既存熱併合設備1の最適運営を害しない範囲内でエネルギー投入量が決定されなければならない。
【0023】
新再生エネルギー生産設備2から新規熱負荷4に供給されるエネルギー投入量は新再生エネルギー源の熱的投入限界容量で決定される。すなわち、新再生エネルギー源の熱的投入限界容量は、既存熱併合設備1の収益が最大化される範囲内で新再生エネルギー生産設備2から新規熱負荷4に供給されるエネルギー投入量を意味する。新再生エネルギー生産設備2から新規熱負荷4にエネルギーを供給する時、既存熱併合設備1の最適運営を害しないために、新再生エネルギー源の熱的投入限界容量算定時に既存熱併合設備1の収益が最大となる最適運営を導き出し、これを反映して算定しなければならない。
【0024】
既存熱負荷3は既存熱併合設備1が投入された地域内または周辺に設置されて既存熱併合設備1から既存エネルギーの供給を受けて消費する施設である。新規熱負荷4は既存熱併合設備1が投入された地域(あるいは区域)周辺に新規開発を通じて形成された施設であって、既存熱併合設備1で生産される既存エネルギーと新再生エネルギー生産設備2の新再生エネルギー源から生産されたエネルギー(以下、「新規エネルギー」という)の供給を受けて消費する。例えば、既存熱負荷3と新規熱負荷4は住宅団地(アパートなど)、商店街、ビルディング、病院、産業団地、業務、商業用建物、公共機関などを含む。
【0025】
既存熱負荷3は既存熱併合設備1から既存エネルギーの供給を受けて消費し、新規熱負荷4は既存熱負荷3と同様に既存熱併合設備1を通じて既存エネルギーの供給を受けるとともに、既存熱併合設備1の熱的限界容量を超過する容量に対して新再生エネルギー生産設備2から新規エネルギーの供給を受けて消費するように構成される。
【0026】
既存熱併合設備1の熱的限界容量は既存熱併合設備1の収益が最大となる範囲、すなわち最適運営を害しない範囲内で決定されなければならず、既存熱併合設備1の地域の周辺に新規で新規熱負荷4が構築される時、既存熱併合設備1を運営する事業者の収益を保存する側面で非常に重要な要素として考慮されなければならない。
【0027】
図2は、本発明の実施例に係るスマートエネルギー運営システムの構成を図示した図面である。
【0028】
図2を参照すると、本発明の実施例に係るスマートエネルギー運営システムは、既存熱併合設備1内に構築された各種設備の情報と、既存熱負荷3と新規熱負荷4を含む需要家の最大および最小熱負荷と総熱負荷量に基づいて既存熱併合設備1の収益が最大化される最適運営を導き出す最適運営導き出し部5を含む。
【0029】
最適運営導き出し部5は既存熱併合設備1の情報、すなわち設備の情報(熱併合発電機/尖頭負荷ボイラー/蓄熱槽の情報)と、需要家の最大および最小熱負荷と需要家の総熱負荷量を含む需要家情報の提供を受けて、考慮対象期間(設定期間)の間既存熱併合設備1の収益が最大となる経路を探索して最適運営を導き出す。
【0030】
既存熱併合設備1に対する情報は、熱併合発電機CHPの熱生産上限値および下限値と、尖頭負荷ボイラーPLBの熱出力上限値および下限値と、蓄熱槽ACCの容量および時間当り蓄熱・放熱量と、熱併合発電機CHPの燃料費と、尖頭負荷ボイラーPLPの燃料費と、既存熱併合設備1の熱販売費用および電力逆送費用などを含むことができる。
【0031】
図3は、本発明に係る既存熱併合設備の最適運営を導き出す過程を図示したフローチャートである。
【0032】
図3を参照すると、最適運営導き出し部5は一例として、本発明者によって提案された大韓民国登録特許第10−1715451号(登録日:2017.03.06.)を通じて獲得したシミュレーターを利用して、既存熱併合設備1の収益が最大化される最適運営を導き出すことができる。
【0033】
最適運営導き出し部5は既存熱併合設備1の収益が最大化される目的関数を定義し(S11)、前記目的関数に対する等号制約条件と不等号制約条件を設定し(S12)、収益が最大となる前記目的関数の最適経路を探索し(S13)、探索された最適経路から既存熱併合設備1の収益が最大となる最適運営を導き出す(S14)。
