【解決手段】搬送システム1は、複数のフレームウェハ100を収容可能な容器Fが載置される載置部11aと、載置部11aに載置された容器Fに複数のフレームウェハ100を出し入れする搬送ロボット21と、複数のフレームウェハ100を一時的に保管するバッファストッカ23と、を備える。バッファストッカ23は、複数のフレームウェハ100を保持する保持部42と、保持部42を反転させるモータ43と、を有する。
【発明を実施するための形態】
【0017】
次に、本発明の実施の形態について説明する。なお、説明の便宜上、
図1に示す方向を前後左右方向とする。すなわち、本実施形態に係る後述の搬送システム1と処理装置2とが並べられた、水平方向と平行な方向を前後方向とする。前後方向において、搬送システム1側を前側とし、処理装置2側を後側とする。水平方向と平行且つ前後方向と直交する方向を左右方向とする。また、前後方向及び左右方向の両方と直交する方向を上下方向(重力が作用する鉛直方向)とする。
【0018】
(搬送システム及び周辺の構成)
まず、搬送システム1及びその周辺の構成について、
図1を参照しつつ説明する。本実施形態における搬送システム1は、例えば、EFEM(Equipment Front End Module)と呼ばれるシステムである。EFEMは、後述するフレームウェハ100に所定の処理を施す処理装置2と、フレームウェハ100が収容される容器Fとの間でフレームウェハ100の受渡しを行うように構成されたシステムである。
【0019】
フレームウェハ100は、半導体回路が形成された基板であるウェハ101と、ウェハ101よりも一回り大きな概ねリング状の部材であるフレーム102と、フレーム102に貼られた例えば略リング状のテープ103とを有する(
図2参照)。ウェハ101は、テープ103に貼られ、テープ103を介してフレーム102に保持されている。
【0020】
また、容器F(
図1参照)は、例えばFOUP(Front-Opening Unified Pod)と呼ばれる、複数のフレームウェハ100を上下方向に並べて収容可能な容器である。容器Fの側面には、不図示の蓋が取り付けられている。容器Fは、例えば不図示のOHT(天井走行式無人搬送車)によって工場のクリーンルーム内を搬送され、後述するロードポート11上に載置される。
【0021】
図1に示すように、搬送システム1は、複数のロードポート11と、筐体12と、搬送部14と、制御部16とを備える。搬送システム1は、筐体12内に設けられた搬送部14によって、ロードポート11に載置されている容器Fと処理装置2との間でフレームウェハ100の受渡しを行う。搬送システム1の後側には、処理装置2が配置されている。処理装置2は、予備室であるロードロック室2aと、所定の処理を行う処理部2bとを有する。ロードロック室2a内には、筐体12内のフレームウェハ100を処理部2bに出し入れする不図示の搬送ロボットが設けられている。当該搬送ロボットは、複数のフレームウェハ100を一度に搬送可能に構成されていても良く、1つのフレームウェハ100のみを搬送可能であっても良い。
【0022】
複数(本実施形態では3つ)のロードポート11は、筐体12の前側に配置され、左右方向に並べて設けられている。ロードポート11は、容器Fの内部空間を筐体12の内部空間と連通させるように構成されている。ロードポート11は、容器Fが載置される載置部11aと、筐体12の前側の壁部に形成された開口12aを開閉するためのドア11bとを有する。ドア11bは、不図示の連結機構によって容器Fの蓋と連結されるように構成されている。また、ドア11bは、不図示のドア移動機構によって容器Fに蓋を着脱するように構成されている。ロードポート11の載置部11aに容器Fが載置された状態で、連結機構によってドア11bが容器Fの蓋と連結され、ドア移動機構によって容器Fから蓋が外されることにより、容器Fの内部空間と筐体12の内部空間とが連通する。
【0023】
筐体12は、複数のロードポート11と処理装置2とを接続するためのものであり、略直方体状に形成されている。筐体12の内部には、外部空間に対して略密閉された、フレームウェハ100が搬送される搬送空間が形成されている。また、搬送空間内には、不図示のファンフィルタユニットが設けられている。搬送システム1が稼動しているとき、搬送空間内の気体は、基本的には、ファンフィルタを通ることによって清浄に保たれている。搬送空間を満たす気体として、例えば大気、ドライエア、或いは不活性ガス(窒素等)が用いられる。
