【解決手段】フレームウェハ100を他装置に受け渡す搬送システムにおいて、フレーム102は、ウェハ101の表面と直交する方向から見たときに、一部が所定の中心線202に関して非対称に形成されている。搬送ロボット21は、フレームが所定の仮想平面内に延在するようにフレーム102を保持するハンド43と、ハンドに保持されたフレーム102のうち、仮想平面内の所定の第1領域111に位置している部分を検知する第1センサ55と、ハンドに保持されたフレーム102のうち、中心線202を挟んで第1領域111とは反対側の第2領域112に位置している部分を検知する第2センサ56と、制御部16と、を有する。制御部は、第1センサによる検知結果及び第2センサによる検知結果に基づき、フレームウェハ100の表裏を判定する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述したように、フレームウェハを反転させる必要がある場合、例えば搬送システムが何らかの不具合により停止したときに、一方の面が上を向いた(表向きの)フレームウェハと他方の面が上を向いた(裏向きの)フレームウェハとが筐体内に混在しうる。このような場合に、筐体内のフレームウェハの表裏を作業者によって確認する必要があると、筐体内に作業者が入ることとなり、確認作業の手間及び筐体の内部空間の汚染等の問題が発生する。
【0007】
また、フレームウェハを反転させる必要がない場合でも、例えば、作業者によってフレームウェハを容器に入れる際に、表裏を間違えた状態で入れてしまうという状況も発生しうる。この場合、表裏を間違えた状態のままフレームウェハを処理してしまうと、生産不良等が発生する。
【0008】
本発明の目的は、搬送システムにおいて、フレームウェハの表裏を人手によらず判別することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
第1の発明の搬送システムは、ウェハと、前記ウェハを保持するフレームと、を有するフレームウェハを搬送する搬送システムであって、前記フレームは、前記ウェハの表面と直交する方向から見たときに、一部が所定の中心線に関して非対称に形成されており、前記フレームが所定の仮想平面内に延在するように前記フレームを保持する保持部と、前記保持部に保持された前記フレームのうち、前記仮想平面内の所定の第1領域に位置している部分を検知する第1検知部と、前記保持部に保持された前記フレームのうち、前記中心線を挟んで前記第1領域とは反対側の第2領域に位置している部分を検知する第2検知部と、制御部と、を有し、前記制御部は、前記第1検知部による検知結果及び前記第2検知部による検知結果に基づき、前記フレームウェハの表裏を判定することを特徴とするものである。
【0010】
本発明では、以下のように、フレームの非対称性を利用してフレームウェハの表裏を判定できる。まず、保持部によって、フレームのうち互いに非対称な部分(第1部分、第2部分とする)の一方を第1領域に位置させ、他方を第2領域に位置させる。次に、制御部が、第1領域に位置している部分が第1部分及び第2部分のうちどちらであるか判定し、第2領域に位置している部分が第1部分及び第2部分のうちどちらであるか判定する。第1領域に第1部分が位置し、且つ、第2領域に第2部分が位置しているとき、フレームウェハの向きが所定の向き(第1の向き)であると判定できる。逆に、第1領域に第2部分が位置し、且つ、第2領域に第1部分が位置しているとき、フレームウェハの向きが第1の向きとは反対の第2の向きであると判定できる。以上のようにして、搬送システムにおいて、フレームウェハの表裏を人手によらず判別できる。
【0011】
第2の発明の搬送システムは、前記第1の発明において、前記第1検知部は、前記保持部に保持された前記フレームの一部が、前記第1領域に位置しているか否か検知可能であり、前記第2検知部は、前記保持部に保持された前記フレームの一部が、前記第2領域に位置しているか否か検知可能であり、前記制御部は、前記第1検知部によって前記フレームが検知されず、且つ、前記第2検知部によって前記フレームが検知された場合に、前記フレームウェハの向きが第1の向きであると判定し、前記第1検知部によって前記フレームが検知され、且つ、前記第2検知部によって前記フレームが検知されなかった場合に、前記フレームウェハの向きが第1の向きとは反対の第2の向きであると判定することを特徴とするものである。
【0012】
例えば、第1検知部及び第2検知部がフレームの画像を撮影するカメラであり、制御部が画像認識によってフレームの形状を判断する構成では、製造コストが増大するおそれがある。この点、本発明では、フレームが検知されたか否かの単純な情報のみに基づいてフレームウェハの表裏を判別できる。したがって、簡単な構成によってフレームウェハの表裏を判別できるので、製造コストの増大を抑制できる。