【0034】
前記目的関数を定義する過程(S11)で、前記目的関数は既存熱併合設備1の収益が最大となる収益最大値を算出するための関数であって、[数式1]のように定義することができる。
[数式1]
ここで、CHPは熱併合発電機、PLBは尖頭負荷ボイラーを表す。
【0035】
その後、既存熱併合設備1の収益が最大化される最適運営を導き出すために、既存熱併合設備1の熱併合発電機CHP、尖頭負荷ボイラーPLB、蓄熱槽ACCを制約する。このために、前記目的関数に対する等号制約条件と不等号制約条件を設定する(S12)。
【0036】
等号制約条件と不等号制約条件は[数式2]〜[数式5]のように設定する。
【0037】
熱需給制約条件
既存熱併合設備1で生産する総熱量は熱負荷で要求する総熱量と同じでなければならない。すなわち、既存熱併合設備1で生産した熱量は需要家で要求する熱量と同じでなければならないという熱需給制約条件は[数式2]で表すことができる。
[数式2]
ここで、ACCは蓄熱槽である。
【0038】
CHP(熱併合発電)制約条件
CHPの熱生産上限値(最大熱出力)と下限値(最小熱出力)の制約は[数式3]の通りである。
[数式3]
【0039】
PLB(尖頭負荷ボイラー)制約条件
PLBの熱出力上限値(最大熱出力)と下限値(最小熱出力)の制約は[数式4]の通りである。
[数式4]
【0040】
ACC(蓄熱槽)の制約条件
ACCの制約条件は熱出力中に直ぐに最大熱出力で運転することはできず、単位時間当り一定の熱出力限度内でのみ蓄熱と放熱をすることができる。この時、単位時間当り蓄熱・放熱の限度は[数式5]の通りである。
[数式5]
【0041】
そして、ACCを最適に運転するために動的計画法を使い、1週(168時間)単位でシミュレーションを遂行した。
【0042】
その後、収益が最大となる前記目的関数の最適経路を探索する(S13)。この過程では、CHPとPLBの熱出力を算定し、ACCの初期温水の水位と最終時点のACCの温水の水位が同じであるようにして、既存熱併合設備1の収益最大化経路を下記のように探索する。
【0043】
ACCの初期温水の水位からt=1の時間帯に遷移する時に変動する熱負荷は[数式6]で計算する。
[数式6]
t=1の時間帯に遷移される熱負荷の増減から[数式1]の
を算定する。この時、各熱負荷から遷移された熱負荷がACCの熱出力となる。
【0044】
その後、各Stateの初期収益を計算し、遷移される経路のうちで総収益が最も大きいState値のみを記憶し、[数式7]のように最終時点までACCの温水の水位による各収益を算定する。
[数式7]
【0045】
最終Stageであるtで前記[数式7]から算定された結果に基づいて、[数式1]で定義された目的関数が最適な経路を算定する(S13)。そして、このように算定された目的関数の最適経路から最適なCHP、PLB、ACCの最適運営結果を導き出す(S14)。
【0046】
図2のように、本発明の実施例に係るスマートエネルギー運営システムは、最適運営導き出し部5を通じて導き出された既存熱併合設備1の最適運営結果を利用して、既存熱併合設備1の熱的限界容量を算出する熱的限界容量算出部6を含む。
【0047】
熱的限界容量算出部6は既存熱併合設備1の最適運営結果に基づいて、下記のように既存熱併合設備1の収益が最大化される範囲内で熱的限界容量を算定する。
【0048】
例えば、既存熱併合設備1の最適運営結果を通じてt時間ごとに最適運営を遂行した時、CHPの熱生産上限値を
とし、PLBの熱出力上限値を
とし、ACCの時間当り蓄熱・放熱量を
とし、1年のうち考慮対象期間のうち運転模擬しようとする該当週のWeek番号に最大熱負荷が発生する週の「Week番号」を入力し、この時、該当最大熱負荷を
とする。
【0049】
