特開2021-106308(P2021-106308A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2021-106308(P2021-106308A)
(43)【公開日】2021年7月26日
(54)【発明の名称】充電装置
(51)【国際特許分類】
   H04M 1/11 20060101AFI20210625BHJP
   H02J 7/00 20060101ALI20210625BHJP
【FI】
   H04M1/11 C
   H02J7/00 301D
   H02J7/00 301A
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2019-235711(P2019-235711)
(22)【出願日】2019年12月26日
(71)【出願人】
【識別番号】000001487
【氏名又は名称】フォルシアクラリオン・エレクトロニクス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001081
【氏名又は名称】特許業務法人クシブチ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】岩崎 豊
【テーマコード(参考)】
5G503
5K023
【Fターム(参考)】
5G503AA07
5G503BA01
5G503BB01
5G503FA01
5G503GB08
5G503GD03
5G503GD06
5K023AA07
5K023KK04
5K023KK10
5K023LL03
(57)【要約】
【課題】スマートフォンのサイズが異なっても、スマートフォンを充電最適位置に保持することが可能な充電装置を提供する。
【解決手段】スマートフォン31を充電する非接触式の充電装置10は、スマートフォン31を挟み込んで保持する一対の可動式ホルダー45と、スマートフォン31に電力を供給する送電コイル43と、を備え、一対の可動式ホルダー45は、上記挟み込む方向に連動して移動し、スマートフォン31と送電コイル43とを上記挟み込む方向に所定の位置関係になるようにスマートフォン31を保持する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子機器を充電する充電装置において、
前記電子機器を挟み込んで保持する一対の可動式ホルダーと、前記電子機器に電力を供給する送電コイルと、を備え、前記一対の可動式ホルダーは、前記挟み込む方向に連動して移動し、前記電子機器と前記送電コイルとを前記挟み込む方向に所定の位置関係になるように前記電子機器を保持することを特徴とする充電装置。
【請求項2】
前記一対の可動式ホルダーは、ラックアンドピニオン機構により連動して移動されることを特徴とする請求項1に記載の充電装置。
【請求項3】
前記可動式ホルダーは、前記挟み込む方向と交差する方向に前記電子機器の位置を規制する斜面を備えることを特徴とする請求項2に記載の充電装置。
【請求項4】
前記ラックアンドピニオン機構は、電動モーターで駆動されることを特徴とする請求項2又は3に記載の充電装置。
【請求項5】
前記電子機器を検出したときに前記電動モーターが稼動されることを特徴とする請求項4に記載の充電装置。
【請求項6】
前記一対の可動式ホルダーが互いに近づく方向に付勢力を発生させる弾性部材を備え、前記付勢力によって前記電子機器を保持することを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載の充電装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、充電装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、充電装置として、スマートフォンを収納して保持するホルダーが知られている(例えば、特許文献1参照)。
ホルダーは、スマートフォンが充電に適する位置に配置されるように、スマートフォンを可動部材を介して保持する非接触式の充電ユニットを備える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2012−236477号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1では、スマートフォンの車両左右方向の保持に関しては、可動部材に設けられた左右一対の傾斜した面によってスマートフォンを所定位置に位置決め可能であるが、車両前後方向の保持に関しては、スマートフォンの前端部が、ホルダーの固定された枠部材に当てられ、後端部が可動部材に当てられて、スマートフォンが保持される構造であるため、スマートフォンの前後方向の長さによっては、スマートフォンの充電位置が、充電に適する位置からずれて充電効率が低下することがある。