【0013】
第3の発明の搬送システムは、前記第1又は第2の発明において、前記フレームウェハの表裏を反転させる反転部を備えることを特徴とするものである。
【0014】
反転部を備える搬送システムにおいては、第1の向きのフレームウェハと第2の向きのフレームウェハとが容易に混在しうる。したがって、このような構成において、フレームウェハの表裏を判定可能であることは特に有効である。また、反転部によって、フレームウェハの向きをあるべき向きに直すことも容易にできる。
【0015】
第4の発明の搬送システムは、前記第1〜第3のいずれかの発明において、前記保持部に保持された前記フレームのうち、前記仮想平面内において所定の中心点を中心として前記第1検知部から所定角度ずれた位置に配置された第3検知部と、前記保持部に保持された前記フレームのうち、前記仮想平面内において前記中心点を中心として前記第2検知部から前記所定角度ずれた位置に配置された第4検知部と、を備え、前記制御部は、前記第1検知部、前記第2検知部、前記第3検知部及び前記第4検知部による検知結果に基づき、前記フレームウェハの表裏及び前記フレームウェハの前記仮想平面内における角度を判定することを特徴とするものである。
【0016】
本発明では、フレームウェハの表裏だけでなく仮想平面内における角度も判定したい状況において、当該角度も人手によらず判定できる。
【0017】
第5の発明の搬送システムは、前記第1〜第4のいずれかの発明において、前記保持部は、前記フレームとして、所定の第1フレーム、及び、前記第1フレームとは異なる形状の第2フレームを保持可能であり、前記第1検知部及び前記第2検知部を含む、前記第1フレームを検知可能な位置に配置された第1フレーム検知部と、前記第2フレームを検知可能な位置に配置された第2フレーム検知部と、を備え、前記制御部は、前記第1フレーム検知部による検知結果及び前記第2フレーム検知部による検知結果に基づいて、前記第1フレーム及び前記第2フレームのうちどちらが前記保持部に保持されているか判断することを特徴とするものである。
【0018】
本発明では、互いに異なる形状を有する第1フレーム及び第2フレームを人手によらず見分けることができる。したがって、例えば、フレームウェハの種類に応じて、フレームウェハに異なる処理を施すことができる。
【発明を実施するための形態】
【0020】
次に、本発明の実施の形態について説明する。なお、説明の便宜上、
図1に示す方向を前後左右方向とする。すなわち、本実施形態に係る後述の搬送システム1と処理装置2とが並べられた、水平方向と平行な方向を前後方向とする。前後方向において、搬送システム1側を前側とし、処理装置2側を後側とする。水平方向と平行且つ前後方向と直交する方向を左右方向とする。また、前後方向及び左右方向の両方と直交する方向を上下方向(重力が作用する鉛直方向)とする。
【0021】
(搬送システム及び周辺の構成)
まず、搬送システム1及びその周辺の構成について、
図1を参照しつつ説明する。本実施形態における搬送システム1は、例えば、EFEM(Equipment Front End Module)と呼ばれるシステムである。EFEMは、後述するフレームウェハ100に所定の処理を施す処理装置2と、フレームウェハ100が収容される容器Fとの間でフレームウェハ100の受渡しを行うように構成されたシステムである。
【0022】
フレームウェハ100は、半導体回路が形成された基板である概ね円板状のウェハ101と、ウェハ101よりも一回り大きな概ねリング状の部材であるフレーム102と、フレーム102に貼られた例えば略リング状のテープ103とを有する(
図2(a)、(b)参照)。ウェハ101は、テープ103に貼られ、テープ103を介してフレーム102に保持されている。ウェハ101の、テープ103に貼られていない側の面を第1面101a(
図2(a)参照)と呼ぶ。また、ウェハ101の、テープ103に貼られている側の面を第2面101b(
図2(b)参照)と呼ぶ。
【0023】
また、容器F(
図1参照)は、例えばFOUP(Front-Opening Unified Pod)と呼ばれる、複数のフレームウェハ100を上下方向に並べて収容可能な容器である。容器Fの側面には、不図示の蓋が取り付けられている。容器Fは、例えば不図示のOHT(天井走行式無人搬送車)によって工場のクリーンルーム内を搬送され、後述するロードポート11上に載置される。
【0024】