需要家の最大熱負荷が、CHPの熱生産上限値およびPLBの熱出力上限値と、ACCの時間当り蓄熱・放熱量を足した値より小さいか同じである場合
を充足する時には既存熱併合設備1は熱負荷を充足する。しかし、前記最大熱負荷がCHPの熱生産上限値およびPLBの熱出力上限値とACCの時間当り蓄熱・放熱量を足した値より大きい場合
には熱負荷を充足させることができない。
【0050】
すなわち、前記最大熱負荷がCHPの熱生産上限値およびPLBの熱出力上限値と、ACCの時間当り蓄熱・放熱量を足した値と同じである場合
がt時間であるとき、CHP、PLBおよびACCの熱的限界容量となる。つまり、最大熱負荷がCHPの熱生産上限値およびPLBの熱出力上限値とACCの時間当り蓄熱・放熱量を足した値と同じである場合
がt時間であるとき、既存熱併合設備1の熱的限界容量となる。
【0051】
一方、ACCは熱負荷供給に必要な熱を「一時」貯蔵する施設であって、熱の需要が低い時間に熱を蓄熱し、熱の需要が高い時間に熱を放熱する機能をする。したがって、ACCは完全な熱生産設備とは言えないので、ACCが放熱する量を新再生エネルギー源の熱的投入限界容量に含まなければならない。すなわち、t時間であるとき、既存熱併合設備1の最適運営による熱的限界容量
は[数式8]を充足する場合である。
[数式8]
【0052】
一方、需要家の最大熱負荷が既存熱併合設備1の熱的限界容量
を超過すると、既存熱併合設備1だけでは熱供給が不可能であるため、新再生エネルギー生産設備2を利用して新規エネルギー(新再生エネルギー)を供給しなければならない。
【0053】
これに伴い、図2のように、本発明の実施例に係るスマートエネルギー運営システムは、熱的限界容量算出部6を通じて算出された既存熱併合設備1の熱的限界容量を利用して新再生エネルギー生産設備2から新規熱負荷4に投入できる新再生エネルギー源(新規エネルギー)の熱的投入限界容量を算定する熱的投入限界容量算定部7を含む。
【0054】
熱的投入限界容量算定部7は、既存熱併合設備1の熱的限界容量に基づいて時間帯別新再生エネルギー源の熱的投入限界容量
を算定する。例えば、時間帯別新再生エネルギー源の熱的投入限界容量
は既存熱併合設備1の熱的限界容量
を超過する熱負荷量とACCの放熱量を合算した値となり得る。
【0055】
この時、熱的投入限界容量算定部7は新再生エネルギー源の熱的投入限界容量
を時間帯別算定値のうち最大値を利用すると、他の時間帯の既存熱併合設備1の熱的限界容量
を超過する熱負荷量を充足することができるので、新再生エネルギー源の熱的投入限界容量
を[数式9]のように算定することができる。
[数式9]
【0056】
したがって、熱的投入限界容量算定部7は基本熱併合設備1の収益が最大となる最適運営結果を反映して新再生エネルギー源の熱的投入限界容量を算定することによって、既存熱併合設備1の収益を最大化する範囲内で新再生エネルギー生産設備2から新規熱負荷4に投入される新再生エネルギーの投入量を効率的に決定することができる。
【0057】
新再生エネルギーの投入量、すなわち新規エネルギーの投入量は新再生エネルギー投入量決定部8により決定される。新再生エネルギー投入量決定部8は熱的投入限界容量算定部7を通じて算定された新再生エネルギー源(新規エネルギー)の熱的投入限界容量に基づいて、新再生エネルギー生産設備2から新規熱負荷4に供給される新規エネルギーの投入量を決定する。
【0058】
新再生エネルギー投入量決定部8で決定された新規エネルギーの投入量、すなわち新再生エネルギー生産設備2から新規熱負荷4に供給される新規エネルギーの投入量は、熱的投入限界容量算定部7で算定された熱的投入限界容量算定部7で算定された時間帯別新規エネルギーの熱的投入限界容量のうち、最大値を有する熱的投入限界容量と同じである。
【0059】
一方、図2のように、本発明の実施例に係るスマートエネルギー運営システムは、既存熱併合設備1から新規熱負荷4に既存エネルギーを供給(投入)する途中で既存エネルギー投入量が変動する場合、これを感知する投入変動量検出部9をさらに含む。