【0024】
筐体12の前側には複数のロードポート11が配置されている。筐体12の後側には、筐体12の後側の壁部に形成された開口12bを介して処理装置2のロードロック室2aが接続されている。
【0025】
搬送部14は、筐体12内に設けられている。搬送部14は、フレームウェハ100を搬送する搬送ロボット21と、フレームウェハ100が載置されるステージ22と、フレームウェハ100を一時的に保管可能なバッファストッカ23とを有する。
【0026】
搬送ロボット21は、フレームウェハ100を搬送可能に構成されている。搬送ロボット21は、本体部21aと、アーム部21bと、ハンド21cとを有する。本体部21aは、ステージ22及びバッファストッカ23の前側に配置されている。本体部21aは、左右方向に延在したレール21dに沿って不図示の移動機構によって左右方向に移動可能に構成されている。
【0027】
アーム部21bは、複数のアームが鉛直軸周りに旋回可能に連結されて構成されている。アーム部21bの基端部は本体部21aに取り付けられている。アーム部21bの先端部にはハンド21cが取り付けられている。ハンド21cは、アーム部21bの先端部に取り付けられ、鉛直軸周りに旋回可能に構成されている。ハンド21cは、例えばメカチャック方式によってフレームウェハ100のフレーム102を保持可能に構成されている。なお、チャック方式はこれには限られない。ハンド21cは、例えば真空吸着方式によってフレーム102を保持しても良い。また、搬送ロボット21においては、複数のアーム部21bにそれぞれハンド21cが設けられていても良い。つまり、搬送ロボット21は、2つ以上のフレームウェハ100を一度に搬送可能に構成されていても良い。
【0028】
ステージ22は、搬送ロボット21の後側に配置されている。ステージ22は、左右方向に長い平板22aを有する。平板22aの上面には、フレームウェハ100を支持するための複数のピン22bが設けられている。これにより、ステージ22上には、複数のフレームウェハ100が左右方向に並べて載置されることが可能となっている。ステージ22上のフレームウェハ100には、例えば、ロードロック室2a内の不図示の搬送ロボットがアクセス可能である。本実施形態では、ステージ22は3枚のフレームウェハ100を並べて支持可能に構成されている。なお、ステージ22が支持可能なフレームウェハ100の枚数は、これに限られない。
【0029】
バッファストッカ23は、ステージ22に隣接するように配置されている。バッファストッカ23は、搬送の効率化のため、複数のフレームウェハ100を一時的に保管するように構成されている。バッファストッカ23のより詳細については後述する。
【0030】
以上の構成を有する搬送部14において、搬送ロボット21は、フレームウェハ100を容器Fから取り出してステージ22或いはバッファストッカ23へ搬送することができる。また、搬送ロボット21は、ステージ22上のフレームウェハ100或いはバッファストッカ23内のフレームウェハ100を容器Fに戻すことができる。このように、搬送ロボット21は、容器Fにフレームウェハ100を出し入れする。
【0031】
制御部16は、例えば一般的なコンピュータ装置であり、CPUと、ROMと、RAM等を有する。制御部16は、ROMに格納されたプログラムに従い、CPUにより搬送システム1の各部を制御する。
【0032】
以上の構成を有する搬送システム1は、搬送部14によって容器Fからフレームウェハ100を取り出し、バッファストッカ23へ搬送し又はステージ22上に載置する。処理装置2は、不図示の搬送ロボットによって、ステージ22上に載置されたフレームウェハ100を処理室2bに出し入れする。また、搬送システム1は、処理装置2によって処理されたフレームウェハ100を不図示の搬送ロボットによってステージ22上に載置する。さらに、搬送システム1は、ステージ22上に載置されたフレームウェハ100を搬送部14によってバッファストッカ23へ搬送し又は容器Fに戻す。その後、容器Fは、不図示のOHTによって搬送される。
【0033】
ここで、搬送システム1においては、容器F内から取り出されたフレームウェハ100を裏返して(反転させて)処理装置2へ搬送することが求められる場合もある。この場合、例えば、フレームウェハ100を1枚ずつ反転させる反転ユニットを筐体12内に設けることが考えられる。