本発明の目的は、スマートフォンのサイズが異なっても、スマートフォンを充電最適位置に保持することが可能な充電装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
充電装置は、電子機器を充電する充電装置において、前記電子機器を挟み込んで保持する一対の可動式ホルダーと、前記電子機器に電力を供給する送電コイルと、を備え、前記一対の可動式ホルダーは、前記挟み込む方向に連動して移動し、前記電子機器と前記送電コイルとを前記挟み込む方向に所定の位置関係になるように前記電子機器を保持することを特徴とする。
【0006】
上記構成において、前記一対の可動式ホルダーは、ラックアンドピニオン機構により連動して移動されるようにしても良い。
また、上記構成において、前記可動式ホルダーは、前記挟み込む方向と交差する方向に前記電子機器の位置を規制する斜面を備えるようにしても良い。
また、上記構成において、前記ラックアンドピニオン機構は、電動モーターで駆動されるようにしても良い。
【0007】
また、上記構成において、前記電子機器を検出したときに前記電動モーターが稼動されるようにしても良い。
また、上記構成において、前記一対の可動式ホルダーが互いに近づく方向に付勢力を発生させる弾性部材を備え、前記付勢力によって前記電子機器を保持するようにしても良い。
【発明の効果】
【0008】
充電装置は、電子機器を挟み込んで保持する一対の可動式ホルダーと、電子機器に電力を供給する送電コイルとを備え、一対の可動式ホルダーは、挟み込む方向に連動して移動し、電子機器と送電コイルとを挟み込む方向に所定の位置関係になるように電子機器を保持するので、電子機器のサイズに応じて送電コイルに対する電子機器の位置を充電最適位置に保持することができる。これにより、電子機器を効率良く充電できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の第1実施形態に係る充電装置の車両への設置例を示す図である。
図2】充電装置を示す平面図である。
図3】保持機構を示す平面図である。
図4図2のIV−IV線断面図である。
図5図2のV−V線断面図である。
図6】保持機構による保持を解除した状態を示す作用図である。
図7】充電装置とスマートフォンの非接触充電の構成を示すブロック図である。
図8】充電装置の動作を示すフローチャート(前半)である。
図9】充電装置の動作を示すフローチャート(後半)である。
図10】第2実施形態の充電装置を示す断面図である。
図11】第3実施形態の充電装置の車両への設置例を示す図である。
図12】充電装置の動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。
<第1実施形態>
図1は、本発明の第1実施形態に係る充電装置10の車両11への設置例を示す図である。
車両11は、車室12の前部に、運転席13及び助手席14の前方に配置されたインストルメントパネル15と、インストルメントパネル15の中央部から運転席13及び助手席14のそれぞれの間を後方に延びるセンターコンソール17とを備える。インストルメントパネル15及びセンターコンソール17は、車室12の内装部材である。
インストルメントパネル15は、スピードメータ、タコメータ等からなる計器部21と、車両11の現在位置や目的地までの経路案内を行うカーナビゲーションシステム22と、エアコンディショナ用の操作部23と、小物を収納する収納ボックス24とを備える。
計器部21の後方には、ステアリングハンドル26が配置されている。
【0011】
センターコンソール17は、変速を行うシフトレバー28、腕を載せるアームレスト(不図示)、小物を収納するコンソールボックス(不図示)等を備える。
センターコンソール17におけるシフトレバー28の後方に位置する平坦部17aには、スマートフォン31を充電する非接触式の充電装置10が設置されている。平坦部17aは、水平とされた又は水平に近い傾斜を有する部分である。
非接触式の充電装置10は、スマートフォン31とワイヤレスで充電可能である。スマートフォン31に備える受電コイル33(図4参照)を充電装置10に備える送電コイル43(図4参照)に近づけ、送電コイル43に電流を流すことで、電磁誘導作用によって受電コイル33に電流を流してスマートフォン31の電池(不図示)に充電する。
なお、充電装置10では、スマートフォン31に限らず、携帯電話、タブレット等の携帯端末や他の電子機器を充電しても良い。
【0012】
充電装置10は、運転席13に座った運転者や助手席14に座った同乗者の手の届く位置(例えば、運転席13と助手席14との間)に設置され、スマートフォン31を充電したり置いたりすることが可能である。