図1に示すように、搬送システム1は、複数のロードポート11と、筐体12と、搬送部14と、制御部16とを備える。搬送システム1は、筐体12内に設けられた搬送部14によって、ロードポート11に載置されている容器Fと処理装置2との間でフレームウェハ100の受渡しを行う。搬送システム1の後側には、処理装置2が配置されている。処理装置2は、予備室であるロードロック室2aと、所定の処理を行う処理部2bとを有する。ロードロック室2a内には、筐体12内のフレームウェハ100を処理部2bに出し入れする不図示の搬送ロボットが設けられている。当該搬送ロボットは、複数のフレームウェハ100を一度に搬送可能に構成されていても良く、1つのフレームウェハ100のみを搬送可能であっても良い。
【0025】
複数(本実施形態では3つ)のロードポート11は、筐体12の前側に配置され、左右方向に並べて設けられている。ロードポート11は、容器Fの内部空間を筐体12の内部空間と連通させるように構成されている。ロードポート11は、容器Fが載置される載置部11aと、筐体12の前側の壁部に形成された開口12aを開閉するためのドア11bとを有する。ドア11bは、不図示の連結機構によって容器Fの蓋と連結されるように構成されている。また、ドア11bは、不図示のドア移動機構によって容器Fに蓋を着脱するように構成されている。ロードポート11の載置部11aに容器Fが載置された状態で、連結機構によってドア11bが容器Fの蓋と連結され、ドア移動機構によって容器Fから蓋が外されることにより、容器Fの内部空間と筐体12の内部空間とが連通する。
【0026】
筐体12は、複数のロードポート11と処理装置2とを接続するためのものであり、略直方体状に形成されている。筐体12の内部には、外部空間に対して略密閉された、フレームウェハ100が搬送される搬送空間が形成されている。また、搬送空間内には、不図示のファンフィルタユニットが設けられている。搬送システム1が稼動しているとき、搬送空間内の気体は、基本的には、ファンフィルタを通ることによって清浄に保たれている。搬送空間を満たす気体として、例えば大気、ドライエア、或いは不活性ガス(窒素等)が用いられる。
【0027】
筐体12の前側には複数のロードポート11が配置されている。筐体12の後側には、筐体12の後側の壁部に形成された開口12bを介して処理装置2のロードロック室2aが接続されている。
【0028】
搬送部14は、筐体12内に設けられている。搬送部14は、フレームウェハ100を搬送する搬送ロボット21と、フレームウェハ100が載置されるステージ22と、フレームウェハ100を一時的に保管可能なバッファストッカ23とを有する。また、搬送部14は、フレームウェハ100を反転させる反転装置24(本発明の反転部)を有する。
【0029】
搬送ロボット21は、フレームウェハ100を搬送可能に構成されている。搬送ロボット21は、本体部41と、アーム部42と、ハンド43とを有する。本体部41は、ステージ22及びバッファストッカ23の前側に配置されている。本体部41は、左右方向に延在したレール44に沿って不図示の移動機構によって左右方向に移動可能に構成されている。
【0030】
アーム部42は、複数のアームが鉛直軸周りに旋回可能に連結されて構成されている。アーム部42の基端部は本体部41に取り付けられている。アーム部42の先端部には概ねU字状のハンド43(本発明の保持部)が取り付けられている。ハンド43は、アーム部42の先端部に取り付けられ、鉛直軸周りに旋回可能に構成されている。ハンド43は、例えばメカチャック方式によってフレームウェハ100のフレーム102を保持可能に構成されている。なお、チャック方式はこれには限られない。ハンド43は、例えば真空吸着方式によってフレーム102を保持しても良い。また、搬送ロボット21においては、複数のアーム部42にそれぞれハンド43が設けられていても良い。つまり、搬送ロボット21は、2つ以上のフレームウェハ100を一度に搬送可能に構成されていても良い。
【0031】
ステージ22は、搬送ロボット21の後側に配置されている。ステージ22は、左右方向に長い平板22aを有する。平板22aの上面には、フレームウェハ100を支持するための複数のピン22bが設けられている。これにより、ステージ22上には、複数のフレームウェハ100が左右方向に並べて載置されることが可能となっている。ステージ22上のフレームウェハ100には、例えば、ロードロック室2a内の不図示の搬送ロボットがアクセス可能である。本実施形態では、ステージ22は3枚のフレームウェハ100を並べて支持可能に構成されている。なお、ステージ22が支持可能なフレームウェハ100の枚数は、これに限られない。
【0032】
バッファストッカ23は、ステージ22に隣接するように配置されている。バッファストッカ23は、搬送の効率化のため、複数のフレームウェハ100を一時的に保管するように構成されている。
【0033】
反転装置24は、例えば1つのフレームウェハ100を保持する保持部24aと、保持部24aを水平軸周りに回転させるモータ24bとを有する。反転装置24は、フレームウェハ100の中心線202(