【0034】
しかしながら、反転ユニットによってフレームウェハを反転させる場合、容器Fから取り出されたフレームウェハ100を1枚ずつ反転ユニットへ運び、さらに、反転ユニットによって反転させられたフレームウェハ100をバッファストッカ23へ都度運ぶ必要がある。このため、反転ユニットの反転動作にかかるタクト時間に依存してフレームウェハ100を容器Fとバッファストッカ23との間で搬送する際にかかる搬送時間が長くなり、搬送効率が低下してしまう。また、このため、例えば、反転された複数のフレームウェハ100をまとめて処理装置2に提供したい場合に、必要な数のフレームウェハ100がバッファストッカ23内に確保されるまで時間がかかってしまうという問題がある。かといって、搬送効率の低下を抑えるために反転ユニットの数を増やすと、設置面積が増大し、装置フットプリントが肥大化してしまうおそれがある。
【0035】
そこで、フレームウェハ100を反転させる必要がある場合に、装置の肥大化を抑制しつつ搬送効率の低下を抑制するため、本実施形態の搬送システム1のバッファストッカ23は以下のように構成されている。
【0036】
(バッファストッカの詳細構成)
バッファストッカ23の詳細構成について、
図3の斜視図、
図4の右側面図及び
図5(a)の正面図を参照しつつ説明する。
図3に示すように、バッファストッカ23は、筐体12内に固定的に配置されたベース部材41と、ベース部材41に支持され、複数のフレームウェハ100を保持する保持部42と、保持部42を反転させるモータ43(本発明の反転部)と、を有する。
【0037】
ベース部材41は、筐体12内に固定された、例えば中空の部材である。ベース部材41の内部には、モータ43が収容されている。モータ43の回転軸43a(本発明の支持部。
図4参照)は、不図示のモータ本体から前側へ延び、保持部42を水平軸周りに回転可能に支持している。或いは、回転軸43aの代わりに、ベルト等の伝達部材を介してモータ43と接続された不図示の軸部材によって、保持部42を水平軸周りに回転可能に支持しても良い。
【0038】
保持部42は、複数のフレームウェハ100を少なくとも略水平状態で保持可能に構成されている。保持部42は、モータ43の回転軸43aに回転可能に支持されている。また、後述するように、保持部42は、複数のフレームウェハ100の一方の面が上向きになっているときの第1姿勢と、他方の面が上向きになっている(つまり、一方の面が下向きになっている)ときの第2姿勢との間で姿勢を切換可能である。なお、以下では、保持部42の姿勢が第1姿勢であるときの保持部42の構成について説明する。
【0039】
図3に示すように、保持部42は、モータ43の回転軸43aに回転可能に取り付けられた取付部51と、取付部51に対して移動可能な可動部52とを有する。取付部51は、一例として、板部材53と、複数の棒部材54と、複数のフレームウェハ100を一時的に収容するための収容部材55、56、57とを有する。大まかには、フレーム102の後端部が収容部材55の前側部に収容され、フレーム102の左端部が収容部材56の右側部に収容され、フレーム102の右端部が収容部材57の左側部に収容される。
【0040】
板部材53は、保持部42の姿勢が第1姿勢であるとき、左右方向及び上下方向に延在する略長方形状の部材である。板部材53の左右方向及び上下方向における中心部が、回転軸43aに固定されている。板部材53の前面には、収容部材55が固定されている。棒部材54は、板部材53の四隅からそれぞれ前側に延びた部材である。4つの棒部材54のうち、左側の2つの棒部材54の右側面に収容部材56が固定され、右側の2つの棒部材54の左側面に収容部材57が固定されている。
【0041】
収容部材55は、上下方向及び左右方向に延びた板部材61と、板部材61の前面に固定されて上下方向に長く延びた、概ね直方体状の2つの棚部材62とを有する。板部材61は、板部材53の前面に固定されている。2つの棚部材62は、左右方向において互いに離隔して配置されている。棚部材62の前側部には、左右方向に延び且つ上下方向に並べて略等間隔に配置された複数の切欠きが形成されている。これによって、棚部材62には、左右方向から見たときに略U字状のスロット部63(例えば