充電装置10は、スマートフォン31を保持する構造を備える。これにより、スマートフォン31を充電中や置いておく間は、車両11の振動や、車両11の加速、減速、旋回等で発生する揺れによるスマートフォン31の充電装置10内での移動や、充電装置10からの飛び出しを防止できる。
【0013】
充電装置10では、スマートフォン31を保持している間は、スマートフォン31の電源である電池の電圧を常時又は定期的に計測し、この電圧と電池残量(SOC)との関係から、電池残量を求め、電池残量が少なければ充電を開始するようにしても良い。
また、電池を充電して、電池残量が所定値(満充電又は満充電に近い状態)に達すれば、充電を停止するようにしても良い。
【0014】
以下に、充電装置10の詳細構造を説明する。
図2は、充電装置10を示す平面図、図3は、保持機構36を示す平面図である。
なお、図2以降の各図に示す符号Frは車両前方、符号Upは車両上方、符号Lhは車両左方である。
図2及び図3に示すように、充電装置10は、充電装置本体35、保持機構36、制御部37(図4参照)、ケース38を備える。
ケース38は、充電装置本体35、保持機構36及び制御部37を収容する。
充電装置本体35は、スマートフォン31の電池に電力を供給する。充電装置本体35は、スマートフォン31の下方に配置され、スマートフォン31に備える受電コイル33(図4参照)を介して上記した電源に電力を供給する送電コイル43を備える。
【0015】
保持機構36は、一対の可動式ホルダー45、駆動部46、一対の引張コイルばね47、複数のガイドピン48を備える。
一対の可動式ホルダー45は、ケース38内に移動可能に設けられ、スマートフォン31の長手方向(ここでは、前後方向)の一端部31a及び他端部31bを挟み込んで保持する。
図3に示す矢印E,Fは、スマートフォン31を一対の可動式ホルダー45によって挟み込む方向を示している。矢印Eは車両後方に向き、矢印Fは車両前方に向く。
【0016】
図2及び図3において、一対の可動式ホルダー45は、後で詳述する電動モーター52の回転軸52aの軸線52b(黒丸で示す部分である。)、又は軸線52bに近接配置される点に対して点対称となるように配置されている。
各可動式ホルダー45は、スマートフォン31の一端部31a又は他端部31bに当接可能とされた保持本体部45aと、保持本体部45aから対向する他方の保持本体部45aに向けて延びるラック部45bとを一体に備える。
【0017】
各保持本体部45aは、スマートフォン31の一端部31a又は他端部31bが挿入される端部挿入凹部45cを備える。端部挿入凹部45cは、開口部側から奥側に向かうにつれて次第に幅が狭くなるように形成された左右位置決め部45dを備える。
左右位置決め部45dは、スマートフォン31の一端部31a側又は他端部31b側のそれぞれの一対の角部31cに当接可能である。左右位置決め部45dは、一対の可動式ホルダー45がスマートフォン31を挟み込んで保持する方向(ここでは、前後方向)と交差する方向の所定位置にスマートフォン31を位置決めする部分であり、左右一対の斜面45eからなる。上記した交差する方向とは、ここでは直交する方向(即ち、左右方向)である。
【0018】
一対の保持本体部45aにそれぞれ設けられた左右一対の斜面45eにスマートフォン31の各角部31cが当たることで、スマートフォン31の中心31e(黒丸で示す部分である。)は、充電装置10の左右方向中央、又は充電装置10の左右方向中央に近い位置に位置決めされる。ここで、充電装置10の左右方向中央とは、例えば、電動モーター52の回転軸52aの軸線52bを通って前後方向に延びる直線51cの位置であり、スマートフォン31の中心31eが直線51c上に重なる、又は直線51cに対して左右の近い位置にオフセットして配置される。
【0019】
ラック部45bは、歯部45g、スリット部45h、ばね掛け部45jを備え、一方の可動式ホルダー45では保持本体部45aから前方、他方の可動式ホルダー45では保持本体部45aから後方に延びている。歯部45gは、複数の歯45kからなり、複数の歯45kは、ラック部45bの幅方向で充電装置10の中心側の内側縁45mに一体に形成されて、ピニオン51の歯51aに噛み合う。
スリット部45hは、ラック部45bに前後方向に延びるように形成されて、複数のガイドピン48が挿入される。ばね掛け部45jは、ラック部45bの幅方向で充電装置10の中心側とは反対側の外側縁45nから側方に突出し、引張コイルばね47の一端部が掛けられる。
【0020】
駆動部46は、一対の可動式ホルダー45のそれぞれの歯部45gに噛み合うピニオン51と、ピニオン51を回転させる電動モーター52とを備える。