図2(a)参照)を回転軸中心として、保持部24aに保持されたフレームウェハ100を水平軸周りに反転させる(すなわち、フレームウェハ100の表裏をひっくり返す)。
【0034】
以上の構成を有する搬送部14において、搬送ロボット21は、フレームウェハ100を容器Fから取り出して反転装置24へ搬送する。反転装置24がフレームウェハ100を反転させた後、搬送ロボット21は、フレームウェハ100をステージ22或いはバッファストッカ23へ搬送する。また、搬送ロボット21は、ステージ22上のフレームウェハ100或いはバッファストッカ23内のフレームウェハ100を反転装置24へ搬送する。反転装置24がフレームウェハ100を反転させた(元の向きに戻した)後、搬送ロボット21は、フレームウェハ100を容器Fに戻す。このように、搬送ロボット21は、容器Fにフレームウェハ100を出し入れする。
【0035】
制御部16は、例えば一般的なコンピュータ装置であり、フレームウェハ100の搬送を制御する例えばEFEM HOSTである。
【0036】
以上の構成を有する搬送システム1は、搬送部14の搬送ロボット21によって容器Fからフレームウェハ100を取り出し、反転装置24へ搬送する。反転装置24はフレームウェハ100を反転させる。搬送ロボット21は、反転させられたフレームウェハ100をステージ22又はバッファストッカ23に搬送する。処理装置2は、不図示の搬送ロボットによって、ステージ22上に載置されたフレームウェハ100を処理室2bに出し入れする。さらに、搬送ロボット21は、処理装置2側から返ってきたステージ22上のフレームウェハ100を反転装置24へ搬送する。反転装置24は、フレームウェハ100を元の向きに戻す。最後に、搬送ロボット21は、元の向きに戻されたフレームウェハ100を容器Fに戻す。その後、容器Fは、不図示のOHTによって搬送される。
【0037】
ここで、例えば搬送システム1が何らかの不具合により停止したときに、ウェハ101の第1面101aが上を向いたフレームウェハ100と、第2面101bが上を向いたフレームウェハ100とが筐体12内に混在しうる。このような場合、搬送システム1を再稼働させる際に、フレームウェハ100の向きを作業者によって確認する必要があると、筐体12内に作業者が入ることとなり、確認作業の手間及び筐体12の内部空間の汚染等の問題が発生する。そこで、フレームウェハ100の表裏を人手によらず判別できるようにするため、搬送システム1は、詳細には以下の構成を有する。
【0038】
(フレームの形状)
搬送システム1の詳細構成について説明する前に、本実施形態におけるフレーム102の形状について
図2(a)、(b)を参照しつつ説明する。
図2(a)、(b)は、フレームウェハ100をウェハ101の表面と直交する方向から見た図である。より詳細には、
図2(a)は、フレームウェハ100を第1面101a側から見た図である。
図2(b)は、フレームウェハ100を第2面101b側から見た図である。
図2(a)、(b)の紙面上下方向を第1方向とする。
図2(a)の紙面上側を第1方向における一方側とし、
図2(a)の紙面下側を第1方向における他方側とする。
図2(a)、(b)の紙面左右方向を第2方向とする。
図2(a)の紙面左側を第2方向における一方側とし、
図2(a)の紙面右側を第2方向における他方側とする。
【0039】
フレーム102は、ウェハ101の表面と直交する方向から見たときに、一部が、ウェハ101の中心点201を通り且つ第1方向に延びている仮想的な中心線202に関して非対称に形成されている。具体的には、フレーム102の第1方向における一方側の端部において、中心線202よりも第2方向における一方側に切欠き104が形成されている。また、フレーム102の第1方向における一方側の端部において、中心線202よりも第2方向における他方側に、切欠き104と異なる形状の切欠き105が形成されている。フレーム102の切欠き104が形成された部分(以下、第1部分106)は、切欠き105が形成された部分(以下、第2部分107)と比べて大きく切り欠かれている。例えば、第1部分106は、第2方向において平坦である。一方、第2部分107は、第2方向において平坦になっていない。第2部分107には、第1方向における一方側に突出した突起部108が形成されている。第1部分106と第2部分107とは、中心線202を挟んで互いに反対側、且つ、第2方向において中心線202から略等距離の位置に配置されている。
【0040】
(搬送システムの詳細構成)
次に、搬送システム1(特に、搬送ロボット21)の詳細構成について、
図3(a)〜(c)を参照しつつ説明する。
図3(a)は、搬送ロボット21のハンド43の平面図である。
図3(b)は、
図3(a)のIII(b)矢視図である。