図4の太線参照)が、上下方向に複数並べて設けられている。スロット部63には、保持部42の姿勢が第1姿勢であるときに上方を向いた第1面63aと、第1面63aと向かい合うように配置された(下方を向いた)第2面63bと、第1面63a及び第2面63bの両方と略直交する直交面63cとが形成されている(
図4参照)。第1面63aと第2面63bとの間に、フレーム102の後端部が入り込むことが可能な隙間が形成されている。
【0042】
図3に示すように、収容部材56は、上下方向及び前後方向に延びた板部材64と、板部材64の右側面に固定された、棚部材62と略同じ形状の2つの棚部材65とを有する。板部材64は、左側の2つの棒部材54に固定されている。2つの棚部材65は、前後方向において互いに離隔して配置されている。棚部材65の右側部には、前後方向に延び且つ上下方向に並べて略等間隔に配置された複数の切欠きが形成されている。これにより、棚部材65には、前後方向から見たときに略U字状のスロット部66(例えば
図5(a)の太線参照)が、上下方向に複数並べて設けられている。スロット部66には、保持部42の姿勢が第1姿勢であるときに上方を向いた第1面66aと、第1面66aと向かい合うように配置された第2面66bと、第1面66a及び第2面66bの両方と略直交する直交面66cとが形成されている(
図5(a)参照)。第1面66aと第2面66bとの間に、フレーム102の左端部が入り込むことが可能な隙間が形成されている。
【0043】
収容部材57は、収容部材56と左右対称に構成されている。
図3に示すように、収容部材57は、上下方向及び前後方向に延びた板部材67と、板部材67の左側面に固定された、棚部材62と略同じ形状の2つの棚部材68とを有する。板部材67は、右側の2つの棒部材54に固定されている。2つの棚部材68は、前後方向において互いに離隔して配置されている。棚部材68には、収容部材56の棚部材65に形成されたスロット部66と左右方向において向かい合うように、複数のスロット部69(例えば
図5(a)の太線参照)が設けられている。スロット部69にも、スロット部66と同様に、第1面69aと、第2面69bと、直交面69cとが形成されている(
図5(a)参照)。第1面69aと第2面69bとの間に、フレーム102の右端部が入り込むことが可能な隙間が形成されている。
【0044】
これにより、フレーム102の後端部が棚部材62のスロット部63に、フレーム102の左端部が棚部材65のスロット部66に、フレーム102の右端部が棚部材68のスロット部69に、それぞれ載置されることができる。保持部42の姿勢が第1姿勢であるとき、フレーム102の下方を向いている面が、上方を向いている第1面63a、66a、69aと接触する。このようにして、複数のフレームウェハ100を上下方向に並べて複数のスロット部63、66、69に載置することが可能となっている。スロット部63、66、69が、本発明の固定スロット部に相当する。
【0045】
図3に示すように、可動部52は、収容部材55の棚部材62に対応して設けられた可動棚部材72と、収容部材56の棚部材65に対応して設けられた可動棚部材75と、収容部材57の棚部材68に対応して設けられた可動棚部材78と、を有する。可動棚部材72、75、78は、棚部材62、65、68と同様に上下方向に長く延びた概ね直方体状の部材である。
【0046】
可動棚部材72は、左右方向において2つの棚部材62の間に挟まれるように配置されている。可動棚部材72には、棚部材62に設けられたスロット部63と同様のスロット部73が上下方向に並べて設けられている。つまり、スロット部73にも、上方を向いた第1面73aと、第1面73aと向かい合うように配置された(下方を向いた)第2面73bと、第1面73a及び第2面73bの両方と略直交する直交面73cとが形成されている(
図4参照)。可動棚部材75は、前後方向において2つの棚部材65の間に挟まれるように配置されている。可動棚部材75には、スロット部66と同様のスロット部76が設けられている。スロット部76には、第1面76aと、第2面76bと、直交面76cとが形成されている(
図5(a)参照)。同様に、可動棚部材78は、前後方向において2つの棚部材68の間に挟まれるように配置されている。可動棚部材78には、スロット部69と同様のスロット部79が設けられている。スロット部79には、第1面79aと、第2面79bと、直交面79cとが形成されている(