ピニオン51は、複数の歯51aを備え、複数の歯51aは、可動式ホルダー45の複数の歯45kに噛み合う。電動モーター52は、回転軸52aを備え、回転軸52aにピニオン51が取付けられている。ピニオン51は、一対のラック部45bとでラックアンドピニオン(rack and pinion)機構54を構成する。ラックアンドピニオン機構54では、ピニオン51が回転することで一対の可動式ホルダー45のそれぞれを同一の移動量だけ互いに近づく又は遠ざかるように連動させて移動させることができる。
【0021】
引張コイルばね47は、一端部が可動式ホルダー45のばね掛け部45j、他端部が他方の可動式ホルダー45の保持本体部45aにそれぞれ掛けられる。一対の引張コイルばね47の弾性力によって、一対の可動式ホルダー45は、互いに近づく方向に付勢される。
この付勢力は、スマートフォン31を前後方向に一対の保持本体部45aで挟み込んで保持する保持力となる。
【0022】
ガイドピン48は、下端部が底板62(図4参照)に取付けられ、一対のガイドピン48が、前後方向に隔てて並べられて可動式ホルダー45のスリット部45hに挿入されている。これにより、可動式ホルダー45は、一対のガイドピン48によって前後方向に案内されて移動する。一対のガイドピン48は、可動式ホルダー45のストッパ部品でもある。即ち、一対のガイドピン48にスリット部45hの一端部45p又は他端部45qが当たることで、可動式ホルダー45の前後方向の移動が規制される。
【0023】
一方のガイドピン48とスリット部45hの一端部45pとの距離をL1とすると、距離L1は、スマートフォン31が保持された状態からスマートフォン31の保持が解除されるまでの最大移動量である。
また、他方のガイドピン48とスリット部45hの他端部45qとの距離をL2とすると、距離L2は、スマートフォン31が保持された状態から、一対の可動式ホルダー45が近づくと仮定した場合の最大移動量である。図示したスマートフォン31よりも長手方向の長さが短いスマートフォンでは、図示した距離L2より短い距離まで一対の可動式ホルダー45が移動した位置でスマートフォンが保持される。
上記距離L1と距離L2を加えた距離(L1+L2)は、一対の可動式ホルダー45のそれぞれの全移動量である。
【0024】
図4は、図2のIV−IV線断面図である。
ケース38は、底部に設けられた矩形の底壁56と、底壁56の前縁、後縁及び左右の側縁からそれぞれ立ち上げられた前壁57、後壁58及び左右一対の側壁59とから構成される。
底壁56には、前部及び後部にそれぞれ支持ブラケット61が取付けられ、前側及び後側の支持ブラケット61に、底板62と、底板62の下方に配置された制御部37とが支持されている。制御部37は、制御基板として構成される。
制御部37は、CPU等のプロセッサーを備え、プロセッサーによりプログラムを実行して、電動モーター52の駆動を制御する。CPUはCentral Processing Unitの略である。
【0025】
電動モーター52では、後で詳述するように、高負荷が作用したときに流れる電流、即ちモーター電流が急激に増加するため、このモーター電流の変化(即ち、増加)に基づいて制御部37は、電動モーター52を停止させる。このことから、電動モーター52自体は、モーター停止信号又はモーター電流変化信号を出力する検出手段といえる。なお、モーター電流を直接に検出するセンサー等の検出手段を、別に設けても良い。
【0026】
底板62の上面62aには、一対の可動式ホルダー45が移動可能に配置されるとともに複数のガイドピン48が固定されている。
また、上面62aには、複数の脚部65を介して充電装置本体35が固定されている。充電装置本体35の送電コイル43は、充電装置本体35の上部に設けられている。
スマートフォン31は、一対の可動式ホルダー45の各端部挿入凹部45c内まで渡すように配置された板状の載置台67に載せられる。スマートフォン31の受電コイル33は、送電コイル43の上方に近接して配置される。
【0027】
送電コイル43の中心を通るコイル中心線43aは、電動モーター52の回転軸52aの軸線52bと重なる、又は軸線52bに近い位置にオフセットして配置される。
受電コイル33が、スマートフォン31の中央又は中央に近い位置に配置されている場合、一対の可動式ホルダー45の移動によって、受電コイル33が、充電装置10の前後方向の所定位置に位置決めされる。詳しくは、受電コイル33は、送電コイル43の真上又は真上に近接する位置に配置される。
【0028】
一対の可動式ホルダー45の各保持本体部45aは、保持した状態にあるスマートフォン31を車両の車体振動等によって充電装置10から外部に飛び出さないようにする張り出し部45rを備える。
張り出し部45rは、スマートフォン31を保持した状態では、スマートフォン31の一端部31a及び他端部31bの上方を覆うように張り出している。張り出し部45rの下面45sは、端部挿入凹部45cの開口部側が端部挿入凹部45cの奥側よりも高くなるように傾斜している。