図3(c)は、
図3(a)のIII(c)矢視図である。
図3(a)に示すように、搬送ロボット21のハンド43は、本体部材50と、位置決め部材51、52、53、54と、第1センサ55(本発明の第1検知部)と、第2センサ56(本発明の第2検知部)とが設けられている。
【0041】
図3(a)に示すように、本体部材50は、平面視で概ねU字状の部材であり、基端部50aと、2つの先端部50bとを有する。基端部50aはアーム部42(
図1参照)の先端部に取り付けられている。2つの先端部50bは、基端部50aから所定方向に延びている。以下、所定方向における基端部50a側を基端側とし、所定方向における先端部50b側を先端側とする。また、所定方向と直交する方向を直交方向とする。直交方向において、
図3(a)における紙面左側を一方側とし、
図3(a)における紙面右側を他方側とする。
【0042】
位置決め部材51〜54の各々は、フレームウェハ100のフレーム102が載置される載置部と、載置部の一部から上側に突出しておりフレーム102の移動を規制する突起とを有する。位置決め部材51〜54は、本体部材50に固定されている。位置決め部材51、52は本体部材50の先端部50bに配置され、位置決め部材53、54は本体部材50の基端部50aに固定されている。位置決め部材51、53は本体部材50の直交方向における一方側に配置され、位置決め部材52、54は本体部材50の直交方向における他方側に配置されている。また、直交方向において位置決め部材53と位置決め部材54との間には、所定方向に移動可能であり、所定方向における先端側へ付勢されることによりフレーム102を押さえる押え部材59が設けられている。このような位置決め部材51〜54及び押え部材59により、フレーム102は、略水平な所定の仮想平面203(
図3(b)、(c)参照)内に延在するようにハンド43に保持される。フレームウェハ100がハンド43に保持されているとき、フレームウェハ100の中心線202は、所定方向に沿って延び且つハンド43の直交方向における中心部に位置している。
【0043】
図3(a)に示すように、第1センサ55は、本体部材50の所定方向における基端側且つ直交方向における一方側の部分に取り付けられている。第1センサ55は、ハンド43に載置されているフレームウェハ100の下側に配置されるように設けられている。第1センサ55は、例えば公知の反射型の光学センサであっても良く、或いは公知の接触センサであっても良い。第1センサ55は、ハンド43に保持されたフレーム102の一部が、仮想平面203内のごく小さい第1領域111(
図2(a)及び
図3(a)参照)に位置しているか否か検知可能である。第1センサ55は、制御部16と電気的に接続されており、検知信号を制御部16に送信する。
【0044】
第2センサ56は、第1センサ55と同様の構成を有するセンサである。
図3(a)に示すように、第2センサ56は、本体部材50の所定方向における基端側且つ直交方向における他方側の部分に取り付けられている。第2センサ56は、本体部材50の直交方向における中心を挟んで第1センサ55と略対称の位置に設けられている。言い換えると、第2センサ56は、ハンド43に保持されているフレームウェハ100の中心線202を挟んで、第1センサ55とは反対側の位置に設けられている。第2センサ56は、ハンド43に保持されたフレーム102の一部が、仮想平面203内のごく小さい第2領域112(
図2(a)及び
図3(a)参照)に位置しているか否か検知可能である。第2センサ56は、制御部16と電気的に接続されており、検知信号を制御部16に送信する。
【0045】
(フレームウェハの表裏の判定)
次に、上記の構成を有する搬送システム1を用いたフレームウェハ100の表裏の判定方法について、
図4(a)〜(d)及び
図5を参照しつつ説明する。
図4(a)〜
図4(d)は、フレームウェハ100の状態(向き)を示す説明図である。
図5は、フレームウェハの状態に応じた判定の内容を示す表である。
図4(a)〜(d)の紙面垂直方向が上下方向である。なお、以下では、例えば搬送システム1が何らかの不具合によって停止した後でも、少なくとも制御部16及び搬送ロボット21は正常に動作可能であるものとする。
【0046】
制御部16は、搬送ロボット21のハンド43上にフレームウェハ100が載置されたとき、以下のようにフレームウェハ100の状態(表裏)に関する判定を行う。
図4(a)に示すように、ウェハ101の第1面101aが上を向いた状態(状態A)であるとき、フレーム102の第1部分106が第1領域111の周辺に位置し、第2部分107が第2領域112の周辺に位置している。より詳細には、第1領域111にはフレーム102が存在せず、第2領域112にはフレーム102の突起部108が存在する。