【0060】
既存熱併合設備1を構成する熱併合発電機や尖頭負荷ボイラーなどの各種設備の故障および修理、その他の多様な原因によって100%の稼動が難しくなり生産量が減少し得るが、この場合、新規熱負荷4に供給される既存エネルギーの投入量が減少する。
【0061】
新再生エネルギー生産設備2は、新再生エネルギー投入量決定部8で決定された新規エネルギー投入量だけ新規熱負荷4に供給する。このため、既存熱併合設備1で既存エネルギー投入量が減少する場合、新規熱負荷4は既存エネルギー投入量減少分だけ必要とするエネルギーの供給を受けることができず、運営に問題が発生する可能性がある。
【0062】
投入変動量検出部9は既存熱併合設備1から新規熱負荷4に投入される既存エネルギー投入量を感知してその変動量、すなわち、減少量を感知する。例えば、既存エネルギー投入量の変動量は、既存熱併合設備1の設備稼動率情報に基づいて算定する方式で感知するか、あるいは既存熱併合設備1の既存エネルギー生産量に基づいて算定する方式で感知するか、既存熱併合設備1から新規熱負荷4に既存エネルギーを輸送する熱輸送施設を通じて輸送される輸送量に基づいて感知することができる。
【0063】
図2のように、本発明の実施例に係るスマートエネルギー運営システムは、投入変動量検出部9を通じて既存熱併合設備1から新規熱負荷4に投入される既存エネルギーの減少量に基づいて補償する変動量を決定する変動量補償決定部10をさらに含む。
【0064】
変動量補償決定部10は投入変動量検出部9を通じて検出された変動量、すなわち既存エネルギーの減少量に対応して新再生エネルギー生産設備2から新規熱負荷4に追加で投入する新規エネルギーの追加投入量を決定して新再生エネルギー投入量決定部8に提供する。この時、新規エネルギーの追加投入量は既存エネルギーの減少量と同じである。
【0065】
そして、新再生エネルギー投入量決定部8は熱的投入限界容量算定部7で算定された新再生エネルギー源の熱的投入限界容量に対応する新規エネルギーの投入量と、変動量補償決定部8で決定された新規エネルギーの追加投入量とを合算して新再生エネルギー生産設備2から新規熱負荷4に投入する新規エネルギーの投入量を決定する。
【0066】
新再生エネルギー生産設備2は、既存熱併合設備1の既存エネルギー減少量に対応して新再生エネルギー投入量決定部8で新しく決定された新規エネルギーの投入量だけ新規エネルギーを新規熱負荷4に供給して安定したエネルギーの供給が行われるようにする。
【0067】
一方、既存熱併合設備1が正常に稼動する場合には、投入変動量検出部9を通じて感知し、新再生エネルギー投入量決定部8は追加の投入量なしに熱的投入限界容量算定部7で算定された新再生エネルギー源の熱的投入限界容量に対応するように新規エネルギー投入量を決定する。つまり、新再生エネルギー生産設備2は新再生エネルギー源の熱的投入限界容量に対応する投入量で新規エネルギーを新規熱負荷4に供給する。
【0068】
実験条件
1.CHP、PLB、ACC入力データ
既存集団エネルギー設備1は、CHP 2台、PLB 1台、ACC 1台で構成した。
【0069】
CHPは5つの運転モードのうち、ガスタービン単独運転(Mode2)を除いた4つの運転モード(熱負荷追従運転モード、電気負荷追従運転モード、最大熱負荷追従運転モード、熱負荷/電気負荷混合運転モード)で運転中であり、その時の熱生産下限値と上限値は[表1]の通りである。
[表1]
【0070】
PLBの熱出力下限値と上限値は[表2]の通りである。
[表2]
【0071】
ACCの容量と時間当り蓄熱・放熱量は[表3]の通りである。
[表3]
【0072】
CHPとPLBの燃料費関数は熱出力の2次関数で構成したし、係数は[表4]の通りである。
[表4]
【0073】
2.既存熱併合設備の最適運営分析および結果
このような負荷入力データと設備入力データに基づいて需要家熱負荷の特性を分析すると、[表5]の通りである。