【0029】
底板62の下面62bには、電動モーター52を支持するモーターブラケット68が取付けられている。電動モーター52の回転軸52aは、底板62に開けられた貫通穴62cを貫通して底板62よりも上方に延び、回転軸52aの上端部にピニオン51が取付けられている。
支持ブラケット61は、前壁57と一方の可動式ホルダー45、及び後壁58と他方の可動式ホルダー45のそれぞれの間に出来た隙間70を覆うためのカバー部61aを上部に備える。
カバー部61aは、前壁57側又は後壁58側から保持本体部45aの下方まで略水平に延びている。このようなカバー部61aを設けることで、一対の可動式ホルダー45の移動を妨げることなしに、外観性を向上させるとともに隙間70へ落下物があったときに落下物を容易に取除くことができる。
【0030】
図5は、図2のV−V線断面図である。
スマートフォン31の受電コイル33が、スマートフォン31の中央又は中央に近い位置に配置されている場合、受電コイル33は、左右位置決め部45d(詳しくは、左右の斜面45e)によって充電装置10の左右方向の所定位置に位置決めされて保持される。詳しくは、受電コイル33は、送電コイル43の真上又は真上に近接する位置に配置される。
好ましくは、充電最適位置として図4及び図5に示すように、受電コイル33の中心を通るコイル中心線33aは、送電コイル43の中心を通るコイル中心線43aと重なる。
【0031】
図5において、載置台67は、左右の縁部67aが左右の側壁59に固定されている。これにより、スマートフォン31は、一対の可動式ホルダー45の前後方向の移動に伴い載置台67上を滑るように移動して保持される。
一対の引張コイルばね47は、前後方向で、ばね掛け部45jと、保持本体部45a(図3参照)側のばね掛け部とに重なるように配置されている。
【0032】
図6は、保持機構36による保持を解除した状態を示す作用図である。
なお、図中では、スマートフォン31を保持した状態にある一対の可動式ホルダー45を二点鎖線、スマートフォン31を保持状態から移動した後の一対の可動式ホルダー45を実線で示している。
電動モーター52を作動させてピニオン51を矢印で示すように時計回りに回転させる。
【0033】
これにより、ピニオン51の複数の歯51aと、一対の可動式ホルダー45のそれぞれの複数の歯45kとが噛み合いながら、一対の可動式ホルダー45は、それぞれ白抜き矢印で示すように互いに遠ざかるように且つ連動して移動する。
このとき、一対の可動式ホルダー45は、同一の移動量だけ移動するとともに、逆方向に移動する。電動モーター52の作動を継続すると、最終的に、ラック部45bのスリット部45hの一端部45pが一方のガイドピン48に当たって一対の可動式ホルダー45の移動が停止する。
【0034】
このときの一対の可動式ホルダー45の各保持本体部45aは、最も離れた位置に有る。この状態では、一対の保持本体部45aによるスマートフォン31の保持が解除されるとともに、一対の保持本体部45aのそれぞれの張り出し部45rが、スマートフォン31の一端部31a及び他端部31bの上方から前方及び後方の外れた位置に移動する。このため、充電装置10からスマートフォン31を取出すことができる。
【0035】
また、電動モーター52を作動させて、ピニオン51を上記とは反対側の反時計回りに回転させると、一対の可動式ホルダー45は、白抜き矢印とは反対に互いに近づくように移動する。このとき、電動モーター52の作動を継続すれば、最終的にラック部45bのスリット部45hの他端部45qが他方のガイドピン48に当たって一対の可動式ホルダー45の移動が停止する。このときの一対の可動式ホルダー45の各保持本体部45aは、最も近づく。
【0036】
上記したように、電動モーター52によりピニオン51の回転方向を切り換えることで、一対の可動式ホルダー45の移動方向を切り換え、サイズの異なるスマートフォン31の保持及び保持解除を行うことができる。
【0037】
図7は、充電装置10とスマートフォン31の非接触充電の構成を示すブロック図である。
充電装置10は、制御部37、モーター電流検出部72、電装駆動部73、電動モーター52、送電コイル43を備える。
モーター電流検出部72は、電動モーター52に流れるモーター電流を検出し、モーター電流を示すモーター電流信号を制御部37に出力する。
【0038】
制御部37は、通信機能を有し、電装駆動部73は、制御部37からのスマートフォン電池残量情報に基づき、制御部37から出力された通電開始信号によって、車両11(図1参照)又は充電装置10に備えるバッテリ(不図示)から送電コイル43に電流を流す。これにより、送電コイル43からスマートフォン31の受電コイル33に電力が供給される。また、電装駆動部73は、モーター電流検出部72からのモーター電流信号に基づき、制御部37から出力されたモーター作動信号によって電動モーター52を作動させる。