【0047】
状態Aにおいては、第1領域111にはフレーム102が存在しないため、フレーム102は第1センサ55によって検知されない。この場合、制御部16は、フレーム102は第1センサ55によって検知されなかった(未検知)と判定する(
図5参照)。また、第2領域112にはフレーム102の突起部108が存在するため、フレーム102は第2センサ56によって検知される。この場合、制御部16は、フレーム102が第2センサ56によって検知された(検知)と判定する(
図5参照)。つまり、状態Aにおいて、フレーム102は、第1センサ55によって検知されず、且つ、第2センサ56によって検知される。このとき、制御部16は、フレームウェハ100がハンド43上に存在し(基板有)、且つ、第1面101aが上を向いている(第1の向き)と判定する。
【0048】
また、
図4(b)に示すように、ウェハ101の第2面101bが上を向いた状態(状態B)であるとき、フレーム102の第1部分106が第2領域112の近傍に位置している。また、第2部分107が第1領域111の近傍に位置している。このとき、状態Aの場合とは反対に、フレーム102は、第1センサ55によって検知され、且つ、第2センサ56によって検知されない。このため、制御部16は、フレームウェハ100がハンド43上に存在し(基板有)、且つ、第2面101bが上を向いている(第1の向きとは反対の第2の向き)と判定する。このように、制御部16は、第1センサ55による検知結果及び第2センサ56による検知結果に基づき、フレームウェハ100の表裏を判定する。
【0049】
なお、第1センサ55及び第2センサ56の両方によってフレーム102が検知された場合(例えば、
図4(c)に示す状態Cのように、フレームウェハ100の仮想平面203内における角度がずれている場合)、制御部16は以下のような判定を行う。すなわち、このような場合、制御部16は、ハンド43上にフレームウェハ100が存在しているが、フレームウェハの表裏を判定できない(判定不可。
図5参照)と判定する。また、第1センサ55及び第2センサ56のいずれによってもフレーム102が検知されなかった場合(例えば、
図4(d)に示す状態Dのように、ハンド43上にフレームウェハ100が存在しない場合)、制御部16は、基板無しと判定する。
【0050】
以上のように、フレーム102の非対称性を利用してフレームウェハ100の表裏を判定できる。つまり、制御部16が、第1領域111に位置している部分が第1部分106及び第2部分107のうちどちらであるか判定し、第2領域112に位置している部分が第1部分106及び第2部分107のうちどちらであるか判定する。第1領域111に第1部分106が位置し、且つ、第2領域112に第2部分107が位置しているとき、フレームウェハ100の向きが第1の向きであると判定できる。逆に、第1領域111に第2部分107が位置し、且つ、第2領域112に第1部分106が位置しているとき、フレームウェハ100が第2の向きであると判定できる。以上のようにして、搬送システム1において、フレームウェハ100の表裏を人手によらず判別できる。
【0051】
また、第1センサ55及び第2センサ56によってフレーム102が検知されたか否かの単純な情報のみに基づいてフレームウェハ100の表裏を判別できる。したがって、簡単な構成によってフレームウェハ100の表裏を判別できるので、製造コストの増大を抑制できる。
【0052】
また、反転装置24を備える搬送システム1においては、第1の向きのフレームウェハ100と第2の向きのフレームウェハ100とが容易に混在しうる。したがって、このような構成において、フレームウェハ100の表裏を判定可能であることは特に有効である。また、反転装置24によって、フレームウェハ100の向きをあるべき向きに直すことも容易にできる。
【0053】
次に、前記実施形態に変更を加えた変形例について説明する。但し、前記実施形態と同様の構成を有するものについては、同じ符号を付して適宜その説明を省略する。
【0054】
(1)前記実施形態においては、制御部16が、第1センサ55及び第2センサ56による検知結果に基づいてフレームウェハ100の表裏を判定するものとした。本変形例では、さらに、フレームウェハ100の、仮想平面203(
図3(b)、(c)参照)内における角度の判定を行っても良い。以下、
図6〜
図8を参照しつつ説明する。
図6は、フレームウェハ100及び第1センサ55等のセンサの配置を示す説明図である。
図7(a)〜(d)は、フレームウェハ100の状態を示す説明図である。
図8は、フレームウェハ100の状態に応じた判定に関する表である。なお、
図6においては、図面を見やすくするために、搬送ロボット21のハンド43の図示を省略している。