図5(a)参照)。スロット部73、76、79が、本発明の把持部に相当する。
【0047】
可動棚部材72、75、78は、エアシリンダ71、74、77(本発明の移動駆動部。
図3参照)によって、それぞれ棚部材62、65、68に対して上下方向に移動駆動される。これにより、可動棚部材72、75、78は、フレームウェハ100を保持部42に出し入れ可能な解放位置と、フレームウェハ100を把持可能な把持位置との間で移動可能である(詳細は後述)。
【0048】
(バッファストッカの動作)
次に、以上の構成を有するバッファストッカ23によるフレームウェハ100の反転動作について、
図5(a)、(b)、
図6(a)、(b)及び
図7を参照しつつ説明する。
図5(a)〜
図7は、バッファストッカ23の正面図であり、バッファストッカ23の動作を示す説明図である。なお、説明の簡単化及び図面の煩雑化回避のため、
図5(a)〜
図7においてはフレームウェハ100を1つのみ図示している。
【0049】
初期状態として、保持部42の姿勢が第1姿勢である(
図5(a)参照)。この状態では、棚部材62のスロット部63の第1面63a及び可動棚部材72のスロット部73の第1面73a等が上を向いている。また、可動棚部材72、75、78が解放位置に位置している。この状態では、例えば、棚部材62の第1面63aの上下方向における位置と可動棚部材72の第1面73aの上下方向における位置とが略等しい。この状態では、搬送ロボット21(
図1参照)によって、フレームウェハ100を保持部42に出し入れすることが可能である。
【0050】
次に、複数のフレームウェハ100が複数のスロット部63等に載置された状態で、制御部16(
図1参照)は、エアシリンダ71、74、77(
図3参照)を制御して、可動棚部材72、75、78を下方に移動させて把持位置に位置させる(
図5(b)参照)。すると、棚部材62のスロット部63の第1面63aと可動棚部材72のスロット部73の第2面73bとの間等にフレーム102が挟まれ、フレーム102が把持される。このようにして、フレームウェハ100を上下方向に挟んで把持できる。
【0051】
次に、制御部16(
図1参照)は、モータ43(
図3参照)を制御して、保持部42を回転軸43a周りに回転させ(
図6(a)参照)、第1姿勢と180度異なる第2姿勢を取るように保持部42を反転させる(
図6(b)参照)。これにより、前後方向を回転軸方向として、フレームウェハ100の表裏がひっくり返る(フレームウェハ100が反転する)。保持部42の回転中、可動棚部材72、75、78が把持位置に位置しておりフレームウェハ100が把持されているため、フレームウェハ100は安定的に回転する。保持部42の姿勢が第2姿勢になったとき、第1面63a、73a等が下を向き、第2面63b、73b等が上を向く(
図6(b)参照)。また、保持部42の姿勢が第2姿勢であるとき、棚部材65及び可動棚部材75が右側に位置し、棚部材68及び可動棚部材78が左側に位置している(
図6(b)参照)。また、保持部42の姿勢が第2姿勢であり且つ可動棚部材72、75、78が把持位置に位置しているとき、可動棚部材72、75、78は、棚部材62、65、68に対して上側にずれている。なお、保持部42が反転させられた後、フレームウェハ100の上下方向における並び順は、反転前の並び順と逆になる。
【0052】
次に、制御部16(
図1参照)は、エアシリンダ71、74、77(
図3参照)を制御して、可動棚部材72、75、78を下方に移動させて解放位置に位置させる(
図7参照)。これにより、スロット部63、66、69の、上方を向いている第2面63b、66b、69bにフレームウェハ100が受け渡され、フレームウェハ100を搬送ロボット21(
図1参照)によって保持部42から取り出すことが可能となる。可動棚部材72、75、78が把持位置から解放位置に戻る際、スロット部73、76、79の第2面73b、76b、79bにフレームウェハ100が載置された状態が維持される。このため、フレームウェハ100を解放する際、フレームウェハ100が急激に落下することを防止でき、ウェハ101に衝撃が加わることを回避できる。以上のようにして、バッファストッカ23によるフレームウェハ100の反転動作が行われる。
【0053】