【0039】
制御部37は、送電コイル43及び受電コイル33を介してスマートフォン31との間で無線通信を行い、充電制御信号をやり取りする。充電制御信号とは、制御部37からスマートフォン31へ送る充電開始信号又は充電終了信号、スマートフォン31から制御部37へ送る電池残量を示す電池残量信号、スマートフォン31の位置情報を示すスマートフォン位置情報信号などである。スマートフォン31の電池残量が少なければ、充電が開始され、電池残量が満充電又は満充電に近ければ、充電が終了する。
【0040】
図8は、充電装置10の動作を示すフローチャート(前半)、図9は、充電装置10の動作を示すフローチャート(後半)である。
図2図4及び図6図7を参照しつつ充電装置10の動作を説明する。
図8に示すように、一対の可動式ホルダー45が最も外側に移動した状態で、充電装置10、詳しくは載置台67にスマートフォン31を載せる(ステップS11)。
制御部37は、PINGコマンドを実行し、送電コイル43と受電コイル33との間の無線通信よって制御部37に接続されたネットワークや各種機器(スマートフォン31を含む)との接続、各種信号の疎通状況、エラーの内容等を確認する(ステップS12)。
【0041】
そして、制御部37は、スマートフォン31との無線通信接続時に、スマートフォン31からのスマートフォン位置情報信号に基づいてスマートフォン31を検出したかどうか、即ち、スマートフォン31が載置台67上に載せられたかどうか判断する。
スマートフォン31を検出していない場合(ステップS13、NO)、再びステップS12を実行する。スマートフォン31を検出した場合(ステップS13、YES)、制御部37は、電動モーター52を作動させるモーター作動信号を電装駆動部73へ出力する。この結果、電装駆動部73によって電動モーター52が作動し(ステップS14)、ピニオン51が回転して一対の可動式ホルダー45が互いに近づき、スマートフォン31を所定位置に保持する(ステップS15)。
【0042】
スマートフォン31が保持されると、一対の可動式ホルダー45の停止によって、電動モーター52の回転軸52aは、ピニオン51を介して強制的に停止されるので、電動モーター52に流れるモーター電流の値(即ち、モーター電流値)は、増加する。
【0043】
制御部37は、モーター電流検出部72が検出したモーター電流値が、モーター電流所定値Aに達したか、又はモーター電流所定値Aを超えたか判断する(ステップS16)。
モーター電流値が、モーター電流所定値Aに達していない場合(ステップS16、NO)、制御部37は、再びステップS16を実行する。
モーター電流値が、モーター電流所定値Aに達したか、又はモーター電流所定値Aを超えた場合(ステップS16、YES)、制御部37は、電動モーター52の作動を停止させるモーター停止信号を電装駆動部73へ出力する。この結果、電動モーター52が停止する(ステップS17)。
電動モーター52が停止した状態では、図3に示した一対の引張コイルばね47の弾性力によって一対の可動式ホルダー45を互いに近づく方向に付勢し、スマートフォン31を保持する。
【0044】
次に、制御部37は、スマートフォン31を充電するために送電コイル43への通電を開始する通電開始信号を電装駆動部73へ出力する。この結果、電装駆動部73によって送電コイル43に通電され、送電コイル43からスマートフォン31の受電コイル33に電力が供給されて、スマートフォン31の充電が開始される(ステップS18)。
そして、制御部37に、スマートフォン31の電池の満充電又は満充電に近い状態の充電完了信号がスマートフォン31から入力されると、制御部37は、結合子Cを介して図9に示すように、送電コイル43への通電を終了させる通電終了信号を電装駆動部73へ出力し、充電を終了させる(ステップS19)。
【0045】
この後、制御部37は、電装駆動部73にモーター作動信号を出力し、再度電動モーター52を作動させて(ステップS20)、一対の可動式ホルダー45を一対の引張コイルばね47の付勢力に抗して遠ざけるように移動させ、スマートフォン31の保持を解除する(ステップS21)。
このとき、一対の可動式ホルダー45の停止に伴い電動モーター52が強制的に停止させられるため、モーター電流が増加する。
【0046】
ここで、制御部37は、モーター電流値が、モーター電流所定値Aに達したか、又はモーター電流所定値Aを超えたか判断する(ステップS22)。
モーター電流値が、モーター電流所定値Aに達していない場合(ステップS22、NO)、制御部37は、再びステップS22を実行する。モーター電流値が、モーター電流所定値Aに達したか又はモーター電流所定値Aを超えた場合(ステップS22、YES)、制御部37は、電動モーター52を停止させるモーター停止信号を電装駆動部73へ出力する。この結果、電動モーター52が停止する(ステップS23)。