[表5]
【0074】
図4は前記条件で既存熱負荷が最大熱負荷を発生させる時にそれぞれの熱負荷を時間帯別に図示したグラフであり、図5は既存熱負荷が最大熱負荷を発生させる4週目の2018年SMP(System Marginal Price)時間帯別価格を図示したグラフである。
【0075】
既存熱併合設備1が既存エネルギーを投入していた既存熱負荷3が最大熱負荷を発生させる週目は4週目と確認されたし、この時、熱負荷のそれぞれの構成は図4の通りである。
【0076】
前記入力データに基づいて前述した方法で既存熱併合設備1の特性を反映して最適運営を遂行した時、CHPとPLBの熱生産量、ACCの放熱量を求めると、[表6]の通りである。この時、供給しなければならない熱負荷量は36,510.99[Gcal]である反面、生産される熱は34,060.08[Gcal]であるので、400[Gcal]が足りなくなり、ACCに蓄熱された熱を放熱するようになる。
[表6]
【0077】
既存熱併合設備1の最適運営結果は図6の通りである。
【0078】
図6は、本発明に係る既存熱併合設備の最適運営結果グラフを表す。
【0079】
図6のように、2時間から51時間までだけACCが放熱され、CHP2台とPLB1台が運転することを確認することができる。これは燃料費関数に基づいて熱負荷量、SMP(系統限界価格)および既存集団エネルギー設備1の特性を考慮した時、各設備が同時に運転されるのがより経済的であると算定されたためである。しかし、1〜2、7〜9、22〜25、41〜58、65〜81、90〜96、103〜104、115〜119、140〜142時間帯のように、総69時間帯に亘って既存集団エネルギー設備1が最適運営した時に熱負荷を充足させないことを確認することができるが、これはCHP、PLBおよびACCのそれぞれの熱生産量の合計が熱負荷を充足できないことを意味する。この時、既存熱併合設備1の熱的限界容量は230[Gcal/h]と算定された。
【0080】
以上で説明した通り、本発明では熱負荷に対して既存熱併合設備1の最適運営を算定し、既存熱併合設備1の最適運営を害しない範囲内で新再生エネルギー源の熱的投入限界容量を決定する。これを通じて、既存熱併合設備1の最適運営を遂行した時の結果が
であると、既存熱併合設備1だけでは熱負荷を充足できる程エネルギーを供給することができないので、新再生エネルギー生産設備2を通じて既存熱併合設備1の熱的限界容量を超過した部分だけを新再生エネルギーを供給しなければならない。
【0081】
図7は、各時間帯別新再生エネルギー源の熱的投入限界容量を示した図面である。
【0082】
図7のように、各時間帯別新再生エネルギー源の熱的投入限界容量は
を利用して算定することができる。新再生エネルギー源の熱的投入限界容量
は、他の時間帯の
を超過する熱負荷量を充足できるため、最大熱負荷である46時間である時の新再生エネルギー源の熱的投入限界容量が新再生エネルギー源の熱的投入限界容量として決定され得る。すなわち、本例示において、新再生エネルギー源の熱的投入限界容量
は83.05[Gcal/h]と算定される。
【0083】
以上のように、本発明の技術的思想は好ましい実施例で具体的に記述されたが、前記した好ましい実施例はその説明のためのものであって、その制限のためのものではない。このように、この技術分野の通常の専門家であれば本発明の技術思想の範囲内で本発明の実施例の結合を通じて多様な実施例が可能であることが理解できるであろう。
【符号の説明】
【0084】
1:既存熱併合設備
2:新再生エネルギー生産設備
3:既存熱負荷
4:新規熱負荷
5:最適運営導き出し部
6:熱的限界容量算出部
7:熱的投入限界容量算定部
8:新再生エネルギー投入量決定部
9:投入変動量検出部
10:変動量補償決定部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7