図6に示すように、搬送ロボット21aには、第1センサ55及び第2センサ56に加えて、これらのセンサと同様の構成を有する第3センサ57(本発明の第3検知部)及び第4センサ58(本発明の第4検知部)が設けられていても良い。第3センサ57は、仮想平面203(
図3(b)、(c)参照)内において、中心点201を中心として、第1センサ55から角度θ(本発明の所定角度)ずれた位置に配置されている。この変形例においては、角度θは90度である。第3センサ57と中心点201との距離は、第1センサ55と中心点201との距離と略等しい。第4センサ58は、仮想平面203内において、中心点201を中心として、第2センサ56から角度θずれた位置に配置されている。第4センサ58と中心点201との距離は、第2センサ56と中心点201との距離と略等しい。第3センサ57及び第4センサ58は、例えば、フレーム102の第1部分106が第1センサ55の近傍に配置され且つ第2部分107が第2センサ56の近傍に配置されているときに、フレーム102を検知可能な位置に配置されている。第3センサ57及び第4センサ58は、制御部16と電気的に接続されている。
【0055】
このような構成において、制御部16は、第1センサ55、第2センサ56、第3センサ57及び第4センサ58による検知結果に基づき、フレームウェハ100の表裏及びフレームウェハ100の角度を判定する。まず、
図7(a)に示すように、第1センサ55によってフレーム102が検知されず、第2センサ56、第3センサ57及び第4センサ58によってフレーム102が検知される状態(状態A1)であるとき、制御部16は以下のような判定を行う。つまり、制御部16は、フレームウェハ100の向きが第1の向きであり、且つ、フレームウェハ100の仮想平面203内における回転角度が0度であると判定する(
図8参照)。また、
図7(b)に示すように、フレーム102が第2センサ56によって検知されず、残りのセンサによって検知される状態(状態B1)であるとき、制御部16は、フレームウェハ100の向きが第2の向きであり且つ回転角度が0度であると判定する。また、
図7(c)に示すように、フレーム102が第3センサ57によって検知されず、残りのセンサによって検知される状態(状態C1)であるとき、制御部16は、フレームウェハ100の向きが第1の向きであり且つ回転角度が90度であると判定する。また、
図7(d)に示すように、フレーム102が第4センサ58によって検知されず、残りのセンサによって検知される状態(状態D1)であるとき、制御部16は、フレームウェハ100の向きが第2の向きであり且つ回転角度が90度であると判定する。このように、フレームウェハ100の表裏だけでなく仮想平面203内における角度も判定したい状況において、当該角度も人手によらず判定できる。なお、この変形例では角度θが90度であるものとしたが、これには限られず、角度θはどのような角度であっても良い。例えば、角度θは180度であっても良い。
【0056】
(2)搬送システムは、フレームウェハ100の表裏の判定に加えて、後述するように、フレームの形状に応じてフレームウェハ100の種類を判定するように構成されていても良い。以下、
図9及び
図10(a)、(b)を参照しつつ説明する。
図9は、変形例に係る搬送システム1bの概略図である。
図10(a)は、フレームウェハ100及び後述する第5センサ71、第6センサ72を示す説明図である。
図10(b)は、後述するフレームウェハ120及び第5センサ71、第6センサ72を示す説明図である。
図9に示すように、搬送システム1bの筐体12には、2つの処理装置3、4が接続されている。筐体12の内部空間において、処理装置3、4の前側には、それぞれステージ22(ステージ65、66)及びバッファストッカ23(バッファストッカ67、68)が設けられている。搬送部14の搬送ロボット21bは、ロードポート11上の容器Fとステージ22、バッファストッカ23との間でフレームウェハ100等を移動させることが可能に構成されている。
【0057】
図10(a)、(b)に示すように、搬送ロボット21bには、上述した第1センサ55及び第2センサ56に加えて、これらのセンサと同様の構成を有する第5センサ71及び第6センサ72が設けられていても良い。第5センサ71は、ハンド43の直交方向における一方側部分に設けられ、第6センサ72は、ハンド43の直交方向における他方側部分に設けられている。第5センサ71及び第6センサ72は、いずれも、フレームウェハ100がハンド43上に載置されているとき、フレーム102を検知する位置に配置されている(
図10(a)参照)。一方、第5センサ71及び第6センサ72は、フレームウェハ120(
図10(b)参照)がハンド43上に載置されているとき、一方がフレーム121を検知せず、他方がフレーム121を検知するように配置されている。具体例として、第2方向(