反転したフレームウェハ100を元の向きに戻す際には、以下のような動作を行えば良い。すなわち、第2姿勢を取っている保持部42にフレームウェハ100を入れたとき、フレームウェハ100が第2面63b、73b等の上に載置される。次に、エアシリンダ71等(
図3参照)によって可動棚部材72等を上方に移動させることにより、スロット部73等によってフレームウェハ100が押し上げられる。これにより、フレームウェハ100が、スロット部63とスロット部73との間等に挟まれて把持される。さらに、モータ43を動作させて保持部42の姿勢を第2姿勢から第1姿勢に切り換えることにより、フレームウェハ100が元の向きに戻る。その後、エアシリンダ71等(
図3参照)によって可動棚部材72等を上方に移動させることにより、フレームウェハ100が解放される。
【0054】
以上のように、バッファストッカ23の保持部42を反転させることによって、保持部42に保持されている複数のフレームウェハ100を一度に反転させることができる。このため、例えば反転ユニットによって複数のフレームウェハ100を反転させる場合と比べて、フレームウェハ100を反転させる回数を少なくすることができる。したがって、搬送効率の低下を抑制できる。また、これにより、反転された複数のフレームウェハ100をまとめてバッファストッカ23から処理装置2に提供したい場合に、必要な数のフレームウェハ100を短時間でバッファストッカ23内に確保できる。
【0055】
また、反転ユニットを別途設ける必要がないため、反転装置を設置するための設置面積の増大を回避できる。したがって、装置の大型化を抑制できる。
【0056】
以上のように、搬送システム1においてフレームウェハ100を反転させる必要がある場合に、装置の肥大化を抑制しつつ搬送効率の低下を抑制することができる。
【0057】
また、可動棚部材72、75、78を解放位置から把持位置に移動させることによりフレーム102を把持できるので、簡単な構成によりフレームウェハ100を保持できる。また、ウェハ101が保持部42によって直接把持されることがないため、ウェハ101の表面が棚部材62等と接触することを回避でき、ウェハが汚染されることを防止できる。
【0058】
また、スロット部63とスロット部73(把持部)等によってフレーム102を上下に挟んで把持できる。この状態で保持部42を反転させたとき、フレーム102はスロット部73、76、79に載置された状態となり、スロット部73、76、79は、下方に移動することで把持位置から解放位置に移動する。スロット部73、76、79をこのように移動させることにより、フレーム102がスロット部73、76、79に載置された状態を維持しつつフレームウェハ100を下ろして解放することができる。このため、フレームウェハ100の解放時に、例えばフレームウェハ100が重力により落下して意図せず衝撃を受けることを回避できる。また、フレームウェハ100を元の向きに戻す際には、スロット部73、76、79を上方に移動させることにより、フレームウェハ100を安定的に持ち上げることができ、スロット部63とスロット部73等との間にフレームウェハ100を挟んで把持できる。以上のように、フレームウェハ100を把持・解放する際に、フレームウェハ100に衝撃が加わることを回避できる。
【0059】
次に、前記実施形態に変更を加えた変形例について説明する。但し、前記実施形態と同様の構成を有するものについては、同じ符号を付して適宜その説明を省略する。
【0060】
(1)前記実施形態において、保持部42は、棚部材62のスロット部63の第1面63aと可動棚部材72のスロット部73の第2面73bとの間等にフレーム102を挟んで把持するものとしたが、これには限られない。つまり、保持部42は、スロット部63の第2面63bとスロット部73の第1面73aとの間等にフレーム102を挟んで把持するように構成されていても良い。
【0061】
(2)前記までの実施形態において、バッファストッカ23の取付部51は、収容部材55、56、57を有するものとしたが、これには限られない。例えば、取付部51は、収容部材55を有さず、左右方向において互いに向かい合う収容部材56、57のみを有していても良い。
【0062】
(3)前記までの実施形態において、可動棚部材72等が上下方向に移動することにより、スロット部63とスロット部73との間等にフレーム102を上下方向に挟んで把持するものとしたが、これには限られない。以下、