充電装置10は、最終的には、一対の可動式ホルダー45が遠ざかるように配置されて、次にスマートフォン31を充電装置10で充電したり置いたりすることが可能な状態になっている。
【0047】
以上の図2図4に示したように、電子機器としてのスマートフォン31を充電する非接触式の充電装置10は、スマートフォン31を挟み込んで保持する一対の可動式ホルダー45と、スマートフォン31に電力を供給する送電コイル43と、を備える。
一対の可動式ホルダー45は、上記挟み込む方向である矢印E,Fの方向に連動して移動し、スマートフォン31と送電コイル43とを上記挟み込む方向に所定の位置関係になるようにスマートフォン31を保持する。
この構成によれば、スマートフォン31のサイズに応じて送電コイル43に対するスマートフォン31の位置を充電最適位置に保持することができる。これにより、スマートフォン31を効率良く充電できる。
【0048】
また、図3に示したように、一対の可動式ホルダー45は、ラックアンドピニオン機構54により連動して移動される。
この構成によれば、簡単な構成でスマートフォン31を充電最適位置に移動させることができる。これにより、コストを低減することができる。
【0049】
また、可動式ホルダー45は、上記挟み込む方向と交差する方向にスマートフォン31の位置を規制する斜面45eを備える。
この構成によれば、斜面45eを利用してサイズの異なるスマートフォン31を、上記挟み込む方向と交差する方向(具体的には、上記挟み込む方向と直交する方向である左右方向)に容易に位置決めすることができる。
【0050】
また、図3及び図4に示したように、ラックアンドピニオン機構54は、電動モーター52で駆動される。
この構成によれば、電動モーター52によりスマートフォン31を自動で保持できる。
【0051】
また、図2及び図8に示したように、スマートフォン31を検出した、即ち、スマートフォン31が充電装置10の載置台67に載せられたことを、例えば制御部37(図7参照)とスマートフォン31との無線通信により検出したときに電動モーター52が稼動される。
この構成によれば、スマートフォン31を自動で検出して保持できる。
また、図3に示したように、一対の可動式ホルダー45が互いに近づく方向に付勢力を発生させる弾性部材としての引張コイルばね47を備え、引張コイルばね47の付勢力によってスマートフォン31を保持する。
この構成によれば、電動モーター52の動力によりスマートフォン31を保持しなくて済み、電力消費を抑えることができる。
【0052】
<第2実施形態>
図10は、第2実施形態の充電装置80を示す断面図である。
第2実施形態において、第1実施形態と同一構成については同一符号を付け、詳細説明を省略する。
非接触式の充電装置80は、図4及び図10に示すように、第1実施形態の充電装置10の保持機構36及びケース38に対して保持機構81及びケース82が異なる。
保持機構81は、一対の可動式ホルダー85、駆動部46、一対の引張コイルばね47、複数のガイドピン48を備える。
一対の可動式ホルダー85は、スマートフォン31の一端部31a及び他端部31bに当接可能とされた保持本体部85aと、保持本体部85aから対向する保持本体部85aに向けて延びるラック部45bとを一体に備える。
【0053】
保持本体部85aは、スマートフォン31の一端部31a又は他端部31bが挿入される端部挿入凹部85cを備える。端部挿入凹部85cは、載置台67の下方に配置された横壁45tと、横壁45tの端部から上方に延びる縦壁45uと、縦壁45uの左右両側に設けられた左右位置決め部45d(図3参照)とを備える。縦壁45uの上端45vは、スマートフォン31の高さと略同一の高さに設定される。
【0054】
ケース82は、底壁56と、底壁56の前縁、後縁及び左右の側縁からそれぞれ立ち上げられた前壁87、後壁88及び左右一対の側壁89とから構成される。
前壁87、後壁88及び一対の側壁89の各上端87a,88a,89a,89aは、縦壁45uの上端45vの高さと同一か又は略同一の高さに設定されている。
【0055】
上記したように、端部挿入凹部85cは、対向する保持本体部85a側と、上方とが開放されている。このため、電動モーター52を作動させて一対の可動式ホルダー85を保持解除の方向にわずかに移動させることで、二点鎖線で示すように、スマートフォン31を充電装置80から矢印で示すように容易に取外すことができる。また、スマートフォン31を取外すときに、縦壁45u、ケース82の前壁87、後壁88及び一対の側壁89が邪魔にならない。
【0056】
<第3実施形態>