図2(a)、(b)参照)において、フレーム121の一方側部分には、フレームウェハ100に形成されていない切欠き122が形成されている。このような切欠き122が形成されているため、例えばフレームウェハ120の向きが第1の向きであるとき、第5センサ71はフレーム121を検知せず、第6センサ72はフレーム121を検知する(
図10(b)参照)。また、フレーム121には、フレーム102に形成された切欠き104、105が形成されていない。このため、フレームウェハ120がハンド43上に載置されているとき、第1センサ55及び第2センサ56は、フレーム121を検知する(
図10(b)参照)。
【0058】
このような構成において、制御部16は、第1センサ55、第2センサ56、第5センサ71及び第6センサ72による検知結果に基づき、フレームウェハの種類及び表裏を判定できる。すなわち、第1センサ55及び第2センサ56のうち一方がフレームを検知せず、他方がフレームを検知したとき、制御部16は、ハンド43にフレーム102が保持されていると判定し、且つ、フレームウェハ100の表裏を判定する。このとき、フレームウェハ100の向きが第1の向き及び第2の向きのいずれであっても、第5センサ71及び第6センサ72はフレーム102を検知する。したがって、第5センサ71及び第6センサ72による検知結果は、フレームウェハ100の表裏の判定に影響しない。また、第5センサ71及び第6センサ72のうち一方がフレームを検知せず、他方がフレームを検知したとき、制御部16は、ハンド43にフレーム121が保持されていると判定し、且つ、フレームウェハ120の表裏を判定する。このとき、フレームウェハ120の向きが第1の向き及び第2の向きのいずれであっても、第1センサ55及び第2センサ56はフレーム121を検知する。したがって、第1センサ55及び第2センサ56による検知結果は、フレームウェハ120の向きの判定に影響しない。以上のようにして、互いに異なる形状を有するフレーム102及びフレーム121を人手によらず見分けることができる。したがって、例えば、フレームウェハの種類に応じて、フレームウェハに異なる処理を施すことができる。一例として、制御部16は、ハンド43にフレーム102が保持されていると判断したとき、搬送ロボット21bにフレームウェハ100をステージ65又はバッファストッカ67へ搬送させても良い。また、制御部16は、ハンド43にフレーム121が保持されていると判断したとき、搬送ロボット21bにフレームウェハ120をステージ66又はバッファストッカ68へ搬送させても良い。この変形例において、フレーム102が本発明の第1フレームに相当する。フレーム121が本発明の第2フレームに相当する。第1センサ55及び第2センサ56が、本発明の第1フレーム検知部に相当する。第5センサ71及び第6センサ72が、本発明の第2フレーム検知部に相当する。
【0059】
(3)前記までの実施形態において、制御部16は、第1センサ55等による検知結果に基づいてフレームウェハ100の表裏等を判定するものとしたが、これには限られない。例えば、第1センサ55等の代わりに公知のカメラが設けられ、制御部16は、カメラによって撮影された画像に基づいてフレームウェハ100の表裏を判定しても良い。この場合、カメラは、第1領域111等よりも広い領域を撮影しても良い。
【0060】
(4)前記までの実施形態において、第1センサ55と第2センサ56とは、ハンド43に保持されたフレームウェハ100の中心線202に関して互いに線対称の位置に配置されているものとしたが、これには限られない。第1センサ55及び第2センサ56は、フレームウェハ100の表裏を検知可能な位置に配置されていれば、中心線202に関して必ずしも線対称に配置されていなくても良い。
【0061】
(5)前記までの実施形態において、第1センサ55等は、搬送ロボット21に設けられているものとしたが、これには限られない。例えば、第1センサ55等は、反転装置24に設けられていても良い。或いは、第1センサ55等は、ステージ22に設けられていても良い。
【0062】
(6)前記までの実施形態において、ウェハ101は、テープ103を介してフレーム102に保持されているものとしたが、これには限られない。ウェハ101は、例えばフィルムを介してフレーム102に保持されていても良い。或いは、例えばフレーム102がウェハ101を汚染しない部材によって形成されており、フレーム102がウェハ101を直接保持していても良い。
【0063】
(7)前記までの実施形態において、搬送システム1がEFEMであるものとしたが、これには限られない。搬送システム1は、例えば、容器F内のフレームウェハ100の上下方向における並び順を入れ替えるソータであっても良い。