図8(a)、(b)を参照しつつ説明する。
図8(a)に示すように、バッファストッカ23aの保持部42aは、左右方向に移動可能に構成された可動部80を有する。可動部80は、上述した可動棚部材75、78の代わりに、左右方向において互いに向かい合うように配置された可動棚部材81、82を有する。例えば、可動棚部材81が左側に配置され、可動棚部材82が右側に配置されている。可動棚部材81、82は、左右方向に移動可能に構成されている。可動棚部材81には、複数のスロット部83が上下方向に並べて形成されている。各スロット部83には、上述した第1面76aに対応する第1面83a及び第2面76bに対応する第2面83bが形成されている。各スロット部83には、上述した直交面76cの代わりに、第1面83aの左端から左上側に向かって延びた傾斜面83cと、傾斜面83cの上端から第2面83bの左端に向かって延びた傾斜面83dとが形成されている。傾斜面83c、83dによって、前後方向から見たときに略V字状の凹部83eが形成されている。同様に、可動棚部材82には、複数のスロット部84が上下方向に並べて形成されている。各スロット部83には、上述した第1面79aに対応する第1面84a及び第2面79bに対応する第2面84bが形成されている。各スロット部84には、上述した直交面79cの代わりに、第1面84aの右端から右上側に向かって延びた傾斜面84cと、傾斜面84cの上端から第2面84bの右端に向かって延びた傾斜面84dとが形成されている。傾斜面84c、84dによって、前後方向から見たときに略V字状の凹部84eが形成されている。また、バッファストッカ23aは、可動棚部材81、82をそれぞれ左右方向に移動させるエアシリンダ85、86を有する。
【0063】
これにより、可動棚部材81、82は、解放位置(
図8(a)参照)と、解放位置よりも左右方向において互いに近い把持位置(
図8(b)参照)との間で移動可能である。フレームウェハ100がスロット部83、84に載置された状態で、可動棚部材81、82が解放位置から把持位置に移動すると、フレーム102の左右両端部が傾斜面83c、84cに沿って押し上げられる。これにより、フレーム102が左右両側の傾斜面83c、83d、84c、84dに接触し、凹部83e、84eによって挟まれて把持される(
図8(b)参照)。このようにしても、保持部42の回転中にフレームウェハ100を安定的に保持できる。また、保持部42の反転後、可動棚部材81、82が把持位置から解放位置に移動すると、フレーム102が重力によって傾斜面83d、84dに沿って滑らかに下りて、第2面83b、84b上に載る。したがって、フレームウェハ100に意図せず衝撃が加わることを回避できる。なお、凹部83e、84eには、傾斜面83c、83d、84c、84dの代わりに、略U字状の湾曲面が形成されていても良い。
【0064】
(4)前記までの実施形態において、保持部42はフレームウェハ100を把持するように構成されているものとしたが、これには限られない。例えば、保持部は、フレームウェハ100を真空吸着装置によって吸着保持可能に構成されていても良い。
【0065】
(5)前記までの実施形態において、ウェハ101は、テープ103を介してフレーム102に保持されているものとしたが、これには限られない。ウェハ101は、例えばフィルムを介してフレーム102に保持されていても良い。或いは、例えばフレーム102がウェハ101を汚染しない部材によって形成されており、フレーム102がウェハ101を直接保持していても良い。
【0066】
(6)前記までの実施形態において、モータ43により保持部42を反転させるものとしたが、これには限られない。例えば、不図示のエアシリンダ及びリンク機構を有する反転機構によって保持部42を反転させても良い。
【0067】
(7)前記までの実施形態において、エアシリンダ71、74、77によって可動棚部材72、75、78を移動させるものとしたが、これには限られない。例えば、不図示のボールネジ機構又はラックアンドピニオン機構等の移動機構によって可動棚部材72、75、78を移動させても良い。
【0068】
(8)前記までの実施形態において、搬送システム1がEFEMであるものとしたが、これには限られない。搬送システム1は、例えば、容器F内のフレームウェハ100の上下方向における並び順を入れ替えるソータであっても良い。