図11は、第3実施形態の充電装置100の車両11への設置例を示す図である。
第3実施形態において、第1実施形態と同一構成については同一符号を付け、詳細説明を省略する。
車両11におけるセンターコンソール17の平坦部17aには、スマートフォン31を充電する非接触式の充電装置100が設置されている。
図1図2及び図11に示すように、充電装置100は、スマートフォン31の保持を手動で解除するための保持解除スイッチ101を備える。
充電装置100は、第1実施形態の充電装置10と構成は同一であるが、制御部37(図4参照)による電動モーター52の制御が充電装置10と異なる。
保持解除スイッチ101は、充電装置100の前部に設けられ、平坦部17aの上面に配置された押しボタン形のものである。保持解除スイッチ101は、制御部37に接続され、保持解除スイッチ101が押されてオンになったとき(即ち、保持解除スイッチオン)に、保持解除スイッチ101から制御部37に保持解除スイッチオン信号が出力される。
なお、保持解除スイッチ101の形式については、押しボタン形に限らない。
【0057】
図12は、充電装置100の動作を示すフローチャートである。
本フローチャートは、図8に示した第1実施形態の充電装置10の動作を示すフローチャート(前半)に続く後半のフローチャートであり、図4図7図8及び図12を参照しつつ以下に説明する。
図8において、ステップS17の処理を終了後、制御部37は、スマートフォン31を充電するために通電開始信号を電装駆動部73へ出力する。この結果、スマートフォン31の充電が開始される(ステップS18)。
【0058】
そして、結合子Cを介して図12に示すように、制御部37は、保持解除スイッチ101からの保持解除スイッチ信号に基づいて保持解除スイッチ101がオンになったことを検出したかどうか判断する(ステップS31)。
保持解除スイッチ101がオンになっていない場合(ステップS31、NO)、制御部37は、再度ステップS31を実行する。保持解除スイッチ101がオンになった場合(ステップS31、YES)、制御部37は、通電終了信号を電装駆動部73へ出力する。この結果、スマートフォン31の充電が終了する(ステップS32)。
更に、制御部37は、再度電動モーター52を作動させて(ステップS33)、一対の可動式ホルダー45を遠ざけるように移動させる(ステップS34)。これにより、スマートフォン31の保持が解除される。
このとき、一対の可動式ホルダー45の停止に伴い電動モーター52が強制的に停止させられるため、モーター電流が増加する。
【0059】
ここで、制御部37は、モーター電流値が、モーター電流所定値Aに達したか、又はモーター電流所定値Aを超えたか判断する(ステップS35)。
モーター電流値が、モーター電流所定値Aに達していない場合(ステップS35、NO)、制御部37は、再びステップS35を実行する。モーター電流値が、モーター電流所定値Aに達したか又はモーター電流所定値Aを超えた場合(ステップS35、YES)、制御部37は、電動モーター52を停止させるモーター停止信号を電装駆動部73へ出力する。この結果、電動モーター52が停止する(ステップS36)。
【0060】
ステップS32にて、保持解除スイッチ101を押さず、オフのままであれば、スマートフォン31の保持状態を維持することができる。これにより、充電装置100にスマートフォン31を載せておけば、充電状態を自動で行うとともに、充電が終了しても車両11から降車する際に保持解除スイッチ101を押すまで、スマートフォン31を保持させておくことができる。このように、充電装置100では、使い勝手を向上させることができる。
【0061】
上述した実施形態は、あくまでも本発明の一態様を示すものであり、本発明の主旨を逸脱しない範囲で任意に変形及び応用が可能である。
図4及び図5に示したように、送電コイル43のコイル中心線43aと、電動モーター52の回転軸52aの軸線52bとが重なるように配置されているが、これに限らず、コイル中心線43aと軸線52bとを近接するように配置しても良い。
【0062】
また、図3に示したように、同一形状の可動式ホルダー45を一対設けたが、これに限らず、一対の可動ホルダーの形状を異ならせても良い。例えば、一対の可動ホルダーにおいて、スマートフォン31を保持する部分は、保持本体部45aの形状及び位置と同一であり、一対の可動ホルダーが逆方向に移動するとともに同一の移動量であればよい。
【符号の説明】
【0063】
10,80,100 充電装置
31 スマートフォン(電子機器)
37 制御部
43 送電コイル
45,85 可動式ホルダー
45e 斜面
47 引張コイルばね(弾性部材)
52 電動モーター
54 ラックアンドピニオン機構
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12